JP2004019044A - 合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法 - Google Patents

合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】近年における合成繊維の紡糸工程や加工工程での高速化にも対応して、毛羽や糸切れの発生を充分に防止できる合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法を提供する。
【解決手段】合成繊維用処理剤として、潤滑剤及び機能性向上剤を含有し、且つ該機能性向上剤の少なくとも一部として、リチウム化合物をリチウムとして0.001〜2重量%含有して成るものを用いた。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法に関する。近年、合成繊維の紡糸工程や加工工程においては、高速化が更に一段と進み、これに伴って毛羽や糸切れがますます発生し易くなっている。かかる毛羽や糸切れの発生を防止するため、合成繊維に付着させる合成繊維用処理剤として毛羽や糸切れの発生を防止するための機能性向上剤の含有割合を増加させたものを使用したり、合成繊維に対する合成繊維用処理剤の付着量を上げることが行われているが、依然として近年の高速化には充分に対応できていない。本発明は、合成繊維の紡糸工程や加工工程における近年の高速化にも対応して、毛羽や糸切れの発生を充分に防止できる合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維用処理剤として一般に、潤滑剤及び機能性向上剤を含有するものが使用されている。かかる合成繊維用処理剤には、毛羽や糸切れの発生を防止するための機能性向上剤を含有するものも各種が知られている(特開平7−310241、特開平8−325949、特開平11−61646)。ところが、これら従来の合成繊維用処理剤には、近年の高速化された紡糸工程や加工工程において、毛羽や糸切れの発生を充分に防止できないという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、近年における合成繊維の紡糸工程や加工工程での高速化にも対応して、毛羽や糸切れの発生を充分に防止できる合成繊維用処理剤及び合成繊維の処理方法を提供する処にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、機能性向上剤の少なくとも一部として、リチウム化合物をリチウムとして所定量含有して成る合成繊維用処理剤が正しく好適であり、またかかる合成繊維用処理剤を合成繊維に対し所定量付着させることが正しく好適であることを見出した。
【0005】
すなわち本発明は、潤滑剤及び機能性向上剤を含有する合成繊維用処理剤において、機能性向上剤の少なくとも一部として、リチウム化合物をリチウムとして0.001〜2重量%含有して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤に係る。また本発明は、前記の本発明に係る該合成繊維用処理剤を合成繊維に対し0.1〜3重量%となるよう付着させることを特徴とする合成繊維の処理方法に係る。
【0006】
先ず、本発明に係る合成繊維用処理剤について説明する。本発明に係る合成繊維用処理剤は、潤滑剤と機能性向上剤とを含有し、且つ該機能性向上剤の少なくとも一部としてリチウム化合物を含有して成るものであり、更に要すれば乳化剤を含有して成るものである。潤滑剤、リチウム化合物以外の他の機能性向上剤及び乳化剤それ自体としては、合成繊維用処理剤に使用される公知のものを使用できる。
【0007】
潤滑剤としては、1)ポリエーテル化合物、2)脂肪族エステル化合物、3)芳香族エステル化合物、4)(ポリ)エーテルエステル化合物、5)鉱物油、6)シリコーン油等が挙げられるが、なかでもポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物が好ましく、かかるポリエーテル化合物として平均分子量500〜20000のものを用いたものがより好ましい。
【0008】
前記のポリエーテル化合物としては、いずれも分子中にポリオキシアルキレン基を有する、ポリエーテルモノオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルトリオール等が挙げられるが、なかでも炭素数1〜18の1〜3価のヒドロキシ化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドをブロック状又はランダム状に付加したポリエーテル化合物が好ましい。
【0009】
前記の脂肪族エステル化合物としては、1)ブチルステアレート、オクチルステアレート、オレイルラウレート、オレイルオレート、イソペンタコサニルイソステアレート等の、脂肪族1価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、2)1,6−ヘキサンジオールジデカノエート、トリメチロールプロパンモノオレートモノラウレート等の、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、3)ジラウリルアジペート、ジオレイルアゼレート等の、脂肪族1価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とのエステル等が挙げられるが、なかでも脂肪族1価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0010】
前記の芳香族エステル化合物としては、1)ベンジルステアレート、ベンジルラウレート等の、芳香族アルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、2)ジイソステアリルイソフタレート、トリオクチルトリメリテート等の、脂肪族1価アルコールと芳香族カルボン酸とのエステル等が挙げられるが、なかでも脂肪族1価アルコールと芳香族カルボン酸とのエステルが好ましい。
【0011】
前記の(ポリ)エーテルエステル化合物としては、炭素数4〜26の1〜3価の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と、炭素数4〜26の脂肪族カルボン酸とをエステル化した(ポリ)エーテルエステル化合物、2)1〜3価の芳香族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と、炭素数4〜26の脂肪族カルボン酸とをエステル化した(ポリ)エーテルエステル化合物、3)炭素数4〜26の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した(ポリ)エーテル化合物と、芳香族カルボン酸とをエステル化した(ポリ)エーテルエステル化合物等が挙げられる。
【0012】
前記の鉱物油としては、様々な粘度を有する各種の鉱物油が挙げられるが、なかでも30℃における粘度が2×10−3〜1.3×10−1/sであって且つパラフィン成分比率が60重量%以上のものが好ましい。かかる好ましい鉱物油には流動パラフィンオイルがある。
【0013】
前記のシリコーン油としては、様々な粘度を有する各種のシリコーン油が挙げられるが、なかでも30℃における粘度が1×10−3〜1m/sである線状ポリオルガノシロキサンが好ましい。かかる線状ポリオルガノシロキサンには、いずれも30℃における粘度が1×10−3〜1m/sである、線状ポリジメチルシロキサン、変性基を有する線状ポリジメチルシロキサン等があり、この場合の変性基としては、エチル基、フェニル基、フロロプロピル基、アミノプロピル基、カルボキシオクチル基、ポリオキシエチレンオキシプロピル基、ω−メトキシポリエトキシ・ポリプロポキシプロピル基等が挙げられるが、なかでも線状ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
【0014】
またリチウム化合物以外の他の機能性向上剤としては、1)有機スルホン酸塩、有機脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤、ラウリルトリメチルアンモニウムエトサルフェート等のカチオン性界面活性剤、オクチルジメチルアンモニオアセタート等の両性界面活性剤等の帯電防止剤、2)有機リン酸塩、脂肪酸等の油性向上剤、3)主鎖として平均分子量1500〜3000のポリジメチルシロキサン鎖を有し且つ側鎖として平均分子量700〜5000のポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン、ペルフルオロアルキル基を有する界面活性剤等の浸透性向上剤、4)ポリエーテルポリエステル等の集束性向上剤、5)有機チタン系化合物、有機リン系化合物等の極圧添加剤、6)フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系、アミン系等の抗酸化剤、7)防錆剤等が挙げられる。
【0015】
更に乳化剤としては、1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル等の、分子中にポリオキシアルキレン基を有する非イオン性界面活性剤、2)ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンジラウレート等の、多価アルコール部分エステル型の非イオン性界面活性剤、3)3〜6価のアルコールと脂肪酸との部分エステルにアルキレンオキサイドを付加したもの、アルキレンオキサイドを付加した3〜6価のアルコールと脂肪酸との部分エステル又は完全エステル、3〜6価のアルコールとヒドロキシ脂肪酸とのエステルにアルキレンオキサイドを付加したもの等の、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらのなかでも、分子中にオキシエチレン基の繰り返し数3〜15のポリオキシアルキレン基及び炭素数8〜18のアルキル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0016】
本発明に係る合成繊維用処理剤は、前記したように、機能性向上剤の少なくとも一部としてリチウム化合物を含有して成るものである。かかるリチウム化合物としては各種が挙げられるが、なかでも有機酸リチウムが好ましい。
【0017】
有機酸リチウムを形成することとなる有機酸としては、1)カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及び硫酸基から選ばれる一つ以上の同種の酸基を有する有機酸、2)カルボン酸基、スルホン酸基及び硫酸基から選ばれる二つ以上の異種の酸基を有する有機酸が挙げられる。
【0018】
酸基としてカルボン酸基のみを一つ以上有する有機酸としては、1)蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノール酸、アクリル酸、メタクリル酸等の脂肪族モノカルボン酸、2)シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、マレイン酸、クエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、3)シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸、4)シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸等の脂環族ポリカルボン酸、5)安息香酸、トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸、6)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸、7)アルキルチオプロピオン酸、アルキルチオジプロピオン酸等の含イオウ脂肪族モノカルボン酸、8)N−アルキルアミノ酸、N−アシルアミノ酸等の含窒素脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
【0019】
酸基としてスルホン酸基のみを一つ以上有する有機酸としては、1)デシルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸等のアルキルスルホン酸、2)ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルアリールスルホン酸、3)ジブチルスルホコハク酸、ジオクチルスルホコハク酸、ドデシルスルホ酢酸、ノニルフェノキシポリエチレングリコールスルホ酢酸等のエステルスルホン酸等が挙げられる。
【0020】
酸基としてリン酸基のみを一つ以上有する有機酸としては、1)ブチルホスフェート、ヘキシルホスフェート、オクチルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、デシルホスフェート、ラウリルホスフェート、トリデシルホスフェート、ステアリルホスフェート、オレイルホスフェート、ベヘニルホスフェート等のアルキルホスフェート、2)(ポリ)オキシアルキレンブチルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンヘキシルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンオクチルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレン2−エチルヘキシルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンデシルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンラウリルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレントリデシルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンステアリルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンオレイルホスフェート、(ポリ)オキシアルキレンベヘニルホスフェート等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルホスフェート等が挙げられる。これらのアルキルホスフェートや(ポリ)オキシアルキレンアルキルホスフェートには、モノエステル体、ジエステル体、多価エステル体のそれぞれ単独物、混合物が含まれる。
【0021】
酸基として硫酸基のみを一つ以上有する有機酸としては、1)デシル硫酸、ドデシル硫酸等のアルキル硫酸、2)ヒマシ油硫酸化油、牛脂硫酸化油等の天然油脂の硫酸化物、3)硫酸ノニルフェニル=(ポリ)オキシアルキレン、硫酸オクチルフェニル=(ポリ)オキシアルキレン、硫酸イソプロピルナフチル=(ポリ)オキシアルキレン、硫酸ノニルナフチル=(ポリ)オキシアルキレン等の硫酸アルキルアリール=(ポリ)オキシアルキレンが挙げられる。
【0022】
酸基としてカルボン酸基、スルホン酸基及び硫酸基から選ばれる二つ以上の異種の酸基を有する有機酸としては、1)2−スルホナトラウリン酸、2−スルホナトミリスチン酸、2−スルホナトパルミチン酸、2−スルホナトステアリン酸、2−スルホナトイソステアリン酸、2−スルホナトベヘニン酸等の、カルボン酸基とスルホン酸基とを有する有機酸、2)スルホコハク酸モノブチルエステル、スルホコハク酸モノヘキシルエステル、スルホコハク酸モノオクチルエステル、スルホコハク酸モノ2−エチルヘキシルエステル、スルホコハク酸モノデシルエステル、スルホコハク酸モノラウリルエステル、スルホコハク酸モノトリデシルエステル、スルホコハク酸モノステアリルエステル、スルホコハク酸モノオレイルエステル、スルホコハク酸モノベヘニルエステル等の、カルボン酸基とスルホン酸基とを有する有機酸、3)グルコール酸の硫酸エステル、乳酸の硫酸エステル、リンゴ酸の硫酸エステル、ヒドロキシ酪酸の硫酸エステル、ヒドロキシステアリン酸の硫酸エステル、酒石酸の硫酸エステル、テトラヒドロキシ琥珀酸の硫酸エステル、グルコン酸の硫酸エステル等の、カルボン酸基と硫酸基とを有する有機酸等が挙げられる。
【0023】
以上例示した有機酸のなかでも、酸基としてカルボン酸基を有するものが好ましく、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸がより好ましく、炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸、炭素数6〜22の脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。
【0024】
有機酸リチウムは以上例示したような有機酸と水酸化リチウムとの中和反応によって得られる。
【0025】
本発明に係る合成繊維用処理剤は、以上説明したようなリチウム化合物を、リチウムとして、0.001〜2重量%含有するものであるが、0.005〜1重量%含有するものが好ましく、0.01〜0.5重量%含有するものがより好ましい。
【0026】
本発明に係る合成繊維用処理剤は、以上説明したように、潤滑剤と、リチウム化合物とを含有して成るものであり、更に要すれば、リチウム化合物以外の他の機能性向上剤、乳化剤を含有して成るものである。これらの含有割合は、リチウム化合物を除き、特に制限されないが、潤滑剤を50〜99重量%含有して成るものが好ましく、潤滑剤を90〜99重量%含有して成るものがより好ましく、残部として乳化剤、更にはリチウム化合物以外の他の機能性向上剤を含有して成るものが特に好ましい。
【0027】
次に、本発明に係る合成繊維の処理方法について説明する。本発明に係る合成繊維の処理方法は、以上説明したような本発明に係る合成繊維用処理剤を合成繊維に対し0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%となるよう付着させる方法である。合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させる工程としては、紡糸工程、紡糸と延伸とを同時に行なう工程等が挙げられる。また合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させる方法としては、ローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等が挙げられる。更に合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させる際の形態としては、ニート、有機溶剤溶液、水性液等が挙げられるが、水性液が好ましい。合成繊維用処理剤の水性液を付着させる場合も、合成繊維に対し合成繊維用処理剤として0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%となるよう付着させる。
【0028】
本発明に係る合成繊維の処理方法の適用対象となる合成繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維等が挙げられるが、ポリエステル系繊維又はポリアミド系繊維に適用する場合に本発明の効果の発現が高い。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の合成繊維用処理剤の実施形態としては、次の1)〜4)が挙げられる。
1)下記の潤滑剤(A−1)を93重量%、下記の有機酸リチウム(B−1)を1重量%、下記の乳化剤(C−1)を5重量%及び下記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(リチウムとして0.047重量%含有)。
潤滑剤(A−1):ブチルアルコールにエチレンオキサイド(以下、EOという)とプロピレンオキサイド(以下、POという)とをEO/PO=50/50(重量比)の割合でとをランダム状に付加した数平均分子量2500のポリエーテルモノオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1000のポリエーテルモノオール/ドデシルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルトリオール=40/20/30(重量比)の混合物
有機酸リチウム(B−1):オレイン酸リチウム
乳化剤(C−1):ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル
機能向上剤(D−1):主鎖として平均分子量2300のポリジメチルシロキサン鎖を有し且つ側鎖として平均分子量3000のポリオキシエチレン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン
【0030】
2)前記の潤滑剤(A−1)を93重量%、下記の有機酸リチウム(B−2)を1重量%、前記の乳化剤(C−1)を5重量%及び前記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(リチウムとして0.058重量%含有)。
有機酸リチウム(B−2):オクテニルコハク酸ジリチウム
【0031】
3)下記の潤滑剤(A−2)を93重量%、下記の有機酸リチウム(B−3)を1重量%、前記の乳化剤(C−1)を5重量%及び前記の機能性向上剤(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(リチウムとして0.025重量%含有)。
潤滑剤(A−2):ポリオキシエチレン(8モル)ラウリルエーテルとデカン酸とのエステル/エチレングリコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量5000のポリエーテルジオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=40/60(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1500のポリエーテルモノオール/ラウリルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=10/10/50/30(重量比)の混合物
有機酸リチウム(B−3):ドデシルチオプロピオン酸リチウム
【0032】
4)下記の潤滑剤(A−3)を60重量%、下記の有機酸リチウム(B−4)を2重量%、前記の乳化剤(C−1)を8重量%及び下記の乳化剤(C−2)を30重量%(合計100重量%)含有して成る合成繊維用処理剤(リチウムとして0.157重量%含有)。
潤滑剤(A−3):ナタネ油/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1000のポリエーテルモノオール/ラウリルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=75/10/15(重量比)の混合物
有機酸リチウム(B−4):テレフタル酸ジリチウム
乳化剤(C−2):硬化ヒマシ油1モル当たりEOを20モルの割合で付加したもの
【0033】
また本発明に係る合成繊維の処理方法の実施形態としては、次の5)が挙げられる。
5)前記1)〜4)のうちでいずれかの合成繊維用処理剤を水性液となし、この水性液を紡糸したポリエチレンテレフタレート繊維に対し合成繊維用処理剤として0.5重量%となるよう付着させる合成繊維の処理方法。
【0034】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【0035】
【実施例】
試験区分1(合成繊維用処理剤の調製)
・実施例1{合成繊維用処理剤(P−1)の調製}
下記の潤滑剤(A−1)93部、下記の有機酸リチウム(B−1)1部、下記の乳化剤(C−1)5部及び下記の機能性向上剤(D−1)1部を均一混合して実施例1の合成繊維用処理剤(P−1)を調製した。
潤滑剤(A−1):ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量2500のポリエーテルモノオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1000のポリエーテルモノオール/ドデシルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=40/20/30(重量比)の混合物
有機酸リチウム(B−1):オレイン酸リチウム
乳化剤(C−1):ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル
機能性向上剤(D−1):主鎖として平均分子量2300のポリジメチルシロキサン鎖を有し且つ側鎖として平均分子量3000のポリオキシエチレン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン
【0036】
・実施例2〜8及び比較例1〜11{合成繊維用処理剤(P−2)〜(P−8)及び(R−1)〜(R−11)の調製}
実施例1の合成繊維用処理剤(P−1)と同様にして、実施例2〜8の合成繊維用処理剤(P−2)〜(P−8)及び比較例1〜11の合成繊維用処理剤(R−1)〜(R−11)を調製した。実施例1も含め、各例で調製した合成繊維用処理剤の内容を表1にまとめて示した。
【0037】
【表1】
Figure 2004019044
【0038】
表1において、
A−1:ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量2500のポリエーテルモノオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1000のポリエーテルモノオール/ラウリルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=40/20/30(重量比)の混合物
A−2:ポリオキシエチレン(8モル)ラウリルエーテルとデカン酸とのエステル/エチレングリコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量5000のポリエーテルジオール/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=40/60(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1500のポリエーテルモノオール/ラウリルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=10/10/50/30(重量比)の混合物
A−3:ナタネ油/ブチルアルコールにEOとPOとをEO/PO=50/50(重量比)の割合でランダム状に付加した数平均分子量1000のポリエーテルモノオール/ラウリルアルコールにEOとPOとをEO/PO=35/65(重量比)の割合でブロック状に付加した数平均分子量1400のポリエーテルモノオール=75/10/15(重量比)の混合物
A−4:オクチルステアレート/25℃における粘度が3×10−2/sの鉱物油=60/40(重量比)の混合物
【0039】
B−1:オレイン酸リチウム
B−2:オクテニルコハク酸ジリチウム
B−3:ドデシルチオプロピオン酸リチウム
B−4:テレフタル酸ジリチウム
B−5:ドデシルスルホン酸リチウム
B−6:ポリオキシエチレン(5モル)ドデシルホスフェートリチウム
B−7:ドデシル硫酸エステルリチウム
B−8:モノオクチルスルホコハク酸ジリチウム
【0040】
C−1:ポリオキシエチレン(7モル)ラウリルエーテル
C−2:硬化ヒマシ油1モル当たりEOを20モルの割合で付加したもの
C−3:グリセリンモノラウラート
【0041】
D−1:主鎖として平均分子量2300のポリジメチルシロキサン鎖を有し且つ側鎖として平均分子量3000のポリオキシエチレン鎖を有するポリエーテル変性シリコーン
D−2:オレイン酸カリウム
D−3:オレイン酸ナトリウム
D−4:ドデシルスルホン酸カリウム
D−5:ドデシルスルホン酸ナトリウム
D−6:ドデシルホスフェートカリウム
D−7:ドデシルホスフェートナトリウム
D−8:ドデシル硫酸エステルカリウム
D−9:ドデシル硫酸エステルナトリウム
D−10:オレイン酸テトラエチルアンモニウム
【0042】
試験区分2(合成繊維への合成繊維用処理剤の付着、仮撚加工及び評価)
・合成繊維への合成繊維用処理剤の付着
試験区分1で調製した各合成繊維用処理剤と希釈水とを均一混合して10%水性液とした。固有粘度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレンテレフタレートチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後の走行糸条に、調製した10%水性液を、計量ポンプを用いたガイド給油法にて、合成繊維用処理剤としての付着量が表2記載の付着量となるよう付着させた後、ガイドで集束させ、機械的な延伸を伴うことなく3000m/分の速度で巻き取り、128デシテックス36フィラメントの部分延伸糸を10kg捲きケークとして得た。
【0043】
・仮撚加工
前記で得たケークを用いて、下記のコンタクトヒーター式仮撚機による仮撚加工条件で仮撚加工を行なった。
・・コンタクトヒーター式仮撚機による仮撚加工条件:
コンタクトヒーター式仮撚機(アーネストスクラッグアンドサンズ社製のSDS1200B)を使用して、加工速度=800m/分、延伸倍率=1.522、施撚方式=3軸デイスク外接式摩擦方式(入り側ガイドデイスク1枚、出側ガイドデイスク1枚、硬質ポリウレタンデイスク7枚)、加撚側ヒーター=長さ2.5mで表面温度212℃、解撚側ヒーター=なし、目標撚り数=3300T/mの条件で、25日間連続運転による仮撚加工を行なった。
【0044】
毛羽の評価
前記の仮撚加工において、仮撚加工糸を巻き取る前に、毛羽計数装置(東レエンジニアリング社製のDT−105)にて1時間当たりの毛羽数を測定し、次の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
AA:測定された毛羽数が0個
A:測定された毛羽数が1〜5個
B:測定された毛羽数が6〜9個
C:測定された毛羽数が10個以上
【0045】
・糸切れの評価
前記の仮撚加工において、連続運転の25日間に発生した糸切れ回数を1時間当たりの回数に換算し、次の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
AA:発生した糸切れ回数が0
A:発生した糸切れ回数が1未満(但し、0を含まない)
B:発生した糸切れ回数が1以上3未満
C:発生した糸切れ回数が3以上
【0046】
【表2】
Figure 2004019044
【0047】
表2において、
付着量:合成繊維に対する合成繊維用処理剤としての付着%
【0048】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、近年における合成繊維の紡糸工程や加工工程での高速化にも対応して、毛羽や糸切れの発生を充分に防止できるという効果がある。

Claims (14)

  1. 潤滑剤及び機能性向上剤を含有する合成繊維用処理剤において、機能性向上剤の少なくとも一部として、リチウム化合物をリチウムとして0.001〜2重量%含有して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤。
  2. 更に乳化剤を含有する請求項1記載の合成繊維用処理剤。
  3. 乳化剤が非イオン性界面活性剤である請求項2記載の合成繊維用処理剤。
  4. 潤滑剤を50〜99重量%含有する請求項1〜3のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
  5. 潤滑剤がポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物と(ポリ)エーテルエステル化合物との混合物である請求項1〜4のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
  6. リチウム化合物をリチウムとして0.01〜0.5重量%含有する請求項1〜5のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
  7. リチウム化合物が有機酸リチウムである請求項1〜6のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
  8. 有機酸リチウムを形成することとなる有機酸が酸基としてカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基及び硫酸基から選ばれる一つ又は二つ以上を有するものである請求項7記載の合成繊維用処理剤。
  9. 有機酸リチウムを形成することとなる有機酸が酸基としてカルボン酸基を有するものである請求項7記載の合成繊維用処理剤。
  10. 有機酸リチウムを形成することとなる有機酸が脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸である請求項7記載の合成繊維用処理剤。
  11. 有機酸リチウムを形成することとなる有機酸が炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸又は炭素数6〜22の脂肪族ジカルボン酸である請求項7記載の合成繊維用処理剤。
  12. 請求項1〜11のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤を合成繊維に対し0.1〜3重量%となるよう付着させることを特徴とする合成繊維の処理方法。
  13. 合成繊維用処理剤を水性液となし、該水性液を合成繊維に対し該合成繊維用処理剤として0.1〜3重量%となるよう付着させる請求項12記載の合成繊維の処理方法。
  14. 合成繊維がポリエステル系繊維又はポリアミド系繊維である請求項12又は13記載の合成繊維の処理方法。
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