JP2004034689A - インク記録要素 - Google Patents
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Abstract
【課題】速いインク取り込み速度を提供するインク記録要素を提供する。
【解決手段】インク受理層を2層以上含み、該2層以上のインク受理層の少なくとも1層が多孔質有機粒子を含み、かつ、多孔質であることを特徴とするインク記録要素をである。望ましくは、該2層以上のインク受理層の少なくとも1層が多孔質ポリエステル粒子を含むインク記録要素である。更には、インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、その最上層が平均直径0.5μm未満の多孔質ポリエステル粒子を含むものを構成とする。また本発明は、インクジェット画像を受容するインク記録要素であり、該要素上にインクジェットプリンタで印刷を行なう工程を含むインクジェットプリントの形成方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】インク受理層を2層以上含み、該2層以上のインク受理層の少なくとも1層が多孔質有機粒子を含み、かつ、多孔質であることを特徴とするインク記録要素をである。望ましくは、該2層以上のインク受理層の少なくとも1層が多孔質ポリエステル粒子を含むインク記録要素である。更には、インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、その最上層が平均直径0.5μm未満の多孔質ポリエステル粒子を含むものを構成とする。また本発明は、インクジェット画像を受容するインク記録要素であり、該要素上にインクジェットプリンタで印刷を行なう工程を含むインクジェットプリントの形成方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク記録要素に関し、より詳細には、多孔質有機粒子を含む多層インク記録要素に関する。
【0002】
【従来の技術】
典型的なインクジェット記録系または印刷系においては、インク滴が高速でノズルから記録要素または媒体へと排出されて、画像を媒体上に生成する。インク滴または記録液体は通常、記録剤、例えば染料または顔料、および大量の溶媒を含む。溶媒または担体液体は典型的には、水、有機物質、例えば1価アルコール、多価アルコールまたはそれらの混合物からなる。
【0003】
インクジェット記録要素は典型的には、その少なくとも1つの表面にインク受理層または画像形成層を1層以上有する支持体を含み、反射して見ることを意図されたもの(不透明支持体を有する)および透過した光によって見ることを意図されたもの(透明支持体を有する)を包含する。
【0004】
ほとんど即時のインク乾燥時間および良好な画質を同時に提供するインクジェット記録要素が望ましい。しかしながら、記録要素が配慮する必要のある広範なインク組成およびインク体積が与えられると、インクジェット記録媒体のこれらの必要条件は、同時に達成することが困難である。
【0005】
多孔質または非多孔質の支持体の1面または両面で適当なインク受理層として働く多孔質または非多孔質の単層または多層のコーティングを使用するインクジェット記録要素が知られている。非多孔質コーティングを使用する記録要素は典型的には、良い画質および安定性を有するが、劣ったインク乾燥時間を示す。多孔質コーティングを使用する記録要素は典型的にはコロイド状粒子を含み、より乏しい画像安定性を有するが、優れた乾燥時間を示す。
【0006】
インクジェット印刷で使用するための、広く種々の異なるタイプの多孔質画像記録要素が知られているが、当分野には多くの未解決の問題があり、公知の製品には多くの欠陥があり、これらは、その商業的な有用性をひどく制限するものである。多孔質の画像記録層の設計における主な挑戦は、良好な品質の割れのないコーティングを得ることができることである。インクジェット記録要素に印刷することにより製造されたインクジェット印刷物は、環境による劣化に供される。それらは特に光による退色に弱く、空気中の気体状不純物、例えばオゾンおよび窒素酸化物から生じる退色がある。非常に膨潤性の親水性層は、望ましくないことには乾燥するのに長時間を要することがあり、これは印刷速度を遅くする。多孔質の層は、インク賦形剤の吸収を速めるが、しばしば不十分な光沢およびひどい染料の退色を欠点とする。多孔質層はまた、割れなしにコーティングするのが困難である。
【0007】
特開平07−137432号公報は、内部細孔を有するポリエステル樹脂粒子を含むインク吸収層を有するインクジェット紙を記載する。しかしながら、この要素については、ポリエステル樹脂の平均粒径が0.5μmより上であり、かつ要素は表面光沢が低いことに問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−137432号公報
【特許文献2】
特開平7−137433号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、速いインク取り込み速度を提供するインク記録要素を提供することである。本発明の別の目的は、高い表面光沢を有するインク記録要素を提供することである。本発明の別の目的は、印刷したときに、優れた画質および安定性を有する受理層を有するインク記録要素を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、2層以上のインク受理層の少なくとも1層が有機粒子を含み、かつ多孔質である、インク記録要素を含む。好ましい実施態様においては、本発明は、インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、2層以上のインク受理層の少なくとも1層が多孔質ポリエステル粒子を含む、インク記録要素を含む。別の実施態様は、インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、インク記録要素の最上層が、0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する多孔質ポリエステル粒子を含む、インク記録要素を含む。本発明はまた、インクジェット印刷物を形成する方法であって、インクジェット画像を受け入れることができる2層以上のインク受理層を含み、その層のうちの少なくとも1層が有機粒子を含み、有機粒子を含む層のうちの少なくとも1層が多孔質であるインク記録要素を提供すること、およびインクジェットプリンターを用いてインク記録要素に印刷することを含む方法を包含する。
【0011】
本発明を用いると、改善されたインク取り込み速度を提供し、印刷したときに優れた画質を有する記録要素を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のインク記録要素は、インク受理層を2層以上含んで成り、2層以上のインク受理層の少なくとも1層が有機粒子を含み、かつ多孔質である。好ましい実施態様においては、本発明のインク記録要素は、少なくとも2層のインク受理層を含む。インク受理層のうちの少なくとも1層は有機粒子を含むことができ、多孔質である。別の実施態様においては、最上層の下の層のうちの少なくとも1層が多孔質であり、かつ有機粒子を含むことができる。別の実施態様においては、有機粒子を含む多孔質層は、インク記録要素の最上層であり得る。別の実施態様は、有機粒子を含む多孔質の最上層および、それより低い少なくとも1層の有機粒子を含む多孔質層を含むことができる。さらなる実施態様においては、有機粒子を含む多孔質層が多数あることができ、これらの層はまた無機粒子を含むことができる。最も好ましい実施態様においては、多孔質有機粒子は、多孔質ポリエステル粒子を含む。
【0013】
本発明において好ましく使用される多孔質有機粒子は、多孔質ビーズ、多孔質の不規則な形の粒子の形態であることができるか、またはエマルジョン粒子の集合体であることができる。本発明において使用される適当な多孔質有機粒子、好ましくはポリマー粒子は、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂またはセルロース誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートおよびエチルセルロース;ポリビニル樹脂、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマーおよびポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、およびエチレン−アリルコポリマー、例えばエチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー、エチレンアクリルコポリマーおよびポリオキシ−メチレン;重縮合ポリマー、例えばポリエステルまたはポリエステル含有ポリマー(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを含む)、ポリウレタンならびにポリカーボネートを包含する。
【0014】
本発明の好ましい実施態様においては、多孔質有機粒子、好ましくはポリマー粒子は、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから作られる。任意の適当なエチレン性不飽和モノマーもしくはモノマー混合物を、そのようなスチレン系もしくはアクリル系ポリマーの製造において使用できる。例えば、スチレン系化合物、例えばスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ビニルベンジルクロリドもしくはビニルナフタレン;またはアクリル系化合物、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチル−α−クロロアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびそれらの混合物が使用できる。別の好ましい実施態様においては、メチルメタクリレートが使用される。
【0015】
本発明において使用される多孔質有機粒子、好ましくはポリマー粒子を作るのに使用される典型的な架橋モノマーは、芳香族ジビニル化合物、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体;ジエチレンカルボキシレートエステルおよびアミド、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、および他のジビニル化合物、例えばジビニルスルフィドまたはジビニルスルホン化合物であり得る。ジビニルベンゼンおよびエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。多孔質ポリマー粒子は、架橋度27モル%以上、好ましくは50モル%以上、最も好ましくは100モル%を有する。架橋度は、多孔質有機粒子、好ましくはポリマー粒子中に組み込まれる多官能性架橋モノマーのモル%により決定される。
【0016】
本発明において使用される多孔質有機粒子は、例えば多孔質有機化合物の粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合および分散重合によって、有機化合物を含む溶液の噴霧乾燥によって、または、有機物質を水と混和性でない溶媒に溶かし、この溶液を水性溶液中に細かい液滴として分散させ、かつ蒸発または他の適当な技術により溶媒を除去することから成るポリマー懸濁技術によって、製造することができる。バルク重合、乳化重合、分散重合および懸濁重合の手順は、ポリマーの技術分野の当業者によく知られており、G.オディアン(Odian)の「重合の原則(Principles of Polymerization)」、第2版、ウィリー(Wiley)(1981年)、およびW.P.ソレンソン(Sorenson)およびT.W.キャンベル(Campbell)の「ポリマー化学品の製造方法(Preparation Method of Polymer Chemistry)」、第2版、ウィリー(Wiley)(1968年)のような教科書に教示されている。
【0017】
多孔質有機ポリマー粒子を合成するための技術は、例えば米国特許第5,840,293号;第5,993,805号;5,403,870号および第5,599,889号ならびに特開平5(1993)−222108号公報に教示されている。例えば不活性流体またはポロゲン(porogen)を、多孔質ポリマー粒子の製造において使用されるモノマーと混合することができる。重合が終了後、得られたポリマー粒子は、この時点で実質的に多孔質である。というのは、ポリマーがポロゲンのまわりに形成され、それによって孔の網目構造を形成したからである。この技術は、先に言及した米国特許第5,840,293号において十分に記載されている。
【0018】
本発明において使用される多孔質有機粒子を製造する好ましい方法は、水性媒体中に架橋モノマーおよびポロゲンを含むエチレン性不飽和モノマー滴の懸濁物または分散物を形成すること、モノマーを重合して固体の多孔質ポリマー粒子を形成すること、および任意的に真空除去によりポロゲンを除去することを包含する。かくして製造された粒子は、比表面積により測定した間隙率35m2/g以上、好ましくは100 m2/g以上を有する。表面積は通常、当業者に公知のB.E.T.窒素分析により測定される。
【0019】
多孔質有機粒子は、米国特許第5,288,598号;5,378,577号;第5,563,226号および第5,750,378号に記載されたように、コロイド状無機粒子の層で覆われることができる。多孔質ポリマー粒子はまた、米国特許第5,279,934号に記載されたように、コロイド状ポリマーラテックス粒子の層で覆われることができる。
【0020】
本発明において使用される多孔質粒子は、直径中央値10μm未満、好ましくは0.5μm未満を有する。直径中央値は、体積に基づいて測定した粒径分布の統計学上の平均値として定義される。直径中央値の測定に関してのさらなる詳細については、T.アレン(Allen)、「粒径測定(Particle Size Measurement)」、第4版、チャップマン アンド ホール(Chapman and Hall), (1990)参照。
【0021】
前記したように、本発明において使用される有機粒子、好ましくはポリマー粒子は多孔質である。多孔質とは、空隙を有するか、または液体に透過性である粒子を意味する。これらの粒子は、滑らかな表面または粗い表面を有することができる。
【0022】
多孔質有機粒子は好ましくは、ビニル系モノマーを反応させた不飽和縮合ポリマーを含むことができる。多孔質の縮合ポリマー粒子は、不飽和前駆体縮合ポリエステルを、水に混和性でない有機溶媒の存在下で、水中油形エマルジョン中で架橋させることによって製造できる。架橋された多孔質縮合ポリマー粒子は、多孔質ポリエステル粒子について以下に記載するのと同様の方法によって製造でき、主な差異は、不飽和前駆体縮合ポリマーが不飽和前駆体ポリエステルの代わりに使用され得ることである。前駆体縮合ポリマーは、1種以上の以下の結合タイプ:アミド、カーボネート、ウレタン、エステルまたは尿素結合によって共に結合された繰り返しの有機ジラジカルから成る主鎖を含むポリマーであり得る。好ましくは、前駆体縮合ポリマーは、エステル結合および1つ以上の非エステル結合タイプを含む。1つの実施態様においては、不飽和縮合ポリマーは、エステル−コ−ウレタン、エステル−コ−尿素、エステル−コ−アミド、エステル−コ−カーボネートを含み、最も好ましくはエステル−コ−ウレタンまたはエステル−コ−カーボネートを含む。ポリマーは直鎖状または分岐状であることができる。
【0023】
前駆体縮合ポリマーはまた、水に混和性でない有機液体の存在下で、水中油形エマルジョン中で架橋させて、多孔質粒子を提供することができる化学的不飽和性を含む。化学的不飽和性は、主鎖に沿って、官能化された末端基として、またはペンダント基として前駆体ポリエステル中に存在することができる。第1の場合の例は、繰り返しのエステル単位の1つがマレエートまたはフマレート部分であるポリエステル−ウレタンである。第2の場合の例は、メタクリロイルクロリドと反応させてメタクリレートエステル末端基を提供したアルコール末端ポリウレタンである。好ましくは化学的不飽和性は、主鎖不飽和として存在する。
【0024】
前駆体縮合ポリマーは、縮合ポリマーの製造についてポリマー合成の当業者に一般に公知の任意の技術を用いて合成することができる。一般に、この方法は、それぞれが溶液または溶融条件下で2つ以上の官能数を有する、ルイス酸およびルイス塩基のモノマーの反応を含む。特定の試薬の組合せが表8に示されている。2以外の官能数(例えば3官能性、4官能性)を有する多官能性試薬がまた使用できることに注意すべきである。異なるタイプの試薬が単一反応器中で反応する条件を選択することができる。あるいは、適当な末端基を有するプレポリマー、マクロモノマーまたはオリゴマーを、1つ以上の追加の多官能性試薬と逐次工程で反応させる多段のアプローチを使用することができる。例えば、二酸塩化物、ビスクロロホルメートおよびジオールを同じ反応器で反応させるか、または低分子量のアルコール末端プレポリマーを製造し、これを次にビスクロロホルメートと反応させることによって、ポリエステル−カーボネートを製造することができる。
【0025】
【表1】
【0026】
架橋反応は、前駆体縮合ポリマーの不飽和単位と容易に共重合するエチレン性不飽和モノマーのラジカルで開始される重合であり得る。前駆体縮合ポリマーは有機溶媒−可溶性であることができ、その場合には、乳化剤の添加が必要であり得る。この方法の別の実施態様においては、前駆体縮合ポリマーは水溶性、水分散性、または両親媒性の性質であることができ、その場合には、前駆体縮合ポリマーは、乳化種として働き、乳化剤の添加は任意にすぎない。多孔質縮合ポリマー粒子が製造され得る方法ならびに製造において使用される他の試薬(例えば乳化剤、開始剤、エチレン性不飽和モノマー、水と混和性でない有機溶媒)は、多孔質ポリエステル粒子について以下に記載するものと同じである。好ましくは、多孔質の縮合ポリマー粒子は、多孔質ポリエステル粒子について以下に記載するように、イオン性基を含む。好ましくは、これらのイオン性基は、4級アンモニウム基である。
【0027】
多孔質の縮合ポリマービーズは、平均直径0.1〜10μmを有することができる。好ましくは、ビーズは平均直径0.1〜0.5μmを有する。
【0028】
本発明のために有用な、最も好ましい多孔質ポリエステル粒子は、不飽和前駆体ポリエステルと、1種以上の、α,βエチレン性不飽和性を含有するビニルモノマーとのフリーラジカル付加重合反応生成物から成る。前駆体ポリエステルは、次には多孔質ポリエステル粒子を作るために使用される不飽和基を含むポリエステルである。粒子を構成する全前駆体ポリエステルのパーセントは、5〜95質量%であり得る。好ましくは、粒子は、20〜80質量%の前駆体ポリエステルを含む。最も好ましい多孔質ポリエステル粒子は架橋されていることができ、水または水混和性溶媒に分散性であることができる。多孔質構造は、連続した孔または分離した孔から成ることができる。
【0029】
最も好ましい本発明の多孔質ポリエステル粒子は、幾つかの方法のうちの任意の方法により製造され得る。これらの方法は、特開平07−137432号公報に記載されているように、より小さいポリエステル粒子の、徐々の電解質に誘導される合体、その後ビニルモノマーでの膨潤および次の架橋を含む。別の製造方法は、水中油中水形エマルジョンの重合を含み、ここでは、米国特許第3,979,342号および第4,089,81号に記載されているように、油相は、不飽和ポリエステルおよび1種以上のビニルモノマーの溶液からなる。
【0030】
より好ましい製造方法は、レオン(Leon)らによるシリアル番号10/027,701号(ドケット82842)、「多孔質ポリエステル粒子の製造方法(Method of Preparation of Porous Polyester Particles)」に記載されており、ここでは、架橋された好ましい多孔質ポリエステル粒子は、水と混和性でない有機溶媒の存在下で水中油形エマルジョン中で不飽和前駆体ポリエステルを架橋することによって製造され得る。架橋反応は、前駆体ポリエステルの不飽和単位と容易に共重合するエチレン性不飽和モノマーの、ラジカルで開始される重合である。前駆体ポリエステルは、有機溶媒可溶性であることができ、この場合には、乳化剤を添加することが必要であり得る。この方法の別の実施態様においては、前駆体ポリエステルは水溶性、水分散性、または両親媒性の性質であることができ、その場合には、前駆体ポリエステルは、乳化種として働き、乳化剤の添加は任意にすぎない。水と混和性でない有機溶媒は除去されて、多孔質の架橋されたポリエステル含有粒子の分散物を生じることができる。
【0031】
本発明の好ましい多孔質ポリエステル粒子の製造のために有用な前駆体ポリエステルは、分岐しているかまたは分岐していないことができ、化学的不飽和を含有し、かつ水と混和性でない有機溶媒または水に可溶性であることができる。任意的に、前駆体ポリエステルは、水に自己乳化性であるかまたは両親媒性もしくは界面活性剤様の性質であることができる。前駆体ポリエステルが溶解性の必要条件を満たすとすれば、前駆体ポリエステルは、任意のガラス転移温度を有することができる。好ましくは、数平均分子量(Mn)は1,000〜30,000gm/モルである。
【0032】
当技術分野でよく知られているように、ポリエステルは、多塩基酸または対応する酸の等価誘導体、例えばエステル、無水物もしくは酸塩化物と、多価アルコールとの縮合生成物である。本明細書において、「2酸」または「多酸」をいうときには、対応する酸等価誘導体、例えばエステル、無水物もしくは酸塩化物がまた、参照により包含されることがわかる。α,β−エチレン性不飽和を含む多塩基酸または多価アルコールの選択によって、重合性の不飽和を分子に導入することができる。ほとんどの場合には、不飽和は、多塩基酸単位中に含まれる。任意的に、重縮合の技術分野において普通の1種以上の追加の多酸を、不飽和多酸の他に使用することができる。エチレン性不飽和多酸は、必ずしもこれらに限定されることはないが、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸を包含する。化学的不飽和性を含まず、かつ前駆体ポリエステルにおいて使用できる追加の多酸は、WO01/00703に記載されている。これらの2酸は、必ずしもこれらに限定されることはないが、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸の異性体、クロレンド酸、トリメリト酸、トリメシン酸およびピロメリト酸を包含することができる。
【0033】
エチレン性不飽和基はまた、合成での変性によって、前駆体ポリエステルへ導入することができる。例えば、エチレン性不飽和単位を導入するために、高アルコール数を有するポリエステルを、アクリル酸もしくはメタクリル酸の無水物もしくは酸塩化物と反応させることができる。
【0034】
本発明の粒子のために適当であり得る前駆体ポリエステルはさらに、重縮合の分野でよく知られており、かつ脂肪族、脂環式またはアラルキルであることができる任意の広範な種々の多価アルコールからなることができる。適当な多価アルコールの記載は、WO01/00703に与えられている。これらのアルコールは、必ずしも限定されることはないが、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチル)エーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール類、例えばビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンならびにポリエステルポリオール、例えばε−カプロラクトンの開環重合により得られるものを包含することができる。追加的に、ヒドロキシルと酸誘導体官能性の両方を含むA−Bタイプの重縮合モノマー、ならびに1酸および1価アルコールを使用することができる。
【0035】
この製造方法の1つの変形においては、水溶性、界面活性剤様、または自己乳化性であることができ、かつ追加的に化学的不飽和を含む前駆体ポリエステルを使用できる。水溶性、界面活性剤様および自己乳化性の前駆体ポリエステルは、当技術分野でよく知られており、1種以上のタイプの親水性化学基または官能性、またはモノマー、たとえばカルボキシレート、4級アンモニウム、スルホネート、サルフェート、スルホニウム、ホスホニウム、イミノスルホニルまたはポリマーもしくはオリゴマーのオキシエチレンセグメントを含む。本発明において有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子を形成するために使用される前駆体ポリエステルは追加的に、1種以上の、先に詳述したエチレン性不飽和を含む多酸またはポリオールモノマーを含む。本発明において有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子を形成するために使用される、水溶性、界面活性剤様および自己乳化性の前駆体ポリエステルは、親水性の性質または水溶性を導入することができる、1種以上の2酸またはジオール成分を含むことができる。この目的のために使用される最も普通の親水性ジオールは、ポリエチレングリコールである。追加的に、2個または3個のヒドロキシアルキル基で置換された3級アミン単位を、前駆体ポリエステル内に組み込むことができ、アルキル化剤で4級化することにより、または酸で中和することにより、イオン性にすることができる。前駆体ポリエステルに親水性を与えるのに通常使用される種類の2酸成分は、スルホネートまたはスルホンイミド塩を含む化合物を包含する。幾つかの適当なスルホン化された2酸は、米国特許第4,973,656号および第5,218,042号に記載されている。そのような2酸の例は、5−ソジオスルホイソフタル酸、2−ソジオスルホブタン酸、およびジ−Meソジオイミノビス(スルホニル−m−ベンゾエート)である。前駆体ポリエステルの親水化のための別の普通の方法は、比較的高い酸価を有するポリエステルの酸末端基の中和を含む。好ましくは、酸価は少なくとも10である。最も好ましくは、酸価は25より上である。中和剤は通常、アルカリ金属水酸化物またはアミンであり得る。エチレン性不飽和および中和された酸末端基を含む前駆体ポリエステルがまた、本発明において使用できる。好ましい場合には、不飽和前駆体ポリエステルは、イオン性単位1モル当たり400〜2000gのポリマーの当量のイオン性基を含む。
【0036】
本発明の粒子において前駆体ポリエステルを架橋するのに有用なエチレン性不飽和モノマーは、付加重合の技術分野で普通に使用されるモノマーであり得る。これらは、必ずしも限定されることはないが、メタクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレート、アクリレートエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびグリシジルアクリレート、スチレン類、例えばスチレン、α−メチルスチレン、3−および4−クロロメチルスチレン、ハロゲン−置換スチレン、およびアルキル−置換スチレン、ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン、N−アルキル化アクリルアミドおよびメタクリルアミド、ビニルエステル、例えば酢酸ビニルおよび安息香酸ビニル、ビニルエーテル、例えばブチルビニルエーテルおよびシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、アリルアルコールおよびそのエーテルおよびエステルおよび不飽和ケトンおよびアルデヒド、例えばアクロレインおよびメチルビニルケトンならびにアクリロニトリルを包含する。
【0037】
その他に、少量の(典型的には、重合性固体の全質量の10%未満)1種以上の水溶性エチレン性不飽和モノマーを使用できる。そのようなモノマーは、必ずしも限定されることはないが、スチレン類、アクリレートおよび、非常に極性の基で置換されたメタクリレート、不飽和炭素およびヘテロ原子の酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸およびそれらの塩、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドンおよびビニルピリジンを包含する。
【0038】
本発明のポリエステル粒子において特に有用なのは、1個より多いエチレン性不飽和単位を含むモノマー、例えばトリメチレロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンの異性体、アジピン酸ジビニル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルおよびエチレングリコールジビニルエーテルである。
【0039】
本発明の粒子のために好ましくあり得るエチレン性不飽和モノマーは、スチレン類、ビニルエーテルおよびメタクリレートである。ジビニルベンゼン(mおよびp異性体)、スチレン、アジピン酸ジビニルおよびエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
【0040】
付加重合の技術分野において公知の任意の普通の水溶性もしくは有機溶媒可溶性フリーラジカル重合開始剤を、本発明の粒子のために使用できる。これらは、限定されることはないが、アゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェネイルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンジカルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)および2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、有機ペルオキシド、有機ヒドロペルオキシド、過エステルおよび過酸、例えばベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、カプリルペルオキシド、アセチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、過安息香酸t−ブチル、クミルヒドロペルオキシド、過酢酸、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)およびp−クロロベンゾイルペルオキシド、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、ナトリウムおよびアンモニウム、ジスルフィド、テトラゼンならびにレドックス開始剤系、例えばH2O2/Fe2+、過硫酸塩/亜硫酸水素塩、シュウ酸/Mn3+、チオ尿素/Fe3+、およびベンゾイルペルオキシド/ジメチルアニリンを包含する。
【0041】
任意的に、典型的には有機相の1〜10質量%を含む、少量の共同界面活性剤安定剤を有機相に添加することができる。これらの疎水性化合物は、ある種のタイプの乳化重合および懸濁重合においてオストワルト熟成(Ostwald ripening)を防ぐことが知られている。共同界面活性剤についての優れた議論は、ピーター(Peter)Aロベル(Lovell)およびモハムド(Mohammed)S.エル−アーサー(El−Aaser)による乳化重合および乳化ポリマー(Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers)(ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley and Sons):チチェスター(Chichester)、1997年、pp.700−721)および米国特許第5,858,634号に与えられている。最も普通の共同界面活性剤は、ヘキサデカンおよびヘキサデカノールである。他の有用な共同界面活性剤がまた、他の役割をつとめることができ、例えばモノマーまたは開始剤としてふるまうことができる。前者の例はラウリルメタクリレートである。後者の例はラウロイルペルオキシドである。
【0042】
水溶性でないかまたは水分散性でない前駆体ポリエステルが使用されるなら、追加的に乳化剤を使用できるが、乳化剤は、水溶性または水分散性の前駆体ポリエステルと直列に使用することができる。乳化剤が最初に水性相に溶解されるのが好ましくあり得る。非常に多様な乳化剤が当技術分野で知られているが、これらのほとんどが、界面活性剤、コロイド状無機物および保護コロイドの3種の基本的な界面活性剤の範疇に適合する。おびただしい数の公知の界面活性剤が存在する。界面活性剤についての良い参照源は、界面活性剤ハンドブック(Surfactant Handbook)(GPO: Washington, D.C., 1971)およびマクカチョンの乳化剤および洗剤(McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents) (マニュファクチャリングコンフェクショナー パブリシング カンパニー(Manufacturing Confectioner Publishing Company):グレン ロック(Glen Rock), 1992)である。多孔質ポリエステル粒子の製造において有用であり得る界面活性剤について一般的制限はない。有用な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、中性、低分子量、マクロ分子、合成または、天然の供給源から抽出もしくは誘導されたものであることができる。幾つかの例としては、必ずしも限定されることはないが:ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸エステル、例えば商品名AEROSOL(商標)の下に販売されているもの、フッ素系界面活性剤、例えば商品名ZONYL(商標)およびFLUORAD(商標)の下に販売されているもの、エトキシル化アルキルフェノール、たとえばTRITON(商標)X−100およびTRITON(商標)X−705、エトキシル化アルキルフェノールサルフェート、たとえばRHODAPEX(商標)CO−436、リン酸エステル系界面活性剤、例えばGAFAC(商標)RE−90、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリオキシエチレン化長鎖アミンおよびその4級誘導体、エトキシル化シリコーン、アルカノールアミン縮合物、ポリエチレンオキシド−コ−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、例えば商品名PLURONIC(商標)およびTECTRONIC(商標)の下に販売されているもの、N−アルキルベタイン、N−アルキルアミンオキシド、ならびに、フルオロカーボン−ポリ(エチレンオキシド)ブロック界面活性剤、例えばFLUORAD(商標)FC−430が包含される。
【0043】
多孔質ポリエステル粒子の製造において有用な保護コロイドは、必ずしも限定されることはないが:ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、スルホン化ポリスチレン、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよびコポリマー、エチレンオキシド、尿素およびホルムアルデヒドの水溶性複合樹脂状アミン縮合生成物、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、グルテンおよびキサンタンゴムを包含する。保護コロイドは、界面活性剤の代わりに、またはそれ以外に使用することができる乳化剤の種類である。保護コロイドは典型的には、乳化の段階前に水性相に溶解されるかまたは分散され得る。
【0044】
同様に、コロイド状無機粒子を、制限された合体プロセスの一部として乳化剤として使用することができる。コロイド状無機粒子は、任意の他のタイプの挙げられた乳化剤、例えば界面活性剤または保護コロイドの代わりに、またはそれ以外に使用することができる。コロイド状無機粒子はまた、水性相に分散され得る。制限された合体の技術は、多くの特許、例えば米国特許第4,833,060号および第4,965,131号に記載されている。本発明において特に有用なコロイド状無機物は、デュポン(Du Pont)により販売されているLUDOX(商標)TMである。
【0045】
本発明において有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子に組み込むことができるさらなる添加剤は、顔料、染料、殺生物剤、殺菌剤、電解質、緩衝液、UV−吸収剤、酸化防止剤および連鎖移動剤を包含する。
【0046】
本発明のために有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子は、0.1マイクロメートル未満〜10マイクロメートルの平均直径を有する多孔質ポリエステル粒子を含む。多孔質ポリエステル粒子が最上層にあるときには、多孔質ポリエステル粒子は、0.1〜0.5マイクロメートル未満の範囲の平均直径を有するのが好ましく、より好ましくは、多孔質ポリエステル粒子は0.2〜0.3マイクロメートルの範囲の平均直径を有する。0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する多孔質ポリエステル粒子を有するインク記録要素は好ましくは、60度の測定角度で10以上の表面光沢を提供する。下方層の最適インク吸収特性およびコーティング品質のためには、多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートルより大きい平均直径を有することが好ましく、好ましくは1〜10マイクロメートルの平均直径を有し、最も好ましくは1〜3マイクロメートルの平均直径を有する。粒子の直径は、当技術分野で公知の任意の方法により測定することができる。1つのそのような方法は、市販の入手可能な装置、例えばホリバ(Horiba)LTDにより製造されたHoriba LA−920を用いた、粒子の希釈分散物のレーザー光散乱であり得る。典型的には、好ましい多孔質ポリエステル粒子の試料は、大きさの分布を有する粒子の母集団を含む。これが粒径分布であり、平均直径、標準偏差および変動係数によって特徴づけられる。これらの用語を定義する数式は、統計学的分析について任意の基礎的なテキスト、例えばD.A.スクーグ(Skoog)およびJ.J.リーリー(Leary)による「機器分析の原理(Principles of Instrumental Analysis)」、第4版、ハーコート ブレース カレッジ パブリッシャーズ(Harcourt Brace College Publishers)、オーランド(Orlando)、FL、1971年(補遺A−6)に見出すことができる。平均直径は、粒径分布の算術平均である。分布の変動係数(CV)は、パーセントとして与えられる、分布の標準偏差対平均直径の比である。本発明のために有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子は、1モード内で比較的大きい粒径分布を有することができる。粒子の系においては、この粒径分布に対して単一のモードまたはピークがあるか、または幾つかのモードがあることができ、各モードは、平均直径、標準偏差および変動係数によって特徴づけられる。例えば、多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートル未満の平均直径を有するモードを有する粒子および、0.5マイクロメートルより大きい平均直径を有する、好ましくは1〜10マイクロメートルの平均直径を有する、最も好ましくは1〜3マイクロメートルの平均直径を有するモードを有する粒子を含んで成る系であることができる。これら2つのモードの相対的割合は、モードを示す曲線下の相対面積から計算され、100%まで合算すべきである。
【0047】
好ましい場合には、多孔質ポリエステル粒子は、イオン性単位1モル当たり40〜2000グラムの当量のイオン性基を含む。1つの実施態様においては、イオン性基は好ましくは、スルホネート官能性を含むことができる。優れたコロイド安定性を有する生成物粒子は、水性分散物として貯蔵するか、または凍結乾燥して、容易に水に再分散する乾燥粒子を含む固体粉末を生じることができる。
【0048】
本発明において使用されるインク受理要素は、2層以上の個々のインク受理層を含む。各層は、異なる組成、異なる化学的性質および異なる平均直径を有する粒子の組合せ、および層厚からなる。これらの多層構造については、ここで使用される「上部」「上方」および「上」という語は、他の層に対する相対的配置に関して、支持体からさらに遠い層を意味する。「底部」、「下方」および「下」という語は、他の層に対する相対的配置に関して、支持体により近い層を意味する。「最上」という語は、すべての他の層に対して支持体から最も遠い層を意味する。
【0049】
本発明の要素は、非多孔質粒子を包含する他の粒子をまた含むことができる。これらの粒子は、有機物または無機物であることができる。本発明のために有用な任意の層における有機粒子は、合体していないラテックス粒子およびコア−シェルラテックス粒子、例えばポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、n−ブチルアクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー、酢酸ビニルと酢酸n−ブチルとのコポリマー、メチルメタクリレートとナトリウム2−スルホ−1,1−ジメチルエチルアクリルアミドとのコポリマーならびに、エチルアクリレート、塩−化ビニリデンおよびナトリウム2−スルホ−1,1−ジメチルエチルアクリルアミドのコポリマーまたはそれらの混合物を包含する。これらは、内部架橋されるか、または内部架橋されないことができる。未架橋のラテックス粒子は、25℃より上の膜形成温度を有するのが好ましくあり得る。本発明のために有用な有機粒子はまた、多孔質のアクリル系、メタクリル系またはスチレン系ポリマー粒子であることができる。
【0050】
より詳細には、本発明において使用できる有機粒子は、ポリマー粒子、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂またはセルロース誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートおよびエチルセルロース;ポリビニル樹脂、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマーおよびポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマーおよびエチレン−アリルコポリマー、例えばエチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー、エチレンアクリルコポリマーおよびポリオキシ−メチレン;重縮合ポリマー、例えばポリエステルまたはポリエステル含有ポリマー(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを含む)、ポリウレタンならびにポリカーボネートを包含する。本発明において有用な有機粒子の例は、米国特許出願シリアル番号第09/458,401号(1999年12月10日出願);第09/608,969号(2000年6月30日出願);第09/607,417号(2000年6月30日出願);第09/608,466号(2000年6月30日出願);第09/607,419号(2000年6月30日出願);および第09/822,731号(2001年3月30日出願)に開示され、特許請求されている。
【0051】
本発明のために有用な任意の層における無機粒子は、任意の無機酸化物を包含し、シリカ、コロイド状シリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、コロイド状アルミナ、ヒュームドアルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、天然もしくは合成のクレー、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化亜鉛またはそれらの混合物を含む。有機粒子および無機粒子の混合物がまた使用できる。
【0052】
有機粒子および無機粒子は、任意の大きさを有することができるが、これらの粒子を含む層が最上層であるなら、それらの平均粒径は、0.5マイクロメートル未満であるのが好ましい。有機粒子および無機粒子はまた、同じ層または別々の層に存在することができる。
【0053】
本発明のために、粒子を含まない任意の層(最上層を含む)において有用なポリマーは、親水性有機ポリマーおよび軽く架橋したヒドロゲル、例えばポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン−含有コポリマー、ポリエチルオキサゾリンおよびオキサゾリン−含有コポリマー、イミダゾール−含有ポリマー、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド−含有コポリマー、ポリ(ビニルアルコール)およびビニルアルコール−含有コポリマー、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエチルエーテル)、ポリ(アルキレンオキシド)、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリ(ビニルアセトアミド)、一部加水分解したポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、スルホン化もしくはリン酸化したポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン(collodian)、寒天、アロールート、グアール、カラギーナン、トラガカント、キサンタン、ラムサン(rhamsan)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリ(アルキレンオキシド)ならびに水分散性ポリウレタンを包含する。上に挙げた親水性ポリマーの混合物を使用できる。
【0054】
インクジェット要素のインク受理層は、好ましい多孔質ポリエステル粒子、有機粒子または無機粒子および、多孔質受理層の間隙率を変えるのに不十分な量のバインダーから成る混合物を支持体にコーティングすること、および次いで、乾燥してほぼ全部の揮発性成分を除去することによって形成され得る。バインダーは好ましくは、有機バインダーを含む。好ましい実施態様においては、ポリマーバインダーは、親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン−含有コポリマー、ポリエチルオキサゾリンおよびオキサゾリン−含有コポリマー、イミダゾール−含有ポリマー、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド−含有コポリマー、ポリ(ビニルアルコール)およびビニルアルコール−含有コポリマー、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエチルエーテル)、ポリ(アルキレンオキシド)、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリ(ビニルアセトアミド)、一部加水分解したポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、スルホン化もしくはリン酸化したポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン(collodian)、寒天、アロールート、グアール、カラギーナン、トラガカント、キサンタン、ラムサン(rhamsan)である。本発明の別の好ましい実施態様においては、親水性ポリマーは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースまたはポリ(アルキレンオキシド)である。なお別の好ましい実施態様においては、ポリマーバインダーは、ラテックス、例えばポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、n−ブチルアクリレートとエチルアクリレートとのコポリマーおよび、酢酸ビニルと酢酸n−ブチルとのコポリマーである。なお別の好ましい実施態様においては、バインダーは、アルコキシシランの縮合物または他の金属ゾル、例えばアルミナゾル、チタニアゾル、またはジルコニアゾルであり得る。先に挙げた親水性ポリマーの混合物を使用できる。バインダーは、上記した粒子と相溶性であるように選択されるべきである。
【0055】
使用されるポリマーバインダーの量は、インク記録要素、例えばインクジェット記録要素へ凝集強さを与えるのに十分でなければならないが、また、集合物によって形成された相互連絡した細孔構造がバインダーによって満たされることがないように最小にされなければならない。本発明の好ましい実施態様においては、ポリマーバインダーは、各層の5〜50質量%の量で、最も好ましくは10〜25質量%の量で存在する。多孔質ポリマー粒子は、個々の層の50〜95質量%を含む。粒子は好ましくは、個々の層の75〜90質量%を含み、最も好ましくは個々の層の少なくとも80質量%を含む。
【0056】
合わせたインク受理層の全厚みは、5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲であり得る。各層は、他の層とは異なる厚みを有することができる。しかしながら、最上層が下方層より薄いのが典型的である。最上層の好ましい厚みは、1〜20μm、より好ましくは1〜10μmである。必要とされるコーティング厚は、インク溶媒の吸収のための受けとして働くためのコーティングの必要性および、コーティング表面近くにインクを保持する必要性によって決定される。
【0057】
画像記録要素は、他の画像記録品または、画像記録装置の運転もしくは輸送メカニズムと接触し得るので、添加剤、例えば充填剤粒子、界面活性剤、滑剤、架橋剤、つや消し粒子を、関心のある特性を損なわない範囲で、要素に添加することができる。
【0058】
充填剤粒子は、好ましい多孔質ポリエステル粒子を含むインク受理層において使用でき、例えば酸化ケイ素、ヒュームドシリカ、ニッサン ケミカル インダストリーズ(Nissan Chemical Industries)およびデュポン社(DuPont Corp.)から入手可能な酸化ケイ素分散物、酸化アルミニウム、ヒュームドアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物、無機粉末、例えばγ−酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化スズ、ドープした酸化スズ、アルミノケイ酸、二酸化チタン、炭化ケイ素、炭化チタンおよび、米国特許第5,432,050号に記載されている微粉末ダイアモンドが使用できる。
【0059】
分散剤または湿潤剤が、充填剤粒子の分散を促進するために存在することができる。これは、粒子の凝集を最小にするように助ける。有用な分散剤は、限定されることはないが、脂肪酸アミンおよび、市販されていて入手可能な湿潤剤、例えばゼネカ社(Zeneca Inc.)(ICI)により販売されているSolspere(商標)を包含する。好ましい充填剤粒子は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムである。好ましくは、これらの充填剤粒子は、1.0μm未満の直径中央値を有する。充填剤粒子は、乾燥したインク受理層中の全固形分の0〜80%の量、最も好ましくは0〜40%の量で存在することができる。
【0060】
十分なコーティング性を得るために、そのような技術分野の当業者に公知のレオロジー変性剤、例えば増粘剤またはポリマーを使用できる。これらは、会合的増粘剤、例えば疎水的に変性したヒドロキシエチルセルロース、疎水的に変性したアルカリ可溶性もしくはアルカリ膨潤性エマルジョンおよび、疎水的に変性したエチレンオキシドウレタンブロックコポリマー、例えばローム&ハース(Rohm & Haas)により、商品名Acusol(商標)の下に供給されているもの、およびダウケミカル(Dow Chemical)により商品名Polyphobe(商標)の下に供給されているもの、ならびに、非会合的増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、キサンタンゴム、グアーゴムおよびカラギーナンを包含する。
【0061】
インクジェット要素は、滑剤を含むことができる。インク受理層または、要素のインク受理層と反対の面において有用な滑剤および蝋は、限定されることはないが、ポリエチレン、シリコーン蝋、天然蝋、例えばカルナウバ蝋、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、シリコーンオイル、例えばポリジメチルシロキサン、フッ素化シリコーン、官能化シリコーン、ステアレート、ポリビニルステアレート、脂肪酸塩およびペルフルオロエーテルを包含する。ミクロン以下の大きさの蝋粒子の水性もしくは非水性分散物、例えば市販されていて提供されているもの、例えば、限定されることはないが、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、微晶質蝋、パラフィン、天然蝋、例えばカルナウバ蝋および、ケミカル コーポレーション オブ アメリカ社(Chemical Corporation of America)(Chemcor)Inc.、ミッチェルマン社(Michelman Inc.)、シャムロック テクノロジーズ社(Shamrock Technologies Inc.)およびダニエル プロダクツ カンパニー(Daniel Products Company)のような会社からの合成蝋、の分散物が有用であり得る。
【0062】
十分なコーティング性を得るために、そのような技術分野の当業者に公知の添加剤、例えば界面活性剤、消泡剤、アルコールを使用できる。コーティング助剤および界面活性剤は、限定されることはないが、非イオン性フッ素化アルキルエステル、例えばミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Co.)により販売されているFC−430(商標)、FC−431(商標)、FC−10(商標)、FC−171(商標)、デュポン社(DuPont Corp.)により販売されているZonyl(商標)フルオロ化学品、例えばZonyl−FSN(商標)、Zonyl−FTS(商標)、Zonyl−TBS(商標)、Zonyl−BA(商標)、他のフッ素化ポリマーもしくはコポリマー、たとえばNOF コーポレーション(NOF Corporation)により販売されているModiper F600(商標)、ポリシロキサン、例えばダウ コーニング(Dow Corning)のDC 1248(商標)、DC 200(商標)、DC510(商標)、DC190(商標)、およびBYKヘミー(BYK Chemie)により販売されているBYK 320(商標)、BYK 322(商標)、およびジェネラル エレクトリック(General Electric)により販売されているSF 1079(商標)、SF 1023(商標)、SF 1054(商標)、およびSF1080(商標)、および、ユニオン カーバイド(Union Carbide)により販売されているSilwet(商標)ポリマー、ポリオキシエチレン−ラウリルエーテル界面活性剤、ソルビタンラウレート、パルミテートおよびステアレート、例えばアルドリッチ(Aldrich)により販売されているSpan(商標)界面活性剤、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)界面活性剤、例えばBASFにより販売されているPluronic(商標)系統ならびに、他のポリオキシエチレン−含有界面活性剤、例えばユニオン カーバイド(Union Carbide)により販売されているTriton X(商標)系統、イオン性界面活性剤、例えばデュポン社(DuPont Corp.)により販売されているAlkanol(商標)シリーズおよび、ダウ ケミカル(Dow Chemical) により販売されているDowfax(商標)系統を包含する。詳細な例は、マクカッチョン(MCCUTCHEON)の第1巻:乳化剤および洗剤(Emulsifiers and Detergents)、1995年、北アメリカ版に記載されている。
【0063】
インク受理層は架橋剤を含むことができる。その反応性の官能性がバインダー中の特定の化学単位と適当な反応性を有するなら、任意の架橋剤を使用できる。ルイス塩基官能性が豊富なバインダーを架橋することができる幾つかの普通の架橋剤は、必ずしも限定されることはないが、カルボジイミド、多価金属カチオン、有機イソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアナトジメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、アジリジン、例えば米国特許第4,225,665号において教示されるもの、エチレンイミン、例えばEITインダストリーズ(EIT Industries)により販売されているXama7(商標)、ブロックされたイソシアネート、例えばサイテック インダストリーズ(Cytec Industries)により販売されているCA BI−12、メラミン、例えば米国特許第5,198,499号において教示されているようなメトキシメチルメラミン、エポキシ、アミン、ヒドロキシル、イソシアネートもしくはビニル官能性を有するものを含むアルコキシシランカップリング剤、サイテック インダストリーズ(CytecIndustries)により販売されているCymel(商標)架橋剤、例えばCymel 300(商標)、Cymel 303(商標)、Cymel 1170(商標)、Cymel 1171(商標)およびビスエポキシド、例えばシェル(Shell)により販売されているEpon(商標)系統を包含する。他の架橋剤は、アリーロイル尿素、アルデヒド、ジアルデヒドおよびブロックされたジアルデヒド、クロロトリアジン、カルバモイルピリジニウム、ピリジニウムエーテル、ホルムアミジニウムエーテル、ビニルスルホン、ホウ酸、ジヒドロキシジオキサンおよび多官能性アジリジン、例えばCX−100(ゼネカ レジンズ(Zeneca Resins)により製造)のような化合物を包含する。そのような架橋剤は、米国特許第4,161,407号および引用された参考文献において議論されているように、低分子量の化合物またはポリマーであることができる。
【0064】
着色剤の退色を改善するために、当技術分野でよく知られているように、UV吸収剤、ラジカルクエンチャーまたは酸化防止剤をまたインク受理層に添加することができる。例としては、ポリアルキレンポリアミン−ジシアノジアミドに基づく重縮合生成物、水溶性還元剤、例えば亜硫酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、チオ硫酸塩、アスコルビン酸もしくはその塩、ヒドロキシルアミン誘導体、およびグルコース、硫黄含有化合物、例えばチオシアネート、チオ尿素、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、5−メルカプト−1−メチル−テトラゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−トリアゾール、2,4,6−トリメルカプトシアヌル酸、チオサリチル酸、チオウラシル、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン、または疎水性酸化防止剤乳化分散物、例えばヒンダードフェノールに基づく酸化防止剤、ピペリジンに基づく酸化防止剤またはヒンダードアミンが包含される。UV吸収剤としては、特公昭57−74193号公報、特公昭57−87988号公報、および特公平2−261476号公報に記載されたものを包含し、退色防止剤としては、特公昭57−74192号公報、特公昭57−87989号公報、特公昭60−72785号公報、特公昭61−146591号公報、特公平1−95091号公報および特公平3−13376号公報に記載されたものを包含する。
【0065】
インク受理層は、pH変性剤、接着促進剤、レオロジー変性剤、ラテックス、殺生物剤、染料、蛍光増白剤、特公昭59−42993号公報、特公昭59−52689号公報、特公昭62−280069号公報、特公昭61−242871号公報および特公平4−219266号公報に記載された白色化剤ならびに、帯電防止剤を含むことができる。
【0066】
本発明において使用されるインク受理層は、1種以上の色止め料種またはポリマーを含むことができる。色止め料ポリマーは可溶性ポリマー、帯電分子または架橋された分散微粒子であることができる。色止め料は、非イオン性、カチオン性またはアニオン性であることができる。色止め料の例は、4級化された窒素部分を含むポリマーもしくはコポリマー、例えばポリ(スチレン−コ−1−ビニルイミダゾール−コ−1−ビニル−3−ベンジルイミダゾリウムクロリド)、ポリ(スチレン−コ−1−ビニルイミダゾール−コ−1−ビニル−3−ヒドロキシエチル−イミダゾリウムクロリド)、ポリ(スチレン−コ−1−ビニルイミダゾール−コ−1−ビニル−3−ベンジルイミダゾリウムクロリド−コ−1−ビニル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリウムクロリド)、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド−コ−ジビニルベンゼン)、ポリ(エチルアクリレート−コ−1−ビニルイミダゾール−コ−1−ビニル−3−ベンジルイミダゾリウムクロリド)またはポリ(スチレン−コ−4−ビニルピリジン−コ−4−ヒドロキシエチル−1−ビニルピリジニウムクロリド)である。本発明の好ましい実施態様においては、ポリマー中に組み込まれた4級窒素部分は、トリメチルビニルベンジルアンモニウム、ベンジルジメチルビニルベンジルアンモニウム、ジメチルオクタデシルビニルベンジルアンモニウム、グリシジルトリメチルアンモニウム、1−ビニル−3−ベンジルイミダゾリウム、1−ビニル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリウムまたは4−ヒドロキシエチル−1−ビニルピリジニウムの塩である。使用することができる好ましい対イオンは、塩化物イオンまたは、米国特許第5,223,338号、第5,354,813号および第5,403,955号に開示されているような他の対イオンを包含する。本発明のために適当な他の色止め料は、ポリマーのカチオン変性された生成物、例えばポリ(ビニルアルコール)、ゼラチン、キトサン、ポリビニルアミン、ポリエチレン−イミン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリアルキレン−ポリアミンジシアンジアミドアンモニウム縮合物、ポリビニルピリジニウムハライド、(メタ)アクリロイルオキシアルキル4級アンモニウム塩のポリマー、(メタ)アクリルアミドアルキル4級アンモニウム塩のポリマー、ω−クロロ−ポリ(オキシエチレン−ポリメチレン4級アンモニウムアルキレート)、メチルグリコールキトサン、ポリ(ビニルピリジン)、テキサコ社(Texaco Inc.)により作られたJeffamine Tシリーズのプロピレンオキシドに基づくトリアミン、4級アクリル系コポリマーラテックス、ホスホニウム化合物、スルホンイミド、スルホン化ポリマーおよび分散粒子ならびにアルミナ水和物である。本発明のために適当な他の色止め料は、カルボン酸、スルホン酸、スルホンアミド、スルホンイミドまたはホスホン酸を含むポリマー、コポリマーまたはラテックス、例えばカルボキシル化およびスルホン化されたアクリレートもしくはメタクリレート、カルボキシル化されたスチレンブタジエン、スルホン化されたナイロン、ポリエステルおよびポリウレタンならびにそれらの塩である。本発明の好ましい実施態様においては、色止め料単位は、ポリエステルビーズの化学構造中に化学的に組み込むことができる。例えば、ポリエステル構造中のスルホン化モノマーは、カチオン染料種のための色止め料として働き得る。
【0067】
インク受理層の他に、記録要素はまた、支持体の次に他のベース層を含むことができ、その機能は、インクから溶媒を吸収することである。この層のために有用な物質としては、無機粒子およびポリマーバインダーまたは、非常に膨潤性のポリマー、例えばゼラチン、スルホン化ポリエステルまたはポリ(ビニルアルコール)が包含される。
【0068】
本発明において使用されるインク記録要素のための支持体は、インクジェットレシーバーのために通常使用される任意のものであることができる。支持体は、透明または不透明であることができる。不透明支持体としては、簡単な紙、コーティング紙、樹脂コーティング紙、例えばポリオレフィンコーティング紙、合成紙、写真用紙支持体、溶融押出しコーティング紙およびポリオレフィン−ラミネート紙、例えば2軸配向した支持体ラミネートが包含される。2軸配向した支持体ラミネートは、米国特許第5,853,965号、第5,866,282号、第5,874,205号、第5,888,643号、第5,888,681号、第5,888,683号および第5,888,714号に記載されている。これらの2軸配向した支持体は、紙基材および、紙基材の1面または両面にラミネートされた2軸配向したポリオレフィンシート(典型的にはポリプロピレン)を含む。支持体はまた、ミクロ細孔物質、例えばPPGインダストリーズ社(PPG Industries Inc.)、ピッツバーグ、ペンシルバニアにより、商品名Teslin(商標)の下に販売されているポリエチレンポリマー−含有物質、Tyvek(商標)合成紙(デュポン社(DuPont Corp.))、含浸紙、例えばDuraform(商標)およびOPPalyte(商標)フィルム(モービル ケミカル社(Mobil Chemical Co.))ならびに、米国特許第5,244,861号に挙げられている他の複合フィルムから成ることができる。透明支持体としては、ガラス、セルロース誘導体、例えばセルロースエステル、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエスエテル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリ(ブチレンテレフタレート)およびそれらのコポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリエーテルイミドならびにそれらの混合物を包含する。先に挙げた紙は、高級紙、例えば写真用紙から低級紙、例えば新聞用紙までの広範囲の紙を含む。好ましい実施態様においては、イーストマン コダック社(Eastman Kodak Co.)により作られたEktacolor紙が使用される。ここで使用される「透明」という語は、有意の偏向または吸収なしに放射を通過させる能力を意味する。
【0069】
本発明において使用される支持体は、50〜500μm、好ましくは75〜300μmの厚みを有し得る。酸化防止剤、増白剤、帯電防止剤、可塑剤および他の公知の添加剤を、所望なら支持体に組み込むことができる。
【0070】
インク受理層の支持体への接着を改善するために、アンダーコートまたは下塗り層(subbing layer)を支持体の表面に施用することができる。この層は、接着剤層、例えばハロゲン化フェノール、一部加水分解した塩化ビニル−コ−酢酸ビニルポリマー、塩化ビニリデン−メチルアクリレート−イタコン酸ターポリマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリル−アクリル酸ターポリマーまたはグリシジル(メタ)アクリレートポリマーもしくはコポリマーであることができる。他の化学接着剤、例えば、インク受理層と支持体との間の良好な結合を示すポリマー、コポリマー、反応性ポリマーもしくはコポリマーを使用することができる。本発明において使用される下塗り層におけるポリマーバインダーは好ましくは、水溶性または水分散性ポリマー、例えばポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアセトアミド)、一部加水分解したポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド)、スルホン化もしくはリン酸化ポリエステルもしくはポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン、寒天、アロールート、グアール、カラギーナン、トラガカント、キサンタン、ラムサン;ラテックス、例えばポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、またはポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリルアミド)またはそれらのコポリマーである。
【0071】
好ましい実施態様においては、下塗り層のポリマーバインダーは、スルホン化ポリエステル分散物、例えばAQ29(商標)(イーストマン ケミカル社(Eastman Chemical Co.))、ゼラチン、ポリウレタンまたはポリ(ビニルピロリドン)である。下塗り層のためのポリマーバインダーは好ましくは、1〜50g/m2、好ましくは1〜20 g/m2の量で使用される。
【0072】
本発明のインクジェット記録要素の下塗り層において使用されるボレートまたはボレート誘導体は、例えばホウ砂、四ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、フェニルボロン酸(phenyl boronic acid)またはブチルボロン酸(butyl boronic acid)であることができる。上記したように、ボレートまたはボレート誘導体は、3〜50 g/m2、好ましくは3〜10 g/m2の量で使用され得る。コーティングしたなら、下塗り層中のボレートまたはボレート誘導体は、画像受理層へと拡散して、画像受理層中の架橋性バインダーを架橋するものと思われる。
【0073】
支持体への層の接着を改善する他の方法としては、コロナ放電、種々の雰囲気下でのプラズマ処理、UV−処理による支持体の表面処理を含み、この処理は、層を支持体に施用する前に行うことができる。
【0074】
本発明において使用される記録要素は、1層以上の伝導層、例えば画像の製造および印刷中に望ましくない静電気の放出を防止するための帯電防止層を含むことができる。これは、要素のどちらの面にも添加することができる。カラーフィルムのために慣用的に使用される帯電防止層、例えば米国特許第5,147,768号におけるような層が満足のいくものであるとわかった。好ましい帯電防止剤としては、金属酸化物、例えば酸化スズ、アンチモンドープした酸化スズおよび5酸化バナジウムが包含される。これらの帯電防止剤は好ましくは、皮膜形成バインダー中に分散される。
【0075】
上記した層は、慣用のコーティング手段により、当技術分野で普通に使用される支持体物質上へコーティングされ得る。コーティング方法としては、限定されることはないが、巻きワイヤロッドコーティング(wound wire rod coating)、ナイフコーティング、スロット(slot)コーティング、スライドホッパー(slide hopper)コーティング、グラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、スキム−パン−エアナイフ(skim−pan−air−knife)コーティング、多層スライドビーズ、ドクターブレード(doctor blade)コーティング、グラビアコーティング、反転ロール(reverse−roll)コーティング、カーテンコーティング、多層カーテンコーティングが包含され得る。これらの方法の幾つかは、1層より多い層の同時コーティングを可能にし、これは、1層より多い層または1タイプより多い層を施用する必要があるなら、製造の経済的観点から好ましい。公知のコーティングおよび乾燥方法は、リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure) no. 308119、1989年12月発行、第1007−1008頁においてより詳細に記載されている。スライドコーティングが好ましく、この方法では、数層が同時に施用できる。支持体は固定であるかまたは、コーティング層が直ちに乾燥室へ引き取られ得るように動くことができる。コーティング後、層は一般に簡単な蒸発により乾燥することができ、乾燥は公知技術、例えば対流加熱によって促進され得る。
【0076】
コーティング組成物を、慣用の上記した前計量(pre−metered)もしくは後計量(post−metere)コーティング法によって、基板の1表面または両表面に施用することができる。コーティング法の選択は、操作の経済性から決定され、次には、処方の詳細、例えばコーティングの固形分量、コーティングの粘度およびコーティング速度を決定する。コーティング後、インク記録要素は、カレンダーまたはスーパーカレンダーに供されて、表面の平滑性を高められ得る。本発明の好ましい実施態様においては、インク記録要素は、65℃の温度および14000kg/mの圧力で、0.15〜0.3m/秒の速度にて熱ソフト−ニップ(hot soft−nip)カレンダーに供される。
【0077】
本発明の記録要素を画像形成するのに使用されるインクジェットインクは、当技術分野でよく知られている。インクジェット印刷において使用されるインク組成物は典型的には、溶媒または担体液体、染料または顔料、湿潤剤、有機溶媒、洗剤、増粘剤、防腐剤を含む液体組成物であり得る。溶媒または担体液体は、単に水だけであることができるか、または他の水混和性溶媒、例えば多価アルコールと混合した水であることができる。有機物質、例えば多価アルコールが主要な担体または溶媒液体であるインクがまた使用できる。特に有用なものは、水と多価アルコールとの混合溶媒である。そのような組成物に使用される染料は典型的には、水溶性の直接または酸タイプの染料である。そのような液体組成物は従来技術、例えば米国特許第4,381,946号、第4,239,543号および第4,781,758号において広く記載されている。
【0078】
本明細書で使用される「画像形成要素」という表現は、画像を画像形成要素へ転写するのを支配する多数の技術に適用性であるような画像受理もしくは記録層と共に、上記した画像形成支持体を含む。そのような技術は、感熱性画像形成物質を用いる熱染料転写、電子写真印刷またはインクジェット印刷ならびに、写真のハロゲン化銀画像のための支持体を包含する。本明細書で使用されるように、「写真要素」という表現は、画像の形成において感光性ハロゲン化銀を使用する物質である。本発明の安定化された粒子は、単一技術において使用されるか、または1つ以上の技術を合わせた混成系において使用されることができる。混成系の例は、写真要素へのインクジェット印刷の適用であり得る。
【0079】
本発明の受理もしくは記録要素の熱インクもしくは染料画像受理もしくは記録層は、例えばポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(カプロラクトン)またはそれらの混合物を含むことができる。インクもしくは染料画像受理もしくは記録層は、意図される目的のために有効な任意の量で存在することができる。ハリソン(Harrison)らの米国特許第4,775,657号に記載されているようなオーバーコート層をさらに、インクもしくは染料受理もしくは記録層上にコーティングすることができる。
【0080】
本発明のインクもしくは染料受理もしくは記録要素と共に使用することができるインクもしくは染料ドナー要素は慣用的に、その上にインクもしくは染料含有層を有する支持体を含む。熱の作用によりインクもしくは染料受理もしくは記録層へ転写可能であるとすれば、任意のインクもしくは染料を、本発明において使用されるインクもしくは染料ドナーにおいて使用できる。本発明において使用するために適用可能なインクもしくは染料ドナーは、例えば米国特許第4,916,112号、第4,927,803号および第5,023,228号に記載されている。上記したように、インクもしくは染料ドナー要素は、インクもしくは染料転写画像を形成するために使用され得る。そのようなプロセスは、インクもしくは染料ドナー要素を、像用加熱すること、および、上記したようにしてインクもしくは染料画像をインクもしくは染料受理もしくは記録要素へ転写して、インクもしくは染料転写画像を形成することを含む。熱インクもしくは染料転写印刷法では、シアン、マゼンタおよびイエローインクもしくは染料の逐次繰り返し領域でコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)支持体を処理するインクもしくは染料ドナー要素を使用することができ、インクもしくは染料転写工程は、各色について逐次行われて、3色のインクもしくは染料転写画像を得ることができる。このプロセスが単に1色についてのみ行われるときには、単色インクもしくは染料転写画像を得ることができる。
【0081】
インクもしくは染料ドナー要素から本発明の受理もしくは記録要素へインクもしくは染料を転写するために使用され得る熱印刷ヘッドは市販されていて入手可能である。例えばフジツー サーマル ヘッド(Fujitsu Thermal Head)(FTP−040MCS001)、TDKサーマル ヘッド(TDK Thermal Head) F415 HH7−1089またはローム サーマル ヘッド(Rhom Thermal Head) KE 2008−F3を使用することができる。あるいは、熱インクもしくは染料転写のための他の公知のエネルギー源、例えばGB No. 2,083,726Aに記載されているレーザーを使用できる。
【0082】
熱インクもしくは染料転写の組立物(assemblage)は、上記したように(a)インクもしくは染料ドナー要素および(b)インクもしくは染料受理もしくは記録要素を含むことができ、インクもしくは染料受理もしくは記録要素は、インクもしくは染料ドナー要素と、ドナー要素のインクもしくは染料層が受理もしくは記録要素のインクもしくは染料画像受理もしくは記録層と接触することができるように、重ね合わせられる関係にある。
【0083】
3色の画像が得られることになっているなら、上記組立物(assemblage)は、熱印刷ヘッドにより熱が施用されるときにその時間中3度形成され得る。第1の染料が転写された後、要素は剥ぎ取られる。第2の染料ドナー要素(または異なる染料領域を有するドナー要素の別の領域)が次に、染料受理もしくは記録要素と見当を合わせられ得る。そして、プロセスが繰り返される。第3の色は、同じやり方で得ることができる。
【0084】
エレクトログラフィーおよび電子写真プロセスおよびその個々の工程は、従来技術によく記載されている。このプロセスは、静電気的画像を作り、その画像を荷電した着色粒子(トナー)で現像し、任意的に、得られた現像画像を第2の基板に転写し、そして画像を基板に固定することからなる基礎工程を組み込む。これらのプロセスおよび基礎工程には多くの変形があり、乾燥トナーの代わりに液体トナーの使用は、それらの変形の単なる1つにすぎない。
【0085】
第1の基礎工程(静電気的画像を作る工程)は、種々の方法によって達成することができる。1つの形態では、複写機の電子写真プロセスは、アナログまたはデジタル露光によって、均一に帯電した光伝導体の画像形成的光放出を使用する。光伝導体は1回使用系であることができるか、または、セレンもしくは有機光受容器に基づくもののように、再充電可能かつ再画像形成可能であることができる。
【0086】
代替的なエレクトログラフィーのプロセスにおいては、粒子線写真的に静電気的画像を作ることができる。潜像が、紙またはフィルムの誘電(電荷保持)媒体上に作られ得る。電圧が、媒体の幅を横切って空間を空けられた尖筆の配列から、選択された金属の尖筆または筆記用ペン先に施用されることができ、これは、選択された尖筆と媒体との間の空気の誘電破壊を引き起こす。イオンが作られ、これは媒体に潜像を形成する。
【0087】
しかしながら、生成された静電気的画像は、反対に帯電したトナー粒子を用いて現像され得る。液体トナーでの現像のためには、液体現像液を直接静電気的画像と接触させ得る。普通は、流動液体が使用されて、現像のために十分なトナー粒子が利用可能であることを確実にする。静電気的画像により作られた場は、非伝導液体中に懸濁された帯電粒子を電気泳動によって動かす。静電気的潜像の電荷はかくして、反対に帯電した粒子によって中和され得る。液体トナーを用いた電気泳動的現像の理論および物理学は多くの本および刊行物によく記載されている。
【0088】
再画像形成可能な光受容器またはエレクトログラフィーマスターが使用されるなら、調色された画像が紙(または他の基板)に転写され得る。紙は、トナー粒子を紙に移すように選択された極性を有して、静電気的に帯電され得る。最後に、調色された画像を紙に固定することができる。自己固定トナーについては、残留液体が、風乾または加熱によって紙から除去され得る。溶媒が蒸発したなら、これらのトナーは紙に結合されたフィルムを形成する。熱可融性トナーについては、熱可塑性ポリマーを、粒子の一部として使用することができる。加熱は残留液体を除去し、かつトナーを紙に固定する両方を行う。
【0089】
インクジェット画像形成媒体として使用されるときには、記録要素または媒体は典型的には、その少なくとも1つの面に、インク受理もしくは記録/記録もしくは画像形成層を有する基板または支持体物質を含む。所望なら、インクジェット受理もしくは記録層の支持体への接着を改善するために、支持体の表面を、溶媒吸収層を支持体に施用する前に、コロナ−放電−処理することができるか、あるいは、アンダーコート、例えばハロゲン化フェノールまたは一部加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーから形成された層を、支持体の表面に施用することができる。インクジェット受理もしくは記録層は好ましくは、水または水−アルコール溶液から、支持体層上に、3〜75マイクロメートル、好ましくは8〜50マイクロメートルの範囲の乾燥厚みで、コーティングされる。
【0090】
任意の公知のインクジェットレシーバー層を、他の粒子物質と組合せて使用することができる。例えば、インク受理もしくは記録層は、主として無機酸化物粒子、例えばシリカ、変性シリカ、クレー、アルミナ、可融性ビーズ、例えば熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーからなるビーズ、非可融性有機ビーズまたは、親水性ポリマー、例えば天然に生じる親水性コロイドおよびゴム、例えばゼラチン、アルブミン、グアー、キサンタン、アカシア、キトサン、デンプンおよびその誘導体、天然ポリマーの誘導体例えば官能化タンパク質、官能化ゴムおよびデンプン、およびセルロースエーテルおよびその誘導体および、合成ポリマー、例えばポリビニルオキサゾリン、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリオキシド、ポリエーテル、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、n−ビニルアミド(ポリアクリルアミドおよびポリビニルピロリドンを含む)およびポリ(ビニルアルコール)、その誘導体およびコポリマーならびにこれらの物質の組合せから成り得る。親水性ポリマー、無機酸化物粒子および有機ビーズは、基板上の1層以上の層中に、および層内に種々の組合せで存在することができる。
【0091】
多孔質構造は、親水性ポリマーから成るインク受理もしくは記録層中に、セラミックまたは硬質ポリマー粒子の添加によって、コーティング中に発泡もしくは送風することによって、または非溶媒の導入により層中での相分離を引き起こすことによって、導入することができる。一般に、ベース層は親水性であるが多孔質でないのが好ましい。このことは、間隙率が光沢の損失を引き起こす写真品質印刷について特に真である。特に、インク受理もしくは記録層は、当技術分野でよく知られた添加剤を用いて、または用いないで、任意の親水性ポリマーまたはポリマーの組合せから成り得る。
【0092】
所望なら、インク受理もしくは記録層は、インク透過性の粘着防止保護層、例えばセルロース誘導体またはカチオン性に変性されたセルロース誘導体またはそれらの混合物を含む層でオーバーコートされることができる。特に好ましいオーバーコートは、ポリβ−1,4−無水−グルコース−g−オキシエチレン−g−(2’−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチル−N−ドデシルアンモニウムクロリドである。オーバーコート層は非多孔質であるが、インク透過性であり、水溶性インクで要素に印刷した画像の光学濃度を改善するように働く。オーバーコート層はまた、インク受理もしくは記録層の摩滅、インクのにじみ、および水による損傷を防止することができる。一般に、このオーバーコート層は、乾燥厚み0.1〜5μm、好ましくは0.25〜3μmで存在することができる。
【0093】
実際には、種々の添加剤を、インク受理もしくは記録層およびオーバーコートに使用できる。これらの添加剤としては、界面活性剤、例えばコーティング性を改善し、かつ乾燥したコーティングの表面張力を調整するための界面活性剤、pHを調節するための酸または塩基、帯電防止剤、沈殿防止剤、酸化防止剤、コーティングを架橋するための硬化剤、酸化防止剤、UV安定剤、光安定剤が包含される。その上、媒染剤を少量(ベース層の2〜10質量%)添加して、水による色あせを改善することができる。有用な媒染剤は、米国特許第5,474,843号に開示されている。
【0094】
インク受理もしくは記録層およびオーバーコート層を含む上記した層は、慣用のコーティング手段によって、当技術分野で普通に使用される透明または不透明支持体物質上にコーティングすることができる。コーティング法としては、限定されることはないが、ナイフコーティング、巻きワイヤロッドコーティング(wound wire rod coating)、スロットコーティング、スライドホッパー(slide hopper)コーティング、グラビア、カーテンコーティング、が包含され得る。これらの方法のうちの幾つかは、両方の層の同時コーティングを可能にし、これは、製造の経済的観点から好ましい。
【0095】
IRL(インクもしくは染料受理層)は、タイ(tie)層(TL)上にコーティングされ得る。インクもしくは染料受理もしくは記録層として有用であり得る、多くの公知の処方がある。第1の必要条件は、IRLが、所望の色領域および濃度を生じるように画像が形成されるインクと相溶性であることである。インク滴がIRLを通過するとき、インクもしくは染料は、IRL中に保持されるかまたは色止めされ得るが、一方では、インク溶媒はIRLを自由に通過し、TLによって急速に吸収され得る。さらには、IRL処方は好ましくは水からコーティングされ、TLへの適当な接着を示し、かつ表面光沢を容易に調節することを可能にする。
【0096】
例えば、ミスダ(Misuda)らは、米国特許第4,879,166号、第5,264,275号、第5,104,730号、第4,879,166号ならびに特公平1−095,091号公報、特公平2−276,671号公報、特公平2−276,670号公報、特公平4−267,180号公報、特公平5−024,335号公報および特公平5−016,517号公報において、擬似ボヘマイト(psuedo−bohemite)およびある種の水溶性樹脂の混合物を含む水性に基づくIRL処方を開示する。ライト(Light)は、米国特許第4,903,040号、第4,930,041号、第5,084,338号、第5,126,194号、第5,126,195号および第5,147,717号において、ビニルピロリドンポリマーおよびある種の水分散性および/または水溶性ポリエステルの混合物を、他のポリマーおよび追加物と共に含む、水性に基づくIRL処方を開示する。バターズ(Butters)らは、米国特許第4,857,386号および第5,102,717号において、ビニルピロリドンポリマーおよびアクリルもしくはメタクリル系ポリマーの混合物を含むインク吸収性樹脂層を開示する。サトウ(Sato)らは米国特許第5,194,317号において、およびヒグマ(Higuma)らは米国特許第5,059,983号において、ポリ(ビニルアルコール)に基づく水性のコーティング可能なIRL処方を開示する。イクバル(Iqbal)は米国特許第5,208,092号において、その後架橋され得るビニルコポリマーを含む、水溶性IRL処方を開示する。これらの例のほかに、上記した第1および第2のIRLの必要条件に一致する他の公知のまたは予想されるIRL処方があり得、そのすべてが、本発明の意図および範囲の下にある。
【0097】
IRLはまた、光沢、摩擦および/または指紋耐性を制御する目的で、種々の濃度および大きさのつや消し剤、表面の均質性を高め、かつ乾燥したコーティングの表面張力を調節するための界面活性剤、色止め料、酸化防止剤、UV吸収化合物、光安定剤を含むことができる。
【0098】
画像形成した要素の耐久性を高める目的で、IRLをオーバーコートすることがまた望ましくあり得る。そのようなオーバーコートは、要素が画像形成される前または後にIRLに施用され得る。例えば、IRLは、インクが自由に通過するインク透過性層でオーバーコートされることができる。このタイプの層は、米国特許第4,686,118号、第5,027,131号および第5,102,717号に記載されている。あるいは、オーバーコートは、要素が画像形成された後に添加されることができる。任意の公知のラミネートフィルムおよび装置を、この目的のために使用できる。上記した画像形成プロセスにおいて使用されるインクはよく知られており、インクの処方はしばしば、特定のプロセス、すなわち連続、圧電性または熱的なプロセスに密接に関連づけられる。したがって、特定のインクプロセスに依存して、インクは、溶媒、着色剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤の広範囲に異なる量および組合せを含むことができる。本発明の画像記録要素と組合せて使用するのに好ましいインクは、水溶性であり得る。しかしながら、与えられたインク記録プロセスまたは与えられた市販品の売主に固有のインクを用いて使用するために処方され得る、上記したような画像記録要素の代替的実施態様が、本発明の範囲内にあることが意図され得る。
【0099】
別の実施態様においては、写真要素を製造するために、複合支持体シートを、写真要素でコーティングすることができる。写真要素は、単色要素または多色要素であることができる。多色要素は、スペクトルの3つの主要領域のそれぞれに感光性の、画像インクもしくは染料−形成単位を含む。各単位は、与えられたスペクトル領域に感光性の単一乳剤層または多重乳剤層を含むことができる。要素の層(画像形成単位からなる層を含む)は、当技術分野で公知の種々の順序で配置することができる。代替形態では、スペクトルの3つの主要領域のそれぞれに感光性の乳剤が、単一の分けられた(single segmented)層として配置され得る。
【0100】
本発明のために有用な写真要素は一般に、当技術分野で慣用の方法によって、コロイド状マトリックス中でハロゲン化銀結晶を沈殿させることによって製造され得る。コロイドは典型的には、親水性膜形成剤、例えばゼラチン、アルギン酸またはその誘導体であり得る。
【0101】
沈殿工程において形成される結晶は洗浄され、次いで、スペクトル増感染料および化学増感剤を添加し、かつ、その間乳剤温度が典型的には40℃〜70℃に上げられ、一定時間維持され得る加熱工程を提供することによって、化学増感およびスペクトル増感されることができる。本発明において使用される乳剤の製造で用いられる、沈殿ならびにスペクトル増感および化学増感法は当技術分野で公知の方法であることができる。
【0102】
乳剤の化学増感は典型的には、増感剤、例えば:硫黄含有化合物、例えばアリルイソチオシアネート、チオ硫酸ナトリウムおよびアリルチオ尿素、還元剤、例えばポリアミンおよびスズ(II)塩、貴金属化合物、例えば金、白金およびポリマー剤、例えばポリアルキレンオキシドを使用する。記載したように、熱処理を使用して、化学増感を完了することができる。スペクトル増感は、染料の組合せを用いて行うことができ、これは、可視または赤外のスペクトル内で関心のある波長領域について設計される。熱処理の前および後の両方にそのような染料を添加することが知られている。
【0103】
スペクトル増感後、乳剤を支持体上にコーティングすることができる。種々のコーティング技術としては、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、カーテンコーティングおよび押出しコーティングが含まれる。
【0104】
本発明において使用されるハロゲン化銀乳剤は、任意のハロゲン化物分布から成り得る。かくして、塩化銀、臭化銀、臭化塩化銀、塩化臭化銀、ヨウ化塩化銀、ヨウ化臭化銀、臭化ヨウ化塩化銀、塩化ヨウ化臭化銀、ヨウ化臭化塩化銀およびヨウ化塩化臭化銀の乳剤から成り得る。主に塩化銀とは、乳剤の粒状物が、50モル%より多い塩化銀であることを意味する。好ましくは、90モル%より多い塩化銀であり、最適には、95モル%より多い塩化銀である。
【0105】
ハロゲン化銀乳剤は、任意の大きさおよび形態の粒状物を含むことができる。かくして、粒状物は、立方体、八面体、立方−八面体の形態または、立方格子タイプのハロゲン化銀粒状物の任意の他の天然に生じる形態をとりうる。さらに、粒状物は、不規則な、例えば球状の粒状物または平板状またはコア/シェルの粒状物であることができる。平板状または立方体の形態を有する粒状物が好ましい。
【0106】
写真材料を含むことができる本発明の要素は、写真現像処理の理論(The Theory of the Photographic process)、第4版、T.H.ジェイムズ(James)、マクミラン パブリシング カンパニー社 (Macmillan Publishing Company Inc.)、1977年、151−152頁に記載された乳剤を使用できる。還元増感は、ハロゲン化銀乳剤の写真感光性を改善することが知られている。還元増感されたハロゲン化銀乳剤は一般に良好な写真露光感度を示すが、しばしば、望ましくないかぶりおよび劣った貯蔵安定性を欠点としてもつ。
【0107】
還元増感は、銀イオンを還元して金属銀原子を形成する化学品である還元増感剤の添加によって、または還元環境、例えば高いpH(過剰の水酸化物イオン)および/または低いpAg(過剰の銀イオン)を提供することによって、計画的に行うことができる。ハロゲン化銀乳剤の沈殿中に、例えば、硝酸銀またはアルカリ溶液が急速に添加されるか、または乳剤粒状物を形成するのに混合が不十分なときに、意図しない還元増感が生じ得る。また、熟成剤(ripener)(粒状物成長変性剤)、例えばチオエーテル、セレノエーテル、チオ尿素またはアンモニアの存在下でのハロゲン化銀乳剤の沈殿は、還元増感を助長する傾向がある。
【0108】
沈殿中またはスペクトル/化学増感中に使用して、乳剤を還元増感することができる還元増感剤および環境の例としては、アスコルビン酸誘導体、スズ化合物、ポリアミン化合物および、米国特許第2,487,850号、第2,512,925号および英国特許第789,823号に記載されたチオ尿素二酸化物に基づく化合物が包含される。還元増感剤または条件の詳細な例、例えばジメチルアミンボラン、塩化スズ(II)、ヒドラジン、高pH(pH8−11)および低pAg(pAg1−7)熟成は、S.コリアー(Collier)により、Photographic Science and Engineering, 23, 113(1979)にて議論されている。計画的に還元増感したハロゲン化銀乳剤の製造方法の例は、EP0,348,934A1(ヤマシタ(Yamashita))、EP0,369,491(ヤマシタ(Yamashita))、EP0,371,388(オーハシ(Ohashi))、EP0,396,424 A1(タカダ(Takada))、EP0,404,142A1 (ヤマダ(Yamada))およびEP0,435,355A1(マキノ(Makino))に記載されている。
【0109】
本発明の写真要素は、リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1994年9月、項36544、第I節[ケネス メイソン パブリケーションズ社(Kenneth Mason Publications, Ltd.),ダドレー アネックス(Dudley Annex)、12a ノース ストリート(North Street)、エムスワース(Emsworth)、ハンプシャー(Hampshire)PO10 7DQ、英国により刊行]に記載された、第VII族金属、例えばイリジウム、ロジウム、オスミウムおよび鉄を用いてドープした乳剤を使用することができる。その上、ハロゲン化銀乳剤の増感におけるイリジウムの使用の一般的概略は、キャロル(Carroll)、「イリジウム増感:文献概説(Iridium Sensitization: A Literature Review)」、Photographic Science and Engineering, 第24巻、No.6、1980年に含まれる。イリジウム塩の存在下で乳剤を化学増感することによるハロゲン化銀乳剤の製造方法および写真スペクトル増感染料は、米国特許第4,693,965号に記載されている。幾つかの場合には、そのようなドープ剤を組み込むことができるときには、乳剤は、ザ ブリティッシュ ジャーナル オブホトグラフィー アニュアル(The British Journal of Photography Annual)、1982年、201−203頁に記載されたカラー反転E−6現像処理で現像処理されるとき、新たなかぶりの増加および低いコントラスト感光度曲線を示す。
【0110】
典型的な多色写真要素は、少なくとも1つのシアン染料形成カプラーを組み合わせた少なくとも1つの赤色感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むシアンインクもしくは染料画像形成単位、少なくとも1つのマゼンタ染料形成カプラーを組み合わせた少なくとも1つの緑色感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むマゼンタ画像形成単位、および、少なくとも1つのイエロー染料形成カプラーを組み合わせた少なくとも1つの青色感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むイエロー染料画像形成単位を有する本発明のラミネートされた支持体を含む。要素は、さらなる層、例えばフィルター層、中間層、オーバーコート層、下塗り層(subbing layer)を含むことができる。支持体はまた、白黒の写真印刷要素のために使用できる。
【0111】
写真要素はまた、透明磁気記録層、例えば、米国特許第4,279,945号および第4,302,523号におけるような、透明支持体の下面に磁気粒子を含む層を含むことができる。本発明は、リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1997年9月、項40145に開示された材料と共に使用することができる。本発明は特に、節XVIおよびXVIIの材料カラー紙の例と共に使用するのに適当であり得る。節IIのカプラーがまた特に適当である。節IIのマゼンタI(MagentaI)カプラー、特に以下に示すM−7、M−10、M−18およびM−18が特に望ましい。以下の表においては、(1)リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1978年12月、項17643、(2) リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1989年12月、項308119および(3) リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1994年9月、項36544が参照され、すべてが、ケネス メイソン パブリケーションズ社(Kenneth Mason Publications, Ltd.),ダドレー アネックス(Dudley Annex)、12a ノース ストリート(North Street)、エムスワース(Emsworth)、ハンプシャー(Hampshire)PO10 7DQ、英国により刊行されている。表および表で引用した参考文献は、本発明の要素において使用するのに適当な特定の成分を記載するものと読まれるべきである。表およびその引用した参考文献はまた、要素およびそれに含まれる画像を製造し、露光し、現像処理し、かつ処理する適当な方法を記載する。
【0112】
【表2】
【0113】
写真要素は、電磁スペクトルの紫外、可視および赤外領域を含む種々の形態のエネルギーならびに、電子ビーム、ベータ放射、ガンマ放射、X−線、アルファ粒子、中性子放射および、レーザーにより生成されるように、非干渉性(ランダム位相)形態または干渉性(同じ位相)形態での、他の形態の微粒子および波状放射エネルギーにて露光することができる。写真要素がX−線によって露光されることを意図されるときには、慣用のX−線撮影要素に見出される特徴を含むことができる。
【0114】
写真要素は好ましくは、典型的にはスペクトルの可視領域で、化学線放射に露光されて、潜像を形成し、次いで、好ましくは熱処理以外によって、現像処理されて可視像を形成する。現像処理は好ましくは、公知のRA−4.(商標)(イーストマン コダック カンパニー(Eastman Kodak Company))Processまたは、高塩化物乳剤の現像に適当な他の処理系で行うことができる。本発明はまた、支持体ならびに上記したハロゲン化銀粒状物を含有する少なくとも1層の光感光性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真記録要素に関する。
【0115】
本明細書で開示した記録要素はインクジェットプリンターのために有用であると主に言及したが、それらはまたペンプロッタアセンブリ(pen plotter assembly)のための記録媒体として使用することができる。ペンプロッタは、インクレシーバーと接触した1束の毛細管からなるペンを用いて記録媒体の表面に直接書くことによって機能する。
【0116】
【実施例】
以下の実施例は、本発明をさらに説明することを意図しており、限定するものではない。
多孔質ポリエステル粒子 PE−1 〜 PE−4 の製造
前駆体ポリエステルPP−1〜PP−3はすべて、2−工程溶融重縮合プロセスによって合成された。化学組成を表1に挙げ、反応時間および最終的な分子量を表2に挙げる。SIP、CHDM、ジブチルスズ酸 (dibutylstannoic acid)、酢酸亜鉛および酢酸ナトリウムを、ステンレス鋼の撹拌棒、窒素入口および、制御された真空系に出口が接続されているドライアイス/アセトン冷却管へ続くアームを備えた500mlの3つ口フラスコ中で合わせた。留出物を集め、測定するために、目盛付きシリンダーを、すり合わせガラスジョイントで冷却管の下に接続した。反応は、金属加熱合金を有するサーモスタット付きの浴中で加熱された。安定した窒素流を反応混合物の上を10分間通した後、わずかに正の流れに減じた。透明なプレポリマーが生じ、計算された量のメタノール留出物がすり合わせシリンダーに集められるまで、〜100RPMで撹拌しながら、温度を210〜230℃に100〜250分間保持した。反応物を浴から取り出し、冷却した。次に、FAおよびIPAを添加し、冷却管に氷を入れた。反応を220℃で再開し、20分以内に水凝縮物が集まり始めた。溶融物の粘度が、ポリエステルがもはや有効に撹拌できなくなる点に増加するまで、反応を220℃にて130〜460分間保持し、反応を終了した。
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
前駆体ポリエステルPP−4は、PP−1〜PP−3について上記で使用したのと同じ装置および同様の2−工程の手順を用いて合成した。第1工程においては、SIP(82.41g、0.28モル)、ヒドロキノン−ビス−ヒドロキシエチルエーテル(HQBHE)(110.29g、0.56モル)、酢酸ナトリウム(2.28g)およびチタンイソプロポキシド(4滴)を、500mlの3つ口丸底フラスコ中で合わせ、220〜240℃で70分間加熱し、その時点で、透明なわずかにオレンジ色のプレポリマーが形成され、計算された量のメタノール凝縮物が集められた。次に、反応物を冷却し、フマル酸ジエチル(47.90g、0.28モル)を添加した。反応を再開し、200℃で100分間加熱した後、220℃で120分間加熱した。次に、減圧を始め、環境圧力から20トルまで2分間かけて減らした。溶融物の粘度は急速に増加し始め、反応を終了した(Mn=2940、Mw=5440)。
【0120】
ポリエステル粒子PE−1〜PE−4はすべて、以下の手順によって合成された。表3に示した量の水中に適当な前駆体ポリエステルを分散させることによって、水性相を製造した。水は一般に、40〜60℃に加熱されなければならず、前駆体ポリエステル中のSIPモノマーの量に依存して、前駆体ポリエステルが完全に分散されるのに20分間〜16時間を要した。水性相をチーズクロスでろ過し、トルエン、DVB、ヘキサデカンおよびAIBNからなる有機相を有するビーカー中で合わせた。2相を、任意の表3に挙げた3つの方法により乳化し、機械的撹拌器および、窒素入口を有する還流冷却管を付けた適当な大きさの3つ口の1Lの丸底フラスコに移した。不透明な白色のミクロ懸濁物を、窒素で10分間発泡脱気した後、70℃で16時間1晩加熱した。得られた粒子分散物を室温に冷却し、ローラリーエバポレータにより水共沸混合物としてトルエンを除去した。分散物を、4〜6体積の水で洗浄し、100Kの切断した螺旋に巻いた(spiral−wound)透析カートリッジを有するミリポア アミコン(Millipore Amicon)限外ろ過系を用いて、9〜25%固形分量まで濃縮した。各PE分散物の正確な濃度を表4に挙げる。
【0121】
【表5】
【0122】
粒径および粒径分布の決定
各粒子の粒径および粒径分布は、レーザー散乱粒径分布アナライザー、HoribaLA−920(ホリバ(Horiba)LTDにより製造)を用いて測定した。PE−1〜PE−4についての結果は表4にある。
【0123】
【表6】
【0124】
実施例1
対照要素 C−1 (大きさの大きい粒子の単層)の製造
53.92質量%の分散物PE−3、2.18質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および43.90質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、コーティング組成物を製造した。コーティング組成物を、スロットダイコーティング装置に計量して供給し、予め、約2.4m/分の速度で動かして、コロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした写真用紙ストックからなるベース支持体上にコーティングした。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、インク受理層を形成した。乾燥インク受理層の厚みは、約15±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素1の製造
対照要素C−1と同じにコーティング組成物(溶液S−3)を製造した。62.78質量%の分散物PE−1、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および35.72質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−1)を製造した。両コーティング組成物を、多重スロットダイコーティング装置に計量して供給し、同時にコーティングし、溶液S−3は、溶液S−1より下に(支持体に近い方に)、予め、約2.4m/分の速度で動かして、コロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした写真用紙ストックからなるベース支持体上に、コーティングされた。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、2−層画像受理要素を形成した。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約19±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素2の製造
溶液S−1が59.08質量%の分散物PE−1、2.0質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および38.92質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって80/20質量比である]であったこと以外は要素1と同じに、コーティング組成物S−3およびS−1を製造した。要素1と同じに、コーティング組成物をコーティングし、乾燥した。溶液S−3は、溶液S−1より下に(支持体に近い方に)コーティングされた。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約20±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素3の製造
対照要素C−1と同じにコーティング組成物(溶液S−3)を製造した。65.54質量%の分散物PE−2、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および32.96質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−2)を製造した。要素1と同じに、コーティング組成物をコーティングし、乾燥した。溶液S−3は、溶液S−2より下に(支持体に近い方に)配置された。乾燥下方層の厚みは約12±2μmであると測定され、乾燥上方層の厚みは約9±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素4の製造
層の厚みが異なっていたこと以外は要素3と同じに、コーティング組成物S−3およびS−2を製造し、コーティングし、乾燥した。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約12±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素5の製造
対照要素C−1と同じにコーティング組成物(溶液S−3)を製造した。48.30質量%の分散物PE−4、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および50.20質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物S−4を製造した。要素1と同じに、コーティング組成物をコーティングし、乾燥した。溶液S−3は、溶液S−4より下に(支持体に近い方に)配置された。乾燥下方層の厚みは約20±2μmであると測定され、乾燥上方層の厚みは約5±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
印刷
実施例1の上記要素および対照要素を、Lexmark Z51インクジェットプリンターおよび、銅フタロシアニン染料(クラリアント ダイレクト ターコイズ ブルー(Clariant Direct Turquoise Blue)FRL−SF)を用いた標準処方を使用して製造されたシアンインクジェットインクを用いて印刷した。D−max(最高濃度設定)での赤色チャネル濃度(シアン)パッチを、X−Rite(商標)820濃度計を用いて読んだ。シアン濃度を表5に報告する。
表面光沢測定
印刷されていないインク受理層の上表面の光沢を、BYKガードナー(Gardner)光沢計を用いて、照明/反射の角度60°にて測定した。結果は、鏡面光沢値100を有する、屈折率1.567を有する高度に磨いた黒色ガラスに関連させる。結果を表5に報告する。
インク乾燥時間の測定
米国特許第6,001,161号からのダイ6(Dye 6)を用いた標準処方を使用して製造されたマゼンタインクジェットインクの(10マイクロリットルの毛細管からの)1滴を、それぞれの印刷していない要素上に置き、この箇所が指触乾燥状態となるのに要する時間を、表5に示すように、「インク乾燥時間」として測定した。
【0125】
【表7】
【0126】
上記結果は、上方層が平均直径0.5マイクロメートル未満を有する多孔質ポリエステル粒子を含むとき、多層インク受理層構造を有する要素について、高い表面光沢および改善された印刷濃度が達成できることを示す。
実施例2
コア − シェルラテックス分散物 D−1 の合成
本発明において使用されるコア−シェルラテックスは逐次乳化重合技術によって製造され、この方法においては、コアポリマーラテックスがまず重合された後、第2のモノマー懸濁物が逐次供給される。この合成において以下の試薬を使用した。
【0127】
【0128】
試薬の組合せAを、窒素入口、機械的撹拌器および冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコに仕込んだ。フラスコを80℃の一定温度の浴に浸し、窒素で20分間パージした。試薬Bを添加した後、試薬混合物Cを2時間かけて添加した。混合物(C)を一定に撹拌して、混合物を懸濁物の形態に保持した。重合を30分間続け、ラテックスを40℃に冷却した。第2のモノマー懸濁物(D)を製造し、同じ方法で添加した。全添加時間は2時間であった。ラテックスを40℃でさらに1時間加熱し、4mlの10質量%t−ブチルヒドロペルオキシドおよび10質量%のホルムアルデヒド−亜硫酸塩を添加して、残留モノマーを除去した。反応を30分間保持し、室温に冷却し、ろ過して、分散物D−1が得られた。
【0129】
ラテックス分散物はpH=2.0を有しており、数滴の水酸化ナトリウム希薄溶液を添加してpH=6.0に調整した。水性分散物の濃度は16.74質量%固形分量であった。粒子の平均直径は117ナノメートルであると測定された。
要素6の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造した。50.8質量%の分散物D−1、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および47.7質量%の水[有機ポリマー粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−5)を製造した。両コーティング組成物を多重スロット−ダイコーティング装置に計量して供給し、同時にコーティングした。溶液S−3は、溶液S−5より下に(支持体に近い方に)、予め、約2.4m/分の速度で動かして、コロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした写真用紙ストックからなるベース支持体上に配置された。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、2−層画像受理要素を形成した。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約26±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
非多孔質ポリエステル粒子の合成
トルエン成分を添加せず、それで共沸除去工程を必要としなかったこと以外は、PE−1〜PE−4について使用したのと同じ手順によって、非多孔質ポリマー粒子PE−5を合成した。水性分散物の濃度は、12.78質量%固形分量であった。粒子の平均直径は307ナノメートルであると測定された。
要素7の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造した。66.5質量%のポリエステル粒子PE−5、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および32.0質量%の水[ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−6)を製造した。両コーティング組成物を多重スロット−ダイコーティング装置に計量して供給し、同時にコーティングした。溶液S−3は、溶液S−6より下に(支持体に近い方に)、予め、約2.4m/分の速度で動かして、コロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした写真用紙ストックからなるベース支持体上に配置された。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、2−層画像受理要素を形成した。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約28±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
要素8の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造し、コーティングし、乾燥して、層L−1を形成した。55.2質量%のコロイド状シリカ溶液TX−11005(水中に30.8質量%のシリカ、挙げられた粒径は118ナノメートル、ナルコ ケミカル カンパニー(Nalco Chemical Company)から)、3.0質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および41.8質量%の水[シリカ粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−7)を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、層L−1上に溶液S−7をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去して、層L−2を形成した。層L−1の厚みは約15±2μmであると測定され、層L−2の厚みは約3±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
要素9の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造し、コーティングし、乾燥して、層L−1を形成した。42.5質量%のヒュームドアルミナ溶液(水中の40質量%アルミナ、キャボット コーポレーション(Cabot Corporation)からのCab−O−Sperse(商標))、1.8質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)、0.8質量%の2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン(クラリアント コーポレーション(Clariant Corp.))および54.9質量%の水から、第2のコーティング組成物(溶液S−8)を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、層L−1上に溶液S−8をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去して、層L−3を形成した。層L−1の厚みは約15±2μmであると測定され、層L−3の厚みは約3±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
要素 10 の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造し、コーティングし、乾燥して、層L−1を形成した。100質量%のViviprint 540(インターナショナル スペシャルティ プロダクツ(International Specialty Products)からの、水中の10質量%ポリビニルピロリドンヒドロゲル)から、第2のコーティング組成物(溶液S−9)を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、層L−1上に溶液S−9をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去して、層L−4を形成した。層L−1の厚みは約15±2μmであると測定され、層L−4の厚みは約4±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
要素 11 の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造し、コーティングし、乾燥して、層L−1を形成した。10質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(エア プロダクツ アンド ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)からのAirvol 203S)および90質量%の水から、第2のコーティング組成物(溶液S−10)を製造した。盛りの付いたコーティングナイフを用いて、層L−1上に溶液S−10をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去して、層L−5を形成した。層L−1の厚みは約15±2μmであると測定され、層L−5の厚みは約1±0.5μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
【0130】
【表8】
【0131】
上記の結果は、上方層が平均直径0.5マイクロメートル未満を有する有機もしくは無機粒子を含むとき、または表面層が実質的に粒子を含まないときに特に、多層インク受理層構造を有する要素について、対照要素C−1を用いて得られるのと比べて、高い光沢および改善された印刷濃度が達成できることを示す。
実施例3
対照要素 C−2 の製造
対照要素C−2は、高含有量のゼラチンを含んで成るインク受理層を含む、市販されていて入手可能なインクジェット非多孔質レシーバー用紙、イーストマン コダック(Eastman Kodak Co.)社からの「コダック インクジェット フォト ペーパー(Kodak Inkjet Photo Paper)」、カタログNo.1181197であった。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびインク乾燥時間を測定した。60度で測定された表面光沢は84であり、インク乾燥時間は150秒であると測定された。
要素 12 の製造
要素3と同じに、コーティング組成物(溶液S−2)を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、対照要素C−2上に溶液S−2をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。この層の厚みは約3±1μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびインク乾燥時間を測定した。60度で測定した表面光沢は57であり、インク乾燥時間は20秒であると測定され、対照要素C−2について測定したのよりはるかに速かった。
実施例4
対照要素 C−3 の製造
対照要素C−3は、高含有量のシリカ微粒子を含んで成るインク受理層を含む、市販されていて入手可能なインクジェット多孔質レシーバー用紙、エプソン(Epson)からの「エプソン プレミアム グロッシー フォト ペーパー(Epson Premium Glossy Photo Paper)」、カタログNo.SO41286であった。要素 13 の製造
要素3と同じに、コーティング組成物(溶液S−2)を製造し、目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、対照要素C−3上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。この層の厚みは約4±2μmであると測定された。
対照要素 C−4 の製造
ヒュームドアルミナ(Cab−O−Sperse(商標)PG003、キャボット社(Cabot Corp.))、ポリ(ビニルアルコール)(Gohsenol(商標)GH−23A、ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.))および2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン(クラリアント社(Clariant Corp.))を、88:10:2の質量比で合わせることによってコーティング組成物(溶液S−11)を製造して、30質量%固形分量の水性コーティング処方を与えた。
【0132】
ヒュームドアルミナ(Cab−O−Sperse(商標)PG003、キャボット社(Cabot Corp.))、ポリ(ビニルアルコール)(Gohsenol(商標)GH−23A、ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.))ならびに、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドおよびジビニルベンゼンのコポリマー(モル比87:13)を85:3:12の質量比で合わせることによってコーティング組成物(溶液S−12)を製造して、10質量%固形分量の水性コーティング処方を与えた。ヒュームドアルミナ粒子は、直径約7〜40nmの主要粒径を有し、約150nmまで集合している。界面活性剤Zonyl(商標)FSN(デュポン社(E.I. du Pont de Nemours and Co.)およびOlin(商標)10G(ディキシー ケミカル社(Dixie Chemical Co.))を、コーティング助剤として少量添加した。
【0133】
両コーティング組成物を多重スロット−ダイコーティング装置に計量して供給し、予めコロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした紙ベースからなるベース支持体上に40℃にて同時にコーティングし、溶液S−11は、溶液S−12より下に(支持体に近い方に)配置された。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、2−層画像受理要素を形成した。底部層および最上部層の厚みはそれぞれ、40μmおよび2μmであった。
要素 14 の製造
要素3と同じに、コーティング組成物(溶液S−2)を製造し、目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、対照要素C−4上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。この層の厚みは約4±2μmであると測定された。
対照要素 C−5 の製造
70質量%溶液としての乾燥で254gの沈降炭酸カルシウムAlbagloss−s(商標)(スペシャルティ ミネラルズ社(Specialty Minerals Inc.))、乾燥で22gのシリカゲルGasil(商標)23F(クロスフィールド社(Crosfield Ltd.))、10質量%溶液としての乾燥で2.6gのポリ(ビニルアルコール)Airvol(商標)125(エアプロダクツ(Air Products))および50質量%溶液としての乾燥で21gのスチレン−ブタジエンラテックスCP692NA(商標)(ダウ ケミカルズ(Dow Chemicals))を混合することによって、ベース層のためのコーティング組成物を製造した。コーティング組成物の質量%固形分量は、水の添加により、35質量%に調整した。ベース層コーティング組成物を、185g/m2の基本重量を有する紙支持体(イーストマン コダック社(Eastman Kodak Co.))上に25℃でビーズコーティングし、45℃で強制風乾した。ベース層の厚みは25μmであった。
要素 15 の製造
要素3と同じに、コーティング組成物(溶液S−2)を製造し、目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、対照要素C−5上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。この層の厚みは約2±0.5μmであると測定された。
インク乾燥時間の測定
米国特許第6,001,161号からのダイ6(Dye 6)を用いた標準処方を使用して製造されたマゼンタインクジェットインクの(5マイクロリットルの毛細管からの)1滴を、それぞれの印刷していない要素上に置き、この箇所が指触乾燥状態となるのに要する時間を「インク乾燥時間」として測定した。
印刷および染料安定性試験
実施例4の上記要素および対照要素を、Lexmark Z51インクジェットプリンターおよび、銅フタロシアニン染料(クラリアント ダイレクト ターコイズ ブルー(Clariant Direct Turquoise Blue)FRL−SF)を用いた標準処方を使用して製造されたシアンインクジェットインクを用いて印刷した。D−max(最高濃度設定)での赤色チャネル濃度(シアン)パッチを、X−Rite(商標)820濃度計を用いて読んだ。シアン濃度を表5に報告する。次に、印刷した要素を、5ppmのオゾンを含む窒素流へ4日間の暴露に供した。各パッチの濃度は、暴露試験後に、X−Rite(商標)820濃度計を用いて読んだ。%染料保持率を、暴露試験後濃度対暴露試験前濃度の比として計算した。シアンD−maxについての結果を表7に報告する。
【0134】
【表9】
【0135】
上記結果は、上方層が0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する多孔質ポリエステル粒子を含むときに特に、多層インク受理層構造を有する要素について、表面光沢およびインク乾燥時間を維持しながら、改善された染料安定性が達成できたことを示す。
実施例5
ポリエステル − ウレタン (PEU−1) を含むビーズの 2− 工程製造
ポリエステル − ジオールプレポリマー:無水マレイン酸(107.61g、1.10モル)、ネオペンチルグリコール(137.15g、1.32モル)およびFascat 4100(〜5mg、触媒量)を用いて、以下に記載するPEC−1の製造の工程1に記載したのと同じやり方で、この反応を設定し、進めた。アルコール末端基は、内部標準を用いた1HNMRを使用して直接定量によって決定した。2.0ミリ当量ROH/gポリマーの決定値は、1036.3g/モルの数平均分子量に相当する。
【0136】
ポリエステル − ウレタンを含む粒子:先の工程からのポリエステル−ジオールオリゴマー(10.00g)、トルエン(55.20g)、Desmodur N3300(商標)トリイソシアネート樹脂(3.80g)、オクタン酸スズ(II)(0.05g)、ジブチルスズジラウレート(0.05g)、80%ジビニルベンゼン(41.40g、mおよびp異性体の混合物であり、残部はエチルスチレン)、ヘキサデカン(2.21g)およびAIBN開始剤(1.03g)から成る有機相を製造した。透明な不均質溶液が生じるまで、成分を撹拌した。脱イオン水(120.00)に溶かしたドデシル硫酸ナトリウム(4.40g)から成る水性相を製造した。2相を合わせ、シルバーソン(Silverson) L4Rミキサーを用いて最高速度で10分間乳化した後、M−110T Microfluidizer(商標)(ミクロフリュイディクス(Microfluidics)により販売)を2回通過させた。得られた乳剤を、機械的撹拌器、冷却管および窒素入口を装備した3つ口の2000mlの丸底フラスコに注ぎ、窒素にて10分間発泡脱気した。乳剤を、激しく撹拌しながら、サーモスタット付き水浴中で70℃にて16時間加熱し、ロータリーエバポレーターによる蒸発によってトルエンを除去した。得られた粒子分散物は10.23%固形分量を有していた。Horiba(商標)LA−920粒子サイジング装置を用いた生成物分散物の分析は、平均粒子直径0.153μmを有する単一モードを示した。
要素 16 の製造
48.7質量%のPEU−1水性分散物(水中10.23質量%固形分)、5.0質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および46.3質量%の水[多孔質有機粒子対PVAの相対割合は、したがって50/50質量比である]から、コーティング組成物を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、コーティング組成物を対照要素C−5上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。実施例6
ポリエステル − カーボネート (PEC−1) を含む多孔質ビーズの 3− 工程製造
ポリエステル − ジオールプレポリマー:フマル酸(100.00g、6.61 x 10−1モル)、シクロヘキサンジメタノール(174.04g、1.20モル)およびFascat 4100(〜10mg、触媒量)を、機械的撹拌器および凝縮物の体積を測定するための目盛付きシリンダーを備えた冷却管アセンブリに至るサイドアームを装備した500mlの1つ口丸底フラスコ中で合わせた。反応を、低温融解加熱合金で満たした浴中に置き、温度を50分かけて150℃から220℃へ上げ、次いで220℃にて200分間保持し、その時点で、〜32mlの凝縮物が集められた。溶融ポリエステルを室温に冷却し、液体窒素中で凍結させ、ハンマーで破壊し、真空オーブン中で60℃にて1晩乾燥した。アルコール末端基は、重クロロホルム中にポリエステルを溶解し、ポリエステルをトリフルオロアセチルイミダゾールで末端保護(endcapping)し、19F NMR末端基ピークを積分し、そして内部標準に対して標準化することによって決定した。2.28ミリ当量ROH/gポリマーの決定値は、877.19g/モルの数平均分子量に相当する。
【0137】
不飽和ポリエステル − カーボネート:先の工程からの不飽和ポリエステルジオールオリゴマー(43.85g、0.05モル)およびトリメチルアミン(22.26g、0.22モル)をジクロロメタン(150g)に溶かした。室温で撹拌しながら、ビスフェノールAビス(クロロホルメート)(47.66g、0.05g)のジクロロメタン(50ml)溶液を、〜20分かけてゆっくりと添加した。室温にて2時間反応を進め、その時間によって、著しく粘稠になり、100gのジクロロメタンでさらに希釈した。次に、生成物溶液を250mlの2%塩酸で1回、および水で2回抽出した。生成物溶液をメタノール中へ沈殿させ、60℃にて真空オーブン中で1晩乾燥した。示差走査熱量測定による分析は、89.4℃のTgを示した。ヘキサフルオロイソプロパノールでのサイズ排除クロマトグラフィーは、Mn=1,390およびMw=80,700を示した。幅広の曲線は、ポリマーが高度に分岐し得ることを示差した。
【0138】
ポリエステル − コ − カーボネートを含む粒子:先の工程からの不飽和ポリエステル−コ−カーボネート(10.00g)、トルエン(20.00g)、クロロメチルスチレン(5.00g)、80%ジビニルベンゼン(5.00g、mおよびp異性体の混合物であり、残部はエチルスチレン)、ヘキサデカン(0.80g)およびVazo 52(商標)開始剤(0.20g)から成る有機相を製造した。透明な不均質溶液が生じるまで、成分を撹拌した。脱イオン水(120.00)に溶かしたドデカンチオール末端保護したポリアクリルアミド10量体界面活性剤(1.60g、米国特許第6,127,453号第9欄第40−55行に記載されたようにして製造した)から成る水性相を製造した。2相を合わせ、Vibra Cell(商標)プローブ ソニケーター(probe sonicator)(ソニックス&マテリアルズ社(Sonics & Materials Inc.))を用いて、最高能力設定で10分間超音波処理した後、冷却管、窒素入口および機械的撹拌器を装備した500mlの3つ口丸底フラスコに移した。反応混合物を窒素で10分間発泡脱気し、サーモスタット付き水浴中で60℃にて16時間激しく撹拌しながら加熱した。次に、トルエンをロータリーエバポレーターによる蒸発によって除去し、ジメチルエタノールアミン(1.17g)を添加した。4級化反応を60℃で16時間進め、過剰のアミンおよび界面活性剤を、12−14Kの切断したセルロース透析チューブを用いて16時間透析によって除去して、13.3%固形分量の生成物分散物を得た。Horiba(商標)LA−920粒子サイジング装置を用いた生成物分散物の分析は、平均値粒子直径1.462μm、主要モード0.36μmおよびより小さいモード〜6μm(たぶん、二次的な集合による)を有する2モード分散を示した。
要素 17 の製造
38.0質量%の水性分散物PEC−1(水中に13.33質量%固形分量)、5.0質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA、(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co.,Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および57.0質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって50/50質量比である]から、コーティング組成物を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、コーティング組成物を対照要素C−5上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。乾燥インク受理層の厚みは約9±2μmであると測定された。
【0139】
実施例5の上記要素を、Lexmark Z51インクジェットプリンターおよび、銅フタロシアニン染料(クラリアント ダイレクト ターコイズ ブルー(Clariant Direct Turquoise Blue)FRL−SF)を用いた標準処方を使用して製造されたシアンインクジェットインクを用いて印刷した。D−max(最高濃度設定)での赤色チャネル濃度(シアン)パッチは、要素16については1.4、要素17については1.3であると測定され、対照要素C−5について測定された濃度よりはるかに高い。
本発明の他の特徴
本発明のインク記録要素は、さらなる態様を含み得る。インク記録要素のこれらのさらなる態様は、多孔質有機粒子が、インク記録要素の最上層より下に少なくとも1層の多孔質層を含み;多孔質有機粒子は、インク記録要素の多孔質最上層を含む、インク記録要素を包含する。要素はまた、インク記録要素の最上層より下に少なくとも1層の多孔質層を含む有機粒子;無機粒子を含み、かつ有機粒子を含まない、インク記録要素の最上層より下の多孔質層;膨潤性ポリマー、例えばゼラチン、ポリ(ビニルアルコール)およびスルホン化ポリマーを含む、最上層より下の少なくとも1層を特徴とし得る。別の態様においては、多孔質層はさらに、無機粒子または非多孔質有機粒子を含む。他の態様においては、要素はさらに、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、クレーもしくは硫酸バリウムを包含する無機粒子を含む。他の態様においては、要素は、スチレン−ブタジエンラテックス、ポリウレタンラテックスまたはアクリル系ラテックスを包含する非多孔質有機物を含む。特徴づけられた要素は、インクジェット記録要素を含む。本発明の他の態様においては、多孔質有機粒子は、ビニル系モノマーを反応させた不飽和縮合ポリマー、例えばポリエステル、ポリウレタン、特にポリウレタンがさらに主鎖不飽和を含むもの、ポリアミド、ポリ尿素、ポリカーボネート、または、エステル−コ−ウレタン、エステル−コ−尿素、エステル−コ−アミド、エステル−コ−カーボネートからなる群より選択される少なくとも1種を含む。別の態様においては、ビニルモノマーは、スチレン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニルおよびシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを含む。別の態様においては、不飽和縮合ポリマーは、4級アンモニウム部分を有するイオン性基を含む。別の態様においては、多孔質有機粒子は、該少なくとも2層のインク受理層の少なくとも80質量%を構成する。別の態様においては、多孔質有機粒子は、該インク記録要素の最上層に存在する多孔質ポリエステル粒子を含む。他の態様においては、これらの多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートル未満の平均直径を有するか、0.5マイクロメートルより大きい平均直径を有するか、または1〜3マイクロメートルもしくは1〜10マイクロメートルの平均粒子直径を有する。別の態様においては、インク記録要素の最上層に存在する多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートル未満の平均粒子直径を有する粒子を含む。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子はまたインク記録要素の最上層に存在し、最上層より下の少なくとも1層中の多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートルより上の大きさを有する粒子を含む。1つの態様においては、インク記録要素は、60度の測定角度で10以上の表面光沢を有する。多孔質粒子が最上層より下の層にある別の態様においては、最上層は、0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する有機もしくは無機粒子を含む。これらの最上層の有機もしくは無機粒子は、ラテックス粒子、スチレン、アクリル系もしくはメタクリル系モノマーから誘導されるポリマー、ポリエステル含有粒子を含むか、または無機粒子は、二酸化ケイ素、アルミナおよび硫酸バリウム粒子からなる群より選択される。別の態様においては、最上層はさらに、バインダーポリマー、例えばポリ(ビニルアルコール)、ゼラチン、スルホン化ポリエステルおよび水分散性ポリウレタンを含む。別の態様においては、最上層は実質的に粒子を含まず、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロゲルまたは有機ポリマーを含む。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含み、さらにスルホン化モノマーを含み、少なくとも10の酸価を有し、1,000〜30,000の分子量を有する前駆体ポリエステルを含む。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子は、イオン性単位1モルあたり40〜2000gの当量のイオン性基を有し、さらにスルホネート官能性を含む。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子は、有機バインダー、例えばポリ(ビニルアルコール)またはスルホン化ポリエステル中にあり、粒子は、2層以上のインク受理層の少なくとも1層の50〜95質量%または75〜90質量%を構成する。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子はさらに、スチレン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニルまたはシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーの共重合生成物を含む。別の態様においては、要素の最上層は、1〜20マイクロメートルの厚みを有し、インク記録要素は、10〜50マイクロメートルの厚みを有する。本発明はまた、2層インク受理層の少なくとも1層が多孔質ポリエステル粒子を含むインク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素を提供すること;および、プリンターを用いて該インク記録要素に印刷することを含む、印刷物を形成する方法を特徴づける。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク記録要素に関し、より詳細には、多孔質有機粒子を含む多層インク記録要素に関する。
【0002】
【従来の技術】
典型的なインクジェット記録系または印刷系においては、インク滴が高速でノズルから記録要素または媒体へと排出されて、画像を媒体上に生成する。インク滴または記録液体は通常、記録剤、例えば染料または顔料、および大量の溶媒を含む。溶媒または担体液体は典型的には、水、有機物質、例えば1価アルコール、多価アルコールまたはそれらの混合物からなる。
【0003】
インクジェット記録要素は典型的には、その少なくとも1つの表面にインク受理層または画像形成層を1層以上有する支持体を含み、反射して見ることを意図されたもの(不透明支持体を有する)および透過した光によって見ることを意図されたもの(透明支持体を有する)を包含する。
【0004】
ほとんど即時のインク乾燥時間および良好な画質を同時に提供するインクジェット記録要素が望ましい。しかしながら、記録要素が配慮する必要のある広範なインク組成およびインク体積が与えられると、インクジェット記録媒体のこれらの必要条件は、同時に達成することが困難である。
【0005】
多孔質または非多孔質の支持体の1面または両面で適当なインク受理層として働く多孔質または非多孔質の単層または多層のコーティングを使用するインクジェット記録要素が知られている。非多孔質コーティングを使用する記録要素は典型的には、良い画質および安定性を有するが、劣ったインク乾燥時間を示す。多孔質コーティングを使用する記録要素は典型的にはコロイド状粒子を含み、より乏しい画像安定性を有するが、優れた乾燥時間を示す。
【0006】
インクジェット印刷で使用するための、広く種々の異なるタイプの多孔質画像記録要素が知られているが、当分野には多くの未解決の問題があり、公知の製品には多くの欠陥があり、これらは、その商業的な有用性をひどく制限するものである。多孔質の画像記録層の設計における主な挑戦は、良好な品質の割れのないコーティングを得ることができることである。インクジェット記録要素に印刷することにより製造されたインクジェット印刷物は、環境による劣化に供される。それらは特に光による退色に弱く、空気中の気体状不純物、例えばオゾンおよび窒素酸化物から生じる退色がある。非常に膨潤性の親水性層は、望ましくないことには乾燥するのに長時間を要することがあり、これは印刷速度を遅くする。多孔質の層は、インク賦形剤の吸収を速めるが、しばしば不十分な光沢およびひどい染料の退色を欠点とする。多孔質層はまた、割れなしにコーティングするのが困難である。
【0007】
特開平07−137432号公報は、内部細孔を有するポリエステル樹脂粒子を含むインク吸収層を有するインクジェット紙を記載する。しかしながら、この要素については、ポリエステル樹脂の平均粒径が0.5μmより上であり、かつ要素は表面光沢が低いことに問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−137432号公報
【特許文献2】
特開平7−137433号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、速いインク取り込み速度を提供するインク記録要素を提供することである。本発明の別の目的は、高い表面光沢を有するインク記録要素を提供することである。本発明の別の目的は、印刷したときに、優れた画質および安定性を有する受理層を有するインク記録要素を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、2層以上のインク受理層の少なくとも1層が有機粒子を含み、かつ多孔質である、インク記録要素を含む。好ましい実施態様においては、本発明は、インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、2層以上のインク受理層の少なくとも1層が多孔質ポリエステル粒子を含む、インク記録要素を含む。別の実施態様は、インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、インク記録要素の最上層が、0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する多孔質ポリエステル粒子を含む、インク記録要素を含む。本発明はまた、インクジェット印刷物を形成する方法であって、インクジェット画像を受け入れることができる2層以上のインク受理層を含み、その層のうちの少なくとも1層が有機粒子を含み、有機粒子を含む層のうちの少なくとも1層が多孔質であるインク記録要素を提供すること、およびインクジェットプリンターを用いてインク記録要素に印刷することを含む方法を包含する。
【0011】
本発明を用いると、改善されたインク取り込み速度を提供し、印刷したときに優れた画質を有する記録要素を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のインク記録要素は、インク受理層を2層以上含んで成り、2層以上のインク受理層の少なくとも1層が有機粒子を含み、かつ多孔質である。好ましい実施態様においては、本発明のインク記録要素は、少なくとも2層のインク受理層を含む。インク受理層のうちの少なくとも1層は有機粒子を含むことができ、多孔質である。別の実施態様においては、最上層の下の層のうちの少なくとも1層が多孔質であり、かつ有機粒子を含むことができる。別の実施態様においては、有機粒子を含む多孔質層は、インク記録要素の最上層であり得る。別の実施態様は、有機粒子を含む多孔質の最上層および、それより低い少なくとも1層の有機粒子を含む多孔質層を含むことができる。さらなる実施態様においては、有機粒子を含む多孔質層が多数あることができ、これらの層はまた無機粒子を含むことができる。最も好ましい実施態様においては、多孔質有機粒子は、多孔質ポリエステル粒子を含む。
【0013】
本発明において好ましく使用される多孔質有機粒子は、多孔質ビーズ、多孔質の不規則な形の粒子の形態であることができるか、またはエマルジョン粒子の集合体であることができる。本発明において使用される適当な多孔質有機粒子、好ましくはポリマー粒子は、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂またはセルロース誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートおよびエチルセルロース;ポリビニル樹脂、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルとのコポリマーおよびポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、およびエチレン−アリルコポリマー、例えばエチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー、エチレンアクリルコポリマーおよびポリオキシ−メチレン;重縮合ポリマー、例えばポリエステルまたはポリエステル含有ポリマー(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを含む)、ポリウレタンならびにポリカーボネートを包含する。
【0014】
本発明の好ましい実施態様においては、多孔質有機粒子、好ましくはポリマー粒子は、スチレン系モノマーまたはアクリル系モノマーから作られる。任意の適当なエチレン性不飽和モノマーもしくはモノマー混合物を、そのようなスチレン系もしくはアクリル系ポリマーの製造において使用できる。例えば、スチレン系化合物、例えばスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン、ビニルベンジルクロリドもしくはビニルナフタレン;またはアクリル系化合物、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチル−α−クロロアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびそれらの混合物が使用できる。別の好ましい実施態様においては、メチルメタクリレートが使用される。
【0015】
本発明において使用される多孔質有機粒子、好ましくはポリマー粒子を作るのに使用される典型的な架橋モノマーは、芳香族ジビニル化合物、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンまたはそれらの誘導体;ジエチレンカルボキシレートエステルおよびアミド、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、および他のジビニル化合物、例えばジビニルスルフィドまたはジビニルスルホン化合物であり得る。ジビニルベンゼンおよびエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。多孔質ポリマー粒子は、架橋度27モル%以上、好ましくは50モル%以上、最も好ましくは100モル%を有する。架橋度は、多孔質有機粒子、好ましくはポリマー粒子中に組み込まれる多官能性架橋モノマーのモル%により決定される。
【0016】
本発明において使用される多孔質有機粒子は、例えば多孔質有機化合物の粉砕および分級によって、有機モノマーの乳化重合、懸濁重合および分散重合によって、有機化合物を含む溶液の噴霧乾燥によって、または、有機物質を水と混和性でない溶媒に溶かし、この溶液を水性溶液中に細かい液滴として分散させ、かつ蒸発または他の適当な技術により溶媒を除去することから成るポリマー懸濁技術によって、製造することができる。バルク重合、乳化重合、分散重合および懸濁重合の手順は、ポリマーの技術分野の当業者によく知られており、G.オディアン(Odian)の「重合の原則(Principles of Polymerization)」、第2版、ウィリー(Wiley)(1981年)、およびW.P.ソレンソン(Sorenson)およびT.W.キャンベル(Campbell)の「ポリマー化学品の製造方法(Preparation Method of Polymer Chemistry)」、第2版、ウィリー(Wiley)(1968年)のような教科書に教示されている。
【0017】
多孔質有機ポリマー粒子を合成するための技術は、例えば米国特許第5,840,293号;第5,993,805号;5,403,870号および第5,599,889号ならびに特開平5(1993)−222108号公報に教示されている。例えば不活性流体またはポロゲン(porogen)を、多孔質ポリマー粒子の製造において使用されるモノマーと混合することができる。重合が終了後、得られたポリマー粒子は、この時点で実質的に多孔質である。というのは、ポリマーがポロゲンのまわりに形成され、それによって孔の網目構造を形成したからである。この技術は、先に言及した米国特許第5,840,293号において十分に記載されている。
【0018】
本発明において使用される多孔質有機粒子を製造する好ましい方法は、水性媒体中に架橋モノマーおよびポロゲンを含むエチレン性不飽和モノマー滴の懸濁物または分散物を形成すること、モノマーを重合して固体の多孔質ポリマー粒子を形成すること、および任意的に真空除去によりポロゲンを除去することを包含する。かくして製造された粒子は、比表面積により測定した間隙率35m2/g以上、好ましくは100 m2/g以上を有する。表面積は通常、当業者に公知のB.E.T.窒素分析により測定される。
【0019】
多孔質有機粒子は、米国特許第5,288,598号;5,378,577号;第5,563,226号および第5,750,378号に記載されたように、コロイド状無機粒子の層で覆われることができる。多孔質ポリマー粒子はまた、米国特許第5,279,934号に記載されたように、コロイド状ポリマーラテックス粒子の層で覆われることができる。
【0020】
本発明において使用される多孔質粒子は、直径中央値10μm未満、好ましくは0.5μm未満を有する。直径中央値は、体積に基づいて測定した粒径分布の統計学上の平均値として定義される。直径中央値の測定に関してのさらなる詳細については、T.アレン(Allen)、「粒径測定(Particle Size Measurement)」、第4版、チャップマン アンド ホール(Chapman and Hall), (1990)参照。
【0021】
前記したように、本発明において使用される有機粒子、好ましくはポリマー粒子は多孔質である。多孔質とは、空隙を有するか、または液体に透過性である粒子を意味する。これらの粒子は、滑らかな表面または粗い表面を有することができる。
【0022】
多孔質有機粒子は好ましくは、ビニル系モノマーを反応させた不飽和縮合ポリマーを含むことができる。多孔質の縮合ポリマー粒子は、不飽和前駆体縮合ポリエステルを、水に混和性でない有機溶媒の存在下で、水中油形エマルジョン中で架橋させることによって製造できる。架橋された多孔質縮合ポリマー粒子は、多孔質ポリエステル粒子について以下に記載するのと同様の方法によって製造でき、主な差異は、不飽和前駆体縮合ポリマーが不飽和前駆体ポリエステルの代わりに使用され得ることである。前駆体縮合ポリマーは、1種以上の以下の結合タイプ:アミド、カーボネート、ウレタン、エステルまたは尿素結合によって共に結合された繰り返しの有機ジラジカルから成る主鎖を含むポリマーであり得る。好ましくは、前駆体縮合ポリマーは、エステル結合および1つ以上の非エステル結合タイプを含む。1つの実施態様においては、不飽和縮合ポリマーは、エステル−コ−ウレタン、エステル−コ−尿素、エステル−コ−アミド、エステル−コ−カーボネートを含み、最も好ましくはエステル−コ−ウレタンまたはエステル−コ−カーボネートを含む。ポリマーは直鎖状または分岐状であることができる。
【0023】
前駆体縮合ポリマーはまた、水に混和性でない有機液体の存在下で、水中油形エマルジョン中で架橋させて、多孔質粒子を提供することができる化学的不飽和性を含む。化学的不飽和性は、主鎖に沿って、官能化された末端基として、またはペンダント基として前駆体ポリエステル中に存在することができる。第1の場合の例は、繰り返しのエステル単位の1つがマレエートまたはフマレート部分であるポリエステル−ウレタンである。第2の場合の例は、メタクリロイルクロリドと反応させてメタクリレートエステル末端基を提供したアルコール末端ポリウレタンである。好ましくは化学的不飽和性は、主鎖不飽和として存在する。
【0024】
前駆体縮合ポリマーは、縮合ポリマーの製造についてポリマー合成の当業者に一般に公知の任意の技術を用いて合成することができる。一般に、この方法は、それぞれが溶液または溶融条件下で2つ以上の官能数を有する、ルイス酸およびルイス塩基のモノマーの反応を含む。特定の試薬の組合せが表8に示されている。2以外の官能数(例えば3官能性、4官能性)を有する多官能性試薬がまた使用できることに注意すべきである。異なるタイプの試薬が単一反応器中で反応する条件を選択することができる。あるいは、適当な末端基を有するプレポリマー、マクロモノマーまたはオリゴマーを、1つ以上の追加の多官能性試薬と逐次工程で反応させる多段のアプローチを使用することができる。例えば、二酸塩化物、ビスクロロホルメートおよびジオールを同じ反応器で反応させるか、または低分子量のアルコール末端プレポリマーを製造し、これを次にビスクロロホルメートと反応させることによって、ポリエステル−カーボネートを製造することができる。
【0025】
【表1】
【0026】
架橋反応は、前駆体縮合ポリマーの不飽和単位と容易に共重合するエチレン性不飽和モノマーのラジカルで開始される重合であり得る。前駆体縮合ポリマーは有機溶媒−可溶性であることができ、その場合には、乳化剤の添加が必要であり得る。この方法の別の実施態様においては、前駆体縮合ポリマーは水溶性、水分散性、または両親媒性の性質であることができ、その場合には、前駆体縮合ポリマーは、乳化種として働き、乳化剤の添加は任意にすぎない。多孔質縮合ポリマー粒子が製造され得る方法ならびに製造において使用される他の試薬(例えば乳化剤、開始剤、エチレン性不飽和モノマー、水と混和性でない有機溶媒)は、多孔質ポリエステル粒子について以下に記載するものと同じである。好ましくは、多孔質の縮合ポリマー粒子は、多孔質ポリエステル粒子について以下に記載するように、イオン性基を含む。好ましくは、これらのイオン性基は、4級アンモニウム基である。
【0027】
多孔質の縮合ポリマービーズは、平均直径0.1〜10μmを有することができる。好ましくは、ビーズは平均直径0.1〜0.5μmを有する。
【0028】
本発明のために有用な、最も好ましい多孔質ポリエステル粒子は、不飽和前駆体ポリエステルと、1種以上の、α,βエチレン性不飽和性を含有するビニルモノマーとのフリーラジカル付加重合反応生成物から成る。前駆体ポリエステルは、次には多孔質ポリエステル粒子を作るために使用される不飽和基を含むポリエステルである。粒子を構成する全前駆体ポリエステルのパーセントは、5〜95質量%であり得る。好ましくは、粒子は、20〜80質量%の前駆体ポリエステルを含む。最も好ましい多孔質ポリエステル粒子は架橋されていることができ、水または水混和性溶媒に分散性であることができる。多孔質構造は、連続した孔または分離した孔から成ることができる。
【0029】
最も好ましい本発明の多孔質ポリエステル粒子は、幾つかの方法のうちの任意の方法により製造され得る。これらの方法は、特開平07−137432号公報に記載されているように、より小さいポリエステル粒子の、徐々の電解質に誘導される合体、その後ビニルモノマーでの膨潤および次の架橋を含む。別の製造方法は、水中油中水形エマルジョンの重合を含み、ここでは、米国特許第3,979,342号および第4,089,81号に記載されているように、油相は、不飽和ポリエステルおよび1種以上のビニルモノマーの溶液からなる。
【0030】
より好ましい製造方法は、レオン(Leon)らによるシリアル番号10/027,701号(ドケット82842)、「多孔質ポリエステル粒子の製造方法(Method of Preparation of Porous Polyester Particles)」に記載されており、ここでは、架橋された好ましい多孔質ポリエステル粒子は、水と混和性でない有機溶媒の存在下で水中油形エマルジョン中で不飽和前駆体ポリエステルを架橋することによって製造され得る。架橋反応は、前駆体ポリエステルの不飽和単位と容易に共重合するエチレン性不飽和モノマーの、ラジカルで開始される重合である。前駆体ポリエステルは、有機溶媒可溶性であることができ、この場合には、乳化剤を添加することが必要であり得る。この方法の別の実施態様においては、前駆体ポリエステルは水溶性、水分散性、または両親媒性の性質であることができ、その場合には、前駆体ポリエステルは、乳化種として働き、乳化剤の添加は任意にすぎない。水と混和性でない有機溶媒は除去されて、多孔質の架橋されたポリエステル含有粒子の分散物を生じることができる。
【0031】
本発明の好ましい多孔質ポリエステル粒子の製造のために有用な前駆体ポリエステルは、分岐しているかまたは分岐していないことができ、化学的不飽和を含有し、かつ水と混和性でない有機溶媒または水に可溶性であることができる。任意的に、前駆体ポリエステルは、水に自己乳化性であるかまたは両親媒性もしくは界面活性剤様の性質であることができる。前駆体ポリエステルが溶解性の必要条件を満たすとすれば、前駆体ポリエステルは、任意のガラス転移温度を有することができる。好ましくは、数平均分子量(Mn)は1,000〜30,000gm/モルである。
【0032】
当技術分野でよく知られているように、ポリエステルは、多塩基酸または対応する酸の等価誘導体、例えばエステル、無水物もしくは酸塩化物と、多価アルコールとの縮合生成物である。本明細書において、「2酸」または「多酸」をいうときには、対応する酸等価誘導体、例えばエステル、無水物もしくは酸塩化物がまた、参照により包含されることがわかる。α,β−エチレン性不飽和を含む多塩基酸または多価アルコールの選択によって、重合性の不飽和を分子に導入することができる。ほとんどの場合には、不飽和は、多塩基酸単位中に含まれる。任意的に、重縮合の技術分野において普通の1種以上の追加の多酸を、不飽和多酸の他に使用することができる。エチレン性不飽和多酸は、必ずしもこれらに限定されることはないが、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸を包含する。化学的不飽和性を含まず、かつ前駆体ポリエステルにおいて使用できる追加の多酸は、WO01/00703に記載されている。これらの2酸は、必ずしもこれらに限定されることはないが、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、ナフタレンジカルボン酸の異性体、クロレンド酸、トリメリト酸、トリメシン酸およびピロメリト酸を包含することができる。
【0033】
エチレン性不飽和基はまた、合成での変性によって、前駆体ポリエステルへ導入することができる。例えば、エチレン性不飽和単位を導入するために、高アルコール数を有するポリエステルを、アクリル酸もしくはメタクリル酸の無水物もしくは酸塩化物と反応させることができる。
【0034】
本発明の粒子のために適当であり得る前駆体ポリエステルはさらに、重縮合の分野でよく知られており、かつ脂肪族、脂環式またはアラルキルであることができる任意の広範な種々の多価アルコールからなることができる。適当な多価アルコールの記載は、WO01/00703に与えられている。これらのアルコールは、必ずしも限定されることはないが、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキノンビス(ヒドロキシエチル)エーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール類、例えばビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンならびにポリエステルポリオール、例えばε−カプロラクトンの開環重合により得られるものを包含することができる。追加的に、ヒドロキシルと酸誘導体官能性の両方を含むA−Bタイプの重縮合モノマー、ならびに1酸および1価アルコールを使用することができる。
【0035】
この製造方法の1つの変形においては、水溶性、界面活性剤様、または自己乳化性であることができ、かつ追加的に化学的不飽和を含む前駆体ポリエステルを使用できる。水溶性、界面活性剤様および自己乳化性の前駆体ポリエステルは、当技術分野でよく知られており、1種以上のタイプの親水性化学基または官能性、またはモノマー、たとえばカルボキシレート、4級アンモニウム、スルホネート、サルフェート、スルホニウム、ホスホニウム、イミノスルホニルまたはポリマーもしくはオリゴマーのオキシエチレンセグメントを含む。本発明において有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子を形成するために使用される前駆体ポリエステルは追加的に、1種以上の、先に詳述したエチレン性不飽和を含む多酸またはポリオールモノマーを含む。本発明において有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子を形成するために使用される、水溶性、界面活性剤様および自己乳化性の前駆体ポリエステルは、親水性の性質または水溶性を導入することができる、1種以上の2酸またはジオール成分を含むことができる。この目的のために使用される最も普通の親水性ジオールは、ポリエチレングリコールである。追加的に、2個または3個のヒドロキシアルキル基で置換された3級アミン単位を、前駆体ポリエステル内に組み込むことができ、アルキル化剤で4級化することにより、または酸で中和することにより、イオン性にすることができる。前駆体ポリエステルに親水性を与えるのに通常使用される種類の2酸成分は、スルホネートまたはスルホンイミド塩を含む化合物を包含する。幾つかの適当なスルホン化された2酸は、米国特許第4,973,656号および第5,218,042号に記載されている。そのような2酸の例は、5−ソジオスルホイソフタル酸、2−ソジオスルホブタン酸、およびジ−Meソジオイミノビス(スルホニル−m−ベンゾエート)である。前駆体ポリエステルの親水化のための別の普通の方法は、比較的高い酸価を有するポリエステルの酸末端基の中和を含む。好ましくは、酸価は少なくとも10である。最も好ましくは、酸価は25より上である。中和剤は通常、アルカリ金属水酸化物またはアミンであり得る。エチレン性不飽和および中和された酸末端基を含む前駆体ポリエステルがまた、本発明において使用できる。好ましい場合には、不飽和前駆体ポリエステルは、イオン性単位1モル当たり400〜2000gのポリマーの当量のイオン性基を含む。
【0036】
本発明の粒子において前駆体ポリエステルを架橋するのに有用なエチレン性不飽和モノマーは、付加重合の技術分野で普通に使用されるモノマーであり得る。これらは、必ずしも限定されることはないが、メタクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレート、アクリレートエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびグリシジルアクリレート、スチレン類、例えばスチレン、α−メチルスチレン、3−および4−クロロメチルスチレン、ハロゲン−置換スチレン、およびアルキル−置換スチレン、ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン、N−アルキル化アクリルアミドおよびメタクリルアミド、ビニルエステル、例えば酢酸ビニルおよび安息香酸ビニル、ビニルエーテル、例えばブチルビニルエーテルおよびシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、アリルアルコールおよびそのエーテルおよびエステルおよび不飽和ケトンおよびアルデヒド、例えばアクロレインおよびメチルビニルケトンならびにアクリロニトリルを包含する。
【0037】
その他に、少量の(典型的には、重合性固体の全質量の10%未満)1種以上の水溶性エチレン性不飽和モノマーを使用できる。そのようなモノマーは、必ずしも限定されることはないが、スチレン類、アクリレートおよび、非常に極性の基で置換されたメタクリレート、不飽和炭素およびヘテロ原子の酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸およびそれらの塩、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドンおよびビニルピリジンを包含する。
【0038】
本発明のポリエステル粒子において特に有用なのは、1個より多いエチレン性不飽和単位を含むモノマー、例えばトリメチレロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンの異性体、アジピン酸ジビニル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルおよびエチレングリコールジビニルエーテルである。
【0039】
本発明の粒子のために好ましくあり得るエチレン性不飽和モノマーは、スチレン類、ビニルエーテルおよびメタクリレートである。ジビニルベンゼン(mおよびp異性体)、スチレン、アジピン酸ジビニルおよびエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
【0040】
付加重合の技術分野において公知の任意の普通の水溶性もしくは有機溶媒可溶性フリーラジカル重合開始剤を、本発明の粒子のために使用できる。これらは、限定されることはないが、アゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェネイルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2’−アゾイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンジカルボニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)および2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、有機ペルオキシド、有機ヒドロペルオキシド、過エステルおよび過酸、例えばベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、カプリルペルオキシド、アセチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、過安息香酸t−ブチル、クミルヒドロペルオキシド、過酢酸、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)およびp−クロロベンゾイルペルオキシド、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、ナトリウムおよびアンモニウム、ジスルフィド、テトラゼンならびにレドックス開始剤系、例えばH2O2/Fe2+、過硫酸塩/亜硫酸水素塩、シュウ酸/Mn3+、チオ尿素/Fe3+、およびベンゾイルペルオキシド/ジメチルアニリンを包含する。
【0041】
任意的に、典型的には有機相の1〜10質量%を含む、少量の共同界面活性剤安定剤を有機相に添加することができる。これらの疎水性化合物は、ある種のタイプの乳化重合および懸濁重合においてオストワルト熟成(Ostwald ripening)を防ぐことが知られている。共同界面活性剤についての優れた議論は、ピーター(Peter)Aロベル(Lovell)およびモハムド(Mohammed)S.エル−アーサー(El−Aaser)による乳化重合および乳化ポリマー(Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers)(ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley and Sons):チチェスター(Chichester)、1997年、pp.700−721)および米国特許第5,858,634号に与えられている。最も普通の共同界面活性剤は、ヘキサデカンおよびヘキサデカノールである。他の有用な共同界面活性剤がまた、他の役割をつとめることができ、例えばモノマーまたは開始剤としてふるまうことができる。前者の例はラウリルメタクリレートである。後者の例はラウロイルペルオキシドである。
【0042】
水溶性でないかまたは水分散性でない前駆体ポリエステルが使用されるなら、追加的に乳化剤を使用できるが、乳化剤は、水溶性または水分散性の前駆体ポリエステルと直列に使用することができる。乳化剤が最初に水性相に溶解されるのが好ましくあり得る。非常に多様な乳化剤が当技術分野で知られているが、これらのほとんどが、界面活性剤、コロイド状無機物および保護コロイドの3種の基本的な界面活性剤の範疇に適合する。おびただしい数の公知の界面活性剤が存在する。界面活性剤についての良い参照源は、界面活性剤ハンドブック(Surfactant Handbook)(GPO: Washington, D.C., 1971)およびマクカチョンの乳化剤および洗剤(McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents) (マニュファクチャリングコンフェクショナー パブリシング カンパニー(Manufacturing Confectioner Publishing Company):グレン ロック(Glen Rock), 1992)である。多孔質ポリエステル粒子の製造において有用であり得る界面活性剤について一般的制限はない。有用な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、中性、低分子量、マクロ分子、合成または、天然の供給源から抽出もしくは誘導されたものであることができる。幾つかの例としては、必ずしも限定されることはないが:ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸エステル、例えば商品名AEROSOL(商標)の下に販売されているもの、フッ素系界面活性剤、例えば商品名ZONYL(商標)およびFLUORAD(商標)の下に販売されているもの、エトキシル化アルキルフェノール、たとえばTRITON(商標)X−100およびTRITON(商標)X−705、エトキシル化アルキルフェノールサルフェート、たとえばRHODAPEX(商標)CO−436、リン酸エステル系界面活性剤、例えばGAFAC(商標)RE−90、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリオキシエチレン化長鎖アミンおよびその4級誘導体、エトキシル化シリコーン、アルカノールアミン縮合物、ポリエチレンオキシド−コ−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、例えば商品名PLURONIC(商標)およびTECTRONIC(商標)の下に販売されているもの、N−アルキルベタイン、N−アルキルアミンオキシド、ならびに、フルオロカーボン−ポリ(エチレンオキシド)ブロック界面活性剤、例えばFLUORAD(商標)FC−430が包含される。
【0043】
多孔質ポリエステル粒子の製造において有用な保護コロイドは、必ずしも限定されることはないが:ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、スルホン化ポリスチレン、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、ジメチルアミノエチルメタクリレートのポリマーおよびコポリマー、エチレンオキシド、尿素およびホルムアルデヒドの水溶性複合樹脂状アミン縮合生成物、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン、グルテンおよびキサンタンゴムを包含する。保護コロイドは、界面活性剤の代わりに、またはそれ以外に使用することができる乳化剤の種類である。保護コロイドは典型的には、乳化の段階前に水性相に溶解されるかまたは分散され得る。
【0044】
同様に、コロイド状無機粒子を、制限された合体プロセスの一部として乳化剤として使用することができる。コロイド状無機粒子は、任意の他のタイプの挙げられた乳化剤、例えば界面活性剤または保護コロイドの代わりに、またはそれ以外に使用することができる。コロイド状無機粒子はまた、水性相に分散され得る。制限された合体の技術は、多くの特許、例えば米国特許第4,833,060号および第4,965,131号に記載されている。本発明において特に有用なコロイド状無機物は、デュポン(Du Pont)により販売されているLUDOX(商標)TMである。
【0045】
本発明において有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子に組み込むことができるさらなる添加剤は、顔料、染料、殺生物剤、殺菌剤、電解質、緩衝液、UV−吸収剤、酸化防止剤および連鎖移動剤を包含する。
【0046】
本発明のために有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子は、0.1マイクロメートル未満〜10マイクロメートルの平均直径を有する多孔質ポリエステル粒子を含む。多孔質ポリエステル粒子が最上層にあるときには、多孔質ポリエステル粒子は、0.1〜0.5マイクロメートル未満の範囲の平均直径を有するのが好ましく、より好ましくは、多孔質ポリエステル粒子は0.2〜0.3マイクロメートルの範囲の平均直径を有する。0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する多孔質ポリエステル粒子を有するインク記録要素は好ましくは、60度の測定角度で10以上の表面光沢を提供する。下方層の最適インク吸収特性およびコーティング品質のためには、多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートルより大きい平均直径を有することが好ましく、好ましくは1〜10マイクロメートルの平均直径を有し、最も好ましくは1〜3マイクロメートルの平均直径を有する。粒子の直径は、当技術分野で公知の任意の方法により測定することができる。1つのそのような方法は、市販の入手可能な装置、例えばホリバ(Horiba)LTDにより製造されたHoriba LA−920を用いた、粒子の希釈分散物のレーザー光散乱であり得る。典型的には、好ましい多孔質ポリエステル粒子の試料は、大きさの分布を有する粒子の母集団を含む。これが粒径分布であり、平均直径、標準偏差および変動係数によって特徴づけられる。これらの用語を定義する数式は、統計学的分析について任意の基礎的なテキスト、例えばD.A.スクーグ(Skoog)およびJ.J.リーリー(Leary)による「機器分析の原理(Principles of Instrumental Analysis)」、第4版、ハーコート ブレース カレッジ パブリッシャーズ(Harcourt Brace College Publishers)、オーランド(Orlando)、FL、1971年(補遺A−6)に見出すことができる。平均直径は、粒径分布の算術平均である。分布の変動係数(CV)は、パーセントとして与えられる、分布の標準偏差対平均直径の比である。本発明のために有用な好ましい多孔質ポリエステル粒子は、1モード内で比較的大きい粒径分布を有することができる。粒子の系においては、この粒径分布に対して単一のモードまたはピークがあるか、または幾つかのモードがあることができ、各モードは、平均直径、標準偏差および変動係数によって特徴づけられる。例えば、多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートル未満の平均直径を有するモードを有する粒子および、0.5マイクロメートルより大きい平均直径を有する、好ましくは1〜10マイクロメートルの平均直径を有する、最も好ましくは1〜3マイクロメートルの平均直径を有するモードを有する粒子を含んで成る系であることができる。これら2つのモードの相対的割合は、モードを示す曲線下の相対面積から計算され、100%まで合算すべきである。
【0047】
好ましい場合には、多孔質ポリエステル粒子は、イオン性単位1モル当たり40〜2000グラムの当量のイオン性基を含む。1つの実施態様においては、イオン性基は好ましくは、スルホネート官能性を含むことができる。優れたコロイド安定性を有する生成物粒子は、水性分散物として貯蔵するか、または凍結乾燥して、容易に水に再分散する乾燥粒子を含む固体粉末を生じることができる。
【0048】
本発明において使用されるインク受理要素は、2層以上の個々のインク受理層を含む。各層は、異なる組成、異なる化学的性質および異なる平均直径を有する粒子の組合せ、および層厚からなる。これらの多層構造については、ここで使用される「上部」「上方」および「上」という語は、他の層に対する相対的配置に関して、支持体からさらに遠い層を意味する。「底部」、「下方」および「下」という語は、他の層に対する相対的配置に関して、支持体により近い層を意味する。「最上」という語は、すべての他の層に対して支持体から最も遠い層を意味する。
【0049】
本発明の要素は、非多孔質粒子を包含する他の粒子をまた含むことができる。これらの粒子は、有機物または無機物であることができる。本発明のために有用な任意の層における有機粒子は、合体していないラテックス粒子およびコア−シェルラテックス粒子、例えばポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、n−ブチルアクリレートとエチルアクリレートとのコポリマー、酢酸ビニルと酢酸n−ブチルとのコポリマー、メチルメタクリレートとナトリウム2−スルホ−1,1−ジメチルエチルアクリルアミドとのコポリマーならびに、エチルアクリレート、塩−化ビニリデンおよびナトリウム2−スルホ−1,1−ジメチルエチルアクリルアミドのコポリマーまたはそれらの混合物を包含する。これらは、内部架橋されるか、または内部架橋されないことができる。未架橋のラテックス粒子は、25℃より上の膜形成温度を有するのが好ましくあり得る。本発明のために有用な有機粒子はまた、多孔質のアクリル系、メタクリル系またはスチレン系ポリマー粒子であることができる。
【0050】
より詳細には、本発明において使用できる有機粒子は、ポリマー粒子、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂またはセルロース誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートおよびエチルセルロース;ポリビニル樹脂、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマーおよびポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマーおよびエチレン−アリルコポリマー、例えばエチレン−アリルアルコールコポリマー、エチレン−アリルアセトンコポリマー、エチレン−アリルベンゼンコポリマー、エチレン−アリルエーテルコポリマー、エチレンアクリルコポリマーおよびポリオキシ−メチレン;重縮合ポリマー、例えばポリエステルまたはポリエステル含有ポリマー(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを含む)、ポリウレタンならびにポリカーボネートを包含する。本発明において有用な有機粒子の例は、米国特許出願シリアル番号第09/458,401号(1999年12月10日出願);第09/608,969号(2000年6月30日出願);第09/607,417号(2000年6月30日出願);第09/608,466号(2000年6月30日出願);第09/607,419号(2000年6月30日出願);および第09/822,731号(2001年3月30日出願)に開示され、特許請求されている。
【0051】
本発明のために有用な任意の層における無機粒子は、任意の無機酸化物を包含し、シリカ、コロイド状シリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、コロイド状アルミナ、ヒュームドアルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、天然もしくは合成のクレー、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化亜鉛またはそれらの混合物を含む。有機粒子および無機粒子の混合物がまた使用できる。
【0052】
有機粒子および無機粒子は、任意の大きさを有することができるが、これらの粒子を含む層が最上層であるなら、それらの平均粒径は、0.5マイクロメートル未満であるのが好ましい。有機粒子および無機粒子はまた、同じ層または別々の層に存在することができる。
【0053】
本発明のために、粒子を含まない任意の層(最上層を含む)において有用なポリマーは、親水性有機ポリマーおよび軽く架橋したヒドロゲル、例えばポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン−含有コポリマー、ポリエチルオキサゾリンおよびオキサゾリン−含有コポリマー、イミダゾール−含有ポリマー、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド−含有コポリマー、ポリ(ビニルアルコール)およびビニルアルコール−含有コポリマー、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエチルエーテル)、ポリ(アルキレンオキシド)、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリ(ビニルアセトアミド)、一部加水分解したポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、スルホン化もしくはリン酸化したポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン(collodian)、寒天、アロールート、グアール、カラギーナン、トラガカント、キサンタン、ラムサン(rhamsan)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリ(アルキレンオキシド)ならびに水分散性ポリウレタンを包含する。上に挙げた親水性ポリマーの混合物を使用できる。
【0054】
インクジェット要素のインク受理層は、好ましい多孔質ポリエステル粒子、有機粒子または無機粒子および、多孔質受理層の間隙率を変えるのに不十分な量のバインダーから成る混合物を支持体にコーティングすること、および次いで、乾燥してほぼ全部の揮発性成分を除去することによって形成され得る。バインダーは好ましくは、有機バインダーを含む。好ましい実施態様においては、ポリマーバインダーは、親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン−含有コポリマー、ポリエチルオキサゾリンおよびオキサゾリン−含有コポリマー、イミダゾール−含有ポリマー、ポリアクリルアミドおよびアクリルアミド−含有コポリマー、ポリ(ビニルアルコール)およびビニルアルコール−含有コポリマー、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエチルエーテル)、ポリ(アルキレンオキシド)、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリ(ビニルアセトアミド)、一部加水分解したポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、スルホン化もしくはリン酸化したポリエステルおよびポリスチレン、カゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン(collodian)、寒天、アロールート、グアール、カラギーナン、トラガカント、キサンタン、ラムサン(rhamsan)である。本発明の別の好ましい実施態様においては、親水性ポリマーは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースまたはポリ(アルキレンオキシド)である。なお別の好ましい実施態様においては、ポリマーバインダーは、ラテックス、例えばポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、n−ブチルアクリレートとエチルアクリレートとのコポリマーおよび、酢酸ビニルと酢酸n−ブチルとのコポリマーである。なお別の好ましい実施態様においては、バインダーは、アルコキシシランの縮合物または他の金属ゾル、例えばアルミナゾル、チタニアゾル、またはジルコニアゾルであり得る。先に挙げた親水性ポリマーの混合物を使用できる。バインダーは、上記した粒子と相溶性であるように選択されるべきである。
【0055】
使用されるポリマーバインダーの量は、インク記録要素、例えばインクジェット記録要素へ凝集強さを与えるのに十分でなければならないが、また、集合物によって形成された相互連絡した細孔構造がバインダーによって満たされることがないように最小にされなければならない。本発明の好ましい実施態様においては、ポリマーバインダーは、各層の5〜50質量%の量で、最も好ましくは10〜25質量%の量で存在する。多孔質ポリマー粒子は、個々の層の50〜95質量%を含む。粒子は好ましくは、個々の層の75〜90質量%を含み、最も好ましくは個々の層の少なくとも80質量%を含む。
【0056】
合わせたインク受理層の全厚みは、5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲であり得る。各層は、他の層とは異なる厚みを有することができる。しかしながら、最上層が下方層より薄いのが典型的である。最上層の好ましい厚みは、1〜20μm、より好ましくは1〜10μmである。必要とされるコーティング厚は、インク溶媒の吸収のための受けとして働くためのコーティングの必要性および、コーティング表面近くにインクを保持する必要性によって決定される。
【0057】
画像記録要素は、他の画像記録品または、画像記録装置の運転もしくは輸送メカニズムと接触し得るので、添加剤、例えば充填剤粒子、界面活性剤、滑剤、架橋剤、つや消し粒子を、関心のある特性を損なわない範囲で、要素に添加することができる。
【0058】
充填剤粒子は、好ましい多孔質ポリエステル粒子を含むインク受理層において使用でき、例えば酸化ケイ素、ヒュームドシリカ、ニッサン ケミカル インダストリーズ(Nissan Chemical Industries)およびデュポン社(DuPont Corp.)から入手可能な酸化ケイ素分散物、酸化アルミニウム、ヒュームドアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物、無機粉末、例えばγ−酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化スズ、ドープした酸化スズ、アルミノケイ酸、二酸化チタン、炭化ケイ素、炭化チタンおよび、米国特許第5,432,050号に記載されている微粉末ダイアモンドが使用できる。
【0059】
分散剤または湿潤剤が、充填剤粒子の分散を促進するために存在することができる。これは、粒子の凝集を最小にするように助ける。有用な分散剤は、限定されることはないが、脂肪酸アミンおよび、市販されていて入手可能な湿潤剤、例えばゼネカ社(Zeneca Inc.)(ICI)により販売されているSolspere(商標)を包含する。好ましい充填剤粒子は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムである。好ましくは、これらの充填剤粒子は、1.0μm未満の直径中央値を有する。充填剤粒子は、乾燥したインク受理層中の全固形分の0〜80%の量、最も好ましくは0〜40%の量で存在することができる。
【0060】
十分なコーティング性を得るために、そのような技術分野の当業者に公知のレオロジー変性剤、例えば増粘剤またはポリマーを使用できる。これらは、会合的増粘剤、例えば疎水的に変性したヒドロキシエチルセルロース、疎水的に変性したアルカリ可溶性もしくはアルカリ膨潤性エマルジョンおよび、疎水的に変性したエチレンオキシドウレタンブロックコポリマー、例えばローム&ハース(Rohm & Haas)により、商品名Acusol(商標)の下に供給されているもの、およびダウケミカル(Dow Chemical)により商品名Polyphobe(商標)の下に供給されているもの、ならびに、非会合的増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、キサンタンゴム、グアーゴムおよびカラギーナンを包含する。
【0061】
インクジェット要素は、滑剤を含むことができる。インク受理層または、要素のインク受理層と反対の面において有用な滑剤および蝋は、限定されることはないが、ポリエチレン、シリコーン蝋、天然蝋、例えばカルナウバ蝋、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、シリコーンオイル、例えばポリジメチルシロキサン、フッ素化シリコーン、官能化シリコーン、ステアレート、ポリビニルステアレート、脂肪酸塩およびペルフルオロエーテルを包含する。ミクロン以下の大きさの蝋粒子の水性もしくは非水性分散物、例えば市販されていて提供されているもの、例えば、限定されることはないが、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、微晶質蝋、パラフィン、天然蝋、例えばカルナウバ蝋および、ケミカル コーポレーション オブ アメリカ社(Chemical Corporation of America)(Chemcor)Inc.、ミッチェルマン社(Michelman Inc.)、シャムロック テクノロジーズ社(Shamrock Technologies Inc.)およびダニエル プロダクツ カンパニー(Daniel Products Company)のような会社からの合成蝋、の分散物が有用であり得る。
【0062】
十分なコーティング性を得るために、そのような技術分野の当業者に公知の添加剤、例えば界面活性剤、消泡剤、アルコールを使用できる。コーティング助剤および界面活性剤は、限定されることはないが、非イオン性フッ素化アルキルエステル、例えばミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Co.)により販売されているFC−430(商標)、FC−431(商標)、FC−10(商標)、FC−171(商標)、デュポン社(DuPont Corp.)により販売されているZonyl(商標)フルオロ化学品、例えばZonyl−FSN(商標)、Zonyl−FTS(商標)、Zonyl−TBS(商標)、Zonyl−BA(商標)、他のフッ素化ポリマーもしくはコポリマー、たとえばNOF コーポレーション(NOF Corporation)により販売されているModiper F600(商標)、ポリシロキサン、例えばダウ コーニング(Dow Corning)のDC 1248(商標)、DC 200(商標)、DC510(商標)、DC190(商標)、およびBYKヘミー(BYK Chemie)により販売されているBYK 320(商標)、BYK 322(商標)、およびジェネラル エレクトリック(General Electric)により販売されているSF 1079(商標)、SF 1023(商標)、SF 1054(商標)、およびSF1080(商標)、および、ユニオン カーバイド(Union Carbide)により販売されているSilwet(商標)ポリマー、ポリオキシエチレン−ラウリルエーテル界面活性剤、ソルビタンラウレート、パルミテートおよびステアレート、例えばアルドリッチ(Aldrich)により販売されているSpan(商標)界面活性剤、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)界面活性剤、例えばBASFにより販売されているPluronic(商標)系統ならびに、他のポリオキシエチレン−含有界面活性剤、例えばユニオン カーバイド(Union Carbide)により販売されているTriton X(商標)系統、イオン性界面活性剤、例えばデュポン社(DuPont Corp.)により販売されているAlkanol(商標)シリーズおよび、ダウ ケミカル(Dow Chemical) により販売されているDowfax(商標)系統を包含する。詳細な例は、マクカッチョン(MCCUTCHEON)の第1巻:乳化剤および洗剤(Emulsifiers and Detergents)、1995年、北アメリカ版に記載されている。
【0063】
インク受理層は架橋剤を含むことができる。その反応性の官能性がバインダー中の特定の化学単位と適当な反応性を有するなら、任意の架橋剤を使用できる。ルイス塩基官能性が豊富なバインダーを架橋することができる幾つかの普通の架橋剤は、必ずしも限定されることはないが、カルボジイミド、多価金属カチオン、有機イソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアナトジメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、アジリジン、例えば米国特許第4,225,665号において教示されるもの、エチレンイミン、例えばEITインダストリーズ(EIT Industries)により販売されているXama7(商標)、ブロックされたイソシアネート、例えばサイテック インダストリーズ(Cytec Industries)により販売されているCA BI−12、メラミン、例えば米国特許第5,198,499号において教示されているようなメトキシメチルメラミン、エポキシ、アミン、ヒドロキシル、イソシアネートもしくはビニル官能性を有するものを含むアルコキシシランカップリング剤、サイテック インダストリーズ(CytecIndustries)により販売されているCymel(商標)架橋剤、例えばCymel 300(商標)、Cymel 303(商標)、Cymel 1170(商標)、Cymel 1171(商標)およびビスエポキシド、例えばシェル(Shell)により販売されているEpon(商標)系統を包含する。他の架橋剤は、アリーロイル尿素、アルデヒド、ジアルデヒドおよびブロックされたジアルデヒド、クロロトリアジン、カルバモイルピリジニウム、ピリジニウムエーテル、ホルムアミジニウムエーテル、ビニルスルホン、ホウ酸、ジヒドロキシジオキサンおよび多官能性アジリジン、例えばCX−100(ゼネカ レジンズ(Zeneca Resins)により製造)のような化合物を包含する。そのような架橋剤は、米国特許第4,161,407号および引用された参考文献において議論されているように、低分子量の化合物またはポリマーであることができる。
【0064】
着色剤の退色を改善するために、当技術分野でよく知られているように、UV吸収剤、ラジカルクエンチャーまたは酸化防止剤をまたインク受理層に添加することができる。例としては、ポリアルキレンポリアミン−ジシアノジアミドに基づく重縮合生成物、水溶性還元剤、例えば亜硫酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、チオ硫酸塩、アスコルビン酸もしくはその塩、ヒドロキシルアミン誘導体、およびグルコース、硫黄含有化合物、例えばチオシアネート、チオ尿素、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、5−メルカプト−1−メチル−テトラゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−トリアゾール、2,4,6−トリメルカプトシアヌル酸、チオサリチル酸、チオウラシル、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン、または疎水性酸化防止剤乳化分散物、例えばヒンダードフェノールに基づく酸化防止剤、ピペリジンに基づく酸化防止剤またはヒンダードアミンが包含される。UV吸収剤としては、特公昭57−74193号公報、特公昭57−87988号公報、および特公平2−261476号公報に記載されたものを包含し、退色防止剤としては、特公昭57−74192号公報、特公昭57−87989号公報、特公昭60−72785号公報、特公昭61−146591号公報、特公平1−95091号公報および特公平3−13376号公報に記載されたものを包含する。
【0065】
インク受理層は、pH変性剤、接着促進剤、レオロジー変性剤、ラテックス、殺生物剤、染料、蛍光増白剤、特公昭59−42993号公報、特公昭59−52689号公報、特公昭62−280069号公報、特公昭61−242871号公報および特公平4−219266号公報に記載された白色化剤ならびに、帯電防止剤を含むことができる。
【0066】
本発明において使用されるインク受理層は、1種以上の色止め料種またはポリマーを含むことができる。色止め料ポリマーは可溶性ポリマー、帯電分子または架橋された分散微粒子であることができる。色止め料は、非イオン性、カチオン性またはアニオン性であることができる。色止め料の例は、4級化された窒素部分を含むポリマーもしくはコポリマー、例えばポリ(スチレン−コ−1−ビニルイミダゾール−コ−1−ビニル−3−ベンジルイミダゾリウムクロリド)、ポリ(スチレン−コ−1−ビニルイミダゾール−コ−1−ビニル−3−ヒドロキシエチル−イミダゾリウムクロリド)、ポリ(スチレン−コ−1−ビニルイミダゾール−コ−1−ビニル−3−ベンジルイミダゾリウムクロリド−コ−1−ビニル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリウムクロリド)、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド−コ−ジビニルベンゼン)、ポリ(エチルアクリレート−コ−1−ビニルイミダゾール−コ−1−ビニル−3−ベンジルイミダゾリウムクロリド)またはポリ(スチレン−コ−4−ビニルピリジン−コ−4−ヒドロキシエチル−1−ビニルピリジニウムクロリド)である。本発明の好ましい実施態様においては、ポリマー中に組み込まれた4級窒素部分は、トリメチルビニルベンジルアンモニウム、ベンジルジメチルビニルベンジルアンモニウム、ジメチルオクタデシルビニルベンジルアンモニウム、グリシジルトリメチルアンモニウム、1−ビニル−3−ベンジルイミダゾリウム、1−ビニル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリウムまたは4−ヒドロキシエチル−1−ビニルピリジニウムの塩である。使用することができる好ましい対イオンは、塩化物イオンまたは、米国特許第5,223,338号、第5,354,813号および第5,403,955号に開示されているような他の対イオンを包含する。本発明のために適当な他の色止め料は、ポリマーのカチオン変性された生成物、例えばポリ(ビニルアルコール)、ゼラチン、キトサン、ポリビニルアミン、ポリエチレン−イミン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリアルキレン−ポリアミンジシアンジアミドアンモニウム縮合物、ポリビニルピリジニウムハライド、(メタ)アクリロイルオキシアルキル4級アンモニウム塩のポリマー、(メタ)アクリルアミドアルキル4級アンモニウム塩のポリマー、ω−クロロ−ポリ(オキシエチレン−ポリメチレン4級アンモニウムアルキレート)、メチルグリコールキトサン、ポリ(ビニルピリジン)、テキサコ社(Texaco Inc.)により作られたJeffamine Tシリーズのプロピレンオキシドに基づくトリアミン、4級アクリル系コポリマーラテックス、ホスホニウム化合物、スルホンイミド、スルホン化ポリマーおよび分散粒子ならびにアルミナ水和物である。本発明のために適当な他の色止め料は、カルボン酸、スルホン酸、スルホンアミド、スルホンイミドまたはホスホン酸を含むポリマー、コポリマーまたはラテックス、例えばカルボキシル化およびスルホン化されたアクリレートもしくはメタクリレート、カルボキシル化されたスチレンブタジエン、スルホン化されたナイロン、ポリエステルおよびポリウレタンならびにそれらの塩である。本発明の好ましい実施態様においては、色止め料単位は、ポリエステルビーズの化学構造中に化学的に組み込むことができる。例えば、ポリエステル構造中のスルホン化モノマーは、カチオン染料種のための色止め料として働き得る。
【0067】
インク受理層の他に、記録要素はまた、支持体の次に他のベース層を含むことができ、その機能は、インクから溶媒を吸収することである。この層のために有用な物質としては、無機粒子およびポリマーバインダーまたは、非常に膨潤性のポリマー、例えばゼラチン、スルホン化ポリエステルまたはポリ(ビニルアルコール)が包含される。
【0068】
本発明において使用されるインク記録要素のための支持体は、インクジェットレシーバーのために通常使用される任意のものであることができる。支持体は、透明または不透明であることができる。不透明支持体としては、簡単な紙、コーティング紙、樹脂コーティング紙、例えばポリオレフィンコーティング紙、合成紙、写真用紙支持体、溶融押出しコーティング紙およびポリオレフィン−ラミネート紙、例えば2軸配向した支持体ラミネートが包含される。2軸配向した支持体ラミネートは、米国特許第5,853,965号、第5,866,282号、第5,874,205号、第5,888,643号、第5,888,681号、第5,888,683号および第5,888,714号に記載されている。これらの2軸配向した支持体は、紙基材および、紙基材の1面または両面にラミネートされた2軸配向したポリオレフィンシート(典型的にはポリプロピレン)を含む。支持体はまた、ミクロ細孔物質、例えばPPGインダストリーズ社(PPG Industries Inc.)、ピッツバーグ、ペンシルバニアにより、商品名Teslin(商標)の下に販売されているポリエチレンポリマー−含有物質、Tyvek(商標)合成紙(デュポン社(DuPont Corp.))、含浸紙、例えばDuraform(商標)およびOPPalyte(商標)フィルム(モービル ケミカル社(Mobil Chemical Co.))ならびに、米国特許第5,244,861号に挙げられている他の複合フィルムから成ることができる。透明支持体としては、ガラス、セルロース誘導体、例えばセルロースエステル、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエスエテル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリ(ブチレンテレフタレート)およびそれらのコポリマー、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリエーテルイミドならびにそれらの混合物を包含する。先に挙げた紙は、高級紙、例えば写真用紙から低級紙、例えば新聞用紙までの広範囲の紙を含む。好ましい実施態様においては、イーストマン コダック社(Eastman Kodak Co.)により作られたEktacolor紙が使用される。ここで使用される「透明」という語は、有意の偏向または吸収なしに放射を通過させる能力を意味する。
【0069】
本発明において使用される支持体は、50〜500μm、好ましくは75〜300μmの厚みを有し得る。酸化防止剤、増白剤、帯電防止剤、可塑剤および他の公知の添加剤を、所望なら支持体に組み込むことができる。
【0070】
インク受理層の支持体への接着を改善するために、アンダーコートまたは下塗り層(subbing layer)を支持体の表面に施用することができる。この層は、接着剤層、例えばハロゲン化フェノール、一部加水分解した塩化ビニル−コ−酢酸ビニルポリマー、塩化ビニリデン−メチルアクリレート−イタコン酸ターポリマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリル−アクリル酸ターポリマーまたはグリシジル(メタ)アクリレートポリマーもしくはコポリマーであることができる。他の化学接着剤、例えば、インク受理層と支持体との間の良好な結合を示すポリマー、コポリマー、反応性ポリマーもしくはコポリマーを使用することができる。本発明において使用される下塗り層におけるポリマーバインダーは好ましくは、水溶性または水分散性ポリマー、例えばポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン、セルロースエーテル、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアセトアミド)、一部加水分解したポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド)、スルホン化もしくはリン酸化ポリエステルもしくはポリスチレン、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン、寒天、アロールート、グアール、カラギーナン、トラガカント、キサンタン、ラムサン;ラテックス、例えばポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、またはポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリルアミド)またはそれらのコポリマーである。
【0071】
好ましい実施態様においては、下塗り層のポリマーバインダーは、スルホン化ポリエステル分散物、例えばAQ29(商標)(イーストマン ケミカル社(Eastman Chemical Co.))、ゼラチン、ポリウレタンまたはポリ(ビニルピロリドン)である。下塗り層のためのポリマーバインダーは好ましくは、1〜50g/m2、好ましくは1〜20 g/m2の量で使用される。
【0072】
本発明のインクジェット記録要素の下塗り層において使用されるボレートまたはボレート誘導体は、例えばホウ砂、四ホウ酸ナトリウム、ホウ酸、フェニルボロン酸(phenyl boronic acid)またはブチルボロン酸(butyl boronic acid)であることができる。上記したように、ボレートまたはボレート誘導体は、3〜50 g/m2、好ましくは3〜10 g/m2の量で使用され得る。コーティングしたなら、下塗り層中のボレートまたはボレート誘導体は、画像受理層へと拡散して、画像受理層中の架橋性バインダーを架橋するものと思われる。
【0073】
支持体への層の接着を改善する他の方法としては、コロナ放電、種々の雰囲気下でのプラズマ処理、UV−処理による支持体の表面処理を含み、この処理は、層を支持体に施用する前に行うことができる。
【0074】
本発明において使用される記録要素は、1層以上の伝導層、例えば画像の製造および印刷中に望ましくない静電気の放出を防止するための帯電防止層を含むことができる。これは、要素のどちらの面にも添加することができる。カラーフィルムのために慣用的に使用される帯電防止層、例えば米国特許第5,147,768号におけるような層が満足のいくものであるとわかった。好ましい帯電防止剤としては、金属酸化物、例えば酸化スズ、アンチモンドープした酸化スズおよび5酸化バナジウムが包含される。これらの帯電防止剤は好ましくは、皮膜形成バインダー中に分散される。
【0075】
上記した層は、慣用のコーティング手段により、当技術分野で普通に使用される支持体物質上へコーティングされ得る。コーティング方法としては、限定されることはないが、巻きワイヤロッドコーティング(wound wire rod coating)、ナイフコーティング、スロット(slot)コーティング、スライドホッパー(slide hopper)コーティング、グラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、スキム−パン−エアナイフ(skim−pan−air−knife)コーティング、多層スライドビーズ、ドクターブレード(doctor blade)コーティング、グラビアコーティング、反転ロール(reverse−roll)コーティング、カーテンコーティング、多層カーテンコーティングが包含され得る。これらの方法の幾つかは、1層より多い層の同時コーティングを可能にし、これは、1層より多い層または1タイプより多い層を施用する必要があるなら、製造の経済的観点から好ましい。公知のコーティングおよび乾燥方法は、リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure) no. 308119、1989年12月発行、第1007−1008頁においてより詳細に記載されている。スライドコーティングが好ましく、この方法では、数層が同時に施用できる。支持体は固定であるかまたは、コーティング層が直ちに乾燥室へ引き取られ得るように動くことができる。コーティング後、層は一般に簡単な蒸発により乾燥することができ、乾燥は公知技術、例えば対流加熱によって促進され得る。
【0076】
コーティング組成物を、慣用の上記した前計量(pre−metered)もしくは後計量(post−metere)コーティング法によって、基板の1表面または両表面に施用することができる。コーティング法の選択は、操作の経済性から決定され、次には、処方の詳細、例えばコーティングの固形分量、コーティングの粘度およびコーティング速度を決定する。コーティング後、インク記録要素は、カレンダーまたはスーパーカレンダーに供されて、表面の平滑性を高められ得る。本発明の好ましい実施態様においては、インク記録要素は、65℃の温度および14000kg/mの圧力で、0.15〜0.3m/秒の速度にて熱ソフト−ニップ(hot soft−nip)カレンダーに供される。
【0077】
本発明の記録要素を画像形成するのに使用されるインクジェットインクは、当技術分野でよく知られている。インクジェット印刷において使用されるインク組成物は典型的には、溶媒または担体液体、染料または顔料、湿潤剤、有機溶媒、洗剤、増粘剤、防腐剤を含む液体組成物であり得る。溶媒または担体液体は、単に水だけであることができるか、または他の水混和性溶媒、例えば多価アルコールと混合した水であることができる。有機物質、例えば多価アルコールが主要な担体または溶媒液体であるインクがまた使用できる。特に有用なものは、水と多価アルコールとの混合溶媒である。そのような組成物に使用される染料は典型的には、水溶性の直接または酸タイプの染料である。そのような液体組成物は従来技術、例えば米国特許第4,381,946号、第4,239,543号および第4,781,758号において広く記載されている。
【0078】
本明細書で使用される「画像形成要素」という表現は、画像を画像形成要素へ転写するのを支配する多数の技術に適用性であるような画像受理もしくは記録層と共に、上記した画像形成支持体を含む。そのような技術は、感熱性画像形成物質を用いる熱染料転写、電子写真印刷またはインクジェット印刷ならびに、写真のハロゲン化銀画像のための支持体を包含する。本明細書で使用されるように、「写真要素」という表現は、画像の形成において感光性ハロゲン化銀を使用する物質である。本発明の安定化された粒子は、単一技術において使用されるか、または1つ以上の技術を合わせた混成系において使用されることができる。混成系の例は、写真要素へのインクジェット印刷の適用であり得る。
【0079】
本発明の受理もしくは記録要素の熱インクもしくは染料画像受理もしくは記録層は、例えばポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(カプロラクトン)またはそれらの混合物を含むことができる。インクもしくは染料画像受理もしくは記録層は、意図される目的のために有効な任意の量で存在することができる。ハリソン(Harrison)らの米国特許第4,775,657号に記載されているようなオーバーコート層をさらに、インクもしくは染料受理もしくは記録層上にコーティングすることができる。
【0080】
本発明のインクもしくは染料受理もしくは記録要素と共に使用することができるインクもしくは染料ドナー要素は慣用的に、その上にインクもしくは染料含有層を有する支持体を含む。熱の作用によりインクもしくは染料受理もしくは記録層へ転写可能であるとすれば、任意のインクもしくは染料を、本発明において使用されるインクもしくは染料ドナーにおいて使用できる。本発明において使用するために適用可能なインクもしくは染料ドナーは、例えば米国特許第4,916,112号、第4,927,803号および第5,023,228号に記載されている。上記したように、インクもしくは染料ドナー要素は、インクもしくは染料転写画像を形成するために使用され得る。そのようなプロセスは、インクもしくは染料ドナー要素を、像用加熱すること、および、上記したようにしてインクもしくは染料画像をインクもしくは染料受理もしくは記録要素へ転写して、インクもしくは染料転写画像を形成することを含む。熱インクもしくは染料転写印刷法では、シアン、マゼンタおよびイエローインクもしくは染料の逐次繰り返し領域でコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)支持体を処理するインクもしくは染料ドナー要素を使用することができ、インクもしくは染料転写工程は、各色について逐次行われて、3色のインクもしくは染料転写画像を得ることができる。このプロセスが単に1色についてのみ行われるときには、単色インクもしくは染料転写画像を得ることができる。
【0081】
インクもしくは染料ドナー要素から本発明の受理もしくは記録要素へインクもしくは染料を転写するために使用され得る熱印刷ヘッドは市販されていて入手可能である。例えばフジツー サーマル ヘッド(Fujitsu Thermal Head)(FTP−040MCS001)、TDKサーマル ヘッド(TDK Thermal Head) F415 HH7−1089またはローム サーマル ヘッド(Rhom Thermal Head) KE 2008−F3を使用することができる。あるいは、熱インクもしくは染料転写のための他の公知のエネルギー源、例えばGB No. 2,083,726Aに記載されているレーザーを使用できる。
【0082】
熱インクもしくは染料転写の組立物(assemblage)は、上記したように(a)インクもしくは染料ドナー要素および(b)インクもしくは染料受理もしくは記録要素を含むことができ、インクもしくは染料受理もしくは記録要素は、インクもしくは染料ドナー要素と、ドナー要素のインクもしくは染料層が受理もしくは記録要素のインクもしくは染料画像受理もしくは記録層と接触することができるように、重ね合わせられる関係にある。
【0083】
3色の画像が得られることになっているなら、上記組立物(assemblage)は、熱印刷ヘッドにより熱が施用されるときにその時間中3度形成され得る。第1の染料が転写された後、要素は剥ぎ取られる。第2の染料ドナー要素(または異なる染料領域を有するドナー要素の別の領域)が次に、染料受理もしくは記録要素と見当を合わせられ得る。そして、プロセスが繰り返される。第3の色は、同じやり方で得ることができる。
【0084】
エレクトログラフィーおよび電子写真プロセスおよびその個々の工程は、従来技術によく記載されている。このプロセスは、静電気的画像を作り、その画像を荷電した着色粒子(トナー)で現像し、任意的に、得られた現像画像を第2の基板に転写し、そして画像を基板に固定することからなる基礎工程を組み込む。これらのプロセスおよび基礎工程には多くの変形があり、乾燥トナーの代わりに液体トナーの使用は、それらの変形の単なる1つにすぎない。
【0085】
第1の基礎工程(静電気的画像を作る工程)は、種々の方法によって達成することができる。1つの形態では、複写機の電子写真プロセスは、アナログまたはデジタル露光によって、均一に帯電した光伝導体の画像形成的光放出を使用する。光伝導体は1回使用系であることができるか、または、セレンもしくは有機光受容器に基づくもののように、再充電可能かつ再画像形成可能であることができる。
【0086】
代替的なエレクトログラフィーのプロセスにおいては、粒子線写真的に静電気的画像を作ることができる。潜像が、紙またはフィルムの誘電(電荷保持)媒体上に作られ得る。電圧が、媒体の幅を横切って空間を空けられた尖筆の配列から、選択された金属の尖筆または筆記用ペン先に施用されることができ、これは、選択された尖筆と媒体との間の空気の誘電破壊を引き起こす。イオンが作られ、これは媒体に潜像を形成する。
【0087】
しかしながら、生成された静電気的画像は、反対に帯電したトナー粒子を用いて現像され得る。液体トナーでの現像のためには、液体現像液を直接静電気的画像と接触させ得る。普通は、流動液体が使用されて、現像のために十分なトナー粒子が利用可能であることを確実にする。静電気的画像により作られた場は、非伝導液体中に懸濁された帯電粒子を電気泳動によって動かす。静電気的潜像の電荷はかくして、反対に帯電した粒子によって中和され得る。液体トナーを用いた電気泳動的現像の理論および物理学は多くの本および刊行物によく記載されている。
【0088】
再画像形成可能な光受容器またはエレクトログラフィーマスターが使用されるなら、調色された画像が紙(または他の基板)に転写され得る。紙は、トナー粒子を紙に移すように選択された極性を有して、静電気的に帯電され得る。最後に、調色された画像を紙に固定することができる。自己固定トナーについては、残留液体が、風乾または加熱によって紙から除去され得る。溶媒が蒸発したなら、これらのトナーは紙に結合されたフィルムを形成する。熱可融性トナーについては、熱可塑性ポリマーを、粒子の一部として使用することができる。加熱は残留液体を除去し、かつトナーを紙に固定する両方を行う。
【0089】
インクジェット画像形成媒体として使用されるときには、記録要素または媒体は典型的には、その少なくとも1つの面に、インク受理もしくは記録/記録もしくは画像形成層を有する基板または支持体物質を含む。所望なら、インクジェット受理もしくは記録層の支持体への接着を改善するために、支持体の表面を、溶媒吸収層を支持体に施用する前に、コロナ−放電−処理することができるか、あるいは、アンダーコート、例えばハロゲン化フェノールまたは一部加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーから形成された層を、支持体の表面に施用することができる。インクジェット受理もしくは記録層は好ましくは、水または水−アルコール溶液から、支持体層上に、3〜75マイクロメートル、好ましくは8〜50マイクロメートルの範囲の乾燥厚みで、コーティングされる。
【0090】
任意の公知のインクジェットレシーバー層を、他の粒子物質と組合せて使用することができる。例えば、インク受理もしくは記録層は、主として無機酸化物粒子、例えばシリカ、変性シリカ、クレー、アルミナ、可融性ビーズ、例えば熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーからなるビーズ、非可融性有機ビーズまたは、親水性ポリマー、例えば天然に生じる親水性コロイドおよびゴム、例えばゼラチン、アルブミン、グアー、キサンタン、アカシア、キトサン、デンプンおよびその誘導体、天然ポリマーの誘導体例えば官能化タンパク質、官能化ゴムおよびデンプン、およびセルロースエーテルおよびその誘導体および、合成ポリマー、例えばポリビニルオキサゾリン、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリオキシド、ポリエーテル、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、n−ビニルアミド(ポリアクリルアミドおよびポリビニルピロリドンを含む)およびポリ(ビニルアルコール)、その誘導体およびコポリマーならびにこれらの物質の組合せから成り得る。親水性ポリマー、無機酸化物粒子および有機ビーズは、基板上の1層以上の層中に、および層内に種々の組合せで存在することができる。
【0091】
多孔質構造は、親水性ポリマーから成るインク受理もしくは記録層中に、セラミックまたは硬質ポリマー粒子の添加によって、コーティング中に発泡もしくは送風することによって、または非溶媒の導入により層中での相分離を引き起こすことによって、導入することができる。一般に、ベース層は親水性であるが多孔質でないのが好ましい。このことは、間隙率が光沢の損失を引き起こす写真品質印刷について特に真である。特に、インク受理もしくは記録層は、当技術分野でよく知られた添加剤を用いて、または用いないで、任意の親水性ポリマーまたはポリマーの組合せから成り得る。
【0092】
所望なら、インク受理もしくは記録層は、インク透過性の粘着防止保護層、例えばセルロース誘導体またはカチオン性に変性されたセルロース誘導体またはそれらの混合物を含む層でオーバーコートされることができる。特に好ましいオーバーコートは、ポリβ−1,4−無水−グルコース−g−オキシエチレン−g−(2’−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチル−N−ドデシルアンモニウムクロリドである。オーバーコート層は非多孔質であるが、インク透過性であり、水溶性インクで要素に印刷した画像の光学濃度を改善するように働く。オーバーコート層はまた、インク受理もしくは記録層の摩滅、インクのにじみ、および水による損傷を防止することができる。一般に、このオーバーコート層は、乾燥厚み0.1〜5μm、好ましくは0.25〜3μmで存在することができる。
【0093】
実際には、種々の添加剤を、インク受理もしくは記録層およびオーバーコートに使用できる。これらの添加剤としては、界面活性剤、例えばコーティング性を改善し、かつ乾燥したコーティングの表面張力を調整するための界面活性剤、pHを調節するための酸または塩基、帯電防止剤、沈殿防止剤、酸化防止剤、コーティングを架橋するための硬化剤、酸化防止剤、UV安定剤、光安定剤が包含される。その上、媒染剤を少量(ベース層の2〜10質量%)添加して、水による色あせを改善することができる。有用な媒染剤は、米国特許第5,474,843号に開示されている。
【0094】
インク受理もしくは記録層およびオーバーコート層を含む上記した層は、慣用のコーティング手段によって、当技術分野で普通に使用される透明または不透明支持体物質上にコーティングすることができる。コーティング法としては、限定されることはないが、ナイフコーティング、巻きワイヤロッドコーティング(wound wire rod coating)、スロットコーティング、スライドホッパー(slide hopper)コーティング、グラビア、カーテンコーティング、が包含され得る。これらの方法のうちの幾つかは、両方の層の同時コーティングを可能にし、これは、製造の経済的観点から好ましい。
【0095】
IRL(インクもしくは染料受理層)は、タイ(tie)層(TL)上にコーティングされ得る。インクもしくは染料受理もしくは記録層として有用であり得る、多くの公知の処方がある。第1の必要条件は、IRLが、所望の色領域および濃度を生じるように画像が形成されるインクと相溶性であることである。インク滴がIRLを通過するとき、インクもしくは染料は、IRL中に保持されるかまたは色止めされ得るが、一方では、インク溶媒はIRLを自由に通過し、TLによって急速に吸収され得る。さらには、IRL処方は好ましくは水からコーティングされ、TLへの適当な接着を示し、かつ表面光沢を容易に調節することを可能にする。
【0096】
例えば、ミスダ(Misuda)らは、米国特許第4,879,166号、第5,264,275号、第5,104,730号、第4,879,166号ならびに特公平1−095,091号公報、特公平2−276,671号公報、特公平2−276,670号公報、特公平4−267,180号公報、特公平5−024,335号公報および特公平5−016,517号公報において、擬似ボヘマイト(psuedo−bohemite)およびある種の水溶性樹脂の混合物を含む水性に基づくIRL処方を開示する。ライト(Light)は、米国特許第4,903,040号、第4,930,041号、第5,084,338号、第5,126,194号、第5,126,195号および第5,147,717号において、ビニルピロリドンポリマーおよびある種の水分散性および/または水溶性ポリエステルの混合物を、他のポリマーおよび追加物と共に含む、水性に基づくIRL処方を開示する。バターズ(Butters)らは、米国特許第4,857,386号および第5,102,717号において、ビニルピロリドンポリマーおよびアクリルもしくはメタクリル系ポリマーの混合物を含むインク吸収性樹脂層を開示する。サトウ(Sato)らは米国特許第5,194,317号において、およびヒグマ(Higuma)らは米国特許第5,059,983号において、ポリ(ビニルアルコール)に基づく水性のコーティング可能なIRL処方を開示する。イクバル(Iqbal)は米国特許第5,208,092号において、その後架橋され得るビニルコポリマーを含む、水溶性IRL処方を開示する。これらの例のほかに、上記した第1および第2のIRLの必要条件に一致する他の公知のまたは予想されるIRL処方があり得、そのすべてが、本発明の意図および範囲の下にある。
【0097】
IRLはまた、光沢、摩擦および/または指紋耐性を制御する目的で、種々の濃度および大きさのつや消し剤、表面の均質性を高め、かつ乾燥したコーティングの表面張力を調節するための界面活性剤、色止め料、酸化防止剤、UV吸収化合物、光安定剤を含むことができる。
【0098】
画像形成した要素の耐久性を高める目的で、IRLをオーバーコートすることがまた望ましくあり得る。そのようなオーバーコートは、要素が画像形成される前または後にIRLに施用され得る。例えば、IRLは、インクが自由に通過するインク透過性層でオーバーコートされることができる。このタイプの層は、米国特許第4,686,118号、第5,027,131号および第5,102,717号に記載されている。あるいは、オーバーコートは、要素が画像形成された後に添加されることができる。任意の公知のラミネートフィルムおよび装置を、この目的のために使用できる。上記した画像形成プロセスにおいて使用されるインクはよく知られており、インクの処方はしばしば、特定のプロセス、すなわち連続、圧電性または熱的なプロセスに密接に関連づけられる。したがって、特定のインクプロセスに依存して、インクは、溶媒、着色剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤の広範囲に異なる量および組合せを含むことができる。本発明の画像記録要素と組合せて使用するのに好ましいインクは、水溶性であり得る。しかしながら、与えられたインク記録プロセスまたは与えられた市販品の売主に固有のインクを用いて使用するために処方され得る、上記したような画像記録要素の代替的実施態様が、本発明の範囲内にあることが意図され得る。
【0099】
別の実施態様においては、写真要素を製造するために、複合支持体シートを、写真要素でコーティングすることができる。写真要素は、単色要素または多色要素であることができる。多色要素は、スペクトルの3つの主要領域のそれぞれに感光性の、画像インクもしくは染料−形成単位を含む。各単位は、与えられたスペクトル領域に感光性の単一乳剤層または多重乳剤層を含むことができる。要素の層(画像形成単位からなる層を含む)は、当技術分野で公知の種々の順序で配置することができる。代替形態では、スペクトルの3つの主要領域のそれぞれに感光性の乳剤が、単一の分けられた(single segmented)層として配置され得る。
【0100】
本発明のために有用な写真要素は一般に、当技術分野で慣用の方法によって、コロイド状マトリックス中でハロゲン化銀結晶を沈殿させることによって製造され得る。コロイドは典型的には、親水性膜形成剤、例えばゼラチン、アルギン酸またはその誘導体であり得る。
【0101】
沈殿工程において形成される結晶は洗浄され、次いで、スペクトル増感染料および化学増感剤を添加し、かつ、その間乳剤温度が典型的には40℃〜70℃に上げられ、一定時間維持され得る加熱工程を提供することによって、化学増感およびスペクトル増感されることができる。本発明において使用される乳剤の製造で用いられる、沈殿ならびにスペクトル増感および化学増感法は当技術分野で公知の方法であることができる。
【0102】
乳剤の化学増感は典型的には、増感剤、例えば:硫黄含有化合物、例えばアリルイソチオシアネート、チオ硫酸ナトリウムおよびアリルチオ尿素、還元剤、例えばポリアミンおよびスズ(II)塩、貴金属化合物、例えば金、白金およびポリマー剤、例えばポリアルキレンオキシドを使用する。記載したように、熱処理を使用して、化学増感を完了することができる。スペクトル増感は、染料の組合せを用いて行うことができ、これは、可視または赤外のスペクトル内で関心のある波長領域について設計される。熱処理の前および後の両方にそのような染料を添加することが知られている。
【0103】
スペクトル増感後、乳剤を支持体上にコーティングすることができる。種々のコーティング技術としては、浸漬コーティング、エアナイフコーティング、カーテンコーティングおよび押出しコーティングが含まれる。
【0104】
本発明において使用されるハロゲン化銀乳剤は、任意のハロゲン化物分布から成り得る。かくして、塩化銀、臭化銀、臭化塩化銀、塩化臭化銀、ヨウ化塩化銀、ヨウ化臭化銀、臭化ヨウ化塩化銀、塩化ヨウ化臭化銀、ヨウ化臭化塩化銀およびヨウ化塩化臭化銀の乳剤から成り得る。主に塩化銀とは、乳剤の粒状物が、50モル%より多い塩化銀であることを意味する。好ましくは、90モル%より多い塩化銀であり、最適には、95モル%より多い塩化銀である。
【0105】
ハロゲン化銀乳剤は、任意の大きさおよび形態の粒状物を含むことができる。かくして、粒状物は、立方体、八面体、立方−八面体の形態または、立方格子タイプのハロゲン化銀粒状物の任意の他の天然に生じる形態をとりうる。さらに、粒状物は、不規則な、例えば球状の粒状物または平板状またはコア/シェルの粒状物であることができる。平板状または立方体の形態を有する粒状物が好ましい。
【0106】
写真材料を含むことができる本発明の要素は、写真現像処理の理論(The Theory of the Photographic process)、第4版、T.H.ジェイムズ(James)、マクミラン パブリシング カンパニー社 (Macmillan Publishing Company Inc.)、1977年、151−152頁に記載された乳剤を使用できる。還元増感は、ハロゲン化銀乳剤の写真感光性を改善することが知られている。還元増感されたハロゲン化銀乳剤は一般に良好な写真露光感度を示すが、しばしば、望ましくないかぶりおよび劣った貯蔵安定性を欠点としてもつ。
【0107】
還元増感は、銀イオンを還元して金属銀原子を形成する化学品である還元増感剤の添加によって、または還元環境、例えば高いpH(過剰の水酸化物イオン)および/または低いpAg(過剰の銀イオン)を提供することによって、計画的に行うことができる。ハロゲン化銀乳剤の沈殿中に、例えば、硝酸銀またはアルカリ溶液が急速に添加されるか、または乳剤粒状物を形成するのに混合が不十分なときに、意図しない還元増感が生じ得る。また、熟成剤(ripener)(粒状物成長変性剤)、例えばチオエーテル、セレノエーテル、チオ尿素またはアンモニアの存在下でのハロゲン化銀乳剤の沈殿は、還元増感を助長する傾向がある。
【0108】
沈殿中またはスペクトル/化学増感中に使用して、乳剤を還元増感することができる還元増感剤および環境の例としては、アスコルビン酸誘導体、スズ化合物、ポリアミン化合物および、米国特許第2,487,850号、第2,512,925号および英国特許第789,823号に記載されたチオ尿素二酸化物に基づく化合物が包含される。還元増感剤または条件の詳細な例、例えばジメチルアミンボラン、塩化スズ(II)、ヒドラジン、高pH(pH8−11)および低pAg(pAg1−7)熟成は、S.コリアー(Collier)により、Photographic Science and Engineering, 23, 113(1979)にて議論されている。計画的に還元増感したハロゲン化銀乳剤の製造方法の例は、EP0,348,934A1(ヤマシタ(Yamashita))、EP0,369,491(ヤマシタ(Yamashita))、EP0,371,388(オーハシ(Ohashi))、EP0,396,424 A1(タカダ(Takada))、EP0,404,142A1 (ヤマダ(Yamada))およびEP0,435,355A1(マキノ(Makino))に記載されている。
【0109】
本発明の写真要素は、リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1994年9月、項36544、第I節[ケネス メイソン パブリケーションズ社(Kenneth Mason Publications, Ltd.),ダドレー アネックス(Dudley Annex)、12a ノース ストリート(North Street)、エムスワース(Emsworth)、ハンプシャー(Hampshire)PO10 7DQ、英国により刊行]に記載された、第VII族金属、例えばイリジウム、ロジウム、オスミウムおよび鉄を用いてドープした乳剤を使用することができる。その上、ハロゲン化銀乳剤の増感におけるイリジウムの使用の一般的概略は、キャロル(Carroll)、「イリジウム増感:文献概説(Iridium Sensitization: A Literature Review)」、Photographic Science and Engineering, 第24巻、No.6、1980年に含まれる。イリジウム塩の存在下で乳剤を化学増感することによるハロゲン化銀乳剤の製造方法および写真スペクトル増感染料は、米国特許第4,693,965号に記載されている。幾つかの場合には、そのようなドープ剤を組み込むことができるときには、乳剤は、ザ ブリティッシュ ジャーナル オブホトグラフィー アニュアル(The British Journal of Photography Annual)、1982年、201−203頁に記載されたカラー反転E−6現像処理で現像処理されるとき、新たなかぶりの増加および低いコントラスト感光度曲線を示す。
【0110】
典型的な多色写真要素は、少なくとも1つのシアン染料形成カプラーを組み合わせた少なくとも1つの赤色感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むシアンインクもしくは染料画像形成単位、少なくとも1つのマゼンタ染料形成カプラーを組み合わせた少なくとも1つの緑色感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むマゼンタ画像形成単位、および、少なくとも1つのイエロー染料形成カプラーを組み合わせた少なくとも1つの青色感光性ハロゲン化銀乳剤層を含むイエロー染料画像形成単位を有する本発明のラミネートされた支持体を含む。要素は、さらなる層、例えばフィルター層、中間層、オーバーコート層、下塗り層(subbing layer)を含むことができる。支持体はまた、白黒の写真印刷要素のために使用できる。
【0111】
写真要素はまた、透明磁気記録層、例えば、米国特許第4,279,945号および第4,302,523号におけるような、透明支持体の下面に磁気粒子を含む層を含むことができる。本発明は、リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1997年9月、項40145に開示された材料と共に使用することができる。本発明は特に、節XVIおよびXVIIの材料カラー紙の例と共に使用するのに適当であり得る。節IIのカプラーがまた特に適当である。節IIのマゼンタI(MagentaI)カプラー、特に以下に示すM−7、M−10、M−18およびM−18が特に望ましい。以下の表においては、(1)リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1978年12月、項17643、(2) リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1989年12月、項308119および(3) リサーチ ディスクロージャー(Research Disclosure)、1994年9月、項36544が参照され、すべてが、ケネス メイソン パブリケーションズ社(Kenneth Mason Publications, Ltd.),ダドレー アネックス(Dudley Annex)、12a ノース ストリート(North Street)、エムスワース(Emsworth)、ハンプシャー(Hampshire)PO10 7DQ、英国により刊行されている。表および表で引用した参考文献は、本発明の要素において使用するのに適当な特定の成分を記載するものと読まれるべきである。表およびその引用した参考文献はまた、要素およびそれに含まれる画像を製造し、露光し、現像処理し、かつ処理する適当な方法を記載する。
【0112】
【表2】
【0113】
写真要素は、電磁スペクトルの紫外、可視および赤外領域を含む種々の形態のエネルギーならびに、電子ビーム、ベータ放射、ガンマ放射、X−線、アルファ粒子、中性子放射および、レーザーにより生成されるように、非干渉性(ランダム位相)形態または干渉性(同じ位相)形態での、他の形態の微粒子および波状放射エネルギーにて露光することができる。写真要素がX−線によって露光されることを意図されるときには、慣用のX−線撮影要素に見出される特徴を含むことができる。
【0114】
写真要素は好ましくは、典型的にはスペクトルの可視領域で、化学線放射に露光されて、潜像を形成し、次いで、好ましくは熱処理以外によって、現像処理されて可視像を形成する。現像処理は好ましくは、公知のRA−4.(商標)(イーストマン コダック カンパニー(Eastman Kodak Company))Processまたは、高塩化物乳剤の現像に適当な他の処理系で行うことができる。本発明はまた、支持体ならびに上記したハロゲン化銀粒状物を含有する少なくとも1層の光感光性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真記録要素に関する。
【0115】
本明細書で開示した記録要素はインクジェットプリンターのために有用であると主に言及したが、それらはまたペンプロッタアセンブリ(pen plotter assembly)のための記録媒体として使用することができる。ペンプロッタは、インクレシーバーと接触した1束の毛細管からなるペンを用いて記録媒体の表面に直接書くことによって機能する。
【0116】
【実施例】
以下の実施例は、本発明をさらに説明することを意図しており、限定するものではない。
多孔質ポリエステル粒子 PE−1 〜 PE−4 の製造
前駆体ポリエステルPP−1〜PP−3はすべて、2−工程溶融重縮合プロセスによって合成された。化学組成を表1に挙げ、反応時間および最終的な分子量を表2に挙げる。SIP、CHDM、ジブチルスズ酸 (dibutylstannoic acid)、酢酸亜鉛および酢酸ナトリウムを、ステンレス鋼の撹拌棒、窒素入口および、制御された真空系に出口が接続されているドライアイス/アセトン冷却管へ続くアームを備えた500mlの3つ口フラスコ中で合わせた。留出物を集め、測定するために、目盛付きシリンダーを、すり合わせガラスジョイントで冷却管の下に接続した。反応は、金属加熱合金を有するサーモスタット付きの浴中で加熱された。安定した窒素流を反応混合物の上を10分間通した後、わずかに正の流れに減じた。透明なプレポリマーが生じ、計算された量のメタノール留出物がすり合わせシリンダーに集められるまで、〜100RPMで撹拌しながら、温度を210〜230℃に100〜250分間保持した。反応物を浴から取り出し、冷却した。次に、FAおよびIPAを添加し、冷却管に氷を入れた。反応を220℃で再開し、20分以内に水凝縮物が集まり始めた。溶融物の粘度が、ポリエステルがもはや有効に撹拌できなくなる点に増加するまで、反応を220℃にて130〜460分間保持し、反応を終了した。
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】
前駆体ポリエステルPP−4は、PP−1〜PP−3について上記で使用したのと同じ装置および同様の2−工程の手順を用いて合成した。第1工程においては、SIP(82.41g、0.28モル)、ヒドロキノン−ビス−ヒドロキシエチルエーテル(HQBHE)(110.29g、0.56モル)、酢酸ナトリウム(2.28g)およびチタンイソプロポキシド(4滴)を、500mlの3つ口丸底フラスコ中で合わせ、220〜240℃で70分間加熱し、その時点で、透明なわずかにオレンジ色のプレポリマーが形成され、計算された量のメタノール凝縮物が集められた。次に、反応物を冷却し、フマル酸ジエチル(47.90g、0.28モル)を添加した。反応を再開し、200℃で100分間加熱した後、220℃で120分間加熱した。次に、減圧を始め、環境圧力から20トルまで2分間かけて減らした。溶融物の粘度は急速に増加し始め、反応を終了した(Mn=2940、Mw=5440)。
【0120】
ポリエステル粒子PE−1〜PE−4はすべて、以下の手順によって合成された。表3に示した量の水中に適当な前駆体ポリエステルを分散させることによって、水性相を製造した。水は一般に、40〜60℃に加熱されなければならず、前駆体ポリエステル中のSIPモノマーの量に依存して、前駆体ポリエステルが完全に分散されるのに20分間〜16時間を要した。水性相をチーズクロスでろ過し、トルエン、DVB、ヘキサデカンおよびAIBNからなる有機相を有するビーカー中で合わせた。2相を、任意の表3に挙げた3つの方法により乳化し、機械的撹拌器および、窒素入口を有する還流冷却管を付けた適当な大きさの3つ口の1Lの丸底フラスコに移した。不透明な白色のミクロ懸濁物を、窒素で10分間発泡脱気した後、70℃で16時間1晩加熱した。得られた粒子分散物を室温に冷却し、ローラリーエバポレータにより水共沸混合物としてトルエンを除去した。分散物を、4〜6体積の水で洗浄し、100Kの切断した螺旋に巻いた(spiral−wound)透析カートリッジを有するミリポア アミコン(Millipore Amicon)限外ろ過系を用いて、9〜25%固形分量まで濃縮した。各PE分散物の正確な濃度を表4に挙げる。
【0121】
【表5】
【0122】
粒径および粒径分布の決定
各粒子の粒径および粒径分布は、レーザー散乱粒径分布アナライザー、HoribaLA−920(ホリバ(Horiba)LTDにより製造)を用いて測定した。PE−1〜PE−4についての結果は表4にある。
【0123】
【表6】
【0124】
実施例1
対照要素 C−1 (大きさの大きい粒子の単層)の製造
53.92質量%の分散物PE−3、2.18質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および43.90質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、コーティング組成物を製造した。コーティング組成物を、スロットダイコーティング装置に計量して供給し、予め、約2.4m/分の速度で動かして、コロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした写真用紙ストックからなるベース支持体上にコーティングした。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、インク受理層を形成した。乾燥インク受理層の厚みは、約15±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素1の製造
対照要素C−1と同じにコーティング組成物(溶液S−3)を製造した。62.78質量%の分散物PE−1、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および35.72質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−1)を製造した。両コーティング組成物を、多重スロットダイコーティング装置に計量して供給し、同時にコーティングし、溶液S−3は、溶液S−1より下に(支持体に近い方に)、予め、約2.4m/分の速度で動かして、コロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした写真用紙ストックからなるベース支持体上に、コーティングされた。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、2−層画像受理要素を形成した。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約19±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素2の製造
溶液S−1が59.08質量%の分散物PE−1、2.0質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および38.92質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって80/20質量比である]であったこと以外は要素1と同じに、コーティング組成物S−3およびS−1を製造した。要素1と同じに、コーティング組成物をコーティングし、乾燥した。溶液S−3は、溶液S−1より下に(支持体に近い方に)コーティングされた。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約20±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素3の製造
対照要素C−1と同じにコーティング組成物(溶液S−3)を製造した。65.54質量%の分散物PE−2、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および32.96質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−2)を製造した。要素1と同じに、コーティング組成物をコーティングし、乾燥した。溶液S−3は、溶液S−2より下に(支持体に近い方に)配置された。乾燥下方層の厚みは約12±2μmであると測定され、乾燥上方層の厚みは約9±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素4の製造
層の厚みが異なっていたこと以外は要素3と同じに、コーティング組成物S−3およびS−2を製造し、コーティングし、乾燥した。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約12±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
要素5の製造
対照要素C−1と同じにコーティング組成物(溶液S−3)を製造した。48.30質量%の分散物PE−4、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および50.20質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物S−4を製造した。要素1と同じに、コーティング組成物をコーティングし、乾燥した。溶液S−3は、溶液S−4より下に(支持体に近い方に)配置された。乾燥下方層の厚みは約20±2μmであると測定され、乾燥上方層の厚みは約5±2μmであると測定された。測定した表面光沢、Dmaxでのシアンパッチの印刷濃度およびインク乾燥時間を表5に報告する。
印刷
実施例1の上記要素および対照要素を、Lexmark Z51インクジェットプリンターおよび、銅フタロシアニン染料(クラリアント ダイレクト ターコイズ ブルー(Clariant Direct Turquoise Blue)FRL−SF)を用いた標準処方を使用して製造されたシアンインクジェットインクを用いて印刷した。D−max(最高濃度設定)での赤色チャネル濃度(シアン)パッチを、X−Rite(商標)820濃度計を用いて読んだ。シアン濃度を表5に報告する。
表面光沢測定
印刷されていないインク受理層の上表面の光沢を、BYKガードナー(Gardner)光沢計を用いて、照明/反射の角度60°にて測定した。結果は、鏡面光沢値100を有する、屈折率1.567を有する高度に磨いた黒色ガラスに関連させる。結果を表5に報告する。
インク乾燥時間の測定
米国特許第6,001,161号からのダイ6(Dye 6)を用いた標準処方を使用して製造されたマゼンタインクジェットインクの(10マイクロリットルの毛細管からの)1滴を、それぞれの印刷していない要素上に置き、この箇所が指触乾燥状態となるのに要する時間を、表5に示すように、「インク乾燥時間」として測定した。
【0125】
【表7】
【0126】
上記結果は、上方層が平均直径0.5マイクロメートル未満を有する多孔質ポリエステル粒子を含むとき、多層インク受理層構造を有する要素について、高い表面光沢および改善された印刷濃度が達成できることを示す。
実施例2
コア − シェルラテックス分散物 D−1 の合成
本発明において使用されるコア−シェルラテックスは逐次乳化重合技術によって製造され、この方法においては、コアポリマーラテックスがまず重合された後、第2のモノマー懸濁物が逐次供給される。この合成において以下の試薬を使用した。
【0127】
【0128】
試薬の組合せAを、窒素入口、機械的撹拌器および冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコに仕込んだ。フラスコを80℃の一定温度の浴に浸し、窒素で20分間パージした。試薬Bを添加した後、試薬混合物Cを2時間かけて添加した。混合物(C)を一定に撹拌して、混合物を懸濁物の形態に保持した。重合を30分間続け、ラテックスを40℃に冷却した。第2のモノマー懸濁物(D)を製造し、同じ方法で添加した。全添加時間は2時間であった。ラテックスを40℃でさらに1時間加熱し、4mlの10質量%t−ブチルヒドロペルオキシドおよび10質量%のホルムアルデヒド−亜硫酸塩を添加して、残留モノマーを除去した。反応を30分間保持し、室温に冷却し、ろ過して、分散物D−1が得られた。
【0129】
ラテックス分散物はpH=2.0を有しており、数滴の水酸化ナトリウム希薄溶液を添加してpH=6.0に調整した。水性分散物の濃度は16.74質量%固形分量であった。粒子の平均直径は117ナノメートルであると測定された。
要素6の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造した。50.8質量%の分散物D−1、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および47.7質量%の水[有機ポリマー粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−5)を製造した。両コーティング組成物を多重スロット−ダイコーティング装置に計量して供給し、同時にコーティングした。溶液S−3は、溶液S−5より下に(支持体に近い方に)、予め、約2.4m/分の速度で動かして、コロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした写真用紙ストックからなるベース支持体上に配置された。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、2−層画像受理要素を形成した。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約26±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
非多孔質ポリエステル粒子の合成
トルエン成分を添加せず、それで共沸除去工程を必要としなかったこと以外は、PE−1〜PE−4について使用したのと同じ手順によって、非多孔質ポリマー粒子PE−5を合成した。水性分散物の濃度は、12.78質量%固形分量であった。粒子の平均直径は307ナノメートルであると測定された。
要素7の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造した。66.5質量%のポリエステル粒子PE−5、1.5質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および32.0質量%の水[ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−6)を製造した。両コーティング組成物を多重スロット−ダイコーティング装置に計量して供給し、同時にコーティングした。溶液S−3は、溶液S−6より下に(支持体に近い方に)、予め、約2.4m/分の速度で動かして、コロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした写真用紙ストックからなるベース支持体上に配置された。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、2−層画像受理要素を形成した。乾燥インク受理層の合計の厚みは、約28±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
要素8の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造し、コーティングし、乾燥して、層L−1を形成した。55.2質量%のコロイド状シリカ溶液TX−11005(水中に30.8質量%のシリカ、挙げられた粒径は118ナノメートル、ナルコ ケミカル カンパニー(Nalco Chemical Company)から)、3.0質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および41.8質量%の水[シリカ粒子対PVAの相対割合は、したがって85/15質量比である]から、第2のコーティング組成物(溶液S−7)を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、層L−1上に溶液S−7をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去して、層L−2を形成した。層L−1の厚みは約15±2μmであると測定され、層L−2の厚みは約3±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
要素9の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造し、コーティングし、乾燥して、層L−1を形成した。42.5質量%のヒュームドアルミナ溶液(水中の40質量%アルミナ、キャボット コーポレーション(Cabot Corporation)からのCab−O−Sperse(商標))、1.8質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)、0.8質量%の2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン(クラリアント コーポレーション(Clariant Corp.))および54.9質量%の水から、第2のコーティング組成物(溶液S−8)を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、層L−1上に溶液S−8をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去して、層L−3を形成した。層L−1の厚みは約15±2μmであると測定され、層L−3の厚みは約3±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
要素 10 の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造し、コーティングし、乾燥して、層L−1を形成した。100質量%のViviprint 540(インターナショナル スペシャルティ プロダクツ(International Specialty Products)からの、水中の10質量%ポリビニルピロリドンヒドロゲル)から、第2のコーティング組成物(溶液S−9)を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、層L−1上に溶液S−9をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去して、層L−4を形成した。層L−1の厚みは約15±2μmであると測定され、層L−4の厚みは約4±2μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
要素 11 の製造
対照要素C−1と同じに、コーティング組成物(溶液S−3)を製造し、コーティングし、乾燥して、層L−1を形成した。10質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(エア プロダクツ アンド ケミカルズ社(Air Products and Chemicals, Inc.)からのAirvol 203S)および90質量%の水から、第2のコーティング組成物(溶液S−10)を製造した。盛りの付いたコーティングナイフを用いて、層L−1上に溶液S−10をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去して、層L−5を形成した。層L−1の厚みは約15±2μmであると測定され、層L−5の厚みは約1±0.5μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびDmaxでのシアンパッチの印刷濃度を測定し、結果を表6に報告する。
【0130】
【表8】
【0131】
上記の結果は、上方層が平均直径0.5マイクロメートル未満を有する有機もしくは無機粒子を含むとき、または表面層が実質的に粒子を含まないときに特に、多層インク受理層構造を有する要素について、対照要素C−1を用いて得られるのと比べて、高い光沢および改善された印刷濃度が達成できることを示す。
実施例3
対照要素 C−2 の製造
対照要素C−2は、高含有量のゼラチンを含んで成るインク受理層を含む、市販されていて入手可能なインクジェット非多孔質レシーバー用紙、イーストマン コダック(Eastman Kodak Co.)社からの「コダック インクジェット フォト ペーパー(Kodak Inkjet Photo Paper)」、カタログNo.1181197であった。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびインク乾燥時間を測定した。60度で測定された表面光沢は84であり、インク乾燥時間は150秒であると測定された。
要素 12 の製造
要素3と同じに、コーティング組成物(溶液S−2)を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、対照要素C−2上に溶液S−2をコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。この層の厚みは約3±1μmであると測定された。実施例1と同じに、要素を印刷した。実施例1と同じに、表面光沢およびインク乾燥時間を測定した。60度で測定した表面光沢は57であり、インク乾燥時間は20秒であると測定され、対照要素C−2について測定したのよりはるかに速かった。
実施例4
対照要素 C−3 の製造
対照要素C−3は、高含有量のシリカ微粒子を含んで成るインク受理層を含む、市販されていて入手可能なインクジェット多孔質レシーバー用紙、エプソン(Epson)からの「エプソン プレミアム グロッシー フォト ペーパー(Epson Premium Glossy Photo Paper)」、カタログNo.SO41286であった。要素 13 の製造
要素3と同じに、コーティング組成物(溶液S−2)を製造し、目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、対照要素C−3上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。この層の厚みは約4±2μmであると測定された。
対照要素 C−4 の製造
ヒュームドアルミナ(Cab−O−Sperse(商標)PG003、キャボット社(Cabot Corp.))、ポリ(ビニルアルコール)(Gohsenol(商標)GH−23A、ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.))および2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン(クラリアント社(Clariant Corp.))を、88:10:2の質量比で合わせることによってコーティング組成物(溶液S−11)を製造して、30質量%固形分量の水性コーティング処方を与えた。
【0132】
ヒュームドアルミナ(Cab−O−Sperse(商標)PG003、キャボット社(Cabot Corp.))、ポリ(ビニルアルコール)(Gohsenol(商標)GH−23A、ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.))ならびに、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドおよびジビニルベンゼンのコポリマー(モル比87:13)を85:3:12の質量比で合わせることによってコーティング組成物(溶液S−12)を製造して、10質量%固形分量の水性コーティング処方を与えた。ヒュームドアルミナ粒子は、直径約7〜40nmの主要粒径を有し、約150nmまで集合している。界面活性剤Zonyl(商標)FSN(デュポン社(E.I. du Pont de Nemours and Co.)およびOlin(商標)10G(ディキシー ケミカル社(Dixie Chemical Co.))を、コーティング助剤として少量添加した。
【0133】
両コーティング組成物を多重スロット−ダイコーティング装置に計量して供給し、予めコロナ放電処理に供しておいた、ポリエチレン樹脂コーティングした紙ベースからなるベース支持体上に40℃にて同時にコーティングし、溶液S−11は、溶液S−12より下に(支持体に近い方に)配置された。コーティングした支持体は直ちに、コーティング機の乾燥部分に入って、実質的に全ての溶媒成分を除去され、2−層画像受理要素を形成した。底部層および最上部層の厚みはそれぞれ、40μmおよび2μmであった。
要素 14 の製造
要素3と同じに、コーティング組成物(溶液S−2)を製造し、目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、対照要素C−4上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。この層の厚みは約4±2μmであると測定された。
対照要素 C−5 の製造
70質量%溶液としての乾燥で254gの沈降炭酸カルシウムAlbagloss−s(商標)(スペシャルティ ミネラルズ社(Specialty Minerals Inc.))、乾燥で22gのシリカゲルGasil(商標)23F(クロスフィールド社(Crosfield Ltd.))、10質量%溶液としての乾燥で2.6gのポリ(ビニルアルコール)Airvol(商標)125(エアプロダクツ(Air Products))および50質量%溶液としての乾燥で21gのスチレン−ブタジエンラテックスCP692NA(商標)(ダウ ケミカルズ(Dow Chemicals))を混合することによって、ベース層のためのコーティング組成物を製造した。コーティング組成物の質量%固形分量は、水の添加により、35質量%に調整した。ベース層コーティング組成物を、185g/m2の基本重量を有する紙支持体(イーストマン コダック社(Eastman Kodak Co.))上に25℃でビーズコーティングし、45℃で強制風乾した。ベース層の厚みは25μmであった。
要素 15 の製造
要素3と同じに、コーティング組成物(溶液S−2)を製造し、目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、対照要素C−5上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。この層の厚みは約2±0.5μmであると測定された。
インク乾燥時間の測定
米国特許第6,001,161号からのダイ6(Dye 6)を用いた標準処方を使用して製造されたマゼンタインクジェットインクの(5マイクロリットルの毛細管からの)1滴を、それぞれの印刷していない要素上に置き、この箇所が指触乾燥状態となるのに要する時間を「インク乾燥時間」として測定した。
印刷および染料安定性試験
実施例4の上記要素および対照要素を、Lexmark Z51インクジェットプリンターおよび、銅フタロシアニン染料(クラリアント ダイレクト ターコイズ ブルー(Clariant Direct Turquoise Blue)FRL−SF)を用いた標準処方を使用して製造されたシアンインクジェットインクを用いて印刷した。D−max(最高濃度設定)での赤色チャネル濃度(シアン)パッチを、X−Rite(商標)820濃度計を用いて読んだ。シアン濃度を表5に報告する。次に、印刷した要素を、5ppmのオゾンを含む窒素流へ4日間の暴露に供した。各パッチの濃度は、暴露試験後に、X−Rite(商標)820濃度計を用いて読んだ。%染料保持率を、暴露試験後濃度対暴露試験前濃度の比として計算した。シアンD−maxについての結果を表7に報告する。
【0134】
【表9】
【0135】
上記結果は、上方層が0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する多孔質ポリエステル粒子を含むときに特に、多層インク受理層構造を有する要素について、表面光沢およびインク乾燥時間を維持しながら、改善された染料安定性が達成できたことを示す。
実施例5
ポリエステル − ウレタン (PEU−1) を含むビーズの 2− 工程製造
ポリエステル − ジオールプレポリマー:無水マレイン酸(107.61g、1.10モル)、ネオペンチルグリコール(137.15g、1.32モル)およびFascat 4100(〜5mg、触媒量)を用いて、以下に記載するPEC−1の製造の工程1に記載したのと同じやり方で、この反応を設定し、進めた。アルコール末端基は、内部標準を用いた1HNMRを使用して直接定量によって決定した。2.0ミリ当量ROH/gポリマーの決定値は、1036.3g/モルの数平均分子量に相当する。
【0136】
ポリエステル − ウレタンを含む粒子:先の工程からのポリエステル−ジオールオリゴマー(10.00g)、トルエン(55.20g)、Desmodur N3300(商標)トリイソシアネート樹脂(3.80g)、オクタン酸スズ(II)(0.05g)、ジブチルスズジラウレート(0.05g)、80%ジビニルベンゼン(41.40g、mおよびp異性体の混合物であり、残部はエチルスチレン)、ヘキサデカン(2.21g)およびAIBN開始剤(1.03g)から成る有機相を製造した。透明な不均質溶液が生じるまで、成分を撹拌した。脱イオン水(120.00)に溶かしたドデシル硫酸ナトリウム(4.40g)から成る水性相を製造した。2相を合わせ、シルバーソン(Silverson) L4Rミキサーを用いて最高速度で10分間乳化した後、M−110T Microfluidizer(商標)(ミクロフリュイディクス(Microfluidics)により販売)を2回通過させた。得られた乳剤を、機械的撹拌器、冷却管および窒素入口を装備した3つ口の2000mlの丸底フラスコに注ぎ、窒素にて10分間発泡脱気した。乳剤を、激しく撹拌しながら、サーモスタット付き水浴中で70℃にて16時間加熱し、ロータリーエバポレーターによる蒸発によってトルエンを除去した。得られた粒子分散物は10.23%固形分量を有していた。Horiba(商標)LA−920粒子サイジング装置を用いた生成物分散物の分析は、平均粒子直径0.153μmを有する単一モードを示した。
要素 16 の製造
48.7質量%のPEU−1水性分散物(水中10.23質量%固形分)、5.0質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co., Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および46.3質量%の水[多孔質有機粒子対PVAの相対割合は、したがって50/50質量比である]から、コーティング組成物を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、コーティング組成物を対照要素C−5上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。実施例6
ポリエステル − カーボネート (PEC−1) を含む多孔質ビーズの 3− 工程製造
ポリエステル − ジオールプレポリマー:フマル酸(100.00g、6.61 x 10−1モル)、シクロヘキサンジメタノール(174.04g、1.20モル)およびFascat 4100(〜10mg、触媒量)を、機械的撹拌器および凝縮物の体積を測定するための目盛付きシリンダーを備えた冷却管アセンブリに至るサイドアームを装備した500mlの1つ口丸底フラスコ中で合わせた。反応を、低温融解加熱合金で満たした浴中に置き、温度を50分かけて150℃から220℃へ上げ、次いで220℃にて200分間保持し、その時点で、〜32mlの凝縮物が集められた。溶融ポリエステルを室温に冷却し、液体窒素中で凍結させ、ハンマーで破壊し、真空オーブン中で60℃にて1晩乾燥した。アルコール末端基は、重クロロホルム中にポリエステルを溶解し、ポリエステルをトリフルオロアセチルイミダゾールで末端保護(endcapping)し、19F NMR末端基ピークを積分し、そして内部標準に対して標準化することによって決定した。2.28ミリ当量ROH/gポリマーの決定値は、877.19g/モルの数平均分子量に相当する。
【0137】
不飽和ポリエステル − カーボネート:先の工程からの不飽和ポリエステルジオールオリゴマー(43.85g、0.05モル)およびトリメチルアミン(22.26g、0.22モル)をジクロロメタン(150g)に溶かした。室温で撹拌しながら、ビスフェノールAビス(クロロホルメート)(47.66g、0.05g)のジクロロメタン(50ml)溶液を、〜20分かけてゆっくりと添加した。室温にて2時間反応を進め、その時間によって、著しく粘稠になり、100gのジクロロメタンでさらに希釈した。次に、生成物溶液を250mlの2%塩酸で1回、および水で2回抽出した。生成物溶液をメタノール中へ沈殿させ、60℃にて真空オーブン中で1晩乾燥した。示差走査熱量測定による分析は、89.4℃のTgを示した。ヘキサフルオロイソプロパノールでのサイズ排除クロマトグラフィーは、Mn=1,390およびMw=80,700を示した。幅広の曲線は、ポリマーが高度に分岐し得ることを示差した。
【0138】
ポリエステル − コ − カーボネートを含む粒子:先の工程からの不飽和ポリエステル−コ−カーボネート(10.00g)、トルエン(20.00g)、クロロメチルスチレン(5.00g)、80%ジビニルベンゼン(5.00g、mおよびp異性体の混合物であり、残部はエチルスチレン)、ヘキサデカン(0.80g)およびVazo 52(商標)開始剤(0.20g)から成る有機相を製造した。透明な不均質溶液が生じるまで、成分を撹拌した。脱イオン水(120.00)に溶かしたドデカンチオール末端保護したポリアクリルアミド10量体界面活性剤(1.60g、米国特許第6,127,453号第9欄第40−55行に記載されたようにして製造した)から成る水性相を製造した。2相を合わせ、Vibra Cell(商標)プローブ ソニケーター(probe sonicator)(ソニックス&マテリアルズ社(Sonics & Materials Inc.))を用いて、最高能力設定で10分間超音波処理した後、冷却管、窒素入口および機械的撹拌器を装備した500mlの3つ口丸底フラスコに移した。反応混合物を窒素で10分間発泡脱気し、サーモスタット付き水浴中で60℃にて16時間激しく撹拌しながら加熱した。次に、トルエンをロータリーエバポレーターによる蒸発によって除去し、ジメチルエタノールアミン(1.17g)を添加した。4級化反応を60℃で16時間進め、過剰のアミンおよび界面活性剤を、12−14Kの切断したセルロース透析チューブを用いて16時間透析によって除去して、13.3%固形分量の生成物分散物を得た。Horiba(商標)LA−920粒子サイジング装置を用いた生成物分散物の分析は、平均値粒子直径1.462μm、主要モード0.36μmおよびより小さいモード〜6μm(たぶん、二次的な集合による)を有する2モード分散を示した。
要素 17 の製造
38.0質量%の水性分散物PEC−1(水中に13.33質量%固形分量)、5.0質量%のポリ(ビニルアルコール)、PVA、(ニッポン ゴーセイ社(Nippon Gohsei Co.,Ltd.)からのGohsenol(商標)GH−17)および57.0質量%の水[多孔質ポリエステル粒子対PVAの相対割合は、したがって50/50質量比である]から、コーティング組成物を製造した。目盛りの付いたコーティングナイフを用いて、コーティング組成物を対照要素C−5上にコーティングし、乾燥して実質的にすべての溶媒成分を除去した。乾燥インク受理層の厚みは約9±2μmであると測定された。
【0139】
実施例5の上記要素を、Lexmark Z51インクジェットプリンターおよび、銅フタロシアニン染料(クラリアント ダイレクト ターコイズ ブルー(Clariant Direct Turquoise Blue)FRL−SF)を用いた標準処方を使用して製造されたシアンインクジェットインクを用いて印刷した。D−max(最高濃度設定)での赤色チャネル濃度(シアン)パッチは、要素16については1.4、要素17については1.3であると測定され、対照要素C−5について測定された濃度よりはるかに高い。
本発明の他の特徴
本発明のインク記録要素は、さらなる態様を含み得る。インク記録要素のこれらのさらなる態様は、多孔質有機粒子が、インク記録要素の最上層より下に少なくとも1層の多孔質層を含み;多孔質有機粒子は、インク記録要素の多孔質最上層を含む、インク記録要素を包含する。要素はまた、インク記録要素の最上層より下に少なくとも1層の多孔質層を含む有機粒子;無機粒子を含み、かつ有機粒子を含まない、インク記録要素の最上層より下の多孔質層;膨潤性ポリマー、例えばゼラチン、ポリ(ビニルアルコール)およびスルホン化ポリマーを含む、最上層より下の少なくとも1層を特徴とし得る。別の態様においては、多孔質層はさらに、無機粒子または非多孔質有機粒子を含む。他の態様においては、要素はさらに、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、クレーもしくは硫酸バリウムを包含する無機粒子を含む。他の態様においては、要素は、スチレン−ブタジエンラテックス、ポリウレタンラテックスまたはアクリル系ラテックスを包含する非多孔質有機物を含む。特徴づけられた要素は、インクジェット記録要素を含む。本発明の他の態様においては、多孔質有機粒子は、ビニル系モノマーを反応させた不飽和縮合ポリマー、例えばポリエステル、ポリウレタン、特にポリウレタンがさらに主鎖不飽和を含むもの、ポリアミド、ポリ尿素、ポリカーボネート、または、エステル−コ−ウレタン、エステル−コ−尿素、エステル−コ−アミド、エステル−コ−カーボネートからなる群より選択される少なくとも1種を含む。別の態様においては、ビニルモノマーは、スチレン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニルおよびシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーを含む。別の態様においては、不飽和縮合ポリマーは、4級アンモニウム部分を有するイオン性基を含む。別の態様においては、多孔質有機粒子は、該少なくとも2層のインク受理層の少なくとも80質量%を構成する。別の態様においては、多孔質有機粒子は、該インク記録要素の最上層に存在する多孔質ポリエステル粒子を含む。他の態様においては、これらの多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートル未満の平均直径を有するか、0.5マイクロメートルより大きい平均直径を有するか、または1〜3マイクロメートルもしくは1〜10マイクロメートルの平均粒子直径を有する。別の態様においては、インク記録要素の最上層に存在する多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートル未満の平均粒子直径を有する粒子を含む。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子はまたインク記録要素の最上層に存在し、最上層より下の少なくとも1層中の多孔質ポリエステル粒子は、0.5マイクロメートルより上の大きさを有する粒子を含む。1つの態様においては、インク記録要素は、60度の測定角度で10以上の表面光沢を有する。多孔質粒子が最上層より下の層にある別の態様においては、最上層は、0.5マイクロメートル未満の平均直径を有する有機もしくは無機粒子を含む。これらの最上層の有機もしくは無機粒子は、ラテックス粒子、スチレン、アクリル系もしくはメタクリル系モノマーから誘導されるポリマー、ポリエステル含有粒子を含むか、または無機粒子は、二酸化ケイ素、アルミナおよび硫酸バリウム粒子からなる群より選択される。別の態様においては、最上層はさらに、バインダーポリマー、例えばポリ(ビニルアルコール)、ゼラチン、スルホン化ポリエステルおよび水分散性ポリウレタンを含む。別の態様においては、最上層は実質的に粒子を含まず、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロゲルまたは有機ポリマーを含む。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニレンジアクリル酸、シトラコン酸およびメサコン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含み、さらにスルホン化モノマーを含み、少なくとも10の酸価を有し、1,000〜30,000の分子量を有する前駆体ポリエステルを含む。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子は、イオン性単位1モルあたり40〜2000gの当量のイオン性基を有し、さらにスルホネート官能性を含む。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子は、有機バインダー、例えばポリ(ビニルアルコール)またはスルホン化ポリエステル中にあり、粒子は、2層以上のインク受理層の少なくとも1層の50〜95質量%または75〜90質量%を構成する。別の態様においては、多孔質ポリエステル粒子はさらに、スチレン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニルまたはシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーの共重合生成物を含む。別の態様においては、要素の最上層は、1〜20マイクロメートルの厚みを有し、インク記録要素は、10〜50マイクロメートルの厚みを有する。本発明はまた、2層インク受理層の少なくとも1層が多孔質ポリエステル粒子を含むインク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素を提供すること;および、プリンターを用いて該インク記録要素に印刷することを含む、印刷物を形成する方法を特徴づける。
Claims (3)
- インク受理層を2層以上含んで成るインク記録要素であって、該2層以上のインク受理層の少なくとも1層が多孔質有機粒子を含み、かつ、多孔質であることを特徴とするインク記録要素。
- 該多孔質有機粒子が、ビニル系モノマーを反応させた不飽和縮合ポリマーを含む、請求項1に記載のインク記録要素。
- 前記多孔質有機粒子が多孔質ポリエステル粒子を含む、請求項1に記載のインク記録要素。
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