JP2004019047A - クッキングシート - Google Patents

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JP2004019047A
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Shoji Kanbara
神原 彰治
Hisashi Nagi
凪 比佐志
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Abstract

【課題】嵩高で保液性に富んでおり、乾燥・湿潤時の強力に優れているクッキングシートを提供する。
【解決手段】再生繊維と合成繊維から構成され、合成繊維が50〜100重量%含まれて水流交絡され、シート密度は0.06g/cm以下、保液量が13g/g以上、引き裂き強力が0.5kg以上、油こし性能が20秒以下/30ccであるクッキングシート。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、台所や調理場などにおいて使用される、例えば調理の過程において野菜や魚等の水切りや天ぷらの油きり、煮物の際の落しふたや蒸し時のふきん代わりに、油やダシのこし布として、さらにフライパンや食器を拭いたり等、多岐の用途にわたり使用できるクッキングシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、クッキングシートとしては一般的にエアレイド製法によるパルプ繊維100%品が知られている。パルプ繊維品は天然繊維であるため吸液性に優れ、また製法上から厚みのあるものができるため保液量が多い。しかしながら湿潤強度が低く濡れた状態での拭取りや絞り作業が困難であった。
【0003】
また特開2001−146665号公報で提案されている、パルプ繊維と熱可塑性合成繊維から得られる不織布に、エンボス加工を施して多数の凹凸を形成したキッチンペーパーは、厚手感があり強度に優れている。しかしながら厚みは見掛けであり、実際には厚みが薄く高密度のシートであるため拭き取り性が悪く、かつ保液量は少なく、さらには油こしには長時間を要しているのが現状である。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
そこで、乾燥時の強度だけではなく、濡れた状態でも拭取りや絞り作業ができるような湿潤強度があること、また野菜などの水切りや天ぷらなどの油きりができるような吸水性と保液性が高いこと、さらに拭取りや油きり、油こしなどの作業を効率よく容易に行うためにはある程度の厚みがあり密度の低いクッキングシートの開発が望まれていた。本発明は乾燥・湿潤強度や吸水性が高く、ある程度の厚みがあり低密度のクッキングシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は再生繊維と合成繊維から構成され、合成繊維が50〜100質量%含有され水流交絡された、シート密度が0.06g/cm以下、保液量が13g/g以上、引裂き強力が0.5kg以上、油こし性能が20秒以下/30ccであることを特徴とするクッキングシートであり、また本発明は好ましくは前記合成繊維の繊維断面形状が中空部を有する中空断面および/またはT型断面であり、かつ前記合成繊維の単糸繊度が8dtex以下で親水性を有する上記のクッキングシートであり、さらに好ましくは、本発明はシート目付が30〜80g/mである上記のクッキングシートに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のクッキングシートは合成繊維が不織布質量に対して50〜100質量%含有されるものである。合成繊維の含有量が50〜100質量%であるとシートの厚みが増し低密度となるので、結果的に嵩高性のシートが得られ、したがって保液性や油こし性に優れたものとなる。しかし、合成繊維の含有量が不織布質量に対して50質量%未満であると吸水性は良くなるが、厚みが低下し高密度となり、結果的に嵩高性に乏しく保液量が少ないシートとなる。合成繊維の質量は好ましくは50〜85質量%、さらに好ましくは50〜70質量%の範囲である。
【0007】
次に本発明のクッキングシートの密度は0.06g/cm以下である必要がある。密度が0.06g/cmよりも大きくなると厚みがなく紙状に近いものとなり、保水量が極めて少なく好ましくない。密度の下限は特に規定するものではないが0.04g/cm以上であることが好ましい。密度が0.04g/cmより小さくなるとシートを構成する繊維相互の交絡性が乏しくなり、シート強力が低くなるなど実用性に欠けるものとなる傾向にあり好ましくない。
【0008】
また本発明のクッキングシートの保水量は13g/g以上である必要がある。保水量が13g/gよりも低くなると、多量の水分を一度に拭き取ることができなく、シートの交換や絞ったりしなければならない。また肉等の冷凍食品を解凍した場合、食品に水分が残り再度拭き取りが必要になってくる。好ましくは14g/g以上25g/g以下である。
【0009】
さらに本発明のクッキングシートの引裂き強力は0.5kg以上である必要がある。シートの引裂き強力が0.5kg以上あれば果汁絞りなどが容易に行われ、さらにはキッチン周りの拭き掃除を行った後、洗濯しても数回使用できる耐久性が得られる。しかし、引き裂き強力が0.5kgよりも低くなると前記の果汁絞りの場合、破れて使用することができない。好ましくは0.6kg以上1.0kg以下である。
【0010】
そして本発明のクッキングシートは、油こし性能が20秒以下/30ccである必要がある。なお本発明でいう油こし性能とは、クッキングシートが市販のてんぷら油あるいはサラダ油を温度25℃の条件下にて濾過するのに要する時間をいい、油こし性能が20秒/30ccより長くなると、長時間油こし作業に従事しなければならず、作業効率が良くない。好ましくは19秒以下/30ccであり、より好ましくは18秒以下/30cc、17秒以上/30ccである。
【0011】
本発明に使用される再生繊維にはビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、及び溶剤紡糸されたレーヨン繊維であるリヨセルが挙げられるが、中でもビスコースレーヨンが好適に用いられる。
また本発明で使用される再生繊維の繊維長は100mm以下が好ましく、より好ましくは40〜60mmの範囲である。
【0012】
本発明の合成繊維としてはポリエステル(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられるが、天ぷらや揚げ物を揚げた直後の温度が一般的に180〜200℃程度となるため、融点が200℃以上の合成繊維を使用することが好ましい。具体的には、例えば融点が255〜265℃であるPET繊維が好適である。
【0013】
本発明における合成繊維の繊維断面は中空断面、またT型断面が好ましい。繊維断面が中空またT型であれば繊維径が大きくなるので、シートの嵩高性に効果的に寄与するものとなる。中空率は10〜30%であることが好ましい。中空率が10%未満であると嵩高性の促進には不十分であり、逆に中空率が30%を超えると製糸段階において中空部がパンクしたり、製糸性に劣ることになる。
【0014】
本発明で使用される合成繊維は前記の繊維横断面形状を形成する紡糸口金を、好適に用いて紡糸し、延伸処理を行なう。延伸処理された延伸糸を合糸し、クリンパーにて捲縮を付与して、親水油剤を付与、さらに乾燥を施した後、所定の繊維長にカットする。繊維長は100mm以下であるのが好ましく、より好ましくは40〜60mmの範囲である。
【0015】
本発明に適用される合成繊維の単糸繊度は、8dtex以下であることが好ましい。単糸繊度が8dtexを超えると、シートの嵩高性は得られるものの、シート地合いや触感、強度などを損ねる心配がある。逆に単糸繊度が2dtex未満ではシートを構成する合成繊維の単糸繊度が細かいものとなり、得られるシートの嵩高性が損なわれる。したがって適用される合成繊維の単糸繊度は2〜8dtexであることが好ましい。より好ましくは3〜6dtexである。また合成繊維は親水性を有するものが好ましい。親水性合成繊維にすれば吸水性が良好になるとともに、シートの強力も高いものが得られる。
【0016】
本発明のクッキングシートの目付は嵩高性、強力、製造コストなどを考慮すると30g/m以上80g/m以下であることが好ましい。さらに好ましくは40g/m以上60g/m以下である。
【0017】
次に本発明のクッキングシートの製造方法は再生繊維と合成繊維を50/50〜0/100の割合で混綿し、カード機によるカーディングにて開繊して所定目付の不織ウエブを作成する。この不織ウエブは構成繊維の配列度合によって、カード機の進行方向に配列したパラレルウエブ、パラレルウエブがクロスレイドされたウエブ、ランダムに配列したランダムウエブあるいは両者の中間的に配列したセミランダムウエブのいずれであっても良いが、シートとしての強力において縦/横の強力比が概ね1/1となる不織ウエブを用いることが好ましい。
【0018】
次いで得られた不織ウエブを移動する多孔性支持板上に載置して、高圧液体流処理を施すことにより、構成繊維相互の交絡を施して形態を保持させ、その後余剰の水分を除去し、乾燥処理を施して本発明のシートを得る。交絡とは不織ウエブを形成している繊維相互間が不織布の縦/横の方向のみでなく不織布の厚み方向に対しても交絡し、一体化した構造を有していることをいう。
【0019】
本発明において水流交絡処理とは、例えば孔径が0.05〜1.5mmの噴射孔間隔0.05〜5mmで1列ないしは複数列に複数個配設されたオリフィスヘッドから高圧で柱状に噴射される流体を多孔性支持板上に載置した不織ウエブに衝突させるものである。このようにして不織ウエブを構成している繊維を引き込む力により、繊維の周りにある他の繊維をねじり、曲げ、回して繊維相互を交絡させて一体化させることができる。
【0020】
本発明において水流交絡処理を施すに際して、流体としては常温の水あるいは温水が通常用いられる。流体噴射を不織ウエブに衝突させるには、前記噴射孔が配置されたオリフィスヘッドを多孔性支持板上に載置した不織ウエブの進行方向対して直角をなす方向に噴射孔間隔と同一間隔で振動させ、柱状液体噴射を均一にに衝突させると良い。多孔性支持板の材質は不織ウエブと支持板との積層された部分を柱状液体流が通過しうる構成のものであれば、金属製、ポリエステル製あるいはその他の材質のいずれであっても良い。またこの時の多孔性支持板としては一般的に平織りネットが使用されているが、本発明では凹凸模様のものを使用することにより、厚みが出やすく低密度のシートを得ることができる。
【0021】
本発明において、水流交絡処理はまず第1段階の処理において35kg/cm以下の圧力の高圧液体流を作用させて、不織ウエブの構成繊維間に予備的交絡を形成し、その後第2段階の処理において第1段階の処理圧力より高い高圧液体流を作用させて交絡することが好ましい。そしてさらに交絡されたシートを反転し、第3、第4段階の交絡処理として、第2段階と同様に交絡処理を施すことにより表裏ともに交絡し強固に一体化することができる。
【0022】
本発明においての乾燥処理は交絡処理された不織ウエブから余分な水を除去し、その後シリンダー乾燥機等により乾燥処理を行ない、巻取り機にてロール状に巻き取る。その際、巻き形状不良、シートの蛇行が発生しない程度の張力を付与するとともに加圧状態で巻き取る。
【0023】
上記の方法により再生繊維と合成繊維とを所定の質量比とすることにより、シート密度が0.06g/cm以下となる嵩高性を有するとともに、0.5kg以上の引裂き強力を有するクッキングシートが得られる。また本発明のクッキングシートは水や油などの保液量が13g/g以上となり、さらには天ぷら油などを20秒以下/30ccで濾したりすることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例にしたがってさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、得られたシートの厚み、引張強力等はそれぞれ次の方法で測定した。
【0025】
[密度 g/cm
厚み測定器(デジタルシックネスゲージ;(株)テクロック製)を用い、試料1cm当り12gの荷重を加えた状態で測定する。
密度は下記の式で算出する。
密度(g/cm)=[目付(g/cm)/厚み(mm)]/1000
【0026】
[引張強力 kg/5cm、伸度 %]
JIS L 1913に準じ、測定器(インストロン製5543型)を用い、幅5cm、長さ17cmの試料片をつかみ間隔10cmで把持し、引張速度10cm/分で伸長し、切断時の最大荷重値及び最大伸度をそれぞれ引張強伸度とした。
【0027】
[引裂強力 kg]
JIS L 1913に準じ、測定器(インストロン製5543型)を用い、幅5cm、長さ17cmに幅方向の中点から長さ方向に5cmの切れ目を入れた試料片を、つかみ間隔5cmで把持し、引張速度20cm/分で伸長し、切断時の最大荷重値を引裂強力とした。
【0028】
[保液量 g/g]
JIS L 1912に準じて、5cm×5cmの試験片を水の中に5分間浸漬し、垂直に30秒間つるし、水滴を切った後に試験片の質量を測定する。保液量は下記の式で算出する。
保液量(WA)=(W1―W0)/W0
WA;保液量(g/g)
W0;浸漬前シート重量(g)
W1;浸漬後シート重量(g)
【0029】
[油こし 秒/30cc]
200ccビーカーに中央部が窪む様にシートを張り、市販の食用調合油(サラダ油)30ccを入れ、温度25℃の条件にて、濾過する時間を測定する。
【0030】
[実施例1]
(1)再生繊維(大和紡績(株)製レーヨン「コロナ」;1.7dtex×40mm)50質量%、親水性ポリエステル繊維▲1▼((株)クラレ製「ニュースパルビー」;6.6dtex×51mm、中空断面)と親水性ポリエステル繊維▲2▼((株)クラレ製「クラルビー」;2.2dtex×51mm、T型断面)を各々25質量%を混綿し、パラレルカードで目付40g/mのウエブを作製した。
(2)ウエブを凹凸模様ネットに載せ、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルを用いてウエブの表面側に水圧35kg/cm、40kg/cmの水流をそれぞれ1回ずつ、裏側に水圧40kg/cmの水流を3回噴射して、ウエブの構成繊維を交絡させ、バインダーを適量付着させ後、シリンダー乾燥機で乾燥してシートを得た。
(3)得られたシートは厚みがあり、保液性や引裂き強力に優れたクッキングシートとなった。結果を表1に示す。
【0031】
[実施例2]
シート目付を70g/mにしたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを製造した。結果を表1に示す。
【0032】
[実施例3]
再生繊維(大和紡績(株)製レーヨン「コロナ」;1.7dtex×40mm)50質量%、実施例1の同一の親水性ポリエステル繊維▲1▼50質量%を混綿したこと以外は、実施例1と同様にしてシートを製造した。結果を表1に示す。
【0033】
[実施例4]
再生繊維(大和紡績(株)製レーヨン「コロナ」;1.7dtex×40mm)10質量%、実施例1と同一の親水性ポリエステル繊維▲1▼と親水性ポリエステル繊維▲2▼を各々45質量%を混綿したこと以外は、実施例1と同様にしてシートを製造した。結果を表1に示す。
【0034】
[実施例5]
実施例1と同一の親水性ポリエステル繊維▲2▼100質量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシートを製造した。結果を表1に示す。
【0035】
[比較例1]
再生繊維(大和紡績(株)製レーヨン「コロナ」;1.7dtex×40mm)を100質量%用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを製造した。
得られたシートは厚みがなく、保液量の少ないクッキングシートになった。結果を表1に示す。
【0036】
[比較例2]
再生繊維(大和紡績(株)製レーヨン「コロナ」;1.7dtex×40mm)50質量%、親水性ポリエステル繊維((株)クラレ製;1.7dtex×44mm、中実断面)50質量%を混綿したこと以外は、実施例1と同様にしてシートを製造した。シートの密度は0.074g/cmであった。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 2004019047
【0038】
表1の結果から判るように、本発明のクッキングシートはシート密度が0.06g/cm以下で嵩高性があり、湿潤強力にも優れ、また保液性や油こし性能が良好なものとなっていた。
【0039】
【発明の効果】
本発明のクッキングシートは再生繊維と合成繊維から構成され、合成繊維が50〜100重量%含まれているため、吸水性があり密度の低い嵩高なものを得ることができ、しかも乾燥・湿潤強力に優れる。したがって、野菜等の水切りや天ぷらの油きり、水や油の拭取り、油こし性能等、台所や調理場などにおいて多岐の用途に使用することができる。

Claims (3)

  1. 再生繊維と合成繊維から構成され、合成繊維が50〜100質量%含有され水流交絡された不織布よりなり、シート密度が0.06g/cm以下、保液量が13g/g以上、引裂き強力が0.5kg以上、油こし性能が20秒以下/30ccであるクッキングシート。
  2. 合成繊維の繊維断面形状が中空部を有する中空断面及び/またはT型断面であり、かつ前記合成繊維の単糸繊度が2〜8dtexで親水性を有する請求項1記載のクッキングシート。
  3. シート目付が30〜80g/mであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクッキングシート。
JP2002175785A 2002-06-17 2002-06-17 クッキングシート Pending JP2004019047A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011214193A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Daio Paper Corp キッチンペーパー

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