JP2004034787A - 乗り物用の複数人掛け座席 - Google Patents
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Abstract
【課題】乗り物の利用状況に応じて座席数及び乗車空間を適切に確保することができる複数人掛け座席を提供する。
【解決手段】乗り物に設置されて複数人により使用される乗り物用の複数人掛け座席1であって、背当部30と、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部60とを備える。なお、前記座部60と、該座部60に対応する背当部30と、前記乗り物の設置部位に取り付けられ、前記座部60及び前記背当部30を支持する取付部材10とにより構成された単体の折り畳み座席100,101,102を複数連設してなるものとしてもよい。
【選択図】 図2
【解決手段】乗り物に設置されて複数人により使用される乗り物用の複数人掛け座席1であって、背当部30と、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部60とを備える。なお、前記座部60と、該座部60に対応する背当部30と、前記乗り物の設置部位に取り付けられ、前記座部60及び前記背当部30を支持する取付部材10とにより構成された単体の折り畳み座席100,101,102を複数連設してなるものとしてもよい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗り物用の複数人掛け座席に関し、詳しくは、乗り物に設置されて複数人により使用される乗り物用の複数人掛け座席に関する。
【0002】
【従来の技術】
背もたれとして機能する背当部と、腰掛けとして機能する座部とを備えた座席の中には、二人以上の複数人が隣接して腰掛けることができるように、複数人分の座部が連設された複数人掛け座席がある。そして、路線バスや鉄道車両等の乗り物では、その室内に複数人掛け座席を対向して配置し、これにより、多数の人が腰掛けることができるばかりでなく、対向する複数人掛け座席の間に大きな乗車空間を確保して、多数の人が立ち状態で乗車できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通勤や通学の混雑時等においては、さらに大きな乗車空間を確保することが要望される。そこで、複数人掛け座席の座部全体を展開状態及び折り畳み状態に変位可能とし、座部全体を折り畳むことで、より大きな乗車空間を確保することが単に考えられる。
【0004】
しかしながら、複数人掛け座席の座部全体を折り畳んで大きな乗車空間を確保すると、少々の混雑時においては、座部全体を折り畳むことで大きな乗車空間が確保できる一方で、腰掛けることができる人の数が無用に減少してしまい、利用者に不満感を与えてしまう虞がある。また、車椅子やベビーカーの使用者が乗車した場合に、座部全体の折り畳みにより確保された空間に車椅子やベビーカーを収容すると、車椅子やベビーカーの近辺には、腰掛けることができる座部が存在しなくなり、車椅子の使用者やベビーカーに乗せた子供に付き添う介護者や保護者等の付き添い人は、腰掛けることができず、付き添い人の負担が大きくなってしまう。特に、乗降口から段差なく車内の床面が形成された所謂「低床式」のバスや鉄道車両等の乗り物では、車椅子やベビーカーの使用者が乗車する機会が多く、上述の問題を顕著に生じる。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、乗り物の利用状況に応じて座席数及び乗車空間を適切に確保することができる複数人掛け座席を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る複数人掛け座席は、乗り物に設置されて複数人により使用される乗り物用の複数人掛け座席であって、背当部と、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
ここで、「乗り物」は、バス、鉄道車両、船舶等、複数人掛け座席が設置される種々の乗り物の広範を指すものであるが、乗降口から段差なく車内の床面が形成された所謂「低床式」のバスや鉄道車両等の乗り物では、車椅子やベビーカーの使用者の乗車機会が多く、このような乗り物を対象とするのが好適である。
【0008】
また、本発明において、背当部の構成を限定するものではなく、例えば、複数の座部の夫々に対応した個別のものであってもよく、複数の座部の全体或いは適宜個数の座部に対応して、複数人分を一体としたものであってもよい。さらに、乗り物の壁面や床面等の設置部位に、一人分の単体の背当部と一人分の単体の座部とを、個別の取付部材等を介して複数組、連設状態で取り付けて、全体で複数人掛け座席となるようにしてもよく、或いは、複数人分が一体となった背当部と一人分が単体に形成された複数の座部とを、一つの取付部材等を介してまとめて取り付けて、全体で複数人掛け座席となるようにしてもよい。なお、上記の構成において、座部は、一人分を単体に形成したもの限らず、複数人分を一体に形成したものであってもよい。
【0009】
本発明では、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部を備えるため、例えば、多大な混雑時には、多数の座部を折り畳んで大きな乗車空間を確保する一方で、少々の混雑時には、少数の座部を折り畳んで、腰掛けることができるある程度の座席数を確保した上で、乗車空間を広げる等、多様な形態の乗車空間を形成し得、乗り物の利用状況に応じて、座席数及び乗車空間を適切に確保することが可能となる。特に、一つまたは二つの少数の座部を折り畳んで車椅子やベビーカーの収容スペースを確保した場合には、収容スペースの近辺に展開状態で腰掛けることができる座部が存在することになる。よって、車椅子の使用者の介護者や、ベビーカーに子供を乗せた保護者等の付き添い人にとっては、展開状態の座部を利用して腰掛けながら、車椅子の使用者やベビーカーに乗せた子供の面倒を見ることができることとなり、負担が軽減される。
【0010】
請求項2に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項1に記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記背当部は、前記複数の座部の夫々に個別に設けられ、座部の展開状態または折り畳み状態の変位に連動して傾斜状態または略鉛直状態に変位することを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、個々の座部に対応する背当部が、座部を展開して座席として使用時には、傾斜状態となる。よって、座部に腰掛けた使用者は、傾斜した背当部にゆったりと背をもたれさせることができ、座席を快適に使用することが可能となる。一方、座部を折り畳んだ状態では、背当部が略鉛直状態となるため、全体がコンパクトに納まり、前方に大きな乗車空間が確保される。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項1または請求項2に記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記複数の座部の夫々を折り畳み状態で個別に固定するストッパを備えることを特徴とするものである。
【0013】
乗り物用の座席において座部を折り畳み可能とすると、乗り物の揺れや振動等によって折り畳んだ状態の座部が不用意に展開する場合がある。ここで、座部の折り畳みにより確保された座部の前方の空間は、乗車空間や、車椅子等の収容スペースであり、折り畳まれた座部の前方には、立ち状態の乗客や車椅子の使用者が存在する。また、立ち状態の乗客や車椅子の使用者が、折り畳まれた状態の座部で体を支える場合もある。よって、座部が不用意に展開することは是非とも避けなければならない。そこで、本発明では、複数の座部の夫々を折り畳み状態で個別に固定するストッパを設けることで、適宜の座部を折り畳んでも、この座部が不用意に展開せず、安全性が確保される。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記乗り物に複数が対向して配置されることを特徴とするものである。
【0015】
本発明は、複数人掛け座席の配置態様を、複数が対向して配置されるような態様に限定したものであり、座部を展開した状態としても、対向する複数人掛け座席の間に、ある程度の乗車空間を確保できることとする一方で、混雑時等には、適宜の座部を折り畳むことにより、乗車空間を広げることができるようにしたものである。また、本発明では、乗り物が空いている時であっても、適宜の座部を折り畳んで、この折り畳まれた座部の前方に車椅子やベビーカーを収容することで、対向する複数人掛け座席の間で形成された通路に車椅子やベビーカーが無用に突出せず、他の乗客の通行に邪魔にならず、良好な乗車空間が形成される。
【0016】
請求項5に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記座部と、該座部に対応する背当部と、前記乗り物の設置部位に取り付けられ、前記座部及び前記背当部を支持する取付部材とにより構成された単体の折り畳み座席を複数連設してなることを特徴とするものである。
【0017】
乗り物に座席を設置する場合には、座部及び背当部を取付部材に支持し、この取付部材を乗り物の壁面や床面等の設置部位に取り付けることが通常なされる。ここで、複数の座部及び背当部を単一の取付部材に支持し、これにより一組の複数人掛け座席を構成することとすると、複数人掛け座席として、2人掛け用、3人掛け用等といった使用人数用に応じた形態のものを予め形成しておかなければならない。そして、予め形成された一組の複数人掛け座席は、使用人数が設定された専用のものとなってしまい、汎用性に劣るものとなってしまう。さらに、2人掛け以上の座席とした場合には、全体の重量が重たくなり、乗り物に設置する際に、1人や2人の作業者によっては設置することができず、設置作業が、最低でも2人、或いはそれ以上の多数の作業者を必要とする煩雑な作業となる虞もある。
【0018】
これに対して、本発明の複数人掛け座席は、1人分である単一の座部と、この座部に対応する同様に1人分である単一の背当部と、座部及び背当部を支持する取付部材とにより構成された単体の折り畳み座席を1単位として、この折り畳み座席を複数連設してなるため、適宜の使用人数用の複数人掛け座席とする場合には、要望される人数分の折り畳み座席を連設状態で乗り物の設置部位に単に設置すればよいことになる。よって、この複数人掛け座席は、汎用性に優れたものとなる。また、乗り物への設置に際しては、全体が連設状態となるように、単体の折り畳み座席を個別に設置すればよいのであるが、個々の折り畳み座席の重量は、全体に比して軽量であるため、1人或いは2人の少数の作業者によって設置作業をなし得る。よって、その設置作業は簡便となる。
【0019】
請求項6に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項5に記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記複数の折り畳み座席の少なくとも一つは、略水平状態の使用状態及び略鉛直状態の収納状態に変位するアームレストを備えることを特徴とするものである。
【0020】
座部が連設された複数人掛け座席では、肘掛けとして機能するアームレストを適宜の座部の間に付加することを要望されることが考えられるが、要望されるアームレストの配置態様は、各座部の間毎や、一つおき等、多様であると考えられる。そこで、本発明では、連設する複数の折り畳み座席のうち、少なくとも一つを、アームレストを備えたものとして複数人掛け座席を構成する。例えば、左右の一側にアームレストを備えた折り畳み座席、左右の両側にアームレストを備えた折り畳み座席、アームレストを備えない折り畳み座席等、種々の形態の折り畳み座席を適宜組み合わせて連設して、複数人掛け座席を構成する。これにより、アームレストの多様な配置態様を容易に実現することが可能となり、多様な形態の複数人掛け座席を容易に実現することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項5または請求項6に記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記背当部は前記取付部材に回動自在に支持され、前記座部は前記背当部に回動自在に支持されており、一端側が前記取付部材に回動自在に支持され、他端側が前記座部に回動自在に支持されて、座部の展開状態または折り畳み状態の変位に連動して背当部を傾斜状態または略鉛直状態に変位させるリンク機構を備えることを特徴とするものである。
【0022】
本発明は、座部の展開状態または折り畳み状態に連動して背当部を傾斜状態または略鉛直状態に変位させるための構成を具体的に限定したものである。本発明では、取付部材に背当部を回動自在に支持することで、傾斜状態及び略鉛直状態に変位する背当部を、簡単な構造によって実現することが可能となる。また、背当部に座部を回動自在に支持することで、展開状態及び折り畳み状態に変位する座部を、簡単な構造によって実現することが可能となる。さらに、一端側が取付部材に回動自在に支持され、他端側が座部に回動自在に支持されたリンク機構を採用することで、座部の変位に連動して背当部を的確に変位させることが可能となる。
【0023】
請求項8に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項5から請求項7までのいずれか一つに記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記各折り畳み座席の背当部の上部に、各折り畳み座席に渡って延設され、複数人掛け座席の高さを設定する上部クッションを備えることを特徴とするものである。
【0024】
複数人掛け座席を乗り物に設置するに際しては、乗り物の窓枠等、他の部材に対して複数人掛け座席全体の高さを整合させなければならない。ここで、背当部の高さを変更することが単に考えられるが、このような態様であると、複数人掛け座席全体の高さを異ならせる毎に、背当部の形態を変更しなければならなくなり、背当部の汎用性が損なわれてしまう。そこで、本発明では、背当部の上部に上部クッションを設けて、この上部クッションによって複数人掛け座席全体の高さを設定する。これにより、背当部の汎用性を確保したままで、複数人掛け座席全体を、多様な高さに容易に設定することが可能となる。また、上部クッションは、複数人掛け座席を構成する複数の折り畳み座席に渡って延設されため、複数人掛け座席の上部をスッキリと納めることも可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に係る複数人掛け座席の実施形態としての一例を、図面に基づいて説明する。なお、本例では、図1に示すように、乗り物としての低床式のバス9を設置対象とし、このバス9の室内の左右両側(図示上下両側)に複数個が対向して配置される複数人掛け座席1を例示するが、本発明に係る複数人掛け座席1はこれに限らず、低床式でないバス、低床式や低床式でない鉄道車両、船舶等、他の乗り物を設置対象としてもよく、また、その配置形態については、複数を対向して配置するに限らず、他の種々の形態を採用してもよい。
【0026】
図2に示すように、複数人掛け座席1は、要望される使用人数に対応して、2人掛け用、3人掛け用、或いは、4人以上の多数人掛け用のものを一組として構成されている。なお、図2では、3人掛け用の複数人掛け座席1を例示し、以下では、この複数人掛け座席1を説明する。
【0027】
この複数人掛け座席1は、夫々単体の座席を構成する複数の折り畳み座席100,101,102を連設してなるものである。ここで、各折り畳み座席100,101,102は、詳細な構造は後述するが、室内の壁面等の設置部位に取り付けられる取付部10と、この取付部10に支持され、傾斜状態及び略鉛直状態に変位する背当部30と、この背当部30を介して前記取付部材10に支持され、展開状態及び折り畳み状態に変位する座部60とを備えてなるものである。また、背当部30は、その上部が取付部材10に回動自在に支持され、座部60は、その後端部が背当部30の下部に回動自在に支持されており、背当部30は、後述するリンク機構(図示省略)によって、座部60の展開状態または折り畳み状態への変位に連動して、傾斜状態及び略鉛直状態に変位するように構成されている。
【0028】
また、図示左側の一つの折り畳み座席100には、肘掛けとして機能するアームレスト90が、使用状態の略水平状態と、収納状態で背当部30の側部に納まる略鉛直状態とで変位するように、背当部30の図示右側に回動自在に取着されている。そして、残りの図示中央の折り畳み座席101及び図示右側の折り畳み座席102は、アームレスト90を備えないものとなっている。但し、複数人掛け座席1全体では、図示右側に、上面によって固定的なアームレストを形成する側板6が固設されている。
【0029】
さらに、各折り畳み座席100,101,102の各背当部30の上部には、各折り畳み座席100,101,102に渡って上部クッション5が設けられている。そして、この上部クッション5によって、複数人掛け座席1全体の高さが設定されている。よって、複数人掛け座席1全体の高さは、上部クッション5を取り換えることで、容易に変更することができる。
【0030】
このように構成された複数人掛け座席1では、各座部60を個別に展開状態及び折り畳み状態に変位させることができ、例えば、図3に示すように、車椅子の使用者が乗車した際には、二つの折り畳み座席100,101の各座部60を折り畳み状態とし、これら各座部60の前方に確保された空間に車椅子を収容することができる(図示1点鎖線参照)。そして、残りの折り畳み座席102の座部60を展開状態のままとすることで、車椅子の近辺に腰掛けることができる座席を確保することができ、この座席に介護者等が腰掛けて(図示1点鎖線参照)、車椅子の使用者の面倒を見ることができる。
【0031】
ところで、各折り畳み座席100,101,102では、折り畳まれた状態の座部60が後述するストッパ(図示省略)によって個別に固定されており、不用意に展開状態に変位しない。よって、折り畳み状態の座部60の前方に位置する立ち状態の乗客や車椅子の使用者が体を支えることができるように、座部60の裏面に把手66を積極的に設けることができる。
【0032】
次に、単体の折り畳み座席100,101,102の構成について詳細に説明する。なお、以下では、アームレスト90を備える折り畳み座席100を説明するが、アームレスト90を備えない折り畳み座席101,102では、アームレスト90を省略した構成となる。
【0033】
図4に示すように、折り畳み座席100は、バスの室内の壁面等、設置対象物の立設部に取り付けられる取付部材10と、背もたれとして機能する背当部30と、腰掛けとして機能する座部60と、肘掛けとして機能するアームレスト90とを備えるものである。ここで、この折り畳み座席100では、背当部30に対して座部60が折り畳み・展開自在となっており、座部30の展開状態への変位に連動して、背当部30が後述するリンク機構80(図4では図示省略)により傾斜状態に変位する。また、座部60を折り畳んだ状態では、後述するストッパ70(図4では図示省略)により背当部30が固定され、座部60が折り畳まれた状態で堅固に固定される。なお、アームレスト90は、座部60の変位に関わらず個別に変位される。
【0034】
次に、この折り畳み座席100の具体的な構造を、図5に基づいて説明する。取付部材10は、平板状の金属板により形成された基体部11と、この基体部11の両側に折り曲げ形成された側板部12と、別体の金属板により略コ字状に折り曲げ形成され、基体部11の下部中央に一体化されたブラケット15とを備えている。この取付部材10は、ボルト(図示省略)によって立設部に取り付けられるものであり、基体部11には、ボルトが挿通される取付孔13が穿設されている。また、基体部11には、複数の抜き孔14が穿設されており、この抜き孔14により取付部材10全体の重量の軽減が図られている。
【0035】
取付部材10の側板部12上部には、支軸20を介して背当フレーム31が回動自在に取り付けられている。支軸20の具体的な装着態様は、次の通りである。支軸20は、大径の頭部21を有しており、この頭部21を残して、取付部材10に設けられた支軸孔16及び背当フレーム31に設けられた支軸孔35に挿通され、各支軸孔16,35に挿通された後には、取付部材10の支軸孔16の近傍に突設された押さえ片19を支軸20の頭部21に被せるようにして折り曲げることにより抜けが防止されている。このようにして支軸20の抜けを防止することにより、支軸20が取付部材10の側方に大きく突出することを抑えることができる。
【0036】
背当フレーム31は、背当部30の骨組みを構成するものであり、左右一対の鉛直杆32と上下一対の水平杆33とを有する略方形の枠状に形成されている。また、背当フレーム31は、図6に示すように、その水平杆33に、背当部30の背当面を構成する背当シート部材40が着脱自在に装着されて、この背当シート部材40とで背当部30を構成するものである。なお、背当シート部材40は、背面を構成する平板状の背面板41の表側にクッション材42を介して布地等による上張り43が張られてなるものであり、背面板41の裏側に設けられた係止部44を背当フレーム31の水平杆33に係止させることにより、背当フレーム31に着脱可能に装着されるものである。ここで、係止部44は、一側が開口する略コ字状に形成されており、開口の入り口の幅は、水平杆33に係止部44を外嵌すると容易には外れないよう、背当フレーム31の水平杆33の外径よりも小さくなっている。
【0037】
また、背当シート部材40は、背当フレーム31に装着された状態で、図4に示すように、側板部12を含めて取付部材10の上部を覆うものであるが、取付部材10を立設部に取り付ける作業を行う際には、背当フレーム31から背当シート部材40を取り外すことで、上記作業を円滑に行うことができる。
【0038】
背当フレーム31の下部の両側には、前方に延出するアーム部34が設けられている。このアーム部34は、背当フレーム31に背当シート部材40を装着して全体で背当部30を形成した状態においても、背当部30の前方に延出するものである。そして、このアーム部34に、支軸50を介して座部60が回動自在に取り付けられている。支軸50の具体的な装着態様は次の通りである。支軸50は、ボルトにより構成されており、座部60に設けられた支軸孔62には、雌ネジが刻設されている。そして、支軸50は、背当フレーム31のアーム部34に設けられた支軸孔36にカラー51を介して挿入されると共に座部60の支軸孔62に螺着されている。また、アーム部34とボルトからなる支軸50の頭部との間には、平座金52及びバネ座金53が介在されている。
【0039】
座部60は、骨組みを構成する枠状の座フレーム61を内部に有し、この座フレーム61にクッション材(図示省略)を介して布地等による上張り64が張られてなるもので、全体が一体的に形成されたものである。なお、上記支軸孔62は座フレーム61に形成されており、この支軸孔62は、座部60の後部側方において上張り64から露呈されている。また、座フレーム61の後端の略中央部分も上張り64から露呈されている。
【0040】
座部60の後端部分に露呈された座フレーム61には、リンク機構80の一端側が支軸55を介して回動自在に取り付けられており、このリンク機構80の他端側は、取付部材10のブラケット15に支軸56を介して回動自在に取り付けられている。各支軸55,56の具体的な装着態様は、次の通りである。支軸55は、リンク機構80の一端側に設けられた支軸孔81と座部60の座フレーム61後端部分に設けられた支軸孔63とに挿通されている。また、支軸56は、リンク機構80の他端側に設けられた支軸孔82と取付部材10のブラケット15に設けられた支軸孔17とに挿通されている。そして、各支軸55,56は、両端に止め輪57が装着されて抜けが防止されている。
【0041】
リンク機構80の他端側には、展開規制部83が溶接等によって固着されている。この展開規制部83は、リンク機構80の一端側に向かって突設されており、この展開規制部83には、規制具84が取り付けられている。この規制具84は、座部60に当接することで、座部60の使用状態を超えた展開を規制するものである。ここで、規制具84は、ボルトにより構成されており、リンク機構80の展開規制部83に刻設された雌ネジに進退自在に螺着されている。そして、座部60の展開量は、展開規制部83からの規制具84の突出量により調節される。なお、規制具84には、ナット85が螺合されており、このナット85を展開規制部83に向かって締め付けることにより、規制具84が不用意に進退することなく固定される。
【0042】
一方、取付部材10の下部には、両側板部12間にストッパ70が横架されている。このストッパ70は、座部60の折り畳みに連動して略鉛直状態となった背当部30を固定するものであり、軸部76と、この軸部76の両側に固着された板状のストッパ片71と、軸部76の一側(図示右側)に固着された操作部72とを備えてなるものである。
【0043】
ストッパ片71は、その取付孔75に支軸58が挿入されて、取付部材10に対して回動自在に支持されている。そして、このストッパ片71には、係止部77が設けられている。この係止部77は、背当フレーム31の下部に設けられて内方に突出するピン状の固定部39を係止して、略鉛直状態の背当フレーム31を、この状態で固定するものである。なお、本例では、背当部60側の固定部39を凸状とし、ストッパ70側の係止部77を凹状として、係止部77によって固定部39を係止することとしたが、固定部39を凹状とし、係止部77を凸状としてもよい。
【0044】
また、ストッパ片71と取付部材10との間には、支軸58周りに装着されたトーションスプリング73が介在されており、このトーションスプリング73の一端は、取付部材10に係止され、他端はストッパ片71に係止されている。このトーションスプリング73によって、ストッパ片71は、背当フレーム31の固定部39を係止する方向に付勢されている。
【0045】
ストッパ70の軸部76は、取付部材10の両側板部12を貫通し、側板部12に設けられた長孔状の案内部76aに挿通されている。これにより、ストッパ片71は、回動範囲が規制される。また、軸部76に固着された操作部72は、樹脂やゴム等の柔軟な材質からなるキャップ74が両端に装着された略T字状に形成されており、手で把持することにより操作されるものとなっている。
【0046】
ところで、背当フレーム31の一側方(図示右側)の中間部位には、支軸36が突設されている。この支軸36は、アームレスト90を回動自在に支持するものである。また、取付部材10の側板部12における支軸36に対応する部位には切り欠き18が設けられている。座部60の折り畳み状態では、背当部30が略鉛直状態に変位して背当フレーム31が取付部材10の両側板部12間に収容されるのであるが、側板部12の切り欠き18内に支軸36が納まることで、支軸36と取付部材10との干渉が回避される。
【0047】
アームレスト90は、図7に示すように、後端に支軸孔92を有するボス部91を有しており、このボス部91の支軸孔92に、背当フレーム31の支軸36を挿入することにより、背当フレーム31に対して回動自在に支持されている。ここで、支軸36の基端側は大径部37となっており、支軸36の先端には、平座金95及びバネ座金96を介して止めネジ94が螺着されている。そして、アームレスト90のボス部91は、支軸36基端の大径部37と止めネジ94との間に装着されている。なお、アームレスト90のボス部91は、スプリング等の付勢手段により支軸36の軸心方向に付勢されており、アームレスト90が所望の位置にて保持可能となるように、アームレスト90の回動に適度な抵抗が付与されている。具体的には、支軸孔92の止めネジ94側の部位に支軸36よりも大径の凹部93が設けられており、この凹部93に圧縮コイルバネ97が収容されており、この圧縮コイルバネ97が凹部93の端面と平座金95の端面とに当接することにより、ボス部91を支軸36の基端側に付勢している。
【0048】
また、アームレスト90の回動は、所定角度範囲内にてなされるように規制手段により規制されており、この規制手段の具体的な構造は、次の通りである。図8に示すように、支軸36の大径部37の端面は、周方向に沿って扇状に切り欠かれており、切り欠きの境界部分に当接部38が形成されている。また、アームレスト90のボス部91の端面も扇状に切り欠かれており、切り欠きの境界部分に当接部98が形成されている。アームレスト90の回動に際しては、支軸36側の当接部38とアームレスト90側の当接部98とが互いに当接することにより、所定角度範囲内に規制される。なお、本例では、アームレスト90を最も下方に回動させた状態でアームレスト90が略水平状態となり、最も上方に回動させた状態で略鉛直状態となると共に背当部60の側方に収納されるように、規制されている。
【0049】
次に、この折り畳み座席100の使用態様を説明する。まず、折り畳み座席100の収納状態は、図9に示すように、背当部30に対して座部60を折り畳んだ状態であり、背当部30が支軸20を中心に取付部材10に対して回動して略鉛直状態となり、座部60が支軸50を中心に背当部30に対して回動して略鉛直状態となっている。なお、折り畳み座席100の収納状態は、アームレスト90を含めて全体をコンパクトに納めた状態であり、アームレスト90も、支軸36を中心として背当部30に対して回動して、略鉛直状態で背当部30の側方に収納された状態となっている。
【0050】
折り畳み状態の座部60は、背当部60の下部の両側に延出されたアーム部34の先端部分に支持されていることから、背当部30のアーム部34先端部分から背当部30前面の間の空間に、コンパクトに納まる。また、本例では、背当部30が下方ほど厚く、座部60が前方ほど厚く構成されており、座部60を折り畳んだ状態では、座部60の厚い部分と背当部30の薄い部分とが重なり合い、また、座部60の薄い部分と背当部30の厚い部分とが重なり合う。よって、座部60を折り畳んで背当部30と重ね合わせても、全体の厚さが無用に厚くなることはない。しかも、座部60の底面と背当部30の背面とが略鉛直の平行面となることから、収納状態の折り畳み座席100は、壁面等の立設部に沿って、コンパクトに納まる。
【0051】
また、座部60を折り畳んだ状態では、図10に示すように、リンク機構80の他端側の支軸56が一端側の支軸55よりも上方に位置し、リンク機構80の他端側は、座部60の後端部分の後方に位置して座部60により隠蔽される。よって、この折り畳み座席100では、座部60の折り畳みによって確保された折り畳み座席100の前方及び下方の空間にリンク機構80が大きく露呈することがなく、リンク機構80によって美観を損ねることがない。また、上記空間にリンク機構80が突出することがなく、リンク機構80によって上記空間の使用に支障を来すこともない。なお、本例では、リンク機構80が下側に湾曲する円弧状に形成されており、他端側が座部60の後方に位置しても、座部60に干渉しないように構成されている。また、規制具84は、リンク機構80下側に僅かに突出するだけであり、座部60に何ら干渉せず、座部60の折り畳みにより確保された空間に大きく露呈することもない。
【0052】
図11に示すように、座部60の折り畳みに連動して略鉛直状態となった背当部30は、固定部39がストッパ70の係止部77に係止されて、傾斜状態への回動が規制され、この状態で固定される。よって、背当部30が傾斜状態へと変位不能であることから、座部60は折り畳み状態から展開状態へと変位不能となり、座部60も折り畳み状態で固定される。なお、上記固定は堅固になされるため、乗り物用の折り畳み座席100として採用する場合等において、折り畳み状態の座部60によって体を支え易いように、例えば図9に示すように、略U字状や略L字状等に形成された把手66を座部60の底面に設けることができる。
【0053】
このような折り畳み状態から座部60を展開状態へと変位させるためには、ストッパ70の操作部72を操作して、ストッパ片71をトーションスプリング73の付勢力に抗して回動させ(図示矢印K1)、係止部77による固定部39の係止を解除しつつ、座部60を展開操作すればよい。ここで、座部60の展開操作は、略鉛直状態の座部60の上部を手前下方に回動させる操作であるのに対して、操作部72の操作は、手前上方への回動操作となる。よって、座部60を展開させるためには、全く別異の操作である座部60の展開操作と操作部72の回動操作とを同時に行わなければならず、誤操作等により座部60が不用意に展開されることはない。
【0054】
折り畳み座席100の使用状態は、図12に示すように、背当部30に対して座部60を展開した状態であり、座部60が支軸50を中心に背当部30に対して回動して略水平状態となっている。ここで、背当部30に対する座部60の回動に際しては、リンク機構80により座部60の移動が規制されるため、座部60と背当部30との支持部分である支軸50が前方に移動する。これにより、背当部30が支軸20を中心に取付部材10に対して回動して上部が後方に位置する傾斜状態となる。なお、アームレスト90については、アームレスト90の使用の要否に応じて、支軸36を中心として背当部30に対して回動させて、略水平状態の使用状態または略鉛直状態の収納状態とすればよい。
【0055】
座部60の展開状態では、図13に示すように、リンク機構80の他端側の支軸56が一端側の支軸55よりも下方に位置し、リンク機構80の略全体が座部60の下側に露呈されるのであるが、座部60を展開した状態における座部60の下側の空間は、使用に用いられる空間ではない。よって、リンク機構80が座部60の下側に露呈しても、何ら支障を来さない。
【0056】
また、座部60を展開した状態では、リンク機構80の規制具84が、座部60の後端部分において上張り64から露呈された座フレーム61に当接して、座部60の使用状態を超えた展開を規制する。ここで、規制具84は、座部フレーム61の後方斜め下側に当接しており、座部60や背当部30の表側に露呈したり突出することがない。なお、座フレーム61における規制具84の当接部分には、補強板65が取着されており、規制具84の当接に対する座フレーム61の十分な強度が確保されている。また、座部60の展開量は、展開規制部83に対する規制具84の突出量によって調節される。
【0057】
図14に示すように、座部60を展開した状態では、ストッパ70の係止部77から背当部30の固定部39が離脱して、ストッパ70のストッパ片71は、トーションスプリング73の付勢力によって回動し、係止部77が固定部39を係止する位置に復帰する。この状態から、座部60を折り畳むと、座部60の折り畳みに連動して背当部30が略鉛直状態となるのであるが、この際に、背当部30の固定部39は、ストッパ70のストッパ片71に当接し、このストッパ片71を押動する。これにより、ストッパ片71は、トーションスプリング73の付勢力に抗して回動し、係止部77に固定部39を受け入れ、その後には、係止部77が固定部39を係止する状態に、トーションスプリング73の付勢力により復帰し、ストッパ70による背当部30の固定が自動的に行われる。
【0058】
以上、本発明に係る折り複数人掛け座席の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の改良や変更が可能である。
【0059】
例えば、上述した折り畳み座席を連設してなるものに限らず、取付部材と背当部と座部とを備えて単体の折り畳み座席を構成する他の形態の折り畳み座席を複数連設してなるものであってもよい。また、単一の座部や背当部の複数をまとめて支持する取付部材を採用したものであってもよく、さらには、背当部が変位しないものや、背当部全体が一体的に形成されたものであってもよい。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
請求項1に記載の発明によれば、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部を備えるため、各座部を適宜、個別に展開状態または折り畳み状態とすることができ、これにより、乗り物の利用状況に応じて、座席数及び乗車空間を適切に確保することができる。また、近辺の座部を展開状態としたままで、一つまたは二つの少数の座部を折り畳み、この折り畳んだ座部の前方の空間に車椅子やベビーカーを収容すれば、車椅子の使用者の介護者や、ベビーカーに子供を乗せた保護者等の付き添い人は、展開状態の座部を利用して腰掛けながら車椅子の使用者やベビーカーに乗せた子供の面倒を見ることができ、付き添い人の負担を軽減させることもできる。
【0062】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、座部を展開して座席として使用時には、個々の座部に対応する背当部が傾斜状態となるため、使用者は、座席をゆったりと快適に使用することができる。一方、座部を折り畳んだ状態では、背当部が略鉛直状態となるため、全体がコンパクトに納まり、前方に大きな乗車空間を確保することができる。
【0063】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、複数の座部の夫々を折り畳み状態で個別に固定するストッパを備えるため、適宜の座部を折り畳んでも、この座部が不用意に展開することを防止することができ、安全性を確保することができる。
【0064】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、乗り物に複数が対向して配置されるものであるため、対向する複数人掛け座席の間に、ある程度の乗車空間を確保できる一方で、混雑時等には、適宜の座部を折り畳むことにより、適宜部位の乗車空間を広げることができる。また、乗り物が空いている時であっても、適宜の座部を折り畳んで、この折り畳まれた座部の前方に車椅子やベビーカーを収容すれば、対向する複数人掛け座席の間で形成された通路に車椅子やベビーカーが無用に突出するのを防止することができ、車椅子やベビーカーが他の乗客の通行に邪魔になることがなく、良好な乗車空間を形成することができる。
【0065】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、単体の折り畳み座席を1単位として、この折り畳み座席を複数連設してなるため、適宜個数の折り畳み座席を連設状態で乗り物の設置部位に単に設置するだけで、要望される人数分の多様な形態の複数人掛け座席を容易に形成することができ、汎用性を向上させることができる。また、個々の折り畳み座席は、複数人掛け座席全体を一体的としたものよりも当然、軽量であるため、容易な作業によって設置することができる。
【0066】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、連設する複数の折り畳み座席のうち、少なくとも一つがアームレストを備えたものであるため、適宜の座部の間にアームレストが設けられた多様な形態の複数人掛け座席を容易に形成することができ、汎用性を向上させることができる。
【0067】
請求項7に記載の発明によれば、請求項5または請求項6に記載の発明の効果に加えて、取付部材に背当部が回動自在に支持され、背当部に座部が回動自在に支持されており、座部の変位に連動して背当部を変位させるリンク機構を備えるため、展開状態及び折り畳み状態に変位する座部や、この座部に連動して傾斜状態及び略鉛直状態に変位する背当部を、簡単な構造によって実現することができる。
【0068】
請求項8に記載の発明によれば、請求項5から請求項7までのいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、背当部の上部に設けられた上部クッションによって複数人掛け座席全体の高さを設定することができるため、背当部の汎用性を確保したままで、複数人掛け座席全体を多様な高さに容易に設定することができる。また、上部クッションは、複数人掛け座席を構成する複数の折り畳み座席に渡って延設されため、複数人掛け座席の上部をスッキリと納めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複数人掛け座席を設置したバスの一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る複数人掛け座席の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示した複数人掛け座席の使用状態を示す平面図である。
【図4】折り畳み座席の一例を示す斜視図である。
【図5】背当シート部材を取り外した状態での折り畳み座席の構造を示す分解斜視図である。
【図6】背当シート部材を示す縦断面側面図である。
【図7】アームレストの取付状態を示す要部断面平面図である。
【図8】アームレストの回動規制の構造を示す要部斜視図である。
【図9】折り畳み座席の収納状態を示す側面図である。
【図10】座部を折り畳んだ状態のリンク機構を示す要部断面側面図である。
【図11】座部を折り畳んだ状態のストッパを示す要部断面側面図である。
【図12】折り畳み座席の使用状態を示す側面図である。
【図13】座部を展開した状態のリンク機構を示す要部断面側面図である。
【図14】座部を展開した状態のストッパを示す要部断面側面図である。
【符号の説明】
1 複数人掛け座席
5 上部クッション
9 バス(乗り物)
10 取付部材
30 背当部
60 座部
70 ストッパ
80 リンク機構
90 アームレスト
100 折り畳み座席
101 折り畳み座席
102 折り畳み座席
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗り物用の複数人掛け座席に関し、詳しくは、乗り物に設置されて複数人により使用される乗り物用の複数人掛け座席に関する。
【0002】
【従来の技術】
背もたれとして機能する背当部と、腰掛けとして機能する座部とを備えた座席の中には、二人以上の複数人が隣接して腰掛けることができるように、複数人分の座部が連設された複数人掛け座席がある。そして、路線バスや鉄道車両等の乗り物では、その室内に複数人掛け座席を対向して配置し、これにより、多数の人が腰掛けることができるばかりでなく、対向する複数人掛け座席の間に大きな乗車空間を確保して、多数の人が立ち状態で乗車できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通勤や通学の混雑時等においては、さらに大きな乗車空間を確保することが要望される。そこで、複数人掛け座席の座部全体を展開状態及び折り畳み状態に変位可能とし、座部全体を折り畳むことで、より大きな乗車空間を確保することが単に考えられる。
【0004】
しかしながら、複数人掛け座席の座部全体を折り畳んで大きな乗車空間を確保すると、少々の混雑時においては、座部全体を折り畳むことで大きな乗車空間が確保できる一方で、腰掛けることができる人の数が無用に減少してしまい、利用者に不満感を与えてしまう虞がある。また、車椅子やベビーカーの使用者が乗車した場合に、座部全体の折り畳みにより確保された空間に車椅子やベビーカーを収容すると、車椅子やベビーカーの近辺には、腰掛けることができる座部が存在しなくなり、車椅子の使用者やベビーカーに乗せた子供に付き添う介護者や保護者等の付き添い人は、腰掛けることができず、付き添い人の負担が大きくなってしまう。特に、乗降口から段差なく車内の床面が形成された所謂「低床式」のバスや鉄道車両等の乗り物では、車椅子やベビーカーの使用者が乗車する機会が多く、上述の問題を顕著に生じる。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、乗り物の利用状況に応じて座席数及び乗車空間を適切に確保することができる複数人掛け座席を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る複数人掛け座席は、乗り物に設置されて複数人により使用される乗り物用の複数人掛け座席であって、背当部と、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
ここで、「乗り物」は、バス、鉄道車両、船舶等、複数人掛け座席が設置される種々の乗り物の広範を指すものであるが、乗降口から段差なく車内の床面が形成された所謂「低床式」のバスや鉄道車両等の乗り物では、車椅子やベビーカーの使用者の乗車機会が多く、このような乗り物を対象とするのが好適である。
【0008】
また、本発明において、背当部の構成を限定するものではなく、例えば、複数の座部の夫々に対応した個別のものであってもよく、複数の座部の全体或いは適宜個数の座部に対応して、複数人分を一体としたものであってもよい。さらに、乗り物の壁面や床面等の設置部位に、一人分の単体の背当部と一人分の単体の座部とを、個別の取付部材等を介して複数組、連設状態で取り付けて、全体で複数人掛け座席となるようにしてもよく、或いは、複数人分が一体となった背当部と一人分が単体に形成された複数の座部とを、一つの取付部材等を介してまとめて取り付けて、全体で複数人掛け座席となるようにしてもよい。なお、上記の構成において、座部は、一人分を単体に形成したもの限らず、複数人分を一体に形成したものであってもよい。
【0009】
本発明では、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部を備えるため、例えば、多大な混雑時には、多数の座部を折り畳んで大きな乗車空間を確保する一方で、少々の混雑時には、少数の座部を折り畳んで、腰掛けることができるある程度の座席数を確保した上で、乗車空間を広げる等、多様な形態の乗車空間を形成し得、乗り物の利用状況に応じて、座席数及び乗車空間を適切に確保することが可能となる。特に、一つまたは二つの少数の座部を折り畳んで車椅子やベビーカーの収容スペースを確保した場合には、収容スペースの近辺に展開状態で腰掛けることができる座部が存在することになる。よって、車椅子の使用者の介護者や、ベビーカーに子供を乗せた保護者等の付き添い人にとっては、展開状態の座部を利用して腰掛けながら、車椅子の使用者やベビーカーに乗せた子供の面倒を見ることができることとなり、負担が軽減される。
【0010】
請求項2に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項1に記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記背当部は、前記複数の座部の夫々に個別に設けられ、座部の展開状態または折り畳み状態の変位に連動して傾斜状態または略鉛直状態に変位することを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、個々の座部に対応する背当部が、座部を展開して座席として使用時には、傾斜状態となる。よって、座部に腰掛けた使用者は、傾斜した背当部にゆったりと背をもたれさせることができ、座席を快適に使用することが可能となる。一方、座部を折り畳んだ状態では、背当部が略鉛直状態となるため、全体がコンパクトに納まり、前方に大きな乗車空間が確保される。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項1または請求項2に記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記複数の座部の夫々を折り畳み状態で個別に固定するストッパを備えることを特徴とするものである。
【0013】
乗り物用の座席において座部を折り畳み可能とすると、乗り物の揺れや振動等によって折り畳んだ状態の座部が不用意に展開する場合がある。ここで、座部の折り畳みにより確保された座部の前方の空間は、乗車空間や、車椅子等の収容スペースであり、折り畳まれた座部の前方には、立ち状態の乗客や車椅子の使用者が存在する。また、立ち状態の乗客や車椅子の使用者が、折り畳まれた状態の座部で体を支える場合もある。よって、座部が不用意に展開することは是非とも避けなければならない。そこで、本発明では、複数の座部の夫々を折り畳み状態で個別に固定するストッパを設けることで、適宜の座部を折り畳んでも、この座部が不用意に展開せず、安全性が確保される。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記乗り物に複数が対向して配置されることを特徴とするものである。
【0015】
本発明は、複数人掛け座席の配置態様を、複数が対向して配置されるような態様に限定したものであり、座部を展開した状態としても、対向する複数人掛け座席の間に、ある程度の乗車空間を確保できることとする一方で、混雑時等には、適宜の座部を折り畳むことにより、乗車空間を広げることができるようにしたものである。また、本発明では、乗り物が空いている時であっても、適宜の座部を折り畳んで、この折り畳まれた座部の前方に車椅子やベビーカーを収容することで、対向する複数人掛け座席の間で形成された通路に車椅子やベビーカーが無用に突出せず、他の乗客の通行に邪魔にならず、良好な乗車空間が形成される。
【0016】
請求項5に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記座部と、該座部に対応する背当部と、前記乗り物の設置部位に取り付けられ、前記座部及び前記背当部を支持する取付部材とにより構成された単体の折り畳み座席を複数連設してなることを特徴とするものである。
【0017】
乗り物に座席を設置する場合には、座部及び背当部を取付部材に支持し、この取付部材を乗り物の壁面や床面等の設置部位に取り付けることが通常なされる。ここで、複数の座部及び背当部を単一の取付部材に支持し、これにより一組の複数人掛け座席を構成することとすると、複数人掛け座席として、2人掛け用、3人掛け用等といった使用人数用に応じた形態のものを予め形成しておかなければならない。そして、予め形成された一組の複数人掛け座席は、使用人数が設定された専用のものとなってしまい、汎用性に劣るものとなってしまう。さらに、2人掛け以上の座席とした場合には、全体の重量が重たくなり、乗り物に設置する際に、1人や2人の作業者によっては設置することができず、設置作業が、最低でも2人、或いはそれ以上の多数の作業者を必要とする煩雑な作業となる虞もある。
【0018】
これに対して、本発明の複数人掛け座席は、1人分である単一の座部と、この座部に対応する同様に1人分である単一の背当部と、座部及び背当部を支持する取付部材とにより構成された単体の折り畳み座席を1単位として、この折り畳み座席を複数連設してなるため、適宜の使用人数用の複数人掛け座席とする場合には、要望される人数分の折り畳み座席を連設状態で乗り物の設置部位に単に設置すればよいことになる。よって、この複数人掛け座席は、汎用性に優れたものとなる。また、乗り物への設置に際しては、全体が連設状態となるように、単体の折り畳み座席を個別に設置すればよいのであるが、個々の折り畳み座席の重量は、全体に比して軽量であるため、1人或いは2人の少数の作業者によって設置作業をなし得る。よって、その設置作業は簡便となる。
【0019】
請求項6に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項5に記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記複数の折り畳み座席の少なくとも一つは、略水平状態の使用状態及び略鉛直状態の収納状態に変位するアームレストを備えることを特徴とするものである。
【0020】
座部が連設された複数人掛け座席では、肘掛けとして機能するアームレストを適宜の座部の間に付加することを要望されることが考えられるが、要望されるアームレストの配置態様は、各座部の間毎や、一つおき等、多様であると考えられる。そこで、本発明では、連設する複数の折り畳み座席のうち、少なくとも一つを、アームレストを備えたものとして複数人掛け座席を構成する。例えば、左右の一側にアームレストを備えた折り畳み座席、左右の両側にアームレストを備えた折り畳み座席、アームレストを備えない折り畳み座席等、種々の形態の折り畳み座席を適宜組み合わせて連設して、複数人掛け座席を構成する。これにより、アームレストの多様な配置態様を容易に実現することが可能となり、多様な形態の複数人掛け座席を容易に実現することが可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項5または請求項6に記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記背当部は前記取付部材に回動自在に支持され、前記座部は前記背当部に回動自在に支持されており、一端側が前記取付部材に回動自在に支持され、他端側が前記座部に回動自在に支持されて、座部の展開状態または折り畳み状態の変位に連動して背当部を傾斜状態または略鉛直状態に変位させるリンク機構を備えることを特徴とするものである。
【0022】
本発明は、座部の展開状態または折り畳み状態に連動して背当部を傾斜状態または略鉛直状態に変位させるための構成を具体的に限定したものである。本発明では、取付部材に背当部を回動自在に支持することで、傾斜状態及び略鉛直状態に変位する背当部を、簡単な構造によって実現することが可能となる。また、背当部に座部を回動自在に支持することで、展開状態及び折り畳み状態に変位する座部を、簡単な構造によって実現することが可能となる。さらに、一端側が取付部材に回動自在に支持され、他端側が座部に回動自在に支持されたリンク機構を採用することで、座部の変位に連動して背当部を的確に変位させることが可能となる。
【0023】
請求項8に記載の発明に係る複数人掛け座席は、請求項5から請求項7までのいずれか一つに記載の発明に係る複数人掛け座席において、前記各折り畳み座席の背当部の上部に、各折り畳み座席に渡って延設され、複数人掛け座席の高さを設定する上部クッションを備えることを特徴とするものである。
【0024】
複数人掛け座席を乗り物に設置するに際しては、乗り物の窓枠等、他の部材に対して複数人掛け座席全体の高さを整合させなければならない。ここで、背当部の高さを変更することが単に考えられるが、このような態様であると、複数人掛け座席全体の高さを異ならせる毎に、背当部の形態を変更しなければならなくなり、背当部の汎用性が損なわれてしまう。そこで、本発明では、背当部の上部に上部クッションを設けて、この上部クッションによって複数人掛け座席全体の高さを設定する。これにより、背当部の汎用性を確保したままで、複数人掛け座席全体を、多様な高さに容易に設定することが可能となる。また、上部クッションは、複数人掛け座席を構成する複数の折り畳み座席に渡って延設されため、複数人掛け座席の上部をスッキリと納めることも可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に係る複数人掛け座席の実施形態としての一例を、図面に基づいて説明する。なお、本例では、図1に示すように、乗り物としての低床式のバス9を設置対象とし、このバス9の室内の左右両側(図示上下両側)に複数個が対向して配置される複数人掛け座席1を例示するが、本発明に係る複数人掛け座席1はこれに限らず、低床式でないバス、低床式や低床式でない鉄道車両、船舶等、他の乗り物を設置対象としてもよく、また、その配置形態については、複数を対向して配置するに限らず、他の種々の形態を採用してもよい。
【0026】
図2に示すように、複数人掛け座席1は、要望される使用人数に対応して、2人掛け用、3人掛け用、或いは、4人以上の多数人掛け用のものを一組として構成されている。なお、図2では、3人掛け用の複数人掛け座席1を例示し、以下では、この複数人掛け座席1を説明する。
【0027】
この複数人掛け座席1は、夫々単体の座席を構成する複数の折り畳み座席100,101,102を連設してなるものである。ここで、各折り畳み座席100,101,102は、詳細な構造は後述するが、室内の壁面等の設置部位に取り付けられる取付部10と、この取付部10に支持され、傾斜状態及び略鉛直状態に変位する背当部30と、この背当部30を介して前記取付部材10に支持され、展開状態及び折り畳み状態に変位する座部60とを備えてなるものである。また、背当部30は、その上部が取付部材10に回動自在に支持され、座部60は、その後端部が背当部30の下部に回動自在に支持されており、背当部30は、後述するリンク機構(図示省略)によって、座部60の展開状態または折り畳み状態への変位に連動して、傾斜状態及び略鉛直状態に変位するように構成されている。
【0028】
また、図示左側の一つの折り畳み座席100には、肘掛けとして機能するアームレスト90が、使用状態の略水平状態と、収納状態で背当部30の側部に納まる略鉛直状態とで変位するように、背当部30の図示右側に回動自在に取着されている。そして、残りの図示中央の折り畳み座席101及び図示右側の折り畳み座席102は、アームレスト90を備えないものとなっている。但し、複数人掛け座席1全体では、図示右側に、上面によって固定的なアームレストを形成する側板6が固設されている。
【0029】
さらに、各折り畳み座席100,101,102の各背当部30の上部には、各折り畳み座席100,101,102に渡って上部クッション5が設けられている。そして、この上部クッション5によって、複数人掛け座席1全体の高さが設定されている。よって、複数人掛け座席1全体の高さは、上部クッション5を取り換えることで、容易に変更することができる。
【0030】
このように構成された複数人掛け座席1では、各座部60を個別に展開状態及び折り畳み状態に変位させることができ、例えば、図3に示すように、車椅子の使用者が乗車した際には、二つの折り畳み座席100,101の各座部60を折り畳み状態とし、これら各座部60の前方に確保された空間に車椅子を収容することができる(図示1点鎖線参照)。そして、残りの折り畳み座席102の座部60を展開状態のままとすることで、車椅子の近辺に腰掛けることができる座席を確保することができ、この座席に介護者等が腰掛けて(図示1点鎖線参照)、車椅子の使用者の面倒を見ることができる。
【0031】
ところで、各折り畳み座席100,101,102では、折り畳まれた状態の座部60が後述するストッパ(図示省略)によって個別に固定されており、不用意に展開状態に変位しない。よって、折り畳み状態の座部60の前方に位置する立ち状態の乗客や車椅子の使用者が体を支えることができるように、座部60の裏面に把手66を積極的に設けることができる。
【0032】
次に、単体の折り畳み座席100,101,102の構成について詳細に説明する。なお、以下では、アームレスト90を備える折り畳み座席100を説明するが、アームレスト90を備えない折り畳み座席101,102では、アームレスト90を省略した構成となる。
【0033】
図4に示すように、折り畳み座席100は、バスの室内の壁面等、設置対象物の立設部に取り付けられる取付部材10と、背もたれとして機能する背当部30と、腰掛けとして機能する座部60と、肘掛けとして機能するアームレスト90とを備えるものである。ここで、この折り畳み座席100では、背当部30に対して座部60が折り畳み・展開自在となっており、座部30の展開状態への変位に連動して、背当部30が後述するリンク機構80(図4では図示省略)により傾斜状態に変位する。また、座部60を折り畳んだ状態では、後述するストッパ70(図4では図示省略)により背当部30が固定され、座部60が折り畳まれた状態で堅固に固定される。なお、アームレスト90は、座部60の変位に関わらず個別に変位される。
【0034】
次に、この折り畳み座席100の具体的な構造を、図5に基づいて説明する。取付部材10は、平板状の金属板により形成された基体部11と、この基体部11の両側に折り曲げ形成された側板部12と、別体の金属板により略コ字状に折り曲げ形成され、基体部11の下部中央に一体化されたブラケット15とを備えている。この取付部材10は、ボルト(図示省略)によって立設部に取り付けられるものであり、基体部11には、ボルトが挿通される取付孔13が穿設されている。また、基体部11には、複数の抜き孔14が穿設されており、この抜き孔14により取付部材10全体の重量の軽減が図られている。
【0035】
取付部材10の側板部12上部には、支軸20を介して背当フレーム31が回動自在に取り付けられている。支軸20の具体的な装着態様は、次の通りである。支軸20は、大径の頭部21を有しており、この頭部21を残して、取付部材10に設けられた支軸孔16及び背当フレーム31に設けられた支軸孔35に挿通され、各支軸孔16,35に挿通された後には、取付部材10の支軸孔16の近傍に突設された押さえ片19を支軸20の頭部21に被せるようにして折り曲げることにより抜けが防止されている。このようにして支軸20の抜けを防止することにより、支軸20が取付部材10の側方に大きく突出することを抑えることができる。
【0036】
背当フレーム31は、背当部30の骨組みを構成するものであり、左右一対の鉛直杆32と上下一対の水平杆33とを有する略方形の枠状に形成されている。また、背当フレーム31は、図6に示すように、その水平杆33に、背当部30の背当面を構成する背当シート部材40が着脱自在に装着されて、この背当シート部材40とで背当部30を構成するものである。なお、背当シート部材40は、背面を構成する平板状の背面板41の表側にクッション材42を介して布地等による上張り43が張られてなるものであり、背面板41の裏側に設けられた係止部44を背当フレーム31の水平杆33に係止させることにより、背当フレーム31に着脱可能に装着されるものである。ここで、係止部44は、一側が開口する略コ字状に形成されており、開口の入り口の幅は、水平杆33に係止部44を外嵌すると容易には外れないよう、背当フレーム31の水平杆33の外径よりも小さくなっている。
【0037】
また、背当シート部材40は、背当フレーム31に装着された状態で、図4に示すように、側板部12を含めて取付部材10の上部を覆うものであるが、取付部材10を立設部に取り付ける作業を行う際には、背当フレーム31から背当シート部材40を取り外すことで、上記作業を円滑に行うことができる。
【0038】
背当フレーム31の下部の両側には、前方に延出するアーム部34が設けられている。このアーム部34は、背当フレーム31に背当シート部材40を装着して全体で背当部30を形成した状態においても、背当部30の前方に延出するものである。そして、このアーム部34に、支軸50を介して座部60が回動自在に取り付けられている。支軸50の具体的な装着態様は次の通りである。支軸50は、ボルトにより構成されており、座部60に設けられた支軸孔62には、雌ネジが刻設されている。そして、支軸50は、背当フレーム31のアーム部34に設けられた支軸孔36にカラー51を介して挿入されると共に座部60の支軸孔62に螺着されている。また、アーム部34とボルトからなる支軸50の頭部との間には、平座金52及びバネ座金53が介在されている。
【0039】
座部60は、骨組みを構成する枠状の座フレーム61を内部に有し、この座フレーム61にクッション材(図示省略)を介して布地等による上張り64が張られてなるもので、全体が一体的に形成されたものである。なお、上記支軸孔62は座フレーム61に形成されており、この支軸孔62は、座部60の後部側方において上張り64から露呈されている。また、座フレーム61の後端の略中央部分も上張り64から露呈されている。
【0040】
座部60の後端部分に露呈された座フレーム61には、リンク機構80の一端側が支軸55を介して回動自在に取り付けられており、このリンク機構80の他端側は、取付部材10のブラケット15に支軸56を介して回動自在に取り付けられている。各支軸55,56の具体的な装着態様は、次の通りである。支軸55は、リンク機構80の一端側に設けられた支軸孔81と座部60の座フレーム61後端部分に設けられた支軸孔63とに挿通されている。また、支軸56は、リンク機構80の他端側に設けられた支軸孔82と取付部材10のブラケット15に設けられた支軸孔17とに挿通されている。そして、各支軸55,56は、両端に止め輪57が装着されて抜けが防止されている。
【0041】
リンク機構80の他端側には、展開規制部83が溶接等によって固着されている。この展開規制部83は、リンク機構80の一端側に向かって突設されており、この展開規制部83には、規制具84が取り付けられている。この規制具84は、座部60に当接することで、座部60の使用状態を超えた展開を規制するものである。ここで、規制具84は、ボルトにより構成されており、リンク機構80の展開規制部83に刻設された雌ネジに進退自在に螺着されている。そして、座部60の展開量は、展開規制部83からの規制具84の突出量により調節される。なお、規制具84には、ナット85が螺合されており、このナット85を展開規制部83に向かって締め付けることにより、規制具84が不用意に進退することなく固定される。
【0042】
一方、取付部材10の下部には、両側板部12間にストッパ70が横架されている。このストッパ70は、座部60の折り畳みに連動して略鉛直状態となった背当部30を固定するものであり、軸部76と、この軸部76の両側に固着された板状のストッパ片71と、軸部76の一側(図示右側)に固着された操作部72とを備えてなるものである。
【0043】
ストッパ片71は、その取付孔75に支軸58が挿入されて、取付部材10に対して回動自在に支持されている。そして、このストッパ片71には、係止部77が設けられている。この係止部77は、背当フレーム31の下部に設けられて内方に突出するピン状の固定部39を係止して、略鉛直状態の背当フレーム31を、この状態で固定するものである。なお、本例では、背当部60側の固定部39を凸状とし、ストッパ70側の係止部77を凹状として、係止部77によって固定部39を係止することとしたが、固定部39を凹状とし、係止部77を凸状としてもよい。
【0044】
また、ストッパ片71と取付部材10との間には、支軸58周りに装着されたトーションスプリング73が介在されており、このトーションスプリング73の一端は、取付部材10に係止され、他端はストッパ片71に係止されている。このトーションスプリング73によって、ストッパ片71は、背当フレーム31の固定部39を係止する方向に付勢されている。
【0045】
ストッパ70の軸部76は、取付部材10の両側板部12を貫通し、側板部12に設けられた長孔状の案内部76aに挿通されている。これにより、ストッパ片71は、回動範囲が規制される。また、軸部76に固着された操作部72は、樹脂やゴム等の柔軟な材質からなるキャップ74が両端に装着された略T字状に形成されており、手で把持することにより操作されるものとなっている。
【0046】
ところで、背当フレーム31の一側方(図示右側)の中間部位には、支軸36が突設されている。この支軸36は、アームレスト90を回動自在に支持するものである。また、取付部材10の側板部12における支軸36に対応する部位には切り欠き18が設けられている。座部60の折り畳み状態では、背当部30が略鉛直状態に変位して背当フレーム31が取付部材10の両側板部12間に収容されるのであるが、側板部12の切り欠き18内に支軸36が納まることで、支軸36と取付部材10との干渉が回避される。
【0047】
アームレスト90は、図7に示すように、後端に支軸孔92を有するボス部91を有しており、このボス部91の支軸孔92に、背当フレーム31の支軸36を挿入することにより、背当フレーム31に対して回動自在に支持されている。ここで、支軸36の基端側は大径部37となっており、支軸36の先端には、平座金95及びバネ座金96を介して止めネジ94が螺着されている。そして、アームレスト90のボス部91は、支軸36基端の大径部37と止めネジ94との間に装着されている。なお、アームレスト90のボス部91は、スプリング等の付勢手段により支軸36の軸心方向に付勢されており、アームレスト90が所望の位置にて保持可能となるように、アームレスト90の回動に適度な抵抗が付与されている。具体的には、支軸孔92の止めネジ94側の部位に支軸36よりも大径の凹部93が設けられており、この凹部93に圧縮コイルバネ97が収容されており、この圧縮コイルバネ97が凹部93の端面と平座金95の端面とに当接することにより、ボス部91を支軸36の基端側に付勢している。
【0048】
また、アームレスト90の回動は、所定角度範囲内にてなされるように規制手段により規制されており、この規制手段の具体的な構造は、次の通りである。図8に示すように、支軸36の大径部37の端面は、周方向に沿って扇状に切り欠かれており、切り欠きの境界部分に当接部38が形成されている。また、アームレスト90のボス部91の端面も扇状に切り欠かれており、切り欠きの境界部分に当接部98が形成されている。アームレスト90の回動に際しては、支軸36側の当接部38とアームレスト90側の当接部98とが互いに当接することにより、所定角度範囲内に規制される。なお、本例では、アームレスト90を最も下方に回動させた状態でアームレスト90が略水平状態となり、最も上方に回動させた状態で略鉛直状態となると共に背当部60の側方に収納されるように、規制されている。
【0049】
次に、この折り畳み座席100の使用態様を説明する。まず、折り畳み座席100の収納状態は、図9に示すように、背当部30に対して座部60を折り畳んだ状態であり、背当部30が支軸20を中心に取付部材10に対して回動して略鉛直状態となり、座部60が支軸50を中心に背当部30に対して回動して略鉛直状態となっている。なお、折り畳み座席100の収納状態は、アームレスト90を含めて全体をコンパクトに納めた状態であり、アームレスト90も、支軸36を中心として背当部30に対して回動して、略鉛直状態で背当部30の側方に収納された状態となっている。
【0050】
折り畳み状態の座部60は、背当部60の下部の両側に延出されたアーム部34の先端部分に支持されていることから、背当部30のアーム部34先端部分から背当部30前面の間の空間に、コンパクトに納まる。また、本例では、背当部30が下方ほど厚く、座部60が前方ほど厚く構成されており、座部60を折り畳んだ状態では、座部60の厚い部分と背当部30の薄い部分とが重なり合い、また、座部60の薄い部分と背当部30の厚い部分とが重なり合う。よって、座部60を折り畳んで背当部30と重ね合わせても、全体の厚さが無用に厚くなることはない。しかも、座部60の底面と背当部30の背面とが略鉛直の平行面となることから、収納状態の折り畳み座席100は、壁面等の立設部に沿って、コンパクトに納まる。
【0051】
また、座部60を折り畳んだ状態では、図10に示すように、リンク機構80の他端側の支軸56が一端側の支軸55よりも上方に位置し、リンク機構80の他端側は、座部60の後端部分の後方に位置して座部60により隠蔽される。よって、この折り畳み座席100では、座部60の折り畳みによって確保された折り畳み座席100の前方及び下方の空間にリンク機構80が大きく露呈することがなく、リンク機構80によって美観を損ねることがない。また、上記空間にリンク機構80が突出することがなく、リンク機構80によって上記空間の使用に支障を来すこともない。なお、本例では、リンク機構80が下側に湾曲する円弧状に形成されており、他端側が座部60の後方に位置しても、座部60に干渉しないように構成されている。また、規制具84は、リンク機構80下側に僅かに突出するだけであり、座部60に何ら干渉せず、座部60の折り畳みにより確保された空間に大きく露呈することもない。
【0052】
図11に示すように、座部60の折り畳みに連動して略鉛直状態となった背当部30は、固定部39がストッパ70の係止部77に係止されて、傾斜状態への回動が規制され、この状態で固定される。よって、背当部30が傾斜状態へと変位不能であることから、座部60は折り畳み状態から展開状態へと変位不能となり、座部60も折り畳み状態で固定される。なお、上記固定は堅固になされるため、乗り物用の折り畳み座席100として採用する場合等において、折り畳み状態の座部60によって体を支え易いように、例えば図9に示すように、略U字状や略L字状等に形成された把手66を座部60の底面に設けることができる。
【0053】
このような折り畳み状態から座部60を展開状態へと変位させるためには、ストッパ70の操作部72を操作して、ストッパ片71をトーションスプリング73の付勢力に抗して回動させ(図示矢印K1)、係止部77による固定部39の係止を解除しつつ、座部60を展開操作すればよい。ここで、座部60の展開操作は、略鉛直状態の座部60の上部を手前下方に回動させる操作であるのに対して、操作部72の操作は、手前上方への回動操作となる。よって、座部60を展開させるためには、全く別異の操作である座部60の展開操作と操作部72の回動操作とを同時に行わなければならず、誤操作等により座部60が不用意に展開されることはない。
【0054】
折り畳み座席100の使用状態は、図12に示すように、背当部30に対して座部60を展開した状態であり、座部60が支軸50を中心に背当部30に対して回動して略水平状態となっている。ここで、背当部30に対する座部60の回動に際しては、リンク機構80により座部60の移動が規制されるため、座部60と背当部30との支持部分である支軸50が前方に移動する。これにより、背当部30が支軸20を中心に取付部材10に対して回動して上部が後方に位置する傾斜状態となる。なお、アームレスト90については、アームレスト90の使用の要否に応じて、支軸36を中心として背当部30に対して回動させて、略水平状態の使用状態または略鉛直状態の収納状態とすればよい。
【0055】
座部60の展開状態では、図13に示すように、リンク機構80の他端側の支軸56が一端側の支軸55よりも下方に位置し、リンク機構80の略全体が座部60の下側に露呈されるのであるが、座部60を展開した状態における座部60の下側の空間は、使用に用いられる空間ではない。よって、リンク機構80が座部60の下側に露呈しても、何ら支障を来さない。
【0056】
また、座部60を展開した状態では、リンク機構80の規制具84が、座部60の後端部分において上張り64から露呈された座フレーム61に当接して、座部60の使用状態を超えた展開を規制する。ここで、規制具84は、座部フレーム61の後方斜め下側に当接しており、座部60や背当部30の表側に露呈したり突出することがない。なお、座フレーム61における規制具84の当接部分には、補強板65が取着されており、規制具84の当接に対する座フレーム61の十分な強度が確保されている。また、座部60の展開量は、展開規制部83に対する規制具84の突出量によって調節される。
【0057】
図14に示すように、座部60を展開した状態では、ストッパ70の係止部77から背当部30の固定部39が離脱して、ストッパ70のストッパ片71は、トーションスプリング73の付勢力によって回動し、係止部77が固定部39を係止する位置に復帰する。この状態から、座部60を折り畳むと、座部60の折り畳みに連動して背当部30が略鉛直状態となるのであるが、この際に、背当部30の固定部39は、ストッパ70のストッパ片71に当接し、このストッパ片71を押動する。これにより、ストッパ片71は、トーションスプリング73の付勢力に抗して回動し、係止部77に固定部39を受け入れ、その後には、係止部77が固定部39を係止する状態に、トーションスプリング73の付勢力により復帰し、ストッパ70による背当部30の固定が自動的に行われる。
【0058】
以上、本発明に係る折り複数人掛け座席の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の改良や変更が可能である。
【0059】
例えば、上述した折り畳み座席を連設してなるものに限らず、取付部材と背当部と座部とを備えて単体の折り畳み座席を構成する他の形態の折り畳み座席を複数連設してなるものであってもよい。また、単一の座部や背当部の複数をまとめて支持する取付部材を採用したものであってもよく、さらには、背当部が変位しないものや、背当部全体が一体的に形成されたものであってもよい。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
請求項1に記載の発明によれば、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部を備えるため、各座部を適宜、個別に展開状態または折り畳み状態とすることができ、これにより、乗り物の利用状況に応じて、座席数及び乗車空間を適切に確保することができる。また、近辺の座部を展開状態としたままで、一つまたは二つの少数の座部を折り畳み、この折り畳んだ座部の前方の空間に車椅子やベビーカーを収容すれば、車椅子の使用者の介護者や、ベビーカーに子供を乗せた保護者等の付き添い人は、展開状態の座部を利用して腰掛けながら車椅子の使用者やベビーカーに乗せた子供の面倒を見ることができ、付き添い人の負担を軽減させることもできる。
【0062】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、座部を展開して座席として使用時には、個々の座部に対応する背当部が傾斜状態となるため、使用者は、座席をゆったりと快適に使用することができる。一方、座部を折り畳んだ状態では、背当部が略鉛直状態となるため、全体がコンパクトに納まり、前方に大きな乗車空間を確保することができる。
【0063】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、複数の座部の夫々を折り畳み状態で個別に固定するストッパを備えるため、適宜の座部を折り畳んでも、この座部が不用意に展開することを防止することができ、安全性を確保することができる。
【0064】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、乗り物に複数が対向して配置されるものであるため、対向する複数人掛け座席の間に、ある程度の乗車空間を確保できる一方で、混雑時等には、適宜の座部を折り畳むことにより、適宜部位の乗車空間を広げることができる。また、乗り物が空いている時であっても、適宜の座部を折り畳んで、この折り畳まれた座部の前方に車椅子やベビーカーを収容すれば、対向する複数人掛け座席の間で形成された通路に車椅子やベビーカーが無用に突出するのを防止することができ、車椅子やベビーカーが他の乗客の通行に邪魔になることがなく、良好な乗車空間を形成することができる。
【0065】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、単体の折り畳み座席を1単位として、この折り畳み座席を複数連設してなるため、適宜個数の折り畳み座席を連設状態で乗り物の設置部位に単に設置するだけで、要望される人数分の多様な形態の複数人掛け座席を容易に形成することができ、汎用性を向上させることができる。また、個々の折り畳み座席は、複数人掛け座席全体を一体的としたものよりも当然、軽量であるため、容易な作業によって設置することができる。
【0066】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、連設する複数の折り畳み座席のうち、少なくとも一つがアームレストを備えたものであるため、適宜の座部の間にアームレストが設けられた多様な形態の複数人掛け座席を容易に形成することができ、汎用性を向上させることができる。
【0067】
請求項7に記載の発明によれば、請求項5または請求項6に記載の発明の効果に加えて、取付部材に背当部が回動自在に支持され、背当部に座部が回動自在に支持されており、座部の変位に連動して背当部を変位させるリンク機構を備えるため、展開状態及び折り畳み状態に変位する座部や、この座部に連動して傾斜状態及び略鉛直状態に変位する背当部を、簡単な構造によって実現することができる。
【0068】
請求項8に記載の発明によれば、請求項5から請求項7までのいずれか一つに記載の発明の効果に加えて、背当部の上部に設けられた上部クッションによって複数人掛け座席全体の高さを設定することができるため、背当部の汎用性を確保したままで、複数人掛け座席全体を多様な高さに容易に設定することができる。また、上部クッションは、複数人掛け座席を構成する複数の折り畳み座席に渡って延設されため、複数人掛け座席の上部をスッキリと納めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複数人掛け座席を設置したバスの一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る複数人掛け座席の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示した複数人掛け座席の使用状態を示す平面図である。
【図4】折り畳み座席の一例を示す斜視図である。
【図5】背当シート部材を取り外した状態での折り畳み座席の構造を示す分解斜視図である。
【図6】背当シート部材を示す縦断面側面図である。
【図7】アームレストの取付状態を示す要部断面平面図である。
【図8】アームレストの回動規制の構造を示す要部斜視図である。
【図9】折り畳み座席の収納状態を示す側面図である。
【図10】座部を折り畳んだ状態のリンク機構を示す要部断面側面図である。
【図11】座部を折り畳んだ状態のストッパを示す要部断面側面図である。
【図12】折り畳み座席の使用状態を示す側面図である。
【図13】座部を展開した状態のリンク機構を示す要部断面側面図である。
【図14】座部を展開した状態のストッパを示す要部断面側面図である。
【符号の説明】
1 複数人掛け座席
5 上部クッション
9 バス(乗り物)
10 取付部材
30 背当部
60 座部
70 ストッパ
80 リンク機構
90 アームレスト
100 折り畳み座席
101 折り畳み座席
102 折り畳み座席
Claims (8)
- 乗り物に設置されて複数人により使用される乗り物用の複数人掛け座席であって、
背当部と、夫々個別に展開状態及び折り畳み状態に変位する複数の座部とを備えることを特徴とする乗り物用の複数人掛け座席。 - 前記背当部は、前記複数の座部の夫々に個別に設けられ、座部の展開状態または折り畳み状態の変位に連動して傾斜状態または略鉛直状態に変位することを特徴とする請求項1に記載の乗り物用の複数人掛け座席。
- 前記複数の座部の夫々を折り畳み状態で個別に固定するストッパを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗り物用の複数人掛け座席。
- 前記乗り物に複数が対向して配置されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の乗り物用の複数人掛け座席。
- 前記座部と、該座部に対応する背当部と、前記乗り物の設置部位に取り付けられ、前記座部及び前記背当部を支持する取付部材とにより構成された単体の折り畳み座席を複数連設してなることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の乗り物用の複数人掛け座席。
- 前記複数の折り畳み座席の少なくとも一つは、略水平状態の使用状態及び略鉛直状態の収納状態に変位するアームレストを備えることを特徴とする請求項5に記載の乗り物用の複数人掛け座席。
- 前記背当部は前記取付部材に回動自在に支持され、前記座部は前記背当部に回動自在に支持されており、
一端側が前記取付部材に回動自在に支持され、他端側が前記座部に回動自在に支持されて、座部の展開状態または折り畳み状態の変位に連動して背当部を傾斜状態または略鉛直状態に変位させるリンク機構を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の乗り物用の複数人掛け座席。 - 前記各折り畳み座席の背当部の上部に、各折り畳み座席に渡って延設され、複数人掛け座席の高さを設定する上部クッションを備えることを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれか一つに記載の乗り物用の複数人掛け座席。
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