JP2004009591A - 反射体 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】従来よりも光輝度であり高信頼性のバックライトを提供する。そのために必要な、光反射率で光耐久性を有する反射体を提供する。
【解決手段】高分子フィルム(A)上に光拡散層(B)を形成し、下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をA/B/C/D/Eの順に積層する際、(1)銀を主体とする反射層(D)を、13.3mPa以下の圧力下で真空蒸着する、あるいは(2)銀を主体とする反射層(D)を20mPa以下より好ましくは7mPa〜0.1mPaでスパッタ蒸着することで反射体を得る。得られた反射体を反射面を上に向けてバックライトの導光板の下面に設置する。
【解決手段】高分子フィルム(A)上に光拡散層(B)を形成し、下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をA/B/C/D/Eの順に積層する際、(1)銀を主体とする反射層(D)を、13.3mPa以下の圧力下で真空蒸着する、あるいは(2)銀を主体とする反射層(D)を20mPa以下より好ましくは7mPa〜0.1mPaでスパッタ蒸着することで反射体を得る。得られた反射体を反射面を上に向けてバックライトの導光板の下面に設置する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子フィルム上に銀を主体とする金属を積層した反射体に関するものであり、さらにはこれを用いた液晶表示装置などに適用されるサイドライト型バックライト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイはこれまでのCRTディスプレイに比べ、薄型であり軽量化・小型化できること、また、低電圧で作動すること、消費電力が少なく省エネルギー化できることなどの特徴から、パソコン、PDA、携帯電話等の中小型機器のディスプレイや、ビデオカメラ、デジタルカメラのモニター等として広く用いられている。
【0003】
液晶自体は自ら発光しないため、表示装置として用いるには外光を利用したり照明装置を必要とする。ディスプレイ装置の使用目的に応じて種々の形態があるが、最近では点光源であるLEDや線光源である冷陰極管を光源として、導光板を利用して均一な面光源へと変換するサイドライト(あるいはエッジライト)型バックライトが主流になっている。
【0004】
該装置において、導光板の下には白色PETフィルム等からなる乱反射部材が配置されている場合が多く、この反射体により光を拡散させることにより均一な輝度を得ることが出きる。しかしながらこれらの乱反射部材では、正反射成分が殆どないため全体としては均一であるが、十分な輝度は得られない。また透明PETフィルムにアルミニウムを積層した反射シートでは、白色PETに比べ輝度は上がるものの、拡散反射成分が無いためシートの僅かな歪みが輝度ムラに大きく影響してしまい、均一な輝度を得ることができない。
【0005】
本発明者等は、高輝度かつ輝度の均一なバックライトを得る目的で、特殊な表面形状を有するポリマーフィルム上に銀を主体とする反射層を積層した導光板下反射体を開発した。
ところが銀は環境中の硫黄やオゾンと反応して黒化する性質を有しており、実用上の輝度を維持するには最表面に透明な保護層を設ける必要がある。
【0006】
該保護層としてはSiO2、TiO2、ZnO、ITO等の透明酸化物や種々ポリマーの薄層を用いることが可能であるが、銀層と該保護層との密着性や、十分な保護能を発現する膜厚では該保護層の吸収による色度の変化が無視できなくなる等の問題がある。そのため保護層の検討以外にも銀と硫黄・オゾンとの反応を抑制する方策が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、銀を主体とする反射層からなる反射体であって、硫化水素暴露に対する耐性を向上した反射体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、銀反射層の積層条件を制御することで、硫化水素暴露耐性を向上させることが可能であることを見出した。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)銀を主体とする反射層を、13.3mPa以下の圧力下で真空蒸着することを特徴とする反射体。
(2)銀を主体とする反射層を20mPa以下の圧力でスパッタ蒸着することを特徴とする反射体。
(3)550nmにおける、全反射率が90%以上で拡散反射率が50%以下であることを特徴とする、前記(1)あるいは(2)に記載の反射体。
(4)前記(1)〜(3)の何れかに記載の反射体を導光板下に設置してなるサイドライト型バックライト。
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の反射体に用いられる基板において使用される高分子フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ビスフェノールA系ポリカーボネート等のポリカーボネート類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート等のセルロース誘導体類、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、フッ素系樹脂など各種プラスチックからなるフィルムが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、ある程度ガラス転移点が高く、平滑な表面を持つものであれば使用できる。中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0011】
使用される高分子フィルムの厚みは、ある程度シートにコシが必要であり、通常は100〜200μmであることが望ましい。
本発明の反射体は例えば上記のような高分子フィルム上に特殊な表面形状を構築した上に、下地層、銀を主体とする反射層、表面保護層を積層して得られる。
上記の特殊な表面形状とは、平滑な面の上に、高さが20μmから30μm程度の突起を1平方mm当り1〜100個形成することで、その上に銀を主体とする反射層を形成したときに拡散反射率が1〜50%となるように構築した表面形状である。
【0012】
該特殊な表面形状とは以下に述べる様な方法で構築されるものである。すなわち、粒子を塗布して形成する場合は、ポリエステル、アクリル、ポリスチレン、ビニルベンゼン等の有機粒子や、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等からなる無機微粒子や、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性微粒子等も用いることが出きる。必ずしもこれらに限定されるものではないが、特にアクリル樹脂が好ましく用いられる。
【0013】
印刷により表面形状を形成する場合は、紫外線(UV)硬化インキを用いたスクリーン印刷が好ましく用いられる。スクリーン印刷法は印刷インキでなくともインキ状のものであれば印刷可能であること、またオフセット印刷等に比べて5 ̄10倍である10μm〜30μm厚のインキを印刷することが可能であり、本発明における特殊な表面形状を構築するために好適である。
【0014】
該特殊な表面形状の構築方法としては、前述した粒子塗布法や印刷法に限定されるものではなく、凹凸状の金型に樹脂フィルムを押し付ける方法等によっても形成されるものである。
【0015】
本発明で用いる高分子フィルム(A)の裏面には、液晶用バックライトモジュールとして組み立てる際の作業性を向上する目的で易滑処理を行うことが望ましい。易滑処理としては易滑粒子を塗布する方法や、サンドブラスト法その他の手法によりマット加工した高分子フィルムを用いることで容易に達成できる。裏面の易滑処理の有無によって本発明の効能が左右されるものではない。
本発明の反射体は、例えば上記のような特殊な表面形状を有する高分子フィルム上に、反射層を形成することにより得られる。反射層は特殊な形状を有する高分子フィルムすなわち光拡散層(B)側から順に、下地層(C)、銀を主体とする反射層(D),保護層(E)であることが好ましい。
【0016】
下地層(C)には、金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウムなどの金属単体、もしくは2種以上からなる合金、または、酸化アルミニウムが5重量%以下ドープされた酸化亜鉛、ガリウムが10重量%以下ドープされた酸化亜鉛、インジウムとスズの酸化物(ITO)または二酸化珪素等の透明酸化物が好ましく用いられる。
銀を主体とする反射層(D)には、銀単体或いは銀を主体とした、銅やパラジウム、白金あるいはネオジウムなどとの合金が好ましく用いられる。また、これら銀あるいは銀を主体とする合金の純度は100%であることが好ましいが、その性能に害を及ぼさない程度の金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウム等を不純物として含有してもよい。
(d)保護層は、金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウムなどの金属単体、もしくは2種以上からなる合金、または、酸化アルミニウムが5重量%以下ドープされた酸化亜鉛、ガリウムが10重量%以下ドープされた酸化亜鉛、インジウムとスズの酸化物(ITO)または二酸化珪素等の透明酸化物が好ましく用いられる。
【0017】
金属薄膜層の形成法は、湿式法及び乾式法がある。湿式法とはメッキ法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に成膜するロール・ツー・ロール方式が可能な真空成膜法が好ましく用いられる。
【0018】
本発明の反射層における各層の厚みは、以下のようにすることが好ましい。
下地層(C)の厚みは1〜20nmが好ましく、さらに好ましくは5〜10nmである。かかる層の厚みが1nmより薄い場合は、所望のバリヤー効果が得られず、銀を主体とする反射層(D)に凝集が生じ反射率を低下せしめるために好ましくない。また400nmより厚くしてもその効果に変化は無い。
銀を主体とする反射層(D)の厚みは70〜400nmが好ましく、より好ましくは100〜300nm、さらに好ましくは120〜250nmである。かかる層の厚みが70nmより薄い場合は、十分な反射層が形成されていないため所望の反射率を得ることが出来ない場合がある。また400nmより厚くてもその効果に変化はない。
保護層(E)の厚みは、金属層を用いた場合は5〜50nmが好ましく、より好ましくは5〜30nmである。透明酸化物を用いた場合は1〜20nmが好ましくさらに好ましくは5〜10nmである。それぞれ膜厚が薄すぎれば所望の効果が得られず、厚すぎると銀を主体とする反射層(D)の特性が阻害されるため好ましくない場合がある。
【0019】
前記高分子フィルム(A)の同定については、赤外分光法により容易に確認できる。裏面に易滑処理を行っていない反射体であれば、ATR法で直接裏面を測定することが出来る場合がある。裏面に易滑処理が行われている場合には、表面側あるいは裏面側の処理層を溶剤で剥離したり、機械的に剥がした後の基材を測定することで、容易に確認できる。
【0020】
前記の光拡散層(B)の形状については、種々の光学顕微鏡、電子顕微鏡、触針粗さ計等で容易に確認できる。
前記の全反射率および拡散反射率については、積分球を用いた紫外・可視領域の自記分光光度計で容易に測定することが出来る。
前記の下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)各層の組成については、蛍光X線分析法、X線光電子分光法、オージェ分光法、二次イオン質量分析法等を用いることで容易に測定が可能である。各層毎に組成を確認するためには、X線光電子分光法、オージェ分光法、二次イオン質量分析法等でいわゆるデプスプロファイルを測定することで容易に行うことが出来る。
【0021】
前記各層の膜厚の測定方法としては、触針粗さ計、繰り返し反射干渉計、マイクロバランス、水晶振動子法などを用いる方法があり、特に水晶振動子法は成膜中に測定可能であるため、所望の膜厚を得るのに適している。また前もって成膜の条件を定めておき、試料基材上に成膜を行い、成膜時間と膜厚の関係を調べた上で、成膜時間により膜厚を制御する方法もある。
上記のようにして形成した反射体を、反射層側から反射率を測定すると波長550nmにおいて、通常90〜95%である。
本発明での耐候性とは以下に説明する方法で評価した硫化水素暴露に対する反射率の維持能である。すなわち、5cm角に切り出した試料を密封容器に入れ、濃度が30ppmとなるように硫化水素を導入する。硫化水素は重いため低部に沈降しやすく、軽い気体の場合に見られる拡散による混合は必ずしも十分ではない。そのため硫化水素を十分拡散させる工夫が必要であり、例えば以下に説明する方法で行うことが出来る。すなわち使用する密封容器にあらかじめ2つのコックを設けておき、一方に注射器、他方にテドラーバッグ等のように、抵抗無く容量が変わりかつ気体の透過しない袋状のものを装着する。コックを開けた状態で注射器のピストンを往復させることで容器内に気体の移動を生じせしめ、導入した硫化水素を攪拌して拡散させ、その後コックを閉じて注射器と袋とを取り外せばよい。その状態で室温のまま24時間経過後に試料を取りだし、反射率を測定する。
硫化水素暴露に対する耐性が十分な場合は、暴露試験以前の反射率を維持するが、耐性が不充分な場合は硫化銀の生成により肉眼でも黒化が観察され、黒化の程度により反射率が低下する。
【0022】
本発明の面光源装置では、上記のように作製した反射体を導光板の下面に反射層側を上面として設置することを特徴とする。面光源装置としてはサイドライト型として一般的に用いられるものでなんら問題は無い。
使用される導光板の材質は、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネイトやポリカーボネイト・ポリスチレン組成物などのポリカーボネイト系樹脂、エポキシ系樹脂などの透明樹脂や、ガラス等の400〜700nmの波長域において透明性を示すものが好ましく用いられるが、光源の波長領域に応じて透明であれば必ずしもこれらの材料に限定されるものではない。また導光板の厚さは使用目的や光源の大きさなどにより適宜決定することが出来る。
使用される導光板の形態としては、ドット印刷型導光板やプリズム型導光板が用いられるが、プリズム型導光板との組合せがより好ましく用いられる。プリズム型導光板との組合せでは、表面プリズム型導光板でもなんら差し支えないが、より高い輝度が得られやすいことから、裏面プリズム型導光板との組合せが更に好ましく用いられる。
【0023】
使用する光源としては、例えば白熱電球、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光ランプ、メタルハライドランプなどが挙げられ、中でも蛍光ランプば好ましく用いられる。蛍光ランプには熱陰極型と冷陰極型とがあり、熱陰極型は発光効率が良いが寿命の点ででは冷陰極型が優れているため、冷陰極型が好ましく用いられている。
【0024】
上記のように、本発明では高分子フィルム(A)の上に設けた光散乱層(B)の上に、下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)を形成する際に、(1)銀を主体とする反射層(D)を、13.3mPa以下の圧力下で真空蒸着することで、あるいは(2)銀を主体とする反射層(D)を20mPa以下で好ましくは0.1mPa〜7mPaでスパッタ蒸着することで、反射率に優れ、かつ硫化水素暴露に対する耐性に優れた反射体を得ることが出来る。また、該反射体をバックライトの反射体として組み込むことで、高輝度で高耐久性のバックライトを得ることが出来る。
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0025】
(実施例1)
平均粒子径が30μmであるアクリル粒子と、バインダーとしてアクリル系樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンからなる溶剤を用いて、固形分比35%、固形分中の粒子の割合を10.0重量%とした溶液を調合した後、188μm厚のPETフィルム上に塗布を行い光拡散層(B)を得た。
次に、この光拡散層(B)の上に7mPaの真空度で電子ビーム加熱式真空蒸着法を用いて2%の酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(純度99.9%以上)を、膜厚が5nmとなるように下地層(C)を積層した。
続いてこの試料を真空装置から取り出すことなく、7mPaの真空度で電子ビーム加熱式真空蒸着法を用いて銀(純度99.9%以上)を、膜厚が120nmとなるよう銀を主体とする反射層(D)を積層した。
続いてこの試料を真空装置から取り出すことなく、7mPaの真空度で電子ビーム加熱式真空蒸着法を用いて2%の酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(純度99.9%以上)を、膜厚が5nmとなるように保護層(E)を積層した。
得られた反射体を、日立自記分光光度計(型式U―3400)に150φの積分球を設置し、550nmにおける反射層側から測定した全反射率は92.4%であった。測定後の反射体を密封容器に入れ、30ppmの濃度となるよう硫化水素ガスを導入し十分混合させた後、室温で24時間放置した。当該硫化水素暴露試験後の全反射率は92.2%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0026】
(実施例2)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)を蒸着する際の真空度を10mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で92.6%、暴露試験後で92.5%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0027】
(比較例1)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)を蒸着する際の真空度を15mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で92.3%、暴露試験後で88.8%であった。肉眼による観察では顕著な差は見られなかった。結果を表1に示す。
【0028】
(比較例2)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)を蒸着する際の真空度を20mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で92.1%、暴露試験後で74.9%であった。肉眼による観察では僅かに黒点の発生が見られた。結果を表1に示す。
【0029】
(実施例3)
実施例1に準じて光拡散層(B)を得た。
次に、この光拡散層(B)の上に5mPaの真空度で、DCマグネトロンスパッタ法により2%の酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(純度99.9%以上)をターゲットとし、純度99.5%以上のアルゴンガスをスパッタガスとして、膜厚が5nmとなるように下地層(C)を積層した。
続いてこの試料を真空装置から取り出すことなく、5mPaの真空度で、DCマグネトロンスパッタ法により銀(純度99.9%以上)をターゲットとし、純度99.5%以上のアルゴンをスパッタガスとして、膜厚が120nmとなるよう銀を主体とする反射層(D)を積層した。
続いてこの試料を真空装置から取り出すことなく、5mPaの真空度で、DCマグネトロンスパッタ法により2%の酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(純度99.9%以上)をターゲットとし、純度99.5%以上のアルゴンをスパッタガスとして、膜厚が5nmとなるように保護層(E)を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で93.4%、暴露試験後で93.0%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0030】
(実施例4)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をスパッタする際の真空度を10mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で93.6%、暴露試験後で93.4%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0031】
(実施例5)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をスパッタする際の真空度を20mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で92.8%、暴露試験後で91.7%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0032】
(比較例3)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をスパッタする際の真空度を30mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で93.3%、暴露試験後で84.2%であった。肉眼による観察は微小な黒点が発生していた。結果を表1に示す。
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明の反射体は、高反射率を示すと共に、硫化水素暴露試験に対する耐性を有し、バックライトの導光板の下面に設置することで、従来に比べ高い輝度を安定に得られることから、液晶の表示能力を向上させることができるため、本発明の工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における反射体の一例を示す断面図
【図2】本発明の光源装置の一例
【符号の説明】
10 高分子フィルム(A)
20 光拡散層(B)
30 下地層(C)
40 銀反射層(D)
50 保護層(E)
60 冷陰極管
70 ランプリフレクター
80 導光板
90 反射体
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子フィルム上に銀を主体とする金属を積層した反射体に関するものであり、さらにはこれを用いた液晶表示装置などに適用されるサイドライト型バックライト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイはこれまでのCRTディスプレイに比べ、薄型であり軽量化・小型化できること、また、低電圧で作動すること、消費電力が少なく省エネルギー化できることなどの特徴から、パソコン、PDA、携帯電話等の中小型機器のディスプレイや、ビデオカメラ、デジタルカメラのモニター等として広く用いられている。
【0003】
液晶自体は自ら発光しないため、表示装置として用いるには外光を利用したり照明装置を必要とする。ディスプレイ装置の使用目的に応じて種々の形態があるが、最近では点光源であるLEDや線光源である冷陰極管を光源として、導光板を利用して均一な面光源へと変換するサイドライト(あるいはエッジライト)型バックライトが主流になっている。
【0004】
該装置において、導光板の下には白色PETフィルム等からなる乱反射部材が配置されている場合が多く、この反射体により光を拡散させることにより均一な輝度を得ることが出きる。しかしながらこれらの乱反射部材では、正反射成分が殆どないため全体としては均一であるが、十分な輝度は得られない。また透明PETフィルムにアルミニウムを積層した反射シートでは、白色PETに比べ輝度は上がるものの、拡散反射成分が無いためシートの僅かな歪みが輝度ムラに大きく影響してしまい、均一な輝度を得ることができない。
【0005】
本発明者等は、高輝度かつ輝度の均一なバックライトを得る目的で、特殊な表面形状を有するポリマーフィルム上に銀を主体とする反射層を積層した導光板下反射体を開発した。
ところが銀は環境中の硫黄やオゾンと反応して黒化する性質を有しており、実用上の輝度を維持するには最表面に透明な保護層を設ける必要がある。
【0006】
該保護層としてはSiO2、TiO2、ZnO、ITO等の透明酸化物や種々ポリマーの薄層を用いることが可能であるが、銀層と該保護層との密着性や、十分な保護能を発現する膜厚では該保護層の吸収による色度の変化が無視できなくなる等の問題がある。そのため保護層の検討以外にも銀と硫黄・オゾンとの反応を抑制する方策が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、銀を主体とする反射層からなる反射体であって、硫化水素暴露に対する耐性を向上した反射体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、銀反射層の積層条件を制御することで、硫化水素暴露耐性を向上させることが可能であることを見出した。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)銀を主体とする反射層を、13.3mPa以下の圧力下で真空蒸着することを特徴とする反射体。
(2)銀を主体とする反射層を20mPa以下の圧力でスパッタ蒸着することを特徴とする反射体。
(3)550nmにおける、全反射率が90%以上で拡散反射率が50%以下であることを特徴とする、前記(1)あるいは(2)に記載の反射体。
(4)前記(1)〜(3)の何れかに記載の反射体を導光板下に設置してなるサイドライト型バックライト。
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の反射体に用いられる基板において使用される高分子フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ビスフェノールA系ポリカーボネート等のポリカーボネート類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート等のセルロース誘導体類、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリイミド類、ポリアミド類、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、フッ素系樹脂など各種プラスチックからなるフィルムが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、ある程度ガラス転移点が高く、平滑な表面を持つものであれば使用できる。中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0011】
使用される高分子フィルムの厚みは、ある程度シートにコシが必要であり、通常は100〜200μmであることが望ましい。
本発明の反射体は例えば上記のような高分子フィルム上に特殊な表面形状を構築した上に、下地層、銀を主体とする反射層、表面保護層を積層して得られる。
上記の特殊な表面形状とは、平滑な面の上に、高さが20μmから30μm程度の突起を1平方mm当り1〜100個形成することで、その上に銀を主体とする反射層を形成したときに拡散反射率が1〜50%となるように構築した表面形状である。
【0012】
該特殊な表面形状とは以下に述べる様な方法で構築されるものである。すなわち、粒子を塗布して形成する場合は、ポリエステル、アクリル、ポリスチレン、ビニルベンゼン等の有機粒子や、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等からなる無機微粒子や、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性微粒子等も用いることが出きる。必ずしもこれらに限定されるものではないが、特にアクリル樹脂が好ましく用いられる。
【0013】
印刷により表面形状を形成する場合は、紫外線(UV)硬化インキを用いたスクリーン印刷が好ましく用いられる。スクリーン印刷法は印刷インキでなくともインキ状のものであれば印刷可能であること、またオフセット印刷等に比べて5 ̄10倍である10μm〜30μm厚のインキを印刷することが可能であり、本発明における特殊な表面形状を構築するために好適である。
【0014】
該特殊な表面形状の構築方法としては、前述した粒子塗布法や印刷法に限定されるものではなく、凹凸状の金型に樹脂フィルムを押し付ける方法等によっても形成されるものである。
【0015】
本発明で用いる高分子フィルム(A)の裏面には、液晶用バックライトモジュールとして組み立てる際の作業性を向上する目的で易滑処理を行うことが望ましい。易滑処理としては易滑粒子を塗布する方法や、サンドブラスト法その他の手法によりマット加工した高分子フィルムを用いることで容易に達成できる。裏面の易滑処理の有無によって本発明の効能が左右されるものではない。
本発明の反射体は、例えば上記のような特殊な表面形状を有する高分子フィルム上に、反射層を形成することにより得られる。反射層は特殊な形状を有する高分子フィルムすなわち光拡散層(B)側から順に、下地層(C)、銀を主体とする反射層(D),保護層(E)であることが好ましい。
【0016】
下地層(C)には、金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウムなどの金属単体、もしくは2種以上からなる合金、または、酸化アルミニウムが5重量%以下ドープされた酸化亜鉛、ガリウムが10重量%以下ドープされた酸化亜鉛、インジウムとスズの酸化物(ITO)または二酸化珪素等の透明酸化物が好ましく用いられる。
銀を主体とする反射層(D)には、銀単体或いは銀を主体とした、銅やパラジウム、白金あるいはネオジウムなどとの合金が好ましく用いられる。また、これら銀あるいは銀を主体とする合金の純度は100%であることが好ましいが、その性能に害を及ぼさない程度の金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウム等を不純物として含有してもよい。
(d)保護層は、金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジウム、マンガン、チタン、パラジウムなどの金属単体、もしくは2種以上からなる合金、または、酸化アルミニウムが5重量%以下ドープされた酸化亜鉛、ガリウムが10重量%以下ドープされた酸化亜鉛、インジウムとスズの酸化物(ITO)または二酸化珪素等の透明酸化物が好ましく用いられる。
【0017】
金属薄膜層の形成法は、湿式法及び乾式法がある。湿式法とはメッキ法の総称であり、溶液から金属を析出させ膜を形成する方法である。具体例をあげるとすれば銀鏡反応などがある。一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、本発明には連続的に成膜するロール・ツー・ロール方式が可能な真空成膜法が好ましく用いられる。
【0018】
本発明の反射層における各層の厚みは、以下のようにすることが好ましい。
下地層(C)の厚みは1〜20nmが好ましく、さらに好ましくは5〜10nmである。かかる層の厚みが1nmより薄い場合は、所望のバリヤー効果が得られず、銀を主体とする反射層(D)に凝集が生じ反射率を低下せしめるために好ましくない。また400nmより厚くしてもその効果に変化は無い。
銀を主体とする反射層(D)の厚みは70〜400nmが好ましく、より好ましくは100〜300nm、さらに好ましくは120〜250nmである。かかる層の厚みが70nmより薄い場合は、十分な反射層が形成されていないため所望の反射率を得ることが出来ない場合がある。また400nmより厚くてもその効果に変化はない。
保護層(E)の厚みは、金属層を用いた場合は5〜50nmが好ましく、より好ましくは5〜30nmである。透明酸化物を用いた場合は1〜20nmが好ましくさらに好ましくは5〜10nmである。それぞれ膜厚が薄すぎれば所望の効果が得られず、厚すぎると銀を主体とする反射層(D)の特性が阻害されるため好ましくない場合がある。
【0019】
前記高分子フィルム(A)の同定については、赤外分光法により容易に確認できる。裏面に易滑処理を行っていない反射体であれば、ATR法で直接裏面を測定することが出来る場合がある。裏面に易滑処理が行われている場合には、表面側あるいは裏面側の処理層を溶剤で剥離したり、機械的に剥がした後の基材を測定することで、容易に確認できる。
【0020】
前記の光拡散層(B)の形状については、種々の光学顕微鏡、電子顕微鏡、触針粗さ計等で容易に確認できる。
前記の全反射率および拡散反射率については、積分球を用いた紫外・可視領域の自記分光光度計で容易に測定することが出来る。
前記の下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)各層の組成については、蛍光X線分析法、X線光電子分光法、オージェ分光法、二次イオン質量分析法等を用いることで容易に測定が可能である。各層毎に組成を確認するためには、X線光電子分光法、オージェ分光法、二次イオン質量分析法等でいわゆるデプスプロファイルを測定することで容易に行うことが出来る。
【0021】
前記各層の膜厚の測定方法としては、触針粗さ計、繰り返し反射干渉計、マイクロバランス、水晶振動子法などを用いる方法があり、特に水晶振動子法は成膜中に測定可能であるため、所望の膜厚を得るのに適している。また前もって成膜の条件を定めておき、試料基材上に成膜を行い、成膜時間と膜厚の関係を調べた上で、成膜時間により膜厚を制御する方法もある。
上記のようにして形成した反射体を、反射層側から反射率を測定すると波長550nmにおいて、通常90〜95%である。
本発明での耐候性とは以下に説明する方法で評価した硫化水素暴露に対する反射率の維持能である。すなわち、5cm角に切り出した試料を密封容器に入れ、濃度が30ppmとなるように硫化水素を導入する。硫化水素は重いため低部に沈降しやすく、軽い気体の場合に見られる拡散による混合は必ずしも十分ではない。そのため硫化水素を十分拡散させる工夫が必要であり、例えば以下に説明する方法で行うことが出来る。すなわち使用する密封容器にあらかじめ2つのコックを設けておき、一方に注射器、他方にテドラーバッグ等のように、抵抗無く容量が変わりかつ気体の透過しない袋状のものを装着する。コックを開けた状態で注射器のピストンを往復させることで容器内に気体の移動を生じせしめ、導入した硫化水素を攪拌して拡散させ、その後コックを閉じて注射器と袋とを取り外せばよい。その状態で室温のまま24時間経過後に試料を取りだし、反射率を測定する。
硫化水素暴露に対する耐性が十分な場合は、暴露試験以前の反射率を維持するが、耐性が不充分な場合は硫化銀の生成により肉眼でも黒化が観察され、黒化の程度により反射率が低下する。
【0022】
本発明の面光源装置では、上記のように作製した反射体を導光板の下面に反射層側を上面として設置することを特徴とする。面光源装置としてはサイドライト型として一般的に用いられるものでなんら問題は無い。
使用される導光板の材質は、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネイトやポリカーボネイト・ポリスチレン組成物などのポリカーボネイト系樹脂、エポキシ系樹脂などの透明樹脂や、ガラス等の400〜700nmの波長域において透明性を示すものが好ましく用いられるが、光源の波長領域に応じて透明であれば必ずしもこれらの材料に限定されるものではない。また導光板の厚さは使用目的や光源の大きさなどにより適宜決定することが出来る。
使用される導光板の形態としては、ドット印刷型導光板やプリズム型導光板が用いられるが、プリズム型導光板との組合せがより好ましく用いられる。プリズム型導光板との組合せでは、表面プリズム型導光板でもなんら差し支えないが、より高い輝度が得られやすいことから、裏面プリズム型導光板との組合せが更に好ましく用いられる。
【0023】
使用する光源としては、例えば白熱電球、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光ランプ、メタルハライドランプなどが挙げられ、中でも蛍光ランプば好ましく用いられる。蛍光ランプには熱陰極型と冷陰極型とがあり、熱陰極型は発光効率が良いが寿命の点ででは冷陰極型が優れているため、冷陰極型が好ましく用いられている。
【0024】
上記のように、本発明では高分子フィルム(A)の上に設けた光散乱層(B)の上に、下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)を形成する際に、(1)銀を主体とする反射層(D)を、13.3mPa以下の圧力下で真空蒸着することで、あるいは(2)銀を主体とする反射層(D)を20mPa以下で好ましくは0.1mPa〜7mPaでスパッタ蒸着することで、反射率に優れ、かつ硫化水素暴露に対する耐性に優れた反射体を得ることが出来る。また、該反射体をバックライトの反射体として組み込むことで、高輝度で高耐久性のバックライトを得ることが出来る。
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0025】
(実施例1)
平均粒子径が30μmであるアクリル粒子と、バインダーとしてアクリル系樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンからなる溶剤を用いて、固形分比35%、固形分中の粒子の割合を10.0重量%とした溶液を調合した後、188μm厚のPETフィルム上に塗布を行い光拡散層(B)を得た。
次に、この光拡散層(B)の上に7mPaの真空度で電子ビーム加熱式真空蒸着法を用いて2%の酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(純度99.9%以上)を、膜厚が5nmとなるように下地層(C)を積層した。
続いてこの試料を真空装置から取り出すことなく、7mPaの真空度で電子ビーム加熱式真空蒸着法を用いて銀(純度99.9%以上)を、膜厚が120nmとなるよう銀を主体とする反射層(D)を積層した。
続いてこの試料を真空装置から取り出すことなく、7mPaの真空度で電子ビーム加熱式真空蒸着法を用いて2%の酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(純度99.9%以上)を、膜厚が5nmとなるように保護層(E)を積層した。
得られた反射体を、日立自記分光光度計(型式U―3400)に150φの積分球を設置し、550nmにおける反射層側から測定した全反射率は92.4%であった。測定後の反射体を密封容器に入れ、30ppmの濃度となるよう硫化水素ガスを導入し十分混合させた後、室温で24時間放置した。当該硫化水素暴露試験後の全反射率は92.2%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0026】
(実施例2)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)を蒸着する際の真空度を10mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で92.6%、暴露試験後で92.5%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0027】
(比較例1)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)を蒸着する際の真空度を15mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で92.3%、暴露試験後で88.8%であった。肉眼による観察では顕著な差は見られなかった。結果を表1に示す。
【0028】
(比較例2)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)を蒸着する際の真空度を20mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で92.1%、暴露試験後で74.9%であった。肉眼による観察では僅かに黒点の発生が見られた。結果を表1に示す。
【0029】
(実施例3)
実施例1に準じて光拡散層(B)を得た。
次に、この光拡散層(B)の上に5mPaの真空度で、DCマグネトロンスパッタ法により2%の酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(純度99.9%以上)をターゲットとし、純度99.5%以上のアルゴンガスをスパッタガスとして、膜厚が5nmとなるように下地層(C)を積層した。
続いてこの試料を真空装置から取り出すことなく、5mPaの真空度で、DCマグネトロンスパッタ法により銀(純度99.9%以上)をターゲットとし、純度99.5%以上のアルゴンをスパッタガスとして、膜厚が120nmとなるよう銀を主体とする反射層(D)を積層した。
続いてこの試料を真空装置から取り出すことなく、5mPaの真空度で、DCマグネトロンスパッタ法により2%の酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(純度99.9%以上)をターゲットとし、純度99.5%以上のアルゴンをスパッタガスとして、膜厚が5nmとなるように保護層(E)を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で93.4%、暴露試験後で93.0%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0030】
(実施例4)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をスパッタする際の真空度を10mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で93.6%、暴露試験後で93.4%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0031】
(実施例5)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をスパッタする際の真空度を20mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で92.8%、暴露試験後で91.7%であった。肉眼による観察でも特に変化は見られなかった。結果を表1に示す。
【0032】
(比較例3)
下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をスパッタする際の真空度を30mPaとした他は実施例1に準じて反射体を積層した。
得られた反射体の全反射率を実施例1に準じて測定した。550nmにおける全反射率は硫化水素暴露試験前で93.3%、暴露試験後で84.2%であった。肉眼による観察は微小な黒点が発生していた。結果を表1に示す。
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明の反射体は、高反射率を示すと共に、硫化水素暴露試験に対する耐性を有し、バックライトの導光板の下面に設置することで、従来に比べ高い輝度を安定に得られることから、液晶の表示能力を向上させることができるため、本発明の工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における反射体の一例を示す断面図
【図2】本発明の光源装置の一例
【符号の説明】
10 高分子フィルム(A)
20 光拡散層(B)
30 下地層(C)
40 銀反射層(D)
50 保護層(E)
60 冷陰極管
70 ランプリフレクター
80 導光板
90 反射体
Claims (4)
- 少なくとも高分子フィルム(A)上に、光拡散層(B)、下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をA/B/C/D/Eの順に構成してなる反射体であって、銀を主体とする反射層を、13.3mPa以下の圧力下で真空蒸着することを特徴とする反射体。
- 少なくとも高分子フィルム(A)上に、光拡散層(B)、下地層(C)、銀を主体とする反射層(D)、保護層(E)をA/B/C/D/Eの順に構成してなる反射体であって、銀を主体とする反射層を20mPa以下の圧力でスパッタ蒸着することを特徴とする反射体。
- 550nmにおける、全反射率が90%以上で拡散反射率が50%以下であることを特徴とする、請求項1あるいは2に記載の反射体。
- 請求項1〜3の何れかに記載の反射体を導光板下に設置してなるサイドライト型バックライト装置。
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