JP2999594B2 - 多層構造エマルション粒子 - Google Patents

多層構造エマルション粒子

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JP2999594B2 JP3192763A JP19276391A JP2999594B2 JP 2999594 B2 JP2999594 B2 JP 2999594B2 JP 3192763 A JP3192763 A JP 3192763A JP 19276391 A JP19276391 A JP 19276391A JP 2999594 B2 JP2999594 B2 JP 2999594B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料、紙コーティン
グ、情報記録紙等に用いられるコーティング剤の添加剤
として有用な粒子内部に貫通孔を有する多層構造エマル
ション粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、乳化重合によって作製された高分
子の微粒子が有機顔料として種々検討されている。もっ
とも一般的に使用されているものは、粒子径が0.2〜
0.5μの均一な密実型の乳化重合ポリスチレン粒子で
ある。例えば特開昭59−59741に記載されている
方法では、アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性
界面活性剤の存在下に不飽和カルボン酸及びビニル単量
体を共重合させ、粒子の90%以上が0.2〜0.28
μの粒径を有する共重合体エマルションを製造し、紙被
覆又は塗料等の用途に使用する例が示されている。しか
しながら、この方法により得られたエマルション粒子で
は、十分な隠蔽性、白色度及び光沢が得られず、多量に
用いなければ実用上の利点が認められないために、コス
ト高、重量増などの問題を起こす。
【0003】近年、更に隠蔽性、白色度及び光沢を向上
させる目的から、上記の様な均一、密実型の粒子から小
孔を有するエマルション粒子への転換が提案されている
(アメリカ特許第4427836号)。このものは、芯
物質として不飽和カルボン酸を少なくとも5重量%共重
合させたポリマー分散液に、鞘ポリマーを形成するモノ
エチレン的不飽和鞘単量体の少なくとも1種類を添加
し、乳化重合して得られるエマルションを水性揮発性塩
基にて中和し、芯ポリマーを膨潤させた後、乾燥させて
粒子内部に微小空隙を形成させたものであり、有機顔料
として用いた場合、十分ではないまでも、前記の均一、
密実型のものよりは隠蔽性、白色度が向上することが認
められている。
【0004】なお、この粒子内部にある微小空隙中には
水が存在し、粒子を乾燥することにより空隙中の水分が
揮発し中空となるが、水分が粒子の壁部を透過しなけれ
ばならないため揮発させることが難しい。また、空隙が
大きくなればなる程、空隙中の水分の絶対量が増大し、
乾燥性が悪くなるという欠点があり、さらに、上記の粒
子を有機顔料として紙塗工に使用した場合、インキ受理
性インキセット性やプリスター適性などの印刷適性の点
で大きな改善は認められない。
【0005】一方、上記の微小空隙を有する粒子を感熱
記録紙の下塗りに導入して断熱性を高め、発色感度を向
上させる例が特開昭63−281886に開示されてい
る。この方法によって作製される感熱記録紙は、無機顔
料や有機系の尿素樹脂よりも発色感度の向上は認められ
るが、ヘッドカス付着やスティッキングにつていは改善
されていない。
【0006】以上のように、粒子内部に微小空隙を有す
るエマルション粒子は、有機顔料として隠蔽性、白色度
の点では改善が認められるものの、粒子の構造上、吸油
性や透気性、ガス透過性が無いことが顔料としての大き
な欠点であり、実用上の問題となっている。
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】本発明の1つの目的
は、有機顔料として隠蔽性、白色度を損なうことなく、
優れた多層構造エマルション粒子を提供することであ
る。
【0008】本発明の他の目的は、塗料、紙塗工、感熱
記録材料などに有用な有機顔料となしうる多層構造エマ
ルション粒子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、多層構造エマルション粒子であって、乾燥時の構造
が粒子の表層部から内部を結ぶ貫通孔を1個以上を有
し、且つ粒子直径が0.1〜5.0μであることを特徴
とする多層構造エマルション粒子の提供によって達成さ
れる。
【0010】上記において、エマルション粒子は、乾燥
時に粒子内部に小孔を有し且つその粒子表面から内部の
小孔に通じる貫通孔を有するものであり、粒子直径が
0.1〜1.2μの範囲であることが好ましい。また、
上記したエマルション粒子は、不飽和カルボン酸を5〜
80重量%含有するビニル単量体(a)を乳化重合して
得られる重合体(A)からなる粒子の存在下、重合体
(A)の1倍量に対して1〜10倍量の重量のビニル単
量体(b)を、1時間当たりの添加量が重合体(A)の
1倍量に対して3倍量以上となるように添加して重合体
(B)を形成して得られる多層構造エマルション粒子を
塩基性物質にて処理することにより重合体(A)を中
和、膨潤させることによって、或いは、この中和処理後
に、更に重合体(A)と重合体(B)の重量の総和に対
して20倍以下の重量にビニル単量体(c)を加えて乳
化重合して重合体(C)を形成することによって得られ
る。上記したエマルション粒子の最も好ましい製造方法
を具体的に示せば次のとおりである。すなわち、不飽和
カルボン酸を8〜80重量%、架橋性単量体を8重量%
未満含有するビニル単量体(a)を乳化重合して得られ
る重合体(A)からなる、粒子径が0.08〜0.2μ
の範囲にある粒子の存在下、不飽和カルボン酸が6重量
%未満で且つ重合体(A)のそれを超えない量のビニル
単量体(b)が含有され、さらに架橋性単量体が3重量
%以下含有される、重合体(A)の1倍量に対して1〜
10倍量の重量のビニル単量体(b)を、重合温度60
〜100℃で且つ1時間当たりの添加量が重合体(A)
の1倍量に対して3倍量以上となるように添加して乳化
重合して重合体(B)を形成し、得られる多層構造エマ
ルション粒子を、PH7〜12、50〜100℃で処理
することにより重合体(A)を中和、膨潤させることに
よって得られる乾燥時に粒子内部に小孔を有し、且つそ
の粒子表面から内部の小孔に通じる貫通孔を少なくとも
一つ以上有し、且つ粒子直径が0.1〜5.0μである
ことを特徴とする多層構造エマルション粒子の製造方法
であって、中和処理後に、不飽和カルボン酸を3重量%
以下、架橋性単量体を3重量%以下含有し、さらに重合
体(A)と重合体(B)の重量の総和に対して20倍量
以下のビニル単量体()を乳化重合して重合体(C)
を形成して同様に多層構造エマルション粒子とすること
もできる。
【0011】本発明の多層構造エマルション粒子は、そ
の形態的特徴から従来の有機顔料にはなかった優れた吸
油性、透気性、ガス透過性を持っており、かつまた、そ
の形態的機能的特徴が隠蔽性や白色度を損ねてはいな
い。
【0012】例えば塗料、紙コーティング剤の顔料及び
填料に用いた場合、二酸化チタン、カオリンクレー、炭
酸カルシウムの一部又は全部の代替が可能で、その場
合、優れた隠蔽性や白色度を損ねる事なく、吸油性やガ
ス透過性などの付加機能を与えることができ、感熱記録
材料としても有用である。その他軽量化、硬度、耐摩耗
性、耐熱性等の改良効果があり、 種配合物の添加剤と
して用い、紙、金属、プラスチック類、繊維、布等に使
用することができる。
【0013】最初に本発明の多層構造エマルション粒子
の各層を構成する重合体のモノマー組成その他について
説明する。不飽和カルボン酸を含むビニル単量体(a)
を乳化重合して得られる重合体(A)は、ビニル単量体
(a)として(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)
アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)
アクリルニトリル等のビニルシアン化合物;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物;およ
びブタジエン等の1種または2種以上を組合せたもの
に、不飽和カルボン酸として、(メタ)アクリル酸、ク
ロトン酸、フマール酸、イタコン酸等の1塩基酸または
2塩基酸;マレイン酸アルキルエステル、フマール酸ア
ルキルエステル等の2塩基酸モノエステル類等の1種ま
たは2種以上、特に好ましくはアクリル酸、メタクリル
酸が使用される。不飽和カルボン酸の使用量は、ビニル
単量体(a)100重量部中、好ましくは5〜80重量
部、より好ましくは10〜50重量部になるように共重
合される。この重合体(A)中の不飽和カルボン酸の量
が5重量部以下では塩基性物質で処理した際、重合体
(A)が十分膨潤を示さず貫通孔は生成しない。また、
80重量部以上では重合安定性が損なわれ、凝集物が多
量に発生して安定なエマルションが得られない。
【0014】この重合体(A)を製造する方法におい
て、重合体(A)のエマルションを安定化させる為に、
スチレンスルホン酸ナトリウム等の不飽和スルホン酸塩
類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の不飽和塩
基類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グ
リシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸
エステル類;もしくは(メタ)アクリルアミド、N−メ
チロール(メタ)アクリルアミド等の官能性単量体が必
要に応じて使用される。
【0015】また重合体(A)を構成する成分に、架橋
性単量体を使用することもできる。この架橋性単量体は
重合体(A)を構成する単量体と共重合可能なものであ
ればよいが、具体的にはジビニルベンゼン、エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート等の重合性不飽和結合を一分子
中に二つ以上有する単量体が用いられる。架橋性単量体
の使用量は、重合体(A)を構成する単量体に対して0
〜8重量%の範囲で使用できるが、好ましくは0.1〜
5重量%の範囲、より好ましくは0.2〜1重量%の範
囲である。
【0016】架橋性単量体を使用することにより重合体
(A)の分子量が増大し、その外層部を形成する重合体
(B)の粒子内部への拡散が抑制されるために、重合体
(B)を粒子の外層部に形成させるのに有利となり、か
つまた塩基性物質による処理時の重合体(A)の水相中
への溶出、及びそれに伴う増粘現象を抑える上でも有利
になる。しかしながら、架橋性単量体の使用量が8重量
%以上になると、塩基性物質による重合体(A)のアル
カリ処理における膨潤を抑制、阻害するため、目的とす
る形状の粒子が得られない。
【0017】次に重合体(A)からなる粒子にビニル単
量体(b)を添加、乳化重合することにより、該粒子
(A)の外層部に重合体(B)が形成される。ここで使
用されるビニル単量体(b)としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビ
ニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)
アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルニトリル等の
ビニルシアン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の
ハロゲン化ビニル化合物およびブタジエン等が1種また
は2種以上を組合せて用いられる。
【0018】又、製造時のエマルションの安定性付与の
ために、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸
などの不飽和カルボン酸類;スチレンスルホン酸ナトリ
ウムなどの不飽和スルホン酸塩類;2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレ
ート等の(メタ)アクリル酸エステル類;もしくは(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミドなどの官能性単量体が必要に応じて使用してもよ
い。
【0019】尚、上記のようにエマルションの安定性付
与の目的から、ビニル単量体(b)中に不飽和カルボン
酸を含有することが可能であるが、ビニル単量体(a)
中の不飽和カルボン酸の割合よりは少なく、好ましくは
0.1重量%以上2重量%以下である。ここで、ビニル
単量体(a)中の不飽和カルボン酸の割合よりもビニル
単量体(b)中のその割合が多くなると、重合体(B)
の膨潤性が大きくなり、目的とする貫通孔を有する粒子
は得られない。
【0020】また、ビニル単量体(b)中には、目的と
する粒子の耐ブロッキング性、耐熱性、耐溶剤性等を改
良する目的で、ビニル単量体(b)と共重合可能な架橋
性単量体も使用できる。使用可能な架橋性単量体として
は、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート等の重合性不飽和結合を一分子中に二つ以
上有する単量体がある。架橋性単量体の添加効果は、上
記ビニル単量体に対して通常0〜3重量%、好ましくは
0.1〜3重量%、より好ましくは0.2〜2重量%の
範囲であり、3重量%以上使用すると重合安定性が損な
われる可能性があり、好ましくない。
【0021】以上に挙げた単量体の組合せは自由である
が、重合体(B)のガラス転移温度が50℃以上、好ま
しくは70℃以上になるように単量体を選択することが
好ましい。上述の多層構造エマルション粒子の製造は、
通常の乳化重合法により製造される。
【0022】本発明においては、重合体(A)からなる
芯粒子の外層部に重合体(B)を形成させ、次いで後述
する塩基性物質により処理した後、または処理中に、更
にビニル単量体(c)を添加、乳化重合させることによ
り該粒子の更に外層部に重合体(C)を形成させる。
【0023】この重合体(C)を形成させる目的で使用
されるビニル単量体(c)としては、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビ
ニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)
アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルニトリル等の
ビニルシアン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の
ハロゲン化ビニル化合物およびブタジエン等があり、こ
れらは1種または2種以上組合せて用いられる。又、ビ
ニル単量体(c)を添加、乳化重合する際に、エマルシ
ョンの安定性付与のために、(メタ)アクリル酸、クロ
トン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸類;スチレ
ンスルホン酸ナトリウム不飽和カルボン酸塩類;2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
もしくは(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミドなどの官能性単量体が必要に応じて
使用される。この際、添加する官能性単量体は、上記ビ
ニル単量体(c)に対して、通常0〜20重量%使用で
きる。好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは
0.1〜5重量%の範囲である。ここで、官能性単量体
を20重量%以上使用すると2次粒子が生成しやすくな
り、また、耐水性の低下および塩基性物質の処理におけ
る増粘が大きくなり実用的でない。また、上記ビニル単
量体(c)のうち、不飽和カルボン酸類は3重量%以下
が好ましく、3重量%以上使用すると凝集し易くなる。
【0024】ビニル単量体(c)には、さらに必要に応
じて架橋性単量体を用いても良い。使用可能な架橋性単
量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート等の重合性不飽和結合を一分子
中に二つ以上有する単量体がある。この際、添加する架
橋性単量体は、上記ビニル単量体(c)に対して、通常
0〜3重量%、好ましくは0.1〜3重量%、より好ま
しくは0.2〜2重量%の範囲である。
【0025】架橋性単量体を使用することにより、耐ブ
ロッキング性、耐熱性、耐溶剤性等が改良されるが、3
重量%以上使用すると、塩基性物質により処理におい
て、重合体(A)の膨潤を阻害してしまう。また0.1
重量%以下では、架橋性単量体の添加効果は乏しい。以
上に挙げた単量体の組合せは自由であるが、得られる重
合体(C)のガラス転移点温度は50℃以上が好まし
く、より好ましくは70℃以上である。次に多層構造エ
マルション粒子の各層の形成方法について説明する。
【0026】各層の形成方法は概して通常の乳化重合法
により行われ、その際、界面活性剤および重合開始剤が
用いられる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ジアル
キルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸
ホルマリン縮合物等のアニオン系界面活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェノールエーテル、エチレンオキサイド−プロピ
レンオキサイドブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エ
ステル等のノニオン系界面活性剤が単独又は組合せて使
用される。
【0027】界面活性剤の使用量は特に限定されない
が、通常、総単量体に対して0.1〜10重量%程度で
ある。重合開始剤としては、通常の乳化重合に使用され
ているものであれば良く、例えば、過硫酸カリウム、過
硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、
ベンゾイルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物
類、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類等で
ある。必要に応じて還元剤と組合せて、レドックス系開
始剤として使用することもできる。
【0028】次に各層の形成方法を順を追って説明す
る。重合体(A)からなるエマルションを作成する為
に、前記の界面活性剤、重合開始剤の存在下に、単量体
(a)を一括、分割、或いは連続的に滴下して重合を行
う。その際重合は窒素パージ下に20〜90℃で行われ
る。
【0029】乳化重合においては、粒子の重合場を提供
する目的から、種粒子の存在下で目的とするビニル単量
体を添加する方法が「シード重合法」として知られてい
るが、本発明においても同方法は使用可能である。尚、
種粒子となるものの組成については何ら限定されない
が、最終的に得られる粒子の性能に影響を与えないよう
にするには、その粒子径は0.07μ以下が好ましい。
【0030】このようにして生成する重合体(A)から
なる粒子の粒子径は0.08〜0.2μであることが好
ましく、さらに好ましくは0.1〜0.15μである。
ここで、その粒子径が0.08μ未満では後述の重合体
(B)が粒子の内部で生成してしまい、また0.2μを
越えると、逆に重合体(B)が粒子を被覆してしまうた
めに、何れも目的とする貫通孔を有する粒子は得られな
い。この様にして生成した重合体(A)から成るエマル
ションに、引き続いてビニル単量体(b)を一括、分
割、或いは連続的に添加する方法で重合を行う。また
は、別工程として重合体(A)からなるエマルションを
前もって製造し、このエマルションを新たに重合槽内に
仕込み、ビニル単量体(b)を上記の様に添加して重合
を行ってもよい。すなわち、重合体(A)と重合体
(B)の製造工程は、引き続いて1段の工程で行っても
よく、それぞれに別工程、或いは組合せた工程で行って
もよく、特に限定は受けない。
【0031】このとき、添加されるビニル単量体(b)
の重量は、重合体(A)の1倍量に対して1〜10倍で
あるが、好ましくは1.5〜8倍、より好ましくは2〜
6倍である。1倍未満では重合体(A)からなる粒子の
重合体(B)による被覆が不完全過ぎるために目的とす
る貫通孔を有する粒子は得られない。また、10倍を越
えると、重合体(B)によって該粒子が被覆されてしま
うために目的とする貫通孔を有する粒子は得られない。
【0032】また、1時間あたりのビニル単量体(b)
の添加重量は、重合体(A)の1倍量に対して3倍量以
、好ましくは4〜12倍、更に好ましくは4.5〜1
0倍、より好ましくは5〜9倍である。3倍未満では添
加が遅すぎ、重合体(A)からなる粒子の表層付近で重
合が行われるために、重合体(B)で該粒子が被覆され
てしまうために目的とする貫通孔を有する粒子は得られ
ない。一方、12倍を越えると添加が速すぎるために、
重合体(B)が該粒子の内部で重合してしまうために目
的とする貫通孔を有する粒子は得られない。
【0033】この際の重合は先に例示した過硫酸塩を用
い、好ましくは重合温度60〜100℃、より好ましく
は70〜90℃で行われる。ここで、重合温度が100
℃を越えるものは、加圧するなどの処置が必要となり、
現実的ではない。また、60℃以下では重合中のビニル
単量体(b)の転化率が低くなり、安定にエマルション
が得られない。尚、過硫酸塩と適当な還元剤を組み合わ
せれば30〜50℃付近ではも高転化率で重合を行える
が、目的とする貫通孔を有する粒子は得られない。これ
は、重合体(B)の形成が重合体(A)からなる粒子の
表層付近で行われてしまうためと推測される。
【0034】上記の様にして得られたエマルション粒子
を、塩基性物質で処理することにより、目的とする粒子
内部に好ましい形態としての小孔を有し、且つその粒子
表面から内部の小孔に通じる貫通孔を少なくとも一つ以
上有する粒子径が0.1〜5μ、好ましくは0.1〜
1.2μの範囲にある多層構造エマルション粒子が得ら
れる。また、塩基性物質による処理の後、さらにビニル
単量体(c)を添加して重合体(C)からなる最外層部
を重合することによっても、目的とする粒子内部に小孔
を有し、且つその粒子表面から内部の小孔に通じる貫通
孔を少なくとも一つ以上有する粒子径が0.1〜5.0
μ、好ましくは0.1〜1.2μの範囲にある多層構造
エマルション粒子が得られる。本発明の目的において
は、この最外層部を重合するほうがより好ましい。
【0035】この場合、ビニル単量体(c)の重量は、
重合体(A)および(B)の重量の和に対して好ましく
は1〜20倍、好ましくは1.5〜15倍、より好まし
くは2〜10倍であることが必要である。ビニル単量体
(c)の重量が、重合体(A)および(B)の重量の和
に対して20倍以上の場合は、重合体(C)が重合体
(B)を完全に被覆してしまい、粒子表面に貫通孔を生
じず、目的の粒子が得られない。
【0036】なお、上記重合体(B)を形成して得られ
るエマルション粒子の塩基性物質による処理は次によう
に行われる。塩基性物質としては、水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム等の無機塩基性物質、アンモニア等の揮
発性塩基性物質、ジメチルエタノールアミン、トリエチ
ルアミン等の有機塩基性物質が用いられる。塩基性物質
の処理におけるpHは7〜12、好ましくは8〜11の
範囲である。7以下では膨潤が困難となり、目的の粒子
が得られない。また、12以上では処理時におけるエマ
ルションの安定性が大きく損なわれ、処理自体が円滑に
行えない。処理時の温度は50〜100℃、好ましくは
70〜98℃、より好ましくは80〜95℃の範囲であ
る。50℃未満では外層部の可塑化が十分に起こらない
ために十分な膨潤が起こらず、目的の粒子が得られな
い。上記の様にして、粒子内部に小孔を有し、粒子の表
層部から内部を結ぶ貫通孔を1個以上有する粒子径が
0.1〜5.0μ、好ましくは0.1〜1.2μの多層
構造エマルション粒子が得られる。
【0037】本発明の多層構造エマルション粒子の形状
発現の理由は定かではない。しかし乍ら、上記の条件で
ビニル単量体(b)を重合させた場合、重合体(B)は
重合体(A)を完全に被覆することなく重合体(A)が
粒子内部から部分的に粒子表面に露出している状態にな
っていると考えられる。このため、粒子が塩基性物質に
より処理を受けると、重合体(A)が膨潤し、粒子内部
への貫通孔を生じ、同時にビニル単量体(c)は重合体
(B)の表面上で重合して重合体(C)を形成し、貫通
孔がそのまま残ることによって目的とする形状の粒子が
えられるものと考えられる。該粒子の構造の確認は粒子
自体、さらには粒子の断面を電子顕微鏡で観察すること
により、容易に確認できる。
【0038】本発明において得られるエマルション粒子
の直径は0.1〜5.0μであるが、好ましくは0.1
〜1.2μ、より好ましくは0.3〜1.0μである。
粒子の外径が0.1μ未満では粒子内部が上述の構造を
とっていても、有機顔料としては特に隠蔽性、白色度が
かなり低く使用することはできない。また、外径が5
μ、より好ましくは1.2μを越える粒子については安
定に作製することができない。
【0039】本発明の粒子は単一孔の中空構造を持った
エマルション粒子と同等以上の隠蔽性、白色度を持ち、
加えて優れた吸油性とガス透過性を持つ。この理由は定
かでないが、一つ以上、通常 several程度迄の範囲の貫
通孔を有する為に、粒子内の小孔による空隙率が非常に
高まっていると同時に、貫通孔の存在により優れた吸油
性とガス透過性を有するものと思われる。
【0040】この様な理由から、本発明の多層構造エマ
ルション粒子を塗料用、紙塗工用組成物或いは感熱記録
材料中に用いた場合、隠蔽性、白色度を向上させ、加え
て吸油性やガス透過性を向上させることが可能で、上記
組成物中に通常添加される二酸化チタン、クレー、カオ
リン等の顔料に一部または全量を置き換えることがで
き、かつまた吸油性やガス透過性などの特殊な機能を付
与することができる。
【0041】
〔多層構造エマルション粒子の製造〕
重合例1 攪拌機、温度径、還流コンデンサー付のセパラブルフラ
スコに水2500部を仕込み、攪拌下に窒素置換しなが
ら80℃迄昇温する。内温を80℃に保ち、重合開始剤
として過硫酸カリウム1.5部を添加し、溶解後、予め
水7部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部にスチレン1
6部、メタクリル酸0.3部、ジビニルベンゼン0.2
部を攪拌下に加えて作製した乳化物をセパラブルフラス
コ内に仕込み、1時間重合させ、種粒子エマルションを
製造した。この段階でこの種粒子エマルションを少量サ
ンプリングし、該粒子の粒子直径を動的光散乱法で測定
したところ0.06μであった。
【0042】続いて予め水40部、ラウリル硫酸ナトリ
ウム0.3部にビニル単量体(a)としてメタクリル酸
メチル55部、アクリル酸ブチル5部、メタクリル酸4
0部を攪拌下に加えて作成した乳化物を連続的に1時間
かけて添加して反応させ、添加終了後1時間の熟成を行
い、重合体(A)を得る。重合体(A)よりなる粒子の
粒子径は0.12μであった(動的光散乱法)。
【0043】続いて重合開始剤として、過硫酸アンモニ
ウム3部を水30部に溶解した水溶液を加え、さらに予
め水240部、ラウリル硫酸ナトリウム1.2部にビニ
ル単量体(b)としてメタクリル酸メチル468部、ア
クリル酸ブチル120部、メタクリル酸12部を攪拌下
に加えて作製しておいた乳化物を連続的に1時間かけて
添加して反応させ、添加終了後、さらに2時間の熟成を
行い、重合体(A)上に重合体(B)を得る。
【0044】重合終了後、攪拌機、温度計、還流コンデ
ンサー付の別のセパラブルフラスコに上記のエマルショ
ン490部と水78部を仕込み、28%アンモニア水
8.5部を攪拌下に添加する。尚、この時のエマルショ
ンのpHは10.0であった。次に内温を85℃に昇温
させ、30分そのまま攪拌を続けて、塩基性物質による
処理を行う。続いて重合開始剤として、過硫酸アンモニ
ウム0.5部を水5部に溶解した水溶液を加え、さらに
予め水120部、ラウリル硫酸ナトリウム0.6部にビ
ニル単量体(c)としてスチレン297部、アクリロニ
トリル3部を攪拌下に加えて作製しておいた乳化物を連
続的に90分間かけて添加して反応させ、添加終了後、
さらに90分間の熟成を行い、重合体(B)上に重合体
(C)を形成させる。得られたエマルションは、不揮発
分約40%であり、貫通孔を有する直径が0.50μの
粒子であった。
【0045】重合例2〜5 重合例1におけるビニル単量体(a)の添加量を同一と
して、その組成のみを変化させて作製した結果を表−1
に示す。
【0046】比較重合例1〜2 重合例1における種粒子エマルションを製造する際、加
えるラウリル硫酸ナトリウムを0.2部から2部に変化
した。その結果、重合体(A)の粒子の外径は0.06
μであった(動的光散乱法)。以後重合例1と同様の操
作を経て作製した結果を、比較重合例1として表−1に
示す。また比較重合例1と同様にしてラウリル硫酸ナト
リウムを0.2部から0.02部に変化した。その結
果、重合体(A)の粒子の外径は0.26μであり(動
的光散乱法)、結果を比較重合例2として表−1に示
す。
【0047】
【表1】
【0048】比較重合例3 重合例1において、ビニル単量体(a)におけるメタク
リル酸量を1重量部として作製した場合を比較重合例3
として、その結果を表−1に示す。
【0049】比較重合例4〜5 重合例1において、ビニル単量体(a)におけるメタク
リル酸量を85重量部として作製した場合を比較重合例
4、ビニル単量体(a)に対して架橋性単量体であるジ
ビニルベンゼンを10重量%使用した場合を比較重合例
5として、その結果を表−1に示す。
【0050】重合例6〜12 重合例1のビニル単量体(b)の添加量を同一として、
その組成のみを変化させて作製した結果を重合例6〜1
0、重合例1においてビニル単量体(b)の添加量を変
化させて作製したものを重合例11〜12として表−2
に示す。
【0051】比較重合例6 重合例1における重合体(B)を重合する手順を以下の
ように変更してエマルションを作製した。重合例1にお
いて、重合体(A)を得た後、一旦、系を30℃まで冷
却し、亜硫酸水素ナトリウム3部を加えた後、過硫酸ア
ンモニウム3部を水30部に溶解した水溶液を加え、さ
らに重合例1と同様のビニル単量体(b)を含む乳化物
を系の温度30℃を維持しながら連続的に1時間かけて
添加して添加終了後、再度80℃まで昇温して2時間の
熟成を行い、レドックス重合にて重合体(A)の上の重
合体(B)を得た。以後重合例1と同様の操作を経て作
製した結果を比較重合例6として表−2に示す。
【0052】比較重合例7〜8 重合例1において、ビニル単量体(b)にメタクリル酸
を20%含む場合を比較重合例7、重合例1において、
ビニル単量体(b)に対してジビニルベンゼンを5%使
用した場合を比較重合例8として、その結果を表−2に
示す。
【0053】比較重合例9〜12 重合例1において、ビニル単量体(b)を含む乳化物を
連続的に6時間かけて添加し、反応させた場合を比較重
合例9、20分間かけて添加して反応させた場合を比較
重合例10、ビニル単量体(b)の添加量を変化させて
作製したものを比較重合例11、12としてその結果を
表−2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】重合例13〜19 重合例1とビニル単量体(c)の添加量を同一として、
その組成のみを変化させて作製した結果を重合例13〜
16、重合例1においてビニル単量体(c)の添加量を
変化させて作製したものを重合例17〜18、さらにビ
ニル単量体(c)を添加せず、塩基性物質による処理の
みを行って作製したものを重合例19として表−3に示
す。
【0056】比較重合例13〜16 重合例1において、ビニル単量体(c)メタクリル酸を
5%含む場合を比較重合例13、ジビニルベンゼンを5
%使用した場合を比較重合例14、塩基性物質による処
理時および(C)層の重合時のpHを6.5で行った場
合を比較重合例15、重合例1においてビニル単量体
(c)の添加量を変化させて作製したものを比較重合例
16としてその結果を表−3に示す。
【0057】
【表3】 なお、上記において作成された粒子に関して、JIS
K−5101に準じて吸油量を測定した。試料粉体は、
エマルションを50℃で24hr乾燥させた後乳鉢で粉
砕、#150メッシュの濾布で濾過したものを用いた。
結果は各表−1〜表−3に付した。
【0058】〔紙塗工用樹脂組成物としての実施例〕 実施例1 上記の重合例および比較重合例で調製された粒子を紙塗
工用の有機顔料、および有機填料として用いた場合の性
能評価を行った。配合並びに評価方法を以下に示す。
【0059】 UW−90(カオリンクレー)〔EMC(株) 製, 商品名〕 90部 顔料又は填料 10部 アロンT−40〔東亜合成化学工業 (株) 製, 商品名〕0.09部 MS−4600〔日本食品工業 (株) 〕 3部 ポリラック755〔三井東圧化学 (株) 製, 商品名〕 12部 塗工液固形分 62% 塗工液の調製は、水に分散剤であるポリアクリル酸ソー
ダ系顔料分散剤(固形分40%のアロンT−40)を加
え、カウレスミキサーにてカオリンクレーUW−90を
十分に分散し、これに有機顔料として上記のエマルショ
ンを添加する。比較の為、無機顔料として固形分62%
の二酸化チタンペースト〔大日精化(株)製〕、無機填
料として固形分60%の軽質炭酸カルシウムスラリーT
P−222HS〔奥多摩工業(株)製,商品名〕を用い
た。バインダーとしてはリン酸エステル化澱粉MS−4
600、固形分50%のポリラック755(SBRラテ
ックス)を加えて塗工液とした。
【0060】上記塗工液をアプリケーターにて乾燥塗布
量が約14〜15g/m2 になる様上質紙に塗布し、乾
燥条件が120℃、20秒で乾燥したものをキャレンダ
ーロールにてロール温度60℃、線圧70Kg/cm、
速度10m/minの条件にて二回通して塗工液を得、
性能評価を行った。
【0061】カラー粘度 BM型粘度計にて測定
(60rpm,NO.4ローター)。 白紙光沢 JIS P−8142に準じて、75°におけ
る反射率を測定。 印刷光沢 東洋インキ(株)製ニューブライト藍
0.4ccを用いてRI印刷試験機にて印刷。乾燥後JI
S P−8142に準じて、75°反射率を測定。 白色度 JIS P−8123に準じて、ハンター白色
度計にて測定。 不透明度 JIS P−8138に準じて測定。 ドライピック RI印刷試験機にて試験。(10点満
点法) ウエットピック 同 上 RI着肉性 RI印刷試験機でモルトンロールを用
い、湿し水を与えて印刷した時のインキ濃度を肉眼で判
定し、5点満点法で評価。 インキセット性 RI印刷試験機でインキ0.4ccを
ベタ刷りした直後の塗工紙の印刷面に試験紙を合わせ、
再度RI印刷試験機を用いて試験紙側に転移したインキ
量をマクベスインキ濃度計にて測定。数値の低いものほ
ど良好な結果である。
【0062】透気性 王研式透気度計により測
定。数値の低いものほど良好な結果である。 評価結果を表−4に示す。
【0063】実施例2〜19 重合例2〜19で調製した粒子について実施例1と同様
に評価した結果を表−4に示す。
【0064】比較例1〜15 比較重合例1〜16(比較重合例4、7、13は除く)
で調製した粒子について実施例1と同様に評価し、また
二酸化チタンおよび炭酸カルシウムを単独で使用した場
合(比較例14&15)を評価し、その結果を併せて表
−4に示す。
【0065】
【表4】 〔塗料用樹脂組成物としての実施例〕 実施例20 上記の重合例で示された粒子を有機顔料としてルチル型
二酸化チタンの一部に置き換えて塗料配合を行った。
尚、その際塗料用ビヒクルとして樹脂固形分45%のア
クリルエマルション、アルマテックスE−208を用い
た。塗料配合を表−5に示す。
【0066】
【表5】 塗料の調整は、水、顔料分散剤タモール731、エチレ
ングリコール、2−アミノ−2−メチルプロパノール、
消泡剤ノプコDF−122NS、ルチル型二酸化チタン
を顔料分散機で十分分散した後、重合例1で調製したエ
マルション及びアルマテックスE−208、ブチルセロ
ソルブ/テキサノール、ヒドロキシエチルセルロース/
プロピレングリコールを攪拌下に添加し、ストマー粘度
計で70〜80KUとなる様に塗料を調整した。
【0067】得られた塗料をスレート板に乾燥膜厚が約
40μとなる様に塗布し、常温乾燥一週間後に性能評価
を行った。以下に各評価方法を示す。 光沢 :須賀試験機(株)製光沢計にて60°の角度にて測定。 隠蔽率 :JIS K−5663に準じて測定。 日本テストパネル工業(株)製隠蔽力試験紙を用いてアプリケ ーターで乾燥膜厚が約75μとなる様に塗布し、常温乾燥一週 間後45°/0°の反射率の比より計算した。 耐水性 :ふくれ、白化など異常の無いものを○と判定。 耐アルカリ性: 同 上 耐候性 :ウェザーメーターにて500時間照射後のふくれ、白化、光沢 低下など異常が無いものを○と判定。 耐洗浄性 :JIS K−5663に準じて測定。 2000回以上で塗膜剥離無し ○ 1000〜2000回で塗膜剥離無し △ 密着性 :クロスカット剥離にて密着性良好なもの ○ カット部が若干剥離するもの △ 評価結果を表−6に示す。
【0068】実施例21〜38 重合例2〜19で調製した粒子について実施例20と同
様の配合を行い、評価した結果を表−6に示す。
【0069】比較例16〜29 比較重合例1〜16(比較重合例4、7、13は除く)
で調製した粒子について実施例20と同様の配合を行い
評価し、同時に二酸化チタン単独の場合を比較例29と
してその結果を表−6に示す。
【0070】
【表6】 〔感熱記録材料としての実施例〕以下に基材に紙を使用
し、中間層に本発明の多層構造エマルション粒子を導入
した感熱記録紙の例を示す。
【0071】実施例39〜57 i)下塗り配合物の作成 上記重合例1〜19のエマルションを用いて、エマルシ
ョン粒子80重量部に対しバインダー20重量部の割合
で配合されたものを十分攪拌、混合した感熱記録材料の
下塗り配合物を製造した。バインダーにはクラレ製ポリ
ビニルアルコールK117を使用した。 ii)感熱記録層配合物の作成 下記組成からなるA液(発色剤分散液)およびB液(顕
色剤分散液)をそれぞれサンドミルにて別々に分散させ
て、配合物を製造する。 A液 3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 20重量部 20%ヒドロキシエチルセルロース水溶液 5重量部 水 75重量部 B液 ビスフェノールA 20重量部 20%ヒドロキシエチルセルロース水溶液 5重量部 ペトロライト R-50(マイクロクリスタリンワックスハリコ社製)5重量部 水 70重量部 サンドミルにて十分に分散後、A液15重量部、B液4
0重量部、炭酸カルシウム20重量部、20%ポリビニ
ルアルコール水溶液(K−117クラレ社製)25重量
部を取り十分攪拌、混合し感熱発色層用配合物を得た。
【0072】市販の上質紙(秤量約50g/m2 )に、
上記下塗り配合物を乾燥後塗布量が15g/m2 となる
ようにバーコーターで塗布し、乾燥した。次いで、感熱
記録層配合物を乾燥後塗布量が15g/m2 となるよう
にパーコーターで塗布、乾燥し、感熱記録紙を得た。
【0073】紙の白色度はJIS P−8123に準じ
てハンター白色度計にて測定した。また、発色は感熱紙
印字装置(株)大倉電気製TH−PMD)を使用して、
以下の条件によって印字発色させ、その濃度をマクベス
濃度計を用いて測定した。 印加電圧 24V、パルス巾 1.74ms、 印加エネルギー 0.34mJ/dot また、以下の条件によって印字発色させること 印加電圧 24V、パルス巾 3.0ms、 印加エネルギー 0.73mJ/dot により、スティッキング性およびヘッドのカス付着を印
字適性として、◎、○、△、×、××で評価した。その
結果を表−7に示す。
【0074】比較例30〜42 比較重合例1〜16(比較重合例4、7、13は除く)
でエマルションを用いて、実施例39〜57と同様の配
合を行い、評価した結果を表−7に示す。
【0075】
【表7】
【0076】
【発明の効果】本発明の多層構造エマルション粒子は、
その形態的特徴から、例えば塗料、紙コーティング剤の
顔料及び填料に用いた場合、隠蔽力、白色度、および光
沢等に優れる。この様な用途では二酸化タン、カオリン
クレー、炭酸カルシウムの一部、或いは全部の代替が可
能である。また、これら顔料としての特徴を持ちなが
ら、吸油性やガス透過性などの附加機能も与えることが
でき、感熱記録材料としても有用である。その他、軽量
化、硬度、耐磨耗性、耐熱性等の改良効果があり、各種
配合物の添加剤として用い、紙、金属、プラスチック
類、繊維、布類等に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、重合例1の方法で得られた貫通孔を有する
多層構造エマルション粒子の粒子構造を示す走査方電子
顕微鏡写真(倍率20000倍)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D21H 19/44 D21H 1/28 Z (72)発明者 柳原 壯 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−185505(JP,A) 特開 平1−185311(JP,A) 特開 平2−173101(JP,A) 特開 平1−48805(JP,A) 特開 平1−201313(JP,A) 特開 平6−25314(JP,A) 特開 昭63−213509(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/44

Claims (13)

    (57). 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸を5〜80重量%含有
    するビニル単量体(a)を乳化重合して得られる重合体
    (A)からなる粒子の存在下、重合体(A)の1倍量に
    対して1〜10倍量の重量のビニル単量体(b)を、1
    時間当たりの添加量が重合体(A)の1倍量に対して3
    倍量以上となるように添加して重合体(B)を形成して
    得られる多層構造エマルション粒子を、塩基性物質にて
    処理することにより重合体(A)を中和、膨潤させるこ
    とによって得られる、乾燥時の構造が粒子内部に小孔を
    有しかつその粒子表層から内部の小孔に通じる貫通孔
    を少なくとも1個以上有し、且つ粒子直径が0.1〜
    5.0μであることを特徴とする多層構造エマルション
    粒子。
  2. 【請求項2】 粒子直径が0.1〜1.2μの範囲であ
    る請求項1記載の多層構造エマルション粒子。
  3. 【請求項3】 不飽和カルボン酸を5〜80重量%含有
    するビニル単量体(a)を乳化重合して得られる重合体
    (A)からなる粒子の存在下、重合体(A)の1倍量に
    対して1〜10倍量の重量のビニル単量体(b)を、1
    時間当たりの添加量が重合体(A)の1倍量に対して3
    倍量以上となるように添加して重合体(B)を形成して
    得られる多層構造エマルション粒子を、塩基性物質にて
    処理することにより重合体(A)を中和、膨潤させ、こ
    の中和処理後に、さらに重合体(A)と重合体(B)の
    重量の総和に対して20倍量以下の重量のビニル単量体
    (c)を加えて乳化重合して重合体(C)を形成するこ
    とによって得られる請求項1記載の多層構造エマルショ
    ン粒子。
  4. 【請求項4】 重合体(A)の粒子径が0.08〜0.
    2μの範囲である請求項1または3に記載の多層構造エ
    マルション粒子。
  5. 【請求項5】 ビニル単量体(b)の1時間当たりの添
    加量が重合体(A)の1倍量に対して3.5〜15倍量
    である請求項1または3に記載の多層構造エマルション
    粒子。
  6. 【請求項6】 ビニル単量体(c)の量が重合体(A)
    と重合体(B)の重量の総和に対して1〜20倍量の範
    囲である請求項1または3に記載の多層構造エマルショ
    ン粒子。
  7. 【請求項7】 不飽和カルボン酸を5〜80重量%含有
    するビニル単量体(a)を乳化重合して得られる重合体
    (A)からなる粒子の存在下、重合体(A)の1倍量に
    対して1〜10倍量の重量のビニル単量体(b)を、1
    時間当たりの添加量が重合体(A)の1倍量に対して3
    倍量以上となるように添加して重合体(B)を形成して
    得られる多層構造エマルション粒子を塩基性物質にて処
    理することにより重合体(A)を中和、膨潤させること
    によって得られる請求項1記載の多層構造エマルション
    粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 不飽和カルボン酸を5〜80重量%含有
    するビニル単量体(a)を乳化重合して得られる重合体
    (A)からなる粒子の存在下、重合体(A)の1倍量に
    対して1〜10倍量の重量のビニル単量体(b)を、1
    時間当たりの添加量が重合体(A)の1倍量に対して3
    倍量以上となるように添加して重合体(B)を形成して
    得られる多層構造エマルション粒子を塩基性物質にて処
    理することにより重合体(A)中和、膨潤させ、この中
    和処理後に、さらに重合体(A)と重合体(B)の重量
    の総和に対して20倍量以下の重量ビニル単量体(c)
    を加えて乳化重合して重合体(C)を形成することによ
    って得られる請求項1記載の多層構造エマルション粒子
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 重合体(A)の1.5〜8倍量の重量の
    ビニル単量体(b)を用いる請求項8に記載の多層構造
    エマルション粒子の製造方法。
  10. 【請求項10】 不飽和カルボン酸を8〜80重量%、
    架橋性単量体を8重量%未満含有するビニル単量体
    (a)を乳化重合して得られる重合体(A)からなる、
    粒子径が0.08〜0.2μの範囲にある粒子の存在
    下、不飽和カルボン酸が6重量%未満で且つ重合体
    (A)のそれを越えない量のビニル単量体(b)が含有
    され、さらに架橋性単量体が3重量%以下含有される、
    重合体(A)の1倍量に対して1〜10倍量のビニル単
    量体(b)を、重合温度60〜100℃で且つ1時間当
    たりの添加量が重合体(A)の1倍量に対して3倍量以
    上となるように添加して乳化重合して重合体(B)を形
    成し、得られる多層構造エマルション粒子を、PH7〜
    12、50〜100℃で処理することにより重合体
    (A)を中和、膨潤させることによって得られる乾燥時
    に粒子内部に小孔を有し、且つその粒子表面から内部の
    小孔に通じる貫通孔を少なくとも一つ以上有し、且つ粒
    子直径が0.1〜5.0μであることを特徴とする多層
    構造エマルション粒子製造方法であって、中和処理後
    に、不飽和カルボン酸を3重量%以下、架橋性単量体を
    3重量%以下含有し、さらに重合体(A)と重合体
    (B)の重量の総和に対して20倍量以下のビニル単量
    体(c)を乳化重合して重合体(C)を形成することに
    よって得られる請求項1記載の多層構造エマルション粒
    子の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6の何れかに記載の多層構
    造エマルション粒子を使用してなる紙塗工用樹脂組成
    物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜6の何れかに記載の多層構
    造エマルション粒子を使用してなる塗料用樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6の何れかに記載の多層構
    造エマルション粒子を使用してなる感熱記録材料。
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