JP2004034119A - 薄板状の加工対象物に、配線用及び位置合わせ用の穴を形成するレーザ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薄板状の加工対象物であって、配線用の穴を形成すべき複数の位置、及び該配線用の穴よりも大きな位置合わせ用の穴を形成すべき少なくとも1つの位置が画定された加工対象物を準備する。配線用の穴を形成すべき位置にレーザビームを入射させ、配線用の穴を形成する。位置合わせ用の穴を形成すべき位置にレーザビームを入射させて位置合わせ用の穴を形成する。このとき、加工対象物の表面上におけるビームスポットが、配線用の穴を形成するときに照射されるレーザビームのビームスポットよりも大きくなるようにして、ビームスポットを移動させること無く位置合わせ用の穴を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄板状の加工対象物に、配線用及び位置合わせ用の穴を形成するレーザ加工方法に関し、特にセラミックグリーンシートの加工に適したレーザ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度積層チップインダクタやLCフィルタの製造過程に、グリーンシートへ配線用の穴あけ加工を行う工程がある。グリーンシートは、焼成前のセラミック材料で形成されており、樹脂製のキャリアシート上にセラミック材料を塗布することにより作製される。
【0003】
配線用の穴あけが行われると、穴の中への銅ペーストの埋め込み、回路パターンの印刷、複数のグリーンシートの重ね合わせ、及び焼成が行われる。複数のグリーンシートの重ね合わせのときのグリーンシート間の位置合わせのために、各グリーンシートに位置合わせ用の穴が形成されている。配線用の穴及び位置合わせ用の穴は、例えばレーザビームを入射させることにより形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
位置合わせ用の穴は、配線用の穴よりも大きい。例えば、配線用の穴の直径が50〜200μmであるのに対し、位置合わせ用の穴の直径は300〜3000μmである。照射するレーザビームのビームスポットの大きさは、配線用の穴の大きさに合わせられる。配線用の穴に整合する大きさのビームスポットを有するレーザビームで、配線用の穴よりも大きな位置合わせ用の穴を形成するために、ビームスポットをスパイラル状に移動させるトレパニング工法が採用される。このため、加工に長時間を要する。
【0005】
本発明の目的は、加工時間の短縮化を図ることが可能なレーザ加工方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によると、薄板状の加工対象物であって、配線用の穴を形成すべき複数の位置、及び該配線用の穴よりも大きな位置合わせ用の穴を形成すべき少なくとも1つの位置が画定された加工対象物を準備する工程と、前記配線用の穴を形成すべき位置にレーザビームを入射させ、配線用の穴を形成する工程と、前記位置合わせ用の穴を形成すべき位置にレーザビームを入射させて位置合わせ用の穴を形成する工程であって、前記加工対象物の表面上におけるビームスポットが、前記配線用の穴を形成するときに照射されるレーザビームのビームスポットよりも大きくなるようにして、ビームスポットを移動させること無く位置合わせ用の穴を形成する工程とを有するレーザ加工方法が提供される。
【0007】
位置合わせ用の穴を形成するときに、レーザビームのビームスポットを大きくするために、ビームスポットを移動させること無く、配線用の穴よりも大きな位置合わせ用の穴を形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の実施例によるレーザ加工方法で使用されるレーザ加工装置の概略図を示す。レーザ光源1が、パルスレーザビームを出射する。レーザ光源1は、例えば炭酸ガスレーザ発振器であり、その発振波長は約10μmである。レーザ光源1から出射されたパルスレーザビームが、ビームエキスパンダ2によりビーム径を広げられ、マスク3に入射する。
【0009】
マスク3にはビーム透過孔が形成されており、このビーム透過孔を透過したパルスレーザビームが、折り返しミラー4で反射し、フィールドレンズ5に入射する。ビーム透過孔の大きさの異なる複数のマスク3が準備されている。フィールドレンズ5により収束されたレーザビームが、ガルバノスキャナ6に入射する。ガルバノスキャナ6は、入射したパルスレーザビームを2次元方向に走査する。
【0010】
走査されたパルスレーザビームが、fθレンズ7で収束され、XYステージ8に保持された加工対象物21に入射する。フィールドレンズ5及びfθレンズ7で構成された集光光学系は、マスク3のビーム透過孔を加工対象物21の表面上に結像させる。縮小率は、例えば10〜20倍である。
【0011】
ガルバノスキャナ6でレーザビームを走査することにより、マスク3のビーム透過孔の結像位置を加工対象物21の表面上のある領域内で移動させることができる。ガルバノスキャナ6により結像位置の移動可能な領域を単位加工領域と呼ぶこととする。一つの単位加工領域内のすべての穴あけ加工が終了すると、XYステージ8を駆動して加工対象物21を移動させることにより、他の単位加工領域内の穴あけ加工を行うことができる。
【0012】
図2に、加工対象物21の断面図を示す。PET製のキャリアシート21aにグリーンシート21bが密着している。例えば、キャリアシート21aの厚さは75μm、グリーンシート21bの厚さは40μmである。グリーンシート21bにレーザビーム25が入射することにより、グリーンシート21bに穴24が形成される。穴24は、キャリアシート21aの表層部まで達するが、キャリアシート21aを貫通しない。
【0013】
次に、図3を説明して、本発明の実施例によるレーザ加工方法について説明する。図2に示した加工対象物と同様の積層構造を有する加工対象物21A及び21Bが準備されている。加工対象物21A及び21Bの表面上に、複数の単位加工領域30及び位置合わせ用の穴32を形成すべき位置が画定されている。位置合わせ用の穴32は、例えば長方形の加工対象物21の四隅に配置される。各単位加工領域30内に、複数の配線用の穴31を形成すべき位置が画定されている。図1に示したガルバノスキャナ6によってレーザビームを走査することにより、1つの単位加工領域30内のすべての配線用の穴31を形成することができる。位置合わせ用の穴32は、配線用の穴31よりも大きい。位置合わせ用の穴32の直径は、例えば0.3mm〜3mmであり、配線用の穴31の直径は、例えば50μm〜200μmである。
【0014】
まず、1つの単位加工領域30内の配線用の穴31を形成すべき位置に、順番にレーザビームを入射させ、配線用の穴31を形成する。このときに使用されるマスク2のビーム透過孔は、直径1mmの円形であり、加工対象物21Aの表面上のビームスポットは、直径0.1mmの円形である。照射するレーザビームのパルスエネルギは2.355mJ、パルス幅は10μs、加工対象物21Aの表面におけるパルスエネルギ密度は30J/cm2である。この条件で、2ショットのパルスレーザビームを照射すると、図2に示したグリーンシート21bを貫通する穴が形成される。
【0015】
1つの単位加工領域30内のすべての配線用の穴31が形成されると、図1に示したXYステージ8を動作させて、次に加工すべき単位加工領域30内の加工を行う。
【0016】
すべての単位加工領域30内の加工が終了すると、図1に示したマスク3を、ビーム透過孔の大きなものに置き換える。図1に示したXYステージ8を動作させて、位置合わせ用の穴32を形成すべき領域にレーザビームを入射させ、位置合わせ用の穴32を形成する。このときに使用されるマスク2のビーム透過孔は、直径10mmの円形であり、加工対象物21Aの表面上のビームスポットは、直径1mmの円形である。照射するレーザビームのパルスエネルギは235.5mJ、パルス幅は10μs、加工対象物21Aの表面におけるパルスエネルギ密度は30J/cm2である。この条件で、2ショットのパルスレーザビームを照射すると、図2に示したグリーンシート21bを貫通する位置合わせ用の穴が形成される。
【0017】
同様の方法で、加工対象物21B及びその他の加工対象物に、配線用の穴31及び位置合わせ用の穴32を形成する。
【0018】
複数の加工対象物に形成された配線用の穴31内に銅ペーストを埋め込む。図2に示したグリーンシート21bの表面上に回路パターンを印刷する。グリーンシート21bからキャリアシート21aを剥がし、複数のグリーンシートを重ねる。このとき、各グリーンシートに形成されている位置合わせ用の穴32を使用して、グリーンシート同士の位置合わせが行われる。複数のグリーンシートを重ねた状態で、回路を分離するための切り込み溝を形成し、焼成を行う。
【0019】
上記実施例では、位置合わせ用の穴32を形成するときのビームスポットを、配線用の穴31を形成するときのビームスポットよりも大きくしているため、ビームスポットを移動させること無く、位置合わせ用の穴32を形成することができる。トレパニング工法を採用しないため、加工時間を短くすることができる。
【0020】
また、上記実施例では、配線用の穴31を形成しているときには、マスク2を交換することなくビームスポットの大きさも変化しない。すべての配線用の穴31が形成された後に、マスク2の交換が行われる。このため、マスク2の交換回数を減らし、加工時間を短くすることができる。なお、先に位置合わせ用の穴32を形成し、その後、配線用の穴31を形成してもよい。
【0021】
マスク2の交換回数を減らすために、1番目に形成される配線用の穴31にレーザビームを入射させてから、最後に形成される配線用の穴31にレーザビームを入射させるまでに、位置合わせ用の穴32を形成することなく、配線用の穴31を連続して形成することが好ましい。
【0022】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、径の大きな位置合わせ用の穴を形成するときのビームスポットを、径の小さな配線用の穴を形成するときのビームスポットよりも大きくすることにより、加工時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるレーザ加工方法で使用されるレーザ加工装置の概略図である。
【図2】加工対象物の断面図である。
【図3】加工対象物を積層する様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 ビームエキスパンダ
3 マスク
4 折り返しミラー
5 フィールドレンズ
6 ガルバノスキャナ
7 fθレンズ
8 XYステージ
21 加工対象物
24 穴
25 レーザビーム
30 単位加工領域
31 配線用の穴
32 位置合わせ用の穴
Claims (4)
- (a)薄板状の加工対象物であって、配線用の穴を形成すべき複数の位置、及び該配線用の穴よりも大きな位置合わせ用の穴を形成すべき少なくとも1つの位置が画定された加工対象物を準備する工程と、
(b)前記配線用の穴を形成すべき位置にレーザビームを入射させ、配線用の穴を形成する工程と、
(c)前記位置合わせ用の穴を形成すべき位置にレーザビームを入射させて位置合わせ用の穴を形成する工程であって、前記加工対象物の表面上におけるビームスポットが、前記工程(b)で照射されるレーザビームのビームスポットよりも大きくなるようにして、ビームスポットを移動させること無く位置合わせ用の穴を形成する工程と
を有するレーザ加工方法。 - 前記工程(b)において、1番目に形成される配線用の穴にレーザビームを入射させてから、最後に形成される配線用の穴にレーザビームを入射させるまでの間、前記加工対象物の表面上におけるビームスポットの大きさを変化させない請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記工程(b)において、第1のビーム透過孔を有する第1のマスクの該第1のビーム透過孔を透過したレーザビームを、該第1のビーム透過孔が前記加工対象物の表面上に結像するようにレーザビームを入射させて配線用の穴を形成する請求項1または2に記載のレーザ加工方法。
- 前記工程(c)において、前記第1のビーム透過孔よりも大きな第2のビーム透過孔を有する第2のマスクの該第2のビーム透過孔を透過したレーザビームを、該第2のビーム透過孔が前記加工対象物の表面上に結像するようにレーザビームを入射させて配線用の穴を形成する請求項3に記載のレーザ加工方法。
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