JP2004009270A - フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートおよびフレキシブルプリント配線板の製造方法 - Google Patents

フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートおよびフレキシブルプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Tetsushi Nemoto
根本 哲志
Kazunori Sakuma
佐久間 和則
Atsushi Inoue
井上 敦史
Yasushi Oyama
大山 泰
Yutaka Kawasaki
河崎 裕
Katsunori Tokinaga
時永 勝典
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Abstract

【課題】フレキシブルプリント配線板の穴位置精度を高め、銅箔のバリを抑制して、かつ効率的な穴あけを行うことができる、フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたフレキシブルプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと金属箔とからなる、フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートを提供する。また、本発明は、フレキシブルプリント配線板の上部に、上記フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートを熱可塑性樹脂フィルム面が上面となるように配置し、上方よりドリルによって穴あけをする工程を含む、フレキシブルプリント配線板の製造方法を提供する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたフレキシブルプリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンや携帯電話等の普及により電子製品は小型化・軽量化、高機能化が求められている。それに伴い、用いられるフレキシブルプリント配線板のパターンの高密度化、高多層化も急速に進み、その結果フレキシブルプリント配線板のライン幅と間隔が狭まり、さらにスルーホールは小口径化と同時にその数が増大している。それに加えて接続用の穴位置についても必然的に高い精度が要求されてきている。今後もパターンの高密度化、高多層化はより一層進行し、ドリルによる穴あけ加工の回数、小口径化はますます増大するものと予想される。
【0003】
このような小口径の穴あけ加工を行うには、一般的にフレキシブルプリント配線板の上部に0.3mm程度のフェノール積層板や、ファイバーボード、プレスボードを重ねてドリル加工を行うことで、フレキシブル配線板に加工される穴位置の精度が向上し、また、フレキシブル配線板の銅箔のバリを抑制して、精度よく穴あけを行うことができることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、フレキシブルプリント配線板は連続した巻物状態であるのに対し、フェノール積層板や、ファイバーボード、プレスボードは巻物状態にすることができないため、ドリル穴あけ加工の際はフレキシブルプリント配線板を所定の大きさに切断した後、フェノール積層板や、ファイバーボード、プレスボードと重ね合わせ、ドリル穴あけ加工を行わなければならないという問題があった。
【0005】
本発明はかかる実状に鑑みなされたもので、フレキシブルプリント配線板の穴位置精度を高め、銅箔のバリを抑制して、かつ効率的な穴あけを行うことができる、フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたフレキシブルプリント配線板の製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと金属箔とからなる、フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートを提供する。
【0007】
また、本発明は、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと金属箔とが合成樹脂により一体貼着されたフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートを提供する。
【0008】
ここで用いる該合成樹脂はその100重量部に対し5〜70重量部の潤滑油を含有することが好ましい。
【0009】
また、本発明の穴あけ加工用シートは、熱可塑性樹脂フィルムの融点が90〜300℃の範囲であること、熱可塑性樹脂フィルムの引張り弾性率が50〜10,000MPaの範囲であること、熱可塑性樹脂フィルムの厚さが12〜300μmの範囲であることが好ましく、さらに、金属箔の厚さが200μm以下であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、フレキシブルプリント配線板の上部に、上記フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートを熱可塑性樹脂フィルム面が上面となるように配置し、上方よりドリルによって穴あけをする工程を含む、フレキシブルプリント配線板の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明の製造方法において、フレキシブルプリント配線板および/またはフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートは連続した巻物状態から繰り出して使用することが好ましい。
【0012】
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートは、例えば、熱可塑性樹脂フィルムと金属箔とを重ね合わせて、もしくは、熱可塑性樹脂フィルムを金属箔にラミネートしてなり、または、熱可塑性樹脂フィルムと金属箔とを合成樹脂により貼着一体してなる。図1〜3には本発明の穴あけ加工用シートの断面図を示す。また、作製された本発明の穴あけ加工用シートは、好ましくは支持ロールに巻き取られ、巻物状態にして保管、もしくは使用に供される。
【0014】
本発明に用いることのできる熱可塑性樹脂フィルムの材質としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンブレンドポリマ、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、EVA等が挙げられ、好ましくは、融点が90〜300℃のものである。融点が90℃未満であるとドリルヘの融着が顕著になる傾向があり、融点が300℃を超えるとフィルムへの製膜が困維になる傾向がある。
【0015】
また、熱可塑性樹脂フィルムの引張り弾性率は50〜10,000MPaものが好ましい。引張り弾性率が50MPa未満であるとフレキシブルプリント配線板の銅箔のバリを抑制することが困難になる傾向があり、引張り弾性率が10,000MPaを超えると連続した巻物状にすることが困維になる傾向がある。
【0016】
また、熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、特に制限はないが、12〜300μmであることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムの厚みが12μm未満であるとシート作製時にシワがはいりやすい傾向があり、300μmを超えると連続した巻物状にすることが困維になる傾向があり、また、厚み精度が損なわれ穴あけ精度を低下させる傾向がある。
【0017】
また、熱可塑性樹脂フィルムは単層でも2層以上の多層フィルムであってもよい。
【0018】
また、金属箔としては、特に制限はなく、例えば、銅箔、アルミニウム箔等を使用することができ、その厚みは200μm以下であることが好ましい。金属箔の厚みが200μmを超えるとシート作製時に連続した巻物状にすることが困維になる傾向があり、またドリル穴あけ時の金属箔のバリによりフレキシブルプリント配線板を損傷させる傾向がある。
【0019】
また、合成樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン系、エポキシ系、フェノール系などの熱硬化型合成樹脂、あるいはブチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレートに代表されるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの共重合体であるアクリル系合成樹脂、イソプレン等の天然ゴム系接着剤、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリイソブチレン等の合成ゴム系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系合成樹脂、およびこれらの混合系合成樹脂等を用いることができ、さらには、上記のような合成樹脂に潤滑油を混合した潤滑油混合合成樹脂を好ましく使用することができる。
【0020】
潤滑油混合合成樹脂を使用した場合には、合成樹脂のみの場合と比較してドリルの滑りが良くなり、穴あけ加工の作業性が向上する。潤滑油の混合量としては、合成樹脂の種類により適宜決定すればよいが、好ましくは合成樹脂100重量部に対し5〜70重量部の範囲であり、より好ましくは15〜60重量部の範囲である。潤滑油の添加量が5重量部未満であるとドリルの滑りを促進させる効果が低下し、70重量部を超えると熱可塑性樹脂フィルムとの投錨性が失われ剥がれてしまうという欠点が生じうる。混合される潤滑油としては、グリセリン脂肪酸エステル等のエステル系合成油、ジフェニルエーテル系合成油、シリコーン系合成油、鉱物油などが挙げられるがこれに限定されるものではない。この他に、適宜固形パラフィンやポリエチレンワックスなどの固形潤滑剤を添加することで潤滑油含有合成樹脂層を製膜し易くする効果が得られる。
【0021】
合成樹脂または潤滑油混合合成樹脂層は、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布、乾燥するなどの定法により形成することができ、その層厚は100μm以下であることが好ましい。層厚が100μmより厚くなると切り屑排出の妨げとなり、穴位置精度を低下させる傾向がある。
【0022】
図4は、本発明のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートを使用して、一度に2枚のフレキシブルプリント配線板に穴をあける方法の概略図である。連続した巻物状態から熱可塑性樹脂フィルム面が上面となるように繰り出されたフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート5を、同様に連続した巻物状態からそれぞれ繰り出されたフレキシブルプリント配線板6、6’の最上部に配置させ、上方よりNC加工機などのドリル7によって穴あけ加工を行い、各々を巻き取る。これを順次繰り返すことで、連続的にフレキシブルプリント配線板の穴あけ加工を行うことができ、従来のフェノール積層板や、ファイバーボード、プレスボードを用いた場合に比べて作業効率を向上させることが可能となる。なお、本発明において対象となるフレキシブルプリント配線板は2層以上の多層板であり、穴あけ加工を行う際にはこれを複数枚重ねて行うことが効率的で好ましい。また、フキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート、およびフレキシブルプリント配線板を繰り出し、巻き取る条件は任意である。
【0023】
本発明の穴あけ加工用シートは2層以上の多層板であるフレキシブルプリント配線板に、直径0.1〜1.0mmのような小口径スルーホールの加工をするのに適しており、また、高回転でドリルへの負荷が大きい場合にも適している。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものでない。
【0025】
(実施例1)
熱可塑性樹脂フィルムとして、厚みが125μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、融点260℃、引張り弾性率1,960MPa)と、金属箔として、厚みが80μmアルミニウム箔を重ね合わせ、穴あけ加工用シートサンプルとした。これを4層の銅張りフレキシブルプリント配線板を4枚重ねたものの最上部に積層した。さらにφ0.15mmのドリルを用いて150,000rpm、1.6m/minの条件で3000穴の穴あけ加工をし、穴位置精度、バリ高さ、フレキシブルプリント配線板の損傷を観察した。結果を表1に示す。なお、樹脂フィルムの融点はJIS K 7121に、引張り弾性率はJIS K 7127に準拠して測定した。
【0026】
(実施例2)
熱可塑性樹脂フィルムとして、厚みが125μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、融点260℃、引張り弾性率1,960MPa)に、トルエンで溶解したSBS系合成樹脂T−1101(シェル化学(株)製商品名)を塗布厚20μmとなるように塗布し、これと80μmアルミ箔と貼リ合わせて、穴あけ加工用シートサンプルとした他は、実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0027】
(実施例3)
熱可塑性樹脂フィルムとして、外層がポリプロピレン ショウアロマFA−465(昭和電工(株)製商品名)、内層がポリエチレン ショウレックスS6005A(昭和電工(株)製商品名、)である融点180℃、引張り弾性率1,050MPa、厚み60μmの3層押し出しフィルムを用いた他は、実施例2と同様にして試験した。結果を表1に示す。
【0028】
(実施例4)
熱可塑性樹脂フィルムとして、厚みが150μmのポリプロピレンフィルム(日立化成工業(株)製、融点180℃、引張り弾性率1,100MPa)を用いた他は、実施例2と同様にして試験した。結果を表1に示す。
【0029】
(実施例5)
トルエンで溶解したSBS系合成樹脂T−1101(シェル化学(株)製商品名)100重量部に対して潤滑油ネオクールFL−1(村松石油研究所製商品名)30重量部を混合した他は、実施例2と同様にして試験した。結果を表1に示す。
【0030】
(実施例6)
金属箔として、厚みが35μmの銅箔を用いた他は、実施例2と同様にして試験した。結果を表1に示す。
【0031】
(比較例1)
熱可塑性樹脂フィルムとして、厚さ350μmポリエステルフィルム(東レ(株)製)を用いた他は、実施例2と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0032】
(比較例2)
熱可塑性樹脂フィルムとして、引張り弾性率が48MPa、厚さ100μmポリエチレンフィルム(日立化成工業(株)製)を用いた他は、実施例2と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0033】
(比較例3)
金属箔として、厚みが250μmのアルミニウム箔を用いた他は、実施例2と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 2004009270
【0035】
表1から明らかなように、実施例1〜6は、すべてフレキシブルプリント配線板の損傷がなく、穴位置精度、バリについても良好であり、連続した巻物形状に製造することができた。それに対し、比較例1は、熱可塑性樹脂フィルムが厚すぎるため、ドリルの軸ぶれが起り、穴位置精度が低下し、また、連続した巻物形状に製造することが困難であった。さらに、比較例2では、熱可塑性樹脂フィルムが軟らかいためバリを抑制できず、比較例3では、金属箔が厚くなることで、連続した巻物形状に製造することが困難であり、金属箔のバリによるフレキシブルプリント配線板の損傷が見られた。
【0036】
【発明の効果】
本発明のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート、およびフレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、フレキシブルプリント配線板の穴位置精度を高め、銅箔のバリを抑制して、かつ効率的な穴あけを行うことができ、さらには、ドリルの破損を防止し、その寿命を延ばすという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプリント配線板穴あけ加工用シートの断面図。
【図2】本発明にかかるプリント配線板穴あけ加工用シートの断面図。
【図3】本発明にかかるプリント配線板穴あけ加工用シートの断面図。
【図4】フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートを用いたフレキシブルプリント配線板製造方法を示す概念図。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂フィルム
2 金属箔
3 合成樹脂
4 潤滑油含有合成樹脂
5 フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート
6、6’ フレキシブルプリント配線板
7 ドリル

Claims (9)

  1. 少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと金属箔とからなるフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート。
  2. 少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと金属箔とが合成樹脂により一体貼着されたフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート。
  3. 前記合成樹脂がその100重量部に対し5〜70重量部の潤滑油を含有する、請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート。
  4. 前記熱可塑性樹脂フィルムの融点が90〜300℃の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート。
  5. 前記熱可塑性樹脂フィルムの引張り弾性率が50〜10,000MPaの範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート。
  6. 前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さが12〜300μmの範囲である、請求項1〜5のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート。
  7. 前記金属箔の厚さが200μm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シート。
  8. フレキシブルプリント配線板の上部に、請求項1〜7のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートを熱可塑性樹脂フィルム面が上面となるように配置し、上方よりドリルによって穴あけをする工程を含む、フレキシブルプリント配線板の製造方法。
  9. 前記フレキシブルプリント配線板および/または前記フレキシブルプリント配線板穴あけ加工用シートが連続した巻物状態から繰り出される、請求項8に記載のフレキシブルプリント配線板の製造方法。
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