JP2004017395A - ガラス製品への装飾加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス表面に後加工により装飾用の凹所を形成してもガラスの強度維持が図れるガラス製品への装飾加工方法を提供する。
【解決手段】ガラス製品1のガラス表面11の一部を後加工により除去して装飾用の凹所12を形成し、次いで、該凹所12に封入材2を注入し凹所12の一部分を満たし、その後、該凹所12の封入材2の上にケイ素含有液状物5aを注入し前記封入材2が凹所12内に封入されるようにして該凹所12を埋め、該ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成する。
【選択図】 図9
【解決手段】ガラス製品1のガラス表面11の一部を後加工により除去して装飾用の凹所12を形成し、次いで、該凹所12に封入材2を注入し凹所12の一部分を満たし、その後、該凹所12の封入材2の上にケイ素含有液状物5aを注入し前記封入材2が凹所12内に封入されるようにして該凹所12を埋め、該ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成する。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は食器類,家具調度品や建築物品のうちのガラス製品、さらに車両ウインドゥガラス等のガラス製品への装飾加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスコップなどの食器類、ガラス鏡のあるたんす類などの家具調度品、また窓ガラスを取付けた建築物品において、前記ガラスコップ,ガラス鏡,窓ガラス等のガラス製品は、後加工でガラス表面を例えばサンドブラストで削って、動植物等の装飾を施すことがある。サンドブラストでは、ガラス表面に砥粒を吹き付けることによってガラス表面が傷つけられ削り取られて凹所となり、この凹所が図形装飾を形成する。サンドブラスト以外にもダイヤモンドポイントでガラス表面を傷つけ凹所にしたり、エッチングクリームを用いてガラス表面を腐食させ凹所を形成したりする化学エッチングも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記装飾が施された凹所部分は他部分より削られ厚みが薄くなっており、衝撃に対し脆く壊れ易い問題があった。ガラス製品はもともと割れやすい欠点があり、ガラスに欠陥があり割れが発生すると、クラック伝播し割れが広がる問題があった。前記凹所が図形,模様等の装飾機能を発揮する一方で、該凹所がクラック伝播の発生源になりやすかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するもので、ガラス表面に後加工により装飾用の凹所を形成してもガラスの強度維持が図れるガラス製品への装飾加工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の本発明の要旨は、ガラス製品のガラス表面の一部を後加工により除去して装飾用の凹所を形成し、その後、該凹所にケイ素含有液状物を注入して埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成するガラス製品への装飾加工方法にある。ここでいう「装飾」にはガラス製品の外観を美化する模様若しくは色彩又はこれらの結合の他、ガラス製品のガラス表面に設けられる文字、記号若しくは図形又はこれらの結合の標識を含む。
請求項2に記載の本発明の要旨は、ガラス製品のガラス表面の一部を後加工により除去して装飾用の凹所を形成し、次いで、該凹所に封入材を注入し凹所の一部分を満たし、その後、該凹所の封入材の上にケイ素含有液状物を注入し前記封入材が凹所内に封入されるようにして該凹所を埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成するガラス製品への装飾加工方法にある。
【0006】
請求項1の発明のごとく、ガラス製品のガラス表面の一部を後加工により除去して装飾用の凹所を形成し、その後、該凹所にケイ素含有液状物を注入して埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成すると、凹所形成時点では強度が低下しても、その後、ガラス製品に一体化するガラス質硬化物で埋め戻されるので強度回復する。そして凹所が埋められても、ガラス製品とガラス質硬化物の材質,色調等の違いにより凹所の装飾加工が視認できる。また装飾用凹所のままでは手がひっかかったりするが、凹所がガラス質硬化物で埋められることによって、手のヒッカカリを抑えることができる。また、ガラス製品とガラス質硬化物の色合い等を変えれば、装飾加工の見栄えが向上する。
請求項2の発明のごとく、凹所に封入材を注入し凹所の一部分を満たし、その後、該凹所の封入材の上にケイ素含有液状物を注入し前記封入材が凹所内に封入されるようにして該凹所を埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成すると、封入材の選択によって色鮮やかな装飾を自在に施すことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガラス製品への装飾加工方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図10は本発明のガラス製品への装飾加工方法(以下、単に「装飾加工方法」という。)の一形態で、図1はマスクシートに図形装飾を施した正面図、図2は図1のA−A線矢視図、図3はガラス製品たる窓ガラスの上にマスクシートを貼着した後、サンドブラストを行い凹所を形成している断面図、図4はサンドブラストを終え所定の装飾用凹所が形成された状態図、図5は図4の状態からマスクシートを剥がした図、図6は凹所の底部分に封入材を含む塗料を注入した断面図、図7は図6の塗料が硬化したその上にケイ素含有液状物を注入して凹所を埋めた断面図、図8は図7のケイ素含有液状物が硬化しガラス質硬化物になった断面図、図9は余剰のガラス質硬化部分を除去してガラス表面を平滑にした断面図、図10は窓ガラスに装飾が施された完成斜視図である。図2〜図9はA−A線矢視に対応する断面図を示す。
【0008】
ガラス製品1のガラス表面11の一部を後加工により除去して装飾用の凹所12を形成するが、本実施形態の装飾加工方法は凹所12をサンドブラスト法により形成する。凹所12の加工に先立ち、装飾を施そうとするガラス製品1(ここでは透明の窓ガラス1a)と、窓ガラス1aに応じたマスクシート3が用意される。そして、図1のごとくマスクシート3にカッター等で文字,記号,図形,模様等の図形模様の装飾を切り抜いていく。所望の図形模様の切り抜きを終えたマスクシート3には、例えば図2のような花模様の装飾加工を行う部分が切り抜かれ透孔31ができる。
【0009】
次いで、前記マスクシート3を被加工物の窓ガラス1aに貼着し、マスクシート3の上からサンドブラスト処理する。ノズル81から微細な砂,研磨剤の砥粒82がマスクシート3上に噴出し、透孔31の部分では砥粒82がガラス表面11に直接当たる(図3)。砥粒82の衝撃力によりその部分のガラス表面11が削られ凹所12となる(図4)。凹所12が出来上がった段階で、サンドブラスト処理を止める。マスクシート3を剥がし取ると(図5)、厚みtの窓ガラス1aの表面にはマスクシート3の装飾を施した透孔31の部分だけに深さt1の凹所12が刻み込まれている(図6)。
【0010】
その後、前記凹所12に封入材2を注入し、凹所12の底の部分(凹所12の一部分)を封入材2で満たす(図6)。封入材2は不透明材料からなる。色鮮やかな色彩の着色剤,顔料を含有する有色塗料2a等からなる封入材2であれば装飾効果を高めより好ましくなる。本実施形態は封入材2として有色塗料2aを用いており、塗料2aが硬化したら、続いて凹所12にケイ素含有液状物5aを注入する。凹所12の塗料2aの上にケイ素含有液状物5aを注入し前記封入材2が凹所12に封入されるようにして該凹所12を埋める。ケイ素含有液状物5aは図7のごとく凹所12を埋め尽くしてさらにガラス表面11に多少盛り上る程度に塗布する。凹所12が確実に埋め尽くされるようにするためである。塗布には刷毛塗りの他にスプレーガン等による噴霧塗装を含む。そして、該ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成する(図8)。
【0011】
ケイ素含有液状物5aとはケイ素を含んで、硬化したときにガラス質硬化物5を形成できる液状物である(該液状物にはペースト状体を含む)。より詳しくはポリシラザン含有液状物で、ポリシラザンをセラミックス化させることにより二酸化ケイ素膜(SiO2膜)を形成するセラミックス系コーティング剤になっている。シラザンはSi−N−Si結合を有する総称である。ポリシラザンはSi−/N/H元素で4員環,6員環,8員環等の環状に組み立てられた構造で、このポリシラザン(その変性物を含む)をベースにケイ素含有液状物5aが造られる。ポリシラザンは他のポリマーとの共重合体や他の化合物との混合物でもよい。低温でセラミックス化してSiO2膜を形成できるポリシラザン含有液状物が好ましく、例えばグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号)やアルコール付加ポリシラザン(特開平5−30750号)等がある。またポリシラザンにニッケル,チタン,パラジウム等の金属を含む金属カルボン酸塩を反応させた金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号)を用いることもできる。具体的なケイ素含有液状物5aたるポリシラザン含有液状物にはクラリアントジャパン株式会社製の商品名「クオーツガラスコーティング」や、株式会社アークバリア販売の商品名「アークバリア21」、タイセイ商事株式会社販売の商品名「TECコートG600(常温ガラスコーティング材)」等がある。これらは従来のワックスに代わって車両用ボディを守る撥水コート剤として用いられてきた。いずれもケイ素を含んで常温施工により石英ガラスの皮膜を硬化形成する。透明で非晶質のガラス質硬化物5を形成するコーティング剤である。
【0012】
本実施形態はケイ素含有液状物5aとして車両ボディの撥水コート剤として用いられてきた公知の商品名「アークバリア21」を使用し、これを前記凹所12に埋め、ウインドゥガラス表面11から少し盛り上った状態に塗布する。塗布後、常温放置しケイ素含有液状物5aを硬化させ、ウインドゥガラス表面11に一体化する透明のガラス質硬化物5を形成する。なお、ここでは常温放置してポリシラザンを空気中の酸素や水蒸気と反応させて硬化させ、透明のガラス質硬化物5(SiO2膜)を形成したが、多少熱を加えたり紫外線照射,赤外線照射等を行ったりしてガラス質硬化物5を形成を速めたり、或いはより緻密なガラス質硬化物5を形成したりすることができる。
【0013】
前記ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成した後、該ガラス質硬化物5を研磨しガラス表面11に在る余剰のガラス質硬化部分51を除去して平滑にする(図9)。符号52は最終的に封入材2が凹所12内に封入されるようにして凹所12を埋め、ガラス質硬化物5として残る主要部分を示す。ガラス面11から盛り上った余分のガラス質硬化部分51を研磨剤で削り取り、ガラス表面11を平らにする。ポリシラザンが空気中の酸素,水蒸気と反応硬化してできるガラス質硬化物5は、窓ガラス1aとほぼ同じ無機質からなる石英ガラス成分である。その本体部分52が残って塗料2aを覆って凹所12周りの上層ガラスに一体化する。ガラス表面11は塗料2aが露出することなく透明のガラス質になり、ガラス質硬化物主要部分52の表面硬度も窓ガラス1aの硬度と同等となる。かくして、鮮明にして色鮮やかな封入材2たる塗料2aの装飾が透明のガラス質硬化物5を通してガラス表面11に現れ、且つガラス製品1のガラス面11に装飾用凹所12を形成しても強度維持が図れた装飾加工が完了する。なお、本実施形態は凹所12に封入材2を注入したが、これを省略し、凹所12を形成したら該凹所12にケイ素含有液状物5aを注入して埋め、該ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成するガラス製品1への装飾加工方法とすることができる。封入材2がなくてもガラス質硬化物5と窓ガラス1aの成分は完全同一でないため、凹所12の装飾模様が現れる。さらにガラス質硬化物5を凹所12に埋めても凹所12に空気が入ったりして凹所形状の装飾模様がガラス表面11に現れる。勿論、ガラス質硬化物5そのものが着色されていると、凹所12への封入材2の注入がなくても凹所12に着色ガラス質硬化物5を埋めて簡単に色鮮やかな装飾を施すことができる。
【0014】
(2)実施形態2
本実施形態は図11〜図21ごとくの装飾加工方法で、車両用ウインドゥガラスに適用するものである。装飾用凹所12の形成にガラス溶解剤7を使用する。図11は装飾用の標識がドットプリンターで打ち込まれたシートの平面図、図12は図11の標識入りシートを車両ウインドゥガラスに貼着した斜視図、図13は図12の貼着した標識入りシート周りにマスキング用粘着テープを貼ったマスキング処理工程の平面図、図14は図13のマスキング処理工程を終えた標識入りシート上にガラス溶解剤を塗布した状態の平面図、図15は図14の塗布されたガラス溶解剤を保護テープで覆着した状態の平面図、図16はウインドゥガラス表面に形成された標識模様の凹所の平面図、図17は(イ)が標識模様の凹所の断面図、(ロ)が凹所に封入材たる有色塗料又は有色蛍光塗料が注入された断面図、図18(イ)〜(ハ)は凹所にケイ素含有液状物を注入し、ガラス質硬化物を形成する工程図、図19,図20は他態様の装飾加工が施されたガラス製品の平面図、図21は他態様の装飾加工が施されたガラス製品の部分断面図である。
【0015】
ここでの装飾加工方法の装飾は車両盗難防止用の目印になる標識Sとする。車両用ウインドゥガラス1a(ガラス製品1)のガラス表面11の一部を後加工により除去して装飾用の凹所12を形成するが、まず標識入りシート91を作成する(第1工程)。透明のウインドゥガラス1aに刻印しようとする文字,記号等の標識Sをシートに打ち込む。シート91に標識Sを打ち込むことによりその標識Sの部分をガラス溶解剤7が通過できるようになる。本実施形態はドットプリンタを使用して、図11のごとく車台番号である例えば「LH123−105017」を打ち込み印字する。ドットプリンタに係るドットインパクト方式はピンが力強く飛び出し、インクリボンを押しインクをシートにつける仕組みであるが、シートにピンを力で押し付けるため、シート91を剥がせば標識部分Sが透けて見える状態になる。ドットインパクト方式による標識入りシートの作成はごく簡単である。シート91の本体部分911は勿論、ガラス溶解剤7が通過不能になっている。本実施形態はシート91をウインドゥガラス1aに貼着し易いように、図11のごとくシート裏面に粘着剤層92を介して離型紙93が一体になった離型紙付きシート9を使用する。なおドットプリンタによらず、シート91にカッター等で装飾用凹所12を切り抜き形成してもよい。
【0016】
次に、標識Sを刻印しようとするウインドゥガラス1aの所定場所、例えば図12(イ)のリアウインドゥガラスや、同図(ロ)のサイドウインドゥガラスの面11を清掃する。前記離型紙付きシート9の離型紙93を剥がし、粘着剤層92をガラス面11に当てるようにして車両のウインドゥガラス1aに前記標識入りシート91を貼着する(第2工程)。続いて、図13のごとく標識入りシートの周縁を取り囲むようにしてマスキング用粘着テープMSをウインドゥガラス面11に貼着する(第3工程)。ガラス溶解剤7が標識入りシート以外に付着してその部分のガラス面11が溶解することのないようマスキング用粘着テープMSで被覆保護する。
【0017】
次いで、図14のごとく前記標識入りシート91上にガラス溶解剤7を塗布する(第4工程)。シート91の標識部分Sの箇所にペースト状のガラス溶解剤7を塗布する。本実施形態のガラス溶解剤7はガラス表面11を溶解することのできるフッ化化合物(フッ化物:Fluorides)又はこれを含有する複合物とする。フッ化化合物のフッ化水素(HF)nやフッ化ナトリウムNaF等はガラスを溶解させる働きがある。フッ化水素の水溶液のフッ化水素酸は、ガラスの成分であるケイ酸カルシウム,二酸化ケイ素と次のような反応をおこし、ガラス表面11を溶解(エッチング)し所望の凹所12形状に食刻する。
SiO2+4HF→SiF4+2H2O
CaiO3+6HF→SiF4+CaF2+3H2O
【0018】
なお、フッ化水素やフッ化ナトリウムは毒性があるので他の物質を混合し緩和させた複合物としたり、他のより毒性の少ない或いは無害のフッ化化合物を用いるのが好ましい。フッ化化合物にはフッ化水素酸,フッ化ナトリウムの他、酸性フッ化アンモン,ケイフッ化ソーダ,ケイフッ化水素酸,ケイフッ化アンモニウム,ケイフッ化カリウム,ケイフッ化マグネシウム,三フッ化塩素,三フッ化ホウ素,フッ化アルミニウム,フッ化カリウム,ホウフッ化水素酸,ホウフッ化鉛水溶液,ホウフッ化スズ水溶液,ホウフッ化銅水溶液,ホウフッ化亜鉛水溶液,ホウフッ化ソーダ,ホウフッ化カリウム,ホウフッ化第一鉄水溶液,ホウフッ化アンモニウム六フッ化リン酸リチウム等があるが、ここではガラス表面11の溶解を可能にし、無害化或いはそれに近づけたペースト状体のガラス溶解剤7を採用する。
【0019】
しかる後、図15のごとく前記標識入りシート上に塗布されたガラス溶解剤7を保護テープで覆着する(第5工程)。ガラス溶解剤7の塗布厚みをほぼ均等にして、塗布したガラス溶解剤7上を保護テープHTで覆着する。保護テープHTを覆着するのは標識部分S上に塗布されるガラス溶解剤7の厚みをより均等にしてガラス面11に刻印形成される標識模様の凹所12にムラがでないようにするためである。また、塗布したガラス溶解剤7を不用意に触らないようにするためである。その後、所定時間放置する(第6工程)。時間が経過することによって、ガラス溶解剤7が標識入りシート91の標識部分Sを通過してウインドゥガラス表面11を常温でも溶解させ、標識模様の装飾用凹所12をウインドゥガラス表面11に形成する。シート91の標識部分Sは透けた状態にあり、シート表裏間をガラス溶解剤7が通り抜け可能である。従って、標識部分Sに塗布されたガラス溶解剤7がガラス表面11に達しそこを溶解侵食し、シート91に打ち込んだ標識Sと同じ模様の侵食模様を形成する。所定時間経過したところで、保護テープHT,マスキング用粘着テープMS,シート91を剥がし、且つガラス溶解剤7をきれいに拭き取る(第7工程)。ここでは20分程度で保護テープHT等を剥がし取り、ガラス溶解剤7を除去する。かくして、シート91に打ち込まれた標識Sと同様の標識模様の凹所12がウインドゥガラス1aの表面11に後加工で形成される(図16)。
【0020】
さらにこの刻み込まれた標識模様の凹所12の底部分に封入材2として有色塗料2aを埋め込む作業工程を加える(第8工程)。図17のごとく凹所12はガラス溶解剤を用いて形成されているので、微細凹部13に塗料2aが入り込む。凹所12に有色塗料2aを埋め込むと、透明なウインドゥガラス1aに標識模様が鮮明に浮かび上がる。標識模様が判読しやすくなり、人の目に触れることになり盗難防止に役立つ。より好ましくは、凹所12に有色蛍光塗料2aを埋め込む作業工程を加える。夜間においても視認できるようになり、昼夜を問わず標識模様が判読しやすくなり、人の目に触れ盗難防止に役立つ。なお図17は凹所12を判りやすくするためその部分を強調図示する。
【0021】
前記有色塗料2aが硬化したところで、次に凹所12の封入材2の上に液状のケイ素含有液状物5aを注入し前記封入材2が封入されるようにして該凹所12を埋める(図18のイ)。ケイ素含有液状物5aは実施形態1と同様のものである。ケイ素含有液状物5aで凹所12を完全に埋め、ウインドゥガラス表面11から少し盛り上った状態にする。そして、ケイ素含有液状物5aを硬化させることにより、ウインドゥガラス1aに一体化するガラス質硬化物5を形成する(図18のロ)。
しかる後、ウインドゥガラス表面11の平滑処理工程として、前記ガラス質硬化物5を研磨しウインドゥガラス表面11に在る余剰のガラス質硬化部分51を除去して平滑にする(図18のハ)。符号52は最終的に凹所12を埋めて残るガラス質部分を示す。ウインドゥガラス1a面から盛り上った余分のガラス質部分51を研磨剤で削り取り、ウインドゥガラス表面11を平らにする。ガラス質硬化物の本体部分52が残って封入材2を覆って凹所12周りの上層ガラスに一体化する。ウインドゥガラス表面11は封入材2が露出することなくガラス質で覆われる。ガラス質主要部分52の表面硬度はウインドゥガラス1aと同等となる。凹所12を設けてもガラス質主要部分52で埋め戻され強度維持が図られる。さらに凹所12に封入された色鮮やかな塗料2aによって、凹所12の文字標識Sが透明のガラス質硬化物5を通して鮮明に視認できるようになる。
【0022】
ところで、本実施形態はシートに打ち込む標識Sを車台番号とし、ウインドゥガラス1aに車台番号の装飾加工を施したが、これに限らず、車台番号に形式指定番号,類別区分番号,型式,自動車登録番号等を組合わせた標識Sにしたり或いは形式指定番号等の単独標識Sにしたりして、それらの標識模様をウインドゥガラス1aに装飾加工できる。標識模様として図19(イ)に示すような所有者明記や、同図(ロ)に示すごとく盗難防止の警告表示にすることもできる。図20(イ)のごとく図形で警告表示したり、同図(ロ)〜(ニ)に示すような装飾加工もできる。さらに図示を省略するが、運転手の似顔絵等の絵柄装飾を施すこともできる。本実施形態においても、実施形態1と同様、凹所12に封入材2を注入することなく、ガラス製品1のガラス表面11の一部を後加工により除去して装飾用の凹所12を形成した後、該凹所12にケイ素含有液状物5aを注入して埋め、該ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成するガラス製品1への装飾加工方法とすることができる(図21)。
【0023】
(3)効果
このように構成したガラス製品1への装飾加工方法は、ガラス製品1に後加工で様々な装飾用の凹所12を形成しても、凹所12を形成した後にケイ素含有液状物5aを凹所12に注入しガラス質硬化物5にしてガラス製品1に一体化させるので、凹所12形成に伴う機械的強度低下を防止できる。凹所12を一度は形成しても、ガラス製品1と同等のガラス質硬化物5で埋め戻されるので、ガラス製品1は割れ難くなり装飾加工前の強度維持が図れる。実際、三重県科学振興センターにて高温強度試験機を使用して3点曲げ強さ(MPa)を測定したところ、凹所12形成前の強化ガラス板が220.6MPaであるのに対し、サンドブラスト処理で凹所12を形成することにより141.0MPaまで低下した。しかるに、凹所12にケイ素含有液状物5aを注入し強化ガラス板に一体化するガラス質硬化物5を形成することによって元の強化ガラス板近くまで強度回復させることができた。また、凹所12が埋められることによって、凹所加工のまま放置することによる凹所12での手のひっかかり等の不具合が解消される。透明のガラス製品に設けられた凹所12が透明のガラス質硬化物5で埋められても、両者の材質,色調が若干異なり、また凹所12に空気が入り込んだりして凹所12の装飾模様をガラス表面に現すことが可能になる。さらに凹所12の形成後、該凹所12に塗料2a等の封入材2を注入し、その後、該凹所12の封入材2の上にケイ素含有液状物5aを注入し封入材2が凹所12内に封入されるようにして該凹所12を埋め、該ケイ素含有液状物5aを硬化させたガラス質硬化物5をガラス製品1に一体化させれば、封入材2の色彩が透明のガラス質硬化物5を通してガラス製品1の表面に現れるので、装飾の効果を一段と高めることができる。封入材2は凹所12内に封入されるので、色味が脱色するといった不具合は起こらない。また、ケイ素含有液状物5a自体を着色すれば、封入材2を凹所12に注入しなくても彩りも鮮やかな装飾模様をガラス製品1の外面に現すことができる。
実施形態1では窓ガラス1aに装飾加工を施したが、その他の食器類,家具調度品や建築物品のうちのガラス製品1などに適用できる。例えば図22(イ)の鏡1aや同図(ロ)のガラスコップ1a等に適用でき、上記内容と同じ効果が得られる。
さらに実施形態2のごとく、車両ウインドゥガラス等への車台番号等の装飾加工方法も可能になる。ウインドゥガラス1aへの標識Sの装飾加工によって、凹所12を形成してもケイ素含有液状物5aが凹所12を埋めガラス質硬化物5になるので、初期強度はほぼ確保され且つ盗難防止の装飾加工を施すことができる。しかも、単なる塗装膜等違い、ウインドゥガラス表面11に凹所12を食刻形成し、封入材2を封入した後、ケイ素含有液状物5aを注入して硬化させたガラス硬化物を凹所12周りのウインドゥガラス1aに一体化させているので、消し去ることができない。凹所12に有色蛍光塗料2aを埋め込めば夜間においても、透明ウインドゥガラスに標識Sが浮かび上がり盗賊に知らしめ、盗みをあきらめさせることができ、一層有益なものとなる。その車両持ち主を特定できる車台番号等の標識Sが明記されておれば、盗難にあっても盗難品であることがすぐバレる。盗賊は車両を盗んでもウインドゥガラスを取り替えなければ転売できず、盗賊が利益を得るのは極めて困難になる。本ガラス製品1への装飾加工方法による標識Sがウインドゥガラスにあれば、盗賊にあきらめさせることができる。鍵穴近くのウインドゥガラスに標識Sが形成されれば、盗もうとする作業時点ですぐに知らしめるのでより効果的になる。
【0024】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ガラス製品1,封入材2,ガラス質硬化物5,ケイ素含有液状物5a,ガラス溶解剤7等の材料,形状,大きさ,個数等は用途に合わせて適宜選択できる。凹所12の形成法は実施形態のサンドブラスト,ガラス溶解剤に限定されず、例えばダイヤモンドポイント等によってもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明のガラス製品への装飾加工方法はガラス表面に後加工により装飾用の凹所を形成してもガラスの強度維持が図れ優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のガラス製品への装飾加工方法で、マスクシートに図形装飾を施した正面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】ガラス製品たる窓ガラスの上にマスクシートを貼着した後、サンドブラストを行い凹所を形成している断面図である。
【図4】サンドブラストを終え所定の装飾用凹所が形成された断面図である。
【図5】図4の状態からマスクシートを剥がした断面図である。
【図6】凹所の底部分に封入材を含む塗料を注入した断面図である。
【図7】図6の塗料が硬化したその上にケイ素含有液状物を注入して凹所を埋め尽くした断面図である。
【図8】図7のケイ素含有液状物が硬化しガラス質硬化物になった断面図である。
【図9】余剰のガラス質硬化部分を除去してガラス表面を平滑にした断面図である。
【図10】窓ガラスに装飾が施された完成斜視図である。
【図11】実施形態2のガラス製品への装飾加工方法で、装飾用の標識が打ち込まれたシートの平面図である。
【図12】図11の標識入りシートを車両ウインドゥガラスに貼着した斜視図である。
【図13】図12の貼着した標識入りシート周りにマスキング用粘着テープを貼ったマスキング処理工程の平面図である。
【図14】図13のマスキング処理工程を終えた標識入りシート上にガラス溶解剤を塗布した状態の平面図である。
【図15】図14の塗布されたガラス溶解剤を保護テープで覆着した状態の平面図である。
【図16】ウインドゥガラス表面に形成された標識模様の凹所の平面図である。
【図17】(イ)が標識模様の凹所の断面図、(ロ)が凹所に封入材たる有色塗料又は有色蛍光塗料が埋め込まれた断面図である。
【図18】(イ)〜(ハ)は凹所にケイ素含有液状物を注入し、ガラス質硬化物を形成する各工程の断面図である。
【図19】他態様の装飾用凹所の平面図である。
【図20】他態様の装飾用凹所の平面図である。
【図21】他態様の装飾加工が施されたガラス製品の部分断面図である。
【図22】他のガラス製品に装飾加工を施した斜視図である。
【符号の説明】
1 ガラス製品
1a 窓ガラス(ウインドゥガラス)
2 封入材
2a 塗料
5 ガラス質硬化物
5a ケイ素含有液状物
S 標識(装飾)
【発明の属する技術分野】
本発明は食器類,家具調度品や建築物品のうちのガラス製品、さらに車両ウインドゥガラス等のガラス製品への装飾加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラスコップなどの食器類、ガラス鏡のあるたんす類などの家具調度品、また窓ガラスを取付けた建築物品において、前記ガラスコップ,ガラス鏡,窓ガラス等のガラス製品は、後加工でガラス表面を例えばサンドブラストで削って、動植物等の装飾を施すことがある。サンドブラストでは、ガラス表面に砥粒を吹き付けることによってガラス表面が傷つけられ削り取られて凹所となり、この凹所が図形装飾を形成する。サンドブラスト以外にもダイヤモンドポイントでガラス表面を傷つけ凹所にしたり、エッチングクリームを用いてガラス表面を腐食させ凹所を形成したりする化学エッチングも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記装飾が施された凹所部分は他部分より削られ厚みが薄くなっており、衝撃に対し脆く壊れ易い問題があった。ガラス製品はもともと割れやすい欠点があり、ガラスに欠陥があり割れが発生すると、クラック伝播し割れが広がる問題があった。前記凹所が図形,模様等の装飾機能を発揮する一方で、該凹所がクラック伝播の発生源になりやすかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するもので、ガラス表面に後加工により装飾用の凹所を形成してもガラスの強度維持が図れるガラス製品への装飾加工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の本発明の要旨は、ガラス製品のガラス表面の一部を後加工により除去して装飾用の凹所を形成し、その後、該凹所にケイ素含有液状物を注入して埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成するガラス製品への装飾加工方法にある。ここでいう「装飾」にはガラス製品の外観を美化する模様若しくは色彩又はこれらの結合の他、ガラス製品のガラス表面に設けられる文字、記号若しくは図形又はこれらの結合の標識を含む。
請求項2に記載の本発明の要旨は、ガラス製品のガラス表面の一部を後加工により除去して装飾用の凹所を形成し、次いで、該凹所に封入材を注入し凹所の一部分を満たし、その後、該凹所の封入材の上にケイ素含有液状物を注入し前記封入材が凹所内に封入されるようにして該凹所を埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成するガラス製品への装飾加工方法にある。
【0006】
請求項1の発明のごとく、ガラス製品のガラス表面の一部を後加工により除去して装飾用の凹所を形成し、その後、該凹所にケイ素含有液状物を注入して埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成すると、凹所形成時点では強度が低下しても、その後、ガラス製品に一体化するガラス質硬化物で埋め戻されるので強度回復する。そして凹所が埋められても、ガラス製品とガラス質硬化物の材質,色調等の違いにより凹所の装飾加工が視認できる。また装飾用凹所のままでは手がひっかかったりするが、凹所がガラス質硬化物で埋められることによって、手のヒッカカリを抑えることができる。また、ガラス製品とガラス質硬化物の色合い等を変えれば、装飾加工の見栄えが向上する。
請求項2の発明のごとく、凹所に封入材を注入し凹所の一部分を満たし、その後、該凹所の封入材の上にケイ素含有液状物を注入し前記封入材が凹所内に封入されるようにして該凹所を埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成すると、封入材の選択によって色鮮やかな装飾を自在に施すことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガラス製品への装飾加工方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図10は本発明のガラス製品への装飾加工方法(以下、単に「装飾加工方法」という。)の一形態で、図1はマスクシートに図形装飾を施した正面図、図2は図1のA−A線矢視図、図3はガラス製品たる窓ガラスの上にマスクシートを貼着した後、サンドブラストを行い凹所を形成している断面図、図4はサンドブラストを終え所定の装飾用凹所が形成された状態図、図5は図4の状態からマスクシートを剥がした図、図6は凹所の底部分に封入材を含む塗料を注入した断面図、図7は図6の塗料が硬化したその上にケイ素含有液状物を注入して凹所を埋めた断面図、図8は図7のケイ素含有液状物が硬化しガラス質硬化物になった断面図、図9は余剰のガラス質硬化部分を除去してガラス表面を平滑にした断面図、図10は窓ガラスに装飾が施された完成斜視図である。図2〜図9はA−A線矢視に対応する断面図を示す。
【0008】
ガラス製品1のガラス表面11の一部を後加工により除去して装飾用の凹所12を形成するが、本実施形態の装飾加工方法は凹所12をサンドブラスト法により形成する。凹所12の加工に先立ち、装飾を施そうとするガラス製品1(ここでは透明の窓ガラス1a)と、窓ガラス1aに応じたマスクシート3が用意される。そして、図1のごとくマスクシート3にカッター等で文字,記号,図形,模様等の図形模様の装飾を切り抜いていく。所望の図形模様の切り抜きを終えたマスクシート3には、例えば図2のような花模様の装飾加工を行う部分が切り抜かれ透孔31ができる。
【0009】
次いで、前記マスクシート3を被加工物の窓ガラス1aに貼着し、マスクシート3の上からサンドブラスト処理する。ノズル81から微細な砂,研磨剤の砥粒82がマスクシート3上に噴出し、透孔31の部分では砥粒82がガラス表面11に直接当たる(図3)。砥粒82の衝撃力によりその部分のガラス表面11が削られ凹所12となる(図4)。凹所12が出来上がった段階で、サンドブラスト処理を止める。マスクシート3を剥がし取ると(図5)、厚みtの窓ガラス1aの表面にはマスクシート3の装飾を施した透孔31の部分だけに深さt1の凹所12が刻み込まれている(図6)。
【0010】
その後、前記凹所12に封入材2を注入し、凹所12の底の部分(凹所12の一部分)を封入材2で満たす(図6)。封入材2は不透明材料からなる。色鮮やかな色彩の着色剤,顔料を含有する有色塗料2a等からなる封入材2であれば装飾効果を高めより好ましくなる。本実施形態は封入材2として有色塗料2aを用いており、塗料2aが硬化したら、続いて凹所12にケイ素含有液状物5aを注入する。凹所12の塗料2aの上にケイ素含有液状物5aを注入し前記封入材2が凹所12に封入されるようにして該凹所12を埋める。ケイ素含有液状物5aは図7のごとく凹所12を埋め尽くしてさらにガラス表面11に多少盛り上る程度に塗布する。凹所12が確実に埋め尽くされるようにするためである。塗布には刷毛塗りの他にスプレーガン等による噴霧塗装を含む。そして、該ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成する(図8)。
【0011】
ケイ素含有液状物5aとはケイ素を含んで、硬化したときにガラス質硬化物5を形成できる液状物である(該液状物にはペースト状体を含む)。より詳しくはポリシラザン含有液状物で、ポリシラザンをセラミックス化させることにより二酸化ケイ素膜(SiO2膜)を形成するセラミックス系コーティング剤になっている。シラザンはSi−N−Si結合を有する総称である。ポリシラザンはSi−/N/H元素で4員環,6員環,8員環等の環状に組み立てられた構造で、このポリシラザン(その変性物を含む)をベースにケイ素含有液状物5aが造られる。ポリシラザンは他のポリマーとの共重合体や他の化合物との混合物でもよい。低温でセラミックス化してSiO2膜を形成できるポリシラザン含有液状物が好ましく、例えばグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号)やアルコール付加ポリシラザン(特開平5−30750号)等がある。またポリシラザンにニッケル,チタン,パラジウム等の金属を含む金属カルボン酸塩を反応させた金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号)を用いることもできる。具体的なケイ素含有液状物5aたるポリシラザン含有液状物にはクラリアントジャパン株式会社製の商品名「クオーツガラスコーティング」や、株式会社アークバリア販売の商品名「アークバリア21」、タイセイ商事株式会社販売の商品名「TECコートG600(常温ガラスコーティング材)」等がある。これらは従来のワックスに代わって車両用ボディを守る撥水コート剤として用いられてきた。いずれもケイ素を含んで常温施工により石英ガラスの皮膜を硬化形成する。透明で非晶質のガラス質硬化物5を形成するコーティング剤である。
【0012】
本実施形態はケイ素含有液状物5aとして車両ボディの撥水コート剤として用いられてきた公知の商品名「アークバリア21」を使用し、これを前記凹所12に埋め、ウインドゥガラス表面11から少し盛り上った状態に塗布する。塗布後、常温放置しケイ素含有液状物5aを硬化させ、ウインドゥガラス表面11に一体化する透明のガラス質硬化物5を形成する。なお、ここでは常温放置してポリシラザンを空気中の酸素や水蒸気と反応させて硬化させ、透明のガラス質硬化物5(SiO2膜)を形成したが、多少熱を加えたり紫外線照射,赤外線照射等を行ったりしてガラス質硬化物5を形成を速めたり、或いはより緻密なガラス質硬化物5を形成したりすることができる。
【0013】
前記ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成した後、該ガラス質硬化物5を研磨しガラス表面11に在る余剰のガラス質硬化部分51を除去して平滑にする(図9)。符号52は最終的に封入材2が凹所12内に封入されるようにして凹所12を埋め、ガラス質硬化物5として残る主要部分を示す。ガラス面11から盛り上った余分のガラス質硬化部分51を研磨剤で削り取り、ガラス表面11を平らにする。ポリシラザンが空気中の酸素,水蒸気と反応硬化してできるガラス質硬化物5は、窓ガラス1aとほぼ同じ無機質からなる石英ガラス成分である。その本体部分52が残って塗料2aを覆って凹所12周りの上層ガラスに一体化する。ガラス表面11は塗料2aが露出することなく透明のガラス質になり、ガラス質硬化物主要部分52の表面硬度も窓ガラス1aの硬度と同等となる。かくして、鮮明にして色鮮やかな封入材2たる塗料2aの装飾が透明のガラス質硬化物5を通してガラス表面11に現れ、且つガラス製品1のガラス面11に装飾用凹所12を形成しても強度維持が図れた装飾加工が完了する。なお、本実施形態は凹所12に封入材2を注入したが、これを省略し、凹所12を形成したら該凹所12にケイ素含有液状物5aを注入して埋め、該ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成するガラス製品1への装飾加工方法とすることができる。封入材2がなくてもガラス質硬化物5と窓ガラス1aの成分は完全同一でないため、凹所12の装飾模様が現れる。さらにガラス質硬化物5を凹所12に埋めても凹所12に空気が入ったりして凹所形状の装飾模様がガラス表面11に現れる。勿論、ガラス質硬化物5そのものが着色されていると、凹所12への封入材2の注入がなくても凹所12に着色ガラス質硬化物5を埋めて簡単に色鮮やかな装飾を施すことができる。
【0014】
(2)実施形態2
本実施形態は図11〜図21ごとくの装飾加工方法で、車両用ウインドゥガラスに適用するものである。装飾用凹所12の形成にガラス溶解剤7を使用する。図11は装飾用の標識がドットプリンターで打ち込まれたシートの平面図、図12は図11の標識入りシートを車両ウインドゥガラスに貼着した斜視図、図13は図12の貼着した標識入りシート周りにマスキング用粘着テープを貼ったマスキング処理工程の平面図、図14は図13のマスキング処理工程を終えた標識入りシート上にガラス溶解剤を塗布した状態の平面図、図15は図14の塗布されたガラス溶解剤を保護テープで覆着した状態の平面図、図16はウインドゥガラス表面に形成された標識模様の凹所の平面図、図17は(イ)が標識模様の凹所の断面図、(ロ)が凹所に封入材たる有色塗料又は有色蛍光塗料が注入された断面図、図18(イ)〜(ハ)は凹所にケイ素含有液状物を注入し、ガラス質硬化物を形成する工程図、図19,図20は他態様の装飾加工が施されたガラス製品の平面図、図21は他態様の装飾加工が施されたガラス製品の部分断面図である。
【0015】
ここでの装飾加工方法の装飾は車両盗難防止用の目印になる標識Sとする。車両用ウインドゥガラス1a(ガラス製品1)のガラス表面11の一部を後加工により除去して装飾用の凹所12を形成するが、まず標識入りシート91を作成する(第1工程)。透明のウインドゥガラス1aに刻印しようとする文字,記号等の標識Sをシートに打ち込む。シート91に標識Sを打ち込むことによりその標識Sの部分をガラス溶解剤7が通過できるようになる。本実施形態はドットプリンタを使用して、図11のごとく車台番号である例えば「LH123−105017」を打ち込み印字する。ドットプリンタに係るドットインパクト方式はピンが力強く飛び出し、インクリボンを押しインクをシートにつける仕組みであるが、シートにピンを力で押し付けるため、シート91を剥がせば標識部分Sが透けて見える状態になる。ドットインパクト方式による標識入りシートの作成はごく簡単である。シート91の本体部分911は勿論、ガラス溶解剤7が通過不能になっている。本実施形態はシート91をウインドゥガラス1aに貼着し易いように、図11のごとくシート裏面に粘着剤層92を介して離型紙93が一体になった離型紙付きシート9を使用する。なおドットプリンタによらず、シート91にカッター等で装飾用凹所12を切り抜き形成してもよい。
【0016】
次に、標識Sを刻印しようとするウインドゥガラス1aの所定場所、例えば図12(イ)のリアウインドゥガラスや、同図(ロ)のサイドウインドゥガラスの面11を清掃する。前記離型紙付きシート9の離型紙93を剥がし、粘着剤層92をガラス面11に当てるようにして車両のウインドゥガラス1aに前記標識入りシート91を貼着する(第2工程)。続いて、図13のごとく標識入りシートの周縁を取り囲むようにしてマスキング用粘着テープMSをウインドゥガラス面11に貼着する(第3工程)。ガラス溶解剤7が標識入りシート以外に付着してその部分のガラス面11が溶解することのないようマスキング用粘着テープMSで被覆保護する。
【0017】
次いで、図14のごとく前記標識入りシート91上にガラス溶解剤7を塗布する(第4工程)。シート91の標識部分Sの箇所にペースト状のガラス溶解剤7を塗布する。本実施形態のガラス溶解剤7はガラス表面11を溶解することのできるフッ化化合物(フッ化物:Fluorides)又はこれを含有する複合物とする。フッ化化合物のフッ化水素(HF)nやフッ化ナトリウムNaF等はガラスを溶解させる働きがある。フッ化水素の水溶液のフッ化水素酸は、ガラスの成分であるケイ酸カルシウム,二酸化ケイ素と次のような反応をおこし、ガラス表面11を溶解(エッチング)し所望の凹所12形状に食刻する。
SiO2+4HF→SiF4+2H2O
CaiO3+6HF→SiF4+CaF2+3H2O
【0018】
なお、フッ化水素やフッ化ナトリウムは毒性があるので他の物質を混合し緩和させた複合物としたり、他のより毒性の少ない或いは無害のフッ化化合物を用いるのが好ましい。フッ化化合物にはフッ化水素酸,フッ化ナトリウムの他、酸性フッ化アンモン,ケイフッ化ソーダ,ケイフッ化水素酸,ケイフッ化アンモニウム,ケイフッ化カリウム,ケイフッ化マグネシウム,三フッ化塩素,三フッ化ホウ素,フッ化アルミニウム,フッ化カリウム,ホウフッ化水素酸,ホウフッ化鉛水溶液,ホウフッ化スズ水溶液,ホウフッ化銅水溶液,ホウフッ化亜鉛水溶液,ホウフッ化ソーダ,ホウフッ化カリウム,ホウフッ化第一鉄水溶液,ホウフッ化アンモニウム六フッ化リン酸リチウム等があるが、ここではガラス表面11の溶解を可能にし、無害化或いはそれに近づけたペースト状体のガラス溶解剤7を採用する。
【0019】
しかる後、図15のごとく前記標識入りシート上に塗布されたガラス溶解剤7を保護テープで覆着する(第5工程)。ガラス溶解剤7の塗布厚みをほぼ均等にして、塗布したガラス溶解剤7上を保護テープHTで覆着する。保護テープHTを覆着するのは標識部分S上に塗布されるガラス溶解剤7の厚みをより均等にしてガラス面11に刻印形成される標識模様の凹所12にムラがでないようにするためである。また、塗布したガラス溶解剤7を不用意に触らないようにするためである。その後、所定時間放置する(第6工程)。時間が経過することによって、ガラス溶解剤7が標識入りシート91の標識部分Sを通過してウインドゥガラス表面11を常温でも溶解させ、標識模様の装飾用凹所12をウインドゥガラス表面11に形成する。シート91の標識部分Sは透けた状態にあり、シート表裏間をガラス溶解剤7が通り抜け可能である。従って、標識部分Sに塗布されたガラス溶解剤7がガラス表面11に達しそこを溶解侵食し、シート91に打ち込んだ標識Sと同じ模様の侵食模様を形成する。所定時間経過したところで、保護テープHT,マスキング用粘着テープMS,シート91を剥がし、且つガラス溶解剤7をきれいに拭き取る(第7工程)。ここでは20分程度で保護テープHT等を剥がし取り、ガラス溶解剤7を除去する。かくして、シート91に打ち込まれた標識Sと同様の標識模様の凹所12がウインドゥガラス1aの表面11に後加工で形成される(図16)。
【0020】
さらにこの刻み込まれた標識模様の凹所12の底部分に封入材2として有色塗料2aを埋め込む作業工程を加える(第8工程)。図17のごとく凹所12はガラス溶解剤を用いて形成されているので、微細凹部13に塗料2aが入り込む。凹所12に有色塗料2aを埋め込むと、透明なウインドゥガラス1aに標識模様が鮮明に浮かび上がる。標識模様が判読しやすくなり、人の目に触れることになり盗難防止に役立つ。より好ましくは、凹所12に有色蛍光塗料2aを埋め込む作業工程を加える。夜間においても視認できるようになり、昼夜を問わず標識模様が判読しやすくなり、人の目に触れ盗難防止に役立つ。なお図17は凹所12を判りやすくするためその部分を強調図示する。
【0021】
前記有色塗料2aが硬化したところで、次に凹所12の封入材2の上に液状のケイ素含有液状物5aを注入し前記封入材2が封入されるようにして該凹所12を埋める(図18のイ)。ケイ素含有液状物5aは実施形態1と同様のものである。ケイ素含有液状物5aで凹所12を完全に埋め、ウインドゥガラス表面11から少し盛り上った状態にする。そして、ケイ素含有液状物5aを硬化させることにより、ウインドゥガラス1aに一体化するガラス質硬化物5を形成する(図18のロ)。
しかる後、ウインドゥガラス表面11の平滑処理工程として、前記ガラス質硬化物5を研磨しウインドゥガラス表面11に在る余剰のガラス質硬化部分51を除去して平滑にする(図18のハ)。符号52は最終的に凹所12を埋めて残るガラス質部分を示す。ウインドゥガラス1a面から盛り上った余分のガラス質部分51を研磨剤で削り取り、ウインドゥガラス表面11を平らにする。ガラス質硬化物の本体部分52が残って封入材2を覆って凹所12周りの上層ガラスに一体化する。ウインドゥガラス表面11は封入材2が露出することなくガラス質で覆われる。ガラス質主要部分52の表面硬度はウインドゥガラス1aと同等となる。凹所12を設けてもガラス質主要部分52で埋め戻され強度維持が図られる。さらに凹所12に封入された色鮮やかな塗料2aによって、凹所12の文字標識Sが透明のガラス質硬化物5を通して鮮明に視認できるようになる。
【0022】
ところで、本実施形態はシートに打ち込む標識Sを車台番号とし、ウインドゥガラス1aに車台番号の装飾加工を施したが、これに限らず、車台番号に形式指定番号,類別区分番号,型式,自動車登録番号等を組合わせた標識Sにしたり或いは形式指定番号等の単独標識Sにしたりして、それらの標識模様をウインドゥガラス1aに装飾加工できる。標識模様として図19(イ)に示すような所有者明記や、同図(ロ)に示すごとく盗難防止の警告表示にすることもできる。図20(イ)のごとく図形で警告表示したり、同図(ロ)〜(ニ)に示すような装飾加工もできる。さらに図示を省略するが、運転手の似顔絵等の絵柄装飾を施すこともできる。本実施形態においても、実施形態1と同様、凹所12に封入材2を注入することなく、ガラス製品1のガラス表面11の一部を後加工により除去して装飾用の凹所12を形成した後、該凹所12にケイ素含有液状物5aを注入して埋め、該ケイ素含有液状物5aを硬化させることによりガラス製品1に一体化するガラス質硬化物5を形成するガラス製品1への装飾加工方法とすることができる(図21)。
【0023】
(3)効果
このように構成したガラス製品1への装飾加工方法は、ガラス製品1に後加工で様々な装飾用の凹所12を形成しても、凹所12を形成した後にケイ素含有液状物5aを凹所12に注入しガラス質硬化物5にしてガラス製品1に一体化させるので、凹所12形成に伴う機械的強度低下を防止できる。凹所12を一度は形成しても、ガラス製品1と同等のガラス質硬化物5で埋め戻されるので、ガラス製品1は割れ難くなり装飾加工前の強度維持が図れる。実際、三重県科学振興センターにて高温強度試験機を使用して3点曲げ強さ(MPa)を測定したところ、凹所12形成前の強化ガラス板が220.6MPaであるのに対し、サンドブラスト処理で凹所12を形成することにより141.0MPaまで低下した。しかるに、凹所12にケイ素含有液状物5aを注入し強化ガラス板に一体化するガラス質硬化物5を形成することによって元の強化ガラス板近くまで強度回復させることができた。また、凹所12が埋められることによって、凹所加工のまま放置することによる凹所12での手のひっかかり等の不具合が解消される。透明のガラス製品に設けられた凹所12が透明のガラス質硬化物5で埋められても、両者の材質,色調が若干異なり、また凹所12に空気が入り込んだりして凹所12の装飾模様をガラス表面に現すことが可能になる。さらに凹所12の形成後、該凹所12に塗料2a等の封入材2を注入し、その後、該凹所12の封入材2の上にケイ素含有液状物5aを注入し封入材2が凹所12内に封入されるようにして該凹所12を埋め、該ケイ素含有液状物5aを硬化させたガラス質硬化物5をガラス製品1に一体化させれば、封入材2の色彩が透明のガラス質硬化物5を通してガラス製品1の表面に現れるので、装飾の効果を一段と高めることができる。封入材2は凹所12内に封入されるので、色味が脱色するといった不具合は起こらない。また、ケイ素含有液状物5a自体を着色すれば、封入材2を凹所12に注入しなくても彩りも鮮やかな装飾模様をガラス製品1の外面に現すことができる。
実施形態1では窓ガラス1aに装飾加工を施したが、その他の食器類,家具調度品や建築物品のうちのガラス製品1などに適用できる。例えば図22(イ)の鏡1aや同図(ロ)のガラスコップ1a等に適用でき、上記内容と同じ効果が得られる。
さらに実施形態2のごとく、車両ウインドゥガラス等への車台番号等の装飾加工方法も可能になる。ウインドゥガラス1aへの標識Sの装飾加工によって、凹所12を形成してもケイ素含有液状物5aが凹所12を埋めガラス質硬化物5になるので、初期強度はほぼ確保され且つ盗難防止の装飾加工を施すことができる。しかも、単なる塗装膜等違い、ウインドゥガラス表面11に凹所12を食刻形成し、封入材2を封入した後、ケイ素含有液状物5aを注入して硬化させたガラス硬化物を凹所12周りのウインドゥガラス1aに一体化させているので、消し去ることができない。凹所12に有色蛍光塗料2aを埋め込めば夜間においても、透明ウインドゥガラスに標識Sが浮かび上がり盗賊に知らしめ、盗みをあきらめさせることができ、一層有益なものとなる。その車両持ち主を特定できる車台番号等の標識Sが明記されておれば、盗難にあっても盗難品であることがすぐバレる。盗賊は車両を盗んでもウインドゥガラスを取り替えなければ転売できず、盗賊が利益を得るのは極めて困難になる。本ガラス製品1への装飾加工方法による標識Sがウインドゥガラスにあれば、盗賊にあきらめさせることができる。鍵穴近くのウインドゥガラスに標識Sが形成されれば、盗もうとする作業時点ですぐに知らしめるのでより効果的になる。
【0024】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。ガラス製品1,封入材2,ガラス質硬化物5,ケイ素含有液状物5a,ガラス溶解剤7等の材料,形状,大きさ,個数等は用途に合わせて適宜選択できる。凹所12の形成法は実施形態のサンドブラスト,ガラス溶解剤に限定されず、例えばダイヤモンドポイント等によってもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明のガラス製品への装飾加工方法はガラス表面に後加工により装飾用の凹所を形成してもガラスの強度維持が図れ優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のガラス製品への装飾加工方法で、マスクシートに図形装飾を施した正面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】ガラス製品たる窓ガラスの上にマスクシートを貼着した後、サンドブラストを行い凹所を形成している断面図である。
【図4】サンドブラストを終え所定の装飾用凹所が形成された断面図である。
【図5】図4の状態からマスクシートを剥がした断面図である。
【図6】凹所の底部分に封入材を含む塗料を注入した断面図である。
【図7】図6の塗料が硬化したその上にケイ素含有液状物を注入して凹所を埋め尽くした断面図である。
【図8】図7のケイ素含有液状物が硬化しガラス質硬化物になった断面図である。
【図9】余剰のガラス質硬化部分を除去してガラス表面を平滑にした断面図である。
【図10】窓ガラスに装飾が施された完成斜視図である。
【図11】実施形態2のガラス製品への装飾加工方法で、装飾用の標識が打ち込まれたシートの平面図である。
【図12】図11の標識入りシートを車両ウインドゥガラスに貼着した斜視図である。
【図13】図12の貼着した標識入りシート周りにマスキング用粘着テープを貼ったマスキング処理工程の平面図である。
【図14】図13のマスキング処理工程を終えた標識入りシート上にガラス溶解剤を塗布した状態の平面図である。
【図15】図14の塗布されたガラス溶解剤を保護テープで覆着した状態の平面図である。
【図16】ウインドゥガラス表面に形成された標識模様の凹所の平面図である。
【図17】(イ)が標識模様の凹所の断面図、(ロ)が凹所に封入材たる有色塗料又は有色蛍光塗料が埋め込まれた断面図である。
【図18】(イ)〜(ハ)は凹所にケイ素含有液状物を注入し、ガラス質硬化物を形成する各工程の断面図である。
【図19】他態様の装飾用凹所の平面図である。
【図20】他態様の装飾用凹所の平面図である。
【図21】他態様の装飾加工が施されたガラス製品の部分断面図である。
【図22】他のガラス製品に装飾加工を施した斜視図である。
【符号の説明】
1 ガラス製品
1a 窓ガラス(ウインドゥガラス)
2 封入材
2a 塗料
5 ガラス質硬化物
5a ケイ素含有液状物
S 標識(装飾)
Claims (2)
- ガラス製品のガラス表面の一部を後加工により除去して装飾用の凹所を形成し、その後、該凹所にケイ素含有液状物を注入して埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成するガラス製品への装飾加工方法。
- ガラス製品のガラス表面の一部を後加工により除去して装飾用の凹所を形成し、次いで、該凹所に封入材を注入し凹所の一部分を満たし、その後、該凹所の封入材の上にケイ素含有液状物を注入し前記封入材が凹所内に封入されるようにして該凹所を埋め、該ケイ素含有液状物を硬化させることによりガラス製品に一体化するガラス質硬化物を形成するガラス製品への装飾加工方法。
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---|---|---|---|
JP2002173806A JP2004017395A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | ガラス製品への装飾加工方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019089592A (ja) * | 2017-11-16 | 2019-06-13 | 昭和アルミニウム缶株式会社 | 飲料容器および飲料容器セット |
JP2020189276A (ja) * | 2019-05-23 | 2020-11-26 | 株式会社光明兼光本店 | ガラス瓶のフルカラー着色方法及びフルカラー着色ガラス瓶 |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002173806A patent/JP2004017395A/ja active Pending
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