JP2004010738A - 乾式プリプレグの製造方法及びこの製造方法を用いて製造された乾式プリプレグ並びに繊維強化プラスチック製品 - Google Patents
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Abstract
【目的】量産性に優れ且つ製造コストを軽減した乾式プリプレグの製造方法及びこの製造方法を用いて製造された乾式プリプレグ並びにガラスマット積層板製品を提供することを目的とする。
【構成】ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルと芳香族系ラジカル重合性モノマ−とを必須成分として混合し、得られた混和溶液をガラスマットに含浸させ、次いで加熱乾燥処理を行うことを特徴とする乾式プリプレグの製造方法及びこの製造方法を用いて製造された乾式プリプレグ並びにガラスマット積層板製品。
【選択図】 なし
【構成】ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルと芳香族系ラジカル重合性モノマ−とを必須成分として混合し、得られた混和溶液をガラスマットに含浸させ、次いで加熱乾燥処理を行うことを特徴とする乾式プリプレグの製造方法及びこの製造方法を用いて製造された乾式プリプレグ並びにガラスマット積層板製品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式プリプレグの製造方法及びこの製造方法を用いて製造された乾式プリプレグ並びに繊維強化プラスチック製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂などを用いたガラスマット積層板製品は、安価で耐熱性、耐湿熱性、耐燃性及び耐トラッキング性などの優れた特性を持つプラスチック製品として、幅広い分野において使用されている。
【0003】
このようなガラスマット積層板の製法としては、一般には現在種々の方法が開発されているが、一般的には、(a)湿式のハンドレイアップ法によるもの、(b)半乾式のSMC法及び(c)乾式プリプレグ方式等が挙げられる。
【0004】
前記(a)のハンドレイアップ法は、木型、樹脂型、石膏或いは磨鋼板等の型の上に樹脂とガラス繊維を積層して成形する方法である。
【0005】
又、前記(b)のSMC法は、ポリエステル樹脂、充填剤、着色剤、内部離型剤及び硬化剤等を均一に混ぜ合わせて混和物とし、これをガラス基材に所定の比率で塗布ないし含浸し、ポリエチレンなどのフィルムでカバーした後、フィルムの上から適当な方法で加圧して混和物をガラス基材への押し込むと共に、脱泡を十分に行わせ、適当な温度に保存して熟成の上、SMC(Sheet molding compound)とするものである。
【0006】
ここで、前記(a)のハンドレイアップ法は、製造コスト低く、大型のものを成形できることから現在FRPの製造方法の主流となっているものであるが、比較的長期間の成形サイクルを要し、しかも良品を得るためには熟練を要し、品質が均一な製品を得難いといった欠点がある。
【0007】
一方、SMC法は、前記ハンドレイアップ法と比較して、成形効率が高く、又、省力化及び作業環境の改善等を実現することができるものであるが、成形品の表面が不平滑となりやすいとの問題がある。
【0008】
そのため、最近では前記(c)の乾式プリプレグ法が注目されており、即ち、この乾式プリプレグ法は、連続的にガラス繊維に樹脂を含浸して加熱乾燥させ、乾式プリプレグを得るものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、乾式プリプレグ法においては、ガラスマット等のガラス繊維に樹脂を速やかに含浸させるため、樹脂に架橋用モノマ−と充填剤を混ぜ合わせた混和物に適当な溶剤を加えて流動性を高め、ガラスマットに含浸させた後に加熱することにより溶剤を揮散させて乾式プリプレグを作製するのが一般的である。
【0010】
しかしながら、流動性を高めるために加えられる溶剤は一般的に高価で、しかも使い捨てとなることから、現在、最終的な製品のコストを低減させるために、この溶剤を用いない乾式プリプレグ法の開発が強く要求されている。
【0011】
この要求に対しては、溶剤を添加するのに代えて、架橋剤として用いられる比較的安価なスチレンモノマー等の芳香族系重合性ラジカルモノマーを多量に混合し、混和溶液の流動性を高めるといった方法が提案されている。
【0012】
しかしながら、この方法により混和溶液の流動性を高めることはできるが、芳香族系重合性ラジカルモノマーは一様に沸点が高く(例えば、スチレンモノマーの沸点は145℃)、このため乾式プリプレグの製造における最終段階における加熱乾燥工程を経ても、未反応の芳香族系重合性ラジカルモノマーが充分に揮散せず、多量にプリプレグに残存ずることとなり、結果として乾式プリプレグの性状が得られず、ベトつきのあってハンドリング性の悪いプリプレグしか得られなくなるのである。
【0013】
本発明者は、前記技術的課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、骨格中にジシクロペンテニル基を有するジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルが、スチレン等の芳香族系重合性ラジカルモノマーに対して非常に親和性が高い特性を有することに着目し、乾式プリプレグ法において、この特定の不飽和ポリエステルを用いれば、芳香族系重合性ラジカルモノマーを多量に混合する必要はなく、架橋反応に必要な量のみを混合することで十分な流動性を得ることができるのであり、又、プリプレグ中に未反応モノマーが多量の残存することを防止し、ベトツキのないプリプレグを生産性よく得られるとの知見を得たのである。
【0014】
本発明は、前記知見に基づき完成されたものであって、特定の飽和ポリエステルを用いることにより、比較的少量の芳香族系ラジカル重合性モノマ−の混合で十分な流動性の向上を実現したものであり、従って、本発明は、量産性に優れ且つ製造コストを軽減した乾式プリプレグの製造方法及びこの製造方法を用いて製造された乾式プリプレグ並びに繊維強化プラスチック製品を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の乾式プリプレグの製造方法(以下、本発明方法という。)においては、少なくともジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルと芳香族系ラジカル重合性モノマ−とを必須成分として混合し、得られた混和溶液をガラスマットに含浸させ、次いで加熱乾燥処理を行うことを特徴とするものである。
以下、本発明方法について詳細に説明する。
【0016】
本発明方法で用いられるジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルは、骨格中にジシクロペンテニル基を有する不飽和ポリエステルであり、スチレンモノマ−等の芳香族系ラジカル重合性モノマーとの親和性が高い性質を有するものである。
【0017】
前述のごとく、乾式プリプレグ法において、ベトツキのない乾式プリプレグを得るためには、沸点の比較的高い芳香族系重合性ラジカルモノマーの混合量をできるだけ下げる必要がある。
【0018】
しかしながら、一般的に用いられているオルソフタル酸系やイソフタル酸系或いはテレフタル酸系等の不飽和ポリエステルにおいては芳香族系重合性ラジカルモノマーとの親和性が劣り、少量の混合では混合溶液の流動性が十分に低下せず、ガラス基材への含浸が困難になるという問題がある。
【0019】
特にイソフタル酸系やテレフタル酸系等の不飽和ポリエステルを用いたFRPにおいては、一般にその分子量を増大させることにより耐熱性、耐熱水性、耐湿熱性、低収縮性などの特性を向上させる手法がとられるのであるが、この分子量の増大に伴って樹脂粘度が増大することになる結果、一層ガラス基材への含浸が困難になるのである。
【0020】
一方、本発明方法で用いられるジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルは、スチレンモノマ−への親和性が高く、またジシクロペンテニル基を高含有させることで物性の低下を伴わずに低分子量化が可能であることから、結果として少量の芳香族系重合性ラジカルモノマーとの混合によっても混合溶液の流動性を高くすることが可能となるのである。
【0021】
又、本発明方法で用いられるジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルは、ジシクロペンテニル基の不飽和結合が空気中の酸素と反応することによって硬化が促進されるといった空気硬化特性を有するのであり、この特性は、更にベトツキのないプリプレグを得るための相乗効果となるのである。
【0022】
なお、本発明方法においてこのジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルとは、骨格中にジシクロペンテニル基を有する不飽和ポリエステル樹脂のことをいい、特にその製法には限定されるものではないが、具体的な製法の例としては、不飽和ポリエステルの酸成分の一部をジシクロペンタジエンの不飽和多塩基酸付加物で置き換える方法やアルコ−ル成分の一部をジシクロペンタジエンのグリコ−ル付加物類やヒドキシジシクロペンタジエン等で置き換える方法等を挙げることができるのであり、又、市販品としては、例えば日本触媒社製のエポラックSD−4000シリ−ズを挙げることができる。
【0023】
更に、本発明方法で用いられる前記芳香族系ラジカル重合性モノマ−としては、スチレン、ビニルトルエン、ジアリルフタレ−ト、ジアリルイソフタレ−ト等の不飽和ポリエステルの硬化に用いられる公知のモノマ−が挙げられるのであり、これらは単独または2種類以上での併用にて用いることができる。
【0024】
そして、本発明方法においては、少なくとも前記ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル樹脂と前記芳香族系ラジカル重合性モノマーとを必須成分として混合し、流動性の高い混合溶液とするのであるが、この混合溶液における各成分の混合割合としては、選択されたジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル樹脂及び芳香族系ラジカル重合性モノマーの種類や、製造工程における条件に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、一般的には、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、芳香族系ラジカル重合性モノマーが30〜85重量部程度が好ましく、特に、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、芳香族系ラジカル重合性モノマーが40〜70重量部程度が一層好ましい。
【0025】
ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、芳香族系ラジカル重合性モノマーが30重量部未満であると流動性が悪くなり取扱が困難になり易く、一方、85重量部を超えると乾燥工程後においても、未反応の芳香族系ラジカル重合性モノマーが多く残りベトツキのあるプリプレグになってしまうのでいずれも好ましくない。
【0026】
ところで、本発明においては、プリプレグに所望の付加価値を付与するため、前記混和溶液に無機質フィラーを含有させることが好ましい。
【0027】
この無機質フィラ−としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えばカオリン、ベントナイト、バ−ミキュライト、アルミナ、シリカ粉、クレ−、亜鉛華又は酸化チタン等の金属酸化物、タルク、塩化アルミニウムや硫酸アルミニウム等の金属塩、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を挙げることができるのであり、中でも難燃性付与や耐ア−ク性、耐トラッキング特性に効果的な水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を用いることが望ましい。
【0028】
なお、これらは単独または2種以上を併用して用いることができるのであり、一般的には、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して50〜300重量部程度混合される。
【0029】
本発明においては、重合反応を促進させるために、前記混和溶液に触媒を添加しても良いのであり、この触媒としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えばt−ブチル−パ−オキシ−イソブチレ−ト、t−ブチル−パ−オキシ−アセテ−ト、t−ブチ−ル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト等のアルキルパ−エステルや2,2−(t−ブチ−ル−パ−オキシ)ブタン等のパ−オキシケタ−ルやt−ブチル−クミ−ル−パ−オキサイド等のジアルキルパ−オキサイド化合物が挙げられるのであり、これらは単独または2種以上を併用して用いることができるのであり、一般的には、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.5〜3.0重量部程度添加される。
【0030】
又、前記混和溶液には、シアンカップリング剤を添加しても良く、ポリエステル用に用いられる一般的なカップリング剤を選択し、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲、特に0.1〜3重量部を添加し無機フィラ−とのなじみを更に向上させることも可能である。
【0031】
前述のように、本発明方法においては、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルを用いることにより、溶剤を用いることなく、充分に混和溶液の流動性を向上させることができるのであるが、より一層の取扱性やガラスマットへの含浸性などに配慮して任意に有機溶媒を配合しても問題はないのであり、この有機溶媒としては、例えば、ケトン系有機溶媒であるアセトン、メチルエチルケトンやベンゼン、トルエン等が挙げられるのであり、その配合割合は、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対し100重量部以下、特に10〜50重量部の範囲とするのが望ましい。
【0032】
加えて、本発明方法においては、本発明の目的、作用及び効果を損なわない範囲で、種々の添加剤、例えば、着色剤(顔料、染料)、老化防止剤、安定剤、難燃剤等を適宜添加してもよいのである。
【0033】
本発明方法においては、前記混和溶液を補強材であるガラスマットに含浸させるが、取扱性、補強信頼性、寸法安定性、機械的強度及び電気特性等の理由より、その材質は電気用Eガラス繊維を使用したチョップドストランドガラスマットが望ましく、その坪量は100〜600g/m2の範囲、好ましくは200〜500g/m2の範囲とするのが望ましい。
【0034】
なお、このガラスマットの市販品の例としては、日本板硝子社製REM300−G5(坪量300g/m2)、REM450−E1(坪量450g/m2)日東紡績社製MC300A−104SS(坪量300g/m2)、MC380A−104SS(坪量380g/m2)等が挙げられる。
【0035】
ところで、前記混和溶液をガラスマットに含浸させ、加熱、乾燥させて乾式プリプレグを製造するにあたり、その加熱乾燥条件としては、用いられる樹脂のグレ−ドや硬化剤、触媒等によって異なるが、一般的には、温度100〜150℃で2〜20分間、好ましくは温度120℃〜140℃で3〜10分間加熱する事により、ベトツキのないプリプレグを形成することができる。
【0036】
本発明方法において、前記混和溶液をガラスマットに塗布する方法としては特に限定されるものではないが、具体的には、例えばフロ−コ−ト、ロ−ルコ−ト、パイプドクタ−ノズル方式(PDN方式)、吹き付け、アプリケ−ト又はコ−ティングなどの方法が挙げられる。
【0037】
そして本発明方法において、前記混和溶液をガラスマットに含浸させるにあたり、ガラスマットと混和溶液との割合は、ガラスマット100重量部に対し、無機質フィラーやその他の添加剤を含む混和溶液の固形分が100〜300重量部の範囲とするのが望ましく、100重量部未満と少なすぎると成形の際、樹脂欠け、ピンホ−ル等が発生し易くなるので好ましくなく、一方300重量部を越えると成形行程にて、樹脂の流れが多くなりすぎたり、補強材不足による強度不足などの不具合が生じ易くなるので好ましくない。
【0038】
本発明の乾式プリプレグは、前記本発明方法を用いて製造されたことを特徴とするものであり、ベトツキがなく、取り扱い性が良好な特性を有するものである。
【0039】
そして本発明のガラスマット積層板製品は、この本発明の乾式プリプレグを1層ないし複数層積層したものをプレス成形したことを特徴とするものであり、乾式プリプレグのベトツキがないためその成形工程が簡便であり、種々の製品形態に加工されるのである。
【0040】
特に、本発明のガラスマット積層板製品としては、所定の厚さに対し、相当する枚数のプリプレグを積み重ね通常のセパレ−タ−を介しステンレス板の間にセットして加圧、加熱してCステ−ジのガラスマット積層板として応用することが好ましい。
【0041】
この場合において、その成形条件としては、含有無機フィラ−の種類や量と樹脂との割合等に応じて適宜決定され、特に限定されるものでないが、一般的に温度100℃〜200℃で、圧力10〜200kg/m2、好ましくは温度130℃〜160℃で、圧力40〜120kg/m2程度で行われる。
【0042】
なお、セパレ−タ−の代わりにステンレス板に離型処理等を施したセパレ−タ−レスの生産方式をとることも可能である。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
実施例1
ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒社製 エポラックSD−4000のアルキシッド)100重量部にスチレンモノマ−を54重量部を添加、溶解したのち、水酸化アルミニウム200重量部、t−ブチル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト1.5重量部とメチルエチルケトン30重量部を添加して攪拌混合した配合体を、450g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させた。
次いで、これをセパレ−タ−を介して厚さ1mmの板上に載せ、乾燥機にて120℃で10分間乾燥させることによって、坪量1150g/m2のベトツキのないプレプレグを得た。
更に、このセパレ−タ−を取り去ったプリプレグを3枚積み重ね、セパレ−タ−を介してステンレス板の間にセットし、プレス機にて、プレス圧力70kg/m2、温度150℃で60分間成形してCステ−ジのガラスマット積層板(厚さ約1.6mm)を得た。
【0045】
実施例2
ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒社製 エポラックSD−4000のアルキシッド)100重量部を実施例1と同様にスチレンモノマ−54重量部で溶解し、更にジアリルフタレ−トモノマ−10重量部と水酸化アルミニウム200重量部、t−ブチル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト1.5重量部とメチルエチルケトン30重量部を添加して攪拌混合した配合体を、450g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させた。
次いで、これをセパレ−タ−を介して厚さ1mmの板上に載せ、乾燥機にて120℃で10分間乾燥させることによって、坪量1150g/m2のベトツキのないプレプレグを得た。
更に、このセパレ−タ−を取り去ったプリプレグを3枚積み重ね、セパレ−タ−を介してステンレス板の間にセットし、プレス機にて、プレス圧力70kg/m2、温度150℃で60分間成形してCステ−ジのガラスマット積層板(厚さ約1.6mm)を得た。
【0046】
比較例1
テレフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂100重量部をスチレンモノマ−100重量部で溶解し、水酸化アルミニウム200重量部、t−ブチル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト1.5重量部とメチルエチルケトン30重量部を添加して攪拌混合した配合体を、450g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させた。
次いで、これをセパレ−タ−を介して厚さ1mmの板上に載せ、乾燥機にて120℃で10分乾燥させることによって、坪量1150g/m2のベトツキのないプレプレグを得た。
更に、このセパレ−タ−を取り去ったプリプレグを3枚積み重ね、セパレ−タ−を介してステンレス板の間にセットし、プレス機にて、プレス圧力70kg/m2、温度150℃で60分間成形してCステ−ジのガラスマット積層板(厚さ約1.6mm)を得た。
【0047】
比較例2
テレフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂100重量部(モノマ−や溶剤を含まないアルキッド)を比較例1と同様にスチレンモノマ−100重量部で溶解し、更にジアリルフタレ−トモノマ−10重量部と水酸化アルミニウム200重量部、触媒t−ブチル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト1.5重量部と粘度調整にメチルエチルケトン30重量部を添加して攪拌混合した配合体を、450g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させた。
次いで、これをセパレ−タ−を介して厚さ1mmの板上に載せ、乾燥機にて120℃で10分間乾燥させることによって、坪量1150g/m2のベトツキのないプレプレグを得た。
更に、このセパレ−タ−を取り去ったプリプレグを3枚積み重ね、セパレ−タ−を介してステンレス板の間にセットし、プレス機にて、プレス圧力70kg/m2、温度150℃で60分間成形してCステ−ジのガラスマット積層板(厚さ約1.6mm)を得た。
【0048】
実施例1・2及び比較例1・2に示すガラスマット積層板の乾式プリプレグ製法の結果について、プリプレグのベタツキと耐熱性(温度130℃における強度保持率)について調べた結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
なお、プリプレグのベタツキについては、各実施例と各比較例でおこなった乾燥機での加熱乾燥後のプリプレグについて、常温(23℃)にて20分放置後、樹脂成分が柔らかく、指で接触した時にその指に付いてくる場合は『×』、サラっとして指に樹脂が付いてこない場合を『○』と評価した。
【0051】
又、耐熱性(温度130℃における強度保持率)については、JIS K 6911に準拠し、RT(23℃)と130℃における曲げ強さの比較で保持率を求めた。
【0052】
表1の結果から明らかなように、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルを使用した実施例1・2では、各項目に対し良好な特性を示していることが認められるのであり、又、乾式プリプレグ方式でベタツキのないプリプレグを得ることができる上、特性も優れていることが認められる。
【0053】
一方、従来からのテレフタル酸系の不飽和ポリエステル樹脂を使用した比較例1ではテレフタル酸系樹脂(アルキッド)を溶解するスチレンモノマ−量を、取扱いのできる粘度まで加えると、スチレンモノマ−の混合量が100重量部と多くなってしまい、結果として乾式プリプレグの製法では、ベタツキのあるプリプレグになってしまい量産性等に問題が生じることが確認された。
また高温での強度保持率でも実施例1及び2には及ばなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、少なくともジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルと芳香族系ラジカル重合性モノマ−とを必須成分として混合し、得られた混和溶液をガラスマットに含浸させ、次いで加熱乾燥処理を行うことを特徴とする乾式プリプレグの製造方法であり、このように構成することによって、ガラスマット積層板の乾式プリプレグ方式の製法において、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルを用いることにより、従来、一般のポリエステル樹脂(オルソ系、イソ系、テレ系の不飽和ポリエステル樹脂等)では不可能とされていた、ベタツキのないプリプレグが得られるなどの効果を奏するのである。
【0055】
本発明において、これはジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルが、スチレンモノマ−への溶解性が高いこと、ジシクロペンテニル基を導入することにより低分子量でも特性を発揮すること、及びジシクロペンテニル基の不飽和結合が空気中の酸素と反応することによって硬化が促進される良好な空気硬化特性を有することを特性とすることから生じる効果であり、プリプレグの乾燥工程でこの効果が発揮されているからである。
【0056】
又、本発明においては、通常、乾式プリプレグの製造において、樹脂の流動性を高めるために、溶媒を多く混合することが必須とされる。しかしこの溶媒自体は製品に不必要でプリプレグ生産時の乾燥工程で取り除かれるだけでコスト高につながる。
【0057】
即ち、本発明方法は、前記ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルの特性をうまく乾式プリプレグの製法に利用して、コストを低減し、生産性を向上させたものであり、この方法によって優れた乾式プリプレグ並びにガラスマット積層板製品を得ることができるなどの効果を奏するのである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式プリプレグの製造方法及びこの製造方法を用いて製造された乾式プリプレグ並びに繊維強化プラスチック製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂などを用いたガラスマット積層板製品は、安価で耐熱性、耐湿熱性、耐燃性及び耐トラッキング性などの優れた特性を持つプラスチック製品として、幅広い分野において使用されている。
【0003】
このようなガラスマット積層板の製法としては、一般には現在種々の方法が開発されているが、一般的には、(a)湿式のハンドレイアップ法によるもの、(b)半乾式のSMC法及び(c)乾式プリプレグ方式等が挙げられる。
【0004】
前記(a)のハンドレイアップ法は、木型、樹脂型、石膏或いは磨鋼板等の型の上に樹脂とガラス繊維を積層して成形する方法である。
【0005】
又、前記(b)のSMC法は、ポリエステル樹脂、充填剤、着色剤、内部離型剤及び硬化剤等を均一に混ぜ合わせて混和物とし、これをガラス基材に所定の比率で塗布ないし含浸し、ポリエチレンなどのフィルムでカバーした後、フィルムの上から適当な方法で加圧して混和物をガラス基材への押し込むと共に、脱泡を十分に行わせ、適当な温度に保存して熟成の上、SMC(Sheet molding compound)とするものである。
【0006】
ここで、前記(a)のハンドレイアップ法は、製造コスト低く、大型のものを成形できることから現在FRPの製造方法の主流となっているものであるが、比較的長期間の成形サイクルを要し、しかも良品を得るためには熟練を要し、品質が均一な製品を得難いといった欠点がある。
【0007】
一方、SMC法は、前記ハンドレイアップ法と比較して、成形効率が高く、又、省力化及び作業環境の改善等を実現することができるものであるが、成形品の表面が不平滑となりやすいとの問題がある。
【0008】
そのため、最近では前記(c)の乾式プリプレグ法が注目されており、即ち、この乾式プリプレグ法は、連続的にガラス繊維に樹脂を含浸して加熱乾燥させ、乾式プリプレグを得るものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、乾式プリプレグ法においては、ガラスマット等のガラス繊維に樹脂を速やかに含浸させるため、樹脂に架橋用モノマ−と充填剤を混ぜ合わせた混和物に適当な溶剤を加えて流動性を高め、ガラスマットに含浸させた後に加熱することにより溶剤を揮散させて乾式プリプレグを作製するのが一般的である。
【0010】
しかしながら、流動性を高めるために加えられる溶剤は一般的に高価で、しかも使い捨てとなることから、現在、最終的な製品のコストを低減させるために、この溶剤を用いない乾式プリプレグ法の開発が強く要求されている。
【0011】
この要求に対しては、溶剤を添加するのに代えて、架橋剤として用いられる比較的安価なスチレンモノマー等の芳香族系重合性ラジカルモノマーを多量に混合し、混和溶液の流動性を高めるといった方法が提案されている。
【0012】
しかしながら、この方法により混和溶液の流動性を高めることはできるが、芳香族系重合性ラジカルモノマーは一様に沸点が高く(例えば、スチレンモノマーの沸点は145℃)、このため乾式プリプレグの製造における最終段階における加熱乾燥工程を経ても、未反応の芳香族系重合性ラジカルモノマーが充分に揮散せず、多量にプリプレグに残存ずることとなり、結果として乾式プリプレグの性状が得られず、ベトつきのあってハンドリング性の悪いプリプレグしか得られなくなるのである。
【0013】
本発明者は、前記技術的課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、骨格中にジシクロペンテニル基を有するジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルが、スチレン等の芳香族系重合性ラジカルモノマーに対して非常に親和性が高い特性を有することに着目し、乾式プリプレグ法において、この特定の不飽和ポリエステルを用いれば、芳香族系重合性ラジカルモノマーを多量に混合する必要はなく、架橋反応に必要な量のみを混合することで十分な流動性を得ることができるのであり、又、プリプレグ中に未反応モノマーが多量の残存することを防止し、ベトツキのないプリプレグを生産性よく得られるとの知見を得たのである。
【0014】
本発明は、前記知見に基づき完成されたものであって、特定の飽和ポリエステルを用いることにより、比較的少量の芳香族系ラジカル重合性モノマ−の混合で十分な流動性の向上を実現したものであり、従って、本発明は、量産性に優れ且つ製造コストを軽減した乾式プリプレグの製造方法及びこの製造方法を用いて製造された乾式プリプレグ並びに繊維強化プラスチック製品を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の乾式プリプレグの製造方法(以下、本発明方法という。)においては、少なくともジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルと芳香族系ラジカル重合性モノマ−とを必須成分として混合し、得られた混和溶液をガラスマットに含浸させ、次いで加熱乾燥処理を行うことを特徴とするものである。
以下、本発明方法について詳細に説明する。
【0016】
本発明方法で用いられるジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルは、骨格中にジシクロペンテニル基を有する不飽和ポリエステルであり、スチレンモノマ−等の芳香族系ラジカル重合性モノマーとの親和性が高い性質を有するものである。
【0017】
前述のごとく、乾式プリプレグ法において、ベトツキのない乾式プリプレグを得るためには、沸点の比較的高い芳香族系重合性ラジカルモノマーの混合量をできるだけ下げる必要がある。
【0018】
しかしながら、一般的に用いられているオルソフタル酸系やイソフタル酸系或いはテレフタル酸系等の不飽和ポリエステルにおいては芳香族系重合性ラジカルモノマーとの親和性が劣り、少量の混合では混合溶液の流動性が十分に低下せず、ガラス基材への含浸が困難になるという問題がある。
【0019】
特にイソフタル酸系やテレフタル酸系等の不飽和ポリエステルを用いたFRPにおいては、一般にその分子量を増大させることにより耐熱性、耐熱水性、耐湿熱性、低収縮性などの特性を向上させる手法がとられるのであるが、この分子量の増大に伴って樹脂粘度が増大することになる結果、一層ガラス基材への含浸が困難になるのである。
【0020】
一方、本発明方法で用いられるジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルは、スチレンモノマ−への親和性が高く、またジシクロペンテニル基を高含有させることで物性の低下を伴わずに低分子量化が可能であることから、結果として少量の芳香族系重合性ラジカルモノマーとの混合によっても混合溶液の流動性を高くすることが可能となるのである。
【0021】
又、本発明方法で用いられるジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルは、ジシクロペンテニル基の不飽和結合が空気中の酸素と反応することによって硬化が促進されるといった空気硬化特性を有するのであり、この特性は、更にベトツキのないプリプレグを得るための相乗効果となるのである。
【0022】
なお、本発明方法においてこのジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルとは、骨格中にジシクロペンテニル基を有する不飽和ポリエステル樹脂のことをいい、特にその製法には限定されるものではないが、具体的な製法の例としては、不飽和ポリエステルの酸成分の一部をジシクロペンタジエンの不飽和多塩基酸付加物で置き換える方法やアルコ−ル成分の一部をジシクロペンタジエンのグリコ−ル付加物類やヒドキシジシクロペンタジエン等で置き換える方法等を挙げることができるのであり、又、市販品としては、例えば日本触媒社製のエポラックSD−4000シリ−ズを挙げることができる。
【0023】
更に、本発明方法で用いられる前記芳香族系ラジカル重合性モノマ−としては、スチレン、ビニルトルエン、ジアリルフタレ−ト、ジアリルイソフタレ−ト等の不飽和ポリエステルの硬化に用いられる公知のモノマ−が挙げられるのであり、これらは単独または2種類以上での併用にて用いることができる。
【0024】
そして、本発明方法においては、少なくとも前記ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル樹脂と前記芳香族系ラジカル重合性モノマーとを必須成分として混合し、流動性の高い混合溶液とするのであるが、この混合溶液における各成分の混合割合としては、選択されたジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル樹脂及び芳香族系ラジカル重合性モノマーの種類や、製造工程における条件に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、一般的には、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、芳香族系ラジカル重合性モノマーが30〜85重量部程度が好ましく、特に、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、芳香族系ラジカル重合性モノマーが40〜70重量部程度が一層好ましい。
【0025】
ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、芳香族系ラジカル重合性モノマーが30重量部未満であると流動性が悪くなり取扱が困難になり易く、一方、85重量部を超えると乾燥工程後においても、未反応の芳香族系ラジカル重合性モノマーが多く残りベトツキのあるプリプレグになってしまうのでいずれも好ましくない。
【0026】
ところで、本発明においては、プリプレグに所望の付加価値を付与するため、前記混和溶液に無機質フィラーを含有させることが好ましい。
【0027】
この無機質フィラ−としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えばカオリン、ベントナイト、バ−ミキュライト、アルミナ、シリカ粉、クレ−、亜鉛華又は酸化チタン等の金属酸化物、タルク、塩化アルミニウムや硫酸アルミニウム等の金属塩、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を挙げることができるのであり、中でも難燃性付与や耐ア−ク性、耐トラッキング特性に効果的な水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を用いることが望ましい。
【0028】
なお、これらは単独または2種以上を併用して用いることができるのであり、一般的には、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して50〜300重量部程度混合される。
【0029】
本発明においては、重合反応を促進させるために、前記混和溶液に触媒を添加しても良いのであり、この触媒としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えばt−ブチル−パ−オキシ−イソブチレ−ト、t−ブチル−パ−オキシ−アセテ−ト、t−ブチ−ル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト等のアルキルパ−エステルや2,2−(t−ブチ−ル−パ−オキシ)ブタン等のパ−オキシケタ−ルやt−ブチル−クミ−ル−パ−オキサイド等のジアルキルパ−オキサイド化合物が挙げられるのであり、これらは単独または2種以上を併用して用いることができるのであり、一般的には、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.5〜3.0重量部程度添加される。
【0030】
又、前記混和溶液には、シアンカップリング剤を添加しても良く、ポリエステル用に用いられる一般的なカップリング剤を選択し、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲、特に0.1〜3重量部を添加し無機フィラ−とのなじみを更に向上させることも可能である。
【0031】
前述のように、本発明方法においては、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルを用いることにより、溶剤を用いることなく、充分に混和溶液の流動性を向上させることができるのであるが、より一層の取扱性やガラスマットへの含浸性などに配慮して任意に有機溶媒を配合しても問題はないのであり、この有機溶媒としては、例えば、ケトン系有機溶媒であるアセトン、メチルエチルケトンやベンゼン、トルエン等が挙げられるのであり、その配合割合は、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対し100重量部以下、特に10〜50重量部の範囲とするのが望ましい。
【0032】
加えて、本発明方法においては、本発明の目的、作用及び効果を損なわない範囲で、種々の添加剤、例えば、着色剤(顔料、染料)、老化防止剤、安定剤、難燃剤等を適宜添加してもよいのである。
【0033】
本発明方法においては、前記混和溶液を補強材であるガラスマットに含浸させるが、取扱性、補強信頼性、寸法安定性、機械的強度及び電気特性等の理由より、その材質は電気用Eガラス繊維を使用したチョップドストランドガラスマットが望ましく、その坪量は100〜600g/m2の範囲、好ましくは200〜500g/m2の範囲とするのが望ましい。
【0034】
なお、このガラスマットの市販品の例としては、日本板硝子社製REM300−G5(坪量300g/m2)、REM450−E1(坪量450g/m2)日東紡績社製MC300A−104SS(坪量300g/m2)、MC380A−104SS(坪量380g/m2)等が挙げられる。
【0035】
ところで、前記混和溶液をガラスマットに含浸させ、加熱、乾燥させて乾式プリプレグを製造するにあたり、その加熱乾燥条件としては、用いられる樹脂のグレ−ドや硬化剤、触媒等によって異なるが、一般的には、温度100〜150℃で2〜20分間、好ましくは温度120℃〜140℃で3〜10分間加熱する事により、ベトツキのないプリプレグを形成することができる。
【0036】
本発明方法において、前記混和溶液をガラスマットに塗布する方法としては特に限定されるものではないが、具体的には、例えばフロ−コ−ト、ロ−ルコ−ト、パイプドクタ−ノズル方式(PDN方式)、吹き付け、アプリケ−ト又はコ−ティングなどの方法が挙げられる。
【0037】
そして本発明方法において、前記混和溶液をガラスマットに含浸させるにあたり、ガラスマットと混和溶液との割合は、ガラスマット100重量部に対し、無機質フィラーやその他の添加剤を含む混和溶液の固形分が100〜300重量部の範囲とするのが望ましく、100重量部未満と少なすぎると成形の際、樹脂欠け、ピンホ−ル等が発生し易くなるので好ましくなく、一方300重量部を越えると成形行程にて、樹脂の流れが多くなりすぎたり、補強材不足による強度不足などの不具合が生じ易くなるので好ましくない。
【0038】
本発明の乾式プリプレグは、前記本発明方法を用いて製造されたことを特徴とするものであり、ベトツキがなく、取り扱い性が良好な特性を有するものである。
【0039】
そして本発明のガラスマット積層板製品は、この本発明の乾式プリプレグを1層ないし複数層積層したものをプレス成形したことを特徴とするものであり、乾式プリプレグのベトツキがないためその成形工程が簡便であり、種々の製品形態に加工されるのである。
【0040】
特に、本発明のガラスマット積層板製品としては、所定の厚さに対し、相当する枚数のプリプレグを積み重ね通常のセパレ−タ−を介しステンレス板の間にセットして加圧、加熱してCステ−ジのガラスマット積層板として応用することが好ましい。
【0041】
この場合において、その成形条件としては、含有無機フィラ−の種類や量と樹脂との割合等に応じて適宜決定され、特に限定されるものでないが、一般的に温度100℃〜200℃で、圧力10〜200kg/m2、好ましくは温度130℃〜160℃で、圧力40〜120kg/m2程度で行われる。
【0042】
なお、セパレ−タ−の代わりにステンレス板に離型処理等を施したセパレ−タ−レスの生産方式をとることも可能である。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
実施例1
ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒社製 エポラックSD−4000のアルキシッド)100重量部にスチレンモノマ−を54重量部を添加、溶解したのち、水酸化アルミニウム200重量部、t−ブチル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト1.5重量部とメチルエチルケトン30重量部を添加して攪拌混合した配合体を、450g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させた。
次いで、これをセパレ−タ−を介して厚さ1mmの板上に載せ、乾燥機にて120℃で10分間乾燥させることによって、坪量1150g/m2のベトツキのないプレプレグを得た。
更に、このセパレ−タ−を取り去ったプリプレグを3枚積み重ね、セパレ−タ−を介してステンレス板の間にセットし、プレス機にて、プレス圧力70kg/m2、温度150℃で60分間成形してCステ−ジのガラスマット積層板(厚さ約1.6mm)を得た。
【0045】
実施例2
ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒社製 エポラックSD−4000のアルキシッド)100重量部を実施例1と同様にスチレンモノマ−54重量部で溶解し、更にジアリルフタレ−トモノマ−10重量部と水酸化アルミニウム200重量部、t−ブチル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト1.5重量部とメチルエチルケトン30重量部を添加して攪拌混合した配合体を、450g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させた。
次いで、これをセパレ−タ−を介して厚さ1mmの板上に載せ、乾燥機にて120℃で10分間乾燥させることによって、坪量1150g/m2のベトツキのないプレプレグを得た。
更に、このセパレ−タ−を取り去ったプリプレグを3枚積み重ね、セパレ−タ−を介してステンレス板の間にセットし、プレス機にて、プレス圧力70kg/m2、温度150℃で60分間成形してCステ−ジのガラスマット積層板(厚さ約1.6mm)を得た。
【0046】
比較例1
テレフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂100重量部をスチレンモノマ−100重量部で溶解し、水酸化アルミニウム200重量部、t−ブチル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト1.5重量部とメチルエチルケトン30重量部を添加して攪拌混合した配合体を、450g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させた。
次いで、これをセパレ−タ−を介して厚さ1mmの板上に載せ、乾燥機にて120℃で10分乾燥させることによって、坪量1150g/m2のベトツキのないプレプレグを得た。
更に、このセパレ−タ−を取り去ったプリプレグを3枚積み重ね、セパレ−タ−を介してステンレス板の間にセットし、プレス機にて、プレス圧力70kg/m2、温度150℃で60分間成形してCステ−ジのガラスマット積層板(厚さ約1.6mm)を得た。
【0047】
比較例2
テレフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂100重量部(モノマ−や溶剤を含まないアルキッド)を比較例1と同様にスチレンモノマ−100重量部で溶解し、更にジアリルフタレ−トモノマ−10重量部と水酸化アルミニウム200重量部、触媒t−ブチル−パ−オキシ−ベンゾエ−ト1.5重量部と粘度調整にメチルエチルケトン30重量部を添加して攪拌混合した配合体を、450g/m2のEガラスチョップドストランドガラスマットに塗布含浸させた。
次いで、これをセパレ−タ−を介して厚さ1mmの板上に載せ、乾燥機にて120℃で10分間乾燥させることによって、坪量1150g/m2のベトツキのないプレプレグを得た。
更に、このセパレ−タ−を取り去ったプリプレグを3枚積み重ね、セパレ−タ−を介してステンレス板の間にセットし、プレス機にて、プレス圧力70kg/m2、温度150℃で60分間成形してCステ−ジのガラスマット積層板(厚さ約1.6mm)を得た。
【0048】
実施例1・2及び比較例1・2に示すガラスマット積層板の乾式プリプレグ製法の結果について、プリプレグのベタツキと耐熱性(温度130℃における強度保持率)について調べた結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
なお、プリプレグのベタツキについては、各実施例と各比較例でおこなった乾燥機での加熱乾燥後のプリプレグについて、常温(23℃)にて20分放置後、樹脂成分が柔らかく、指で接触した時にその指に付いてくる場合は『×』、サラっとして指に樹脂が付いてこない場合を『○』と評価した。
【0051】
又、耐熱性(温度130℃における強度保持率)については、JIS K 6911に準拠し、RT(23℃)と130℃における曲げ強さの比較で保持率を求めた。
【0052】
表1の結果から明らかなように、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルを使用した実施例1・2では、各項目に対し良好な特性を示していることが認められるのであり、又、乾式プリプレグ方式でベタツキのないプリプレグを得ることができる上、特性も優れていることが認められる。
【0053】
一方、従来からのテレフタル酸系の不飽和ポリエステル樹脂を使用した比較例1ではテレフタル酸系樹脂(アルキッド)を溶解するスチレンモノマ−量を、取扱いのできる粘度まで加えると、スチレンモノマ−の混合量が100重量部と多くなってしまい、結果として乾式プリプレグの製法では、ベタツキのあるプリプレグになってしまい量産性等に問題が生じることが確認された。
また高温での強度保持率でも実施例1及び2には及ばなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、少なくともジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルと芳香族系ラジカル重合性モノマ−とを必須成分として混合し、得られた混和溶液をガラスマットに含浸させ、次いで加熱乾燥処理を行うことを特徴とする乾式プリプレグの製造方法であり、このように構成することによって、ガラスマット積層板の乾式プリプレグ方式の製法において、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルを用いることにより、従来、一般のポリエステル樹脂(オルソ系、イソ系、テレ系の不飽和ポリエステル樹脂等)では不可能とされていた、ベタツキのないプリプレグが得られるなどの効果を奏するのである。
【0055】
本発明において、これはジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルが、スチレンモノマ−への溶解性が高いこと、ジシクロペンテニル基を導入することにより低分子量でも特性を発揮すること、及びジシクロペンテニル基の不飽和結合が空気中の酸素と反応することによって硬化が促進される良好な空気硬化特性を有することを特性とすることから生じる効果であり、プリプレグの乾燥工程でこの効果が発揮されているからである。
【0056】
又、本発明においては、通常、乾式プリプレグの製造において、樹脂の流動性を高めるために、溶媒を多く混合することが必須とされる。しかしこの溶媒自体は製品に不必要でプリプレグ生産時の乾燥工程で取り除かれるだけでコスト高につながる。
【0057】
即ち、本発明方法は、前記ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルの特性をうまく乾式プリプレグの製法に利用して、コストを低減し、生産性を向上させたものであり、この方法によって優れた乾式プリプレグ並びにガラスマット積層板製品を得ることができるなどの効果を奏するのである。
Claims (6)
- ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステルと芳香族系ラジカル重合性モノマ−とを必須成分として混合し、得られた混和溶液をガラスマットに含浸させ、次いで加熱乾燥処理を行うことを特徴とする乾式プリプレグの製造方法。
- 混和溶液の混合割合が、ジシクロペンタジエン変性不飽和ポリエステル100重量部に対し、芳香族系ラジカル重合性モノマーが30〜85重量部である請求項1に記載の乾式プリプレグの製造方法。
- 混和溶液に、更に無機質フィラーを含有させてなる請求項1又は2に記載の乾式プリプレグの製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の乾式プリプレグの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする乾式プリプレグ。
- 請求項4に記載の乾式プリプレグを1層ないし複数層積層したものをプレス成形したことを特徴する繊維強化プラスチック製品。
- 繊維強化プラスチック製品が、ガラスマット積層板である請求項5に記載のガラスマット積層板製品。
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