JP4002164B2 - Dlc膜コーティングプラスチック容器及びその製造方法 - Google Patents

Dlc膜コーティングプラスチック容器及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、ビール、発泡酒等の発酵型炭酸飲料又は果汁飲料等に代表される飲料を充填するためのガスバリア性プラスチック容器及びその製造法に関する。特にガスバリア性は、プラスチック容器の内表面にコーティングしたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜により実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲料用容器は、飲料の種類に応じてその充填及び殺菌方法が大きく異なる。例えば、炭酸飲料は、炭酸ガスを逃がさないように低温で充填され、容器毎の殺菌は行われない。果汁入り炭酸飲料は、低温で充填された後、60℃以上で10分間以上の殺菌が行われる。また、果実飲料、お茶、コーヒー、スープ等はホット充填、すなわち85〜90℃で充填される。このうち、お茶、コーヒー、スープは60℃程度に加温されて販売される場合も多い。最近では、ホット充填でなく、常温で無菌充填される場合もある。さらに、ビール、発泡酒等の発酵型炭酸飲料は、以前から行なわれたように60〜65℃にて熱殺菌処理された後出荷されるか若しくは0℃付近で無菌充填されてそのまま出荷される。
【0003】
プラスチック容器、特にPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)ボトルは、清涼飲料、炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、高果汁飲料、お茶、コーヒー等の飲料容器として実用化されていることは周知のとおりであり、上記の何れかの充填方法により中身が充填されている。
【0004】
ところでPETボトルは、中身の酸化のし易さから全ての飲料に対して充分な酸素ガスバリア性を持ち合わせているとはいえない。そこでDLC膜をプラスチック容器の内面にコーティングして特に炭酸飲料や高果汁飲料容器としてガスバリア性を付与し、香気成分の収着を防止すべく、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)法を用いた蒸着装置とDLC膜コーティングプラスチック容器が開示されている(例えば特許文献1、2を参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−53117号公報
【特許文献2】
特開平8−53116号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ホット充填では、プラスチック容器がPETボトルであれば、樹脂のガラス転移点よりも高温にて中身が充填される。PETボトルはブロー成形により成形されるが、PETのガラス転移点(63〜78℃)よりも高温にさらされると若干収縮する。
【0007】
一方、ビール、発泡酒等の発酵型炭酸飲料が60〜65℃にて加温されて殺菌処理されると、内圧が6kg/cm2G程度となり、容器は60〜65℃にて膨張するような応力を受ける。
【0008】
特許文献1、2に開示されたDLC膜コーティングプラスチック容器において、DLC膜とプラスチックの弾性係数及び熱膨張係数は当然異なり、さらにガラス転移点以上のPETボトルで生ずる収縮はDLC膜では生じない。
【0009】
本発明者らが容器への充填を検討した際に、上記充填方法のうち、特にプラスチック容器に対してDLC膜の伸縮追随性が要求されるホット充填のケース(加熱によりプラスチックが収縮してしまう充填法)及び充填後熱殺菌処理が必要なケース(加熱により炭酸ガス圧が上昇して内圧がかかってしまう充填法)について、DLC膜の密着不良が生ずることがわかった。
【0010】
そこで、本発明者らは上記2ケースを含むあらゆる充填方法を行っても、DLC膜の剥離等の密着不良やマイクロクラックを発生させず、併せてプラスチック容器にガスバリア性を付与する方法を鋭意検討した結果、プラスチック容器の壁の伸縮に追随できる程度に密着性を有するDLC膜の構造を見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち本発明の目的は、DLC膜を水素原子高含有組成の第1層とその上に形成した第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とから構成することで、第1層にプラスチックの伸縮に追随し得る機能を持たせ且つ第2層にガスバリア性の機能を持たせて、上記のいずれの充填方法においても容器の伸縮に耐え得る密着性を付与し同時にガスバリア性を付与したプラスチック容器を提供することである。さらに第1層と第2層との境界を傾斜組成とすることで第1層と第2層との境界における応力集中、密着不良、マイクロクラックを防止することを目的とする。ここでガスバリア性の機能とは未コーティング容器と比較して概ね5倍以上のガスバリア性の確保を目指すこととする。
【0012】
ここで、第1層と第2層の各組成・膜厚等のバランスにより密着性と容器のガスバリア性が決定されることとなるが、第1層と第2層との関係が密着性及びガスバリア性の観点から好ましい容器をJISK5400の碁盤目テープ法の結果並びに加重式引掻き法の垂直加重を指標として規定した。
【0013】
さらに、充填後、熱殺菌処理を行なう発酵型炭酸飲料・果汁入り炭酸飲料向け容器或いはホット充填向け容器として第1層と第2層の水素原子含有率を最適化したプラスチック容器を提供することを目的とする。
【0014】
また、第1層の厚さを規定することで、DLC膜の密着性を確保しつつ、成膜時間を短縮して生産性を確保することを目的とする。
【0015】
さらに本発明の目的は、第1層と第2層とからなるDLC膜をプラスチック容器にコーティングするに際し、炭素原子含有率の異なる2種の炭素源ガス含有原料ガスを切換えて一連に流すことにより、上記構造のDLC膜を容易にコーティングする方法を提供することである。さらに、原料ガスを切換えてもプラスチック容器内部に流れる原料ガスは瞬時に切換わらないことを利用して、第1層と第2層との境界を傾斜組成に形成して当該境界における応力集中を避けることを目的とする。さらに、第1層を形成するための第1炭素源ガスと第2層を形成するための第2炭素源ガスとの最適な組み合わせを規定することを目的とする。
【0016】
本発明の目的はプラズマエネルギーとして高周波を選択し、容器壁面に自己バイアス電圧を生じさせることで、ガスバリア性を有する緻密なDLC膜を形成することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段は次のとおりである。すなわち本発明において、第1の発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、プラスチック容器の内表面にDLC膜をコーティングしたDLC膜コーティングプラスチック容器であって、前記DLC膜は、前記内表面上に形成した水素原子高含有組成の第1層と該第1層上に形成した該第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とからなる2層構造を有し、且つ前記第1層と前記第2層との境界を傾斜組成としており、前記第1層の膜厚は2.0〜5.0nmであり、前記第1層の水素原子含有率は48原子%以上52原子%以下、前記第2層の水素原子含有率は42原子%以上48原子%未満であり、前記DLC膜コーティングプラスチック容器は充填後、熱殺菌処理を行う発酵型炭酸飲料・果汁入り炭酸飲料向け容器であることを特徴とする。第2の発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、プラスチック容器の内表面にDLC膜をコーティングしたDLC膜コーティングプラスチック容器であって、前記DLC膜は、前記内表面上に形成した水素原子高含有組成の第1層と該第1層上に形成した該第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とからなる2層構造を有し、且つ前記第1層と前記第2層との境界を傾斜組成としており、前記第1層の膜厚は2.0〜5.0nmであり、前記第1層の水素原子含有率は50原子%以上60原子%以下、前記第2層の水素原子含有率は42原子%以上48原子%以下であり、前記DLC膜コーティングプラスチック容器はホット充填飲料向け容器であることを特徴とする。
【0018】
また、第1の発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器では、炭酸ガス2.5容量を含む炭酸水を前記DLC膜コーティングプラスチック容器に96vol%充填した後、炭酸水温度63℃で10分間静置させ、水にて冷却後に空にして25℃とした前記DLC膜コーティングプラスチック容器の前記DLC膜は、条件1のJISK5400(1990年規定)の碁盤目テープ法によって剥離が生じないことが好ましい。
条件1:切り傷の隙間は1mm、ます目の数は100。
【0019】
第1の発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器では、炭酸ガス2.5容量を含む炭酸水を前記DLC膜コーティングプラスチック容器に96vol%充填した後、炭酸水温度63℃で10分間静置させ、水にて冷却後に空にして25℃とした前記DLC膜コーティングプラスチック容器の前記DLC膜は、条件2の加重式引掻き法において垂直加重が1.8mN以上の密着強度を有することが好ましい。
条件2:試験機は株式会社島津製作所製島津走査型スクラッチテスタSST-101、引掻き針はダイヤモンドで曲率半径15μm、負荷速度は1μm/s、振幅10μm、送り速度は2μm/s、垂直加重は膜が剥れ始めたときの引掻針にかかる加重とする。容器内側胴部に形成したDLC膜を測定する。
【0021】
また第2の発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器では、87℃熱水下で5分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下においた前記DLC膜コーティングプラスチック容器の前記DLC膜は、条件1のJISK5400の碁盤目テープ法によって剥離が生じないことが好ましい。
【0022】
第2の発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器では、87℃熱水下で5分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下においた前記DLC膜コーティングプラスチック容器の前記DLC膜は、条件2の加重式引掻き法において垂直加重が1.8mN以上であることが好ましい。
【0025】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法は、プラスチック容器の内部に第1炭素源ガスを含む第1原料ガスを一定減圧下で一定流量流している状態に安定化させて前記プラスチック容器の内部を前記第1原料ガスでガス置換するガス置換工程、一定出力のプラズマエネルギーを印加して前記プラスチック容器の内部を流れている前記第1原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面にDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、プラズマエネルギーを印加したままの状態で前記第1原料ガスの供給を停止すると同時に前記第1炭素源ガスよりも炭素原子含有率が大きい第2炭素源ガスを含む第2原料ガスを前記プラスチック容器の内部に一定流量供給して、前記第1層上に該第1層よりも相対的に水素原子低含有組成のDLC膜を第2層として形成し且つ前記第1層と前記第2層との境界を傾斜組成とする第2層成膜工程、とを有することを特徴とする。
【0026】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記プラスチック容器の内部に口部から内部電極を挿入し、前記プラスチック容器の外側に外部電極を配置した後、前記外部電極に高周波電力を供給して前記第1原料ガス及び前記第2原料ガスをプラズマ化することが好ましい。
【0027】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記第1炭素源ガスはメタン、プロパン、シクロヘキサンから選択される少なくともいずれか1つとし、且つ前記第2炭素源ガスはアセチレン、ベンゼンから選択される少なくともいずれか1つとしたことが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態及び実施例を挙げて詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
【0029】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造する方法を説明するに際して、この製造方法を使用することが可能な製造装置の一態様について先ず説明する。本発明の製造方法は原料ガスをプラズマ化させるプラズマCVD法を用いるため、そのエネルギー源として高周波又はマイクロ波を用いることができる。
【0030】
高周波プラズマCVD法による装置の一形態を図1に示し、それに基づいて説明する。高周波プラズマCVD成膜装置100は、外部電極3と、内部電極9と、第1原料ガス供給手段26と、第2原料ガス供給手段86と、マッチングユニット10と、高周波電源11とを具備する。
【0031】
外部電極3は、導電性の蓋部5及び絶縁部材4とともにチャンバー6を構成する。蓋部5の下には絶縁部材4が配置されており、この絶縁部材4の下には外部電極3が配置されている。この外部電極3は、上部外部電極2と下部外部電極1からなり、上部外部電極2の下部に下部外部電極1の上部がOリング8を介して着脱自在に取りつけられるよう構成されている。また、外部電極3は絶縁部材4によって蓋部5と絶縁されている。
【0032】
CVD成膜装置100はプラスチック容器1本用成膜装置について説明しているが、複数のプラスチック容器の内面に同時にDLC膜を成膜する場合についてもチャンバー6及び内部電極9等を並列に配置することで適用することができる。
【0033】
なお、本実施形態では外部電極3を下部外部電極1と上部外部電極2の2つに分割しているが、DLC膜の膜厚等の均一化を図るため、外部電極を例えば底部電極、胴部電極及び肩部電極のように3つ、あるいはそれ以上に分割し、各電極は例えばOリング等を挟んでシール性を確保しつつ、フッ化樹脂シートやポリイミドフィルムで電気的に絶縁しても良い。
【0034】
外部電極3の内部には空間が形成されており、この空間はコーティング対象のプラスチック容器、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器であるPETボトル7を収容するためのものである。外部電極3内の空間は、そこに収容されるPETボトル7の外形よりも僅かに大きくなるように形成されている。絶縁部材4及び蓋部5には、外部電極内の空間につながる開口部が設けられている。また、蓋部5の内部には空間が設けられており、この空間は上記開口部を介して外部電極3内の空間につながっている。外部電極3内の空間は、上部外部電極2と下部外部電極1の間に配置されたOリング8によって外部から密閉されている。
【0035】
インピーダンス整合器(マッチングユニット)10は、下部外部電極1に接続されている。さらに、マッチングユニット10は同軸ケーブルを介して高周波電源( RF電源)11に接続されている。
【0036】
高周波電源は、プラスチック容器内で原料ガスをプラズマ化するためのエネルギーである高周波を発生させるものである。高周波電源の周波数は、100kHz〜1000MHzであるが、例えば、工業用周波数である13.56MHzのものを使用する。
【0037】
内部電極9は、外部電極3内に配置され、かつPETボトル7の内部に配置される。すなわち、蓋部5の上部から蓋部5内の空間、蓋部5と絶縁部材4の開口部を通して、外部電極3内の空間に内部電極9が差し込まれている。一方、内部電極9の先端9aは外部電極3内の空間であって外部電極3内に収容されたPETボトル7の内部に配置される。内部電極9は、その内部が中空からなる管形状を有している。内部電極9の先端にはガス吹き出し口9aが設けられている。なお、内部電極9は蓋部5を介してグランドに接地されている。
【0038】
第1原料ガス供給手段26は、PETボトル7の内部に原料ガス発生源25から供給される第1原料ガスを導入する。一方、第2原料ガス供給手段86は、PETボトル7の内部に原料ガス発生源85から供給される第2原料ガスを導入する。そして、ガス切換バルブ87によって第1原料ガスか第2原料ガスのいずれかを選択して瞬時に切換えられる。すなわち、内部電極9の基端には、配管20の一方側が接続されており、この配管20の他方側はガス切換バルブ87に接続される。ガス切換バルブ87には真空バルブ21,81が接続され、真空バルブ21,81の他方側には配管22,82の一方側が接続され、配管22,82の他方側にはマスフローコントローラー23,83の一方側が接続されている。マスフローコントローラー23,83の他方側は配管24,84を介して原料ガス発生源25,85に接続されている。原料ガス発生源25は第1原料ガスを発生させ、原料ガス発生源85は第2原料ガスを発生させるものである。
【0039】
原料ガスを構成する炭素源ガスとしては、常温で気体又は液体の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類などが使用される。例えば(1)メタン系として、メタンCH、エタンC2H6、プロパンC3H6、ブタンC4H10、(2)エチレン系としてエチレンC2H4、プロピレンC3H6、ブチレンC4H8(3つの異性体)、(3)アセチレン系としてアセチレンC2H2、メチルアセチレンC3H4、エチルアセチレン(C4H6)、(4)その他としてノルマルヘキサンC6H14、シクロヘキサンC6H12、(5)芳香族としてベンゼンC6H6、トルエンC6H5CH3、キシレンC6H4(CH32が例示できる。特に炭素数が6以上のベンゼン,トルエン,o-キシレン,m-キシレン,p-キシレン,シクロヘキサン等が望ましい。ただし食品等の容器に使用する場合には、衛生上の観点から脂肪族炭化水素類、特にメタン系炭化水素、エチレン系炭化水素、アセチレン系炭化水素が好ましい。これらの炭素源ガスは、原料ガスとして単独で用いても良いが、2種以上の混合ガスとして使用するようにしても良い。さらにこれらのガスをアルゴンやヘリウムの様な希ガスで希釈して用いる様にしても良い。また、ケイ素含有DLC膜を成膜する場合には、Si含有炭化水素系ガスを使用する。
【0040】
本発明では、後述するように水素原子含有率の異なる第1層と第2層からなるDLC膜を成膜するため、上記に挙げた原料ガスのうち、第2層を成膜するための第2原料ガスは第1層を成膜するための第1原料ガスよりも炭素原子含有率が大きい、すなわち水素原子含有率が小さい原料ガスを選択する。例えば、第1原料ガス(炭素原子含有率)/第2原料ガス(炭素原子含有率)として(1)メタンCH(20%)/アセチレンC2H2(50%)、(2)プロパンC3H6(33%)/アセチレンC2H2(50%)、(3)シクロヘキサンC6H12(33%)/ベンゼンC6H6(50%)の如く選択する。
【0041】
本発明でいうDLC膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H) と呼ばれる膜のことであり、硬質炭素膜、ポリマーライクカーボンも含む水素含有率が0〜67%の炭素膜をいう。またDLC膜はアモルファス状の炭素膜であり、SP結合も有する。このDLC膜を成膜する原料ガスとしては炭化水素系ガス、例えばアセチレンガスを用い、Si含有DLC膜を成膜する原料ガスとしてはSi含有炭化水素系ガスを用いる。このようなDLC膜をプラスチック容器の内表面に形成することにより、炭酸飲料や発泡飲料等の容器としてワンウェイ若しくはリターナブルに使用可能な容器を得る。
【0042】
蓋部5内の空間は真空計13が設置された配管12の一方側に接続されており、配管12の他方側は真空バルブ14の一方側が接続され、真空バルブ14の他方側には配管15の一方側が接続され、配管15の他方側には真空ポンプ16に接続されている。この真空ポンプ16はダクト排気17に接続されている。
【0043】
本発明のプラスチック容器を成形する際に使用する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂(ポリエステルのアルコール成分にエチレングリコールの代わりに、シクロヘキサンディメタノールを使用したコポリマーをPETGと呼んでいる、イーストマン製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。
【0044】
次に、図1に示す高周波プラズマCVD成膜装置100を用いて容器の内部にDLC膜を成膜する方法について説明する。
【0045】
(ガス置換工程)
まず、真空バルブ(不図示)を開いてチャンバー6内を大気開放する。これにより、空気が蓋部5内の空間、外部電極3内の空間に入り、チャンバー6内が大気圧にされる。次に、外部電極3の下部外部電極1を上部外部電極2から取り外し、上部外部電極2の下側から上部外部電極2内の空間にPETボトル7を差込み、設置する。この際、内部電極9はPETボトル7内に挿入された状態になる。次に、下部外部電極1を上部外部電極2の下部に装着し、外部電極3はOリング8によって密閉される。
【0046】
この後、真空バルブ(不図示)を閉じた後、真空バルブ14を開き、真空ポンプ16を作動させる。これにより、PETボトル7内を含むチャンバー6内が配管12を通して排気され、チャンバー6内が真空となる。このときのチャンバー6内の真空圧力は10- 〜10- Torr(1.33〜13.3Pa)である。
【0047】
次に排気を継続させると同時に、切換バルブ87を第1原料ガス供給手段26につながるように設定し、真空バルブ21を開き、原料ガス発生源25において第1原料ガス、例えばメタンガスを発生させ、この第1原料ガスを配管20内に導入する。マスフローコントローラー23によって流量制御された第1原料ガスを配管20及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。これにより、第1原料ガスがPETボトル7内に導入される。そしてPETボトル7内は、所定時間、例えば0.1〜1秒間、第1原料ガスの供給と残存ガスの排気が同時に行なわれ、第1原料ガスによりPETボトル7内を充満するように置換される。置換すると同時に容器内をDLC膜の成膜圧力、例えば0.05〜0.5Torr(6.6〜66Pa)程度に調整する。すなわち、プラスチック容器の内部に第1炭素源ガスを含む第1原料ガスを一定減圧下で一定流量流している状態に安定化させてプラスチック容器の内部を第1原料ガスでガス置換するガス置換工程が行なわれる。
【0048】
(第1層成膜工程)
この後、外部電極3にマッチングユニット10を介して高周波電源(RF電源)11からRF出力(例えば13.56MHz)を供給する。高周波の印加電圧を例えば300〜500Wの一定出力とする。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火させる。このとき、マッチングユニット10は、外部電極と内部電極のインピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって合わせている。これによって、PETボトル7内で第1原料ガス系プラズマが発生し、第1層としてのDLC膜がPETボトル7の内側に成膜される。このときの成膜時間は数秒程度と短いものとなる。第1層の膜厚は例えば2〜5nmとする。この第1層は中身を充填した容器の伸縮に対するDLC膜の追随性を持たせ、密着性を向上させるため、水素原子高含有組成とする。
【0049】
(第2層成膜工程)
プラズマエネルギーを印加したままの状態で切換バルブ87を第2原料ガス供給手段86につなげて第1原料ガスの流れを遮断し且つ真空バルブ81を開く。ほぼ同時に真空バルブ21を閉じて第1原料ガスの供給を停止させる。そして、原料ガス発生源85において第2原料ガス、例えば高純度アセチレンを発生させ、この第2原料ガスを配管80内に導入する。マスフローコントローラー83によって流量制御された第2原料ガスを配管80及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。これにより、第2原料ガスがPETボトル7内に導入される。そしてPETボトル7内は、残存する第1原料と新たに供給した第2原料ガスが存在し、成膜の進行とともに次第に第2原料ガスに置換されていく。このとき、第1層上に第1層よりも相対的に水素原子低含有組成のDLC膜を第2層として形成する。そして、第1層と第2層との境界は傾斜組成となる。第2層の膜厚は応力を考慮して13〜200nmとすることができるが、ガスバリア性と密着性を考慮すると13〜35nmの厚さとすることが特に好ましい。13nm以下の厚さではガスバリア性が充分に上がらず、35nm以上では膜の内部応力により剥離等の密着不良やマイクロクラックが生ずる可能性がある。
【0050】
DLC膜の膜厚は例えば0.003〜0.2μmとなるように形成しても良いが、ガスバリア性、生産性、膜中の残留応力、密着性の観点から15〜40nmとすることが好ましい。
【0051】
(成膜終了)
次に、高周波電源11からのRF出力を停止し、真空バルブ81を閉じて第2原料ガスの供給を停止する。この後、PETボトル7内の原料ガスを真空ポンプ16によって排気する。その後、真空バルブ14を閉じ、真空ポンプ16を停止する。このときのチャンバー6内の圧力は10- 〜10- Torr(1.33〜13.3Pa)である。この後、真空バルブ(不図示)を開いてチャンバー6内を大気開放し、前述した成膜方法を繰り返すことにより、次のPETボトル内に第1層と第2層からなるDLC膜が成膜される。
【0052】
本発明では原料ガスをプラズマ化させる手段として高周波電源のみならず、マイクロ波電源を用いても良い。マイクロ波として例えば、2.45GHzを供給する。マイクロ波をプラズマエネルギー供給源とするため、容器内部にマイクロ波を供給すること及び内部電極は不要となること等の用いる装置上の違いはあるが、製法としてはガス置換工程、第1層成膜工程、第2層成膜工程を行なう点で高周波電源を用いる場合と共通である。
【0053】
さらに容器外壁近傍に磁石を設置して磁場型プラズマCVD法によりDLC膜を成膜しても良い。
【0054】
また実施形態では、内部に薄膜を成膜する容器として飲料用のPETボトルを用いているが、他の用途に使用される容器を用いることも可能である。
【0055】
本発明では、要求される装置の能力により成膜チャンバー数、高周波電源数等構成部品数を適宜変更しても良い。
【0056】
次に第1層と第2層とから構成されるDLC膜コーティングプラスチック容器について説明する。本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、プラスチック容器の内表面にDLC膜をコーティングしたものである。ここで、DLC膜は、内表面上に形成した水素原子高含有組成の第1層と第1層上に形成した第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とからなる。DLCの水素原子含有率は、理論的に0〜67原子%をとり得る。67原子%のときはエチレンポリマーに近い。
【0057】
本発明者らの経験によれば水素原子含有率が小さいDLC膜は硬く、内部応力の圧縮応力が大きく、ガスバリア性も高い。一方、水素原子含有率が大きいとDLC膜は相対的に柔軟になり、内部応力の圧縮応力が小さく、ガスバリア性は低い。本発明において第1層を水素原子高含有組成としたのは柔軟で膜内の内部応力の圧縮応力を小さくすることでプラスチックの伸縮に追随することを可能として膜の密着性を高める為である。ここで、水素原子高含有組成とは67水素原子%に近いという意味ではなく、第2層の水素原子含有率との比較で相対的に高いということを意味する。一方、第2層の水素原子低含有組成の意味するところは同様に第1層の水素原子含有率との比較で相対的に低いことを意味するが、第2層を水素原子低含有組成とするのはガスバリア性を確保する為であり、第2層の水素原子含有率を42原子%以上48原子%以下とすることが好ましい。したがって第2層の膜厚は前述したとおり、ガスバリア性の確保の観点から13〜35nmとすることが特に好ましい。また第1層の膜厚は密着性と成膜時間短縮の観点から2〜5nmとすることが好ましい。ここでの密着性とは充填後の加熱によるプラスチックの収縮若しくは充填後の加熱・加圧によるプラスチックの膨張に対してのDLC膜の密着性をいう。
【0058】
第1層と第2層との境界を傾斜組成とするのは、第1層と第2層との間の特性の違いを緩和させる為である。原料ガスを第1原料ガスから第2原料ガスに切換えてもプラズマ化された原料は瞬時には切り替わらない為、容易に傾斜組成とすることが出来る。
【0059】
本発明の容器は中身の充填方法によらず使用できるものを提供する観点から、第1層と第2層との関係により性質が異なるDLC膜を次のようにとらえても良い。すなわち、炭酸ガス2.5容量を含む炭酸水を本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器に96vol%充填した後、炭酸水温度63℃で10分間静置させ、水にて冷却後のボトルを空として25℃にする。このとき、プラスチック容器は最高6kg/cm2G程度のガス圧を受けて膨張する。この膨張は凡そ容量換算で3〜4%である。このように加熱加圧の膨張条件下におかれたDLC膜を条件1のJISK5400の碁盤目テープ法によって剥離が生じないように第1層と第2層との関係を決めることである。このとき特に充填後、熱殺菌処理を行なう発酵型炭酸飲料・果汁入り炭酸飲料向け容器として好ましい。条件1として、切り傷の隙間は1mm、ます目の数は100とする。
【0060】
また、同様の観点からDLC膜を次のようにとらえても良い。すなわち、同様の加熱加圧の膨張条件下におかれたDLC膜を条件2の加重式引掻き法において垂直加重が1.8mN以上の密着強度を有するように第1層と第2層との関係を決めることである。このときも特に充填後、熱殺菌処理を行なう発酵型炭酸飲料・果汁入り炭酸飲料向け容器として好ましい。条件2として、試験機は株式会社島津製作所製島津走査型スクラッチテスタSST-101、引掻き針はダイヤモンドで曲率半径15μm、負荷速度は1μm/s、振幅10μm、送り速度は2μm/s、垂直加重は膜が剥れ始めたときの引掻針にかかる加重とする。容器内側胴部に形成したDLC膜を測定する。
【0061】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、充填後、熱殺菌処理を行なう発酵型炭酸飲料・果汁入り炭酸飲料向け容器とする場合には特に第1層の水素原子含有率は48原子%以上52水素原子%以下、第2層の水素原子含有率は42原子%以上48原子%未満、好ましくは42原子%以上46原子%以下とすることが好ましい。第1層の水素原子含有率を48原子%以上52水素原子%以下とするのは、プラスチックの膨張により生ずる膜応力を相殺する為に、予め膜中に内部応力の圧縮応力を残留させていた方が良いこと及び膜の柔軟性を与えたほうがプラスチックの膨張に追随できるからである。
【0062】
一方、DLC膜を次のようにとらえても良い。すなわちDLC膜コーティングプラスチック容器を87℃熱水下で5分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下におく。このとき、プラスチックはガラス転移点を超えて加温される為、1〜2%の収縮が発生する。このように加熱によるプラスチックの収縮条件下におかれたDLC膜を条件1のJISK5400の碁盤目テープ法によって剥離が生じないように第1層と第2層との関係を決めることである。このとき特にホット充填向け容器として好ましい。
【0063】
またDLC膜を次のようにとらえても良い。すなわち、同様の加熱によるプラスチックの収縮条件下におかれたDLC膜を条件2の加重式引掻き法において垂直加重が1.8mN以上の密着強度を有するように第1層と第2層との関係を決めることである。このときも特にホット充填向け容器として好ましい。
【0064】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、ホット充填向け容器とする場合には特に第1層の水素原子含有率は50原子%以上60水素原子%以下、第2層の水素原子含有率は42原子%以上48原子%以下、好ましくは42原子%以上46原子%以下とすることが好ましい。第1層の水素原子含有率を50原子%以上60水素原子%以下とするのは、プラスチックの収縮により膜に圧縮応力がかかるため、第1層の形成時には膜中に圧縮応力を極力残留させない方が良いこと及び膜の柔軟性を与えた方がプラスチックの収縮に追随できるからである。
【0065】
【実施例】
プラスチック容器はPETボトルとした。PETボトルの高さは207mm、肉厚0.3mm、容器容量は500ml、内表面積は400cm2とした。加熱・加圧処理を行う場合のボトル形状は図2(a)の容器(炭酸丸型)とし、胴部の直径は68.5mmである。さらに、加熱処理を行う場合のボトル形状は図2(b)の容器(耐熱丸型)を用いた。なお、加熱処理を行う場合において、図2(c)の容器(耐熱角型)のPETボトルも使用することができる。図2(b)の容器(耐熱丸型)及び図2(c)の容器(耐熱角型)のPETボトルは、減圧吸収面或いはパネルを有する。炭酸用容器は炭酸ガスの内圧があるので、円筒円錐形の形状をしているが、耐熱容器はその胴部に一部凹凸部がある。80〜95℃程度の温度で処理された内容物をその温度を保有した状態で容器内に充填、密封して商品として出荷される場合、内容物が常温まで冷却されると容器内が減圧され容器自体の形状変化が避けられない。この凹凸部を有する胴部等の壁面を減圧吸収面或いはパネルという。図2(a)(b)(c)の各容器の特性を表1にまとめた。
【表1】
Figure 0004002164
【0066】
(実施例1)
図1に示す高周波を外部電極に印加する高周波プラズマCVD法でDLC膜を成膜する。第1原料ガスとしてメタン、第2原料ガスとしてアセチレンを用いる。チャンバーとプラスチック容器の残存空気ガスを排気してプラスチック容器内の真空圧力を0.05Torr(6.65Pa)まで減圧し、排気を継続しながらプラスチック容器内へ第1原料ガスを導入する。第1原料ガス流量は75sccmと一定とした。これによりプラスチック容器内の残存ガスを第1原料ガスに置換した。置換時のガスを安定化させるための時間は0.3秒間とした。置換後にプラスチック容器内の成膜圧力が0.10Torr(13.3Pa)となるように調整した。その後、外部電極に高周波電力(13.56MHz)を500W供給し、プラズマCVDにより第1層の成膜を行った。第1層の成膜時間は0.3秒とし、そのまま第1原料ガスを第2原料ガスに切換えて第2層の成膜を行った。第2原料ガスの流量は、75sccmと一定とした。また、成膜圧力は0.10Torr(13.3Pa)となるように調整した。なお切換え直後に、PETボトルの中では第1原料ガスと第2原料ガスとの混合ガスとなり傾斜組成の膜が形成される。第2層の成膜時間は1.3秒とした。
【0067】
以上の成膜条件を表2に示した。
【表2】
Figure 0004002164
【0068】
(実施例2〜10)
第1原料ガス、第2原料ガス、成膜時間及びボトル種類を表2に示した条件とし、成膜圧力、ガス流量、高周波出力等の条件は実施例1と同様にして、実施例2〜10を行った。
【0069】
(比較例1〜9)
DLC膜未コーティングボトルについて比較例1とした。また比較例2〜9について、第1原料ガス、第2原料ガス、成膜時間及びボトル種類を表2に示した条件とし、成膜圧力、ガス流量、高周波出力等の条件は実施例1と同様にして、比較例2〜9を行った。
【0070】
実施例1〜10及び比較例1〜9について、水素含量の測定を行った。PETボトル内面にSi基板を貼り付け、同一条件同一方法によりDLC膜をSi基板に200nm成膜した。RBS法(ラザフォード後方散乱分析法)-HFS法(水素前方散乱法)によるDLC膜の水素組成調査を行った。測定装置は、日新ハイボルテージ(株)製の後方散乱測定装置AN-2500を使用した。結果を表2に示した。
【0071】
実施例9、10及び比較例9について、充填後、熱殺菌処理を行なう発酵型炭酸飲料・果汁入り炭酸飲料向け容器としての適性を評価するために、DLC膜を成膜後、加熱膨張を再現する加熱・加圧処理を行った。炭酸ガス2.5容量を含む炭酸水を前記DLC膜コーティングプラスチック容器に96vol%充填する。そして、炭酸水温度63℃で10分間静置させ、水にて冷却後に空にして25℃とする。炭酸ガスの容量調整はクエン酸―炭酸水素ナトリウム法によった。加熱・加圧処理前後の酸素透過度、加熱・加圧処理後の付着強度を測定した。
【0072】
酸素透過度は、MOCON社製Oxtran2/20で測定した。23℃で外側湿度RH60%、内側湿度RH90%で行った。酸素透過度を表3に示した。
【0073】
加熱・加圧処理後の付着強度は、前記条件1による碁盤目テープ法、前記条件2による加重式引掻き法で測定した。碁盤目テープ法は切り傷によって100分割し、テープにより剥れなかった個数の割合として評価した。結果を表3に示した。
【0074】
実施例1〜8及び比較例1〜8について、ホット充填を考慮して、DLC膜を成膜後ホット充填時の容器の収縮を再現する加熱処理を行った。実施例1〜8及び比較例1〜8のDLC膜コーティングプラスチック容器を87℃熱水下で5分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下においた。加熱処理前後の酸素透過度、加熱処理後の付着強度を測定した。
【0075】
酸素透過度の測定は実施例9、10及び比較例9と同様とした。酸素透過度を表3に示した。
【0076】
加熱処理後の付着強度は、前記条件1による碁盤目テープ法、前記条件2による加重式引掻き法で測定した。結果を表3に示した。
【0077】
充填後、熱殺菌処理を行なう発酵型炭酸飲料・果汁入り炭酸飲料向け容器或いはホット充填向け容器として、加熱・加圧処理後或いは加熱処理後においても充分な密着強度を有し且つガスバリア性容器として十分なバリア性を有する場合を総合評価○とし、密着強度、ガスバリア性のいずれか若しくは両方が不充分である場合には総合評価×として表3に示した。
【0078】
【表3】
Figure 0004002164
【0079】
実施例1〜10では、DLC膜を水素原子含有率の異なる第1層と第2層とで構成したので加熱条件下若しくは加熱・加圧条件下にさらされた後でも密着性に優れ且つ第2層を主体とした容器のガスバリア性の確保ができていた。また、第1層と第2層との境界を傾斜組成としたので、応力集中等による密着不良やマイクロクラックの発生は生じなかった。
【0080】
それに対して比較例2、3では、水素原子低含有組成のDLC膜のみの単一組成構造としたため硬質膜となり、加熱によるプラスチックの収縮条件下で充分な密着性を確保できなかった。比較例4〜6では水素原子高含有組成のDLC膜のみの単一組成構造としたため軟質膜となり、密着性は良好であったが、軟質膜である故に容器のガスバリア性は不充分であった。比較例7,8は、DLC膜を第1層と第2層とで構成したが、水素原子低含有組成の第2層の膜厚が薄く、ガスバリア性を確保できなかった。比較例9では水素原子低含有組成のDLC膜のみの単一組成構造としたため硬質膜となり、加熱・加圧処理によるプラスチックの膨張する条件下で充分な膜の密着性を確保できなかった。
【0081】
実施例では、第1原料ガスと第2原料ガスとのガス種類の組み合わせの具体例を挙げているが、成膜圧力や高周波出力の供給量を変えれば、同一組成・同一形態のDLC膜を得るためのガス種類の組み合わせは変わり得るので、本発明は実施例に挙げた組み合わせに限定されない。
【0082】
【発明の効果】
本発明により、あらゆる充填方法、特にホット充填(加熱によりプラスチックの収縮が生じる充填法)或いは充填後熱殺菌処理(加熱により炭酸ガス圧が上昇しプラスチックの膨張が生ずる充填法)を行っても、DLC膜を伸縮に追随させてマイクロクラック等の密着不良を防止することができた。また、同時にガスバリア性を付与させることができた。さらに第1層と第2層との境界を傾斜組成とすることで第1層と第2層との境界における密着不良やマイクロクラックの発生を防止することができた。
【0083】
また本発明では、第1層と第2層とからなるDLC膜をプラスチック容器にコーティングするに際し、水素原子含有率すなわち炭素原子含有率の異なる2種の炭素源ガス含有原料ガスを切換えて一連に流すことにより、上記構造のDLC膜を容易にコーティングする方法を提供することができた。原料ガスを切換えてもプラスチック容器内部に流れる原料ガスは瞬時に切換えないので、第1層と第2層との境界を傾斜組成に形成して当該境界における密着不良やマイクロクラックの発生を避けることができた。
【0084】
本発明ではプラズマエネルギーとして特に高周波を選択し、容器壁面に自己バイアス電圧を生じさせることで、ガスバリア性を有する緻密なDLC膜を形成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波プラズマCVD法によるDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の概略図の一形態を示すものである。
【図2】本発明の実施例で使用するボトル形状の概略図であり、(a)は炭酸丸型、(b)は耐熱丸型、(C)は耐熱角型を示す。
【符号の説明】
100,高周波プラズマCVD成膜装置
1,下部外部電極
2,上部外部電極
3,外部電極
4,絶縁部材
5,蓋部
6,チャンバー
7,PETボトル
8,Oリング
9,内部電極
9a,ガス吹きだし口
10,マッチングユニット
11,高周波電源
13,真空計
14,21,81,真空バルブ
16,真空ポンプ
17,ダクト排気
12,15,20,22,24,82,84,配管
23,83,マスフローコントローラー
25,85,原料ガス発生源
26,第1原料ガス供給手段
86,第2原料ガス供給手段
87,ガス切換バルブ

Claims (9)

  1. プラスチック容器の内表面にDLC膜をコーティングしたDLC膜コーティングプラスチック容器であって、前記DLC膜は、前記内表面上に形成した水素原子高含有組成の第1層と該第1層上に形成した該第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とからなる2層構造を有し、且つ前記第1層と前記第2層との境界を傾斜組成としており、前記第1層の膜厚は2.0〜5.0nmであり、前記第1層の水素原子含有率は48原子%以上52原子%以下、前記第2層の水素原子含有率は42原子%以上48原子%未満であり、前記DLC膜コーティングプラスチック容器は充填後、熱殺菌処理を行う発酵型炭酸飲料・果汁入り炭酸飲料向け容器であることを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器。
  2. プラスチック容器の内表面にDLC膜をコーティングしたDLC膜コーティングプラスチック容器であって、前記DLC膜は、前記内表面上に形成した水素原子高含有組成の第1層と該第1層上に形成した該第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とからなる2層構造を有し、且つ前記第1層と前記第2層との境界を傾斜組成としており、前記第1層の膜厚は2.0〜5.0nmであり、前記第1層の水素原子含有率は50原子%以上60原子%以下、前記第2層の水素原子含有率は42原子%以上48原子%以下であり、前記DLC膜コーティングプラスチック容器はホット充填飲料向け容器であることを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器。
  3. 炭酸ガス2.5容量を含む炭酸水を前記DLC膜コーティングプラスチック容器に96vol%充填した後、炭酸水温度63℃で10分間静置させ、水にて冷却後に空にして25℃とした前記DLC膜コーティングプラスチック容器の前記DLC膜は、条件1のJISK5400の碁盤目テープ法によって剥離が生じないことを特徴とする請求項1記載のDLC膜コーティングプラスチック容器。
    条件1:切り傷の隙間は1mm、ます目の数は100。
  4. 炭酸ガス2.5容量を含む炭酸水を前記DLC膜コーティングプラスチック容器に96vol%充填した後、炭酸水温度63℃で10分間静置させ、水にて冷却後に空にして25℃とした前記DLC膜コーティングプラスチック容器の前記DLC膜は、条件2の加重式引掻き法において垂直加重が1.8mN以上の密着強度を有することを特徴とする請求項1記載のDLC膜コーティングプラスチック容器。
    条件2:試験機は株式会社島津製作所製島津走査型スクラッチテスタSST-101、引掻き針はダイヤモンドで曲率半径15μm、負荷速度は1μm/s、振幅10μm、送り速度は2μm/s、垂直加重は膜が剥れ始めたときの引掻針にかかる加重とする。容器内側胴部に形成したDLC膜を測定する。
  5. 87℃熱水下で5分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下においた前記DLC膜コーティングプラスチック容器の前記DLC膜は、条件1のJISK5400の碁盤目テープ法によって剥離が生じないことを特徴とする請求項2記載のDLC膜コーティングプラスチック容器。
  6. 87℃熱水下で5分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下においた前記DLC膜コーティングプラスチック容器の前記DLC膜は、条件2の加重式引掻き法において垂直加重が1.8mN以上であることを特徴とする請求項2記載のDLC膜コーティングプラスチック容器。
  7. プラスチック容器の内部に第1炭素源ガスを含む第1原料ガスを一定減圧下で一定流量流している状態に安定化させて前記プラスチック容器の内部を前記第1原料ガスでガス置換するガス置換工程、一定出力のプラズマエネルギーを印加して前記プラスチック容器の内部を流れている前記第1原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面にDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、プラズマエネルギーを印加したままの状態で前記第1原料ガスの供給を停止すると同時に前記第1炭素源ガスよりも炭素原子含有率が大きい第2炭素源ガスを含む第2原料ガスを前記プラスチック容器の内部に一定流量供給して、前記第1層上に該第1層よりも相対的に水素原子低含有組成のDLC膜を第2層として形成し且つ前記第1層と前記第2層との境界を傾斜組成とする第2層成膜工程、とを有することを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  8. 前記プラスチック容器の内部に口部から内部電極を挿入し、前記プラスチック容器の外側に外部電極を配置した後、前記外部電極に高周波電力を供給して前記第1原料ガス及び前記第2原料ガスをプラズマ化することを特徴とする請求項7記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  9. 前記第1炭素源ガスはメタン、プロパン、シクロヘキサンから選択される少なくともいずれか1つとし、且つ前記第2炭素源ガスはアセチレン、ベンゼンから選択される少なくともいずれか1つとしたことを特徴とする請求項7又は8記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
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