JP2004006126A - 成形ワイヤハーネスおよび成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】分岐用金型の屈曲する溝において、布線した電線群を溝の中央位置に保持することにより、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層の最外周面で電線が露出することを防ぐ。
【解決手段】多数の電線が集中分岐部から複数に分岐し、これら分岐した電線の端末のコネクタの近傍を除いて成形用金型の溝内に電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、分岐用金型のうち屈曲する溝において、断面矩形状に凹設していると共に、該溝の内周側の側壁より断面V形状の凸部を溝内部に突出させており、上記溝内に挿入される電線群を上記凸部により溝内周面に沿って挿通させず、かつ、断面L形状のプロテクタの側部を溝の外周側と底面に位置するように溝内にセットし、電線群と共に上記プロテクタを樹脂モールドしている。
【選択図】 図3
【解決手段】多数の電線が集中分岐部から複数に分岐し、これら分岐した電線の端末のコネクタの近傍を除いて成形用金型の溝内に電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、分岐用金型のうち屈曲する溝において、断面矩形状に凹設していると共に、該溝の内周側の側壁より断面V形状の凸部を溝内部に突出させており、上記溝内に挿入される電線群を上記凸部により溝内周面に沿って挿通させず、かつ、断面L形状のプロテクタの側部を溝の外周側と底面に位置するように溝内にセットし、電線群と共に上記プロテクタを樹脂モールドしている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、成形ワイヤハーネスおよびその金型構造に関し、詳しくは、自動車に配索するワイヤハーネスの全体を樹脂モールドして成形ワイヤハーネスとしているものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に配索するワイヤハーネスは、ワイヤハーネス組立作業台上で電線布線治具に沿って電線群を布線し、その後、布線された電線群をテープ巻きして結束し、さらに、所要箇所に車体取付用のクランプ等をバンドあるいはテープ巻して取り付けたり、所要の区間にプロテクタを取り付けている。
【0003】
上記のように組み立てられるワイヤハーネスは、作業工数が非常に多くなり、かつ、ワイヤハーネス組立後に作業台から取り外すと分岐する電線の配索方向が規制されず、車体取付用のクランプが各電線を所要の配索位置に保持するため多数取り付けられている。よって、クランプの取付に手数がかかる問題がある。さらに、テープ巻きの場合は位置ずれが生じやすく、また、バンドで取り付ける場合には回転が生じて所要方向の向きにならない問題がある。
さらに、支線の屈曲方向を規制するためにプロテクタを外装する箇所も多く、ワイヤハーネスにプロテクタを取り付ける作業手数もかかっている。
【0004】
上記したテープ巻き結束してワイヤハーネスを組み立てる方法に代えて、特開平6−223645号において、図10に示す成形用金型1の溝2内に電線を布線した後、樹脂でモールドする成形ワイヤハーネスが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記成形用金型によりワイヤハーネスを成形する場合、成形用金型の溝内に電線群を弛ませることなく張った状態で布線している。このように電線群を溝内に布線すると、上記溝の屈曲部において電線群はそれ自体の剛性で曲がりにくいため、溝の外周側に片寄りやすくなる一方、電線の引っ張り力が強いと内周側に片寄りやすく、溝の中央位置に保持しにくくなる。よって、この状態で樹脂モールドしてワイヤハーネスを成形すると、電線が樹脂被覆層の外周面あるいは内周面に露出しやすく、樹脂被覆が外装材の役割を果たせなくなるという問題がある。
【0006】
また、上記ワイヤハーネスのモールド方法は、電線の長さ方向に断続的に樹脂モールドするため、非モールド部において電線がばらけたり、干渉物との間で電線群が損傷することが考えられると共に、非モールド部では電線群が容易に屈曲し配索方向が保持されないため、ワイヤハーネス全体を配索形態に維持できない問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、成形用金型に設けた溝の屈曲部において、布線した電線群を溝の中央位置に保持することにより、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層の外周面で電線が露出することを防ぐと共に、配索形態に維持される成形ワイヤハーネスを提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、電線群の分岐部および該分岐部から夫々分岐する電線を樹脂でモールドして支線を設けて、所要の配索形態に成形されるワイヤハーネスであって、
上記支線の屈曲部のモールド樹脂部は断面四角形状とすると共に、その内周側に間隔をあけて凹部を設け、所要の曲率で屈曲させていることを特徴とする成形ワイヤハーネスを提供している。
【0009】
上記構成とすると、凹部を形成する金型の溝に設けられた突起により、布線した電線群が屈曲部の溝の内周面に沿うことなく、溝の中央位置に保持される。これにより、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層の外周面に電線が露出するのを防ぐことができる。
【0010】
上記支線の屈曲部には樹脂成型品からなる断面L形状のプロテクタをモールドしており、該プロテクタの一側部を外周側に位置させている。
上記構成とすると、樹脂被覆層の外周側から電線が露出することを防ぐことができる。また、電線群と共に上記プロテクタを樹脂モールドしているため、屈曲部の形状保持機能を向上させることができる。
さらに、通常、プロテクタ等はワイヤハーネスに後付けで外装されているが、本発明では、電線群をモールドすると同時にプロテクタも一体的にモールドすることによりプロテクタの取付作業を省略でき、作業工数を低減することもできる。 なお、プロテクタの材質としては、ある程度の強度があり、かつ、安価であるポリプロピレンやポリエチレンなどが好適に用いられる。
【0011】
上記プロテクタには、外周面に位置させる一側部よりモールド樹脂部の外方に突出させた車体係止用ロック部を設けている。
上記構成とすると、支線屈曲位置で車体に支持する別体のクランプを取り付ける必要がなく、部品点数の削減及び作業工数の削減を図ることができる。
【0012】
上記プロテクタには小穴を間隔を開けて穿設しており、該小穴を通してプロテクタの外面側にも上記樹脂をまわり込ませて樹脂被覆層を設けている。
上記構成とすると、金型の溝内全体に樹脂を充填することができ、樹脂被覆層が確実に外装保護材の役割を果たすことができる。また、小穴に樹脂が充填されて、プロテクタと樹脂との結合力を増強させることができる。
さらに、上記小穴を通して樹脂が溝内に拡がるため、充填速度を促進させ作業性を向上することができる。
【0013】
電線群は集中分岐部から所要方向に分岐され、これら分岐された電線の端末には予めコネクタが接続され、該コネクタ接続部の近傍を除いて、電線群は全域に亙って上記樹脂でモールドされ、
上記分岐した電線を樹脂でモールドしている支線の屈曲部に上記プロテクタがモールドされ、かつ、上記支線の他の部分は断面円形とされ、その外周面に螺旋状の凹凸部あるいは交互に凹凸が設けられたコルゲート形状とされ、さらに、
上記集中分岐部および上記支線の屈曲部は未発泡樹脂でモールドしていると共に他の部分は発泡樹脂でモールドしている。
【0014】
上記構成とすると、集中分岐部及び屈曲部の強度を確保できると共に、金型内に布線された電線群はコネクタ接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線の分岐方向を正しく維持することできる。
また、上記電線群のうち、形状保持力を要する集中分岐部および屈曲部は未発泡樹脂でモールドしているのに対して、所定の位置に配索する屈曲部以外の支線は発泡樹脂でモールドしているため、十分な屈曲性を有し容易に配索することができる。
【0015】
また、本発明は、上記成形ワイヤハーネスの成形用金型であって、
上下金型には、上記電線群を屈曲させて挿入する溝を断面矩形状に凹設していると共に、該溝の内周側の側壁より断面V形状の凸部を溝内部に突出させており、該凸部により上記断面四角形状に成形されるモールド樹脂部の内周側に凹部を形成していると共に、上記溝内に挿入される電線群を上記凸部により溝内周面に沿って挿通させずに溝中心に位置させるようにしている成形用金型も提供している。
【0016】
上記金型であると、金型の溝に設けられた凸部により、布線した電線群が屈曲部の溝の内周面に沿うことなく、溝の中央位置に保持される。これにより、モールド樹脂部の最外周面で電線が露出するのを防ぐことができる。
また、上記溝の内周側の側壁に設けた凸部は断面V形状としているため、モールド樹脂部の内周側の凹部での電線の露出面積を小さくすることができる。
【0017】
上記溝内にセットする上記断面L形状のプロテクタは、その一側部を溝の外周側に位置させると共に、他側部を下型の溝の底面に位置させ、その先端を上記凸部に当接させて位置決めしている。
上記構成とすると、プロテクタを溝内に装着後、電線を布線する際にプロテクタが位置ズレを起こすことがないため、電線布線作業の作業性を向上することができる。
【0018】
上記下型に設ける上記凸部は、その上面を面取りしてテーパ形状とし、上記プロテクタが下型内にセットし易い形状としている。
下型の溝の底面に位置するプロテクタの先端は上記凸部に当接するため、凸部が上端まで同形状で設けられているとプロテクタを嵌め込みにくくなる。そのため、凸部の上面をテーパ形状とすることにより、プロテクタを嵌め込み易い形状としている。これにより、プロテクタ嵌め込み作業の作業性を向上することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、電線w群を樹脂モールドして所要の配索形状にワイヤハーネス11を成形するための金型10を示す。
金型10は、仕様変更等にもフレキシブルに対応できるように分割されており、ワイヤハーネス11の集中分岐部11aを成形するための共用金型10aに、支線11b〜11hやグロメット部11nを成形するための分岐用金型10b〜10nを組み合わせて用いている。
上記集中分岐部11aでは電線群Wの集中分岐部が樹脂モールドされており、上記支線11b〜11hでは上記集中分岐部から分岐した電線群Wが樹脂モールドされている。
【0020】
共用金型(下型)10aの溝10a−1にプロテクタ(図示せず)を配置すると共に、所要の分岐用金型(下型)10i、10mの溝10i−1、10m−1にL字プロテクタ30、オフセットクランプ13、14を配置し、金型10の溝10a−1〜10n−1に端末にコネクタCが接続された電線群Wを布線した後、樹脂を充填し上型(図示せず)で型締めしてモールドすることにより、図2に示すワイヤハーネス11が成形される。
【0021】
金型10内に布線された電線群WはコネクタC接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線11b〜11hの分岐方向を正しく維持することできる。
【0022】
分岐用金型10b〜10g、10h、10j、10lの溝10b−1〜10g−1、10h−1、10j−1、10l−1の内周面は、螺旋状に切り欠いてあり、樹脂流れの促進を図ると共に、成形後の支線11b〜11hの屈曲性を確保し、かつ、電線Wが外周面で露出しないようにしている。
【0023】
また、後述する支線11fの屈曲箇所11f−2には、配索時の屈曲角度に合わせた形状であるL字プロテクタ30をモールドすることで屈曲位置が配索形態に保持されると共に、L字プロテクタ30にはロック部33も一体的に設けているので、別途、クランプを取り付ける必要がない。
【0024】
上記支線11hの一部11h−1は断面四角形状として強度確保および経路規制を図っていると共に、その両端にはオフセット・クランプ13、14をモールドすることで、クランプ13、14の位置ズレ防止および取付工数の削減を図っている。
【0025】
次に、成形ワイヤハーネス11の支線11fについて詳述する。
図3に示すように、成形ワイヤハーネス11の支線11fは中間部分に屈曲部11f−2を備え、所要の曲率で屈曲させている。この屈曲部11f−2では、モールド樹脂部20を断面四角形状とすると共に、その内周面20aに間隔をあけて断面V形状の凹部20cを設けている。屈曲部11f−2の外周面20bからは樹脂成型品からなる車体係止用ロック部33が突出している。
また、屈曲部11f−2の両側の直線部11fー1、11f−3は断面円形状とし、その外周面に螺旋状の凹凸部を設けている。
上記屈曲部11f−2は未発泡樹脂でモールドしている一方、直線部11f−1、11f−3は発泡樹脂でモールドしている。
【0026】
図4に示すように、屈曲部11f−2を成形する分岐用金型10iの溝10i−1は断面四角形状であり、所要の曲率で屈曲している。分岐用金型10iの両端からは直線状の分岐用金型10f、10jが延在している。
上記分岐用金型10iの溝10i−1は底面10i−1aを平滑面とし、内周面10i−1bにはV形状の凸部10i−1dを一定のピッチで設けている。該凸部10i−1dは、図4(B)に示すように、その上面40を面取りしてテーパ形状としている。また、外周面10i−1cからは、プロテクタ20から突出する車体係止用ロック部33を挿入するためのロック部挿入溝10i−1eが延出している。
【0027】
上記プロテクタ30は、図5に示すように、分岐用金型10iの溝10i−1と同じ曲率で屈曲する側壁部31から底部32が側壁部31に対して垂直方向に突出した断面L形状としている。側壁部31はプロテクタ30を溝10i−1に嵌め込んだ状態で、溝10i−1の外周面10i−1cに沿う形状としている。また、上記底部32には小穴32aを間隔をあけて穿設している。
また、側壁部31からはプロテクタ30の外周側に向けて車体係止用ロック部33が突出している。該車体係止用ロック部33は、2つの接続片33aを介してプロテクタ30と一体となっており、ボックスの一端を開口33cとしており、ボックス内にボデーBの被係止爪50に係止する係止爪33bを設けている。
【0028】
次に、上記金型を用いたワイヤハーネス11の成形方法について説明する。
まず、図7に示すように、上記分岐用金型(下型)10iの溝10i−1にプロテクタ30の側壁部31を溝10i−1の外周面10i−1cに沿わせ、底部32を底面10i−1aに位置するようにプロテクタ30を挿入すると共に、車体係止用ロック部33をロック部挿入溝10i−1eに挿入する。このとき、底部32の先端が溝10i−1の内周面10i−1bから突出する凸部10i−1dに当接して位置決めされている。
【0029】
次いで、図8に示すように、分岐用金型(下型)10f、10i、10jの溝10f−1、10i−1、10j−1に電線群Wを布線する。溝10i−1では内周面10i−1bから突出する凸部10i−1dを電線群Wに当接させて、電線が内周面10i−1bには沿わないように布線している。
次いで、溝10f−1、10i−1、10j−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填していく。溝10i−1に未発泡樹脂のウレタンを充填する一方、溝10f−1、10j−1にはウレタンと空気を1:1で混合した発泡樹脂の発泡ウレタンを充填している。
【0030】
上記樹脂を溝10f−1、10i−1、10j−1にすべて充填した後に、分岐用金型(上型)を分岐用金型(下型)10f、10i、10jに被せて型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、分岐用金型(下型)10f、10i、10jと分岐用金型(上型)を離型することで図9に示すような、電線wがモールド樹脂部20に埋設されたワイヤハーネス11が成形される。
【0031】
分岐用金型10iの屈曲している溝10i−1では、内周面10i−1bから突出する凸部10i−1dにより、布線した電線群Wが内周面10i−1bに沿うことなく溝10i−1の中央位置に保持されると共に、底面10i−1a及び外周面10i−1cにはプロテクタ30を位置させているため、樹脂モールド部20の外周面で電線wが露出するのを防ぐことができる。また、その他の支線においても、凸部により電線群を中央位置に保持しているので、成形ワイヤハーネス11の樹脂被覆層の最外周面で電線が露出するのを防ぐことができる。
【0032】
また、電線群Wをモールドすると同時にプロテクタ30も一体的にモールドすることによりプロテクタ30の取付作業を省略しているので、作業工数を低減することもできる。さらに、上記プロテクタ30には車体係止用ロック部33を一体成形しており、電線wと共に樹脂モールドしているため、ワイヤハーネス成形後にクランプを取り付ける必要がなく、部品点数の削減及び作業工程の削減を図ることができる。
【0033】
また、支線11fの屈曲部11f−2は電線wと共に樹脂成型品からなるプロテクタ30を樹脂モールドしており、かつモールド樹脂として弾性変形しにくい未発泡樹脂を用いているため、屈曲部の形状を保持することができる。これに対し、その他の支線は発泡樹脂により成形しているため、弾性により屈曲が可能で、配索作業を容易にすることができる。
【0034】
さらに、プロテクタ30に設けた小穴32aを通してプロテクタ30の外面側にも樹脂をまわり込ませるため、分岐用金型10iの溝10i−1内全体に樹脂を充填することができ、樹脂モールド部20が確実に外装保護材の役割を果たすことができる。また、小穴32aに樹脂が充填されて、プロテクタ30と樹脂との結合力を増強させることができる。
また、上記小穴32aを通して樹脂が溝10i−1内に拡がるため、充填速度を促進させ作業性を向上することができる。
【0035】
また、分岐用金型10iの溝10i−1の内周面10i−1bから突出する凸部10i−1dの上面40をテーパ形状としているため、プロテクタ30の嵌め込み作業の作業性を向上することができ、さらに、分岐用金型10iの溝10i−1の底面10i−1aに位置させたプロテクタ30の底部32先端を上記凸部10i−1dに当接させて位置決めしているため、プロテクタ30を溝内に装着後、電線wを布線する際に位置ずれを起こすことがなく、電線布線作業の作業性も向上することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、分岐用金型の溝内に布線する電線を溝の中央位置に保持することが困難な屈曲部において、屈曲部の内周面から突出する凸部により、布線した電線群が屈曲部の溝の内周面に露出させることなく溝の中央位置に保持されると共に、底面及び外周面にはプロテクタを位置させているため成形ワイヤハーネスの樹脂モールド部の外周側で電線が露出するのを防ぐことができる。
【0037】
また、電線群をモールドすると同時にプロテクタも一体的にモールドすることによりプロテクタの取付作業を省略しているので、作業工数を低減することもできる。さらに、上記プロテクタには車体係止用ロック部を一体成形しており、電線と共に樹脂モールドしているため、ワイヤハーネス成形後にクランプを取り付ける必要がなく、部品点数の削減及び作業工数の削減を図ることができる。
【0038】
上記プロテクタには小穴を間隔を開けて穿設して、この小穴を通してプロテクタの外面側にも樹脂をまわり込ませて樹脂被覆層を設けているため、金型の溝内全体に樹脂を充填することができ、樹脂被覆層が確実に外装保護材の役割を果たすことができる。また、小穴に樹脂が充填されて、プロテクタと樹脂との結合力を増強させることができる。さらに、上記小穴を通して樹脂が溝内に拡がるため、充填速度を促進させ作業性を向上することができる。
【0039】
また、上記下型に設ける上記凸部は、その上面を面取りしてテーパ形状とし、上記プロテクタが下型内にセットし易い形状としており、かつ、プロテクタの底部の先端を上記凸部に当接させて位置決めしているため、位置ズレをおこすことがなく、プロテクタ装着作業及び電線布線作業の作業性を向上することができる。
【0040】
また、電線群はコネクタ接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているため、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線の分岐方向を正しく維持することできる。さらに、形状維持が要求される集中分岐部及び屈曲部は未発泡樹脂でモールドすることで強度が確保できる一方、屈曲させて配索する必要のある支線部分は発泡樹脂でモールドすることで柔軟性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の金型(下型)の上面図である。
【図2】成形ワイヤハーネスの上面図である。
【図3】屈曲する支線の要部拡大図である。
【図4】(A)は分岐用金型の要部上面図であり、(B)は(A)のI−I線断面図である。
【図5】プロテクタの上方斜視図である。
【図6】ワイヤハーネスを車体のボデーに取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】ワイヤハーネス成形手順の第1工程を示す要部上面図である。
【図8】ワイヤハーネス成形手順の第2工程を示す要部上面図である。
【図9】成形ワイヤハーネスの要部上面図である。
【図10】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
10 金型
10a 共用金型
10a〜n−1 溝
10b〜n 分岐用金型
10i−1b 内周面
10i−1d 凸部
10i−1e ロック部用溝
11 成形ワイヤハーネス
11a 集中分岐部
11b〜h 支線
11f−2 屈曲部
11n グロメット部
13、14 オフセットクランプ
20 樹脂モールド部
20c 凹部
30 プロテクタ
31 側壁部
32 底部
32a 小穴
33 車体係止用ロック部
33b ロック爪
W 電線群
【発明が属する技術分野】
本発明は、成形ワイヤハーネスおよびその金型構造に関し、詳しくは、自動車に配索するワイヤハーネスの全体を樹脂モールドして成形ワイヤハーネスとしているものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に配索するワイヤハーネスは、ワイヤハーネス組立作業台上で電線布線治具に沿って電線群を布線し、その後、布線された電線群をテープ巻きして結束し、さらに、所要箇所に車体取付用のクランプ等をバンドあるいはテープ巻して取り付けたり、所要の区間にプロテクタを取り付けている。
【0003】
上記のように組み立てられるワイヤハーネスは、作業工数が非常に多くなり、かつ、ワイヤハーネス組立後に作業台から取り外すと分岐する電線の配索方向が規制されず、車体取付用のクランプが各電線を所要の配索位置に保持するため多数取り付けられている。よって、クランプの取付に手数がかかる問題がある。さらに、テープ巻きの場合は位置ずれが生じやすく、また、バンドで取り付ける場合には回転が生じて所要方向の向きにならない問題がある。
さらに、支線の屈曲方向を規制するためにプロテクタを外装する箇所も多く、ワイヤハーネスにプロテクタを取り付ける作業手数もかかっている。
【0004】
上記したテープ巻き結束してワイヤハーネスを組み立てる方法に代えて、特開平6−223645号において、図10に示す成形用金型1の溝2内に電線を布線した後、樹脂でモールドする成形ワイヤハーネスが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記成形用金型によりワイヤハーネスを成形する場合、成形用金型の溝内に電線群を弛ませることなく張った状態で布線している。このように電線群を溝内に布線すると、上記溝の屈曲部において電線群はそれ自体の剛性で曲がりにくいため、溝の外周側に片寄りやすくなる一方、電線の引っ張り力が強いと内周側に片寄りやすく、溝の中央位置に保持しにくくなる。よって、この状態で樹脂モールドしてワイヤハーネスを成形すると、電線が樹脂被覆層の外周面あるいは内周面に露出しやすく、樹脂被覆が外装材の役割を果たせなくなるという問題がある。
【0006】
また、上記ワイヤハーネスのモールド方法は、電線の長さ方向に断続的に樹脂モールドするため、非モールド部において電線がばらけたり、干渉物との間で電線群が損傷することが考えられると共に、非モールド部では電線群が容易に屈曲し配索方向が保持されないため、ワイヤハーネス全体を配索形態に維持できない問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、成形用金型に設けた溝の屈曲部において、布線した電線群を溝の中央位置に保持することにより、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層の外周面で電線が露出することを防ぐと共に、配索形態に維持される成形ワイヤハーネスを提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、電線群の分岐部および該分岐部から夫々分岐する電線を樹脂でモールドして支線を設けて、所要の配索形態に成形されるワイヤハーネスであって、
上記支線の屈曲部のモールド樹脂部は断面四角形状とすると共に、その内周側に間隔をあけて凹部を設け、所要の曲率で屈曲させていることを特徴とする成形ワイヤハーネスを提供している。
【0009】
上記構成とすると、凹部を形成する金型の溝に設けられた突起により、布線した電線群が屈曲部の溝の内周面に沿うことなく、溝の中央位置に保持される。これにより、成形ワイヤハーネスの樹脂被覆層の外周面に電線が露出するのを防ぐことができる。
【0010】
上記支線の屈曲部には樹脂成型品からなる断面L形状のプロテクタをモールドしており、該プロテクタの一側部を外周側に位置させている。
上記構成とすると、樹脂被覆層の外周側から電線が露出することを防ぐことができる。また、電線群と共に上記プロテクタを樹脂モールドしているため、屈曲部の形状保持機能を向上させることができる。
さらに、通常、プロテクタ等はワイヤハーネスに後付けで外装されているが、本発明では、電線群をモールドすると同時にプロテクタも一体的にモールドすることによりプロテクタの取付作業を省略でき、作業工数を低減することもできる。 なお、プロテクタの材質としては、ある程度の強度があり、かつ、安価であるポリプロピレンやポリエチレンなどが好適に用いられる。
【0011】
上記プロテクタには、外周面に位置させる一側部よりモールド樹脂部の外方に突出させた車体係止用ロック部を設けている。
上記構成とすると、支線屈曲位置で車体に支持する別体のクランプを取り付ける必要がなく、部品点数の削減及び作業工数の削減を図ることができる。
【0012】
上記プロテクタには小穴を間隔を開けて穿設しており、該小穴を通してプロテクタの外面側にも上記樹脂をまわり込ませて樹脂被覆層を設けている。
上記構成とすると、金型の溝内全体に樹脂を充填することができ、樹脂被覆層が確実に外装保護材の役割を果たすことができる。また、小穴に樹脂が充填されて、プロテクタと樹脂との結合力を増強させることができる。
さらに、上記小穴を通して樹脂が溝内に拡がるため、充填速度を促進させ作業性を向上することができる。
【0013】
電線群は集中分岐部から所要方向に分岐され、これら分岐された電線の端末には予めコネクタが接続され、該コネクタ接続部の近傍を除いて、電線群は全域に亙って上記樹脂でモールドされ、
上記分岐した電線を樹脂でモールドしている支線の屈曲部に上記プロテクタがモールドされ、かつ、上記支線の他の部分は断面円形とされ、その外周面に螺旋状の凹凸部あるいは交互に凹凸が設けられたコルゲート形状とされ、さらに、
上記集中分岐部および上記支線の屈曲部は未発泡樹脂でモールドしていると共に他の部分は発泡樹脂でモールドしている。
【0014】
上記構成とすると、集中分岐部及び屈曲部の強度を確保できると共に、金型内に布線された電線群はコネクタ接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線の分岐方向を正しく維持することできる。
また、上記電線群のうち、形状保持力を要する集中分岐部および屈曲部は未発泡樹脂でモールドしているのに対して、所定の位置に配索する屈曲部以外の支線は発泡樹脂でモールドしているため、十分な屈曲性を有し容易に配索することができる。
【0015】
また、本発明は、上記成形ワイヤハーネスの成形用金型であって、
上下金型には、上記電線群を屈曲させて挿入する溝を断面矩形状に凹設していると共に、該溝の内周側の側壁より断面V形状の凸部を溝内部に突出させており、該凸部により上記断面四角形状に成形されるモールド樹脂部の内周側に凹部を形成していると共に、上記溝内に挿入される電線群を上記凸部により溝内周面に沿って挿通させずに溝中心に位置させるようにしている成形用金型も提供している。
【0016】
上記金型であると、金型の溝に設けられた凸部により、布線した電線群が屈曲部の溝の内周面に沿うことなく、溝の中央位置に保持される。これにより、モールド樹脂部の最外周面で電線が露出するのを防ぐことができる。
また、上記溝の内周側の側壁に設けた凸部は断面V形状としているため、モールド樹脂部の内周側の凹部での電線の露出面積を小さくすることができる。
【0017】
上記溝内にセットする上記断面L形状のプロテクタは、その一側部を溝の外周側に位置させると共に、他側部を下型の溝の底面に位置させ、その先端を上記凸部に当接させて位置決めしている。
上記構成とすると、プロテクタを溝内に装着後、電線を布線する際にプロテクタが位置ズレを起こすことがないため、電線布線作業の作業性を向上することができる。
【0018】
上記下型に設ける上記凸部は、その上面を面取りしてテーパ形状とし、上記プロテクタが下型内にセットし易い形状としている。
下型の溝の底面に位置するプロテクタの先端は上記凸部に当接するため、凸部が上端まで同形状で設けられているとプロテクタを嵌め込みにくくなる。そのため、凸部の上面をテーパ形状とすることにより、プロテクタを嵌め込み易い形状としている。これにより、プロテクタ嵌め込み作業の作業性を向上することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、電線w群を樹脂モールドして所要の配索形状にワイヤハーネス11を成形するための金型10を示す。
金型10は、仕様変更等にもフレキシブルに対応できるように分割されており、ワイヤハーネス11の集中分岐部11aを成形するための共用金型10aに、支線11b〜11hやグロメット部11nを成形するための分岐用金型10b〜10nを組み合わせて用いている。
上記集中分岐部11aでは電線群Wの集中分岐部が樹脂モールドされており、上記支線11b〜11hでは上記集中分岐部から分岐した電線群Wが樹脂モールドされている。
【0020】
共用金型(下型)10aの溝10a−1にプロテクタ(図示せず)を配置すると共に、所要の分岐用金型(下型)10i、10mの溝10i−1、10m−1にL字プロテクタ30、オフセットクランプ13、14を配置し、金型10の溝10a−1〜10n−1に端末にコネクタCが接続された電線群Wを布線した後、樹脂を充填し上型(図示せず)で型締めしてモールドすることにより、図2に示すワイヤハーネス11が成形される。
【0021】
金型10内に布線された電線群WはコネクタC接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線11b〜11hの分岐方向を正しく維持することできる。
【0022】
分岐用金型10b〜10g、10h、10j、10lの溝10b−1〜10g−1、10h−1、10j−1、10l−1の内周面は、螺旋状に切り欠いてあり、樹脂流れの促進を図ると共に、成形後の支線11b〜11hの屈曲性を確保し、かつ、電線Wが外周面で露出しないようにしている。
【0023】
また、後述する支線11fの屈曲箇所11f−2には、配索時の屈曲角度に合わせた形状であるL字プロテクタ30をモールドすることで屈曲位置が配索形態に保持されると共に、L字プロテクタ30にはロック部33も一体的に設けているので、別途、クランプを取り付ける必要がない。
【0024】
上記支線11hの一部11h−1は断面四角形状として強度確保および経路規制を図っていると共に、その両端にはオフセット・クランプ13、14をモールドすることで、クランプ13、14の位置ズレ防止および取付工数の削減を図っている。
【0025】
次に、成形ワイヤハーネス11の支線11fについて詳述する。
図3に示すように、成形ワイヤハーネス11の支線11fは中間部分に屈曲部11f−2を備え、所要の曲率で屈曲させている。この屈曲部11f−2では、モールド樹脂部20を断面四角形状とすると共に、その内周面20aに間隔をあけて断面V形状の凹部20cを設けている。屈曲部11f−2の外周面20bからは樹脂成型品からなる車体係止用ロック部33が突出している。
また、屈曲部11f−2の両側の直線部11fー1、11f−3は断面円形状とし、その外周面に螺旋状の凹凸部を設けている。
上記屈曲部11f−2は未発泡樹脂でモールドしている一方、直線部11f−1、11f−3は発泡樹脂でモールドしている。
【0026】
図4に示すように、屈曲部11f−2を成形する分岐用金型10iの溝10i−1は断面四角形状であり、所要の曲率で屈曲している。分岐用金型10iの両端からは直線状の分岐用金型10f、10jが延在している。
上記分岐用金型10iの溝10i−1は底面10i−1aを平滑面とし、内周面10i−1bにはV形状の凸部10i−1dを一定のピッチで設けている。該凸部10i−1dは、図4(B)に示すように、その上面40を面取りしてテーパ形状としている。また、外周面10i−1cからは、プロテクタ20から突出する車体係止用ロック部33を挿入するためのロック部挿入溝10i−1eが延出している。
【0027】
上記プロテクタ30は、図5に示すように、分岐用金型10iの溝10i−1と同じ曲率で屈曲する側壁部31から底部32が側壁部31に対して垂直方向に突出した断面L形状としている。側壁部31はプロテクタ30を溝10i−1に嵌め込んだ状態で、溝10i−1の外周面10i−1cに沿う形状としている。また、上記底部32には小穴32aを間隔をあけて穿設している。
また、側壁部31からはプロテクタ30の外周側に向けて車体係止用ロック部33が突出している。該車体係止用ロック部33は、2つの接続片33aを介してプロテクタ30と一体となっており、ボックスの一端を開口33cとしており、ボックス内にボデーBの被係止爪50に係止する係止爪33bを設けている。
【0028】
次に、上記金型を用いたワイヤハーネス11の成形方法について説明する。
まず、図7に示すように、上記分岐用金型(下型)10iの溝10i−1にプロテクタ30の側壁部31を溝10i−1の外周面10i−1cに沿わせ、底部32を底面10i−1aに位置するようにプロテクタ30を挿入すると共に、車体係止用ロック部33をロック部挿入溝10i−1eに挿入する。このとき、底部32の先端が溝10i−1の内周面10i−1bから突出する凸部10i−1dに当接して位置決めされている。
【0029】
次いで、図8に示すように、分岐用金型(下型)10f、10i、10jの溝10f−1、10i−1、10j−1に電線群Wを布線する。溝10i−1では内周面10i−1bから突出する凸部10i−1dを電線群Wに当接させて、電線が内周面10i−1bには沿わないように布線している。
次いで、溝10f−1、10i−1、10j−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填していく。溝10i−1に未発泡樹脂のウレタンを充填する一方、溝10f−1、10j−1にはウレタンと空気を1:1で混合した発泡樹脂の発泡ウレタンを充填している。
【0030】
上記樹脂を溝10f−1、10i−1、10j−1にすべて充填した後に、分岐用金型(上型)を分岐用金型(下型)10f、10i、10jに被せて型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、分岐用金型(下型)10f、10i、10jと分岐用金型(上型)を離型することで図9に示すような、電線wがモールド樹脂部20に埋設されたワイヤハーネス11が成形される。
【0031】
分岐用金型10iの屈曲している溝10i−1では、内周面10i−1bから突出する凸部10i−1dにより、布線した電線群Wが内周面10i−1bに沿うことなく溝10i−1の中央位置に保持されると共に、底面10i−1a及び外周面10i−1cにはプロテクタ30を位置させているため、樹脂モールド部20の外周面で電線wが露出するのを防ぐことができる。また、その他の支線においても、凸部により電線群を中央位置に保持しているので、成形ワイヤハーネス11の樹脂被覆層の最外周面で電線が露出するのを防ぐことができる。
【0032】
また、電線群Wをモールドすると同時にプロテクタ30も一体的にモールドすることによりプロテクタ30の取付作業を省略しているので、作業工数を低減することもできる。さらに、上記プロテクタ30には車体係止用ロック部33を一体成形しており、電線wと共に樹脂モールドしているため、ワイヤハーネス成形後にクランプを取り付ける必要がなく、部品点数の削減及び作業工程の削減を図ることができる。
【0033】
また、支線11fの屈曲部11f−2は電線wと共に樹脂成型品からなるプロテクタ30を樹脂モールドしており、かつモールド樹脂として弾性変形しにくい未発泡樹脂を用いているため、屈曲部の形状を保持することができる。これに対し、その他の支線は発泡樹脂により成形しているため、弾性により屈曲が可能で、配索作業を容易にすることができる。
【0034】
さらに、プロテクタ30に設けた小穴32aを通してプロテクタ30の外面側にも樹脂をまわり込ませるため、分岐用金型10iの溝10i−1内全体に樹脂を充填することができ、樹脂モールド部20が確実に外装保護材の役割を果たすことができる。また、小穴32aに樹脂が充填されて、プロテクタ30と樹脂との結合力を増強させることができる。
また、上記小穴32aを通して樹脂が溝10i−1内に拡がるため、充填速度を促進させ作業性を向上することができる。
【0035】
また、分岐用金型10iの溝10i−1の内周面10i−1bから突出する凸部10i−1dの上面40をテーパ形状としているため、プロテクタ30の嵌め込み作業の作業性を向上することができ、さらに、分岐用金型10iの溝10i−1の底面10i−1aに位置させたプロテクタ30の底部32先端を上記凸部10i−1dに当接させて位置決めしているため、プロテクタ30を溝内に装着後、電線wを布線する際に位置ずれを起こすことがなく、電線布線作業の作業性も向上することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、分岐用金型の溝内に布線する電線を溝の中央位置に保持することが困難な屈曲部において、屈曲部の内周面から突出する凸部により、布線した電線群が屈曲部の溝の内周面に露出させることなく溝の中央位置に保持されると共に、底面及び外周面にはプロテクタを位置させているため成形ワイヤハーネスの樹脂モールド部の外周側で電線が露出するのを防ぐことができる。
【0037】
また、電線群をモールドすると同時にプロテクタも一体的にモールドすることによりプロテクタの取付作業を省略しているので、作業工数を低減することもできる。さらに、上記プロテクタには車体係止用ロック部を一体成形しており、電線と共に樹脂モールドしているため、ワイヤハーネス成形後にクランプを取り付ける必要がなく、部品点数の削減及び作業工数の削減を図ることができる。
【0038】
上記プロテクタには小穴を間隔を開けて穿設して、この小穴を通してプロテクタの外面側にも樹脂をまわり込ませて樹脂被覆層を設けているため、金型の溝内全体に樹脂を充填することができ、樹脂被覆層が確実に外装保護材の役割を果たすことができる。また、小穴に樹脂が充填されて、プロテクタと樹脂との結合力を増強させることができる。さらに、上記小穴を通して樹脂が溝内に拡がるため、充填速度を促進させ作業性を向上することができる。
【0039】
また、上記下型に設ける上記凸部は、その上面を面取りしてテーパ形状とし、上記プロテクタが下型内にセットし易い形状としており、かつ、プロテクタの底部の先端を上記凸部に当接させて位置決めしているため、位置ズレをおこすことがなく、プロテクタ装着作業及び電線布線作業の作業性を向上することができる。
【0040】
また、電線群はコネクタ接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているため、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線の分岐方向を正しく維持することできる。さらに、形状維持が要求される集中分岐部及び屈曲部は未発泡樹脂でモールドすることで強度が確保できる一方、屈曲させて配索する必要のある支線部分は発泡樹脂でモールドすることで柔軟性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の金型(下型)の上面図である。
【図2】成形ワイヤハーネスの上面図である。
【図3】屈曲する支線の要部拡大図である。
【図4】(A)は分岐用金型の要部上面図であり、(B)は(A)のI−I線断面図である。
【図5】プロテクタの上方斜視図である。
【図6】ワイヤハーネスを車体のボデーに取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】ワイヤハーネス成形手順の第1工程を示す要部上面図である。
【図8】ワイヤハーネス成形手順の第2工程を示す要部上面図である。
【図9】成形ワイヤハーネスの要部上面図である。
【図10】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
10 金型
10a 共用金型
10a〜n−1 溝
10b〜n 分岐用金型
10i−1b 内周面
10i−1d 凸部
10i−1e ロック部用溝
11 成形ワイヤハーネス
11a 集中分岐部
11b〜h 支線
11f−2 屈曲部
11n グロメット部
13、14 オフセットクランプ
20 樹脂モールド部
20c 凹部
30 プロテクタ
31 側壁部
32 底部
32a 小穴
33 車体係止用ロック部
33b ロック爪
W 電線群
Claims (8)
- 電線群の分岐部および該分岐部から夫々分岐する電線を樹脂でモールドして支線を設け、所要の配索形態に成形されるワイヤハーネスであって、
上記支線の屈曲部のモールド樹脂部は断面四角形状とすると共に、その内周側に間隔をあけて凹部を設け、所要の曲率で屈曲させていることを特徴とする成形ワイヤハーネス。 - 上記屈曲部には樹脂成型品からなる断面L形状のプロテクタをモールドしており、該プロテクタの一側部を外周側に位置させている請求項1に記載の成形ワイヤハーネス。
- 上記プロテクタには、外周面に位置させる一側部よりモールド樹脂部の外方に突出させた車体係止用ロック部を設けている請求項2に記載の成形ワイヤハーネス。
- 上記プロテクタには小穴を間隔を開けて穿設しており、該小穴を通してプロテクタの外面側にも上記樹脂をまわり込ませて樹脂被覆層を設けている請求項2に記載の成形ワイヤハーネス。
- 電線群は集中分岐部から所要方向に分岐され、これら分岐された電線の端末には予めコネクタが接続され、該コネクタ接続部の近傍を除いて、電線群は全域に亙って上記樹脂でモールドされ、
上記分岐した電線を樹脂でモールドしている支線の屈曲部に上記プロテクタがモールドされ、かつ、上記支線の他の部分は断面円形とされ、その外周面に螺旋状の凹凸部あるいは交互に凹凸が設けられたコルゲート形状とされ、さらに、
上記集中分岐部および上記支線の屈曲部は未発泡樹脂でモールドしていると共に他の部分は発泡樹脂でモールドしている請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の成形ワイヤハーネス。 - 請求項1乃至請求項5にのいずれか1項に記載の成形ワイヤハーネスの成形用金型であって、
上下金型には、上記電線群を屈曲させて挿入する溝を断面矩形状に凹設していると共に、該溝の内周側の側壁より断面V形状の凸部を溝内部に突出させており、該凸部により上記断面四角形状に成形されるモールド樹脂部の内周側に凹部を形成していると共に、上記溝内に挿入される電線群を上記凸部により溝内周面に沿って挿通させずに溝中心に位置させるようにしている成形用金型。 - 上記溝内にセットする上記断面L形状のプロテクタは、その一側部を溝の外周側に位置させると共に、他側部を下型の溝の底面に位置させ、その先端を上記凸部に当接させて位置決めしている請求項5に記載の成形用金型。
- 上記下型に設ける上記凸部は、その上面を面取りしてテーパ形状とし、上記プロテクタが下型内にセットし易い形状としている請求項6に記載の成形用金型。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008031792A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Asmo Co Ltd | 挟み込み検出装置及び感圧センサの製造方法 |
WO2018061834A1 (ja) * | 2016-09-28 | 2018-04-05 | 住友電装株式会社 | インナ部品及び導電路 |
CN111347617A (zh) * | 2020-04-08 | 2020-06-30 | 博硕科技(江西)有限公司 | 电源线自动成型系统 |
US10985542B2 (en) | 2017-03-22 | 2021-04-20 | Sumitomo Wiring Systems, Ltd. | Wire protecting protector and protector-equipped wire |
-
2002
- 2002-05-31 JP JP2002160110A patent/JP2004006126A/ja not_active Withdrawn
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