JP4273900B2 - アンテナ内蔵式電子時計 - Google Patents
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Description
このようなアンテナが内蔵された電子時計においては、指針を駆動するモータの駆動に伴い発生するノイズが受信性能に悪影響を与える可能性があるため、モータコイルとアンテナとは可能な限り平面的に離して配置していた(例えば、特許文献1参照)。
そして、ノイズが発生していないモータコイルは、アンテナに並設することで、アンテナと磁気的に結合し、アンテナの無給電素子(非励磁素子)として機能させることができる。そして、アンテナに対し、無給電素子であるモータコイルを並べて配置することで、実質的にはアンテナの断面積が拡大した場合と同等となり、電波の磁界成分(磁束)がアンテナ近傍に多く集まって磁束密度が高くなり、その分、アンテナ内を通過する磁束量が高まるため、アンテナ特性を向上することができる。
また、現在受信しているデータが有効なデータであるか、無効なデータであるかの判断は、例えば、標準電波のように、タイムコードが決められている場合には、そのタイムコードにおいて各データが送信されるタイミングで制御してもよいし、データ内に次に送られる各データの種類を示すマーカーなどが含まれている場合には、そのマーカー情報を参照し、その後に送られるデータがその時計において有効なデータであるか否かを判断してもよい。さらには、各データの先頭からの一部を受信解析し、そのデータの種類を判断して有効か否かを判定してもよい。
従って、モータコイルがアンテナに対して、それらの各軸方向が互いに略平行となるように並設されるとは、例えば、モータコイルおよびアンテナが共に直線状に形成されている場合、その長手方向に沿った軸方向が互いに略平行となるように配置されていることを意味する。また、アンテナが平面円弧状に湾曲されている場合には、前記アンテナの軸方向(アンテナの中心部の接線方向)とモータコイルの長手方向に沿った軸方向とが略平行となるように配置されていることを意味する。
ここで、略平行とは、各軸方向が平行である場合に限らず、モータコイルを並設した際に、アンテナを鎖交する磁束数を増加できる向きに配置されていればよい。すなわち、アンテナを鎖交する方向の磁束密度を向上させるには、アンテナを鎖交する磁束の方向とモータコイルを鎖交する磁束の方向とがほぼ一致している必要がある。従って、アンテナおよびモータコイルの各軸方向の交差角度が0度、つまり平行であることが最も好ましいが、各軸方向の交差角度が約30度以内程度であっても、モータコイルによって磁束密度を向上する効果は得られる。従って、モータコイルはアンテナを鎖交する磁束数を増加できる向きに配置されていればよく、例えば、各軸方向の交差角度が30度以内、好ましくは15度以内、より好ましくは5度以内であればよい。ここで、各軸方向の交差角度が0度とは、例えば、腕時計において、前記アンテナの軸方向とモータコイルの軸方向とが、時計の平面方向および断面方向の各方向において0度であること、つまり各軸方向が3次元的にも平行であることを意味する。
さらに、モータコイルは、前記アンテナのコイルと磁気的に結合可能とされていればよいため、アンテナおよびモータコイル同士を当接させる必要はなく、所定間隔離れて配置されていてもよい。要するに受信動作時に磁気的に結合できる間隔で隣接配置されていればよい。この磁気的結合が可能な間隔は、アンテナ長によって変化し、アンテナ長が長くなると、モータコイルとの間隔が大きくなっても磁気的結合が可能となる。従って、アンテナおよびモータコイルの間隔は、アンテナ長に応じて設定すればよい。
また、モータによって駆動される表示部としては、時針、分針、秒針、クロノグラフ秒針等の各種指針に限らず、日付が印刷された日車等も含むものであり、時計で計時する各種時刻(年月日等も含む)、時間を表示するものであればよい。
また、アンテナの長さLは、アンテナのコアが直線状に形成されている場合には、その両端面間の距離を意味する。一方で、コアが平面湾曲していたり、その長手方向の途中で折曲されて平面多角形状に形成されている場合には、コアの両端間の直線距離としてもよいし、コアの軸線に沿った距離(コアが平面円弧状に形成されている場合には、その円弧状の中心軸の長さ)としてもよい。この場合、同じアンテナであっても、直線距離とした場合と軸線距離とした場合とで長さLの数値が相違するが、定数Aを設定する際に、直線距離用あるいは軸線距離用の定数Aを設定し、その設定された定数Aに応じた距離Lを選択して用いればよい。
次に、時計つまり外装ケースのサイズ等に応じて使用するアンテナのサイズ(L,S)を設定し、上記式1に各数値を代入してDを求める。そして、アンテナおよびモータコイルを、少なくとも前記距離D以下に近付けて配置する。
なお、モータコイルの配置位置のアンテナからの距離の上限は前記距離Dで設定されるが、下限は特に設定されていない。アンテナの受信感度向上の点では、アンテナおよびモータコイルは近接配置することが好ましいため、前記下限は、アンテナおよびモータコイルの納まり、他の部品との配置関係等によって設定すればよい。
一方、L/Sが小さくなると、つまり基準となるアンテナに比べて、実際に使用するアンテナの長さLが短くなったり、断面積Sが大きくなると、前記距離Dは小さくなるため、アンテナは基準となるアンテナを用いた場合に比べてモータコイルにより近接して配置しなければならない。
ここで、電子時計内に組み込まれるアンテナは、通常、バーアンテナが利用され、このバーアンテナは、図15,16に示すように、通常、指向性を有する。つまり、バーアンテナは、コアやコイルの軸方向の磁界に反応する指向性を有している。また、図15,16から分かるように、アンテナの指向性は、細長い形状のアンテナ800Aのほうが、太く短い形状のアンテナ800Bに比べて鋭くなる。なお、一方のアンテナの指向性が他方のアンテナよりも鋭い(強い)とは、一方のアンテナの半値角が、他方のアンテナの半値角よりも狭いことを意味し、逆に、一方のアンテナの指向性が他方のアンテナよりも鈍い(弱い)とは、一方のアンテナの半値角が、他方のアンテナの半値角よりも広いことを意味する。
一方、指向性が鈍い場合には、アンテナの長手方向に直交する方向の電波の受信感度が弱くなってモータコイルと結合し難くなるため、アンテナおよびモータコイル間の距離を近付けなければ、磁気的結合することができなくなる。但し、アンテナの指向性が弱い場合には、アンテナの指向性の向きに対して受信電波の進行方向がある程度ずれていても、電波を受信することができる。
従って、L/Sの大きなアンテナつまり指向性の鋭いアンテナを用いれば、アンテナおよびモータコイルをある程度離して配置しても、モータコイルの作用でアンテナを鎖交する磁束数を増加できる。このため、アンテナの受信感度を向上でき、かつ、アンテナおよびモータコイルの配置の自由度を向上できて時計のレイアウト設計を容易にできる。
また、L/Sの小さなアンテナつまり指向性の鈍いアンテナを用いれば、モータコイルの作用でアンテナを鎖交する磁束数を増加できるとともに、指向性が弱くなるため受信可能な電波の方向が広がって受信が容易になるとともに、ケースの小型化を実現できる。
このように、L/Sという新規なパラメータに基づいて距離Dを求めることができるので、アンテナおよびモータコイルの並設する際の配置位置の設計を容易に行うことができ、かつ各種時計の特性に応じた受信特性に設定できる。
このような構成によれば、外装ケースの内側にアンテナが配置され、さらにアンテナの内側にモータコイルが配置されるため、アンテナおよびモータコイルが時計の断面方向に重ならず、ムーブメントつまり時計を薄型化できる。また、モータは外装ケースの中心側に位置する輪列を駆動するため、アンテナの内側に配置されていれば、モータおよび輪列を近接配置でき、部品配置が容易になる。
さらに、アンテナが外装ケースの内周面に沿って配置されていれば、つまりアンテナの軸方向がケース内周面にほぼ沿っていれば、アンテナの端面が外装ケースの内周面に対向していないので、外装ケースを金属製とした場合でも、そのケース内に配置されるアンテナを、外装ケースに近接して配置することができ、アンテナ特性を向上できる。
すなわち、外装ケースを金属製にした場合には、アンテナやモータコイルのように電波の磁束が鎖交する部材の端面が外装ケース内周面に対向して近接配置されると電波がケースで減衰し、受信感度が数デシベル劣化してしまう。このため、アンテナ等の端面を外装ケースから離して配置しなければならないが、その場合には、腕時計のように小さな外装ケース内に配置されるアンテナの場合、アンテナの長さも短くなり、アンテナ特性が低下してしまう。
その上、外装ケースを金属製にできるため、金属調の外観が得られて高級感を高めることができる。
外装ケースが金属製ケースで構成されていたり、プラスチック製ケースに金属製カバーを取り付けて構成されている場合のように、少なくとも一部、特に外装ケース表面に金属を用いれば、高級感の高い外観意匠のアンテナ内蔵式電子時計とすることができる。
積層アモルファス箔としては、コバルト系アモルファス金属、鉄系アモルファス金属磁性材料等の各種アモルファス金属薄板が利用できる。このような磁性体コアとして、積層アモルファス箔を用いれば、磁束が流れる方向の断面積を小さくでき、磁束変化により生じる渦電流が抑制され、鉄損を小さくできる。すると、渦電流により生じる磁界を抑制することができ、結果としてアンテナの受信感度を向上させることができる。
電池は、通常、ステンレス製のケースを備えて構成されており、アンテナの近傍に配置されるとアンテナ特性に影響を与える。従って、アンテナおよび電池を外装ケースの中心を挟んで配置すれば、アンテナおよび電池を離して配置でき、電池によるアンテナ特性の低下を防止できる。
このような制御を行えば、受信手段が駆動されている間、モータを停止し続けるようにすれば、モータ駆動によるノイズが受信信号に混入することを確実に防止できる。また、受信手段の駆動とモータ駆動とを選択的に制御すればよく、受信中のデータが有効なデータであるか否かを判断してモータの駆動を制御する必要がないため、簡単に制御できる。
不要なデータを受信している間にモータを駆動するように制御すれば、例えば、1分間に1回のモータ駆動パルスで駆動できる時分針を、不要データ受信時にモータ駆動パルスを出力して駆動することで、外部無線情報を受信している間も時分針を正しい時刻で表示させ続けることができる。
例えば、1分間で1つの時刻情報を送信する長波標準電波(JJY)では、50〜59秒の間は、曜日等の時刻修正に必ずしも必要ないデータが送信されるため、これ以外の部分(0〜49秒部分)のデータを有効データ、50〜59秒間のデータを無効データと判断できる。従って、有効データの受信時にモータを停止することで、有効データにモータによるノイズが影響することを防止でき、時刻修正に必要な正しい有効データを受信できるので、時刻修正を精度良く行うことができる。
モータ停止時にモータコイルを所定の電位に固定すれば、モータコイルがオープン状態になっている場合に比べて、モータコイルの状態を安定化できるため、アンテナ特性を向上することができる。
〔第1実施形態〕
図1には、本発明の第1実施形態に係るアナログ内蔵式電子時計としての電波修正時計1の構成を示すブロック図が示されている。
本発明の電波修正時計1は、一般的な電波修正時計と同様の構成を備えるものであり、時刻情報を含む電波(外部無線情報)を受信する通信手段としての受信手段2と、駆動制御手段である駆動制御回路部3と、指針を駆動する駆動手段4と、時刻をカウントするカウンタ部6と、電力を供給する電力供給手段7と、リュウズなどの外部入力装置8とを備えて構成されている。
アンテナ21は、図2に示すように、磁性体コア211にコイル212を巻いて構成されており、必要に応じて、耐食性に優れるカチオン電着塗装等で絶縁を施したものである。
ここで、磁性体コア211の各アモルファス箔は、厚さ寸法が0.01mm〜0.05mm程度であるため、例えば30枚積層した場合、磁性体コア211の積層方向の厚さ寸法は0.3〜1.5mm程度である。アモルファス材はフェライトに比べて磁気特性が良いため、より小型・薄型のアンテナ21を実現できる。そして、アンテナ特性は、コアの体積によって影響されるため、アンテナを薄くする分、アンテナ特性を維持するには、アンテナの平面積を大きくするか、アンテナ長さ(コア長さ)を長くする必要がある。従って、本実施形態では、磁性体コア211の幅寸法は例えば0.5〜3.5mm程度であり、長さは15〜30mm程度とされている。なお、アモルファス金属板の厚みが0.05mmより厚くなると、板圧中央部は迅速な冷却を行うことが困難なため、金属はアモルファス化させることなく結晶化されてしまう。すなわち、アモルファス金属を製造するには、金属が結晶化される以前に、迅速な冷却作業を行う必要があり、そのためには、金属の厚みを薄くしなくてはならない。また、アモルファス金属板の厚みが0.01mmより薄くなると、組立作業等において、アモルファス金属板の強度が弱くなって変形しやすくなるので、部品の位置決め作業や部品の取扱作業等が非常にやりにくくなる。
また、コイル212の巻き方としては、特に限定されず、乱巻きなどでもよいが、特に整列巻きが好ましい。整列巻きを採用すれば、コイル線材間の無駄な空間が無くなり、同じインダクタンス値を得るためのコイル体積を小さくできる。なお、本実施形態では、コア211が平面円弧状であるため、次のようにしてアンテナ21を製造している。まず、ボビンに自己融着電線のコイル212を巻いた後、熱もしくは溶液に浸してコイル212を固める。コイル212が固まった後、ボビンを引き抜き、ボビンを引き抜くことで形成されたコイル212の貫通孔部分に前記磁性体コア211を挿入してアンテナ21を完成させている。なお、コイルを巻いたボビンにコアを挿入してアンテナを構成してもよい。この場合、ボビンが存在する分、サイズが大きくなるが、アンテナを容易に製造できる。
そして、駆動制御回路部3から出力される周波数切替え制御信号により、前記スイッチ22Cをオンまたはオフすることで、アンテナ21で受信する電波の周波数を切り替えるように構成されている。これにより、例えば、日本国内において、送信周波数40kHzのおおたかどや山(東日本)の標準電波出力局と、送信周波数60kHzのはがね山(西日本)の標準電波出力局とから出力されている2種類の周波数の長波標準電波を切り替えて受信することができるように構成されている。
受信回路23で受信され信号処理された時刻データは、図1に示すように、時刻データ記憶回路部24に出力されて記憶される。
受信回路23は、予め設定されたスケジュールや外部入力装置8による強制受信操作等によって、駆動制御回路部3から出力される受信制御信号に基づいて時刻情報の受信を開始する。
秒カウンタ回路部61は、秒位置カウンタ611と、秒時刻カウンタ612と、一致検出回路613とを備えて構成されている。秒位置カウンタ611および秒時刻カウンタ612はともに60カウント、つまり1Hzの信号が入力された場合には60秒でループするカウンタである。秒位置カウンタ611は、駆動制御回路部3から秒駆動回路41に供給される駆動パルス信号(秒駆動パルス信号PS1)をカウントしている。つまり、秒針を駆動させる駆動パルス信号をカウントすることによって、秒針が示している秒針の位置をカウントしている。
秒時刻カウンタ612は、通常は、駆動制御回路部3から出力される1Hzの基準パルス信号(クロックパルス)をカウントする。また、受信手段2で時刻データを受信した場合には、この時刻データのうちの秒データに合わせてカウンタ値が修正される。
時分時刻カウンタ622は、通常は、駆動制御回路部3から出力される1Hzのパルス(クロックパルス)をカウントする(正確には1Hzを60回計数したところで1カウントとする)。また、受信手段2で時刻データを受信した場合には、この時刻データのうちの時分データに合わせてカウンタ値が修正される。
駆動制御回路部3は、各一致検出回路613,623から不一致信号が入力されると、一致信号が入力されるまで各駆動パルス信号PS1,PS2を出力し続ける。このため、通常運針時は、駆動制御回路部3から1Hzの基準信号によって各時刻カウンタ612,622のカウンタ値が変化して位置カウンタ611,621と不一致となると、各駆動パルス信号PS1,PS2が出力されて各指針が動くとともに、各位置カウンタ611,621が時刻カウンタ612,622と一致することになり、この動作を繰り返すことで、通常の運針制御が行われる。
外部入力手段としての外部入力装置8は、リュウズ等を備え、受信動作や時刻合わせなどを行うために利用される。
電波修正時計1は、図4,5にも示すように、約リング状に形成されたケーシング(胴)91と、ケーシング91の表面側に装着されたカバーガラス92と、ケーシング91の裏面側に着脱可能に取り付けられた裏蓋93とを備えている。ケーシング91は、ステンレス鋼、真鍮、チタン等の金属材で構成されている。従って、ケーシング91によって、本実施形態における金属製の外装ケース(時計ケース)9が構成されている。外装ケース9内には、アンテナ21を含む前記各構成が組み込まれている。
すなわち、駆動制御回路部3およびカウンタ部6を構成する受信IC81、CPU82、基準振動子311等が取り付けられた回路基板や、駆動手段4を構成するモータ411,421や輪列40等が組み込まれた時計体(ムーブメント)98、電力供給手段7を構成する高容量二次電源(二次電池)72、時計体の表面側に設けられた文字板95や地板96等の各構成部材が組み込まれている。
なお、アンテナ21は熱可塑性樹脂(ホットメルト)、紫外線硬化型エポキシ等を用いて地板96に固定されている。また、アンテナ21の緩衝材としての機能を持たせるため、弾性のあるシーリング材を利用して固定してもよい。
また、文字板95は、黄銅(真鍮、Bs)、洋白(洋銀、NS)等の金属で製造されたものを用いることもできるが、プラスチックやセラミックなどの非導電性部材(電気絶縁体)、つまり標準電波を通し易い材質のもので構成されていることが好ましい。
裏蓋93は、ケーシング91と同様な金属材で構成してもよいが、プラスチックやガラス等の非導電性部材(電気絶縁体)、つまり電波を通し易い材質で構成されていることが好ましい。
また、アンテナ21は、外装ケース9の中心点Oに対して9時方向に配置されている。一方、高容量二次電源(二次電池)72は、前記中心点Oに対し略4時方向に配置されている。従って、アンテナ21および二次電池72は、比較的離れて配置されている。また、基準振動子311も略3時方向に配置され、受信IC81等と比べてアンテナ21から離れて配置されている。このように、二次電池72や基準振動子311は、アンテナ21から離して配置され、二次電池72や基準振動子311が鎖交磁界に影響しないようにされている。すなわち、二次電池72はステンレス等の金属製ケースを備えているため、アンテナ21に近接して配置されると鎖交磁界に影響を与える。一方、基準振動子311は、32.768kHzの水晶振動子が利用されており、この振動周波数が長波受信周波数(40kHz)に近いため、基準振動子311がアンテナ21に近接して配置されると、アンテナ21にノイズとして信号が混入する可能性がある。従って、二次電池72や基準振動子311は、アンテナ21に対して比較的離して配置されている。
そして、このアナログ受信信号を受信回路23で増幅、復調、デコード等の処理をしてデジタルの時刻データとし、時刻データ記憶回路部24に記憶している。
秒モータ411および時分モータ421は、パルス信号によって駆動されるステッピングモータで構成されている。具体的には、図4に示すように、駆動回路41,42から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル412,422と、この駆動コイル412,422によって励磁されるステータ413,423と、ステータ413,423の内部において励磁される磁界により回転するロータ414,424と、前記駆動コイル412,422内に挿通されて前記ステータ413,423に接続されたコア415,425とを備えている。
また、駆動回路41,42は、pチャンネルMOS43A,43Bとそれぞれ並列に接続された回転検出用抵抗45A,45Bと、これらの抵抗45A,45Bにチョッパパルスを供給するためのサンプリング用のpチャンネルMOS46A,46Bとを備えている。従って、これらのMOS43A,43B,44A,44B,46A,46Bの各ゲート電極に駆動制御回路部3からそれぞれのタイミングで所定の極性およびパルス幅の制御パルスを印加することにより、駆動コイル412に極性の異なる駆動パルスを供給したり、あるいは、ロータ414の回転検出用や磁界検出用の誘起電圧を励起する検出用のパルスを供給することができるようになっている。
ここで、モータコイル422の軸方向A1は、直線状のコア425の長手方向となる。また、アンテナ21の軸方向A2は、アンテナ21において電波受信の指向性が最も強い方向に直交する方向を意味する。すなわち、本実施形態の平面湾曲形状とされた円弧状のアンテナ21の場合には、アンテナの軸方向A2は、アンテナ21の両端間の中心部C1における円弧(アンテナ側面)の接線方向である。
なお、モータコイル422の軸方向A1に沿った方向のアンテナ21に対する相対位置は、前記アンテナ21の中心点C1を通り、前記軸方向A2に直交する中心線C2がモータコイル422に重なる位置に配置されている。すなわち、モータコイル422の一方の端部が前記中心線C2に重なる位置から、モータコイル422の他方の端部が前記中心点C2に重なる位置までの範囲で設置されている。特に、モータコイル422の軸方向の中心点C3が前記中心線C2に重なる位置であることが好ましい。
このようにアンテナ21およびモータコイル422間の距離の上限は前記距離Dで設定されるが、距離の下限は、アンテナ21およびモータコイル422の納まりによって設定される。すなわち、各コイル212,422が直接接触するまで近接することはできないため、距離の下限は各コイル212,422が接触しない範囲で最も近接する距離にすればよい。
従って、アンテナ21およびモータコイル422間の距離Dは、通常、約3.0〜12mm程度に設定すればよい。
まず、通常時の時刻表示について説明する。通常は、駆動制御回路部3は、パルス合成回路31から入力されるパルス信号(基準信号)を利用し、1Hzのパルス信号を送って秒時刻カウンタ612のカウンタ値をカウントアップする。秒時刻カウンタ612がカウントアップして秒位置カウンタ611のカウンタ値と異なると、一致検出回路613はその不一致を検出して駆動制御回路部3に不一致信号を出力する。駆動制御回路部3は、その不一致信号に基づいて、秒駆動パルス信号PS1を出力する。この秒駆動パルス信号PS1の出力により、秒位置カウンタ611がカウントアップされるとともに、秒駆動回路41の各MOS43A,43B,44A,44Bが適宜オン、オフされることで秒モータ411が駆動され、秒針が駆動される。以上の処理は一致検出回路613で各カウンタ611,612の値が一致するまで行われる。従って、通常運針時は、秒時刻カウンタ612に1Hzが入力されてカウンタ値が「1」カウントアップされる毎に、秒駆動パルス信号PS1が1つ出力され、秒針が1秒分毎ステップ運針される。
駆動制御回路部3は、設定された受信開始時間になると、図9に示すように、受信制御信号をオン(Hレベル信号)に切り替えて受信回路23を作動させる。同時に、駆動制御回路部3は、1秒ごとに出力していたモータ駆動用パルスの出力は停止する一方で、所定のパルス信号を秒駆動回路41および時分駆動回路42に出力し、各MOS43A,43Bをオンして駆動コイル412の両端を電位VDDに接続してショート状態する。なお、本実施形態では、電位VDD(高電圧側)を基準電位(GND)に取り、VSS(低電圧側)を電源電圧として生成している。
そして、受信した時刻データが正しいか否かの検証も合わせて行われる。具体的には、長波標準電波の時刻情報は1分毎のデータとなるため、受信した複数の時刻データが1分間隔の異なるデータになっているか等で判断される。
(1)アンテナ21に並設してモータ421のモータコイル422を配置し、かつ、駆動制御回路部3により、受信回路23の駆動時つまり電波受信時にはモータ411,421を停止するように構成したので、モータコイル422を、アンテナ21の無給電素子として利用できる。このため、アンテナ21およびモータコイル422によって仮想的なアンテナが形成され、その断面積はアンテナ21単体に比べて大きいため、アンテナ21部分の磁束密度が高くなり、その分、アンテナ21を鎖交する電波の磁界の磁束量が増えてアンテナ21の特性を向上できる。
その上、前記式1を用いることで、アンテナ21の指向性に応じてモータコイル422の配置位置を設定できるため、アンテナ21の受信感度の低下を抑えつつ、レイアウトの自由度も向上でき、アンテナ特性の低下防止と時計の小型化を実現できる。
従って、金属製のケース9を用いても外部無線情報を受信することができるため、ケースをプラスチック等で構成した場合に比べて高級感の高い外観意匠が得られ、これによりデザイン上の制約も少ない電波修正時計1を提供することができる。その上、外装ケース9に切欠部を形成したり、外装ケースをプラスチックと金属の2重ケースにする必要がないため、製造コストも低減できる。さらに、アンテナ21を内周面91Aに近接して配置できるので、アンテナ21の長さもある程度確保できて、アンテナ特性の低下も防止できるとともに、時計1を小型化することもできる。
また、アンテナ21を基準振動子311からも離して配置しているので、基準振動子311の信号が受信信号にノイズとして混入することを防止でき、アンテナ特性の低下をより一層抑えることができる。
その上、アンテナ21の円弧状の内側面に沿ってモータ421を配置し、アンテナ21のコア211の両端を結ぶ弦のアンテナ21側にモータコイル422を配置できるため、アンテナ21およびモータコイル422の配置スペースを小さくすることができる。従って、ケース9の内部に配置される輪列40、電池72、IC81,82等の配置スペースを十分に確保でき、レイアウトの自由度も高めることができる。
また、各アモルファス箔を湾曲させる必要があるが、アモルファス箔は薄膜であるため、比較的容易に湾曲でき、製造も容易に行うことができる。
また、アンテナ21は磁性体コア211が挿入されているので、アンテナ21の指向性をよりシャープにでき、アンテナ特性を向上できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、1つのモータコイル431のみを有する1モータタイプの時計である点が前記第1実施形態と相違するものであるため、その部分のみを説明する。なお、以下の各実施形態において、前述した各実施形態と同一または同様の構成部分には同一符号を付し、説明を省略または簡略する。
この第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。その上、モータが1つのみであるため、モータを配置するスペースを小さくでき、その分、アンテナ21をより長くすることができ、アンテナ21と電池72等とをより離して配置することもできる。
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、アンテナの平面形状が前記第1,2実施形態と相違するものであるため、その部分のみを説明する。第3実施形態のアンテナ51の磁性体コア511は、図13に示すように、各端部511Aと、各端部511A間を連結する中間部511Bとを備えている。ここで、各端部511Aおよび中間部511Bは平面円弧状ではなく、直線状に形成されている。また、中間部511Bにアンテナコイル512が巻かれている。
さらに、アンテナ51を平面円弧形状ではなく、多角形状に構成したので、コア511をアモルファス板から切り出して形成する作業や、コイル512の巻線作業を、円弧形状のコアを用いる場合に比べてより容易に行うことができ、アンテナ51の製造作業性を向上できる。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、以上述べた実施の形態に対し、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。
さらに、コアの中間部を円弧状に形成し、両端部を直線状に構成したアンテナを用いてもよい。
また、アンテナとしては、平面直線状(棒状)のコアを有するアンテナでもよい。但し、前記各実施形態のように、平面円弧状等としたほうが、ケース内周面91Aに沿って配置できてムーブメント98の配置スペースを確保できる点で有利である。
なお、この場合、コアのコイルを巻く部分には、20〜30μm程度の厚みの絶縁テープを巻いておくことが好ましい。この絶縁テープを巻いておけば、コイルとコアとを確実に絶縁でき、かつ、コアが断面矩形状に形成されている場合に、巻線がコアの角のエッジで切れることを防止できる。また、コアの段部つまりコイルが巻かれる部分の端部には、ポリエステル等でできた略U字型の巻き枠をセットすれば、コイルを容易に巻くことができるとともに、コイル端部の巻きくずれを防ぐことができる。
さらに、前記実施形態では、1つのモータコイルのみをアンテナ21に並設させていたが、2つのモータコイルをアンテナ21に並設させてもよい。例えば、直線状のアンテナを配置し、その左右両側にモータコイルを配置してもよいし、アンテナの片側に2つのモータコイルをモータコイルの軸方向に離して配置してもよい。さらには、アンテナに並設して1つのモータコイルを配置し、さらにこのモータコイルに並設して他のモータコイルを配置してもよい。すなわち、アンテナの無給電素子として利用されるモータコイルは、その軸方向が前記アンテナの軸方向に略平行に配置されていればよく、その本数や配置場所は時計におけるレイアウト等を考慮して適宜設定すればよい。
また、複数のモータコイルを配置する際には、すべてのモータコイルがアンテナに対して前記距離D内に配置されていることが好ましいが、少なくとも1つのモータコイルが前記距離D内に配置されていればよい。
但し、アンテナおよびモータコイルを時計の厚さ方向に並設すると、時計の厚さ寸法が大きくなるため、特に腕時計のように薄型化が求められる場合には、前記実施形態のように時計の平面方向に並設することが好ましい。
さらに、裏蓋93も金属製のものに限らず、例えば、図14に示すように、金属製の外周リング93A内にガラス板93Bを嵌め込んだものを用いてもよい。裏蓋93の一部をガラス製にすれば、電波がガラス板93B部分から外装ケース9内部に侵入し易くなるため、受信感度を向上できる。同様に、文字板95もプラスチック製にすれば、電波がケース9内に入りやすくなり、受信感度を向上できる。
さらに、アンテナのコアとしては、積層アモルファス箔で構成されたものに限らず、フェライトコアなどの磁性体を用いてもよい。
なお、コアが円弧状に形成されていない場合でも、各端面の位置関係が円弧状の場合と同様となるように構成すればよい。
すなわち、指針のうち、時針および分針は、通常1つのステップモータで駆動されるが、このモータに対する駆動パルスを1分間に1回加えれば、時分針は正しく駆動することができる。一方で、例えば、日本の時刻情報である標準電波JJYは、1分間に渡って1つの時刻情報を送信するが、その50秒〜59秒間は、「曜日情報」等の、直接時刻修正には必要ない情報(不要データ)を送信している。従って、標準電波のタイムコードにおいて、0〜49秒間の電波修正処理に有効なデータを受信している間は前記モータの駆動を停止し、50〜59秒間の電波修正処理に不要なデータを受信している間にモータを駆動させるようにすれば、有効データにモータノイズが影響することがなく、正しいデータを受信でき、正しい時刻修正処理を行うことができる。また、不要データの受信中にモータ駆動パルスを出力できるため、1分間に1回のモータ駆動パルスで駆動できる時分針を、外部無線情報の受信中も作動させることができ、正しい時刻表示を継続できる。
従って、受信回路の動作中にモータを駆動することができ、正しい時刻指示を行いながら、安定したデータ受信を行うことができる。また、受信回路23は、受信回路23の電源を入れて作動し始めたときは、回路が安定するまで時間が掛かるため、頻繁にオン、オフすると、安定して作動させることが難しいが、不要データ受信中も作動させ続けるようにすれば、受信回路23の安定性も高めることができる。
なお、現在受信中のデータがタイムコードの0〜49秒間に相当する有効データであるか、50〜59秒間に相当する無効データであるかの判断は、例えば、時計の秒時刻カウンタ612のカウンタ値で行うことができる。すなわち、モータ駆動に必要なパルスの出力は1秒間以下で行えるため、例えば、タイムコードが55秒の時にモータ駆動パルスを出力してモータを駆動するように設定すればよい。一方で、電波修正時計における電波受信時の時刻指示誤差は、通常、1秒以下であるため、前記カウンタ値が55秒の時にモータを駆動すれば、その際に受信している標準電波JJYも、54〜56秒の時刻修正に必要ない情報を送信していることになり、有効データの受信中にはモータ駆動を停止し、無効データの受信中にモータを駆動する制御を容易に行うことができる。
Claims (10)
- 外装ケースと、この外装ケース内に配置されて外部無線情報を受信するアンテナと、アンテナで受信した外部無線情報を処理する受信手段と、時刻表示手段と、前記受信手段および時刻表示手段の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、
前記アンテナは、コアに巻かれたコイルを備えて構成され、
前記時刻表示手段は、モータコイルを有するモータと、このモータによって駆動される表示部とを備えて構成され、
前記モータコイルは、その軸方向が前記アンテナの軸方向に対して略平行となるように前記アンテナに並設されて前記アンテナのコイルと磁気的に結合可能とされ、
前記駆動制御手段は、前記外部無線情報に含まれるデータのうち、少なくともデータ処理に利用される有効なデータを受信している間は前記モータを停止し、前記モータコイルをアンテナの無給電素子として機能させることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記モータコイルおよびアンテナは、前記モータコイルおよびアンテナ間の各軸直交方向の距離をD、アンテナの長さの値をL、アンテナの断面積の値をS、所定の定数をAとした際に、
(数1)
D<A×L/S
となる位置に配置されていることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1または請求項2に記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記アンテナは、モータコイルおよび外装ケースの内周面間に配置されていることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記外装ケースの少なくとも一部は金属で構成されていることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記コアは積層アモルファス箔からなる磁性体で構成されていることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
電力供給用の電池を備え、前記アンテナは、外装ケースの内周面の中心を挟んで前記電池の反対側に配置されていることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記駆動制御手段は、前記受信手段が駆動されている間は、前記モータを停止することを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記駆動制御手段は、前記有効なデータを受信している間は前記モータを停止し、不要なデータを受信している間に前記モータを駆動することを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1〜8のいずれかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記外部無線情報は標準電波であり、
前記駆動制御手段は、標準電波に含まれる時刻データに基づいて時刻表示手段の表示を制御可能に構成され、
前記有効なデータは、標準電波に含まれるデータのうち、時刻表示手段の表示処理に利用されるデータであることを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 請求項1〜9のいずれかに記載のアンテナ内蔵式電子時計において、
前記駆動制御手段は、前記モータを停止する際に、前記モータコイルを所定の電位に固定することを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
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