JP2004006129A - 成形ワイヤハーネスおよび成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】電線群をモールドする樹脂を改良して、ワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせる。
【解決手段】多数の電線が集中分岐部から複数分岐し、これら分岐する電線の端末のコネクタの近傍を除いて成形用金型の溝内に電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、成形用金型に設けた溝のうち、硬化後に剛性を有する樹脂(未発泡ウレタン等)の充填部と硬化後に弾性を有する樹脂(発泡ウレタン等)の充填部の境界の溝幅を狭くして隘路部とし、所定の領域の溝内に充填された上記樹脂が他の領域の溝内に流れ込まないようにすることで、ワイヤハーネスの集中分岐部は硬化後に剛性を有する樹脂でモールドして所要の硬度および強度を持たせている一方、分岐する電線は硬化後に弾性を有する樹脂でモールドして曲げ可能なワイヤハーネスとしている。
【選択図】 図4
【解決手段】多数の電線が集中分岐部から複数分岐し、これら分岐する電線の端末のコネクタの近傍を除いて成形用金型の溝内に電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、成形用金型に設けた溝のうち、硬化後に剛性を有する樹脂(未発泡ウレタン等)の充填部と硬化後に弾性を有する樹脂(発泡ウレタン等)の充填部の境界の溝幅を狭くして隘路部とし、所定の領域の溝内に充填された上記樹脂が他の領域の溝内に流れ込まないようにすることで、ワイヤハーネスの集中分岐部は硬化後に剛性を有する樹脂でモールドして所要の硬度および強度を持たせている一方、分岐する電線は硬化後に弾性を有する樹脂でモールドして曲げ可能なワイヤハーネスとしている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、成形ワイヤハーネスおよびその金型構造に関し、詳しくは、自動車に配索するワイヤハーネスを樹脂モールドして成形ワイヤハーネスとしているものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に配索するワイヤハーネスは、ワイヤハーネス組立作業台上で電線布線治具に沿って電線群を布線し、その後、布線された電線群をテープ巻きして結束し、さらに、所要箇所に車体取付用のクランプ等をバンドあるいはテープ巻して取り付けたり、所要の区間にプロテクタを取り付けている。
【0003】
上記のように組み立てられるワイヤハーネスは、作業工数が非常に多くなる等の問題があるため、特開昭61−183816号、特開平6−223645号等において、図8に示す成形用金型1の溝2内に電線を布線した後、樹脂でモールドする成形ワイヤハーネスが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の従来提案されている成形ワイヤハーネスでは、電線群をモールドする樹脂についての考慮がなされておらず、1種類の樹脂が用いられているだけである。そのため、樹脂が硬い場合には分岐線が硬くなるため曲げにくく配索しにくい問題が生じる。一方、樹脂が軟らかいと形状保持機能が低下するため、分岐位置、三次元状に形状保持した位置、クランプ等の取付位置では問題が生じる。
【0005】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、成形ワイヤハーネスにおいて、電線群をモールドする樹脂を改良して、ワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は多数の電線が集中分岐部から複数分岐し、これら分岐する電線の端末にコネクタが予め接続され、該コネクタ接続部の近傍を除いて成形用金型の溝内に上記電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、
上記集中分岐部は硬化後に剛性を有する樹脂でモールドして所要の硬度および強度を持たせている一方、上記分岐する電線は硬化後に弾性を有する樹脂でモールドして曲げ可能としていることを特徴とする成形ワイヤハーネスを提供している。
【0007】
上記構成とすると、成形ワイヤハーネスのうち集中分岐部は硬化後に剛性を有する樹脂により成形し所要の硬度及び強度を持たせているため、形状保持性、耐摩耗性に優れた部位とすることができる。一方、上記支線は硬化後に弾性を有する樹脂により成形して曲げ可能としているため、支線の所定位置への配索作業を容易にすることができる。つまり、上記構成とするとワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせることができる。
【0008】
また、上記成形ワイヤハーネスはコネクタ近傍を除いて配索形態に電線群の長さ方向の全域を樹脂モールドしているので、支線の方向を配索方向に規制でき、車両への配索形態に保持できる。
【0009】
上記集中分岐部は未発泡樹脂でモールドして所要の硬度および強度を持たせている一方、上記集中分岐分から分岐する電線は発泡樹脂でモールドして曲げ可能な支線として成形している。
【0010】
上記未発泡樹脂として未発泡ウレタンを用いると共に上記発泡樹脂として発泡ウレタンを用いている。
なお、硬化後に弾性を有する樹脂として上記発泡ウレタンの他に、熱可塑性エラストマー、ゴム等も好適に用いられる。
【0011】
ウレタンは安価であるにもかかわらず、未発泡ウレタン、発泡ウレタンとして、目的に応じた使用が可能であり、コストの削減を図ることができる。
【0012】
また、本発明は、成形ワイヤハーネスの金型構造を提供している。
上記金型は、上下一対の金型に設けた電線挿入用の溝には、上記硬化後に剛性を有する樹脂の充填部と、硬化後に弾性を有する樹脂の充填部との境界に、上記溝の幅を狭くした隘路部を設け、所定の領域の溝内に充填された上記樹脂が他の領域の溝内に流れ込みにくい構成としている。
【0013】
金型を上記構成とすると、モールドする樹脂として硬化後に剛性を有する樹脂(以下、「剛性樹脂」と略す)と硬化後に弾性を有する樹脂(以下、「弾性樹脂」と略す)を用いた場合、剛性樹脂の充填部と弾性樹脂の充填部の境界に上記溝の幅を狭くした隘路部を金型自体に設けているため、別部材を取り付けることなく、剛性樹脂の充填部に充填した剛性樹脂が弾性樹脂の充填部に流れ込みにくくなる共に、弾性樹脂の充填部に充填した弾性樹脂が剛性樹脂の充填部に流れ込みにくくなる。
したがって、形状保持性、耐摩耗性を要する上記集中分岐部を確実に剛性樹脂により成形すると共に、屈曲性を要する支線を確実に弾性樹脂により成形することができ、ワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、電線群Wを樹脂モールドして所要の配索形状にワイヤハーネス11を成形するための金型10を示す。
金型10は、仕様変更等にもフレキシブルに対応できるように分割されており、ワイヤハーネス11の集中分岐部11aを成形するための共用金型10aに、支線11b〜11iやグロメット部11g−2を成形するための分岐用金型10b〜10nを組み合わせて用いている。
上記集中分岐部11aでは電線群Wの集中分岐部が樹脂モールドされており、上記支線11b〜11iでは上記集中分岐部から分岐した電線群Wが樹脂モールドされている。
【0015】
共用金型(下型)10aの溝10a−1にプロテクタ20を配置すると共に、所要の分岐用金型(下型)10i、10mの溝10i−1、10m−1にL字プロテクタ12、オフセットクランプ13、14を配置し、金型10の溝10a−1〜10n−1に端末にコネクタCが接続された電線群Wを布線した後、樹脂を充填し上型(図示せず)で型締めしてモールドすることにより、図2に示すワイヤハーネス11が成形される。
【0016】
金型10内に布線された電線群WはコネクタC接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線11b〜11iの分岐方向を正しく維持することできる。
なお、分岐用金型10b〜10g、10h、10j、10lの溝10b−1〜10g−1、10h−1、10j−1、10l−1の内周面を螺旋状に切り欠くことで、樹脂流れの促進を図ると共に、成形後の支線11b〜11e、11f−1、11f−3、11f−4、11g−1、11h−4、11@の屈曲性を維持し、最外周面で電線が露出しないようにしている。
【0017】
詳細には、金型10の共用金型10a及び該共用金型10aから延出する分岐用金型10b〜10gは下記の構成としている。
【0018】
図3に示すように、金型10は共用金型10aから複数の分岐用金型10b〜10gが突出するように組み合わせられた形状であり、それぞれの金型10a〜10gに所要の溝10a−1〜10g−1を設けている。共用金型10の溝10a−1は溝周面が平滑面であり、分岐用金型10b〜10g側へ向けて溝が延出する形状としている。これに対し、分岐用金型10b〜10gの溝10b−1〜10g−1は、断面半円形状の溝周面に凹凸部を設けた螺旋状の溝としており、それぞれ上記共用金型10aの溝10a−1と連通している。
【0019】
図4及び図5に示すように、上記共用金型10aの溝10a−1が分岐用金型10bの溝10b−1と連続する先端の境界位置では、側壁を突出させて溝幅Hを他の溝幅よりも小さくして隘路部10a−2としている。また、共用金型10aの溝10a−1と分岐用金型10c〜10gの溝10c−1〜10g−1との境界も同様に隘路部としている。
【0020】
次に、集中分岐部11aに着目した成形工程を説明する。
まず、図6に示すように、共用金型10aの溝10a−1に溝10a−1と同形状の樹脂成型品からなるプロテクタ20を配置し、電線wの端末にコネクタCを予め取り付けた状態で、この電線群Wを溝10a−1〜10g−1内に挿入して布線する。
次いで、上記溝10a−1〜10g−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填していく。このとき、共用金型10aの溝10a−1には硬化後に剛性を有する未発泡ウレタン樹脂15を充填する一方、分岐用金型10b−1〜10g−1には硬化後に弾性を有する発泡ウレタン樹脂16を充填している。
【0021】
上記樹脂15、16を金型10の溝10a−1〜10g−1にすべて充填した後に、上型(図示せず)で型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、金型(下型)10と上型を離型することで図7に示すような、電線wを樹脂でモールドした成形ワイヤハーネス11が成形される。
【0022】
上記構成とすると、未発泡ウレタン樹脂15を充填する共用金型10の溝10a−1と発泡ウレタン樹脂16を充填する分岐用溝10b〜10gの溝10b−1〜10g−1との境界の溝幅を他の部分の溝幅よりも小さくして隘路部としているため、溝10a−1に充填した剛性樹脂15が溝10b−1〜10g−1に流れ込み難くなると共に、溝10b−1〜10g−1に充填した弾性樹脂16が溝10a−1に流れ込み難くなる。これにより、成形ワイヤハーネス11のうち形状保持性、耐摩耗性を要する上記集中分岐部11aを未発泡ウレタン樹脂15で成形すると共に、屈曲性を要する支線11b〜11gを確実に発泡ウレタン樹脂16で成形することができる。これにより、成形ワイヤハーネス11の集中分岐部11aを、形状保持性、耐摩耗性に優れた部位とすることができると共に、支線11b〜11gを曲げ可能とし、所定位置への配索作業を容易にすることができる。
【0023】
なお、樹脂の充填順序として、上型を型締めする前に樹脂を垂らし込む代わりに、型締め後に樹脂注入口(図示せず)から樹脂を充填注入してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、硬化後に剛性を有する樹脂、例えば未発泡樹脂の充填部と、硬化後に弾性を有する樹脂、例えば発泡樹脂の充填部との境界の溝幅を他の部分の溝幅よりも小さくして隘路部としているため、充填した樹脂が他の領域に流れ込み難くなる。これにより、成形ワイヤハーネスのうち集中分岐部は硬化後に所要の硬度及び強度を持たせているため、形状保持性、耐摩耗性に優れた部位とすることができる。一方、上記支線は硬化後に弾性弾性を持たせて曲げ可能としているため、支線の所定位置への配索作業を容易にすることができる。つまり、本発明によれば、ワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせることができる。
【0025】
また、上記成形ワイヤハーネスはコネクタ近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、支線の方向を配索方向に規制でき、車両への配索形態に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の金型(下型)の上面図である。
【図2】成形ワイヤハーネスの上面図である。
【図3】実施形態の金型(下型)の要部拡大上面図である。
【図4】実施形態の金型の要部拡大斜視図である。
【図5】図4のI−I線断面図である。
【図6】実施形態の金型(下型)に電線を布線した要部拡大上面図である。
【図7】実施形態の金型により成形したワイヤハーネスの要部拡大上面図である。
【図8】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
10 金型
10a 共用金型
10a−1〜10n−1 溝
10a−2 隘路部
10b〜10n 分岐用金型
11 成形ワイヤハーネス
11a 集中分岐部
11b〜11i 支線
15 未発泡ウレタン樹脂
16 発泡ウレタン樹脂
20 プロテクタ
C コネクタ
w 電線
【発明が属する技術分野】
本発明は、成形ワイヤハーネスおよびその金型構造に関し、詳しくは、自動車に配索するワイヤハーネスを樹脂モールドして成形ワイヤハーネスとしているものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車に配索するワイヤハーネスは、ワイヤハーネス組立作業台上で電線布線治具に沿って電線群を布線し、その後、布線された電線群をテープ巻きして結束し、さらに、所要箇所に車体取付用のクランプ等をバンドあるいはテープ巻して取り付けたり、所要の区間にプロテクタを取り付けている。
【0003】
上記のように組み立てられるワイヤハーネスは、作業工数が非常に多くなる等の問題があるため、特開昭61−183816号、特開平6−223645号等において、図8に示す成形用金型1の溝2内に電線を布線した後、樹脂でモールドする成形ワイヤハーネスが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の従来提案されている成形ワイヤハーネスでは、電線群をモールドする樹脂についての考慮がなされておらず、1種類の樹脂が用いられているだけである。そのため、樹脂が硬い場合には分岐線が硬くなるため曲げにくく配索しにくい問題が生じる。一方、樹脂が軟らかいと形状保持機能が低下するため、分岐位置、三次元状に形状保持した位置、クランプ等の取付位置では問題が生じる。
【0005】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、成形ワイヤハーネスにおいて、電線群をモールドする樹脂を改良して、ワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は多数の電線が集中分岐部から複数分岐し、これら分岐する電線の端末にコネクタが予め接続され、該コネクタ接続部の近傍を除いて成形用金型の溝内に上記電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、
上記集中分岐部は硬化後に剛性を有する樹脂でモールドして所要の硬度および強度を持たせている一方、上記分岐する電線は硬化後に弾性を有する樹脂でモールドして曲げ可能としていることを特徴とする成形ワイヤハーネスを提供している。
【0007】
上記構成とすると、成形ワイヤハーネスのうち集中分岐部は硬化後に剛性を有する樹脂により成形し所要の硬度及び強度を持たせているため、形状保持性、耐摩耗性に優れた部位とすることができる。一方、上記支線は硬化後に弾性を有する樹脂により成形して曲げ可能としているため、支線の所定位置への配索作業を容易にすることができる。つまり、上記構成とするとワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせることができる。
【0008】
また、上記成形ワイヤハーネスはコネクタ近傍を除いて配索形態に電線群の長さ方向の全域を樹脂モールドしているので、支線の方向を配索方向に規制でき、車両への配索形態に保持できる。
【0009】
上記集中分岐部は未発泡樹脂でモールドして所要の硬度および強度を持たせている一方、上記集中分岐分から分岐する電線は発泡樹脂でモールドして曲げ可能な支線として成形している。
【0010】
上記未発泡樹脂として未発泡ウレタンを用いると共に上記発泡樹脂として発泡ウレタンを用いている。
なお、硬化後に弾性を有する樹脂として上記発泡ウレタンの他に、熱可塑性エラストマー、ゴム等も好適に用いられる。
【0011】
ウレタンは安価であるにもかかわらず、未発泡ウレタン、発泡ウレタンとして、目的に応じた使用が可能であり、コストの削減を図ることができる。
【0012】
また、本発明は、成形ワイヤハーネスの金型構造を提供している。
上記金型は、上下一対の金型に設けた電線挿入用の溝には、上記硬化後に剛性を有する樹脂の充填部と、硬化後に弾性を有する樹脂の充填部との境界に、上記溝の幅を狭くした隘路部を設け、所定の領域の溝内に充填された上記樹脂が他の領域の溝内に流れ込みにくい構成としている。
【0013】
金型を上記構成とすると、モールドする樹脂として硬化後に剛性を有する樹脂(以下、「剛性樹脂」と略す)と硬化後に弾性を有する樹脂(以下、「弾性樹脂」と略す)を用いた場合、剛性樹脂の充填部と弾性樹脂の充填部の境界に上記溝の幅を狭くした隘路部を金型自体に設けているため、別部材を取り付けることなく、剛性樹脂の充填部に充填した剛性樹脂が弾性樹脂の充填部に流れ込みにくくなる共に、弾性樹脂の充填部に充填した弾性樹脂が剛性樹脂の充填部に流れ込みにくくなる。
したがって、形状保持性、耐摩耗性を要する上記集中分岐部を確実に剛性樹脂により成形すると共に、屈曲性を要する支線を確実に弾性樹脂により成形することができ、ワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、電線群Wを樹脂モールドして所要の配索形状にワイヤハーネス11を成形するための金型10を示す。
金型10は、仕様変更等にもフレキシブルに対応できるように分割されており、ワイヤハーネス11の集中分岐部11aを成形するための共用金型10aに、支線11b〜11iやグロメット部11g−2を成形するための分岐用金型10b〜10nを組み合わせて用いている。
上記集中分岐部11aでは電線群Wの集中分岐部が樹脂モールドされており、上記支線11b〜11iでは上記集中分岐部から分岐した電線群Wが樹脂モールドされている。
【0015】
共用金型(下型)10aの溝10a−1にプロテクタ20を配置すると共に、所要の分岐用金型(下型)10i、10mの溝10i−1、10m−1にL字プロテクタ12、オフセットクランプ13、14を配置し、金型10の溝10a−1〜10n−1に端末にコネクタCが接続された電線群Wを布線した後、樹脂を充填し上型(図示せず)で型締めしてモールドすることにより、図2に示すワイヤハーネス11が成形される。
【0016】
金型10内に布線された電線群WはコネクタC接続部の近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、成形後のワイヤハーネスが配索形状に維持され、支線11b〜11iの分岐方向を正しく維持することできる。
なお、分岐用金型10b〜10g、10h、10j、10lの溝10b−1〜10g−1、10h−1、10j−1、10l−1の内周面を螺旋状に切り欠くことで、樹脂流れの促進を図ると共に、成形後の支線11b〜11e、11f−1、11f−3、11f−4、11g−1、11h−4、11@の屈曲性を維持し、最外周面で電線が露出しないようにしている。
【0017】
詳細には、金型10の共用金型10a及び該共用金型10aから延出する分岐用金型10b〜10gは下記の構成としている。
【0018】
図3に示すように、金型10は共用金型10aから複数の分岐用金型10b〜10gが突出するように組み合わせられた形状であり、それぞれの金型10a〜10gに所要の溝10a−1〜10g−1を設けている。共用金型10の溝10a−1は溝周面が平滑面であり、分岐用金型10b〜10g側へ向けて溝が延出する形状としている。これに対し、分岐用金型10b〜10gの溝10b−1〜10g−1は、断面半円形状の溝周面に凹凸部を設けた螺旋状の溝としており、それぞれ上記共用金型10aの溝10a−1と連通している。
【0019】
図4及び図5に示すように、上記共用金型10aの溝10a−1が分岐用金型10bの溝10b−1と連続する先端の境界位置では、側壁を突出させて溝幅Hを他の溝幅よりも小さくして隘路部10a−2としている。また、共用金型10aの溝10a−1と分岐用金型10c〜10gの溝10c−1〜10g−1との境界も同様に隘路部としている。
【0020】
次に、集中分岐部11aに着目した成形工程を説明する。
まず、図6に示すように、共用金型10aの溝10a−1に溝10a−1と同形状の樹脂成型品からなるプロテクタ20を配置し、電線wの端末にコネクタCを予め取り付けた状態で、この電線群Wを溝10a−1〜10g−1内に挿入して布線する。
次いで、上記溝10a−1〜10g−1の上面開口に沿って上方から樹脂を垂らし込むように充填していく。このとき、共用金型10aの溝10a−1には硬化後に剛性を有する未発泡ウレタン樹脂15を充填する一方、分岐用金型10b−1〜10g−1には硬化後に弾性を有する発泡ウレタン樹脂16を充填している。
【0021】
上記樹脂15、16を金型10の溝10a−1〜10g−1にすべて充填した後に、上型(図示せず)で型締めし、充填した樹脂を硬化させる。
上記樹脂を硬化させた後、金型(下型)10と上型を離型することで図7に示すような、電線wを樹脂でモールドした成形ワイヤハーネス11が成形される。
【0022】
上記構成とすると、未発泡ウレタン樹脂15を充填する共用金型10の溝10a−1と発泡ウレタン樹脂16を充填する分岐用溝10b〜10gの溝10b−1〜10g−1との境界の溝幅を他の部分の溝幅よりも小さくして隘路部としているため、溝10a−1に充填した剛性樹脂15が溝10b−1〜10g−1に流れ込み難くなると共に、溝10b−1〜10g−1に充填した弾性樹脂16が溝10a−1に流れ込み難くなる。これにより、成形ワイヤハーネス11のうち形状保持性、耐摩耗性を要する上記集中分岐部11aを未発泡ウレタン樹脂15で成形すると共に、屈曲性を要する支線11b〜11gを確実に発泡ウレタン樹脂16で成形することができる。これにより、成形ワイヤハーネス11の集中分岐部11aを、形状保持性、耐摩耗性に優れた部位とすることができると共に、支線11b〜11gを曲げ可能とし、所定位置への配索作業を容易にすることができる。
【0023】
なお、樹脂の充填順序として、上型を型締めする前に樹脂を垂らし込む代わりに、型締め後に樹脂注入口(図示せず)から樹脂を充填注入してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、硬化後に剛性を有する樹脂、例えば未発泡樹脂の充填部と、硬化後に弾性を有する樹脂、例えば発泡樹脂の充填部との境界の溝幅を他の部分の溝幅よりも小さくして隘路部としているため、充填した樹脂が他の領域に流れ込み難くなる。これにより、成形ワイヤハーネスのうち集中分岐部は硬化後に所要の硬度及び強度を持たせているため、形状保持性、耐摩耗性に優れた部位とすることができる。一方、上記支線は硬化後に弾性弾性を持たせて曲げ可能としているため、支線の所定位置への配索作業を容易にすることができる。つまり、本発明によれば、ワイヤハーネスの各部位にそれぞれ要求される機能を持たせることができる。
【0025】
また、上記成形ワイヤハーネスはコネクタ近傍を除いて配索形態に樹脂モールドしているので、支線の方向を配索方向に規制でき、車両への配索形態に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の金型(下型)の上面図である。
【図2】成形ワイヤハーネスの上面図である。
【図3】実施形態の金型(下型)の要部拡大上面図である。
【図4】実施形態の金型の要部拡大斜視図である。
【図5】図4のI−I線断面図である。
【図6】実施形態の金型(下型)に電線を布線した要部拡大上面図である。
【図7】実施形態の金型により成形したワイヤハーネスの要部拡大上面図である。
【図8】従来例を示す図面である。
【符号の説明】
10 金型
10a 共用金型
10a−1〜10n−1 溝
10a−2 隘路部
10b〜10n 分岐用金型
11 成形ワイヤハーネス
11a 集中分岐部
11b〜11i 支線
15 未発泡ウレタン樹脂
16 発泡ウレタン樹脂
20 プロテクタ
C コネクタ
w 電線
Claims (4)
- 多数の電線が集中分岐部から複数分岐し、これら分岐する電線の端末にコネクタが予め接続され、該コネクタ接続部の近傍を除いて成形用金型の溝内に上記電線群を挿入して配索形態に樹脂モールドで成形しているワイヤハーネスであって、
上記集中分岐部は硬化後に剛性を有する樹脂でモールドして所要の硬度および強度を持たせている一方、上記分岐する電線は硬化後に弾性を有する樹脂でモールドして曲げ可能としていることを特徴とする成形ワイヤハーネス。 - 上記集中分岐部は未発泡樹脂でモールドして所要の硬度および強度を持たせている一方、上記集中分岐分から分岐する電線は発泡樹脂でモールドして曲げ可能な支線として成形している請求項1に記載の成形ワイヤハーネス。
- 上記未発泡樹脂として未発泡ウレタンを用いると共に上記発泡樹脂として発泡ウレタンを用いている請求項2に記載の成形ワイヤハーネス。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の成形ワイヤハーネスの金型構造であって、
上下一対の金型に設けた電線挿入用の溝には、上記硬化後に剛性を有する樹脂の充填部と、硬化後に弾性を有する樹脂の充填部との境界に、上記溝の幅を狭くした隘路部を設け、所定の領域の溝内に充填された上記樹脂が他の領域の溝内に流れ込まない構成としている成形ワイヤハーネスの金型構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002160133A JP2004006129A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 成形ワイヤハーネスおよび成形用金型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002160133A JP2004006129A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 成形ワイヤハーネスおよび成形用金型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004006129A true JP2004006129A (ja) | 2004-01-08 |
Family
ID=30429658
Family Applications (1)
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JP2002160133A Withdrawn JP2004006129A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 成形ワイヤハーネスおよび成形用金型 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004006129A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016092940A (ja) * | 2014-10-31 | 2016-05-23 | 住友電装株式会社 | 電線の止水構造 |
JP2020061841A (ja) * | 2018-10-09 | 2020-04-16 | 住友電装株式会社 | 配線部材 |
JP2021036759A (ja) * | 2020-10-07 | 2021-03-04 | 住友電装株式会社 | 配線部材 |
-
2002
- 2002-05-31 JP JP2002160133A patent/JP2004006129A/ja not_active Withdrawn
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JP2016092940A (ja) * | 2014-10-31 | 2016-05-23 | 住友電装株式会社 | 電線の止水構造 |
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