JP2004003994A - 電子時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部からの無線情報を受信することができかつ薄型の電子時計を提供する。
【解決手段】電波を受信する電波受信用アンテナ8と、時刻表示部を駆動する電磁モータ(秒針駆動用モータ61、時分針駆動用モータ65)と、電池5と、前記アンテナ8、前記電磁モータ(秒針駆動用モータ61、時分針駆動用モータ65)、および前記電池5を収納する本体ケースとを備える。時刻表示部を視認する方向からアンテナ8、電磁モータ(秒針駆動用モータ61、時分針駆動用モータ65)、および電池5を投影した投影像は互いに異なり、すなわち、平面的に重ならない。この構成により、時計を薄型化することができる。
【選択図】 図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子時計および電子機器に関し、特に、無線情報を受信する受信機構を備えた電子時計および電子機器に関する。
【0002】
【背景技術】
無線情報を受信する機能を備えた電子時計等の電子機器として、例えば、無線(標準電波)で送信される時刻情報を受信して時刻修正を行う電波時計が知られている。このような電波時計は、通常は電池によって駆動されるが、電波受信によって電力が消費されるため、通常の時計に比べて電池のサイズが大きくなり、電池交換頻度が増えるという課題があった。また、ムーブメントも大型化するという問題があった。
このため、電波時計に発電機構として太陽光発電装置を組み込んだものが知られている(例えば、特許文献1)。
この太陽光発電装置を備えた電波時計は、太陽光発電装置としての太陽電池と、標準電波を受信するアンテナを有する受信機構と、時刻を計時する計時機構とを備えて構成され、アンテナで受信した標準電波に従って計時機構の時刻を修正するものである。
このような構成によれば、太陽光発電によって発電した電力によって計時機構、受信機構を駆動できる。よって、光で太陽電池が発電、充電される限り半永久的に駆動する電波時計とすることができる。
【0003】
ところで、太陽光発電は、日照量(例えば、曇りや雨)、季節(例えば、冬)、地域(例えば、高緯度地域)などの条件によっては、太陽光発電では、効率的に発電できず、電力を供給することができない場合があるという問題がある。電波時計は、受信した時刻情報を受信機構で処理(増幅、復調など)するために大きな電力を要する。そのため、受信機構に十分な電力が供給されないと、標準電波を受信できないか、または、標準電波を誤受信するなど、受信機構の受信感度が低くなる。また、太陽電池は、受光エネルギーが少なければ充電したいときに急速充電できないという問題もある。
これらの問題のため、太陽光発電装置付きの電波時計は必ずしも使い勝手の良いものではなかった。
【0004】
そこで、本発明者は、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電装置を電波時計に組み込むことを研究した。この機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電装置としては、例えば、外部から機械的エネルギーを入力する巻真と、この巻真による機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電機とを備えて構成されている。発電機は、機械的エネルギーによって回転されるロータと、ロータの回転に伴う磁束変化によって発電する発電コイルとを備えて構成されている。このような構成によれば、例えば、巻真を回転させるなどして、機械的エネルギーを入力すれば、発電したいときに発電できる。よって、太陽光発電に比べて季節、日照量、地域等の条件に左右されずに発電でき、さらに急速発電も容易に行うことができる利点がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−160464号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発電コイルで発電すると、この発電コイルから磁界が発生する。アンテナは、標準電波とともにこの発電コイルから発生する磁界にも感応してしまう。よって、アンテナで標準電波を受信している際に、発電コイルからの磁界がアンテナに重畳すると、標準電波の信号が磁界の影響で変形されるので、標準電波を受信できない、または、誤受信してしまう。つまり、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電装置を電波時計に単純に組み込むと、標準電波を受信することができないという新たな問題が生じる。
このような問題は、電波修正機能を有する電子時計に限らず、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電装置を備え、かつ、外部からの無線情報を受信するアンテナを備えた各種の電子機器においても共通する問題である。
【0007】
さて、電波時計を構成するためには、計時機構や電磁モータに加えて、受信アンテナや受信回路、受信動作による消費電力をまかなうだけの蓄電容量を備えた電池などを組み込まなければならない。これに対し、腕時計等の携帯型の電子時計においては、装着性や意匠性を向上するために、できる限り薄型化したいという要望があり、受信アンテナを備える電波時計においても薄型化の要望が高かった。
電波時計を薄型化する構成として、例えば、特開2000−105285号では、アンテナと携帯用電子時計の機能を果たすためのモジュールとをほぼ同一断面上に配置する構成が開示されている。また、特開平11−64547号では、アンテナのコアと電子モジュール回路基板との配置について、アンテナコアがプリント回路基板の端部に沿って延びている構成が開示されている。しかしながら、モジュールを構成する部品とアンテナとの配置については開示されていないため、電波時計を薄型化することが困難であった。
【0008】
本発明の第1の目的は、従来の問題を解消し、発電装置を備え、かつ、外部からの無線情報を受信することができる電子時計および電子機器を提供することである。
本発明の第2の目的は、外部からの無線情報を受信することができかつ薄型で小型の電子時計を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子時計は、電波を受信する電波受信用アンテナと、時刻表示部を駆動する1つ以上の電磁モータと、1つ以上の電源と、前記電波受信用アンテナ、前記電磁モータおよび前記電源が載置される基枠とを備え、前記時刻表示部を視認する方向から前記アンテナ、前記電磁モータおよび前記電源を投影した投影像は互いに離間していることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、電波受信用アンテナ、電磁モータおよび電源が電子時計の厚み方向で重ならない構成となる。時計においては、これらのアンテナ、モータ、電源が最も厚さ寸法が大きい部品であり、これらの部品が時計の厚み方向で重ならなければ、電子時計の厚みを最も薄くすることができる。その結果、この電子時計を腕時計に代表される携帯型とする場合に、デザイン性や装着性を良好にすることができる。
【0011】
ここで、基枠は、アンテナやモータ、電源が載置される部材であればよく、通常は地板や裏蓋で構成される。さらに、基枠としては、文字板、本体ケースと裏蓋が一体となったもの(ワンピースタイプ)、裏蓋と腕装着用のバンドが一体となったもの、本体ケースと裏蓋とバンドが一体となったもので構成してもよい。
【0012】
本発明の電子時計では、前記アンテナ、前記電磁モータおよび前記電源は、前記時刻表示部を視認する方向に略直交する同一平面上に配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、アンテナ、電磁モータおよび電源といった時計部品の中で大きな部品が互いに重ならないことに加えて、同じ平面に載っているので、時計の厚みはアンテナ、電磁モータおよびアンテナのうち最も厚い部品に同じ程度となり、結果として時計を可能なかぎり最も薄くすることができる。
【0013】
ここで、前記電波受信用アンテナ、前記電磁モータおよび前記電源は同一高さに配置されていることが好ましい。また、前記電磁モータは、第1の電磁モータおよび第2の電磁モータを備え、前記電波受信用アンテナ、前記電磁モータ、前記電源、前記第1の電磁モータおよび前記第2の電磁モータは同一高さに配置されていることが好ましい。また、基準クロックを生成する水晶振動子を備え、
前記電波受信用アンテナ、前記電磁モータ、前記電源および前記水晶振動子は同一高さに配置されていることが好ましい。さらに、前記電波受信用アンテナ、前記電磁モータおよび前記電源は前記基枠の同一面に配置されていることが好ましい。
【0014】
基枠の同一面に配置されているとは、電波受信用アンテナ、電磁モータおよび電源が同一平面(時計の厚さ方向に直交する平面)に配置されている場合はもちろん、基枠が湾曲している場合には、この基枠の湾曲面に沿って電波受信用アンテナ、電磁モータおよび電源が配置されている場合も含む。例えば、厚さ数mm程度の非常に薄型の時計では、裏蓋や地板などを腕の湾曲面に沿って湾曲させることで内部空間を確保しつつ、薄型化を実現している。このような時計では、電波受信用アンテナ、電源、電磁モータが設置される裏蓋や地板の設置面も、腕の湾曲面の形状に沿って湾曲されるが、このような同一平面に配置されていない場合でも、基枠の同一面に配置されているものに含まれる。このような配置にすれば、側面から見た場合、電子時計を非常に薄く見せることが可能となる。
【0015】
また、電波受信用アンテナのコアが基枠に埋設されていて、その接地面が電源の設置面や電磁モータの設置面と同一平面上にある場合にも、基枠の同一面に配置されているものに含まれる。なお、電波受信用アンテナのコアを基枠に埋設した場合、基枠がプラスチック製であれば、その強度を大きくすることもできる。さらに、電波受信用アンテナのコアの設置面、電源の設置面及び電磁モータの設置面が、腕の湾曲面つまりは基枠の湾曲面に沿っている場合も、基枠の同一面に配置されているものに含まれる。換言すると、基枠の底面から電波受信用アンテナのコアの設置面への距離、基枠の底面から電源の設置面への距離、基枠の底面から電磁モータの設置面への距離が略同一になるように電波受信用アンテナ、電源、電磁モータが配置されている場合も基枠の同一面に配置されているものに含まれる。
【0016】
要するに、基枠の同一面上に配置されているとは、電波受信用アンテナ、電磁モータおよび電源が電子時計の厚み方向に重ならない位置に配置されていることを意味する。つまり、電波受信用アンテナ、電磁モータおよび電源は、基枠に対して平面位置(電子時計の厚み方向に直交する面方向の位置)が互いに異なるように配置されていればよい。
【0017】
電磁モータとしては、ステッピングモータなどを用いることができる。この際、時針、分針、秒針を各々独立して3つのモータで駆動してもよい。時刻表示部が時刻表示用の秒針、分針、時針を有する場合には、電磁モータは、秒針駆動用モータと時分針駆動用モータの2つであってもよい。この場合、時分針駆動用モータは、秒針駆動用モータに比べて電波受信用アンテナから遠い位置へ配置されていることが好ましい。このように配置すれば、電波受信用アンテナで電波受信をしているときに、秒針駆動用モータの駆動を停止する一方、時分針駆動用モータは駆動を続けることができる。時分針駆動用モータの駆動を続けても、電波受信用アンテナからの距離が離れていれば時分針駆動用モータから発生する磁界が電波受信用アンテナに影響しにくくなる。従って、アンテナに近い秒針駆動用モータを停止することで電波受信における誤受信を防止しつつ、時刻情報として重要な時分については常に現時刻を表示することができる。
【0018】
電磁モータを秒針駆動用モータと時分針駆動用モータの二つとした場合には、時分針駆動用モータは、秒針駆動用モータに比べて、耐磁性能が高くなるように構成することが好ましい。時分針駆動用モータの耐磁性能が高ければ、時刻表示において重要性が高い時分表示を高精度に維持できるためである。
ここで、耐磁性能を高くするには、コイルコアの形状が同じ場合には、例えば、コイル線のアンペアターン数を大きくすればよい。コイルのアンペアターン数を大きくすると、耐磁性能の向上だけでなく、モータの省エネ駆動も可能となる利点がある。このため、電源である二次電池の蓄電残量が少なくなった場合に、秒針駆動用モータの駆動を停止して、時分針駆動用モータによる時分のみの時刻表示を行う場合に、消費エネルギーを非常に低減できる利点がある。
【0019】
電源としては、一次電池、二次電池、電磁発電機構等を内蔵したもののいずれでもよい。また、一次電池、二次電池、電磁発電機構等の電源の数は1つに限らず、複数でもよい。
【0020】
本発明の電子時計は、前記電源と前記アンテナとは前記電磁モータを間にして互いに離隔した位置に配置されていることが好ましい。そして、電源とアンテナとは電磁モータを間にして互いに対向した位置にあることがより好ましい。
【0021】
サイズの大きい時計部品同士を近接して地板上に配置すると、大きな時計部品を載置した部分の強度が弱くなる。すると、落下衝撃などに弱くなってしまう。そこで、サイズの大きな時計部品は互いに離隔して配置されることが好ましく、アンテナと電源とを離隔して配置する。そして、アンテナと電源とを離隔することによってできた間のスペースに電磁モータを配置する。すると、電磁モータのコイルコアにより電源からの磁界を遮蔽することができ、アンテナに電源からの磁界が影響しない構成とすることができる。また、アンテナのコアにより、外部からの磁界が電磁モータの前で遮蔽されるので、電磁モータの動作に外部磁界が影響しない。よって、電磁モータを正確に動作させることができる。
【0022】
ここで、基枠が地板である場合には、アンテナと電源とは地板外周に沿って配置されていることが好ましい。アンテナが地板外周に沿って配置されているとは、アンテナのコアの両端が地板外周に沿っている状態でもよいし、コイルが湾曲状に形成されて地板外周に沿っていてもよい。このように棒状コアの両端が地板外周の沿って配置されていると、コイルの巻数を限られたスペースの中でより多く確保することができる。なお、基枠には、コイルに対応する位置に穴部もしくは凹部が形成されていることが好ましい。すると、コイルの巻き数が多くなってコイル巻き外形が太くなっても、基枠にコイルを納めることができる。
ここで、地板の外形形状は円形に限らず、楕円形やトラック形状、四角形などどのような形状でもよく、時計のデザインにより決定されるものである。
【0023】
電源としてボタン形状の電池を用い、前記電池の外周の少なくとも一部が地板外周に沿っていることが好ましい。電池が充放電可能な二次電池の場合、電池を充放電するときの電圧の変化により電池からでる電磁界が変動する。しかし、受信アンテナと電池とをできる限り離隔した位置に配設することにより、電池からの電磁界の影響がアンテナに及ぶことがなく、アンテナの受信感度を良好に保つことができる。
また、電源の形状としては、湾曲および屈曲等変形可能な固体電解質の一次電池や二次電池を用いてもよい。これにより電池の形状の影響をうけずにムーブメントのレイアウトを自由に行うことができる。
【0024】
また、地板の前記電源に対応する位置には穴または凹部が形成されていることが好ましい。このような構成によれば、電源のサイズが大きくても地板に電源を載置することができるので、電池の容量を大きくすることができる。
【0025】
本発明の電子時計は、前記電磁モータは、時分針駆動用の第1電磁モータおよび秒針駆動用の第2電磁モータを有し、前記電源と前記アンテナとは前記第1電磁モータおよび前記第2電磁モータを間にして配置され、前記電源、前記アンテナ、前記第1電磁モータおよび前記第2電磁モータは同一平面上に配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1電磁モータと第2電磁モータとの二つの電磁モータがあり、この二つの電磁モータによって電源からの磁界がアンテナの前で確実に遮蔽される。その結果、アンテナの受信感度を向上させることができる。
【0026】
本発明の電子時計は、巻真を有する時刻修正機構が地板外周に沿って配置され、前記電磁モータを制御する計時用制御回路を備え、前記時刻表示部を視認する方向から前記計時用制御回路および前記時刻修正機構を投影した投影像は少なくとも一部が互いに重なり、前記時刻表示部を視認する方向から前記電源、前記電磁モータおよび前記アンテナを投影した投影像は互いに離間していることが好ましい。
【0027】
このような構成において、計時用制御回路、例えば時計用のICは0.1mmないし0.3mm程度であって比較的薄いので、制御部を時刻修正機構に重ねて配設しても、電子時計の厚みに影響することがない。よって、制御部と時刻修正機構とを重層させることにより、電子時計を小型化することができる。
【0028】
本発明の電子時計は、前記時刻表示用の指針に前記電磁モータの駆動エネルギーを伝達する輪列を備え、前記輪列は前記基枠の略中心に配設されていることが好ましい。このような構成によれば、指針の回転中心を時計の略中心とすることができる。すると、指針の回転半径を大きくすることができる。その結果、時刻表示を見やすくすることができる。
【0029】
本発明の電子時計は、前記電波に同調する同調信号を生成する同調信号用水晶振動子と、前記アンテナにて受信した電波を処理する受信処理回路とを備え、前記同調信号用水晶振動子と前記受信処理回路とは近接して配設され、前記時刻表示部の視認方向から前記同調用水晶振動子、前記電源、前記アンテナおよび前記電磁モータを投影した投影像は互いに離間し、前記時刻表示部の視認方向から前記受信処理回路、前記同調用水晶振動子、前記電源、前記アンテナおよび前記電磁モータを投影した投影像は互いに離間していることが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、同調信号用水晶振動子と受信処理回路とが近接しているので、両者を繋ぐ配線間の浮遊容量を小さくして、歩度狂いを防止することができる。また、両者の配線距離が短いので、信号を伝送するエネルギーを小さくすることができ省エネルギー化を図ることができる。
【0031】
ここで、前記同調信号用水晶振動子は、前記電源、前記アンテナおよび前記電磁モータと同一平面上に配置されていることが好ましい。また、基準クロック信号を生成する計時用水晶振動子は、前記同調信号用水晶振動子、前記電源、前記アンテナおよび前記電磁モータと同一平面上に配置されていることが好ましい。このような構成によれば、部品同士が重ならないことから全体として薄型化を図ることができる。なお、計時用制御回路と受信処理回路とは別体に設けられていてもよく、または一体的に一つのICなどに設けられていてもよい。
【0032】
また、計時用水晶振動子と計時用制御回路とは離間して配設されていてもよい。例えば、計時用水晶振動子と計時用制御回路との間に電磁モータが配設されていてもよい。
このように計時用水晶振動子と計時用制御回路とを離して配置した場合、両者を繋ぐ配線間での浮遊容量が大きくなって計時誤差を生じる可能性があるが、受信した電波による時刻情報で時刻修正することができる。したがって、時刻を正確に計時するとともに、レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0033】
また、同調信号用水晶振動子は、地板外周に沿って配置されていることが好ましい。ここで、電波が異なる周波数で送信される場合には、同調信号用水晶振動子は、異なる周波数に対応して二以上設けられていてもよく、例えば、電波が標準電波である場合には、40kHz用および60kHz用の水晶振動子が設けられていてもよい。そして、40kHz用の同調信号用水晶振動子および60kHz用の同調信号用水晶振動子は、地板外周に沿って配置されていることが好ましい。すると、水晶振動子が地板外周に配置されることにより、水晶振動子を複数配置することができる。その結果、異なる周波数の電波を受信することができ、利便性を向上させることができる。
【0034】
本発明の電子時計は、前記電源と前記時刻修正機構とは、互いに隣接するとともに地板外周に沿って配設され、前記アンテナと前記電源とは所定距離だけ離隔して配設され、前記アンテナと前記時刻修正機構とは所定距離だけ離隔して配設されていることが好ましい。
【0035】
このような構成において、時刻修正機構を構成する巻真等の部品は、薄型化、小型化のために高強度を有する鋼鉄製の材質を用いて形成されているので、磁気を帯びやすい性質を有する。そこで、アンテナと時刻修正機構とが離隔して設けられることにより、時刻修正機構からの磁界がアンテナに影響せず、アンテナの受信感度を向上させることができる。あわせて、時刻修正機構により時計体外部からの磁界の侵入を防止することができ、電磁モータの誤動作を防止することができる。
また、電源は、充放電可能な二次電池の場合、電池を充放電するときの電圧の変化により電池から磁界が発生する。この磁界の方向は、アンテナのコアと同一平面上になることから、互いに干渉しやすい。そこで、電源とアンテナとを離隔して、例えば、離隔して生じたスペースに電磁モータを配置することにより、電源からの磁界がアンテナに影響するのを防止して、アンテナの受信感度を向上させることができる。
ここで、電源の正の電位と巻真等の時刻修正機構を構成する部品とは同電位であることが好ましい。このような構成によれば、時刻修正機構にICなどが重なった場合でもICに対する静電ノイズを抑止することができる。
【0036】
ここで、前記輪列、前記電磁モータ、前記アンテナおよび前記電池が同一面上に配置されることが好ましい。また、前記電磁モータ、前記水晶振動子、前記アンテナおよび前記電源が同一平面上に配置されることが好ましい。このような構成によれば、部品同士が互いに重ならず、全体として薄型化を図ることができる。
【0037】
本発明の電子時計は、両面に導通パターンを有する回路基板を備え、
前記アンテナの前記基枠に離隔する面と前記電源の前記基枠に離隔する面とは前記回路基板を間にして反対側に位置し、前記回路基板を前記基枠側に向けて押圧するとともに強磁性体で形成された回路押え板を備えていることが好ましい。なお、回路基板は湾曲および屈曲が可能であることが好ましい。
【0038】
このような構成によれば、強磁性体からなる回路押え板により電源からの磁界がアンテナに影響せず、アンテナの受信感度を向上させることができる。そして、回路押え板により電源からの磁界の影響を遮蔽することができるので、電源とアンテナとを近接して配置することができる。その結果、時計全体を小型化することができる。
【0039】
なお、前記時刻表示面の視認方向から回路押え板を投影した投影像は、前記時刻表示面の視認方向から前記アンテナのコアおよび前記電磁モータのコイルを投影した投影像に離間していることが好ましい。
このような構成によれば、回路押え板に邪魔されずにアンテナのコイルおよび電磁モータのコイルを太く巻くことができる。すると、アンペアターンを大きくしてアンテナの受信感度を向上させることができ、また、電磁モータの耐磁性能を向上させることができる。また、回路押え板が電源の正の電位と同電位になっていれば、回路基板は回路押え板で覆われるので、外部からの光や静電気ノイズが回路押え板に遮蔽されて計時用制御回路や受信処理回路の動作に影響せず、誤動作を防止することができる。
【0040】
本発明の電子時計は、前記電波は時刻コードを含む標準電波であり、当該電子時計は、前記標準電波を受信して計時機構の時刻を修正する電波修正時計であることが好ましい。
【0041】
このような構成によれば、電波の時刻コードを受信機構で受信して、受信した時刻コードに基づいて計時機構の時刻を修正する。そして、時刻情報として、例えば、長波標準電波を利用すれば、自動的に時刻を正確に修正する電波修正時計とすることができる。
【0042】
ここで、導電性材料からなる腕時計用バンドを備え、時刻視認方向からの投影で前記受信アンテナと前記腕時計用バンドとの投影像は互いに離間していることが望ましい。このような構成によれば、受信アンテナと腕時計用バンドとが重ならないので、受信アンテナに鎖交する無線電波を確保でき、受信アンテナの受信感度を高く維持することができる。腕時計用バンドが導電性材料であれば無線電波が時計用バンドにも引き寄せられてしまうが、時計用バンドと受信アンテナとが重なっていなければ、時計用バンドに無線電波が引き寄せられるとしても受信アンテナの鎖交磁束に対する影響を小さくすることができる。
【0043】
本発明の電子時計は、発電機を有する発電機構と、時刻を計時する計時機構と、無線情報を受信するアンテナを有する受信機構とを備え、前記アンテナと前記発電機の発電コイルとの間に、前記アンテナを前記発電コイルより発生する磁界から遮蔽する磁界遮蔽手段が設けられていることが好ましい。
【0044】
このような構成によれば、発電機構の発電機による電気的エネルギーによって、計時機構や受信機構が駆動される。無線情報をアンテナで受信して、例えば、この無線情報が時刻情報を含む標準電波であれば、この時刻情報に基づいて計時機構の時刻が修正される。
磁界遮蔽手段がアンテナと発電コイルとの間に設けられているので、発電機で発電する際に発生する磁界(主として磁気力の作用している空間を指すが、本明細書においては磁気とも略同義に用いる)をアンテナに重畳しにくくできる。発電コイルからの磁界が遮蔽されてアンテナに届かなければ、アンテナで無線情報を受信する際に、発電コイルからの磁界によって無線情報の信号が変形されない。よって、アンテナで無線情報を確実に受信することができる。また、発電コイルからアンテナに流れてくる磁界が少なくなれば、アンテナの受信感度を引き上げても、アンテナは発電コイルからの磁界であるノイズを拾うことがなく、無線情報のみを受信することができる。これは、標準電波のような比較的弱い無線情報を受信する場合に大きな利点となる。
ここで、発電機とは、例えば、回転錘や巻真などによる機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換するコイルを有するものの他、商用電源から交流を変圧して充電する場合に用いられるコイル(変圧コイル)を有するものなどを含む。あるいは、ステッピングモータのコイルを用いてもよい。
【0045】
本発明の電子時計は、前記磁界遮蔽手段は、アンテナに沿って配置された強磁性体からなる1つ以上の磁界遮蔽部材を備えて構成されていることが好ましい。
【0046】
このような構成によれば、発電コイルで発生した磁界は、アンテナに到達する前に、強磁性体からなる磁界遮蔽部材の方に引き寄せられ、この磁界遮蔽部材を通過したあと発電コイルへ戻るループを描きやすくなる。つまり、発電コイルからの磁界が磁界遮蔽部材をバイパスすることにより、アンテナに届くまえに遮蔽される。よって、アンテナを通る磁界の磁束を減少させることができる。
このような強磁性体からなる磁界遮蔽部材は、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、あるいはこれらの合金で形成される。
【0047】
本発明の電子時計は、時刻を示す指針を駆動するステッピングモータが設けられ、前記磁界遮蔽手段の磁界遮蔽部材は、前記ステッピングモータのコイルコアを含んで構成されていることが好ましい。
【0048】
本発明の電子時計は、前記発電機構で発電された電力を蓄電する二次電池が設けられ、前記磁界遮蔽手段の磁界遮蔽部材は、前記二次電池のケースを含んで構成されていることが好ましい。
【0049】
磁界遮蔽部材としては、磁界遮蔽のための部材を新たに設けて構成してもよいが、通常の電子時計に含まれ、かつ、強磁性体で構成されている部品を流用すれば、部品点数を増加させないので、省スペース化や部品コスト低減を図ることができ、また、生産性の低下も防止できる。
なお、ステッピングモータや二次電池は、コイルコアやケースに磁界が流れてもモータの駆動や二次電池の蓄電には影響しないので問題はない。
ここで、磁界遮蔽手段は、1つ以上のステッピングモータのみで構成されていてもよく、1つ以上の二次電池のみで構成されていてもよく、さらには、1つ以上のステッピングモータと1つ以上の二次電池とで構成されていてもよい。
ステッピングモータや二次電池等の2つ以上の磁界遮蔽部材が設けられている場合には、これらの磁界遮蔽部材は、アンテナの発電コイル側にアンテナに沿って配置されていることが好ましい。
【0050】
本発明の電子時計は、前記発電コイルを含む平面に前記アンテナを投影した場合、前記アンテナの中心軸と前記発電機の発電コイルの中心軸とが、60度以上かつ120度以下の角度をなして交差していることを特徴とする。ここで、特に、アンテナおよび発電コイルの各中心軸は、略90度で交差していることが好ましい。
【0051】
本発明の電子時計は、前記発電機の発電コイルの中心軸を含む平面に対して前記アンテナの中心軸が60度以上かつ120度以下の角度をなして交差していることが好ましい。ここで、特に、前記交差角度は、略90度であることが好ましい。
【0052】
これらの構成によれば、アンテナに対して発電コイルから生じる磁界の影響を低減させることができる。よって、この磁界によるアンテナでの誤受信を少なくできる。すなわち、アンテナおよび発電コイルの各中心軸が投影面上において90度±30度の角度範囲で交差するか、または、発電コイルの中心軸を含む平面に対してアンテナの中心軸が90度±30度の角度範囲で交差すると、アンテナが発電コイルからの磁束線に沿わないので、発電コイルからの磁界がアンテナに干渉しにくくなり、アンテナでの誤受信を防止することができる。
【0053】
本発明の電子時計は、時刻を示す指針が設けられ、前記アンテナと前記発電コイルとは、前記指針の指針軸を挟んで反対側に配置されていることが好ましい。
【0054】
発電コイルからの磁界がアンテナに影響しないようにするためには、発電コイルとアンテナはできる限り離して配置されることが好ましい。よって、時刻を示す指針の指針軸を挟んで互いに反対側に発電コイルとアンテナを配置すれば、両者の距離を離すことができる。その結果、発電コイルからアンテナに到達する磁界を減少させることができ、磁界の影響を受けることなくアンテナで無線情報を受信することができる。
【0055】
本発明の電子時計は、前記無線情報は時刻コードを含む標準電波であり、当該電子時計は、前記標準電波を受信して前記計時機構の時刻を修正する電波修正時計であることが好ましい。
【0056】
このような構成によれば、無線情報の時刻コードを受信機構で受信して、受信した時刻コードに基づいて計時機構の時刻を修正するので、時刻情報として、例えば、長波標準電波を利用すれば、自動的に時刻を正確に修正する電波時計とすることができる。特に、標準電波は、比較的微弱な電波であるため、発電コイルから発生した磁界がアンテナに重畳し、標準電波と磁界とが干渉した場合には、ほとんど受信できなくなるが、本発明では、磁界遮蔽手段が設けられているので、確実に受信できる。
【0057】
本発明の電子機器は、発電機を有する発電機構と、無線情報を受信するアンテナを有する受信機構とを備え、前記アンテナと前記発電機の発電コイルとの間に、前記アンテナを前記発電コイルより発生する磁界から遮蔽する磁界遮蔽手段が設けられていることが好ましい。
【0058】
このような構成によれば、発電機構で得られた電力で電子機器を駆動させることができる。無線情報をアンテナで受信して、例えば、この無線情報が時刻情報を含むものであれば、この時刻情報に基づいて時刻を表示したり、無線情報がニュースであれば、このニュースを表示したりする。
アンテナと発電コイルとの間には、磁界遮蔽手段が設けられているので、発電機で発電する際に発生する磁界(磁力線)をアンテナに重畳しにくくできる。発電コイルからの磁界が遮蔽されてアンテナに届かなければ、アンテナで無線情報を受信する際に、発電コイルからの磁界によって無線情報の信号が変形されない。よって、アンテナで無線情報を確実に受信することができる。また、発電コイルからアンテナに流れてくる磁界が少なくなれば、アンテナの受信感度を引き上げても、アンテナは発電コイルからの磁界であるノイズを拾うことがなく、無線情報のみを受信することができる。これは、標準電波のような比較的弱い無線情報を受信する場合に大きな利点となる。
以上において、無線情報は時刻情報、ニュースに限られず、例えば、天気予報、電車の時刻表情報等の各種情報などでもよい。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
(第1実施形態)
図1に、本発明の電子時計および電子機器にかかる第1実施形態として腕時計型の電波時計1の外観図を示す。図2は、この電波時計1の裏蓋を外した図である。
この電波時計1は、基枠としての本体ケース2と、本体ケース2の内部に配設された時計用ムーブメント100と、無線情報(電波)として時刻情報を含んだ標準電波を受信するアンテナ8とを備えている。
本体ケース2は、略リング形状で、合成樹脂やセラミック等の非導電性材料であり、また黄銅や金合金などの反磁性体である材料によって形成され、本体ケース2の外表面には図1に示される時刻表示部3が設けられている。本体ケース2の外周で互いに反対位置には、腕時計用バンド23を取り付ける取付部が形成されている。
【0060】
時刻表示部3は、本体ケース2のリング内に取り付けられた略円形状の文字板31と、時刻を示す指針である秒針32、分針33、時針34とを備えて構成されている。略円形状の文字板31の背面と本体ケース2の内壁とにて略円形状の凹部22が形成され、この凹部22にムーブメント100が配設されている。
時計用ムーブメント100は、発電機構としての発電装置4と、発電装置4で発電された電力を蓄電する二次電池5と、二次電池5を電源として駆動される駆動部6と、水晶振動子71や制御用IC72が実装された回路ブロック7と、これらを挟持して一体化する地板9および輪列受け691とを備えて構成されている。
【0061】
発電装置4は、一端が本体ケース2の外部で他端が本体ケース2の内部にあって軸を回転可能に設けられたリュウズの巻真41と、この巻真41の回転による機械的エネルギーを歯車列によって伝達する動力伝達部42と、この動力伝達部42によって伝達された動力によって発電する発電機43とを備える。
発電機43は、動力伝達部42により伝達された動力で回転される発電用ロータ44と、発電用ステータ45および発電用コイル(発電コイル)46とを備えた一般的な発電機である。
動力伝達部42は、図3の断面図で示されるように、巻真41の他端側端部に設けられたつづみ車421から順次噛合されたクラウンギア422、中間ギア423を介して発電用ロータ44に連結された構成である。
巻真41は機械的エネルギー入力機構として機械的エネルギーを入力するのみでなく、時刻合わせなどにも利用できるものである。
【0062】
二次電池5は、従来知られた構成であり、その二次電池5のケース(外缶)はボタン型で金属製の強磁性体で形成されている。例えば、二次電池5のケースを形成する強磁性体としては、SUS304(ステンレス鋼)などを用いることができる。二次電池5としては、折曲、屈曲など変形自在の固体電解質の電池を用いてもよい。このような変形自在の二次電池5を用いた場合には、アンテナ8と発電用コイル46との間に適切な形に変形させて磁界遮蔽部材として配置してもよい。
駆動部6は、時刻表示部3の秒針32を駆動するための秒針駆動モータ61(第2電磁モータ、ステッピングモータ)と、分針33および時針34を駆動するための時分針駆動モータ65(第1電磁モータ、ステッピングモータ)と、秒針駆動モータ61と時分針駆動モータ65の動力をそれぞれ秒針32、分針33、時針34に伝達する輪列部69とを備えて構成されている。
【0063】
秒針駆動モータ61は、コイルコア621に巻かれた秒モータ用コイル62と、この秒モータ用コイル62からの誘起磁界を伝達する秒モータ用ステータ63と、秒モータ用ステータ63のステータ孔部分に回転自在に配置されて誘起磁界によって回転される秒モータ用ロータ64とを備えて構成されている。秒モータ用ロータ64のロータ磁石641は、2極以上に着磁された希土類磁石を使用し、例えば、サマリウムコバルト系を用いるのが好ましい。
時分針駆動モータ65の構成は、基本的に秒針駆動モータ61と同様であり、コイルコア661に巻かれた時分モータ用コイル66と、時分モータ用ステータ67と、時分モータ用ロータ68を備えて構成されている。時分モータ用ロータ68のロータ磁石681は、2極以上に着磁された希土類磁石を使用し、例えば、サマリウムコバルト系を用いるのが好ましい。秒針駆動モータ61のコイルコア621、秒モータ用ステータ63、時分針駆動用モータ65のコイルコア661、時分モータ用ステータ67は、パーマロイ材などの高透磁率部材で形成されている。
【0064】
輪列部69は、秒モータ用ロータ64および時分モータ用ロータ68にそれぞれ噛合され、各動力を秒針32、分針33、時針34に伝達する。
輪列部69や動力伝達部42などの歯車列の歯車軸は、時計や電子機器の小型化を図るため、機械的な強度を確保する必要があり、主に炭素鋼やスレンレス鋼などの鋼材によって形成されている。
【0065】
回路ブロック7は、一定周期の発振を行う水晶振動子71と、制御用IC72等とを備えて構成されている。水晶振動子71としては、基準クロックを発振する計時用の水晶振動子711と、標準電波の周波数に同調する同調信号生成用の同調用水晶振動子712、713とが設けられている.同調用水晶振動子は、たとえば、日本国内では、60kHzの標準電波に同調するための水晶振動子713と、40kHzの標準電波に同調するための水晶振動子712との二つが設けられる。また、例えば、欧米では、60kHzの水晶振動子、77.5kHzの水晶振動子を用いる。
IC72は、水晶振動子711からの周波数を分周して基準クロックを生成する分周回路や、基準クロックをカウントして時刻を計時する計時回路や、計時回路からの信号をもとに駆動部6のモータ(秒駆動モータ61、時分駆動モータ65)を制御する制御回路や、アンテナ8で受信した時刻情報を処理(増幅、復調など)する受信回路などを備えて構成されている。IC72は、可能な回路部分を共有化したり、アナログ回路ではなくコンピュータ等でソフト的に構成するなどでもよい。
ここで、水晶振動子711と分周回路、計時回路から計時機構が構成されている。
【0066】
アンテナ8は、フェライトからなるコア81と、このコア81にコイルが巻回された受信コイル82とで構成されている。アンテナ8のコア81は、フェライト、アモルファス金属、SUY(電磁軟鉄)などで形成されていてもよい。例えば、アンテナ8のコア81を電磁軟鉄で形成する場合には、本体ケース2の形状に沿って湾曲形状とするのに利点を有する。
アンテナ8で受信された時刻情報(無線情報)はIC72の受信回路に出力されて、信号処理がなされる。従って、アンテナ8とIC72の受信回路から受信機構が構成されている。
なお、アンテナ8で受信する時刻情報としては、例えば、長波標準電波(JJY)などを利用できる。
【0067】
次に、電波時計1の構成のレイアウトについて説明する。
電波時計1を裏蓋側から平面的に見た場合、図2に示すように、アンテナ8は、アンテナ8の中心軸8Aつまりコア81の中心軸が発電用コイル46の中心軸46A延長線と略90度の角度θ1で交差するように配置されている。
平面的な配置において、アンテナ8と発電用コイル46との間に、秒針駆動モータ61が配置されている。この秒針駆動モータ61のコイルコア621は磁界遮蔽部材として機能し、磁界遮蔽手段を構成している。
【0068】
本実施形態において、アンテナ8は、9時方向に設けられている。外部操作部材となるリュウズの巻真41は3時方向に設けられることが多いので、巻真41等と重ならないようにこの3時方向を除いた方向にアンテナ8を配置した方が薄型化に寄与する。ちなみに、アンテナ8を6時方向、12時方向に設けることも可能である。しかし、腕装着用のバンドが金属等の導電性材料で形成されている場合には、アンテナ8のコイル82に発生する鎖交磁束がバンドと重なりやすい。その結果、アンテナ8の受信感度が低減される可能性がある。そこで、金属等の導電性のバンドを用いた場合には、アンテナ8を9時方向へ配置した方が、アンテナ8の受信感度を良好に保つためにはよい。また、合成樹脂などの非導電性のバンドを用いた場合は、アンテナ8は6,9,12時のいずれの側に配置してもよい。
【0069】
本実施形態では、磁界遮蔽手段は、主として、秒針駆動モータ61のコイルコア621で構成されるが、アンテナ8と発電用コイル46との間に配列される輪列部69などの歯車列の金属製部品も磁界遮蔽手段に含まれる。
なお、磁界遮蔽部材(磁界遮蔽手段)がアンテナ8と発電用コイル46との間に配置されているとは、発電用コイル46で発生した磁界がアンテナ8を通って閉じる磁気回路に比べ、磁界遮蔽部材を通って閉じる磁気回路の回路長が短くなることを意味する。すなわち、発電用コイル46の各両端とアンテナ8の両端との間の距離よりも、秒モータ用コイル62で構成される磁界遮蔽手段の両端と発電用コイル46の各両端との間の距離のほうが短いことを意味する。
【0070】
本実施形態において、アンテナ8、発電機47、秒針駆動モータ61、時分針駆動モータ65、二次電池5は同一平面上に配置されている。つまり、これらは、基枠である本体ケース2の同一面上に配置され、電波時計1の厚み方向では互いに重ならない配置となっている。このような配置にすれば、電波時計1の厚さ寸法を非常に薄くでき、装着性や意匠性を向上できる。
【0071】
このような構成において、巻真41を手巻き操作によって回転させる。すると、巻真41の回転による機械的エネルギーが動力伝達部42の歯車列(つづみ車421、クラウンギヤ422、中間ギア423)を介して発電用ロータ44に伝達され、発電用ロータ44が回転される。発電用ロータ44が回転すると、発電用ステータ45に磁界の変動が生じ、この磁界の変動によって発電用コイル46に誘導電流が生じる。この誘導電流は二次電池5に蓄電される。この蓄電された電力によって、水晶振動子71やIC72、秒針駆動モータ61、時分針駆動モータ65が駆動される。
【0072】
水晶振動子71に電圧が印加された際に出力される発振信号がIC72上の分周回路で分周されて基準信号が生成される。この基準信号をもとにIC72上の計時回路で時刻が計時されるとともに、秒駆動モータ61、時分駆動モータ65が駆動され、秒モータ用ロータ64、時分モータ用ロータ68が回転される。秒モータ用ロータ64、時分モータ用ロータ68の回転は輪列部69によって指針(秒針32、分針33、時針34)に伝達され、時刻が表示される。
アンテナ8によって、時刻情報を受信すると、この時刻情報に基づいてIC72上の計時回路で計時される時刻が修正され、この修正された時刻が指針によって示される。
【0073】
このような構成における第1実施形態によれば次の効果を奏することができる。
(1)アンテナ8と発電用コイル46との間に、秒針駆動モータ61等の磁界遮蔽部材が配置されているので、発電用コイル46から発生する磁界の磁束は、アンテナ8に届く前に、秒針駆動モータ61等を通過して、再び発電用コイル46に戻る閉ループを形成しやすくなる。特に、コイルコア621、秒モータ用ステータ63がパーマロイ材等の高透磁率部材で形成されることにより、磁界の磁束を高透磁率の媒体に多く流し、磁気遮蔽効果を高めることができる。よって、発電用コイル46からの磁界がアンテナ8に届きにくくなるので、アンテナ8に対する発電用コイル46からの磁界の影響を低減し、アンテナ8の受信感度をより一層良好にすることができる。なお、輪列部69などの鋼材によっても発電用コイル46からの磁界がアンテナ8に届かないように遮蔽することができ、輪列部69も磁界遮蔽部材として活用される。
これらの磁界遮蔽部材は、電波時計1の部品として機能するものであり、磁界遮蔽用の新たな部品を組み込む必要が無く、アンテナ8、二次電池5、秒針駆動モータ62、時分針駆動モータ65、発電コイル46の平面的なレイアウトを調整するだけでよいため、部品点数の増加を抑え、コスト増や生産性の低下を防止できる。
【0074】
(2)磁界遮蔽部材によって、発電コイル46からの磁界がアンテナ8に届きにくくなるので、アンテナ8のコア81の磁歪(磁気ひずみ)を抑えることができる。よって、磁歪によるアンテナ8の内部破壊促進を抑えることができ、アンテナ8の寿命を延ばすことができる。
磁歪によって生じるコア81の伸縮が抑止できるので、受信コイル82の表面に施されている電気的絶縁被服膜とコア81との擦れを防ぐことができる。よって、受信コイル82とコア81との電気的な絶縁状態を長く維持することができる。
【0075】
(3)アンテナ8は、アンテナ8のコア81の中心軸8Aが発電用コイル46の中心軸46Aの延長線と略90度の角度θ1で交差するように配置されている。よって、アンテナ8で時刻情報を受信している最中に、巻真41が回転して発電用コイル46から磁界が発生しても、この磁界の磁束とアンテナ8のコイル82とが直行しているため、磁界の磁束がアンテナ8に重畳しにくい。その結果、アンテナ8に対する発電用コイル46からの磁界の影響を低減することができて誤受信を無くすことができ、アンテナ8の受信感度も良好にできる。
【0076】
(4)コア81は強磁性体であるフェライトで形成されているので、外部から電波時計1に浸入してくる磁界はコア81に収斂される。よって、外部からの磁界が秒針駆動モータ61等のステッピングモータの磁気回路内部まで侵入するのを抑止し、秒針駆動モータ61等が外部磁界によって誤作動するのを防止することができる。
【0077】
(第2実施形態)
図4に、本発明の電子時計にかかる第2実施形態としての電波時計1を示す。この電波時計1の基本的構成は第1実施形態と同様であり。第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、アンテナ8と発電用コイル46の配置である。本実施形態では、アンテナ8と発電用コイル46が指針(秒針32、分針33、時針34)の指針軸35を挟んで互いに反対側で、電波時計1の構成上互いに最も離れた位置に配置されている。
【0078】
発電用コイル46とアンテナ8との間には、二次電池5、秒針駆動モータ61、時分針駆動モータ65が配置されている。従って、秒モータ用コイル62のコイルコア621、時分モータ用コイルのコイルコア661、二次電池5のケースを含んで磁界遮蔽手段が構成されている。磁界遮蔽手段は、主として秒モータ用コイル62のコイルコア621、時分モータ用コイルのコイルコア661、二次電池5のケースで構成されるが、アンテナ8と発電用コイル46との間に配列される輪列部69や動力伝達部42などの歯車列の金属製部品も磁界遮蔽手段として含まれる。このため、発電用コイル46で発生する磁界の磁気回路は、アンテナ8を通らずに、秒モータ用コイル62のコイルコア621、時分モータ用コイルのコイルコア661、二次電池5、歯車列等を通して閉じるように形成される。
なお、二次電池5は、アンテナ8に隣接して配置されているが、二次電池5はアンテナ8の両端部ではなくアンテナ8の長手の辺に対して隣接して配置されている。二次電池5をアンテナ8の長手の辺に隣接させる場合、アンテナ8の中央部側に位置していることが好ましい。二次電池5がアンテナ8の中央部側に位置した方が、アンテナ8の鎖交磁束への影響を少なくすることができる。
【0079】
このような構成によれば、第1実施形態の効果(1)、(2)、(4)と同様の効果に加えて次の効果を奏することができる。
(5)アンテナ8と発電用コイル46が、指針(秒針32、分針33、時針34)の指針軸を挟んで互いに反対側で、その構成上最も離れた位置に配置されているので、発電用コイル46から発生された磁界がアンテナ8に届きにくい。このため、アンテナ8での受信時に、発電用コイル46からの磁界の影響を受けにくくできて誤受信も抑えることができる。
【0080】
(6)アンテナ8と発電用コイル46との間に、2つのモータ(秒駆動モータ61、時分針駆動モータ65)と二次電池5とが配置されているので、磁界遮蔽手段の全長を前記実施形態よりも長くでき、発電用コイル46から発生する磁界の磁束が、秒針駆動モータ61、時分針駆動モータ65、二次電池5を通過して、再び発電用コイル46に戻る閉ループをより一層形成しやすくなる。よって、磁界遮蔽手段による磁気シールド効果を向上でき、アンテナ8に対する発電用コイル46からの磁界の影響をより一層低減することができる。
【0081】
(第3実施形態)
図5に、本発明の電子時計にかかる第3実施形態としての電波時計1を示す。この電波時計1の基本的構成は第1実施形態と同様であり。第3実施形態が第1実施形態と異なるのは、動力伝達部42の中間ギアの構成である。
【0082】
本実施形態の中間ギア424を図6に示す。この中間ギア424は、クラウンギア422に噛合し回転軸に圧力ばめされた第1駆動ディスク425と、回転軸に圧力ばめされた第1円筒426と、回転軸に対して独立回転可能に遊合された第2円筒427と、発電用ロータ44に噛合され第2円筒427と一体回転する第2ディスク428と、一端が第1円筒に固定され他端が第2円筒に固定されたコイルバネ429とを備えて構成されている。さらに、発電用ロータ44と発電用ステータ45との間には、発電用ロータ44に対して一定以上のトルクが作用するまで発電用ロータ44の回転を固定する位置決め手段が設けられている。位置決め手段としては、例えば、発電用ステータ45のステータ孔部分に設けられる磁気飽和部のように、発電用ロータ44の回転を磁気的に拘束するものが利用できる。
発電用ロータ44が一定トルクまで拘束されているので、すなわち、第2駆動ディスク428および第2円筒427も一定トルクまでは回転が拘束される。
その他、アンテナ8と発電用コイル46の配置、磁界遮蔽部材などは第1実施形態と同様である。
【0083】
このような構成において、巻真41を回転させる。すると、巻真41の回転がつづみ車421を介して第1駆動ディスク425に伝達され、第1駆動ディスク425とともに回転軸が回転される。回転軸とともに第1円筒426が回転されるが、この回転動力は、コイルバネ429に蓄積される。コイルバネ429に蓄積された回転動力が一定トルクを超えると、第2円筒427とともに第2駆動ディスク428が回転される。この第2駆動ディスク428により発電用ロータ44が回転され発電される。
【0084】
このような第3実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)、(2)、(3)、(4)に加えて次の効果を奏することができる。
(7)中間ギア424によれば、一定以上のトルクによって発電用ロータ44が回転されるので、発電電圧の波形を一定にして発電ノイズを一定周波数以下に抑制することができる。よって、バンドパスフィルタ等の整流手段を簡略化することができる。また、巻真41を緩慢に回転させても、コイルバネ429に蓄積されたエネルギーが一気に開放されるので、発電用ロータ44は高速で回転される。よって、発電効率を向上させることができる。
【0085】
(8)コイルバネ429に一定トルクが蓄積されるまでは発電が抑制され、一定トルクの蓄積を待って発電されるので、発電・非発電状態が繰り返される。
発電・非発電が繰り返されると、発電コイル46からの磁界は発電状態時にのみ発生するので、常時発電するタイプの発電機に比べて、コイルバネ429を備える発電機によれば、磁界を発生している時間が減少する。よって、アンテナ8に影響する磁界を減少させることができ、さらに、磁界遮蔽部材によって磁界遮蔽を行えば、アンテナ8への磁界の影響をより一層抑えることができる。
また、発電コイル46とアンテナ8が近接配置された場合でも、非発電状態のときに無線信号を受信すれば、受信時の誤動作を防ぐことができる。この場合、発電電圧の波形が一定であることから、電子回路上で発電状態を認識することが容易である。
【0086】
(9)コイルバネ429によって、発電ノイズが一定周波数以下に抑えられるので、コア81の磁歪を抑止することができる。すなわち、コア81について、急激な磁界変化による磁歪の最大変量が抑えられるので、第1実施形態の(2)と同様の効果を奏することができる。つまり、磁歪による内部破壊を防ぎ、また、コア81と受信コイル82との電気的絶縁を長く維持することができる。
【0087】
(第4実施形態)
図7に、本発明の電子時計にかかる第4実施形態としての電波時計1を示す。この電波時計1は、基本的構成は第1実施形態と同様であるが、発電機の具体的構成が相違する。
本実施形態における発電機47は、図8の断面図に示されるように動力伝達部42によって伝達される回転(機械的エネルギー)によって回転されるとともに、所定間隔を有しかつ同軸心に設けられた一対の回転子円板471、472と、この回転子円板471、472に90度間隔で4点に対向して設けられた磁石474と、回転子円板471、472の間に配置された3つのコイル475とを備えて構成されている。
回転子円板471、472の回転軸、コイル475の中心軸方向は、図7の紙面直交方向である。すなわち、コイル475の軸方向は、アンテナ8のコア81を含む平面に対して直交する方向である。
【0088】
図9に、図7中IX−IX線での断面図を示す。図9において、断面的に見たとき、アンテナ8の地板9側の面、駆動モータ61の地板9側の面、電池5の地板9側の面は地板9を含む面S上で同一高さに位置している。
【0089】
このような構成において、巻真41が手巻き操作によって回転すると、動力伝達部42によって動力が伝達され、発電機47の回転子円板471、472が回転される。回転子円板471、472の回転とともに、磁石474が回転されると、コイル475を貫く磁束密度が変化されるので、コイル475に電流が発生する。
【0090】
このような第4実施形態によれば、前記各実施形態の効果(1)、(2)、(4)と同様の効果に加えて次の効果を奏することができる。
(10)発電機47のコイル475はアンテナ8のコア81を含む面に対して略直交しているので、発電機47のコイル475から発生する磁界の磁束に対して、アンテナ8が略直交する。よって、アンテナ8が発電機47のコイル475からの磁界の磁束線に沿わないので、発電機47のコイル475からの磁界がアンテナ8に干渉し難くなり、アンテナ8に対するコイル475からの磁界の影響を低減できるため、アンテナ8の受信感度を良好にすることができる。
【0091】
(11)アンテナ8に対して、発電機47のコイル475から発生する磁界の磁束が干渉しにくいので、アンテナ8に対する磁歪作用を抑止することができる。よって、第1実施形態の効果(2)と同様の効果を奏することができる。
(12)アンテナ8、駆動モータ61、電池5が同一高さに位置し、時計を構成する部品のなかで厚みのあるこれらの部品が厚み方向で重なることなく同一高さに配置されることにより、時計の厚みを最も薄くすることができる。
なお、第1実施形態〜第4実施形態の構成要素は、適宜組み合わせて使用してもよい。たとえば、第3実施形態の中間ギア424と第4実施形態の発電機47とを組み合わせてもよい。
【0092】
(第5実施形態)
次に、本発明の電子時計に係る第5実施形態について図10、図11、図12を参照して説明する。
図10に第5実施形態のムーブメント100を裏蓋側から見た平面図を示す。図11に、図10中のXI−XI線での断面図を示す。図12に、図10中XII−XII線での断面図を示す。なお、図10中、紙面上方を6時方向、紙面下方を12時方向、紙面右方向を3時方向とする。
【0093】
この電子時計は、非導電性材料または反磁性体材料からなる本体ケース(不図示)と、本体ケースの外部から入力操作を行う外部操作機構21と、本体ケースに収納される時計用ムーブメント100と、時刻情報を含む標準電波を受信するアンテナ8と、を備えて構成されている。
本体ケースの一面(図10中で紙面裏側面に相当)に時刻表示を行うための時刻表示部3が設けられ、この時刻表示部3は、略円形板状で本体ケースの一面を覆って設けられた文字板と、この文字板上を回動する指針(不図示)とを備えて構成される。指針は、秒を示す秒針、分を示す分針、時を示す時針などが設けられ、本実施形態では、時計体の略中心を回転中心として回動する。本体ケース(不図示)の裏蓋には時計用バンド23を挿通する図示しない取付孔が形成され、時計用バンド23は取付孔に挿着されている。
【0094】
外部操作機構21は本体ケースの略3時方向に設けられ、本体ケースに対して出没可能かつ軸中心に回転可能に設けられた竜頭211と、本体ケースに対して押動操作可能に設けられたAボタン212およびBボタン213とを備えて構成されている。
竜頭211は、本体ケースの胴部に軸方向進退可能に貫装された巻真41の一端に設けられ、竜頭211および巻真41は金属性部材により形成されている。竜頭211は、本体ケースに対して0段、1段、2段の三段階で引き出し可能であり、この3段の位置設定で操作入力を行う。
巻真41の他端は本体ケース内に位置し、レバー部材であるかんぬきおよびおしどり等(不図示)に係合している。巻真41の軸中心の回転は、図示しないつづみ車、小鉄車などを介して指針に伝達され、指針の位置が修正される。巻真41、かんぬき、おしどり、つづみ車および小鉄車は炭素鋼あるいはステンレス鋼等からつくられている。
【0095】
Aボタン212およびBボタン213は、竜頭211を間にして、略2時方向にAボタン212、略4時方向にBボタン213が設けられている。Aボタン212およびBボタン213は、スイッチレバー214に係合し、Aボタン212、Bボタン213の一回の押動操作によりスイッチレバー214がそれぞれ作動する。
【0096】
時計用ムーブメント100は、計時用の部品およびアンテナ8を載置する略真円形状の地板9を有している。基枠としての地板9は非導電性の部材(合成樹脂、セラミック等)で形成されており、本体ケースの内部で文字板の背面に配設される。
ムーブメント100は、指針に結合し指針に動力を伝達する輪列69と、輪列69に結合して指針を駆動する駆動部6と、電源としての電池5と、制御回路等が実装された回路ブロック7と、これら輪列69、駆動部6および電池5が載置される地板9とを備えて構成されている。なお、地板9の形状は円形のみならず楕円形状や四角形状などでもよい。
【0097】
輪列69は、地板9の略中央部に設けられ、地板9に対向して設けられた輪列受け691と地板9とによって軸受けされている。このように輪列69が地板9の略中心位置に配置されることにより、指針の回転軸を時計体の中心にとることができる。すると、指針の回転半径が大きくなり、時刻表示が見やすくなる。
【0098】
駆動部6は、秒針を駆動する秒針駆動モータ61と、時分針を駆動する時分針駆動モータ65とを備えて構成されている。
秒針駆動モータ61は、所定周期の駆動パルスが印加されるモータコイル62と、モータコイル62に生じる磁束を伝達するステータ63と、ステータ63から伝達される磁束で回転されるロータ64とを備えて構成されている。時分針駆動モータ65は、秒針駆動モータと同様にモータコイル66と、ステータ67と、ロータ68とを備えて構成されている。
ステータ63、67は、板状でパーマロイ等の高透磁率部材で形成されている。そして、ロータ64、68のロータカナが輪列に噛合しており、ロータ64、68の回転は輪列により指針に伝達される。
モータコイル62、66は、パーマロイ等の高透磁率材にて形成された棒状のコイルコア621、661に巻き回されており、十分な耐磁性能と十分なコイル抵抗を有する程度の巻き数を有するとともに、全体として巻き太る方向ではなく軸方向に沿って細長く巻かれている。
【0099】
時分針駆動モータ65は、輪列69よりも略1時方向から略2時方向の範囲でモータコイル66の軸線を3時と9時を結ぶ線に平行よりもやや9時側の一端を時計体中心に向けて配設されている。秒針駆動モータ61は、輪列69よりも略11時から略8時方向の範囲でモータコイル62の軸線を2時と8時とを結ぶ線に略平行に配設されている。
【0100】
電池5は、SUS304などの強磁性体で形成された金属性の外缶を有し、充放電可能な二次電池である。なお、電池5は一次電池でもよい。また二次電池のエネルギー源としては太陽光発電、太陽熱発電、熱差発電、運動エネルギーの電磁変換による発電、ピエゾ発電などどのような態様の発電であってもよい。電池5は、輪列69に対して略4時から略6時方向の範囲において、地板9の外縁に寄せた状態で電池5の外周の一部を地板9の外周に近接させて配設されている。電池5は、裏蓋側(図10中紙面表側)に正の電極を有し、文字板側(図10中紙面裏側)に負の電極を有する。
図12に示されるように、地板9の電池5に対応する位置には凹部91が凹設されており、この凹部91に電池5が載置されている。このように地板9に凹部91が形成されることにより、電池5を大きなものとし、電池5の容量を大きくすることができる。なお、電池容量の大半を消費する駆動モータ61、65のモータコイル62、66は、十分なコイル抵抗を有する程度に巻いて消費エネルギーを少なくしていることから、電池容量は小さくてもよいので電池5の厚みは比較的薄めに形成されている。
【0101】
回路ブロック7は、図11または図12に示されるように、輪列受け691の地板9とは反対の面上に配設されている。回路ブロック7は、回路基板73と、回路基板73の表裏両面に形成された配線パターン731と、計時機能を有するとともに駆動モータ61、65の駆動制御を行う計時用IC721と、受信した標準電波の受信処理を行う受信処理用IC722と、基準パルスを発振する水晶振動子711、712、713と、を備えて構成されている。
【0102】
回路基板73は、可撓性のポリイミドやガラスエポキシなどの合成樹脂等で形成されたフレキシブルプリント基板であり、略真円から電池5に対応する部分と、略1時から略10時を結ぶ線より縁の部分とが切り欠かれた形状である。回路基板73は両面に導通可能な配線パターン731を有している。また、図12に示されるように、回路基板73の地板9側の面には、電池5の負電極に接続される端子732が設けられている。この端子732は互いに異なる長さのばね部を二本有し、金メッキされている。このように二本のばね部が設けられることにより、端子732を薄く成形しても端子732の電池5に対する押圧力を大きくできるのでチャタリングを防止することができる。また、異なる長さのばね部が設けられることにより、ばね部同士の固有振動数が異なるので両者が同時に外部衝撃に共振することがなく、必ず少なくとも一方のばね部と電池5との導通を確保することができる。
【0103】
回路基板73は、地板9側に設けられた図示しない回路受座と、裏蓋側に設けられた回路押え板733とによって挟持されている。
回路押え板733は、回路基板73と略同様の形状であり、略真円から略1時から略10時を結ぶ線より縁の部分が切り欠かれた形状であり、モータコイル62、66やアンテナコイル82と重ならずに配置されている。
回路押え板733は、ステンレス鋼(SUS)等の強磁性体から形成され、電子部品に対する静電遮蔽材、遮光材、耐磁シールド部材および電子回路の各部品の位置を保持する保持部材を兼用するものである。
また、回路押え板733は、電池5の正極に接続され、ムーブメント100の電子回路に対して電池5の正極が基準電圧となるグランドとなっている。
【0104】
計時用IC721は、回路基板73の地板9側の面で、輪列69に対して略2時から略3時の範囲に配設されている。計時用IC721は、水晶振動子711からの基準クロックに従って現時刻を計時する現時刻カウンタや、受信用IC722で処理された標準電波の時刻情報に従って現時刻カウンタのカウント値を修正する時刻修正回路、モータコイル62、66に駆動パルスを印加して現時刻カウンタの現時刻に合わせて指針を駆動させるモータドライバなどを備えて構成されている。計時用IC721は、厚さが0.1mm〜0.3mm程度であり、計時用IC721と巻真41とは、時刻表示部3の視認方向で一部が重なっている。なお、時刻表示部3の視認方向とは、図10中で紙面垂直方向であり、図11、図12の矢印Lで示す方向であって、文字板に略直交する方向である。計時用IC721は薄いので、巻真41に重ねて配置しても時計の厚みに影響せず、計時用IC721と巻真41とが重ねて配置されることで時計を小型化することができる。
【0105】
受信用IC722は、回路基板73の地板9側の面で、輪列69に対して略9時から略12時の範囲に配設されている。受信用IC722は、アンテナ8で受信した標準電波を増幅する増幅回路、所望の周波数成分を抽出するフィルタ、信号を復調する復調回路、信号をデコードするデコード回路などを備えて構成されている。
【0106】
水晶振動子は、計時用の基準クロックを発振する計時用水晶振動子711と、標準電波に同調する同調信号を生成する同調用水晶振動子712、713とが設けられている。
計時用水晶振動子711は、輪列69に対して略11時方向で、計時用IC721に対して時分針駆動モータ65を間にして反対側に配設されている。
同調用水晶振動子は、例えば日本国では、40kHzの標準電波に同調する同調信号を生成する40kHz用水晶振動子713と、60kHzの標準電波に同調する同調信号を生成する60kHz用水晶振動子712とが設けられている。受信用IC722は、40kHzの標準電波の受信強度と60kHzの標準電波の受信強度との比較から受信強度が高い方を選択して、40kHzの同調用水晶振動子713と60kHzの同調用水晶振動子712とのどちらを用いるかを選択する。なお、例えば、欧米では、60kHzの水晶振動子、77.5kHzの水晶振動子を用いる。
【0107】
また、40kHz用水晶振動子713は、略6時方向で地板9の外縁に沿って配設され、60kHz用水晶振動子712は、略9時方向で地板9の外縁に沿って配設されている。このように同調用水晶振動子712、713を地板9の外縁に配設することにより、水晶振動子を複数配置することができる。同調用水晶振動子712、713は、受信用IC722に近接して配置されて電気的に接続されている。
地板9には、水晶振動子711〜713に対応する位置に凹部92が凹設されており、この凹部92に水晶振動子711〜713が載置され、回路押え板733の弾性力により水晶振動子711〜713は地板9に向けて付勢されて位置決めされている。水晶振動子711〜713のカプセルは、回路押え板733に接することにより電池の正電位と同電位になっている。
【0108】
アンテナ8は、フェライトにて形成された棒状のアンテナコア81と、アンテナコア81に巻きまわされたアンテナコイル82とを備えて構成されている。アンテナ8は、略12時から略9時の範囲でアンテナコイル82の軸線を略12時から略9時を結ぶ線に略平行にして地板9の外縁に配設されている。なお、地板9のアンテナコイル82に対応する位置は切り欠かれている。
【0109】
アンテナコア81の両端は、地板9の外周に沿っていることが望ましい。
また、アンテナコイル82は整列巻きされていることが望ましい。このような構成によれば、外観上見栄え良く精緻な印象を与えることができる。また、鎖交磁束のベクトルを揃えることにより受信感度を向上させることができる。
なお、巻線の材質として銅線、銀線等を用いることが例示される。
アンテナコイル82の巻線の断面形状は略正方形であることが望ましい。すると、巻線の断面を円形にする場合に比べ、アンテナコア81に巻線を巻きつけたときに巻線同士の間に隙間が生じない。その結果、巻き数を多くするとともに巻線を隙間無く集中させて巻くことができ、鎖交磁束を増大かつ集中させることで受信感度を向上させることができる。また、同じ巻き数であればアンテナ8自身を小型化することができ。電波修正時計1自体を小型化することができる。
また、アンテナコイル82の巻線の断面が円形状である場合には、アンテナコア81に巻線を巻き付ける際に、巻線の塑性変形域内の引っ張り応力で引っ張りながら巻線の断面形状を略六角形に変形させた状態で巻き付けてもよい。すると、巻線が蜂の巣状に巻かれるのでデッドスペースがなくなり小型化を図ることができる。また、巻線を隙間無く集中して巻くことができるので、鎖交磁束を集中させて受信感度を向上させることができる。
さらに、アンテナコイル82の巻線外形は、地板外周に沿って配置されていてもよい。
【0110】
アンテナ8は、秒針駆動モータ61および時分針駆動モータ65を間にして輪列69の反対側に位置しており、すなわち、輪列69、秒針駆動モータ61および時分針駆動モータ65を間にして電池5の反対側で対向している。そして、地板9上で寸法の大きい部品が近接すると地板9の強度が弱くなるところ、電池5とアンテナ8とが離れて配置されているので地板9の強度を保つことができる。
【0111】
時分針駆動モータ65の三時側(巻真側)端部651は、アンテナ8の三時側(巻真側)端部83を通ってアンテナコア81に直交する線83Aよりも三時側に抜き出ている。また、秒針駆動モータ61のモータコイル62の軸線S1はアンテナコイル82の軸線8Aに略平行であり、時分針駆動モータ65のモータコイル66の軸線S2は、アンテナコイル82の軸線8Aに対して略30度程度に傾斜している。そして、秒針駆動モータ61のモータコイル62の軸線S1と時分針駆動モータ65のモータコイル66の軸線S2とは略隙間無く連続して、電池5とアンテナ8とを区画している。
【0112】
また、外部操作機構21を構成する巻真41とアンテナ8とは地板9上で所定距離だけ離隔して配置されている。このように巻真41とアンテナ8とが離隔されているので、巻真41がステンレス鋼、炭素鋼等などの金属性部材であっても巻真41が帯びる磁気がアンテナ8に影響せず、アンテナ8の受信感度を向上させることができる。
【0113】
電池5、秒針駆動モータ61、時分針駆動モータ65、水晶振動子711〜713およびアンテナ8は、平面的に異なる位置に配設されており、時刻視認方向Lから見て平面的に重ならない位置に配設されている。すなわち、時刻視認方向Lから電池5、秒針駆動モータ61、時分針駆動モータ65、水晶振動子711〜713およびアンテナ8を投影した場合、これらの投影像は互いに異なっており重ならない。さらに、図11および図12において、断面的に見たとき、アンテナ8の裏蓋側の面、駆動モータ61、65の裏蓋側の面、電池5の裏蓋側の面は同一平面上で同一高さに位置している。
また、図11および図12に示されるように、水晶振動子711〜713も電池5、秒針駆動モータ61、時分針駆動モータ65、水晶振動子711〜713およびアンテナ8と同じ高さに位置していることが望ましい。
【0114】
また、時計用バンド23がSUS(ステンレス鋼)、チタン合金、金合金、真鍮などの導電性材料を含んで形成されている場合、アンテナ8と時計用バンド23とは時刻視認方向Lで重ならない位置関係に配設されていることが望ましい。すなわち、時刻視認方向Lから見ると、時計用バンド23は時計体の略中心を通って長手方向がアンテナコイル82の軸線に略平行に設けられている。そして、時計用バンド23の幅はアンテナ8に重ならない程度の広さに形成されている。このような構成において、腕時計用バンドが導電性材料であれば標準電波が時計用バンド23にも引き寄せられてしまうが、時計用バンド23とアンテナ8とが重ならないので、時計用バンド23がアンテナ8の鎖交磁束に与える影響を小さくすることができる。
【0115】
次に、この電波時計1の操作について説明する。
操作モードとしては、竜頭0段目での時刻表示モードと、竜頭1段目での時刻手動修正モードと、竜頭2段目での指針0位置修正モードとの三つのモードがある。
竜頭0段目の時刻表示モードにおいて、通常は現時刻表示が行われる。この状態で、Aボタン212を2秒以上押すと、標準電波の強制受信モードに移行し、標準電波の受信が行われる。受信が完了すると受信した時刻情報に従って時刻修正が行われ、その後、通常の運針に移行する。標準電波の受信に成功しなかった場合でも、通常の現時刻カウンタに従った運針に移行する。また、Bボタン213を押すと、受信確認モードに移行する。受信確認モードでは、直近の数時間以内に受信に成功していれば受信成功の合図として秒針が30秒位置(文字板31上で“6”を指す)に移動される。受信に成功していなければ、指針の運針が停止される。受信確認モードは5秒間行われ、その後通常の運針に移行する。
【0116】
竜頭1段目の時刻手動修正モードにおいて、Aボタン212を一回押すと、秒針が一目盛り早送りされ、Bボタン213を所定時間継続して押すと、秒針が128Hzのパルスで早送りされる。Bボタン213を一回押すと、分針が一目盛り早送りされ、Bボタン213を所定時間継続して押すと、分針が128Hzのパルスで早送りされる。
竜頭2段目の指針0位置修正モードにおいて、Aボタン212を押すと、秒針が帰零される。また、Bボタン213を押すと、分針が帰零される。
【0117】
このような構成を備える第5実施形態によれば、上記実施形態の効果(12)に加えて次の効果を奏することができる。
(13)時計用部品の中では比較的サイズが大きいアンテナ8、時分針駆動モータ65、秒針駆動モータ61および電池5が平面的に重ならないで同一平面上の異なる位置で同一高さに配置されているので、時計の厚みを最も薄くすることができる。時計の厚みを最も薄くすることができるので、腕時計など携帯型時計とする場合に、デザイン性や装着性を向上させることができる。
【0118】
(14)アンテナ8と電池5とは、輪列69および時分針駆動モータ65、秒針駆動モータ61を間にして反対側に配設されているので、電池5から生じる磁界が輪列69や駆動モータ61、65のステータ63、67コイルコア621、661により遮蔽される。電池5が充放電する際には電界の変化が生じるため磁界が生じ、この磁界はアンテナコア81を含む平面上に進行方向を有するのでアンテナ8に干渉しやすい。しかしながら、アンテナ8と電池5とを離して配置するので、電池5から生じる磁界がアンテナ8に影響せず、アンテナ8の受信感度を向上させることができる。そして、アンテナ8と電池5とを離すことで生じたスペースに輪列69や駆動モータ61、65を配置することによりデッドスペースを排して空間利用効率を高め、時計の小型化を図ることができる。
【0119】
(15)秒針駆動モータ61のコイルコア621と時分針駆動モータ65のコイルコア661とはアンテナ8と電池5との間で、アンテナコイル82の軸線8Aに対して略平行から略30度程度の角度で配設され、コイルコア621、661により電池5とアンテナ8とが区画されている。よって、電池5から生じる磁界をコイルコア621、661により略完全に遮蔽し、アンテナ8の受信感度を向上させることができる。
【0120】
(16)同調用水晶振動子712、713と受信用IC722とが近接して配置されているので、両者の間を繋ぐ配線間の浮遊容量が小さくなり、標準電波を受信する際にアンテナ8で受ける電波から標準電波のみを正確に抽出することができる。よって、標準電波を確実に受信して時刻修正を正確に行うことができる。そして、受信する時刻情報で正確に時刻修正を行うことができるので、計時用水晶振動子711と計時用IC721とは離れていてもよく、時分駆動モータ65を間にして反対側に配置することができる。
【0121】
(17)地板9、回路基板73および回路押え板733のアンテナコイル82に対応する位置は切りかかれているので、アンテナコイル82を地板9などに邪魔されることなく太く巻くことができる。よって、アンテナ8の受信感度を向上させることができる。
【0122】
(18)電池5に対してSUS等の強磁性体である回路押え板733が重ねて配置されているので、電池5から生じる磁界を回路押え板733で遮蔽して電池5からの磁界によるアンテナ8への影響を抑止することができる。電池5とアンテナ8とは構成上最も離隔して配置することが望ましいところアンテナ8と電池5との離隔距離が時計の外形を規定する一因になる。回路押え板733を設けることによって電池5とアンテナ8とを近づける構成が可能となるので、時計を小型化することができる。
【0123】
尚、本発明の電子時計および電子機器は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
発電装置4は、上記実施形態の巻真41を回転させて機械的エネルギーを得るものに限られず、例えば、機械的エネルギー入力機構として回転錘の回転によってエネルギーを得るものでもよい。回転錘の回転を歯車列などで伝達すれば、発電機43、47で発電することができる。
【0124】
第1実施形態において、アンテナ8の中心軸8Aと発電用コイル46の中心軸46Aとが交差する角度は、略90度でなくても60度以上、120度以下の範囲でもよい。このような構成によっても、発電用コイル46からの磁界の磁束がアンテナ8に沿わないので、アンテナ8にこの磁界が影響しにくい。
【0125】
さらに、アンテナ8と発電用コイル46は同一平面上に配置されず、立体的に交差していてもよい。例えば、時刻表示部3の時刻を視認する方向から見た場合に、アンテナ8の中心軸8Aと発電コイル46の中心軸46Aが投影面において60度以上120度以下で交差していてもよい。
上記第1から第4実施形態において、発電装置4が本体ケース2から脱着する構成でもよい。
上記各実施形態において、指針駆動用モータまたは二次電池の数は特に限定されず、一つでも二つ以上でもよい。
【0126】
磁界遮蔽部材は、モータのコイルコア621、661や二次電池5のケースに限らず、例えば、磁界遮蔽用の磁気シールド材を新たに設けて構成してもよい。この磁界遮蔽部材としては、鉄、ニッケルや、パーマロイ等の各種合金が利用でき、いわゆる強磁性体であればよい。
【0127】
上記実施形態において、秒針駆動モータ61のコイルコア621および時分針駆動モータ65のコイルコア661は、Co(コバルト)が50wt%以上となるコバルト系アモルファス金属で形成されてもよい。秒モータ用ステータ64および時分モータ用ステータ67は鉄が50wt%以上の鉄系アモルファス金属で形成されていてもよい。このようなアモルファス金属は透磁率が高いので、コイルコア621、コイルコア661、秒モータ用ステータ64、時分モータ用ステータ67を磁界遮蔽部材として利用することができる。さらに、コイルコア621、コイルコア661がCo50wt%以上のアモルファス金属で形成された場合、鉄損を防ぎモータの効率を上げることができる。
【0128】
本発明は、電波時計の内部の構成部材より発生する磁界からアンテナ8を磁界遮蔽部材によって遮蔽するものである。磁界の発生源としては、上記実施形態で説明した発電機の発電コイルの他、例えば、商用電源から交流を変圧して充電する場合に用いられる変圧コイルなどもある。この変圧コイルとしては、例えば、ステッピングモータのモータコイルが使用されてもよい。
【0129】
アンテナ8で無線情報を受信している間は、指針駆動用モータの駆動を停止してもよい。このように無線情報の受信時に指針駆動用モータの電流を停止しておけば、指針駆動用モータから発生する磁界がアンテナ8に重畳されることがなく、また、指針駆動用モータのモータ用コイルで発電コイルからの磁界を効率よく遮蔽することができる。ちなみに、指針を駆動させるために必要な電流は間欠的で微弱なものでよいので、このような電流が指針駆動用モータに流れていても、モータ用コイルから発生する磁界は弱いものであり、磁界遮蔽手段としても十分に機能するものである。
【0130】
第1、第3、第4実施形態において、無線情報を受信している間は、秒針駆動モータ61の駆動を停止する一方、時分針駆動モータ65の駆動は続けていてもよい。時分針駆動モータ65は、秒針駆動モータ61に比べてアンテナ8から遠い位置に配置してあるので、時分針駆動モータ65から発生する磁界がアンテナ8での受信に影響しにくい。この場合、無線情報を受信している最中でも、時分に関しては現時刻を表示することができる。
【0131】
各実施形態において、時刻表示部3は、指針を駆動して時刻を示すものでもよく、ディスク板を駆動することによって時刻を示すものでもよい。時刻表示部3の指針は指針駆動用モータのロータ軸に直接取り付けられていてもよく、指針駆動用モータから輪列部やタイミングベルトなどの伝達手段を介して指針やディスク板が駆動されてもよい。
各実施形態において、アンテナ8と文字板31とは重ねて配置されていてもよい。このような構成によれば、文字板31を大きくできるので、指針の長さも最大限長くすることができる。その結果、時刻表示を見やすくできる。文字板31自体は薄いものであるので、アンテナ8と文字板31が重なる場合でも、アンテナ8、電磁モータ(秒針駆動モータ61、時分針駆動モータ65)、二次電池5が厚み方向で重ならないように配置されていれば、全体として薄型にすることができる。
【0132】
第5実施形態において、時分針用駆動モータ65の三時側端部が、アンテナ8の三時側端部を通ってアンテナコア81に直交する線よりも三時側に抜き出ている例について説明したが、同様に秒針駆動モータ61の端部が、アンテナ8の端部を通ってアンテナコア81に直交する線よりもアンテナ8の外方へ抜き出ていてもよい。このようにアンテナ8の端部から駆動モータ61、65の端部が抜き出ていれば、電池5から生じる磁界がアンテナ8に鎖交することをより確実に防止してアンテナ8の受信感度を向上させることができる。
【0133】
上記各実施形態において、アンテナコアは、アモルファス金属から形成されていてもよい。0.01mm〜0.05mm程度の厚さからなる薄板状で長細いアモルファス金属板を複数枚積層し、その材質としては、たとえば、Co50wt%以上のアモルファス金属で構成される。ここで、アモルファス金属板の厚みが0.05mmより厚くなると、板圧中央部は迅速な冷却を行うことが困難なため、金属はアモルファス化させることなく結晶化されてしまう。すなわち、アモルファス金属を製造するには、金属が結晶化される以前に、迅速な冷却作業を行う必要があり、そのためには、金属の厚みを薄くしなくてはならない。また、アモルファス金属板の厚みが0.01mmより薄くなると、組立作業等において、アモルファス金属板の強度が弱くなって変形しやすくなるので、部品の位置決め作業や部品の取扱作業等が非常にやりにくくなる。
アモルファス金属板の厚みは総て略同程度であるが、積層方向で上方および下方に積層されるアモルファス金属板の幅は、中央に積層されるアモルファス金属板に比べてしだいに幅狭に形成されていてもよい。アモルファス金属板同士は、互いにエポキシ系樹脂などの絶縁性の接着材によって接着されている。そして、積層されたアンテナコアの断面形状は略楕円形状とすることができる。したがって、時計部品の中では比較的サイズが大きいアンテナコアの形状を自由に変えることが可能となるので、ムーブメント外形形状を変えることが容易となり、時計のデザイン性が向上させることができる。
【0134】
本発明は電波時計に限られず、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電装置4とアンテナ8を備え、無線情報を受信する電子時計でもよい。または、計時機構を備えない電子機器でもよい。そして、携帯無線機、携帯ラジオやオルゴール、携帯電話、電子手帳など種々の電子機器に適用できる。例えば、気圧、ガス濃度、電圧、電流などの物理特性の測定結果が無線情報で送信され、その無線情報を受信する電子機器が指針を駆動して測定値をアナログ表示するなどでもよい。
【0135】
無線情報は長波標準電波による時刻情報に限られない。例えば、FMやGPSあるいはブルーツースや非接触ICカードでの無線情報でもよく、ニュースや天気予報など無線情報の内容も限定されない。
受信された外部無線情報が、例えば、天気予報であれば、予め設けられた晴れ、曇り、雨といった情報を指針で指し示すように、指針駆動によって表示されてもよく、また、ニュースや株価情報などは液晶表示装置などの電子表示装置によって表示されてもよい。
なお、上記変形例は適宜組み合わせてもよく、各実施形態と適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電波時計の外観図である。
【図2】前記第1実施形態の裏蓋をはずした内部構成図である。
【図3】前記第1実施形態において、動力伝達部の拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電波時計の裏蓋をはずした内部構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る電波時計の裏蓋をはずした内部構成図である。
【図6】前記第3実施形態において、動力伝達部の拡大断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る電波時計の裏蓋をはずした内部構成図である。
【図8】前記第4実施形態において、発電機の断面図である。
【図9】前記第4実施形態において、図7中IX−IX線における断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態のムーブメントを裏蓋側から見た平面図である。
【図11】前記第5実施形態において、図10中XI−XI線における断面図である。
【図12】前記第5実施形態において、図10中XII−XII線における断面図である。
【符号の説明】
1…電波時計、3…時刻表示部、4…発電装置、5…二次電池(磁界遮蔽手段)、8…アンテナ、8A…アンテナのコアの中心軸、32…秒針(指針)、33…分針(指針)、34…時針(指針)、35…指針軸、43、47…発電機、46…発電用コイル、46A…発電コイルの中心軸、61…秒針駆動モータ(ステッピングモータ)、62…秒モータ用コイル(モータコイル)、65…時分針駆動モータ(ステッピングモータ)、66…時分モータ用コイル(モータコイル)、621…秒モータ用コイルのコイルコア(磁界遮蔽手段)、661…時分モータ用コイルのコイルコア(磁界遮蔽手段)

Claims (19)

  1. 電波を受信する電波受信用アンテナと、時刻表示部を駆動する1つ以上の電磁モータと、1つ以上の電源と、前記電波受信用アンテナ、前記電磁モータおよび前記電源が載置される基枠とを備え、
    前記時刻表示部を視認する方向から前記アンテナ、前記電磁モータおよび前記電源を投影した投影像は互いに離間していることを特徴とする電子時計。
  2. 請求項1に記載の電子時計において、
    前記アンテナ、前記電磁モータおよび前記電源は、前記時刻表示部を視認する方向に略直交する同一平面上に配置されていることを特徴とする電子時計。
  3. 請求項1に記載の電子時計において、
    前記電源と前記アンテナとは前記電磁モータを間にして互いに離隔した位置に配置されていることを特徴とする電子時計。
  4. 請求項1に記載の電子時計において、
    前記電磁モータは、時分針駆動用の第1電磁モータおよび秒針駆動用の第2電磁モータを有し、
    前記電源と前記アンテナとは前記第1電磁モータおよび前記第2電磁モータを間にして配置され、
    前記電源、前記アンテナ、前記第1電磁モータおよび前記第2電磁モータは同一平面上に配置されていることを特徴とする電子時計。
  5. 請求項1において、
    巻真を有する時刻修正機構が地板外周に沿って配置され、
    前記電磁モータを制御する計時用制御回路を備え、
    前記時刻表示部を視認する方向から前記計時用制御回路および前記時刻修正機構を投影した投影像は少なくとも一部が互いに重なり、
    前記時刻表示部を視認する方向から前記電源、前記電磁モータおよび前記アンテナを投影した投影像は互いに離間していることを特徴とする電子時計。
  6. 請求項1に記載の電子時計において、
    前記時刻表示用の指針に前記電磁モータの駆動エネルギーを伝達する輪列を備え、
    前記輪列は前記基枠の略中心に配設されていることを特徴とする電子時計。
  7. 請求項1に記載の電子時計において、
    前記電波に同調する同調信号を生成する同調信号用水晶振動子と、前記アンテナにて受信した電波を処理する受信処理回路とを備え、
    前記同調信号用水晶振動子と前記受信処理回路とは近接して配設され、
    前記時刻表示部の視認方向から前記同調用水晶振動子、前記電源、前記アンテナおよび前記電磁モータを投影した投影像は互いに離間し、
    前記時刻表示部の視認方向から前記受信処理回路、前記同調用水晶振動子、前記電源、前記アンテナおよび前記電磁モータを投影した投影像は互いに離間していることを特徴とする電子時計。
  8. 請求項1に記載の電子時計において、
    前記電源と前記時刻修正機構とは、互いに隣接するとともに地板外周に沿って配設され、
    前記アンテナと前記電源とは所定距離だけ離隔して配設され、前記アンテナと前記時刻修正機構とは所定距離だけ離隔して配設されていることを特徴とする電子時計。
  9. 請求項1に記載の電子時計において、
    両面に導通パターンを有する回路基板を備え、
    前記アンテナの前記基枠に離隔する面と前記電源の前記基枠に離隔する面とは前記回路基板を間にして反対側に位置し、
    回路基板を基枠側に向けて押圧するとともに強磁性体で形成された回路押え板を備えていることを特徴とする電子時計。
  10. 請求項1に記載の電子時計において、
    前記電波は時刻コードを含む標準電波であり、
    当該電子時計は、前記標準電波を受信して計時機構の時刻を修正する電波修正時計であることを特徴とする電子時計。
  11. 発電機を有する発電機構と、時刻を計時する計時機構と、無線情報を受信するアンテナを有する受信機構とを備え、
    前記アンテナと前記発電機の発電コイルとの間に、前記アンテナを前記発電コイルより発生する磁界から遮蔽する磁界遮蔽手段が設けられていることを特徴とする電子時計。
  12. 請求項11に記載の電子時計において、
    前記磁界遮蔽手段は、アンテナに沿って配置された強磁性体からなる1つ以上の磁界遮蔽部材を備えて構成されていることを特徴とする電子時計。
  13. 請求項12に記載の電子時計において、
    時刻を示す指針を駆動するステッピングモータが設けられ、
    前記磁界遮蔽手段の磁界遮蔽部材は、前記ステッピングモータのコイルコアを含んで構成されていることを特徴とする電子時計。
  14. 請求項12に記載の電子時計において、
    前記発電機構で発電された電力を蓄電する二次電池が設けられ、
    前記磁界遮蔽手段の磁界遮蔽部材は、前記二次電池のケースを含んで構成されていることを特徴とする電子時計。
  15. 請求項11に記載の電子時計において、
    前記発電コイルを含む平面に前記アンテナを投影した場合、前記アンテナの中心軸と前記発電機の発電コイルの中心軸とが、60度以上かつ120度以下の角度をなして交差していることを特徴とする電子時計。
  16. 請求項11に記載の電子時計において、
    前記発電機の発電コイルの中心軸を含む平面に対して前記アンテナの中心軸が60度以上かつ120度以下の角度をなして交差していることを特徴とする電子時計。
  17. 請求項11に記載の電子時計において、
    時刻を示す指針が設けられ、
    前記アンテナと前記発電コイルとは、前記指針の指針軸を挟んで反対側に配置されていることを特徴とする電子時計。
  18. 請求項11に記載の電子時計において、
    前記無線情報は時刻コードを含む標準電波であり、
    当該電子時計は、前記標準電波を受信して前記計時機構の時刻を修正する電波修正時計であることを特徴とする電子時計。
  19. 発電機を有する発電機構と、無線情報を受信するアンテナを有する受信機構とを備え、
    前記アンテナと前記発電機の発電コイルとの間に、前記アンテナを前記発電コイルより発生する磁界から遮蔽する磁界遮蔽手段が設けられていることを特徴とする電子機器。
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