JP2000176468A - 汚水処理方法およびその装置 - Google Patents

汚水処理方法およびその装置

Info

Publication number
JP2000176468A
JP2000176468A JP10353584A JP35358498A JP2000176468A JP 2000176468 A JP2000176468 A JP 2000176468A JP 10353584 A JP10353584 A JP 10353584A JP 35358498 A JP35358498 A JP 35358498A JP 2000176468 A JP2000176468 A JP 2000176468A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ozone
sewage
hydrogen peroxide
value
reaction tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10353584A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Ichinose
正秋 一瀬
Koji Yamashita
耕司 山下
Hiroko Miyamae
博子 宮前
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ataka Construction and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Ataka Construction and Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ataka Construction and Engineering Co Ltd filed Critical Ataka Construction and Engineering Co Ltd
Priority to JP10353584A priority Critical patent/JP2000176468A/ja
Publication of JP2000176468A publication Critical patent/JP2000176468A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機物を含有しpHの値が高い汚水を高効率
で容易に処理できる汚水処理装置を提供する。 【解決手段】 pHが9〜11程度の浸出水などの原水
をオゾン反応槽1でオゾンを含有する空気に曝気接触す
る。オゾンは瞬時に自己分解してヒドロキシラジカルを
生成し、難分解性有機物などの有機物を酸化分解する。
有機酸などが生成してpHの値が次第に低下し、次第に
ヒドロキシラジカル生成量が低減し、オゾン溶存量が増
大する。過酸化水素反応槽7で過酸化水素を添加し、オ
ゾンにて分解生成するヒドロキシラジカルにて有機物を
酸化分解する。気泡を除去した後、膜分離手段12にてヒ
ドロキシラジカルの妨害因子となる炭酸ガスがアルカリ
土金属と反応した化合物を分離除去し、紫外線反応槽10
で紫外線を照射する。pH調製剤が不要で、適正pHで
効率よく処理できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば埋立地から
浸出する浸出水などの有機物を含有しpHの値が高い汚
水を処理する汚水処理方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばゴミ焼却場や焼却処理され
たゴミを最終処理として埋め立てる埋立地などにおい
て、焼却されたゴミおよびこのゴミの焼却過程において
添加された添加物により、カルシウム(Ca)化合物な
どのアルカリ土金属やゴミ中の水銀(Hg)や鉛(P
b)などの重金属などを含有する浸出水が流出および浸
出する。また、特に埋め立てられる廃棄物としてし尿汚
泥などや生ゴミなどの有機ゴミが含有される場合には、
浸出水にアルカリ土金属や重金属の他に、生物学的酸素
要求量(Biological Oxygen Demand:BOD)および化
学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand:COD)に
起因する有機物や窒素化合物、リン化合物なども含有さ
れる。
【0003】そして、このような埋立地などの最終処理
場から浸出する浸出水などに含まれるCODに起因する
有機物は、特に微生物にて生物処理することが困難な難
分解性有機物である。
【0004】そこで、従来においては、例えば特開平1
0−76296号公報および特開平5−228481号
公報に記載の難分解性有機物を含有する汚水を処理する
構成が知られている。
【0005】そして、特開平10−76296号公報に
記載の難分解性有機物を含有する汚水を処理する汚水処
理方法は、汚水に凝集剤を添加して有機物の一部を凝集
分離した後、過酸化水素を添加しオゾンを曝気しつつ紫
外線を照射することによりヒドロキシラジカルを生成し
て、難分解性有機物を酸化分解し、さらに残留する有機
物を凝集分離している。
【0006】しかしながら、この特開平10−7629
6号公報に記載の汚水処理方法では、凝集剤の添加にて
pHを5程度にしていることから、オゾンの自己分解に
よるフリーラジカルが十分に生成されなくなり、有機物
の酸化分解が不十分となるおそれがある。また、オゾン
の存在下における過酸化水素の分解によるヒドロキシラ
ジカルも十分に生成されなくなったり、また仮にオゾン
が自己分解してフリーラジカルが生成しても、この強い
酸化剤の作用を示すフリーラジカルに対して過酸化水素
が逆に還元剤として作用し、フリーラジカルが消費され
てしまうとともに、過酸化水素も還元剤として作用する
分が消費され、効率よくヒドロキシラジカルが生成しな
くなり、難分解性有機物を効率よく酸化分解できないお
それがある。さらには、オゾンの曝気による気泡や過酸
化水素の添加により生じる気泡などにより、紫外線が汚
水全体に略均一に十分照射されなくなり、紫外線照射に
よる有機物の分解が効率よく進行できないおそれがあ
る。
【0007】一方、特開平5−228481号公報に記
載の難分解性有機物を含有する汚水を処理する汚水処理
方法は、オゾンの曝気にて生じるエアリフトの方向に沿
って汚水を流過させ、オゾンの自己分解にて生成するフ
リーラジカルにより有機物を酸化分解した後、過酸化水
素を注入し超音波振動にてオゾンのヒドロキシラジカル
による酸化分解を促進しつつ紫外線にて有機物を分解し
ている。
【0008】しかしながら、この特開平5−22848
1号公報に記載の汚水処理方法において、1槽の下部か
らオゾンを曝気し、上方に過酸化水素を添加する位置が
ある構成とした場合には、上記特開平10−76296
号公報に記載の汚水処理方法と同様に、オゾンのフリー
ラジカルが十分に存在する状態で過酸化水素が共存する
状態となり、フリーラジカルに対して過酸化水素が逆に
還元剤として作用し、フリーラジカルが消費されるとと
もに過酸化水素も還元剤として作用する分が消費され、
効率よくヒドロキシラジカルが生成しなくなり、効率よ
く有機物の処理ができなくなるおそれがある。さらに、
オゾンの曝気による気泡や過酸化水素の添加により生じ
る気泡などにより、紫外線が汚水全体に略均一に十分照
射されなくなり、紫外線照射による有機物の分解が効率
よく進行できないおそれがある。
【0009】また、オゾンの曝気にて有機物を処理した
のち、別槽で過酸化水素を添加して超音波振動を加えつ
つ紫外線を照射する構成とした場合には、オゾンを曝気
する汚水のpHの値が高い場合、オゾンが十分に自己分
解できなくなりオゾンの曝気による有機物の酸化分解効
率の向上が望めないとともに、過酸化水素の分解による
ヒドロキシラジカルも十分に生成されなくなったり、過
酸化水素の添加による酸化分解効率の向上が望めないお
それがある。さらに、上記特開平10−76296号公
報に記載の汚水処理方法と同様に、オゾンを曝気する槽
から微細気泡として持ち込まれる気泡や過酸化水素の添
加により生じる気泡などにより、紫外線が汚水全体に略
均一に十分照射されなくなり、紫外線照射による有機物
の分解が効率よく進行できないおそれがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、上記
従来の特開平10−76296号公報に記載の汚水処理
方法では、凝集剤の添加にてpHを5程度にしているこ
とから、オゾンの自己分解によるフリーラジカルが十分
に生成されなくなり、またオゾンの存在下における過酸
化水素の分解によるヒドロキシラジカルも十分に生成さ
れなくなり、さらには仮にオゾンが自己分解してフリー
ラジカルが生成しても、過酸化水素が還元剤として作用
し、フリーラジカルおよび過酸化水素が消費され、難分
解性有機物を効率よく酸化分解できないおそれがある。
また、オゾンの曝気による気泡や過酸化水素の添加によ
り生じる気泡などにより、紫外線の照射効率が低減する
おそれがある。
【0011】さらに、上記従来の特開平5−22848
1号公報に記載の汚水処理方法では、オゾンと過酸化水
素とが共存する場合、同様に難分解性有機物を効率よく
酸化分解できないおそれがあり、オゾンの曝気を別槽で
処理する構成としても、汚水のpHによりオゾンおよび
過酸化水素の分解が不十分となるとともに、紫外線の照
射効率が低減するおそれがある。
【0012】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、有機物を含有しpHの値が高い汚水を高効率で容易
に処理できる汚水処理方法およびその装置を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の汚水処理
方法は、有機物を含有しpHの値が高い汚水にオゾンを
接触してpHの値を低下させ、このpHの値が低下した
汚水に過酸化水素を添加し、この過酸化水素が添加され
た汚水に紫外線を照射するものである。
【0014】そして、有機物を含有しpHの値が高い汚
水にオゾンを接触してpHの値を低下した後に過酸化水
素を添加し、この後に紫外線を照射するため、pHの値
が高い汚水中でオゾンが急速に自己分解して生じるフリ
ーラジカルにて有機物の酸化分解反応が効率よく進行
し、次第に有機物の酸化分解物である有機酸などの生成
により、pHの値が低下して酸化分解反応の速度が低減
した後に過酸化水素を添加して生成するヒドロキシラジ
カルにより残留する有機物を酸化分解し、さらに紫外線
を照射して残留する有機物を酸化分解するので、別途p
Hを調製するためのpH調製剤を添加する必要がなく、
オゾン反応、過酸化水素反応および紫外線反応が適正な
pH域で効率よく作用し、順次オゾン反応、過酸化水素
反応および紫外線反応を行うのみで略中性の処理水が得
られ、微生物では分解が困難な有機物を容易に高効率で
分解処理する。
【0015】請求項2記載の汚水処理方法は、請求項1
記載の汚水処理方法において、オゾンの接触は、過酸化
水素を添加する前に、オゾンの自己分解により生じるフ
リーラジカルの生成量が低減し、かつ前記オゾンの溶存
量が増大するpHの値まで低下させるものである。
【0016】そして、過酸化水素を添加する前に、オゾ
ンの自己分解によるフリーラジカルの生成量が低減する
とともにオゾンの溶存量が増大するpHの値に低下する
までオゾンを接触させるため、後段で過酸化水素を添加
しても、過酸化水素が還元剤として作用するフリーラジ
カルは汚水中の有機物の酸化分解に消費されてほとんど
存在していないので、過酸化水素は溶存するオゾンによ
りほとんどヒドロキシラジカルに分解して有機物の酸化
分解に寄与するので、効率よく有機物を酸化分解する。
【0017】請求項3記載の汚水処理方法は、請求項1
または2記載の汚水処理方法において、紫外線が照射さ
れる前に過酸化水素が添加された汚水の懸濁浮遊物質を
除去するものである。
【0018】そして、紫外線が照射される前に過酸化水
素が添加された汚水の懸濁浮遊物を除去するため、例え
ば処理する汚水中に浮遊物質が混入していたり、空気か
ら溶解した炭酸ガスと汚水中に混入するカルシウムやマ
グネシウムなどとが反応して炭酸カルシウムや炭酸マグ
ネシウムなどが生成したり、カルシウムやマグネシウム
などが水酸化物となって懸濁浮遊しても、これら懸濁浮
遊物を紫外線を照射する前にあらかじめ除去するので、
紫外線の照射が遮断されないで効率よく照射され、有機
物の分解効率が向上する。
【0019】請求項4記載の汚水処理方法は、請求項1
ないし3いずれか一記載の汚水処理方法において、紫外
線が照射される前に過酸化水素が添加された汚水の気泡
を除去するものである。
【0020】そして、紫外線が照射される前に過酸化水
素が添加された汚水の気泡を除去するため、オゾンとの
接触の際に生じる気泡や過酸化水素の添加の際に生じる
気泡などを紫外線を照射する前にあらかじめ除去するの
で、紫外線の照射が遮断されないで効率よく照射され、
有機物の分解効率が向上する。
【0021】請求項5記載の汚水処理方法は、請求項1
ないし4いずれか一記載の汚水処理方法において、オゾ
ンの接触および過酸化水素の添加は、独立した槽にて処
理するものである。
【0022】そして、独立した槽にてそれぞれオゾンを
接触および過酸化水素を添加するので、pHの値が十分
に低下して過酸化水素がフリーラジカルに対して還元剤
として作用することがほとんど生じなくなる状態にまで
減少するので、オゾンを接触させる操作が容易で、有機
物の分解効率が容易に向上する。
【0023】請求項6記載の汚水処理方法は、請求項1
ないし5いずれか一記載の汚水処理方法において、汚水
は、アルカリ土金属を含有するものである。
【0024】そして、アルカリ土金属を含有する汚水を
対象とするため、空気中の炭酸ガスが汚水に溶解するな
どにより生じる炭酸ガスイオンが速やかに溶存するアル
カリ土金属と反応して炭酸化合物となるので、ヒドロキ
シラジカルの阻害因子となる炭酸ガスが溶存せず、効率
よくヒドロキシラジカルが有機物の酸化分解に寄与し、
有機物の酸化分解効率が向上する。
【0025】請求項7記載の汚水処理方法は、請求項1
ないし6いずれか一記載の汚水処理方法において、紫外
線が照射された汚水の一部を、オゾンが接触される汚水
にこの汚水のpHの値が大きく低下しない割合で返送す
るものである。
【0026】そして、紫外線が照射された汚水の一部を
オゾンが接触される汚水にpHの値が大きく低下しない
割合で返送するため、仮に有機物が残存しても再び処理
されるので、有機物を確実に高度に処理する。
【0027】請求項8記載の汚水処理装置は、有機物を
含有しpHの値が高い汚水が流入し、この流入した汚水
にオゾンを接触させてpHの値を低下させるオゾン接触
手段を備えたオゾン反応槽と、このオゾン反応槽から流
出する前記pHの値が低下した汚水に過酸化水素を添加
する過酸化水素添加手段およびこの過酸化水素が添加さ
れた汚水に紫外線を照射する紫外線照射手段を具備した
高分解処理手段とを具備したものである。
【0028】そして、有機物を含有しpHの値が高い汚
水をオゾン反応槽に流入してオゾン接触手段によりpH
の値が低下するまでオゾンを接触させ、pHの値が高い
汚水中でオゾンが急速に自己分解して生じるフリーラジ
カルにて有機物の酸化分解反応が効率よく進行し、次第
に有機物の酸化分解物である有機酸などの生成により、
pHの値が低下して酸化分解反応の速度が低減した後
に、高分解処理手段の過酸化水素添加手段により、過酸
化水素を添加して生成するヒドロキシラジカルにより残
留する有機物を酸化分解し、さらに紫外線照射手段にて
紫外線を照射して残留する有機物を酸化分解するので、
別途pHを調製するためのpH調製剤を添加する必要が
なく、オゾン反応、過酸化水素反応および紫外線反応が
適正なpH域で効率よく作用し、順次オゾン反応、過酸
化水素反応および紫外線反応を行うのみで、略中性の処
理水が得られ、微生物では分解が困難な有機物を容易に
高効率で分解処理する。
【0029】請求項9記載の汚水処理装置は、請求項8
記載の汚水処理装置において、オゾン反応槽は、オゾン
の自己分解により生じるフリーラジカルの生成量が低減
し、かつオゾンの溶存量が増大するpHの値に低下する
まで前記オゾンを汚水に接触するものである。
【0030】そして、オゾン反応槽にて、オゾンの自己
分解により生じるフリーラジカルの生成量が低減し、か
つオゾンの溶存量が増大するpHの値に低下するまでオ
ゾンを汚水に接触させるため、後段での高分解処理手段
での過酸化水素添加手段による過酸化水素の添加の際
に、オゾン反応槽から流出するオゾン処理された汚水中
に過酸化水素が還元剤として作用するフリーラジカルは
汚水中の有機物の酸化分解に消費されてほとんど存在し
ていないので、過酸化水素は溶存するオゾンによりほと
んどヒドロキシラジカルに分解して有機物の酸化分解に
寄与するので、効率よく有機物を酸化分解する。
【0031】請求項10記載の汚水処理装置は、請求項
8または9記載の汚水処理装置において、高分解処理手
段は、オゾン反応槽から流出するpHの値が低下した汚
水に過酸化水素を添加する過酸化水素添加手段が設けら
れた過酸化水素反応槽と、この過酸化水素反応槽から流
出する前記過酸化水素が添加された汚水に紫外線を照射
する紫外線照射手段が設けられた紫外線反応槽とを備え
たものである。
【0032】そして、高分解処理手段に、オゾン反応槽
から流出するpHの値が低下した汚水に過酸化水素を添
加する過酸化水素添加手段が設けられた過酸化水素反応
槽と、この過酸化水素反応槽から流出する過酸化水素が
添加された汚水に紫外線を照射する紫外線照射手段が設
けられた紫外線反応槽とを別々に設けたので、過酸化水
素の添加により発生し照射する紫外線を遮断するおそれ
のある気泡の発生が停止した後に紫外線を照射する処理
が容易となる。
【0033】請求項11記載の汚水処理装置は、請求項
8ないし10いずれか一記載の汚水処理装置において、
高分解処理手段は、懸濁浮遊物質を除去する浮遊物除去
手段を具備したものである。
【0034】そして、高分解処理手段に懸濁浮遊物質を
除去する浮遊物除去手段を設けるため、例えば処理する
汚水中に浮遊物質が混入していたり、空気から溶解した
炭酸ガスと汚水中に混入するカルシウムやマグネシウム
などとが反応して炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムな
どが生成したり、カルシウムやマグネシウムなどが水酸
化物となるなど、照射する紫外線を遮断するおそれがあ
るこれら懸濁浮遊物質を浮遊物除去手段にて除去して、
効率よく紫外線を照射し、有機物の酸化分解効率を向上
する。
【0035】請求項12記載の汚水処理装置は、請求項
8、9および11いずれか一記載の汚水処理装置におい
て、高分解処理手段は、気泡を除去する気泡除去機能を
備えたものである。
【0036】そして、高分解処理手段に気泡の発生を防
止する気泡除去機能を設けたため、過酸化水素の添加に
より発生し照射する紫外線を遮断するおそれのある気泡
の発生を気泡除去機能により防止するので、気泡に遮断
されることなく紫外線を効率よく照射し、有機物の酸化
分解効率を向上する。
【0037】請求項13記載の汚水処理装置は、請求項
8ないし12いずれか一記載の汚水処理装置において、
汚水は、アルカリ土金属を含有するものである。
【0038】そして、アルカリ土金属を含有する汚水を
対象とするため、空気中の炭酸ガスが汚水に溶解するこ
とにより生じる炭酸ガスイオンが速やかに溶存するアル
カリ土金属と反応して炭酸化合物となるので、ヒドロキ
シラジカルの阻害因子となる炭酸ガスが溶存せず、効率
よくヒドロキシラジカルが有機物の酸化分解に寄与し、
有機物の酸化分解効率が向上する。
【0039】請求項14記載の汚水処理装置は、請求項
8ないし13いずれか一記載の汚水処理装置において、
高分解処理手段から流出する紫外線が照射された汚水の
一部を、オゾン反応槽内に貯留する汚水のpHの値が大
きく低下しない割合で前記オゾン反応槽に返送する返送
手段を具備したものである。
【0040】そして、返送手段により、紫外線が照射さ
れた高分解処理手段から流出する汚水の一部を、オゾン
反応槽内に貯留する汚水のpHの値が大きく低下しない
割合でオゾン反応槽に返送するため、有機物が残存して
も再び処理するので、有機物を高度に処理する。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の汚水処理方法の実
施の一形態の構成を図面を参照して説明する。
【0042】図1において、1はオゾン反応槽で、この
オゾン反応槽1は、例えば埋立地からの浸出水、ゴミ焼
却場の灰ピットからの灰汚水など、カルシウム化合物お
よびマグネシウム化合物などのアルカリ土金属や生物学
的酸素要求量(Biological Oxygen Demand:BOD)に
起因する有機物、化学的酸素要求量(Chemical Oxygen
Demand:COD)に起因する有機物、浮遊物質(Suspen
ded Solid :SS)など複数種の汚染物質を含有、特に
CODに起因する難分解性有機物を含有する汚水である
原水が原水管2を介して流入して貯留する。なお、原水
は、スクリーンなどにて構成された図示しない除渣手段
にてあらかじめ夾雑物や渣滓を除去したものを用いても
よい。
【0043】そして、このオゾン反応槽1には、流入し
て貯留する原水に例えば曝気などにてオゾンを接触させ
るオゾン接触手段としてのオゾン発生器3を備えてい
る。
【0044】また、このオゾン反応槽1には、高分解処
理手段4が接続されている。この高分解処理手段4は、
気泡除去機能を備えている、すなわちオゾン反応槽1に
接続され、このオゾン反応槽1から流出管5を介して流
出する汚水を貯留し、原水に過酸化水素を添加する過酸
化水素添加手段6を備えた過酸化水素反応槽7と、この
過酸化水素反応槽7に接続され、この過酸化水素反応槽
7から接続管8を介して流出する原水を貯留し、原水に
紫外線を照射する紫外線照射手段としての紫外線ランプ
9を備えた紫外線反応槽10とを、独立した別槽として備
えている。
【0045】さらに、高分解処理手段4には、接続管8
に設けられ、過酸化水素反応槽7から流出する原水中の
浮遊物質である懸濁浮遊物質を分離除去し分離液を紫外
線反応槽10へ流出する浮遊物除去手段としての固液分離
手段である膜分離手段12が設けられている。
【0046】そして、紫外線反応槽10には、紫外線を照
射して残留する有機物を分解処理した原水を処理水とし
て放流する放流管13が接続されている。また、この放流
管13には、放流する処理水の一部をオゾン反応槽1に返
送する返送手段としての返送管14が接続されている。こ
の返送管14は、返送する処理水がオゾン反応槽1内に貯
留する原水に混合されても、貯留する原水のpHの値が
大きく低下しない割合で処理水の一部を返送する。
【0047】次に、上記実施の形態の動作を説明する。
【0048】まず、難分解性有機物などの有機物を含有
しカルシウムを主成分とするアルカリ土金属イオンを溶
解する埋立地などの最終処理場から浸出する浸出水など
の高pHの値、例えばpHが9〜11程度の原水がオゾ
ン反応槽1に流入され、オゾン発生器3からオゾンを含
有する空気を原水に曝気して接触させる。
【0049】このオゾンの接触により、原水はpHの値
が高いことから、オゾンは瞬時に自己分解して強い酸化
剤として作用するフリーラジカルであるヒドロキシラジ
カルを生成し、難分解性有機物などの有機物を酸化分解
する。この有機物の酸化分解により、原水中に有機酸な
どの副生成物である酸化分解物が生成してpHの値が次
第に低下する。このpHの値の低下により、オゾンの自
己分解の速度が次第に遅くなり、ヒドロキシラジカルの
生成量が次第に低減するとともにオゾンの溶存量が次第
に増大する。
【0050】ここで、原水に空気中の炭酸ガスなどが溶
解してヒドロキシラジカルの妨害因子となる炭酸ガスイ
オンが存在する状態となっても、浸出水などの原水中に
含有されたカルシウム化合物およびマグネシウム化合物
などのアルカリ土金属が速やかに炭酸ガスイオンと反応
して析出するので、ヒドロキシラジカルは炭酸ガスイオ
ンに妨害されることなく有機物の酸化分解に効率よく寄
与する。
【0051】そして、オゾン反応槽1でpHの値がある
程度低下、すなわち生成するヒドロキシラジカルが有機
物の酸化分解に作用し、酸化分解に作用しないで残留し
てしまうヒドロキシラジカルがほとんど存在しないpH
になった原水を、流出管5を介して後段の高分解処理手
段4の過酸化水素反応槽7に流入する。そして、過酸化
水素反応槽7に流入して貯留する原水に、過酸化水素添
加手段6にて過酸化水素を適宜添加する。
【0052】この過酸化水素の添加により、原水中に溶
存するオゾンにて過酸化水素が分解し、ヒドロキシラジ
カルを生成する。このヒドロキシラジカルが残留する難
分解性有機物などの有機物を酸化分解する。なお、過酸
化水素の添加により、原水のpHの値はさらに低下し、
略中性に近づく。
【0053】また、過酸化水素を添加して有機物を酸化
分解する処理の間、オゾン反応槽1から原水中に混入し
て持ち込まれる微細な気泡は、原水中に溶存するオゾン
が過酸化水素の分解に寄与することにより消費され、気
泡中のオゾンが原水に溶存することにより消滅したり、
過酸化水素反応槽7の上部に浮かび上がって放出される
などにより、原水中から除去される。
【0054】そして、過酸化水素反応槽7で過酸化水素
が添加された原水は、接続管8を介して槽外に流出され
る。この原水の流出は、過酸化水素の分解がほとんど終
了していることから、酸素などの気泡が発生することも
なく流出する。そして、接続管8中に設けられた膜分離
手段12により、原水中の混入していた浮遊物質や、炭酸
カルシウムや炭酸マグネシウムなどの炭酸ガスと反応し
て析出するアルカリ土金属化合物、その他の浮遊物質な
どの懸濁浮遊物質を分離除去し、透光度が増大した分離
液を紫外線反応槽10に流入する。
【0055】この後、分離液は、紫外線ランプ9から紫
外線が照射される。ここで、分離液は、前段の過酸化水
素反応槽7で気泡が除去され、さらに膜分離手段12にて
懸濁浮遊物質が分離除去されて透光度が向上しているた
め、気泡や懸濁浮遊物質にて紫外線が遮断されることな
く効率よく紫外線が照射される。
【0056】そして、紫外線の照射により、分離液中に
残存する難分解性有機物などの有機物は分解され、放流
管13を介して処理水として槽外に流出され、別途処理し
たり放流する。
【0057】また、この放流管13から流出する処理水の
一部は、返送管14を介してオゾン反応槽1に返送され
る。この処理水の返送は、オゾン反応槽1内に貯留する
pHの値が高い原水に略中性近くまで処理された処理水
が混合されても、貯留する原水のpHの値が大きく低下
しない割合、すなわちオゾンの自己分解の速度が次第に
遅くなってヒドロキシラジカルの生成量が次第に低減し
てしまう状態とならないように、処理水の一部を返送
し、再度処理する。
【0058】このように、上記実施の形態では、有機
物、特に微生物では分解が困難な難分解性有機物を含有
する原水を処理するに際して、有機物を含有しpHの値
が高い原水にオゾンを接触してpHの値が低下した後に
過酸化水素を添加し、この後に紫外線を照射するため、
pHの値が高い原水中でオゾンが急速に自己分解して難
分解性有機物などの有機物を分解するヒドロキシラジカ
ルが速やかに生成し、効率よく反応でき、次第に有機物
の酸化分解物である有機酸などの生成により、pHの値
が低下してオゾンの溶存量が増大するとともにヒドロキ
シラジカルの生成量が低減して反応速度が低減した後
に、過酸化水素を添加して溶存するオゾンにより分解し
て生成するヒドロキシラジカルにより残留する難分解性
有機物などの有機物を酸化分解し、オゾンの接触により
持ち込まれる気泡や過酸化水素の添加の際に発生し得る
気泡を十分に除去した後、紫外線を照射して残留する有
機物を酸化分解するので、別途pHを調製するためのp
H調製剤を添加する必要がなく、オゾン反応、過酸化水
素反応および紫外線反応が適正なpH域で効率よく作用
でき、順次オゾン反応、過酸化水素反応および紫外線反
応を行うのみで略中性の処理水が得られ、微生物では分
解が困難な有機物を容易に高効率で分解処理できる。
【0059】そして、オゾン反応、過酸化水素反応およ
び紫外線反応をそれぞれ別個の槽で独立して処理するの
で、例えば1槽で処理する場合に比して、過酸化水素が
オゾンの自己分解により生成するヒドロキシラジカルの
妨害因子となる還元剤として作用するなどの弊害や各反
応が効率よく進行できる適正なpH域で処理できなくな
るなどを防止でき、効率のよい各反応の進行が容易にで
きる。
【0060】また、紫外線を照射する際には、オゾンと
の接触の際の気泡や過酸化水素の添加による気泡などを
あらかじめ除去し、この原水に紫外線を照射するため、
気泡により照射する紫外線が遮断されることを防止し
て、効率よく紫外線を照射でき、有機物の分解効率を向
上できる。
【0061】さらに、紫外線を照射する際に、膜分離手
段12にて懸濁浮遊物質をあらかじめ分離除去するので、
懸濁浮遊物質により照射する紫外線が遮断されることを
防止して、効率よく紫外線を照射でき、有機物の分解効
率を向上できる。また、懸濁浮遊物質を膜分離手段にて
分離除去するので、凝集剤などを添加して分離除去する
場合に比して、凝集剤の添加によるpHの変動、すなわ
ちpHの値が低下し、ヒドロキシラジカルが生成できな
くなることを防止できるとともに、過剰の凝集剤が別途
汚染因子となるおそれもなく、凝集物質を沈降分離する
時間も短縮でき、安価に効率よく懸濁浮遊物質を分離除
去できる。
【0062】そして、原水として、浸出水などのアルカ
リ土金属を含有する汚水を対象とすることにより、原水
中に炭酸ガスイオンが混入する場合でも、炭酸ガスイオ
ンが速やかにアルカリ土金属と反応してアルカリ土金属
の炭酸化合物として析出し、ヒドロキシラジカルの阻害
因子となる炭酸ガスがフリーで溶存することを防止で
き、効率よくヒドロキシラジカルが有機物の酸化分解に
寄与でき、有機物の酸化分解効率を向上できる。
【0063】また、処理水の一部を返送管14を介してオ
ゾン反応槽1内に貯留する原水のpHの値が大きく低下
しない割合でオゾン反応槽1に返送するため、有機物が
残存しても再び処理でき、有機物を高度に処理できる。
【0064】なお、上記実施の形態において、浸出水な
どを原水として処理したが、有機物を含有しpHの値が
高いいずれの汚水を対象とすることができる。
【0065】また、浮遊物除去手段として膜分離手段12
を用いて説明したが、これに限らずいずれの固液分離手
段を用いてもよい。なお、上述したように、膜分離手段
12を用いることにより、pHの変動がなく、安価で短時
間に固液分離できる膜分離が好ましい。また、懸濁浮遊
物質が存在しない場合には、浮遊物除去手段を設けなく
てもよいが、一般的に汚水中には浮遊物質が混入し、浸
出水を対象とする場合にはほとんどの場合に懸濁浮遊物
質が生じるため、膜分離手段12を設けることが好まし
い。
【0066】そして、オゾン反応槽1と過酸化水素反応
槽7とを別槽としたが、1槽として、この槽内の原水の
流れる方向に対して上流側にオゾンを接触させて反応さ
せる領域と下流側に過酸化水素を添加して反応させる領
域とが生じるように原水を流過させるように処理しても
よい。なお、上述したように、過酸化水素がオゾンの分
解により生じるヒドロキシラジカルの妨害因子とならな
いように原水を流過させる必要があり、オゾンを曝気し
て接触する場合では1槽内でオゾンを自己分解させてヒ
ドロキシラジカルを生成させる領域と過酸化水素を添加
する領域がオゾンの曝気によるエアリフト効果により混
在する状態となるので、オゾンの接触方法が煩雑となる
おそれがあるので、別槽とすることが好ましい。
【0067】さらに、過酸化水素反応槽7および紫外線
反応槽10を別槽としたが、1槽として、この槽内の原水
の流れる方向に対して上流側に過酸化水素を添加して反
応させる領域と下流側に紫外線を照射して反応させる領
域とが生じるように原水を流過させるように処理しても
よい。なお、この1槽で行う場合には、上述したよう
に、紫外線を照射して反応させる領域において気泡が存
在しないようにすることが好ましい。また、懸濁浮遊物
質が存在する場合には、上述したように、一旦懸濁浮遊
物質を除去した後に紫外線を照射するようにすることが
好ましい。
【0068】また、返送管14により処理水の一部を返送
したが、返送手段を設けず返送することなくそのまま流
出してもよい。
【0069】
【実施例】上記実施の形態による汚水処理方法と、1槽
でオゾン反応、過酸化水素反応および紫外線反応を行っ
た場合と比較して検討した。
【0070】なお、原水としては、表1に示す性状の埋
立地からの浸出水を用い、本実施例としてオゾンを曝気
して1時間処理、すなわちオゾン濃度が1.877mg−
3/リットルとなるようにオゾンを注入した後に、別
槽で濃度が400ppm となるように過酸化水素を添加し
て1時間処理し、次に別槽で20W紫外線ランプを用い
て紫外線を1時間照射して処理した。一方、比較例とし
ては、1槽でオゾン濃度が1.877mg−O3/リット
ルとなるようにオゾンを注入しつつ濃度が400ppm と
なるように過酸化水素を添加し、さらに20W紫外線ラ
ンプを用いて紫外線を照射する処理を1時間行った。
【0071】その結果を表1および図2ないし図5に示
す。なお、CODの測定では、過酸化水素が試薬の還元
剤として作用し、CODの値として過酸化水素分も含ま
れてしまうために過酸化水素分を差し引く必要があるこ
とから、常法により過酸化水素1mg/リットルを0.5
mg/リットルCODと換算して計算した結果をCOD値
とする。
【0072】
【表1】 これらの結果から、1槽で同時にオゾン反応、過酸化水
素反応および紫外線反応を行う比較例では、難分解性有
機物に起因する有機物であるCODの値が153mg/リ
ットルであるのに対し、本実施例のものは68mg/リッ
トルまで低減していることがわかった。すなわち、オゾ
ンの接触条件、過酸化水素の添加量、紫外線の照射量お
よび各反応時間が同じ条件でも、別槽で処理することに
よりCODに起因する有機物の量が減少していることか
ら、過酸化水素が還元剤として消費されないで効率よく
反応に寄与できたものと思料できる。
【0073】
【発明の効果】請求項1記載の汚水処理方法によれば、
有機物を含有しpHの値が高い汚水にオゾンを接触して
pHの値を低下した後に過酸化水素を添加し、この後に
紫外線を照射するため、オゾンが急速に自己分解して生
じるフリーラジカルにて有機物の酸化分解反応が効率よ
く進行し、次第に生成する有機酸にてpHの値が低下し
てフリーラジカル生成量が低減することにより過酸化水
素の分解にて生成するヒドロキシラジカルにより残留す
る有機物を酸化分解し、さらに紫外線を照射して残留す
る有機物を酸化分解するので、別途pHを調製するため
のpH調製剤を添加する必要がなく、オゾン反応、過酸
化水素反応および紫外線反応が適正なpH域で効率よく
作用でき、順次オゾン反応、過酸化水素反応および紫外
線反応を行うのみでpHを略中性に近づけることがで
き、微生物では分解が困難な有機物を容易に高効率で分
解処理できる。
【0074】請求項2記載の汚水処理方法によれば、請
求項1記載の汚水処理方法の効果に加え、過酸化水素を
添加する前に、pHの値がオゾンの自己分解によるフリ
ーラジカルの生成量が低減するとともにオゾンの溶存量
が増大する状態に低下するまでオゾンを接触させるた
め、過酸化水素が還元剤として作用するフリーラジカル
は汚水中の有機物の酸化分解に消費されてほとんど存在
していないので、過酸化水素は溶存するオゾンによりほ
とんどヒドロキシラジカルに分解して有機物の酸化分解
に寄与でき、効率よく有機物を酸化分解できる。
【0075】請求項3記載の汚水処理方法によれば、請
求項1または2記載の汚水処理方法の効果に加え、紫外
線が照射される前に過酸化水素が添加された汚水の懸濁
浮遊物を除去するため、紫外線の照射が懸濁浮遊物にて
遮断されないで効率よく照射でき、有機物の分解効率を
向上できる。
【0076】請求項4記載の汚水処理方法によれば、請
求項1ないし3いずれか一記載の汚水処理方法の効果に
加え、紫外線が照射される前に過酸化水素が添加された
汚水の気泡を除去するため、気泡にて紫外線が遮断され
ないで効率よく照射でき、有機物の分解効率を向上でき
る。
【0077】請求項5記載の汚水処理方法によれば、請
求項1ないし4いずれか一記載の汚水処理方法の効果に
加え、独立した槽にてそれぞれオゾンの接触および過酸
化水素の添加を行うので、pHの値が十分に増大して過
酸化水素がフリーラジカルに対してほとんど還元剤とし
て作用しなくなる状態にまで減少するので、オゾンを接
触させる操作が容易にでき、有機物の分解効率を容易に
向上できる。
【0078】請求項6記載の汚水処理方法によれば、請
求項1ないし5いずれか一記載の汚水処理方法の効果に
加え、アルカリ土金属を含有する汚水を対象とするた
め、汚水中に溶存しヒドロキシラジカルの阻害因子とな
る炭酸ガスイオンが速やかにアルカリ土金属と反応して
炭酸化合物となるので、効率よくヒドロキシラジカルが
有機物の酸化分解に寄与でき、有機物の酸化分解効率を
向上できる。
【0079】請求項7記載の汚水処理方法によれば、請
求項1ないし6いずれか一記載の汚水処理方法の効果に
加え、紫外線が照射された汚水の一部をオゾンが接触さ
れる汚水にpHの値が大きく低下しない割合で返送する
ため、有機物が残存しても再び処理されるので、有機物
を高度に処理できる。
【0080】請求項8記載の汚水処理装置によれば、有
機物を含有しpHの値が高い汚水をオゾン反応槽に流入
してオゾン接触手段によりpHの値が低下するまでオゾ
ンを接触させ、pHの値が高い汚水中でオゾンが急速に
自己分解して生じるフリーラジカルにて有機物の酸化分
解反応が効率よく進行し、次第に有機物の酸化分解物で
ある有機酸などの生成により、pHの値が低下してラジ
カル反応の速度が低減した後に、高分解処理手段の過酸
化水素添加手段により、過酸化水素を添加して生成する
ヒドロキシラジカルにより残留する有機物を酸化分解
し、さらに紫外線照射手段にて紫外線を照射して残留す
る有機物を酸化分解するので、別途pHを調製するため
のpH調製剤を添加する必要がなく、オゾン反応、過酸
化水素反応および紫外線反応が適正なpH域で効率よく
作用でき、順次オゾン反応、過酸化水素反応および紫外
線反応を行うのみで、pHを略中性に近づけることがで
き、微生物では分解が困難な有機物を容易に高効率で分
解処理できる。
【0081】請求項9記載の汚水処理装置によれば、請
求項8記載の汚水処理装置の効果に加え、オゾン反応槽
にて、オゾンの自己分解により生じるフリーラジカルの
生成量が低減し、かつオゾンの溶存量が増大するpHの
値に低下するまでオゾンを汚水に接触させるため、後段
で過酸化水素を添加する際、汚水中に過酸化水素が還元
剤として作用するフリーラジカルは有機物の酸化分解に
消費されてほとんど存在していないので、過酸化水素の
分解にて生成するヒドロキシラジカルが効率よく有機物
の酸化分解に寄与でき、効率よく有機物を酸化分解でき
る。
【0082】請求項10記載の汚水処理装置によれば、
請求項8または9記載の汚水処理装置の効果に加え、オ
ゾン反応槽から流出する汚水に過酸化水素を添加する過
酸化水素添加手段を備えた過酸化水素反応槽と、この過
酸化水素反応槽から流出する汚水に紫外線を照射する紫
外線照射手段を備えた紫外線反応槽とを別々に設けたた
め、オゾンの接触にて持ち込まれる気泡や過酸化水素の
添加にて生じる気泡などをあらかじめ除去するので、照
射する紫外線が遮断されず紫外線を効率よく照射できる
構成が容易に得られ、効率よく有機物を酸化分解でき
る。
【0083】請求項11記載の汚水処理装置によれば、
請求項8ないし10いずれか一記載の汚水処理装置の効
果に加え、高分解処理手段に懸濁浮遊物質を除去する浮
遊物除去手段を設けるため、照射する紫外線を遮断する
おそれがある懸濁浮遊物質を除去して効率よく紫外線を
照射でき、有機物の酸化分解効率を向上できる。
【0084】請求項12記載の汚水処理装置によれば、
請求項8、9および11いずれか一記載の汚水処理装置
の効果に加え、高分解処理手段に気泡を除去する気泡除
去機能を設けたため、オゾンの接触にて持ち込まれる気
泡や過酸化水素の添加にて生じる気泡などをあらかじめ
除去して照射する紫外線が遮断されることを防止するの
で、気泡に遮断されることなく紫外線を効率よく照射で
き、有機物の酸化分解効率を向上できる。
【0085】請求項13記載の汚水処理装置によれば、
請求項8ないし12いずれか一記載の汚水処理装置の効
果に加え、アルカリ土金属を含有する汚水を対象とする
ため、汚水中に溶存する炭酸ガスイオンが速やかにアル
カリ土金属と反応して炭酸化合物となるので、ヒドロキ
シラジカルの阻害因子となる炭酸ガスが溶存せず、効率
よくヒドロキシラジカルが有機物の酸化分解に寄与で
き、有機物の酸化分解効率を向上できる。
【0086】請求項14記載の汚水処理装置によれば、
請求項8ないし13いずれか一記載の汚水処理装置の効
果に加え、返送手段にて紫外線が照射された汚水の一部
をオゾン反応槽内の汚水のpHの値が大きく低下しない
割合で返送するため、仮に有機物が残存しても再び処理
でき、有機物を高度に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚水処理方法の実施の一形態の構成を
示すブロック図である。
【図2】同上実験結果におけるpHの計時変化を示すグ
ラフである。
【図3】同上実験結果におけるICの計時変化を示すグ
ラフである。
【図4】同上実験結果におけるTOCの計時変化を示す
グラフである。
【図5】同上実験結果におけるCODの計時変化を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 オゾン反応槽 3 オゾン接触手段としてのオゾン発生器 4 高分解処理手段 6 過酸化水素添加手段 7 過酸化水素反応槽 9 紫外線照射手段としての紫外線ランプ 10 紫外線反応槽 12 浮遊物除去手段としての膜分離手段 14 返送手段としての返送管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 9/00 502 C02F 9/00 502R 502Z 503 503C 503G 504 504B 504E (72)発明者 宮前 博子 大阪府大阪市西区立売堀二丁目1番9号 アタカ工業株式会社内 Fターム(参考) 4D037 AA11 AA13 AB01 AB02 AB07 AB08 BA18 BA23 BB02 CA03 CA12 4D050 AA13 AA15 AB07 AB31 AB62 AB64 BB02 BB09 BC09 BD06 BD08 CA03 CA09

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機物を含有しpHの値が高い汚水にオ
    ゾンを接触してpHの値を低下させ、 このpHの値が低下した汚水に過酸化水素を添加し、 この過酸化水素が添加された汚水に紫外線を照射するこ
    とを特徴とする汚水処理方法。
  2. 【請求項2】 オゾンの接触は、過酸化水素を添加する
    前に、オゾンの自己分解により生じるフリーラジカルの
    生成量が低減し、かつ前記オゾンの溶存量が増大するp
    Hの値まで低下させることを特徴とする請求項1記載の
    汚水処理方法。
  3. 【請求項3】 紫外線が照射される前に過酸化水素が添
    加された汚水の懸濁浮遊物質を除去することを特徴とす
    る請求項1または2記載の汚水処理方法。
  4. 【請求項4】 紫外線が照射される前に過酸化水素が添
    加された汚水の気泡を除去することを特徴とする請求項
    1ないし3いずれか一記載の汚水処理方法。
  5. 【請求項5】 オゾンの接触および過酸化水素の添加
    は、独立した槽にて処理することを特徴とする請求項1
    ないし4いずれか一記載の汚水処理方法。
  6. 【請求項6】 汚水は、アルカリ土金属を含有すること
    を特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載の汚水処
    理方法。
  7. 【請求項7】 紫外線が照射された汚水の一部を、オゾ
    ンが接触される汚水にこの汚水のpHの値が大きく低下
    しない割合で返送することを特徴とする請求項1ないし
    6いずれか一記載の汚水処理方法。
  8. 【請求項8】 有機物を含有しpHの値が高い汚水が流
    入し、この流入した汚水にオゾンを接触させてpHの値
    を低下させるオゾン接触手段を備えたオゾン反応槽と、 このオゾン反応槽から流出する前記pHの値が低下した
    汚水に過酸化水素を添加する過酸化水素添加手段および
    この過酸化水素が添加された汚水に紫外線を照射する紫
    外線照射手段を具備した高分解処理手段とを具備したこ
    とを特徴とする汚水処理装置。
  9. 【請求項9】 オゾン反応槽は、オゾンの自己分解によ
    り生じるフリーラジカルの生成量が低減し、かつオゾン
    の溶存量が増大するpHの値に低下するまで前記オゾン
    を汚水に接触することを特徴とする請求項8記載の汚水
    処理装置。
  10. 【請求項10】 高分解処理手段は、オゾン反応槽から
    流出するpHの値が低下した汚水に過酸化水素を添加す
    る過酸化水素添加手段が設けられた過酸化水素反応槽
    と、この過酸化水素反応槽から流出する前記過酸化水素
    が添加された汚水に紫外線を照射する紫外線照射手段が
    設けられた紫外線反応槽とを備えたことを特徴とする請
    求項8または9記載の汚水処理装置。
  11. 【請求項11】 高分解処理手段は、懸濁浮遊物質を除
    去する浮遊物除去手段を具備したことを特徴とした請求
    項8ないし10いずれか一記載の汚水処理装置。
  12. 【請求項12】 高分解処理手段は、気泡を除去する気
    泡除去機能を備えたことを特徴とした請求項8、9およ
    び11いずれか一記載の汚水処理装置。
  13. 【請求項13】 汚水は、アルカリ土金属を含有するこ
    とを特徴とした請求項8ないし12いずれか一記載の汚
    水処理装置。
  14. 【請求項14】 高分解処理手段から流出する紫外線が
    照射された汚水の一部を、オゾン反応槽内に貯留する汚
    水のpHの値が大きく低下しない割合で前記オゾン反応
    槽に返送する返送手段を具備したことを特徴とする請求
    項8ないし13いずれか一記載の汚水処理装置。
JP10353584A 1998-12-11 1998-12-11 汚水処理方法およびその装置 Pending JP2000176468A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10353584A JP2000176468A (ja) 1998-12-11 1998-12-11 汚水処理方法およびその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10353584A JP2000176468A (ja) 1998-12-11 1998-12-11 汚水処理方法およびその装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000176468A true JP2000176468A (ja) 2000-06-27

Family

ID=18431836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10353584A Pending JP2000176468A (ja) 1998-12-11 1998-12-11 汚水処理方法およびその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000176468A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002153891A (ja) * 2000-09-11 2002-05-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 難分解性物質含有排水の処理方法及びその装置
WO2002102723A1 (en) * 2001-06-15 2002-12-27 Vrm Enterprises Pty Ltd Method and apparatus for the treatment of water
KR20030009723A (ko) * 2001-07-23 2003-02-05 박경습 화장실 오폐수 재처리 시스템
JP2003145180A (ja) * 2001-11-12 2003-05-20 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 汚染水の浄化方法及び浄化装置
CN102276081A (zh) * 2011-05-26 2011-12-14 武汉纺织大学 一种串联催化氧化处理工业有机废水工艺
JP2012179538A (ja) * 2011-03-01 2012-09-20 Air Water Inc 廃水処理装置および方法
WO2012142974A1 (zh) * 2011-04-22 2012-10-26 福建新大陆科技集团有限公司 一种臭氧气浮高级氧化流体处理系统
CN108658329A (zh) * 2018-05-21 2018-10-16 广州市恩莱吉能源科技有限公司 一种基于臭氧氧化的复合型反渗透浓水处理方法
CN110255792A (zh) * 2019-06-28 2019-09-20 西安航空学院 一种特低渗透油田采出水稳定达标处理系统及其处理工艺

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002153891A (ja) * 2000-09-11 2002-05-28 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 難分解性物質含有排水の処理方法及びその装置
WO2002102723A1 (en) * 2001-06-15 2002-12-27 Vrm Enterprises Pty Ltd Method and apparatus for the treatment of water
KR20030009723A (ko) * 2001-07-23 2003-02-05 박경습 화장실 오폐수 재처리 시스템
JP2003145180A (ja) * 2001-11-12 2003-05-20 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 汚染水の浄化方法及び浄化装置
JP2012179538A (ja) * 2011-03-01 2012-09-20 Air Water Inc 廃水処理装置および方法
WO2012142974A1 (zh) * 2011-04-22 2012-10-26 福建新大陆科技集团有限公司 一种臭氧气浮高级氧化流体处理系统
CN102276081A (zh) * 2011-05-26 2011-12-14 武汉纺织大学 一种串联催化氧化处理工业有机废水工艺
CN108658329A (zh) * 2018-05-21 2018-10-16 广州市恩莱吉能源科技有限公司 一种基于臭氧氧化的复合型反渗透浓水处理方法
CN110255792A (zh) * 2019-06-28 2019-09-20 西安航空学院 一种特低渗透油田采出水稳定达标处理系统及其处理工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Deng et al. Treatment of landfill leachate by the Fenton process
JPH0975993A (ja) 有機物含有廃水の処理方法及びその装置
JP2000176468A (ja) 汚水処理方法およびその装置
JP2005279409A (ja) 有機金属化合物含有廃水の処理方法
JP4277736B2 (ja) 有機ヒ素化合物含有水の処理方法
JP2001239280A (ja) 生物難分解性有機物含有汚水の処理方法およびその装置
JP3466083B2 (ja) 埋立浸出水中のダイオキシン類等の有機塩素化合物の分解方法
JP2003062583A (ja) 難分解性有機物質および臭素を含有する汚水の処理方法および装置
JPH1133561A (ja) 凝集沈澱処理設備
JP2652493B2 (ja) ごみ埋立地浸出汚水のcod除去方法
JP2001017995A (ja) 揮発性有機塩素化合物の処理方法およびその装置
JP2001286876A (ja) 難分解性化学物質含有排水処理方法及び装置
JP2003080274A (ja) 汚水の処理方法および装置
JPH11347592A (ja) 難分解性有機物含有排水の処理方法
JP4522302B2 (ja) 有機ヒ素の無害化方法
KR19980085039A (ko) 전자선 및 오존에 의한 폐수처리 방법 및 장치
JP2001000984A (ja) オゾン及び過酸化水素を用いる水処理方法
JPH09253695A (ja) 難分解性有機物含有排水の処理方法
JP3556515B2 (ja) オゾン及び過酸化水素を用いる廃水処理方法
JPH1076296A (ja) 難分解性有機物含有排水の処理方法
JPH11347576A (ja) 水処理方法及び水処理装置
JP3141186B2 (ja) 浸出水のカルシウムスケーリング防止方法およびその防止装置
JP2002282874A (ja) 排水処理装置
JP2006088116A (ja) 排水処理方法および装置
JP2002263670A (ja) 汚水処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050706

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050803