JP2004019447A - 点火コイル集合装置 - Google Patents

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常永 孝二
Sachihiro Shimoide
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Abstract

【課題】各点火コイルの取付け位置を軸方向に直交する面内でスライド調整可能とした点火コイル集合装置を提供する。
【解決手段】下カバー3は、エンジン側の各プラグホールにそれぞれ対応する位置に形成された各遊挿孔3bに各点火コイル胴体部2bを遊挿させ且つ各点火コイル頭部2aを各遊挿孔3b周縁に載置させ、下カバー3の上面を覆うように設けられた上カバー4は、その少なくとも一部が下カバー3の各遊挿孔3b周縁に載置された各点火コイル頭部2aに上方から当接して各点火コイル2を固定する。そして、仮止め部材としての取付け用ボルト5が上カバー4と下カバー3とを仮止めすることにより、各胴体部2bが遊挿孔3bに遊挿された各点火コイル2が軸方向に直交する面内でスライド調整可能となっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のエンジンに使用される点火コイル装置に関し、特に、エンジン側の各プラグホール内に取付けられた各点火プラグにそれぞれ接続される複数の点火コイルを配設してなる点火コイル集合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、点火コイルに電源を供給するためのコネクタを集積した集積コネクタブロックが特開平9−250437号公報等において提案されている。この集積コネクタブロックは、樹脂で細長状に形成されたコネクタブロック本体を備え、このコネクタブロック本体の下面側に複数のコイル接続部が一体的に設けられ、エンジンに取付けられた各点火プラグ側にそれぞれ備えられた各点火コイルが、各点火コイルの軸心方向、即ち点火プラグの軸心方向より各コイル接続部にそれぞれ外嵌状に接続される構造となっていた。
【0003】
さらに、複数の点火コイルをエンジン側の各プラグホール内へ一度に取付けることを可能とするために、複数の点火コイルを予め所定間隔で固定配設してなる点火コイル集合装置が提案されている。例えば、図8に示す従来の点火コイル集合装置51は、樹脂からなるベース部材53がエンジン側の各プラグホールにそれぞれ対応する位置にて各点火コイル52を支持するように構成されている。また、各点火コイル52は、ベース部材53に対してボルトの締結により固定されるか、あるいは、各点火コイル52とベース部材53とが樹脂により一体成型されることにより、各点火コイル52とベース部材53とが一体化されている。そして、点火コイル集合装置51は、各点火コイル52を軸心方向より各プラグホール内に挿入するようにしてエンジン側に装着され、ベース部材53の長手方向両端及び中央部に形成した貫通孔53aに取付け用ボルト53cを挿通し、エンジン側のネジ孔に螺合締結することによりエンジン側へ固定される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の点火コイル集合装置51では、エンジン側の各プラグホールの間隔(プラグホールピッチ)及びベース部材53に対する各点火コイル52の取付けピッチの寸法公差を極めて小さくすることが要求され、エンジン及び点火コイル集合装置の製造が非常に困難であるという問題がある。すなわち、プラグホールピッチと各点火コイル52の取付けピッチとの間にズレがあると、ベース部材53に固定された各点火コイル52をそれぞれ対応するプラグホール内へ真っ直ぐに挿入できない事態が生じるからである。
【0005】
本発明は、各点火コイルの取付け位置を軸方向に直交する面内でスライド調整可能とした点火コイル集合装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に記載の点火コイル集合装置は、エンジン側の各プラグホール内に取付けられた各点火プラグにそれぞれ接続される複数の点火コイルを配設してなる点火コイル集合装置において、前記各プラグホールにそれぞれ対応する位置に各遊挿孔が形成され、前記各点火コイルの胴体部を前記各遊挿孔に遊挿させ且つ前記各点火コイルの頭部を前記各遊挿孔周縁に載置させる下カバーと、その下カバーの上面を覆うように設けられ、前記下カバーの前記各遊挿孔周縁に載置された前記各点火コイル頭部に少なくとも一部分が上方から当接して前記各点火コイルを固定する上カバーと、前記各点火コイルの取付け位置を軸方向に直交する面内でスライド調整可能とさせるように前記上カバーと前記下カバーとを仮止めする仮止め部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
従って、下カバーは、各プラグホールにそれぞれ対応する位置に形成された各遊挿孔に前記各点火コイルの胴体部を遊挿させ且つ前記各点火コイルの頭部を前記各遊挿孔周縁に載置させ、その下カバーの上面を覆うように設けられた上カバーは、少なくとも一部分が下カバーの各遊挿孔周縁に載置された各点火コイル頭部に上方から当接して各点火コイルを固定する。そして、仮止め部材が上カバーと下カバーとを仮止めすることにより、各点火コイルの取付け位置が軸方向に直交する面内でスライド調整可能となる。
【0008】
よって、エンジン側に形成された各プラグホール間のピッチに誤差がある場合でも、各点火コイルの取付け位置を軸方向に直交する面内でスライド調整することにより、各点火コイルを各プラグホール内へ容易且つ確実に挿着することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の点火コイル集合装置は、前記仮止め部材が、前記上カバーに形成された上カバー貫通孔と、前記下カバーにおいて前記上カバー貫通孔と同軸的に形成され且つ雌ネジが螺刻された下カバー貫通孔とにそれぞれ挿通されて、前記エンジン側に螺合締結されるネジ部材からなり、前記上カバーと前記下カバーとは、前記ネジ部材先端の雄ネジ部が前記下カバー貫通孔内の雌ネジに螺合することにより仮止めされることを特徴とする。
【0010】
従って、ネジ部材が上カバー貫通孔と下カバー貫通孔とにそれぞれ挿通され、且つネジ部材先端の雄ネジ部が下カバー貫通孔内の雌ネジに螺合することにより、上カバーと下カバーとが仮止めされる。この状態で各点火コイルを各プラグホール内へ挿入すると、各点火コイルが各プラグホールの内周面に当接することにより軸方向に直交する面内でスライド調整されて、各プラグホール内に確実に挿着される。さらに、ネジ部材先端の雄ネジ部をエンジン側に螺合締結させることにより、上カバーと下カバーとが一体的にエンジン側に固定される。
【0011】
また、請求項3に記載の点火コイル集合装置は、前記仮止め部材が、前記上カバーに形成された上カバー貫通孔と、前記下カバーにおいて前記上カバー貫通孔と同軸的に形成された下カバー貫通孔とにそれぞれ挿通されて、前記エンジン側に螺合締結されるネジ部材からなり、そのネジ部材は、先端部分をなす雄ネジ部と、ネジ部材頭部と前記雄ネジ部との中間部分をなし且つネジ山が螺刻されていない首下部とを有し、前記首下部の長さは、前記上カバー貫通孔の長さと前記下カバー貫通孔の長さとの和よりも長く設定されるとともに、前記首下部の直径は、前記下カバー貫通孔の孔径よりも小さく設定され、且つ前記雄ネジ部のネジ径が前記下カバー貫通孔の孔径よりも大きく設定されたことを特徴とする。
【0012】
従って、ネジ部材は、直径が下カバー貫通孔の孔径よりも小さく設定された首下部において上カバー貫通孔と下カバー貫通孔とにそれぞれ挿通され、且つネジ径が下カバー貫通孔の孔径よりも大きく設定されたネジ部材先端の雄ネジ部上端が下カバー下面側の下カバー貫通孔周縁に当接することにより、上カバーと下カバーとが仮止めされる。この状態で各点火コイルを各プラグホール内へ挿入すると、各点火コイルの取付け位置が各プラグホールの内周面に当接することにより軸方向に直交する面内でスライド調整されて、各プラグホール内に確実に挿着される。さらに、ネジ部材先端の雄ネジ部をエンジン側に螺合締結させることにより、上カバーと下カバーとが一体的にエンジン側に固定される。
【0013】
また、請求項4に記載の点火コイル集合装置は、前記上カバーの下面に、前記下カバーの前記各遊挿孔周縁に載置された前記各点火コイル頭部に上方から当接する弾性部材を設けたことを特徴とする。
【0014】
従って、弾性部材が、下カバーの各遊挿孔周縁に載置された各点火コイル頭部に上方から弾力的に当接するので、各プラグホールの深さ又は各点火コイルの長さ等の軸方向誤差が吸収されて、各点火コイルを各プラグホール内へ容易且つ確実に挿着することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の点火コイル集合装置は、前記上カバーの下面に、前記各点火コイル頭部の軸回りの回転を阻止する回り止め部を設けたことを特徴とする。
【0016】
従って、上カバーの下面に設けられた回り止め部が、各点火コイル頭部の軸回りの回転を確実に阻止するので、各点火コイルを常に一定の向きに固定しておくことができる。
【0017】
また、請求項6に記載の点火コイル集合装置は、前記各点火コイル頭部には、少なくとも一つの二面巾部が形成され、前記回り止め部は、前記各点火コイル頭部の少なくとも一部を内挿させる凹状部からなることを特徴とする。
【0018】
従って、各点火コイル頭部の軸回りの回転が、凹状部に内挿された各点火コイル頭部の二面巾部が凹状部内周面に当接することにより確実に阻止される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した点火コイル集合装置の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
まず、本発明の第一の実施形態である点火コイル集合装置1について、図1乃至図4を参照しつつ説明する。
【0021】
点火コイル集合装置1は、自動車用エンジンに搭載されるものであり、エンジン側の各プラグホール内に取付けられた各点火プラグに、それぞれ軸心方向から接続される複数の点火コイル2を所定間隔を有して配設した装置である。
【0022】
すなわち、点火コイル集合装置1は、図1乃至図4に示すように、複数の点火コイル2と、各点火コイル2が配設される下カバー3と、その下カバー3を覆うように設けられる上カバー4と、下カバー3と上カバー4とをエンジン側に一体的に取付けるネジ部材としての3本の取付け用ボルト5とから構成されている。尚、図1等に示した実施形態は、4気筒エンジンに取付けられるものであって、4個の点火コイル2を備えている。
【0023】
各点火コイル2は、絶縁性樹脂等により形成されたケース内に点火プラグへ供給する高電圧を発生する所定の電気回路を内蔵したスティック形状の部材である。各点火コイル2は、図1に示すように、上端部に設けられた頭部2aと、頭部2aの下方に設けられた円柱状の胴体部2bと、その胴体部2bの下端に取付けられた筒状のプラグキャップ2cとから構成されている。
【0024】
頭部2aは、エンジン側のプラグホール内径よりも大径に形成された略立方体状をなす部分である。また、頭部2aの一側面には側方突出状にコネクタ部が設けられ、そのコネクタ部は、各点火コイル2が図示しないバッテリと電気的に接続されるコード側に設けられたコネクタと接続される。尚、コネクタ部は、図1では頭部2aの背面側となるため図示されていない。
【0025】
胴体部2bは、頭部2aよりも小径の円柱状をなしており、エンジン側のプラグホール内に挿通される。従って、各点火コイル2は、胴体部2bが下カバー3の各遊挿孔3a内に挿通されるとともに、頭部2aが下カバー3上面の各遊挿孔3a周縁に載置された状態で下カバー3に取付けられるのである。
【0026】
プラグキャップ2cは、ゴム等の弾性材料からなる筒状部材である。点火コイル2をプラグホール内に挿入することにより、プラグキャップ2cの内周面に点火プラグ上端部が下方から嵌合し、各点火コイル2と各点火プラグとの接続が図られるのである。尚、プラグキャップ2cと胴体部2bとは内側において係合する構造となっており、プラグキャップ2cを軸方向に引っ張っても胴体部2bから抜けないように固定されている。
【0027】
下カバー3は、絶縁性樹脂等により形成された細長平板状の部材であって、複数の点火コイル2の各胴体部2bが遊挿される複数の遊挿孔3aがエンジン側の各プラグホールにそれぞれ対応する位置に形成されている。遊挿孔3aの孔径φBは、点火コイル胴体部2bを遊挿状とするため胴体部2bの外径φAよりも大きく設定されている。従って、点火コイル胴体部2bは遊挿孔3a内に挿通された状態で径方向にφB−φAの遊びを有しており、各点火コイル2はφB−φAの範囲内において、軸方向と直交する面内でスライド可能となっている。例えば、図3(a)は、点火コイル2が遊挿孔3aの中心に、(b)は左寄りに、(c)は右寄りにそれぞれ位置する状態を示している。尚、φB−φAの値は、プラグホールピッチの公差以上に設定されることが望ましい。
【0028】
また、下カバー3の長手方向両端部及び中央部には、エンジン側のネジ孔に対応する位置にそれぞれ下カバー貫通孔3bが形成されている。また、下カバー貫通孔3b内には、取付け用ボルト5の雄ネジ部5aが螺合されるために雌ネジが螺刻されている(図4参照)。
【0029】
上カバー4は、下カバー3と同様に絶縁性樹脂等により形成された細長平板状の部材であって、上カバー4の下面には、各点火コイル2に対応する位置に下方突出状のコイル押さえ用凸部4aがそれぞれ形成されている。
【0030】
また、上カバー4の長手方向両端部及び中央部には、下カバー貫通孔3bと同軸的にそれぞれ上カバー貫通孔4bが形成されている。
【0031】
取付け用ボルト5は、六角ボルトであって、ネジ頭部5aと、下カバー貫通孔3bの雌ネジに螺合するネジ山が形成されたボルト先端の雄ネジ部5bと、ネジ頭部5aと雄ネジ部5bとの間に設けられ、ネジ山が螺刻されていない首下部5cとを有している。また、雄ネジ部5bが下カバー貫通孔3b内の雌ネジに螺合した状態で上カバー4が上下に摺動可能となるように、首下部5cの軸方向長さは、上カバー貫通孔4bの軸方向長さ(すなわち、上カバー4の厚さ)よりも長く設定されている。
【0032】
そして、上カバー4は、下カバー3を覆うように取付けられて、各取付け用ボルト5が各上カバー貫通孔4b及び各下カバー貫通孔3bに挿通されるとともに、取付け用ボルト5先端の雄ネジ部5bが下カバー貫通孔3b内面の雌ネジに螺合されることにより上カバー4と下カバー3とが仮止めされる構造となっている。
【0033】
次に、上述した構成を有する点火コイル集合装置をエンジン側に組付ける際の手順及び各部の作用について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
【0034】
まず、図1に示されるように上カバー4と下カバー3とが取付け用ボルト5により仮止めされた状態で、各点火コイル2がエンジン側の各プラグホールの上方に位置するように点火コイル集合装置1を保持する。
【0035】
続いて、各点火コイル2を各プラグホール内に軸心方向から挿入させつつ、点火コイル集合装置1を下降させ、下カバー3をエンジン側上面に載置する。さらに、上カバー4上面を下方に押圧し、各点火コイル2下端部に取付けられたプラグキャップ2cの内周側に各点火プラグの上端部を嵌合させ、各点火コイル2と各点火プラグとが接続される。ここで、各プラグホールのホールピッチに加工誤差があったとしても、各点火コイル2の胴体部2bが下カバー3の遊挿孔3b内に遊挿され、且つ上カバー4と下カバー3とが取付け用ボルト5により仮止めされているので、各点火コイル2は各プラグホールの内周面に当接することにより軸方向に直交する面内でスライド調整され、各プラグホール内へ容易且つ確実に挿着される。また、上カバー4下面の各コイル押さえ用凸部4aは、各点火コイル頭部2aに上方から当接し且つ押圧して各点火コイル2を固定する。
【0036】
次に、上カバー貫通孔4b及び下カバー貫通孔3bに挿通された各取付けボルト5を時計回り(ネジ締結方向)に回し、取付け用ボルト5先端の雄ネジ部5bをエンジン側のネジ孔に螺合させ、上カバー4と下カバー3とをエンジン側へ一体的に締結固定する。
【0037】
最後に、各点火コイル頭部2aの背面側に設けられたコネクタ(図示せず)に、図示しないバッテリ側コードのコネクタを接続することにより、点火コイル集合装置1のエンジン側への組付けが完了する。
【0038】
このように、複数の点火コイル2が下カバー3及び上カバー4を介して一体となっており、且つエンジン側のプラグホールの間隔と同一間隔で軸心方向に向けて配置されているので、複数の点火コイル2をエンジン側に一度に装着することができ、点火コイル2を一本ずつ組付ける場合と比較して組付け時間を大幅に短縮することができる。
【0039】
また、各点火コイル2は、上カバー4及び下カバー3に対する取付け位置を軸方向に直交する面内でスライド調整可能な構造を有しているので、プラグホールピッチに加工誤差等があった場合でも各点火コイル2を各プラグホール内へ容易且つ確実に挿着することができる。
【0040】
次に、本発明の第二の実施形態について、図5を参照しつつ説明する。尚、上述した第一の実施形態と同一の部材には同一符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
【0041】
第二の実施形態は、取付け用ボルトによる上カバー4と下カバー3との仮止め構造を変更したものである。
【0042】
すなわち、本実施形態における取付け用ボルト15は、下カバー貫通孔3bの孔径をφC、ネジ山を有する先端部の雄ネジ部15bのネジ径をφD、ネジ山を有しない首下部15cの直径をφEとしたとき、φE<φC<φDの関係が成立するように雄ネジ部15b及び首下部15cが形成されている。また、首下部15cの軸方向長さL1は、下カバー貫通孔3bの長さL2と上カバー貫通孔4bの長さL3との和よりも長く設定されている。
【0043】
そして、雄ネジ部15bのネジ径φDが下カバー貫通孔3bの孔径φCよりも大きいので、雄ネジ部15bの上端部は下カバー貫通孔4bの下側周縁に当接し、下カバー3及び上カバー4が取付け用ボルト15から離脱しない構造となっている。また、上カバー4と下カバー3とは、L3−(L1+L2)の範囲内で上下方向に摺動移動可能となっている。このように、上カバー4と下カバー3とは、取付け用ボルト15により仮止めされるとともに、各点火コイル2の胴体部2bが下カバー3の遊挿孔3b内に遊挿されているので、各点火コイル2を軸方向に直交する面内でスライド調整することができる。
【0044】
次に、本発明の第三の実施形態について、図6を参照しつつ説明する。
【0045】
第三の実施形態は、上カバー下面に、各点火コイル頭部に上方から当接する弾性部材を設ける構成としたものである。
【0046】
すなわち、本実施形態において、各コイル押さえ用凸部4aの先端には、それぞれ、ゴム材料からなる直方体形状の弾性部材4cが接着固定されている。従って、上カバー4は、各弾性部材4cを介して各点火コイル頭部2aに上方から弾力的に当接するので、各プラグホールの深さ又は各点火コイル2の長さなどの軸方向誤差が吸収され、各点火コイル2を各プラグホール内へ容易且つ確実に挿着することができる。
【0047】
次に、本発明の第四の実施形態について、図7を参照しつつ説明する。
【0048】
第四の実施形態は、第三の実施形態における弾性部材に加えて、各点火コイルが軸回りに回転することを防止する構造としたものである。
【0049】
すなわち、本実施形態において、図7(a)に示すように、上カバー4の下面に設けられた各コイル押さえ用凸部4aには、下方に開口するように回り止め部としての凹状部4dが形成されている。その凹状部4d内には、ゴム材料等からなる弾性部材4cが収納されるとともに、各点火コイル頭部2aの少なくとも上部が凹状部4d内に収容される構造となっている。そして、上カバー4は、各弾性部材4cを介して各点火コイル頭部2aに上方から弾力的に当接するので、各プラグホールの深さ又は各点火コイル2の長さ等の軸方向誤差が吸収されて、各点火コイル2を各プラグホール内へ容易且つ確実に挿着することができる。さらに、点火コイル2の平面図である図7(b)に示すように、各点火コイル頭部2aは平面視略正方形状を呈しており、平行に対向する一対の辺2dと2eとが二面巾部2fをなしているため、凹状部4d内に収容された各点火コイル頭部2aは、二面巾部2fが凹状部4d内周面に当接することにより軸回りの回転が確実に阻止される。よって、頭部2aの一側面に側方突出状に設けられたコネクタ部を、常に一定方向を向くように固定配置することができる。
【0050】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【0051】
例えば、前記各実施形態では、ボルトを用いて上カバーと下カバーとを仮止めする構造であったが、他の公知の連結部材を用いて仮止めをする構成としても構わない。例えば、上カバー4及び下カバー3の各端部が重なった部分に板バネ部材を嵌着し、両カバー3、4を互いに接近する方向へ付勢することにより仮止めを行う構成としてもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の点火コイル集合装置によれば、エンジン側に形成された各プラグホール間のピッチに誤差がある場合でも、各点火コイルの取付け位置を軸方向に直交する面内でスライド調整することができるので、各点火コイルを各プラグホール内へ容易且つ確実に挿入させつつエンジン側へ装着することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態における点火コイル集合装置の上カバーと下カバーとが仮止めされた状態を示す側面図である。
【図2】点火コイル集合装置がエンジン側へ組付けられた状態を示す説明図である。
【図3】点火コイルを左右にスライドさせる様子を説明する説明図である。
【図4】上カバーと下カバーとの仮止め構造を説明する要部拡大図である。
【図5】第二の実施形態における上カバーと下カバーとの仮止め構造を説明する要部拡大図である。
【図6】第三の実施形態におけるコイル押さえ用凸部付近の拡大図である。
【図7】(a)は第四の実施形態におけるコイル押さえ用凸部付近の拡大図であり、(b)は点火コイル頭部の平面図である。
【図8】従来の点火コイル集合装置の一例を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1…点火コイル集合装置、2…点火コイル、2a…頭部、2b…胴体部、2f…二面巾部、3…下カバー、3a…遊挿孔、3b…下カバー貫通孔、4…上カバー、4a…コイル押え用凸部(上カバーの少なくとも一部分)、4b…上カバー貫通孔、4c…弾性部材、4d…凹状部(回り止め部)、5、15…取付け用ボルト(仮止め部材、ネジ部材)、5b、15b…雄ネジ部、5c、15c…首下部。

Claims (6)

  1. エンジン側の各プラグホール内に取付けられた各点火プラグにそれぞれ接続される複数の点火コイルを配設してなる点火コイル集合装置において、
    前記各プラグホールにそれぞれ対応する位置に各遊挿孔が形成され、前記各点火コイルの胴体部を前記各遊挿孔に遊挿させ且つ前記各点火コイルの頭部を前記各遊挿孔周縁に載置させる下カバーと、
    その下カバーの上面を覆うように設けられ、前記下カバーの前記各遊挿孔周縁に載置された前記各点火コイル頭部に少なくとも一部分が上方から当接して前記各点火コイルを固定する上カバーと、
    前記各点火コイルの取付け位置を軸方向に直交する面内でスライド調整可能とさせるように前記上カバーと前記下カバーとを仮止めする仮止め部材と、
    を備えたことを特徴とする点火コイル集合装置。
  2. 前記仮止め部材は、前記上カバーに形成された上カバー貫通孔と、前記下カバーにおいて前記上カバー貫通孔と同軸的に形成され且つ雌ネジが螺刻された下カバー貫通孔とにそれぞれ挿通されて、前記エンジン側に螺合締結されるネジ部材からなり、
    前記上カバーと前記下カバーとは、前記ネジ部材先端の雄ネジ部が前記下カバー貫通孔内の雌ネジに螺合することにより仮止めされることを特徴とする請求項1に記載の点火コイル集合装置。
  3. 前記仮止め部材は、前記上カバーに形成された上カバー貫通孔と、前記下カバーにおいて前記上カバー貫通孔と同軸的に形成された下カバー貫通孔とにそれぞれ挿通されて、前記エンジン側に螺合締結されるネジ部材からなり、
    そのネジ部材は、先端部分をなす雄ネジ部と、ネジ部材頭部と前記雄ネジ部との中間部分をなし且つネジ山が螺刻されていない首下部とを有し、前記首下部の長さは、前記上カバー貫通孔の長さと前記下カバー貫通孔の長さとの和よりも長く設定されるとともに、前記首下部の直径は、前記下カバー貫通孔の孔径よりも小さく設定され、且つ前記雄ネジ部のネジ径が前記下カバー貫通孔の孔径よりも大きく設定されたことを特徴とする請求項1に記載の点火コイル集合装置。
  4. 前記上カバーの下面に、前記下カバーの前記各遊挿孔周縁に載置された前記各点火コイル頭部に上方から当接する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の点火コイル集合装置。
  5. 前記上カバーの下面に、前記各点火コイル頭部の軸回りの回転を阻止する回り止め部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の点火コイル集合装置。
  6. 前記各点火コイル頭部には、少なくとも一つの二面巾部が形成され、前記回り止め部は、前記各点火コイル頭部の少なくとも一部を内挿させる凹状部からなることを特徴とする請求項5に記載の点火コイル集合装置。
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