JP2004008490A - X線画像診断装置 - Google Patents

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JP2004008490A JP2002166432A JP2002166432A JP2004008490A JP 2004008490 A JP2004008490 A JP 2004008490A JP 2002166432 A JP2002166432 A JP 2002166432A JP 2002166432 A JP2002166432 A JP 2002166432A JP 2004008490 A JP2004008490 A JP 2004008490A
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Kunio Shiraishi
白石 邦夫
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Abstract

【課題】被検体の厚さに応じて、過度にコントラストを付けることなく、臨床上必要な画質を確保して、被検体の被曝量を最低限に低減することのできるX線画像診断装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置5は、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルを検出して、そのコントラストレベルが予め当該画像処理装置5において設定された適正なコントラストレベルに合致するよう、付加フィルタ8の厚さを調整する。詳しくは、付加フィルタ8に接続された駆動装置9の駆動制御を行う。また、画像処理装置5は、被検体Pの厚さに応じて、X線条件の制御(自動露出制御)も行い、さらに、必要に応じて自動利得制御も行う。また、X線制御器6において設定されるX線管球2の管電圧は、任意に設定変更することが可能に構成する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動露出制御機能を備え、且つ、X線管球に線質調整フィルタを具備するX線画像診断装置に関し、より詳しくは、線質調整フィルタの厚さを調整することが可能な調整手段を備えるX線画像診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動露出制御機能を備えるX線画像診断装置とは、図7に示すようなものである。同図に示すように、当該X線画像診断装置100は、主に、被検体Pを載置する手段である寝台101と、被検体Pに対してX線を曝射する手段であるX線管球102と、X線管球102にX線の曝射に必要な高電圧を印加する手段である高電圧発生装置103と、X線管球102から曝射され被検体Pから透過してきたX線を検出する手段である検出器104と、検出器104によって検出された透過X線データに基づき画像を再構成する手段である画像処理装置105と、X線管球102のX線出力を制御する手段であるX線制御器106と、画像処理装置105によって再構成された画像を画面表示する手段であるモニタ107とから構成されている。
【0003】
画像処理装置105には、予め、モニタ107に映し出される画像のコントラストレベルが適正となるコントラスト値が設定されており、画像処理装置105がモニタ107に映し出される画像のコントラストレベルを検出して、さらに、X線制御器106がモニタ107に映し出される画像のコントラストレベルが前記適正となるコントラスト値と合致するようX線管球102のX線出力の調整を行うことで、自動露出制御が行われる。尚、X線出力の調整は、X線管球102の管電流、或いは、管電圧等を調整することで行われる。
【0004】
ところで、X線管球102から曝射されるX線の種類には、大きく分けて“硬線”と“軟線”の2種類がある。これらの違いは、そのエネルギの高さにあり、エネルギの高いX線が“硬線”と称され、エネルギの低いX線が“軟線”と称される。
【0005】
このうち、“軟線”は、そのエネルギが低いことから、実際には、X線管球102から曝射されても検出器104まで到達することなく被検体Pに吸収されてしまうことが多い。従って、この“軟線”は、X線に殆ど寄与することなく被検体Pを被曝させるだけの極めて有害なX線となっている。
【0006】
そこで、従来のX線画像診断装置においては、この“軟線”の曝射量を低減させる目的で、図8に示すように、X線管球102に線質調整フィルタ、所謂、付加フィルタ108を具備するものが存在している。この付加フィルタ108は、アルミニウム、銅、タンタル等の金属材料からなる板状のフィルタであって、特に“軟線”を多く減衰させる特性を有している。
【0007】
図9に、付加フィルタ108の厚さとX線スペクトラムとの関係を示す概念図を示す。同図に示すように、付加フィルタ108を使用すると、X線スペクトラムの低いもの(“軟線”の傾向が強いもの)ほど減衰される度合いが高くなることが確認できる。また、付加フィルタ108の厚さが厚くなるほど、この傾向が強まることも確認できる。
【0008】
さらに、従来のX線画像診断装置には、付加フィルタ108を複数備えて、その使用枚数を増減させることで厚さ調整を行って、被検体Pの被曝量を必要最小限に低減させることが可能なものが存在している。一般に、“軟線”は、X線管球102の管電圧が低くなる程、その曝射量が増加する傾向にあるので、当該X線画像診断装置においては、特に、手技や患者の状態(体格、関心部位)に応じて、X線管球102のX線条件を、即ち、管電圧を低く設定する場合に、この管電圧に応じて付加フィルタ108の使用枚数を増加させて、その厚さを厚くすることで、被検体Pの被曝量を必要最小限に低減させるという方法が採られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、付加フィルタ108は、“硬線”よりも“軟線”を多く減衰させる特性を有しており、付加フィルタ108の厚さは、厚ければ厚いほど被検体Pの被曝量を低減させることが可能となる。しかしながら、付加フィルタ108の厚さが厚くなると、モニタ107に映し出される画像のコントラストレベルは低くなるために、これを補うべく、X線管球102から曝射されるX線のX線出力を大きくする必要が生じる。ところが、X線管球102には熱容量の制限があり、X線出力が大きくなると、これを連続的に出力することができなくなるという欠点が有るため、X線管球102のX線出力を大きくするにも限界がある。従って、このような理由から、付加フィルタ108の厚さ調整、即ち、付加フィルタ108の厚さを厚くする調整には、X線管球102の最大負荷条件による制限が課されることとなった。即ち、付加フィルタ108の調整範囲は、X線管球102の最大負荷条件の許容範囲内に設定されることとなった。
【0010】
一方、付加フィルタ108の設けられるX線管球102には、設置スペースの制限があるために、付加フィルタ108の使用枚数を増減させる機構の配置スペース等を考慮に入れると、付加フィルタ108の設置可能な枚数は僅かなものになった。従って、X線管球102の最大負荷条件による制限が緩く、その許容範囲が比較的広い場合であっても、付加フィルタ108の設置枚数が僅かであることから、その厚さ調整範囲は極めて狭いものとなった。
【0011】
このように、付加フィルタ108の厚さ調整範囲は極めて狭いものであるために、特に、被検体Pの厚さが薄い場合には、モニタ107に映し出される画像のコントラストレベルを適正なレベルにするようX線管球2の管電圧を調整した上で、この管電圧に応じて付加フィルタ108の使用枚数を増減させてその厚さを調整しても、モニタ107に映し出される画像のコントラストレベルを適正なレベルまで下げ切れずに、また、被検体Pの被曝量を必要十分に低減させることができない場合があった。
【0012】
即ち、被検体Pの厚さが薄い場合には、モニタ107に映し出される画像のコントラストレベルが高くなるために、X線管球102の管電圧は高目に調整されることになるのだが、被検体Pの厚さが特に薄い場合には、X線管球102の管電圧を最大値に設定した上で、付加フィルタ108の厚さを最大限に厚くしても、モニタ107に映し出される画像のコントラストレベルを適正なレベルまで下げきれずに、また、被検体Pの被曝量を必要十分に低減させることができない場合があった。
【0013】
また、従来のX線画像診断装置においては、一連の透視中、或いは、撮影中にX線条件である管電圧の設定値を任意に変更することは不可能となっているため、例え、同一の被検体Pにおける透視、或いは、撮影であっても、臨床部位が被検体厚の薄い部分から厚い部分に移動する場合には、X線条件である管電圧は被検体厚の薄い部分に合わせて設定されたまま、被検体厚の厚い部分の透視、或いは、撮影が行われることになるので、この被検体厚の厚い部分の透視、或いは、撮影においては、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルが適正なコントラストレベルよりも高くなってしまい、また、被検体Pの被曝量が必要以上に多くなってしまうという問題があった。
【0014】
さらに、前述したように、付加フィルタ108の厚さ調整は、使用する付加フィルタの枚数を変化させることで行われるものであるため、付加フィルタ使用枚数を一連の透視中、或いは、撮影中に切り替えてしまうと、その急激な厚さの変化からモニタ107に表示される画像の連続性が損なわれるという問題があった。従って、付加フィルタ108の厚さ調整を、一連の透視中、或いは、撮影中に行うことは実際には不可能であった。
【0015】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被検体の厚さが薄い場合、又は、厚く変化する場合であっても、これに応じて、過度にコントラストを付けることなく、臨床上必要な画質を確保して、被検体の被曝量を最低限に低減することのできるX線画像診断装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、自動露出制御を行う制御手段と、線質調整フィルタを具備するX線管球とを備えるX線画像診断装置において、前記線質調整フィルタの厚さを連続的に調整することが可能な調整手段を備えることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために、請求項2記載の発明は、請求項1記載のX線画像診断装置であって、前記調整手段は、画像のコントラストレベルに応じて、前記フィルタの厚さを調整することを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決するために、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のX線画像診断装置であって、前記線質調整フィルタは、両者が重なる部分の厚さが均一となるべく形成された、楔形形状を成す一対のフィルタであることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決するために、請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のX線画像診断装置であって、前記線質調整フィルタは、両者が重なる部分の厚さが均一となるべく形成された、楔形形状を成すフィルタ及びこれに対応する傾斜面を有する渦巻き形状を成すフィルタであることを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決するために、請求項5記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のX線画像診断装置であって、前記線質調整フィルタは、液体金属で満たされた液面高さが調整可能な容器であることを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のX線画像診断装置であって、前記制御手段は、前記調整手段による前記フィルタの厚さ調整を優先的に行った上で、さらに必要がある場合には、自動露出制御を行うことを特徴とする。
【0022】
上記課題を解決するために、請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のX線画像診断装置であって、前記制御手段は、前記自動露出制御を行った上で、さらに必要がある場合には、自動利得制御を行うことを特徴とする。
【0023】
上記課題を解決するために、請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のX線画像診断装置であって、前記制御手段は、前記X線管球の管電圧を任意に設定することが可能な入力手段をさらに備えることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るX線画像診断装置の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施形態におけるX線画像診断装置10の全体構成を示す図である。同図に示すように、当該X線画像診断装置10は、主に、被検体Pを載置する手段である寝台1と、被検体Pに対してX線を曝射する手段であるX線管球2と、X線管球2にX線の曝射に必要な高電圧を印加する手段である高電圧発生装置3と、X線管球2から曝射され被検体Pから透過してきたX線を検出する手段である検出器4と、検出器4によって検出された透過X線データに基づき画像を再構成する手段である画像処理装置5と、X線管球2によって曝射されるX線出力を制御する手段であるX線制御器6と、画像処理装置5によって再構成された画像を画面表示する手段であるモニタ7と、X線管球2に設けられる付加フィルタ8とから構成されている。さらに、付加フィルタ8には、その厚さ調整を行う手段である駆動装置9が備えられている。
【0026】
図2乃至図4に、付加フィルタ8の具体的構成例を示す。
【0027】
図2(a)、(b)に示すように、本例における付加フィルタ8Aは、X線管球2のX線曝射源Oから曝射されるX線が透過する部分の厚さt、tが均一となるべく形成された、楔形形状を成す一対のフィルタによって構成されている。同図(a)、(b)に示すように、この一対のフィルタが駆動装置9によって互いに近づけられたり遠ざけられたりすることで厚さt、tが変化して、その厚さ調整が連続的に行われる仕組みとなっている。尚、このような簡単な構成を採ることから、本例における付加フィルタ8Aは、その厚さ調整範囲を十分に広くとることが可能となっている。
【0028】
また、図3(a)、(b)に示すように、本例における付加フィルタ8Bは、X線管球2のX線曝射源Oから曝射されるX線が透過する部分の厚さtが均一となるべく形成された、楔形形状を成すフィルタAと、これに対応する傾斜面を有する渦巻き形状を成すフィルタBとから構成されている。同図(a)、(b)に示すように、フィルタAの位置は固定したまま渦巻き形状を成すフィルタBを駆動装置9が正逆回転させることで、渦巻き形状を成すフィルタBと楔形形状を成すフィルタAとの厚さtが変化して、その厚さ調整が連続的に行われる仕組みとなっている。尚、このような簡単な構成を採ることから、本例における付加フィルタ8Bは、その厚さ調整範囲を十分に広くとることが可能となっている。
【0029】
さらに、図4に示すように、本例における付加フィルタ8Cは、X線管球2のX線曝射源Oから曝射されるX線が透過する部分である容器Cと、容器Cに注入される、例えば水銀等の液体金属Dと、液体金属Dの液面を調整する手段であるポンプEとから構成されている。液体金属Dは、容器Cとこの容器Cの内壁に沿って移動可能に設けられた蓋Fとによって密封された状態となっている。そして、同図に示すように、ポンプEが容器C内に注入される液体金属Dの注入量を調整することで液体金属Dの液面高さtが変化して、その厚さ調整が連続的に行われる仕組みとなっている。尚、このような簡単な構成を採ることから、本例における付加フィルタ8Cは、その厚さ調整範囲を十分に広くとることが可能となっている。
【0030】
このように、本実施形態におけるX線画像診断装置においては、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さ調整を連続的に行うことが可能な構成となっているため、例え透視中或いは撮影中であっても付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さ調整を行うことができる。また、付加フィルタ8(8A〜8C)の構成は何れも簡単になっているため、その厚さ調整範囲を十分に広くとることができ、被検体Pの厚さが特に薄い場合にも十分に対応することができる。
【0031】
尚、以上に説明した付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さ調整は、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルに応じて行われるものとなっている。即ち、画像処理装置5は、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルを検出して、このコントラストレベルが予め当該画像処理装置5において設定されたコントラストレベルに到達していない場合には、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さを薄くするように、付加フィルタ8(8A〜8C)に接続された駆動装置9の駆動制御を行い、また、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルが予め当該画像処理装置5において設定されたコントラストレベルに到達している場合には、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さを厚くするように、付加フィルタ8(8A〜8C)に接続された駆動装置9の駆動制御を行う。
【0032】
また、駆動装置9は付加フィルタ8(8A〜8C)の構成に応じて、様々な構成を採ることが可能なものであるが、具体的には、電動モータやスクリューネジ等を用いて電気的な位置制御が可能に構成される。
【0033】
さらに、本実施形態におけるX線画像診断装置においては、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルを一定に保つ方法として、被検体Pの厚さに応じて、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さを可変することのみで調整を行う領域(付加フィルタ厚変化領域)と、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さを固定してX線条件を変化させることで調整を行う領域(X線条件変化領域)と、さらに、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さとX線条件を固定して電気信号の自動利得制御により調整を行う領域(自動利得制御領域)とを使い分ける制御が行われる。図5に、上記3つの領域と被検体厚及び付加フィルタ厚との関係を示すグラフを示す。同図に示すように、即ち、被検体Pの厚さが薄い場合には、X線条件を固定して、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さを可変することのみで画像のコントラストレベルの調整を行い、被検体Pの厚さが厚く、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さ調整のみでは画像のコントラストレベルの調整を行うことが不可能である場合には、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さを最大限に調整した後、X線条件を変化させる(X線出力を変化させる)ことで画像のコントラストレベルの調整を行う。さらに、被検体Pの厚さが特に厚く、X線条件の調整によっても画像のコントラストレベルの調整を行うことが不可能である場合には、X線条件を最大限に調整した後、自動利得制御を行うこととする。尚、この自動利得制御は、一般にはOGC(オート・ゲイン・コントロール)と称されるものであって、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルを、モニタ7内の回路系のゲイン調整によって制御するものである。
【0034】
このように、本実施形態におけるX線画像診断装置においては、画像のコントラストレベルの調整を目的として、まず始めに付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さ調整が行われ、次にX線管球2から曝射されるX線のX線条件の調整が行われ、さらには自動利得制御が行われるといった方法が採られるので、被検体Pの厚さに影響されることなく、適正なコントラストレベルに制御された画像を得つつ、“軟線”の曝射量を低減させて、被検体のX線被曝量を必要最小限に低減させることができる。
【0035】
以上に述べた領域の使い分け制御も、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルに応じて行われるものである。即ち、画像処理装置5は、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルを検出して、該コントラストレベルが予め当該画像処理装置5において設定されたコントラストレベルに一致するように、まず、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さ調整を行う。詳しくは、付加フィルタ8(8A〜8C)に接続された駆動装置9の駆動制御を行う。この時、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さ調整のみではモニタ7に映し出される画像のコントラストレベルを設定されたコントラストレベルに調整することが不可能であった場合には、画像処理装置5は、さらにX線制御器6を制御して、X線管球2から曝射されるX線のX線出力の調整を行う。さらに、この時、X線出力の調整のみではモニタ7に映し出される画像のコントラストレベルを設定されたコントラストレベルに調整することが不可能であった場合には、画像処理装置5は自動利得制御を行う。
【0036】
尚、付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さを制御する上で、事前に、様々なX線条件下での付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さと画像のコントラストレベルとの関係を把握しておくことが好ましい。即ち、様々なX線条件下での付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さと画像のコントラストレベルとの関係を、予めデータベースとして画像処理装置5内に記憶させておくことで、画像処理装置5による付加フィルタ8(8A〜8C)の厚さ調整を容易なものとすることができる。
【0037】
さらに、本実施形態におけるX線画像診断装置においては、例えば、術者がモニタ7に映し出される画像を確認しながら、臨床部位に応じて、そのコントラストレベルを所望のレベルに調整することを可能とするために、上記付加フィルタ厚変化領域とX線条件変化領域の境界線L(図5参照)を、外部の入力手段によって自由に調整可能に構成するものとする。即ち、同じ被検体Pであっても、例えば臨床部位が、被検体厚が薄い部分から厚い部分に移動する場合には、図6に示すように、X線条件である管電圧を被検体厚の薄い部分に合わせて固定したまま(Vに固定したまま)被検体厚の厚い部分の透視、或いは、撮影を行ってしまうと、被検体厚の厚い部分の透視、或いは、撮影においては、モニタ7に映し出される画像のコントラストレベルが所望のコントラストレベル(適正なコントラストレベル)よりも大きくなってしまい、また、被検体PのX線被曝量も必要以上に増加してしまうため、このような場合には、付加フィルタ8(8A〜8C)の調整可能範囲内であるか否かを問わず、X線条件である管電圧を任意に調整することを可能に構成する。即ち、本例の場合、術者はモニタ7に映し出される画像のコントラストレベルを所望の値に調整するべく、キーボード或いはマウス等の図示省略の入力手段を用いて、X線制御器6において設定される管電圧を被検体厚の厚い部分に合わせてVに設定し直すことになる。
【0038】
このように、特に、臨床部位が、被検体厚が薄い部分から厚い部分に移動する場合には、術者はモニタ7に映し出される画像を確認しながら、臨床部位(被検体厚)に応じて、そのコントラストレベルを所望のレベルに調整するべく、管電圧を高目に調整することができるので、適正なコントラストレベルに制御された画像が得られると共に、“軟線”の曝射量を低減させて、被検体PのX線被曝量を低減させることができる。因みに、同図からも明らかなように、管電圧を高く設定するにつれて、画像のコントラストレベルは小さくなる傾向にある。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係るX線画像診断装置によれば、付加フィルタの厚さ調整を連続的に行うことが可能となっているので、透視中或いは撮影中であっても画像の連続性を損なうことなく、当該付加フィルタの厚さ調整を行うことができる。また、付加フィルタの厚さ調整範囲は広範であるために、被検体厚が特に薄い場合でも十分に対応することができる。
【0040】
また、以上に説明したように、本発明に係るX線画像診断装置によれば、画像のコントラストレベルの調整を目的として、まず始めに付加フィルタの厚さ調整を行い、次に、X線管球から曝射されるX線のX線条件の調整を行って、さらには、自動利得制御を行うといった方法が採られるので、被検体の厚さに応じて最適なコントラストレベルに制御された画像を得つつ、軟線の曝射量を低減させて、被検体のX線被曝量を必要最小限に低減させることができる。
【0041】
さらに、以上に説明したように、本発明に係るX線画像診断装置によれば、術者はモニタに映し出される画像を確認しながら、臨床部位(被検体厚)に応じて、そのコントラストレベルを所望のレベルに調整するべく、管電圧の調整を行うことができるので、被検体厚が薄い部分から厚い部分に変化する場合であっても、過度にコントラストレベルを高く設定することなく、軟線の曝射量を低減させて、被検体のX線被曝量を必要最小限に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線画像診断装置の一実施形態における全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すX線画像診断装置の付加フィルタの具体的構成例を示す図である。
【図3】図2に示す付加フィルタの他例を示す図である。
【図4】図2に示す付加フィルタのさらに他例を示す図である。
【図5】被検体厚と付加フィルタ厚の関係を示す図である。
【図6】被検体厚が薄い場合と厚い場合における管電圧と画像のコントラストレベルの関係を示す図である。
【図7】従来のX線画像診断装置の全体構成を示す図である。
【図8】付加フィルタを具備するX線管球の構成を示す図である。
【図9】付加フィルタが有る場合と無い場合、また、その厚さが薄い場合と厚い場合におけるX線のスペクトラムとX線強度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…寝台
2…X線管球
3…高電圧発生装置
4…検出器
5…画像処理装置
6…X線制御器
7…モニタ
8(8A、8B、8C)…付加フィルタ
9…駆動装置
A…楔形形状を成すフィルタ
B…渦巻き形状を成すフィルタ
C…容器
D…液体金属
E…ポンプ
F…蓋
L…境界線
O…X線曝射源
P…被検体
、V…管電圧

Claims (8)

  1. 自動露出制御を行う制御手段と、線質調整フィルタを具備するX線管球とを備えるX線画像診断装置において、前記線質調整フィルタの厚さを連続的に調整することが可能な調整手段を備えることを特徴とするX線画像診断装置。
  2. 前記調整手段は、画像のコントラストレベルに応じて、前記フィルタの厚さを調整することを特徴とする請求項1記載のX線画像診断装置。
  3. 前記線質調整フィルタは、両者が重なる部分の厚さが均一となるべく形成された、楔形形状を成す一対のフィルタであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線画像診断装置。
  4. 前記線質調整フィルタは、両者が重なる部分の厚さが均一となるべく形成された、楔形形状を成すフィルタ及びこれに対応する傾斜面を有する渦巻き形状を成すフィルタであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線画像診断装置。
  5. 前記線質調整フィルタは、液体金属で満たされた液面高さが調整可能な容器であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線画像診断装置。
  6. 前記制御手段は、前記調整手段による前記フィルタの厚さ調整を優先的に行った上で、さらに必要がある場合には、自動露出制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のX線画像診断装置。
  7. 前記制御手段は、前記自動露出制御を行った上で、さらに必要がある場合には、自動利得制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のX線画像診断装置。
  8. 前記制御手段は、前記X線管球の管電圧を任意に設定することが可能な入力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のX線画像診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006087920A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 General Electric Co <Ge> X線システムにおける適応形x線ビームのシステム及び方法
US9001971B2 (en) 2011-12-02 2015-04-07 Kabushiki Kaisha Toshiba X-ray diagnostic apparatus and X-ray beam limiting control method
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