JP2004020677A - 光コネクタ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フェルール部材の中空部の軸線とチューブ内における光ファイバの軸線との偏心量を少なくして、光ファイバへの曲げの発生を抑制する。
【解決手段】ルース心線18が挿通する中空部30を有するハウジング部材32と、ルース心線18から露出した光ファイバ34が挿通する中空部36を有するフェルール部材38とを具備した光コネクタ10Aにおいて、ルース心線18は、チューブ42と該チューブ42内を挿通するファイバ素線44とを有し、ルース心線18におけるチューブ42の端面42a(正確には先端周縁)がフェルール部材38のテーパ面40に突き当てられて構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】ルース心線18が挿通する中空部30を有するハウジング部材32と、ルース心線18から露出した光ファイバ34が挿通する中空部36を有するフェルール部材38とを具備した光コネクタ10Aにおいて、ルース心線18は、チューブ42と該チューブ42内を挿通するファイバ素線44とを有し、ルース心線18におけるチューブ42の端面42a(正確には先端周縁)がフェルール部材38のテーパ面40に突き当てられて構成されている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中心に光ファイバを有するファイバ素線と該ファイバ素線が挿通されたチューブとを有するルース心線のための光コネクタ及びその製造方法に関し、特に、フェルール型光コネクタに用いて好適な光コネクタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、波長の異なる光は互いに干渉しないという特性を利用して、1つの光ファイバで、複数のチャネルを構成させるための技術として高密度波長分割多重(DWDM)システムがある。このDWDMシステムは、チャネル毎に異なる波長の光を使用することから、伝送容量は波長の数に比例して大きくなる。また、既存の光伝送路を利用できるという利点もある。
【0003】
そして、このようなシステム内のファイバの取り回し等においては、ファイバ素線にコネクタを装着する必要が生じる場合があるが、ファイバ素線に直接コネクタを取り付けると、コネクタの重量や取り扱いによる荷重でファイバ素線にダメージを加えてしまうおそれがある。
【0004】
そこで、図9に示すように、ファイバ素線200にルースチューブ202を被せてなるルース心線204を使用し、このルース心線204に光コネクタ206を装着することが一般的である。このようなルース心線204を使用した形式(ルースタイプ)の場合、ファイバ素線200に対して光コネクタ206の重量や取り扱いによる荷重が直接かからないため、ファイバ素線200に対するダメージが減少するという利点がある。
【0005】
これは、ファンアウト、即ち、多心ファイバが一体とされたリボンケーブルが分岐部において多数の単心ファイバ素線に分離された構成を有するファンアウトにおいても同様であり、前記ファイバ素線をルースチューブで保護したルース心線とすることが一般的である。
【0006】
ファンアウトに接続される光コネクタ110は、図10に示すように、前記ルース心線100が挿通する中空部112を有する例えば金属製のハウジング部材114と、ルース心線100から露出した光ファイバ116が挿通する中空部118を有するフェルール部材120とを有する。フェルール部材120は、ハウジング部材114の中空部112に臨む部分にテーパ面122が形成されている。
【0007】
つまり、ルース心線100の先端に光コネクタ110を装着する場合、強度を確保する観点から、当然チューブ102もハウジング部材114の中空部112に挿入されて接着固定される。
【0008】
ルース心線100は、チューブ102と該チューブ102内を挿通するファイバ素線104とを有して構成されていることから、チューブ102にファイバ素線104を挿入した状態ではチューブ102内でファイバ素線104が偏心している場合が多い。この状態でルース心線100の光ファイバ116をフェルール部材120の中空部118に挿入すると、当然フェルール部材120の中空部118の軸線とチューブ102内における光ファイバ116の軸線が偏心しているため、チューブ102の端面102aからフェルール部材120に向けて導出された光ファイバ116に曲げが発生する。
【0009】
また、ハウジング部材114の中空部112の径がチューブ102の外径よりも大きく設定されているため、中空部112の内壁とチューブ102の外周との間にクリアランスが存在することとなる。一般に、光ファイバ116への光コネクタ110の装着において、このクリアランスによる光ファイバ116の偏心が大きな問題となるレベルではなかったが、ルース心線100のように、チューブ102内にファイバ素線104が挿通するタイプのコードの場合、前記クリアランスにチューブ102内におけるファイバ素線104の偏心が加わるため、フェルール部材120に対する光ファイバ116の曲げが大きくなる場合がある。
【0010】
このため、従来では、ルース心線100をハウジング部材114に挿入する際に、チューブ102の端面102aがハウジング部材114における中空部112の軸方向途中に位置するように設定し、該チューブ102の端面102aからフェルール部材120のテーパ面122までをファイバ素線104が延在するようにしている。そして、チューブ102の端面102aから延びるファイバ素線104の長さを、光ファイバ116の曲げ緩和に十分となる距離に設定している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなフェルール型光コネクタ110においては、ハウジング部材114とフェルール部材120との接着に、例えば室温での粘度が3,000〜5,600cPsの接着剤124(例えば1又は2液性エポキシ樹脂)を使用するようにしている。
【0012】
この場合、ルース心線100におけるチューブ102とファイバ素線144との間にある隙間を通じて接着剤124が流れ出てしまわないように、チューブ102の端部において、チューブ102とファイバ素線104を目止めするようにしている。具体的には、目止め用の接着剤126を充填するようにしている。
【0013】
また、従来のフェルール型光コネクタ110は、上述したように、ハウジング部材114の中空部112において、チューブ102の端面102aからフェルール部材120のテーパ面122までの距離を大きくとっている。
【0014】
そのため、ハウジング部材114の中空部112に上述した固定用の接着剤124を充填する際に、チューブ102の端面102aからフェルール部材120のテーパ面122までの間に存在するファイバ素線104に、接着剤124の注入に伴う応力がかかり、しかも、気泡が発生し易い状態であることから、気泡による影響も懸念され、損失増等の問題が発生するおそれがあった。
【0015】
また、従来においては、チューブ102をハウジング部材114の中空部112内に挿入する際に、該中空部112の途中でチューブ102の端面102aを位置させるようにしているが、そのための位置決め機構は存在しない。従って、チューブ102の端面102aから導出しているファイバ素線104の長さ等で管理することになるが、ファイバ素線104は剛性が低いので、ファイバ素線104の端部がフェルール部材120のテーパ面122に当たった際の反発力が小さい。つまり、作業者にとって、ファイバ素線104の端部がフェルール部材120のテーパ面122に当たったタイミングを認識することは困難である。そのため、ルース心線100を光コネクタ110に対して余分な力で押し込んだり、反対にチューブ102の端面102aを規定の位置よりも手前に位置させてしまうといった作業上の問題も発生し、このような作業上の問題によって新たな不具合も発生するおそれがある。
【0016】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、フェルール部材の中空部の軸線とチューブ内における光ファイバの軸線との偏心量を少なくして、光ファイバへの曲げの発生を抑制することができ、しかも、ハウジング部材内に注入される接着剤によるファイバ素線への影響(応力や気泡等による影響)をほとんどなくすことができ、光伝送の損失を低減することができる光コネクタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光コネクタは、中心に光ファイバを有するファイバ素線と該ファイバ素線が挿通されたチューブとを有するルース心線と、前記ルース心線が挿通する中空部を有するハウジング部材と、前記ルース心線から露出した光ファイバが挿通する中空部を有するフェルール部材とを有し、前記フェルール部材のうち、前記ハウジング部材の中空部に臨む部分にテーパ面が形成された光コネクタにおいて、前記ルース心線におけるチューブの端部が前記フェルール部材のテーパ面に突き当てられていることを特徴とする。
【0018】
即ち、チューブの端面をフェルール部材のテーパ面に突き当てることによって、チューブは、該チューブの軸がフェルール部材の中空部の軸と一致するように、前記テーパ面上を案内されて移動し、その結果、フェルール部材に対してセンタリングされることになる。
【0019】
これにより、フェルール部材の中空部の軸とチューブ内における光ファイバの軸との偏心量が少なくなり、光ファイバへの曲げの発生を抑制することができる。また、チューブの端面をフェルール部材のテーパ面に突き当てることで、チューブ端面からフェルール部材の中空部に向けて導出されるファイバ素線の露出量が大幅に低減することになる。従って、ハウジング部材内に注入される接着剤によるファイバ素線への影響(応力や気泡等による影響)をほとんどなくすことができる。これらのことから、本発明に係る光コネクタは、光伝送の損失を低減することができる。
【0020】
ところで、ハウジング部材とフェルール部材との固定に接着剤を用いているが、この接着剤の注入時に、ルース心線におけるチューブとファイバ素線との間にある隙間を通じて接着剤が流れ出てしまわないように、チューブの端部において、チューブとファイバ素線とを目止めするようにしている。
【0021】
本発明においては、上述したチューブとファイバ素線との目止めに弾性接着剤を用いるようにしてもよい。弾性接着剤は、ヤング率が15MPa以下の弾性接着剤を用いることが好ましく、9.8MPa以下の弾性接着剤であれば更に好ましい。
【0022】
これにより、ルース心線を光コネクタに挿入した段階において、ファイバ素線がチューブ内で偏心していても、目止め用の接着剤が硬化される前においては、前記偏心に伴って発生する曲げ応力を緩和するように、接着剤が流動し、ファイバ素線は自然にチューブの中心にセンタリングされることになる。従って、光ファイバそのものに大きな曲げ応力が加わることがない。
【0023】
上記の例では、弾性接着剤を用いて目止めした場合を示したが、その他、通常の接着剤(例えばハウジング部材とフェルール部材との固定に使用される接着剤等)によって目止めを行ってもよい。この場合、チューブの途中においてチューブとファイバ素線とを目止めすることが好ましい。
【0024】
つまり、ファイバ素線がチューブに対して偏心していても、曲げの緩和と固定用の接着剤のチューブ内への進入防止の両立を図れば問題の解決になる。従って、上述のように、チューブの途中でファイバ素線と目止めを行うことで、チューブの端面がフェルール部材のテーパ面に突き当てられていても、曲げの緩和に寄与するに十分なファイバ素線の長さを確保することができる。
【0025】
また、チューブとファイバ素線との間にセンタリング部材を挿入するようにしてもよい。これにより、ファイバ素線は、前記センタリング部材によって、チューブ内でセンタリングされ、曲げはほとんど発生しないことになる。センタリング部材は、チューブの端部に挿入するようにしてもよいし、チューブの途中に挿入するようにしてもよい。
【0026】
また、前記構成において、ルース心線におけるチューブの端部及びファイバ素線の端部をフェルール部材のテーパ面に突き当てるようにしてもよい。これにより、チューブは、該チューブの軸がフェルール部材の中空部の軸と一致するように、前記テーパ面上を案内されて移動すると共に、ファイバ素線の軸がフェルール部材の中空部の軸と一致するように、前記テーパ面上を案内されて移動し、フェルール部材に対してセンタリングされることになる。従って、この構成においては、フェルール部材の中空部の軸とチューブ内における光ファイバの軸との偏心量をほとんどなくすことが可能となる。
【0027】
次に、本発明に係る光コネクタの製造方法は、中心に光ファイバを有するファイバ素線と該ファイバ素線が挿通されたチューブとを有するルース心線と、前記ルース心線が挿通する中空部を有するハウジング部材と、前記ルース心線から露出した光ファイバが挿通する中空部を有するフェルール部材とを有し、前記フェルール部材のうち、前記ハウジング部材の中空部に臨む部分にテーパ面が形成された光コネクタの製造方法において、前記ルース心線のうち、チューブの端部における該チューブとファイバ素線との間に弾性接着剤を塗布する工程と、治具を用いて前記ルース心線におけるファイバ素線のセンタリングを行う工程と、前記弾性接着剤を硬化する工程と、前記ルース心線を取り外した後、該ルース心線を正規の前記ハウジング部材及びフェルール部材に挿通して光コネクタを作製する工程とを有することを特徴とする。
【0028】
治具としては、前記フェルール部材と同一の構造を有するようにし、前記ルース心線から露出する光ファイバを前記治具の中空部に挿通し、前記チューブの端部を前記フェルール部材あるいは前記治具のテーパ面に突き当てて前記ルース心線におけるファイバ素線のセンタリングを行うことが好ましい。
【0029】
つまり、治具として、例えば通常使用するものと全く同じフェルール部材を用意する。チューブにファイバ素線を挿入し、目止め用接着剤をチューブ端に塗布した後、この治具に、通常のファイバ組立と同様に挿入し、チューブの端部をフェルール部材のテーパ面に突き当てる。このとき、ファイバ素線は、チューブに対して自由であるため、最も安定な状態(位置)に移動する。即ち、この安定状態とは、曲げ応力が加わっていない状態、又は偏心のない状態、あるいは偏心が十分に小さい状態である。この状態で、目止め用の接着剤を硬化すれば、ファイバ素線はチューブに対して偏心のない状態で固定されることになる。
【0030】
従って、その後に、治具から前記ルース心線を取り外した後、該ルース心線を正規のハウジング部材及びフェルール部材に挿通することにより、フェルール部材の中空部の軸とチューブ内における光ファイバの軸との偏心がほとんどなく、光伝送の損失を低減することができる光コネクタを作製することができる。
【0031】
この作業では、治具をセンタリング用の治具として使い回すことができ、しかも、治具として通常のフェルール部材を用いてもよいため、特殊なものを準備する必要もない。この場合、フェルール部材は、光ファイバが挿入し易い設計となっているため、フェルール部材を治具として使用することで、この作業に大きな工数を必要としなくなり、好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光コネクタ及びその製造方法をフェルール型光コネクタに適用したいくつかの実施の形態例を図1〜図8を参照しながら説明する。
【0033】
まず、第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aは、図1に示すように、ルース心線18が挿通する中空部30を有する例えば金属製のハウジング部材32と、ルース心線18から露出した光ファイバ34が挿通する中空部36を有するフェルール部材38とを有する。フェルール部材38は、ハウジング部材32の中空部30に臨む部分にテーパ面40が形成されている。
【0034】
ルース心線18は、チューブ42と該チューブ42内を挿通するファイバ素線44とを有する。
【0035】
これらハウジング部材32とフェルール部材38は、ハウジング部材32の中空部30内に充填された固定用の接着剤46にて互いに接着固定される。また、ルース心線18の先端部分のうち、チューブ42とファイバ素線44との間に目止め用の接着剤48が充填されている。これは、この固定用の接着剤46を注入した際に、該固定用の接着剤46がチューブ42とファイバ素線44との隙間を通じて流れ出ないようにするためのものである。
【0036】
そして、この第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aは、図1に示すように、ルース心線18におけるチューブ42の端面42a(正確には先端周縁)がフェルール部材38のテーパ面40に突き当てられて構成されている。
【0037】
つまり、この第1の実施の形態においては、チューブ42の端面42aをフェルール部材38のテーパ面40に突き当てることによって、チューブ42は、該チューブ42の軸線がフェルール部材38の中空部36の軸線と一致するように、前記テーパ面40上を案内されて移動し、その結果、フェルール部材38に対してセンタリングされることになる。
【0038】
これにより、フェルール部材38の中空部36の軸線とルース心線18における光ファイバ34の軸線との偏心量が少なくなり、光ファイバ34への曲げの発生を抑制することができる。また、チューブ42の端面42aをフェルール部材38のテーパ面40に突き当てることで、チューブ42の端面42aからフェルール部材38の中空部36に向けて導出されるファイバ素線44の露出量が大幅に低減することになる。従って、ハウジング部材32内に注入される固定用の接着剤46によるファイバ素線44への影響(応力や気泡等による影響)をほとんどなくすことができる。これらのことから、第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aは、光伝送の損失を低減することができる。
【0039】
次に、第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bについて図1を参照しながら説明する。
【0040】
この第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bは、図1に示すように、上述した第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、チューブ42とファイバ素線44との間に目止め用に充填されている接着剤が弾性接着剤50である点で異なる。ここで、弾性接着剤50としては、ヤング率が15MPa以下の弾性接着剤を用いることが好ましく、9.8MPa以下の弾性接着剤であれば更に好ましい。
【0041】
このように、第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bにおいては、ルース心線18を光コネクタ10Bに挿入した段階において、ファイバ素線44がチューブ42内で偏心していても、目止め用の弾性接着剤50が硬化される前においては、前記偏心に伴って発生する曲げ応力を緩和するように、目止め用の弾性接着剤50が流動し、ファイバ素線44は自然にチューブ42の中心にセンタリングされることになる。従って、光ファイバ34自体に大きな曲げ応力が加わることがない。
【0042】
次に、第3の実施の形態に係る光コネクタ10Cについて図2を参照しながら説明する。なお、図1と対応するものについては同符号を記してその重複説明を省略する。
【0043】
この第3の実施の形態に係る光コネクタ10Cは、図2に示すように、上述した第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、チューブ42の途中においてチューブ42とファイバ素線44とを目止めしている点で異なる。
【0044】
具体的には、チューブ42の途中(目止めすべき位置)でチューブ42の一部を除去して、チューブ42の中空部まで到達する目止め樹脂用の孔60(二点鎖線で示す)を形成し、該孔60を通じてチューブ42内に目止め用の接着剤48を塗布あるいは注入し、硬化するようにしている。
【0045】
目止め用の接着剤48としては、ハウジング部材32とフェルール部材38とを固定する接着剤46と同様の接着剤を用いてもよいし、第2の実施の形態と同様に弾性接着剤50と同様の接着剤を用いてもよい。
【0046】
この第3の実施の形態に係る光コネクタ10Cは、ファイバ素線44がチューブ42に対して偏心していても、曲げの緩和と固定用の接着剤48のチューブ42内への進入防止の両立を図れば問題の解決になることを要旨としている。従って、上述のように、チューブ42の途中でファイバ素線44と目止めを行うことで、チューブ42の端面42aがフェルール部材38のテーパ面40に突き当てられていても、曲げの緩和に寄与するに十分なファイバ素線44の長さを確保することができる。
【0047】
例えばフェルール部材38のテーパ面40の傾斜角度が一般的な60°(片側30°)であれば、チューブ42の外径が例えば0.9mmとしたとき、フェルール部材38の中空部36の端部(テーパ面40側の端部)からチューブ42の端面42aまでの距離mは0.8mm程度となる。そして、チューブ42の内径が0.3mmであれば、偏心量は最大25μmなので、光ファイバ34に対する曲げを緩和するために、フェルール部材38の中空部36の端部から所定距離n(例えば1.5mm)ほど確保すればよい。つまり、チューブ42の途中のうち、該チューブ42の端面42aから0.7mmの位置で目止めを行えば、光ファイバ34に対する曲げの緩和が十分に期待できる。
【0048】
なお、チューブ42に設けた孔60を通じて目止め用の接着剤48を塗布あるいは注入したとき、接着剤48はチューブ42の端面42aに向かってある程度回り込むこととなる。そのため、その回り込みによる距離を見込んで、目止め用の接着剤48の端部48a(チューブ42の端面側を臨む端部)から上述した曲げの緩和に必要な距離nが確保できる位置に前記孔60を形成することが好ましい。
【0049】
次に、第4の実施の形態に係る光コネクタ10Dについて図3A及び図3Bを参照しながら説明する。なお、図1と対応するものについては同符号を記してその重複説明を省略する。
【0050】
この第4の実施の形態に係る光コネクタ10Dは、上述した第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、図3A及び図3Bにルース心線18のみを抽出して示すと、チューブ42の先端部において、該チューブ42とファイバ素線44との間に例えばプラスチック等にて構成されたセンタリング部材62が挿入されている点で異なる。
【0051】
この場合、ファイバ素線44は、センタリング部材62によって、チューブ42内でセンタリングされ、曲げはほとんど発生しないことになる。なお、センタリング部材62は、上述のように、チューブ42の端部に挿入するようにしてもよいし、チューブ42の途中に挿入するようにしてもよい。
【0052】
次に、第5の実施の形態に係る光コネクタ10Eについて図4を参照しながら説明する。なお、図1と対応するものについては同符号を記してその重複説明を省略する。
【0053】
この第5の実施の形態に係る光コネクタ10Eは、図4に示すように、上述した第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、ルース心線18におけるチューブ42の端面42a及びファイバ素線44の端面44a(先端周縁)がフェルール部材38のテーパ面40に突き当てられている点で異なる。
【0054】
これにより、チューブ42は、該チューブ42の軸線がフェルール部材38の中空部36の軸線と一致するように、テーパ面40上を案内されて移動すると共に、ファイバ素線44の軸線がフェルール部材38の中空部36の軸線と一致するように、テーパ面40上を案内されて移動し、フェルール部材38に対してセンタリングされることになる。従って、この第5の実施の形態においては、フェルール部材38の中空部36の軸線とチューブ42内における光ファイバ34の軸線との偏心量をほとんどなくすことが可能となる。
【0055】
次に、上述した例えば第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bを作製するための製造方法について図5〜図7を参照しながら説明する。
【0056】
まず、図5のステップS1において治具70(図6参照)を用意する。この治具70としては、例えば第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bと同一の構造、例えばフェルール部材38とハウジング部材32が合体した構造と同一の構造を有することが好ましい。従って、以下の説明では、治具70の各部材の名称並びに参照符号は、第2の実施の形態に係る光コネクタ10B(図1参照)の各部材に対応した名称並びに参照符号と同符号を記す。
【0057】
次いで、ステップS2において、チューブ42にファイバ素線44を挿入してルース心線18を作製する。その後、ステップS3において、ルース心線18のうち、チューブ42の端部における該チューブ42とファイバ素線44との間に目止め用の弾性接着剤50を塗布する。この段階では目止め用の弾性接着剤50の硬化は行わない。
【0058】
次に、ステップS4において、用意した治具70に、ルース心線18を通常のファイバ組立と同様に挿入し、チューブ42の端面をフェルール部材38のテーパ面40に突き当てる。このとき、ファイバ素線44は、チューブ42に対して自由であるため、最も安定な状態(位置)に移動する。即ち、この安定状態とは、曲げ応力が加わっていない状態、又は偏心のない状態、あるいは偏心が十分に小さい状態である。
【0059】
次いで、ステップS5において、熱処理を行って、目止め用の弾性接着剤50を硬化する。この段階で、ファイバ素線44はチューブ42に対して偏心のない状態で固定されることになる。
【0060】
その後、ステップS6において、治具70からルース心線18を取り外し、次いで、ステップS7において、ルース心線18を、図1に示すように、正規のハウジング部材32及びフェルール部材38(共に未硬化の固定用の接着剤46が充填されている)に挿通する。その後、ステップS8において、固定用の接着剤を硬化することにより、第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bが完成する。
【0061】
この製造方法の変形例として、例えば第5の実施の形態に係る光コネクタ10Eを作製する場合は、例えば図5のステップS4の後であって、ステップS5の目止め用の弾性接着剤50の硬化前に、図7に示すように、治具70の先端から突き出た光ファイバ34を引っ張る(図5のステップS9参照)。これにより、ルース心線18のチューブ42及びファイバ素線44のうち、ファイバ素線44のみが引っ張られ、ファイバ素線44の端面44aが治具70におけるフェルール部材38のテーパ面40に当たる。このファイバ素線44の端面44aがフェルール部材38のテーパ面40に当たることでファイバ素線44も確実にセンタリングされることになる。
【0062】
従って、その後のステップS7において、ルース心線18を正規のハウジング部材32及びフェルール部材38に挿通することで、チューブ42とファイバ素線44が共にフェルール部材38の中空部36に対してセンタリングされ、第5の実施の形態に係る光コネクタ10Eが完成することになる。
【0063】
上述の製造方法(変形例を含む)では、治具70に光ファイバ34を固定しないため、治具70をセンタリング用の治具として使い回すことができ、しかも、治具70として通常のフェルール部材38とハウジング部材32を用いてもよいため、特殊なものを準備する必要もない。この場合、フェルール部材38は、光ファイバ34が挿入し易い設計となっているため、上述の製造方法のように、フェルール部材38とハウジング部材32を治具70として使用することで、この作業に大きな工数を必要としなくなり、好ましい。
【0064】
なお、使用する治具70は、特段高精度なフェルール部材38を用いる必要はなく、例えば通常125μmのファイバ用フェルールとしては、中空部36の径が125.5μmのものが用いられるが、中空部36の径が127μm程度のものでも十分である。
【0065】
【実施例】
次に、本実施の形態に係る光コネクタ10を48心ファイバアレイ付きファンアウト12に適用した実施例について図8も参照しながら説明する。
【0066】
まず、図8に示すように、12心のリボンケーブル14を4本用意した。その後、各リボンケーブル14の一端部にそれぞれ12心のファイバアレイ20を装着し、各リボンケーブル14の他端部(光コネクタ10が装着される部分に対応する端部)から所定距離にわたって素線化して、該リボンケーブル14の途中から12本のファイバ素線44が導出されるような形態にした。
【0067】
その後、12本のチューブ42内にそれぞれファイバ素線44を挿通して12本のルース心線18を構成した後、分岐部16に装着し、更に、各ルース心線18の先端に光コネクタ10を装着した。
【0068】
この場合、ファイバ素線44、チューブ42、フェルール部材38並びにハウジング部材32は一般的なものを用いた。即ち、ファイバ素線44は径が0.25mmのものを用い、チューブ42は外径が0.9mmで内径が0.3mmのものを用い、ハウジング部材32は中空部30の径が1.05mmのものを用いた。このような構成で従来構造の光コネクタ110(図10参照)を作製した場合、光ファイバ116の偏心は最悪で100μmとなる。
【0069】
この実施例では、予め治具70を用い、ルース心線18のチューブ42の端面42aについてセンタリングを行った後、目止め用の弾性接着剤50を硬化させた。その後、ルース心線18を治具70から外し、代わりに正規のハウジング部材32とフェルール部材38を有する光コネクタ10を装着した。このとき、チューブ42の端面42aがフェルール部材38のテーパ面40に当たるまで押し込み装着した。その後、固定用の接着剤46を硬化し、光ファイバ34の端面を研磨することによって本実施例に係る光コネクタ10を完成した。
【0070】
その結果、光ファイバ34の偏心は10μm以下と小さく抑えることができ、良好な特性を得た。また、この実施例に係る光コネクタ10を有するファンアウト12について−40〜85℃×100サイクルによる熱サイクル試験と、湿度85%RH、温度85℃下で500時間の信頼性試験にかけた。その結果、損失変動が0.1dB以下と良好な結果を得た。
【0071】
なお、この発明に係る光コネクタ及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光コネクタ及びその製造方法によれば、フェルール部材の中空部の軸とチューブ内における光ファイバの軸との偏心量を少なくして、光ファイバへの曲げの発生を抑制することができ、しかも、ハウジング部材内に注入される接着剤によるファイバ素線への影響(応力や気泡等による影響)をほとんどなくすことができ、光伝送の損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る光コネクタ並びに第2の実施の形態に係る光コネクタを示す断面図である。
【図2】第3の実施の形態に係る光コネクタを示す断面図である。
【図3】図3Aは第4の実施の形態に係る光コネクタに使用されるルース心線を示す正面図であり、図3Bは図3AのB−B線上の断面図である。
【図4】第5の実施の形態に係る光コネクタを示す断面図である。
【図5】治具を用いた本実施の形態に係る光コネクタの製造方法を示す工程ブロック図である。
【図6】治具にルース心線を挿入してチューブをセンタリングしている状態を示す断面図である。
【図7】治具にルース心線を挿入してチューブとファイバ素線をセンタリングしている状態を示す断面図である。
【図8】本実施の形態に係る光コネクタが適用される48心ファイバアレイ付きファンアウトを示す構成図である。
【図9】光コネクタにルース心線を接続した例を示す説明図である。
【図10】従来例に係る光コネクタを示す断面図である。
【符号の説明】
10、10A〜10E…光コネクタ 18…ルース心線
30…中空部 32…ハウジング部材
34…光ファイバ 36…中空部
38…フェルール部材 40…テーパ面
42…チューブ 42a…チューブの端面
44…ファイバ素線 44a…ファイバ素線の端面
46…固定用の接着剤 48…目止め用の接着剤
50…目止め用の弾性接着剤 60…孔
62…センタリング部材 70…治具
【発明の属する技術分野】
本発明は、中心に光ファイバを有するファイバ素線と該ファイバ素線が挿通されたチューブとを有するルース心線のための光コネクタ及びその製造方法に関し、特に、フェルール型光コネクタに用いて好適な光コネクタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、波長の異なる光は互いに干渉しないという特性を利用して、1つの光ファイバで、複数のチャネルを構成させるための技術として高密度波長分割多重(DWDM)システムがある。このDWDMシステムは、チャネル毎に異なる波長の光を使用することから、伝送容量は波長の数に比例して大きくなる。また、既存の光伝送路を利用できるという利点もある。
【0003】
そして、このようなシステム内のファイバの取り回し等においては、ファイバ素線にコネクタを装着する必要が生じる場合があるが、ファイバ素線に直接コネクタを取り付けると、コネクタの重量や取り扱いによる荷重でファイバ素線にダメージを加えてしまうおそれがある。
【0004】
そこで、図9に示すように、ファイバ素線200にルースチューブ202を被せてなるルース心線204を使用し、このルース心線204に光コネクタ206を装着することが一般的である。このようなルース心線204を使用した形式(ルースタイプ)の場合、ファイバ素線200に対して光コネクタ206の重量や取り扱いによる荷重が直接かからないため、ファイバ素線200に対するダメージが減少するという利点がある。
【0005】
これは、ファンアウト、即ち、多心ファイバが一体とされたリボンケーブルが分岐部において多数の単心ファイバ素線に分離された構成を有するファンアウトにおいても同様であり、前記ファイバ素線をルースチューブで保護したルース心線とすることが一般的である。
【0006】
ファンアウトに接続される光コネクタ110は、図10に示すように、前記ルース心線100が挿通する中空部112を有する例えば金属製のハウジング部材114と、ルース心線100から露出した光ファイバ116が挿通する中空部118を有するフェルール部材120とを有する。フェルール部材120は、ハウジング部材114の中空部112に臨む部分にテーパ面122が形成されている。
【0007】
つまり、ルース心線100の先端に光コネクタ110を装着する場合、強度を確保する観点から、当然チューブ102もハウジング部材114の中空部112に挿入されて接着固定される。
【0008】
ルース心線100は、チューブ102と該チューブ102内を挿通するファイバ素線104とを有して構成されていることから、チューブ102にファイバ素線104を挿入した状態ではチューブ102内でファイバ素線104が偏心している場合が多い。この状態でルース心線100の光ファイバ116をフェルール部材120の中空部118に挿入すると、当然フェルール部材120の中空部118の軸線とチューブ102内における光ファイバ116の軸線が偏心しているため、チューブ102の端面102aからフェルール部材120に向けて導出された光ファイバ116に曲げが発生する。
【0009】
また、ハウジング部材114の中空部112の径がチューブ102の外径よりも大きく設定されているため、中空部112の内壁とチューブ102の外周との間にクリアランスが存在することとなる。一般に、光ファイバ116への光コネクタ110の装着において、このクリアランスによる光ファイバ116の偏心が大きな問題となるレベルではなかったが、ルース心線100のように、チューブ102内にファイバ素線104が挿通するタイプのコードの場合、前記クリアランスにチューブ102内におけるファイバ素線104の偏心が加わるため、フェルール部材120に対する光ファイバ116の曲げが大きくなる場合がある。
【0010】
このため、従来では、ルース心線100をハウジング部材114に挿入する際に、チューブ102の端面102aがハウジング部材114における中空部112の軸方向途中に位置するように設定し、該チューブ102の端面102aからフェルール部材120のテーパ面122までをファイバ素線104が延在するようにしている。そして、チューブ102の端面102aから延びるファイバ素線104の長さを、光ファイバ116の曲げ緩和に十分となる距離に設定している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなフェルール型光コネクタ110においては、ハウジング部材114とフェルール部材120との接着に、例えば室温での粘度が3,000〜5,600cPsの接着剤124(例えば1又は2液性エポキシ樹脂)を使用するようにしている。
【0012】
この場合、ルース心線100におけるチューブ102とファイバ素線144との間にある隙間を通じて接着剤124が流れ出てしまわないように、チューブ102の端部において、チューブ102とファイバ素線104を目止めするようにしている。具体的には、目止め用の接着剤126を充填するようにしている。
【0013】
また、従来のフェルール型光コネクタ110は、上述したように、ハウジング部材114の中空部112において、チューブ102の端面102aからフェルール部材120のテーパ面122までの距離を大きくとっている。
【0014】
そのため、ハウジング部材114の中空部112に上述した固定用の接着剤124を充填する際に、チューブ102の端面102aからフェルール部材120のテーパ面122までの間に存在するファイバ素線104に、接着剤124の注入に伴う応力がかかり、しかも、気泡が発生し易い状態であることから、気泡による影響も懸念され、損失増等の問題が発生するおそれがあった。
【0015】
また、従来においては、チューブ102をハウジング部材114の中空部112内に挿入する際に、該中空部112の途中でチューブ102の端面102aを位置させるようにしているが、そのための位置決め機構は存在しない。従って、チューブ102の端面102aから導出しているファイバ素線104の長さ等で管理することになるが、ファイバ素線104は剛性が低いので、ファイバ素線104の端部がフェルール部材120のテーパ面122に当たった際の反発力が小さい。つまり、作業者にとって、ファイバ素線104の端部がフェルール部材120のテーパ面122に当たったタイミングを認識することは困難である。そのため、ルース心線100を光コネクタ110に対して余分な力で押し込んだり、反対にチューブ102の端面102aを規定の位置よりも手前に位置させてしまうといった作業上の問題も発生し、このような作業上の問題によって新たな不具合も発生するおそれがある。
【0016】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、フェルール部材の中空部の軸線とチューブ内における光ファイバの軸線との偏心量を少なくして、光ファイバへの曲げの発生を抑制することができ、しかも、ハウジング部材内に注入される接着剤によるファイバ素線への影響(応力や気泡等による影響)をほとんどなくすことができ、光伝送の損失を低減することができる光コネクタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光コネクタは、中心に光ファイバを有するファイバ素線と該ファイバ素線が挿通されたチューブとを有するルース心線と、前記ルース心線が挿通する中空部を有するハウジング部材と、前記ルース心線から露出した光ファイバが挿通する中空部を有するフェルール部材とを有し、前記フェルール部材のうち、前記ハウジング部材の中空部に臨む部分にテーパ面が形成された光コネクタにおいて、前記ルース心線におけるチューブの端部が前記フェルール部材のテーパ面に突き当てられていることを特徴とする。
【0018】
即ち、チューブの端面をフェルール部材のテーパ面に突き当てることによって、チューブは、該チューブの軸がフェルール部材の中空部の軸と一致するように、前記テーパ面上を案内されて移動し、その結果、フェルール部材に対してセンタリングされることになる。
【0019】
これにより、フェルール部材の中空部の軸とチューブ内における光ファイバの軸との偏心量が少なくなり、光ファイバへの曲げの発生を抑制することができる。また、チューブの端面をフェルール部材のテーパ面に突き当てることで、チューブ端面からフェルール部材の中空部に向けて導出されるファイバ素線の露出量が大幅に低減することになる。従って、ハウジング部材内に注入される接着剤によるファイバ素線への影響(応力や気泡等による影響)をほとんどなくすことができる。これらのことから、本発明に係る光コネクタは、光伝送の損失を低減することができる。
【0020】
ところで、ハウジング部材とフェルール部材との固定に接着剤を用いているが、この接着剤の注入時に、ルース心線におけるチューブとファイバ素線との間にある隙間を通じて接着剤が流れ出てしまわないように、チューブの端部において、チューブとファイバ素線とを目止めするようにしている。
【0021】
本発明においては、上述したチューブとファイバ素線との目止めに弾性接着剤を用いるようにしてもよい。弾性接着剤は、ヤング率が15MPa以下の弾性接着剤を用いることが好ましく、9.8MPa以下の弾性接着剤であれば更に好ましい。
【0022】
これにより、ルース心線を光コネクタに挿入した段階において、ファイバ素線がチューブ内で偏心していても、目止め用の接着剤が硬化される前においては、前記偏心に伴って発生する曲げ応力を緩和するように、接着剤が流動し、ファイバ素線は自然にチューブの中心にセンタリングされることになる。従って、光ファイバそのものに大きな曲げ応力が加わることがない。
【0023】
上記の例では、弾性接着剤を用いて目止めした場合を示したが、その他、通常の接着剤(例えばハウジング部材とフェルール部材との固定に使用される接着剤等)によって目止めを行ってもよい。この場合、チューブの途中においてチューブとファイバ素線とを目止めすることが好ましい。
【0024】
つまり、ファイバ素線がチューブに対して偏心していても、曲げの緩和と固定用の接着剤のチューブ内への進入防止の両立を図れば問題の解決になる。従って、上述のように、チューブの途中でファイバ素線と目止めを行うことで、チューブの端面がフェルール部材のテーパ面に突き当てられていても、曲げの緩和に寄与するに十分なファイバ素線の長さを確保することができる。
【0025】
また、チューブとファイバ素線との間にセンタリング部材を挿入するようにしてもよい。これにより、ファイバ素線は、前記センタリング部材によって、チューブ内でセンタリングされ、曲げはほとんど発生しないことになる。センタリング部材は、チューブの端部に挿入するようにしてもよいし、チューブの途中に挿入するようにしてもよい。
【0026】
また、前記構成において、ルース心線におけるチューブの端部及びファイバ素線の端部をフェルール部材のテーパ面に突き当てるようにしてもよい。これにより、チューブは、該チューブの軸がフェルール部材の中空部の軸と一致するように、前記テーパ面上を案内されて移動すると共に、ファイバ素線の軸がフェルール部材の中空部の軸と一致するように、前記テーパ面上を案内されて移動し、フェルール部材に対してセンタリングされることになる。従って、この構成においては、フェルール部材の中空部の軸とチューブ内における光ファイバの軸との偏心量をほとんどなくすことが可能となる。
【0027】
次に、本発明に係る光コネクタの製造方法は、中心に光ファイバを有するファイバ素線と該ファイバ素線が挿通されたチューブとを有するルース心線と、前記ルース心線が挿通する中空部を有するハウジング部材と、前記ルース心線から露出した光ファイバが挿通する中空部を有するフェルール部材とを有し、前記フェルール部材のうち、前記ハウジング部材の中空部に臨む部分にテーパ面が形成された光コネクタの製造方法において、前記ルース心線のうち、チューブの端部における該チューブとファイバ素線との間に弾性接着剤を塗布する工程と、治具を用いて前記ルース心線におけるファイバ素線のセンタリングを行う工程と、前記弾性接着剤を硬化する工程と、前記ルース心線を取り外した後、該ルース心線を正規の前記ハウジング部材及びフェルール部材に挿通して光コネクタを作製する工程とを有することを特徴とする。
【0028】
治具としては、前記フェルール部材と同一の構造を有するようにし、前記ルース心線から露出する光ファイバを前記治具の中空部に挿通し、前記チューブの端部を前記フェルール部材あるいは前記治具のテーパ面に突き当てて前記ルース心線におけるファイバ素線のセンタリングを行うことが好ましい。
【0029】
つまり、治具として、例えば通常使用するものと全く同じフェルール部材を用意する。チューブにファイバ素線を挿入し、目止め用接着剤をチューブ端に塗布した後、この治具に、通常のファイバ組立と同様に挿入し、チューブの端部をフェルール部材のテーパ面に突き当てる。このとき、ファイバ素線は、チューブに対して自由であるため、最も安定な状態(位置)に移動する。即ち、この安定状態とは、曲げ応力が加わっていない状態、又は偏心のない状態、あるいは偏心が十分に小さい状態である。この状態で、目止め用の接着剤を硬化すれば、ファイバ素線はチューブに対して偏心のない状態で固定されることになる。
【0030】
従って、その後に、治具から前記ルース心線を取り外した後、該ルース心線を正規のハウジング部材及びフェルール部材に挿通することにより、フェルール部材の中空部の軸とチューブ内における光ファイバの軸との偏心がほとんどなく、光伝送の損失を低減することができる光コネクタを作製することができる。
【0031】
この作業では、治具をセンタリング用の治具として使い回すことができ、しかも、治具として通常のフェルール部材を用いてもよいため、特殊なものを準備する必要もない。この場合、フェルール部材は、光ファイバが挿入し易い設計となっているため、フェルール部材を治具として使用することで、この作業に大きな工数を必要としなくなり、好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光コネクタ及びその製造方法をフェルール型光コネクタに適用したいくつかの実施の形態例を図1〜図8を参照しながら説明する。
【0033】
まず、第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aは、図1に示すように、ルース心線18が挿通する中空部30を有する例えば金属製のハウジング部材32と、ルース心線18から露出した光ファイバ34が挿通する中空部36を有するフェルール部材38とを有する。フェルール部材38は、ハウジング部材32の中空部30に臨む部分にテーパ面40が形成されている。
【0034】
ルース心線18は、チューブ42と該チューブ42内を挿通するファイバ素線44とを有する。
【0035】
これらハウジング部材32とフェルール部材38は、ハウジング部材32の中空部30内に充填された固定用の接着剤46にて互いに接着固定される。また、ルース心線18の先端部分のうち、チューブ42とファイバ素線44との間に目止め用の接着剤48が充填されている。これは、この固定用の接着剤46を注入した際に、該固定用の接着剤46がチューブ42とファイバ素線44との隙間を通じて流れ出ないようにするためのものである。
【0036】
そして、この第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aは、図1に示すように、ルース心線18におけるチューブ42の端面42a(正確には先端周縁)がフェルール部材38のテーパ面40に突き当てられて構成されている。
【0037】
つまり、この第1の実施の形態においては、チューブ42の端面42aをフェルール部材38のテーパ面40に突き当てることによって、チューブ42は、該チューブ42の軸線がフェルール部材38の中空部36の軸線と一致するように、前記テーパ面40上を案内されて移動し、その結果、フェルール部材38に対してセンタリングされることになる。
【0038】
これにより、フェルール部材38の中空部36の軸線とルース心線18における光ファイバ34の軸線との偏心量が少なくなり、光ファイバ34への曲げの発生を抑制することができる。また、チューブ42の端面42aをフェルール部材38のテーパ面40に突き当てることで、チューブ42の端面42aからフェルール部材38の中空部36に向けて導出されるファイバ素線44の露出量が大幅に低減することになる。従って、ハウジング部材32内に注入される固定用の接着剤46によるファイバ素線44への影響(応力や気泡等による影響)をほとんどなくすことができる。これらのことから、第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aは、光伝送の損失を低減することができる。
【0039】
次に、第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bについて図1を参照しながら説明する。
【0040】
この第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bは、図1に示すように、上述した第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、チューブ42とファイバ素線44との間に目止め用に充填されている接着剤が弾性接着剤50である点で異なる。ここで、弾性接着剤50としては、ヤング率が15MPa以下の弾性接着剤を用いることが好ましく、9.8MPa以下の弾性接着剤であれば更に好ましい。
【0041】
このように、第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bにおいては、ルース心線18を光コネクタ10Bに挿入した段階において、ファイバ素線44がチューブ42内で偏心していても、目止め用の弾性接着剤50が硬化される前においては、前記偏心に伴って発生する曲げ応力を緩和するように、目止め用の弾性接着剤50が流動し、ファイバ素線44は自然にチューブ42の中心にセンタリングされることになる。従って、光ファイバ34自体に大きな曲げ応力が加わることがない。
【0042】
次に、第3の実施の形態に係る光コネクタ10Cについて図2を参照しながら説明する。なお、図1と対応するものについては同符号を記してその重複説明を省略する。
【0043】
この第3の実施の形態に係る光コネクタ10Cは、図2に示すように、上述した第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、チューブ42の途中においてチューブ42とファイバ素線44とを目止めしている点で異なる。
【0044】
具体的には、チューブ42の途中(目止めすべき位置)でチューブ42の一部を除去して、チューブ42の中空部まで到達する目止め樹脂用の孔60(二点鎖線で示す)を形成し、該孔60を通じてチューブ42内に目止め用の接着剤48を塗布あるいは注入し、硬化するようにしている。
【0045】
目止め用の接着剤48としては、ハウジング部材32とフェルール部材38とを固定する接着剤46と同様の接着剤を用いてもよいし、第2の実施の形態と同様に弾性接着剤50と同様の接着剤を用いてもよい。
【0046】
この第3の実施の形態に係る光コネクタ10Cは、ファイバ素線44がチューブ42に対して偏心していても、曲げの緩和と固定用の接着剤48のチューブ42内への進入防止の両立を図れば問題の解決になることを要旨としている。従って、上述のように、チューブ42の途中でファイバ素線44と目止めを行うことで、チューブ42の端面42aがフェルール部材38のテーパ面40に突き当てられていても、曲げの緩和に寄与するに十分なファイバ素線44の長さを確保することができる。
【0047】
例えばフェルール部材38のテーパ面40の傾斜角度が一般的な60°(片側30°)であれば、チューブ42の外径が例えば0.9mmとしたとき、フェルール部材38の中空部36の端部(テーパ面40側の端部)からチューブ42の端面42aまでの距離mは0.8mm程度となる。そして、チューブ42の内径が0.3mmであれば、偏心量は最大25μmなので、光ファイバ34に対する曲げを緩和するために、フェルール部材38の中空部36の端部から所定距離n(例えば1.5mm)ほど確保すればよい。つまり、チューブ42の途中のうち、該チューブ42の端面42aから0.7mmの位置で目止めを行えば、光ファイバ34に対する曲げの緩和が十分に期待できる。
【0048】
なお、チューブ42に設けた孔60を通じて目止め用の接着剤48を塗布あるいは注入したとき、接着剤48はチューブ42の端面42aに向かってある程度回り込むこととなる。そのため、その回り込みによる距離を見込んで、目止め用の接着剤48の端部48a(チューブ42の端面側を臨む端部)から上述した曲げの緩和に必要な距離nが確保できる位置に前記孔60を形成することが好ましい。
【0049】
次に、第4の実施の形態に係る光コネクタ10Dについて図3A及び図3Bを参照しながら説明する。なお、図1と対応するものについては同符号を記してその重複説明を省略する。
【0050】
この第4の実施の形態に係る光コネクタ10Dは、上述した第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、図3A及び図3Bにルース心線18のみを抽出して示すと、チューブ42の先端部において、該チューブ42とファイバ素線44との間に例えばプラスチック等にて構成されたセンタリング部材62が挿入されている点で異なる。
【0051】
この場合、ファイバ素線44は、センタリング部材62によって、チューブ42内でセンタリングされ、曲げはほとんど発生しないことになる。なお、センタリング部材62は、上述のように、チューブ42の端部に挿入するようにしてもよいし、チューブ42の途中に挿入するようにしてもよい。
【0052】
次に、第5の実施の形態に係る光コネクタ10Eについて図4を参照しながら説明する。なお、図1と対応するものについては同符号を記してその重複説明を省略する。
【0053】
この第5の実施の形態に係る光コネクタ10Eは、図4に示すように、上述した第1の実施の形態に係る光コネクタ10Aとほぼ同様の構成を有するが、ルース心線18におけるチューブ42の端面42a及びファイバ素線44の端面44a(先端周縁)がフェルール部材38のテーパ面40に突き当てられている点で異なる。
【0054】
これにより、チューブ42は、該チューブ42の軸線がフェルール部材38の中空部36の軸線と一致するように、テーパ面40上を案内されて移動すると共に、ファイバ素線44の軸線がフェルール部材38の中空部36の軸線と一致するように、テーパ面40上を案内されて移動し、フェルール部材38に対してセンタリングされることになる。従って、この第5の実施の形態においては、フェルール部材38の中空部36の軸線とチューブ42内における光ファイバ34の軸線との偏心量をほとんどなくすことが可能となる。
【0055】
次に、上述した例えば第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bを作製するための製造方法について図5〜図7を参照しながら説明する。
【0056】
まず、図5のステップS1において治具70(図6参照)を用意する。この治具70としては、例えば第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bと同一の構造、例えばフェルール部材38とハウジング部材32が合体した構造と同一の構造を有することが好ましい。従って、以下の説明では、治具70の各部材の名称並びに参照符号は、第2の実施の形態に係る光コネクタ10B(図1参照)の各部材に対応した名称並びに参照符号と同符号を記す。
【0057】
次いで、ステップS2において、チューブ42にファイバ素線44を挿入してルース心線18を作製する。その後、ステップS3において、ルース心線18のうち、チューブ42の端部における該チューブ42とファイバ素線44との間に目止め用の弾性接着剤50を塗布する。この段階では目止め用の弾性接着剤50の硬化は行わない。
【0058】
次に、ステップS4において、用意した治具70に、ルース心線18を通常のファイバ組立と同様に挿入し、チューブ42の端面をフェルール部材38のテーパ面40に突き当てる。このとき、ファイバ素線44は、チューブ42に対して自由であるため、最も安定な状態(位置)に移動する。即ち、この安定状態とは、曲げ応力が加わっていない状態、又は偏心のない状態、あるいは偏心が十分に小さい状態である。
【0059】
次いで、ステップS5において、熱処理を行って、目止め用の弾性接着剤50を硬化する。この段階で、ファイバ素線44はチューブ42に対して偏心のない状態で固定されることになる。
【0060】
その後、ステップS6において、治具70からルース心線18を取り外し、次いで、ステップS7において、ルース心線18を、図1に示すように、正規のハウジング部材32及びフェルール部材38(共に未硬化の固定用の接着剤46が充填されている)に挿通する。その後、ステップS8において、固定用の接着剤を硬化することにより、第2の実施の形態に係る光コネクタ10Bが完成する。
【0061】
この製造方法の変形例として、例えば第5の実施の形態に係る光コネクタ10Eを作製する場合は、例えば図5のステップS4の後であって、ステップS5の目止め用の弾性接着剤50の硬化前に、図7に示すように、治具70の先端から突き出た光ファイバ34を引っ張る(図5のステップS9参照)。これにより、ルース心線18のチューブ42及びファイバ素線44のうち、ファイバ素線44のみが引っ張られ、ファイバ素線44の端面44aが治具70におけるフェルール部材38のテーパ面40に当たる。このファイバ素線44の端面44aがフェルール部材38のテーパ面40に当たることでファイバ素線44も確実にセンタリングされることになる。
【0062】
従って、その後のステップS7において、ルース心線18を正規のハウジング部材32及びフェルール部材38に挿通することで、チューブ42とファイバ素線44が共にフェルール部材38の中空部36に対してセンタリングされ、第5の実施の形態に係る光コネクタ10Eが完成することになる。
【0063】
上述の製造方法(変形例を含む)では、治具70に光ファイバ34を固定しないため、治具70をセンタリング用の治具として使い回すことができ、しかも、治具70として通常のフェルール部材38とハウジング部材32を用いてもよいため、特殊なものを準備する必要もない。この場合、フェルール部材38は、光ファイバ34が挿入し易い設計となっているため、上述の製造方法のように、フェルール部材38とハウジング部材32を治具70として使用することで、この作業に大きな工数を必要としなくなり、好ましい。
【0064】
なお、使用する治具70は、特段高精度なフェルール部材38を用いる必要はなく、例えば通常125μmのファイバ用フェルールとしては、中空部36の径が125.5μmのものが用いられるが、中空部36の径が127μm程度のものでも十分である。
【0065】
【実施例】
次に、本実施の形態に係る光コネクタ10を48心ファイバアレイ付きファンアウト12に適用した実施例について図8も参照しながら説明する。
【0066】
まず、図8に示すように、12心のリボンケーブル14を4本用意した。その後、各リボンケーブル14の一端部にそれぞれ12心のファイバアレイ20を装着し、各リボンケーブル14の他端部(光コネクタ10が装着される部分に対応する端部)から所定距離にわたって素線化して、該リボンケーブル14の途中から12本のファイバ素線44が導出されるような形態にした。
【0067】
その後、12本のチューブ42内にそれぞれファイバ素線44を挿通して12本のルース心線18を構成した後、分岐部16に装着し、更に、各ルース心線18の先端に光コネクタ10を装着した。
【0068】
この場合、ファイバ素線44、チューブ42、フェルール部材38並びにハウジング部材32は一般的なものを用いた。即ち、ファイバ素線44は径が0.25mmのものを用い、チューブ42は外径が0.9mmで内径が0.3mmのものを用い、ハウジング部材32は中空部30の径が1.05mmのものを用いた。このような構成で従来構造の光コネクタ110(図10参照)を作製した場合、光ファイバ116の偏心は最悪で100μmとなる。
【0069】
この実施例では、予め治具70を用い、ルース心線18のチューブ42の端面42aについてセンタリングを行った後、目止め用の弾性接着剤50を硬化させた。その後、ルース心線18を治具70から外し、代わりに正規のハウジング部材32とフェルール部材38を有する光コネクタ10を装着した。このとき、チューブ42の端面42aがフェルール部材38のテーパ面40に当たるまで押し込み装着した。その後、固定用の接着剤46を硬化し、光ファイバ34の端面を研磨することによって本実施例に係る光コネクタ10を完成した。
【0070】
その結果、光ファイバ34の偏心は10μm以下と小さく抑えることができ、良好な特性を得た。また、この実施例に係る光コネクタ10を有するファンアウト12について−40〜85℃×100サイクルによる熱サイクル試験と、湿度85%RH、温度85℃下で500時間の信頼性試験にかけた。その結果、損失変動が0.1dB以下と良好な結果を得た。
【0071】
なお、この発明に係る光コネクタ及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光コネクタ及びその製造方法によれば、フェルール部材の中空部の軸とチューブ内における光ファイバの軸との偏心量を少なくして、光ファイバへの曲げの発生を抑制することができ、しかも、ハウジング部材内に注入される接着剤によるファイバ素線への影響(応力や気泡等による影響)をほとんどなくすことができ、光伝送の損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る光コネクタ並びに第2の実施の形態に係る光コネクタを示す断面図である。
【図2】第3の実施の形態に係る光コネクタを示す断面図である。
【図3】図3Aは第4の実施の形態に係る光コネクタに使用されるルース心線を示す正面図であり、図3Bは図3AのB−B線上の断面図である。
【図4】第5の実施の形態に係る光コネクタを示す断面図である。
【図5】治具を用いた本実施の形態に係る光コネクタの製造方法を示す工程ブロック図である。
【図6】治具にルース心線を挿入してチューブをセンタリングしている状態を示す断面図である。
【図7】治具にルース心線を挿入してチューブとファイバ素線をセンタリングしている状態を示す断面図である。
【図8】本実施の形態に係る光コネクタが適用される48心ファイバアレイ付きファンアウトを示す構成図である。
【図9】光コネクタにルース心線を接続した例を示す説明図である。
【図10】従来例に係る光コネクタを示す断面図である。
【符号の説明】
10、10A〜10E…光コネクタ 18…ルース心線
30…中空部 32…ハウジング部材
34…光ファイバ 36…中空部
38…フェルール部材 40…テーパ面
42…チューブ 42a…チューブの端面
44…ファイバ素線 44a…ファイバ素線の端面
46…固定用の接着剤 48…目止め用の接着剤
50…目止め用の弾性接着剤 60…孔
62…センタリング部材 70…治具
Claims (7)
- 中心に光ファイバを有するファイバ素線と該ファイバ素線が挿通されたチューブとを有するルース心線と、
前記ルース心線が挿通する中空部を有するハウジング部材と、
前記ルース心線から露出した光ファイバが挿通する中空部を有するフェルール部材とを有し、
前記フェルール部材のうち、前記ハウジング部材の中空部に臨む部分にテーパ面が形成された光コネクタにおいて、
前記ルース心線におけるチューブの端部が前記フェルール部材のテーパ面に突き当てられていることを特徴とする光コネクタ。 - 請求項1記載の光コネクタにおいて、
前記チューブの端部において該チューブとファイバ素線とが弾性接着剤にて目止めされていることを特徴とする光コネクタ。 - 請求項1記載の光コネクタにおいて、
前記チューブの途中において該チューブとファイバ素線とが接着剤にて目止めされていることを特徴とする光コネクタ。 - 請求項1記載の光コネクタにおいて、
前記チューブとファイバ素線との間にセンタリング部材が挿入されていることを特徴とする光コネクタ。 - 請求項1記載の光コネクタにおいて、
前記ルース心線におけるチューブの端部及びファイバ素線の端部が前記フェルール部材のテーパ面に突き当てられていることを特徴とする光コネクタ。 - 中心に光ファイバを有するファイバ素線と該ファイバ素線が挿通されたチューブとを有するルース心線と、
前記ルース心線が挿通する中空部を有するハウジング部材と、
前記ルース心線から露出した光ファイバが挿通する中空部を有するフェルール部材とを有し、
前記フェルール部材のうち、前記ハウジング部材の中空部に臨む部分にテーパ面が形成された光コネクタの製造方法において、
前記ルース心線のうち、チューブの端部における該チューブとファイバ素線との間に弾性接着剤を塗布する工程と、
治具を用いて前記ルース心線におけるファイバ素線のセンタリングを行う工程と、
前記弾性接着剤を硬化する工程と、
前記ルース心線を取り外した後、該ルース心線を正規の前記ハウジング部材及び前記フェルール部材に挿通して光コネクタを作製する工程とを有することを特徴とする光コネクタの製造方法。 - 請求項6記載の光コネクタの製造方法において、
前記治具は、前記フェルール部材と同一の構造を有し、
前記ルース心線から露出する光ファイバを前記治具の中空部に挿通し、前記チューブの端部を前記フェルール部材あるいは前記治具のテーパ面に突き当てて前記ルース心線におけるファイバ素線のセンタリングを行うことを特徴とする光コネクタの製造方法。
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JP2002172279A JP2004020677A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 光コネクタ及びその製造方法 |
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JP2012073460A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Kyocera Corp | 光ファイバピグテールおよびそれを用いた光モジュール |
JP2021107935A (ja) * | 2011-08-30 | 2021-07-29 | オプセンス インコーポレイテッド | ガイドワイヤ管の近位側部分内で光ファイバを終端させる方法 |
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