JP2004028602A - 監視用レーザレーダシステム及び撮像方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3個のレーザ発振器11−1、11−2、11−3から僅かな遅延時間をおいて3個のパルスレーザ光L−1、L−2、L−3を順次照射するとともに、このパルスレーザ光L−1〜L−3による反射光をICCDカメラ13のシャッタ13aを介して一度に取り込むようにした。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は監視用レーザレーダシステム及び撮像方法に関し、特に監視用レーザレーダシステムを用いて広範囲の監視を行う場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
雨天,霧中等の悪天候時、また夜間,薄暮にも安定したターゲットの長距離且つ高分解能での画像監視を可能とする装置としてレーザレーダ装置がある。このレーザレーダ装置は、ストロボ写真撮影と類似した動作原理を有しており、ストロボフラッシュの代わりに、「極短パルスレーザ光」を、また写真機の代わりに、「高速ゲート付きICCDカメラ」を用いたアクティブな撮像装置である。
【0003】
さらに詳言すると、図4に示すように、当該レーザレーダ装置Iでは、レーザ装置1から極短パルスのレーザ光をターゲット2に向けて照射し、高速度で動作するシャッター機能を有する超高速ゲート付ICCDカメラ(以下、ICCDカメラと称す。)3でターゲット2からの反射光を撮像する。すなわち、ターゲット2からの反射光がICCDカメラ3に到達する瞬間のみ、シャッタを開くことにより、ターゲット2の発見とともに、レーザ光の伝搬速度(光速)に基づきターゲット2迄の距離も検知する。さらに詳言すると次の通りである。
【0004】
図5(a)は当該レーザレーダ装置Iにおけるレーザ動作とシャッタ動作のタイミングの関係を示す波形図、(b)はターゲットの探知態様を示す説明図である。図5(a)に示すように、当該レーザレーダ装置Iでターゲットを探知するときは、パルス信号P0 でレーザ光を照射し、時間t1 後にパルス信号P1 でICCDカメラ3のシャッタを開くとともに時間t2 の経過後に閉じる。このことによりレーザレーダ装置Iから時間t1 に対応する距離だけ離れ、時間t2 に対応する距離の領域の情報をICCDカメラ3を介して画像情報として取り込むことができる。このときの探知距離L1 は、L1 =光速・時間t1 /2で求めることができ、また探知範囲Aは、A=光速・時間t2 /2で求めることができる。例えば、探知距離L1 が600mで、探知範囲A1 が150mのとき、時間t1 、t2 はそれぞれ4μ秒、1μ秒となる。
【0005】
かかるレーザレーダ装置Iを用いれば、レーザ装置1及びICCDカメラ3とターゲット2間の外乱(霧、雨、波浪等)の影響を大幅に低減することが可能であるばかりでなく、レーザ光を用いたアクティブな探査方法であるため昼夜を問わず運用できるという特長も有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に係るレーザレーダ装置は、レーザ装置1によるパルス光の照射と、ICCDカメラ3のシャッタ開閉のタイミングにより撮影する範囲が決定される、いわゆるレンジゲート方式であるため、限定領域の監視の場合にはその特長を十分活かせる。しかし、広範囲の監視が必要な場合、シャッタ開のタイミンイグ及びシャッタ開の時間で決定される限定領域を奥行き方向及び水平方向にスキャンして監視を行う必要がある。このため、ターゲット2が高速で移動する物体である場合、海面上に浮遊して波間に見え隠れする物体である場合には、これを見逃す虞がある。すなわち、広範囲の監視に時間を要するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑み、レーザレーダの長所は活かしつつ同時に広範囲の監視を容易且つ短時間に行うことができる監視用レーザレーダシステム及び撮像方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の点を特徴とする。
【0009】
1) 認識対象物であるターゲットに向けてパルスレーザ光を照射するとともに、この照射に同期した所定時間後にシャッタを開いて前記パルスレーザ光の反射光を撮像手段に取り込み、さらにこの撮像手段の出力信号である画像信号を処理してその画像を表示手段で再生する監視用レーザレーダシステムにおいて、
僅かな遅延時間をおいて複数のパルスレーザ光を順次照射するパルスレーザ光照射手段と、
各パルスレーザ光の反射光を一度に取り込むよう所定時間開状態となるシャッタを有する撮像手段とを有すること。
【0010】
2) 上記1)に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
パルスレーザ光照射手段は、複数個のレーザ発振器を有し、各レーザ発振器が照射するパルスレーザ光の照射タイミングに所定の遅延時間をもたせて順次照射するように構成したこと。
【0011】
3) 上記1)に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
パルスレーザ光照射手段は、一個のレーザ発振器と、このレーザ発振器の出射光であるパルスレーザ光を複数に分割するレーザ光分割手段と、このレーザ光分割手段で分割した各パルスレーザ光の照射タイミングにそれぞれ所定の遅延時間を持たせて照射する遅延手段とを有すること。
【0012】
4) 上記3)に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
レーザ光分割手段は、複数枚のハーフミラーを組み合わせて構成したこと。
【0013】
5) 上記3)に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
遅延手段は、複数のミラーを対向配置するとともに、このときの相対向するミラー間の距離又はミラーの枚数を調整することにより各パルスレーザ光の入射側から出射側に至る光路長に所定の差を設けたものであること。
【0014】
6) 上記3)に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
遅延手段は、複数の光ファイバ等で形成する複数の光導波路を設け、各光導波路の長さを調整することにより各パルスレーザ光の入射側から出射側に至る光路長に所定の差を設けたものであること。
【0015】
7) 認識対象物であるターゲットに向けてパルスレーザ光を照射するとともに、この照射に同期した所定時間後にシャッタを開いて前記パルスレーザ光の反射光を撮像手段に取り込む監視用レーザレーダシステムによる撮像方法において、僅かな遅延時間をおいて複数のパルスレーザ光を順次照射するとともに、各パルスレーザ光の反射光をシャッタを介して同時に撮像手段に取り込むことにより、各パルスレーザ光に基づくターゲットの画像情報を得ること。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る監視用レーザレーダシステムを示すブロック線図である。同図に示すように、本形態に係る監視用レーザレーダシステムも図4に示すレーザレーダ装置Iと同様の原理で所定範囲の監視を行うものであり、レーザ装置11からターゲット2(図4参照。以下,、同じ。)に向けてパルスレーザ光を照射し、このターゲット2からの反射光をICCDカメラ13で撮影して画像信号S1 を得、この画像信号S1 を制御部15を介してモニタ14で可視化するとともに、画像データとして記録装置16に記憶している。
【0018】
本形態に係るレーザ装置11の最大の特徴は、複数個(本例では3個)のレーザ発振器11−1、11−2、11−3を有する点にある。そして、各レーザ発振器11−1〜11−3からは照射タイミングを相互に所定時間だけずらしたパルスレーザ光をターゲット2に向けて照射するようになっている。同期装置17は、レーザ装置11に3種類のトリガ信号S2 、S3 、S4 を供給するとともに、ICCDカメラ13にそのシャッタ開のタイミング及びシャッタ開時間を制御する制御信号S5 を供給する。ここで、制御信号S5 はICCDカメラ13からの画像信号S1 の読み出しのタイミングも制御する。かかるトリガ信号S2 〜S4 及び制御信号S5 は、制御部15が送出するレンジゲート信号S6 に基づき同期装置17で形成する。かくして、所定の遅延時間間隔で順次に立ち上がるトリガ信号S2 〜S4 で各レーザ発振器11−1〜11−3から次々にパルスレーザ光をターゲットに向けて照射するとともに、前記トリガ信号S2 〜S4 に同期させてある制御信号S5 でICCDカメラ13のシャッタの開動作を制御する。このシャッタ開のタイミング及びシャッタ開時間がレンジゲート信号S6 で一意に定められる。
【0019】
この種のICCDカメラ13における画像信号S1 の読み出し周期は、通常1/30(秒)である。したがって、パルスレーザ光の照射周期も通常1/30(秒)としてあるが、本形態においては、前記照射周期の中で、3個のトリガ信号S2 〜S4 を所定の僅かな遅延時間をおいて次々に立ち上がらせている。そして、この結果照射される各パルスレーザ光の各反射光をシャッタを介して一度にICCDカメラ13に取り込んでいる。この結果、当該レーザ装置11の奥行き方向の距離が異なる三箇所からの反射光が、同時にICCDカメラ13に入射される。かくして、奥行き方向の幅(シャッタの開時間で定まる)は同一であるが、異なる三箇所の所定範囲の画像情報がICCDカメラ13の出力信号である画像信号S1 として得られる。
【0020】
送光系18及び受光系19は、レーザ装置11から照射されるレーザ光の送光光学系又はこのレーザ光の反射光の受光光学系で構成してあり、制御部15が送出する送光系制御信号S7 又は受光系制御信号S8 の制御によりそのズームレンズを駆動して所定の倍率に制御する。
【0021】
ここで、レーザ装置11、ICCDカメラ13、同期装置17、送光系18及び受光系19でカメラヘッド部Bを構成しており、このカメラヘッド部Bが雲台(それ自体は図示せず。)に載置されて水平面内を回動するとともに、垂直面内でも回動してレーザ光の照射方向を適宜調節し得るように構成してある。方向指示系20は前記カメラヘッド部Bを載置する雲台及びこれの駆動機構等を含むもので、制御部15が送出する方位角・俯仰角制御信号S9 でカメラヘッド部Bが所定の方位及び俯角若しくは仰角になるようにその姿勢を制御する。このときの方位及び俯仰角の指示、監視範囲の設定等、当該監視に伴う種々の指令はインターフェース21を介して監視員22が制御部15に与え、この制御部15が送出する各種の制御信号(レンジゲート信号S6 等)で各部を制御する。なお、前記雲台の機能はミラー(回転ミラー、振動ミラー)を用いたスキャナとすることでも実現し得る。
【0022】
図2は、上述の如き監視用レーザレーダシステムにおける監視の態様を示す説明図である。先ず、各レーザ発振器11−1〜11−3からパルスレーザ光L−1、L−2、L−3を所定の遅延時間をおいて順次照射する。この結果、同図(a)に示すように、各パルスレーザ光L−1〜L−3は、各照射時点の違い(相互の遅延時間)に起因して進行状態が異なっている。同図は、最初に照射されたパルスレーザ光L−1が最遠方のターゲット2−1の位置に達した時点で、2番目に照射されたパルスレーザ光L−2が最短距離のターゲット2−3の位置に達するとともに、最後に照射されたパルスレーザ光L−3が最短距離のターゲット2−3の手前の位置に在ることを示している。
【0023】
次に、図2(b)の状態となる。同図は、2番目のパルスレーザ光L−2が、前記ターゲット2−1、2−3の中間に位置する中距離のターゲット2−2の位置に達し、ターゲット2−1で反射して戻ってきたパルスレーザ光L−1と重畳された状態を示している。
【0024】
続いて、図2(c)の状態となる。同図は、最後のパルスレーザ光L−3が、最短距離のターゲット2−3の位置に達し、ターゲット2−1、ターゲット2−2で反射して戻ってきたパルスレーザ光L−1、L−2と重畳された状態を示している。
【0025】
最後に、図2(d)の状態となる。同図は、3個のパルスレーザ光L−1、L−2、L−3のターゲット2−1、2−2、2−3による反射光が重畳されて戻って来た状態を示している。かかる状態で、ICCDカメラ13のシャッタ13aを開状態としてターゲット2−1〜2−3からの反射光を取り込む。この結果、ICCDカメラ13では一度のシャッタ13aの動作で異なる距離に存在する3種類のターゲット2−1〜2−3を同時に撮像することができる。かくして、当該監視用レーザレーダシステムからの距離がそれぞれ異なる3種類の各位置において、奥行き方向に同一幅の範囲の監視を同時に行うことができる。
【0026】
かかる複数パルスレーザ光L−1、L−2、L−3による監視領域の画像データの取り込みの後、すなわち各領域の画像を図1に示すモニタ14で確認した後、特に必要があると思われるターゲット2−1〜2−3の何れかを選択して監視するようにすることもできる。この場合には、監視員22(図1参照。)の操作により、通常モード(単発のパルスレーザ光の照射)に切り替え、選択したターゲット2−1〜2−3が存在するレンジゲートを指示してやれば良い。このとき、監視員22のマウスの操作でモニタ14の画面上のターゲット2−1〜2−3の何れかをポインタでクリックすることにより、自動的に選択したターゲット2−1〜2−3のみの監視モードとなるようにすることもできる。
【0027】
上記実施の形態に係る監視用レーザレーダシステムのレーザ装置11は3個のレーザ発振器11−1〜11−3を有する場合であるが、複数個のレーザ発振器11−1〜11−3を具備することなく同様の効果を得る監視用レーザレーダシステムを構築することもできる。
【0028】
図3(a)は、レーザ装置及びその周辺部分を含むパルスレーザ光の照射手段の構成のみが異なる他の実施の形態を示すブロック線図である。同図に示すように、本形態に係る監視用レーザレーダシステムのレーザ装置11は、一個のレーザ発振器を内蔵しており、一定周期(通常1/30(秒))でパルスレーザ光を照射する。レーザ光分割部32は、レーザ装置11が出射したパルスレーザ光を複数個(本形態では3個)に分割する。遅延部33はレーザ光分割部32で分割したパルスレーザ光の照射タイミングをずらし、所定の遅延時間を持たせて照射するためのものである。この結果、遅延部33からは、前記実施の形態におけるパルスレーザ光L−1、L−2、L−3と同様の立ち上がり時間がそれぞれ異なる3種類のパルスレーザ光L−1、L−2、L−3が照射される。
【0029】
ここで、レーザ光分割部32は、例えばそれぞれ反射率(透過率)が異なるミラー(ビームスプリッタ)を組み合わせることにより容易に構成することができる。すなわち、図3(b)に示すように、例えば3分割する場合、透過率T=1/3及び反射率R=2/3のミラー36a、透過率T=1/2及び反射率R=1/2のミラー36b、反射率R=1のミラー36cを上から順に配設することによりミラー36aの透過光及びミラー36b、36cの反射光により出射側で入射光P0 の1/3の強度の出射光P0 /3を得ることができる。遅延部33は、図3(c)に示すように、ミラーを組み合わせることにより、また図3(d)に示すように、光ファイバを利用することにより容易に構成することができる。さらに詳言すると、図3(c)に示すようにミラーを組み合わせる場合には、レーザ光分割部32で分割した各光路毎に光路長が異なるように組み合わせるミラー34a、34b、34c、34d、34e、34fの枚数及びこれらの相互の間隔を適宜調整すれば良い。また、光ファイバを利用する場合には、レーザ光分割部32で分割した各光路毎に光ファイバ35の長さを変えることにより伝送時間を調整してすれば良い。何れにしても出力光としては、図1に示す実施の形態と同様の3種類のパルスレーザ光L−1、L−2、L−3を照射することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、認識対象物であるターゲットに向けてパルスレーザ光を照射するとともに、この照射に同期した所定時間後にシャッタを開いて前記パルスレーザ光の反射光を撮像手段に取り込み、さらにこの撮像手段の出力信号である画像信号を処理してその画像を表示手段で再生する監視用レーザレーダシステムにおいて、僅かな遅延時間をおいて複数のパルスレーザ光を順次照射するパルスレーザ光照射手段と、各パルスレーザ光の反射光を一度に取り込むよう所定時間開状態となるシャッタを有する撮像手段とを有するので、
各パルスレーザ光で異なる範囲からの反射光を取り込むことができる。したがって、パルスレーザ光の数に対応する範囲の画像情報を取り込むことができる。かくして、複数の異なる監視範囲の画像情報を同時に得ることができ、ターゲットの移動速度等、ターゲットの属性に如何にかかわらず、広範囲に亘る適切な監視を行うことができる。
しかもこのときの各パルスレーザ光による画像情報の取り込みは撮像手段の一回のシャッタ動作で行うので、このシャッタの開時間は通常と同じで良く、したがってその分シャープな画像を得ることができる。ちなみに、前記シャッタ動作時間が短ければ、短いほどシャープな画像を取り込むことができる。
【0031】
〔請求項2〕に記載する発明は、〔請求項1〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、パルスレーザ光照射手段は、複数個のレーザ発振器を有し、各レーザ発振器が照射するパルスレーザ光の照射タイミングに所定の遅延時間をもたせて順次照射するように構成したので、
〔請求項1〕に記載する発明の効果をレーザ発振器を複数台設けることにより実現し得る。
【0032】
〔請求項3〕に記載する発明は、〔請求項1〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、パルスレーザ光照射手段は、一個のレーザ発振器と、このレーザ発振器の出射光であるパルスレーザ光を複数に分割するレーザ光分割手段と、このレーザ光分割手段で分割した各パルスレーザ光の照射タイミングにそれぞれ所定の遅延時間を持たせて照射する遅延手段とを有するので、
〔請求項1〕に記載する発明の効果を一台のレーザ発振器で実現し得る。したがって、〔請求項2〕に記載する発明の場合よりも装置の小型化及び低コスト化を実現し得る。
【0033】
〔請求項4〕に記載する発明は、〔請求項3〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、レーザ光分割手段は、複数枚のハーフミラーを組み合わせて構成したので、
〔請求項3〕に記載するレーザ光分割手段をハーフミラーの組み合わせで簡単且つ容易に実現し得る。
【0034】
〔請求項5〕に記載する発明は、〔請求項3〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、遅延手段は、複数のミラーを対向配置するとともに、このときの相対向するミラー間の距離又はミラーの枚数を調整することにより各パルスレーザ光の入射側から出射側に至る光路長に所定の差を設けたものであるので、〔請求項3〕に記載する遅延手段をミラーの組み合わせで実現し得る。この結果、光路長の設定に伴う調整等が容易で、損傷も受けにくい構造の遅延手段を構成することができる。
【0035】
〔請求項6〕に記載する発明は、〔請求項3〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、遅延手段は、複数の光ファイバ等で形成する複数の光導波路を設け、各光導波路の長さを調整することにより各パルスレーザ光の入射側から出射側に至る光路長に所定の差を設けたものであるので、
〔請求項3〕に記載する遅延手段を光導波路で実現し得る。この結果、パルスレーザ光の減衰を可及的に低減した遅延構造とすることができる。
【0036】
〔請求項7〕に記載する発明は、認識対象物であるターゲットに向けてパルスレーザ光を照射するとともに、この照射に同期した所定時間後にシャッタを開いて前記パルスレーザ光の反射光を撮像手段に取り込む監視用レーザレーダシステムによる撮像方法において、僅かな遅延時間をおいて複数のパルスレーザ光を順次照射するとともに、各パルスレーザ光の反射光をシャッタを介して同時に撮像手段に取り込むことにより、各パルスレーザ光に基づくターゲットの画像情報を得るので、
各パルスレーザ光で異なる範囲からの反射光を取り込むことができる。したがって、パルスレーザ光の数に対応する範囲の画像情報を取り込むことができる。かくして、複数の異なる監視範囲の画像情報を同時に得ることができ、ターゲットの移動速度等、ターゲットの属性に如何にかかわらず、広範囲に亘る適切な監視を行うことができる。
しかもこのときの各パルスレーザ光による画像情報の取り込みは撮像手段の一回のシャッタ動作で行うので、このシャッタの開時間は通常と同で良く、したがってその分シャープな画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視用レーザレーダシステムを示すブロック線図である。
【図2】図1に示す監視用レーザレーダシステムにおける監視時の態様を概念的に示す説明図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るパルスレーザ光の照射手段を示す図で、(a)はその全体を示すブロック線図、(b)はそのレーザ分割部をミラーで形成した場合の構成図、(c)はその遅延部をミラーで形成した場合の構成図、(d)はその遅延部を光ファイバで形成した場合の構成図である。
【図4】レーザレーダ装置の原理を示す説明図である。
【図5】図4に示すレーザレーダ装置の動作を説明するための図で、(a)は照射パルスとシャッタの開タイミング及び開持続時間等との関係を示す説明図、(b)は探査範囲等を概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
A 探知範囲
L 探知距離
B カメラヘッド部
L−1、L−2、L−3 パルスレーザ光
11 レーザ装置
11−1、11−2、11−3 レーザ発振器
13 ICCDカメラ
13a シャッタ
14 モニタ
Claims (7)
- 認識対象物であるターゲットに向けてパルスレーザ光を照射するとともに、この照射に同期した所定時間後にシャッタを開いて前記パルスレーザ光の反射光を撮像手段に取り込み、さらにこの撮像手段の出力信号である画像信号を処理してその画像を表示手段で再生する監視用レーザレーダシステムにおいて、
僅かな遅延時間をおいて複数のパルスレーザ光を順次照射するパルスレーザ光照射手段と、
各パルスレーザ光の反射光を一度に取り込むよう所定時間開状態となるシャッタを有する撮像手段とを有することを特徴とする監視用レーザレーダシステム。 - 〔請求項1〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
パルスレーザ光照射手段は、複数個のレーザ発振器を有し、各レーザ発振器が照射するパルスレーザ光の照射タイミングに所定の遅延時間をもたせて順次照射するように構成したことを特徴とする監視用レーザレーダシステム。 - 〔請求項1〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
パルスレーザ光照射手段は、一個のレーザ発振器と、このレーザ発振器の出射光であるパルスレーザ光を複数に分割するレーザ光分割手段と、このレーザ光分割手段で分割した各パルスレーザ光の照射タイミングにそれぞれ所定の遅延時間を持たせて照射する遅延手段とを有することを特徴とする監視用レーザレーダシステム。 - 〔請求項3〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
レーザ光分割手段は、複数枚のハーフミラーを組み合わせて構成したことを特徴とする監視用レーザレーダシステム。 - 〔請求項3〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
遅延手段は、複数のミラーを対向配置するとともに、このときの相対向するミラー間の距離又はミラーの枚数を調整することにより各パルスレーザ光の入射側から出射側に至る光路長に所定の差を設けたものであることを特徴とする監視用レーザレーダシステム。 - 〔請求項3〕に記載する監視用レーザレーダシステムにおいて、
遅延手段は、複数の光ファイバ等で形成する複数の光導波路を設け、各光導波路の長さを調整することにより各パルスレーザ光の入射側から出射側に至る光路長に所定の差を設けたものであることを特徴とする監視用レーザレーダシステム。 - 認識対象物であるターゲットに向けてパルスレーザ光を照射するとともに、この照射に同期した所定時間後にシャッタを開いて前記パルスレーザ光の反射光を撮像手段に取り込む監視用レーザレーダシステムによる撮像方法において、
僅かな遅延時間をおいて複数のパルスレーザ光を順次照射するとともに、各パルスレーザ光の反射光をシャッタを介して同時に撮像手段に取り込むことにより、各パルスレーザ光に基づくターゲットの画像情報を得ることを特徴とする監視用レーザレーダシステムによる撮像方法。
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