JP2004014620A - 酸化物磁性材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Srを含む六方晶フェライトなどの酸化物磁性材料であり、結晶粒のまわりに粒界相が存在しており、該粒界相中にSrが2重量%以上、好ましくは5重量%以上含まれており、Bi、V、B、及びCuから選ばれる少なくとも1種の添加元素が10重量%以上、好ましくは25重量%以上含まれていることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波回路部品等における積層型インダクタや積層セラミック基板等に使用することができる酸化物磁性材料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年の電子機器の小型化・高周波数化に伴い、高周波帯域で使用可能な磁性材料へのニーズは高まりつつある。高周波用の磁性材料としては、NiCuZn系のスピネルフェライトが従来使用されてきたが、数百MHzを越えると、自然共鳴を起こし、損失が増大するため、実質的に磁性体として機能しなくなる。GHz帯域まで使用可能な磁性材料としては、磁気的な異方性が高いBa3Me2Fe24O41(Me:2価金属)などで表わされる六方晶系フェライトが挙げられる。さらに、異方性を高めて高周波特性を向上させるため、上記六方晶系フェライトにおけるBaの一部をSrで置換することなどが試みられている。
【0003】
しかしながら、GHz帯域では、透磁率の虚数成分(μ″)が大きくなるため、インダクタとして使用するには損失が大きいという問題があった。
また、高周波回路部品においては、磁性体セラミック基板と誘電体セラミック基板を積層した積層セラミック基板を用いることにより、小型化を図ることが検討されている。このような積層セラミック基板においては、誘電体セラミック基板の上にコンデンサのパターン配線を形成し、磁性セラミック基板の上にインダクタのパターン配線を形成している。
【0004】
図4は、このような積層セラミック基板の一例を示す斜視図であり、図5は、分解斜視図である。図4及び図5に示すように、積層セラミック基板は、複数のセラミック基板3及び4を積層することにより構成されている。各セラミック基板3及び4の表面には、インダクタやコンデンサを構成する複数の配線パターン11がスクリーン印刷法等により形成されている。
【0005】
セラミック基板3が磁性セラミック基板であり、セラミック基板4が誘電体セラミック基板である場合、インダクタを構成する配線パターン11は磁性セラミック基板3の上に形成され、コンデンサを構成する配線パターン11は誘電体セラミック基板4の上に形成される。基板間の配線パターン11は、バイアホール12により接続される。
【0006】
これらのセラミック基板3及び4は、積層した後、高温で焼成することにより、一体化され、積層セラミック基板とすることができる。
配線パターン11を、導電率の高いAg等で形成する場合、900℃程度の低温で焼成する必要がある。高温で焼成すると、Ag等の配線パターンの形状が崩れてしまい、所望の回路を各基板上に形成することができない。
【0007】
しかしながら、従来の六方晶系フェライト等の磁性セラミック材料の焼成温度は1300℃以上であり、900℃程度の低温で焼成した場合には、良好な磁気特性を得ることができないという問題があった。
【0008】
B2O3、CuO及びBi2O3などの焼結助剤を添加することにより、低温焼成を図る試みがなされているが、低温焼成の効果が十分に得られておらず、また磁気的損失を十分に低減できていない。特に、Baの一部をSrで置換した六方晶系フェライトにおいては、十分な効果が得られていない。
【0009】
本発明の目的は、低温焼成で製造することができ、かつ高周波帯域で良好な磁気特性を示す酸化物磁性材料及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の酸化物磁性材料は、Srを含む酸化物磁性材料であり、結晶粒のまわりに粒界相が存在しており、該粒界相中にSrが2重量%以上含まれており、Bi、V、B、及びCuから選ばれる少なくとも1種の添加元素が10重量%以上含まれていることを特徴としている。
本発明の酸化物磁性材料においては、粒界相中にSrが2重量%以上含まれており、かつ上記添加元素が10重量%以上含まれていることにより、その磁気的損失を低減することができ、良好な磁気特性を示すことができる。また、本発明の酸化物磁性材料は、低温焼成で製造することができる。
【0011】
粒界相中におけるSrの含有量は、2重量%以上が好ましく、さらに好ましくは5重量%以上であり、その上限値は30重量%以下であることが好ましい。粒界相中におけるSrの含有量が2重量%未満のときは、900℃程度の低温で焼成した後の収縮がほとんど見られず、焼成後の試料において機械的強度等に問題があるとともに、磁気的損失が増大してしまう。また、Sr含有量が30重量%を越えると、Bi等他の元素の含有量が相対的に減ることにより、低温焼成時に緻密化されない場合がある。
【0012】
また、粒界相中における添加元素の含有量は、10重量%以上が好ましく、さらに好ましくは25重量%以上であり、その上限値は70重量%以下であることが好ましい。添加元素の含有量が10重量%未満のときは、900℃程度の低温で焼成した後の収縮がほとんど見られず、焼成後の試料において機械的強度等に問題があるとともに、磁気的損失が増大してしまう。また、添加元素の含有量が70重量%を越えると透磁率(実数成分)の値が低下してしまう場合がある。
【0013】
添加元素としては、特にBiが好ましく用いられる。添加元素は、酸化物磁性材料の原料粉末を仮焼成して得られる仮焼成粉末に、添加元素を含む酸化物を添加し、これを焼成することにより、酸化物磁性材料中に含有させることができる。添加元素を含む酸化物としては、Bi2O3、V2O5、B2O3、CuOなどが挙げられる。粒界相中における添加元素の含有量は、仮焼成粉末に添加する該酸化物の量により調整することができる。
【0014】
また、本発明においては、添加元素を含む酸化物と共に、Srを含む酸化物を仮焼成粉末に添加し、これを焼成することにより、Srを酸化物磁性材料中に含有させてもよい。Srを含む酸化物を仮焼成粉末に添加することにより、特に粒界相中におけるSrの含有量を高めることができる。Srの粒界相中における含有量は、後述するように、仮焼成粉末とSrを含む酸化物を粉砕混合する際の粉砕混合の条件を変えることによっても制御することができる。例えば、混合時間を長くすることにより、粒界相中におけるSrの含有量を高めることができる。また、酸化物磁性材料の原料粉末を仮焼成する際の温度を変えることによっても粒界相中におけるSrの含有量を制御することができる。すなわち、仮焼成温度を低くすることによって、粒界相中におけるSrの含有量を高めることができる。
【0015】
また、本発明においては、粒界相中にさらにSiが含まれていてもよい。粒界相中におけるSiの含有量は2重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは3重量%以上であり、その上限値は20重量%以下であることが好ましい。Siが粒界相中に含まれることにより、焼成された酸化物磁性材料の収縮率が高くなり、磁気的特性を高めることができる。粒界相中におけるSiの含有量が2重量%未満のときは、Si含有による損失低減の効果が不十分な場合がある(すなわちμ′/μ″の値が低くなる)。また、Si含有量が20重量%を越えると、透磁率(実数成分)の値が著しく低下してしまう傾向がある。
【0016】
酸化物磁性材料の仮焼成粉末に、添加元素を含む酸化物と共にSiを含む酸化物を添加し、これを焼成することにより、粒界相中にSiを含有させることができる。なお、粒界相中におけるSiは、粒界相中において均一に存在している必要はなく、粒界相中の一部に偏在していてもよい。例えば、粒界相中において一部の領域にBi等の添加元素が多く存在しており、他の一部の領域にSiが多く存在していてもよい。
【0017】
本発明の酸化物磁性材料中の結晶粒は、その平均粒径が0.01μm以上、3μm以下であることが好ましい。結晶粒の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)の断面写真から測定することができる。具体的には、SEMの断面写真を画像処理することにより、各結晶粒の面積を算出し、それを真円と仮定して円の直径に換算することにより求めることができる。平均結晶粒径が3μmより大きいときは、900℃程度の低温で焼成した後の収縮がほとんど見られず、焼成後の試料において機械的強度等に問題があるとともに、磁気的損失が増大してしまう場合がある。また、平均結晶粒径が0.01μm未満と微細になると、結晶粒同士が凝集を起こしやすくなり、均一に磁性体が分散したスラリーを得ることが困難となる場合がある。
【0018】
本発明においては、酸化物磁性材料が六方晶フェライトであることが好ましい。具体的には、結晶粒が六方晶フェライトの結晶構造を有していることが好ましい。また、六方晶フェライトは、M3Me2Fe24O41(MはBa及び/またはSrを示し、Meは2価の金属を示す。)で表わされるZ相を主相としていることが好ましい。また、この主相は、(SrxBa1−x)3Me2Fe24O41(xは、0≦x≦1を満たす値である。)で表わされることが好ましい。
【0019】
本発明の製造方法は、上記本発明の酸化物磁性材料を製造することができる製造方法であり、酸化物磁性材料の原料粉末を仮焼成して仮焼成粉末を調製する工程と、仮焼成粉末に、Bi、V、B、及びCuから選ばれる少なくとも1種の添加元素を含む酸化物を混合して混合粉末を調製する工程と、混合粉末を焼成する工程とを備え、焼成後の酸化物磁性材料において、結晶粒のまわりに存在する粒界相中にSrが含まれていることを特徴としている。
【0020】
添加元素を含む酸化物としては、上記本発明の酸化物磁性材料において説明したものを用いることができる。
また、本発明の製造方法においては、添加元素を含む酸化物と共に、Srを含む酸化物を仮焼成粉末に混合してもよい。Srを含む酸化物の添加量を制御することにより、粒界相中のSrの含有量を制御することができる。具体的には、添加量を高めることにより、粒界相中のSrの含有量を高めることができる。
【0021】
また、本発明の製造方法においては、仮焼成粉末に、添加元素を含む酸化物及び/またはSrを含む酸化物を添加し混合するが、この場合、一般にボールミルなどで粉砕しながら混合することが好ましい。このときの粉砕混合の条件を制御することにより、粒界相中におけるSrの含有量を制御することができる。例えば、混合時間を長くすることにより、粒界相中におけるSrの含有量を高めることができる。
【0022】
また、仮焼成の温度を制御することによっても、粒界相中のSrの含有量を制御することができる。具体的には、仮焼成温度を低くすることにより、粒界相中のSrの含有量を高めることができる。
【0023】
また、本発明の製造方法においては、添加元素を含む酸化物と共に、Siを含む酸化物を仮焼成粉末に混合してもよい。Siを含む酸化物を仮焼成粉末に混合することにより、粒界相中にSiを含有させることができる。
【0024】
また、本発明の製造方法においては、混合粉末を基板状に成形した後、焼成することができる。これにより、磁性体基板を製造することができる。混合粉末を基板状に成形する方法としては、混合粉末にバインダーを加え、これをスラリー化した後、グリーンシートを形成する方法が挙げられる。また、混合粉末にバインダーを添加した後、プレス成形して基板状に成形してもよい。
【0025】
基板状に成形した成形体は複数積層した後、焼成してもよい。
また、基板状に成形した成形体を、誘電体材料などの他の材料からなる基板状成形体と積層した後、この積層体を焼成してもよい。これにより、磁性体基板と、誘電体などの他の材料からなる基板とが積層された積層セラミック基板とすることができる。
【0026】
焼成前の基板状成形体には、スクリーン印刷法などにより配線パターンを形成することができる。また、バイヤホールなどを形成することができる。
本発明の酸化物磁性材料は、低温焼成することができるものであるので、配線パターンの材料としてAgなどの材料を用いることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1〜5)
原料粉末として、BaO、SrO、CoO及びFe2O3を用い、化学量論組成(SrxBa1−x)3Co2Fe24O41において、Sr置換率xが、x=0、x=0.25、x=0.5、x=0.75、及びx=1となるように、各原料粉末を秤量し、秤量した原料粉末を、ジルコニア製ポット及びボールを用いたボールミルにより24時間粉砕しながら混合した。得られた混合粉末を、1250℃(x=0の場合は1300℃)で2時間仮焼成することにより、(SrxBa1−x)3Co2Fe24O41(x=0、x=0.25、x=0.5、x=0.75、またはx=1)で示されるZ型構造の六方晶系フェライトの仮焼成粉末を得た。
【0029】
得られた仮焼成粉末96重量部に対して、Bi2O3粉末を5重量部、SrO粉末を1重量部添加した後、各混合粉末をジルコニア製ポット及びボールを用いたボールミルにより粉砕しながら混合した。得られた混合粉末に、有機溶剤及びPVA系バインダーを添加し、再びボールミルにより湿式混合を行った。PVA系バインダーは、5重量%となるように添加した。
【0030】
湿式混合後、乾燥・分級の工程を経て得られた粉末を、外径8mm、内径4mm、高さ2mmのリング形状に成形した。この成形体を、900℃の温度で2時間保持して焼成した。得られた各リング状試料について、インピーダンスアナライザーを用いてその透磁率を測定した。
【0031】
なお、Sr置換率x=0を実施例1、x=0.25を実施例2、x=0.5を実施例3、x=0.75を実施例4、x=1を実施例5とした。
【0032】
(比較例1及び2)
実施例2において、1300℃で仮焼成を行って得られた仮焼成粉末にSrOを添加せず、Bi2O3のみを5重量部添加した以外は、実施例2と同様にして比較例1のリング状試料を作製した。
【0033】
実施例3において、1300℃で仮焼成を行って得られた仮焼成粉末にSrOを添加せず、Bi2O3のみを5重量部添加した以外は、実施例3と同様にして比較例2のリング状試料を作製した。
【0034】
これらのリング状試料について、上記実施例と同様にして透磁率を測定した。
図1及び図2は、各リング状試料の透磁率測定結果を示す図である。
図1は、Sr置換率と、1.8GHzにおける透磁率の実数成分μ′と虚数成分μ″との比μ′/μ″(=Q)との関係を示す図である。図2は、Sr置換率と、1.8GHzにおける透磁率の実数成分μ′とQとの積(μQ)との関係を示す図である。図1及び図2において、●は実施例1〜5を示しており、△は比較例1及び2を示している。
【0035】
図1及び図2から明らかなように、実施例1〜5は、比較例1及び2に比べ、μ′/μ″が高くなっており、磁気的損失が低減していることがわかる。また、実施例1〜5は、μQにおいても、比較例1及び2に比べ高くなっており、高いインダクタンス特性を示すことがわかる。
【0036】
図3は、実施例2のリング状試料の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図3において、相対的に白く明るい部分は粒界相を示しており、相対的に黒く暗い部分は結晶粒を示している。なお、実施例2の結晶粒の平均粒径を測定したところ、0.6μmであった。また、比較例1の結晶粒の平均粒径は4.5μmであった。
【0037】
EPMAにより、粒界相中に含まれているBi及びSrの含有量を測定した。表1に、その測定結果を示す。その他の実施例及び比較例についても、同様にして、粒界相中のBi及びSrの含有量を測定した。測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1から明らかなように、本発明に従う実施例1〜5においては、Srが粒界相中において高い濃度で含有されていることがわかる。
また、XPSにより、これらBi及びSrは酸化物として粒界中に存在していることがわかった。
【0040】
(実施例6)
実施例2におけるバインダーを添加して混合した後のスラリーを用い、ドクターブレード法によりグリーンシートを形成した。グリーンシートの上には、スクリーン印刷法によりAgペーストをパターニングし、所望の受動回路を形成した。異なる受動回路を同様にして形成したグリーンシートを別に作製し、これらのグリーンシート10枚を、静水圧プレスにより積層圧着し、900℃で焼成して積層インダクタを作製した。得られた積層インダクタは、良好な焼結状態のものであった。
【0041】
また、誘電体からなるグリーンシートを作製し、このグリーンシートと、上記本発明の酸化物磁性材料からなるグリーンシートを積層し、上記と同様にして積層圧着し、900℃で焼成して、積層セラミック基板を作製した。得られた積層セラミック基板は、良好な焼結状態のものであった。
【0042】
(実施例7〜9)
上記実施例2と同様にして作製した仮焼成粉末96重量部に、表2に示す割合で、Bi2O3、SrO、及びSiO2を添加した後、上記実施例と同様にしてリング状試料を作製した。
【0043】
【表2】
【0044】
上記実施例と同様にして、実施例7〜9の試料における粒界相中に含まれるBi、Sr、及びSiの含有量を測定し、測定結果を表3に示した。
【0045】
【表3】
【0046】
上記実施例と同様にして、実施例7〜9の試料の透磁率を測定し、測定結果を表4に示した。また、焼成前後における収縮率を測定し、表4に示した。収縮率は、焼成前の寸法と焼成後の寸法を測定することにより求めた。なお、表4には、実施例2及び比較例1の結果を併せて示す。
【0047】
【表4】
【0048】
表4に示す結果から明らかなように、SiO2が粒界相中に含まれることにより、焼成時における収縮率が増大しており、また磁気的特性も向上していることがわかる。なお、本発明においては、周期律表のIa族元素またはIIa族元素とVIIb族元素との化合物が粒界相中に含まれていてもよい。このような化合物が含まれることにより、さらに良好な磁気的特性が得られると共に、さらなる低温焼成が可能となる。該化合物は、添加元素を含む酸化物と共に、仮焼成粉末に添加することにより、酸化物磁性材料中に含有させることができる。
【0049】
上記化合物としては、融点が900℃以下であるものが好ましく用いられる。融点が900℃以下である上記化合物の具体例としては、CaCl2、KF、KI、NaCl、NaI、SrBr2、SrCl2、BaBr2、及びBaI2などが挙げられる。これらの中でも、CaCl2が特に好ましく用いられる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、低温焼成で製造することができ、かつ高周波帯域で良好な磁気的特性を示す酸化物磁性材料とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う実施例におけるμ′/μ″を示す図。
【図2】本発明に従う実施例におけるμQを示す図。
【図3】本発明に従う実施例2における酸化物磁性材料の断面を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図4】積層セラミック基板の一例を示す斜視図。
【図5】積層セラミック基板の一例を示す分解斜視図。
【符号の説明】
3…磁性体セラミック基板
4…誘電体セラミック基板
11…配線パターン
12…バイアホール
Claims (14)
- Srを含む酸化物磁性材料であって、結晶粒のまわりに粒界相が存在しており、該粒界相中にSrが2重量%以上含まれており、Bi、V、B、及びCuから選ばれる少なくとも1種の添加元素が10重量%以上含まれていることを特徴とする酸化物磁性材料。
- 前記添加元素がBiであることを特徴とする請求項1に記載の酸化物磁性材料。
- 前記酸化物磁性材料が六方晶フェライトであることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物磁性材料。
- 前記六方晶フェライトが、M3Me2Fe24O41(MはBa及び/またはSrを示し、Meは2価の金属を示す。)で表わされるZ相を主相とすることを特徴とする請求項3に記載の酸化物磁性材料。
- 前記主相が、(SrxBa1−x)3Me2Fe24O41(xは、0≦x≦1を満たす値である。)で表わされることを特徴とする請求項4に記載の酸化物磁性材料。
- 前記結晶粒の平均粒径が0.01μm以上、3μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸化物磁性材料。
- 前記粒界相中にさらにSiが2重量%以上含まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸化物磁性材料。
- 酸化物磁性材料の原料粉末を仮焼成して仮焼成粉末を調製する工程と、
前記仮焼成粉末に、Bi、V、B、及びCuから選ばれる少なくとも1種の添加元素を含む酸化物を混合して混合粉末を調製する工程と、
前記混合粉末を焼成する工程とを備え、
前記焼成後の酸化物磁性材料において、結晶粒のまわりに存在する粒界相中にSrが含まれていることを特徴とする酸化物磁性材料の製造方法。 - 前記添加元素がBiであることを特徴とする請求項8に記載の酸化物磁性材料の製造方法。
- 前記添加元素を含む酸化物と共に、Srを含む酸化物を前記仮焼成粉末に混合することを特徴とする請求項8または9に記載の酸化物磁性材料の製造方法。
- 前記添加元素を含む酸化物と共に、Siを含む酸化物を前記仮焼成粉末に混合することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の酸化物磁性材料の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸化物磁性材料、または請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法により製造された酸化物磁性材料からなることを特徴とする磁性体基板。
- 請求項12に記載の磁性体基板と、他の材料からなる基板とが積層されていることを特徴とする積層セラミック基板。
- 前記他の材料からなる基板が誘電体基板であることを特徴とする請求項13に記載の積層セラミック基板。
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