JP2004033835A - ピペラジン含有廃水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】CMP廃水などのピペラジン含有廃水を効率良く分解処理できるピペラジン含有廃水の処理方法を提供する。
【解決手段】廃水処理設備10は、pH調整槽12、酸化分解槽14、生物処理槽16、及び活性炭吸着塔22を備えている。酸化分解槽14の内部にはオゾンが供給され、オゾンによるピペラジンの酸化分解が行われる一方で、pH調整槽12によって酸化分解槽14の内部が所定のアルカリ領域に維持される。酸化分解槽14で酸化分解された処理水は、生物処理槽16において生物処理された後、活性炭吸着塔22において吸着処理される。
【選択図】 図1
【解決手段】廃水処理設備10は、pH調整槽12、酸化分解槽14、生物処理槽16、及び活性炭吸着塔22を備えている。酸化分解槽14の内部にはオゾンが供給され、オゾンによるピペラジンの酸化分解が行われる一方で、pH調整槽12によって酸化分解槽14の内部が所定のアルカリ領域に維持される。酸化分解槽14で酸化分解された処理水は、生物処理槽16において生物処理された後、活性炭吸着塔22において吸着処理される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はピペラジン含有廃水の処理方法に係り、特にCMP廃水などを処理するピペラジン含有廃水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピペラジンを含有する有機性廃水の一つに、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polish 、以下CMPと称す)によって排出されるCMP廃水がある。CMPは、半導体製造において、シリコンウェハ母材表面にLSIを加工する半導体製造工程の中間に導入され、ウェハ表面の平坦化に採用されている。このCMPは半導体の集積度向上に伴って、すなわち、LSIの多層構造化が進むに伴って多用され、半導体工場で廃水されるCMP廃水は年々増加する傾向にある。
【0003】
多結晶シリコンやベアシリコンを研磨するCMPのスラリには、ピペラジンを数%含有するものがある。ピペラジンはPRTR法(環境汚染物質排出移動登録、Pollutant Release and Transfer Register )の第一種指定化学物質であり、環境中に排出した量と、廃棄物として処理するために事業所の外に移動させた量とを把握し、行政機関に届け出る必要がある。さらに、このピペラジンは、廃水のCOD源、N源になることから酸化分解、及び窒素処理する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピペラジンは生物難分解性物質であり、ピペラジンを直接、活性汚泥処理しても殆ど分解しないという問題がある。
【0005】
また、ピペラジンは、活性炭などの吸着剤に対しても殆ど吸着性を示さないという問題がある。例えば、図4は、ピペラジン含有廃水を直接、活性炭吸着した場合の処理例である。同図から分かるように、ピペラジンは活性炭吸着量が非常に低いため、活性炭で十分に吸着除去することができない。
【0006】
このように、ピペラジンは生物難分解性物質であるとともに活性炭への吸着性が低いので、ピペラジンを含有するCMP廃水を既設廃水処理に直接導入すると、処理性能が悪化し、良質な放流水を得ることが難しくなる。ピペラジンを含有するCMP含有スラリは半導体分野において将来的にも必須のスラリであることから、ピペラジン含有廃水に対し、処理性能の優れた分解技術が必要になっている。
【0007】
ところで、生物難分解性物質の分解技術として、生物処理の前段に酸化処理を行い、易生物分解性物質に変化させる方法が一般的に知られている。例えば特開平5−228496号公報には、オゾンと過酸化水素や紫外線などを組み合わせることで、し尿やゴミ浸出水中の難分解性有機物を易生物分解性に変える方法が開示されている。しかし、この方法は、多種の酸化手法を併用するため、必然的にコストが上昇し、現実的ではない。また、CMP廃水に含有されるピペラジンは、オゾンや過酸化水素などの酸化剤を組み合わせても、容易には易生物分解性に変化しないという問題もある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、CMP廃水などのピペラジン含有廃水を効率良く分解処理できるピペラジン含有廃水の処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に記載の発明は前記目的を達成するために、ピペラジンを含む有機性廃水から前記ピペラジンを除去する処理方法において、前記ピペラジン含有廃水のpHを所定のアルカリ性領域に調整しながら、前記ピペラジン含有廃水を酸化剤と接触させて酸化処理することを特徴としている。
【0010】
本発明の発明者は、有機性アルカリ物質であるピペラジンをオゾンガスなどで酸化処理する際、pHをアルカリ性領域に調整しながら酸化分解を行うと、ピペラジンの性質が短時間で変化し、易生物分解性を示すようになるとともに活性炭による吸着性が向上することを試験によって見いだした。本発明はこのような知見によって成されたもので、ピペラジン含有廃水のpHを所定のアルカリ性領域、好ましくはpHを9〜11に調整しながらピペラジン含有廃水を酸化剤に接触させて酸化処理するようにしたので、ピペラジンは短時間で性質が変化し、易生物分解性を示すようになるとともに、活性炭吸着性が向上する。したがって、酸化分解処理した処理水を生物処理、または活性炭吸着処理すれば、ピペラジンの分解効率を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るピペラジン含有廃水の処理方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0012】
図1は本発明に係るピペラジン含有廃水の処理方法が適用された廃水処理設備10の全体構成図である。
【0013】
同図に示すように、廃水処理設備10は主として、pH調整槽12、酸化分解槽14、生物処理槽16、沈殿槽18、砂ろ過塔20、及び活性炭吸着塔22で構成されている。ピペラジン含有廃水は、まずpH調整槽12に送水されて貯留される。
【0014】
pH調整槽12には、pH調整剤の注入ライン24が接続されるとともに、廃水のpHを計測するpH計26が設けられている。このpH計26の測定値に基づいて、pH調整剤が注入ライン24を介して注入され、廃水のpHが調整される。具体的には、pH調整槽12の後段の生物処理槽16に貯留された廃水が、アルカリ性好ましくはpHが9〜11になるように、pH調整される。
【0015】
pH調整槽12は、送水ライン32を介して酸化分解槽14の下部に接続されている。送水ライン32には、ポンプなどの不図示の送水手段が設けられており、この送水手段によってpH調整槽12でpH調整された廃水が送水ライン32を介して酸化分解槽14に送水される。酸化分解槽14の上部は、返送ライン34を介してpH調整槽12の上部に連通されており、酸化分解槽14の廃水の一部がpH調整槽12に返送されるようになっている。このようにpH調整槽12と酸化分解槽14との間で廃水が循環するので、酸化分解槽14内の廃水のpHを所定の範囲に調整することができる。廃水のpHは、前述したようにアルカリ性領域、好ましくはpHが9〜11になるように調整される。
【0016】
酸化分解槽14の下部には、オゾンの散気装置28が設けられ、この散気装置28によってオゾンが廃水中に散気される。散気されたオゾンは気泡となって廃水中を上昇して廃水を攪拌させる。これにより、酸化剤であるオゾンが廃水に十分に接触して酸化分解が行われる。オゾン処理の場合、酸化分解槽14の内部がアルカリ性であると、酸化分解が促進される。ピペラジンは、有機アルカリ物質であるが、オゾンによる酸化処理工程でその性質が短時間で変化し、易生物分解性を示すようになるとともに活性炭吸着性が向上する。このとき、pHが低下するが、pH調整槽12と酸化分解槽14の間で廃水が循環することによって酸化分解槽14内のpHが所定のアルカリ領域に維持される。したがって、pHの低下に伴うピペラジンの酸化分解効果の大幅な低下を防止することができ、常に高い酸化分解効果を維持することができる。
【0017】
酸化分解槽14の上部は、送水ライン36を介して生物処理槽16に接続される。これにより、酸化分解槽14で酸化分解処理された処理水が生物処理槽16に導入される。生物処理槽16の下部には、エアの散気装置30が設けられており、この散気装置30によってエアが生物処理槽16に供給されて散気される。この生物処理槽16では、処理水のpHを中性付近にコントロールしながら、処理水に含まれるピペラジンの酸化生成物を活性汚泥によって処理する。このとき、ピペラジンは、易生物分解性物質に変化しているので、容易に生物処理することができる。
【0018】
生物処理槽16で生物処理された処理水は、沈殿槽18に導入され、この沈殿槽18において活性汚泥が沈殿分離される。沈殿分離した活性汚泥は、沈殿槽18の下部から取り出され、その一部は生物処理槽16に返送され、残りが廃棄される。これにより、ピペラジンに起因する有機物が殆ど除去される。
【0019】
沈殿槽18の上澄液は、砂ろ過塔20に送水されてろ過処理された後、活性炭吸着塔22に送水される。この活性炭吸着塔22によって、残留する有機物が吸着除去される。このとき、ピペラジンに起因する有機物は活性炭吸着性が向上しているので、活性炭吸着塔22では有機物を高い除去率で除去することができる。これにより、活性炭吸着塔22から排水される処理水が、工業用水レベルとなり、再利用することが可能となる。
【0020】
このように本実施の形態の廃水処理設備10によれば、酸化分解槽14において廃水にオゾンを接触させて酸化分解処理を行うとともに、酸化分解槽14の内部を所定のアルカリ領域に維持しているので、ピペラジンは、酸化分解した際に易生物分解性物質に短時間で変化する。したがって、酸化分解槽14の後段の生物処理槽16や活性炭吸着塔22において、ピペラジンに起因する有機物を効率良く分離、除去することができる。
【0021】
なお、上述した実施の形態は、生物処理と活性炭吸着の両方を行ったが、どちらか一方のみを行うようにしてもよい。この場合にも、酸化分解槽14において、アルカリ領域に維持しながらオゾンによる酸化を行うことによって、ピペラジンの分解効率を向上させることができる。
【0022】
また、上述した実施の形態において、ピペラジン含有排水がCMP排水の場合には、SiO2 などの微細な砥粒が含有されるので、酸化分解槽14の前段に有機膜やセラミック膜などの膜ろ過装置を設置することが望ましい。
【0023】
さらに、上述した実施の形態には、ピペラジン含有廃水を単独で処理する方法を示したが、これに限定するものではなく、オゾンの酸化分解処理後に他の工場廃水と混合して生物処理を行ってもよい。
【0024】
【実施例】
図2は試験によって得られたTOC除去効果を示す図である。この試験では、ピペラジンをTOCとして約30mg/L含有する廃水を用いて試験を行い、各工程の後にTOCの含有量を測定した。また、比較例として、オゾンによる酸化処理を行わずに生物処理と活性炭吸着を行い、各工程の後にTOCを測定した。
【0025】
図2に示すように、オゾンによる酸化分解を行うと、TOCは19.5mg/Lにまで減少した。また、オゾンによる酸化処理後の生物処理では、TOCが略4分の1となり、約5mg/Lにまで減少した。また、生物処理後の活性炭吸着ではTOCがさらに略半減して約2mg/Lにまで減少した。
【0026】
一方、オゾンによる酸化分解を行わない比較例では、生物処理においてTOCの減少が見られなかった。このことから、ピペラジンは難生物分解性物質であるため、酸化分解を行わないと、生物処理では殆ど減少しないことが分かる。
【0027】
また、比較例は、活性炭吸着後のTOCが約27.5mg/Lであり、活性炭吸着におけるTOCの減少が殆ど見られなかった。このことから、ピペラジンは、活性炭に対する吸着性が低いため、酸化分解を行わないと、殆ど吸着しないことが分かる。
【0028】
図3は、酸化分解槽14内のpHによるピペラジンの酸化分解効果を示す試験結果である。この試験では、オゾン酸化処理後に生物処理及び活性炭吸着を行い、TOC除去率を測定した。
【0029】
酸化分解槽14内の廃水のpHが7〜8である中性領域と比較すると、pHが9以上のアルカリ性領域にコントロールすることでTOC除去率が向上することが分かる。すなわち、TOC除去率を考慮すれば、酸化分解槽14内の廃水のpHを9以上にすることが好ましいことが分かる。
【0030】
なお、酸化剤としてオゾンに替えて過酸化水素を用いた場合にも、上記実施例と類似の結果が得られることを確認した。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るピペラジン含有廃水の処理方法によれば、ピペラジンに酸化剤を接触させて酸化処理するとともに、その処理水をアルカリ性領域に調整したので、ピペラジンが易生物分解性物質で、且つ、活性炭吸着性の向上した物質に短時間で変化する。したがって、酸化分解処理した処理水を生物処理、または活性炭吸着処理すれば、ピペラジンの除去効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るピペラジン含有廃水の処理方法を適用した廃水処理設備を示す全体構成図
【図2】図1の廃水処理設備におけるTOC除去効果を示す図
【図3】酸化分解槽内のpHに対するTOC除去率を示す図
【図4】ピペラジンの活性炭吸着線等温線図
【符号の説明】10…廃水処理設備、12…pH調整槽、14…酸化分解槽、16…生物処理槽、18…沈殿槽、20…砂ろ過塔、22…活性炭吸着塔、24…注入ライン、26…pH計、28…散気装置、30…散気装置
【発明の属する技術分野】
本発明はピペラジン含有廃水の処理方法に係り、特にCMP廃水などを処理するピペラジン含有廃水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピペラジンを含有する有機性廃水の一つに、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polish 、以下CMPと称す)によって排出されるCMP廃水がある。CMPは、半導体製造において、シリコンウェハ母材表面にLSIを加工する半導体製造工程の中間に導入され、ウェハ表面の平坦化に採用されている。このCMPは半導体の集積度向上に伴って、すなわち、LSIの多層構造化が進むに伴って多用され、半導体工場で廃水されるCMP廃水は年々増加する傾向にある。
【0003】
多結晶シリコンやベアシリコンを研磨するCMPのスラリには、ピペラジンを数%含有するものがある。ピペラジンはPRTR法(環境汚染物質排出移動登録、Pollutant Release and Transfer Register )の第一種指定化学物質であり、環境中に排出した量と、廃棄物として処理するために事業所の外に移動させた量とを把握し、行政機関に届け出る必要がある。さらに、このピペラジンは、廃水のCOD源、N源になることから酸化分解、及び窒素処理する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピペラジンは生物難分解性物質であり、ピペラジンを直接、活性汚泥処理しても殆ど分解しないという問題がある。
【0005】
また、ピペラジンは、活性炭などの吸着剤に対しても殆ど吸着性を示さないという問題がある。例えば、図4は、ピペラジン含有廃水を直接、活性炭吸着した場合の処理例である。同図から分かるように、ピペラジンは活性炭吸着量が非常に低いため、活性炭で十分に吸着除去することができない。
【0006】
このように、ピペラジンは生物難分解性物質であるとともに活性炭への吸着性が低いので、ピペラジンを含有するCMP廃水を既設廃水処理に直接導入すると、処理性能が悪化し、良質な放流水を得ることが難しくなる。ピペラジンを含有するCMP含有スラリは半導体分野において将来的にも必須のスラリであることから、ピペラジン含有廃水に対し、処理性能の優れた分解技術が必要になっている。
【0007】
ところで、生物難分解性物質の分解技術として、生物処理の前段に酸化処理を行い、易生物分解性物質に変化させる方法が一般的に知られている。例えば特開平5−228496号公報には、オゾンと過酸化水素や紫外線などを組み合わせることで、し尿やゴミ浸出水中の難分解性有機物を易生物分解性に変える方法が開示されている。しかし、この方法は、多種の酸化手法を併用するため、必然的にコストが上昇し、現実的ではない。また、CMP廃水に含有されるピペラジンは、オゾンや過酸化水素などの酸化剤を組み合わせても、容易には易生物分解性に変化しないという問題もある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、CMP廃水などのピペラジン含有廃水を効率良く分解処理できるピペラジン含有廃水の処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に記載の発明は前記目的を達成するために、ピペラジンを含む有機性廃水から前記ピペラジンを除去する処理方法において、前記ピペラジン含有廃水のpHを所定のアルカリ性領域に調整しながら、前記ピペラジン含有廃水を酸化剤と接触させて酸化処理することを特徴としている。
【0010】
本発明の発明者は、有機性アルカリ物質であるピペラジンをオゾンガスなどで酸化処理する際、pHをアルカリ性領域に調整しながら酸化分解を行うと、ピペラジンの性質が短時間で変化し、易生物分解性を示すようになるとともに活性炭による吸着性が向上することを試験によって見いだした。本発明はこのような知見によって成されたもので、ピペラジン含有廃水のpHを所定のアルカリ性領域、好ましくはpHを9〜11に調整しながらピペラジン含有廃水を酸化剤に接触させて酸化処理するようにしたので、ピペラジンは短時間で性質が変化し、易生物分解性を示すようになるとともに、活性炭吸着性が向上する。したがって、酸化分解処理した処理水を生物処理、または活性炭吸着処理すれば、ピペラジンの分解効率を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るピペラジン含有廃水の処理方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0012】
図1は本発明に係るピペラジン含有廃水の処理方法が適用された廃水処理設備10の全体構成図である。
【0013】
同図に示すように、廃水処理設備10は主として、pH調整槽12、酸化分解槽14、生物処理槽16、沈殿槽18、砂ろ過塔20、及び活性炭吸着塔22で構成されている。ピペラジン含有廃水は、まずpH調整槽12に送水されて貯留される。
【0014】
pH調整槽12には、pH調整剤の注入ライン24が接続されるとともに、廃水のpHを計測するpH計26が設けられている。このpH計26の測定値に基づいて、pH調整剤が注入ライン24を介して注入され、廃水のpHが調整される。具体的には、pH調整槽12の後段の生物処理槽16に貯留された廃水が、アルカリ性好ましくはpHが9〜11になるように、pH調整される。
【0015】
pH調整槽12は、送水ライン32を介して酸化分解槽14の下部に接続されている。送水ライン32には、ポンプなどの不図示の送水手段が設けられており、この送水手段によってpH調整槽12でpH調整された廃水が送水ライン32を介して酸化分解槽14に送水される。酸化分解槽14の上部は、返送ライン34を介してpH調整槽12の上部に連通されており、酸化分解槽14の廃水の一部がpH調整槽12に返送されるようになっている。このようにpH調整槽12と酸化分解槽14との間で廃水が循環するので、酸化分解槽14内の廃水のpHを所定の範囲に調整することができる。廃水のpHは、前述したようにアルカリ性領域、好ましくはpHが9〜11になるように調整される。
【0016】
酸化分解槽14の下部には、オゾンの散気装置28が設けられ、この散気装置28によってオゾンが廃水中に散気される。散気されたオゾンは気泡となって廃水中を上昇して廃水を攪拌させる。これにより、酸化剤であるオゾンが廃水に十分に接触して酸化分解が行われる。オゾン処理の場合、酸化分解槽14の内部がアルカリ性であると、酸化分解が促進される。ピペラジンは、有機アルカリ物質であるが、オゾンによる酸化処理工程でその性質が短時間で変化し、易生物分解性を示すようになるとともに活性炭吸着性が向上する。このとき、pHが低下するが、pH調整槽12と酸化分解槽14の間で廃水が循環することによって酸化分解槽14内のpHが所定のアルカリ領域に維持される。したがって、pHの低下に伴うピペラジンの酸化分解効果の大幅な低下を防止することができ、常に高い酸化分解効果を維持することができる。
【0017】
酸化分解槽14の上部は、送水ライン36を介して生物処理槽16に接続される。これにより、酸化分解槽14で酸化分解処理された処理水が生物処理槽16に導入される。生物処理槽16の下部には、エアの散気装置30が設けられており、この散気装置30によってエアが生物処理槽16に供給されて散気される。この生物処理槽16では、処理水のpHを中性付近にコントロールしながら、処理水に含まれるピペラジンの酸化生成物を活性汚泥によって処理する。このとき、ピペラジンは、易生物分解性物質に変化しているので、容易に生物処理することができる。
【0018】
生物処理槽16で生物処理された処理水は、沈殿槽18に導入され、この沈殿槽18において活性汚泥が沈殿分離される。沈殿分離した活性汚泥は、沈殿槽18の下部から取り出され、その一部は生物処理槽16に返送され、残りが廃棄される。これにより、ピペラジンに起因する有機物が殆ど除去される。
【0019】
沈殿槽18の上澄液は、砂ろ過塔20に送水されてろ過処理された後、活性炭吸着塔22に送水される。この活性炭吸着塔22によって、残留する有機物が吸着除去される。このとき、ピペラジンに起因する有機物は活性炭吸着性が向上しているので、活性炭吸着塔22では有機物を高い除去率で除去することができる。これにより、活性炭吸着塔22から排水される処理水が、工業用水レベルとなり、再利用することが可能となる。
【0020】
このように本実施の形態の廃水処理設備10によれば、酸化分解槽14において廃水にオゾンを接触させて酸化分解処理を行うとともに、酸化分解槽14の内部を所定のアルカリ領域に維持しているので、ピペラジンは、酸化分解した際に易生物分解性物質に短時間で変化する。したがって、酸化分解槽14の後段の生物処理槽16や活性炭吸着塔22において、ピペラジンに起因する有機物を効率良く分離、除去することができる。
【0021】
なお、上述した実施の形態は、生物処理と活性炭吸着の両方を行ったが、どちらか一方のみを行うようにしてもよい。この場合にも、酸化分解槽14において、アルカリ領域に維持しながらオゾンによる酸化を行うことによって、ピペラジンの分解効率を向上させることができる。
【0022】
また、上述した実施の形態において、ピペラジン含有排水がCMP排水の場合には、SiO2 などの微細な砥粒が含有されるので、酸化分解槽14の前段に有機膜やセラミック膜などの膜ろ過装置を設置することが望ましい。
【0023】
さらに、上述した実施の形態には、ピペラジン含有廃水を単独で処理する方法を示したが、これに限定するものではなく、オゾンの酸化分解処理後に他の工場廃水と混合して生物処理を行ってもよい。
【0024】
【実施例】
図2は試験によって得られたTOC除去効果を示す図である。この試験では、ピペラジンをTOCとして約30mg/L含有する廃水を用いて試験を行い、各工程の後にTOCの含有量を測定した。また、比較例として、オゾンによる酸化処理を行わずに生物処理と活性炭吸着を行い、各工程の後にTOCを測定した。
【0025】
図2に示すように、オゾンによる酸化分解を行うと、TOCは19.5mg/Lにまで減少した。また、オゾンによる酸化処理後の生物処理では、TOCが略4分の1となり、約5mg/Lにまで減少した。また、生物処理後の活性炭吸着ではTOCがさらに略半減して約2mg/Lにまで減少した。
【0026】
一方、オゾンによる酸化分解を行わない比較例では、生物処理においてTOCの減少が見られなかった。このことから、ピペラジンは難生物分解性物質であるため、酸化分解を行わないと、生物処理では殆ど減少しないことが分かる。
【0027】
また、比較例は、活性炭吸着後のTOCが約27.5mg/Lであり、活性炭吸着におけるTOCの減少が殆ど見られなかった。このことから、ピペラジンは、活性炭に対する吸着性が低いため、酸化分解を行わないと、殆ど吸着しないことが分かる。
【0028】
図3は、酸化分解槽14内のpHによるピペラジンの酸化分解効果を示す試験結果である。この試験では、オゾン酸化処理後に生物処理及び活性炭吸着を行い、TOC除去率を測定した。
【0029】
酸化分解槽14内の廃水のpHが7〜8である中性領域と比較すると、pHが9以上のアルカリ性領域にコントロールすることでTOC除去率が向上することが分かる。すなわち、TOC除去率を考慮すれば、酸化分解槽14内の廃水のpHを9以上にすることが好ましいことが分かる。
【0030】
なお、酸化剤としてオゾンに替えて過酸化水素を用いた場合にも、上記実施例と類似の結果が得られることを確認した。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るピペラジン含有廃水の処理方法によれば、ピペラジンに酸化剤を接触させて酸化処理するとともに、その処理水をアルカリ性領域に調整したので、ピペラジンが易生物分解性物質で、且つ、活性炭吸着性の向上した物質に短時間で変化する。したがって、酸化分解処理した処理水を生物処理、または活性炭吸着処理すれば、ピペラジンの除去効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るピペラジン含有廃水の処理方法を適用した廃水処理設備を示す全体構成図
【図2】図1の廃水処理設備におけるTOC除去効果を示す図
【図3】酸化分解槽内のpHに対するTOC除去率を示す図
【図4】ピペラジンの活性炭吸着線等温線図
【符号の説明】10…廃水処理設備、12…pH調整槽、14…酸化分解槽、16…生物処理槽、18…沈殿槽、20…砂ろ過塔、22…活性炭吸着塔、24…注入ライン、26…pH計、28…散気装置、30…散気装置
Claims (3)
- ピペラジンを含む有機性廃水から前記ピペラジンを除去する処理方法において、
前記ピペラジン含有廃水のpHを所定のアルカリ性領域に調整しながら、前記ピペラジン含有廃水を酸化剤と接触させて酸化処理することを特徴とするピペラジン含有廃水の処理方法。 - 前記所定のアルカリ性領域はpHが9〜11であることを特徴とする請求項1に記載のピペラジン含有廃水の処理方法。
- 前記酸化処理した処理水を生物処理、及び/または活性炭吸着処理することを特徴とする請求項1または2に記載のピペラジン含有廃水の処理方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002191655A JP2004033835A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | ピペラジン含有廃水の処理方法 |
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JP2002191655A JP2004033835A (ja) | 2002-07-01 | 2002-07-01 | ピペラジン含有廃水の処理方法 |
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