JP2004026493A - 給送装置とそれを備えた画像形成装置及びシート材の給送方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】傾斜部材5にローラ外周面が当接する分離ローラ6と給送ローラ4との間に、その給送ローラ4により給送されたシート材Pに接する凸部8を設け、その凸部8から傾斜部材5と分離ローラ6とが当接する分離圧点bまでの距離Kを、サイズや紙厚等が異なるシート材を使用してもシート材の腰の強さを近似させることができる距離にする。それにより、給送ローラ4は、その外径の大きさに関しての制約がなくなるので、それを小径化することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シート材積載部材に積載されたシート材を最上位のシート材から1枚ずつ分離して給送する給送装置とそれを備えた画像形成装置及びシート材の給送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シート材積載部材に積載されたシート材を最上位のシート材から1枚ずつ分離して給送する給送装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−139197号公報(第4頁、第4図)
【0004】
上記文献には、分離傾斜部を有する分離ガイドと、その分離ガイドのシート給送方向下流側に設けた突き当て手段である高摩擦部材とによりシート分離手段を構成し、その高摩擦部材を分離ガイドに板バネ等弾性部材を介して支持している点が記載されている。
その高摩擦部材は、シート材との摩擦係数が、シート材間の摩擦係数及び分離傾斜部とシート材との摩擦係数よりも大きくなるようにしている。したがって、給送ローラ(ピックアップローラ)により2枚以上のシート材が給送されると、そのシート材の先端が分離傾斜部に当接することにより1枚に分離され、最上位のシート材のみが搬送されていく。
また、従来のシート材積載部材に積載されたシート材を最上位のシート材から1枚ずつ分離して給送する給送方式としては、上述した分離傾斜部にシート材を突き当てて分離する土手分離方式の他に、シート材の給送方向の前端における幅方向の両端部を爪部材により押さえて分離させるコーナ爪分離方式や、摩擦部材を押圧してシート材を分離する分離パッド方式等もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような分離パッド方式は、特に低価格の10PPM(画像形成速度が1分間に10枚)以下の低速機の場合、給送ローラと摩擦部材とに挾持されたシート材により搬送時にスティッキングスリップに起因する異音が発生するため、給送ローラを半月形状にする対策をとる必要が生じる。そのため、給送ローラと同軸上にシート材積載部材の上昇を制限するための円筒状のカラーを、給送ローラの両側に設ける必要があったので、部品点数が増えて生産コストが上昇してしまうということがあった。
また、最近はリサイクル紙の使用増加に伴って、給送する葉書,封筒等のシート材の搬送方向の先端部がささくれていたり、裁断時にバリが発生していたりするものが多いため、それが給送時の搬送負荷となり、分離パッド方式ではシート材の不送りが生じやすいということがあった。
さらに、コピー紙の再利用ということでシート材の裏面側に画像を形成することも増えており、その場合は表面の画像を形成した後のシート材はカールしているものが多いので、そのカール方向によっては分離部でシート材の先端に負荷が生じて不送りになる恐れがあった。
なお、分離パッド方式の場合には、パッドの平面部を給紙ローラに押圧させているため、積載状態から繰り出されるシート材の搬送方向(底板等のシート材積載部材の変位角に対応する)に対して分離パッドの角度を所定の範囲内の角度としなければならないので、そのために給紙ローラのローラ径が制限され、レイアウトの自由度も制約を受けるため給紙装置の小型化が図りにくいという問題点もあった。
【0006】
一方、土手分離方式の場合は、使用するシート材の種類が異なっても、それらのシート材の腰の強さ(曲げ弾性係数)を近似させて良好な分離が行なえるようにするためには、例えば図41に示すように、給送ローラ54と底板52上に積載されたシート材Paとの圧接部位Aと、給送ローラ54と傾斜面55aを有する固定の傾斜部材55との圧接部位Bとのシート材繰り出し方向の距離K′を2〜6mmにし、繰り出されるシート材Paの繰り出し方向Sに対して傾斜部材55の傾斜面55aがなす角度θを50°〜70°にするとよいことが実験の結果から判っている。
ところが、このようにするためには、給送ローラ54はその外周が上記の圧接部位A,Bの両方に同時に接するようにしなければならないが、そのようにすると給送ローラ54は直径が大きくなってしまうため、給送装置全体が大きくなってしまい、装置全体の小型化が図りにくいという問題点があった。
この発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、少ない部品構成でありながら多種多様のシート材を不送りや重送を発生させることなしに1枚ずつ確実に分離して給送することができる給送装置とそれを備えた画像形成装置及びシート材の給送方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、回動自在なシート材積載部材と、そのシート材積載部材上に積載されてそのシート材積載部材の回動により上昇されたシート材の給送先端側に接触してそのシート材を給送する給送ローラと、その給送ローラにより給送されたシート材の前端が突き当たる傾斜面を有する傾斜部材とを備え、その傾斜部材により複数枚の記録紙を1枚ずつ分離するようにした給送装置において、
上記傾斜部材にローラ外周面が当接する分離ローラを設け、その分離ローラと上記給送ローラとの間にその給送ローラにより給送されたシート材に接する凸部を設けたものである。
上記凸部は、給送ローラと分離ローラを共に回転可能に支持する搬送ガイド部材に設けるとよい。
【0008】
また、大量のシート材を積載可能なシート材積載部材と、そのシート材積載部材を水平状態で昇降させる積載部材昇降機構と、その積載部材昇降機構により給送位置まで上昇されたシート材積載部材上のシート材に押圧接触してそのシート材を給送する給送ローラと、その給送ローラにより給送されたシート材の前端が傾斜面に突き当たることによりシート材を1枚ずつ分離する傾斜部材とを備えた給送装置において、
上記傾斜部材に外周面が当接するように分離ローラを回転可能に設けると共に、その分離ローラの回転軸を支持する支持部材を設け、その支持部材に給送ローラを回転可能に支持して上記支持部材を上記回転軸を支点として揺動可能とし、上記支持部材の分離ローラと給送ローラとの間に位置する部分に給送ローラにより給送されたシート材に接する凸部を設けるとよい。
そして、上記分離ローラは、樹脂材質で形成するとよい。
また、上記凸部は、低摩擦部材の弾性体で形成するか、又は剛体で形成してそれを弾性変形部を介して支持部分に設けるとよい。
【0009】
さらに、上記のような傾斜部材により複数枚の記録紙を1枚ずつ分離するようにした給送装置において、上記傾斜部材にローラ外周面が当接する分離ローラを設け、その分離ローラの駆動タイミングを給送ローラの駆動タイミングよりも遅延させるようにするとよい。
同様に、大量のシート材を積載可能なシート材積載部材と、そのシート材積載部材を水平状態で昇降させる積載部材昇降機構と、その積載部材昇降機構により給送位置まで上昇された上記シート材積載部材上のシート材に押圧接触してそのシート材を給送する給送ローラと、その給送ローラにより給送されたシート材の前端が傾斜面に突き当たることによりシート材を1枚ずつ分離する傾斜部材とを備えた給送装置において、
上記傾斜部材に外周面が当接するように分離ローラを回転可能に設け、その分離ローラの駆動タイミングを給送ローラの駆動タイミングよりも遅延させるようにするとよい。
そして、その給送ローラと分離ローラは同一の駆動源により回転させるとよい。
【0010】
また、シート材積載部材に積載されたシート材を1枚ずつ分離して給送する給送装置において、
上記シート材に圧接してそのシート材を分離部へ繰り出す給送ローラと、その給送ローラにより繰り出されたシート材を案内する搬送ガイドと、その搬送ガイドに圧接し上記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を有する傾斜部材とを設ける。
その搬送ガイドは、給送ローラを回転自在に軸支する支持部材と一体化するとよい。あるいは、その搬送ガイドを金属材で形成するとよい。
さらに、上記いずれかの給送装置を備えた画像形成装置も提供する。
【0011】
また、シート材積載部材に積載されたシート材に圧接してそのシート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その給送手段にニップ形成部で圧接し上記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材とを有すると共に、上記分離部には上記傾斜部材にローラ外周面が当接する分離ローラを有する給送装置のシート材の給送方法であって、
以下の条件式を満足する条件下で、上記給送手段を回転させてシート材を上記分離部へ繰り出し、繰り出された上記シート材を傾斜部材の傾斜面により分離するシート材の給送方法も提供する。
P>Rf・A/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp
A=sinθp2+μ2・cosθp2
但し P:給紙圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度
【0012】
さらに、同様なシート材の給送方法であって、以下の条件式を満足する条件下で、給送手段を回転させてシート材を分離部へ繰り出し、繰り出されたシート材をニップ形成部により分離するシート材の給送方法も提供する。
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度
【0013】
さらにまた、同様なシート材の給送方法であって、以下の条件式を満足する条件下で、給送手段を回転させてシート材を分離部へ繰り出し、繰り出されたシート材を傾斜部材の傾斜面並びにニップ形成部により分離するシート材の給送方法も提供する。
P>Rf・A/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度
【0014】
また、シート材積載部材に積載されたシート材に圧接してそのシート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その分離部に設けた分離部材と、その分離部材にニップ形成部で圧接しシート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材と、その傾斜部材と給送手段との間にその給送手段により給送されたシート材に接する凸部とを有する給送装置のシート材の給送方法であって、
以下の条件式を満足する条件下で、給送手段を回転させてシート材を分離部へ繰り出し、繰り出されたシート材をニップ形成部により分離するシート材の給送方法を提供する。
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度
【0015】
さらに、同様なシート材の給送方法であって、以下の条件式を満足する条件下で、給送手段を回転させてシート材を分離部へ繰り出し、繰り出されたシート材を傾斜部材の傾斜面並びにニップ形成部により分離することを特徴とするシート材の給送方法も提供する。
P>Rf・A/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
上記傾斜部材の傾斜面にシート材の繰り出し方向の先端が突き当たる角度は、50°乃至70°に設定するとよい。
また、シート材積載部材に積載されたシート材に圧接してそのシート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その分離部に設けた分離部材と、その分離部材にニップ形成部で圧接しシート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材と、その傾斜部材と上記給送手段との間にその給送手段により給送されたシート材に接する凸部とを設け、
以下の条件式を満足する条件下で、上記給送手段を回転させてシート材を分離部へ繰り出し、繰り出されたシート材を上記傾斜部材の傾斜面により分離するようにしたシート材の給送装置も提供する。
P>Rf・A/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度
また、以下の条件式を満足する条件下で、給送手段を回転させてシート材を分離部へ繰り出し、繰り出されたシート材をニップ形成部により分離するようにしたシート材の給送装置も提供する。
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度
さらに、以下の条件式を満足する条件下で、給送手段を回転させてシート材を分離部へ繰り出し、繰り出されたシート材を傾斜部材の傾斜面並びにニップ形成部により分離するようにしたシート材の給送装置も提供する。
P>Rf・A/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度
なお、これらの給送装置において、傾斜部材の傾斜面にシート材の繰り出し方向の先端が突き当たる角度は、50°乃至70°に設定するとよい。また、その給送装置を備えた画像形成装置も提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明による給送装置の一実施形態例を示す概略構成図、図2は同じくその給送装置を示す斜視図、図3は同じくその給送装置を備えた画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図3に示す画像形成装置である複写機は、複写機本体31内に設けている光学読取系32により読み取った画像データを基にして、光書込系33が作像系34に設けている感光体ドラム35上に潜像を形成し、その潜像を作像系34の現像装置36がトナーにより可視像としている。
複写機本体31の下部には給送装置(給紙装置)1が設けてあり、その給送装置1から給送した記録紙であるシート材Paは、搬送ローラ対7によって搬送路37を搬送されて作像系34に至り、そこで感光体ドラム35上の可視像(トナー像)が転写される。
その可視像が転写されたシート材Paは、定着装置38に搬送されてそこで可視像が定着された後、排紙ローラ対39により外部の排紙トレイ40に排出される。また、両面画像形成時には、シート材Paは図示しない排紙分岐爪により反転搬送路41から両面装置42へ向けて搬送され、両面トレイ43に一旦格納された後に進行方向が逆転されて、両面搬送路44から再び作像系34に送り込まれて裏面に画像が形成され、定着装置38を通って排紙トレイ40上に排出される。
なお、図3では図面を簡略化するため、給送装置1は1個のみを示したが、必要に応じてサイズの異なる複数個の給送装置を設けることも可能である。また、この給送装置を有する画像形成装置は複写機に限るものではなく、ファクシミリ,プリンタ等にも何等支障なく適用することができる。
【0017】
給送装置1は、図1に示すように同図で左方側の端部を支点として回動自在なシート材積載部材である底板2と、その底板2上に積載されてその底板2の回動により上昇されたシート材Paの給送先端側(同図で右方側)上面に接触して矢示A方向に回転することによりシート材Paを給送する給送ローラ4と、その給送ローラ4により給送されたシート材Paの前端が突き当たる傾斜面5aを有する傾斜部材5とを備えており、その傾斜部材5により複数枚のシート材Paを1枚ずつ分離するようにしている。
また、この給送装置1は、傾斜部材5にローラ外周面が当接する分離ローラ6を設けており、その分離ローラ6と給送ローラ4との間にその給送ローラ4により給送されたシート材Paに接する凸部8を設け、その凸部8を給送ローラ4と分離ローラ6を共に回転可能に支持する搬送ガイド部材9に設けている。
傾斜部材5は、支点13を中心にして矢示B方向に回動可能であり、その傾斜部材5の下面は分離圧バネ12により押圧されていて、その分離圧バネ12による付勢力により傾斜部材5が図示のように分離ローラ6のローラ外周面に接している。
【0018】
搬送ガイド部材9には、図2に示すように給送ローラ4の軸部4aの両端部を支持する対の支持部9a,9bを、例えば切り起こし加工により形成し、その支持部9a,9bにより給送ローラ4の軸部4aを回転可能に支持している。また、この搬送ガイド部材9には、分離ローラ6の軸部6aの両端部を支持する対の支持部9c,9dを、例えば切り起こし加工により形成し、その支持部9c,9dにより分離ローラ6の軸部6aを回転可能に支持している。
この給送装置1は、給送が可能な状態では、図1に示したように底板2上に積載されたシート材Paが、同図で左方側の端部を支点として底板2が同図で反時計回り方向に回動することにより給送先端側が図示のように給送ローラ4に押圧接触している。
ここで、給送ローラ4を矢示A方向に回転させると、最上位のシート材Paが傾斜部材5に向けて給送される。そして、複数枚のシート材Paが分離ローラ6と傾斜部材5との間に送り込まれたときには、それが1枚づつ分離され、図3に示した搬送路37へ給送される。
【0019】
ところで、従来の給送ローラにより給送したシート材の前端を傾斜部材の傾斜面に突き当てることにより複数枚のシート材を1枚ずつ分離するようにした給送装置では、サイズや紙厚の異なるシート材を使用してもそれらの分離を良好に行なえるようにするためには、例えば図41で説明したように、底板52上に積載されたシート材Paと給送ローラ54との圧接部位Aから給送ローラ54と傾斜部材55との圧接部位Bまでのシート材繰り出し方向の距離K′を2〜6mmにし、その繰り出されるシート材Paの繰り出し方向Sに対する傾斜部材55の傾斜面55aのなす角度θを50°〜70°にすると好ましい結果が得られることを前述した。
ところが、このようにするためには、給送ローラ54はその外周が上記の圧接部位A,Bの両方に同時に接する大きさにしなければならないので直径が大きくなってしまうため、給送装置全体が大きくなってしまうということがあった。
【0020】
しかしながら、この実施の形態による給送装置1は、図1で説明したように分離ローラ6と給送ローラ4との間に凸部8を設けているので、その凸部8から分離ローラ6が傾斜部材5に圧接する分離圧点(ニップ形成部)bまでの距離Kを、図41に示した距離K′(図1の給紙圧点aから分離圧点bまでの距離に一致)と同一にすることで、使用するシート材の種類が異なっても、それらのシート材の腰の強さ(曲げ弾性係数)を近似させることができるので、良好な分離品質が得られる。
それにより、図1に示したように給送ローラ4を分離ローラ6から離れた位置に配置することが可能となり、しかもその給送ローラ4の小径化も図れる。したがって、図1には従来の給送ローラ54を仮想線で図示したが、それに比べて給送ローラ4の小径化が図れる分だけ装置全体を高さ方向に小型化することができる。
また、この実施の形態では、前述したように凸部8を、給送ローラ4と分離ローラ6を共に回転可能に支持する搬送ガイド部材9に一体に設けているので、その凸部8と給送ローラ4との位置関係、及び凸部8と分離圧点bとの位置関係の精度を、それらを別体の部品に設けた場合に比べて向上させることができる。それにより、給送搬送品質の安定化が図れる。
【0021】
図4は大量のシート材を積載可能な記録紙積載板を有する給送装置の実施形態を示す図1と同様な概略構成図、図5は同じくその給送装置を示す分解斜視図であり、図1と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施形態による給送装置は、大量のシート材を積載可能なシート材積載部材であるシート積載板22と、そのシート積載板22を水平状態で昇降させる積載部材昇降機構である積載板昇降機構23と、その積載板昇降機構23により図4に示す給送位置(給紙位置)まで上昇されたシート積載板22上のシート材Paの最上位のものの上面に押圧接触してそのシート材Paを給送する給送ローラ4と、その給送ローラ4により給送されたシート材Paの前端が傾斜面5aに突き当たることによりシート材Paを1枚ずつ分離する傾斜部材5とを備えている。
【0022】
また、傾斜部材5に外周面が当接するように分離ローラ6を回転可能に設けると共に、その分離ローラ6の回転軸となる軸部6aを支持する縦断面形状が図5に示すようにコ字状の支持部材24を設け、その支持部材24に給送ローラ4の軸部4aも回転可能に支持してその支持部材24を分離ローラ6の軸部6aを支点として揺動可能とし、支持部材24の分離ローラ6と給送ローラ4との間に位置する部分に給送ローラ4により給送されたシート材Paに接する凸部8を設けている。
図4に示した積載板昇降機構23は、例えば上下方向に間隔を置いてプーリをそれぞれ設けると共に、そのプーリ間にベルトを張装し、そのベルトの一箇所にシート積載板22を固定して、プーリをモータ等により正逆両方向に回転させてベルトを回動させることにより、シート積載板22を昇降させる公知の機構である。
【0023】
図5に示した分離ローラ6の軸部6aの同図で左方側の一端には、トルクリミッタ20が取り付けられていて、そのトルクリミッタ20は図示しない駆動源により矢示C方向に回転される駆動軸25に取り付けられている。そして、そのトルクリミッタ20には係合爪20aを形成し、その係合爪20aが支持部材24の一方の側壁に外側に向けて突設した突起26に係合するようにしている。
それにより、駆動軸25を矢示C方向に回転させると、トルクリミッタ20の係合爪20aにより突起26が押し下げられるため、支持部材24が分離ローラ6の軸部6aを支点にして、図5で反時計回り方向に回動する。すると、その支持部材24に回転可能に支持されている給送ローラ4が押し下げられるため、それが図4に示した給送位置まで上昇されているシート材Paの最上位のものに接触し、その紙面を押し下げる方向に加圧する。
ここで、その加圧力が給送に適した値まで高まると、トルクリミッタ20に加わる負荷が高まってトルクの伝達部分に滑りが生じるようになるため、給送ローラ4のシート材Paに対する加圧力が一定に保たれる。
【0024】
図5に示した分離ローラ6の軸部6aの他端側には、断面形状を略D形状とするギヤ取付部を形成し、そこに分離ローラギヤ27を固定し、その分離ローラギヤ27を支持部材24の側壁に回転自在に取り付けたアイドルギヤ28に噛み合わせ、そのアイドルギヤ28を給紙ローラギヤ29に噛み合わせている。
その給紙ローラギヤ29は、給送ローラ4の軸部4aの一端に形成している断面形状を略D形状とするギヤ取付部に固定されている。また、分離ローラギヤ27には、図示しないローラ駆動源に接続されて矢示E方向に回転するローラ駆動軸46の先端部に固定されているギヤ47が噛み合っている。
したがって、ローラ駆動軸46を矢示E方向に回転させてギヤ47を同方向に回転させると、そのギヤ47に噛み合っている分離ローラギヤ27が回転し、続いてアイドルギヤ28、給紙ローラギヤ29が回転するため、給送ローラ4が図4で矢示A方向に回転し、それによりシート材Paを給送する。
その給送されたシート材Paは、分離ローラ6と傾斜部材5との間に送り込まれ、それが1枚づつ分離され、作像系(画像印字部)へ搬送される。
【0025】
この実施の形態による給送装置も、分離ローラ6と給送ローラ4との間に凸部8を設けているので、その凸部8がシート材と接する給紙圧点aから分離ローラ6と傾斜部材5との分離圧点(ニップ形成部)bまでの距離Kを、図41で説明した距離K′と同一にすることで、良好な分離品質が得られる。
それにより、給送ローラ4を分離ローラ6から離れた位置に配置することが可能となり、しかもその給送ローラ4の小径化が図れる。
したがって、シート積載板を水平状態で昇降させる大量給送が可能な従来の一般的な給送装置においては、給送位置まで上昇させたシート積載板を固定した状態で、そのシート積載板上に積載されているシート材の最上位のものに給送ローラ(ピックアップローラ)を押し付けて加圧する機構が必要であると共に、その給送ローラのシート材搬送方向下流側には互いに圧接させた対の分離逆転ローラと送りローラとからなる分離機構が必要であったが、この実施形態による給送装置は給送ローラ4のシート材搬送方向下流側に凸部8を設けたことで、シート材の分離部に対のローラを設けたりせずに、1つの分離ローラ6とその分離ローラ6に接する傾斜部材5を設けるだけで分離部を構成することができる。
それにより、分離部にコスト高となる分離逆転ローラを必要としない分だけ安価にできながら、大量給送が可能な給送装置にすることができる。
さらに、図5に示したように、給送ローラ4と分離ローラ6はそれぞれ1個ずつの配置であり、分離ローラ6を給送ローラ4の両側に1個ずつ合計2個配置する必要もないので、部品費の低減効果に加えて、省スペース化も図れる。
【0026】
なお、この実施の形態では、図5で説明したように、分離ローラ6を複数のギヤを使用した伝達系により強制回転させてシート材を1枚ずつ分離させる構成の例を示したが、分離ローラギヤ27を分離ローラ6の軸部6aに対して自由回転可能に取り付けるようにして、分離ローラ6を自由回転させる構成にしてもよい。
また、分離ローラ6は、シート材と接する部分をゴム材で形成するのが普通であるが、それを樹脂材質で形成するようにしてもよい。そうすれば、分離ローラ6を安価に製作することができると共に、駆動構成部品(分離ローラギヤ27)を軸部6aと一体で成形により形成することができるので、よりコストダウンが図れる。
【0027】
図6は剛体で形成した凸部が弾性変形部を介して支持部分に設けられているようにした給送装置の実施形態の搬送ガイド部材を示す斜視図であり、図2と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施の形態では、給紙ローラ4と分離ローラ6(いずれも図7を参照)を共に回転可能に支持する搬送ガイド部材9′に、剛体からなる凸部8の両端に対応する位置に切り欠き部48,49を形成することにより搬送ガイド部材9′に弾性変形部9eを設け、それにより凸部8が弾性変形部9eを介して搬送ガイド部材9′に一体に設けられているようにしている。
このようにすれば、図7に示すように底板2を矢示G方向に回動させたときに、例えばシート材Paに再利用紙(表面に既に画像が形成されている一度使用したシート)を使用してその裏面に画像を形成しようとしたときには、その再利用紙は一度定着装置等を通過しているため給紙方向の先端側が波打っていたり、カールしていたりすることにより、底板2上に積載されているシート材Paの最上位の紙面に凸部8が給紙ローラ4よりも先に接触することがあるが、このようなときでも凸部8は弾性変形部9eを介して搬送ガイド部材9′に支持されているため、その弾性変形部9eが捻れるか、あるいは撓むことによって凸部8が図8に示すように押し上げられるようになる。したがって、給紙ローラ4が図示のように確実にシート材Paに接触し、その間に搬送ニップが形成される。それにより、不送り等の給紙不良を防止することができる。
なお、このように凸部8が給紙ローラ4よりも先にシート材の上面に接触するのは、給送装置を構成している各部品精度のバラツキ等によっても起こる。
【0028】
また、凸部8は、それ自体を弾性体で、且つ低摩擦の部材で形成するようにしてもよい。そうすれば、上記のように底板2を回動させたときに、各部品精度のバラツキ等により凸部8が給紙ローラ4よりも先にシート材Pa上に接触したとしても、その凸部8は弾性変形するので給紙ローラ4を確実にシート材上に接触させることができる。また、凸部8は低摩擦の部材で形成されているため、その凸部8が給紙ローラによって給紙されるシート材に対して支障を来すような搬送負荷を与えてしまうようなこともない。
このように、凸部8の突出方向の先端が給紙ローラ4よりも先にシート面に接するような位置関係にあると、給紙ローラ4によって分離部へ送り出されるシート材に対して凸部8が負荷を与えるようになるため、それにより不送りとなることが懸念される。
したがって、凸部8の突出方向の理想的な位置は、凸部8の突出方向の先端がシート面に接する前に給紙ローラ4が先にシート面に接触し、その給紙ローラ4の周面が適度につぶれて給紙に適した搬送ニップがシート面との間に形成された状態で、凸部8の突出方向の先端がシート面に接する位置関係にするのがよい。
さらに、好ましくは給紙ローラ4の耐久性をも考慮して、その給紙ローラ4の耐久的な摩耗量も考慮して、給紙ローラ4と凸部8の突出方向の位置を決めるとよい。
【0029】
図9は分離ローラの駆動タイミングを給送ローラの駆動タイミングよりも遅延させるようにした給送装置の実施形態を示す概略構成図、図10は同じくその給送装置を示す斜視図、図11は同じくその給送装置を備えた画像形成装置の一例を示す全体構成図であり、図1乃至図3と対応する部分には同一の符号を付してある。
なお、図11に示した画像形成装置は、図3で説明した画像形成装置と給送装置1′のみが異なるだけであり、その他の各部の構成は同一であるため、その全体の構成及び各部の動作説明は省略する。
図9に示す給送装置1′は、図1で説明した給送装置1と同様に、図9で左方側の端部を支点として回動自在なシート材積載部材である底板2と、その底板2上に積載されてその底板2の回動により上昇されたシート材Paの給送先端側(同図で右方側)上面に接触して矢示A方向に回転することによりシート材Paを給送する給送ローラ4と、その給送ローラ4により給送されたシート材Paの前端が突き当たる傾斜面5aを有する傾斜部材5とを備えており、その傾斜部材5により複数枚のシート材Paを1枚ずつ分離するようにしている。
また、この給送装置1′は、傾斜部材5にローラ外周面が当接する分離ローラ6を設けており、その分離ローラ6と給送ローラ4との間にその給送ローラ4により給送されたシート材Paに接触点aで接する凸部8を設け、その凸部8を給送ローラ4と分離ローラ6を共に回転可能に支持する搬送ガイド部材9に設けている。
傾斜部材5は、支点13を中心にして矢示B方向に回動可能であり、その傾斜部材5の下面は分離圧バネ12により押圧されていて、その分離圧バネ12による付勢力により傾斜部材5が図示のように分離ローラ6のローラ外周面に接している。
【0030】
搬送ガイド部材9には、図10に示すように給送ローラ4の軸部4aの両端部を支持する対の支持部9a,9bを、例えば切り起こし加工により形成し、その支持部9a,9bにより給送ローラ4の軸部4aを回転可能に支持している。また、この搬送ガイド部材9には、分離ローラ6の軸部6aの両端部を支持する対の支持部9c,9dを、例えば切り起こし加工により形成し、その支持部9c,9dにより分離ローラ6の軸部6aを回転可能に支持している。
この給送装置1は、給送が可能な状態では、図1に示したように底板2上に積載されたシート材Paが、同図で左方側の端部を支点として底板2が同図で反時計回り方向に回動することにより給送先端側が図示のように給送ローラ4に押圧接触している。
ここで、給送ローラ4を矢示A方向に回転させると、最上位のシート材Paが傾斜部材5に向けて給送される。そして、複数枚のシート材Paが分離ローラ6と傾斜部材5との間に送り込まれたときには、それが1枚づつ分離され、それが搬送路37(図11参照)へ給送される。
【0031】
この給送装置1′も、図1で説明した給送装置1と同様に、分離ローラ6と給送ローラ4との間に凸部8を設けている。それにより、使用するシート材の種類が異なっても、それらのシート材の腰の強さ(曲げ弾性係数)を近似させることができるので、良好な分離品質が得られる。
また、凸部8は、給送ローラ4と分離ローラ6を共に回転可能に支持する搬送ガイド部材9に一体に設けているので、その凸部8と給送ローラ4との位置関係、及び凸部8と分離圧点(ニップ形成部)bとの位置関係の精度を、それらを別体の部品に設けた場合に比べて向上させることができる。それにより、給送搬送品質の安定化が図れる。
ところで、この給送装置1′のように、所定のサイズに裁断されたシート材Paを複数枚積層状態で底板2上に積載し、それを分離ローラ6と傾斜部材5とにより分離して給送する構成の場合には、その給送するシート材Paが、製造時の裁断過程でできるバリによりシート材の給送先端間の端部が密着状態になっていたり、静電気等でシート材間に貼り付きが生じてシート材間の密着力が高い状態になっているときには、それが2枚以上重ねられた状態で給送される重送が発生しやすい。
そこで、この給送装置1′では、分離ローラ6の駆動タイミングを給送ローラ4の駆動タイミングよりも遅延させるようにしている。このようにすると、給送ローラ4により密着状態のシート材が複数枚同時に給送されたとしても、そのシート材はまだ停止状態にある分離ローラ6と傾斜部材5とのニップに突き当たって先端部が、図12に示すように給送ローラ4と分離ローラ6の駆動タイミングの時間差分だけ上記ニップに押し付けられて撓む。それにより、シート材間に空気層14が形成されるので、シート材間の密着力が下がることによりシート材Paが1枚に確実に分離される。したがって、シート材Paの安定した分離給送ができるため給送搬送品質の安定化が図れる。
【0032】
次に、図13及び図14をも参照して分離ローラを給送ローラよりも遅らせて駆動させる遅延駆動機構について説明する。
図10に示したように、分離ローラ6の軸部6aの一端には、断面形状を略D形状とするギヤ取付部15を形成し、そこに分離ローラギヤ27′を係合させている。その分離ローラギヤ27′は回転自在に保持されるアイドルギヤ28に噛み合わせ、そのアイドルギヤ28を給送ローラ4の軸部4aに固定された給紙ローラギヤ29に噛み合わせている。
分離ローラギヤ27′は、図13及び図14に示すように中央部に、図示のようにC形に似た形状に形成した軸係合孔27aを設けている。そして、その軸係合孔27a内に、分離ローラ6の軸部6aの一端に形成しているギヤ取付部15を係合させている。
その軸係合孔27aは、図13に示すようにギヤ取付部15の一方の平面部15aが孔端面27bに接した状態にあるときに、他方の平面部15bと他方の孔端面27cとの間に角度θのギャップが形成されるようにしている。
【0033】
そして、図13に示した位置がシート材の給送開始状態であり、この状態から給送ローラ4が回転するのと同時に分離ローラギヤ27′が矢示C方向に回転しても、分離ローラ6の軸部6aは分離ローラギヤ27′の孔端面27cと平面部15bとの間には角度θのギャップが形成されているので、そのギャップがゼロになるまでは回転されない。すなわち、分離ローラ6の駆動タイミングが給送ローラ4の駆動タイミングよりも遅延する。
そして、図14に示したように分離ローラギヤ27′の孔端面27cが平面部15bに接することによりギャップゼロ(図13の角度θが0°)になると、分離ローラ6の軸部6aが分離ローラギヤ27′の回転力により矢示C方向に回転される。
その後、給送ローラ4はシート材の給送後に所定のタイミングで駆動源が停止されることにより回転を停止する。それと同時に、給送ローラ4を回転させるのと同一の図示しない駆動源(モータ)により回転される分離ローラギヤ27′も、上記駆動源の停止により回転が停止される。
【0034】
ここで、先端側が分離ローラ6を通過したシート材Paは、図11に示した搬送ローラ対7により搬送が継続されるので、そのシート材Paに分離ローラ6が接している間は、そのシート材Paにより分離ローラ6が軸部6aと共に図14で矢示C方向に連れ回りされる。その際、分離ローラギヤ27′は停止状態にあるので、軸部6aは図13に示したように平面部15aが孔端面27bに接する位置まで回転し、孔端面27cと平面部15bとの間に再び角度θのギャップが形成される。したがって、最初の給送待機状態に戻る。
このように、この給送装置では、同一駆動源により給送ローラ4と分離ローラ6を駆動させる構成であっても、図13に示した角度θの分だけ分離ローラ6の駆動タイミングを遅らせることができる。
【0035】
図15は遅延駆動機構を大量のシート材を積載可能なシート積載部材を有する給送装置に適用した実施形態を示す図9と同様な概略構成図、図16は同じくその給送装置を示す分解斜視図であり、図4及び図5と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施形態による給送装置は、図4で説明した給送装置と同様に、大量のシート材を積載可能なシート材積載部材であるシート積載板22と、そのシート積載板22を水平状態で昇降させる積載部材昇降機構である積載板昇降機構23と、その積載板昇降機構23により図15に示す給送位置まで上昇されたシート積載板22上のシート材Paの最上位のものの上面に押圧接触してそのシート材Paを給送する給送ローラ4と、その給送ローラ4により給送されたシート材Paの前端が傾斜面5aに突き当たることによりシート材Paを1枚ずつ分離する傾斜部材5とを備えている。
また、傾斜部材5に外周面が当接するように分離ローラ6を回転可能に設けると共に、その分離ローラ6の回転軸となる軸部6aを支持する縦断面形状が図16に示すようにコ字状の支持部材24を設け、その支持部材24に給送ローラ4の軸部4aも回転可能に支持してその支持部材24を分離ローラ6の軸部6aを支点として揺動可能とし、支持部材24の分離ローラ6と給送ローラ4との間に位置する部分に給送ローラ4により給送されたシート材Paに接する凸部8を設けている点も、図5で説明した給送装置と同様である。
そして、この給送装置の駆動系は、分離ローラ6の駆動タイミングを給送ローラ4の駆動タイミングよりも、図13で説明した角度θ分だけ遅延させる機構を設けている点のみが、図5で説明した給送装置の駆動系と異なるだけであるので、ここではその図5の給送装置と異なる点についてのみ説明する。
【0036】
図16に示した分離ローラ6の軸部6aの一端には、図10及び図13,図14で説明したギヤ取付部15を形成している。そして、図10で説明した場合と同様に、そのギヤ取付部15に分離ローラギヤ27′の軸係合孔27aを係合させている。したがって、この給送装置においても、分離ローラ6の駆動タイミングを給送ローラ4の駆動タイミングよりも、図13で説明した角度θ分だけ遅延させることができる。
なお、分離ローラギヤ27′は、支持部材24の側壁に回転自在に取り付けたアイドルギヤ28に噛み合っていて、そのアイドルギヤ28を給紙ローラギヤ29に噛み合わせている。
その給紙ローラギヤ29は、給送ローラ4の軸部4aの一端に形成している断面形状を略D形状とするギヤ取付部に固定されている。また、分離ローラギヤ27′には、図示しないローラ駆動源に接続されて矢示G方向に回転するローラ駆動軸46の先端部に固定されているギヤ47が噛み合っている。
【0037】
したがって、ローラ駆動軸46を矢示G方向に回転させてギヤ47を同方向に回転させると、そのギヤ47に噛み合っている分離ローラギヤ27′が回転し、続いてアイドルギヤ28、給紙ローラギヤ29が回転するため、給送ローラ4が図15で矢示A方向に回転し、それによりシート材Paを給送する。
その給送されたシート材Paは、分離ローラ6と傾斜部材5との間に送り込まれ、それが1枚づつ分離され、作像系(画像印字部)へ搬送される。
この実施の形態による給送装置も、分離ローラ6と給送ローラ4との間に凸部8を設けているので、良好な分離品質が得られる。
このように、このシート積載板22を水平状態で昇降させる大量給送が可能な給送装置は、給送ローラ4のシート材搬送方向下流側に凸部8を設けたことで、シート材の分離部に対のローラを設けたりせずに、1つの分離ローラ6とその分離ローラ6に接する傾斜部材5を設けるだけで分離部を構成することができる。それにより、分離部にコスト高となる分離逆転ローラを必要としない分だけ安価にできながら、大量給送が可能な給送装置にすることができる。
【0038】
図17は搬送ガイドとそれに圧接する傾斜部材とを備えた給送装置の実施形態を示す断面図、図18は従来からある搬送ガイドと傾斜部材とを備えた給送装置の一例を示す図17と同様な断面図であり、図17と図18で対応する部分には同一の符号を付してある。
図18の給送装置は、一端を図示しない枢軸で給紙カセット11に揺動自在に軸支されたシート材積載部材である底板2を、給紙カセット11との間に係着した圧縮ばね(図示せず)等により作用させる給紙圧Pにより自由端部が常時上方へ付勢しており、その底板2に複数のシート材Paを積載するようにしている。搬送ガイド部材である給紙筐体58には、給紙カセット11が挿脱可能に設けられており、その給紙筐体58には軸部54aにより給送ローラ54が回転自在に設けてある。また、この給紙筐体58には、分離部材として機能する搬送ガイド58aが一体に形成されていて、その搬送ガイド58aに形成している切欠部58bを介して給送ローラ54の一部が下方へ突出して最上位のシート材Pa1の先端部に圧接している。
【0039】
さらに、給紙筐体58と別筐体59に軸からなる支点13で傾斜部材5の基部を揺動自在に軸支し、圧縮ばねやねじりコイルばね等により作用させる分離圧Qにより傾斜部材5を図18で時計回り方向に付勢している。傾斜部材5の先端部には傾斜面5aを形成し、それに続く当接面5bを給送ローラ54の外周面に圧接させている。
このような構成で給送ローラ54が矢示A方向に回転すると、この給送ローラ54に圧接している最上位のシート材Pa1及びそれに摩擦結合する複数のシート材Paが図で右方に繰り出されて傾斜部材5の傾斜面5aに突き当たる。このとき、傾斜面5aのシート材搬送方向に対する角度を所定の範囲内に設定することにより、給送ローラ54との当接面5bと相俟って最上位のシート材Pa1を不送りなく画像形成部へ給送することが可能になる。
ところが、このような構成のものでは、給送ローラ54はシート材Paと傾斜部材5とに同時に圧接しなければならないため、その外径に対する制約が生じて給送ローラ54の径が大きくなり、給送装置の小型化が図りにくい。
【0040】
そこで、この実施の形態による給送装置60では、図17に示すように複数のシート材Paが積載可能なシート材積載部材である底板2と、その底板2の図示しない左端部を揺動自在に軸支し底板2との間に給紙圧Pを作用させる給紙カセット11と、この給紙カセット11を挿脱可能な給紙筐体58と、その給紙筐体58に軸部4aを回転自在に装着した給送ローラ4とを有しており、給紙筐体58が給送ローラ4の支持部材となっている。
給紙筐体58は、下部に分離部材として機能する搬送ガイド58aを一体に成形してあり、その搬送ガイド58aに形成している切欠部58b′を通って下方に突出した給送ローラ4が、最上位のシート材Pa1に圧接している。また、給紙筐体58とは別の別筐体59に、傾斜面5a及び当接面5bを有する傾斜部材5を支点13を中心に揺動自在に軸支し、分離圧Qによってその当接面5bを搬送ガイド58aの下面に圧接させている。
この状態で、傾斜面5aがシート材Paの繰り出し方向に対して所定の角度(50°〜70°)になるように設定され、当接面5bの幅はきわめて小さくなっている。
【0041】
この給送装置60は、このように構成されているので、図17に示す状態から給送ローラ4が矢示A方向に回転すると、最上位のシート材Pa1及びその下側に順次摩擦係合する複数枚のシート材Paが右方に繰り出されてその先端が傾斜部材5の傾斜面5aに突き当たる。これにより、傾斜面5aに作用する力の傾斜面5aに沿う方向の分力が発生し、最上位のシート材Pa1は傾斜面5aに沿って斜め上方へ導かれる。
その傾斜面5aに沿って導かれた最上位のシート材Pa1は、傾斜部材5の当接面5bと搬送ガイド58aとで形成されるニップ形成部Nに達する。このとき、最上位のシート材Pa1により傾斜面5aに作用する力の分離圧Q方向の分力が分離圧Qより大きくなるように設定しておけば、最上位のシート材Pa1はニップ形成部Nを乗り越えて図示しない画像形成部へ確実に給送される。
【0042】
なお、次位のシート材には、さらにその下側のシート材との間の摩擦負荷により傾斜面5aに沿う斜め上方向の分力が発生するが、一般にシート材間の摩擦係数は、搬送ガイド58aとシート材間の摩擦係数のほぼ50%程度であるため、傾斜面5aを乗り越える力は発生せず、最上位のシート材と分離されてシート材の重送が防止される。
この実施形態によれば、傾斜部材5が給送ローラ4に圧接していないため、給送ローラ4の小形化と、給送ローラ4及び傾斜部材5の耐久性向上が可能となり、長期に亘ってその性能を保持することができる。また、傾斜部材5に圧接する搬送ガイド58aは、給送ローラ4を軸支する給紙筐体58と一体であるため、給送ローラ4に圧接しているシート材と傾斜部材5との位置関係の精度が良好になり、積載状態から繰り出されるシート材が分離部へ突入するときの角度が安定し、分離性能の安定化を図ることが可能になる。
【0043】
図19は搬送ガイドを金属材で形成するようにした給送装置の実施形態を示す断面図、図20は同じくその搬送ガイドと給送ローラ及び傾斜部材の関係を示す斜視図であり、図17と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施形態による給送装置70では、搬送ガイド78aを、通常は合成樹脂材で成形されるところを金属材によるプレス加工で形成し、その一部に給送ローラ4が挿通可能な切欠部78bを設けると共に、その際に切り起こし加工により一対の軸受板78c,78cを形成して、給送ローラ4の軸部4aの両端を軸支するようにして給送ローラ4の支持部材に充当させている。
このように搬送ガイド78aを金属材により形成することにより、シート材Paとの摺接によって傾斜部材5との圧接部が摩耗して傾斜部材5の傾斜面5aの角度が経時的に変化するおそれがなくなり、耐久性が向上して分離性能が長期に亘って安定する。
【0044】
図21は、上述した給送装置を備えた画像形成装置の一例を示す全体構成図であり、図3と対応する部分には同一の符号を付してある。
この画像形成装置(複写機)は、図3で説明した画像形成装置の給送装置1を図17で説明した給送装置60あるいは図19で説明した給送装置70に代えただけのものであり、その他の構成は図3で説明した画像形成装置と全て同様であるため、その各部の構成及びそれらの動作についての説明を省略する。
図22はこの発明によるシート材の給送方法を実施する給送装置の要部を示す構成図、図23は同じくその給送装置の要部を示す平面図、図24は同じくその給送装置を示す分解斜視図である。
この給送装置は、図22〜図24に示すように、シート材積載部材であるシート積載板22に積載されたシート材Paの最上位のシート材Pa1に圧接してそのシート材を分離部へ繰り出す給送手段として機能する給送ローラ84と、その給送ローラ84にニップ形成部Nで圧接しシート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面5aを備えた傾斜部材5とを有すると共に、上記分離部には傾斜部材5にローラ外周面が当接する分離ローラ86を有している。
その分離ローラ86は、図22に示すように、給送ローラ84とシート材Paとの圧接部位Xの給送方向下流側で傾斜部材5の傾斜面終端5cに圧接するニップ形成部Nに、給送ローラ84とは別体で設けられている。
そして、この分離ローラ86を、図23に示すように装置本体(図示せず)に固設した一対の固定軸受85,85により軸支し、その分離ローラ86を、シート材給送方向(図22で右方向となるシート材繰り出し方向と同じ)に直交するシート材搬送幅の中央部で、且つそのシート材搬送幅の中心線SCに関して対称になるようにしている。
【0045】
この分離ローラ86に対応させて、図24に示すように傾斜部材5を軸からなる支点13で揺動自在に軸支し、その傾斜部材5の先端部の当接面5bを分離圧バネ12により分離ローラ86に圧接させて、分離部を構成している。
給送ローラ84は、分離ローラ86の両側に一対設けられており、これら一対の給送ローラ84,84を軸56に揺動自在に枢着した一対の可動軸受87,87により支持し、図示しない駆動モータによる図24で反時計回り方向の回転をベルト伝導により給送ローラ84,84に伝えるとともに、給送ローラ84,84の自重によりシート材Paに搬送圧を与えて、その状態で給送ローラ84,84をそれぞれ回転させることによりシート材Paを分離部へ給送するように構成している。
なお、この一対の給送ローラ84,84も、図23に示したようにシート材搬送幅の中心線SCに関して対称の位置になるように配置している。
この給送装置は、シート積載板22の上昇により最上位のシート材Pa1が所定の給送位置まで上昇すると、そこに一対の給送ローラ84,84が自重によりそれぞれ押圧接触し、その給送ローラ84,84の回転によりシート材Paが傾斜部材5のある分離部へ繰り出される。そのシート材Paは、2枚以上が繰り出されたときには、分離ローラ86とそれに圧接する傾斜部材5とにより1枚ずつに分離され、それが画像形成部へ搬送される。
【0046】
次に、上記のように構成したこの実施形態による給送装置の各部の位置関係及び各部に加わる力関係について、図25〜図28を参照して説明する。
図25はシート材Paの最上位のものに加わる力関係を説明するための説明図であり、積載された複数枚のシート材Paを給送ローラ84により傾斜部材5のある分離部へ繰り出す力として、最上位のシート材Pa1の先端により傾斜部材5の傾斜面5aに力Fが作用する。傾斜面5aは最上位のシート材Pa1の繰り出し方向Sに対して角度θ2となるように設定されており、この傾斜面5aに対して垂直方向に分力F1、傾斜面5aに沿う方向に分力F2が発生する。
また、傾斜部材5を給送ローラ84に押圧する分離圧バネ12(図22参照)による分離圧Qがシート材の繰り出し方向Sに対して所定の角度θ1で作用するように設定されており、この分離圧Qを上記の分力F1のα成分F1αより小さく設定することにより、最上位のシート材Pa1は傾斜部材5の傾斜面5aを乗り越えて繰り出し方向Sへ給送される。
なお、図22及び図28に示すように、給送ローラ84が給紙圧(P)を作用させる作用点となる点Xと給送ローラ84が傾斜部材5に接するニップ形成部Nとのシート材の繰り出し方向Sの距離をKとしている。
【0047】
図26は上から2番目に位置するシート材Pa2の力関係を説明するための説明図であり、そのシート材Pa2には、さらにその下のシート材Pa3との間の摩擦負荷により力Fpが作用し、この力Fpは傾斜部材5の傾斜面5aに垂直方向の分力Fp1と傾斜面5aに沿う分力Fp2を発生する。しかし、一般にシート材間の摩擦係数は、給送ローラとシート材間の摩擦係数のほぼ50%程度であるため、上記の力Fpも図25に示した力Fのほぼ50%となり、傾斜部材5の傾斜面5aを乗り越える力は発生せず、傾斜部材5により止められて最上位のシート材Pa1と分離される。
また、傾斜部材5の給送ローラ84との当接面5bがシート材との摩擦により摩耗して図27に破線で示す摩耗当接面5b′となった場合でも、傾斜部材5は分離圧バネ12(図22)の分離圧力Qの方向に平行移動するだけであるので、傾斜面5aの所定傾斜角θ2(図26)は変化することなく分離条件を保つことができる。
さらに、傾斜部材5の給送ローラ84との当接面5bを小さくすることにより、最上位のシート材Pa1とのニップ部が従来のニップ幅D1からニップ幅C1へと小さくなり、最上位のシート材Pa1の後端部がニップ部を抜けてから給送ローラ84の連れ回りにより次のシート材Pa2に繰り出し力を与えるニップ幅分の送り量も小さくなるため、シート材Paの重送を抑えることが可能になる。
【0048】
次に、図22〜図28で説明した給送装置を使用するシート材の給送方法について、図29をも参照して説明する。
図22等で説明した給送装置では、シート積載板22上に積載されたシート材Paは図29に示すように水平状態に保たれている。このようにシート材の給送角度が水平であるときは、給送ローラ84の最下点が給紙圧Pの作用点となり、この点Xを原点としたとき、給送ローラ84と傾斜部材5の傾斜面5aとの接点がニップ形成部Nとなる。
このような構成で、次に示すようにそれぞれ定める。
r:給送ローラの半径
P:給紙圧
Q:分離圧
θ1:分離圧の加圧方向とシート材の繰り出し方向とのなす角度(°)
θ2:傾斜部材の傾斜面とシート材の繰り出し方向とのなす角度(°)
θp2:給送ローラのニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度(°)
N:ニップ形成部
μ1:給送ローラとシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
【0049】
ここで
θp2=θ1+θ2−90 (1)
点Xを原点としたとき、ニップ形成部Nの座標(Nx,Ny)は以下のとおりである。
Nx=r・cos(−θ1) (2.1)
Ny=r+r・sin(−θ1) (2.2)
いま、一例としてr=16,θ1=76°,θ2=60°とすると、N(3.871,0.475)となる。
次に、シート材Paに作用する力の関係から不等式を作成するが、この発明ではシート材Paの先端がニップ形成部Nに到達するまでの領域とニップ形成部Nに挾持されるニップ進入過程との2つの場合に分けて図30及び図31の(a),(b)をそれぞれ参照して説明する。
【0050】
図30に示すように、ニップ形成部Nの直前ではシート材Paの先端は傾斜部材5の傾斜面5aから垂直抗力Rfが作用する。シート材Paの先端がニップ形成部Nに到達するためには曲げ変形を必要とし、このときにシート材先端に作用する力はシート材の種類によって異なり、厚紙であれば大きくなる。
いま、シート材先端はニップ形成部Nでの給送ローラ外周の接線と同方向であり、且つ、シート材先端は、給紙圧が作用する以外の箇所ではその他の部材に接触しないものとすると、最上位のシート材の搬送力は(μ1−μp12)・P、重送紙の重送力はΔμp・Pであるから、不送りNFを防止するためには、
(μ1−μp12)・P>Rf・A
∴P>Rf・A/(μ1−μp12) (3)
重送MFを防止するためには、
Δμp・P<Rf・A
∴P<Rf・A/Δμp (4)
A=sinθp2+μ2・cosθp2 (5)
したがって、(3),(4)の不等式を満足させるようにすれば、シート材を不送りと重送が生じない給送装置にすることができる。
【0051】
次に、シート材先端がニップ形成部に進入していく過程について図31の(a)及び(b)を参照して説明する。このとき、シート材先端は傾斜部材の傾斜面から垂直抗力Qnとその摩擦力μ2・Qnを受ける。逆に給送ローラからはシート材先端が挾持されることによる力により垂直抗力Fnと搬送方向への摩擦力μ1・Fnを受ける。したがって、分離圧Qは、
Fn+Rf・B=Q (6)
Qn・B=Q (7)
B=cosθp2−μ2・sinθp2 (8)
また、シート材の長手方向の不送りを防止する条件としては、上記数式(6),(7)から
(μ1−μp12)・P+μ1・Fn>Qn・A
∴P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12) (9)
【0052】
重送を防止する条件としては、
Δμp・P+μp12・Fn<Qn・A
これに数式(6),(7)を代入すると
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp (10)
(9)式及び(10)式の係数をまとめて整理すると、
不送り防止の条件式としては
P>C・Q+D (11)
重送防止の条件式としては
P<G・Q+H (12)
C={(A/B)−μ1}/(μ1−μp12) (13)
D=μ1・Rf・B/(μ1−μp12) (14)
G={(A/B)−μp12}/Δμp (15)
H=μp12・Rf・B/Δμp (16)
【0053】
次にシート材先端に作用する力を見るに、シート材先端が曲げ変形するために傾斜部材の傾斜面から力を受けるが、その傾斜面に垂直な分力が前述の垂直抗力Rfとなる。この値を簡単に求めるためには、図32に示すように一端が固定された長さLの梁の先端に集中荷重Wがかかったものと考えるのがよい。このとき、梁の先端の撓みYmaxは次式で表される。
Ymax=W・L3/3・E・I (17)
I=b・t3/12 (18)
但し、I:断面2次モーメント
E:ヤング率
b:梁の幅
t:梁の厚さ
である。
そこで、図29における給紙圧Pが作用する点X(原点)が梁の固定点、シート材のニップ形成部Nまでシート材先端が変形すると仮定して垂直抗力Rfを求めると、
W=3・E・I・Ny/L3=Rf・B
∴Rf=3・E・I・Ny/B・L3 (19)
L=√(Nx2+Ny2) (20)
表1は、上記の数式(19)を用いて厚さの異なる厚紙A,厚紙B,薄紙A,薄紙Bに関して算出した垂直抗力Rfの値を示したものである。なお、シート材の幅bは、給送ローラの幅と同一として50mmとし、t,Eの値は実測によるものを示している。
【0054】
【表1】
【0055】
ここで、以上に示した数式の各変数に実際の値を代入してこの実施の形態によるシート材の給送方法におけるシート材分離方法と一般的な従来の分離パッドを用いたシート材分離方法とを対比する。なお、シート材間摩擦係数の差Δμpの値としては裏紙使用時も考慮して3水準を用いた。以下の表2に各変数の代入値の一例を示す。
【0056】
【表2】
【0057】
図33は、縦軸に給紙圧P、横軸に分離圧Qをとってこの発明によるシート材の給送方法での上述のNF斜面:(3)式,MF斜面:(4)式,NFニップ:(11)式,MFニップ:(12)式のそれぞれから求めた境界線を示した線図である。なお、MF境界線に関しては3水準のΔμpに対応して3本示している。また、分離パッドを用いたFP分離方法に関しても3水準のΔμpに対応したMF境界線を示している。さらに参考として、この発明を実施した給紙装置のP.Q設定領域も示してある。また、給紙圧及び分離圧は、バネ秤や圧力センサ等の手段により測定することができる。測定の際には、シート材の重量を考慮するとなお好ましい。
この図33から分かるように、裏紙用紙の継ぎ足しを想定したシート材間の摩擦係数の差Δμp=0.2ではFP分離方法の重送領域はかなり狹まり、一般的なP−Q設定では対応できない。これに対し、この実施の形態によるシート材の給送方法におけるシート材分離方法では、Δμp=0.2でも重送域までかなりの余裕がある。
【0058】
次式(21)はFP分離方法でのMF境界線を示すものである。
P<(μFP−μp12)Q/Δμp (21)
これに対し、本願のシート材分離方法でのMF境界線の傾きは(15)式から
{(A/B)−μp12}/Δμp
である。これから、本分離方法におけるFP摩擦係数μFPに相当する値がA/Bであることが分かる。これは、シート材先端に作用する力の分力を決定する係数であり、表2に示す各変数の設定例では(5)式及び(8)式から
A/B=1.4 (22)
であって見かけ上μFPが1.4であることと等価となる。このことが本願シート材分離方法がFP分離方法よりもはるかに広い重層余裕度が得られる要因であると考えられる。この場合、本願とFP分離方法の重送境界線の傾きの比は次のようになる。
{(A/B)−μp12}/(μFP−μp12)≒4.1 (23)
このように、本願の重送余裕度はFP分離方法の約4倍の大きさを有している。
【0059】
さらに、シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数μp12が大きな値となるラグ紙(ボンド紙)や再生紙の場合の重送余裕度を確認するため、μp12=0.77,Δμp=0.2の場合のP−Q線図を図34に示す。この図34から、給紙圧Pが充分に得られれば、この実施の形態によるシート材の給送方法におけるシート材分離方法により、シート材間の摩擦係数が高い裏紙でも分離可能となる。
次に、図35は、上記の傾斜部材5の傾斜面5aとシート材の先端とのなす角度(θ2)を50°から70°に振った場合の重送MF領域と不送りNF領域とを実験データに基づいて縦軸に給紙圧P、横軸に分離圧Qをとって示す図33と同様の線図である。この図35から明らかなように、四角実線で示した設定領域でシート材間の摩擦係数の差Δμp=0.2まで対応可能となる。ただし、上記の角度θ2を70°に設定した場合には不送りNF領域が厳しくなるが、同図35で四角破線で示した設定領域θ2=70°等の分離圧/給紙圧を対応させれば充分に設定可能となる。
また、図36は、前述の条件式から求めた厚紙A不送り(NF)領域と実測値とを比較した線図であり、厚紙A不送りNF領域においては、μ1=1.3,μp=0.67にて近似し、薄紙B重送MF領域ではμ2′=0.15,μp=0.54,Δμp=0.048にて近似することが実測により確認されている。なお、その他の代入値及び厚紙A及び薄紙Bの傾斜面からの垂直抗力Rfの値は前述の表1及び表2と同値である。このように、各条件式に別途測定した摩擦係数データを入力することにより実測値と近似することが判明し、上記各条件式の有効性を証明することができた。
【0060】
このように、図22乃至図36で説明した実施形態による給送装置及びそれを使用するシート材の給送方法によれば、大量のシート紙を積載して水平状態を保ったままモータ駆動により昇降するシート積載板22を備えた給送装置においても、分離ローラ86(回転タイプでも、回転しない固定タイプであってもよい)を設けるだけで、従来の分離逆転ローラと対の送りローラからなる複雑な構成に代えて構成が簡単で分離性能の優れた傾斜部材を用いることが可能になり、部品点数削減を図ることができる。
なお、この実施形態において、分離ローラ86の材質を、ゴム材に代えて衝撃性が強く耐熱性,耐薬品性,耐候性に優れた一般に広く用いられているポリアセタールPOM等の合成樹脂材とすることも可能である。
このようにしても、給送ローラ84,84によって最上位のシート材Pa1が傾斜部材5を乗り越える搬送力を与えることができると共に、シート材Paと給送ローラ84との圧接部位Xと傾斜部材5と分離ローラ86との圧接部位となるニップ形成部N間の距離を、図28に示した距離Kの値と同一に設定することが可能となる。したがって、良好なシート材の分離品質を保つことができると共に、分離ローラの部品費低減によるコストダウンが図れる。
【0061】
図37はシート材の搬送幅方向の中央に給送ローラを一つ配置してその両側に一対の分離ローラを配置するようにした給送装置の実施形態を示す平面図、図38は同じくその給送装置を示す分解斜視図である。
この実施形態による給送装置は、図37に示すようにシート材の搬送幅方向の中央に給送ローラ84を、軸96に一端を枢支された揺動自在な一対の可動軸受97,97により軸支し、その両側に図38に示すように一対の傾斜部材5,5を設けるとともに、これらの傾斜部材5,5に対応して一対の分離ローラ86,86を一対の固定軸受85,85によりそれぞれ軸支したものであり、給送ローラ84及びその両側に設けた一対の分離ローラ86,86はいずれもシート材搬送幅の中心線SCに関して対称に設けてある。なお、その他の構成及び作用は図22乃至図24で説明した給送装置と同様である。
なお、この実施の形態においても、分離ローラ86の材質を合成樹脂材にすることが可能である。
この実施形態による給送装置では、傾斜部材5及び分離ローラ86をそれぞれ2個所に設けることになるが、分離ローラ86の材質を合成樹脂材とすればゴム材を有する給送ローラ84が1個所で済むことになるので、装置全体の部品費を低減させることができる。
【0062】
次に、この発明によるシート材の給送方法の他の実施形態について、図39を参照して説明する。なお、図39において図1と対応する部分には同一の符号を付してある。
この実施形態によるシート材の給送方法は、例えば図1で説明した給送装置1を使用する。
この図39に示した給送装置は、傾斜部材5の傾斜面5aを、シート材積載部材である底板2上に積載された複数枚のシート材Paの最上位のシート材Pa1を給送ローラ4による繰り出し方向Sに対して所定の角度θ2になるように定めてある。そして、この傾斜部材5の分離部材である分離ローラ6との当接面5bは、給送ローラ4の軸線方向に沿う突条に形成されていて、その幅はきわめて狭くなっている。
また、給送ローラ4と分離ローラ6との間にある凸部8と底板2上の最上位のシート材Pa1との圧接部位となる点Xと傾斜部材5の傾斜面5aと当接面5bとが交差する傾斜面終端5cと分離ローラ6との圧接部位であるニップ形成部Nとのシート材繰り出し方向Sに沿う距離を可能な限り近接させるようにしている。そして、図示しない制御部からの給送開始信号が発せられると、最上位のシート材Pa1の繰り出しが終るまで給送ローラ4を矢印方向に回転させるようにしている。
【0063】
このように、給送ローラ4と分離ローラ6との間に凸部8を設けている場合には、その凸部8にはシート材Pa1を押し付ける凸部における規制圧P′が働くと共に、その凸部8とシート材との間には摩擦係数μ3による摩擦が生じる。
したがって、圧接部位の点Xとニップ形成部Nとの間の距離を小さく設定すれば、給送ローラ4と分離ローラ6との間の距離を離すようにし、さらに曲げ弾性係数の異なる各種のシート材を使用したとしても、シート材の先端の曲げ範囲が狹くなるため、曲げ弾性係数が近似する結果となり、傾斜部材5の傾斜面5aで発生する分力のバラツキも抑えられる。それにより、曲げ弾性係数の大きい厚紙,葉書,封筒等の場合は言うまでもなく、曲げ弾性係数の小さい薄紙等のシート材であっても分離可能となり、多種多様のシート材に対応することができる。
【0064】
次に、図39に示した給送装置の各部の位置関係及び各部に加わる力関係について説明する。なお、その説明にあたり、図22〜図36の実施の形態で説明した内容と同一の部分についてはその説明を省略あるいは簡略化する。
図39の給送装置においても、積載された複数枚のシート材Paを給送ローラ4により傾斜部材5のある分離部へ繰り出す力として、最上位のシート材Pa1の先端により傾斜部材5の傾斜面5aに力Fが作用する。その傾斜面5aはシート材Paの繰り出し方向Sに対して角度θ2に設定されており、この傾斜面5aに対して垂直方向に分力F1、傾斜面5aに沿う方向に分力F2が発生する。
また、傾斜部材5を分離ローラ6に押圧する分離圧バネ12による分離圧Qがシート材Paの繰り出し方向Sに対して所定の角度θ1で作用するように設定されており、この分離圧Qを上記の分力F1のα成分F1αより小さく設定することにより、最上位のシート材Pa1が傾斜部材5の傾斜面5aを乗り越えて繰り出し方向Sへ給送される。
【0065】
そして、上から2番目に位置するシート材Pa2についての力関係の説明は、図26で説明した場合と基本的に同様であり、傾斜部材5に圧接するのが給送ローラ84に代わって分離ローラ6である点のみが異なるだけであり、各部に作用する力関係は図26で説明した場合と同様であるので、その詳しい説明は省略するが、シート材間の摩擦係数は分離ローラ6とシート材との摩擦係数のほぼ50%程度であるため、2番目に位置するシート材Pa2には傾斜部材5の傾斜面5aを乗り越える力が発生せずに傾斜部材5により止められ、最上位のシート材Pa1のみが分離されて繰り出し方向Sへ給送されていく。
また、傾斜部材5の分離ローラ6との当接面5bがシート材Pとの摩擦により摩耗した場合も、図27で説明した場合と同様であり、給送ローラ84の部分が分離ローラ6になるだけであり、傾斜部材5は分離圧バネ12の分離圧力Qの方向に平行移動するだけであるので、傾斜面5aの所定傾斜角θ2は変化することなく分離条件を保つことができる。
なお、この給送装置においても、傾斜部材5の分離ローラ6との当接面5bを小さくすれば、その当接面5bによって形成されるニップ幅が従来の給送装置よりも小さくなるので(図27のD1からC1)、シート材の重送を抑えることができる。
【0066】
このシート材の給送方法を実施する給送装置では、シート材積載部材である底板2上に積載されたシート材Paは図29で説明したものと同様に、水平状態に保たれている。このようにシート材の給送角度が水平であるときは、給送ローラ4の最下点が給紙圧Pの作用点となる。また、給送ローラ4と分離ローラ6との間にある凸部8と底板2上の最上位のシート材Pa1との圧接部位Xを原点としたとき、傾斜部材5の傾斜面終端5cと分離ローラ6との接点がニップ形成部Nとなる。
ここで、以下、次のようにそれぞれ定める。
r:給送ローラの半径
P:給紙圧
P′:凸部における給紙圧
Q:分離圧
θ1:分離圧の加圧方向とシート材の繰り出し方向とのなす角度(°)
θ2:傾斜部材の傾斜面とシート材の繰り出し方向とのなす角度(°)
θp2:給送ローラのニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度(°)
N:ニップ形成部
μ1:給送ローラとシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
【0067】
ここで、θp2は前述した(1)式のとおりであり、点Xを原点としたとき、ニップ形成部Nの座標(Nx,Ny)は前述した(2.1)式,(2.2)式となる。
いま、一例としてr=16,θ1=76°,θ2=60°とすると、N(3.871,0.475)となる。
次に、シート材Paに作用する力の関係から不等式を作成するが、この発明ではシート材Paの先端がニップ形成部Nに到達するまでの領域とニップ形成部Nに挾持されるニップ進入過程との2つの場合に分けて、前述した実施の形態の説明に使用した図30及び図31の(a),(b)を参照してそれぞれ説明する。図30に示したように、この実施の形態における給送装置でも、ニップ形成部Nの直前ではシート材Paの先端は傾斜部材5の傾斜面5aから垂直抗力Rfが作用する。シート材Paの先端がニップ形成部Nに到達するためには曲げ変形を必要とし、このときにシート材先端に作用する力はシート材の種類によって異なり、厚紙であれば大きくなる。
【0068】
いま、シート材先端はニップ形成部Nでの給送ローラ外周の接線と同方向であり、且つ、シート材先端は、給紙圧が作用する以外の箇所ではその他の部材に接触しないものとすると、最上位のシート材Pa1の搬送力は(μ1−μp12)・P、重送紙の重送力はΔμp・Pであるから、不送りNFを防止するためには、次の条件式を満足させる必要がある。
(μ1−μp12)・P−μ3p′>Rf・A
∴P>Rf・A/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12) (24)
また、重送MFを防止するためには、次の条件式を満足させる必要がある。
Δμp・P−μ3p′<Rf・A
∴P<Rf・A/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12) (25)
ここで、Aは前述した(5)式から得られるものである。
したがって、(24),(25)の不等式を満足させるようにすれば、シート材を不送りと重送が生じない給送装置にすることができる。
【0069】
次に、シート材先端がニップ形成部に進入していく過程について図31の(a)及び(b)を参照して説明する。このとき、シート材先端は傾斜部材の傾斜面から垂直抗力Qnとその摩擦力μ2・Qnを受ける。逆に給送ローラからはシート材先端が挾持されることによる力により垂直抗力Fnと搬送方向への摩擦力μ1・Fnを受ける。したがって、分離圧Qは前述した(6)式となり、さらに、ここでも前述した(7)式,(8)式の関係となる。
また、シート材の長手方向の不送りを防止する条件としては、(6)式,(7)式から、次式となる。
(μ1−μp12)・P−μ3p′+μ1・Fn>Qn・A
∴P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12) (26)
【0070】
また、重送を防止する条件としては、
Δμp・P−μ3p′+μp12・Fn<Qn・A
これに数式(6),(7)を代入すると、次式となる。
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12) (27)(26)式及び(27)式の係数をまとめて整理すると、
不送り防止の条件式としては
P>C・Q+D+E (28)
重送防止の条件式としては
P<G・Q+H+E (29)
C={(A/B)−μ1}/(μ1−μp12) (13)
D=μ1・Rf・B/(μ1−μp12) (14)
G={(A/B)−μp12}/Δμp (15)
H=μp12・Rf・B/Δμp (16)
E=−μ3p′
【0071】
次にシート材先端に作用する力を見るに、シート材先端が曲げ変形するために傾斜部材の傾斜面から力を受けるが、その傾斜面に垂直な分力が前述の垂直抗力Rfとなる。この値を簡単に求めるためには、図32で説明した場合と同様に一端が固定された長さLの梁の先端に集中荷重Wがかかったものと考えるのがよい。このとき、梁の先端の撓みYmaxは、前述した(17)式となる。
そこで、図39において給紙圧P′が作用する点X(原点)が梁の固定点、シート材のニップ形成部Nまでシート材先端が変形すると仮定して垂直抗力Rfを求めると、
その垂直抗力Rfは、前述した(19)式で求められる。
そして、(19)式を用いて厚さの異なる厚紙A,厚紙B,薄紙A,薄紙Bに関して算出した垂直抗力Rfの値は、前述した表1となる。なお、ここでもシート材の幅bは、給送ローラの幅と同一として50mmとし、t,Eの値は実測によるものを示している。
【0072】
ここで、以上に示した数式の各変数に実際の値を代入して、この実施の形態によるシートの給送方法におけるシート材分離方法と一般的な従来の分離パッドを用いたシート材分離方法とを対比する。なお、シート材間摩擦係数の差Δμpの値としては裏紙使用時も考慮して3水準を用いた。なお、各変数の代入値の一例は、表2に示したものとする。
次に、この発明によるシート材の給送方法で、縦軸に給紙圧P、横軸に分離圧Qをとり、上述したNF斜面:(3)式,MF斜面:(4)式,NFニップ:(11)式,MFニップ:(12)式からそれぞれ境界線を求めると、前述した図33と同様な線図となる。
なお、図33におけるMF境界線は、3水準のΔμpに対応して3本示している。また、分離パッドを用いたFP分離方法に関しても3水準のΔμpに対応したMF境界線を示している。さらに参考として、この発明を実施した給紙装置のP.Q設定領域も示してある。また、給紙圧及び分離圧は、バネ秤や圧力センサ等の手段により測定することができる。なお、測定の際には、シート材の重量を考慮するとよい。
このように、図33から分かるように、裏紙用紙の継ぎ足しを想定したシート材間の摩擦係数の差Δμp=0.2ではFP分離方法の重送領域はかなり狹まり、一般的なP−Q設定では対応できないが、この実施の形態によるシート材の給送方法を実施すれば、Δμp=0.2でも重送域までかなりの余裕がある。
【0073】
ところで、前述した(21)式は、FP分離方法でのMF境界線を示すものである。これに対し、この実施の形態によるシート材の給送方法によるMF境界線の傾きは(15)式から、次式となる。
{(A/B)−μp12}/Δμp
これから、この実施の形態におけるFP摩擦係数μFPに相当する値がA/Bであることが分かる。これは、シート材先端に作用する力の分力を決定する係数であり、表2に示す各変数の設定例では(5)式及び(8)式から(22)式となり、見かけ上μFPが1.4であることと等価となる。このことが、この実施の形態によるシート材の給送方法におけるシート材の分離方法が、FP分離方法よりもはるかに広い重層余裕度が得られる要因であると考えられる。なお、本願とFP分離方法の重送境界線の傾きの比は、(23)式に示したようになり、本願の重送余裕度はFP分離方法の約4倍となる。
さらに、シート材の上から1枚目と2枚目の間の摩擦係数μp12が大きな値となるラグ紙(ボンド紙)や再生紙の場合の重送余裕度については、μp12=0.77,Δμp=0.2の場合のP−Q線図を図34に示したように、給紙圧P(P′)が充分に得られれば、この実施の形態によるシート材の給紙方法により、シート材間の摩擦係数が高い裏紙でも分離が可能であることが分かる。
【0074】
図39に示した給送装置においても、傾斜部材5の傾斜面5aとシート材Paの先端とのなす角度(θ2)を50°から70°にした場合の重送MF領域と不送りNF領域とを実験データに基づいて縦軸に給紙圧P、横軸に分離圧Qをとって示すと図35となる。
この図から明らかなように、四角実線で示した設定領域でシート材間の摩擦係数の差Δμp=0.2まで対応可能となる。ただし、角度θ2を70°に設定した場合には不送りNF領域が厳しくなるが、図35で四角破線で示した設定領域θ2=70°等の分離圧/給紙圧を対応させれば充分に設定可能となる。
また、前述した条件式から求めた厚紙A不送り(NF)領域と実測値との比較は、前述した図36に示した線図と同様の結果であり、厚紙A不送りNF領域においては、μ1=1.3,μp=0.67にて近似し、薄紙B重送MF領域ではμ2′=0.15,μp=0.54,Δμp=0.048にて近似することが実測により確認されている。
なお、その他の代入値及び厚紙A及び薄紙Bの傾斜面からの垂直抗力Rfの値は前述した表1及び表2と同値である。このように、各条件式に別途測定した摩擦係数データを入力することにより実測値と近似することが判明し、上記各条件式の有効性を証明することができた。
したがって、図39で説明した給送装置を使用するシート材の給送方法を実施すれば、分離ローラ6を設けるだけで従来の分離逆転ローラと対の送りローラからなる複雑な構成に代えて構成が簡単で分離性能の優れた傾斜部材を用いることが可能になり、部品点数の削減を図ることができる。
【0075】
図40は搬送ガイドとそれに圧接する傾斜部材とを備えた給送装置を使用するシート材の給送方法の実施形態を説明するための図17と同様な断面図であり、図17と対応する部分には同一の符号を付してある。
このシート材の給送方法は、例えば図40に示す給送装置を使用する。
その給送装置は、軸からなる支点13により揺動自在に軸支されている傾斜部材5が、分離圧Qにより当接面5bの部分が分離部材として機能する搬送ガイド58aの湾曲した部分の下面にニップ形成部Nで圧接している。
そのニップ形成部Nと給送ローラ4との間には、その給送ローラ4により給送されたシート材Paに圧接部位Xで接する凸部8を給紙筐体58の搬送ガイド58aの部分に設けている。
この実施の形態によるシート材の給送方法で使用する給送装置は、図39で説明した給送装置の分離部材として機能する分離ローラ6が搬送ガイド58aの湾曲した部分に代っただけであるので、その作用効果は図39の給送装置の場合と同様である。
【0076】
したがって、下記のようにそれぞれ定めると、前述した(24),(25),(5)の各式を満足するシート材の給送方法を実施すれば、シート材を不送りと重送が生じないようにすることができる。
r:給送ローラの半径
P:給紙圧
P′:凸部における給紙圧
Q:分離圧
θ1:分離圧の加圧方向とシート材の繰り出し方向とのなす角度(°)
θ2:傾斜部材の傾斜面とシート材の繰り出し方向とのなす角度(°)
θp2:給送ローラのニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度(°)
N:ニップ形成部
μ1:給送ローラとシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
【0077】
このシート材の給送方法を実施すれば、搬送ガイド58aに先端部が当接する傾斜部材5と給送ローラ4との間にその給送ローラ4により給送されたシート材に接する凸部8を設けた給送装置を使用するので、その凸部8から傾斜部材5と搬送ガイド58aとが当接するニップ形成部Nまでの距離を、サイズや紙厚等が異なるシート材を使用してもシート材の腰の強さを近似させることができるシート材の分離に適した距離にすることで、シート材を確実に1枚ずつ分離給送することができる。
したがって、上記凸部を設けたことで給送ローラは外径の大きさに関しての制約がなくなるので、それを小径化することができる。それにより、小型でありながら多種多様のシート材を使用しても、不送りや重送が発生しにくいようにすることができる。
なお、図40に示した給装装置を搭載した画像形成装置は、図3で説明した画像形成装置の給装装置1を図40の給装装置に代えただけであるため、その図示及び説明を省略する。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による給送装置とそれを備えた画像形成装置及びシート材の給送方法によれば、少ない部品構成でありながら多種多様のシート材を不送りや重送を発生させることなしに1枚ずつ確実に分離して給送することができる。
また、シート材の給送時に異音も発生しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による給送装置の一実施形態例を示す概略構成図である。
【図2】同じくその給送装置を示す斜視図である。
【図3】同じくその給送装置を備えた画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【図4】大量のシート材を積載可能なシート積載板を有する給送装置の実施形態を示す図1と同様な概略構成図である。
【図5】同じくその給送装置を示す分解斜視図である。
【図6】剛体で形成した凸部が弾性変形部を介して支持部分に設けられているようにした給送装置の実施形態の搬送ガイド部材を示す斜視図である。
【図7】同じくその給送装置で底板を上昇側に回動させたときにシート材の最上位の紙面に凸部が給送ローラよりも先に接触する様子を説明するための概略図である。
【図8】同じくその凸部が上昇するシート材に押し上げられて撓むことによってシート材が給送ローラに接触して搬送ニップが形成される様子を説明するための概略図である。
【図9】分離ローラの駆動タイミングを給送ローラの駆動タイミングよりも遅延させるようにした給送装置の実施形態を示す概略構成図である。
【図10】同じくその給送装置を示す斜視図である。
【図11】同じくその給送装置を備えた画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【図12】図9の給送装置により複数枚のシート材が同時に給送されてそれが分離ローラと傾斜部材とのニップに押し付けられて撓むことによりシート材間に空気層が形成された状態を示す概略図である。
【図13】同じくその給送装置が有する遅延駆動機構の分離ローラギヤとそれに係合する分離ローラの軸部付近の給送開始状態の位置を説明するための拡大図である。
【図14】同じくその機構により分離ローラの回転が開始されるタイミングを説明するための図13と同様な拡大図である。
【図15】遅延駆動機構を大量のシート材を積載可能なシート積載板を有する給送装置に適用した実施形態を示す図9と同様な概略構成図である。
【図16】同じくその給送装置を示す分解斜視図である。
【図17】搬送ガイドとそれに圧接する傾斜部材とを備えた給送装置の実施形態を示す断面図である。
【図18】従来からある搬送ガイドと傾斜部材とを備えた給送装置の一例を示す図17と同様な断面図である。
【図19】搬送ガイドを金属材で形成するようにした給送装置の実施形態を示す断面図である。
【図20】同じくその搬送ガイドと給送ローラ及び傾斜部材の関係を示す斜視図である。
【図21】図17又は図19の給送装置を備えた画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【図22】この発明によるシート材の給送方法を実施する給送装置の要部を示す構成図である。
【図23】同じくその給送装置の要部を示す平面図である。
【図24】同じくその給送装置を示す分解斜視図である。
【図25】シート材の最上位のものに加わる力関係を説明するための説明図である。
【図26】上から2番目に位置するシート材Pa2の力関係を説明するための説明図である。
【図27】傾斜部材の給送ローラとの当接面がシート材との摩擦により摩耗した場合でも傾斜面は所定傾斜角θ2を保つ様子を説明するための説明図である。
【図28】図22の給送装置の給送ローラと傾斜部材との関係を示す説明図である。
【図29】給送装置の分離部を拡大して示す説明図である。
【図30】ニップ形成部Nの直前においてシート材に作用する力の関係を説明するための説明図である。
【図31】同じくそのシート材がニップ形成部Nに侵入していく過程においてそのシート材に作用する力の関係を説明するための説明図である。
【図32】先端集中荷重による梁の撓み状態を示す説明図である。
【図33】この発明のシート材の給送方法によるシート材分離の一例を摩擦分離方法と比較して示す線図である。
【図34】同じくその他の例を示す線図である。
【図35】同じくその傾斜面にシート材の繰り出し方向の先端が突き当たる時の角度を50°から70°に振った場合の設定領域を例示する線図である。
【図36】同じくその図35と同様の状態で厚さの異なるシート材の不送り領域と重送領域とを実測定と条件式とで比較した線図である。
【図37】シート材の搬送幅方向の中央に給送ローラを一つ配置してその両側に一対の分離ローラを配置するようにした給送装置の実施形態を示す平面図である。
【図38】同じくその給送装置を示す分解斜視図である。
【図39】この発明によるシート材の給送方法の他の実施形態に使用する給送装置の一例を示す概略構成図である。
【図40】搬送ガイドとそれに圧接する傾斜部材とを備えた給送装置を使用するシート材の給送方法の実施形態を説明するための図17と同様な断面図である。
【図41】土手分離方式の給送装置において使用するシート材の種類が異なっても良好な分離が行なえるようにするための条件を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1,1′,60,70:給送装置
2:底板(シート材積載部材)
4,54,84:給送ローラ 5:傾斜部材
5a:傾斜面 6,86:分離ローラ(分離部材)
6a:軸部(回転軸) 8:凸部
9,9′:搬送ガイド部材 9e:弾性変形部
22:シート積載板(シート材積載部材)
23:積載板昇降機構(積載部材昇降機構)
24:支持部材
58:給紙筐体(搬送ガイド部材)
58a,78a:搬送ガイド(分離部材)
Claims (24)
- 回動自在なシート材積載部材と、そのシート材積載部材上に積載されて該シート材積載部材の回動により上昇されたシート材の給送先端側に接触してそのシート材を給送する給送ローラと、その給送ローラにより給送されたシート材の前端が突き当たる傾斜面を有する傾斜部材とを備え、該傾斜部材により複数枚の記録紙を1枚ずつ分離するようにした給送装置において、
前記傾斜部材にローラ外周面が当接する分離ローラを設け、該分離ローラと前記給送ローラとの間に該給送ローラにより給送されたシート材に接する凸部を設けたことを特徴とする給送装置。 - 前記凸部は、前記給送ローラと前記分離ローラを共に回転可能に支持する搬送ガイド部材に設けられていることを特徴とする請求項1記載の給送装置。
- 大量のシート材を積載可能なシート材積載部材と、そのシート材積載部材を水平状態で昇降させる積載部材昇降機構と、該積載部材昇降機構により給送位置まで上昇された前記シート材積載部材上のシート材に押圧接触してそのシート材を給送する給送ローラと、その給送ローラにより給送されたシート材の前端が傾斜面に突き当たることによりシート材を1枚ずつ分離する傾斜部材とを備えた給送装置において、
前記傾斜部材に外周面が当接するように分離ローラを回転可能に設けると共に、該分離ローラの回転軸を支持する支持部材を設け、該支持部材に前記給送ローラを回転可能に支持して前記支持部材を前記回転軸を支点として揺動可能とし、前記支持部材の前記分離ローラと前記給送ローラとの間に位置する部分に前記給送ローラにより給送されたシート材に接する凸部を設けたことを特徴とする給送装置。 - 前記分離ローラは樹脂材質で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の給送装置。
- 前記凸部は、低摩擦部材の弾性体で形成されているか、又は剛体で形成されていて弾性変形部を介して支持部分に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の給送装置。
- 回動自在なシート材積載部材と、そのシート材積載部材上に積載されて該シート材積載部材の回動により上昇されたシート材の給送先端側に接触してそのシート材を給送する給送ローラと、その給送ローラにより給送されたシート材の前端が突き当たる傾斜面を有する傾斜部材とを備え、該傾斜部材により複数枚の記録紙を1枚ずつ分離するようにした給送装置において、
前記傾斜部材にローラ外周面が当接する分離ローラを設け、該分離ローラの駆動タイミングを前記給送ローラの駆動タイミングよりも遅延させるようにしたことを特徴とする給送装置。 - 大量のシート材を積載可能なシート材積載部材と、そのシート材積載部材を水平状態で昇降させる積載部材昇降機構と、該積載部材昇降機構により給送位置まで上昇された前記シート材積載部材上のシート材に押圧接触してそのシート材を給送する給送ローラと、その給送ローラにより給送されたシート材の前端が傾斜面に突き当たることによりシート材を1枚ずつ分離する傾斜部材とを備えた給送装置において、
前記傾斜部材に外周面が当接するように分離ローラを回転可能に設け、該分離ローラの駆動タイミングを前記給送ローラの駆動タイミングよりも遅延させるようにしたことを特徴とする給送装置。 - 前記給送ローラと前記分離ローラは同一の駆動源により回転されることを特徴とする請求項6又は7記載の給送装置。
- シート材積載部材に積載されたシート材を1枚ずつ分離して給送する給送装置において、
前記シート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送ローラと、該給送ローラにより繰り出された前記シート材を案内する搬送ガイドと、該搬送ガイドに圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を有する傾斜部材とを設けたことを特徴とする給送装置。 - 前記搬送ガイドは、前記給送ローラを回転自在に軸支する支持部材と一体化されていることを特徴とする請求項9記載の給送装置。
- 前記搬送ガイドは、金属材で形成されていることを特徴とする請求項9又は10記載の給送装置。
- 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の給送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、該給送手段にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材とを有すると共に、前記分離部には前記傾斜部材にローラ外周面が当接する分離ローラを有する給送装置のシート材の給送方法であって、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記傾斜部材の傾斜面により分離することを特徴とするシート材の給送方法。
P>Rf・A/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp
A=sinθp2+μ2・cosθp2
但し P:給紙圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、該給送手段にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材とを有すると共に、前記分離部には前記傾斜部材にローラ外周面が当接する分離ローラを有する給送装置のシート材の給送方法であって、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記ニップ形成部により分離することを特徴とするシート材の給送方法。
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、該給送手段にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材とを有すると共に、前記分離部には前記傾斜部材にローラ外周面が当接する分離ローラを有する給送装置のシート材の給送方法であって、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記傾斜部材の傾斜面並びに前記ニップ形成部により分離することを特徴とするシート材の給送方法。
P>Rf・A/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その分離部に設けた分離部材と、該分離部材にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材と、該傾斜部材と前記給送手段との間に該給送手段により給送されたシート材に接する凸部とを有する給送装置のシート材の給送方法であって、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記傾斜部材の傾斜面により分離することを特徴とするシート材の給送方法。
P>Rf・A/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その分離部に設けた分離部材と、該分離部材にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材と、該傾斜部材と前記給送手段との間に該給送手段により給送されたシート材に接する凸部とを有する給送装置のシート材の給送方法であって、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記ニップ形成部により分離することを特徴とするシート材の給送方法。
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その分離部に設けた分離部材と、該分離部材にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材と、該傾斜部材と前記給送手段との間に該給送手段により給送されたシート材に接する凸部とを有する給送装置のシート材の給送方法であって、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記傾斜部材の傾斜面並びに前記ニップ形成部により分離することを特徴とするシート材の給送方法。
P>Rf・A/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - 前記傾斜部材の傾斜面に前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる角度を50°乃至70°に設定したことを特徴とする請求項13乃至18のいずれか一項に記載のシート材の給送方法。
- シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その分離部に設けた分離部材と、該分離部材にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材と、該傾斜部材と前記給送手段との間に該給送手段により給送されたシート材に接する凸部とを設け、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記傾斜部材の傾斜面により分離するようにしたことを特徴とするシート材の給送装置。
P>Rf・A/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その分離部に設けた分離部材と、該分離部材にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材と、該傾斜部材と前記給送手段との間に該給送手段により給送されたシート材に接する凸部とを設け、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記ニップ形成部により分離するようにしたことを特徴とするシート材の給送装置。
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - シート材積載部材に積載されたシート材に圧接して該シート材を分離部へ繰り出す給送手段と、その分離部に設けた分離部材と、該分離部材にニップ形成部で圧接し前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる傾斜面を備えた傾斜部材と、該傾斜部材と前記給送手段との間に該給送手段により給送されたシート材に接する凸部とを設け、
以下の条件式を満足する条件下で、前記給送手段を回転させて前記シート材を前記分離部へ繰り出し、繰り出された前記シート材を前記傾斜部材の傾斜面並びに前記ニップ形成部により分離するようにしたことを特徴とするシート材の給送装置。
P>Rf・A/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<Rf・A/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
P>{(A/B)−μ1}Q/(μ1−μp12)
+μ1・Rf・B/(μ1−μp12)+μ3p′/(μ1−μp12)
P<{(A/B)−μp12}Q/Δμp
+μp12・Rf・B/Δμp+μ3p′/(μ1−μp12)
A=sinθp2+μ2・cosθp2
B=cosθp2−μ2・sinθp2
但し P:給紙圧
P′:凸部における規制圧
Q:分離圧
Rf:シート材の曲げ変形により、シート材先端に作用する傾斜部材の傾斜面からの垂直抗力
μ1:給送手段とシート材との間の摩擦係数
μ2:傾斜部材の傾斜面とシート材先端との間の摩擦係数
μ3:凸部とシート材との間の摩擦係数
μp12:シート材の1枚目と2枚目の間の摩擦係数
Δμp:シート材間の摩擦係数の差
θp2:給送手段のニップ形成部の接線と傾斜部材の傾斜面とのなす角度 - 前記傾斜部材の傾斜面に前記シート材の繰り出し方向の先端が突き当たる角度を50°乃至70°に設定したことを特徴とする請求項20乃至22のいずれか一項に記載のシート材の給送装置。
- 請求項20乃至23のいずれか一項に記載の給送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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US20160060036A1 (en) * | 2014-09-02 | 2016-03-03 | Murata Machinery, Ltd. | Travelling Vehicle System |
JP2016155608A (ja) * | 2015-02-23 | 2016-09-01 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 給紙装置及び画像形成装置 |
JP2017214216A (ja) * | 2016-05-25 | 2017-12-07 | 株式会社リコー | シート材搬送装置、シート材給送装置及び画像形成装置 |
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