JP2004002905A6 - ロータリー型量産用cvd成膜装置及びプラスチック容器内表面へのcvd膜成膜方法 - Google Patents

ロータリー型量産用cvd成膜装置及びプラスチック容器内表面へのcvd膜成膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は小型で生産効率の高く少数の高周波電源で稼動可能で回転支持体が一周する間に成膜チャンバが一製造サイクルを行なうロータリー型量産用CVD成膜装置及び製膜方法を提供する。
【解決手段】本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置は、容器を収納する成膜チャンバをサークル状に複数配設した回転支持体と各容器の内部に原料ガスを導入する原料ガス導入手段と外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段とを備え、回転支持体を1回転させる間に各容器の内表面にCVD膜を成膜する装置であって、高周波供給手段は、外部電極ごとに具設した固定整合器と1以上の高周波電源と高周波電源ごとに具設した自動整合器と所定の成膜チャンバのみに固定整合器を介して自動整合器から受けた高周波を均等に供給する高周波分配手段と所定高周波電源の出力制御を行なうための高周波電源出力制御手段とを備える。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)法により、プラスチック容器の内表面にCVD膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜をコーティングするCVD成膜装置において、ロータリー方式による連続製造成膜装置、特に量産用CVD成膜装置に関し、さらにその成膜方法に及ぶ。
【0002】
【従来の技術】
ガスバリア性等の向上の目的でプラスチック容器の内表面にDLC膜を蒸着するために、CVD法、特にプラズマCVD法を用いた蒸着装置が、例えば特開平8−53117号公報に開示されている。また、特開平10‐258825号公報には、DLC膜コーティングプラスチック容器の量産用製造装置及びその製造方法が開示されている。さらに、特開平10‐226884号公報には、外面から外方に突出する突出物を有する容器に、まだらなくDLC膜をコーティングすることができるDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置及びその製造方法が開示されている。
【0003】
DLC膜コーティングプラスチック容器の量産用製造装置及びその製造方法が開示されている特開平10‐258825号公報には、複数のチャンバーを同一サークル上に等間隔で配置し、相隣合うチャンバーの外部電極を導線で接続し、さらに各外部電極がサークルの中心から伸びる直線状の導線によって高周波電源に接続された装置が開示されている。この装置により、複数の容器に同時成膜が行なわれ、且つチャンバーの配置並びにこれらを結ぶ導線の仕方によって、高周波が均等に分配されてコーティング状態が同一の容器が複数同時に成膜することができるとされている。
【0004】
しかし、上記装置はDLC膜コーティングプラスチック容器の量産用製造装置の一形態を提案するものの、下記の点について課題が残る。すなわち、複数の容器に対して完全に同時成膜を行なうため、▲1▼高出力の高周波電源が必要となる、▲2▼非常に高度な真空引きの能力が要求される、▲3▼容器の装着及び取出をそれぞれ一斉に行なう必要がありタイムロスが大きくなるため、1サイクルにかけることができる時間のうち成膜時間に費やすことができる時間が短い、▲4▼製造サイクルを繰り返して量産する場合に、容器の装着及び取出をどのように行なうか開示されていない。仮に容器の装着時及び取出時にサークルを回転させ、成膜時にサークルを止める場合にはサークルを慣性に逆らって制御する必要があるため、動力的負担が大きい。一方、サークルを静止させる場合には、容器の供給及びコーティング済み容器の搬出のためのコンベア等が必要であり、装置が大型化する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、容器の内表面にCVD膜を成膜する量産装置を開発するにあたり、装置を小型化し且つ装置の量産効率を高めるために、成膜チャンバーを回転支持体にサークル状に複数配置し、この回転支持体を一定速度で回転させ、回転支持体が一回転している間に製造サイクルを行なうことが好ましいとの結論に達した。
【0006】
すなわち、回転支持体が一周する間に、成膜チャンバーが一製造サイクルである、(1)プラスチック容器の装着工程、(2)容器内部の成膜前ガス調整工程、(3)原料ガスのプラズマ化によるCVD膜成膜工程、(4)容器内部の成膜後ガス調整並びに(5)コーティング済み容器の取出工程、の全てを完了させることである。
【0007】
本発明では、サークル上に配置した成膜チャンバーが、回転支持体の一周する間に、一製造サイクルを行なうCVD成膜装置をロータリー型と分類し、1本立て装置や特開平10‐258825号公報のバッチ型装置と区別する。特に、量産化のため製造サイクルを一定間隔ずらして進める装置、或いは製造サイクルを複数同時に進め且つ一定間隔ずらして進める装置をロータリー型量産用CVD成膜装置という。
【0008】
このロータリー型量産用CVD成膜装置には次の課題がある。すなわち、成膜チャンバーが1つである1本立てタイプのCVD成膜装置を回転支持体に複数配置すると、外部電極ごとに高周波電源、整合器、排気装置等が必要となり、装置が大型化する。ロータリー型量産用CVD成膜装置は、プラスチック容器の製造工場で設置されることも考えられる為、新規追加となる本ロータリー型量産用CVD成膜装置が大型となることは避けねばならない。また、高価な高周波電源を成膜チャンバーの数だけ準備しなければならないので装置が非常に高価格となる。
【0009】
そこで、ロータリー型量産用CVD成膜装置は小型化とすることが課題となり、且つ配置する高周波電源を成膜チャンバーの数よりも少なくすることが課題となる。高周波電源を少なくする際には、成膜チャンバーに同時に均等の高周波出力を分配供給することが課題となる。さらに、前述したように回転支持体が一回転する間に一製造サイクルを完了させるため、容器の装着及び取り出しに要する時間並びに成膜前後のガス調整に要する時間を合計した成膜工程外時間が長くなるとCVD成膜工程に充てることができる時間が短くなる。よって、CVD膜の膜厚調整等の品質調整手段に制限が出来てしまう。そこで、成膜工程外時間を可能な限り短縮して、CVD成膜工程に充てる時間を長くすることが課題となる。
【0010】
高周波電源の少数化を図る場合、必然的に1つの高周波電源で所定数の成膜チャンバーに高周波出力を供給することとが課題となる。このとき、特開平10‐258825号公報の技術は使用することができない。すなわち、同公報では同時に全ての外部電極に均等の高周波を送ればこと足りるのに対して、ロータリー型量産用CVD成膜装置では、高周波を送る対象の外部電極を回転支持体の回転にあわせて次々と変化させる必要があるからである。このため、回転支持体の回転にあわせて変化させる高周波供給対象の外部電極のみに、一定強度の高周波を送ることができる高周波供給手段を設けることが課題となる。最終的には、どの成膜チャンバーにおいても、再現性良く同一のプラズマを発生させる必要がある。この高周波供給手段は、一定速度で回転する回転支持体にあわせてスムーズに高周波の分配切換を行なう必要があるため、本発明の要点の一つとなる。
【0011】
本発明の目的は、回転支持体が一周する間に、成膜チャンバーが一製造サイクルを行なう装置であるロータリー型量産用CVD成膜装置であって、次の特徴を有する成膜装置を提供することである。すなわち(1)小型であり、(2)全ての成膜チャンバーを同時に真空引きするほどの高度な真空引きの能力を必要としない、(3)回転支持体の回転慣性に逆らった制御をしないため、無駄な動力を必要としない、(4)一製造サイクル時間に対してCVD成膜時間を長時間とることができる、(5)成膜工程外時間を短縮でき、量産効率が高い、(6)成膜チャンバーの個数に対して高周波電源の個数を少なくできる、(7)全ての成膜チャンバーで同時成膜させる成膜装置と比較して高周波電源の必要とされる出力を小さくできる、(8)対象の外部電極のみに、一定強度の高周波を送る際にスムーズに高周波を分配切り換えすること、である。
【0012】
本装置では、高周波を供給する対象外部電極を次々と換えていくため、高周波供給手段における回路切換は次の課題を有する。すなわち、高周波を供給したまま、すなわち電流を流したまま切換器(リレー)をON/OFFするいわゆる「ホットスイッチング」を行なうと、接点の磨耗が大きくなりリレーの寿命が著しく短くなる。この場合、数Aでは数百回程度の寿命である。これに対して、高周波を一旦切ってON/OFFする「コールドスイッチング」を行なうと、約100万回程度の寿命であることがわかった。したがって、本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置において、リレーの長寿命化を図るため、コールドスイッチングを行なう機構を設けることも課題とする。
【0013】
第一形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、高周波を同時且つ均等に分配する分配回路並びに分配回路の各分配出力のオン/オフを切り換えする切換スイッチとを高周波供給手段に設けることで、高周波供給対象の外部電極を個々に制御することを可能とし、同時に複数の外部電極に対しても均等な高周波を供給可能とすることを目的とする。本ロータリー型量産用CVD成膜装置によって、製造サイクルを一定間隔ずらして進める装置を提供する。
【0014】
さらに、第一形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、回転支持体における成膜チャンバーの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して行なう複数の高周波電源を設けることで、コールドスイッチングする際に高周波電源をオフとすることによる成膜時間の短縮を防止することを目的とする。すなわち、コールドスイッチングを行なう高周波電源と、CVD成膜工程にある状態の成膜チャンバーの外部電極に高周波を供給する高周波電源とを分けることで、CVD成膜工程にある状態の成膜チャンバーの外部電極に対しては、高周波供給可能時間の延長をすることを可能とすることを目的とする。
【0015】
また、第一形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、切換スイッチの出力側に第2分配回路を接続し、続いて各固定整合器を接続して、このとき第2分配回路で一まとまりの成膜チャンバーを、同一円心の円周方向に沿って複数列で回転支持体に配置することにより、使用する高周波電源数を増やすことなく、しかも装置の大型化を伴うことなく、装置の生産性を2倍乃至n倍にすることを目的とする。ここで、nは整数であり、第2分配回路でn個に分岐した場合を指す。
【0016】
第二形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、放電ユニットを形成し、且つ高周波を放電ユニットのいずれか1つに供給する切換器と、切換器から供給された高周波を放電ユニット内の固定整合器に同時且つ均等に分配する放電ユニット分配回路とを備える高周波供給手段を設けることで、高周波供給対象の外部電極を放電ユニット単位で制御を可能とし、同時に異なる放電ユニットに対して均等な高周波を供給可能とすることを目的とする。本ロータリー型量産用CVD成膜装置によって、製造サイクルを複数同時に進め且つ一定間隔ずらして進める装置を提供する。
【0017】
また第二形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、回転支持体における放電ユニットの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して行なう複数の高周波電源を設けることで、コールドスイッチングする際に高周波電源をオフとすることによる成膜時間の短縮を防止することを目的とする。すなわち、コールドスイッチングを行なう高周波電源と、CVD成膜工程にある状態の放電ユニットの外部電極に高周波を供給する高周波電源とを分けることで、CVD成膜工程にある状態の放電ユニットの外部電極に対しては、高周波供給可能時間の延長をすることを可能とすることを目的とする。
【0018】
さらに第二形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、放電ユニットで一まとまりの成膜チャンバーを同一円心の円周方向に沿って複数列で回転支持体に配置することで、装置をよりコンパクトにすることを目的とする。例えば2列にした場合には、回転支持体の円周方向に整列する成膜チャンバーは1列の場合と比較して二分の一になり、回転支持体の半径を小さくすることが可能となる。
【0019】
第三形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、放電ユニットを形成し、放電ユニット内の所定数の成膜チャンバーと同数の高周波電源を準備し、且つ高周波を放電ユニットの個数と同数に分岐させ、いずれか1つの放電ユニットに対してのみ高周波を供給する切換器を備える高周波供給手段を設けることで、コールドスイッチングによる成膜時間の短縮を完全に防止すること目的とする。本ロータリー型量産用CVD成膜装置によって、製造サイクルを複数同時に進め且つ一定間隔ずらして進める装置を提供する。
【0020】
上記第三形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、切換器の出力側に第2分配回路を設け、続いて固定整合器を介して各外部電極に高周波を供給することで、使用する高周波電源数を増やすことなく、しかも装置の大型化を伴うことなく、装置の生産性を2倍乃至n倍にすることを目的とする。ここで、nは整数であり、第2分配回路でn個に分岐した場合を指す。
【0021】
上記第三形態のロータリー型量産用CVD成膜装置においても、放電ユニットで一まとまりの成膜チャンバーを同一円心の円周方向に沿って複数列で回転支持体に配置することにより、装置をよりコンパクトにすることを目的とする。前述と同様に2列にした場合には、回転支持体の円周方向に整列する成膜チャンバーは1列の場合と比較して二分の一になり、回転支持体の半径を小さくすることが可能となる。
【0022】
全ての形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、外部電極を複数の容器収納孔を独立に有する複数一体型外部電極に形成することで、高周波電源から固定整合器に至る回路を変えることなく、生産性を2倍乃至m倍にすることを目的とする。ここでmは整数であり、一の外部電極に設ける容器収納孔の個数である。
【0023】
全ての形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、周波数可動式か或いは電子式マッチングによるトランジスタ型高周波電源を用いることで、プラズマを素早く着火して、成膜時間のロスを防止することを目的とする。
【0024】
全ての形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、DLC膜を成膜するのに適した装置を提供することを目的とする。
【0025】
本発明は、第1のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、CVD膜コーティングプラスチック容器の製造サイクルを複数の成膜チャンバーにてプラズマの着火状態が一部重複するように所定時間ずらして稼動させることで、製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、成膜時間を確保し、且つ高周波電源の必要数を減らして稼動させることを目的とする。
【0026】
また、第1のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、切換器の寿命を短期化させずに切換器のメンテナンスを長時間フリーにすることを目的とする。
【0027】
本発明は、第2のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、複数同タイミングで進行する放電ユニット単位で稼動させ、且つ相異なる放電ユニット間で同時にプラズマを着火させないように、所定時間ずらして放電ユニットごとに前記各工程を進めることにより、放電ユニットごとに製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、成膜時間を確保し、且つ高周波電源の必要数を減らして稼動させることを目的とする。
【0028】
また、第2のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、放電ユニットごとに製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、切換器の寿命を短期化させずに切換器のメンテナンスを長時間フリーにすることを目的とする。
【0029】
第3のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、切換器の寿命を短期化させずに切換器のメンテナンスを長時間フリーにすることを目的とする。
【0030】
第1、第2及び第3のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、ロータリー型成膜装置にて制御する際に製造サイクルを回転支持体が1周する間に行なうことで、製造サイクルを回転支持体の回転角度に応じて制御することを可能とし、さらに容器の装着又は取出をする際に複雑な制御することなしに、それぞれ1箇所で行なうことを目的とする。
【0031】
また、第1、第2及び第3のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、高周波電源の出力オン/オフのタイミングに合わせて、複数の高周波電源を順次且つ循環して、高周波の供給を担当させることで、コールドスイッチングする際に高周波電源をオフとすることによる成膜時間の短縮を防止することを目的とする。すなわち、コールドスイッチングを行なう高周波電源と、CVD成膜工程にある状態の外部電極若しくは放電ユニット内の外部電極に高周波を供給する高周波電源とを分けることで、CVD成膜工程にある状態の外部電極若しくは放電ユニット内の外部電極に対しては、高周波供給可能時間の延長をすることを可能とすることを目的とする。
【0032】
原料ガスとして炭化水素系ガス若しくはSi含有炭化水素系ガスを使用し、CVD膜としてDLC膜を成膜することで、DLC膜を成膜するのに適したプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置は、プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内に挿入される時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体と、各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、前記外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段とを備え、前記回転支持体を1回転させる間に、前記プラスチック容器の容器装着手段、該プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整手段、該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜手段、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整手段並びに容器取出手段の各手段を作動させるロータリー型プラズマCVD成膜装置であって、
前記高周波供給手段は、前記外部電極ごとに具設した固定整合器と、1以上の高周波電源と、該高周波電源ごとに具設した自動整合器と、前記CVD成膜手段を作動させる成膜チャンバーのみに前記固定整合器を介して前記自動整合器から受けた高周波を均等に供給する高周波分配手段と、前記高周波電源のうち、前記CVD成膜手段の作動開始時及び作動終了時の状態にある外部電極に対して高周波供給をする高周波電源の出力制御を行なうための高周波電源出力制御手段とを備えることを特徴とする。言い換えれば、本発明に係るロータリー型量産用CVD成膜装置は、プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内に挿入される時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体と、各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、前記外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段とを備え、前記回転支持体を1回転させる間に各プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するロータリー型プラズマCVD成膜装置であって、
前記高周波供給手段は、前記外部電極ごとに具設した固定整合器と、1以上の高周波電源と、該高周波電源ごとに具設した自動整合器と、所定の成膜チャンバーのみに前記固定整合器を介して前記自動整合器から受けた高周波を均等に供給する高周波分配手段と、所定高周波電源の出力制御を行なうための高周波電源出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0034】
請求項1記載のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記高周波分配手段は、高周波を同時且つ均等に分配する分配回路並びに該分配回路の各分配出力のオン/オフを切り換えする切換スイッチとを備えることが好ましい。
【0035】
請求項1又は2記載のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記高周波電源は、前記回転支持体における前記成膜チャンバーの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して行なう複数の高周波電源であることが好ましい。
【0036】
請求項2又は3記載のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記切換スイッチの出力側に第2分配回路を接続し、該第2分配回路の各出力と前記各固定整合器を接続して各外部電極に高周波を供給する接続とし、且つ前記第2分配回路で一まとまりの前記成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で前記回転支持体に配置したことが好ましい。
【0037】
請求項1記載のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記回転体支持体に配置した前記成膜チャンバーは、相隣合う所定数の該成膜チャンバーと複数の放電ユニットを形成し、且つ前記高周波分配手段は、前記自動整合器から受けた高周波を前記放電ユニットのいずれか1つに供給する切換器と、該切換器から供給された高周波を前記放電ユニット内の前記固定整合器に同時且つ均等に分配する放電ユニット分配回路とを備えることが好ましい。
【0038】
請求項5記載のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記高周波電源は、前記回転支持体における前記放電ユニットの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して行なう複数の高周波電源であることが好ましい。
【0039】
請求項5又は6記載のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記放電ユニットで一まとまりの前記成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で前記回転支持体に配置したことが好ましい。
【0040】
請求項1記載のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記回転体支持体に配置した前記成膜チャンバーは、相隣合う所定数の該成膜チャンバーと複数の放電ユニットを形成し、前記高周波電源の個数は前記放電ユニット内の所定数の成膜チャンバーと同数であり、且つ前記高周波分配手段は前記自動整合器から受けた高周波を前記放電ユニットの個数と同数に分岐させ、いずれか1つの放電ユニットに対してのみ高周波を供給する切換器を備えることが好ましい。
【0041】
請求項8記載の切換器の出力側は第2分配回路に高周波を供給し、該第2分配回路の各出力側と前記固定整合器とを接続したことが好ましい。
【0042】
請求項8又は9記載の放電ユニットで一まとまりの前記成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で前記回転支持体に配置したことが好ましい。
【0043】
本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記外部電極は、複数の前記プラスチック容器を並列かつそれぞれ独立に収納した状態で収容可能な収納空間を有する一柱体からなる柱状外部電極であり、前記各収納空間の中心軸は、該柱状外部電極の軸心と平行で、かつ前記柱状外部電極の同一断面同一円周上に位置し、前記収納空間は、均等間隔に配置したことが好ましい。
【0044】
本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記高周波電源は、トランジスタ型高周波電源であり、且つ周波数可動式か或いは電子式でマッチングを行なう高周波電源であることが好ましい。
【0045】
本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置において、前記CVD膜はDLC膜であることが好ましい。
【0046】
本発明のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法は、プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内に挿入される時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバー内に前記プラスチック容器を装着する容器装着工程、該プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整工程、前記外部電極に高周波出力を供給して該プラスチック容器内で前記原料ガスをプラズマ化させて該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜工程、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整工程並びに該コーティング済み容器を取り出す容器取出工程とを有するCVD膜コーティングプラスチック容器の製造サイクルを、複数の成膜チャンバーにてプラズマの着火状態が一部重複するように所定時間ずらして稼動させることを特徴とする。
【0047】
請求項14記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、前記成膜前ガス調整工程終了後に高周波電源の出力をオフ状態とし、次いで該高周波電源から前記CVD成膜工程へ進む前記成膜チャンバーに対応する外部電極までに至る回路を導通状態とし、次に該高周波電源の出力をオン状態として、該外部電極に高周波を同時且つ均等に該成膜チャンバーでプラズマを着火してCVD成膜工程を開始させ、所定成膜時間経過後には前記高周波電源の出力をオフ状態とし、次いで前記回路を遮断状態とし且つ該高周波電源からCVD成膜工程へ進む次なる成膜チャンバーに対応する外部電極までに至る回路を導通状態とし、次に該高周波電源の出力をオン状態として、前記成膜チャンバーにおいてプラズマを消滅させてCVD成膜工程を終了させ且つ次なる成膜チャンバーにおいて次なるCVD成膜工程を開始させることが好ましい。
【0048】
また、本発明のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法は、プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内に挿入される時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバー内に前記プラスチック容器を装着する容器装着工程、該プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整工程、前記外部電極に高周波出力を供給して該プラスチック容器内で前記原料ガスをプラズマ化させて、該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜工程、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整工程並びに前記コーティング済み容器を取り出す容器取出工程とを有するCVD膜コーティングプラスチック容器の製造サイクルを複数同タイミングで進行する放電ユニット単位で稼動させ、且つ相異なる放電ユニット間でプラズマの着火が重複しないように所定時間ずらして放電ユニットごとに前記各工程を進めることを特徴とする。
【0049】
請求項16記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、前記成膜前ガス調整工程終了後に高周波電源の出力をオフ状態とし、次いで該高周波電源から前記CVD成膜工程へ進む放電ユニット内の全ての外部電極までに至る回路を導通状態とし、次に該高周波電源の出力をオン状態として、該外部電極のみに高周波を同時且つ均等に分配して該放電ユニット内の成膜チャンバーでプラズマを着火させてCVD成膜工程を開始させ、所定成膜時間経過後には前記高周波電源の出力をオフ状態とし、次いで前記回路を遮断状態とし且つ該高周波電源からCVD成膜工程へ進む次なる放電ユニットの全ての外部電極までに至る回路を導通状態とし、次に該高周波電源の出力をオン状態として、前記放電ユニット内の成膜チャンバーにおいてプラズマを消滅させてCVD成膜工程を終了させ且つ次なる放電ユニットの成膜チャンバーにおいて次なるCVD成膜工程を開始させることが好ましい。
【0050】
請求項14、15、16又は17記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、高周波電源の出力オン/オフのタイミングに合わせて、複数の高周波電源が順次且つ循環して、高周波供給を行なうことが好ましい。
【0051】
請求項16記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、前記放電ユニット内の外部電極それぞれに具設した固定整合器と同数の高周波電源がそれぞれ該各固定整合器に高周波を供給して前記CVD成膜工程を行ない、次いで該高周波電源の出力をオフ状態として該CVD成膜工程を終了させるとともに該高周波電源と該固定整合器との接続を該高周波電源と次なる放電ユニット内の外部電極それぞれに具設した固定整合器との接続に切り換えた後、該高周波電源の出力をオン状態とし、次なる放電ユニット内の該固定整合器に高周波を供給して次なるCVD成膜工程を行なうことが好ましい。
【0052】
請求項14、15、16、17、18又は19記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、前記成膜チャンバーを回転支持体にサークル状に複数配設し、該回転支持体が1周する間に前記製造サイクルを行なうことが好ましい。
【0053】
請求項20記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、前記各工程の開始及び終了の時期を前記回転支持体の回転角度によって制御することが好ましい。
【0054】
請求項14、15、16、17、18、19、20又は21記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、原料ガスとして炭化水素系ガス若しくはSi含有炭化水素系ガスを使用し、前記CVD膜としてDLC膜を成膜することが好ましい。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を複数挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されない。また、各図面において部材が共通する場合には、同一の符号を附した。
【0056】
以下本発明の実施形態を図1〜35に基づいて説明する。図1は、本発明に係るロータリー型量産用CVD成膜装置の基本構成の関係を示した概念図である。本発明に係るロータリー型量産用CVD成膜装置は、成膜チャンバーと、成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体と、各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、成膜チャンバーの外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段とを備え、回転支持体を1回転させる間に、プラスチック容器の容器装着手段、プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整手段、プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜手段、プラスチック容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整手段並びに容器取出手段の各手段を作動させるロータリー型プラズマCVD成膜装置である。
【0057】
図2は、図1のうち一の成膜チャンバーに着目して、その構成を示した概念図である。図2に示すように成膜チャンバー6は、プラスチック容器7を収納する外部電極3とプラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される内部電極9並びに蓋5とから構成され、密封可能な真空室を形成する。
【0058】
蓋5は、導電部材4b及び絶縁部材4aとから構成し、内部電極9がプラスチック容器7内に挿入される時に内部電極9と外部電極3とを絶縁状態とする。
【0059】
導電部材4bの下に絶縁部材4aが配置されて蓋5を形成し、外部電極3は、絶縁部材4aの下に配置されている。この外部電極3は、上部外部電極2と下部外部電極1からなり、上部外部電極2の下部に下部外部電極1の上部がOリング8を介して着脱自在に取り付けられるよう構成されている。上部外部電極2と下部外部電極1を脱着することでプラスチック容器7を装着することができる。また、外部電極3は絶縁部材4によって蓋5と絶縁されている。
【0060】
なお、本実施形態では外部電極3を下部外部電極1と上部外部電極2の2つに分割しているが、CVD膜の膜厚等の均一化を図るため、外部電極を例えば底部電極、胴部電極及び肩部電極のように3つ、あるいはそれ以上に分割し、各電極は例えばOリング等を挟んでシール性を確保しつつ、フッ化樹脂シートやポリイミドフィルム或いはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルムで電気的に絶縁しても良い。
【0061】
外部電極3の内部には空間が形成されており、この空間はコーティング対象のプラスチック容器7、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器であるPETボトルを収容するための収納空間である。外部電極3内の収納空間は、そこに収容されるプラスチック容器7を収納できるように形成される。ここで、プラスチック容器の外形よりも僅かに大きくなるように形成されることが好ましい。すなわち、容器の収納空間の内壁面はプラスチック容器の外側近傍を囲む形状とすることが好ましい。ただし、プラスチック容器の内表面にバイアス電圧がかかる場合には、外部電極の収納空間の内壁面をプラスチック容器の外側近傍を囲む形状とする必要はない。蓋5には、外部電極3内の収納空間につながる開口部が設けられている。また、蓋5の内部には空間が設けられており、この空間は上記開口部を介して外部電極3内の収納空間につながっている。外部電極3内の収納空間は、上部外部電極2と下部外部電極1の間に配置されたOリング8によって外部から密閉されている。
【0062】
内部電極9は、外部電極3内に配置され、且つプラスチック容器7の内部に配置される。すなわち、導電部材4bの上部から導電部材4b内の空間、導電部材4bと絶縁部材4aの開口部を通して、外部電極3内の空間に内部電極9が差し込まれている。内部電極9の基端は導電部材4bの上部に配置される。一方、内部電極9の先端は、外部電極3内の空間であって外部電極3内に収容されたプラスチック容器7の内部に配置される。内部電極9は、その内部が中空からなる管形状を有している。内部電極9の先端にはガス吹き出しロ49が設けられている。さらに内部電極は接地されることが好ましい。
【0063】
外部電極は、図3に示すように、1本1本独立した容器収納孔を複数有する複数一体型外部電極にすることが好ましい。複数一体型外部電極とは、複数のプラスチック容器を並列かつそれぞれ独立に収納した状態で収容可能な収納空間を有する一柱体からなる柱状外部電極であり、各収納空間の中心軸は、柱状外部電極の軸心と平行で、且つ柱状外部電極の同一断面同一円周上に位置し、収納空間同士を均等間隔に配置するものである。図3では、一の外部電極3に4つの独立した容器収納孔を設けた場合を示している。一の外部電極3に対して容器収納孔それぞれに内部電極9a〜9dが設けてある。図4に複数一体型外部電極の場合のCVD成膜装置の模式図を示した。基本構造は、図2の場合と同様であるが、複数一体型外部電極としたため、複数の内部電極はそれぞれ接地して、且つ原料ガスも各容器に供給可能な配管となっている。図3に示すように外部電極3の内部には空間が4つ形成されて複数一体型の構造を採っているが、この空間はコーティング対象のプラスチック容器7a〜7dである、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂で成形されたPETボトルを4本収容するためのものである。外部電極3内の収納空間の形状は、図2における説明と同様である。図4のB−B’横断面図である図5に示すように、外部電極の中心χ1から半径aの円周S上にプラスチック容器7a〜7dの収納空間の中心である7ax〜7dx(それぞれ×で示した点)が、均等間隔で配置されるように収納空間を配置する。高周波出力は高周波出力供給ロッド30に導入する。ここで7ax〜7dxを均等間隔で配置する。図3(a)に示した複数一体型外部電極は、円柱状の柱状外部電極であるが、角柱あるいは各容器収納空間を近似的に均一な肉厚で囲む形状が複合して形成した一柱体からなる柱状構造でも良い。外部電極3の容器下部外部電極1は、図4に示す外部電極3の容器下部外部電極1の底面と中心軸Xとの交点χ2を高周波出力供給点としている。高周波出力供給ロッド30には導電ケーブルや導電性金属棒が用いられる。また高周波出力供給ロッド接続コンタクト32は、容器の出し入れ時に容器下部外部電極と容器上部外部電極とを組み立る場合に導通接点の役目を果たすものである。なお、高周波出力供給点χ2を容器下部外部電極に設けているが、容器下部外部電極1であって各プラスチック容器の底面付近の4箇所に分配して接続点を設けるか、あるいは外部電極の内部であって中心軸X上で接続等することも可能である。いずれにしても接続点の変更は、各プラスチック容器内で均等なプラズマを発生させることが可能な範囲内で適宜可能である。なお、本実施形態では、1個の外部電極の内部に4本のプラスチック容器を収納する場合を説明したが、4本以外であっても複数本のプラスチック容器を収納することが可能な外部電極を用いる形態を取ることもできる。本発明においては、複数一体型外部電極構造を採用することで、生産性の倍増と装置のコンパクトの少なくとも一方を実現できる。
【0064】
本発明に係る容器とは、蓋若しくは栓若しくはシールして使用する容器、またはそれらを使用せず開口状態で使用する容器を含む。開口部の大きさは内容物に応じて決める。プラスチック容器は、剛性を適度に有する所定の肉厚を有するプラスチック容器と剛性を有さないシート材により形成されたプラスチック容器を含む。本発明に係るプラスチック容器の充填物は、炭酸飲料若しくは果汁飲料若しくは清涼飲料等の飲料、並びに医薬品、農薬品、又は吸湿を嫌う乾燥食品等を挙げることができる。
【0065】
本発明のプラスチック容器を成形する際に使用する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂(ポリエステルのアルコール成分にエチレングリコールの代わりに、シクロヘキサンディメタノールを使用したコポリマーをPETGと呼んでいる、イーストマン製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。
【0066】
図2において、原料ガス導入手段41は、プラスチック容器7の内部に原料ガス発生源20から供給される原料ガスを導入する。すなわち、内部電極9の基端には、配管11の一方側が接続されており、この配管11の他方側は真空バルブ16を介してマスフローコントローラー19の一方側に接続されている。マスフローコントローラー19の他方側は配管を介して原料ガス発生源20に接続されている。この原料ガス発生源20はアセチレンなどの炭化水素ガス等を発生させるものである。
【0067】
図1に示すように原料ガス導入手段は、各成膜チャンバーに原料ガスを供給する。成膜チャンバーごとに原料ガス導入手段を設置しても良いが、一の原料ガス発生源によって、全ての成膜チャンバーに原料ガスを導入しても良い。この場合、原料ガス発生源とマスフローコントローラーとの間に、成膜チャンバーの数に応じた分岐配管を設ける。ここで、マスフローコントローラーは成膜チャンバーの数と同数設置する。いずれにしても、各成膜チャンバーに所定量の原料ガスを供給することができればよい。
【0068】
原料ガスとしては、例えば、DLC膜を成膜する場合、常温で気体又は液体の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類などが使用される。特に炭素数が6以上のベンゼン,トルエン,o−キシレン,m−キシレン,p−キシレン,シクロヘキサン等が望ましい。食品等の容器に使用する場合には、衛生上の観点から脂肪族炭化水素類、特にエチレン、プロピレン又はブチレン等のエチレン系炭化水素、又は、アセチレン、アリレン又は1―ブチン等のアセチレン系炭化水素が好ましい。これらの原料は、単独で用いても良いが、2種以上の混合ガスとして使用するようにしても良い。さらにこれらのガスをアルゴンやヘリウムの様な希ガスで希釈して用いる様にしても良い。また、ケイ素含有DLC膜を成膜する場合には、Si含有炭化水素系ガスを使用する。
【0069】
本発明でいうDLC膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H)と呼ばれる膜のことであり、硬質炭素膜も含まれる。またDLC膜はアモルファス状の炭素膜であり、SP結合も有する。このDLC膜を成膜する原料ガスとしては炭化水素系ガス、例えばアセチレンガスを用い、Si含有DLC膜を成膜する原料ガスとしてはSi含有炭化水素系ガスを用いる。このようなDLC膜をプラスチック容器の内表面に形成することにより、炭酸飲料や発泡飲料等の容器としてワンウェイ若しくはリターナブルに使用可能な容器を得る。
【0070】
導電部材4b内の空間は配管13の一方側に接続されており、配管13の他方側は真空バルブ18を介して真空ポンプ21に接続されている。この真空ポンプ21は排気ダクト29に接続されている。複数の成膜チャンバーがあるため、一つの真空ポンプに排気系統を集約して排気を行なっても良く、或いは複数の真空ポンプで分担して排気を行なっても良い。
【0071】
プラスチック容器の容器装着手段は、成膜チャンバー内の容器収納孔に容器を装着させるための手段であり、例えば、具体的には容器を収納するために上部外部電極2と下部外部電極1とを開口させる手段である。図1のように未コーティングプラスチック容器は、例えばコンベアから容器を別個に取り出して成膜チャンバー内の容器収納孔に投入する容器装着ハンドリング装置(未図示)によって供給する。
【0072】
成膜前ガス調整手段は、プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する手段であり、原料ガス導入手段と真空ポンプの排気とを協同させるものである。
【0073】
CVD成膜手段は、プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜する手段であり、成膜チャンバーにおいて高周波供給手段と原料ガス導入手段と排気手段とを協同させるものである。ここで排気手段とは、真空バルブ18、真空ポンプ21及び排気ダクト29から構成される。
【0074】
成膜後ガス調整手段は、成膜チャンバー及びプラスチック容器内の残存した原料ガスを除去し、さらに成膜後にプラスチック容器内を大気圧開放させる手段であり、排気手段と大気開放弁17とを協同させるものである。
【0075】
容器取出手段は、成膜チャンバー内の容器収納孔から容器を取出させるための手段であり、例えば容器を取出するために上部外部電極2と下部外部電極1とを開口させる手段である。図1のようにコーティング済み容器は、例えば成膜チャンバー内の容器収納孔から容器を取出する容器取出ハンドリング装置(未図示)によってコンベアに載せられ、搬出される。
【0076】
図6に示すように、高周波供給手段は、外部電極ごとに具設した固定整合器(図中は、先端M.Bと表記する)と、1以上の高周波電源と、該高周波電源ごとに具設した自動整合器(自動マッチングボックス)と、CVD成膜手段を作動させる成膜チャンバーのみに固定整合器を介して自動整合器から受けた高周波を均等に供給する高周波分配手段(分配器)と、高周波電源のうち、CVD成膜手段の作動開始時及び作動終了時の状態にある外部電極に対して高周波供給をする高周波電源の出力制御を行なうための高周波電源出力制御手段とを備える。
【0077】
固定整合器は、外部電極それぞれに具設され、同軸ケーブルによって供給される高周波と外部電極内で生成するプラズマとのインピーダンス整合を行なう。固定整合器を外部電極は、銅板配線によって接続する。
【0078】
高周波電源は、プラスチック容器内で原料ガスをプラズマ化するためのエネルギーである高周波を発生させるものである。マッチングを素早く行ない、プラズマ着火に要する時間を短縮させるために、トランジスタ型高周波電源であり、且つ周波数可動式か或いは電子式でマッチングを行なう高周波電源であることが好ましい。高周波電源の周波数は、100kHz〜1000MHzであるが、例えば、工業用周波数である13.56MHzのものを使用する。
【0079】
自動整合器から固定整合器に至るまでの配線は、同軸ケーブルで接続する。同軸ケーブルは例えば特性インピーダンス50Ωのものとする。ここで自動整合器は、同軸ケーブル上でのインピーダンス変動を調整するものである。
【0080】
高周波電源出力制御手段は、高周波電源のうち、CVD成膜手段の作動開始時及び作動終了時の状態にある外部電極に対して、コールドスイッチングを実現させるための制御手段である。高周波を外部電極に供給開始する際に、高周波電源の出力を一旦オフとする信号を発信し、切換器の切換作業終了後に高周波電源の出力をオンとする信号を発信するものである。なお、CVD成膜手段の作動開始時及び作動終了時は、例えば、回転支持体の回転角度の検出によって連動して検知させる。
【0081】
高周波分配手段は、一の高周波電源から供給される高周波を複数の外部電極に分配するためのものである。高周波分配手段の構成によって、本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置が複数の形態をとりうるため、第1実施形態、第2実施形態並びに第3実施形態に分けて説明する。
【0082】
[第1実施形態]
図7に示すように、高周波分配手段は、高周波を同時且つ均等に分配する分配回路並びに分配回路の各分配出力のオン/オフを切り換えする切換スイッチとから構成する。
【0083】
分配回路は、例えば図8に示すように、パラレル型、すなわちコイルと抵抗とコンデンサによる回路であり、一入力を複数出力に分配する回路である。或いは図8のカスケード型の回路としても良い。
【0084】
切換スイッチとは、例えば分配回路の出力をオン/オフするための高周波リレーである。
【0085】
本実施形態の高周波分配手段を採用すると、外部電極をそれぞれ独立して高周波供給のオン/オフを行なうことができる。
【0086】
本実施形態において、具体的な実施例として高周波電源を2個、成膜チャンバーを32個とした場合の回路を図9に示す。ここで、MFCはマスフローコントローラー、GVはガスバルブ、PSはプレッシャースイッチ、LVはリークバルブ、RVは粗バルブ、PGは圧力計、MVはメインバルブ、TSはサーモカップルゲージ、IVはアイソレーションバルブ(保護バルブ)、BOTは容器、先端M.Bは固定整合器の略称である。これらの後に続く番号は、成膜チャンバーの数に応じた回転支持体上の配列順番に相当する数字である。図9の回路の場合において、回転支持体に配置した成膜チャンバーの配列を図10に示した。図10の回転支持体の回転方向は右回り(以下、図10と同様の配列図において同じ)である。さらにこの場合の高周波供給手段の回路を図11に示した。高周波電源をAとBの2個準備し、回転支持体における成膜チャンバーの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して担当させる回路とする。すなわち、図10及び図11に示すように成膜チャンバー1、2、…、32の配列順に対して、高周波電源A、高周波電源B、…、高周波電源Bのように担当させる回路とする。この構成によると、ある成膜チャンバーに高周波を供給開始する場合に、高周波供給中の成膜チャンバーに対してコールドスイッチングを原因とする高周波供給の中断を行なわなくて良い。すなわち、図10及び図11のうち成膜チャンバー1、3、5、7、9、11については、高周波電源Aが担当するため、成膜チャンバー1が成膜開始するためには成膜チャンバー3、5、7、9、11に対する高周波供給を一時的に中断しなければならない。しかし、成膜チャンバー2、4、6、8、10、12については、高周波電源Bが担当するので高周波電源Aの出力オン/オフの影響を受けない。したがって、成膜時間の短縮化を招くことがない。
【0087】
本実施形態において、別の具体的な実施例として高周波電源を4個、成膜チャンバーを32個とした場合の回路を図12に示す。ここで、略称は前述と同様である。図12の回路の場合において、回転支持体に配置した成膜チャンバーの配列を図13に示した。さらにこの場合の高周波供給手段の回路を図14に示した。高周波電源をA、B、C,Dの4個準備し、回転支持体における成膜チャンバーの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して担当させる回路とする。すなわち、図13及び図14に示すように成膜チャンバー1、2、3、4、…、32の配列順に対して、高周波電源A、高周波電源B、高周波電源C、高周波電源D、…、高周波電源Dのように担当させる回路とする。この構成によると、ある成膜チャンバーに高周波を供給開始する場合に、高周波供給中の成膜チャンバーに対してコールドスイッチングを原因とする高周波供給の中断を行なわなくて良い。すなわち、図13及び図14のうち成膜チャンバー1、5、9、11については、高周波電源Aが担当するため、成膜チャンバー1が成膜開始するためには成膜チャンバー5、9、11に対する高周波供給を一時的に中断しなければならない。しかし、成膜チャンバー2、3、4、5、6、7、8、10、12については、高周波電源B、高周波電源C又は高周波電源Dが担当するので高周波電源Aの出力オン/オフの影響を受けない。したがって、成膜時間の短縮化を招くことがない。
【0088】
本実施形態において、さらに図15に示すように、切換スイッチの出力側に第2分配回路を接続し、第2分配回路の各出力側と各固定整合器を接続して各外部電極に高周波を供給する接続としても良い。この場合、第2分配回路で一まとまりの成膜チャンバーを同一円心の円周方向に沿って複数列で回転支持体に配置することが好ましい。第2分配回路は、分配回路と同様にコイルと抵抗とコンデンサによる回路であり、一入力を複数出力に分配する回路である。或いはカスケード型としても良い。上述した配置とすることで、一の切換スイッチを制御すれば同じ第2グループに属する成膜チャンバーへの高周波供給を制御することが可能となる。また、この配置とするのは、第2分配回路で分岐させることで、成膜チャンバーの数を増やして生産性を向上させるためである。
【0089】
また、図13において、外部電極を複数一体型外部電極とすることが好ましい。図16に具体的実施例を示す。一の外部電極に2つの独立した容器収納孔、例えば24a、24bを設け、円周方向に沿って複数列で配置する。この場合、外部電極を複数一体型外部電極とすることで、ほとんど大型化することなしに生産性を2倍に向上させることが可能となる。
【0090】
[第2実施形態]
図17に示すように、回転体支持体に配置する成膜チャンバーについて、相隣合う所定数の成膜チャンバーと複数の放電ユニットを形成させる。この放電ユニットは、回路上の組み合わせであって、成膜チャンバーを必ずしも構造的なユニットとするものではない。なお、図17は、便宜上、回転支持体の配列順に成膜チャンバーを横に整列させて記載した。
【0091】
このとき、高周波分配手段は、図17に示すように、自動整合器から受けた高周波を放電ユニットのいずれか1つに供給する切換器と、切換器から供給された高周波を放電ユニット内の固定整合器に同時且つ均等に分配する放電ユニット分配回路とにより構成する。
【0092】
切換器は、高周波を放電ユニットのいずれか1つに供給する一入力一複数切換である。例えば、図17の切換器にある4つのリレーのうち、一つのリレーのみがスイッチオン状態となる回路である。
【0093】
放電ユニット分配器は、前述した分配回路と同等の回路で、コイルと抵抗とコンデンサによる回路であり、一入力を複数出力に分配する回路である。
【0094】
例えば、成膜チャンバーがm×n個ある場合において、放電ユニットの数をn個とすると、一放電ユニット内の成膜チャンバーはm個となる関係が成立する。
【0095】
本実施形態の高周波分配手段を採用すると、放電ユニット単位でそれぞれ独立して高周波供給のオン/オフを行なうことができる。
【0096】
本実施形態において、具体的な実施例として高周波電源を2個、成膜チャンバーを32個とした場合の回路を図18に示す。放電ユニット内の成膜チャンバーは、4本である。図18における略称は、前述と同様である。図18の回路の場合において、回転支持体に配置した成膜チャンバーの配列を図19に示した。さらにこの場合の高周波供給手段の回路を図20に示した。すなわち、高周波電源をAとBの2個準備し、回転支持体における放電ユニットの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して担当させる。すなわち、図19及び図20に示すように、成膜チャンバー1、2、3、4が形成する放電ユニット、成膜チャンバー5、6、7、8が形成する放電ユニット、…、成膜チャンバー29、30、31、32が形成する放電ユニットの配列順に対して、高周波電源A、高周波電源B、…、高周波電源Bのように担当させる回路とする。この構成によると、ある放電ユニットの成膜チャンバーに高周波を供給開始する場合に、高周波供給中の放電ユニットの成膜チャンバーに対してコールドスイッチングを原因とする高周波供給の中断を行なわなくて良い。すなわち、図19及び図20のうち成膜チャンバー1、2、3、4が形成する放電ユニットについては、高周波電源Aが担当して、成膜チャンバー1、2、3、4が形成する放電ユニットが成膜開始する時と、成膜チャンバー9、10、11、12が形成する放電ユニットに対する高周波供給が終了する時が一致する。ところが、成膜チャンバー5、6、7、8が形成する放電ユニットについては、高周波電源Bが担当するので高周波電源Aの出力オン/オフの影響を受けない。したがって、成膜時間の短縮化を招くことがない。
【0097】
本実施形態において、さらに図21に示すように、放電ユニットで一まとまりの成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で回転支持体に配置しても良い。このように配置することで、回転支持体の半径を小さくすることができる。例えば2列にした場合には、回転支持体の円周方向に整列する成膜チャンバーは1列の場合と比較して二分の一になり、回転支持体の半径を小さくすることが可能となる。
【0098】
本実施形態において、別の具体的な実施例として高周波電源を4個、成膜チャンバーを32個とした場合の回路を図22に示す。放電ユニット内の成膜チャンバーは、2本である。図22における略称は、前述と同様である。図22の回路の場合において、回転支持体に配置した成膜チャンバーの配列を図23に示した。さらにこの場合の高周波供給手段の回路を図24に示した。すなわち、高周波電源をA、B、C及びDの4個準備し、回転支持体における放電ユニットの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して担当させる回路とする。すなわち、図23及び図24に示すように、成膜チャンバー1、2が形成する放電ユニット、成膜チャンバー3、4が形成する放電ユニット、成膜チャンバー5、6が形成する放電ユニット、成膜チャンバー7、8が形成する放電ユニット、…、成膜チャンバー31、32が形成する放電ユニットの配列順に対して、高周波電源A、高周波電源B、高周波電源C、高周波電源D…、高周波電源Dのように担当させる回路とする。この構成によると、ある放電ユニットの成膜チャンバーに高周波を供給開始する場合に、高周波供給中の放電ユニットの成膜チャンバーに対してコールドスイッチングを原因とする高周波供給の中断を行なわなくて良い。すなわち、図23及び図24のうち成膜チャンバー3、4が形成する放電ユニットについては、高周波電源Bが担当する。成膜チャンバー3、4が形成する放電ユニットが成膜開始する時と、成膜チャンバー11、12が形成する放電ユニットBへの高周波供給の終了の時が一致する。したがって成膜チャンバー5、6が形成する放電ユニットC、成膜チャンバー7、8が形成する放電ユニットD、成膜チャンバー9、10が形成する放電ユニットAについては、高周波電顕C、D、Aがそれぞれ担当するので、高周波電源Bの出力オン/オフの影響を全く受けない。したがって、コールドスイッチングを原因とする成膜時間の短縮化は全くない。
【0099】
本実施形態において、さらに図25に示すように、放電ユニットで一まとまりの成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で回転支持体に配置しても良い。このように配置することで、回転支持体の半径を小さくすることができる。例えば2列にした場合には、回転支持体の円周方向に整列する成膜チャンバーは1列の場合と比較して二分の一になり、回転支持体の半径を小さくすることが可能となる。
【0100】
また、図23において、外部電極を複数一体型外部電極とすることが好ましい。図26に具体的実施例を示す。一の外部電極に2つの独立した容器収納孔、例えば24a、24bを設け、円周方向に沿って複数列で配置する。この場合、外部電極を複数一体型外部電極とすることで、ほとんど大型化することなしに生産性を2倍に向上させることが可能となる。
【0101】
[第3実施形態]
回転体支持体に配置した成膜チャンバーについて、図35に示すように相隣合う所定数の成膜チャンバーと複数の放電ユニットを形成させる。このとき、高周波電源の個数は放電ユニット内の所定数の成膜チャンバーと同数とする。成膜チャンバーの個数をm×n個とすると、放電ユニットの個数はn個、高周波電源の個数はm個、放電ユニット内の成膜チャンバーはm個という関係が成立する。なお、この放電ユニットは、回路上の組み合わせであって、成膜チャンバーを必ずしも構造上ユニットとするものではない。
【0102】
さらに、高周波分配手段は、自動整合器から受けた高周波を放電ユニットの個数と同数に分岐させ、いずれか1つの放電ユニットに対してのみ高周波を供給する切換器を備える構成とする。
【0103】
すなわち切換器は、例えば放電ユニットが3ユニットある場合では、一の高周波電源の高周波を、第一放電ユニットの一の成膜チャンバー若しくは第二放電ユニットの一の成膜チャンバー若しくは第三放電ユニットの一の成膜チャンバーのいずれかに切り換えて供給する回路構成とする。
【0104】
本実施形態において、具体的な実施例として高周波電源を8個、成膜チャンバーを32個とした場合の回路を図27に示す。放電ユニット内の成膜チャンバーは8個である。放電ユニットの個数は4個である。図27における略称は、前述と同様である。図27の回路の場合において、回転支持体に配置した成膜チャンバーの配列を図28に示した。さらにこの場合の高周波供給手段の回路を図29に示した。すなわち図28及び図29に示すように、高周波電源をA、B、C、D、E、F、G、Hの8個を準備し、一の放電ユニット内の各成膜チャンバーそれぞれについて高周波電源をA、B、C、D、E、F、G、Hのいずれかが高周波供給の担当をする回路とする。そして、続く放電ユニット内の各成膜チャンバーそれぞれについて再び高周波電源をA、B、C、D、E、F、G、Hのいずれかが高周波供給の担当をする回路とする。この構成によると、一の放電ユニットの成膜チャンバーと高周波電源は一対一の関係が成立し、高周波供給中の放電ユニットの成膜チャンバーに対してコールドスイッチングを原因とする高周波供給の中断を行なわなくて良い。したがって、成膜時間の短縮化を招くことがない。さらに、第一実施形態及び第二実施形態よりも成膜時間を長くとることができる。
【0105】
本実施形態において、放電ユニットで一まとまりの成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で回転支持体に配置しても良い。このように配置することで、回転支持体の半径を小さくすることができる。例えば2列にした場合には、回転支持体の円周方向に整列する成膜チャンバーは1列の場合と比較して二分の一になり、回転支持体の半径を小さくすることが可能となる。
【0106】
本実施形態において、切換器の出力側に第2分配回路を接続し、第2分配回路の各出力側と各固定整合器とを接続して各外部電極に高周波を供給する接続としても良い。第2分配回路とは前述したものと同じであり、一入力を複数出力に分配する回路である。この場合、放電ユニットで一まとまりの成膜チャンバーを同一円心の円周方向に沿って複数列で回転支持体に配置してもよい。この配置するのは、生産性を第2分配回路で分岐させただけ生産性を向上させるためである。
【0107】
また、第一実施形態又は第二実施形態と同様に、外部電極を複数一体型外部電極とすることが好ましい。外部電極を複数一体型外部電極とすることで、ほとんど大型化することなしに生産性を2倍に向上させることが可能となる。
【0108】
各実施形態では、主に成膜チャンバーを32個とした場合を想定して説明したが、本発明ではこれに限定されず、装置の規模に応じて成膜チャンバーの個数を適宜変更することができる。なお、この場合において、成膜チャンバーは電源数の倍数としたほうが効率は良い。
【0109】
次に、本発明のCVD膜連続成膜装置を用いて容器の内部にDLC膜を成膜する方法について説明する。まず、各実施形態において共通である製造サイクルについて説明し、DLC膜を成膜する方法を述べる。
【0110】
まず、図2を用いて、成膜チャンバー内にプラスチック容器を装着する容器装着工程について説明する。成膜チャンバー内は、真空バルブ17を開いて大気開放されており、外部電極3の下部外部電極1が上部外部電極2から取り外された状態となっている。コンベア(不図示)から供給された未コーティングのプラスチック容器(図1の未成膜容器)を容器装着ハンドリング装置(不図示)によって抜き出し、図2に示すように、上部外部電極2の下側から上部外部電極2内の空間にプラスチック容器7を差し込み、設置する。この際、内部電極9はプラスチック容器7内に挿入された状態になる。次に、下部外部電極1を上部外部電極2の下部に装着し、外部電極3はOリング8によって密閉される。
【0111】
次に、プラスチック容器7の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整工程について説明する。図2に示すように、真空バルブ17を閉じた後、真空バルブ18を開き、真空ポンプ21を作動させる。これにより、プラスチック容器7内を含む成膜チャンバー6内が配管13を通して排気され、成膜チャンバー6内が真空となる。このときの成膜チャンバー6内の圧力は2.6〜66Pa(2×10 〜5×10 Torr)である。
【0112】
次に、真空バルブ16を開き、原料ガス発生源20において炭化水素ガスを発生させ、この炭化水素ガスを配管22内に導入し、マスフローコントローラー19によって流量制御された炭化水素ガスを配管11及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出しロ49から吹き出す。これにより、炭化水素ガスがプラスチック容器7内に導入される。そして、成膜チャンバー6内とプラスチック容器7内は、制御されたガス流量と排気能力のバランスによって、DLC成膜に適した圧力(例えば6.6〜665Pa,0.05〜5.00Torr程度)に保たれ、安定化させる。
【0113】
次に外部電極3に高周波出力を供給してプラスチック容器7内で原料ガスをプラズマ化させてプラスチック容器7の内表面にDLC膜を成膜するCVD成膜工程について説明する。CVD成膜工程にある状態の成膜チャンバー6は、高周波供給手段によりRF出力(例えば13.56MHz)が供給される。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火する。このとき、自動整合器は、出力供給している電極全体からの反射波が最小になるように、インダクタンスL、キャパシタンスCによってインピーダンスを合わせている。固定整合器は、同軸ケーブルのインピーダンスをプラズマのインピーダンスに変換している。これによって、プラスチック容器7内に炭化水素系プラズマが発生し、DLC膜がプラスチック容器7の内表面に成膜される。このときの成膜時間は数秒程度と短いものとなる。次に、高周波供給手段からのRF出力を停止し、プラズマを消滅させてDLC膜の成膜を終了させる。ほぼ同時に真空バルブ16を閉じて原料ガスの供給を停止する。
【0114】
なお、CVD成膜工程にある状態の成膜チャンバーは、放電ユニット単位で成膜を行なう場合には、放電ユニット内の成膜チャンバーが全て回転支持体のCVD成膜工程エリアに入るまで待機時間が設けられる。
【0115】
次に、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整工程について説明する。成膜チャンバー6内及びプラスチック容器7内に残存した炭化水素ガスを除くために、真空バルブ18を開き、成膜チャンバー6内及びプラスチック容器7内の炭化水素ガスを真空ポンプ21によって排気する。その後、真空バルブ18を閉じ、排気を終了させる。このときの成膜チャンバー6内の圧力は6.6〜665Pa(0.05〜5.00Torr)である。この後、真空バルブ17を開く。これにより、空気が蓋5内の空間、外部電極3内の空間に入り、成膜チャンバー6内が大気開放される。
【0116】
次にコーティング済み容器を取り出す容器取出工程について説明する。外部電極3の下部外部電極1が上部外部電極2から取り外された状態とする。上部外部電極2内の空間に収納されているプラスチック容器7を上部外部電極2の下側から容器取出ハンドリング装置(不図示)によって取り出す。次にコーティング済み容器(図1の成膜済み容器)をコンベア(不図示)へ載せて搬出する。
【0117】
回転支持体に複数配置された成膜チャンバーが、回転支持体の回転角度に応じて順次、循環して製造サイクルを行なうことにより、DLC膜コーティングプラスチック容器が量産される。
【0118】
次に、実施形態ごとに高周波供給手段の制御方法並びに成膜チャンバーそれぞれの関係についてについて説明する。
【0119】
[第1実施形態]
図10及び図11を参照しながら、複数の成膜チャンバーにてプラズマの着火状態が一部重複するように所定時間ずらして稼動させる成膜方法について説明する。成膜チャンバー32が回転支持体の回転に伴ってCVD成膜工程エリアに入り、且つ成膜チャンバー12がCVD成膜工程エリアから出る場合において、成膜チャンバー32の成膜前ガス調整工程終了後に、高周波電源出力制御手段(不図示)の指示により高周波電源Bの出力をオフ状態とする。次いで高周波電源Bから成膜チャンバー32の外部電極までに至る回路を導通状態とする。これは図11の成膜チャンバー32に対応する切換スイッチをオンとすることにより実現する。次に高周波電源出力制御手段の指示により高周波電源Bの出力をオン状態とする。このとき成膜チャンバー32の外部電極に対して、成膜チャンバー2、4、6、8、10と同様の高周波を同時且つ均等に分配して、成膜チャンバー32にてCVD成膜工程を開始させる。なお、成膜チャンバー2、4、6、8、10はCVD成膜工程の過程内にある。ここで、高周波電源出力制御手段の指示とは、回転支持体の回転角度により各工程の状態を把握し、検知して制御することをいう。
【0120】
所定成膜時間経過後、高周波電源Bの出力を高周波電源出力制御手段の指示によりオフ状態とする。次いで高周波電源Bから成膜チャンバー32の外部電極までに至る回路を遮断状態とする。これは図11の成膜チャンバー32に対応する切換スイッチをオフとすることにより実現する。同時に高周波電源Bから成膜チャンバー20の外部電極までに至る回路を導通状態とする。これは図11の成膜チャンバー20に対応する切換スイッチをオンとすることにより実現する。次に高周波電源Bの出力を高周波電源出力制御手段の指示によりオン状態として、成膜チャンバー32においてプラズマを消滅させてCVD成膜工程を終了させる。同時に成膜チャンバー20においてCVD成膜工程を開始させる。
【0121】
このように成膜チャンバーを回転支持体の回転に合わせて、成膜チャンバー単位で製造サイクルを1ずつ、ずらしながら順次稼動させる。この所定のずれ時間よりも成膜時間を長く取るため、複数の成膜チャンバーにて同時にプラズマが着火しうる。この場合、完全に同一製造サイクルを進んでいる成膜チャンバーの組み合わせはない。
【0122】
なお、成膜チャンバー30、28、26、24…が順次CVD成膜工程に入る際に、上述した高周波電源Bの出力がオン/オフされるため、CVD成膜工程ゾーンにある高周波電源Bから高周波供給を受ける成膜チャンバーにおいても、オン/オフ切換に伴う所定時間、CVD成膜が中断する。すなわち、プラズマが着火、消滅を繰り返すこととなる。この中断時間が、成膜時間のロスタイムとなる。ただし、本実施形態では高周波電源をA、Bの2個使用しているため、高周波電源Bのオン/オフと高周波電源Aのオン/オフは、独立制御となる。したがって、高周波電源Aが高周波を供給する成膜チャンバーについて(例えば、図10の成膜チャンバー1、3、5、7、9、11)高周波電源Bのオン/オフに伴う成膜時間のロスタイムはない。
【0123】
各成膜チャンバーにおける製造サイクルの進め具合を図30に示した。横軸の角度は回転支持体の回転角度である。この回転角度は、図10に図示した0°を基準としている。本実施例ではこの回転角度によって、製造サイクルを進めている。図中の斜線部がCVD成膜工程にある状態を示している。
【0124】
図13及び図14の構成について、高周波電源を4個使用した場合の各成膜チャンバーにおける製造サイクルの進め具合を図31に示した。高周波電源を2個から4個へ増やしたため、コールドスイッチング切り換えに基づく断続回数が減り、成膜時間のロスタイムが少なくなる。
【0125】
[第2実施形態]
図19及び図20を参照しながら、複数同タイミングで進行する放電ユニット単位で稼動させ、且つ相異なる放電ユニット間でプラズマの着火が重複しないように所定時間ずらして放電ユニットごとに前記各工程を進める成膜方法について説明する。成膜チャンバー1、2、3、4が形成する放電ユニットが回転支持体の回転に伴ってCVD成膜工程エリアに入り、且つ成膜チャンバー9、10、11、12が形成する放電ユニットがCVD成膜工程エリアから出る場合において、成膜チャンバー1、2、3、4が形成する放電ユニットの成膜前ガス調整工程終了後に、高周波電源出力制御手段(不図示)の指示により高周波電源Aの出力をオフ状態とする。次いで高周波電源Aから成膜チャンバー1、2、3、4が形成する放電ユニットの各外部電極までに至る回路を導通状態とする。これは図20の成膜チャンバー1、2、3、4に対応する切換スイッチをオンとすることにより実現する。次に高周波電源出力制御手段の指示により高周波電源Aの出力をオン状態とする。このとき成膜チャンバー1、2、3、4の各外部電極に対して高周波を同時且つ均等に分配して、成膜チャンバー1、2、3、4を形成する放電ユニットにおいてのみCVD成膜工程を開始させる。
【0126】
所定成膜時間経過後、高周波電源Aの出力を高周波電源出力制御手段の指示によりオフ状態とする。次いで高周波電源Aから成膜チャンバー1、2、3、4の外部電極までに至る回路を遮断状態とする。これは図20の成膜チャンバー1、2、3、4に対応する切換スイッチをオフとすることにより実現する。同時に高周波電源Aから成膜チャンバー25、26、27、28の外部電極までに至る回路を導通状態とする。これは図20の成膜チャンバー25、26、27、28に対応する切換スイッチをオンとすることにより実現する。次に高周波電源Aの出力を高周波電源出力制御手段の指示によりオン状態として、成膜チャンバー1、2、3、4が形成する放電ユニットにおいてプラズマを消滅させてCVD成膜工程を終了させる。同時に成膜チャンバー25、26、27、28が形成する放電ユニットにおいてのみCVD成膜工程を開始させる。
【0127】
このように放電ユニットを回転支持体の回転に合わせて、製造サイクルを放電ユニット単位で1ずつ、ずらしながら順次稼動させる。したがって、相異なる放電ユニット間で同時にプラズマを着火させない。所定時間ずらして放電ユニットごとにCVD成膜工程を進めることとなる。
【0128】
本実施形態では高周波電源をA、Bの2個使用しているため、高周波電源Bのオン/オフと高周波電源Aのオン/オフは、独立制御となる。したがって、高周波電源Aが高周波を供給する放電ユニットの成膜チャンバーについて高周波電源Bのオン/オフに伴う成膜時間のロスタイムはない。
【0129】
各放電ユニットにおける製造サイクルの進め具合を図32に示した。横軸の角度は回転支持体の回転角度である。この回転角度は、図19に図示した0°を基準としている。本実施例ではこの回転角度によって、製造サイクルを進めている。図中網掛け部は、待機エリアの状態を示している。
【0130】
図23及び図24の構成について、高周波電源を4個使用した場合の各放電ユニットの成膜チャンバーにおける製造サイクルの進め具合を図33に示した。高周波電源を2個から4個へ増やしたため、電源容量を減らすことができる。
【0131】
[第3実施形態]
図28及び図29を参照しながら、複数同タイミングで進行する放電ユニット単位で稼動させ、且つ相異なる放電ユニット間でプラズマの着火が重複しないように所定時間ずらして放電ユニットごとに前記各工程を進める成膜方法の別形態について説明する。成膜チャンバー29、30、31、32、1、2、3、4が形成する放電ユニットが回転支持体の回転に伴ってCVD成膜工程エリアに入り、且つ成膜チャンバー5、6、7、8、9、10、11、12が形成する放電ユニットがCVD成膜工程エリアから出る場合において、成膜チャンバー29、30、31、32、1、2、3、4が形成する放電ユニットの成膜前ガス調整工程終了後に、高周波電源出力制御手段(不図示)の指示により全ての高周波電源の出力をオフ状態とする。次いで高周波電源から成膜チャンバー29、30、31、32、1、2、3、4が形成する放電ユニットの各外部電極までに至る回路を導通状態とする。これは図29の成膜チャンバー29、30、31、32、1、2、3、4に対応する切換スイッチをオンとすることにより実現する。次に高周波電源出力制御手段の指示により全ての高周波電源の出力をオン状態とする。このとき成膜チャンバー29、30、31、32、1、2、3、4の各外部電極に対して各高周波電源が一対一で高周波を供給し、この放電ユニットにおいてのみCVD成膜工程を開始させる。
【0132】
所定成膜時間経過後、全ての高周波電源の出力を高周波電源出力制御手段の指示によりオフ状態とする。次いで高周波電源から成膜チャンバー29、30、31、32、1、2、3、4の外部電極までに至る回路を遮断状態とする。これは図29の成膜チャンバー29、30、31、32、1、2、3、4に対応する切換スイッチをオフとすることにより実現する。同時に高周波電源から成膜チャンバー21、22、23、24、25、26、27、28の外部電極までに至る回路を導通状態とする。これは図29の成膜チャンバー21、22、23、24、25、26、27、28に対応する切換スイッチをオンとすることにより実現する。次に全ての高周波電源の出力を高周波電源出力制御手段の指示によりオン状態として、成膜チャンバー29、30、31、32、1、2、3、4が形成する放電ユニットにおいてプラズマを消滅させてCVD成膜工程を終了させる。同時に成膜チャンバー21、22、23、24、25、26、27、28が形成する放電ユニットにおいてのみCVD成膜工程を開始させる。
【0133】
このように放電ユニットを回転支持体の回転に合わせて、製造サイクルを放電ユニット単位で1ずつ、ずらしながら順次稼動させる。したがって、相異なる放電ユニット間で同時にプラズマを着火させない。所定時間ずらして放電ユニットごとにCVD成膜工程を進めることとなる。
【0134】
本実施形態では高周波電源と成膜チャンバーを一対一で接続しているため、高周波電源のオン/オフに伴う成膜時間のロスタイムはない。
【0135】
各放電ユニットにおける製造サイクルの進め具合を図34に示した。横軸の角度は回転支持体の回転角度である。この回転角度は、図28に図示した0°を基準としている。本実施例ではこの回転角度によって、製造サイクルを進めている。
【0136】
第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態で説明したように、成膜チャンバーを回転支持体にサークル状に複数配設し、回転支持体が一定速度で1周する間に製造サイクルを行なうことによって、図30乃至図34に示したような循環的に製造サイクルを稼動させることができる。
【0137】
さらに、どの実施形態においても、単に全ての成膜チャンバーに同時に均等の高周波をかけるのではなく、回転支持体の成膜チャンバーうち、一部の成膜チャンバーに対して、均等の高周波を同時或いはタイミングをずらして供給することができる。
【0138】
表1〜3に、各実施形態と成膜時間、電源数等との関係を具体的に示す。放電可能時間は次のように求めた。回転支持体の1回転に要する時間を1周期T = 8.5秒とする。例えば、実施例1の場合、一円周上に配置される成膜チャンバー数n =32本とすると、給ビン間隔tは、式1で表される。
【式1】
Figure 2004002905
さらに成膜工程外時間を5.5秒、成膜工程時間を3秒とすると、回転支持体の回転角度に換算して、CVD成膜工程エリアθは、式2で表される。
【式2】
Figure 2004002905
また、CVD成膜工程エリアに入る成膜チャンバーの数は式3で表される。
【式3】
Figure 2004002905
さらに、CVD成膜工程エリアにある成膜チャンバーであっても、放電可能な成膜チャンバーは各実施例で異なる。1個の成膜チャンバー全体若しくは1つの放電ユニットが入りきるまでは放電できないため、放電待機時間が必要となるからである。表1〜3には各実施例において、待機状態の成膜チャンバー数を除いた本数である、放電可能状態の成膜チャンバー数ndisを示している。そして、放電可能時間tdisは、式4で求められる。ただし、Lは同一円心の円周方向に配置する成膜チャンバーの列数(列)である。
【式4】
Figure 2004002905
次に、放電可能状態の成膜チャンバーが実際にプラズマを放電できる時間は、コールドスイッチングを行なうための高周波電源の出力オンオフに伴うロス時間を差し引くことが必要である。このときリレー切り換え時間tswは、0.05秒とする。wはコールドスイッチングの断続回数、すなわち切り換える回数である。すると実放電時間trealは、式5で表すことができる。
【式5】
Figure 2004002905
なお、表1〜3には、1時間あたりの生産本数を生産性として評価し、リレー寿命の評価も載せた。リレー寿命については、ホットスイッチングでは×、コールドスイッチングでは○としている。
【139】
【表1】
Figure 2004002905
【表2】
Figure 2004002905
【表3】
Figure 2004002905
【0140】
表1〜3では、チャンバー数を32としたが装置規模によって適宜変更可能であり、電源数、一の放電ユニット内の成膜チャンバー数等、表1〜3の縦軸項目を適宜変更する。すなわち、成膜チャンバーの個数を指標として、装置の規模を決めるが、成膜時間と電源等の総コストとの関係で、最適な実施形態の回路構成を選択する。
【0141】
比較例1はホットスイッチングであり、リレーの消耗が激しく実用に耐えない。実施例1〜3では、電源数を増やすことで、断続回数を減らし、実放電時間を延ばすことができる。実施例4は、実放電時間については実施例1と同等であるが、生産性を倍増させることができる。実施例5は、実放電時間については実施例3と同等であるが、生産性を倍増させることができる。実施例6と8は、放電ユニットを形成する形態(第2の実施形態)である。実施例1〜5の場合と比較してリレーの数を減らすことができ、電源数×電源容量の値を小さくすることができるので、装置を安価とすることができる。ただし実放電時間が短縮する。実施例7、9は基本スペック(実放電時間及び生産性)は実施例6、8とそれぞれ同等であるが、装置をコンパクト化できるメリットがある。実施例10は実施例8と比較して、生産性を倍増させることができる。実施例11は、第3の実施形態である。実放電時間と生産性は例えば実施例6と同等を実現している。この形態は、電源数を増やすことで、放電時間を延長することができることが特徴である。例えば表には掲載しないが、電源数12、一円周上に配置される成膜チャンバーの数を36とすると、16÷32=0.5、すなわち回転周期T=8.5秒の場合には8.5×0.5=4.25秒が実放電時間となる。実施例12は、実施例11と比較して基本スペックを同等に保ちながら、装置をコンパクト化できる。実施例13、14は生産性をさらに倍増できる。
【0142】
本実施の形態では、内部に薄膜を成膜する容器として飲料用のPETボトルを用いているが、他の用途に使用される容器を用いることも可能である。
【0143】
また、本実施の形態では、CVD成膜装置で成膜する薄膜としてDLC膜又はSi含有DLC膜を挙げているが、容器内に他の薄膜を成膜する際に上記成膜装置を用いることも可能である。
【0144】
DLC膜の膜厚は0.003〜5μmとなるように形成する。
【0145】
【発明の効果】
本発明により、回転支持体が一周する間に、成膜チャンバーが一製造サイクルを行なうタイプの装置であって小型、安価且つ量産効率の高いCVD成膜装置、特に容器の内表面にCVD膜を成膜するロータリー型量産装置を提供することができた。この装置は、全ての成膜チャンバーを同時に真空引きするほどの高度な真空引きの能力を必要としない、回転支持体の回転慣性に逆らった制御をしないため、無駄な動力を必要としない、一製造サイクル時間に対してCVD成膜時間を長時間とることができる、成膜工程外時間を短縮でき量産効率が高い、成膜チャンバーの個数に対して高周波電源の個数を少なくできる、全ての成膜チャンバーで同時成膜させる成膜装置と比較して高周波電源の必要とされる出力を小さくできる、対象の外部電極のみに一定強度の高周波を送る際にスムーズに高周波を分配切り換えすること、をも同時に実現している。さらに、高周波供給手段のリレーの長寿命化を図り、装置メンテナンスを容易とすることができた。
【0146】
第一形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、高周波供給対象の外部電極を個々に制御することを可能とし、同時に複数の外部電極に対しても均等な高周波を供給できた。
【0147】
さらに、第一形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、コールドスイッチングする際に高周波電源をオフとすることによる成膜時間の短縮を防止し、高周波供給可能時間の延長をすることができた。
【0148】
また、第一形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、使用する高周波電源数を増やすことなく、しかも装置の大型化を伴うことなく、装置の生産性を2倍以上にすることができた。
【0149】
第二形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、高周波供給対象の外部電極を放電ユニット単位で制御し、同時に異なる放電ユニットに対して均等な高周波を供給することができた。
【0150】
また第二形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、コールドスイッチングする際に高周波電源をオフとすることによる成膜時間の短縮を防止し、高周波供給可能時間の延長をすることができた。
【0151】
さらに第二形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、装置をよりコンパクトにすることができた。例えば2列にした場合には、回転支持体の円周方向に整列する成膜チャンバーは1列の場合と比較して二分の一になり、回転支持体の半径を小さくすることができた。
【0152】
第三形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、コールドスイッチングによる成膜時間の短縮を完全に防止することができた。
【0153】
上記第三形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、使用する高周波電源数を増やすことなく、しかも装置の大型化を伴うことなく、装置の生産性を2倍以上にすることができた。
【0154】
上記第三形態のロータリー型量産用CVD成膜装置においても、装置をよりコンパクトにすることができた。前述と同様に2列にした場合には、回転支持体の円周方向に整列する成膜チャンバーは1列の場合と比較して二分の一になり、回転支持体の半径を小さくすることができた。
【0155】
全ての形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、複数一体型外部電極とすることで、高周波電源から固定整合器に至る回路を変えることなく、生産性を2倍以上にすることができた。
【0156】
全ての形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、プラズマを素早く着火して、成膜時間のロスを防止することができた。
【0157】
全ての形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において、DLC膜を成膜するのに適した装置を提供することができた。
【0158】
本発明は、第1のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、成膜時間を確保し、且つ高周波電源の必要数を減らして稼動させることができた。
【0159】
また、第1のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、切換器の寿命を短期化させずに切換器のメンテナンスを長時間フリーにすることができた。
【0160】
本発明は、第2のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、放電ユニットごとに製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、成膜時間を確保し、且つ高周波電源の必要数を減らして稼動させることができた。
【0161】
また、第2のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、放電ユニットごとに製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、切換器の寿命を短期化させずに切換器のメンテナンスを長時間フリーにすることができた。
【0162】
第3のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、製造サイクルを順次連続して稼動させる際に、切換器の寿命を短期化させずに切換器のメンテナンスを長時間フリーにすることができた。
【0163】
第1、第2及び第3のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、ロータリー型成膜装置にて制御する際に製造サイクルを回転支持体が1周する間に行なうことで、製造サイクルを回転支持体の回転角度に応じて制御し、さらに容器の装着又は取出をする際に複雑な制御せずにそれぞれ1箇所で行なうことができた。
【0164】
また、第1、第2及び第3のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法において、コールドスイッチングする際に高周波電源をオフとすることによる成膜時間の短縮を防止、高周波供給可能時間の延長をすることができた。
【0165】
原料ガスとして炭化水素系ガス若しくはSi含有炭化水素系ガスを使用し、CVD膜としてDLC膜を成膜することで、DLC膜を成膜するのに適したプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法を提供することができた。
【0166】
本発明によって、単に全ての成膜チャンバーに同時に均等の高周波をかけるのではなく、回転支持体の成膜チャンバーうち、一部の成膜チャンバーに対して、均等の高周波を同時或いはタイミングをずらして供給することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置の一形態を示す模式図である。
【図2】本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置において成膜チャンバーの基本構成の一形態を示す模式図である。
【図3】本発明において4本のプラスチック容器を同時にDLC膜コーティング可能な一柱体からなる複数一体型外部電極の一形態を示す模式図である。
【図4】複数のプラスチック容器を同時にコーティング可能な複数一体型外部電極を有するDLC膜コーティングプラスチック容器のCVD製膜装置を示す模式図である。
【図5】複数一体型外部電極のB−B’横断面図である。
【図6】本発明のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の基本構成の一形態を示す概念図である。
【図7】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の基本構成を示す概念図である。
【図8】分配回路図の一形態を示す図であり、パラレル型とカスケード型を示したものである。
【図9】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回路図を示す図(高周波電源2個)である。
【図10】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回転支持体での成膜チャンバーの配列(高周波電源2個)を示す図である。
【図11】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の回路図(高周波電源2個)を示す図である。
【図12】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回路図の別形態(高周波電源4個)を示す図である。
【図13】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回転支持体での成膜チャンバーの配列の別形態(高周波電源4個)を示す図である。
【図14】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の回路図(高周波電源4個)の別形態を示す図である。
【図15】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の基本構成の別形態を示す概念図である。
【図16】第1実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において外部電極として複数一体型外部電極とした場合の回転支持体での成膜チャンバーの配列(高周波電源2個)を示す図である。
【図17】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の基本構成を示す概念図である。
【図18】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回路図(高周波電源2個、放電ユニット内の成膜チャンバー4個)を示す図である。
【図19】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回転支持体での成膜チャンバーの配列(高周波電源2個、放電ユニット内の成膜チャンバー4個)を示す図である。
【図20】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の回路図(高周波電源2個、放電ユニット内の成膜チャンバー4個)を示す図である。
【図21】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回転支持体での成膜チャンバーの配列の別形態(高周波電源2個、放電ユニット内の成膜チャンバー4個)を示す図である。
【図22】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回路図の別形態(高周波電源4個、放電ユニット内の成膜チャンバー2個)を示す図である。
【図23】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回転支持体での成膜チャンバーの配列の別形態(高周波電源4個、放電ユニット内の成膜チャンバー2個)を示す図である。
【図24】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の回路図の別形態(高周波電源4個、放電ユニット内の成膜チャンバー2個)を示す図である。
【図25】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回転支持体での成膜チャンバーの配列の別形態(高周波電源4個、放電ユニット内の成膜チャンバー2個)を示す図である。
【図26】第2実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において外部電極として複数一体型外部電極とした場合の回転支持体での成膜チャンバーの配列(高周波電源4個、放電ユニット内の成膜チャンバー2個)を示す図である。
【図27】第3実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回路図(高周波電源8個、放電ユニット内の成膜チャンバー8個)を示す図である。
【図28】第3実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回転支持体での成膜チャンバーの配列(高周波電源8個、放電ユニット内の成膜チャンバー8個)を示す図である。
【図29】第3実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において回路図(高周波電源8個、放電ユニット内の成膜チャンバー8個)を示す図である。
【図30】図10における各成膜チャンバーにおける製造サイクルの進め方の具体例を示す図である。
【図31】図13における各成膜チャンバーにおける製造サイクルの進め方の具体例を示す図である。
【図32】図19における各成膜チャンバーにおける製造サイクルの進め方の具体例を示す図である。
【図33】図23における各成膜チャンバーにおける製造サイクルの進め方の具体例を示す図である。
【図34】図28における各成膜チャンバーにおける製造サイクルの進め方の具体例を示す図である。
【図35】第3実施形態のロータリー型量産用CVD成膜装置において高周波供給手段の基本構成を示す概念図である。
【符号の説明】
1,下部外部電極
2,上部外部電極
3,外部電極
4a,絶縁部材
4b,導電部材
5,蓋
6,成膜チャンバー、
7,7a,7b,7c,7d,プラスチック容器
8,Oリング
9,9a,9b,9c,9d,内部電極
10,11,22,配管
14,自動整合器
15,高周波電源(RF電源)
16,17,18,真空バルブ
19,マスフローコントローラー
20,原料ガス発生源
21,真空ポンプ、
27,リークガス(空気)供給源
28,真空計
29,排気ダクト
30,高周波出力供給ロット
32,高周波出力供給ロット接続コンタクト
41,原料ガス導入手段
49,49a,49bガス吹き出し口
χ1複数一体型外部電極の中心
χ2,χ3,χ4高周波出力供給点
X,複数一体型外部電極中心軸
7ax,7bx,7cx,7 dxプラスチック容器7a〜7dの収納空間の中心点

Claims (22)

  1. プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内に挿入される時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体と、各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、前記外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段とを備え、前記回転支持体を1回転させる間に、前記プラスチック容器の容器装着手段、該プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整手段、該プラスチック容器の内表面にCVD(化学気相成長)膜を成膜するCVD成膜手段、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整手段並びに容器取出手段の各手段を作動させるロータリー型プラズマCVD成膜装置であって、
    前記高周波供給手段は、前記外部電極ごとに具設した固定整合器と、1以上の高周波電源と、該高周波電源ごとに具設した自動整合器と、前記CVD成膜手段を作動させる成膜チャンバーのみに前記固定整合器を介して前記自動整合器から受けた高周波を均等に供給する高周波分配手段と、前記高周波電源のうち、前記CVD成膜手段の作動開始時及び作動終了時の状態にある外部電極に対して高周波供給をする高周波電源の出力制御を行なうための高周波電源出力制御手段とを備えることを特徴とするロータリー型量産用CVD成膜装置。
  2. 前記高周波分配手段は、高周波を同時且つ均等に分配する分配回路並びに該分配回路の各分配出力のオン/オフを切り換えする切換スイッチとを備えることを特徴とする請求項1記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  3. 前記高周波電源は、前記回転支持体における前記成膜チャンバーの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して行なう複数の高周波電源であることを特徴とする請求項1又は2記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  4. 前記切換スイッチの出力側に第2分配回路を接続し、該第2分配回路の各出力と前記各固定整合器を接続して各外部電極に高周波を供給する接続とし、且つ前記第2分配回路で一まとまりの前記成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で前記回転支持体に配置したことを特徴とする請求項2又は3記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  5. 前記回転体支持体に配置した前記成膜チャンバーは、相隣合う所定数の該成膜チャンバーと複数の放電ユニットを形成し、且つ前記高周波分配手段は、前記自動整合器から受けた高周波を前記放電ユニットのいずれか1つに供給する切換器と、該切換器から供給された高周波を前記放電ユニット内の前記固定整合器に同時且つ均等に分配する放電ユニット分配回路とを備えることを特徴とする請求項1記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  6. 前記高周波電源は、前記回転支持体における前記放電ユニットの配列順に高周波の供給を順次且つ循環して行なう複数の高周波電源であることを特徴とする請求項5記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  7. 前記放電ユニットで一まとまりの前記成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で前記回転支持体に配置したことを特徴とする請求項5又は6記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  8. 前記回転体支持体に配置した前記成膜チャンバーは、相隣合う所定数の該成膜チャンバーと複数の放電ユニットを形成し、前記高周波電源の個数は前記放電ユニット内の所定数の成膜チャンバーと同数であり、且つ前記高周波分配手段は前記自動整合器から受けた高周波を前記放電ユニットの個数と同数に分岐させ、いずれか1つの放電ユニットに対してのみ高周波を供給する切換器を備えることを特徴とする請求項1記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  9. 請求項8記載の切換器の出力側は第2分配回路に高周波を供給し、該第2分配回路の各出力側と前記固定整合器とを接続したことを特徴とする請求項8記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  10. 請求項8又は9記載の放電ユニットで一まとまりの前記成膜チャンバーは、同一円心の円周方向に沿って複数列で前記回転支持体に配置したことを特徴とする請求項8又は9記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  11. 前記外部電極は、複数の前記プラスチック容器を並列かつそれぞれ独立に収納した状態で収容可能な収納空間を有する一柱体からなる柱状外部電極であり、前記各収納空間の中心軸は、該柱状外部電極の軸心と平行で、かつ前記柱状外部電極の同一断面同一円周上に位置し、前記収納空間は、均等間隔に配置したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  12. 前記高周波電源は、トランジスタ型高周波電源であり、且つ周波数可動式か或いは電子式でマッチングを行なう高周波電源であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  13. 前記CVD膜はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載のロータリー型量産用CVD成膜装置。
  14. プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内に挿入される時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバー内に前記プラスチック容器を装着する容器装着工程、該プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整工程、前記外部電極に高周波出力を供給して該プラスチック容器内で前記原料ガスをプラズマ化させて該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜工程、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整工程並びに該コーティング済み容器を取り出す容器取出工程とを有するCVD膜コーティングプラスチック容器の製造サイクルを、複数の成膜チャンバーにてプラズマの着火状態が一部重複するように所定時間ずらして稼動させることを特徴とするプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
  15. 前記成膜前ガス調整工程終了後に高周波電源の出力をオフ状態とし、次いで該高周波電源から前記CVD成膜工程へ進む前記成膜チャンバーに対応する外部電極までに至る回路を導通状態とし、次に該高周波電源の出力をオン状態として、該外部電極に高周波を同時且つ均等に該成膜チャンバーでプラズマを着火してCVD成膜工程を開始させ、
    所定成膜時間経過後には前記高周波電源の出力をオフ状態とし、次いで前記回路を遮断状態とし且つ該高周波電源からCVD成膜工程へ進む次なる成膜チャンバーに対応する外部電極までに至る回路を導通状態とし、次に該高周波電源の出力をオン状態として、前記成膜チャンバーにおいてプラズマを消滅させてCVD成膜工程を終了させ且つ次なる成膜チャンバーにおいて次なるCVD成膜工程を開始させることを特徴とする請求項14記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
  16. プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内に挿入される時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバー内に前記プラスチック容器を装着する容器装着工程、該プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整工程、前記外部電極に高周波出力を供給して該プラスチック容器内で前記原料ガスをプラズマ化させて、該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜工程、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整工程並びに前記コーティング済み容器を取り出す容器取出工程とを有するCVD膜コーティングプラスチック容器の製造サイクルを複数同タイミングで進行する放電ユニット単位で稼動させ、且つ相異なる放電ユニット間でプラズマの着火が重複しないように所定時間ずらして放電ユニットごとに前記各工程を進めることを特徴とするプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
  17. 前記成膜前ガス調整工程終了後に高周波電源の出力をオフ状態とし、次いで該高周波電源から前記CVD成膜工程へ進む放電ユニット内の全ての外部電極までに至る回路を導通状態とし、次に該高周波電源の出力をオン状態として、該外部電極のみに高周波を同時且つ均等に分配して該放電ユニット内の成膜チャンバーでプラズマを着火させてCVD成膜工程を開始させ、
    所定成膜時間経過後には前記高周波電源の出力をオフ状態とし、次いで前記回路を遮断状態とし且つ該高周波電源からCVD成膜工程へ進む次なる放電ユニットの全ての外部電極までに至る回路を導通状態とし、次に該高周波電源の出力をオン状態として、前記放電ユニット内の成膜チャンバーにおいてプラズマを消滅させてCVD成膜工程を終了させ且つ次なる放電ユニットの成膜チャンバーにおいて次なるCVD成膜工程を開始させることを特徴とする請求項16記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
  18. 高周波電源の出力オン/オフのタイミングに合わせて、複数の高周波電源が順次且つ循環して、高周波供給を行なうことを特徴とする請求項14、15、16又は17記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
  19. 前記放電ユニット内の外部電極それぞれに具設した固定整合器と同数の高周波電源がそれぞれ該各固定整合器に高周波を供給して前記CVD成膜工程を行ない、次いで該高周波電源の出力をオフ状態として該CVD成膜工程を終了させるとともに該高周波電源と該固定整合器との接続を該高周波電源と次なる放電ユニット内の外部電極それぞれに具設した固定整合器との接続に切り換えた後、該高周波電源の出力をオン状態とし、次なる放電ユニット内の該固定整合器に高周波を供給して次なるCVD成膜工程を行なうことを特徴とする請求項16記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
  20. 前記成膜チャンバーを回転支持体にサークル状に複数配設し、該回転支持体が1周する間に前記製造サイクルを行なうことを特徴とする請求項14、15、16、17、18又は19記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
  21. 前記各工程の開始及び終了の時期を前記回転支持体の回転角度によって制御することを特徴とする請求項20記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
  22. 原料ガスとして炭化水素系ガス若しくはSi含有炭化水素系ガスを使用し、前記CVD膜としてDLC膜を成膜することを特徴とする請求項14、15、16、17、18、19、20又は21記載のプラスチック容器内表面へのCVD膜成膜方法。
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