JP2004017234A - 研削加工方法及び研削加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クーラントレス研削を行いながら、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止する。
【解決手段】本発明の研削加工装置10は、研削砥石14によるワークW研削の際、フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ20及びリアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ21によってワークWとフロントシュー12との接触部分より上流側、及びワークWとリアシュー13との接触部分より上流側に、各接触部潤滑用ミストを供給する。また、ドライブプレート潤滑用ミスト供給パイプ22によってドライブプレート11のワーク支持面11aに、ドライブプレート潤滑用ミストを供給するとともに、冷風供給パイプ23によって研削点Zに冷却用の冷風を供給し、研削点潤滑用ミスト供給パイプ24によって研削砥石14の研削点Zより上流側に研削点潤滑用ミストを供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の研削加工装置10は、研削砥石14によるワークW研削の際、フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ20及びリアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ21によってワークWとフロントシュー12との接触部分より上流側、及びワークWとリアシュー13との接触部分より上流側に、各接触部潤滑用ミストを供給する。また、ドライブプレート潤滑用ミスト供給パイプ22によってドライブプレート11のワーク支持面11aに、ドライブプレート潤滑用ミストを供給するとともに、冷風供給パイプ23によって研削点Zに冷却用の冷風を供給し、研削点潤滑用ミスト供給パイプ24によって研削砥石14の研削点Zより上流側に研削点潤滑用ミストを供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライブプレート及びシューによって回転可能に支持されたワークを、ドライブプレートの回転によって回転させながら、回転する研削砥石により研削するための研削加工方法及び研削加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、冷風研削については多くの研究がなされ、クーラントレス研削のための各種冷風研削技術が知られている。冷風研削は、クーラントの冷却性能を研削点への冷風供給により代替するとともに、クーラントの潤滑性能を砥石へのミスト供給により代替する技術である。
また、冷風研削に直接関連する技術として、冷風供給技術、潤滑ミスト供給技術、切り屑回収技術等、多くの技術が開示されている。
【0003】
冷風供給技術の具体例を挙げると、センターレス研削に冷風研削を適用した場合におけるノズルの構成及び装置が、特開平11−320403号公報に開示されている。すなわち、調整車とブレードでワークを支持して研削するセンターレス研削において、研削点とドレス点に冷風を供給するノズルの構成に関する技術である。
また、冷風そのもの、又はワークの温度を測定し、それらに応じて冷風噴出位置の設定を変更させる手段を備えた冷風冷却加工装置が、特開平11−333664号公報に開示されている。
更に、冷風カバーで砥石を包囲することにより、砥石の加熱膨張を防止する冷風研削用砥石装置が、特開平11−300614号公報に開示されている。
【0004】
切り屑回収技術の具体例としては、切り屑の吸引装置を備えた冷風冷却加工機が、特開平11−277431号公報に開示されている。また、乾式研削において、空気ノズルから噴出する空気により、研削屑を効率良く回収する研削屑の回収装置が、特開平11−277432号公報に開示されている。
【0005】
図5に示したように、特開2000−141219号公報には、従来の研削加工における冷却装置30として、砥石車31の外周面における研削箇所32の上流側に、潤滑油のミストを供給するノズル33と、ワークWの表面にクーラントのミストを供給するノズル34と、ワークWの外周面における研削箇所32の上流側に、潤滑油のミストを供給するノズル35とを備えたものが記載されている。
【0006】
また、図6に示したように、特開2001−121388号公報には、従来の内面冷風研削装置40として、研削液供給パイプ41からワークW内の研削点にクーラント(研削液)を供給するとともに、冷風供給パイプ42から冷風を供給しつつ、ワークWの内面を砥石43により研削するものが記載されている。ワークWの外面研削は行うことができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した図5及び図6に示した従来の各装置30,40においては、ワークWの研削点にクーラントが供給されており、クーラントの飛散は作業環境を悪化させる。また、環境汚染を引き起こさない廃液処理には多大なエネルギーを必要とする。
また、砥石車31及び砥石43に連れ回りするクーラントにより、研削点近傍に動圧が発生して、これが研削抵抗に重畳されるので、ワークWの加工精度の悪化等を招くという問題があった。
【0008】
本発明は、クーラントレス研削を行うことができるとともに、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる研削加工方法及び研削加工装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の研削加工方法は、ドライブプレート及びシューによって回転可能に支持されたワークを該ドライブプレートの回転によって回転させながら、回転する研削砥石により研削する研削加工方法において、
前記ワークを研削する際、該ワークと前記シューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給するとともに、前記ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給し、研削点に冷却用の冷風を供給し、前記研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給することを特徴とする。
【0010】
前記構成の研削加工方法によれば、接触部潤滑用ミストがワークとシューとの接触部分に供給されるとともに、ドライブプレート潤滑用ミストがドライブプレートに供給される。また、冷却用の冷風が研削点に供給されるとともに、研削点潤滑用ミストが研削砥石に供給される。
したがって、クーラントを使用せずにワークの研削が行われるとともに、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0011】
本発明の請求項2記載の研削加工装置は、ドライブプレート及びシューによって回転可能に支持されたワークを該ドライブプレートの回転によって回転させながら、回転する研削砥石により研削する研削加工装置において、
前記ワークと前記シューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給する接触部潤滑用ミスト供給手段と、前記ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給するドライブプレート潤滑用ミスト供給手段と、研削点に冷却用の冷風を供給する冷風供給手段と、前記研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給する研削点潤滑用ミスト供給手段と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
前記構成の研削加工装置によれば、接触部潤滑用ミスト供給手段が接触部潤滑用ミストをワークとシューとの接触部分に供給するとともに、ドライブプレート潤滑用ミスト供給手段がドライブプレート潤滑用ミストをドライブプレートに供給する。また、冷風供給手段が冷却用の冷風を研削点に供給するとともに、研削点潤滑用ミスト供給手段が研削点潤滑用ミストを研削砥石に供給する。
したがって、クーラントを使用せずにワークの研削が行われるとともに、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0013】
本発明の請求項3記載の研削加工装置は、前記ドライブプレートは、ワーク支持面にスリットを備えていることを特徴とする請求項2記載の研削加工装置である。
【0014】
前記構成の研削加工装置によれば、ドライブプレートのワーク支持面に設けられたスリットが、後述するドライブプレート接触部潤滑用ミスト供給パイプによって供給されるドライブプレート潤滑用ミストの通路として機能する。
したがって、ワーク支持面へのドライブプレート潤滑用ミストの良好な供給が確保される。
【0015】
本発明の請求項4記載の研削加工装置は、前記研削点潤滑用ミストは、植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油であることを特徴とする請求項2記載の研削加工装置である。
【0016】
前記構成の研削加工装置によれば、研削砥石によりワークを研削する際、植物油又は合成エステル系の生分解性を有する研削点潤滑用ミストとしての油が研削砥石に供給される。したがって、ミストの飛散、蒸発、廃液処理等で環境汚染を招くようなことはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の研削加工装置の一実施形態を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の研削加工装置の一実施形態を示す要部概略図、図2は図1における研削加工装置の上方からみた概略図、図3は図1における研削加工装置のドライブプレートを示す側面図、図4は図3におけるドライブプレートのワーク支持面を示す平面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態の研削加工装置10は、ドライブプレート11及びシュー12,13によって回転可能に支持されたワークWが、図2中のドライブプレート11の矢印A方向への回転によって回転されながら、図中矢印B方向に回転する研削砥石14により研削される。
【0019】
図3及び図4に示すように、ドライブプレート11には、ワーク支持面11aにスリット11bが設けられている。スリット11bは、後述するドライブプレート接触部潤滑用ミスト供給パイプ22によって供給されるドライブプレート潤滑用ミストの通路として機能し、ワーク支持面11aへのドライブプレート潤滑用ミストの供給を良好にする。
【0020】
図1に示すように、シュー12,13は、シューホルダ15にそれぞれ支持されたシューであるフロントシュー12及びリアシュー13から構成されており、ワークWの外周面に接触してワークWを回転自在に支持する。
すなわち、フロントシュー12は、シューホルダ15の研削砥石近傍で且つ研削砥石14によるワークWの研削点Zより下側に支持される。また、リアシュー13は、シューホルダ15の研削砥石14によるワークWの研削点ZとワークWを挟んで反対側の位置に支持される。
【0021】
フロントシュー12と研削砥石14によるワークWの研削点Zとの間には、フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ20が、供給口20aをワークWの外周面に向けて開口するように設けられている。
また、フロントシュー12とリアシュー13との間には、リアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ21が、供給口21aをワークWの外周面に向けて開口するように設けられている。各接触部潤滑用ミスト供給パイプ20,21は、ワークWとフロントシュー12又はリアシュー13との接触部分よりワーク回転方向に対して上流側に各接触部潤滑用ミストを供給する。
【0022】
リアシュー13と研削砥石14によるワークWの研削点Zとの間には、ドライブプレート接触部潤滑用ミスト供給パイプ22が、供給口22aをドライブプレート11のワーク支持面11a(図3参照)に略直交方向から開口(図2参照)するように設けられている。ドライブプレート潤滑用ミスト供給パイプ22は、ドライブプレート11のワーク支持面11aにドライブプレート潤滑用ミストを供給する。
【0023】
図1に示すように、研削砥石14によるワークWの研削点Z近傍には、冷風供給パイプ23が、供給口23aを研削点に向けて開口するように設けられている。冷風供給パイプ23は、研削点Zに冷却用の冷風を供給する。
【0024】
研削砥石14の外周面近傍におけるワークWの研削点Zより上側には、研削点潤滑用ミスト供給パイプ24が、供給口24aを研削砥石14外周面に向けて開口するように設けられている。研削点潤滑用ミスト供給パイプ24は、研削砥石14の外周面に研削点潤滑用ミストを供給する。
研削点潤滑用ミストは、植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油である。
【0025】
研削砥石14の外周面近傍における研削点潤滑用ミスト供給パイプ24より砥石回転方向に対して上流側には、エア遮断板25が設けられている。エア遮断板25は、研削砥石14の回転に伴う連れ回りエアを遮断し、ワークWへの潤滑用ミストの付着性を向上させる。
【0026】
本実施形態の作用を説明する。
図1及び図2に示したように、研削加工装置10は、ドライブプレート11、フロントシュー12及びリアシュー13によって回転可能に支持されたワークWをドライブプレート11の矢印A方向への回転によって回転させながら、矢印B方向に回転する研削砥石14によって研削する。
【0027】
この際、ワークWとフロントシュー12との接触部分よりワーク回転方向に対して上流側には、フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ20が供給口20aからフロントシュー接触部潤滑用ミストを供給する。
また、ワークWとリアシュー13との接触部分より上流側には、リアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ21が供給口21aからリアシュー接触部潤滑用ミストを供給する。
また、ドライブプレート11のワーク支持面11aには、ドライブプレート潤滑用ミスト供給パイプ22が供給口22aからドライブプレート潤滑用ミストを供給する。
また、研削砥石14によるワークWの研削点Zには、冷風供給パイプ23が供給口23aから冷却用の冷風を供給する。
更に、研削砥石14の外周面における研削点Zより砥石回転方向に対して上流側には、研削点潤滑用ミスト供給パイプ24が供給口24aから研削点潤滑用ミストを供給する。
なお、上述したように研削点潤滑用ミスト植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油であるが、フロントシュー接触部潤滑用ミスト、リアシュー接触部潤滑用ミスト及びドライブプレート接触部潤滑用ミストも生分解性を有する油であるほうが好ましい。
【0028】
次に、研削加工方法について説明する。
研削砥石14によりワークWを研削する際、ワークWとフロントシュー12及びリアシュー13との接触部分には、各接触部潤滑用ミストが供給されるとともに、ドライブプレート11の外周面には、ドライブプレート潤滑用ミストを供給する。更に、研削砥石14によるワークWの研削点Zには、冷却用の冷風を供給するとともに、研削砥石14の外周面には、研削点潤滑用ミストを供給する。
【0029】
上述したように上記実施形態によれば、研削砥石14によるワークW研削の際、フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ20が、ワークWとフロントシュー12との接触部分より上流側に、フロントシュー接触部潤滑用ミストを供給するとともに、リアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ21が、ワークWとリアシュー13との接触部分より上流側に、リアシュー接触部潤滑用ミストを供給する。
【0030】
また、ドライブプレート潤滑用ミスト供給パイプ22が、ドライブプレート11のワーク支持面11aに、ドライブプレート潤滑用ミストを供給する。また、冷風供給パイプ23が、研削砥石14によるワークWの研削点Zに、冷却用の冷風を供給する。更に、研削点潤滑用ミスト供給パイプ24が、研削砥石14の外周面における研削点Zより上流側に、研削点潤滑用ミストを供給する。
したがって、クーラントの冷却性能を研削点Zへの冷風供給により代替することができるとともに、クーラントの潤滑性能を研削砥石14へのミスト供給により代替することができる。これにより、クーラントレス研削を行うことができるとともに、ワークWとフロントシュー12及びリアシュー13との接触部分における焼け、シューマーク、フロントシュー12及びリアシュー13の磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、1個のドライブプレート11と2個のシュー12,13を備えたマグネットシュータイプのワーク支持装置を備えた研削加工装置10として説明したが、これに限らず、2個のロールと1個のシューを備えた2ロール1シュータイプのワーク支持装置を備えた研削加工装置(図示しない)として構成することもできる。この場合にも、各研削砥石、シュー及びドライブプレートとワークとの間に潤滑用ミストを供給する。
【0032】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の研削加工方法によれば、ワークとシューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給するとともに、ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給し、研削点に冷却用の冷風を供給し、研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給する。
したがって、クーラントレス研削を行うことができるとともに、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0033】
本発明の請求項2記載の研削加工装置によれば、ワークとシューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給する接触部潤滑用ミスト供給手段と、ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給するドライブプレート潤滑用ミスト供給手段と、研削点に冷却用の冷風を供給する冷風供給手段と、研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給する研削点潤滑用ミスト供給手段とを備えている。
したがって、クーラントレス研削を行うことができるものでありながら、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0034】
本発明の請求項3記載の研削加工装置によれば、ドライブプレートがワーク支持面にスリットを備えているので、ワーク支持面へのドライブプレート潤滑用ミストの良好な供給を確保することができる。
【0035】
本発明の請求項4記載の研削加工装置によれば、研削点潤滑用ミストが植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油であるので、ミストの飛散、蒸発、廃液処理等で環境汚染を招くようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研削加工装置の一実施形態を示す要部概略図である。
【図2】図1における研削加工装置の上方から観た概略図である。
【図3】図1における研削加工装置のドライブプレートを示す側面図である。
【図4】図3におけるドライブプレートのワーク支持面を示す平面図である。
【図5】従来の研削加工における冷却装置を示す要部概略図である。
【図6】従来の内面冷風研削装置を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10 研削加工装置
11 ドライブプレート
11a ワーク支持面
11b スリット
12 フロントシュー
13 リアシュー
14 研削砥石
20 フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ
21 リアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ
22 ドライブプレート接触部潤滑用ミスト供給パイプ
23 冷風供給パイプ
24 研削点潤滑用ミスト供給パイプ
25 エア遮断板
W ワーク
Z 研削点
A ドライブプレートの回転方向
B 研削砥石の回転方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライブプレート及びシューによって回転可能に支持されたワークを、ドライブプレートの回転によって回転させながら、回転する研削砥石により研削するための研削加工方法及び研削加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、冷風研削については多くの研究がなされ、クーラントレス研削のための各種冷風研削技術が知られている。冷風研削は、クーラントの冷却性能を研削点への冷風供給により代替するとともに、クーラントの潤滑性能を砥石へのミスト供給により代替する技術である。
また、冷風研削に直接関連する技術として、冷風供給技術、潤滑ミスト供給技術、切り屑回収技術等、多くの技術が開示されている。
【0003】
冷風供給技術の具体例を挙げると、センターレス研削に冷風研削を適用した場合におけるノズルの構成及び装置が、特開平11−320403号公報に開示されている。すなわち、調整車とブレードでワークを支持して研削するセンターレス研削において、研削点とドレス点に冷風を供給するノズルの構成に関する技術である。
また、冷風そのもの、又はワークの温度を測定し、それらに応じて冷風噴出位置の設定を変更させる手段を備えた冷風冷却加工装置が、特開平11−333664号公報に開示されている。
更に、冷風カバーで砥石を包囲することにより、砥石の加熱膨張を防止する冷風研削用砥石装置が、特開平11−300614号公報に開示されている。
【0004】
切り屑回収技術の具体例としては、切り屑の吸引装置を備えた冷風冷却加工機が、特開平11−277431号公報に開示されている。また、乾式研削において、空気ノズルから噴出する空気により、研削屑を効率良く回収する研削屑の回収装置が、特開平11−277432号公報に開示されている。
【0005】
図5に示したように、特開2000−141219号公報には、従来の研削加工における冷却装置30として、砥石車31の外周面における研削箇所32の上流側に、潤滑油のミストを供給するノズル33と、ワークWの表面にクーラントのミストを供給するノズル34と、ワークWの外周面における研削箇所32の上流側に、潤滑油のミストを供給するノズル35とを備えたものが記載されている。
【0006】
また、図6に示したように、特開2001−121388号公報には、従来の内面冷風研削装置40として、研削液供給パイプ41からワークW内の研削点にクーラント(研削液)を供給するとともに、冷風供給パイプ42から冷風を供給しつつ、ワークWの内面を砥石43により研削するものが記載されている。ワークWの外面研削は行うことができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した図5及び図6に示した従来の各装置30,40においては、ワークWの研削点にクーラントが供給されており、クーラントの飛散は作業環境を悪化させる。また、環境汚染を引き起こさない廃液処理には多大なエネルギーを必要とする。
また、砥石車31及び砥石43に連れ回りするクーラントにより、研削点近傍に動圧が発生して、これが研削抵抗に重畳されるので、ワークWの加工精度の悪化等を招くという問題があった。
【0008】
本発明は、クーラントレス研削を行うことができるとともに、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる研削加工方法及び研削加工装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の研削加工方法は、ドライブプレート及びシューによって回転可能に支持されたワークを該ドライブプレートの回転によって回転させながら、回転する研削砥石により研削する研削加工方法において、
前記ワークを研削する際、該ワークと前記シューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給するとともに、前記ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給し、研削点に冷却用の冷風を供給し、前記研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給することを特徴とする。
【0010】
前記構成の研削加工方法によれば、接触部潤滑用ミストがワークとシューとの接触部分に供給されるとともに、ドライブプレート潤滑用ミストがドライブプレートに供給される。また、冷却用の冷風が研削点に供給されるとともに、研削点潤滑用ミストが研削砥石に供給される。
したがって、クーラントを使用せずにワークの研削が行われるとともに、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0011】
本発明の請求項2記載の研削加工装置は、ドライブプレート及びシューによって回転可能に支持されたワークを該ドライブプレートの回転によって回転させながら、回転する研削砥石により研削する研削加工装置において、
前記ワークと前記シューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給する接触部潤滑用ミスト供給手段と、前記ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給するドライブプレート潤滑用ミスト供給手段と、研削点に冷却用の冷風を供給する冷風供給手段と、前記研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給する研削点潤滑用ミスト供給手段と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
前記構成の研削加工装置によれば、接触部潤滑用ミスト供給手段が接触部潤滑用ミストをワークとシューとの接触部分に供給するとともに、ドライブプレート潤滑用ミスト供給手段がドライブプレート潤滑用ミストをドライブプレートに供給する。また、冷風供給手段が冷却用の冷風を研削点に供給するとともに、研削点潤滑用ミスト供給手段が研削点潤滑用ミストを研削砥石に供給する。
したがって、クーラントを使用せずにワークの研削が行われるとともに、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0013】
本発明の請求項3記載の研削加工装置は、前記ドライブプレートは、ワーク支持面にスリットを備えていることを特徴とする請求項2記載の研削加工装置である。
【0014】
前記構成の研削加工装置によれば、ドライブプレートのワーク支持面に設けられたスリットが、後述するドライブプレート接触部潤滑用ミスト供給パイプによって供給されるドライブプレート潤滑用ミストの通路として機能する。
したがって、ワーク支持面へのドライブプレート潤滑用ミストの良好な供給が確保される。
【0015】
本発明の請求項4記載の研削加工装置は、前記研削点潤滑用ミストは、植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油であることを特徴とする請求項2記載の研削加工装置である。
【0016】
前記構成の研削加工装置によれば、研削砥石によりワークを研削する際、植物油又は合成エステル系の生分解性を有する研削点潤滑用ミストとしての油が研削砥石に供給される。したがって、ミストの飛散、蒸発、廃液処理等で環境汚染を招くようなことはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の研削加工装置の一実施形態を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の研削加工装置の一実施形態を示す要部概略図、図2は図1における研削加工装置の上方からみた概略図、図3は図1における研削加工装置のドライブプレートを示す側面図、図4は図3におけるドライブプレートのワーク支持面を示す平面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態の研削加工装置10は、ドライブプレート11及びシュー12,13によって回転可能に支持されたワークWが、図2中のドライブプレート11の矢印A方向への回転によって回転されながら、図中矢印B方向に回転する研削砥石14により研削される。
【0019】
図3及び図4に示すように、ドライブプレート11には、ワーク支持面11aにスリット11bが設けられている。スリット11bは、後述するドライブプレート接触部潤滑用ミスト供給パイプ22によって供給されるドライブプレート潤滑用ミストの通路として機能し、ワーク支持面11aへのドライブプレート潤滑用ミストの供給を良好にする。
【0020】
図1に示すように、シュー12,13は、シューホルダ15にそれぞれ支持されたシューであるフロントシュー12及びリアシュー13から構成されており、ワークWの外周面に接触してワークWを回転自在に支持する。
すなわち、フロントシュー12は、シューホルダ15の研削砥石近傍で且つ研削砥石14によるワークWの研削点Zより下側に支持される。また、リアシュー13は、シューホルダ15の研削砥石14によるワークWの研削点ZとワークWを挟んで反対側の位置に支持される。
【0021】
フロントシュー12と研削砥石14によるワークWの研削点Zとの間には、フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ20が、供給口20aをワークWの外周面に向けて開口するように設けられている。
また、フロントシュー12とリアシュー13との間には、リアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ21が、供給口21aをワークWの外周面に向けて開口するように設けられている。各接触部潤滑用ミスト供給パイプ20,21は、ワークWとフロントシュー12又はリアシュー13との接触部分よりワーク回転方向に対して上流側に各接触部潤滑用ミストを供給する。
【0022】
リアシュー13と研削砥石14によるワークWの研削点Zとの間には、ドライブプレート接触部潤滑用ミスト供給パイプ22が、供給口22aをドライブプレート11のワーク支持面11a(図3参照)に略直交方向から開口(図2参照)するように設けられている。ドライブプレート潤滑用ミスト供給パイプ22は、ドライブプレート11のワーク支持面11aにドライブプレート潤滑用ミストを供給する。
【0023】
図1に示すように、研削砥石14によるワークWの研削点Z近傍には、冷風供給パイプ23が、供給口23aを研削点に向けて開口するように設けられている。冷風供給パイプ23は、研削点Zに冷却用の冷風を供給する。
【0024】
研削砥石14の外周面近傍におけるワークWの研削点Zより上側には、研削点潤滑用ミスト供給パイプ24が、供給口24aを研削砥石14外周面に向けて開口するように設けられている。研削点潤滑用ミスト供給パイプ24は、研削砥石14の外周面に研削点潤滑用ミストを供給する。
研削点潤滑用ミストは、植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油である。
【0025】
研削砥石14の外周面近傍における研削点潤滑用ミスト供給パイプ24より砥石回転方向に対して上流側には、エア遮断板25が設けられている。エア遮断板25は、研削砥石14の回転に伴う連れ回りエアを遮断し、ワークWへの潤滑用ミストの付着性を向上させる。
【0026】
本実施形態の作用を説明する。
図1及び図2に示したように、研削加工装置10は、ドライブプレート11、フロントシュー12及びリアシュー13によって回転可能に支持されたワークWをドライブプレート11の矢印A方向への回転によって回転させながら、矢印B方向に回転する研削砥石14によって研削する。
【0027】
この際、ワークWとフロントシュー12との接触部分よりワーク回転方向に対して上流側には、フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ20が供給口20aからフロントシュー接触部潤滑用ミストを供給する。
また、ワークWとリアシュー13との接触部分より上流側には、リアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ21が供給口21aからリアシュー接触部潤滑用ミストを供給する。
また、ドライブプレート11のワーク支持面11aには、ドライブプレート潤滑用ミスト供給パイプ22が供給口22aからドライブプレート潤滑用ミストを供給する。
また、研削砥石14によるワークWの研削点Zには、冷風供給パイプ23が供給口23aから冷却用の冷風を供給する。
更に、研削砥石14の外周面における研削点Zより砥石回転方向に対して上流側には、研削点潤滑用ミスト供給パイプ24が供給口24aから研削点潤滑用ミストを供給する。
なお、上述したように研削点潤滑用ミスト植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油であるが、フロントシュー接触部潤滑用ミスト、リアシュー接触部潤滑用ミスト及びドライブプレート接触部潤滑用ミストも生分解性を有する油であるほうが好ましい。
【0028】
次に、研削加工方法について説明する。
研削砥石14によりワークWを研削する際、ワークWとフロントシュー12及びリアシュー13との接触部分には、各接触部潤滑用ミストが供給されるとともに、ドライブプレート11の外周面には、ドライブプレート潤滑用ミストを供給する。更に、研削砥石14によるワークWの研削点Zには、冷却用の冷風を供給するとともに、研削砥石14の外周面には、研削点潤滑用ミストを供給する。
【0029】
上述したように上記実施形態によれば、研削砥石14によるワークW研削の際、フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ20が、ワークWとフロントシュー12との接触部分より上流側に、フロントシュー接触部潤滑用ミストを供給するとともに、リアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ21が、ワークWとリアシュー13との接触部分より上流側に、リアシュー接触部潤滑用ミストを供給する。
【0030】
また、ドライブプレート潤滑用ミスト供給パイプ22が、ドライブプレート11のワーク支持面11aに、ドライブプレート潤滑用ミストを供給する。また、冷風供給パイプ23が、研削砥石14によるワークWの研削点Zに、冷却用の冷風を供給する。更に、研削点潤滑用ミスト供給パイプ24が、研削砥石14の外周面における研削点Zより上流側に、研削点潤滑用ミストを供給する。
したがって、クーラントの冷却性能を研削点Zへの冷風供給により代替することができるとともに、クーラントの潤滑性能を研削砥石14へのミスト供給により代替することができる。これにより、クーラントレス研削を行うことができるとともに、ワークWとフロントシュー12及びリアシュー13との接触部分における焼け、シューマーク、フロントシュー12及びリアシュー13の磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、1個のドライブプレート11と2個のシュー12,13を備えたマグネットシュータイプのワーク支持装置を備えた研削加工装置10として説明したが、これに限らず、2個のロールと1個のシューを備えた2ロール1シュータイプのワーク支持装置を備えた研削加工装置(図示しない)として構成することもできる。この場合にも、各研削砥石、シュー及びドライブプレートとワークとの間に潤滑用ミストを供給する。
【0032】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の研削加工方法によれば、ワークとシューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給するとともに、ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給し、研削点に冷却用の冷風を供給し、研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給する。
したがって、クーラントレス研削を行うことができるとともに、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0033】
本発明の請求項2記載の研削加工装置によれば、ワークとシューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給する接触部潤滑用ミスト供給手段と、ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給するドライブプレート潤滑用ミスト供給手段と、研削点に冷却用の冷風を供給する冷風供給手段と、研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給する研削点潤滑用ミスト供給手段とを備えている。
したがって、クーラントレス研削を行うことができるものでありながら、ワークとシューとの接触部分における焼け、シューマーク、シューの磨耗等の不具合を確実に防止することができる。
【0034】
本発明の請求項3記載の研削加工装置によれば、ドライブプレートがワーク支持面にスリットを備えているので、ワーク支持面へのドライブプレート潤滑用ミストの良好な供給を確保することができる。
【0035】
本発明の請求項4記載の研削加工装置によれば、研削点潤滑用ミストが植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油であるので、ミストの飛散、蒸発、廃液処理等で環境汚染を招くようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研削加工装置の一実施形態を示す要部概略図である。
【図2】図1における研削加工装置の上方から観た概略図である。
【図3】図1における研削加工装置のドライブプレートを示す側面図である。
【図4】図3におけるドライブプレートのワーク支持面を示す平面図である。
【図5】従来の研削加工における冷却装置を示す要部概略図である。
【図6】従来の内面冷風研削装置を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10 研削加工装置
11 ドライブプレート
11a ワーク支持面
11b スリット
12 フロントシュー
13 リアシュー
14 研削砥石
20 フロントシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ
21 リアシュー接触部潤滑用ミスト供給パイプ
22 ドライブプレート接触部潤滑用ミスト供給パイプ
23 冷風供給パイプ
24 研削点潤滑用ミスト供給パイプ
25 エア遮断板
W ワーク
Z 研削点
A ドライブプレートの回転方向
B 研削砥石の回転方向
Claims (4)
- ドライブプレート及びシューによって回転可能に支持されたワークを該ドライブプレートの回転によって回転させながら、回転する研削砥石により研削する研削加工方法において、
前記ワークを研削する際、該ワークと前記シューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給するとともに、前記ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給し、研削点に冷却用の冷風を供給し、前記研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給することを特徴とする研削加工方法。 - ドライブプレート及びシューによって回転可能に支持されたワークを該ドライブプレートの回転によって回転させながら、回転する研削砥石により研削する研削加工装置において、
前記ワークと前記シューとの接触部分に接触部潤滑用ミストを供給する接触部潤滑用ミスト供給手段と、
前記ドライブプレートにドライブプレート潤滑用ミストを供給するドライブプレート潤滑用ミスト供給手段と、
研削点に冷却用の冷風を供給する冷風供給手段と、
前記研削砥石に研削点潤滑用ミストを供給する研削点潤滑用ミスト供給手段と、を備えていることを特徴とする研削加工装置。 - 前記ドライブプレートは、ワーク支持面にスリットを備えていることを特徴とする請求項2記載の研削加工装置。
- 前記研削点潤滑用ミストは、植物油又は合成エステル系の生分解性を有する油であることを特徴とする請求項2記載の研削加工装置。
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JP2002177261A JP2004017234A (ja) | 2002-06-18 | 2002-06-18 | 研削加工方法及び研削加工装置 |
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CN102490123A (zh) * | 2011-11-26 | 2012-06-13 | 苏州恩斯克轴承有限公司 | 无心研磨机及使用无心研磨机研磨工件的方法 |
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-
2002
- 2002-06-18 JP JP2002177261A patent/JP2004017234A/ja active Pending
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