JP2004016197A - コンバイン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン101の出力軸方向が機体前後方向と略一致するとともに、該エンジンの駆動力の一部がグレンタンク13内方下部に設けられた排出コンベア16の駆動力として用いられ、一組のプーリ103・106と、Vベルト107とにより、エンジンの出力軸101aから排出コンベアの駆動ケース104の入力軸105まで駆動力が伝達されるようにコンバインを構成した。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、選別後の穀物を貯溜するとともに、エンジンの駆動力の一部を利用して排出コンベアを駆動し、穀物を排出可能に構成したグレンタンクを搭載したコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、選別後の穀物を貯溜するとともに、エンジンの駆動力の一部を利用してグレンタンクの内方下部に設けられたスクリュー式の排出コンベアを駆動し、穀物を強制的に排出可能に構成したコンバインが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
コンバインの体積の多くを占めるグレンタンクをコンパクトに設計する際に、以下のような問題がある。
すなわち、従来のコンバインではグレンタンクの内方下部にはスクリュー式の排出コンベアが設けられており、該排出コンベアはエンジンにより駆動されるが、エンジンの出力軸はコンバインの機体左右方向に略一致していた(すなわち、エンジンは横置きされていた)。一方、グレンタンクは扱胴との配置の関係で、必然的に機体前後方向に長い箱形状となることから、前記スクリュー式の排出コンベアの回転軸もまた機体前後方向に略一致する。このため、エンジンの出力軸と排出コンベアの回転軸とは直交し、エンジンからの駆動力を排出コンベアに伝達するためには複雑かつ大容積の伝達手段(ベベルギアを組み合わせたギアボックスなど)が必要であり、メンテナンスも容易ではなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、エンジンの出力軸方向が機体前後方向と略一致するとともに、該エンジンの駆動力の一部がグレンタンク内方下部に設けられた排出コンベアの駆動力として用いられるコンバインであって、
一組のプーリと、ベルトとにより、エンジンの出力軸から排出コンベアの駆動ケースの入力軸まで駆動力が伝達されるものである。
【0006】
請求項2においては、前記エンジンからの駆動力を、駆動ケースの入力軸から駆動ケース内に配置した複数の平歯車を介して減速して排出コンベアに伝達する構成としたものである。
【0007】
請求項3においては、前記グレンタンクの傾斜した底面上に配置された可動板を、前記駆動ケースより突出した揺動アームと連結して揺動し、該揺動アームを籾排出通路外側に配置したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係る脱穀部を備えたコンバインの全体左側面図、図2は同じく全体平面図、図3は同じく全体右側面図、図4は同じく正面図、図5は動力伝達経路を示す模式図、図6はエンジンの配置を示す平面図、図7はエンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図、図8はグレンタンク前部の平面断面図、図9はグレンタンク底部の正面図、図10はグレンタンクの左側面図、図11はグレンタンク底部の斜視図、図12は駆動ケースの断面図、図13はグレンタンク底部の正面図、図14はグレンタンク内部の側面視模式図、図15はグレンタンクの平面断面図、図16は本発明のグレンタンクにおける穀物流下速度の分布を示す図、図17はブリーザカバーの斜視図、図18はグレンタンクの平面図である。
【0009】
まず、本発明に係わるコンバインの全体構成について、図1から図6により説明する。
クローラ式走行装置1上には機体フレーム2L・2Rが載置され、該機体フレーム2L・2R前端には引起し・刈取部3が昇降可能に配設されている。該引起し・刈取部3は前端に分草板4を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース5を立設して該引起しケース5より突出したタイン6の回転により穀稈を引き起こし、前記分草板4後部に配設した刈刃7にて株元を刈り取るようにしている。
【0010】
刈り取られた穀稈は、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置8にて後部へ搬送され、該縦搬送装置8の上端から株元がフィードチェーン9に受け継がれ、脱穀部12内に穀稈が搬送される。そして、該フィードチェーン9後端には排藁チェーン18が配設され、該排藁チェーン18後部下方には排藁カッター装置、拡散コンベアなどからなる排藁処理部19が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出するようにしている。
【0011】
また、前記脱穀部12側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク13が配設され、該グレンタンク13前部には運転室14が配設される一方、グレンタンク13後部には排出オーガ15の縦オーガ15aが立設され、該縦オーガ15aを中心にしてグレンタンク13が側方へ回動可能とし、本機内部側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。
そして、該グレンタンク13の底部には排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16から前記排出オーガ15に動力が伝達されて、排出オーガ15先端よりトラック等へグレンタンク13内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部12下方には、選別部17が配設され、脱穀部12から流下する穀粒や藁屑等(以下「処理物」とする)から穀粒を選別し、前記グレンタンク13に搬送するようにしている。
【0012】
次に、前記エンジン101から各処理系への動力伝達構成の概要について、図3から図6により説明する。
エンジン101には、図示せぬピストンの往復運動を回転運動に換えるクランク軸151が機体前後方向に延設され、該クランク軸151前端を出力軸182として該出力軸182には自在継手付きドライブシャフト163の後端が固設されている。そして、該自在継手付きドライブシャフト163の前端には、入力軸178が連結され、該入力軸178は、前記ミッションケース136上部に付設された入力ケース179より突出されている。
【0013】
該入力ケース179の左側面には、静油圧式無段変速装置(以下「HST」とする)を収納するHSTケース218が設けられ、該HSTケース218内には、前方から順に旋回用HST138、直進用HST137が配設され、該直進用HST137からは、直進用HST137の出力軸である直進モータ軸214に連結した直進駆動軸181が、左側方に突設されており、入力軸178に伝達された回転力を、直進用HST137内で正逆の回転方向と回転数増減の制御を行った後、ミッションケース136内に伝達する一方、直進駆動軸181からも出力できるようにしている。
【0014】
また、前記エンジン101の左側方には、各処理系へ適正速度を分配可能なカウンターケース64が配設され、該カウンターケース64からは、入力軸175・176や出力軸191・192・193・194が突設されている。
【0015】
このうちの車速同調入力軸175には、車速同調用入力プーリ66が固設され、該車速同調用入力プーリ66は、ベルト61を介して、前記直進駆動軸181上の直進駆動プーリ180に連結されて、直進用HST137からの走行回転を、カウンターケース64内に伝達することができる。
【0016】
前記直接入力軸176には、直接入力プーリ67が固設され、該直接入力プーリ67には、前記クランク軸151後端に形成したエンジン出力軸101a上のプーリ102がベルト173を介して連結されると共に、該ベルト173には脱穀クラッチ52が設けられている。前記エンジン出力軸101a上にはプーリ103も固設され、該プーリ103は、Vベルト107を介して、前記グレンタンク13下部に軸装された排出コンベア16のコンベア軸に連結連動されると共に、Vベルト107には穀粒排出クラッチ184を設けており、該穀粒排出クラッチ184の入切で、穀粒排出操作を行えるようにしている。
【0017】
前記脱穀出力軸191については、出力プーリ95→ベルト203→プーリ206→変速ギア207・208・209を介して、扱胴軸21aに連結されており、このうちのベルト203に当接させたテンションプーリ(図示せず)により、脱穀出力軸191から扱胴21への動力を断接可能としている。
【0018】
前記刈取出力軸192には、出力プーリ196が固設され、該出力プーリ196は、回動支点部170に設けた中間伝達機構77を介して、刈取入力軸72に連結連動されており、該刈取入力軸72から引起し・刈取部3に動力を入力することができるのである
【0019】
前記選別出力軸193には、出力プーリ197が固設され、該出力プーリ197には、ベルト198を介してプーリ200・211が連結され、このうちのプーリ200は、図示せぬ選別装置に風選別のための風を送る唐箕99の唐箕軸99a上に固設され、プーリ211は、図示せぬ選別装置で選別した穀粒をグレンタンク13に送る一番コンベア201のコンベア軸201aに固設されており、選別出力軸193から図示せぬ選別装置各部へ動力を出力できるようにしている。前記フィードチェーン出力軸194については、フィードチェーン9に連動可能に連結されている。
このようにして、エンジン101からの動力は各処理系へ伝達される。
【0020】
続いて、エンジン101の配置構成について、図6により説明する。
前記左右の機体フレーム2L・2Rの前部には、前後に横フレーム42・43が横架され、該横フレーム42・43には、機体フレーム2L・2Rに平行に左右の縦フレーム44・45が略等間隔で橋設されている。そして、該縦フレーム44・45上には、ゴムなどの弾性体を内蔵した防振部材187・188・189・190が固設され、該防振部材187・188・189・190上に、エンジン101が載置固定されている。
【0021】
そして、該エンジン101は、従来のようなクランク軸151の方向(長手)が機体左右方向と略同一となる横置きではなく、機体前後方向と略同一となるような配置(以下「縦置き」とする)がなされ、エンジン101の短手方向が機体左右方向を向いている。そのため、機体側面から機体幅略中央位置にある刈取軸191等までの距離であるエンジン配設幅を従来よりも短縮することができ、コンバインのコンパクト化や軽量化を図ることが可能である。
【0022】
さらに、このようなエンジン101が縦置きの場合は、エンジン101からの出力軸101aはグレンタンク13の排出コンベア16のコンベア軸と略平行、かつグレンタンク13の前面(後述する底部前壁面13a)近傍に配置可能であるため、エンジン101から排出コンベア16への動力伝達を後述する単純な伝達機構である駆動力伝達経路100により行うことができる。
【0023】
該エンジン101の後方には、前記エンジン出力軸101aが突出され、該エンジン出力軸101a上には、発生トルクの変動を吸収して回転をなめらかにするフライホイール159以外に、前記プーリ102・103が固設されている。このうちのプーリ103は、グレンタンク13下部の排出コンベア16に、右方に延設したVベルト107を介して連結連動され、該Vベルト107によって、常に右横引き荷重(図6中の矢印Aで表される)が負荷されており、逆に、プーリ102は、エンジン101左方のカウンターケース64後方に突設した直接入力プーリ67に、ベルト173を介して連結連動され、該ベルト173によって、常に左横引き荷重(図6中の矢印Bで表される)が負荷されている。
【0024】
一方、エンジン101の前方には、前記出力軸182が突出され、該出力軸182は、自在継手付きドライブシャフト163を介して、ミッションケース136上部の入力ケース179から突出した入力軸178に連結連動されているだけであり、前記エンジン出力軸101aとは異なり、横引き荷重を受けない。そして、この出力軸182側に配置した前記防振部材187・188の弾性定数は、前記エンジン出力軸101a側に配置した前記防振部材189・190の弾性定数よりも小さくなるように設定している。
【0025】
このような構成において、フライホイール159側では、防振部材189・190の弾性定数が高いため、図6に示す横引き荷重A・Bによる反力に十分対抗することができ、一方、横引き荷重を受けないドライブシャフト163側では、防振部材187・188の弾性定数は低いため、防振効果を一層高めることができる。
【0026】
すなわち、エンジン101のクランク軸151の一端を成す出力軸182にはドライブシャフト163を連結し、他端側のエンジン出力軸101aにはフライホイール159とベルト駆動部を設けると共に、エンジン101を弾性体から成る防振部材187・188・189・190を介して車台に固設したコンバインにおいて、前記他端側の防振部材189・190の弾性定数は、前記一端側の防振部材187・188よりも高く構成したので、エンジンの出力軸にかかる外部からの荷重に的確に対応し、エンジンの振動や騒音を大きく低減でき、エンジン出力部の耐久性を向上させることができる。
【0027】
また、フライホイール159が取り付けてあるエンジン出力軸101a上に、グレンタンク13下部の排出コンベア16に連結したプーリ103、および脱穀部の扱胴21にカウンターケース64を介して連結したプーリ102が固設されているが、エンジン101からプーリ102・103までの距離は短いため、エンジン出力軸101aにかかるトルクは小さくて済む。
【0028】
すなわち、他端側から、脱穀部やグレンタンク13などのピークトルクの高い高トルク処理系への動力を出力するので、エンジン101からの突出長さが短くて済み、出力部にかかる負担が小さくなり、耐久性が大幅に向上するのである。
【0029】
次に、図7から図11を用いてエンジンからグレンタンクおよび排出オーガへの駆動力伝達経路について詳細に説明する。
エンジン出力軸101aの前端側は、クローラ式走行装置1のミッションケース136と連結され、クローラ式走行装置1へ駆動力を伝達する。一方、エンジン出力軸101aの後端側には、脱穀部12や選別部17へ駆動力を伝達するためのプーリ102・102・102と、グレンタンク13および排出オーガ15へ駆動力を伝達するためのプーリ103とが嵌設される。
【0030】
グレンタンク13の底部前壁面13aはエンジン101の略後方に位置し、該底部前壁面13aには駆動ケース104が配設されている。そして、駆動ケース入力軸105が機体前方へ突出し、駆動ケース入力軸105の前端にはプーリ106が嵌設される。
前記エンジン出力軸101a後端に嵌設されたプーリ103と、駆動ケース入力軸105前端に嵌設されたプーリ106とにVベルト107が巻回され、エンジン101の駆動力の一部が駆動ケース104の入力軸105に伝達される。
駆動ケース104内には互いに噛合する平歯車108a・108bが収納されており、平歯車108aは駆動ケース104に軸支された前記入力軸105の後端に外嵌固定され、平歯車108bは排出コンベア16の前端に嵌設された回転軸であるコンベア駆動軸56に外嵌固定される。また、平歯車108bの歯数は平歯車108aの歯数より多くなるよう構成されているので、スクリュー式の排出コンベア16の回転数はエンジン101の回転数より小さくなり、穀物を排出する際に大きな回転トルクを発生可能である。
なお、本実施例では駆動ケース104内の減速機構として二枚の平歯車108a・108bを使用したが、三枚以上使用しても良く、平歯車の個数は限定されない。
【0031】
排出コンベア16の後端にはベベルギア109が嵌設され、縦オーガ15a内のスクリュー式の縦送りコンベア110下端に嵌設されたベベルギア111と噛合している。一方、縦送りコンベア110上端にはベベルギア112が嵌設され、該ベベルギア112と噛合するベベルギア113、チェーンやスプロケットを内設する中間ケース114、続いてベベルギア115・116を経て排出オーガ15内のスクリュー式の横送りコンベア117を回転駆動する。
【0032】
このように構成することにより、グレンタンク13に貯溜された穀物は排出コンベア16により後方に搬送され、グレンタンク13後方に位置する縦オーガ15aを経て、排出オーガ15先端から強制的に排出可能である。
【0033】
また、図8、図9および図10に示すように、グレンタンク13の下面前部から左側面にかけて、グレンタンク13の左側面形状に沿って屈曲し、上方へ延びたパイプ118が固設される。パイプ118の上端には係止ブラケット119・119が固設され、コンバインの機体本体側の係止部材(図示せず)と係合してグレンタンク13が固定される。一方、メンテナンス時などグレンタンク13を縦オーガ15a中心に側方へ回動させるときは、前記係止ブラケット119・119と機体本体側の係止部材との係合をワイヤ等を介してレバー等により解除可能に構成している。
【0034】
前記パイプ118の中途部にはステー120が固設され、該ステー120の先端にはアーム121の一端が回動可能に枢支される。アーム121の他端にはテンションプーリ122が回転自在に枢支される。また、アーム121の中途部には掛止ピン123が設けられるとともに、過負荷防止用の巻きバネ124を介してアクチュエータ125に連結されている。該アクチュエータ125はエアシリンダや油圧シリンダあるいは電動モータなどであって、前記巻きバネ124を上方に引き上げることによりアーム121を上方に回動させ、テンションプーリ122をVベルト107に当接させることが可能である。
【0035】
このように構成することにより、テンションプーリ122をVベルト107に当接させたときは、前記プーリ103およびプーリ106とVベルト107との間でスリップせず、エンジン101からの駆動力は排出コンベア16より下流側の駆動力伝達経路に伝達される。一方、テンションプーリ122をVベルト107から離間させると、前記プーリ103およびプーリ106とVベルト107との間は十分な摩擦力が発生せず、駆動力は伝達されない。
すなわち、テンションプーリ122は単にVベルト107の張力を略一定に保持するためのものではなく、排出コンベア16より下流側の駆動力伝達経路へエンジン101の駆動力を伝達・遮断するベルトテンション式のクラッチ機構である前記穀粒排出クラッチ184を兼ねる。
また、テンションプーリ122をVベルト107から離間させ、Vベルト107を外せば、グレンタンク13を側方へ回動させることが容易に可能である。
【0036】
上述の如く、縦置きされたエンジン101の出力軸101aと、駆動ケース104の入力軸105の長手方向はいずれも機体前後方向を向いており、互いに略平行であって、一組のプーリであるプーリ103・106と、Vベルト107とにより駆動力が伝達される。よって、駆動構成が簡単となり、小さく構成し、軽量で小スペースに配置することができ、動力損失も小さくすることができる。
また、グレンタンク13の底部前壁面13aに配設され、エンジン101の回転数を減速して排出コンベア16に伝達する駆動ケース104は、複数の互いに噛合する平歯車108a・108bを収納する構成であり、該駆動ケース104を小さくすることが可能である。すなわち、エンジン101から駆動ケース入力軸105までの駆動力伝達経路100の機体前後方向の長さ(図8における長さL)を短くすることが可能である。
さらに、メンテナンス時にはグレンタンク13は縦オーガ15aを中心に側方へ回動させるが、排出コンベア16とエンジン101との間の動力伝達経路の切り離しはテンションプーリ122をVベルト107から離間させ、Vベルト107を外すだけでよいので、作業性に優れる。
【0037】
続いて、グレンタンク13底部の振動機構について図11から図16を用いて説明する。なお、図15は便宜上排出コンベア16、および後述するコンベアカバー88を省略している。
図12および図13に示すように、駆動ケース104の内部には、前述した平歯車108a・108bの他に、従動板74および該従動板74の回動中心軸である駆動支軸75などが設けられている。従動板74は、その一端が前記駆動支軸75に枢着されるとともに、他端側には楕円形状のカム孔74aが穿設される。一方、前記排出コンベア16の回転軸であるコンベア駆動軸56の胴体部には平歯車108bと円盤形状の偏心カム73とが互いの盤面が略平行に外嵌固定される。このとき、該偏心カム73の盤面の中心軸とコンベア駆動軸56の回転軸とは一致しない(すなわち、コンベア駆動軸56の回転軸に対して偏心カム73が偏心する)ように配置されると共に、偏心カム73は前記従動板74に穿設されたカム孔74aに内挿される。
【0038】
一方、図14および図15に示すように、駆動パイプ87はグレンタンク13の前後方向に横架され、その前端は前記駆動支軸75に嵌設されるとともに、後端はグレンタンク13の底部後壁面13bに固設された支持ボックス96に回転可能に軸支された枢支軸96aに嵌設される。該駆動パイプ87の前端および後端にはそれぞれ揺動アーム76a・76bが垂設される。該揺動アーム76a・76bの下端は図14に示す如く側面視で互いに内向きに折り曲げられL字形状を有し、該折り曲げ部位間に連結プレート79が架設されるとともに、該連結プレート79下面には長手方向に補強用のパイプ78が固設される。
【0039】
連結プレート79には蝶番80・80・80を介して可動板82が連結される。可動板82は流穀板82a・82b、支持フレーム82c・82c・82c、仕切板82dなどで構成される。支持フレーム82cは蝶番80に連結され、その上面に流穀板82a・82bを固設することにより、前後に長い略長方形の可動板82を形成する。流穀板82a・82bの境界部分には、ちょうど可動板82上面をグレンタンク13の前後方向に二分割する形で仕切板82dが立設され、該可動板82上を流下する穀物の流れを前後に振り分けて、穀物が効率よく排出コンベア16に流れ込むように構成される。
【0040】
そして、可動板82はグレンタンク13の正面視略谷型の底部を形成する底面13c・13d・13eのうち、傾斜角度が小さく、面積が最も大きい底面13e上に載置される。このとき底面13eには、穀粒の荷重に対して十分な強度を有し、かつ可動板82が当接・摺動する際に摩擦抵抗の小さい樹脂板などの潤滑板83・83・・・がボルト固定等の手段で固設されている。また蝶番80が取り付けられている端部以外の可動板82の上面端部と当接するように押さえ板84がグレンタンク13の壁面に取り付けられているので、可動板82が底面13eの傾斜方向に揺動する際に底面13eから浮き上がり、可動板82と底面13eとの隙間に穀粒が大量に侵入して、可動板82の揺動を阻害したり、穀粒が損傷したりすることがない。
また、図12および図13に示すように、排出コンベア16の略上方には、正面視傘型のコンベアカバー85が配置され、その長手方向の両端をグレンタンク13の底部前壁面13aおよび底部前壁面13bに固定される。グレンタンク13が排出コンベア16を作動させて穀粒を排出するときは、該グレンタンク13内を流下する穀粒の流れがコンベアカバー85により正面視で左右に分断され、排出コンベア16に穀粒の荷重が真上からかからないので、排出コンベア16の負荷および穀粒の損傷を軽減することが可能である。
【0041】
以上の如く構成することにより、駆動ケース104に駆動力が伝達されると、コンベア駆動軸56が回転して排出コンベア16が回転駆動するとともに、偏心カム73も回転する。このとき、偏心カム73の端面と、従動板74に穿設された楕円形状のカム孔74aの端面とが当接し、従動板74は駆動ケース104に軸支された駆動支軸75を中心として左右に揺動する。そして、駆動支軸75に嵌設された駆動パイプ87の前後両端より略下方に垂設された揺動アーム76a・76bおよび連結プレート79もまた駆動支軸75を中心として左右に揺動し、蝶番80・80・80を介して連結プレート79に連結された可動板82は、排出コンベア16に向かって緩い傾斜を持つ底面13eに沿って、傾斜方向に揺動する。
従って、穀物は可動板82の揺動によってグレンタンク13下方へ流下し、排出コンベア16に流れ込むので、グレンタンク13の底面の傾斜を緩くして容積を確保し、グレンタンク13の全高を抑えることが可能である。
【0042】
また、粉体や粒体を容器に充填し、容器の下部に孔を設けて該充填物の自重により容器外部に粉体や粒体などの充填物を排出する場合、これら充填物が流下する速度は平面視中央部が大きいが、これを本発明のコンバインにおけるグレンタンク13に当てはめてみると、図16に示す斜線部が流下速度の大きい部位に当たる。このような場所に穀粒の流下方向とは逆向きにも揺動する揺動アームを配設することは、揺動に係る負荷の観点から見ても、穀粒表面の損傷や脱ぷの観点から見ても好ましいことではない。
本発明の揺動アーム76a・76bはグレンタンク13の前後壁面を成す底部前壁面13aおよび底部後壁面13b近傍に回動可能に枢支されており、これらグレンタンク13の前後壁面に沿って揺動し、該揺動アーム76a・76bは排出コンベア16が位置する排出通路の外側に配設されている。すなわち、揺動アーム76a・76bはグレンタンク13内において穀物の流下速度の小さい場所に配置されているので、揺動に係る負荷を軽減可能であるとともに、排出通路から外れた位置で揺動するため、穀粒表面の損傷や脱ぷを軽減可能である。
【0043】
続いて、グレンタンクに設けられたブリーザについて図10、図17および図18を用いて説明する。
グレンタンク内に穀粒を充填する際には、元々グレンタンク内を満たしていた空気に加えて選別済みの穀粒が搬送投入されるので、グレンタンク内の空気圧が増加し、グレンタンク内の空気が揚穀コンベアに逆流してしまい、穀物も共に逆流し、穀物の搬送効率を低下させてしまう。そこで、グレンタンクにはブリーザ(空気孔)を設けていたが、ブリーザをグレンタンク側面に設けると、充填された穀物によりブリーザが閉塞されてしまう。また、単にブリーザをグレンタンク天井面に設けても、飛散した籾によりブリーザは閉塞される場合がある。そのため、グレンタンクの全高を貯溜する穀物量から求められる高さよりも余計に高くしなければならなかった。
本実施例では、グレンタンク13内に穀粒を充填する揚穀コンベア38の排出口38aからグレンタンク13内部に投げ出される穀粒は、図10および図18の斜線部で示す穀粒放出領域(最大放出範囲軌跡)内を通過してグレンタンク13の底部に貯溜されるが、平面視および側面視でも該放出領域に重ならない位置にブリーザ孔130が設けられるのである。即ち、本実施例ではグレンタンク13の天井の後部であって、後下がりに傾斜した天井面における、後部に配置した揚穀コンベア38の排出口38aの右(または左)斜め前側方に配置して、排出口38aより上方に飛び出した穀粒がブリーザ孔130に入ることがなく、また、斜めに飛び出した穀粒もブリーザ孔130に入らない位置としている。また、排出される空気に混じる埃等が運転席側に回り込むことがない位置としている。
【0044】
図17に示す如く、グレンタンク13への穀物の流入によりグレンタンク13内から排出される空気は、ブリーザ孔130から薄い箱形状のブリーザカバー131内に流入し、ブリーザカバー131の左右側面前部に穿設された排出孔131a・131bから機体外部へ排出される。
【0045】
すなわち、ブリーザ孔130は、グレンタンク13に充填される穀粒によって閉塞を起こさないこと、雨水やその他の異物等が該ブリーザ孔130より侵入しないことを考慮した上で、グレンタンク13の全高を低く抑えられるように配設されることが望ましいが、上述の如く構成することにより、グレンタンク13内に投げ出された穀粒がブリーザ孔130に直接侵入し、閉塞を起こすことがない。
また、ブリーザカバー131を設け、該ブリーザカバー131側面に排出孔131a・131bを設けたので、グレンタンク13の天井面にブリーザ孔130を穿設しているにもかかわらず、雨水やその他の異物がグレンタンク13に侵入することがない。
さらに、ブリーザカバー131を薄い箱形状に形成したので、グレンタンク13の全高が高くなるのを抑えることが可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0047】
即ち、請求項1に示す如く、エンジンの出力軸方向が機体前後方向と略一致するとともに、該エンジンの駆動力の一部がグレンタンク内方下部に設けられた排出コンベアの駆動力として用いられるコンバインであって、
一組のプーリと、ベルトとにより、エンジンの出力軸から排出コンベアの駆動ケースの入力軸まで駆動力が伝達されるので、エンジンから駆動ケース入力軸までの駆動力伝達経路の機体前後方向の長さを短くし、グレンタンクをコンパクトにすることが可能である。
【0048】
請求項2に示す如く、前記エンジンからの駆動力を、駆動ケースの入力軸から駆動ケース内に配置した複数の平歯車を介して減速して排出コンベアに伝達する構成としたので、駆動ケースを薄くし、エンジンから駆動ケース入力軸までの駆動力伝達経路の機体前後方向の長さを短くし、グレンタンクをコンパクトにすることが可能である。また、排出コンベアとエンジンとの間の動力伝達経路の切り離しはテンションプーリをベルトから離間させ、ベルトを外すだけでよいので、メンテナンス時の作業性に優れる。
【0049】
請求項3に示す如く、前記グレンタンクの傾斜した底面上に配置された可動板を、前記駆動ケースより突出した揺動アームと連結して揺動し、該揺動アームを籾排出通路外側に配置したので、揺動アームはグレンタンク内において穀物の流下速度の小さい場所に配置され、揺動に係る負荷を軽減可能であり、穀粒表面の損傷や脱ぷを軽減可能であるとともに、グレンタンク底面の傾斜を緩くして容積を確保し、グレンタンクの全高を抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱穀部を備えたコンバインの全体左側面図。
【図2】同じく全体平面図。
【図3】同じく全体右側面図。
【図4】同じく正面図。
【図5】動力伝達経路を示す模式図。
【図6】エンジンの配置を示す平面図。
【図7】エンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図。
【図8】グレンタンク前部の平面断面図。
【図9】グレンタンク底部の正面図。
【図10】グレンタンクの左側面図。
【図11】グレンタンク底部の斜視図。
【図12】駆動ケースの断面図。
【図13】グレンタンク底部の正面図。
【図14】グレンタンク内部の側面視模式図。
【図15】グレンタンクの平面断面図。
【図16】本発明のグレンタンクにおける穀物流下速度の分布を示す図。
【図17】ブリーザカバーの斜視図。
【図18】グレンタンクの平面図。
【符号の説明】
13 グレンタンク
13a 底部前壁面
13b 底部後壁面
13e 底面
16 排出コンベア
76a・76b 揺動アーム
82 可動板
101 エンジン
101a 出力軸
103 プーリ
106 プーリ
107 Vベルト
108a・108b 平歯車
Claims (3)
- エンジンの出力軸方向が機体前後方向と略一致するとともに、該エンジンの駆動力の一部がグレンタンク内方下部に設けられた排出コンベアの駆動力として用いられるコンバインであって、
一組のプーリと、ベルトとにより、エンジンの出力軸から排出コンベアの駆動ケースの入力軸まで駆動力が伝達されることを特徴とするコンバイン。 - 前記エンジンからの駆動力を、駆動ケースの入力軸から駆動ケース内に配置した複数の平歯車を介して減速して排出コンベアに伝達する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
- 前記グレンタンクの傾斜した底面上に配置された可動板を、前記駆動ケースより突出した揺動アームと連結して揺動し、該揺動アームを籾排出通路外側に配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
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