JP2004024034A - 脱穀装置 - Google Patents

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土居原 純二
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釘宮 啓
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Abstract

【課題】従来では、扱室内での脱穀処理量が多くなっても、第1処理室及び第2処理室へも同じ比率で2番物を還元し処理するものであった為に、第2処理室内での処理負担が大きくなり、特に、第2処理室は扱室と連通しているため、被処理物がその連通口部で詰りを生じ能率低下を招いていたものである。
この発明は、扱室内での脱穀処理物量が多くなるにつれて、2番専用の第1処理室内への2番還元量を多くすることによって問題解決を図らんとするものである。
【解決手段】本発明は、扱胴を内装軸架せる扱室の一側に、第1処理胴を内装軸架せる第1処理室を設け、この第1処理室の上方に第2処理胴を内装軸架せる第2処理室を設け、扱室内での脱穀による被処理部量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内への2番還元量よりも多くなるように構成してあることを特徴としている。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバイン用の脱穀装置に関し、農業機械の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、扱室の一側において、第1処理胴を有する第1処理室と、この第1処理室の上方に第2処理胴を有する第2処理室を設け、そして、脱穀処理選別後の2番物をその第1処理室と第2処理室とのそれぞれに還元して分担処理するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来では、扱室内での脱穀処理量が多くなっても、第1処理室及び第2処理室へも同じ比率で2番物を還元し処理するものであった為に、第2処理室内での処理負担が大きくなり、特に、第2処理室は扱室と連通しているため、被処理物がその連通口部で詰りを生じ能率低下を招いていたものである。
【0004】
この発明は、扱室内での脱穀処理物量が多くなるにつれて、2番専用の第1処理室内への2番還元量を多くすることによって問題解決を図らんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講じた。すなわち、請求項1記載の本発明は、扱胴を内装軸架せる扱室の一側に、第1処理胴を内装軸架せる第1処理室を設け、この第1処理室の上方に第2処理胴を内装軸架せる第2処理室を設け、扱室内での脱穀による被処理部量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内への2番還元量よりも多くなるように構成してあることを特徴としている。
【0006】
扱室内に供給される穀稈は、回転している扱胴によって脱穀作用を受ける。脱穀処理された脱穀物は、扱胴の周りを持ち回りされ後方に送られながら脱粒処理作用を受ける。脱穀処理選別後の2番物は2番受樋内に落下収容されて2番揚穀装置により第1処理室内と第2処理室内とに還元されて再処理される。
【0007】
扱室内での脱穀処理量が多くなると、この多くなる量に比例して第1処理室内への還元量が多くなる。例えば、扱室内での脱穀処理量が多くなると、これを検出するセンサ−の検出結果に基づき第1処理室内への2番還元口の開度を大きくして還元量を多くする。従って、第1処理室内での2番物の脱粒処理が充分に行われ、穀粒の回収効率を高めることができる。
【0008】
請求項2記載の本発明は、扱胴を内装軸架せる扱室の一側に、第1処理胴を内装軸架せる第1処理室を設け、この第1処理室の上方に第2処理胴を内装軸架せる第2処理室を設け、選別シ−ブの開度変更により漏下量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内へのそれよりも多くなるように構成してあることを特徴としている。
【0009】
2番還元量は選別シ−ブの開度によって変化する。シ−ブの開度を大きくすることによって2番還元量が多くなると、これに関連して第1処理室内への2番還元口の開度が大きくなり、多くの処理物が第1処理室内へ還元され、穀粒の回収効率が良くなる。
【0010】
請求項3記載の本発明は、扱胴を内装軸架せる扱室の一側に、第1処理胴を内装軸架せる第1処理室を設け、この第1処理室の上方に第2処理胴を内装軸架せる第2処理室を設け、前記扱室内への穀稈供給量を検出するセンサ−を設け、該センサ−の検出結果により扱室内への穀稈供給量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内へのそれよりも多くなるように構成してあることを特徴としている。
【0011】
扱室内への穀稈供給量が多くなると、これに応じて脱穀処理量も多くなる。穀稈供給量を検出するセンサ−がそれを検出すると、第1処理室内への2番還元口の開度が大きくなるように制御し、第1処理室内への還元量が多くなり、穀粒の回収効率が良くなる。
【0012】
【発明の効果】
以上要するに、請求項1の発明によれば、脱穀処理選別後の2番物は第1処理室と第2処理室とのそれぞれに還元して分担処理するものであるが、扱室内での被処理物が一定以上に多くなると、第1処理室内への2番還元量を多くして第1処理室内での2番物の脱粒処理作用を高め、穀粒の回収効率を高めることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、選別シ−ブの開度変更により漏下量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内への還元量よりも多くなるようにしたので、多くの2番処理物が第1処理室内へ還元されて充分に処理され、穀粒の回収効率を高めることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、穀稈供給量検出センサ−の検出結果により扱室内への穀稈供給量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内へのそれよりも多くなるように構成したので、扱室内への穀稈供給量の増大に伴い第1処理室内への2番還元量が多くなり、2番処理物の脱粒処理作用が充分に行われ、穀粒の回収効率を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、図1〜図3に示す脱穀装置の構成について述べる。
扱胴1を内装軸架した扱室2の下半周部に沿って受網3を張設している。扱室2の扱ぎ口4側にはフイ−ドチエン5aと挟持レ−ル5bとからなる穀稈挟持移送装置5を設けている。扱室2の穀稈挟持移送装置5側とは反対側一側には、第1処理胴6を内装軸架した第1処理室7を並設している。第1処理胴6の外周には処理歯6aを設けてあり、第1処理室7の下壁には処理網8を張設してあり、第1処理室7内に供給された2番処理物を扱胴1の後方側から前方側に向けて移送しながら脱粒処理するように構成している。つまり、第1処理室7内では、供給された2番物を扱胴1による移送方向とは逆方向前方側に搬送しながら再処理する構成としている。
【0016】
第1処理室7の上方には、第2処理胴9を内装軸架した第2処理室10を設けている。
第2処理胴9の外周には処理歯9aを設けてあり、第2処理室10の下壁には処理網11を張設している。第2処理室10の始端側は扱室2に送塵口を介して連通してあり、扱室からの排塵処理物を受け入れて後方に向けて移送しながら脱粒処理し、排出すべき排塵物は終端の排塵口12から機外に排出する構成としている。
【0017】
扱室2の下側には揺動可能に架設した揺動選別装置Aを設け、更に、その下方には選別方向の上手側から順に、唐箕13と、1番移送螺旋14a付受樋14と、2番移送螺旋15a付受樋15とを配置して選別室を構成している。
1番受樋14には選別された1番穀粒を揚穀して機外に取り出す1番揚穀装置16を連通している。
【0018】
前記第1処理室7及び第2処理室10には、2番移送螺旋15aで収集した2番物を2番揚穀装置17により揚穀し、第1還元筒18及び第2還元筒19を介して供給し、それぞれの処理胴、処理歯等の作用を受けて2番物を再処理するよう構成している。第1還元筒18は第1処理室7の始端側に連通してあり、第2還元筒19は第2処理室10の中間部に連通している。
【0019】
前記2番揚穀装置17における2番揚穀螺旋20の上端部には、第1及び第2還元筒18,19の還元口に対応する部位において第1跳ね出し板21及び第2跳ね出し板22を設けている。
第2処理室10への2番還元量は少量で略一定とするが、第1処理室7への2番還元量は扱室内での被処理物量が多くなるにつれて増加するように構成する。
【0020】
例えば、前記第1還元筒18には、この還元口の開度を調節する開度調節板23をスライド自在に設け、検出センサ−が扱室内での被処理物量の所定以上の増加を検出すると、この検出結果に基づき、開度調節板23を還元口の開度が大きくなる方向にスライド調節し、第1処理室7への2番還元量が多くなるように制御する構成である。
【0021】
前記揺動選別装置Aは、選別方向上手側から移送棚24、チャフシ−ブ25、ストロ−ラック26の順に配置し、且つ、チャフシ−ブ25の下方にグレンシ−ブ27を配置して一体的に設け、前記唐箕13による選別風と揺動との共同作用によって扱室2から漏下してきた脱穀物の選別作用を行うように構成している。
【0022】
なお、前記ストロ−ラック26の上方一側には吸引排塵フアン28が配置されている。
前記チャフシ−ブ25は、数枚のシ−ブ板25aをほぼ等間隔に配置して傾斜角変更自在に構成して設け、各シ−ブ板相互の開度調節ができる構成としている。
【0023】
図5に示す実施例では、操作ハンドル29の操作で、操作ワイヤ−30を介して前記シ−ブ板25a相互間の選別間隔を開度調節する構成としている。そして、該操作ハンドル29によって各シ−ブ板25a相互間の選別間隔を開く方向に開度調節すると、これに関連して第1処理室7への開度調節板23も開く方向に作動するよう開度調節ワイヤ−31を介して連動連結している。従って、被処理物量の多少に応じてシ−ブ間の選別間隔を開閉操作すると、第1処理室7への開度調節板23も開閉作動し、第1処理室7内への2番物還元量が適宜調整されることになる。
【0024】
また、図6に示す実施例では、穀稈挟持移送装置5の移送経路中に設けた穀稈層厚検出センサ−32の検出結果に基づき、正逆転モ−タ33を正逆回転させて開度調節ワイヤ−31を押し引きし、第1処理室7内への開度調節板23を開閉作動させるように構成している。要するに、扱室2内への穀稈供給量の多少に応じて第1処理室内への2番還元量が自動調節されるように制御する構成である。
【0025】
次に揺動選別装置の別実施例について説明する。
図7に示すグレンシ−ブ27において、このグレンシ−ブ27を1番受樋14と2番受樋15との境界付近で前後に分割し、前側グレンシ−ブ27aと後側グレンシ−ブ27bをそれぞれ独立して角度変更可能に構成する。前側グレンシ−ブ27aの後端部と後側グレンシ−ブ27bの前端部を左右横方向に架設する支軸35,35周りに回動自在に枢着し、前後のグレンシ−ブ27a,27bが正逆転モ−タM1,M2の正逆転駆動により連動ワイヤ−36、揺動ア−ム37を介して揺動変位するよう制御可能に構成している。そして、1番受樋側上部の前側グレンシ−ブ27aは後上がりの昇り傾斜とし、2番受樋側上部の後側グレンシ−ブ27bは後下がりの下り傾斜とし、後上がりの昇り傾斜(イ)は(図10参照)、送りに抵抗をかけゆっくりと送りながら選別する選別重視の選別形態とし、後下がりの下り傾斜(ロ)は(図10参照)、送りを早くしながら選別する送り優先の選別形態とする。
【0026】
このように前側グレンシ−ブ27aと後側グレンシ−ブ27bの傾斜角を被選別量の多少に応じて角度変更するようにすれば、精度の高い選別制御を行うことができる。
また、上記装置の制御手段において、1番側(前側グレンシ−ブ27a)を流量で制御し、2番側(後側グレンシ−ブ27b)稲麦などの作物条件で制御することもできる。
【0027】
図11、図12の実施例は、コンバインに搭載するグレンタンク40を示すものであるが、このグレンタンク40は、横幅方向中心部で上下方向に立設する仕切板41によって左右に二分した構成としてあり、通常は、1番揚穀装置16からの穀粒が内側(脱穀部D側)のタンク40a内に供給され満杯になると、仕切板41の上端部から外側のタンク40b内にオ−バフロ−し、この外側タンク40b内が一杯になるまで供給されることになる
湿田地帯で作業を行う場合、グレンタンク40内全部を一杯にすると、このグレンタンク側が重くなって機体が傾き、走行性が悪くなる。この時には、内側のタンク40aのみの半分を使用するようにし、そして、この内側タンク40a内が満杯になると、満杯センサ−42による満杯検出により運転者に報知するように構成しておくとよい。
【0028】
つぎに、上述した構成の脱穀装置ついてその作用を説明する。
穀稈は、株元をフィ−ドチエン5aに挾持されて搬送されながら穂先部分が扱室2内に供給されて、回転している扱胴1により脱穀作用を受ける。このようにして処理された脱穀物は、回転している扱胴1によって持ち回りされて、更に、脱粒処理作用を受け、受網3から漏下して選別室の揺動選別装置Aに達し揺動選別作用を受ける。
【0029】
この場合、被選別物は、移送棚24上を移送されてチャフシ−ブ25に達し、チャフシ−ブ25を構成している複数枚のシ−ブ板相互の間にある選別間隔を漏下しながら風選作用を受ける。このとき、唐箕13は、起風した選別風を選別室内に吹き込みながら選別し、吸引排塵フアン28に達するものと、揺動選別装置Aの棚先から機外に排塵するものとに分かれる。
【0030】
このようにして、被選別物は、揺動選別作用と選別風による風選作用との共同作用を受けながら選別されて、1番物(精粒)、2番物、排塵物とに選別分離され、1番物は1番移送螺旋14の受樋14内に落下して収集されて機外に取り出され、2番物は2番移送螺旋15aの受樋15から2番揚穀装置17によって揚穀されて第1処理室7と第2処理室10とに還元される。そして、第1処理胴6と第2処理胴9によって2番処理作用を受け、脱粒処理された処理物は、下方の揺動選別装置A上に排出落下されてふるい選別され、排塵物は吸引排塵フアン28によって吸塵され機外に排出されると共に、ストロ−ラック26に達したわら屑は棚先から機外に排出される。
【0031】
一方、選別室に漏下せず扱室2に残留して持ち回られている未処理物は、扱室終端側に開口された送塵口から第2処理室10内に送り込まれ、前記2番揚穀装置17から送り込まれてきた2番物と一緒に再処理されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であって、脱穀装置の切断側面図である。
【図2】本発明の実施例であって、脱穀装置の切断平面図である。
【図3】本発明の実施例であって、脱穀装置の切断正面図である。
【図4】本発明の実施例であって、同上要部の切断正面図である。
【図5】本発明の実施例であって、同上要部の作動展開図である。
【図6】本発明の実施例であって、同上要部の平面図である。
【図7】本発明の実施例であって、揺動選別装置の切断側面図である。
【図8】本発明の実施例であって、同上要部の平面図である。
【図9】本発明の実施例であって、同上要部の側面図である。
【図10】本発明の実施例であって、選別形態の説明図である。
【図11】本発明の実施例であって、コンバイン用グレンタンクの切断背面図である。
【図12】本発明の実施例であって、同上グレンタンクの平面図である。
【符号の説明】
1  扱胴            2  扱室
3  受網            4  扱ぎ口
5  穀稈挟持移送装置      6  第1処理胴
7  第1処理室         9  第2処理胴
10  第2処理室        15  2番受樋
17  2番揚穀装置       18  第1還元筒
19  第2還元筒        23  開度調節板
25  チャフシ−ブ       29  操作ハンドル
30  操作ワイヤ−       31  開度調節ワイヤ−
32  穀稈層厚検出センサ−

Claims (3)

  1. 扱胴を内装軸架せる扱室の一側に、第1処理胴を内装軸架せる第1処理室を設け、この第1処理室の上方に第2処理胴を内装軸架せる第2処理室を設け、扱室内での脱穀による被処理部量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内への2番還元量よりも多くなるように構成してあることを特徴とする脱穀装置。
  2. 扱胴を内装軸架せる扱室の一側に、第1処理胴を内装軸架せる第1処理室を設け、この第1処理室の上方に第2処理胴を内装軸架せる第2処理室を設け、選別シ−ブの開度変更により漏下量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内へのそれよりも多くなるように構成してあることを特徴とする脱穀装置。
  3. 扱胴を内装軸架せる扱室の一側に、第1処理胴を内装軸架せる第1処理室を設け、この第1処理室の上方に第2処理胴を内装軸架せる第2処理室を設け、前記扱室内への穀稈供給量を検出するセンサ−を設け、該センサ−の検出結果により扱室内への穀稈供給量が多くなるほど第1処理室内へ返す2番還元量が第2処理室内へのそれよりも多くなるように構成してあることを特徴とする脱穀装置。
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