JP2004024198A - エリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法 - Google Patents

エリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004024198A
JP2004024198A JP2002189689A JP2002189689A JP2004024198A JP 2004024198 A JP2004024198 A JP 2004024198A JP 2002189689 A JP2002189689 A JP 2002189689A JP 2002189689 A JP2002189689 A JP 2002189689A JP 2004024198 A JP2004024198 A JP 2004024198A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
eringi
protoplast
new
strain
spore
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002189689A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3881935B2 (ja
Inventor
Yasushi Obata
小畠 靖
Yukitaka Fukumasa
福政 幸隆
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIPPON KINOKO CENTER
Nara Prefecture
Original Assignee
NIPPON KINOKO CENTER
Nara Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIPPON KINOKO CENTER, Nara Prefecture filed Critical NIPPON KINOKO CENTER
Priority to JP2002189689A priority Critical patent/JP3881935B2/ja
Publication of JP2004024198A publication Critical patent/JP2004024198A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3881935B2 publication Critical patent/JP3881935B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

【課題】様々な問題を引き起こす原因とされる胞子を全く出さないエリンギの新菌株を提供するとともに、このエリンギ新菌株の育種法を提供することを目的とする。
【解決手段】人工変異処理を施してプロトプラスト内の核および細胞質の遺伝子を変異させた変異プロトプラストを形成させ、この変異プロトプラストを培養したサンプルから胞子形成能を有さない子実体を形成する無胞子性変異株を選別してなる構成とした。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法に関し、詳しくは胞子形成能のない子実体を形成するエリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法に関する。
【0002】
【従来の技術】
「エリンギ(Pleurotus eringii)」と呼ばれているヒラタケ属の一種である食用キノコは、わが国に自生しているキノコではないが、近年、消費量が急激に増加しており、わが国においても栽培されるようになってきている。
エリンギは、一般に、15〜20℃の温度条件、80〜90%の相対湿度の環境下で栽培させるわけであるが、殆どが、容器内に充填させてなるエリンギの菌糸を蔓延させた菌床を人工的に栽培する方法が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エリンギは、子実体から発生する胞子の量が、他のキノコと比べると非常に多いため、たとえば、エリンギを栽培している室内の空調機器に胞子が付着して故障の原因となってしまったり、胞子がエリンギを栽培する菌床の表面を覆ってしまい新たにエリンギが発生しにくくなってしまったりするなどの問題があった。
【0004】
また、エリンギは、本来わが国に生育していないキノコであるため、その胞子がエリンギを栽培している室外に飛散してしまうと、わが国の生態系に何らかの悪影響を引き起こしてしまうことも考えられる。
さらに、エリンギの胞子が、キノコ栽培をしている作業者にとって、アレルギーを引き起こす基(アレルゲン)として作用し、いわゆる花粉症などの症状を引き起こすことも考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を鑑みてなされ、様々な問題を引き起こす原因とされる胞子を全く出さないエリンギの新菌株を提供するとともに、このエリンギ新菌株の育種法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、キノコの細胞には核および細胞質内のミトコンドリア等に存在する遺伝子が、エリンギ子実体の胞子形成能など種々の細胞機能調節に関与しているものと推定し、エリンギ親株の組織をプロトプラスト化処理し、この処理により得られたプロトプラストを人工変異処理して、核および細胞質の遺伝子を変異させることで、胞子形成能のない子実体を形成するエリンギ新菌株が得られることを見出した。
また、上記エリンギ新菌株と、他のエリンギ菌株とを交配させたとき、胞子欠損性変異が優性的に発現して、無胞子性の品種をつくることができることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。
【0007】
まず、本発明の請求項1にかかるエリンギ新菌株(以下、「請求項1のエリンギ新菌株」と記す。)は、エリンギの組織の一部をプロトプラスト化処理して得られたプロトプラストに、人工変異処理を施してプロトプラスト内の核および細胞質の遺伝子を変異させた変異プロトプラストを形成させ、この変異プロトプラストを培養したサンプルから胞子形成能を有さない子実体を形成する無胞子性変異株を選別してなる構成とした。
【0008】
上記構成においてプロトプラスト化処理するエリンギの種類としては、特に限定されず、野生株または市販されている在来の栽培エリンギ品種株のどちらであっても構わない。
また、プロトプラスト化処理するエリンギの組織としては、特に限定されないが、たとえば、エリンギの培養菌糸体、胞子、子実体組織の一部などが挙げられる。
【0009】
特に、上述したエリンギ組織の中で、培養菌糸体を用いるようにすると、プロトプラスト化の操作が容易であり、安定してプロトプラストを得ることができるためより好ましい。
本発明においてエリンギの菌糸体を得る方法としては、エリンギ菌が必要とする栄養源を含む液体栄養培地、固体栄養培地にエリンギ菌を接種培養し、該培養物より菌糸体を分離することにより行われる。
【0010】
また、プロトプラスト化処理の方法としては、たとえば、細胞壁溶解酵素を含む酵素溶液により、エリンギ組織の細胞壁を溶解させる処理などが挙げられる。このとき、酵素溶液は、浸透圧調整剤や緩衝溶液などを含有していても構わない。
上述した細胞壁溶解酵素としては、公知のものを使用すればよく、特に限定されないが、たとえば、エリンギに使用する場合、β−1,3−グルカナーゼ、キチナーゼなどが挙げられる。また、細胞壁溶解酵素として、上述した二つの酵素活性を同時に有する市販酵素を用いてもよい。二つの酵素を併用するときは、エリンギのプロトプラストの形成率を著しく高めることができるので好ましい。
浸透圧調整剤としては、特に限定されないが、たとえば、マニトールやシュクロースなどが挙げられる。
緩衝液材としては、特に限定されないが、たとえば、マレイン酸などが挙げられる。
【0011】
人工変異処理とは、人工的にプロトプラスト内の核や細胞質内の遺伝子を突然変異させるための処理をいい、たとえば、紫外線照射、X線照射、放射線照射などの物理的変異処理、エチルメタンスルホン酸やN−メチル−N´−ニトロ−N−ニトロソグアジンなどの突然変異誘起剤と接触させる化学的変異処理などが挙げられる。
上述した処理の中で、特に紫外線照射を行うようにすると、非常に操作が容易であるのに加えて、エリンギの組織をプロトプラスト化処理して得られたプロトプラストを高い確率で突然変異させることができるので好ましい。
【0012】
なお、人工変異処理として、紫外線照射処理を行う場合、紫外線照射処理の条件としては、照射する紫外線の強度が5〜20ワット、紫外線を照射する照射源とプロトプラストとの距離が5〜20cm、紫外線の照射時間が10〜30秒程度となるようにすることが好ましい。
【0013】
すなわち、上記条件よりもプロトプラストへの紫外線照射量が少ない場合、突然変異が生じる確立が悪くなってしまうおそれがあり、また、上記条件よりもプロトプラストへの紫外線照射量が多い場合、プロトプラストの致死率が高くなりすぎるおそれが生じる。
また、紫外線照射処理を行った後の変異プロトプラストは、再生株を好適に発現させるために、可視光線に当てないようにして、暗黒下、25℃前後で培養することが好ましい。
【0014】
また、上述した人工変異処理を行う際は、プロトプラストの生存率が1〜3%程度、好ましく3%程度となるように行うことが好ましい。
すなわち、上述した範囲よりも生存率が少ないと、殆どが致死状態にあることとなり、その後培養してサンプルを作成する作業の効率が悪くなってしまう。
また、上述した範囲よりも生存率が多いと、突然変異が発生する可能性が低くなり、目的とするエリンギ新菌株を得ることが困難な状態となってしまう。
【0015】
サンプルは、人工変異処理を行った変異プロトプラストを5〜8日程度培養することにより再生してきたコロニーを、顕微鏡観察によりクランプの有無を調べ、クランプを保有するコロニーを試験管斜面培地に分離培養したものをさらに培養することで出現した再生株により形成される。
【0016】
このとき再生株を培養する培地としては、特に限定されないが、たとえば、マルト試験管斜面培地、マルト平板培地などが挙げられる。
サンプルの数としては、特に限定されないが、5000個以上用意することが好ましく、特に10000個程度用意することが好ましい。
【0017】
また、本発明の請求項2にかかるエリンギ新菌株(以下、「請求項2のエリンギ新菌株」と記す。)は、請求項1のエリンギ新菌株の構成を備えているエリンギ新菌株の中で、独立行政法人産業技術総合研究所の特許生物寄託センターに寄託して、FERM P−18859の寄託番号が付与されたエリンギ新菌株である構成とした。
【0018】
また、本発明の請求項3にかかるエリンギ新菌株(以下、「請求項3のエリンギ新菌株」と記す。)は、請求項1のエリンギ新菌株の構成を備えているエリンギ新菌株の中で、独立行政法人産業技術総合研究所の特許生物寄託センターに寄託して、FERM P−18860の寄託番号が付与されたエリンギ新菌株である構成とした。
【0019】
また、本発明の請求項4にかかるエリンギ新菌株の育種法(以下、「請求項4の育種法」と記す。)は、エリンギの組織の一部をプロトプラスト化処理して得られたプロトプラストに、人工変異処理を施してプロトプラスト内の核および細胞質の遺伝子を変異させた変異プロトプラストを得る人工変異処理工程と、
前記人工変異処理工程により得られた変異プロトプラストを培養してサンプルとなる株を培養し、このサンプル内から、胞子形成能のない子実体を形成する無胞子性変異株を選別する選別工程と、前記無胞子性変異株と他のエリンギ株とを交配させて新たな無胞子性のエリンギ新品種をつくる交配工程と、前記交配工程で得られた無胞子性のエリンギ新品種を育種する育種工程とを備えている構成とした。
【0020】
上記構成において、他のエリンギとは、特に限定されず、野生種のエリンギであっても、人工栽培されているエリンギであってもよく、特に限定されない。
また、無胞子性変異株と、他のエリンギ株とを交配させる方法としては、たとえば、無胞子性変異株をプロトプラスト化処理したプロトプラストと、他のエリンギ株の組織をプロトプラスト化処理したプロトプラストとを対峙培養あるいは細胞融合させる公知の方法で行うことなどが挙げられる。
さらにエリンギ新品種の育種は、プロトプラストから再生した菌糸体を公知のエリンギ栽培用の固体栄養培地に接種して育種することで行う。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のエリンギ新菌株を作出する実施の形態を説明する。
▲1▼まず、親株となるエリンギ株として野生型のエリンギ株(奈良県森林技術センター保存株、NPE−010)を用意して、このエリンギ株の組織としての培養菌糸体をプロトプラスト化処理してプロトプラストを得る。
このとき、培養菌糸体は、エリンギ菌が必要とする栄養源を含む液体栄養培地、固体栄養培地にエリンギ菌を接種培養して、得られた培養物より菌糸体を分離することにより行われる。
【0022】
その液体栄養培地としては、例えば麦芽エキス、酵母エキス、およびグルコースを所定の割合で配合したMYG培地、この他ツアペツク培地、ポテト−ブドウ糖培地などが挙げられる。また炭素源として可溶性澱粉、シュークロース、デキストリン、セルロースなどが挙げられ、窒素源としてペプトン、肉エキス、酵母エキス、大豆粉、ヌカ、フスマ、カゼイン、ポリペプトン、グルテンなど、無機塩として各種リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩など、さらに必要によりビタミン類、核酸などを適宜加えた、合成培地、半合成培地を用いてもよい。
【0023】
また固体栄養培地としては、樹脂分が少なくエリンギにより分解され易いスギ、クヌギ、シイ、ブナ、シデ、ホオノキなどの広葉樹から得られたオガコに、米糠、フスマ、コーンコブ、コーンブラン、ビール酵母、ビートパルプ、コットンシードハル等の栄養剤、あるいは市販の培地栄養剤などを単独あるいは二種以上を混合し、これに加水しエリンギ菌糸の生育に好適な水分に調整した人工培養基、あるいは小麦、トウモロコシ、粟、稗等の穀類を粉砕した後に加水し水分を調整した天然培地が挙げられる。
【0024】
液体培養は、15〜30℃、好ましくは25℃前後で、3〜5日間静置培養、振盪培養、または通気培養等の好気的培養を行うようにすることが好ましい。固体培養は、15〜30℃好ましくは22〜26℃で30〜40日間培養することが好ましい。
上記培養は、液体培養、固体培養ともに暗黒下で行うことが望ましい。
【0025】
そして、菌糸体を得る方法としては、特に限定されないが、たとえば液体培養物から菌糸体を得る方法としては、該培養物をガーゼ、綿等のメッシュで濾過するかまたは遠心分離して、培養菌糸体を集める方法が挙げられる。
このとき、培養菌糸体は、プロトプラスト化処理する前に、滅菌水やマニトール液で遠心洗浄しておくことが望ましい。
【0026】
また、固体培養物から菌糸体を得る方法としては、該培養基の表面に形成された菌糸塊をナイフ等で切り取り採取する方法が挙げられる。
また、胞子、あるいは子実体組織の一部を得る方法としては、たとえば、子実体の表面を火炎で軽く炙って殺菌をした後、柄、傘の一部をナイフで切り取り、また胞子を無菌的に採取する方法が挙げられる。
【0027】
プロトプラスト化処理は、培養菌糸体を細胞壁溶解酵素液中に浸漬させて処理することにより行う。
細胞壁溶解酵素としては、セルラーゼオノヅカRSなどのβ−1,3−グルカナーゼやキチナーゼを使用する。このとき、細胞壁溶解酵素として、上述した二つの酵素活性を同時に有する市販酵素を用いてもよい。二つの酵素を併用すると、エリンギのプロトプラストの形成率を著しく高めることができるのでより好ましい。
【0028】
また、プロトプラスト化処理されたものからプロトプラストを集菌するには、プロトプラスト化処理液をナイロンメッシュ、ガラスフィルター(G1またはG2)などで濾過し、濾液そのままか、これにマニトールを加え遠心分離して沈殿させることにより行う方法が一般的である。
勿論、他の公知の方法によりプロトプラストを集菌するようにしても構わない。
【0029】
▲2▼上述した操作により得られたプロトプラストをマニトール液に溶解させた状態で、人工変異処理として、紫外線照射を行い、プロトプラスト内の核および細胞質に含まれる遺伝子を突然変異させ変異プロトプラストを得る。
紫外線照射の条件としては、紫外線強度が5〜10ワットの紫外線ランプを使用して、この紫外線ランプとプロトプラストとの距離が5〜20cm、照射時間10〜30秒で行うようにする。
【0030】
▲3▼上記操作により得られた変異プロトプラストを、暗黒下25℃で培養して、再生してきたコロニーを無作為にマルト平板培地にシャーレ一つにつき25個程度分離し、25℃で4日間培養した後、顕微鏡観察でクランプの有無を調べる。そして、クランプを保有するコロニーを、さらにマルト試験管斜面培地に分離して、さらに培養したものをサンプルとして使用する。
【0031】
サンプルは、約10,000個程度のサンプルを調整し、このサンプルを目的に沿った方法で培養し、再生してきた菌糸体を、樹脂分が少なくエリンギにより分解され易いスギあるいはブナなどのオガコに、米糠、フスマ、コーンコブ、コーンブラン、ビール酵母、ビートパルプ、コットンシードハル等の栄養剤、あるいは市販の培地栄養剤などを単独あるいは二種以上を混合した固体栄養培地に接種・培養することにより子実体形成を促し、この中で最も目的に沿った胞子形成能を有さない子実体を形成する無胞子性変異株を選別する。
【0032】
固体栄養培地での菌糸体の培養は、22〜26℃で30〜40日間での培養後、15〜20℃の温度条件、80〜90%の相対湿度、100〜500Luxの照度、800〜3000ppmのCO濃度の条件下で子実体形成を促すようにして行う。
このなかで、特に優れた品質を有する無胞子性のエリンギ株の二つを、独立行政法人産業技術総合研究所の特許生物寄託センターに寄託したところ、FERM
P−18859、FERM P−18860の寄託番号が付与された。
【0033】
▲4▼上記寄託株は、他のエリンギ株と交配させた新菌株を育種したとき、胞子欠損性変異が優性的に発現して、得られる新しいエリンギ品種として無胞子性のエリンギ品種をつくることができる。
上記交配は、寄託株の菌糸体を上述したのと同様の方法でプロトプラスト化処理して、二核菌糸体を構成するそれぞれの核(A核およびB核)から胞子欠損性変異の遺伝情報を有する一核(A核)を有するプロトプラストを分離し、これを他のエリンギの菌糸体と対峙培養することにより行う。
【0034】
このときの新しいエリンギ品種の育成は、まず、上述した▲3▼の操作と同様に、プロトプラストから再生した菌糸体をスギあるいはブナなどのオガコに、米糠、フスマ、コーンコブ、コーンブラン、ビール酵母、ビートパルプ、コットンシールハル等の栄養剤、あるいは市販の培地栄養剤などを単独あるいは二種以上を混合した固体栄養培地に接種・培養することにより行う。
固体栄養培地での育種条件は、上述した▲3▼の操作と同じである。
【0035】
以上の操作により得られたエリンギ新菌株は、子実体を形成させたとき、この子実体が胞子形成能を有していないため、エリンギ栽培時に胞子が飛散することがおこらず、エリンギを栽培する作業者に対して、いわゆる花粉症などのような諸症状を引き起こさせるおそれがなくなり、また、もともとわが国に存在しなかったエリンギの胞子がわが国の生態系へ悪影響を与えるおそれもなくなる。
【0036】
また、このエリンギ新菌株は、他のエリンギ(従来、わが国で栽培されていた品種や野生種)と交配させたときであっても、胞子欠損性変異を優性的に発現させるため、さらに子実体の形状や大きさ、品質を向上させる際にも、胞子を発生させないエリンギ新菌株を作り出すことができる。
【0037】
【実施例】
以下に本発明にかかるエリンギ新菌株が生み出されるまでの過程、およびエリンギ新菌株の育種法の1実施例を説明する。
▲1▼菌糸体の前培養
ストックカルチャーから切り取った0.5cm四方の野生株のエリンギ菌糸寒天片を、15mlのMYG培地(麦芽エキス(malt extract)2%、酵母エキス(yeast extract)0.2%、グルコース(glucose)2%)を含む100mlフラスコに1個づつ接種後、25℃暗黒下で菌糸が培地表面を覆うようになるまで7〜8日培養した。
【0038】
▲2▼プロトプラスト作出用菌糸体の培養
上述した▲1▼工程で得られた菌糸体を培地ごと約10,000rpmで10秒間ホモジナイズして良く撹拌した後、15mlのMYG培地を含む100mlフラスコ1本あたり1mlづつ接種して、25℃暗黒下で2.5〜3日間静置培養した。この培養で得られる菌糸体量は、フラスコ1本あたり50〜100mg程度であった。
【0039】
▲3▼プロトプラストの作成
プロトプラストを作成するために以下の処理を行った。このとき、汚染を防ぐため、作業は出来る限りクリーンベンチ内で行った。
1)培養菌糸体の洗浄処理
培養菌糸体を培地ごと滅菌済スピッツ型50mlガラス遠心管に流し込み、3,000rpmで5分間遠心して菌糸体を沈殿させた。
その後、上澄み液を捨て、滅菌水で一度遠心洗浄した。
【0040】
続いて、洗浄後の滅菌水を捨て、滅菌済み0.6Mマニトール液でさらに一度遠心洗浄し、洗浄後のマニトール液を捨てることで沈殿菌糸体を得た。
なお、上記滅菌水、滅菌済みマニトール液は、120℃で20分間オートクレーブすることにより滅菌を行った。
また、マニトール液は、pH調整を特に行わなかった。
【0041】
2)細胞壁溶解酵素液の準備
0.6Mマニトール液にSigma社製Lysing emzymes(コードNo.:L−2265、Trichoderma harzianum由来)を1%、さらに和光純薬製Chitinaseを0.3%になるように加え、良く溶かした(酵素量は菌糸体50mgに対し1ml)後、ミリポアーフィルター(孔径0.45ミクロン)で濾過滅菌することで細胞壁溶解酵素液を作成した。
【0042】
3)プロトプラストの作成(酵素処理)
上記2)工程で作成した細胞壁溶解酵素液を、上記1)工程で処理した洗浄済み沈殿菌糸体の入ったガラス遠心管に加え、手で軽く振り混ぜながら菌糸体をほぐした後、ガラス遠心管を28℃に調整した恒温槽に入れ、1時間軽く振騰しながら処理した。
【0043】
4)プロトプラストの精製
上記3)工程により酵素処理を行った後のガラス遠心管内に約10mlのマニトール液(0.6M)を加え、手で軽く液を混ぜるようにして、菌糸体間にトラップされたプロトプラストを遊離させた後、滅菌済みのガラスフィルターで濾過し未消化菌糸片を取り除いた。
その後、プロトプラストを含んだ濾液を2,000rpmで6分間遠心して、プロトプラストをガラス遠心管の底に沈殿させ、上澄み液をプロトプラストが流れ出ないようにガラス遠心管から捨てた。
【0044】
次に、20mlの0.6Mマニトール液をガラス遠心管に加えて、手で丁寧に振り混ぜプロトプラストを液中に拡散させた。
次に、同様の遠心操作を行うことで洗浄を行った後、上澄み液を捨てた後のガラス遠心管に5mlの0.6Mマニトール液を加えて上述したのと同様にプロトプラストをよく拡散させ、この中から極少量を無菌的に取り出し、血球計算盤を用いて、プロトプラスト数を計算した。
以上の操作を行うことにより、100mgの菌糸体から、1〜2×10程度のプロトプラストを得ることができることが分かった。
【0045】
▲4▼プロトプラストの人工変異処理
上記工程により得られた精製プロトプラスト液を、0.6Mマニトール液に溶解して、濃度が4〜5×10個/mlとなるように調整した後、複数のシャーレ再生用培地に0.1mlづつ均一に塗布するように接種を行った。
接種を行った後、暗黒内にて10ワットの紫外線ランプ(ナショナル:GL−10殺菌灯)を用い約10cmの距離から17秒、20秒、22秒のいずれかの時間照射して変異処理を行った。
このときの生存率は、17秒の照射で約3%、20秒の照射で約2%、22秒の照射で約1%となった。
【0046】
▲5▼無胞子性変異株の選別
上記▲4▼に示した処理を行った後の変異プロトプラストを可視光線に当てないようにして、暗黒下、25℃で10日間培養することで再生してきたコロニーを無作為にマルト平板培地にシャーレ毎25個程度分離し、25℃で4日間培養した後、顕微鏡観察でクランプの有無を調べた。クランプを保有するコロニーをマルト試験管培地に分離し、培養してサンプルとした。
【0047】
上記サンプルを10,000個程度調整して、それぞれのサンプルを培養して再生してきた変異体の中から、無胞子性変異株のみを選別取得した。
選別取得した無胞子性変異株を独立行政法人産業技術総合研究所の特許生物寄託センターに寄託したところ、FERM P−18859、FERM P−18860の寄託番号が付与された。
【0048】
なお、上記サンプルの培養(プロトプラストの再生のための培養)は、以下のようにして行った。
まず、上記▲4▼に示した処理を行った後の変異プロトプラストを直ちに0.6Mマニトール液で2回遠心洗浄をした後、適当量の0.6Mマニトール液に溶解して、再生用培地に播種した。
【0049】
播種法としては、寒天表面に塗布する方法と0.5%寒天加用再生培地(煮沸溶解後41℃に保温したもの)で積層する方法の2通りの方法を行った。
また、播種した再生用培地は、25℃、暗黒下の条件で約1週間培養して、再生してきたコロニーのうち大きめのものを中心にMYG平板寒天培地に、1枚のシャーレに25個のコロニーが形成されるように拾い上げた。
その後、3〜4日培養後、これらのコロニーを顕微鏡観察し、クランプを有するものだけを試験管斜面MYG培地に再移植して、変異体検出のための実験材料とした。
【0050】
上述した再生用培地としては、以下の組成の0.5Mスクロース加用半合成寒天再生培地を使用した。
1)カザミノ酸:2g
2)グルコース:20g
3)MgSO・7HO:0.5g
4)KHPO:1g
5)CaCl・2HO:0.1g
6)FeSO・7HO:1mg
7)ZnSO・7HO:0.9mg
8)MnSO・4HO:0.8mg
9)HBO:1mg
10)CuSO・5HO:0.15mg
11)Co(NO:0.1mg
12)(NHMO24・6HO:0.2mg
13)チアミン塩酸塩:0.1mg
14)アデニン塩酸塩:5mg
【0051】
以上を蒸留水1lに溶解し、pHを6.0に調整した。
なお、上記組成の6)から12)までのものは1000倍水溶液、13)は80%エタノールで1000倍溶液としてそれぞれ作成しておき、培地作成の際に1mlづつ添加するようにすると便利であった。
15)浸透圧調整剤として0.5Mスクロースを添加
16)寒天粉末15g(下層培地)あるいは5g(上層培地)を添加溶解して、10mlあるいは5mlづつ分注し、20分オートクレーブして滅菌した。
【0052】
▲6▼新たな胞子欠損性変異株の育種
上述した▲5▼の工程で選別した胞子欠損性変異株の菌糸体から、上述した▲1▼〜▲3▼の工程で記載したのと同様の方法でプロトプラストを作成して、このプロトプラストから分離した変異の生じた一核菌糸を、他のエリンギ品種(野生株:品種名ドイツ、ATCC90212、WC827)の菌糸体から作成したプロトプラストあるいは一核菌糸体と交配させることにより新たなエリンギ新品種を育種した。
このとき、エリンギ新品種は、育種して得られた子実体が胞子形成能を有さないものであり、▲5▼の工程で選別した胞子欠損性変異株が胞子欠損性変異を優性的に発現させることが分かった。
【0053】
以上の操作により得られた胞子欠損性変異株および、この胞子欠損性変異株を他のエリンギ株と交配させて得られたエリンギ新品種は、培養して子実体を形成させたとき、この子実体から胞子を全く出すことがなかった。また、子実体の大きさや品質、収穫量などは、従来のエリンギ子実体と変わりないものであった。
【0054】
【発明の効果】
本発明の請求項1〜請求項3にかかるエリンギ新菌株は、子実体が胞子形成能を有さないため、エリンギの胞子がキノコ栽培をしている作業者に対してアレルゲンとして作用して、いわゆる花粉症などの養生を引き起こしたり、エリンギ子実体から発生する胞子により生態系に何らかの悪影響を及ぼしたりすることなくエリンギを栽培することが可能となる。
【0055】
また、本発明の請求項4にかかるエリンギ新菌株の育種法を行うと、胞子形成能を有さない子実体を形成するエリンギ新菌株を優性的に発現させることができる。
したがって、上述したようにエリンギの胞子がキノコ栽培をしている作業者に対してアレルゲンとして作用して、いわゆる花粉症などの養生を引き起こしたり、エリンギ子実体から発生する胞子により生態系に何らかの悪影響を及ぼしたりすることなくエリンギを栽培することが可能となる。

Claims (4)

  1. エリンギの組織の一部をプロトプラスト化処理して得られたプロトプラストに人工変異処理を施して、前記プロトプラスト内の核および細胞質の遺伝子を変異させた変異プロトプラストを形成させ、この変異プロトプラストを培養したサンプルから胞子形成能を有さない子実体を形成する無胞子性変異株を選別してなるエリンギ新菌株。
  2. 寄託番号が、FERM P−18859である請求項1に記載のエリンギ新菌株。
  3. 寄託番号が、FERM P−18860である請求項1に記載のエリンギ新菌株。
  4. エリンギの組織の一部をプロトプラスト化処理して得られたプロトプラストに人工変異処理を施して、前記プロトプラスト内の核および細胞質の遺伝子を変異させた変異プロトプラストを得る人工変異処理工程と、
    前記人工変異処理工程により得られた変異プロトプラストを培養してサンプルとなる株を培養し、このサンプル内から、胞子形成能のない子実体を形成する無胞子性変異株を選別する選別工程と、
    前記無胞子性変異株と他のエリンギ株とを交配させて新たな無胞子性のエリンギ新品種をつくる交配工程と、
    前記交配工程で得られた無胞子性のエリンギ新品種を育種する育種工程とを備えているエリンギ新菌株の育種法。
JP2002189689A 2002-06-28 2002-06-28 エリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法 Expired - Lifetime JP3881935B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002189689A JP3881935B2 (ja) 2002-06-28 2002-06-28 エリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002189689A JP3881935B2 (ja) 2002-06-28 2002-06-28 エリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004024198A true JP2004024198A (ja) 2004-01-29
JP3881935B2 JP3881935B2 (ja) 2007-02-14

Family

ID=31184032

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002189689A Expired - Lifetime JP3881935B2 (ja) 2002-06-28 2002-06-28 エリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3881935B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014030370A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Tottori Univ きのこ類における無胞子性変異の原因遺伝子
JP2014226137A (ja) * 2013-05-20 2014-12-08 ユソン キム 新菌株大王きのこ
CN105613046A (zh) * 2016-02-04 2016-06-01 湖南省宇秀生物科技有限公司 杏鲍菇原始母种的制作方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014030370A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Tottori Univ きのこ類における無胞子性変異の原因遺伝子
JP2014226137A (ja) * 2013-05-20 2014-12-08 ユソン キム 新菌株大王きのこ
CN105613046A (zh) * 2016-02-04 2016-06-01 湖南省宇秀生物科技有限公司 杏鲍菇原始母种的制作方法
CN105613046B (zh) * 2016-02-04 2018-07-27 湖南省宇秀生物科技有限公司 杏鲍菇原始母种的制作方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3881935B2 (ja) 2007-02-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108048334B (zh) 一种促进硬叶兰、卡特兰种子萌发的胶膜菌属真菌的共生体系建立方法
JP2007537737A (ja) 中国冬虫夏草無性型菌(HirsutellahepialiChen&Shen)の工業発酵生産方法
CN108102929B (zh) 一种抗吡蚜酮的爪哇棒束孢及其应用
CN112021067B (zh) 一种通过金耳无性芽孢与毛韧革菌组合选育金耳新品种的方法
CN109722393B (zh) 一种烟草黄色土源菌
CN111876336B (zh) 胶膜菌属真菌及其促进白旗兜兰种子萌发形成幼苗的应用
CN111793567B (zh) 胶膜菌科真菌及其促进白旗兜兰种子萌发形成幼苗的应用
CN111876333B (zh) 一株高产多糖香菇菌株xg-3及其应用
CN114075528A (zh) 一种大量产生稻瘟病菌有性世代的分生孢子涂布法
JP3881935B2 (ja) エリンギ新菌株およびエリンギ新菌株の育種法
CN109735457B (zh) 一株诱变尖角突脐孢菌及其在防治稗草中的应用
JP6021052B2 (ja) ノリの発育を促進する細菌を添加したノリ培養法
CN103805593B (zh) 低能n+注入诱变选育猴头菇菌株的方法及所选育的菌株
CN113046249B (zh) 一株蜡蚧轮枝菌ll-01及其生防应用
CN108823107A (zh) 一种利用artp诱变技术选育的白色栗蘑品种及选育方法
CN106801065A (zh) 一种提高棉花再生及转化效率的方法及应用
JPH08149934A (ja) シイタケ新品種の育種法およびシイタケ新品種
CN113684158A (zh) 一种暹罗芽孢杆菌jy-1及其制剂和应用
CN111705103A (zh) 一种筛选真阳性不出菇的食用菌变异菌株的方法
CN117305135B (zh) 一株拟康氏木霉t0027及其在防治猕猴桃软腐病中的应用
JP2998815B2 (ja) はたけしめじの人工栽培用種菌及び人工栽培方法
JPH0678629A (ja) 食用きのこの栽培方法
CN116179640B (zh) 一种高效筛选香蕉枯萎病拮抗菌的方法
CN114958626B (zh) 一株产赤霉素ga4菌株及其应用
CN115316196B (zh) 野生刺槐范氏孔菌的诱变、栽培方法、刺槐范氏孔菌及应用

Legal Events

Date Code Title Description
A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20050401

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20050421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050823

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3881935

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091117

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111117

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131117

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term