JP2004027417A - 防護用衣服及び防火服 - Google Patents

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Masami Murayama
村山 雅己
Michiko Nakabashi
中橋 美智子
Harumi Ikuno
生野 晴美
Hirobumi Monobe
物部 博文
Kyoko Tsukada
塚田 恭子
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Abstract

【課題】衣服内の温度上昇を抑制し、衣服の着用時に生じる作業者のヒートストレスを大幅に低減する。
【解決手段】防火服10を構成する上衣11の内側に、小型の排気ファン201と、この排気ファン201の吸引側に設けた可撓性の空気導入部材204と、排気ファン201の吐出側に接続した可撓性の排気ホース206とから換気手段20配設し、排気ファン201を駆動することにより、上衣11内の人体代謝により加熱された空気及び飽和状態に近い湿気を含む空気を吸引するとともに排気ホース206を通して上衣11外へ排出する。これと同時に、大気へ連通する部位である上衣11の襟元112や袖口113の隙間、及び上衣11の下端裾部114の隙間を通して外気が上衣11内に吸い込むことで、上衣11の内部空気を外気と有効に交換される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消防員装具や農薬防護服などのように、熱環境や毒性外気環境などから作業者を保護するために使用される防護用衣服及び防火服に関し、さらに詳しくは、これらの衣服を着用して作業を行った時に生じる作業者のヒートストレスを大幅に低減できるようにした防護用衣服及び防火服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火災の熱輻射等から消防員の身を守る消防員装具(防火服)や農薬等の毒性外気から農薬散布作業員の身を守る農薬防護服、または、漁における魚取り扱い時に受ける外傷等から船上作業者の身を守るためのゴム合羽など、作業者を熱環境や外気環境等から作業者を保護する目的で使用される防護用衣服は、通気性のない、または通気性の小さい生地を使用して密閉型構造に縫製されている。
【0003】
一般に人体には、安静時においても約58W/m2 の代謝(産熱)があり、また、消火活動などの作業時における人体には、その活動の程度により異なるものの、数百W/m2 の代謝(産熱)がある。
これに対して、人体を冷却するための放熱要素には、呼吸による対流と潜熱放熱、体表面からの対流と輻射及び体表面からの発汗による潜熱放熱がある。したがって、これらの要素から得られる放熱量と上記産熱との熱収支が一致する時は、人体が熱平衡状態に保たれることになる。
【0004】
ところで、密閉型構造の防護用衣服は、その熱抵抗(保温性)が比較的大きいため、これを着用した場合、人体表面からの対流及び輻射放熱が抑制されるほか、発汗による潜熱(気化熱)放熱が抑制されてしまう。その結果、上述する人体の熱平衡状態が崩れ、代謝熱が人体に蓄積され、ヒートストレスを多発させる要因となる。この傾向は、防護用衣服を着用して作業する時の環境気温が大きく影響し、特に環境気温が人体の平均皮膚表面温度に近い30℃を超える温度になると衣服内温度が上昇するとともに人体の基幹温度も上昇し、身体に熱痙攣や熱疲労、熱射病のような熱中症、すなわちヒートストレスが発生し易くなる。このため、防護用衣服を着用した作業者のヒートストレスを軽減するためには、防護用衣服内の温度を低くする必要がある。
【0005】
従来、このような防護用衣服において、作業者に作用するヒートストレスを軽減する方法としては、
a)防護用衣服を構成する上衣の内側に位置する腋下箇所や背中の部分にポケットを設け、このポケット内に冷凍設備等で冷凍した容器入りの冷却剤を収納し、この冷却剤の溶解潜熱により上衣の内側を冷却する方式のもの、
b)防護用衣服を着用した状態で上衣の襟元を開放し、これにより、上衣の内側に上衣の下端から襟元に向けて流れる空気通路を生じさせ、この空気通路内に自然対流による流れを生じさせて換気する方式のもの、
c)防護用衣服の構成素材に透湿性防水布を使用し、発汗の気化による衣服内の蒸気を透湿性防水布を通して衣服外に放出し、衣服内の蒸気圧を下げることにより、衣服内温度における飽和水蒸気圧となるまで発汗を再度気化させて放熱する方式のもの、
d)衣服の内側に冷却パイプを張り巡らし、この冷却パイプに冷却装置で冷却した空気または冷却水を循環して衣服内を冷却する方式のもの、
e)防護用衣服と別構成の冷却用ジャケットを設け、このジャケットを衣服の内側に着用した状態で、ジャケット内に冷却装置で冷却した空気または冷却水を循環させることにより衣服内を冷却する方式のものなどが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記a)に示す方式では、衣服内の冷却のコントロールが不可能であるとともに冷却効果が小さく、ヒートストレスの低減効果は余り期待できない。しかも、このa)の方式は、容器入り冷却剤が体表面と局部的に近接された状態におかれるため、その近接部位の血管が収縮され、生体の血液循環に悪影響を及ぼしほか、頭部の温度が上昇してヒートストレスが拡大されるなどの問題がある。
また、上記b)に示す方式は、襟元を開くことにより衣服内に自然対流による空気の流れを生じさせて、衣服内を換気するものであるため、作業現場から離れて熱環境や外気環境等の影響を直接受けない場所には比較的有効であるが、火災現場などのように熱環境や外気環境等の影響をもろに受ける現場には不向きであるとともに、ヒートストレスの有効に低減し得る程の換気能力もない。
【0007】
また、上記c)に示す方式では、透湿性防水布からなる衣服を通して衣服外へ放出できる蒸気の量に限度があるため、これを越える発汗や産熱がある場合には、これに対応できず、衣服内の温度が上昇してしまい、熱中症のようなヒートストレス発症の要因となる。
また、上記d)及びe)に示す方式では、衣服内の冷却効果が大きく、衣服の内側を適正温度に冷却できる。しかしながら、衣服の冷却パイプまたは冷却用ジャケットに冷却空気または冷却水を循環させるための冷却装置が大型化し、衣服に装着して簡単に使用できる可搬型のものとすることができないほか、コスト高になる問題がある。
【0008】
本発明の目的は、衣服の内側空気を強制的に排除すると同時に外気を導入することにより衣服の内側温度の上昇を抑制し、衣服着用時に生じる作業者のヒートストレスを大幅に低減できるようにした防護用衣服及び防火服を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、作業者に悪影響を及ぼす熱環境や毒性外気環境などから作業者を保護する防護用衣服であって、作業者の頭部、胴体部及び四肢を含む人体を熱環境や毒性外気環境等から遮蔽するように覆う衣服部を備え、前記衣服部に、該衣服部内の空気を吸引して前記衣服部外へ排出すると同時に前記衣服部の大気へ連通する箇所を通して外気を導入することにより衣服内部を換気する少なくとも1つの換気手段を設け、さらに、前記換気手段を駆動する駆動源を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1項記載の防護用衣服において、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1項記載の防護用衣服において、前記換気手段は小型モータ付きの小型の排気ファンを備え、前記排気ファンの吸引口は前記衣服部の内部に向け開口され、前記吸引口には前記衣服部の内面と作業者との間に前記衣服部の内部と連通する所望大きさの空間を形成する可撓性の空気導入部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3記載の防護用衣服において、前記排気ファンの吐出口は、直接または排気ホースを介して前記衣服部外に開口されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項3記載の防護用衣服において、前記空気導入部材を含む前記排気ファンの配置箇所は、該排気ファンが作業者の活動に邪魔にならない作業者の胴体脇部等と対向する前記衣服部の内側箇所であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1記載の防護用衣服において、前記大気へ連通する箇所は、前記衣服部の襟部、袖口のような箇所であることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1記載の防護用衣服において、前記換気手段は小型モータ付きの小型の排気ファンを備え、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源から構成され、前記排気ファンは切替スイッチを介して前記電源に接続され、前記切替スイッチをオン・オフ制御することにより前記排気ファンが起動・停止されるように構成したことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7記載の防護用衣服において、前記切替スイッチは手動スイッチであることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1記載の防護用衣服において、前記衣服部の内部温度を検出する温度センサーを備え、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源から構成され、前記排気ファンと前記電源との間に接続された切替スイッチは半導体スイッチング素子から構成され、前記温度センサーで検出された温度が予め設定した温度以上になった時に前記半導体スイッチング素子をオン制御して前記排気ファンを起動する制御回路を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、作業者に悪影響を及ぼす火災等の熱環境から作業者を保護する防火服であって、上衣とズボンを備え、少なくとも前記上衣に、該上衣内の空気を吸引して前記上衣へ排出すると同時に前記上衣の大気への連通部分を通して外気を導入することにより前記上衣内部を換気する少なくとも1つの換気手段を設け、さらに、前記換気手段を駆動する駆動源を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、請求項10項記載の防火服において、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源であることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項10項記載の防火服において、前記換気手段は小型モータ付きの小型の排気ファンを備え、前記排気ファンの吸引口は前記上衣の内部に向け開口され、前記吸引口には前記上衣の内面と作業者との間に前記上衣の内部と連通する所望大きさの空間を形成する可撓性の空気導入部材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項13の発明は、請求項12記載の防火服において、前記排気ファンの吐出口は、直接または排気ホースを介して前記衣服部外に開口されていることを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項12記載の防火服において、前記空気導入部材を含む前記排気ファンの配置箇所は、該排気ファンが作業者の活動に邪魔にならない作業者の胴体脇部等と対向する前記上衣の内側箇所であることを特徴とする。請求項15の発明は、請求項10記載の防火服において、前記大気へ連通する箇所は、前記衣服部の襟部、袖口のような箇所であることを特徴とする。
【0017】
請求項16の発明は、請求項10記載の防護用衣服において、前記換気手段は小型モータ付きの小型の排気ファンを備え、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源から構成され、前記排気ファンは切替スイッチを介して前記電源に接続され、前記切替スイッチをオン・オフ制御することにより前記排気ファンが起動・停止されるように構成したことを特徴とする。
請求項17の発明は、請求項16記載の防火服において、前記切替スイッチは手動スイッチであることを特徴とする。
【0018】
請求項18の発明は、請求項10記載の防火服において、少なくとも前記上衣の内部温度を検出する温度センサーを備え、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源から構成され、前記排気ファンと前記電源との間に接続された切替スイッチは半導体スイッチング素子から構成され、前記温度センサーで検出された温度が予め設定した温度以上になった時に前記半導体スイッチング素子をオン制御して前記排気ファンを起動する制御回路を設けたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明にかかるヒートストレス軽減用の換気機能を備える防護用衣服構造を消防員装具である防火服に適用した場合の一実施の形態を示す一部展開の全体の構成図、図2は本実施の形態における防火服を着用した作業者のヒートストレスを軽減するための換気手段の一例を示す構成図、図3は本実施の形態における換気手段による防火服内での換気動作を説明するための説明図である。
【0020】
図1に示す防火服10は、防火等に従事する消防員の作業者8に悪影響を及ぼす火災等の熱環境から作業者8を保護するもので、作業者8の首部から膝上までの部分を覆う上衣11と、作業者8の腰部から足首部間での部分全体を覆うズボン12を備えている。
上記上衣11は、例えば耐熱・耐火・耐水や透湿・通気性が良好な三層構造の生地から縫製され、前身頃部分111で左右に開閉できる構成になっているとともに、左右の長袖部112及び襟部113を有している。また、上記ズボン12は、例えば耐熱・耐火・耐水や透湿・通気性が良好な三層構造の生地から縫製されている。
また、図1において、13は作業者8の頭部及び首回りや顔面を覆うしころ131付きの防火帽、14は作業者8の手に装着される手袋、15は作業者の8の足に装着されるブーツ、16はズボン12の吊りベルトである。
【0021】
図1において、換気手段20は、防火服10を消防員である作業者8が装着した時の防火服10の内側を有効に換気して作業者8のヒートストレスを軽減するためのものであり、この換気手段20は、消防活動に邪魔にならない作業者8の両脇部分と対向する上衣11の内側2箇所に上衣11の身丈方向沿いそれぞれ配設されている。
上記換気手段20は、図2に示すように、ノートパソコン等に使用される超小型のマイクロファン、例えば軸流式の小型排気ファン(例えば、数リットル/秒程度)201を備える。この排気ファン201は、両端が開口された筒状のハウジング202と、このハウジング202内の軸心上に軸線を一致して設けた小型直流モータ203と、この小型直流モータ203の回転軸に直結された排気用のファン204とから構成されている。
【0022】
上記排気ファン201の吸引側であるハウジング202の吸引口202aは上衣11の内側に向け開口され、この吸引口202aには、上衣11の内面と作業者8との間に上衣11の内部と連通する所定大きさの空間11bを形成するための可撓性の空気導入部材205が設けられている。この空気導入部材205は可撓性の合成樹脂材から成形され、その表面全域には多数の通気孔205aが形成される。また、空気導入部材205を含むファン204は作業者8の左右の胴脇部に対向する上衣11の内側面に位置して上衣11に固定されている。
【0023】
また、上記排気ファン201の吐出側であるハウジング202の吐出口202bには合成樹脂材等からなる可撓性の排気ホース206の一端が接続され、この排気ホース206の他端側は上衣11の下端裾部方向へ延在して配置固定され、その開口端は上衣11の下端裾部から外方に開放されるように構成されている。
【0024】
また、上記直流モータ203の駆動源には、図2に示すように、複数の単3等の一次電池または二次電池からなる携帯可能な電池電源22が使用され、この電池電源22と直流モータ203との間は、手動式の切替スイッチ21を介してリード線23により接続されている。また、電池電源22は電池ケース221内に着脱可能に収容され、この電池電源22を含む電池ケース221は上衣11の内側に設けられた内ポケット114に収納される。また、切替スイッチ21は上衣11に設けられた外ポケット115等に収納される。
なお、切替スイッチ21を上衣11の外ポケット115に収納する場合、この切替スイッチ21に接続されたリード線23は上衣11を貫通して外ポケット115内に引き出される構成になっている。
【0025】
このように構成された防火服10において、この防火服10に加えて防火帽13、手袋14及びブーツ15を装着した消防作業員が消防活動を行った場合、従来と同様に人体の代謝による産熱の衣服外部への放散が抑制されるため、防火服10の内側温度及び湿度が上昇するとともに代謝熱が人体に蓄積され、人体の熱平衡状態が崩れ、熱中症のようなヒートストレスを発生させる要因となる。
【0026】
そこで、この実施の形態においては、消防作業員が消防活動中に上述のようなヒートストレス症状が自覚されるようになったならば、切替スイッチ21をオン状態に切り替え操作する。これにより、排気ファン201の直流モータ203に電池電源22から電力が供給されると、この直流モータ203は起動され、これに直結されたファン204が所定の速度で回転される。これに伴い、排気ファン201は、空気導入部材205を通して、上衣11内の人体代謝により加熱された空気及び飽和状態に近い湿気を含む空気を図3の矢印に示すように吸引するとともに排気ホース206を通して上衣11外へ排出する。このような排気ファン201の排気作用により上衣11の内部は負圧状態になるため、図3の矢印に示すように、大気へ連通する部位である上衣11の襟元112aや袖口113aの隙間、及び上衣11の下端裾部114の隙間を通して外気が上衣11内に吸い込まれ、上衣11内の滞留空気が外気と入れ替えられることになる。
【0027】
このようにして上衣11の内部空気は排気ファン201によって外気と有効に交換されるため、上衣11の内部温度を大幅に低下させることができるとともに上衣11の内部湿度も低下させることができる。
因みに、排気ファンによる換気を行わない従来の防火服では、上衣の内部温度は時間の経過と共に上昇すると同時に、発汗による衣服内の水蒸気圧も飽和に達して上衣内の湿度は100%となり、発汗による潜熱(気化熱)放熱が抑えられるとともに代謝熱が人体に蓄積されるため、作業者に対するヒートストレスは回避できない。
【0028】
しかるに、本実施の形態によれば、上衣11の内部は排気ファン201により強制的に換気されるため、発汗しても上衣11内の水蒸気圧が飽和に達することがなく、上衣11内を飽和水蒸気圧低下に保持できるとともに、体表面からの対流と輻射及び体表面からの発汗による潜熱(気化熱)放熱を促進することができる。その結果、上衣11内の冷却が可能になり、上衣11の内部温度の上昇及び人体への代謝熱の蓄積を大幅に抑制できるほか、防火服10の着用時に生じる作業者のヒートストレスを大幅に低減することができる。
【0029】
また、この実施の形態によれば、上衣11の内側を有効に換気するための換気手段20は、小型の排気ファン201と、この排気ファン201の吸引側に設けた可撓性の空気導入部材204と、排気ファン201の吐出側に接続した可撓性の排気ホース206とから構成されるものであるため、防火服10の換気手段20を低コストで提供できるとともに、換気手段20の防火服10への取り付けも簡便に行うことができる。
また、この実施の形態によれば、排気ファン201の吸引口202aに空気導入部材205を設けることにより、上衣11の内面と作業者8との間に排気ファン201の吸引用空気だまりを確実に形成でき、上衣11の裏地や作業者8に着用されたシャツ等の布地が排気ファン201の吸引口202aを塞ぐことが防止され、排気ファン201による上衣11内の換気を効率よく行うことが可能になる。
【0030】
次に、図4により本発明にかかる防火服の他の実施の形態について説明する。図4は本発明にかかる防火服の排気ファンを自動制御できるようにした場合の構成図である。
この図4において、小型排気ファン201の直流モータ203はトランジスタ等の半導体スイッチング素子からなる切替スイッチ25を介して電池電源22に接続されている。また、図4に示す符号26は切替スイッチ25をオン・オフ制御する制御回路であり、この制御回路26には上衣11の内部温度を検出する温度センサー27と、排気ファン201が動作させる上衣11の内部温度を設定する温度設定回路28がそれぞれ接続されている。
上記温度センサー27は、人体の平均皮膚表面温度に近似した上衣11の内部温度を正確に検出できる箇所、例えば作業者の腋の下に対向する上衣11の内側箇所に配置される。また、半導体スイッチング素子、制御回路26及び温度センサー27や温度設定回路28の動作電源は上記電池電源22から供給される構成になっている。
【0031】
このような他の実施の形態において、制御回路26では、温度センサー27で検出された上衣11内の検出温度T1と温度設定回路28で設定した設定温度T2(例えば、作業者にヒートストレス症状を発症させる最低の温度:36℃程度)とを比較し、検出温度T1が設定温度T2を超えた時に制御回路26から半導体スイッチング素子をオン動作する制御信号S1を切替スイッチ25に対して出力する。これにより、切替スイッチ25がオンされると排気ファン201の直流モータ203に電池電源22から電力が供給され、直流モータ203が起動されるとともにファン204が所定の速度で回転される。これに伴い、上衣11の内側は自動的に換気されることになる。
【0032】
このような他の実施の形態によれば、上記図1に示す場合と同様な作用効果が得られるほか、上衣11の内部を排気ファン201により自動的に換気することができるという効果を有する。
【0033】
上記実施の形態では、本発明のヒートストレス軽減用の換気方式を消防用の防火服に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、農薬等の毒性外気から農薬散布作業員の身を守る農薬防護服、または、漁における魚取り扱い時に受ける外傷等から船上作業者の身を守るためのゴム合羽等のように作業者に悪影響を及ぼす熱環境や毒性外気環境などから作業者を保護する防護用衣服にも本発明にかかるヒートストレス軽減用の換気方式を使用することができる。
【0034】
また、本発明における防護用衣服は、図1に示すように、上衣11とズボン12に分離した構造のものに限定されず、上衣、ズボン及びヘッドキャップを一体化したつなぎ構造の防護用衣服であってもよい。
また、本発明における換気手段20は、上記実施の形態に示す構造のものに限定されない。例えば、換気手段20を構成する排気ファン201の空気導入部材205及び排気ホース206を省略してもよい。この場合、排気ファン201の排気口202bを上衣11を貫通して大気に直接開口させる。そして、この排気口202bの開口部分を上衣11に縫い付けたカバー布により覆うことが望ましい。
【0035】
また、本発明における換気手段20は、上記実施の形態に示すように上衣11の内側に設けるものに限らず、ズボンの内側に設けるようにしてもよい。
また、本発明における換気手段20の駆動源に一次電池または二次電池を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、換気手段20の電力を商用電源または可搬式の電源装置から供給できるようにしてもよいほか、換気手段20の排気ファンを手動で駆動できるように構成することも可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる防護用衣服及び防火服によれば、衣服の内側に配置した換気手段により衣服内部の空気を強制的に排除すると同時に襟部や袖口などの衣服と作業者との間に生じる隙間を通して外気を導入して衣服の内側を強制的に換気する構成にしたので、衣服内の温度上昇を抑制でき、衣服着用時に生じる作業者のヒートストレスを大幅に低減することができる。
【0037】
また、本発明の防護用衣服及び防火服によれば、衣服の内側を有効に換気するための換気手段は、小型の排気ファンと、この排気ファンの吸引側に設けた可撓性の空気導入部材とから構成されるものであるため、防護用衣服及び防火服の換気手段を低コストで提供できるとともに、換気手段の防護用衣服及び防火服への取り付けも簡便に行うことができる。
また、本発明の防護用衣服及び防火服によれば、排気ファンの吸引口に空気導入部材を設けることにより、衣服の内面と作業者との間に排気ファンの吸引用空気だまりを確実に形成でき、衣服の裏地や作業者に着用されたシャツ等の布地が排気ファンの吸引口を塞ぐことが防止され、排気ファンによる衣服内の換気を効率よく行うことができる。
【0038】
また、本発明の防護用衣服及び防火服によれば、切替スイッチをオン・オフ制御することにより排気ファンが起動・停止できるように構成したので、衣服内の換気を作業者の意思により適宜行うことができる。
また、本発明の防護用衣服及び防火服によれば、衣服の内部温度を温度センサーで検出し、この温度センサーで検出された温度が予め設定した温度以上になった時に切替スイッチをオン制御して排気ファンを自動的に起動するようにしたので、衣服の内部を排気ファンにより自動的に換気することができる。
また、本発明における換気手段20の駆動源に一次電池または二次電池を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、換気手段20の電力を商用電源または可搬式の電源装置から供給できるようにしてもよいほか、換気手段20の排気ファンを手動またはエアーで駆動できるように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるヒートストレス軽減用の換気機能を備える防護用衣服構造を消防員装具である防火服に適用した場合の一実施の形態を示す一部展開の全体の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における防火服を着用した作業者のヒートストレスを軽減するための換気手段の一例を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態における換気手段の防火服内での換気動作を説明するための説明図である。
【図4】本発明にかかる防火服の排気ファンを自動制御できるようにした場合の構成図である。
【符号の説明】
8    作業者
10   防火服
11   上衣
12   ズボン
13   防火帽
14   手袋
15   ブーツ
20   換気手段
201  排気ファン
202  ハウジング
202a 吸引口
202b 吐出口
203  直流モータ
204  排気用のファン
205  空気導入部材
206  排気ホース
21   切替スイッチ
22   電池電源
221  電池ケース
25   切替スイッチ
26   制御回路
27   温度センサー
28   温度設定回路

Claims (18)

  1. 作業者に悪影響を及ぼす熱環境や毒性外気環境などから作業者を保護する防護用衣服であって、
    作業者の頭部、胴体部及び四肢を含む人体を熱環境や毒性外気環境等から遮蔽するように覆う衣服部を備え、前記衣服部に、該衣服部内の空気を吸引して前記衣服部外へ排出すると同時に前記衣服部の大気へ連通する箇所を通して外気を導入することにより衣服内部を換気する少なくとも1つの換気手段を設け、さらに、前記換気手段を駆動する駆動源を備えることを特徴とする防護用衣服。
  2. 前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源であることを特徴とする請求項1項記載の防護用衣服。
  3. 前記換気手段は小型モータ付きの小型の排気ファンを備え、前記排気ファンの吸引口は前記衣服部の内部に向け開口され、前記吸引口には前記衣服部の内面と作業者との間に前記衣服部の内部と連通する所望大きさの空間を形成する可撓性の空気導入部材が設けられていることを特徴とする請求項1項記載の防護用衣服。
  4. 前記排気ファンの吐出口は、直接または排気ホースを介して前記衣服部外に開口されていることを特徴とする請求項3記載の防護用衣服。
  5. 前記空気導入部材を含む前記排気ファンの配置箇所は、該排気ファンが作業者の活動に邪魔にならない作業者の胴体脇部等と対向する前記衣服部の内側箇所であることを特徴とする請求項3記載の防護用衣服。
  6. 前記大気へ連通する箇所は、前記衣服部の襟部、袖口のような箇所であることを特徴とする請求項1記載の防護用衣服。
  7. 前記換気手段は小型モータ付きの小型の排気ファンを備え、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源から構成され、前記排気ファンは切替スイッチを介して前記電源に接続され、前記切替スイッチをオン・オフ制御することにより前記排気ファンが起動・停止されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の防護用衣服。
  8. 前記切替スイッチは手動スイッチであることを特徴とする請求項7記載の防護用衣服。
  9. 前記衣服部の内部温度を検出する温度センサーを備え、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源から構成され、前記排気ファンと前記電源との間に接続された切替スイッチは半導体スイッチング素子から構成され、前記温度センサーで検出された温度が予め設定した温度以上になった時に前記半導体スイッチング素子をオン制御して前記排気ファンを起動する制御回路を設けたことを特徴とする請求項1記載の防護用衣服。
  10. 作業者に悪影響を及ぼす火災等の熱環境から作業者を保護する防火服であって、
    上衣とズボンを備え、少なくとも前記上衣に、該上衣内の空気を吸引して前記上衣へ排出すると同時に前記上衣の大気への連通部分を通して外気を導入することにより前記上衣内部を換気する少なくとも1つの換気手段を設け、さらに、前記換気手段を駆動する駆動源を備えることを特徴とする防火服。
  11. 前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源であることを特徴とする請求項10項記載の防火服。
  12. 前記換気手段は小型モータ付きの小型の排気ファンを備え、前記排気ファンの吸引口は前記上衣の内部に向け開口され、前記吸引口には前記上衣の内面と作業者との間に前記上衣の内部と連通する所望大きさの空間を形成する可撓性の空気導入部材が設けられていることを特徴とする請求項10項記載の防火服。
  13. 前記排気ファンの吐出口は、直接または排気ホースを介して前記衣服部外に開口されていることを特徴とする請求項12記載の防火服。
  14. 前記空気導入部材を含む前記排気ファンの配置箇所は、該排気ファンが作業者の活動に邪魔にならない作業者の胴体脇部等と対向する前記上衣の内側箇所であることを特徴とする請求項12記載の防火服。
  15. 前記大気へ連通する箇所は、前記衣服部の襟部、袖口のような箇所であることを特徴とする請求項10記載の防火服。
  16. 前記換気手段は小型モータ付きの小型の排気ファンを備え、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源から構成され、前記排気ファンは切替スイッチを介して前記電源に接続され、前記切替スイッチをオン・オフ制御することにより前記排気ファンが起動・停止されるように構成したことを特徴とする請求項10記載の防護用衣服。
  17. 前記切替スイッチは手動スイッチであることを特徴とする請求項16記載の防火服。
  18. 少なくとも前記上衣の内部温度を検出する温度センサーを備え、前記駆動源は一次または二次電池のような携帯可能な電源から構成され、前記排気ファンと前記電源との間に接続された切替スイッチは半導体スイッチング素子から構成され、前記温度センサーで検出された温度が予め設定した温度以上になった時に前記半導体スイッチング素子をオン制御して前記排気ファンを起動する制御回路を設けたことを特徴とする請求項10記載の防火服。
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