JP2004034884A - ステアリングコラム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常の操作はスムーズであり、衝突時にはエネルギー吸収を確実、かつ、安定して行うことのできるステアリングコラム装置を提供する。
【解決手段】レバー60を締付けた通常の状態でステアリングコラム53の軸方向へ衝突時のように過大な力が作用すると、ステアリングコラム53はハウジング55内部に入り込む。このとき、ステアリングコラム53とハウジング55を連結している作用部材21の衝撃吸収部材31が衝撃を吸収するので、過大な衝撃からドライバーを保護することができる。衝撃吸収部材31としては、作用部材21に波型のようなしごき部31を設けておき、このしごき部31が伸びることにより衝撃を吸収する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、衝突の際にステアリングが取り付けられているステアリングコラムに作用する衝撃を吸収できるステアリングコラム装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車用ステアリング装置においては、ドライバーの体型やシート一に合わせてステアリングホイールの前後位置を調整するコラム軸方向位置可変機構であるテレスコピック(以後、「テレスコ」という。)機構が設けられている。
また、自動車用ステアリング装置においては、ステアリングホイールの傾き、すなわち上下位置を調整するためのコラム軸傾倒角可変機構(以後、「チルト機構」という)がコラム軸方向位置可変機構とともに設けられている場合が多い。
【0003】
すなわち、図17および図18に示すように、ステアリング装置50においては、ステアリング51が取り付けられているシャフト52を回転自在に支持するステアリングコラム53は、一対の取付けブラケット54、54を介して車体に取り付けられているハウジング55の内部に挿入されている。
なお、ハウジング55の下部には左右に拡大部55L、55Rが設けられておりブラケット54、54に挟まれている。両拡大部55L、55R間にはスリット56が設けられており、若干の隙間が設けられている。
【0004】
取付けブラケット54、54はハウジング55を左右両側から挟んでおり、ハウジング55の下方であるブラケット54、54の下部には、両ブラケット54、54に設けられている長穴57を貫通するボルト58が設けられていて、ボルト58端部のネジ部にはナット59が螺合している。
ナット59にはレバーとしての締め付けレバー60が一体的に取り付けられており、締め付けレバー60の上下方向の回転によりナット59の締付けあるいは解除を行うようになっている。
【0005】
また、各ブラケット54、54の外側面には、上下のピン61U、61Lによりチルト用板62、62が各々上下方向に取り付けられている。
チルト用板62、62には上下方向に上下長穴63が貫通して設けられており、前述したボルト58が両チルト用板62、62および両ブラケット54、54を貫通している。
【0006】
ステアリングコラム53の下部にはコマ64が溶接で取り付けられており、このコマ64にテレスコ用板65の後端部(図17中右端部)がボルト66で取り付けられている。テレスコ用板65には軸方向に前後長穴67が貫通して設けられており、前述のボルト58が前後長穴67を貫通している。
【0007】
従って、ステアリングコラム53をチルト機構により上下方向へ移動させる場合、およびステアリングコラム53をテレスコ機構により軸方向へ移動させる場合には、締め付けレバー60を下方へ旋回させてナット59を緩め、チルト用板62、62およびテレスコ用板65をブラケット54、54への押付けから開放して、チルト方向およびテレスコ方向へ移動自在とする。
一方、ステアリングコラム53の上下方向位置および軸方向位置を位置決めして固定する際には、締め付けレバー60を上方へ移動させてナット59を締め付け、チルト用板62、62およびテレスコ用板65をブラケット54、54へ押し付けて固定する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ステアリング装置50には、通常、事故等において車体のフロント部分が衝突したときに、ドライバーがステアリング51にぶつかったときの衝撃を緩和するとともに、ステアリングコラム53が室内に突き出さないようにするための装置が設けられている。
【0009】
しかしながら、これまでギヤの噛み合いを用いた固定方式や、多板式構造を用いた例はあるものの、エネルギーを吸収する構造例は未だない。
これは、チルトもしくはテレスコストロークの範囲内でのエネルギー吸収化が、通常の操作(スムーズであること)からみると逆であり、かつ、設定が非常に困難であるためである。
【0010】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通常の操作はスムーズであり、衝突時にはエネルギー吸収を確実、かつ、安定して行えるステアリングコラム装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明にかかるステアリングコラム装置は、請求項1に記載したように、少なくともステアリングホイールが取り付けられているステアリングコラムをコラム軸方向位置可変機構又は、コラム軸傾倒角可変機構の少なくとも一方を備えてなる位置調整機構付きステアリングコラム装置において、前記ステアリングコラムを包囲把持するハウジングと、コラム調整位置を固定する締付け力を付与するレバーと、前記レバーを軸支すると共に、前記ハウジングに締付け力を伝達する軸部材と、前記軸部材に配置された衝撃吸収構造とを備えたことを特徴としている。
【0012】
ここで、ステアリングホイールが取り付けられているステアリングコラムは、筒状のハウジング内に挿入されて取り付けられている。
ステアリングコラムは、通常時はハウジングに一体的に取り付けられており、軸方向の位置調整を行う際や上下方向の傾倒角の調整を行う際には、レバーを緩めて出し入れや上下旋回する。
なお、一定以上の過大な力がコラムの軸方向や上下方向へ作用すると、ステアリングコラムはハウジングの内部へ移動したり上下方向へ旋回可能となっている。
【0013】
このように構成されたステアリングコラム装置においては、レバーを締付けた通常の状態でコラムの軸方向へ衝突等により過大な力が作用すると、ステアリングコラムはハウジング内部に入り込む。また、ステアリングコラムの上下方向へ過大な力が作用すると、ステアリングコラムは上下方向へ旋回する。
このとき、ステアリングコラムとハウジングの間に介在している衝撃吸収部材が衝撃を吸収するので、過大な衝撃からドライバーを保護することができる。
【0014】
また、本発明にかかるステアリングコラム装置は、請求項2に記載したように、請求項1に記載したステアリングコラム装置において、前記衝撃吸収構造は波型しごき部を設けた作用部材と、前記作用部材のしごき部を挟持する一対のケースとを備えたことを特徴としている。
【0015】
このように構成されたステアリングコラム装置においては、ステアリングコラムに衝突等により過大な衝撃が作用した場合には、一対のケースに挟まれた作用部材に過度の力が作用してしごき部が変形することにより衝撃を吸収するので、簡易な装置で衝撃を吸収できる。
【0016】
また、本発明にかかるステアリングコラム装置は、請求項3に記載したように、請求項1乃至2に記載したステアリングコラム装置において、前記衝撃吸収構造は前記ステアリングコラム装置の位置可変を許容する移動穴を備えたことを特徴としている。
【0017】
ここで、作用部材は1対のケースに挟まれており、互いのしごき部が嵌合しあって互いに固定されているので、レバーを緩めても作用部材とケースは相互に固定されている。そして、衝撃吸収構造に設けられている移動穴が作用部材およびケースの移動を可能にしているため、位置調整時にステアリングコラムを軸方向や上下方向へ移動させると、作用部材とケースは共に移動する。
また、レバーを締付けるとケースはハウジングに固定されるので、ケースはハウジングに対して移動しなくなる。
【0018】
このように構成されたステアリングコラム装置においては、位置調整時には作用部材およびケースは移動穴に沿って移動自在である。一方、衝突時にはレバーが締付けられているためケースはハウジング側に固定されており、ステアリングコラムの移動によって作用部材はケースに対して移動する。このため、作用部材のしごき部が変形して衝撃を吸収する。
【0019】
また、本発明にかかるステアリングコラム装置は、請求項4に記載したように、請求項1から3に記載したステアリングコラム装置において、前記衝撃吸収構造と前記ハウジングとの間に、互いに噛合する鋸歯状ギヤを有する一対のギヤ部材を対向して設けたことを特徴としている。
【0020】
このように構成されたステアリングコラム装置においては、互いに噛合する鋸歯状ギヤを有する一対のギヤ部材の一方を衝撃吸収構造に取付け、他方を対向してハウジングに取り付ける。従って、レバーを閉めた固定時には衝撃吸収構造とハウジングとはギヤ部材の噛合により一体的に固定される。なお、レバーを緩めた位置調整時には両ギヤ部材を離反させるような手段を設けておけば、位置調整時には衝撃吸収構造とハウジングとを相対的に移動させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るステアリングコラム装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、既に図17ないし図18において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0022】
図1および図2に示すように、本発明に係る第1実施形態であるステアリングコラム装置10では、ステアリングコラム53の上部左右両側には上拡大部11L、11Rが設けられ、下部両側には下拡大部55L、55Rが設けられている。
左右の上拡大部11L、11Rには、作用部材としてのチルト用EAプレート12の上端部がピン13およびスペーサ14を介して各々取り付けられている。
【0023】
図1に示すように、各チルト用EAプレート12は前方(図1において左方向)に中心を有する半径が大きな円弧状をしており、下部が二股に分かれて切欠き15が設けられている。チルト用EAプレート12は、切欠き15に対応した移動穴としての長穴16を有する一対のチルト用ケース17a、17bにより挟まれており、切欠き15および長穴16を貫通する軸部材としてのボルト58によって締め付け・解放自在となっている。
【0024】
図1に示すように、ハウジング55の中央部下部の一部に切欠き18が設けられており、ステアリングコラム53の下部が露出している。
図3に示すように、露出しているステアリングコラム53の下側にはコマ19が水平に取り付けられており、このコマ19を貫通するボルト20が挿入されている。コマ19の左右両側には、ボルト20により左右の作用部材としてのテレスコ用EAプレート21の前端部が固定されている。
【0025】
図1に示すように、各テレスコ用EAプレート21は、全体矩形状をしており、後半部(図1中右半部)は二股に分かれて切欠き22が設けられている。テレスコ用EAプレート21は、切欠き22に対応した移動穴としての長穴23を有する一対のテレスコ用ケース24a、24bにより挟まれており、切欠き22および長穴23を貫通するボルト58によって締め付け・解放自在となっている。
なお、このボルト58は、前述したように、チルト用EAプレート12の切欠き15、チルト用ケース17a、17bの長穴16をも同時に貫通している。
【0026】
図4から図7には、前述したチルト用ケース17a、17bおよびこれらに挟まれたチルト用EAプレート12の詳細が示されている。
なお、前述したテレスコ用ケース24a、24bおよびこれらに挟まれたテレスコ用EAプレート21の詳細もまったく同様なので、以下においては、テレスコ用ケース24a、24bおよびテレスコ用EAプレート21について説明することとし、チルト用ケース17a、17bについては符号をカッコ書きにて示すこととする。
【0027】
図6に示すように、テレスコ用ケース24a、24b(17a、17b)の両縁には互いに接触する縁部25が設けられており、この縁部25をクリップ26で止めることにより両テレスコ用ケース24a、24b(17a、17b)が常時一体化されている。上下両縁部25の間は各々外側に屈曲した摺動部27が設けられている。
【0028】
従って、図6に示すように、両摺動部27の内側面同士の間には空間28が形成されており、この空間28にテレスコ用EAプレート21(12)が嵌るようになっている。また、図4および図5に示すように、摺動部27の内面における長穴29の両外側には、各々しごき部30が内側に突出して設けられており、摺動部27の外側面は平坦になっている。
【0029】
一方、図7に示すように、テレスコ用EAプレート21(12)には、衝撃吸収部材として同様のしごき部31が波板状に設けられており、表裏両側に突出するように設けられている。
従って、常時においては図5(A)(B)に示すように、テレスコ用ケース24a、24b(17a、17b)にサンドイッチ状に挟まれてしごき部30、31同士が互いに嵌合して固定されている。
【0030】
次に、ステアリングコラム装置10の動作について説明する。
まず、ステアリング装置10を操作する常時においては、前述した図1に示すように、レバーとしての締め付けレバー60を上方に上げてナット59を締めてステアリングコラム53を上下方向および軸方向に固定した状態となっている。
すなわち、ナット59を締め付けることにより、ハウジング55の下部に設けられているスリット56を狭めてステアリングコラム53を締め付けて固定している。
【0031】
このとき、チルト用ケース17a、17bおよびテレスコ用ケース24a、24bは摩擦力で車両本体としてのブラケット54、54に固定されている。
また、図5(A)に示すように、テレスコ用EAプレート21およびテレスコ用EAプレート21のしごき部30、31は各々テレスコ用ケース24およびチルト用ケース17のしごき部30、31に嵌合して固定された状態となっている。
なお、テレスコ用ケース24a、24bおよびチルト用ケース17a、17bの外側面は平坦となっているので、支障なく締め付けレバー60によりナット59を締め付けることができる。
【0032】
次に、ステアリングコラム53の上下調整あるいは軸方向調整を行う場合には、図8に示すように、締め付けレバー60を下方へ旋回させてナット59を緩める。
この状態では、ステアリングコラム53がハウジング55に固定されずに解放されるので、ステアリングコラム53は軸方向に移動・位置決め可能となる。同時に、ボルト58およびピン13はブラケット54、54の長穴57および長穴32の範囲で移動自在となるので、ステアリングコラム53およびハウジング55は上下方向に移動・位置決め可能となる。
【0033】
このときも、図5(A)に示すように、テレスコ用ケース24a、24bおよびチルト用ケース17a、17bはクリップ26により締結されているので、テレスコ用EAプレート21およびテレスコ用EAプレート21のしごき部30、31は各々テレスコ用ケース24a、24bおよびチルト用ケース17a、17bのしごき部30、31に嵌合して固定された状態となっている。
なお、位置調整が完了したら、締め付けレバー60を上方へ移動させてナット59を締付けて、図1において前述したようにステアリングコラム53およびハウジング55を固定する。
【0034】
次に、衝突時にステアリングコラム53を前方へ移動させる過大な力が作用した場合には、図9に示すように、ステアリングコラム53およびハウジング55はステアリング操作時のために固定された状態だが、ステアリングコラム53は過大な力で前方へ移動してハウジング55の内部に押込まれる。
【0035】
このとき、ブラケット54、54およびハウジング55は前方へ移動しないので、ステアリングコラム53に接合されているコマ19およびボルト20は、ハウジング55に対して相対的に前方へ移動する。これにより、ステアリングコラム53の前方移動に伴ってテレスコ用EAプレート21が前方へ引かれるが、テレスコ用ケース24a、24bはボルト58位置にとどまるため、テレスコ用EAプレート21はテレスコ用ケース24a、24bから引き抜かれようとする。
このときに、テレスコ用EAプレート21の波板状のしごき部31が伸びて、ステアリングコラム53に作用した前方への過大な力を緩衝する。
【0036】
また、衝突時に、ステアリングコラム53に対して上方への過大な力が作用した場合には、ブラケット54、54の位置は変わらないが、ステアリングコラム53およびハウジング55が上方へ移動し、ハウジング55に取り付けられているピン13が上方へ移動する。このため、長穴32の移動範囲を超えると、ピン13によりチルト用EAプレート12が上方へ引っ張られるが、チルト用ケース17a、17bはボルト58位置にとどまるため、チルト用EAプレート12はチルト用ケース17a、17bから引き抜かれようとする。
このときに、チルト用EAプレート12の波板状のしごき部31が伸びて、ステアリングコラム53に作用した上方への過大な力を緩衝する。
【0037】
以上、前述したステアリングコラム装置10によれば、ステアリングコラム53に過大な力が作用した場合には、テレスコ用EAプレート21のしごき部31やチルト用EAプレート12のしごき部31が伸びることにより衝撃を吸収するので、複雑な機構を用いることなく、事故の際にドライバーがステアリング51にぶつかった衝撃を容易に和らげることができる。
【0038】
なお、本発明のステアリングコラム装置は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
すなわち、前述した各実施形態では、ステアリングコラム53に対する軸方向の衝撃および上下方向の衝撃の両方に対して衝撃を吸収するようにしたが、軸方向の衝撃の吸収のみ行うようにすることもできる。この場合には、チルト用EAプレート12およびチルト用ケース17a、17bを設けなくてもよい。
【0039】
次に、図10から図14に第2実施形態を示す。なお、前述した第1実施形態におけるステアリング装置10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
このステアリング装置40は、ステアリングコラム53の中央をハウジング55の中央にクランプするセンタークランプ式のものである。すなわち、図13に示すように、ハウジング55は、上下方向の中心位置において、左右別個のボルト41、42によってブラケット54、54に取り付けられている。ステアリングコラム53は、同じボルト41、42によりハウジング55に取り付けられている。
なお、一方のボルト41には、締め付けレバー60が取り付けられている。また、ハウジング55は二分割されており、ボルト43により一体的に締結されるようになっている。
【0040】
また、左右のブラケット54、54とハウジング55との間にはテレスコ用ケース24a、24bが各々設けられており、ボルト41、42で固定されている。このテレスコ用ケース24a、24bの内部には、テレスコ用EAプレート21が設けられており、各々しごき部30、31が嵌合して位置決めされている。
図14(A)(B)に示すように、テレスコ用EAプレート21の前端部は、スペーサ44を介してボルト45によりハウジング55を貫通してステアリングコラム53に固定されている。
【0041】
図10から図12には、各状態におけるステアリング装置40が示されている。
図10に示すように、通常ステアリング装置40を使用する状態では、締め付けレバー60を上方位置に移動されており、ボルト58を締めてボルト58との間にハウジング55、ステアリングコラム53、テレスコ用ケース24a、24bが固定されている。
また、テレスコ用EAプレート21は、しごき部31がテレスコ用ケース24a、24bのしごき部30に嵌合して固定されている。
【0042】
図11には、ステアリングコラム53の前後位置調整を行う状態が示されている。締め付けレバー60を下方へ移動させてボルト58を緩め、ステアリングコラム53をハウジング55から解放する。ステアリングコラム53を軸方向移動させ、位置決めして締め付けレバー60を上方へ移動させて、ステアリングコラム53をハウジング55に固定する。これで、図10に示した、通常の状態となる。
【0043】
図12には、衝突時におけるステアリングコラム53の状態が示されている。ステアリングコラム53に、前方への過大な力が作用すると、ステアリングコラム53はハウジング55に対して相対的に前方へ移動する。
このとき、テレスコ用ケース24a、24bはブラケット54、54に固定されて移動しないので、ステアリングコラム53にボルト45により前端部が固定されているテレスコ用EAプレート21のみが前方へ引っ張られる。このため、しごき部31が伸びて衝撃を吸収する。
【0044】
以上、説明したように、ステアリングコラム装置40によれば、ステアリングコラム53に過大な力が作用した場合には、テレスコ用EAプレート21のしごき部31が伸びることにより衝撃を吸収するので、複雑な機構を用いることなく、事故の際にドライバーがステアリングにぶつかっても衝撃を容易に和らげることができる。
【0045】
次に、図15に第3実施形態を示す。なお、前述した第1実施形態および第2実施形態におけるステアリング装置10、40と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。なお、以下においてはコラム軸方向に付いて説明するが、上下方向に付いても同様に適用できる。
【0046】
このステアリング装置46では、衝撃吸収構造であるテレスコ用EAケース24bとブラケット54との間に、互いに噛合する鋸歯状ギヤを有する一対のギヤ部材47a、47bを設けた。すなわち、テレスコ用EAケース24bの外側面に一方のギヤ部材47aを取り付け、ブラケット54の外側面に他方のギヤ部材47bを対向して取り付けた。また、テレスコ用EAケース24bの外側面とブラケット54の外側面の間には板バネ48が設けられており、常時両ギヤ部材47a、47bを離反させるように付勢している。
【0047】
以上、説明したように、ステアリングコラム装置46によれば、締め付けレバー60を締めた通常状態では両ギヤ部材47a、47bは噛合しているので、テレスコ用EAケース24bはブラケット54に固定される。このため、テレスコ保持力のアップを図ることができると共にEA荷重のアップを図ることができる。
一方、締め付けレバー60を緩めた位置調整時には、板バネ48の付勢力によりギヤ部材47a、47bは離れて噛合状態を脱するので、テレスコ用EAケース24bはブラケット54に対して移動可能となり、位置調整可能となる。また、ステアリングコラム53に過大な力が作用した場合には、テレスコ用EAプレート21のしごき部31が伸びることにより衝撃を吸収するので、複雑な機構を用いることなく、事故の際にドライバーがステアリングにぶつかっても衝撃を容易に和らげることができる。
【0048】
なお、前述の各実施形態においては、チルト用EAプレート12およびテレスコ用EAプレート21に、平板上の部材を使用したが、このほか、図16に示すように、棒状部材をヘアピン状に曲げた部材46を使用できる。
【0049】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明にかかるステアリングコラム装置によれば、レバーを締付けた通常の状態でコラムの軸方向へ過大な力が作用すると、コラムはハウジング内部に入り込む。
このとき、コラムとハウジングを連結している作用部材の衝撃吸収部材が衝撃を吸収するので、過大な衝撃からドライバーを保護できる。すなわち、作用部材のしごき部が変形することにより衝撃を吸収できるので、簡易な装置で衝撃を吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリングコラム装置の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1中II−II位置における断面図である。
【図3】図1中III−III位置における断面図である。
【図4】の関係を示す分解組み立て図である。
【図5】(A)は、EAプレートを両側のケースによりクランプした状態を示す側面図であり、(B)は平面図である。
【図6】ケースをクリップで接合した状態を示す断面図である。
【図7】EAプレートおよびケースのしごき部の一例を示す断面図である。
【図8】図1のステアリングコラム装置において締め付けレバーを解放した調整状態を示す側面図である。
【図9】図1のステアリングコラム装置における衝突時の状態を示す側面図である。
【図10】本発明に係るステアリングコラム装置の第2実施形態を示す側面図である。
【図11】図10のステアリングコラム装置において締め付けレバーを解放した調整状態を示す側面図である。
【図12】図10のステアリングコラム装置における衝突時の状態を示す側面図である。
【図13】図10中XIII−XIII位置の断面図である。
【図14】(A)(B)は、図10中XIV−XIV位置の断面図である。
【図15】本発明に係るステアリングコラム装置の第3実施形態を示す側面図である。
【図16】EAプレートの別の例である。
【図17】従来のステアリングコラム装置を示す側面図である。
【図18】図16中XVIII−XVIII位置の断面図である。
【符号の説明】
10、40 ステアリングコラム装置
12 チルト用EAプレート(作用部材)
16 長穴(移動穴)
17 チルト用ケース(ケース)
21 テレスコ用EAプレート(作用部材)
23 長穴(移動穴)
24 テレスコ用ケース(ケース)
30、31 しごき部(衝撃吸収構造)
47 ギヤ部材
51 ステアリング
53 ステアリングコラム
55 ハウジング
56 ボルト(軸部材)
60 締め付けレバー(レバー)

Claims (4)

  1. 少なくともステアリングホイールが取り付けられているステアリングコラムをコラム軸方向位置可変機構又は、コラム軸傾倒角可変機構の少なくとも一方を備えてなる位置調整機構付きステアリングコラム装置において、前記ステアリングコラムを包囲把持するハウジングと、
    コラム調整位置を固定する締付け力を付与するレバーと、
    前記レバーを軸支すると共に、前記ハウジングに締付け力を伝達する軸部材と、前記軸部材に配置された衝撃吸収構造とを備えたことを特徴とするステアリングコラム装置。
  2. 前記衝撃吸収構造は波型しごき部を設けた作用部材と、
    前記作用部材のしごき部を挟持する一対のケースとを備えたことを特徴とする請求項1に記載したステアリングコラム装置。
  3. 前記衝撃吸収構造は前記ステアリングコラム装置の位置可変を許容する移動穴を備えたことを特徴とする請求項1乃至2に記載したステアリングコラム装置。
  4. 前記衝撃吸収構造と前記ハウジングとの間に、互いに噛合する鋸歯状ギヤを有する一対のギヤ部材を対向して設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載したステアリングコラム装置。
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