JP2004014091A - フォーカス引き込み制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定したフォーカス引き込みを実現し、ディスク再生に要する時間の短縮を図ったフォーカス引き込み制御方法を提供する。
【解決手段】S字検出時間測定装置11により、FE信号のS字曲線の検出時間を測定し、ランプ波傾き制御装置13において検出時間と閾値との大小により、ディスク1に対するアクチュエータ3の相対速度の大小を判定し、相対速度が大きい場合には、ランプ波発生装置8からのランプ波形の傾きを小さくし、アクチュエータ3の駆動速度を小さくする。
【選択図】 図1
【解決手段】S字検出時間測定装置11により、FE信号のS字曲線の検出時間を測定し、ランプ波傾き制御装置13において検出時間と閾値との大小により、ディスク1に対するアクチュエータ3の相対速度の大小を判定し、相対速度が大きい場合には、ランプ波発生装置8からのランプ波形の傾きを小さくし、アクチュエータ3の駆動速度を小さくする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体から情報を再生する装置のフォーカス引き込み制御方法に関し、特にディスクに対して光ピックアップの対物レンズを焦点深度内に引込む際のフォーカス引込み制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクや光磁気ディスク(以下、ディスクと略称する)の再生装置では、光ピックアップからレーザー光をディスクに対して照射し、その反射光の大小により、ディスクに記録された信号を読み取る。
【0003】
しかし、ディスクと光ピックアップとの間には、ディスクの回転に伴い、0.2〜0.3mm程度の面振れが生じる。この面振れは、光ピックアップの対物レンズの焦点深度(±1μm程度)よりもはるかに大きい。そのため、ディスクに記録された信号を正しく読み取るためには、光ピックアップからのレーザー光が常にディスク面上で焦点を結ぶように、ディスク面に対して垂直方向の位置制御であるフォーカス制御が行われる。
【0004】
図7は、従来のフォーカス引き込み制御方法が適用されるディスク再生装置の構成を示すブロック図である。図7において、1はディスク、2はディスク1にレーザー光を照射し、その反射光を検出して電気信号へ変換するための光ピックアップ、3は光ピックアップ2をディスク1に対して垂直方向(以下、フォーカス方向という)に移動させるためのアクチュエータ、4は光ピックアップ2の出力信号からフォーカス誤差検出信号(以下、FE信号という)を生成するためのFE信号生成装置、5はFE信号を検出するためのFE信号検出装置、6はFE信号の振幅がゼロとなるようにアクチュエータ3を制御するフォーカス制御装置、7はフォーカス制御装置6より指令を受けてアクチュエータ3を駆動する信号を生成するアクチュエータ駆動信号生成装置、8はフォーカス引込み制御時にアクチュエータ3をフォーカス方向に駆動させるランプ波を発生させるためのランプ波発生装置、9はアクチュエータ駆動信号生成装置7からの信号とランプ波発生装置8からのランプ波を切り替えるスイッチ、10はアクチュエータ3をフォーカス方向に移動させるために電流を印加するアクチュエータ駆動装置である。
【0005】
図10は、ディスク1と光ピックアップ2との距離LとFE信号の関係を表した図で、縦軸はFE信号の振幅、横軸はディスク1と光ピックアップ2の距離Lである。図10に示すように、ディスク1と光ピックアップ2との距離LとFE信号の関係は、一般に、S字曲線と呼ばれる特性となり、焦点深度内において、ディスク1と光ピックアップ2との距離Lが近い場合、FE信号は正の振幅を、距離Lが遠い場合、FE信号は負の振幅を有する。S字曲線の中央部で零クロスをしているが、この位置が合焦点Pで、この合焦点Pを維持するようにアクチュエータ3を制御するのがフォーカス制御である。
【0006】
フォーカス制御では、まず、ディスク1に対して、光ピックアップ2の対物レンズが焦点深度内に引込むように、フォーカス引込み制御を行う。
【0007】
以下、従来のフォーカス引込み制御方法について、図面を用いて説明する。
図8は、従来のフォーカス引込み制御方法におけるFE信号とアクチュエータ駆動装置10への入力信号(以下、FOD信号という)のフォーカス引き込み制御時のタイミングチャートであり、縦軸は信号の振幅、横軸は時間である。なお、図8は、アクチュエータ3の移動方向がディスク1から遠ざかる方向であるときにフォーカス引込みを行う場合の波形を表したもので、アクチュエータやピックアップの極性によっては、FE信号、FOD信号の極性が図8とは異なる場合もある。
【0008】
フォーカス引込み制御では、まず、アクチュエータ3を一旦ディスク1に近づけるため、図8の時点t1で、スイッチ9の共通接点がをa側に接続され、ランプ波発生装置8からの出力信号がアクチュエータ駆動装置10へ入力される。アクチュエータ駆動装置10はアクチュエータ3に電流を供給し、それによりアクチュエータ3はフォーカス方向の移動を開始する。図8の時点t1からt2の時間区間では、FOD信号の振幅は単調増加するため、アクチュエータ3の移動方向は、ディスク1に近づく方向である。なお、アクチュエータ3の移動速度は、ランプ波発生装置8の出力波形の傾きに依存し、傾きが大きいほどアクチュエータ3の移動速度も大きくなる。
【0009】
図8の時点t2では、アクチュエータ3はディスク1へ最も近づいた位置にある。ここで、ランプ波発生装置8の出力波形の極性を反転させる。これにより、アクチュエータ3の移動方向はディスク1から遠ざかる方向へと変わる。
【0010】
一方、光ピックアップ2はディスク1へレーザー光を照射し、その反射光を検出して電気信号へと変換しているが、ディスク1に対して光ピックアップ2の図示しない対物レンズが焦点深度内にない場合(図8の時点t1から時点t3の直前まで)、光ピックアップ2の出力は、ほぼゼロである。すなわち、FE信号生成装置4で生成されるFE信号の振幅、およびFE信号検出装置5の検出結果もゼロとなる。
【0011】
アクチュエータ3が移動し、図8の時点t3で、ディスク1に対して、光ピックアップ2の対物レンズが焦点深度内に入ると、光ピックアップ2から電気信号が出力され始める。FE信号生成装置4は、それを元にFE信号を生成する。
【0012】
ディスク1に対する光ピックアップ2の対物レンズの焦点深度内において、FE信号検出装置5からの検出結果がゼロとなったとき、すなわち、図8の時点t4において、スイッチ9の共通接点がb側に接続され、アクチュエータ駆動信号生成装置7の出力信号がアクチュエータ駆動装置10へ入力され、フォーカス制御のループは閉じられる。
【0013】
フォーカス制御装置6は、FE信号検出装置5からの検出結果がゼロとなるように、アクチュエータ信号生成装置7からの出力信号の制御を開始し、フォーカス引き込み制御は完了する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のフォーカス引込み制御方法には、次のような問題点があった。
【0015】
ディスク1の信号面に対する光ピックアップ2の相対移動速度が大きいと、サーボループを閉じても引き込めずに暴走してしまうことがある。このため、通常は、引き込み可能な速度に対してある程度マージンを持たせてランプ波発生装置8の出力波形の傾きを設定する。しかし、振動や光ピックアップ2の姿勢により、不測の速度が生じた場合、フォーカス引き込みに失敗してしまう。また、周辺温度等の環境変化や経時変化により、アクチュエータ3の特性が変化した場合、アクチュエータ3の移動速度が当初想定していたものから変化することも考えられ、その場合もフォーカス引き込み動作が不安定になる恐れがある。
【0016】
図9は、従来のフォーカス引き込み失敗時のリトライ処理によるFE信号とFOD信号のタイミングチャートである。従来では、図9に示すように、フォーカス引き込みに1回または複数回失敗した(時点t5)後、場合によっては、ランプ波発生装置8の出力信号の傾きを変え、アクチュエータ3の移動速度を変えるなどして、フォーカス引き込みのリトライ処理を行うことで、フォーカス引き込みを行っていた(時点t6)。
【0017】
しかしながら、上記従来の構成では、フォーカス引き込みに1回または複数回失敗した後で、フォーカス引き込みリトライ処理へと移行するため、振動が多い環境や、光ピックアップの姿勢が頻繁に変動するような環境などでは、ディスクから信号を読み取って再生を行うまでの時間が長くなるという問題があった。
【0018】
本発明は、かかる従来の問題点を解決するもので、その目的は、ディスクに対する光ピックアップの相対速度が変化した場合でも、安定してフォーカス引き込みを行い、ディスク再生に要する時間の短縮を図ったフォーカス引き込み制御方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係るフォーカス引き込み制御方法は、光記録媒体から情報を再生する装置に適用されるフォーカス引き込み制御方法であって、フォーカス引き込み動作前に、光記録媒体面に対して垂直方向にアクチュエータを所定の速度で駆動して光ピックアップを移動させ、光ピックアップの移動中に光記録媒体からの反射光に基づき生成されるフォーカス誤差検出信号のS字曲線を検出した時間(tS)を測定し、S字曲線の検出時間を1つの閾値(T)と比較し、検出時間が閾値よりも大きい場合、アクチュエータを所定の速度で駆動し、検出時間が閾値以下である場合、アクチュエータを所定の速度以下の速度で駆動してフォーカス引き込みを行うことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明によるフォーカス引き込み制御方法の第1の特徴的形態は、フォーカス引き込み動作前に、光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体面に対して垂直方向に、アクチュエータを所定の速度で駆動して光ピックアップを移動させ、光ピックアップの移動中に光記録媒体からの反射光に基づき生成されるフォーカス誤差検出信号のS字曲線を検出した時間(tS)を測定し、S字曲線の検出時間を1つの閾値(T)と比較し、検出時間が閾値よりも大きい場合、アクチュエータを所定の速度で、検出時間がしきい値以下である場合は、アクチュエータを所定の速度以下の速度で駆動してフォーカス引き込みを行うことにある。
【0021】
この第1の特徴的形態によれば、S字曲線の検出時間に基づいて、ディスクに対する光ピックアップの相対移動速度の大小を判断できるため、相対移動速度が大きい場合は、アクチュエータの駆動速度を遅くすることで、安定したフォーカス引き込み制御が可能となる。
【0022】
また、本発明によるフォーカス引き込み制御方法の第2の特徴的形態は、フォーカス引き込み動作前に、光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体面に対して垂直方向に、アクチュエータを所定の速度で駆動して光ピックアップを移動させ、光ピックアップの移動中に光記録媒体からの反射光に基づき生成されるフォーカス誤差検出信号のS字曲線を検出した時間を測定し、S字曲線の検出時間を複数の閾値と比較し、比較結果に応じてアクチュエータの駆動速度の設定を行い、フォーカス引き込みを行うことにある。
【0023】
この第2の特徴的形態によれば、上記第1の特徴的形態よりもフォーカス引き込みに要する時間を短くすることが可能である。
【0024】
以下、図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法が適用されるディスク再生装置の構成を示すブロック図である。なお、図1において、図7に示す従来例と同じ構成および機能を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態は、上記第1の特徴的形態を具現化したものである。
【0026】
本実施形態が従来例と異なるのは、FE信号のS字曲線を検出した時間を測定するS字検出時間測定装置11、検出時間に対するしきい値を設定する検出時間閾値設定装置12、S字検出時間測定装置11により測定された時間と、検出時間閾値設定装置12により設定された検出時間閾値とを比較し、比較結果に基づきランプ波発生装置8の出力波形の傾きを設定するランプ波傾き制御装置13を設けた点にある。
【0027】
図2Aおよび図2Bは、それぞれ、本実施形態によるフォーカス引込み制御方法において、S字検出時間tSが閾値Tよりも大きい場合およびそれ以下である場合の、FE信号とFOD信号の代表的な波形を示すタイミングチャートであり、縦軸は各信号の振幅、横軸は時間である。
【0028】
なお、図8と同様、図2Aおよび図2Bは、アクチュエータ3がディスク1から遠ざかる方向へ移動中にフォーカス引き込み制御を行った際のタイミング波形を表したもので、アクチュエータ3やピックアップ2の極性によっては、FE信号およびFOD信号の極性、アクチュエータの移動方向が図2Aおよび図2Bとは異なることもある。
【0029】
図3Aおよび図3Bは、本実施形態によるフォーカス引き込み制御方法において、制御全体の処理工程を示すフローチャート、およびS字曲線検出時間tSとS字検出時間の閾値Tとを比較して、ランプ波発生装置8の出力波形の傾きを設定する処理工程(図3Aの307)を示すフローチャートである。
【0030】
以下、本実施形態によるフォーカス引き込み制御方法の動作について説明する。
【0031】
まず、ランプ波傾きV0、V1、およびS字検出時間閾値Tを初期設定する(図3Aの301)。次に、ランプ波発生装置8は、−V0の傾きでランプ波出力を開始する(図3Aの302)。図2Aおよび図2Bの時点t1で、スイッチ9の共通接点をa側に接続し、ランプ波発生装置8の出力信号をアクチュエータ駆動装置10へ入力する。アクチュエータ駆動装置10はアクチュエータ3に電流を供給し、それによりアクチュエータ3はフォーカス方向の移動を開始する。
【0032】
図2Aおよび図2Bの時点t1からt2の時間区間でのアクチュエータ3の移動方向は、ディスク1から遠ざかる方向である。図2Aおよび図2Bの時点t2で、アクチュエータ3はディスク1から最も遠ざかった位置に達する。
【0033】
次に、ランプ波出力方向を反転させ、ランプ波発生装置8は+V0の傾きのランプ波を出力する(図3Aの303)。このとき、アクチュエータ3の移動方向はディスク1に近づく方向へと変化する。
【0034】
アクチュエータ3が移動し、図2Aおよび図2Bの時点t3で、ディスク1に対して、光ピックアップ2の対物レンズが焦点深度内に入ると、光ピックアップ2から電気信号が出力され始める。FE信号生成装置4は、それを元にFE信号を生成する。図2Aおよび図2Bの時点t3から、S字検出時間測定装置11に含まれるタイマーを動作させ、S字曲線を検出した時間の測定を開始する(図3Aの304)。
【0035】
図2Aおよび図2Bの時点t4で、ディスク1に対して光ピックアップ2の対物レンズが焦点深度から外れ、FE信号の振幅は零レベルとなる。この時点t4で、S字検出時間測定装置11はタイマー動作を終了(図3Aの305)し、検出時間がtSであることをランプ波傾き制御装置13へ伝える。
【0036】
ランプ波発生装置8は、その後も図2Aおよび図2Bの時点t5まで、傾き+V0のランプ波を出力し続ける。図2Aおよび図2Bの時点t4からt5までの期間で、ランプ波傾き制御装置13は、S字曲線検出時間tSと閾値の設定値Tとを比較し、図2Aおよび図2Bの時点t5で、ランプ波発生装置8のランプ波出力の傾きV0をV1に変更するか、または傾きV0のままとする(図3Aの307)。
【0037】
ランプ波傾き制御装置13は、S字曲線検出時間tSと閾値の設定値Tとを比較し(図3Bの311)、tS≦Tである場合(No)、ディスク1に対するアクチュエータ3の相対速度が大きいと判断し、ランプ波出力の傾きをV0からV1へ変更する(図3Bの312)。ただし、V0>V1である。一方、ランプ波傾き制御装置13は、S字曲線検出時間tSと閾値の設定値Tとを比較し(図3Bの311)、t>Tの場合(Yes)は、傾きはV0のままとする。
【0038】
図2Aおよび図2Bの時点t5から、ランプ波発生装置8は、V0またはV1を反転した−V0または−V1の傾きのランプ波を出力する(図3Aの308)。このときのアクチュエータ3の移動方向はディスクから遠ざかる方向である。
【0039】
図2Aおよび図2Bの時点t6で、ディスク1に対する光ピックアップ2の対物レンズの焦点深度内において、FE信号検出装置5からの検出結果がゼロとなったとき、フォーカス引き込み点が検出され(図3Aの309)、スイッチ9の共通接点をb側に接続して、フォーカス制御のループを閉じる(図3Aの310)。フォーカス制御装置6は、FE信号検出装置5からの検出結果がゼロとなるように、アクチュエータ信号生成装置7の出力信号の制御を開始し、フォーカス引き込み制御は完了する。
【0040】
本実施形態によれば、従来例と比較して、FE信号のS字曲線を検出する処理を追加したため、1回でフォーカス引き込み可能な状況ではフォーカス引き込みに要する時間は長くなる。しかし、ディスクに対するアクチュエータの相対移動速度が大きく、フォーカス引き込みが困難な状況においては、S字曲線検出時間に基づいてディスクに対するアクチュエータの相対移動速度の大小を判断し、速度が大きい場合は、アクチュエータの駆動速度を遅くすることで、安定したフォーカス引き込み制御が可能となる。このため、信号再生までに要する時間はトータルとして短縮できる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、前記第2の特徴的形態を具現化した本発明の第2の実施形態について説明する。
【0042】
図4Aおよび図4Bは、本発明の第2の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法において、制御全体の処理工程を示すフローチャート、およびS字曲線検出時間tSと複数の閾値を比較して、ランプ波発生装置8が出力するランプ波の傾きを設定する処理工程(図4Aの407)を示すフローチャートである。なお、図4Aにおいて、図3Aと同じ処理工程については、同一の符号を付している。
【0043】
本実施形態が第1の実施形態と異なるのは、検出時間の閾値を1つではなく複数(N)個設定し、S字曲線検出時間tSと、複数の閾値T(i)(i=0〜N)との比較結果に基づいて、ランプ波の傾きを複数個の中から設定する点にある。
【0044】
図5は、本実施形態によるフォーカス引込み制御方法におけるFE信号とFOD信号の代表的な波形を示すタイミングチャートであり、縦軸は各信号の振幅、横軸は時間である。
【0045】
以下、図4のフローチャートを用いて、本実施形態によるフォーカス引き込み制御方法について説明する。
【0046】
まず、初期設定として、ランプ波出力の初期傾きV、N個のS字検出時間の閾値T[0]〜T[N−1]、ランプ波傾きV[0]〜V[N−1]を設定する(図4Aの401)。ただし、T[i]<T[i+1]、V[i]>V[i+1]と設定し、閾値T[N]=+∞として考える。実際には、T[N]はS字曲線検出時間tSに対して、十分に大きい値とする。
【0047】
図5の時点t1で、ランプ波発生装置8は、−Vの初期傾きでランプ波出力を開始する(図4Aの402)。
【0048】
図4Aのフローチャートで、303、304、305、306は、第1の実施形態と同じであり、図5の時点t2でランプ波出力の傾きを+Vに反転し、図5の時点t3でタイマー動作を開始し、図5の時点t4でタイマー動作を終了して、S字曲線検出時間tSを測定する処理工程である。
【0049】
次に、S字曲線検出時間tSと閾値T[0]〜T[N]とを比較し、その比較結果に応じてランプ波の傾きをする(図4Aの407)。ここで、図6に、S字曲線検出時間tS、閾値T[i]、およびランプ波形の傾きV[i]の対応関係を示す。
【0050】
図4Aの407において、図4Bに示すように、まず変数iを0に設定し(411)、T[i]≦tS<T[i+1]、すなわちT[0]≦tS<T[1]を満たすか否かを判断する(412)。T[0]≦tS<T[1]を満たさない場合(No)、変数iを1だけインクリメントして(413)、T[1]≦tS<T[2]を満たすか否かを判断する(412)。このようにして、412の判断で、T[i]≦tS<T[i+1]を満たした場合、ランプ波出力の傾きをV[i]に設定する(414)。
【0051】
以下、図4Aの308、309、310も、第1の実施形態と同じで、アクチュエータの駆動速度の傾きV[i]を設定した後、フォーカスループを閉じ、フォーカス制御を開始する処理工程である。
【0052】
本実施形態によれば、S字曲線検出時間tSに基づいてディスクに対するアクチュエータ移動の相対速度の大小を判断し、その相対速度に対応した駆動速度でアクチュエータを駆動することにより、安定したフォーカス引き込み制御が可能となる。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、従来例にFE信号のS字曲線を検出する処理を追加したが、信号再生に要する時間はトータルとして短縮が可能である。
【0053】
本実施形態では、閾値T[i]、ランプ波出力の傾きV[i]の選び方により、FE信号のS字曲線検出時間tSに基づいてアクチュエータの相対移動速度が遅いと判断した場合、アクチュエータの相対移動速度を大きくすることも可能であり、第1の実施形態よりもフォーカス引き込みに要する時間を短くすることが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、閾値T[i]<T[i+1]、ランプ波出力の傾きV[i]>V[i+1]と制限したが、かかる制限を設けない方法も考えられる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フォーカス引き込み制御時にFE信号のS字曲線の検出時間を測定し、測定したS字曲線検出時間を閾値と比較した結果に基づいてアクチュエータの駆動速度の制御を行うことで、アクチュエータのディスクに対する相対移動速度が大きくなった場合でも、安定したフォーカス引き込み制御を実現することができる。
【0056】
これにより、振動が多い環境や、光ピックアップの姿勢が頻繁に変動するような環境などでも、フォーカス引き込み失敗の可能性が軽減され、信号再生までに要する時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法が適用されるディスク再生装置の構成を示すブロック図
【図2A】本発明の第1の実施形態において、S字曲線検出時間tS>閾値Tである場合のFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図2B】本発明の第1の実施形態において、S字曲線検出時間tS≦閾値Tである場合のFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図3A】本発明の第1の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法における制御全体の処理工程を示すフローチャート
【図3B】図3Aの処理工程307の内容を示すフローチャート
【図4A】本発明の第2の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法における制御全体の処理工程を示すフローチャート
【図4B】図4Aの処理工程407の内容を示すフローチャート
【図5】本発明の第2の実施形態におけるFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図6】本発明の第2の実施形態におけるS字曲線検出時間tS、閾値T[i]、およびランプ波形の傾きV[i]の対応関係を示す図
【図7】従来のフォーカス引き込み制御方法が適用されるディスク再生装置の構成を示すブロック図
【図8】従来のフォーカス引き込み制御におけるFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図9】従来のフォーカス引き込み制御失敗時のリトライ処理におけるFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図10】従来のディスクと光ピックアップとの距離LとFE信号の振幅との関係を示す図
【符号の説明】
1 ディスク
2 光ピックアップ
3 アクチュエータ
4 FE信号生成装置
5 FE信号検出装置
6 フォーカス制御装置
7 アクチュエータ駆動信号生成装置
8 ランプ波発生装置
9 スイッチ
10 アクチュエータ駆動装置
11 S字検出時間測定装置
12 検出時間閾値設定装置
13 ランプ波傾き制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体から情報を再生する装置のフォーカス引き込み制御方法に関し、特にディスクに対して光ピックアップの対物レンズを焦点深度内に引込む際のフォーカス引込み制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクや光磁気ディスク(以下、ディスクと略称する)の再生装置では、光ピックアップからレーザー光をディスクに対して照射し、その反射光の大小により、ディスクに記録された信号を読み取る。
【0003】
しかし、ディスクと光ピックアップとの間には、ディスクの回転に伴い、0.2〜0.3mm程度の面振れが生じる。この面振れは、光ピックアップの対物レンズの焦点深度(±1μm程度)よりもはるかに大きい。そのため、ディスクに記録された信号を正しく読み取るためには、光ピックアップからのレーザー光が常にディスク面上で焦点を結ぶように、ディスク面に対して垂直方向の位置制御であるフォーカス制御が行われる。
【0004】
図7は、従来のフォーカス引き込み制御方法が適用されるディスク再生装置の構成を示すブロック図である。図7において、1はディスク、2はディスク1にレーザー光を照射し、その反射光を検出して電気信号へ変換するための光ピックアップ、3は光ピックアップ2をディスク1に対して垂直方向(以下、フォーカス方向という)に移動させるためのアクチュエータ、4は光ピックアップ2の出力信号からフォーカス誤差検出信号(以下、FE信号という)を生成するためのFE信号生成装置、5はFE信号を検出するためのFE信号検出装置、6はFE信号の振幅がゼロとなるようにアクチュエータ3を制御するフォーカス制御装置、7はフォーカス制御装置6より指令を受けてアクチュエータ3を駆動する信号を生成するアクチュエータ駆動信号生成装置、8はフォーカス引込み制御時にアクチュエータ3をフォーカス方向に駆動させるランプ波を発生させるためのランプ波発生装置、9はアクチュエータ駆動信号生成装置7からの信号とランプ波発生装置8からのランプ波を切り替えるスイッチ、10はアクチュエータ3をフォーカス方向に移動させるために電流を印加するアクチュエータ駆動装置である。
【0005】
図10は、ディスク1と光ピックアップ2との距離LとFE信号の関係を表した図で、縦軸はFE信号の振幅、横軸はディスク1と光ピックアップ2の距離Lである。図10に示すように、ディスク1と光ピックアップ2との距離LとFE信号の関係は、一般に、S字曲線と呼ばれる特性となり、焦点深度内において、ディスク1と光ピックアップ2との距離Lが近い場合、FE信号は正の振幅を、距離Lが遠い場合、FE信号は負の振幅を有する。S字曲線の中央部で零クロスをしているが、この位置が合焦点Pで、この合焦点Pを維持するようにアクチュエータ3を制御するのがフォーカス制御である。
【0006】
フォーカス制御では、まず、ディスク1に対して、光ピックアップ2の対物レンズが焦点深度内に引込むように、フォーカス引込み制御を行う。
【0007】
以下、従来のフォーカス引込み制御方法について、図面を用いて説明する。
図8は、従来のフォーカス引込み制御方法におけるFE信号とアクチュエータ駆動装置10への入力信号(以下、FOD信号という)のフォーカス引き込み制御時のタイミングチャートであり、縦軸は信号の振幅、横軸は時間である。なお、図8は、アクチュエータ3の移動方向がディスク1から遠ざかる方向であるときにフォーカス引込みを行う場合の波形を表したもので、アクチュエータやピックアップの極性によっては、FE信号、FOD信号の極性が図8とは異なる場合もある。
【0008】
フォーカス引込み制御では、まず、アクチュエータ3を一旦ディスク1に近づけるため、図8の時点t1で、スイッチ9の共通接点がをa側に接続され、ランプ波発生装置8からの出力信号がアクチュエータ駆動装置10へ入力される。アクチュエータ駆動装置10はアクチュエータ3に電流を供給し、それによりアクチュエータ3はフォーカス方向の移動を開始する。図8の時点t1からt2の時間区間では、FOD信号の振幅は単調増加するため、アクチュエータ3の移動方向は、ディスク1に近づく方向である。なお、アクチュエータ3の移動速度は、ランプ波発生装置8の出力波形の傾きに依存し、傾きが大きいほどアクチュエータ3の移動速度も大きくなる。
【0009】
図8の時点t2では、アクチュエータ3はディスク1へ最も近づいた位置にある。ここで、ランプ波発生装置8の出力波形の極性を反転させる。これにより、アクチュエータ3の移動方向はディスク1から遠ざかる方向へと変わる。
【0010】
一方、光ピックアップ2はディスク1へレーザー光を照射し、その反射光を検出して電気信号へと変換しているが、ディスク1に対して光ピックアップ2の図示しない対物レンズが焦点深度内にない場合(図8の時点t1から時点t3の直前まで)、光ピックアップ2の出力は、ほぼゼロである。すなわち、FE信号生成装置4で生成されるFE信号の振幅、およびFE信号検出装置5の検出結果もゼロとなる。
【0011】
アクチュエータ3が移動し、図8の時点t3で、ディスク1に対して、光ピックアップ2の対物レンズが焦点深度内に入ると、光ピックアップ2から電気信号が出力され始める。FE信号生成装置4は、それを元にFE信号を生成する。
【0012】
ディスク1に対する光ピックアップ2の対物レンズの焦点深度内において、FE信号検出装置5からの検出結果がゼロとなったとき、すなわち、図8の時点t4において、スイッチ9の共通接点がb側に接続され、アクチュエータ駆動信号生成装置7の出力信号がアクチュエータ駆動装置10へ入力され、フォーカス制御のループは閉じられる。
【0013】
フォーカス制御装置6は、FE信号検出装置5からの検出結果がゼロとなるように、アクチュエータ信号生成装置7からの出力信号の制御を開始し、フォーカス引き込み制御は完了する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来のフォーカス引込み制御方法には、次のような問題点があった。
【0015】
ディスク1の信号面に対する光ピックアップ2の相対移動速度が大きいと、サーボループを閉じても引き込めずに暴走してしまうことがある。このため、通常は、引き込み可能な速度に対してある程度マージンを持たせてランプ波発生装置8の出力波形の傾きを設定する。しかし、振動や光ピックアップ2の姿勢により、不測の速度が生じた場合、フォーカス引き込みに失敗してしまう。また、周辺温度等の環境変化や経時変化により、アクチュエータ3の特性が変化した場合、アクチュエータ3の移動速度が当初想定していたものから変化することも考えられ、その場合もフォーカス引き込み動作が不安定になる恐れがある。
【0016】
図9は、従来のフォーカス引き込み失敗時のリトライ処理によるFE信号とFOD信号のタイミングチャートである。従来では、図9に示すように、フォーカス引き込みに1回または複数回失敗した(時点t5)後、場合によっては、ランプ波発生装置8の出力信号の傾きを変え、アクチュエータ3の移動速度を変えるなどして、フォーカス引き込みのリトライ処理を行うことで、フォーカス引き込みを行っていた(時点t6)。
【0017】
しかしながら、上記従来の構成では、フォーカス引き込みに1回または複数回失敗した後で、フォーカス引き込みリトライ処理へと移行するため、振動が多い環境や、光ピックアップの姿勢が頻繁に変動するような環境などでは、ディスクから信号を読み取って再生を行うまでの時間が長くなるという問題があった。
【0018】
本発明は、かかる従来の問題点を解決するもので、その目的は、ディスクに対する光ピックアップの相対速度が変化した場合でも、安定してフォーカス引き込みを行い、ディスク再生に要する時間の短縮を図ったフォーカス引き込み制御方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係るフォーカス引き込み制御方法は、光記録媒体から情報を再生する装置に適用されるフォーカス引き込み制御方法であって、フォーカス引き込み動作前に、光記録媒体面に対して垂直方向にアクチュエータを所定の速度で駆動して光ピックアップを移動させ、光ピックアップの移動中に光記録媒体からの反射光に基づき生成されるフォーカス誤差検出信号のS字曲線を検出した時間(tS)を測定し、S字曲線の検出時間を1つの閾値(T)と比較し、検出時間が閾値よりも大きい場合、アクチュエータを所定の速度で駆動し、検出時間が閾値以下である場合、アクチュエータを所定の速度以下の速度で駆動してフォーカス引き込みを行うことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明によるフォーカス引き込み制御方法の第1の特徴的形態は、フォーカス引き込み動作前に、光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体面に対して垂直方向に、アクチュエータを所定の速度で駆動して光ピックアップを移動させ、光ピックアップの移動中に光記録媒体からの反射光に基づき生成されるフォーカス誤差検出信号のS字曲線を検出した時間(tS)を測定し、S字曲線の検出時間を1つの閾値(T)と比較し、検出時間が閾値よりも大きい場合、アクチュエータを所定の速度で、検出時間がしきい値以下である場合は、アクチュエータを所定の速度以下の速度で駆動してフォーカス引き込みを行うことにある。
【0021】
この第1の特徴的形態によれば、S字曲線の検出時間に基づいて、ディスクに対する光ピックアップの相対移動速度の大小を判断できるため、相対移動速度が大きい場合は、アクチュエータの駆動速度を遅くすることで、安定したフォーカス引き込み制御が可能となる。
【0022】
また、本発明によるフォーカス引き込み制御方法の第2の特徴的形態は、フォーカス引き込み動作前に、光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体面に対して垂直方向に、アクチュエータを所定の速度で駆動して光ピックアップを移動させ、光ピックアップの移動中に光記録媒体からの反射光に基づき生成されるフォーカス誤差検出信号のS字曲線を検出した時間を測定し、S字曲線の検出時間を複数の閾値と比較し、比較結果に応じてアクチュエータの駆動速度の設定を行い、フォーカス引き込みを行うことにある。
【0023】
この第2の特徴的形態によれば、上記第1の特徴的形態よりもフォーカス引き込みに要する時間を短くすることが可能である。
【0024】
以下、図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法が適用されるディスク再生装置の構成を示すブロック図である。なお、図1において、図7に示す従来例と同じ構成および機能を有する要素については、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態は、上記第1の特徴的形態を具現化したものである。
【0026】
本実施形態が従来例と異なるのは、FE信号のS字曲線を検出した時間を測定するS字検出時間測定装置11、検出時間に対するしきい値を設定する検出時間閾値設定装置12、S字検出時間測定装置11により測定された時間と、検出時間閾値設定装置12により設定された検出時間閾値とを比較し、比較結果に基づきランプ波発生装置8の出力波形の傾きを設定するランプ波傾き制御装置13を設けた点にある。
【0027】
図2Aおよび図2Bは、それぞれ、本実施形態によるフォーカス引込み制御方法において、S字検出時間tSが閾値Tよりも大きい場合およびそれ以下である場合の、FE信号とFOD信号の代表的な波形を示すタイミングチャートであり、縦軸は各信号の振幅、横軸は時間である。
【0028】
なお、図8と同様、図2Aおよび図2Bは、アクチュエータ3がディスク1から遠ざかる方向へ移動中にフォーカス引き込み制御を行った際のタイミング波形を表したもので、アクチュエータ3やピックアップ2の極性によっては、FE信号およびFOD信号の極性、アクチュエータの移動方向が図2Aおよび図2Bとは異なることもある。
【0029】
図3Aおよび図3Bは、本実施形態によるフォーカス引き込み制御方法において、制御全体の処理工程を示すフローチャート、およびS字曲線検出時間tSとS字検出時間の閾値Tとを比較して、ランプ波発生装置8の出力波形の傾きを設定する処理工程(図3Aの307)を示すフローチャートである。
【0030】
以下、本実施形態によるフォーカス引き込み制御方法の動作について説明する。
【0031】
まず、ランプ波傾きV0、V1、およびS字検出時間閾値Tを初期設定する(図3Aの301)。次に、ランプ波発生装置8は、−V0の傾きでランプ波出力を開始する(図3Aの302)。図2Aおよび図2Bの時点t1で、スイッチ9の共通接点をa側に接続し、ランプ波発生装置8の出力信号をアクチュエータ駆動装置10へ入力する。アクチュエータ駆動装置10はアクチュエータ3に電流を供給し、それによりアクチュエータ3はフォーカス方向の移動を開始する。
【0032】
図2Aおよび図2Bの時点t1からt2の時間区間でのアクチュエータ3の移動方向は、ディスク1から遠ざかる方向である。図2Aおよび図2Bの時点t2で、アクチュエータ3はディスク1から最も遠ざかった位置に達する。
【0033】
次に、ランプ波出力方向を反転させ、ランプ波発生装置8は+V0の傾きのランプ波を出力する(図3Aの303)。このとき、アクチュエータ3の移動方向はディスク1に近づく方向へと変化する。
【0034】
アクチュエータ3が移動し、図2Aおよび図2Bの時点t3で、ディスク1に対して、光ピックアップ2の対物レンズが焦点深度内に入ると、光ピックアップ2から電気信号が出力され始める。FE信号生成装置4は、それを元にFE信号を生成する。図2Aおよび図2Bの時点t3から、S字検出時間測定装置11に含まれるタイマーを動作させ、S字曲線を検出した時間の測定を開始する(図3Aの304)。
【0035】
図2Aおよび図2Bの時点t4で、ディスク1に対して光ピックアップ2の対物レンズが焦点深度から外れ、FE信号の振幅は零レベルとなる。この時点t4で、S字検出時間測定装置11はタイマー動作を終了(図3Aの305)し、検出時間がtSであることをランプ波傾き制御装置13へ伝える。
【0036】
ランプ波発生装置8は、その後も図2Aおよび図2Bの時点t5まで、傾き+V0のランプ波を出力し続ける。図2Aおよび図2Bの時点t4からt5までの期間で、ランプ波傾き制御装置13は、S字曲線検出時間tSと閾値の設定値Tとを比較し、図2Aおよび図2Bの時点t5で、ランプ波発生装置8のランプ波出力の傾きV0をV1に変更するか、または傾きV0のままとする(図3Aの307)。
【0037】
ランプ波傾き制御装置13は、S字曲線検出時間tSと閾値の設定値Tとを比較し(図3Bの311)、tS≦Tである場合(No)、ディスク1に対するアクチュエータ3の相対速度が大きいと判断し、ランプ波出力の傾きをV0からV1へ変更する(図3Bの312)。ただし、V0>V1である。一方、ランプ波傾き制御装置13は、S字曲線検出時間tSと閾値の設定値Tとを比較し(図3Bの311)、t>Tの場合(Yes)は、傾きはV0のままとする。
【0038】
図2Aおよび図2Bの時点t5から、ランプ波発生装置8は、V0またはV1を反転した−V0または−V1の傾きのランプ波を出力する(図3Aの308)。このときのアクチュエータ3の移動方向はディスクから遠ざかる方向である。
【0039】
図2Aおよび図2Bの時点t6で、ディスク1に対する光ピックアップ2の対物レンズの焦点深度内において、FE信号検出装置5からの検出結果がゼロとなったとき、フォーカス引き込み点が検出され(図3Aの309)、スイッチ9の共通接点をb側に接続して、フォーカス制御のループを閉じる(図3Aの310)。フォーカス制御装置6は、FE信号検出装置5からの検出結果がゼロとなるように、アクチュエータ信号生成装置7の出力信号の制御を開始し、フォーカス引き込み制御は完了する。
【0040】
本実施形態によれば、従来例と比較して、FE信号のS字曲線を検出する処理を追加したため、1回でフォーカス引き込み可能な状況ではフォーカス引き込みに要する時間は長くなる。しかし、ディスクに対するアクチュエータの相対移動速度が大きく、フォーカス引き込みが困難な状況においては、S字曲線検出時間に基づいてディスクに対するアクチュエータの相対移動速度の大小を判断し、速度が大きい場合は、アクチュエータの駆動速度を遅くすることで、安定したフォーカス引き込み制御が可能となる。このため、信号再生までに要する時間はトータルとして短縮できる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、前記第2の特徴的形態を具現化した本発明の第2の実施形態について説明する。
【0042】
図4Aおよび図4Bは、本発明の第2の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法において、制御全体の処理工程を示すフローチャート、およびS字曲線検出時間tSと複数の閾値を比較して、ランプ波発生装置8が出力するランプ波の傾きを設定する処理工程(図4Aの407)を示すフローチャートである。なお、図4Aにおいて、図3Aと同じ処理工程については、同一の符号を付している。
【0043】
本実施形態が第1の実施形態と異なるのは、検出時間の閾値を1つではなく複数(N)個設定し、S字曲線検出時間tSと、複数の閾値T(i)(i=0〜N)との比較結果に基づいて、ランプ波の傾きを複数個の中から設定する点にある。
【0044】
図5は、本実施形態によるフォーカス引込み制御方法におけるFE信号とFOD信号の代表的な波形を示すタイミングチャートであり、縦軸は各信号の振幅、横軸は時間である。
【0045】
以下、図4のフローチャートを用いて、本実施形態によるフォーカス引き込み制御方法について説明する。
【0046】
まず、初期設定として、ランプ波出力の初期傾きV、N個のS字検出時間の閾値T[0]〜T[N−1]、ランプ波傾きV[0]〜V[N−1]を設定する(図4Aの401)。ただし、T[i]<T[i+1]、V[i]>V[i+1]と設定し、閾値T[N]=+∞として考える。実際には、T[N]はS字曲線検出時間tSに対して、十分に大きい値とする。
【0047】
図5の時点t1で、ランプ波発生装置8は、−Vの初期傾きでランプ波出力を開始する(図4Aの402)。
【0048】
図4Aのフローチャートで、303、304、305、306は、第1の実施形態と同じであり、図5の時点t2でランプ波出力の傾きを+Vに反転し、図5の時点t3でタイマー動作を開始し、図5の時点t4でタイマー動作を終了して、S字曲線検出時間tSを測定する処理工程である。
【0049】
次に、S字曲線検出時間tSと閾値T[0]〜T[N]とを比較し、その比較結果に応じてランプ波の傾きをする(図4Aの407)。ここで、図6に、S字曲線検出時間tS、閾値T[i]、およびランプ波形の傾きV[i]の対応関係を示す。
【0050】
図4Aの407において、図4Bに示すように、まず変数iを0に設定し(411)、T[i]≦tS<T[i+1]、すなわちT[0]≦tS<T[1]を満たすか否かを判断する(412)。T[0]≦tS<T[1]を満たさない場合(No)、変数iを1だけインクリメントして(413)、T[1]≦tS<T[2]を満たすか否かを判断する(412)。このようにして、412の判断で、T[i]≦tS<T[i+1]を満たした場合、ランプ波出力の傾きをV[i]に設定する(414)。
【0051】
以下、図4Aの308、309、310も、第1の実施形態と同じで、アクチュエータの駆動速度の傾きV[i]を設定した後、フォーカスループを閉じ、フォーカス制御を開始する処理工程である。
【0052】
本実施形態によれば、S字曲線検出時間tSに基づいてディスクに対するアクチュエータ移動の相対速度の大小を判断し、その相対速度に対応した駆動速度でアクチュエータを駆動することにより、安定したフォーカス引き込み制御が可能となる。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、従来例にFE信号のS字曲線を検出する処理を追加したが、信号再生に要する時間はトータルとして短縮が可能である。
【0053】
本実施形態では、閾値T[i]、ランプ波出力の傾きV[i]の選び方により、FE信号のS字曲線検出時間tSに基づいてアクチュエータの相対移動速度が遅いと判断した場合、アクチュエータの相対移動速度を大きくすることも可能であり、第1の実施形態よりもフォーカス引き込みに要する時間を短くすることが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、閾値T[i]<T[i+1]、ランプ波出力の傾きV[i]>V[i+1]と制限したが、かかる制限を設けない方法も考えられる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、フォーカス引き込み制御時にFE信号のS字曲線の検出時間を測定し、測定したS字曲線検出時間を閾値と比較した結果に基づいてアクチュエータの駆動速度の制御を行うことで、アクチュエータのディスクに対する相対移動速度が大きくなった場合でも、安定したフォーカス引き込み制御を実現することができる。
【0056】
これにより、振動が多い環境や、光ピックアップの姿勢が頻繁に変動するような環境などでも、フォーカス引き込み失敗の可能性が軽減され、信号再生までに要する時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法が適用されるディスク再生装置の構成を示すブロック図
【図2A】本発明の第1の実施形態において、S字曲線検出時間tS>閾値Tである場合のFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図2B】本発明の第1の実施形態において、S字曲線検出時間tS≦閾値Tである場合のFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図3A】本発明の第1の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法における制御全体の処理工程を示すフローチャート
【図3B】図3Aの処理工程307の内容を示すフローチャート
【図4A】本発明の第2の実施形態によるフォーカス引き込み制御方法における制御全体の処理工程を示すフローチャート
【図4B】図4Aの処理工程407の内容を示すフローチャート
【図5】本発明の第2の実施形態におけるFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図6】本発明の第2の実施形態におけるS字曲線検出時間tS、閾値T[i]、およびランプ波形の傾きV[i]の対応関係を示す図
【図7】従来のフォーカス引き込み制御方法が適用されるディスク再生装置の構成を示すブロック図
【図8】従来のフォーカス引き込み制御におけるFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図9】従来のフォーカス引き込み制御失敗時のリトライ処理におけるFE信号、FOD信号のタイミングチャート
【図10】従来のディスクと光ピックアップとの距離LとFE信号の振幅との関係を示す図
【符号の説明】
1 ディスク
2 光ピックアップ
3 アクチュエータ
4 FE信号生成装置
5 FE信号検出装置
6 フォーカス制御装置
7 アクチュエータ駆動信号生成装置
8 ランプ波発生装置
9 スイッチ
10 アクチュエータ駆動装置
11 S字検出時間測定装置
12 検出時間閾値設定装置
13 ランプ波傾き制御装置
Claims (2)
- 光記録媒体から情報を再生する装置に適用されるフォーカス引き込み制御方法であって、
フォーカス引き込み動作前に、前記光記録媒体面に対して垂直方向に、アクチュエータを所定の速度で駆動して光ピックアップを移動させ、
前記光ピックアップの移動中に前記光記録媒体からの反射光に基づき生成されるフォーカス誤差検出信号のS字曲線を検出した時間を測定し、
前記S字曲線の検出時間を1つの閾値と比較し、
前記検出時間が前記閾値よりも大きい場合、前記アクチュエータを前記所定の速度で駆動し、前記検出時間が前記閾値以下である場合、前記アクチュエータを前記所定の速度以下の速度で駆動してフォーカス引き込みを行うことを特徴とするフォーカス引き込み制御方法。 - 光記録媒体から情報を再生する装置に適用されるフォーカス引き込み制御方法であって、
フォーカス引き込み動作前に、前記光記録媒体面に対して垂直方向に、アクチュエータを所定の速度で駆動して光ピックアップを移動させ、
前記光ピックアップの移動中に前記光記録媒体からの反射光に基づき生成されるフォーカス誤差検出信号のS字曲線を検出した時間を測定し、
前記S字曲線の検出時間を複数の閾値と比較し、
前記比較結果に応じてアクチュエータの駆動速度の設定を行い、フォーカス引き込みを行うことを特徴とするフォーカス引き込み制御方法。
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2002
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