本発明は、排気式耐熱服に関するものである。
毎年夏場の期間中に起こりうる熱中症について、死亡者や重症者が多数発生している。その対策として、通気性の良い繊維素材の使用や清涼系成分が配合されたコスメや柔軟剤、スプレー等による体感温度の引き下げ対策、最近は新たに吸気用の電動ファンを設置した上で、気化熱を利用して体感温度を引き下げる空調衣服、冷却材等が既設済の衣服、衣服に着脱可能な小型のエアコン等が活躍している。しかし熱中症の大小に関わらず、類似事故が依然と発生しており、また今後更なる温暖化が予想されている中で、老若男女関係なく社会生活で多発が容易に予想される。
事故原因の殆どは各使用者の不注意と言われているが、最近販売されている空調衣服等を使用しても、効果は限定的ではないかと思われる。同様の機能並びに改善された既存品も販売されていることにより全体的に向上しているが、最高気温だけでなく快適温度自体も個々によって変化する昨今、各使用者が求めている快適温度と既存品の現状が乖離(温度調整の幅が限定的)してきているのではないかと疑問に思うことがある。発汗している衣服内に、温度を気にしない外気(熱気)をそのまま電動ファンで吸気を行うという気化熱を利用しただけの空調衣服や冷却材等が既設済だけの衣服ばかりが目立っている。しかし職場環境の実態は、ある程度空調が整っている屋内職場だけでなく、空調の全く整っていない屋内職場、通常の屋外職場、酷暑の屋内外職場(直接間接関係なく火を使用する職場込)と様々あり、快適温度について既存品の現状では乖離したままであると観ており、既存品を今後使用する範囲が狭まるのではと推測している。
特許文献1に開示された内容やその他類似した空調衣服は、その職場環境の温度を気にしない外気(熱気)をそのまま用いて気化熱を利用するのみである。老若男女関係なく各使用者に適した温度の職場環境も一部にはあるが、上述のような職場環境においては、外気(熱気)を吸気して発汗をさらに促し、熱気及び湿気を自然に排気するだけのものであることにより、各使用者の体力、気力が共に著しく消耗して、既存品だけをもって各使用者や職場環境に適合させるには限界があると思われる。職場環境が過酷であれば、各使用者の気力や現場での熱中症対策の工夫を別途頼っているのではと観ている。
特許文献2に開示された内容については、特許文献1と異なり、一時的に快適温度に適合するかもしれないが、冷気だけでなく空気全体を動かす機能が、ほぼ皆無であることにより、熱気及び湿気の排気機能が乏しく、また長期に渡って温度調整の加減をするのには難(一定の冷却から温まるのみ)があると思われる。補助的ではあるが、本発明は背景技術の問題点を解決の一助にするためのものである。
特許文献については上述の通りであり、別々での特許文献は存在するが、両方を兼ね備える特許文献は無いのが現状である。本発明については、上述の両特許文献等を備えて進展させたものである。既存品のように、前記電動ファン3を吸気力と排気力を個別で単一の使用をするのではなく、両方ともを多様に活用することができる。吸気力と排気力の双方を利用して、従来の気化熱利用だけでなく、前記冷媒体設備4とで冷気の変換発生、新たな冷気の発生や前記吸気口2、前冷媒体設備4自体とで温度調整の幅の拡大、強制排気(ドライ)機能の所持、通気性や密着性の調整をもって、体感温度を快適温度に近付けさせて、幅広い職場で使用して熱中症患者を減少させるものである。
特開2005-054299
特開2012-183228
特許文献のような既存品の空調衣服や改善や進化版の衣服、冷却材付き衣服等については、一部の使用者や職場環境にしか適せず、今後の状況如何によってはその使用できる範囲を狭めてしまい、今後も熱中症に関係する事故は、大小に関わらず多発が予想できる。
本発明は、上述の問題点を鑑みなされたものであり、従来の既存品と比較しても、各使用者や職場環境の範囲を広げて、さらに快適性並びに敏捷性が長時間保つことができる排気式耐熱服を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、気密性の高い前記耐熱服1において、前記耐熱服1の胴回り周辺に開閉するためのジッパー等が付いている前記吸気口2を複数備え、前記耐熱服1内の上層部に滞留する熱気及び湿気を排気するためにも用いられる着脱可能な前記電動ファン3と、前記耐熱服1の裏生地に着脱可能な前記冷媒体設備4を備えると共に、前記電動ファン3等を稼働させるための着脱可能な前記電源ユニット5を設置していることを特徴とする排気式耐熱服とするものである。
本発明においては、前記耐熱服1の上層部に設置している前記電動ファン3が稼働して発生する排気力を利用して、外気が開口済の前記吸気口2全体からある程度均一に流入して、従来の気化熱を利用するだけでなく、前記冷媒体設備4内を通過することにより変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れることにより、体感温度を快適温度へ近付けさせて、併せて前記電動ファン3で前記耐熱服1内の熱気及び湿気が滞留しないよう強制排気(ドライ)することにより、前記耐熱服1内全体の生理的環境の改善や温度調整の幅が拡大、前記耐熱服1自体が膨張しないようにすることができることを特徴とする請求項1に記載した排気式耐熱服にするのが望ましい。
本発明においては、前記冷媒体設備4の設置場所については、前記吸気口2周辺にできるだけ集約されて、前記冷媒体設備4の中身については、着脱可能な前記冷却材4aが入った容器と、外気を通過させる前記通気口4bが交互(一緒)に配列されており、前記冷却材4a同士の隙間にある前記通気口4bに外気が通過して変換発生する冷気ができることを特徴とする請求項2に記載した排気式耐熱服にするのが望ましい。
本発明の効果は、気密性の高い前記耐熱服1において、前記耐熱服1の胴回り周辺に開閉するためのジッパー等が付いている前記吸気口2を複数備え、前記耐熱服1内の上層部に滞留する熱気及び湿気を排気するためにも用いられる着脱可能な前記電動ファン3と、前記耐熱服1の裏生地に着脱可能な前記冷媒体設備4を備えると共に、前記電動ファン3等を稼働させるための着脱可能な前記電源ユニット5を設置しているので、比較的使用できる人間や職場環境の範囲を広げることができるという効果を奏する。
従来の空調衣服と異なり、前記耐熱服1の上層部に設置している前記電動ファン3が稼働して発生する排気力を利用して、外気が開口済の前記吸気口2全体からある程度均一に流入して、従来の気化熱を利用するだけでなく、前記冷媒体設備4内を通過することにより変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れることにより、体感温度を快適温度へ近付けさせて、併せて前記電動ファン3で前記耐熱服1内の熱気及び湿気が滞留しないよう強制排気(ドライ)することにより、通気性を高めて、前記耐熱服1内全体の生理的環境の改善や温度調整の幅が拡大、前記耐熱服1自体が膨張しないようにすることができるという効果を奏する。
請求項2でも一部述べていることであるが、前記電動ファン3の稼働により、前記耐熱服1自体と身体との隙間が減少することから、前記耐熱服1が身体に密着に近い状態となり、快適性の向上以外にも既存品と異なり、敏捷性も高めることができるという効果を奏する。
胴回り周辺にある吸気口2は、複数個所に仕切られて、ジッパー等で前記吸気口2を開閉することができることにより、前記電動ファン3の回転数の加減以外でも前記吸気口2の開口数量や開口部分の大きさを調整することにより、温度調整の幅が拡大することができるという効果を奏する。
前記耐熱服1を使用するにあたり、定期的な交換を必要としているのは、前記冷却材4aと前記電源ユニットの電源5aである。前記耐熱服1を使用することにより、前記冷却材4a自体の融解、前記電源ユニットの電源5aの電力消耗が使用時間の経過とともに発生して、定期的に交換する必要がある。交換方法についてスペア部品の用意以外に、屋内(建設現場も含む)であれば冷凍冷蔵庫と供給電源、屋外であれば保冷ボックスとバッテリー等の電源調達が出来れば、簡易的に交換が可能(殆どの職場環境で調達可能)となる。簡易的に交換できれば、各使用者においては、快適性並びに敏捷性を長時間保つことができて、健康も含めた安全への意識や集中力、能率等の向上に繋がり、それが熱中症患者数の減少が期待できるという効果を奏する。
以下、図1~図4は本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す図面である。
本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す正面図(表面)。
本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す背面図(裏面)。
本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す正面図(内側表面)。
本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す背面図(内側裏面)。
気密性の高い前記耐熱服1において、前記耐熱服1の胴回り周辺に開閉するためのジッパー等が付いている前記吸気口2を複数備え、前記耐熱服1内の上層部に滞留する熱気及び湿気を排気するためにも用いられる着脱可能な前記電動ファン3と、前記耐熱服1の裏生地に着脱可能な前記冷媒体設備4を備えると共に、前記電動ファン3等を稼働させるための着脱可能な前記電源ユニット5を設置しており、以下からの説明は主として通常の排気式耐熱服の形態に関するものである。
前記耐熱服1自体については、一般的な上着部分と同様で、伸縮性のある素材で形成され、表生地は既存品と同じような目の細いナイロンやポリエステル等で、裏生地はアルミ箔等、比較的熱伝導率の高い素材でコーティングしており、首回りや袖回り、胴回り周辺においては、前記耐熱服1全体の調整部を設けることも含めて、ゴムや紐、ボタン、ホック、面ファスナ等を設置して、前記耐熱服1の着用時に予め隙間を減らす行為を実施することにより密着性や気密性を高めることができる。
既存品について、吸気による圧力で空調衣服内が膨張することもあり、一部の既存品は膨張対策も一緒に講じている。しかし本発明については、前記電動ファン3が前記耐熱服1内の熱気及び湿気を排気するためにも用いられることにより、既存品のように別途膨張対策自体をする必要が無い。しかし状況によっては、逆に身体保護や気道確保の安全対策、前記耐熱服1内で発生した結露対策(発汗等で発生した汗等の液体の一時滞留場所)等の観点から、前記冷媒体設備4の内側(耐熱服の生地→冷媒体設備→通気性の良い素材)の全体若しくは一部に、通気性の良い素材を設置することもある。例えば、丈夫で型崩れのしにくいスポンジ等でも使用しているクッション素材やメッシュ素材等を設置場所によって素材を変えて使用しても良い。
前記耐熱服1の管理については、使用頻度に応じて定期的に洗濯やメンテナンス等を行う必要があるので、特に前記電動ファン3や前記冷媒体設備4の前記冷却材4a、前記電源ユニット5については、丈夫で簡易的に着脱可能な部品にするのが望ましい。また今回は一般的な上着部分のみで主体的に記載しているが、状況に応じて、請求項に記載されている内容に沿ったズボン部のみ、上着部分とズボン部が一体化された繋ぎ服を製作することもできる。さらに前記耐熱服1の前部にジッパー6が付いている上着部分で説明しているが、前記ジッパー6が無いトレーナー型式の上着部分で製作することもできる。しかしこの場合は、予め首回りや袖回り、胴回りに伸縮性のある素材で調整部を設けるようにする。
既存品については、胴回りの後方部分に吸気(送気)用として前記電動ファン3が取り付けてあるが、本発明については、胴回り周辺に前記吸気口2が複数個所に仕切られて設置されており、手動でジッパー等を開閉することができる。イメージ的には、一般的な上着部分の胴回り周辺にあるポケットに、ジッパー等が設置(またはスライド式の換気框型等でも良い)しており、ポケットの開口部をジッパー等で開閉する。またポケットの内側が前記吸気口2の外気取込口になるので、通気性の良い素材等を使用する。例えば、多様な生地でも使用しているメッシュ素材等にしても良い。それにより前記吸気口2の開口数量や開口部分の大きさでも、温度調整をすることができる。
前記吸気口2の開口部分の内側については、概ね上述の通りである。さらに追記すると、フィルター機能も備えた通気性の良い素材等で前記吸気口2周辺を保護することにより、外部からの異物等混入を防止することができる。例えば、フィルター部分をマスク等でも使用している不織布素材等にしても良い。併せて消臭系や清涼系入りのチップや薬剤を入れるための通気性の良い袋等を増設使用することで、前記耐熱服1内の快適性がさらに向上する。尚、上述も含めて以下にも記載している通気性の良い素材についてであるが、使用用途に応じて変化することがある。素材としては、例えば、メッシュ素材や不織布素材、クッション素材等を用いることができる。
前記吸気口2の開口部分について、開閉方法はジッパー等と記載しているが、場合や目的に応じて、一部も含めてジッパー以外に面ファスナ等に変更することもできる。例えば、前記吸気口2自体と前記吸気口2を開閉する蓋部材の周囲を面ファスナ等で貼り付けて、開閉にあわせて前記蓋部材を着脱する方法を使用しても良い。
前記吸気口2について、状況や必要に応じて胴回り以外にも追加することができる。例えば、両袖の先端部分周辺(前記冷媒体設備4を増設することも前提で)等にも前記吸気口2を増設しても良い。
前記電動ファン3の役割については、前記電動ファン3の排気力を利用して、外気が前記耐熱服1の下層部にある前記吸気口2より流入して、気化熱を利用して体感温度を引き下げる行為以外に、前記冷媒体設備4内に外気が通過することにより冷気へ変換発生させることと、前記耐熱服1内上層部に滞留する熱気及び湿気を排気することであり、吸気と排気のバランスを保ちながら、前記耐熱服1内の温度及び湿度の調整、密着性等の調整ができる。
前記電動ファン3の設置場所については、前記耐熱服1内の通気性を良くする観点も含めて、できるだけ前記吸気口2から離れた場所で、かつ通常の行動や作業の邪魔にならない上半身の上層部後方周辺部分に設置することが望ましい。例えば、上腕部や肩部、脇部、襟元部、或いは背中部の上層部等に設置しても良い。
前記電動ファン3と前記吸気口2の距離間について、できるだけ離れた場所が望ましいと述べているが、その要因は通気性(特に湿気が溜まる)の問題だけでなく、前記耐熱服1内に変換発生する冷気の滞留時間の確保と、前記吸気口2の傍に前記冷却材4aがあることにより、前記冷却材4a自体の融解時間の延長化をすることも要因である。
前記電動ファン3を設置する周辺については、特に排気による圧力が高いことを考慮しながら、前記耐熱服1の生地自体の巻き込みや目詰まり防止、ある程度の気道確保も兼ねて、まず前記耐熱服1の生地自体が型崩れをできるだけ起さないような位置に前記電動ファン3を設置するのが望ましい。もし型崩れを起こしそうな場所に設置しなければならない場合は、例えば、保護カバーや保護シート、クッション材等を用いて、前記電動ファン3のプロペラ周辺部分や排気用の排出口周辺の保護を行い、前記電動ファン3を設置する位置周辺の前記耐熱服1の生地の一部を部分強化するという型崩れ防止策を講じた上で設置することもある。
前記電動ファン3の設置個数については、前記冷媒体設備4の大きさ等、状況や必要に応じて、単体若しくは複数体に変更することができる。
前記冷媒体設備4については、職場環境の温度を気にしない外気(熱気)をそのまま電動ファンで吸気を行うという気化熱を利用しただけの既存品と異なり、前記冷却材4a同士の隙間にある通気口4bを外気が通過することにより変換発生する冷気で、前記耐熱服1内の熱気を冷気に変換させることができるものである。特に最高気温だけでなく快適温度自体も個々によって変化する昨今、気化熱を利用するだけで体感温度を感じるのではなく、前記冷媒体設備4内に外気が通過することにより変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れることにより、体感温度を快適温度へ近付けさせて、各使用者自身が様々な職場環境にて快適性を明確に感じることを目的とする。尚、前記冷媒体設備4の詳細な内容は以下の通りである。
前記冷媒体設備4については、前記耐熱服1と着脱可能な同形型、半袖シャツ型、ベスト型、コルセット型等の型式となり(左から順次重量感あり)、通気性の良い素材等の中に前記冷却材4aと前記通気口4bが交互(一緒)に配列されている。上述(0021)も兼ねて、前記冷媒体設備4や前記通気口4b部分を、例えば、スポンジ等でも使用しているクッション素材やメッシュ素材等で、製作しても良い。尚、設置場所については、外気を素早く取り込むためにも、前記吸気口2周辺に集約されているのが良い。また後程でも一部記載しているが、前記通気口4bの大きさや長さ等(長さを含めた体積のことで、同じ体積でも太くて短いのはNG)によって、流入する外気の冷却時間等が変わり、変換発生した冷気の温度にも影響することから、前記吸気口2内にある吸気用の取込口と前記通気口4bの通路が、できるだけ接続に近い状態であることが望ましい。
前記冷却材4aの中身については、着脱可能な冷却ジェル(保冷剤)や氷の容器、循環式の冷却水とその他付属ユニット等を用いて、前記冷却材4a同士の隙間にある前記通気口4bに外気が通過することにより冷気へ変換発生することができる。
前記冷媒体設備4の型式については、型式自体の総重量等(軽量が理想)にも関係するが、状況や必要に応じて変更することができる。型式によって前記通気口4bの大きさや長さ(全体の体積)等が変化することにより、流入する外気の冷却時間や温度も変化する。その冷却時間を延長させる一案として、前記通気口4b自体の形状を変えることもできる。図面においては、直線状の前記通気口4bで作成しているが、例えば、クランクや蛇行、螺旋の形状に変更させて、前記通気口4b自体の長さを延長することができる。
前記冷却材4aの容器については、前記冷媒体設備4内での収納や短時間で冷気へ変換発生するためであれば、容器自体の形状等も含めて変更することができる。記載している内容では、前記冷却材4aと前記通気口4bについて交互(一緒)に配列されているが、例えば、前記冷却材4aの容器自体に多数の貫通した通気口(セメントブロックのような形)を予め設けて、貫通した通気口の周囲を前記冷却材4aで囲い、その貫通した通気口を前記通気口4bとして使用することもできる。
前記冷却材4aの中身について、前記冷却ジェルや氷の容器を使用する方が簡易的かつ安価であると思われるが、もし前記循環式の冷却水とその他付属ユニットを使用する場合は、前記冷却水以外に、柔軟で熱伝導率が良く、直列若しくは複数を含む並列の工夫した循環用の配管チューブと小型ポンプ、前記冷却水を貯蔵するための気密性の高いタンク、冷却水の温度維持管理する別途冷媒体等を用意する必要がある。尚、前記小型ポンプを稼働する電源については、前記電源5aを併用することができる。
その他前記冷却材4aについては、簡易的に現地調達が可能な場合に限り、ドライアイス等を使用することもある。ドライアイス等の昇華を利用して、冷気を発生させるものである。よってその際は、前記冷却材4aの昇華力を利用するため、前記冷却材4a自体の定期的な補充は必要であるが、前記冷却水や前記小型ポンプ、温度維持管理する前記別途冷媒体等は不要、場合によってドライアイス自体を前記耐熱服1内に直接取り込んで、外気と一緒に排気することも考えられるので、前記通気口4b自体も不要になるかもしれない。
前記冷媒体設備4の使用については、使用者の日々の体調状況によって、腹部内を不調にさせるということもある。できるだけ冷却を控えなければならない場合においては、以下のようにどのような方法を用いることもできる。例えば、前記耐熱服1自体の使用を控えることは無論、前記電動ファン3の回転数の調整、着脱可能な前記冷却材4aの容器数自体を減らすこと等も含めて、工夫をすることができる。
前記電源ユニット5については、軽量で長時間の連続稼働ができる最近の燃料電池等が望ましい。しかし職場環境によって、前記電源ユニット5は燃料電池だけに限らず、商用電源を使用しても良い。特に行動範囲が固定されている職場環境の場合においては、延長コード等を使用して直接商用電源で前記電動ファン3を稼働させることができる。
前記電源ユニット5の収納場所については、前記耐熱服1の裏生地内に設けられたポケット5b等に収納されるのが望ましい。また詳細な収納場所については、前記電動ファン3と前記電源5aを接続するコード等の関係も含めて、できるだけ前記電源ファン3から近い場所が良い。また前記電源ファン3の稼働スイッチや回転数の調整操作盤についても、できるだけ有線で、行動や作業中でも調整できるよう手の届く範囲内にあるのが望ましい。
温度調整について、既存品の温度調整は概ね前記電動ファン3の回転数の加減だけで、ある程度体感温度の調整が可能(特に夏場の最低温度の調整幅が限定的)になるが、本発明は、前記電動ファン3の回転数の加減だけでなく、前記冷媒体設備4の通気口4bから変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れること、多数存在する前記吸気口2の開口数量や開口部の大きさを使用者の方で各自調整することにより、既存品より体感温度の調整幅が拡大できる。また逆に寒さを感じる場合においても、上述以外にも着脱可能な前記冷却材4aの容器数自体等を減らすことにより調整することができる。
前記電動ファン3については、排気するためにも用いられるので、吸気とのバランスを保つことにより、前記耐熱服1と身体との密着度や気道の確保もある程度調整できる。
以下からの説明は、主として通常の排気式耐熱服の実施例に関するものである。気密性の高い前記耐熱服1において、前記耐熱服1の胴回り周辺に開閉するためのジッパー等が付いている前記吸気口2を複数備え、前記耐熱服1内の上層部に滞留する熱気及び湿気を排気するためにも用いられる着脱可能な前記電動ファン3と、前記耐熱服1の裏生地に着脱可能な前記冷媒体設備4を備えると共に、前記電動ファン3等を稼働させるための着脱可能な前記電源ユニット5を設置されている。
まず今回の排気式耐熱服自体の詳細内容について、一例として以下の通りとする。前記電動ファン3については、脇を閉じて行う行動や業務がほぼ皆無な状態のため、比較的邪魔にならない上腕との付け根部分である脇の少し後方上方周辺(脇下も気道の一部に利用)に二箇所設置で形成する。前記冷媒体設備4の型式はコルセット型として、前記冷却材4aは着脱可能な冷却ジェルの容器で、外気を通過させる前記通気口4bと交互(一緒)で配列されており、前記電源5aは燃料電池とする。尚、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において、変更することもある。しかしこの一例が、おそらく構造上においても簡易的かつ安価で製作できるものと思われる。
第一段階として前記耐熱服1を着用後に、前記耐熱服1の胴回り下方部と身体、袖口と腕部分、襟元周辺と首部分等の隙間を埋めるように努める。用いる方法としては、ゴムや紐、ボタン、ホック、面ファスナ等を利用して隙間を埋めて気密性を高める。
上記のように実施されて各隙間が減らされた上で、前記電源5aに接続されている前記電動ファン3を稼働させる。改めて言うまでもないが、前記耐熱服1の素材は、上述(0020)のように表生地は目の細い生地を使用して、裏生地はアルミ箔等比較的熱伝導率の高い素材でコーティングされた気密性の高い生地を使用する。
前記電動ファン3の稼働により、前記耐熱服1内の熱気及び湿気を排気されて、前記耐熱服1が伸縮する。その前後に、胴回り周辺にある前記吸気口2のジッパー等を順次開口して、前記電動ファン3で外気を前記通気口2より流入させる。尚、前記通気口2の開口するタイミングや前記吸気口2の開口数量や開口部の大きさ、また前記電動ファン3の回転数の加減については、使用者自身で計るものとする。
外気が前記吸気口2より流入して、従来の気化熱を利用するだけで体感温度を感じるのではなく、前記冷却材4a同士の隙間にある通気口4bを外気が通過することにより変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れることにより、体感温度を快適温度へ近付けさせる。また前記電動ファン3の排気力を持って、冷気が体温で変換された熱気と発汗や結露で発生した湿気を排気することで、前記耐熱服1内の通気性も含めて生理的環境が改善する。
本発明による産業上の利用される可能性としては、特に空調(外気温度)の整っていない屋内職場、通常の屋外職場、酷暑(過酷)の屋内外職場(直接間接関係なく火を使用する職場も含む)であれば、利用される可能性が大である。レジャーや比較的外気温度が整っている環境であれば、特許文献に記載れているような既存品でも有効と判断できる。
1 : 耐熱服
2 : 吸気口
3 : 電動ファン(排気口)
4 : 冷媒体設備
4a : 冷媒体設備の冷却材
4b : 冷媒体設備の通気口
5 : 電源ユニット
5a : 電源ユニットの電源
5b : 電源ユニット収納内ポケット
6 : 耐熱服着脱用ジッパー
本発明は、排気式耐熱服に関するものである。
毎年夏場の期間中に起こりうる熱中症について、死亡者や重症者が多数発生している。その対策として、通気性の良い繊維素材の使用や清涼系成分が配合されたコスメや柔軟剤、スプレー等による体感温度の引き下げ対策、最近は新たに吸気用の電動ファンを設置した上で、気化熱を利用して体感温度を引き下げる空調衣服、冷却材等が既設済の衣服、衣服に着脱可能な小型のエアコン等が活躍している。しかし熱中症の大小に関わらず、類似事故が依然と発生しており、また今後更なる温暖化が予想されている中で、老若男女関係なく社会生活で多発が容易に予想される。
事故原因の殆どは各使用者の不注意と言われているが、最近販売されている空調衣服等を使用しても、効果は限定的ではないかと思われる。同様の機能並びに改善された既存品も販売されていることにより全体的に向上しているが、最高気温だけでなく快適温度自体も個々によって変化する昨今、各使用者が求めている快適温度と既存品の現状が乖離(温度調整の幅が限定的)してきているのではないかと疑問に思うことがある。発汗している衣服内に、温度を気にしない外気(熱気)をそのまま電動ファンで吸気を行うという気化熱を利用しただけの空調衣服や冷却材等が既設済だけの衣服ばかりが目立っている。しかし職場環境の実態は、ある程度空調が整っている屋内職場だけでなく、空調の全く整っていない屋内職場、通常の屋外職場、酷暑の屋内外職場(直接間接関係なく火を使用する職場込)と様々あり、快適温度について既存品の現状では乖離したままであると観ており、既存品を今後使用する範囲が狭まるのではと推測している。
特許文献1に開示された内容やその他類似した空調衣服は、その職場環境の温度を気にしない外気(熱気)をそのまま用いて気化熱を利用するのみである。老若男女関係なく各使用者に適した温度の職場環境も一部にはあるが、上述のような職場環境においては、外気(熱気)を吸気して発汗をさらに促し、熱気及び湿気を自然に排気するだけのものであることにより、各使用者の体力、気力が共に著しく消耗して、既存品だけをもって各使用者や職場環境に適合させるには限界があると思われる。職場環境が過酷であれば、各使用者の気力や現場での熱中症対策の工夫を別途頼っているのではと観ている。
特許文献2に開示された内容については、特許文献1と異なり、一時的に快適温度に適合するかもしれないが、冷気だけでなく空気全体を動かす機能が、ほぼ皆無であることにより、熱気及び湿気の排気機能が乏しく、また長期に渡って温度調整の加減をするのには難(一定の冷却から温まるのみ)があると思われる。補助的ではあるが、本発明は背景技術の問題点を解決の一助にするためのものである。
特許文献については上述の通りであり、別々での特許文献は存在するが、両方を兼ね備える特許文献は無いのが現状である。本発明については、上述の両特許文献等を備えて進展させたものである。既存品のように、前記電動ファン3を吸気力と排気力を個別で単一の使用をするのではなく、両方ともを多様に活用することができる。吸気力と排気力の双方を利用して、従来の気化熱利用だけでなく、前記冷媒体設備4とで冷気の変換発生、新たな冷気の発生や前記吸気口2、前冷媒体設備4自体とで温度調整の幅の拡大、強制排気(ドライ)機能の所持、通気性や密着性の調整をもって、体感温度を快適温度に近付けさせて、幅広い職場で使用して熱中症患者を減少させるものである。
特開2005-054299
特開2012-183228
特許文献のような既存品の空調衣服や改善や進化版の衣服、冷却材付き衣服等については、一部の使用者や職場環境にしか適せず、今後の状況如何によってはその使用できる範囲を狭めてしまい、今後も熱中症に関係する事故は、大小に関わらず多発が予想できる。
本発明は、上述の問題点を鑑みなされたものであり、従来の既存品と比較しても、各使用者や職場環境の範囲を広げて、さらに快適性並びに敏捷性が長時間保つことができる排気式耐熱服を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、気密性の高い前記耐熱服1において、前記耐熱服1の胴回り周辺に前記吸気口2の先端をジッパーや面ファスナで口径を調整することにより吸気量の流入自体を調整する手段を複数備え、前記耐熱服1内の上層部に滞留する熱気及び湿気を排気するためにも用いられる着脱可能な前記電動ファン3と、前記耐熱服1の裏生地に着脱可能な前記冷媒体設備4を備えると共に、前記電動ファン3を稼働させるための着脱可能な前記電源ユニット5を設置していることを特徴とする排気式耐熱服とするものである。
本発明においては、前記耐熱服1の上層部に設置している前記電動ファン3が稼働して発生する排気力を利用して、外気が開口済の前記吸気口2全体からある程度均一に流入して、従来の気化熱を利用するだけでなく、前記冷媒体設備4内を通過することにより変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れることにより、体感温度を快適温度へ近付けさせて、併せて前記電動ファン3で前記耐熱服1内の熱気及び湿気が滞留しないよう強制排気(ドライ)することにより、前記耐熱服1内全体の生理的環境の改善や温度調整の幅が拡大、前記耐熱服1自体が膨張しないようにすることができることを特徴とする請求項1に記載した排気式耐熱服にするのが望ましい。
本発明においては、前記冷媒体設備4の設置場所については、前記吸気口2周辺にできるだけ集約されて、前記冷媒体設備4の中身については、着脱可能な前記冷却材4aが入った容器と、外気を通過させる前記通気口4bが並列による配列、または前記冷却剤4a自体の中に螺旋状で前記通気口4bを設けている配列されており、前記冷却材4a同士の隙間にある前記通気口4bに外気が通過して変換発生する冷気ができることを特徴とする請求項2に記載した排気式耐熱服にするのが望ましい。
本発明の効果は、気密性の高い前記耐熱服1において、前記耐熱服1の胴回り周辺に前記吸気口2の先端をジッパーや面ファスナで口径を調整することにより吸気量の流入自体を調整する手段を複数備え、前記耐熱服1内の上層部に滞留する熱気及び湿気を排気するためにも用いられる着脱可能な前記電動ファン3と、前記耐熱服1の裏生地に着脱可能な前記冷媒体設備4を備えると共に、前記電動ファン3を稼働させるための着脱可能な前記電源ユニット5を設置しているので、比較的使用できる人間や職場環境の範囲を広げることができるという効果を奏する。
従来の空調衣服と異なり、前記耐熱服1の上層部に設置している前記電動ファン3が稼働して発生する排気力を利用して、外気が開口済の前記吸気口2全体からある程度均一に流入して、従来の気化熱を利用するだけでなく、前記冷媒体設備4内を通過することにより変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れることにより、体感温度を快適温度へ近付けさせて、併せて前記電動ファン3で前記耐熱服1内の熱気及び湿気が滞留しないよう強制排気(ドライ)することにより、通気性を高めて、前記耐熱服1内全体の生理的環境の改善や温度調整の幅が拡大、前記耐熱服1自体が膨張しないようにすることができるという効果を奏する。
請求項2でも一部述べていることであるが、前記電動ファン3の稼働により、前記耐熱服1自体と身体との隙間が減少することから、前記耐熱服1が身体に密着に近い状態となり、快適性の向上以外にも既存品と異なり、敏捷性も高めることができるという効果を奏する。
胴回り周辺にある吸気口2は、複数個所に仕切られて、ジッパー等で前記吸気口2を開閉することができることにより、前記電動ファン3の回転数の加減以外でも前記吸気口2の開口数量や開口部分の大きさを調整することにより、温度調整の幅が拡大することができるという効果を奏する。
前記耐熱服1を使用するにあたり、定期的な交換を必要としているのは、前記冷却材4aと前記電源ユニットの電源5aである。前記耐熱服1を使用することにより、前記冷却材4a自体の融解、前記電源ユニットの電源5aの電力消耗が使用時間の経過とともに発生して、定期的に交換する必要がある。交換方法についてスペア部品の用意以外に、屋内(建設現場も含む)であれば冷凍冷蔵庫と供給電源、屋外であれば保冷ボックスとバッテリー等の電源調達が出来れば、簡易的に交換が可能(殆どの職場環境で調達可能)となる。簡易的に交換できれば、各使用者においては、快適性並びに敏捷性を長時間保つことができて、健康も含めた安全への意識や集中力、能率等の向上に繋がり、それが熱中症患者数の減少が期待できるという効果を奏する。
以下、図1~図4は本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す図面である。
本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す正面図(表面)。
本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す背面図(裏面)。
本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す正面図(内側表面)。
本発明に係る排気式耐熱服の構成例を示す背面図(内側裏面)。
気密性の高い前記耐熱服1において、前記耐熱服1の胴回り周辺に前記吸気口2の先端をジッパーや面ファスナで口径を調整することにより吸気量の流入自体を調整する手段を複数備え、前記耐熱服1内の上層部に滞留する熱気及び湿気を排気するためにも用いられる着脱可能な前記電動ファン3と、前記耐熱服1の裏生地に着脱可能な前記冷媒体設備4を備えると共に、前記電動ファン3を稼働させるための着脱可能な前記電源ユニット5を設置しており、以下からの説明は主として通常の排気式耐熱服の形態に関するものである。
前記耐熱服1自体については、一般的な上着部分と同様で、伸縮性のある素材で形成され、表生地は既存品と同じような目の細いナイロンやポリエステル等で、裏生地はアルミ箔等、比較的熱伝導率の高い素材でコーティングしており、首回りや袖回り、胴回り周辺においては、前記耐熱服1全体の調整部を設けることも含めて、ゴムや紐、ボタン、ホック、面ファスナ等を設置して、前記耐熱服1の着用時に予め隙間を減らす行為を実施することにより密着性や気密性を高めることができる。
既存品について、吸気による圧力で空調衣服内が膨張することもあり、一部の既存品は膨張対策も一緒に講じている。しかし本発明については、前記電動ファン3が前記耐熱服1内の熱気及び湿気を排気するためにも用いられることにより、既存品のように別途膨張対策自体をする必要が無い。しかし状況によっては、逆に身体保護や気道確保の安全対策、前記耐熱服1内で発生した結露対策(発汗等で発生した汗等の液体の一時滞留場所)等の観点から、前記冷媒体設備4の内側(耐熱服の生地→冷媒体設備→通気性の良い素材)の全体若しくは一部に、通気性の良い素材を設置することもある。例えば、丈夫で型崩れのしにくいスポンジ等でも使用しているクッション素材やメッシュ素材等を設置場所によって素材を変えて使用しても良い。
前記耐熱服1の管理については、使用頻度に応じて定期的に洗濯やメンテナンス等を行う必要があるので、特に前記電動ファン3や前記冷媒体設備4の前記冷却材4a、前記電源ユニット5については、丈夫で簡易的に着脱可能な部品にするのが望ましい。また今回は一般的な上着部分のみで主体的に記載しているが、状況に応じて、請求項に記載されている内容に沿ったズボン部のみ、上着部分とズボン部が一体化された繋ぎ服を製作することもできる。さらに前記耐熱服1の前部にジッパー6が付いている上着部分で説明しているが、前記ジッパー6が無いトレーナー型式の上着部分で製作することもできる。しかしこの場合は、予め首回りや袖回り、胴回りに伸縮性のある素材で調整部を設けるようにする。
既存品については、胴回りの後方部分に吸気(送気)用として前記電動ファン3が取り付けてあるが、本発明については、胴回り周辺に前記吸気口2が複数個所に仕切られて設置されており、手動でジッパー等を開閉することができる。イメージ的には、一般的な上着部分の胴回り周辺にあるポケットに、ジッパー等が設置(またはスライド式の換気框型等でも良い)しており、ポケットの開口部をジッパー等で開閉する。またポケットの内側が前記吸気口2の外気取込口になるので、通気性の良い素材等を使用する。例えば、多様な生地でも使用しているメッシュ素材等にしても良い。それにより前記吸気口2の開口数量や開口部分の大きさでも、温度調整をすることができる。
前記吸気口2の開口部分の内側については、概ね上述の通りである。さらに追記すると、フィルター機能も備えた通気性の良い素材等で前記吸気口2周辺を保護することにより、外部からの異物等混入を防止することができる。例えば、フィルター部分をマスク等でも使用している不織布素材等にしても良い。併せて消臭系や清涼系入りのチップや薬剤を入れるための通気性の良い袋等を増設使用することで、前記耐熱服1内の快適性がさらに向上する。尚、上述も含めて以下にも記載している通気性の良い素材についてであるが、使用用途に応じて変化することがある。素材としては、例えば、メッシュ素材や不織布素材、クッション素材等を用いることができる。
前記吸気口2の開口部分について、開閉方法はジッパー等と記載しているが、場合や目的に応じて、一部も含めてジッパー以外に面ファスナ等に変更することもできる。例えば、前記吸気口2自体と前記吸気口2を開閉する蓋部材の周囲を面ファスナ等で貼り付けて、開閉にあわせて前記蓋部材を着脱する方法を使用しても良い。
前記吸気口2について、状況や必要に応じて胴回り以外にも追加することができる。例えば、両袖の先端部分周辺(前記冷媒体設備4を増設することも前提で)等にも前記吸気口2を増設しても良い。
前記電動ファン3の役割については、前記電動ファン3の排気力を利用して、外気が前記耐熱服1の下層部にある前記吸気口2より流入して、気化熱を利用して体感温度を引き下げる行為以外に、前記冷媒体設備4内に外気が通過することにより冷気へ変換発生させることと、前記耐熱服1内上層部に滞留する熱気及び湿気を排気することであり、吸気と排気のバランスを保ちながら、前記耐熱服1内の温度及び湿度の調整、密着性等の調整ができる。
前記電動ファン3の設置場所については、前記耐熱服1内の通気性を良くする観点も含めて、できるだけ前記吸気口2から離れた場所で、かつ通常の行動や作業の邪魔にならない上半身の上層部後方周辺部分に設置することが望ましい。例えば、上腕部や肩部、脇部、襟元部、或いは背中部の上層部等に設置しても良い。
前記電動ファン3と前記吸気口2の距離間について、できるだけ離れた場所が望ましいと述べているが、その要因は通気性(特に湿気が溜まる)の問題だけでなく、前記耐熱服1内に変換発生する冷気の滞留時間の確保と、前記吸気口2の傍に前記冷却材4aがあることにより、前記冷却材4a自体の融解時間の延長化をすることも要因である。
前記電動ファン3を設置する周辺については、特に排気による圧力が高いことを考慮しながら、前記耐熱服1の生地自体の巻き込みや目詰まり防止、ある程度の気道確保も兼ねて、まず前記耐熱服1の生地自体が型崩れをできるだけ起さないような位置に前記電動ファン3を設置するのが望ましい。もし型崩れを起こしそうな場所に設置しなければならない場合は、例えば、保護カバーや保護シート、クッション材等を用いて、前記電動ファン3のプロペラ周辺部分や排気用の排出口周辺の保護を行い、前記電動ファン3を設置する位置周辺の前記耐熱服1の生地の一部を部分強化するという型崩れ防止策を講じた上で設置することもある。
前記電動ファン3の設置個数については、前記冷媒体設備4の大きさ等、状況や必要に応じて、単体若しくは複数体に変更することができる。
前記冷媒体設備4については、職場環境の温度を気にしない外気(熱気)をそのまま電動ファンで吸気を行うという気化熱を利用しただけの既存品と異なり、前記冷却材4a同士の隙間にある通気口4bを外気が通過することにより変換発生する冷気で、前記耐熱服1内の熱気を冷気に変換させることができるものである。特に最高気温だけでなく快適温度自体も個々によって変化する昨今、気化熱を利用するだけで体感温度を感じるのではなく、前記冷媒体設備4内に外気が通過することにより変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れることにより、体感温度を快適温度へ近付けさせて、各使用者自身が様々な職場環境にて快適性を明確に感じることを目的とする。尚、前記冷媒体設備4の詳細な内容は以下の通りである。
前記冷媒体設備4については、前記耐熱服1と着脱可能な同形型、半袖シャツ型、ベスト型、コルセット型等の型式となり(左から順次重量感あり)、通気性の良い素材等の中に前記冷却材4aと前記通気口4bが交互(一緒)に配列されている。上述(0021)も兼ねて、前記冷媒体設備4や前記通気口4b部分を、例えば、スポンジ等でも使用しているクッション素材やメッシュ素材等で、製作しても良い。尚、設置場所については、外気を素早く取り込むためにも、前記吸気口2周辺に集約されているのが良い。また後程でも一部記載しているが、前記通気口4bの大きさや長さ等(長さを含めた体積のことで、同じ体積でも太くて短いのはNG)によって、流入する外気の冷却時間等が変わり、変換発生した冷気の温度にも影響することから、前記吸気口2内にある吸気用の取込口と前記通気口4bの通路が、できるだけ接続に近い状態であることが望ましい。
前記冷却材4aの中身については、着脱可能な冷却ジェル(保冷剤)や氷の容器、循環式の冷却水とその他付属ユニット等を用いて、前記冷却材4a同士の隙間にある前記通気口4bに外気が通過することにより冷気へ変換発生することができる。
前記冷媒体設備4の型式については、型式自体の総重量等(軽量が理想)にも関係するが、状況や必要に応じて変更することができる。型式によって前記通気口4bの大きさや長さ(全体の体積)等が変化することにより、流入する外気の冷却時間や温度も変化する。その冷却時間を延長させる一案として、前記通気口4b自体の形状を変えることもできる。図面においては、直線状の前記通気口4bで作成しているが、例えば、クランクや蛇行、螺旋の形状に変更させて、前記通気口4b自体の長さを延長することができる。
前記冷却材4aの容器については、前記冷媒体設備4内での収納や短時間で冷気へ変換発生するためであれば、容器自体の形状等も含めて変更することができる。記載している内容では、前記冷却材4aと前記通気口4bについて交互(一緒)に配列されているが、例えば、前記冷却材4aの容器自体に多数の貫通した通気口(セメントブロックのような形)を予め設けて、貫通した通気口の周囲を前記冷却材4aで囲い、その貫通した通気口を前記通気口4bとして使用することもできる。
前記冷却材4aの中身について、前記冷却ジェルや氷の容器を使用する方が簡易的かつ安価であると思われるが、もし前記循環式の冷却水とその他付属ユニットを使用する場合は、前記冷却水以外に、柔軟で熱伝導率が良く、直列若しくは複数を含む並列の工夫した循環用の配管チューブと小型ポンプ、前記冷却水を貯蔵するための気密性の高いタンク、冷却水の温度維持管理する別途冷媒体等を用意する必要がある。尚、前記小型ポンプを稼働する電源については、前記電源5aを併用することができる。
その他前記冷却材4aについては、簡易的に現地調達が可能な場合に限り、ドライアイス等を使用することもある。ドライアイス等の昇華を利用して、冷気を発生させるものである。よってその際は、前記冷却材4aの昇華力を利用するため、前記冷却材4a自体の定期的な補充は必要であるが、前記冷却水や前記小型ポンプ、温度維持管理する前記別途冷媒体等は不要、場合によってドライアイス自体を前記耐熱服1内に直接取り込んで、外気と一緒に排気することも考えられるので、前記通気口4b自体も不要になるかもしれない。
前記冷媒体設備4の使用については、使用者の日々の体調状況によって、腹部内を不調にさせるということもある。できるだけ冷却を控えなければならない場合においては、以下のようにどのような方法を用いることもできる。例えば、前記耐熱服1自体の使用を控えることは無論、前記電動ファン3の回転数の調整、着脱可能な前記冷却材4aの容器数自体を減らすこと等も含めて、工夫をすることができる。
前記電源ユニット5については、軽量で長時間の連続稼働ができる最近の燃料電池等が望ましい。しかし職場環境によって、前記電源ユニット5は燃料電池だけに限らず、商用電源を使用しても良い。特に行動範囲が固定されている職場環境の場合においては、延長コード等を使用して直接商用電源で前記電動ファン3を稼働させることができる。
前記電源ユニット5の収納場所については、前記耐熱服1の裏生地内に設けられたポケット5b等に収納されるのが望ましい。また詳細な収納場所については、前記電動ファン3と前記電源5aを接続するコード等の関係も含めて、できるだけ前記電源ファン3から近い場所が良い。また前記電源ファン3の稼働スイッチや回転数の調整操作盤についても、できるだけ有線で、行動や作業中でも調整できるよう手の届く範囲内にあるのが望ましい。
温度調整について、既存品の温度調整は概ね前記電動ファン3の回転数の加減だけで、ある程度体感温度の調整が可能(特に夏場の最低温度の調整幅が限定的)になるが、本発明は、前記電動ファン3の回転数の加減だけでなく、前記冷媒体設備4の通気口4bから変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れること、多数存在する前記吸気口2の開口数量や開口部の大きさを使用者の方で各自調整することにより、既存品より体感温度の調整幅が拡大できる。また逆に寒さを感じる場合においても、上述以外にも着脱可能な前記冷却材4aの容器数自体等を減らすことにより調整することができる。
前記電動ファン3については、排気するためにも用いられるので、吸気とのバランスを保つことにより、前記耐熱服1と身体との密着度や気道の確保もある程度調整できる。
以下からの説明は、主として通常の排気式耐熱服の実施例に関するものである。気密性の高い前記耐熱服1において、前記耐熱服1の胴回り周辺に前記吸気口2の先端をジッパーや面ファスナで口径を調整することにより吸気量の流入自体を調整する手段を複数備え、前記耐熱服1内の上層部に滞留する熱気及び湿気を排気するためにも用いられる着脱可能な前記電動ファン3と、前記耐熱服1の裏生地に着脱可能な前記冷媒体設備4を備えると共に、前記電動ファン3を稼働させるための着脱可能な前記電源ユニット5を設置されている。
まず今回の排気式耐熱服自体の詳細内容について、一例として以下の通りとする。前記電動ファン3については、脇を閉じて行う行動や業務がほぼ皆無な状態のため、比較的邪魔にならない上腕との付け根部分である脇の少し後方上方周辺(脇下も気道の一部に利用)に二箇所設置で形成する。前記冷媒体設備4の型式はコルセット型として、前記冷却材4aは着脱可能な冷却ジェルの容器で、外気を通過させる前記通気口4bと交互(一緒)で配列されており、前記電源5aは燃料電池とする。尚、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において、変更することもある。しかしこの一例が、おそらく構造上においても簡易的かつ安価で製作できるものと思われる。
第一段階として前記耐熱服1を着用後に、前記耐熱服1の胴回り下方部と身体、袖口と腕部分、襟元周辺と首部分等の隙間を埋めるように努める。用いる方法としては、ゴムや紐、ボタン、ホック、面ファスナ等を利用して隙間を埋めて気密性を高める。
上記のように実施されて各隙間が減らされた上で、前記電源5aに接続されている前記電動ファン3を稼働させる。改めて言うまでもないが、前記耐熱服1の素材は、上述(0020)のように表生地は目の細い生地を使用して、裏生地はアルミ箔等比較的熱伝導率の高い素材でコーティングされた気密性の高い生地を使用する。
前記電動ファン3の稼働により、前記耐熱服1内の熱気及び湿気を排気されて、前記耐熱服1が伸縮する。その前後に、胴回り周辺にある前記吸気口2のジッパー等を順次開口して、前記電動ファン3で外気を前記通気口2より流入させる。尚、前記通気口2の開口するタイミングや前記吸気口2の開口数量や開口部の大きさ、また前記電動ファン3の回転数の加減については、使用者自身で計るものとする。
外気が前記吸気口2より流入して、従来の気化熱を利用するだけで体感温度を感じるのではなく、前記冷却材4a同士の隙間にある通気口4bを外気が通過することにより変換発生する冷気や前記冷媒体設備4自体にも直接または間接的に触れることにより、体感温度を快適温度へ近付けさせる。また前記電動ファン3の排気力を持って、冷気が体温で変換された熱気と発汗や結露で発生した湿気を排気することで、前記耐熱服1内の通気性も含めて生理的環境が改善する。
本発明による産業上の利用される可能性としては、特に空調(外気温度)の整っていない屋内職場、通常の屋外職場、酷暑(過酷)の屋内外職場(直接間接関係なく火を使用する職場も含む)であれば、利用される可能性が大である。レジャーや比較的外気温度が整っている環境であれば、特許文献に記載れているような既存品でも有効と判断できる。
1 : 耐熱服
2 : 吸気口
3 : 電動ファン(排気口)
4 : 冷媒体設備
4a : 冷媒体設備の冷却材
4b : 冷媒体設備の通気口
5 : 電源ユニット
5a : 電源ユニットの電源
5b : 電源ユニット収納内ポケット
6 : 耐熱服着脱用ジッパー