JP2004119761A - プリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたプリント配線板の穴あけ加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】穴位置精度が高く、穴内壁の粗さが小さく、かつバリ高さが小さい、高品質なプリント配線板の製造を可能にするプリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたプリント配線板穴あけ加工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも2層の樹脂層を積層してなるプリント配線板穴あけ加工用シートであって、ドリル進入側の樹脂層の引張弾性率が20〜150kgf/mm2、ドリル出口側の樹脂層の引張弾性率が150kgf/mm2以上であり、かつ前記ドリル出口側の樹脂層の厚みが35〜200μmであることを特徴とする、プリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたプリント配線板穴あけ加工方法。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも2層の樹脂層を積層してなるプリント配線板穴あけ加工用シートであって、ドリル進入側の樹脂層の引張弾性率が20〜150kgf/mm2、ドリル出口側の樹脂層の引張弾性率が150kgf/mm2以上であり、かつ前記ドリル出口側の樹脂層の厚みが35〜200μmであることを特徴とする、プリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたプリント配線板穴あけ加工方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高精度が要求されるプリント配線板に穴あけをする際に用いるプリント配線板穴あけ加工用シートおよびこれを用いたプリント配線板の穴あけ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンや携帯電話等の普及により電子製品の小型化・軽量化・高機能化への要求が高まっている。それに伴い、用いられるプリント配線板のパターンの高密度化・高多層化が急速に進み、その結果、プリント配線板のライン幅と間隔は狭まり、さらにスルーホールは小口径化が進むと同時にその数が増大している。したがって、穴位置についても必然的に高い精度が要求されてきている。
【0003】
今後、パターンの高密度化・高多層化がより一層進行すれば、ドリルによる穴あけ加工の回数はますます増大し、小口径化はφ0.15mm以下程度の極小径へと進行すると予測される。
【0004】
このような小口径の穴あけ加工を行うには、一般的にプリント配線板に加工用シートを重ねドリル加工を行うことで配線板に加工される穴位置の精度が向上し、バリやかえりも生じずに穴あけを行うことができるということが知られている。
【0005】
従来の小口径穴あけ加工用シートとしては、例えば、アルミニウム箔の両面を紙で挟んだシートを用いてプリント配線板をドリル加工する方法(特許文献1)、アルミニウム箔を接着剤で貼り合せたシートを用いる方法(特許文献2)、アルミニウム箔に水溶性樹脂および水溶性滑材から生成した皮膜を構成したシートを用いる方法(特許文献3)、熱可塑性フィルムからなるシートを用いる方法(特許文献4)などが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−214000号公報
【特許文献2】
特開平11−48196号公報
【特許文献3】
特開平10−335780号公報
【特許文献4】
特公平7−50831号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたシートは穴あけの際に紙の粉末が発生し、その後の工程に悪影響を及ぼす可能性があり、特許文献2に記載されたシートはアルミ箔を貼り合せるためドリルビットの径が細くなるにつれてドリル磨耗を助長し、ひどい場合にはドリルが破損するという問題がある。また、特許文献3に記載されたシートは水溶性樹脂を滑剤として用いており、これがドリルの根元にからみつき排出性を低下させるばかりか、水溶性樹脂が再融解して基板上に落ちてドリル破損の原因になることという問題がある。さらに、特許文献4に記載されたシートは単純な熱可塑性フィルムであるため多層配線板を重ねて穴あけ加工すると位置精度が悪化してしまったり、バリを抑制できないという欠点がある。
【0008】
上記を鑑みて、本発明は、穴位置精度が高く、穴内壁の粗さが小さく、かつバリ高さが小さい、高品質なプリント配線板を製造することができるプリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたプリント配線板穴あけ加工方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ドリル進入側の樹脂層の引張弾性率が20〜150kgf/mm2、ドリル出口側の樹脂層の引張弾性率が150kgf/mm2以上であり、かつ前記ドリル出口側の樹脂層の厚みが35〜200μmであることを特徴とするプリント配線板穴あけ加工用シートを提供する。
【0010】
また、上記本発明のプリント配線板穴あけ加工用シートを、ドリル出口側の樹脂層とプリント配線板の最上面とが接するように、プリント配線板に重ね、ドリル進入側の樹脂層からドリルを進入させて穴あけすることを特徴とする、プリント配線板の穴あけ加工方法を提供する。
【0011】
本発明の加工用シートによれば、引張弾性率が20〜150kgf/mm2であるドリル進入側の樹脂層が、ドリル進入の初期段階におけるドリルの食いつき性を高め、穴位置精度を良好なものとし、さらに、進入側の樹脂層のそれより大きい、150kgf/mm2以上の引張弾性率を有し、かつその厚みが35〜200μmである出口側の樹脂層が、加工用シートに食いついたドリルの直進性を高め、穴内壁粗さおよび基板銅箔のバリを低減することができる。
【0012】
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のシートは、例えば、図1のように、ドリル進入側の樹脂層1と出口側の樹脂層2とを積層してなるものであり、ドリル進入側の樹脂層1が出口側の樹脂層2よりも低い引張弾性率を有していることを特徴としている。
【0014】
本発明のドリル進入側の樹脂層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等、比較的引張弾性率の低い樹脂を用いることができるが、特に限定されない。
【0015】
本発明のドリル出口側の樹脂層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、MMA等、比較的引張弾性率の大きい樹脂を用いることができるが、特に限定されない。
【0016】
本発明において、これらの樹脂層の引張弾性率は、ドリル進入側がドリル出口側より低いことが必須の条件であり、好ましくはJIS−7113に基づく方法で進入側が20〜150kgf/mm2、出口側が150kgf/mm2以上であり、より好ましくは進入側が25〜80kgf/mm2、出口側が200〜700kgf/mm2である。進入側の樹脂層の引張弾性率が20kgf/mm2よりも小さい場合、ドリルへの巻きつきが大きくなり、穴内壁の粗さが悪化する傾向があり、150gf/mm2よりも大きい場合、ドリルの食いつき性が低下し、穴位置精度が悪化する傾向がある。一方、出口側の樹脂層の引張弾性率が150kgf/mm2よりも小さいとドリルの直進性維持と基板のバリ抑制効果が失われる傾向がある。
【0017】
また、ドリル出口側の樹脂層の厚みは35〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。厚みが35μmよりも薄い場合にはバリを抑制する効果が低下し、200μmよりも厚い場合にはドリルの磨耗が促進したり、場合によっては、ドリルが破損する可能性もある。
【0018】
2層以上の異なる引張弾性率を有する樹脂層を積層する方法としては、例えば、共押出、加熱ラミネート、ドライラミネートなどの一般的な方法により行えばよく、特に限定されない。また、粘着剤を介して貼り合せ、積層してもよい。用いることのできる粘着剤としては、限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、天然ゴム、合成ゴム、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、その乾燥厚みは、種類にもよるが、好ましくは1〜50μm、より好ましくは3〜40μmである。粘着剤の乾燥厚みが1μm未満であると積層した樹脂層がはがれ易くなり、50μmを超えるとドリルへのからみが多くなり、穴位置精度や穴壁粗さが悪化する傾向がある。
【0019】
また、上記粘着剤には、パラフィンを添加することが好ましく、添加した粘着剤を介して樹脂層を積層した加工用シートは、穴あけの際、パラフィンの潤滑効果により穴内壁粗さをより低減させ、また、ドリルの寿命を改善する効果をも奏する。ここでパラフィンとしては、例えば、鯨ろう、蜜ろう、シナろう、石ろう等が挙げられ、その融点は、穴あけ加工時に溶融してドリルの潤滑性を向上させるために、30〜100℃であることが好ましい。また、その配合量としては、粘着剤100重量部に対し、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜30重量部である。また、潤滑性をさらに向上させるために、ジフェニルエーテル系、エステル系、シリコーン系に代表される合成油、鉱物油などを粘着剤に添加してもよい。
【0020】
さらに、上記粘着剤には、その末端基と反応して架橋構造を形成する架橋剤を添加して、粘着剤の凝集力向上や粘着力の調整を行ってもよい。架橋剤の種類、配合量には特に制限はなく、粘着剤の種類や所望の粘着力により、一般的に使用されているもの適宜用いればよい。
【0021】
本発明の穴あけ加工用シートを用いて、プリント配線板の穴あけを行う場合には、まず、加工用シートのドリル出口側とプリント配線板の最上面とが接するように、加工用シートをプリント配線板に重ね、ついで、任意径のドリルを加工用シートのドリル進入側より進入させ、穴あけを行う。ドリルを使用して穴あけを行う際の回転速度等の条件としては、プリント配線板に設ける穴の数、径に応じて、適宜決定すれば良く、特に限定されない。
【0022】
また、本発明の加工用シートは巻物状にして使用に供されても良く、これによれば、必要な分だけ連続的に加工用シートをプリント配線板上に提供することが可能となり、効率的な穴あけを実現することが可能となる。
【0023】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は本発明をなんら限定するものではない。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
厚み40μmのポリエチレンフィルム(日立化成工業製 引張弾性率28kgf/mm2)に、アクリル系樹脂SKダイン1381(総研化学製、商品名)100部と架橋剤としてコロネートL(日本ポリウレタン製、商品名)2部とをトルエンにて調合した粘着剤を乾燥厚み5μmとなるように塗布、乾燥して粘着フィルムを得た。この粘着フィルムと厚み100μmのPETフィルム(帝人デュポン製 引張弾性率400kgf/mm2)を貼合わせて穴あけ加工用シートとした。
【0025】
次に、図2に示すように、上記で得られた穴あけ加工用シートを0.1mmtエポキシ銅張り積層板(日立化成工業(株)製)を2枚重ねたものに加工用シートのPET面を向けて重ね、最下部には紙フェノール板を重ねた。さらに、φ0.10mmのドリルをシートのポリエチレンフィルム側から進入させ、160krpm、1.6m/min、10μ/revの条件で銅張り積層板に5000穴の穴あけ加工を施した。
【0026】
4981〜5000ショットの20穴について最上部の多層板穴部の穴位置精度、穴壁粗さ、および上部基板のバリ高さを観察、測定した。各測定方法は下記の通りである。結果を表1に示す。
【0027】
(穴位置精度)
二次元寸法測定器により、穴空け加工した基板の穴位置を測定し、設計値とのズレを算出してその精度を求めた。(平均値)
(穴壁粗さ)
エポキシ注型した穴断面を拡大鏡により観察し、めっきと内壁の界面の最大粗さを測定した。
【0028】
(バリ高さ)
接触式表面粗さ計により穴周辺部のバリ高さの最大値を測定した。
【0029】
(実施例2)
厚み100μmのPETフィルムの代わりに厚み50μmのナイロンフィルム(ユニチカ製 引張弾性率160kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0030】
(実施例3)
粘着剤中にパラフィンであるバイセン0453(日本製蝋製、商品名)30部を添加した他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0031】
(比較例1)
厚み40μmのポリエチレンフィルムの代わりに厚み60μmのEVAフィルム(日立化成工業製 引張弾性率12kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様にして試験した。結果を表1に示す。
【0032】
(比較例2)
厚み40μmのポリエチレンフィルムの代わりに厚み50μmのナイロンフィルム(ユニチカ製 引張弾性率160kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様にして試験した。結果を表1に示す。
【0033】
(比較例3)
厚み100μmのPETフィルムの代わりに厚み75μmのポリプロピレンフィルム(日立化成工業製 引張弾性率130kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0034】
(比較例4)
厚み100μmのPETフィルムの代わりに厚み25μmのPETフィルム(帝人デュポン製 引張弾性率400kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0035】
(比較例5)
厚み100μmのPETフィルムの代わりに厚み250μmのPET(帝人デュポン製 引張弾性率400kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1〜3はともに穴位置精度,穴壁粗さ,銅箔バリ高さについて良好であった。それに対し、比較例1は進入側樹脂層の弾性率が小さいためドリルに巻きつきが発生して排出性が低下することで、穴内壁粗さが悪化してしまった。比較例2では進入側樹脂層の弾性率が高いためにドリルの食いつき性が低下し、穴位置精度が悪化してしまった。比較例3ではドリル出口側樹脂層の弾性率が不足しているためにバリ高が顕著に表れた。比較例4ではドリル出口側樹脂層の厚みが薄すぎて基板のバリを抑えることができず、比較例5ではドリル出口側樹脂層の厚みが厚すぎて試験途中でドリル折れが発生した。
【0038】
【発明の効果】
プリント配線板製造時の穴あけ工程において、本発明の穴あけ加工用シートおよびこれを用いた穴あけ加工方法を用いて穴加工することで、穴位置精度が高く、穴内壁の粗さが小さく、かつバリ高さが小さい、高品質なプリント配線板を製造することができる。さらには、ドリルの破損を防止し、その寿命を延ばすという効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なる引張弾性率を有する2層の樹脂層で構成された本発明のプリント配線板穴あけ加工用シート
【図2】本発明のプリント配線板穴あけ加工用シートを用いた穴あけ加工方法の一例
【図3】粘着剤を介して構成された本発明のプリント配線板穴あけ加工用シート
【符号の説明】
1 ドリル進入側の樹脂層
2 ドリル出口側の樹脂層
3 銅張積層板
4 ドリル
5 紙フェノール板
6 粘着剤
【発明の属する技術分野】
本発明は高精度が要求されるプリント配線板に穴あけをする際に用いるプリント配線板穴あけ加工用シートおよびこれを用いたプリント配線板の穴あけ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコンや携帯電話等の普及により電子製品の小型化・軽量化・高機能化への要求が高まっている。それに伴い、用いられるプリント配線板のパターンの高密度化・高多層化が急速に進み、その結果、プリント配線板のライン幅と間隔は狭まり、さらにスルーホールは小口径化が進むと同時にその数が増大している。したがって、穴位置についても必然的に高い精度が要求されてきている。
【0003】
今後、パターンの高密度化・高多層化がより一層進行すれば、ドリルによる穴あけ加工の回数はますます増大し、小口径化はφ0.15mm以下程度の極小径へと進行すると予測される。
【0004】
このような小口径の穴あけ加工を行うには、一般的にプリント配線板に加工用シートを重ねドリル加工を行うことで配線板に加工される穴位置の精度が向上し、バリやかえりも生じずに穴あけを行うことができるということが知られている。
【0005】
従来の小口径穴あけ加工用シートとしては、例えば、アルミニウム箔の両面を紙で挟んだシートを用いてプリント配線板をドリル加工する方法(特許文献1)、アルミニウム箔を接着剤で貼り合せたシートを用いる方法(特許文献2)、アルミニウム箔に水溶性樹脂および水溶性滑材から生成した皮膜を構成したシートを用いる方法(特許文献3)、熱可塑性フィルムからなるシートを用いる方法(特許文献4)などが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−214000号公報
【特許文献2】
特開平11−48196号公報
【特許文献3】
特開平10−335780号公報
【特許文献4】
特公平7−50831号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたシートは穴あけの際に紙の粉末が発生し、その後の工程に悪影響を及ぼす可能性があり、特許文献2に記載されたシートはアルミ箔を貼り合せるためドリルビットの径が細くなるにつれてドリル磨耗を助長し、ひどい場合にはドリルが破損するという問題がある。また、特許文献3に記載されたシートは水溶性樹脂を滑剤として用いており、これがドリルの根元にからみつき排出性を低下させるばかりか、水溶性樹脂が再融解して基板上に落ちてドリル破損の原因になることという問題がある。さらに、特許文献4に記載されたシートは単純な熱可塑性フィルムであるため多層配線板を重ねて穴あけ加工すると位置精度が悪化してしまったり、バリを抑制できないという欠点がある。
【0008】
上記を鑑みて、本発明は、穴位置精度が高く、穴内壁の粗さが小さく、かつバリ高さが小さい、高品質なプリント配線板を製造することができるプリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたプリント配線板穴あけ加工方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ドリル進入側の樹脂層の引張弾性率が20〜150kgf/mm2、ドリル出口側の樹脂層の引張弾性率が150kgf/mm2以上であり、かつ前記ドリル出口側の樹脂層の厚みが35〜200μmであることを特徴とするプリント配線板穴あけ加工用シートを提供する。
【0010】
また、上記本発明のプリント配線板穴あけ加工用シートを、ドリル出口側の樹脂層とプリント配線板の最上面とが接するように、プリント配線板に重ね、ドリル進入側の樹脂層からドリルを進入させて穴あけすることを特徴とする、プリント配線板の穴あけ加工方法を提供する。
【0011】
本発明の加工用シートによれば、引張弾性率が20〜150kgf/mm2であるドリル進入側の樹脂層が、ドリル進入の初期段階におけるドリルの食いつき性を高め、穴位置精度を良好なものとし、さらに、進入側の樹脂層のそれより大きい、150kgf/mm2以上の引張弾性率を有し、かつその厚みが35〜200μmである出口側の樹脂層が、加工用シートに食いついたドリルの直進性を高め、穴内壁粗さおよび基板銅箔のバリを低減することができる。
【0012】
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のシートは、例えば、図1のように、ドリル進入側の樹脂層1と出口側の樹脂層2とを積層してなるものであり、ドリル進入側の樹脂層1が出口側の樹脂層2よりも低い引張弾性率を有していることを特徴としている。
【0014】
本発明のドリル進入側の樹脂層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等、比較的引張弾性率の低い樹脂を用いることができるが、特に限定されない。
【0015】
本発明のドリル出口側の樹脂層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、MMA等、比較的引張弾性率の大きい樹脂を用いることができるが、特に限定されない。
【0016】
本発明において、これらの樹脂層の引張弾性率は、ドリル進入側がドリル出口側より低いことが必須の条件であり、好ましくはJIS−7113に基づく方法で進入側が20〜150kgf/mm2、出口側が150kgf/mm2以上であり、より好ましくは進入側が25〜80kgf/mm2、出口側が200〜700kgf/mm2である。進入側の樹脂層の引張弾性率が20kgf/mm2よりも小さい場合、ドリルへの巻きつきが大きくなり、穴内壁の粗さが悪化する傾向があり、150gf/mm2よりも大きい場合、ドリルの食いつき性が低下し、穴位置精度が悪化する傾向がある。一方、出口側の樹脂層の引張弾性率が150kgf/mm2よりも小さいとドリルの直進性維持と基板のバリ抑制効果が失われる傾向がある。
【0017】
また、ドリル出口側の樹脂層の厚みは35〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましい。厚みが35μmよりも薄い場合にはバリを抑制する効果が低下し、200μmよりも厚い場合にはドリルの磨耗が促進したり、場合によっては、ドリルが破損する可能性もある。
【0018】
2層以上の異なる引張弾性率を有する樹脂層を積層する方法としては、例えば、共押出、加熱ラミネート、ドライラミネートなどの一般的な方法により行えばよく、特に限定されない。また、粘着剤を介して貼り合せ、積層してもよい。用いることのできる粘着剤としては、限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、天然ゴム、合成ゴム、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、その乾燥厚みは、種類にもよるが、好ましくは1〜50μm、より好ましくは3〜40μmである。粘着剤の乾燥厚みが1μm未満であると積層した樹脂層がはがれ易くなり、50μmを超えるとドリルへのからみが多くなり、穴位置精度や穴壁粗さが悪化する傾向がある。
【0019】
また、上記粘着剤には、パラフィンを添加することが好ましく、添加した粘着剤を介して樹脂層を積層した加工用シートは、穴あけの際、パラフィンの潤滑効果により穴内壁粗さをより低減させ、また、ドリルの寿命を改善する効果をも奏する。ここでパラフィンとしては、例えば、鯨ろう、蜜ろう、シナろう、石ろう等が挙げられ、その融点は、穴あけ加工時に溶融してドリルの潤滑性を向上させるために、30〜100℃であることが好ましい。また、その配合量としては、粘着剤100重量部に対し、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜30重量部である。また、潤滑性をさらに向上させるために、ジフェニルエーテル系、エステル系、シリコーン系に代表される合成油、鉱物油などを粘着剤に添加してもよい。
【0020】
さらに、上記粘着剤には、その末端基と反応して架橋構造を形成する架橋剤を添加して、粘着剤の凝集力向上や粘着力の調整を行ってもよい。架橋剤の種類、配合量には特に制限はなく、粘着剤の種類や所望の粘着力により、一般的に使用されているもの適宜用いればよい。
【0021】
本発明の穴あけ加工用シートを用いて、プリント配線板の穴あけを行う場合には、まず、加工用シートのドリル出口側とプリント配線板の最上面とが接するように、加工用シートをプリント配線板に重ね、ついで、任意径のドリルを加工用シートのドリル進入側より進入させ、穴あけを行う。ドリルを使用して穴あけを行う際の回転速度等の条件としては、プリント配線板に設ける穴の数、径に応じて、適宜決定すれば良く、特に限定されない。
【0022】
また、本発明の加工用シートは巻物状にして使用に供されても良く、これによれば、必要な分だけ連続的に加工用シートをプリント配線板上に提供することが可能となり、効率的な穴あけを実現することが可能となる。
【0023】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は本発明をなんら限定するものではない。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
厚み40μmのポリエチレンフィルム(日立化成工業製 引張弾性率28kgf/mm2)に、アクリル系樹脂SKダイン1381(総研化学製、商品名)100部と架橋剤としてコロネートL(日本ポリウレタン製、商品名)2部とをトルエンにて調合した粘着剤を乾燥厚み5μmとなるように塗布、乾燥して粘着フィルムを得た。この粘着フィルムと厚み100μmのPETフィルム(帝人デュポン製 引張弾性率400kgf/mm2)を貼合わせて穴あけ加工用シートとした。
【0025】
次に、図2に示すように、上記で得られた穴あけ加工用シートを0.1mmtエポキシ銅張り積層板(日立化成工業(株)製)を2枚重ねたものに加工用シートのPET面を向けて重ね、最下部には紙フェノール板を重ねた。さらに、φ0.10mmのドリルをシートのポリエチレンフィルム側から進入させ、160krpm、1.6m/min、10μ/revの条件で銅張り積層板に5000穴の穴あけ加工を施した。
【0026】
4981〜5000ショットの20穴について最上部の多層板穴部の穴位置精度、穴壁粗さ、および上部基板のバリ高さを観察、測定した。各測定方法は下記の通りである。結果を表1に示す。
【0027】
(穴位置精度)
二次元寸法測定器により、穴空け加工した基板の穴位置を測定し、設計値とのズレを算出してその精度を求めた。(平均値)
(穴壁粗さ)
エポキシ注型した穴断面を拡大鏡により観察し、めっきと内壁の界面の最大粗さを測定した。
【0028】
(バリ高さ)
接触式表面粗さ計により穴周辺部のバリ高さの最大値を測定した。
【0029】
(実施例2)
厚み100μmのPETフィルムの代わりに厚み50μmのナイロンフィルム(ユニチカ製 引張弾性率160kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0030】
(実施例3)
粘着剤中にパラフィンであるバイセン0453(日本製蝋製、商品名)30部を添加した他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0031】
(比較例1)
厚み40μmのポリエチレンフィルムの代わりに厚み60μmのEVAフィルム(日立化成工業製 引張弾性率12kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様にして試験した。結果を表1に示す。
【0032】
(比較例2)
厚み40μmのポリエチレンフィルムの代わりに厚み50μmのナイロンフィルム(ユニチカ製 引張弾性率160kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様にして試験した。結果を表1に示す。
【0033】
(比較例3)
厚み100μmのPETフィルムの代わりに厚み75μmのポリプロピレンフィルム(日立化成工業製 引張弾性率130kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0034】
(比較例4)
厚み100μmのPETフィルムの代わりに厚み25μmのPETフィルム(帝人デュポン製 引張弾性率400kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0035】
(比較例5)
厚み100μmのPETフィルムの代わりに厚み250μmのPET(帝人デュポン製 引張弾性率400kgf/mm2)を用いた他は実施例1と同様に試験した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1〜3はともに穴位置精度,穴壁粗さ,銅箔バリ高さについて良好であった。それに対し、比較例1は進入側樹脂層の弾性率が小さいためドリルに巻きつきが発生して排出性が低下することで、穴内壁粗さが悪化してしまった。比較例2では進入側樹脂層の弾性率が高いためにドリルの食いつき性が低下し、穴位置精度が悪化してしまった。比較例3ではドリル出口側樹脂層の弾性率が不足しているためにバリ高が顕著に表れた。比較例4ではドリル出口側樹脂層の厚みが薄すぎて基板のバリを抑えることができず、比較例5ではドリル出口側樹脂層の厚みが厚すぎて試験途中でドリル折れが発生した。
【0038】
【発明の効果】
プリント配線板製造時の穴あけ工程において、本発明の穴あけ加工用シートおよびこれを用いた穴あけ加工方法を用いて穴加工することで、穴位置精度が高く、穴内壁の粗さが小さく、かつバリ高さが小さい、高品質なプリント配線板を製造することができる。さらには、ドリルの破損を防止し、その寿命を延ばすという効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なる引張弾性率を有する2層の樹脂層で構成された本発明のプリント配線板穴あけ加工用シート
【図2】本発明のプリント配線板穴あけ加工用シートを用いた穴あけ加工方法の一例
【図3】粘着剤を介して構成された本発明のプリント配線板穴あけ加工用シート
【符号の説明】
1 ドリル進入側の樹脂層
2 ドリル出口側の樹脂層
3 銅張積層板
4 ドリル
5 紙フェノール板
6 粘着剤
Claims (3)
- 少なくとも2層の樹脂層を積層してなるプリント配線板穴あけ加工用シートであって、ドリル進入側の樹脂層の引張弾性率が20〜150kgf/mm2、ドリル出口側の樹脂層の引張弾性率が150kgf/mm2以上であり、かつ前記ドリル出口側の樹脂層の厚みが35〜200μmであることを特徴とする、プリント配線板穴あけ加工用シート。
- 前記ドリル進入側の樹脂層と前記ドリル出口側の樹脂層とがパラフィンを添加した粘着剤層を介して積層されていることを特徴とする、請求項1に記載のプリント配線板穴あけ加工用シート。
- 請求項1または2に記載のプリント配線板穴あけ加工用シートを、前記ドリル出口側の樹脂層とプリント配線板の最上面とが接するように、プリント配線板に重ね、前記ドリル進入側の樹脂層からドリルを進入させて穴あけすることを特徴とする、プリント配線板の穴あけ加工方法。
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---|---|---|---|
JP2002282300A JP2004119761A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | プリント配線板穴あけ加工用シート、およびこれを用いたプリント配線板の穴あけ加工方法 |
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Cited By (2)
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JP2010264576A (ja) * | 2009-05-18 | 2010-11-25 | Fujikura Ltd | エントリーボードおよび多層基板の貫通孔加工方法 |
CN111787698A (zh) * | 2020-07-13 | 2020-10-16 | 黄石星河电路有限公司 | 一种z字槽孔加工方法 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002282300A patent/JP2004119761A/ja active Pending
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