JP2004033798A - ルテニウム錯体触媒の分離方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体触媒の存在下にアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させた反応液からのルテニウム錯体触媒の分離方法であって、アルコール類及びカルボニル化合物を除去する除去工程、非極性溶媒及び極性有機溶媒で抽出する抽出工程、並びに、ルテニウム錯体触媒がより多く分配された非極性溶媒相と5価の有機リン化合物がより多く分配された極性有機溶媒相とに相分離させる相分離工程を含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコール類を脱水素して得られる反応液から、触媒を分離する方法に関し、より詳細には、アルコール類を脱水素して得られる反応液から、錯体触媒と、有機リン化合物とカルボニル化合物の付加生成物である有機リン化合物とを分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体は、均一系触媒反応による各種カルボニル化合物の水素化、各種アルコール類の脱水素化反応などに使用されている。このルテニウム錯体触媒は、化学的及び熱力学的に比較的安定であり、反応生成物と触媒液を蒸留により分離し、触媒液を反応域へ循環して再使用したり、あるいは反応生成物をガスストリッピングにより反応液から流出させて分離し、触媒液を反応域に残留させたままで連続的に反応を行わせることができる。
【0003】
しかしながらこれらの反応においては種々の高沸点副生物が生成することが避けられず、これらの反応を連続的に実施する場合には触媒液中に高沸点物質が蓄積するため、触媒液の一部を連続的に又は間欠的に抜き出す必要がある。当然のことながら、この抜き出した液にはルテニウムが含まれているため、廃棄するためにはその処理が必要となる。
しかしながら、ルテニウムを含有する液は燃焼させると、有毒で腐食性の強いRuO4が生成するため、焼却処理は制限される。また、産業廃棄物理業者に処理を依頼すると、抜き出し液の質量見合いで費用がかかるため、量が多い場合経済的に不利になる。
【0004】
従ってこの抜き出し液のルテニウムを濃縮できれば、その経済的効果は非常に大きい。更には、もしこの抜き出し液からルテニウム錯体を効率よく回収でき、これを反応に再利用できれば、廃液処理にかかる負担を大幅に軽減できる上、経済的にも触媒費を大幅に減ずることができ、また排出するルテニウムの絶対量が減るので環境汚染防止の上からも好ましく、その効果は絶大なものがある。
しかし、そのためには反応液から活性な形態を保持したまま錯体触媒を分離回収することが必要となる。
【0005】
ルテニウム錯体の分離回収方法としては、塩基性物質を含む水溶液と非極性有機溶媒で抽出分離する方法(特開平7−323232号公報)が提案されている。しかしながら、上記手法は、有機カルボニル化合物を水素化する反応におけるものであり、この手法をアルコール類の脱水素反応からのルテニウム錯体の分離に適用した場合、ルテニウム触媒と、高沸点物質である5価の有機リン化合物との溶解性が酷似しているため、分離が非常に困難であり、有機リン化合物とカルボニル化合物の付加生成物を効果的に抜き出せないという問題点があることが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】
本発明の課題は、有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体を触媒として含むアルコール類の脱水素反応液から、反応液中に含有される5価の有機リン化合物を効率的に抜き出し、且つルテニウム錯体を工業的有利に分離、回収する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討を行った結果、特定の条件下で、非極性溶媒及び極性有機溶媒を用いて抽出することによって、反応液中に含有される5価の有機リン化合物を効率的に抜き出し、且つルテニウム錯体を工業的有利に分離、回収し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の要旨は下記(1)〜(12)に存する。
(1) 有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体触媒の存在下にアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させた反応液からのルテニウム錯体触媒の分離方法であって、アルコール類及びカルボニル化合物を除去する除去工程、非極性溶媒及び極性有機溶媒で抽出する抽出工程、並びに、ルテニウム錯体触媒がより多く分配された非極性溶媒相と5価の有機リン化合物がより多く分配された極性有機溶媒相とに相分離させる相分離工程を含むことを特徴とする前記方法。
【0009】
(2) 非極性溶媒相と極性有機溶媒相とを相分離させた後、更に非極性溶媒相を分取し、分取した該非極性溶媒相から非極性溶媒を除去する工程を更に含む上記(1)に記載の分離方法。
(3) 非極性溶媒相から除去した非極性溶媒を前記抽出工程に戻す工程を更に含む上記(1)又は(2)に記載の分離方法。
【0010】
(4) 相分離工程において、極性有機溶媒相に分配される5価の有機リン化合物が、ルテニウム錯体触媒の配位子としての有機リン化合物と生成物としてのカルボニル化合物との付加生成物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の分離方法。
(5) 相分離工程において、極性有機溶媒相に分配される5価の有機リン化合物が、ルテニウム錯体触媒の配位子としてのホスフィン化合物と生成物としてのエステル類の付加生成物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の分離方法。
【0011】
(6) ルテニウム錯体触媒の配位子としての有機リン化合物が、原料のアルコール類よりも高い沸点を有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の分離方法。
(7) 極性有機溶媒が、アルコール類である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の分離方法。
【0012】
(8) 極性有機溶媒が、2価のアルコールである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の分離方法。
(9) 極性有機溶媒が、原料としてのアルコール類と同一である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の分離方法。
【0013】
(10) 非極性溶媒が、炭化水素化合物である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の分離方法。
(11) 非極性溶媒が、炭素数5〜8の脂肪族炭化水素化合物である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の分離方法。
【0014】
(12) 原料としてのアルコール類が1,4―ブタンジオールであり、カルボニル化合物がγ−ブチロラクトンである上記(1)〜(11)のいずれかに記載の分離方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体触媒の存在下にアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させた反応液からのルテニウム錯体触媒の分離方法であって、アルコール類及びカルボニル化合物を除去する除去工程、非極性溶媒及び極性有機溶媒で抽出する抽出工程、並びに、ルテニウム錯体触媒がより多く分配された非極性溶媒相と5価の有機リン化合物がより多く分配された極性有機溶媒相とに相分離させる相分離工程を含むことを特徴とする。以下その詳細について説明する。
【0016】
<原料>
本発明における原料としてのアルコール類(カルボニル化合物の原料としてのアルコール類)としては、1級又は2級の水酸基を有するものであればよく、 通常は炭素数50以下、好ましくは10以下の、飽和又は不飽和の、1価又は多価アルコール、好ましくは2価のアルコールが用いられる。また、アルコールには置換基が結合していてもよい。
【0017】
原料として用いられるアルコールのいくつかを例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、アリルアルコール、1−ブテノール、2−ブテノール、1−ペンテノール、2−ペンテノール、1−ヘキセノール、2−ヘキセノール、3−ヘキセノール、1−ヘプテノール、2−ヘプテノール、3−ヘプテノール、1−オクテノール、2−オクテノール、3−オクテノール、4−オクテノール、1−ノネノール、2−ノネノール、3−ノネノール、4−ノネノール、1−デセノール、2−デセノール、3−デセノール、4−デセノール、5−デセノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘプタノール、1−フェネチルアルコール、2−フェネチルアルコール、メタノールアミン、エタノールアミン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメチロール、1,3−シクロヘキサンジメチロール、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシエチルシクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピルシクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエチルシクロヘキサン、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシエチルベンゼン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピルベンゼン、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシエチルベンゼン等が挙げられる。
反応速度の観点から、2個の1級水酸基が炭素数3〜6の炭素鎖で結合されている2価アルコールが好ましく、特に好ましくは1,4−ブタンジオール又は1,5−ペンタンジオールである。
【0018】
<触媒>
本発明において、脱水素反応に使用する触媒は、有機リン化合物配位子を有するルテニウム錯体触媒であり、有機リン化合物としては、ホスファイト、ホスフィン等が挙げられるが、ホスフィンが好ましく、ホスフィンとしては、少なくとも1つのアルキルを有するホスフィンが好ましい。特に好ましくはリンの置換基が全てアルキルである有機ホスフィンであり、原料としてのアルコールよりも高い沸点を有するのが好ましい。
本発明において、配位子の有機リン化合物は、単座、複座及び環状のいずれであってもよい。
【0019】
以下、本発明において特に好ましい、ホスフィンを配位子として有する触媒について説明する。
尚、ホスフィンの置換基のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、通常炭素数1〜20の、好ましくは炭素数4〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ベンジル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、ホスフィンの置換基としてはアリール基を有することができ、該アリール基としては、通常炭素数6〜24の、好ましくは炭素数6〜12のアリールであり、例えばフェニル、ナフチル、トリル、キシリル等が挙げられる。
【0020】
有機ホスフィンが、単座の場合、例えば、以下の化合物が挙げられる。中でも、下記(iii)の3つのアルキル基を置換基として有する、トリアルキルホスフィン配位子が好ましい。
(i)1つのアルキル基と2つのアリール基を置換基として有する単座ホスフィン配位子:具体的には、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルエチルホスフィン、ジフェニルプロピルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルヘキシルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジトリルメチルホスフィン、ジトリルエチルホスフィン、ジトリルブチルホスフィン、ジ(フルオロフェニル)メチルホスフィン、ジ(クロロフェニル)メチルホスフィン、ジ(ブロモフェニル)メチルホスフィン、ジキシリルメチルホスフィン、ジ(メトキシフェニル)メチルホスフィン、ジ(ヒドロキシフェニル)メチルホスフィン、ジ(アミノフェニル)メチルホスフィン、ジナフチルメチルホスフィン、フェニルトリルメチルホスフィン等が挙げられる。
【0021】
(ii)2つのアルキル基と1つのアリール基を置換基として有する単座ホスフィン配位子:具体的には、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジプロピルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジペンチルフェニルホスフィン、ジヘキシルフェニルホスフィン、ジオクチルフェニルホスフィン、ジベンジルフェニルホスフィン、ジメチルトリルホスフィン、ジエチルトリルホスフィン、ジブチルトリルホスフィン、ジオクチルトリルホスフィン、ジメチル(フルオロフェニル)ホスフィン、ジメチル(クロロフェニル)ホスフィン、ジメチル(ブロモフェニル)ホスフィン、ジメチルキシリルホスフィン、ジメチル(メトキシフェニル)ホスフィン、ジメチル(ヒドロキシフェニル)ホスフィン、ジメチル(アミノフェニル)ホスフィン、ジメチルナフチルホスフィン、メチルエチルフェニルホスフィン等が挙げられる。
【0022】
(iii)3つのアルキル基を置換基として有する単座ホスフィン配位子:具体的には、トリデシルホスフィン、トリノニルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン、ジオクチルメチルホスフィン、ジメチルヘプチルホスフィン、ジヘプチルメチルホスフィン、ジメチルヘキシルホスフィン、ジヘキシルメチルホスフィン、ジメチルペンチルホスフィン、ジペンチルメチルホスフィン、ジメチルブチルホスフィン、ジブチルメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、ジメチルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルメチルホスフィン等が挙げられる。
【0023】
また、有機ホスフィンが、2座の場合、下記構造式(I)で表されるアルキル鎖の両端にリン原子が結合した有機ホスフィン配位子が挙げられる。
【0024】
【化1】
【0025】
(式(I)中、A、B、C及びDは、アリール基又はアルキル基を表し、Yはアルキル鎖を表す。)
【0026】
即ち、A、Bは2つともアリール基(同じでも異なってもよい)、2つともアルキル基(同じでも異なってもよい)、又は一方がアリール基で他方がアルキル基である。C、Dに関しても同様の構造をとる。
Yは、アルキル鎖を表し、炭素数は通常1〜8であり、好ましくは1〜4であり、最も好ましくは2である。アルキル鎖は置換基を有していても、分岐していてもよい。
2座の場合、例えば、以下の化合物が挙げられる。中でも、下記(iv)の各リン原子の2つの置換基の両方がアルキルであるホスフィン配位子が好ましい。
【0027】
(iv)各リン原子の2つの置換基の両方がアルキルである2座のホスフィン配位子:具体的には、1、2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1、3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン、1、4−ビス(ジメチルホスフィノ)ブタン、1、2−ビス(ジオクチルホスフィノ)エタン、1、3−ビス(ジオクチルホスフィノ)プロパン、1、4−ビス(ジオクチルホスフィノ)ブタン、1、2−ビス(ジヘキシルホスフィノ)エタン、1、3−ビス(ジヘキシルホスフィノ)プロパン、1、4−ビス(ジヘキシルホスフィノ)ブタン、1、2−ビス(ジブチルホスフィノ)エタン、1、3−ビス(ジブチルホスフィノ)プロパン、1、4−ビス(ジブチルホスフィノ)ブタン等が挙げられる。
【0028】
(v)各リン原子の2つの置換基の両方がアリール、若しくは、一つのリン原子に対して一方がアルキルでかつ他方がアリールである2座のホスフィン配位子:具体的には、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2−ビス(ジトリルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジフルオロフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジクロロフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジブロモフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジナフチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメトキシフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジヒドロキシフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジアミノフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(メチルフェニルホスフィノ)エタン、1、2−ビス(エチルフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ブチルフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(シクロヘキシルフェニルホスフィノ)エタン、ビス(メチルフェニルホスフィノ)メタン、1、3−(メチルフェニルホスフィノ)プロパン等が挙げられる。
【0029】
上記した有機ホスフィンの内、(iii)及び(iv)のホスフィンが好ましく、特には1級のアルキル基を持つトリアルキルホスフィン(単座の場合)、及び1級のアルキル基を持つ各リン原子の2つの置換基の両方がアルキルである2座のホスフィン配位子が好ましく、有機リン化合物の沸点の観点から、特に好ましくは炭素数4〜10のアルキル基を置換基として有するホスフィン配位子であり、さらに好ましくはトリオクチルホスフィンである。
本発明で使用する触媒中の、配位子のアルキル基はノルマル体、イソ体、及びその混合物でも差し支えない。
【0030】
尚、これらホスフィンの置換基のアルキル基、アリール基、及び、アルキル鎖は、更に置換基を有していてもよく、例えばハロゲン原子(塩素、臭素、フッ素等)、アミノ基、アルコキシル基(好ましくは炭素数1〜10)、ヒドロキシル基、等が挙げられる。
【0031】
本発明で用いられるルテニウム錯体触媒に含有されるルテニウムの供給形態としては、金属及び化合物のいずれもが可能である。ルテニウム化合物として酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩、あるいは錯化合物等が使用される。
具体的には二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、水酸化ルテニウム、三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、三沃化ルテニウム、硝酸ルテニム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ルテニウム、ジメチルブタジエンアセチルアセトナトルテニウム、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)ルテニウム、テトラカルボニルルテニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、テトラヒドリドデカカルボニルテトラルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドトリルテニウム酸テトラフェニルホスフォニウム、ジメチルブタジエンアセチルアセトナトルテニウム等が挙げられ、特に好ましくは、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ルテニウム、ジメチルブタジエンアセチルアセトナトである。
【0032】
本発明で使用され得るルテニウム錯体触媒は以下の通りである。
(i)1つのアルキル基と2つのアリール基を置換基として有する単座ホスフィン配位子を有するルテニウム錯体としては、具体的には、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジフェニルメチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジフェニルエチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジフェニルブチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジフェニルオクチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジナフチルメチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジフェニルメチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジフェニルエチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジフェニルブチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジフェニルオクチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジナフチルメチルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。
【0033】
また、(ii)2つのアルキル基と1つのアリール基を置換基として有する単座ホスフィン配位子を有するルテニウム錯体としては、具体的に、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジエチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジブチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジオクチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジメチルナフチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジメチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジエチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジブチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジオクチルフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(ジメチルナフチルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。
【0034】
(iii)3つのアルキル基を置換基として有する単座ホスフィン配位子を有するルテニウム錯体としては、具体的に、ビス(アセチルアセトナト)ビス(トリメチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(トリエチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(トリプロピルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(トリブチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(トリヘキシルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(トリオクチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジオクチルメチルホスフィン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ビス(ジオクチルシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリメチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリエチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリプロピルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリブチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリヘキシルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリオクチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリデカニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられ、好ましくはビス(アセチルアセトナト)ビス(トリオクチルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリオクチルホスフィン)ルテニウムである。
【0035】
(iv)各リン原子の2つの置換基の両方がアルキルである2座のホスフィン配位子を有するルテニウム錯体としては、具体的に、ビス(アセチルアセトナト)ジメチルホスフィノエタンルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ジエチルホスフィノエタンルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ジブチルホスフィノエタンルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)ジオクチルホスフィノエタンルテニウム、ジヒドリドビス(ジメチルホスフィノエタン)ルテニウム、ジヒドリドビス(ジエチルホスフィノエタン)ルテニウム、ジヒドリドビス(ジブチルホスフィノエタン)ルテニウム、ジヒドリドビス(ジオクチルホスフィノエタン)ルテニウムなどが挙げられる。
【0036】
(v)各リン原子の2つの置換基の両方がアリール、若しくは、一つのリン原子に対して一方がアルキルでかつ他方がアリールである2座のホスフィン配位子を有するルテニウム錯体としては、具体的に、ビス(アセチルアセトナト)(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ルテニウム、ビス(アセチルアセトナト)(1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン)ルテニウム、ジヒドリド(ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン)ルテニウム、ジヒドリド(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)ルテニウム、ジヒドリド(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ルテニウム、ジヒドリド(1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン)ルテニウム等が挙げられる。
【0037】
本発明の方法に使用される、リン化合物配位子を有するルテニウム触媒は、予め合成し、単離、精製して用いてもよいし、調製液をそのまま(単離、精製せずに)用いてもよいし、その前駆体をそれぞれ単独に反応系(即ち、原料であるアルコール)に添加して、反応系内で触媒を調製して使用してもよい。尚、予め触媒を合成する場合には、リン化合物をルテニウムよりも過剰に用いた方が、効率よく触媒を生成させることができる。
【0038】
予め合成する方法としては、例えばルテニウム化合物と3価のアルキルホスフィンを水素雰囲気下で加熱する方法や、ルテニウム化合物と3価のアルキルホスフィンを不活性ガス雰囲気下で加熱する方法、アルコール溶媒中でルテニウム化合物と3価のアルキルホスフィンを加熱する方法、2価のルテニウム錯体をアルキルホスフィンで配位子交換する方法等が挙げられる。
【0039】
ルテニウム化合物と有機ホスフィンとの混合比は、好ましくはルテニウム化合物に対して有機ホスフィンを通常1モル当量以上、より好ましくは2モル当量以上、最も好ましくは3モル当量以上であり、通常10モル当量以下、好ましくは8モル当量以下である。ルテニウム化合物に対して有機ホスフィンの量が少なすぎると触媒の安定化を行うのに不足し、触媒がルテニウム金属として析出するために反応が停止してしまう傾向があり、また逆に多すぎると高価な有機ホスフィンを必要量以上に使用することとなり、経済的に不利となる。
【0040】
<生成物>
本発明において「アルコール類を脱水素して生成されるカルボニル化合物」としては、ホルムアルデヒド、エタナール、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール等のアルデヒド類、2−プロパノン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、セチルアセトン等のジケトン類、ガンマブチロラクトン、バレロラクトン等のエステル類等が挙げられ、好ましくはガンマブチロラクトン及びバレロラクトンであり、特に好ましくはガンマブチロラクトンである。
【0041】
<脱水素反応>
本発明において、アルコール類の脱水素反応は、通常は無溶媒で、すなわち反応原料及び生成物のカルボニル化合物、有機リン化合物とカルボニル化合物の付加体以外の溶媒を存在させずに行われるが、所望ならば他の溶媒を添加することもできる。
【0042】
用いることができる他の溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンのエーテル類、酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、その他のアミド類、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類、ジメチルスルホン等のスルホン類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類、カプロラクトン等のラクトン類、テトラグライム、トリグライム等のポリエーテル類、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル類等が挙げられ、これらの中で好ましくは、エーテル類及びポリエーテル類である。
【0043】
本発明において反応液(有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体触媒の存在下にアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させた反応液)とは、有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体触媒とルテニウム錯体触媒に配位していない有機リン化合物、原料であるアルコール、生成物であるカルボニル化合物、有機リン化合物とカルボニル化合物の付加生成物等を含有する混合液である。反応液には、上記以外にも中間体である2−ヒドロキシテトラヒドロフランや副生物などを含有していても差し支えない。
【0044】
アルコール類の脱水素反応の反応温度は、通常20〜350℃、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは150〜250℃の範囲である。
【0045】
触媒濃度は工業的に所望な活性を示す程度で良いが、通常、反応液中の濃度が反応溶液中のルテニウム金属として好ましくは0.001〜10.0重量%、より好ましくは0.01〜3.0重量%となる量である。触媒濃度が高すぎると、触媒コスト増大により経済的に不利になり、また、低すぎると反応時間が長時間必要となることから著しく巨大な反応器が必要となるので好ましくない。
【0046】
反応圧力は、反応系が液相に保たれる圧力であれば任意であるが、本発明のアルコール類の脱水素反応は、水素を生成する反応であるため、その水素を系外に抜き出しながら行うのが好ましく、大気圧下で開放系で行うことが好ましい。閉鎖系で行う場合には、雰囲気は窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガスが好ましい。反応は回分方式および連続方式でも行うことができる。
【0047】
<除去工程>
本発明においては、有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体触媒の存在下にアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させた反応液から、アルコール類及びカルボニル化合物を除去する除去工程を有する。ここで除去するアルコール類は、主に原料として用いたアルコール類が反応液中に残っているものであり、ここで除去するカルボニル化合物は、アルコール類を脱水素して得られたカルボニル化合物である。
尚、本発明においては、脱水素反応により生じた他の2量体のアルコール等もこの段階で除去してもよい。
【0048】
この除去工程において、原料アルコール及び生成物は、任意の方法によって、例えばストリッピングや蒸留によって留去される。留去後の残留液には触媒が溶解しているので、回収して次回の反応に触媒として用いることができる。
【0049】
反応液からアルコール類及びカルボニル化合物を除去した液には、原料としてのアルコールは、通常40wt%以下、好ましくは30wt%以下、最も好ましくは20wt%以下含有されており、生成物としてのカルボニル化合物は、通常10wt%以下、好ましくは5wt%以下、最も好ましくは3wt%以下含有されている。
また、反応液からアルコール類及びカルボニル化合物を除去した液には、カルボニル化合物と有機リン化合物との付加生成物や有機リン配位子など他の物質が含有されていても差し支えない。
【0050】
<抽出工程>
本発明においては、上記除去工程において、一旦アルコール等を留去した状態で、非極性溶媒及び極性有機溶媒で抽出する抽出工程を有する。この抽出工程によって、ルテニウム錯体触媒は非極性溶媒相に移動させられ、また副生成物でありルテニウム錯体触媒との分離が望まれる5価の有機リン化合物(以下単に5価の有機リン化合物と呼ぶことがある)が極性有機溶媒相に移動させられ、回収したい触媒及び廃棄したい5価の有機リン化合物を効率的に分離することが可能となる。
【0051】
本発明で用いられる非極性溶媒の種類としては、脂肪族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物及び芳香族炭化水素化合物等の炭化水素化合物が挙げられ、好ましくは炭素数5〜12の脂肪族炭化水素化合物、炭素数5〜12の脂環式炭化水素化合物及び炭素数5〜12の芳香族炭化水素化合物であり、特に好ましくは炭素数5〜8の脂肪族炭化水素化合物である。また、これら非極性溶媒は、置換基を有していてもよい。
【0052】
使用可能な非極性溶媒としては、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられるが、特にペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数が5〜8の脂肪族炭化水素化合物が好ましい。
【0053】
本発明で用いられている極性有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エステル類などが挙げられる。また、これら極性有機溶媒は置換基を有していてもよい。
具体的な例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、1−フェネチルアルコール、2−フェネチルアルコール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が挙げられるが経済性、安全性からアルコール類が好ましく、また副生成物でありルテニウム錯体触媒との分離が望まれる5価の有機リン化合物の溶解性からジオール、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
本発明においては、プロセス内への不純物の混入防止という観点から、極性有機溶媒が、原料としてのアルコール類と同一であることが好ましい。
【0054】
抽出処理温度としては10℃〜120℃の範囲であれば問題なく、5価の有機リン化合物の溶解度の観点から好ましくは20℃〜90℃の範囲である。
また、抽出時間としては10分以上であれば差し支えないが、工業的に有利に行うためには5時間以内であり、好ましくは3時間以内である。
【0055】
上記抽出工程において、「反応液からアルコール類及びカルボニル類を除去した液」と非極性溶媒及び極性有機溶媒との接触効率をあげるためには、攪拌を行うことが好ましい。
また、「反応液からアルコール類及びカルボニル類を除去した液」と非極性溶媒及び極性有機溶媒の使用量は、重量比で通常1:0.1〜10:0.1〜50の範囲であり、好ましくは1:0.1〜3:0.1〜15の範囲である。また単抽出、多段抽出どちらでも差し支えない。
【0056】
<相分離工程>
本発明においては、非極性溶媒及び極性有機溶媒で抽出した後に、ルテニウム錯体触媒がより多く分配された非極性溶媒相と、主として5価の有機リン化合物が分配された極性有機溶媒相とに相分離させる相分離工程工程を有する。
【0057】
本発明において「ルテニウム錯体触媒がより多く分配された」とは、非極性溶媒相と極性有機溶媒相による2液相分離において、極性有機溶媒相よりも非極性溶媒相にルテニウム錯体触媒が質量的により多く含有されていることを指し、ルテニウム金属の重量比で非極性溶媒相と極性有機溶媒相の割合が通常85:15程度であり、好ましくは90:10程度、最も好ましくは95:5程度である。
【0058】
また、ルテニウム錯体触媒がより多く分配された液中には、ルテニウム錯体触媒の他にも、配位子としての有機リン化合物や5価の有機リン化合物など他の物質が含有されていても差し支えない。
尚、本発明において非極性溶媒中に分配されたルテニウム錯体触媒は、上記有機リン化合物、ルテニウム化合物あるいは上記ルテニウム錯体触媒を、原料アルコールと反応させた液に含有されるルテニウム錯体触媒のことであり、供給したルテニウム錯体と形態が変わっていても差し支えない。
【0059】
また、「5価の有機リン化合物がより多く分配された」とは、非極性溶媒相と極性有機溶媒相による2液相分離において、非極性溶媒相よりも極性有機溶媒相に5価の有機リン化合物が質量的により多く含有されていることを指し、5価の有機リン化合物の重量比で非極性溶媒相と極性有機溶媒相の割合が通常40:60程度であり、好ましくは30:70程度、最も好ましくは20:80程度である。
尚、5価の有機リン化合物がより多く分配された液中には、5価の有機リン化合物の他にも、ルテニウム錯体触媒や配位子としての有機リン化合物など他の物質が含有されていても差し支えない。
【0060】
本発明における5価の有機リン化合物としては、アルコール類が脱水素されたカルボニル化合物と有機リン化合物との付加生成物が挙げられる。具体的にはルテニウム錯体触媒の配位子としての有機リン化合物と生成物としてのカルボニル化合物の付加生成物、ルテニウム錯体触媒の配位子としてのホスフィン化合物と生成物としてのエステル類の付加生成物が挙げられる。最も好ましくは、ガンマブチロラクトンとトリアルキルホスフィンの付加生成物である。
【0061】
具体的には有機リンとカルボニル化合物の付加生成物は、限定されるものではないが、下記一般式(II)で表される化合物等が挙げられる。
【0062】
【化2】
【0063】
(上記一般式(II)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、アルキル基又は水素を表し、nは1〜3の整数である。)
R1〜R3のアルキル基は、通常炭素数1〜20、好ましくは炭素数4〜10の、直鎖状、分岐状及び環状のアルキルであり、具体的には、ブチル、オクチル等が挙げられる。
また、nは、1であるのが好ましい。
【0064】
<その他の工程>
本発明においては、ルテニウム錯体触媒が分配された非極性溶媒相と、主として5価の有機リン化合物が分配された極性有機溶媒相とに相分離させた後、該非極性溶媒相を分取し、更には、分取した該非極性溶媒相から非極性溶媒を除去する工程を有していてもよい。
【0065】
非極性溶媒相を分取する方法としては、通常の2液相分離方法、例えば静置分離により方法が挙げられる。また、非極性溶媒及び極性有機溶媒の分離の観点から静置時間は10分以上であれば差し支えないが、工業的に有利に行うためには5時間以内が好ましい。
【0066】
また、分取した非極性溶媒相から非極性溶媒を除去する方法としては、ストリッピングや蒸留等が挙げられ、錯体触媒の熱分解抑制の観点から140℃以下での蒸留が好ましい。
なお、本発明において「非極性溶媒相から非極性溶媒を除去する」とは、完全に非極性溶媒を除去しなくても構わないが、プロセス内への混入防止の観点から完全に非極性溶媒を除去することが好ましい。
更には、本発明においては、非極性溶媒相から除去した非極性溶媒を前記抽出工程に戻す工程を含んでいるのが、リサイクルの点で好ましい。
【0067】
以下、図面を参照して、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1において、1は原料槽、2は触媒調製槽、3は反応器を表す。原料槽1から供給された原料、及び予め触媒調製槽2で調製された触媒は、反応器3において混合され、反応器3中で脱水素反応が行われる。
反応器3での反応後、反応液は、蒸留塔4に送られ、ここで生成物であるカルボニル化合物と、その他の化合物とに分離する。
即ち、蒸留塔4の上側からカルボニル化合物を抜き出し、下側から未反応原料(アルコール)、触媒、及び、5価の有機リン化合物等を抜き出す(stream1)。
尚、反応器が流通型の反応器である場合には、随時反応液は蒸留塔4に送られる。
【0068】
次いで、抜き出されたstream1は、再度反応器3に戻される。しかしながら、連続運転を行うにあたり高沸点の副生成物が反応器3、蒸留塔4及びstream1に蓄積された場合は、運転管理上反応液の一部をパージする必要がある。その際には、蒸留塔4の下側から抜き出されたstream1を第二の蒸留塔5へ送り、ここで原料アルコール類と、その他の化合物とに分離する。分離させられたアルコール類は、再度原料アルコールとして使用することができ、図1においては、蒸留塔5の上側から反応器へと送られている。
第二の蒸留塔5から抜き出されたその他の化合物は(stream2)、抽出分離塔6に送られる。
この実施態様では、抽出分離塔中に、非極性溶媒と極性有機溶媒相とが入れられており、非極性溶媒と極性有機溶媒相を用いた抽出が同時に行われる。
【0069】
抽出後、5価の有機リン化合物が多く分配された極性有機溶媒相と、ルテニウム錯体触媒が多く分配された非極性溶媒相とに分離させる。即ち、抽出分離塔6の下側から、5価の有機リン化合物が多く分配された極性有機溶媒相を抜き出し、廃棄等され、またルテニウム錯体触媒が多く分配された非極性溶媒相を任意の第三の蒸留塔7へ送る。
第三の蒸留塔7において、抽出に用いた非極性溶媒と、触媒及び触媒に配位していない配位子とに分離する。留去した非極性溶媒は抽出分離塔6に送られ(stream3)、抽出に再使用される。また、蒸留塔7から抜き出された触媒は、stream1の大循環ラインに戻される。
【0070】
本発明においては、上記の通り、ルテニウム錯体は分離されるが、図1のstream1の液を用いて抽出した場合(アルコールを抜き出さずに抽出した場合)、ルテニウム錯体触媒と5価の有機リン化合物の溶解性が非常に近いため、ルテニウム錯体触媒及び高沸物質である5価の有機リン化合物を工業的に充分な量に分配することが困難である。そこで、生成物としてのカルボニル化合物や原料としてのアルコールを除去した後の液(図1のstream2)を抽出にかけることが本発明においては重要である。
これによって、相対的に有機リン配位子の濃度が上がり、ルテニウム錯体触媒の配位子交換が促がされて、5価の有機リン化合物とルテニウム錯体触媒の溶解性に差がつき、ひいては両者を工業的有利に分離できるものと類推される。
【0071】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
[ルテニウム錯体触媒の合成]
容積500mLのSUS製オートクレーブにトリス(アセチルアセトナト)ルテニウム40.6g、及び6モル倍に相当するトリオクチルホスフィン225.1gを導入した。水素圧0.8MPaで水素ガスを導入しながら、150℃で3時間加熱処理し、ルテニウム金属に配位していないトリオクチルホスフィンを含むビス(アセチルアセトナト)ビス(トリオクチルホスフィン)ルテニウム錯体を265.7g合成した。
【0072】
[カルボニル化合物の合成]
攪拌器、冷却管、温度測定装置、サンプリング口を設置した300mLの4つ口フラスコ中に1,4−ブタンジオール70.40g、ガンマブチロラクトン30.28gを加え、203℃まで加熱昇温した。そこに上記調製法で合成したルテニウム触媒を0.64g加え、203℃で5時間加熱攪拌を行った。反応液のガスクロマトグラフィー(GC)サンプルには、生成物であるガンマブチロラクトンが70wt%含有されていた。
【0073】
[ルテニウム錯体触媒の分離1]
上記「有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体触媒の存在下にアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させた反応液」を40mmHg、180℃で4時間減圧蒸留し、「反応液からアルコール類及びカルボニル類を除去した液」を合成した。「反応液からアルコール類及びカルボニル類を除去した液」には、生成物であるガンマブチロラクトンが1.4wt%、原料である1,4−ブタンジオールが16wt%含有されていた。アルコール及びカルボニル類を除去した液:ヘプタン:1,4−ブタンジオールをそれぞれ質量比で1:1:5.5の割合で添加し、室温下で20分攪拌した。その後30分静置した後、抽出分離を行った。
2液相におけるルテニウム濃度及び5価の有機リン化合物の濃度を、それぞれ蛍光X線(XRF)、及び、ガスクロマトグラフィー(GC)により算出した。なお、GC分析は内部標準法により定量した。
【0074】
【0075】
実施例2
実施例1のヘプタン相と1,4−ブタンジオール相による2液相分離において、ヘプタン相を0.4798g分取し、更に120℃で蒸留し、ヘプタンを0.3337g回収し、ルテニウム錯体触媒を含有する液を0.1461g得た。
【0076】
比較例1
[ルテニウム錯体触媒の分離2]
実施例1に記載の「反応液からアルコール類及びカルボニル類を除去した液」とヘプタン及び水をそれぞれ質量比で1:1:5.5の割合で添加し、室温下で20分攪拌した。その後30分静置した後、抽出分離を行った。2液相におけるルテニウム濃度及び5価の有機リン化合物の濃度はそれぞれXRF、GCにより算出したところ、ルテニウム金属と5価の有機リン化合物を効果的に分離できないことが判った。なお、GC分析は内部標準法により定量した。
【0077】
【0078】
比較例2
[ルテニウム錯体触媒の分離3]
実施例1に記載の反応液(即ち、アルコール類及びカルボニル類を除去していないもの)、ヘプタン及び1,4−ブタンジオールをそれぞれ質量比で1:1.2:1の割合で添加し、室温下で20分攪拌した。その後30分静置した後、抽出分離を行った。2液相におけるルテニウム濃度及び5価の有機リン化合物の濃度はそれぞれXRF、GCにより算出したところ、ルテニウム金属と5価の有機リン化合物が効果的に分離できないことが判った。なお、GC分析は内部標準法により定量した。
【0079】
【0080】
【発明の効果】
本発明は、アルコール類を脱水素して得られる反応液から、反応液中に含有される5価の有機リン化合物を効率的に抜き出し、且つルテニウム錯体を工業的有利に分離、回収することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のルテニウム錯体触媒の分離方法を説明するフローチャートである。
Claims (12)
- 有機リン化合物を配位子として有するルテニウム錯体触媒の存在下にアルコール類を脱水素してカルボニル化合物を生成させた反応液からのルテニウム錯体触媒の分離方法であって、アルコール類及びカルボニル化合物を除去する除去工程、非極性溶媒及び極性有機溶媒で抽出する抽出工程、並びに、ルテニウム錯体触媒がより多く分配された非極性溶媒相と5価の有機リン化合物がより多く分配された極性有機溶媒相とに相分離させる相分離工程を含むことを特徴とする前記方法。
- 非極性溶媒相と極性有機溶媒相とを相分離させた後、更に非極性溶媒相を分取し、分取した該非極性溶媒相から非極性溶媒を除去する工程を更に含む請求項1に記載の分離方法。
- 非極性溶媒相から除去した非極性溶媒を前記抽出工程に戻す工程を更に含む請求項1又は2に記載の分離方法。
- 相分離工程において、極性有機溶媒相に分配される5価の有機リン化合物が、ルテニウム錯体触媒の配位子としての有機リン化合物と生成物としてのカルボニル化合物との付加生成物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離方法。
- 相分離工程において、極性有機溶媒相に分配される5価の有機リン化合物が、ルテニウム錯体触媒の配位子としてのホスフィン化合物と生成物としてのエステル類の付加生成物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離方法。
- ルテニウム錯体触媒の配位子としての有機リン化合物が、原料のアルコール類よりも高い沸点を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離方法。
- 極性有機溶媒が、アルコール類である請求項1〜6のいずれか一項に記載の分離方法。
- 極性有機溶媒が、2価のアルコールである請求項1〜7のいずれか一項に記載の分離方法。
- 極性有機溶媒が、原料としてのアルコール類と同一である請求項1〜8のいずれか一項に記載の分離方法。
- 非極性溶媒が、炭化水素化合物である請求項1〜9のいずれか一項に記載の分離方法。
- 非極性溶媒が、炭素数5〜8の脂肪族炭化水素化合物である請求項1〜9のいずれかに記載の分離方法。
- 原料としてのアルコール類が1,4―ブタンジオールであり、カルボニル化合物がγ−ブチロラクトンである請求項1〜11のいずれか一項に記載の分離方法。
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