JP4589774B2 - 再帰反射性物品の製造方法ならびに転写シート - Google Patents

再帰反射性物品の製造方法ならびに転写シート Download PDF

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Description

本発明は、再帰反射性物品の製造方法、再帰反射性物品製造用シートに関し、詳しくは、微小な透明ビーズによる光の反射および屈折の特性を利用した再帰反射性物品の製造方法と、このような製造方法に用いる転写シートとを対象にしている。
微小な透明ビーズを利用した再帰反射性物品の技術は良く知られている。
外部から透明ビーズに入射した光が、透明ビーズの内面で反射したり、透明ビーズの内部を通過する際に屈折したり、透明ビーズを通過した光が反射材で反射したあと再び透明ビーズに入射したりするなどの複雑な経路を経て、最初に入射した方向に戻っていくことで、単なる反射面ではない特異な反射特性を発揮する。例えば、夜間に自動車の照明光を反射して、障害物などの存在を確実に知らせたり、道路標識などを明確に表示させたりするのに非常に有用であるとされている。また、複雑な反射による輝きが、優れた意匠効果を発揮することになり、各種の物品の意匠性や装飾効果を高めるためにも利用されている。
このような再帰反射性物品は、例えば、印刷技術を利用して、紙などの基材シート上に反射層や透明ビーズなどを積層形成してなる再帰反射性シートを、対象とする物品の表面に貼り付けて製造される。
特許文献1には、陶磁器類などの表面に再帰反射性のパターンを形成する技術として、基材シートの表面に、パターン状に塗工した樹脂インク層に透明ビーズを付着させてなる転写膜を有する転写シートが示されている。転写シートを水に漬けて、基材シートから分離された転写膜を、陶磁器などの表面に貼り付ける。このような水転写技術は、曲面部分にも再帰反射性パターンを容易に形成できるという利点がある。
特許文献2には、熱転写技術を利用して、衣料品などの表面に再帰反射性パターンを形成する技術が示されている。支持シートに、熱軟化性樹脂層、透明微小球、透明樹脂層、金属反射層、熱転写性接着層を順次積層形成しておき、熱転写性接着層、金属反射層、透明樹脂層および透明微小球の積層部分のみをパターン状を切りとり、熱転写性接着層の熱接着機能で被着体に貼り付ける。
特開2004−138671号公報 特開2004−252116号公報
前記した各種物品の表面に転写技術で再帰反射性パターンを形成する技術は何れも、物品に対する再帰反射性パターンの一体性があまり高くないという問題がある。経時的に剥がれたり浮き上がったりすることがある。
前記特許文献1の水転写技術は、樹脂インク層と透明ビーズからなる極めて薄い転写膜だけを、物品の表面に転写するので、陶磁器の曲面部分などにも密着して沿わせ易いが、陶磁器の表面を頻繁に擦ったり、繰り返し洗浄したりすると、転写膜が剥がれてしまうこともある。また、耐熱性が十分ではなく、熱が加わると、劣化して損傷したり剥がれたりし易い。再帰反射性パターンを構成する材料のうち、透明ビーズは、耐熱性のあるガラスで作製することで耐熱性を向上できるが、樹脂インク層については、それほど高熱環境に耐えることができない。樹脂インク層が、熱で軟化すると、変形し易くなるとともに、埋め込まれた透明ビーズが脱落し易くなるという問題も起こる。
前記特許文献2の熱転写技術は、比較的に短時間で完了する熱転写作業に耐える程度の耐熱性はあっても、熱水で洗浄することを繰り返したり、高温環境に長く晒されたりすると、熱転写性接着層や透明樹脂層が劣化したり軟化して変形したりする。
何れの技術でも、透明ビーズや透明微小球を埋め込む樹脂層の材料は、比較的に柔らかい材料であるので、熱が加わらなくても、表面を強く擦ったり繰り返し摩擦されたりすると、損傷し易いという問題もある。
本発明の課題は、従来の再帰反射性物品が有する問題点を解消し、高熱環境を含む使用環境に対する耐久性を向上させ、長期間にわたって良好な再帰反射機能を発揮できるようにすることである。
本発明にかかる再帰反射性物品の製造方法は、基材の表面に再帰反射体を有、前記再帰反射体が、前記基材の表面に融着一体化された低融点ガラス層と、前記低融点ガラス層の表面に配列して少なくとも一部が埋め込まれた屈折率1.5〜2.5の高融点ガラスビーズとを備える再帰反射性物品(以下、「本発明にかかる再帰反射性物品」や「本発明の再帰反射性物品」ということがある)を製造する方法であって、
低融点ガラス粉と前記高融点ガラスビーズとが樹脂中に分散されてなる塗工剤層を、前記再帰反射体に対応する形状で、前記基材の表面に設ける工程(a)と、前記基材に設けられた前記塗工剤層を焼成して、基材に融着一体化された前記再帰反射体を得る工程(b)とを含み、前記工程(a)では、仮支持シートと、仮支持シートの表面に分離可能に配置された複数の前記塗工剤層と、複数の塗工剤層を連結して覆い仮支持シートと分離可能に配置された有機支持膜とを備える転写シートを準備しておいて、前記転写シートの前記仮支持シートから、前記有機支持膜で連結された前記複数の塗工剤層を分離して、前記基材の表面に転写するようにするとともに、前記高融点ガラスビーズとして、融点700℃以上、平均粒径1μm〜10mmであるものを用い、前記低融点ガラス粉として、融点が350〜800℃の範囲で前記高融点ガラスビーズの融点よりも50℃以上低く、平均粒径10〜200μmであるものを用いるようにし、かつ、前記工程(b)では、前記塗工剤層を、前記低融点ガラス粉の融点よりも25℃以上高く、前記高融点ガラスビーズの融点よりも25℃以上低い温度で、0.5〜5.0時間かけて焼成するようにすることで、該塗工剤層中の高融点ガラスビーズを溶融させることなく低融点ガラス粉を溶融させて低融点ガラス溶融層を形成させ、かつ、該低融点ガラス溶融層を冷却固化させることにより、前記高融点ガラスビーズの少なくとも一部が低融点ガラス層に埋めこまれて接合されてなり基材に融着一体化された再帰反射体を得るようにする、
ことを特徴とするか、または、
低融点ガラス粉が分散されてなる塗工剤層と、塗工剤層の表面に配列して少なくとも一部が埋め込まれた前記高融点ガラスビーズとからなるビーズ配列塗工剤層を、前記再帰反射体に対応する形状で、前記基材の表面に設ける工程(m)と、前記基材に設けられた前記ビーズ配列塗工剤層の塗工剤層を焼成して、基材に融着一体化された前記再帰反射体を得る工程(n)とを含み、前記工程(m)では、仮支持シートと、仮支持シートの表面に分離可能に配置された複数の前記ビーズ配列塗工剤層と、複数のビーズ配列塗工剤層を連結して覆い仮支持シートと分離可能に配置された有機支持膜とを備える転写シートを準備しておいて、前記転写シートの前記仮支持シートから、前記有機支持膜で連結された前記複数のビーズ配列塗工剤層を分離して、前記基材の表面に転写するようにするとともに、前記高融点ガラスビーズとして、融点700℃以上、平均粒径1μm〜10mmであるものを用い、前記低融点ガラス粉として、融点が350〜800℃の範囲で前記高融点ガラスビーズの融点よりも50℃以上低く、平均粒径10〜200μmであるものを用いるようにし、かつ、前記工程(n)では、前記塗工剤層を、前記低融点ガラス粉の融点よりも25℃以上高く、前記高融点ガラスビーズの融点よりも25℃以上低い温度で、0.5〜5.0時間かけて焼成するようにすることで、該塗工剤層の表面に配列して少なくとも一部が埋め込まれた前記高融点ガラスビーズを溶融させることなく低融点ガラス粉を溶融させて低融点ガラス溶融層を形成させ、かつ、該低融点ガラス溶融層を冷却固化させることにより、前記高融点ガラスビーズの少なくとも一部が低融点ガラス層に埋めこまれて接合されてなり基材に融着一体化された再帰反射体を得るようにする、
ことを特徴とする
〔基材〕
再帰反射性物品の基本構造を構成する。使用目的や要求性能などに合わせて各種の構造材料が使用される。
低融点ガラス層を基材の表面に融着一体化する際の焼成処理に耐える材料が必要である。具体的には、タイルおよび皿を包含する陶磁器類、セラミック、ガラス、石材、金属板などが挙げられる。複数の材料層の積層体や、複数の材料部分から組立てられた組立体などにも適用できる。基材の表面に、釉層やセラミック層などをコーティングしたものも使用できる。例えば、ホウロウ製品や釉仕上げタイルなどが挙げられる。基材は、最終的に使用される状態の完成品であってもよいし、製造途中の中間製品や部品段階の物品であってもよい。素材や原材料の段階の物品であってもよい。
〔再帰反射体〕
再帰反射体は、低融点ガラス層と高融点ガラスビーズとを備え、目的とする再帰反射機能を発揮する構造部分である。基材の表面に配置されて、再帰反射機能により外観意匠性を向上させたり、注意喚起機能を発揮させたりする。
再帰反射体が設けられる基材の表面は、平坦であっても良いし、曲面であってもよい。ある程度の凹凸があっても構わない。基材に対して、1個所だけ設けても良いし、複数個所に設けられる場合もある。
再帰反射体は、外観意匠や注意喚起機能などの目的に合わせて、所望の形状に設けられる。具体的な形状としては、各種の幾何学図形や文字、記号がある。具象的な図形や筆記文字、絵画もある。同じ図形あるいは異なる図形を、一定周期あるいはランダムに繰り返す模様がある。文字や記号を組み合わせた意味のある語や文章もある。
1個所の再帰反射体は、一つの連続した形状のみで構成されている場合もあるし、1個所の再帰反射体が、複数の独立した形状を組み合わせて構成される場合もある。
後述するように、着色された再帰反射体を使用すれば、異なる色の組み合わせパターンを構成したり、一つの再帰反射体の中でも色の異なる領域を共存させたりすることも可能になる。
〔低融点ガラス層〕
基材の表面に融着一体化され、高融点ガラスビーズを支持する。再帰反射体を基材に強固に固定一体化させる。高融点ガラスビーズとともに再帰反射機能を果たす。
低融点ガラス層は、低融点ガラス粉が焼成によって溶融固化した連続体である。低融点ガラス自体は、通常は透明体であるが、着色されたものであってもよい。
低融点ガラス層は、高融点ガラスビーズを通過した光を屈折させたり反射したりする機能を有することができる。反射機能を付与するには、低融点ガラス層に反射材を積層しておいたりコーティングしておいたりすることもできるが、微細反射材を分散配合しておくことで、再帰反射性を良好に発揮させることができる。
低融点ガラス層の厚みは、高融点ガラスビーズの確実な支持、基材への一体接合が果たせるように設定される。低融点ガラス層に微細反射材などを分散配置して反射機能を持たせるには、その反射機能が良好に発揮できる厚みに設定される。具体的には、低融点ガラス層の厚みを10〜200μmに設定できる。
〔低融点ガラス粉〕
高融点ガラスビーズに比べて十分に低い融点を示すガラス材料からなる。
具体的には、高融点ガラスビーズの材料や製造条件などによっても異なるが、通常、融点350〜800℃の範囲の材料が使用される。好ましくは、融点400〜650℃である。高融点ガラスビーズよりも融点が50℃以上、より好ましくは100〜200℃低いものが好ましい。
低融点ガラス材料は、透明性の高い材料を使用することで、再帰反射性を良好に発揮できる。再帰反射体に着色する場合は、予め薄く着色された半透明のガラス材料などを使用することもできる。
一般的なガラス材料の中から、上記融点条件を満足するとともに、透明性や耐久性など、その他の必要とされる特性条件にも優れた材料を選択して使用することができる。陶磁器やガラスの彩色や模様付けなどに用いられている透明あるいは着色された釉材料やセラミック材料にも使用できるものがある。陶磁器用またはガラス用釉薬として市販されている材料の中にも、必要な特性条件を備えていれば、使用できるものがある。したがって、ガラス材料とは、狭義のガラスに限らず、ガラス質の無機材料を包含する概念である。
具体的には、鉛を含まないリン酸系のガラス粉が使用できる。このような鉛不含リン酸系ガラス粉の具体的組成として、5酸化リン、酸化アルミニウム、酸化カリウムナトリウムを主成分とし、若干の酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化リチウムを含むものが挙げられる。そのほか、通常の陶磁器用あるいはガラス用の釉薬に含まれている成分を適宜に組み合わせてなる低融点ガラスも使用できる。鉛を含有する低融点ガラスも知られている。但し、鉛含有低融点ガラスは、再帰反射性物品の使用環境が屋外の場合、酸性雨などが接触して鉛が溶け出したり表面が劣化したりする問題が起き易いので、使用環境が限定される。
低融点ガラス粉の粒径は、再帰反射体をパターン形成する塗工剤などの塗工剤の作り易さ、取り扱い易さ、焼成による層形成能などを考慮して設定される。具体的には、平均粒径10〜200μmのものが使用できる。好ましくは、平均粒径10〜50μmである。
〔微細反射材〕
低融点ガラス層の内部に分散配置され、高融点ガラスビーズを通過した光を反射する機能を果たす。高融点ガラスビーズと組み合わせることで、再帰反射機能を格段に向上させる。
通常の再帰反射体製造に利用されている反射材料が使用できる。
微細反射材の材料としては、実質的に完全な反射性を有する材料のほか、一部の光を透過させる透過性のある反射材も使用できる。透過性のある反射材のほうが、低融点ガラス層に配合された着色成分による光の色づけが行われやすい。高融点ガラスビーズ内で反射した光と低融点ガラス層の微細反射材で反射した光とが多重反射光として放出されることで、高融点ガラスビーズのみの再帰反射光に比べて、より視認されやすく色彩性および意匠性にも優れた再帰反射光が得られる。
微細反射材は、燐片状、粒子状、繊維状などの形態で使用される。微細反射材の粒径は、低融点ガラス層を形成する塗工剤などへの分散性や反射機能にも影響を与える。通常、平均粒径0.1〜200μmに設定することができる。
微細反射材の具体的材料として、前記した透過性反射材に該当するマイカがある。マイカは、雲母を薄い燐片状に加工したものである。一般的にマイカの反射光は白色である。マイカ表面に、酸化チタンや酸化鉄の被覆をしておくと、反射性能が高まる。微細反射材として、アルミニウム等の表面反射性を有する金属、無機材料、鉱物なども使用できる。
微細反射材が、着色されたものであれば、反射機能に加えて着色機能も発揮する。例えば、アルミニウム粒子は、シルバー色の反射光を出す。着色アルミニウム粒子は、その着色された色の反射光を出す。ノンリーフィングタイプのアルミニウム粒子は、表面酸化が起こり難く、良好な反射性を持続でき、使用に適したものとなる。
低融点ガラス層に含まれる微細反射材の含有量は、微細反射材の種類や要求性能によっても異なるが、通常、低融点ガラス層の0〜90重量部に設定できる。好ましくは、3〜20重量部である。微細反射材の含有量が多過ぎると、着色成分を隠蔽してしまって、色光が得られ難い。この場合も、微細反射材の反射特性による色付けが生じることはある。微細反射材の量が多過ぎると、低融点ガラス層を構成する低融点ガラスの割合が少なくなる。低融点ガラス層に微細反射材を固定したり低融点ガラス層の表面に高融点ガラスビーズを固定したりする力が弱くなったり、堅牢性に問題が生じたりする。
〔着色成分〕
低融点ガラス層に、着色成分が含有されていれば、低融点ガラス層を通過する光に着色が施される。着色成分の具体例として、通常の塗料用や染色用の着色材料が使用でき、各種の顔料あるいは染料が使用できる。着色成分は、低融点ガラスに分散するものであってもよいし、溶解してしまうものであってもよい。タイルや陶磁器の色付けや絵付けに利用される釉薬や無機顔料も使用できる。但し、これらの釉薬や無機顔料のうち、高融点ガラスビーズの融点よりも高い温度で焼成しなければ発色しない材料は使用できない。
着色成分は、粒子状、燐片状、繊維状などをなす。着色成分の平均粒径を0.01〜10μmの範囲に設定できる。一般的な市販の着色成分は、粒径1μm未満である。
低融点ガラス層に、透光性のある微細反射材が配合されている場合、着色成分の粒径を微細反射材の粒径よりも小さくしておくことが望ましい。これによって、低融点ガラス層の上層には微細反射材、下層に着色成分が配置され易くなり、良好な反射特性を発揮させることができる。着色成分が微細反射材の反射機能を阻害することが防止できる。
低融点ガラス層における着色成分の含有量は、着色成分の種類や要求性能によって異なる。
〔その他の成分〕
低融点ガラス層には、上記した以外にも、必要に応じて、通常の再帰反射体におけるガラスビーズの支持層に配合される各種配合成分を含有させておくことができる。
例えば、着色成分の分散を助ける分散剤がある。低融点ガラス層のひび割れを防ぐ、ひび割れ防止剤がある。
さらに、低融点ガラス層を形成する塗工材料に配合されていた成分の一部が、低融点ガラス層に残っている場合がある。通常の有機材料は、焼成処理によって焼失し、最終的に得られた低融点ガラス層には残留しないが、再帰反射機能などの性能に悪影響を与えない程度で有機材料が残存していていても構わない。
〔高融点ガラスビーズ〕
低融点ガラス層の表面に配列して埋め込まれ、再帰反射機能を主体となって果たす。
基本的には、通常の再帰反射体に使用されているガラスビーズと共通する技術が適用できる。
高融点ガラスビーズの材料としては、通常の各種ガラス材料の中から、要求される特性を備えたガラス材料を選択して使用すればよい。ガラス材料に含まれる成分としては、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどが挙げられる。これらの成分を適宜に配合して、所定の屈折率、融点その他、再帰反射体を構成するのに適した各種特性のガラス材料が得られる。一般的な再帰反射体用ガラスビーズと共通するガラス材料が使用できる。例えば、屈折率1.93程度の酸化Ba−酸化Si−酸化Ti系ガラスは、再帰反射用ガラスビーズとして優れた性能を発揮できる。酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素を構成成分とする屈折率1.52程度のガラス材料も、再帰反射用ガラスビーズに適している。
高融点とは、低融点ガラスに比べて融点が高いことを意味している。通常の再帰反射体用のガラス材料よりも特に高い融点である必要はない。通常の再帰反射体用ガラスビーズと同等の範囲で構わない。具体的には、融点が700℃以上のものが使用される。好ましくは、融点800〜1100℃である。
屈折率の値、および、低融点ガラス層の屈折率との差によって再帰反射機能に違いが生じる。比較的に屈折率の高い材料が望ましく、屈折率1.5〜2.5の範囲のものが使用される。例えば、屈折率2.2程度の場合、高融点ガラスビーズの表面から入射した光が、高融点ガラスビーズの内部で焦点を結び、その一部が再帰反射する機能を発揮する。屈折率1.93程度の場合、高融点ガラスビーズの底部で焦点を結び、良好な再帰反射機能を発揮できる。屈折率1.52程度の場合、高融点ガラスビーズを通過したところで焦点を結び、再帰反射機能を発揮する。何れの場合も、低融点ガラス層の内部で高融点ガラスビーズの近くに存在する微細反射材で光を反射し、そのまま反射光として戻ったり、一部の反射光が再び高融点ガラスビーズに戻ったりすることがある。
したがって、通常は、高融点ガラスビーズとして透明性の高い材料が好ましい。高融点ガラスビーズが薄く着色されたものであれば、高融点ガラスビーズを通過する光を着色することもできる。
高融点ガラスビーズの形状は、完全な球形すなわち真球状あるいはそれに近い形状が、再帰反射機能を良好に発揮する上で望ましい。但し、目的とする性能が発揮できる範囲で、工業的に球とみなせる程度の球形度を備えていれば十分である。また、球形以外の楕円体や長円体、多面体に近い形状のものでも、球形に比べると劣るが、ある程度の再帰反射性を示すことができる。
高融点ガラスビーズの粒径は、塗工剤などへの分散性、印刷性、散布による層形成の容易さや塗工剤層への付着性、再帰反射機能などの条件を考慮して設定され、通常は、平均粒径1μm〜10mmの範囲に設定できる。
高融点ガラスビーズとして、表面の一部に反射膜が形成された自反射性を有する高融点ガラスビーズも使用できる。自反射性の高融点ガラスビーズとしては、通常、高融点ガラスビーズの半球部分程度に反射膜を設けておく。高融点ガラスビーズに入射した光が、反射膜の内面で反射して、良好な再帰反射性が発揮される。反射膜として、アルミニウムなどの金属による蒸着膜が挙げられる。例えば、アルミニウム蒸着膜は、シルバー色の反射光が得られる。低融点ガラス層の着色成分による着色と混色されると、少しくすみのある反射光が得られる。反射膜は、ある程度の光透過性を有するものでもよい。
高融点ガラスビーズとして、材料や特性の異なる複数種類の高融点ガラスビーズを混合して使用することもできる。単一種類の高融点ガラスビーズでは得られない再帰反射特性や表面性状を得ることができる。
高融点ガラスビーズは、低融点ガラス層に対して、少なくとも一部が埋め込まれた状態であればよい。低融点ガラス層に対して強固に一体化するには、高融点ガラスビーズの高さあるいは直径の約1/2程度を低融点ガラス層に埋め込んでおくことが望ましい。但し、高融点ガラスビーズの全体が低融点ガラス層に埋め込まれていると、目的とする再帰反射性が十分に発揮できない。再帰反射体を構成する全ての高融点ガラスビーズが、適切な深さで均一に低融点ガラス層に埋め込まれていることが望ましいが、目的の再帰反射性を阻害しない範囲で、部分的に埋め込み深さの異なる高融点ビーズが存在していても構わない。
高融点ガラスビーズは、低融点ガラス層に対して、平面方向において均等に実質的に隙間無く配列されていることが好ましい。高融点ガラスビーズ同士の間隔が広過ぎると、反射輝度が悪くなる。高融点ガラスビーズの間隔は、目的の再帰反射性を阻害しない範囲で、バラツキがある配列状態でも構わない。したがって、配列とは、規則的な配列状態のほか、不規則的な配列状態も含まれる。
〔再帰反射性物品の製造〕
基本的には、通常の樹脂インクなどを用いた再帰反射性物品の製造技術と共通する技術が適用できる。但し、低融点ガラス層を形成するためのインク材料や処理方法を採用する点は異なる。
具体的には、基材の表面に、目的とする再帰反射体の形状に対応する形状をなす塗工剤層、または、塗工剤層の表面に高融点ガラスビーズが配列されたビーズ配列塗工剤層を設けたあと、塗工剤層を焼成することで、基材に融着一体化された再帰反射体を得る。
高融点ガラスビーズを分散した塗工剤層を使用する方法と、ビーズ配列塗工剤層を使用する方法とで、作業手順が異なる。塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を、直接に基材に設ける方法と、転写シートに設けられた塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を、基材に転写する方法とがある。
〔塗工剤層〕
少なくとも低融点ガラス粉が樹脂中に分散配合されてなり、インク状あるいはペースト状をなす塗工剤を、所定形状に印刷あるいは塗布して得られる。
塗工剤には、高融点ガラスビーズが分散配合されている場合と、高融点ガラスビーズが分散配合されていない場合とがあるが、基本的な材料や製造技術および印刷塗工技術は共通している。
<塗工剤>
固体である低融点ガラス粉を分散させて、印刷あるいは塗工が可能なインク状あるいはペースト状にしたものである。高融点ガラスビーズが加わることもある。微細反射材や着色成分を分散させておく場合もある。
塗工剤の材料は、低融点ガラス粉、高融点ガラスビーズ、微細反射材および着色成分など、再帰反射体を構成する材料以外は、印刷したあとの乾燥で蒸発したり、焼成処理によって焼失したりすることで、低融点ガラス層や高融点ガラスビーズに対して悪影響を与えたり再帰反射機能に有害な物質を残留させたりしない材料を用いる。焼失したときに発生する灰分やタール分が少ない材料が好ましい。塗工剤は、最終的には焼失させるので、通常の塗料や印刷インクのように、経時的や耐久性や表面特性などは要求されない。
基本的には、通常の印刷インクや塗工剤において、造膜機能や印刷性を発揮する造膜材料あるいはメジウムと呼ばれる材料や技術が採用できる。従来の再帰反射体製造に利用されていた樹脂インクと同様の有機材料などが含まれる。一般的な有機材料であれば、低融点ガラス粉が焼成可能な温度で十分に焼失させることができる。
塗工剤として、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、スチレン等の樹脂材料を、トルエンなどの有機溶剤に溶解させたメジウム剤が使用できる。メジウム剤は、焼成したときに実質的に完全に焼失して灰分が残らない材料として知られている。陶磁器の製造技術分野において、フラッキス、フリットなどと呼ばれている材料も利用できる。これらの材料に着色材を配合した釉薬も使用できる。造膜性のある樹脂材料を、水などの溶剤に分散させたエマルジョンも使用できる。
塗工剤は、樹脂材料や溶剤を配合して調製する製造工程の何れかの段階で、低融点ガラス粉と微細反射材、さらに、必要であれば高融点ガラスビーズを添加して、撹拌混合することで製造できる。予め調製された造膜材料に、あとから、低融点ガラス粉や微細反射材を添加して分散させることもできる。前記した陶磁器の技術分野において使用あるいは市販されているメジウムやフラッキス、フリットあるいは釉薬のように、既に低融点ガラス粉などが配合され塗工可能な材料であれば、そのままで、あるいは、微細反射材や高融点ガラスビーズなどを必要に応じて添加して、塗工剤とすることができる。
<塗工剤層の形成>
基本的には、通常の印刷技術、塗工手段などが適用できる。
印刷する対象物は、基材の場合と、転写シートを製造するための仮支持シートの場合があるが、基本的な印刷技術は共通している。
印刷技術として、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、コーティングなどが採用できる。スクリーン印刷のように、曲面や凹凸面への印刷が可能な方法であれば、基材の曲面や凹凸面への印刷に適している。
塗工剤層の印刷厚みは、再帰反射性物品の用途や要求性能によっても異なる。塗工剤に高融点ガラスビーズが含まれている場合は比較的に厚くなり、高融点ガラスビーズが含まれていなければ比較的に薄くなる。高融点ビーズを埋め込んで支持できるだけの厚みを有する低融点ガラス層が形成できるだけの印刷厚みに設定する。
基材の表面に複数の塗工剤層を設ける場合、材料や配合、色などの異なる複数種類の塗工剤を用いることができる。色などの異なる再帰反射体を併存させることが可能になる。
印刷形成された塗工剤層は、乾燥硬化させることができる。転写シートを製造する場合は、十分に乾燥硬化させて、以後の取り扱いを行えるようにしておく。基材に直接に印刷された場合は、乾燥硬化が完全に終了する前に、焼成処理を行うこともできる。乾燥硬化処理は、自然乾燥、強制乾燥、加熱乾燥、赤外線や紫外線の照射による硬化などの手段が採用できる。
ビーズ配列塗工剤層を作製する場合は、塗工剤層が未硬化の状態で、高融点ガラスビーズの配列作業を行う。
〔ビーズ配列塗工剤層〕
高融点ガラスビーズを含まず、低融点ガラス粉を分散させた塗工剤層と、塗工剤層の表面に配列して埋め込まれた高融点ガラスビーズとからなる。
塗工剤層を形成する塗工剤は、高融点ガラスビーズを含まない以外は、前記した材料および製造技術がそのまま適用される。
塗工剤層が形成されたあと、塗工剤が乾燥硬化する前に、高融点ガラスビーズを埋めこむ。
<高融点ガラスビーズの埋めこみ>
再帰反射体の製造技術において既に知られている技術が適用できる。例えば、前記特開2004−138671号公報などに記載の技術がある。
塗工剤層の表面に、高融点ガラスビーズを散布すれば、塗工剤層の表面に付着する。未硬化の塗工剤は、高融点ガラスビーズに対して接合性を示す。高融点ガラスビーズが落下した衝撃や自重で、塗工剤層の表面に少し埋めこまれることも起こる。塗工剤層以外の基材あるいは仮支持シートの表面にも、高融点ガラスビーズが付着するが接合されることはない。塗工剤層以外の部分に付着した高融点ガラスビーズを除去すれば、塗工剤層の表面に高融点ガラスビーズが配列して一部が埋め込まれた状態になる。必要であれば、塗工剤層の上方から押圧盤などで高融点ガラスビーズを押圧して塗工剤層に十分に押し込んでおくこともできる。
高融点ガラスビーズが塗工剤層の表面に配列し埋め込まれれば、塗工剤層を完全に乾燥硬化させることができる。その後の取り扱い中に高融点ガラスビーズが脱落したり移動したりしないように、塗工剤層を十分に乾燥硬化させておくことが望ましい。
〔焼 成〕
基材に設けられた塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を焼成して、再帰反射体を得る。ビーズ配列塗工剤層の場合も、ビーズ配列塗工剤層を構成する塗工剤層が焼成される点では同じである。
基本的には、通常のタイルや陶磁器などの製造における焼成技術と同様の装置や処理技術が適用できる。
焼成温度は、塗工剤層を構成する塗工剤に含まれる有機材料などが焼失し、低融点ガラス粉が溶融一体化した連続層を形成するが、高融点ガラスビーズには悪影響を及ぼさない温度条件が適用される。具体的には、構成材料の特性によって異なるが、低融点ガラス粉の融点よりも25℃以上高く、高融点ガラスビーズの融点よりも25℃以上低い温度に設定できる。好ましくは、低融点ガラス粉の融点よりも50℃以上高く、高融点ガラスビーズの融点よりも100℃以上低い温度である。このような焼成温度を設定するには、低融点ガラス粉と高融点ガラスビーズとの融点の差が十分に大きいことが望ましい。焼成温度を段階的あるいは連続的に変化させることで、焼成作用を良好に行わせることもできる。
焼成時間は、有機材料などの焼失が十分に行われ、低融点ガラス粉の溶融層が良好に形成されるとともに、低融点ガラス粉の溶融層のパターン形状が崩れたり、高融点ガラスビーズが変形するなどの悪影響を生じさせたりしない程度の時間に設定できる。具体的には、0.5〜5.0時間に設定できる。好ましくは、3〜4時間である。
焼成雰囲気は、有機材料などの焼失、低融点ガラス粉の溶融層の形成などが良好に行われ、高融点ガラスビーズが変質や劣化を起こさず、低融点ガラス層の性状も悪くならないような雰囲気が選択できる。例えば、大気雰囲気のほか、不活性ガス雰囲気、酸性雰囲気。還元性雰囲気などがある。
焼成処理が終了したあとは、再帰反射体が形成された基材を、焼成室から取り出して冷却する。冷却過程で、低融点ガラス層や高融点ガラスビーズに亀裂が入るなどの損傷が生じないように冷却条件を設定する必要がある。自然冷却であっても良いし、強制冷却を行うこともできる。雰囲気温度を徐々に下げる除冷を行うこともできる。
高融点ガラスビーズが分散された塗工剤層が焼成される過程では、低融点ガラス粉が溶融して液状の溶融層が形成される。高融点ガラスビーズは溶融しないので、低融点ガラス溶融層の表面に浮かび上がって配列することになる。塗工剤層の内部では、高融点ガラスビーズが部分的に偏在したり上下に重なったりしていても、低融点ガラスの溶融層が形成される過程で、高融点ガラスビーズは低融点ガラスの溶融層を移動して表面に整然と配列されるようになる。この状態で、低融点ガラスの溶融層が冷却固化すると、低融点ガラス層の表面に高融点ガラスビーズが配列して一部が埋め込まれた状態になる。低融点ガラス層は基材と強力に融着一体化し、高融点ガラスビーズは低融点ガラス層に埋めこまれて強力に接合された状態になる。
ビーズ配列塗工剤層の場合も、焼成の過程で、低融点ガラス粉が溶融層を構成し、その表面に高融点ガラスビーズが配列した状態になる。焼成前から、高融点ガラスビーズは配列しているので、形成される低融点ガラス層の表面においても、局部的に偏ったり重なったままになったりすることなく、適切な配列状態が得られ易い。
〔転写シート〕
再帰反射性物品を、転写技術を利用して製造することができる。
基本的には、従来における再帰反射性物品の製造用転写シートの技術が適用できる。
転写シートとして、仮支持シートと、仮支持シートの表面に分離可能に配置された複数の塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層と、複数の塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を連結して覆い仮支持シートと分離可能に配置された有機支持膜とを備えるものが使用できる。
仮支持シートは、通常の転写シートと同様に、紙や不織布、合成樹脂などからなる吸水性に優れたシート材料が使用される。仮支持シートの表面には、塗工剤層を分離可能にして基材に転写し易くするために、吸水性高分子樹脂層を施しておいたりすることができる。
塗工剤層あるいはビーズ配列塗工剤層の形成は、塗工の基材として仮支持シートを用いる以外は、前記した印刷技術および高融点ガラスビーズの配列埋め込み技術が適用される。様々な素材からなり、凹凸や曲面も含まれる基材の表面に対して直接に印刷するよりも、平坦で安定した特性の仮支持シートの表面に印刷するほうが、印刷作業は容易で能率的に行える。微細な形状や複雑な形状パターンの印刷にも適している。
<有機支持膜>
仮支持シートの表面に、複数の互いに独立した塗工剤層あるいはビーズ配列塗工剤層を設けた場合、それらを連結して覆う有機支持膜を形成することが有効である。
有機支持膜は、仮支持シートから塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を分離したときに、複数の塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を、互いに連結しておく機能を有する。
通常の転写シート製造技術において、複数の転写パターン、あるいは、一つの転写パターンを構成する部片同士を連結しておくために採用されている仮止め技術が採用される。
有機支持膜の材料として、通常の有機バインダー、あるいは、仮止めバインダーと呼ばれる材料が使用できる。塗工剤層を構成する造膜剤やメジウム剤と同様の材料が使用できる。有機支持膜の材料も、塗工剤層の材料と同様に、乾燥処理や焼成処理によって蒸発したり焼失したりして、形成された再帰反射体に悪影響を及ぼさないことが望ましい。
有機支持膜は、仮支持シートから基材へと、塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を転写する過程だけで一時的に、複数の塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を連結しておければよいので、それほど強度や耐久性が要求されるものではない。
有機支持膜は、連結しておく複数の塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を覆う範囲に形成すればよい。塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層から離れた仮支持シートの余白部分などには設けなくても構わない。仮支持シートのうち、一部の塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層だけを覆って連結する有機支持膜を設けることもできる。勿論、仮支持シートの全面に有機支持膜を形成すれば、塗工あるいはコーティング作業は容易である。
ビーズ配列塗工剤層を覆う有機支持膜を形成する場合、配列された高融点ガラスビーズを完全に埋め込んでしまう厚みで有機支持膜を形成してもよいし、高融点ガラスビーズの凹凸が残る程度に薄く覆うようにしてもよい。具体的には、有機支持膜の厚みを15〜100μmに設定できる。
〔転写シートによる再帰反射性物品の製造〕
通常の転写シートと同様の作業操作で、塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を、基材の表面に転写する。
転写シートを水に漬けるなどして仮支持シートを吸水させれば、仮支持シートから、塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層が有機支持膜と一体となって分離することが可能になる。有機支持膜で連結された複数の塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を、基材の表面に移せば、基材と塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層との間に存在する水分あるいは水分を含んだ吸水性高分子樹脂などの接着作用によって、基材の表面に密着した状態で塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層が仮固定される。基材の表面が湾曲していたり凹凸があったりしても、塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層および有機支持膜は柔軟に変形して、基材の表面に沿うことができる。
その後、前記した焼成処理を行えば、塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層から再帰反射体が形成される。有機支持膜は、焼成の際に他の有機材料などともに焼失するので、再帰反射体の表面に残ることはない。
基材に対して直接に塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を形成する方法に比べて、転写シートを利用する方法では、塗工剤層の印刷および高融点ビーズの配列埋め込みなどの作業が容易で能率的に行える。印刷品質も安定し、品質性能の高い印刷塗工が可能である。基材の表面形状が複雑で、直接の印刷が困難な場合でも、転写シートを使用することで、再帰反射体の形成が可能になる。
〔再帰反射性物品〕
再帰反射性を必要とされる各種用途に使用され、それぞれの用途で必要とされる構造を有する再帰反射性物品が得られる。
従来、再帰反射性を付与して使用されていた、各種の交通安全用具や作業資材のほか、従来の方法では実現できなかったような、高輝度の再帰反射性を有し、色彩や形状の多様性に優れ、意匠性あるいは装飾性の高い各種物品が得られる。
具体的な物品の例として、建築物のタイル貼り壁面を構成するタイルに適用すれば、夜間ライトアップの際に極めて印象的な光の意匠効果を発揮する。ライトアップ時だけでなく昼間などにおいても、建築物の景観を向上するのに有効である。タイル貼り壁面以外の建築部材や屋外設置物にも適用できる。室内壁面や室内装飾品などに適用すれば、室内照明の効果を高めるなどの機能が発揮できる。
陶板や金属板などからなる案内板の全体あるいは枠、表記文字などに適用すれば、遠くからでも視認し易い案内表示が実現できる。
宣伝広告用看板、道路に沿って設置される表示板にも適用できる。色彩が豊かでファッション性に富んだ各種の表示を実現できることになる。広告看板では、基材として、金属板、陶板、ホウロウ板などが使用される。
自動車や自転車、オートバイの安全表示に適用すれば、ファッション性と安全機能性との両方を兼ね備えたものとなる。特に、自動車やオートバイのスポーク、あるいは、後輪用泥はね防止カバー、車幅確認部材などに適用すれば、他者への注意喚起性を高めることができる。
再帰反射性物品には、再帰反射体による意匠付与に加えて、通常の釉薬やセラミックコーティングによる彩色や模様付け、あるいは、機能性膜の形成技術を組み合わせることもできる。例えば、蓄光材料による塗工焼き付けパターンを形成しておけば、蓄光材料による発光と、再帰反射体による再帰反射とが相乗的に発揮されて、外観意匠性をさらに高めることができる。
また、酸化チタンに代表される光触媒材料を、低融点ガラス層の材料に配合したり、再帰反射体の表面にコーティングしたりしておけば、再帰反射性物品に防汚性を付与することができる。
本発明にかかる再帰反射性物品は、低融点ガラス層の表面に高融点ガラスビーズが配列して埋め込まれてなる再帰反射体が、基材に対して強固に融着一体化している。
通常の接着剤や樹脂焼き付けなどでは得られない、強固で耐久性に優れた接合状態が得られる。低融点ガラスの融着一体化による接合状態は、経時的に接合力が低下することはなく、水濡れや日射、寒暖差など様々な環境変化に繰り返し晒されても、表面を擦ったり剥ぎ取るような外力が加わったりしても、接合状態が損なわれ難い。樹脂などを溶かすような液や物質が、表面に付着しても、表面特性および一体性が低下することはない。長期間にわたって、良好な再帰反射機能を持続的に発揮させることができる。
再帰反射性物品の製造は、低融点ガラス粉と高融点ガラスビーズが分散された塗工剤層、あるいは、低融点ガラス粉が分散された塗工剤層の表面に高融点ガラスビーズが配列して埋め込まれたビーズ配列塗工剤層を、通常の樹脂インクなどを用いた再帰反射体の製造技術と同様の印刷手段などで形成したあと、焼成するだけでよい。焼成によって、塗工剤層に含まれる有機材料などを焼失させ、低融点ガラス粉を溶融一体化させて低融点ガラス層を形成し、低融点ガラス層に高融点ガラスビーズが埋め込まれた状態の再帰反射体を、容易に得ることができる。低融点ガラス粉から低融点ガラス層が形成される低い焼成温度では、高融点ガラスビーズが溶融したり変形したりすることはない。
通常の樹脂インクなどを使った転写シートと同様にして、再帰反射性物品製造用の転写シートも、容易に作製できる。様々な意匠パターンを有する再帰反射体を、簡単かつ能率的に均一な仕上がりで、任意の形状構造を有する基材の表面に設けることができる。
〔再帰反射性物品〕
図1、2に示す実施形態は、タイル状の再帰反射性物品を表す。
図1に示すように、全体が平面矩形をなすセラミック製タイル10は、緩やかに湾曲した表面を有し、この表面に再帰反射体Pが融着一体化されている。再帰反射体Pは、タイル10の曲面にしたがって湾曲している。なお、図示を省略したが、タイル10の表面は、釉薬を塗工して焼成された硬質の釉面になっており、この釉面のガラス質を呈する表面に再帰反射体Pが融着一体化されている。
図1(a)に示すように、タイル10の表面には複数個所に再帰反射体Pが配置されている。左端の再帰反射体Pは、矩形領域に等間隔で斜め線が並んだ模様パターンを表している。中央の再帰反射体Pは、数字「1」を表している。右端の再帰反射体Pは、英文字「X」を複数の線片を組み合わせて表している。
これらの再帰反射体Pは、表面に照射される光を再帰反射して、独特の輝きを発する美麗な意匠を呈することができる。
〔再帰反射体の構造〕
図2に示すように、再帰反射体Pは、タイルすなわち基材10の表面に融着一体化され、内部にマイカ片などの微細反射材24が分散配置された低融点ガラスからなる低融点ガラス層40と、低融点ガラス層40の表面に配列された高融点ガラスビーズ30とを有する。高融点ガラスビーズ30は、約下半分が低融点ガラス層40に埋め込まれた状態で接合一体化されている。
具体的には、低融点ガラス層40として、融点550℃、屈折率1.57の鉛不含リン酸系ガラスからなるものが使用できる。高融点ガラスビーズ30として、融点800℃、屈折率1.93、粒径50μmの真球状をなす酸化Ba−酸化Si−酸化Ti系ガラスビーズが使用できる。
再帰反射体Pの表面に照射された光は、高融点ガラスビーズ30に入射し、高融点ガラスビーズ30の内面で反射したり屈折したりする。高融点ガラスビーズ30を通過した光は、高融点ガラスビーズ30の底部で焦点を結び、そこから反射し、高融点ガラスビーズ30の内部を通って再帰反射光として出て行く。また、高融点ガラスビーズ30を通過しなかった光は、そのまま低融点ガラス層40に入り、低融点ガラス層40の内部で微細反射材24の表面に当たって反射される。微細反射材24は、低融点ガラス層40の内部にランダムな位置および姿勢で配置されているので、光の反射方向も一定ではない。微細反射材24で反射した光は、再び高融点ガラスビーズ30を通過して、再帰反射体Pの表面から出て行く。
このような作用の結果、再帰反射体Pで反射された光は、方向が様々に異なる光の集合になり、特有の輝きを発現することになる。再帰反射体Pには、何れの方向から光が入射しても、前記した作用によって、反射光の一部は元の入射方向に戻ることになる。再帰反射体Pに何れの方向の光が当たっても、前記した輝きを示すことになるとともに、光の当たる方向によって、その輝き方が微妙に変化することになり、優れた意匠効果あるいは注意喚起効果を発揮することができる。
再帰反射体Pを構成する低融点ガラス層40および高融点ガラスビーズ30の何れも、表面が平滑で硬質の質感を有し、ガラス質の釉面を有するセラミックタイルからなる基材10とも協調性のある質感を呈する。表面に物体が接触したり擦ったりしても、傷が付いたり削り取られたりし難い。
タイルからなる基材10と低融点ガラス層40、低融点ガラス層40と高融点ガラスビーズ30との何れについても、焼成に伴うセラミックあるいはガラスの融着接合により強固に一体化されているので、基材10から低融点ガラス層40が剥がれたり、低融点ガラス層40から高融点ガラスビーズ30が脱落したりすることはない。
〔再帰反射性物品の製造:高融点ガラスビーズを含む塗工剤層〕
図3は、前記した構造の再帰反射体Pの製造方法を示している。
<パターン印刷>
基材10の表面に、流動状態の塗工剤を、スクリーン印刷などの印刷技術で塗工して、塗工剤層20を形成する。基材10の表面が湾曲していても、スクリーン印刷などの湾曲面への印刷が可能な印刷技術を適用すれば、問題はない。塗工剤層20は、前記図1(a)に示すパターン形状で印刷形成されている。
塗工剤層20は、高融点ガラスビーズ30および微細反射材24と低融点ガラス粉26とが、樹脂や溶剤などからなる塗工剤25に分散配合されたものである。必要に応じて、着色成分も配合されている。この状態では、高融点ガラスビーズ30は、図2に示す再帰反射体Pのように配列されてはおらず、塗工剤層20の内部にランダムに分散している。
具体例として、平均粒径10μmの低融点ガラス粉26が使用できる。塗工剤として、OS−550G(互応化学社製)が使用できる。塗工剤層20を厚み10〜50μmで形成することができる。
<焼成>
塗工剤層20が設けられた基材10を、焼成窯に送り、加熱焼成する。
焼成温度は、低融点ガラス粉26の融点よりも高く、高融点ガラスビーズ30の融点よりも低い温度に設定される。例えば、低融点ガラス粉26の融点550℃、高融点ガラスビーズ30の融点800℃に対して、焼成温度620℃に設定し、焼成窯の焼成雰囲気は特に調整することのない空気であり、焼成時間を4時間に設定する。
焼成の過程で、低融点ガラス粉26よりも、はるかに分解温度が低い塗工剤25は、蒸発したり焼失したりする。残った低融点ガラス粉26も溶融して全体が一体化し、基材10の表面に連続した溶融層を構成する。低融点ガラス粉26の溶融層は、有機媒体を含む塗工剤層20に比べて、塗工剤25が焼失したり、低融点ガラス粉26同士が溶融一体化したりした分だけ、厚みが減少する。高融点ガラスビーズ30は溶融しないので、低融点ガラス粉26の溶融層の上に浮き上がって水平方向に並んで配列する状態になる。微細反射材24も溶融せず、低融点ガラス粉26の溶融層の内部に均等に分散された状態を維持する。着色成分が配合されている場合も同様である。タイルからなる基材10も、勿論、溶融することはなく、元の状態を保ったままである。
焼成処理を終えた基材10を焼成炉から取り出し、冷却すれば、前記図2に示す構造の再帰反射体Pが形成されている。低融点ガラス粉26の溶融物が冷却固化して、低融点ガラス層40が構成される過程で、低融点ガラスの溶融物が基材10と強固に融着一体化する。単なる接着では達成できない強固な接合が起こる。高融点ガラスビーズ30も、低融点ガラスの溶融物と強固に融着一体化し、低融点ガラス層40に一部が埋め込まれた状態になる。
〔再帰反射性物品の製造:ビーズ配列塗工剤層〕
図4は、図3とは少し異なる製造方法で、再帰反射体Pを製造する技術を示す。
<パターン形成>
図4(a)に示すように、基材10の表面に、再帰反射体Pのパターン形状にしたがって、塗工剤層50を設ける。
塗工剤層50は、前記同様の低融点ガラス粉26と微細反射材24が分散配合された塗工剤25を、前記実施形態と同様のスクリーン印刷技術などで塗工形成したものである。但し、塗工剤層50には、高融点ガラスビーズ30は含まれていない。
反射剤層50が乾燥硬化する前に、反射剤層50を含む基材10の表面に、高融点ガラスビーズ30を散布する。
図4(b)に示すように、基材10の表面に散布された高融点ガラスビーズ30のうち、塗工剤層50の上に配置された高融点ガラスビーズ30は、未硬化で表面が付着性を有し変形容易な塗工剤層50に付着したり、一部が埋め込まれたりする。塗工剤層50の上に、1層分の高融点ガラスビーズ30が配置されたあとは、その上に高融点ガラスビーズ30が載っても、塗工剤層50には接触しない。塗工剤層50の外側になる基材10の表面でも、高融点ガラスビーズ30が載るだけで付着はしない状態になる。
塗工剤層50の表面に並んで接合された高融点ガラスビーズ30を除いて、高融点ガラスビーズ30を、基板10の表面から取り除く。例えば、基板10を裏返したり、揺り動かしたり、高融点ガラスビーズ30を刷毛やブラシで掃き取ったり、送風で吹き飛ばしたりすればよい。
その結果、図4(c)に示すように、塗工剤層50の表面のみに整然と高融点ガラスビーズ30が1層で配列された状態になる。
高融点ガラスビーズ30を塗工剤層50に確実に付着させておくために、高融点ガラスビーズ30の上方から平坦な押圧盤を押し付けて、高融点ガラスビーズ30を塗工剤層50に押し込むことができる。
高融点ガラスビーズ30の押圧は、図4(b)に示す高融点ガラスビーズ30の散布状態で行っておくことができる。塗工剤層50の表面に付着している高融点ガラスビーズ30だけが塗工剤層50に強固に付着して押し込まれるので、塗工剤層50に付着していない余分な高融点ガラスビーズ30の取り除きが容易になる。
このようにして、塗工剤層50とその表面に配列された高融点ガラスビーズ30とからなるビーズ配列塗工剤層Pが形成される。
<焼成>
基材10とビーズ配列塗工剤層Pとを焼成炉で焼成する作業は、前記実施形態と同様である。焼成の結果、得られる再帰反射体Pは、前記図2に示す構造である。
この実施形態の場合、ビーズ配列塗工剤層Pは、焼成前から塗工剤層50の表面に高融点ガラスビーズ30が整然と配列されている状態なので、そのままの状態で塗工剤層50が焼成されて低融点ガラス層40を構成する。高融点ガラスビーズ30の位置がずれたり、局部的に高融点ガラスビーズ30の配置密度が偏ったりし難い。厚み方向で、高融点ガラスビーズ30の位置にバラツキが生じることも防止できる。
〔再帰反射性物品の製造:転写シート〕
図5〜6に示す実施形態は、転写方式で再帰反射体Pを形成する。
図5(a)に示す再帰反射性物品製造用の転写シート60は、吸水性紙などからなる仮支持シート62に、ビーズ配列塗工剤層Pおよび有機支持膜64が積層されている。ビーズ配列塗工剤層Pは、前記図1(a)に示すパターンで複数個所に設けられている。ビーズ配列塗工剤層Pの構造は、前記図4(c)に示す構造と共通している。有機支持膜64は、複数個所のビーズ配列塗工剤層Pを互いに連結するとともに、各ビーズ配列塗工剤層Pを構成する個々のパターン線やパターン片同士を、互いにバラバラにならないように一体的に連結している。
<転写シートの製造>
図6は、転写シート60の製造工程を段階的に示している。基本的には前記図4の実施形態と共通する部分が多いので、相違点を主に説明する。
図6(a)に示すように、表面にシリコンコーティング剤で離型処理を施したり、離型フィルムが積層されたりして、離型性を付与された吸水性紙からなる仮支持シート62の表面に、低融点ガラス粉26と微細反射材24が分散配合された塗工剤25を、パターン状に印刷形成して、塗工剤層50を形成する。仮支持シート62の表面には、予め、吸水性高分子樹脂膜が薄くコーティングされている。塗工剤層50が乾燥固化する前に、高融点ガラスビーズ30を散布する。余分の高融点ガラスビーズ30は取り除く。
図6(b)に示すように、塗工剤層50の表面に、高融点ガラスビーズ30が整然と配列し、下半分を塗工剤層50に埋め込まれた状態になる。具体的な作業工程は、前記した図4(a)〜(c)と同じである。
図6(c)に示すように、高融点ガラスビーズ30、塗工剤層50を含む仮支持シート62の全面に、樹脂バインダーなどからなる有機支持膜64を塗工形成する。
その結果、前記した図5に示す構造の転写シート60が得られる。
具体例として、仮支持シート62に、SPA転写紙(丸繁紙工社製)を使用し、有機支持膜64として、OS−4521(互応化学社製)を厚み10〜30μmで塗工することができる。
<転写シートの使用>
通常の水転写シートと同様の作業を行う。
図5(a)に示す転写シート60を、水に漬ける。仮支持シート62が吸水し、仮支持シート62とビーズ配列塗工剤層Pとの間に水が浸入して、有機支持膜64で一体連結された複数のビーズ配列塗工剤層Pが、仮支持シート62から分離可能になる。
仮支持シート62を残して、ビーズ配列塗工剤層Pおよび有機支持膜64を、基材10の表面に移す。仮支持シート62に予め形成されていて水分を吸収した吸水性高分子樹脂膜の接着作用で、有機支持膜64およびビーズ配列塗工剤層Pが、基材10の表面の湾曲にしたがって湾曲した形で密着するように貼り付けられる。
このようにして、基材10の表面に有機支持膜64およびビーズ配列塗工剤層Pが固定される。複数個所のビーズ配列塗工剤層P、あるいは、ひとつのビーズ配列塗工剤層Pを構成する複数のパターン片が、互いに正確な位置関係および姿勢で配置される。
<焼成>
前記実施形態と同様にして焼成処理を行う。
基材10の表面に存在するビーズ配列塗工剤層Pは、塗工剤層50に含まれる塗工剤25の有機成分および有機支持膜64が焼失する。塗工剤層50に含まれる低融点ガラス粉26が微細反射材24を分散した溶融層を形成し、その表面に高融点ガラスビーズ30が配列する。
焼成処理を終えて冷却すれば、前記同様に、図2に示す構造の再帰反射体Pが形成される。
〔転写シートの変更例〕
図7に示す実施形態は、前記図5、6の実施形態と基本的には共通しているが、ビーズ配列塗工剤層Pの代わりに、前記図3の実施形態と同様の塗工剤層20を形成する。相違点を主に説明する。
前記実施形態における図6(a)の工程において、仮支持シート62の上に、塗工剤層50の代わりに、高融点ガラスビーズ30、低融点ガラス粉26、微細反射材24が分散配合された塗工剤25を印刷して、塗工剤層20を形成する。塗工剤20とその印刷方法は、前記図3の実施形態と共通している。
塗工剤層20の上に、有機支持膜64を塗工形成する。複数の独立した塗工剤層20が有機支持膜64で覆われて一体的に連結される。
このような層構造を有する転写シート60の使用方法は、前記実施形態と同様である。前記図5と同様に、転写シート60を水に漬けて仮支持シート62を分離し、基材10の表面に、塗工剤層20と有機支持膜64とを移行させる。その後の焼成作業も前記実施形態と同様に行う。
その結果、前記図2に示す構造の再帰反射体Pが基材10に融着一体化された再帰反射性物品が得られる。
具体的に再帰反射性物品および転写シートを製造し、その性能を評価した。
〔実施例1〕
図6に示す製造方法を適用して、転写シートを製造し、再帰反射性物品を製造した。
<塗工剤の配合>
釉薬Blue306(市販品:名古屋の黒田商店より入手)54重量部、微細反射材となるマイカ(粒径5〜25μm)5.5重量部、メジウム(互応化学社製)40.5重量部を、均一に混合してペースト状の塗工剤を得た。釉薬Blue306には、低融点ガラス粉および青色系着色材が配合されている。メジウムは、焼成しても灰分がほとんど残らない塗工材料として知られているものである。
<転写シートの製造>
仮支持シートとなる市販の転写用紙(SPA、丸繁紙工社製、表面に吸水性高分子樹脂膜がコーティングされている)に、塗工剤をパターン状にスクリーン印刷した。塗工剤層が乾燥する前に、高融点ガラスビーズを散布し、余分のガラスビーズを取り除いたあと、乾燥させた。ビーズ配列塗工剤層が形成された。
高融点ガラスビーズは、UB24MG(ユニオン社製、屈折率1.93、粒径45〜65μm、真球状、融点1000〜1100℃)を用いた。
ビーズ配列塗工剤層および高融点ガラスビーズの上に、有機支持膜となるオーバーコート剤OS−4521(互応化学社製)を塗工し、乾燥させた。
十分に乾燥させた転写シートは、長期間の保存にも耐えうるものである。
<基材への転写>
基材として、市販の陶磁器タイルを使用した。
転写シートを水中に浸漬した。有機支持膜に支持されたビーズ配列塗工剤層を、転写用紙から遊離させ、基材の表面に移して貼り付けた。
<焼成>
ビーズ配列塗工剤層が転写されたタイルを、焼成窯に入れて焼成温度620℃で焼成を開始し、620℃×15分間保持したあと焼成窯の通電を止めて、そのまま徐冷し、12時間後に焼成窯から取り出した。
<再帰反射性物品>
焼成を終えたタイルは、表面の塗工パターンが良好な再帰反射性能を発揮することが確認された。白っぽい青色の反射光が、50m離れたところからも明瞭に視認できた。
タイルの表面を爪で擦ったところ、爪が磨り減ったが、タイルに傷が付くことはなかった。タイルの表面に、高圧スプレーガンで5cmの距離から30秒間、水を吹き付けたが、再帰反射体のパターンには全く異常は発生しなかった。
〔実施例2〕
図7に示す製造方法を適用して、転写シートを製造した。基本的には実施例1と共通しているので、共通する技術事項は説明を省略する。
<塗工剤の配合>
マイカ(粒径5〜25μm)3.0重量部、フラッキス(名古屋の杉村セラミック社より入手)12重量部、メジウム(互応化学社製)31重量部、高融点ガラスビーズUB−24MG(ユニオン社製)54重量部を、均一に混合してペースト状の塗工剤を得た。フラッキスには、低融点ガラス粉が配合されている。
<転写シートの製造>
実施例1と同じ転写用紙に、塗工剤をスクリーン印刷で塗工し乾燥させたあと、実施例1と同じオーバーコート剤をコーティングした。
<基材への転写、焼成、再帰反射性物品>
実施例1と同じタイルに、実施例1と同じ手順で塗工剤層(ビーズ配合)を転写した。
その後、実施例1と同様にして焼成を行った。但し、焼成温度は650℃に変更した。 得られた再帰反射性物品は、実施例1に比べると、反射輝度が少し低いが、50mはなれた所からでも、白色反射光が明瞭に確認できた。実用的に十分な再帰反射機能を有していた。物性面でも実施例1と同等以上の性能であった。
〔実施例3〕
基本的に実施例1と共通する技術で、再帰反射性物品を製造した。但し、塗工剤を変更した。
<塗工剤の配合>
釉薬 Black256(名古屋の黒田商店より入手)62.5重量部、メジウム(互応化学社製)37.5重量部を、均一に混合してペースト状の塗工剤を得た。釉薬Black256には、低融点ガラス粉および黒色系着色材が配合されている。
<転写シートの製造>
実施例1と同様にして、塗工剤を印刷した。但し、高融点ガラスビーズとして、UB−24MSJ(ユニオン社製)を用いた。このビーズは、半球部にAlを蒸着した自反射ガラスビーズであり、粒径1〜45μmの真球状をなす。
<再帰反射性物品の製造>
実施例1と共通する工程で再帰反射性物品を製造した。
得られたタイルは、黒色の再帰反射体パターンを有する。このタイルに80m離れた所からライトを照射すると、ライトの反射による白色光が明瞭に確認できた。物性的にも実施例1と全く遜色のないものであった。
〔実施例4〕
実施例1において、釉薬を以下の色調の釉薬に変更した以外は、実施例1と同じ工程を経て、再帰反射性物品を得た。何れの場合も、それぞれの色の再帰反射光が良好に得られた。反射光は、80m離れた所からでも明瞭に確認でき、視認性の高いものであった。物性面も実施例1と遜色のないものであった。何れの釉薬も、名古屋の黒田商店より入手した。
(1)釉薬Yellow303
(2)釉薬Yellow302
(3)釉薬White301
〔実施例5〕
実施例1において、高融点ガラスビーズを以下の製品に変更した以外は、実施例1と共通する工程を経て、転写シートおよび再帰反射性物品を得た。
高融点ガラスビーズは、HI2544G(日本電気硝子社製、屈折率1.93、粒径25〜44μm、真球状、融点1000℃)を用いた。実施例1よりも粒径の小さなビーズである。
得られた再帰反射性物品は、実施例1に比べて反射輝度が低いものであった。これは、ビーズ径が小さいために、低融点ガラス層に埋もれてしまった状態になったためであると推定できる。
このことは、高融点ガラスビーズの粒径としては、粒径45μm以上のものが好ましいことを示している。
〔塗工剤の配合例〕
塗工剤の配合を種々に変更したものを製造した。
<塗工剤の製造>
実施例1と同様にして、表1に示す組成配合の塗工剤を調製した。釉薬は何れも、陶磁器用あるいはガラス用に製造販売されている材料を、前記同様に名古屋の黒田商店より入手して使用した。何れの釉薬にも、低融点ガラスパウダーと着色材とが配合されている。これらの材料を均一に混合してペースト状の塗工剤を製造した。
下表に示す配合例は何れも、塗工あるいは印刷は良好に行なえた。実施例1と同様にして、転写シートの製造および使用も可能であった。但し、後述するように、焼成による再帰反射性物品の製造では、釉薬の種類によって性能に違いが生じる。
Figure 0004589774
〔発色および表面艶〕
釉薬の種類と焼成温度とによる発色性および表面艶の違いを評価し、下表に示した。何れの釉薬も、前記同様に、互応化学社製の市販製品を用いた。タイルに釉薬を塗工し焼成したときの発色性および表面艶を観察して、下記3段階で評価した。
○:良好、△:やや劣る、×:不良。
Figure 0004589774
<考察>
(1) 上記結果において、発色および艶の両方が総合的に良好な条件で、釉薬の種類と焼成温度とを組み合わせることが望ましい。釉薬の種類によって、良好な性能が発揮できる焼成温度に違いがある。また、比較的に広い温度範囲で良好な性能が発揮できる釉薬と、狭い温度範囲でしか良好な性能が発揮できない釉薬とがある。
(2) これらの釉薬を、本発明の塗工剤に利用する場合は、高融点ガラスビーズの融点や基材の耐熱性などとも勘案して、適切な釉薬および焼成温度の組み合わせを設定することができる。
〔焼成温度と物性〕
実施例1において、焼成温度を種々に変更して、その性能を評価した。
<低融点ガラス層の形成>
低融点ガラス粉が十分に融解して、良好なガラス層が形成されたか否かを観察して、以下の評価を行なった。
○:良好、△:やや劣る、×:不良。
<高融点ガラスビーズの形態維持>
高融点ガラスビーズが融解せずに、良好なビーズ形状を維持しているか否かを観察して、以下の評価点を行なった。
○:良好、△:やや劣る、×:不良。
<反射輝度>
光を照射したときの反射輝度を観察して、以下の評価を行なった。
◎:非常に良好、○:良好、△:やや劣る、×:不良。
<噴射剥離性>
タイルの再帰反射体に、高圧スプレーガンで5cmの距離から30秒間、水を吹き付けた。試験後の再帰反射体に異常が発生したか否かを観察して、以下の評価を行なった。
○:異常なし、△:わずかに異常あり、×:異常あり。
<耐ブラッシング性>
タイルの表面をブラシで擦って表面が損傷するか否かを観察し、以下の評価を行なった。
○:損傷なし、△:わずかに損傷、×:損傷が目立つ。
Figure 0004589774
<考察>
(1) 焼成温度として、620℃程度が総合的に最も優れた性能を発揮できることが判る。
(2) 但し、塗工剤の配合などが実施例1と変われば、最適な温度条件が少し低温領域になったり、高温領域になったりして、変わる可能性がある。
(2) 前記した〔発色および表面艶〕の項における評価と合わせて、適切な焼成温度条件を設定することができる。
(3) 上記試験の結果から、実用的に好ましいと評価できる条件は、塗工剤を構成する釉薬として、Red304、Blue306、Yellow303、Yellow252、Yellow302、White301、Bkack256を使用し、焼成温度を620℃前後に設定することである。
但し、釉薬については、製造会社によって材料配合や特性が異なる場合があるので、上記製品と同等品や相当品を選択することができる。
本発明の再帰反射性物品は、例えば、タイルや陶磁器などの表面に再帰反射性の模様や意匠パターンを容易に付与することができるとともに、再帰反射体を極めて強固に一体化させておくことができ、タイルや陶磁器の使用環境において、再帰反射体に特有の優れた外観意匠を長期間にわたって良好に発揮させることが可能になる。
本発明の実施形態を表す再帰反射性物品の正面図(a)および断面図(b) 前図の要部を拡大した模式的断面図 製造方法を示す模式的断面図 別の製造方法を段階的に示す模式的断面図 転写シートの断面図(a)および使用状態の模式的断面図(b) 転写シートの製造工程を段階的に示す模式的断面図 別の転写シートを示す模式的断面図
符号の説明
10 基材
20 塗工剤層(ビーズ含有)
24 微細反射材
26 低融点ガラス粉
30 高融点ガラスビーズ
40 低融点ガラス層
50 塗工剤層(ビーズなし)
60 転写シート
62 仮支持シート
ビーズ配列塗工剤層
P 再帰反射体

Claims (4)

  1. 基材の表面に再帰反射体を有し、前記再帰反射体が、前記基材の表面に融着一体化された低融点ガラス層と、前記低融点ガラス層の表面に配列して少なくとも一部が埋め込まれた屈折率1.5〜2.5の高融点ガラスビーズとを備える、再帰反射性物品を製造する方法であって、
    低融点ガラス粉と前記高融点ガラスビーズとが樹脂中に分散されてなる塗工剤層を、前記再帰反射体に対応する形状で、前記基材の表面に設ける工程(a)と、前記基材に設けられた前記塗工剤層を焼成して、基材に融着一体化された前記再帰反射体を得る工程(b)とを含み、
    前記工程(a)では、仮支持シートと、仮支持シートの表面に分離可能に配置された複数の前記塗工剤層と、複数の塗工剤層を連結して覆い仮支持シートと分離可能に配置された有機支持膜とを備える転写シートを準備しておいて、前記転写シートの前記仮支持シートから、前記有機支持膜で連結された前記複数の塗工剤層を分離して、前記基材の表面に転写するようにするとともに、前記高融点ガラスビーズとして、融点700℃以上、平均粒径1μm〜10mmであるものを用い、前記低融点ガラス粉として、融点が350〜800℃の範囲で前記高融点ガラスビーズの融点よりも50℃以上低く、平均粒径10〜200μmであるものを用いるようにし、かつ、
    前記工程(b)では、前記塗工剤層を、前記低融点ガラス粉の融点よりも25℃以上高く、前記高融点ガラスビーズの融点よりも25℃以上低い温度で、0.5〜5.0時間かけて焼成するようにすることで、該塗工剤層中の高融点ガラスビーズを溶融させることなく低融点ガラス粉を溶融させて低融点ガラス溶融層を形成させ、かつ、該低融点ガラス溶融層を冷却固化させることにより、前記高融点ガラスビーズの少なくとも一部が低融点ガラス層に埋めこまれて接合されてなり基材に融着一体化された再帰反射体を得るようにする、
    ことを特徴とする、再帰反射性物品の製造方法。
  2. 基材の表面に再帰反射体を有し、前記再帰反射体が、前記基材の表面に融着一体化された低融点ガラス層と、前記低融点ガラス層の表面に配列して少なくとも一部が埋め込まれた屈折率1.5〜2.5の高融点ガラスビーズとを備える、再帰反射性物品を製造する方法であって、
    低融点ガラス粉が分散されてなる塗工剤層と、塗工剤層の表面に配列して少なくとも一部が埋め込まれた前記高融点ガラスビーズとからなるビーズ配列塗工剤層を、前記再帰反射体に対応する形状で、前記基材の表面に設ける工程(m)と、前記基材に設けられた前記ビーズ配列塗工剤層の塗工剤層を焼成して、基材に融着一体化された前記再帰反射体を得る工程(n)とを含み、
    前記工程(m)では、仮支持シートと、仮支持シートの表面に分離可能に配置された複数の前記ビーズ配列塗工剤層と、複数のビーズ配列塗工剤層を連結して覆い仮支持シートと分離可能に配置された有機支持膜とを備える転写シートを準備しておいて、前記転写シートの前記仮支持シートから、前記有機支持膜で連結された前記複数のビーズ配列塗工剤層を分離して、前記基材の表面に転写するようにするとともに、前記高融点ガラスビーズとして、融点700℃以上、平均粒径1μm〜10mmであるものを用い、前記低融点ガラス粉として、融点が350〜800℃の範囲で前記高融点ガラスビーズの融点よりも50℃以上低く、平均粒径10〜200μmであるものを用いるようにし、かつ、
    前記工程(n)では、前記塗工剤層を、前記低融点ガラス粉の融点よりも25℃以上高く、前記高融点ガラスビーズの融点よりも25℃以上低い温度で、0.5〜5.0時間かけて焼成するようにすることで、該塗工剤層の表面に配列して少なくとも一部が埋め込まれた前記高融点ガラスビーズを溶融させることなく低融点ガラス粉を溶融させて低融点ガラス溶融層を形成させ、かつ、該低融点ガラス溶融層を冷却固化させることにより、前記高融点ガラスビーズの少なくとも一部が低融点ガラス層に埋めこまれて接合されてなり基材に融着一体化された再帰反射体を得るようにする、
    ことを特徴とする、再帰反射性物品の製造方法。
  3. 前記再帰反射体が、前記低融点ガラス層の内部に分散された微細反射材または着色材の少なくとも一方をさらに備える請求項1または2に記載の再帰反射性物品の製造方法
  4. 請求項1から3までいずれかに記載の製造方法に用いる転写シートであって、前記仮支持シートと、仮支持シートの表面に分離可能に配置された複数の前記塗工剤層または前記ビーズ配列塗工剤層と、複数の塗工剤層またはビーズ配列塗工剤層を連結して覆い仮支持シートと分離可能に配置された前記有機支持膜とを備える再帰反射性物品製造用の転写シート。
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