JP2004011711A - 転がり軸受、これを用いたベルト式無段変速機 - Google Patents

転がり軸受、これを用いたベルト式無段変速機 Download PDF

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Abstract

【課題】ベルト式無段変速機のプーリ軸を支持するラジアル玉軸受において、ベルトを巻き付ける両プーリ間の芯ずれを小さくし、軸受寿命も長くする。
【解決手段】内輪1について、軌道溝の曲率半径(Ri)の玉直径(D)に対する比(Ri/D)の百分率(%)を51.0%とする。外輪2について、軌道溝の曲率半径(Re)の玉直径(D)に対する比(Re/D)の百分率(%)を、材料として使用する合金鋼中のクロム(Cr)含有率(質量%):〔Cr〕との関係で下記の(1)式で示されるα値が、53.25以上となるようにする。
α=(R/D)×100+0.25〔Cr〕‥‥(1)
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のベルト式無段変速機のプーリ軸を支持する転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のベルト式無段変速機は、自動変速機の変速機構として、ベルト駆動のプーリの半径を連続的に変える機構を有するものである。例えば図4に示すように、平行に配置された入力軸(駆動軸)5と出力軸(従動軸)6にそれぞれプーリ7,8が設けてあり、これらのプーリ間に金属製のベルト9が巻き付けてある。このベルト9は、厚さ0.2mm程度の薄板を10枚程度重ねた構造の2条のリング91に、多数の薄い(厚さ2mm程度の)摩擦片92を取り付けた構造となっており、この摩擦片92が押し合うときの押力で動力を伝えるものである。
【0003】
このベルト9を介して、入力軸プーリ(プライマリプーリ)7から出力軸プーリ(セカンダリプーリ)8に駆動力の伝動がなされる。両プーリ7,8は、各軸5,6に固定された固定円錐板71,81と、油圧機構によって軸方向に移動可能な可動円錐板72,82とで構成され、両円錐板によってV字状プーリ溝が形成されている。
【0004】
これらのプーリ7,8の各可動円錐板72,82を軸方向に移動して溝幅を変え、ベルト9がプーリ7,8に接触する位置(プーリの有効回転半径)を変更することで、変速比を無段階に変えることができる。例えば、入力軸プーリの溝幅を縮小するとともに出力軸プーリの溝幅を拡大すれば、入力軸プーリの有効回転半径は小さくなり、出力軸プーリの有効回転半径が大きくなって、大きな変速比が得られる。
【0005】
各プーリ7,8の固定円錐板71,81が一体化された軸部(プーリ軸)71a,81aは、ラジアル玉軸受11,12により支持されている。これらのプーリ軸71a,81aは、軸出力を後段に伝達する際に、反力としてアキシャル荷重を受ける。そのため、このアキシャル荷重によって各ラジアル玉軸受11,12が軸方向に変位して、入力軸プーリと出力軸プーリとで溝幅方向の中心がずれる(所謂「芯ずれ」が生じる)ことを防止する必要がある。前記芯ずれが大きくなると、ベルト9が蛇行してリング91と摩擦片92とが不適切に接触することで損傷に至る場合もあるし、玉軸受11,12にすべりが生じて発熱量が大きくなる場合もある。
【0006】
その対策として、特公平8−30526号公報には、プーリ軸を支持する玉軸受について、内輪および外輪の軌道溝の曲率半径(R)のボール直径(D)に対する比(R/D)を、通常の標準設定値(0.53)よりも小さくすること(内輪で50.1〜50.9%、外輪で50.1〜51.9%)が記載されている。この比(R/D)が小さいほどアキシャル荷重によって玉軸受が軸方向にずれ難いため、前述のプーリ間の芯ずれは生じ難くなる。
【0007】
一方、ベルト式無段変速機の潤滑油としては、トルクコンバーター、歯車機構、油圧機構、湿式クラッチ等を円滑に作動させて動力を伝達するために、前記プーリ軸を支持する玉軸受も含めて、トラクションオイル(トラクション係数が0.09以上であり、動粘度が40℃で30.8×10−52 /s(30.8cSt)以上であって、特殊な摩耗調整剤などを含む潤滑油)が使用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、特公平8−30526号公報の方法のように、比(R/D)を小さくすると、軌道溝とボールとの接触面積は大きくなって面圧が小さくなるため、軸受寿命が長くなることが期待される。
しかしながら、トラクションオイルで潤滑されるラジアル玉軸受では、面圧を小さくする方法によって期待通りの長い寿命を得ることは困難であることが分かった。その理由は、潤滑油がトラクションオイルの場合と鉱油の場合で剥離形態が異なることに起因すると推測される。
【0009】
すなわち、潤滑油が鉱油の場合には、図5(a)に示すように、剥離の起点部の位置が軌道溝の溝幅方向の中心にあるに対して、トラクションオイルの場合には、図5(b)に示すように、軌道溝の溝幅方向の中心から外れた位置にある場合が多い。この位置は、軌道輪と玉との回転速度差Vが大きな位置であり、軸受寿命には軌道輪と玉との面圧Pだけでなく回転速度差Vも何らかの影響を及ぼしていると考えられる。ここで、比(R/D)を小さくすることは、軌道溝の溝幅方向の中心から外れた位置に玉が接触し易くなることに繋がる。そして、この位置(接触楕円の中心から外れた位置)で軌道輪と玉が接触すると、差動滑りが生じる。
【0010】
また、ベルト式無段変速機のプーリ軸を支持する転がり軸受には、前述のプーリ間の芯ずれに伴う滑りだけではなく、プーリ間に巻き付けた金属製ベルトの構造に起因する微小振動が生じる。さらに、前述の芯ずれの原因となるアキシャル荷重も変速に伴って変動する。このような微小振動およびアキシャル荷重の変動が大きくなると、玉と軌道輪間の潤滑膜の厚さが変化したり、玉と軌道輪との接触角が変化したりして、玉の回転が不安定になる。これに伴って、玉と軌道輪との間の滑りが大きくなる場合がある。
【0011】
また、ベルト式無段変速機の潤滑油(トラクションオイル)には動力の伝達効率を高めるための工夫がなされており、このような潤滑環境下で玉と軌道輪との間の滑りが大きくなると、軌道輪表面近傍に作用する接線力が増大し、温度が上昇し、玉と軌道輪との間にメカノケミカル反応が生じ易くなるものと考えられる。すなわち、この軸受には、金属接触による発熱や表面疲労が生じ易くなるとともに、軌道面に新生面が生じ易くなり、その結果、新生面が触媒となって炭化水素や潤滑油中の水分等が分解されて水素が生じ、特異的に早期剥離が引き起こされて、軸受寿命が低下するのではないかと推測される。
【0012】
したがって、ベルト式無段変速機のプーリ軸を支持するラジアル玉軸受の場合には、前記比(R/D)を小さくする方法では、両プーリ間の芯ずれを小さくする目的と軸受寿命を長くする目的の両方を達成することはできない。
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ベルト式無段変速機のプーリ軸を支持するラジアル玉軸受において、玉と軌道輪との間の滑りに起因する寿命低下を抑制すること、およびベルトを巻き付ける両プーリ間の芯ずれを小さくしながら軸受の長寿命化を図ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、内輪と外輪との間に複数の玉が転動自在に配設された転がり軸受において、内輪および/または外輪は、玉直径(D)に対する軌道溝の曲率半径(R)の比(R/D)の百分率(%):「(R/D)×100」が、52.5%以上55.0%以下であることを特徴とする転がり軸受を提供する。
【0014】
本発明はまた、内輪と外輪との間に複数の玉が転動自在に配設された転がり軸受において、内輪および/または外輪は、玉直径(D)に対する軌道溝の曲率半径(R)の比(R/D)の百分率(%):「(R/D)×100」と、材料として使用する合金鋼中のクロム(Cr)含有率(質量%):〔Cr〕と、により下記の(1)式で示されるα値が、53.25以上であることを特徴とする転がり軸受を提供する。
【0015】
α=(R/D)×100+0.25〔Cr〕‥‥(1)
本発明の転がり軸受において、内輪および外輪のうちの前記比(R/D)が小さい方の軌道輪は、材料として使用する合金鋼中のクロム(Cr)含有率が3.0質量%以上8.0質量%以下であることが好ましい。
クロム(Cr)は、マルテンサイトやセメンタイト等の金属組織を安定化することにより、滑りによる接線力やメカノケミカル反応に起因する表面疲労を生じ難くする作用を有する。また、焼戻し軟化抵抗性を向上させる作用を有するため、滑りによる発熱が生じても表面疲労が進行し難くなる。さらに、マトリックスに固溶して焼入れ性や耐食性を高くしたり、微細な炭化物を形成して熱処理時の結晶粒の粗大化を防止したり、疲労寿命特性や耐摩耗性を高くしたりする作用をも有する。
【0016】
クロム含有率が3.0質量%未満であると、ベルト式無段変速機のベルトを巻き付けるプーリの回転軸を支持する用途で使用される転がり軸受の場合に、上述の各作用が十分には得られず、滑りに起因する寿命低下を抑制する効果が十分には得られない。クロム含有率が8.0質量%を超えると、冷間加工性や切削性が低下して、加工コストが上昇したり、粗大な共晶炭化物が生成して疲労寿命の低下や機械的強度の低下が生じる場合がある。
【0017】
なお、前述のように、軌道輪の材料として使用する合金鋼中のクロム含有率〔Cr〕を高くすることで、滑りに起因する寿命低下が抑制できる。また、「R/D」を大きくすることも滑りが生じ難くすることに繋がる。したがって、「R/D」が比較的小さい場合には〔Cr〕を高くすることで、滑りに起因する寿命低下が抑制でき、「R/D」を大きくできる場合には〔Cr〕を比較的少なくしても、滑りに起因する寿命低下を抑制することができる。
【0018】
本発明の転がり軸受では、内輪および外輪のうちの一方は、玉直径(D)に対する軌道溝の曲率半径(R)の比(R/D)の百分率(%):「(R/D)×100」が52.5%以上55.0%以下であり、他方は、「(R/D)×100」が50.5%以上51.5%以下であることが好ましい。この構成とすることにより、本発明の転がり軸受をベルト式無段変速機のプーリ軸を支持するラジアル玉軸受とした場合に、「(R/D)×100」が52.5%以上55.0%以下である軌道輪によって滑りに起因する寿命低下を抑制しながら、「(R/D)×100」が50.5%以上51.5%以下である軌道輪によってアキシャル荷重に伴う芯ずれを小さくすることができる。
【0019】
本発明の転がり軸受の内輪および外輪は合金鋼を材料として形成されるが、使用する合金鋼の炭素(C)含有率は0.4質量%以上であることが好ましい。Cは、マトリックスに固溶して焼入れ、焼戻し後の硬さを高くすることにより強度を高くするとともに、クロム(Cr)等と結合して炭化物を形成することにより耐摩耗性を高くする作用を有する。
【0020】
ずぶ焼き鋼の場合の炭素含有率は0.6質量%以上であることが好ましい。肌焼き鋼の場合には、炭素含有率を0.3質量%以上0.65質量%以下として、浸炭または浸炭窒化処理を行うことが好ましい。炭素を過剰に含有すると、製鋼時に粗大な共晶炭化物が生成し易くなって、疲労寿命や強度が著しく損なわれる場合があるため、クロム含有率(質量%):〔Cr〕と炭素含有率(質量%):〔C〕との関係を下記の(2)式を満たすようにすることが好ましい。
【0021】
〔C〕≦−0.05〔Cr〕+1.41‥‥(2)
本発明の転がり軸受を構成する玉としては、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼製のもの、前記軸受鋼で形成して浸炭または浸炭窒化処理等の硬化処理が行われているもの、あるいはマルテンサイト系ステンレス鋼製のものを使用することができる。滑りによる軸受寿命の低下を抑制する点からは、マルテンサイト系ステンレス鋼製の玉を使用することが好ましい。
【0022】
本発明の転がり軸受は、ベルト式無段変速機のベルトを巻き付けるプーリの回転軸を支持する用途で使用される転がり軸受として好適である。
本発明はまた、本発明の転がり軸受により、ベルトを巻き付けるプーリの回転軸が支持されているベルト式無段変速機を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0024】
【表1】
Figure 2004011711
【0025】
先ず、合金成分が上記表1に示す組成である、各合金鋼A〜Eを用意した。なお、合金鋼EはSUJ2に相当する。
[第1実施形態]
「材料」として表1の合金鋼Eを用いて、呼び番号6208のラジアル玉軸受(内径40mm、外径80mm、幅18mm)用の内輪と外輪を作製した。その際、図1に示す内輪1の軌道溝10の曲率半径Riと、外輪2の軌道溝21の曲率半径Reを各種値に形成した。
【0026】
各合金鋼を所定形状に成形加工した後に、熱処理として、840〜1050℃での焼入れと160℃での焼戻しを行った。熱処理後に、研削仕上げ加工と超仕上げ加工を行った。軌道溝10,21の表面粗さは0.01〜0.04μmRaの範囲内とした。
また、直径(D)が11.906mmである、SUJ2製の等級20相当の玉3を用意した。この玉3には浸炭窒化処理がなされている。この玉3と、上述の内輪1および外輪2と、金属製の波形プレス保持器(図1では保持器が省略されている。)とを用いて、試験軸受を組み立てた。
【0027】
各試験軸受について、内輪1および外輪2の「軌道溝の曲率半径(R)/玉の直径(D):単位%」は、表2に示す各種構成とした。なお、ラジアル内部すきまは「C3すきま」以下とした。また、軌道面の表面硬さはHRC58〜64とし、軌道面の残留オーステナイト量は6〜15体積%とした。
これらの試験軸受を、各8体ずつ用意し、日本精工(株)製の玉軸受寿命試験機に取付け、下記の条件で回転させる寿命試験を行った。
【0028】
回転中に振動を測定し、軸受の振動値が初期振動値の2倍となった時点で回転を終了し、この時点までの回転時間を寿命とした。また、この時点で内外輪の軌道溝面のいずれに剥離が生じているかを調べた。なお、軸受の振動値が初期振動値の2倍とならない場合の試験の打ち切り時間は、この条件での計算寿命の5倍とした。
【0029】
次に、各種類毎に8体の試験軸受の結果をワイブル分布のグラフ(累積破損確率−寿命)にプロットし、このグラフから、短寿命側から10%の軸受に剥離が発生するまでの総回転時間(L10寿命)を求めた。各試験軸受のL10寿命測定値について、No.1−9のL10寿命測定値を「1」とした相対値を算出した。
<寿命試験の条件>
回転速度:2000rpm
ラジアル荷重:4900N
アキシャル荷重:2000N、1Hzの揺動
潤滑油:「トラクションオイル」に分類される昭和シェル製の無段変速機用潤滑油「NS−1」
油温度:100℃
回転輪:内輪
この結果を下記の表2に併せて示す。
【0030】
【表2】
Figure 2004011711
【0031】
また、No.1−1〜1−6とNo.1−9〜1−12の各試験軸受について、玉直径(D)に対する外輪の軌道溝の曲率半径(Re)の比の百分率「Re/D」と、得られた寿命比(L10寿命の相対値)との関係を、図2にグラフで示す。これらの試験軸受は、内輪のR/Dが51.0%で同じである。図2の範囲Aは、本発明の請求項1で規定する「R/D」の範囲(52.5%以上55.0%以下)を示す。
【0032】
これらの結果から分かるように、No.1−1〜1−8の試験軸受は、内輪および外輪のいずれか一方の(R/D)を52.5%以上55.0%以下とし、他方の(R/D)を51.0%または51.5%とすることで、内輪および外輪のいずれもが「(R/D):52.5%以上55.0%以下」を満たさないNo.1−9〜1−12の試験軸受よりも、トラクションオイルで潤滑された場合の軸受寿命を長くすることができる。
[第2実施形態]
第1実施形態と同様にして表3に示す構成の試験軸受を作製した。ただし、内輪および外輪の「材料」として、表1の合金鋼A〜Eのいずれかを用い、玉3の材質はマルテンサイトステンレス鋼とした。
【0033】
各試験軸受のラジアル内部すきまは「C3すきま」以下とした。また、軌道面の表面硬さはHRC58〜64とし、軌道面の残留オーステナイト量は6〜15体積%とした。
これらの試験軸受を、各8体ずつ用意し、日本精工(株)製の玉軸受寿命試験機に取付け、下記の条件で回転させる寿命試験を行った。
【0034】
回転中に振動を測定し、軸受の振動値が初期振動値の2倍となった時点で回転を終了し、この時点までの回転時間を寿命とした。また、この時点で内外輪の軌道溝面のいずれに剥離が生じているかを調べた。なお、軸受の振動値が初期振動値の2倍とならない場合の試験の打ち切り時間は、この条件での計算寿命の5倍とした。
【0035】
次に、各種類毎に8体の試験軸受の結果をワイブル分布のグラフ(累積破損確率−寿命)にプロットし、このグラフから、短寿命側から10%の軸受に剥離が発生するまでの総回転時間(L10寿命)を求めた。各試験軸受のL10寿命測定値について、No.2−9のL10寿命測定値を「1」とした相対値を算出した。
<寿命試験の条件>
回転速度:2500rpm
ラジアル荷重:4900N
アキシャル荷重:2000N、1Hzの揺動
潤滑油:「トラクションオイル」に分類される昭和シェル製の無段変速機用潤
滑油「NS−1」
油温度:130℃
回転輪:内輪
この結果を下記の表3に併せて示す。
【0036】
【表3】
Figure 2004011711
【0037】
また、各試験軸受(No.2−1〜2−13)について、玉直径(D)に対する外輪の軌道溝の曲率半径(Re)の比の百分率「Re/D」と、使用した合金鋼中のクロム含有率〔Cr〕との関係を、図3にグラフで示す。各試験軸受の内輪のR/Dは51.0%で全て同じにしてある。図3において、ラインL1は下記の(3)式を、ラインL2は下記の(4)式を示す。また、ラインL3は(Re/D)×100=52.5を、ラインL4は(Re/D)×100=55.0を示す。
【0038】
(R/D)×100=−0.25〔Cr〕+53.25‥‥(3)
(R/D)×100=−0.25〔Cr〕+54.50‥‥(4)
すなわち、上記(3)式は(1)式でα=53.25である式に相当し、上記(4)式は(1)式でα=54.50である式に相当する。
図3のグラフのラインL1上とこれより上側の範囲は、α≧53.25である本発明の請求項2で規定する範囲に相当する。表3に示すように、この範囲内であるNo.2−1〜8とNo.2−10、No.2−12、No.2−13の試験軸受は、No.2−13を除いて、この範囲外であるNo.2−9およびNo.2−11よりもL10寿命が長くなっている。なお、ラインL3とL4との間の範囲(「R/D」が52.5%以上55.0%以下)は、本発明の請求項1で規定する範囲に相当する。
【0039】
No.2−13については、「R/D」が55.0%を超えて大きいため、軌道溝とボールとの接触面積は小さくなって面圧が大きくなり、転がり疲労が生じ易くなった結果、L10寿命が比較的短くなったと考えられる。
また、No.2−2とNo.2−6〜2−8の試験軸受は、L10寿命の相対値が3.0以上と特に高いが、これは以下の理由によって説明できる。No.2−2については、〔Cr〕が3.0質量%と比較的低いが、「Re/D」が54.0%と比較的大きいためである。No.2−7については、「Re/D」が51.5%と比較的小さいが、〔Cr〕が8.0質量%と高いためである。No.2−6とNo.2−8については、〔Cr〕が比較的高く「Re/D」も比較的大きいことによる。
【0040】
これにより、軌道輪の材料として使用する合金鋼中のクロム含有率〔Cr〕を高くするか、「R/D」を大きくすることで、滑りに起因する寿命低下を抑制できることが分かる。ただし、「R/D」が大きすぎるとアキシャル荷重による芯ずれが大きくなるため、内輪および/または外輪についてのα≧53.25を必須要件とする本発明の請求項2においても、α≧53.25とした軌道輪の「R/D」を55.0%以下にすることが好ましい。
【0041】
また、図3のグラフのラインL2上とこれより上側の範囲であって、ラインL4上とこれより下側の範囲(α≧54.5且つ(R/D)×100≦55.0)が特に好ましい範囲である。この実施形態ではNo.2−2、No.2−6、No.2−8の試験軸受がこの範囲の例である。
このように、外輪については、α値が本発明の範囲を満たし、且つ(R/D)×100≦55.0、且つ〔Cr〕を3.0質量%以上8.0質量%以下とし、内輪については、(R/D)×100=51.0%、且つ〔Cr〕を3.0質量%以上8.0質量%以下としたNo.2−1〜No.2−8、No.2−10、No.2−12の構成とすることにより、ベルト式無段変速機のプーリ軸を支持するラジアル玉軸受として、ベルトを巻き付ける両プーリ間の芯ずれを小さくながら、滑りが生じた場合でも表面疲労が生じ難く、トラクションオイル潤滑下での軸受寿命が長いものを得ることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ベルト式無段変速機のプーリ軸を支持するラジアル玉軸受において、玉と軌道輪との間の滑りに起因する寿命低下を抑制すること、およびベルトを巻き付ける両プーリ間の芯ずれを小さくしながら軸受の長寿命化を図ることができる。
【0043】
さらに、本発明のベルト式無段変速機によれば、本発明の転がり軸受でベルトを巻き付けるプーリの回転軸が支持されていることによって、両プーリ間の芯ずれを小さくしながら長期間安定的にプーリを回転させることができるため、ベルトの耐久性を長期間保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転がり軸受の構成と、内輪および外輪の軌道溝の曲率半径とを説明する図である。
【図2】第1実施形態の結果から得られた、玉直径(D)に対する外輪の軌道溝の曲率半径(Re)の比の百分率「Re/D(%)」と、得られた寿命比(L10寿命の相対値)との関係を示すグラフである。
【図3】第2実施形態の結果から得られた、玉直径(D)に対する外輪の軌道溝の曲率半径(Re)の比の百分率「(Re/D)×100」と、使用した合金鋼中のクロム含有率〔Cr〕との関係を示すグラフである。
【図4】車両のベルト式無段変速機の一例を示す断面図である。
【図5】軌道輪の剥離形態を示す図であって、(a)は潤滑油が鉱油の場合を示し、(b)は潤滑油がトラクションオイルの場合を示す。
【符号の説明】
1 内輪
10 内輪の軌道溝
11 ラジアル玉軸受
12 ラジアル玉軸受
2 外輪
21 外輪の軌道溝
3 玉(転動体)
5 入力軸(駆動軸)
6 出力軸(従動軸)
7 入力軸プーリ(プライマリプーリ)
71 固定円錐板
72 可動円錐板
8 出力軸プーリ(セカンダリプーリ)
81 固定円錐板
82 可動円錐板
9 ベルト
91 リング
92 摩擦片
D 玉の直径
Ri 内輪の軌道溝の曲率半径
Re 外輪の軌道溝の曲率半径

Claims (5)

  1. 内輪と外輪との間に複数の玉が転動自在に配設された転がり軸受において、
    内輪および/または外輪は、
    玉直径(D)に対する軌道溝の曲率半径(R)の比(R/D)の百分率(%):「(R/D)×100」が、52.5%以上55.0%以下であることを特徴とする転がり軸受。
  2. 内輪と外輪との間に複数の玉が転動自在に配設された転がり軸受において、
    内輪および/または外輪は、
    玉直径(D)に対する軌道溝の曲率半径(R)の比(R/D)の百分率(%):「(R/D)×100」と、材料として使用する合金鋼中のクロム(Cr)含有率(質量%):〔Cr〕と、により下記の(1)式で示されるα値が、53.25以上であることを特徴とする転がり軸受。
    α=(R/D)×100+0.25〔Cr〕‥‥(1)
  3. 内輪および外輪のうちの前記比(R/D)が小さい方の軌道輪は、材料として使用する合金鋼中のクロム(Cr)含有率が3.0質量%以上8.0質量%以下である請求項2記載の転がり軸受。
  4. ベルト式無段変速機のベルトを巻き付けるプーリの回転軸を支持する用途で使用される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の転がり軸受。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の転がり軸受により、ベルトを巻き付けるプーリの回転軸が支持されているベルト式無段変速機。
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