JP2008248374A - バリア膜被覆基材及びバリア膜の成膜方法 - Google Patents

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紀子 山崎
Hideo Yamakoshi
英男 山越
Minoru Danno
実 団野
Seiji Goto
征司 後藤
Kiyoshi Hiroya
喜与士 廣谷
Tomotsugu Sakai
智嗣 坂井
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Abstract

【課題】大気プラズマを用いて、基材表面に改質層を形成し、前記改質層とバリア膜との二層構造からなる比較的簡単で、かつ高いガスバリア性・密着性を得ることが可能であるバリア膜被覆基材及びバリア膜の成膜方法を提供する。
【解決手段】バリア膜被覆基材100は、例えばポリプロピレン(PP)等のように反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101の表面に、減圧下で放電プラズマによりバリア膜102を成膜してなるバリア膜被覆基材であって、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101に大気プラズマを照射し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101表面に、酸素、窒素の何れか一方又は両方を含有する改質層103を形成する改質工程と、改質層103の上にバリア膜102を成膜する成膜工程とから、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101とバリア膜102との間に改質層103を形成してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば樹脂等のフィルム、シート又は容器等においてバリア膜と基材との密着力が向上すると共に、ガスバリア性を付与するバリア膜被覆基材及びバリア膜の成膜方法に関する。
近年、プラスチック容器において、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止するために、その内面に例えばDLC(Diamond Like Carbon)のような硬質のアモルファスカーボン膜やシリカ(SiOx)膜をコーティングすることが試みられている。
例えば炭素元素を成分に含む媒体ガスで成膜装置内の残留空気存在下で放電を開始し、残留空気を置換しつつ高周波プラズマにより基材の界面に活性処理層を形成して基材表面を活性化させると共に、バリア膜としてアモルファスカーボン膜を成膜するようにしている(特許文献1)。
図16は、従来技術に係るアモルファスカーボン膜被覆基材の構成図である。図16に示すように、従来技術に係るアモルファスカーボン膜被覆基材110は、基材111の表面に減圧下で放電プラズマによりバリア膜としてアモルファスカーボン膜112を成膜してなるアモルファスカーボン膜被覆基材であって、前記基材111とアモルファスカーボン膜112との界面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を有する活性処理層113を含むものである。
前記基材111として例えばプラスチックフィルム(PET)基材のような基材表面には、CH以外に官能基として水酸基(OH-)、イミノ基(NH-)を有しているため、前記基材表面に前記バリア膜を密着させてバリア膜としてアモルファスカーボン膜をコーティングすることができ、高いガスバリア性を得ることが出来る。
特開2006−188734号公報
ここで、例えばコーヒー飲料などに用いられる樹脂容器としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)等の水酸基(OH-)、イミノ基(NH-)のような官能基を持たないオレフィン類製の基材が用いられており、例えばコーヒー飲料などに用いられる容器では、ガスバリア性は例えば4倍以上必要とされている。
しかしながら、こうした反応性の官能基を持たない炭化水素類製の基材表面には活性の高い官能基がないため、前記基材表面と前記バリア膜との密着性が低く、プラスチックフィルム(PET)基材のようにバリア膜が成膜されないため、バリア膜として例えばアモルファスカーボン膜をコーティングする際、プラスチックフィルム(PET)基材のような高いガスバリア性を得ることが出来ない、という問題がある。
本発明は、前記問題に鑑み、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含むガスを媒質としたプラズマを用いて、基材表面に改質層を形成し、前記改質層とバリア膜との二層構造からなる比較的簡単で、かつ高いガスバリア性・密着性を得ることが可能であるバリア膜被覆基材及びバリア膜の成膜方法を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材の表面に、放電プラズマによりバリア膜を成膜してなるバリア膜被覆基材であって、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含むガスを媒質としたプラズマを照射し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、前記改質層の上にバリア膜を成膜する成膜工程とから、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材と前記バリア膜との間に前記改質層を形成してなり、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に反応性の官能基を増加させ、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材と前記バリア膜との密着性を向上し、ガスバリア性を向上させてなることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第2の発明は、第1の発明において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)の何れか一つであることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記改質層に含まれる窒素濃度が、4〜9%であることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第4の発明は、第1乃至3の何れか一つの発明において、前記改質層に含まれる酸素濃度が、2〜15%であることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第5の発明は、第1乃至4の何れか一つの発明において、前記ガスバリア性が、4倍以上であることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第6の発明は、第1乃至5の何れか一つの発明において、前記改質層の膜厚が、1〜30nmであることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第7の発明は、第1乃至6の何れか一つの発明において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材が、フィルム、シート、又は容器の何れか一つであることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第8の発明は、第1乃至7の何れか一つの発明において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に生成されるバリア膜が、炭素を成分として含有するアモルファスカーボン膜であることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第9の発明は、第1乃至8の何れか一つの発明において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に生成されるバリア膜が、シリカを成分として含有するシリカ膜であることを特徴とするバリア膜被覆基材にある。
第10の発明は、反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材の表面に放電プラズマによりバリア膜を成膜してなるバリア膜の成膜方法であって、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含むガスを媒質としたプラズマを照射し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、前記改質層の上にバリア膜を成膜する成膜工程とから、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材と前記バリア膜との間に前記改質層を形成してなり、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に反応性の官能基を増加させ、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材と前記バリア膜との密着性が向上し、ガスバリア性を向上させてなることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
第11の発明は、第10の発明において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材が、フィルム、シート、又は容器の何れか一つであることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
第12の発明は、放電プラズマを発生させ、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の表面にバリア膜を形成するバリア膜被覆容器を製造するにあたり、(a)チャンバを開放し、該チャンバ内に設けられた外部電極内に被処理物である前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器を装填した後、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気通路からガス吹出し部を前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の内部に挿入し、前記チャンバを閉じる容器装填工程と、(b)前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内外のガスを排気手段により前記排気通路を通して排気し、真空排気を行ない、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内を含む排気通路内及び前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内を所定のガス圧力に設定する真空排気工程と、(c)前記外部電極内の真空排気を行なっている状態において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含む改質ガスを導入する改質ガス導入工程と、(d)前記改質ガスを導入後、電界付与手段により前記外部電極と接地電極との間に電界を付与し、それらの間に位置する前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記改質ガスを解離し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、(e)前記改質層の形成後、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内にバリア膜生成用の媒体ガスを前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内に導入する媒体ガス導入工程と、(f)前記媒体ガスを導入後、電界付与手段により前記装置内に電界を付与し、プラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒体ガスを解離し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内面に、前記バリア膜を成膜する成膜開始工程と、(g)前記バリア膜の成膜後、高周波電力を停止すると共に、前記媒体ガスの供給を停止し、前記バリア膜の成膜を終了する成膜停止工程と、(h)成膜を終了し、前記媒体ガスの導入停止後、大気中の空気を前記排気通路内に供給し、大気開放する大気開放工程と、を含むことを特徴とするバリア膜を成膜してなるバリア膜の成膜方法にある。
第13の発明は、放電プラズマを発生させ、反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器表面にバリア膜を形成するバリア膜被覆容器を製造するにあたり、(a)チャンバを開放し、該チャンバ内に設けられた外部電極内に被処理物である前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器を装填した後、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気通路からガス吹出し部を前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の内部に挿入し、前記チャンバを閉じる容器装填工程と、(b)前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内外のガスを排気手段により前記排気通路を通して排気し、真空排気を行ない、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内を含む排気通路内及び前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内を所定のガス圧力に設定する真空排気工程と、(c)前記装置内の真空排気を行なっている状態において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含む改質ガスを導入する改質ガス導入工程と、(d)前記改質ガスを導入後、電界付与手段により前記外部電極と接地電極との間に電界を付与し、それらの間に位置する前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記改質ガスを解離し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、(e)前記改質層の形成を終了し、前記媒体ガスの導入停止後、大気中の空気を前記排気通路内に供給し、大気開放する第一の大気開放工程と、(f)前記改質層の形成後、前記装置内にバリア膜生成用の媒体ガスを前記装置内に導入する媒体ガス導入工程と、(g)前記媒体ガスを導入後、電界付与手段により前記装置内に電界を付与し、プラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒体ガスを解離し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内面に、前記バリア膜を成膜する成膜開始工程と、(h)前記バリア膜の成膜後、高周波電力を停止すると共に、前記媒体ガスの供給を停止し、前記バリア膜の成膜を終了する成膜停止工程と、(i)成膜を終了し、前記媒体ガスの導入停止後、大気中の空気を前記排気通路内に供給し、大気開放する第二の大気開放工程と、を含むことを特徴とするバリア膜を成膜してなるバリア膜の成膜方法にある。
第14の発明は、第10乃至13の何れか一つの発明において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)の何れか一つであることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
第15の発明は、第10乃至14の何れか一つの発明において、前記改質層に含まれる窒素濃度が、4〜9%であることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
第16の発明は、第10乃至15の何れか一つの発明において、前記改質層に含まれる酸素濃度が、2〜15%であることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
第17の発明は、第10乃至16の何れか一つの発明において、前記ガスバリア性が、4倍以上であることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
第18の発明は、第10乃至17の何れか一つの発明において、前記改質層の膜厚が、1〜30nmであることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
第19の発明は、第10乃至18の何れか一つの発明において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に生成されるバリア膜が、炭素を成分として含有するアモルファスカーボン膜であることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
第20の発明は、第10乃至19の何れか一つの発明において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に生成されるバリア膜が、シリカを成分として含有するシリカ膜であることを特徴とするバリア膜の成膜方法にある。
本発明によれば、基材に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含むガスを媒質としたプラズマを照射し、前記基材表面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成し、前記改質層の上にバリア膜を成膜することで、前記改質層により前記基材表面の官能基が増加し、前記基材と前記バリア膜との密着性を向上させることができるため、ガスバリア性を向上させることができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態及び実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態及び実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施の形態]
本発明による実施の形態に係るバリア膜被覆基材について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による実施の形態に係るバリア膜被覆基材のバリア膜作成工程を示す概念図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100は、例えばポリプロピレン(PP)等のように反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101の表面に、減圧下で放電プラズマによりバリア膜102を成膜してなるバリア膜被覆基材であって、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101に大気(または空気、または乾燥空気)を媒質としたプラズマを照射し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101表面に、酸素、窒素の何れか一方又は両方を含有する改質層103を形成する改質工程と、前記改質層103の上にバリア膜102を成膜する成膜工程とから、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101と前記バリア膜102との間に前記改質層103を形成してなるものである。
本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100は、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101の表面に前記改質層103を形成し、前記バリア膜102と前記改質層103との二層構造とからなるものである。
本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100では、前記改質工程で前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101の表面をプラズマに曝露して前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101の表面処理を行ない、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101とバリア膜102との間に前記改質層103を形成するようにしている。前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101の表面に前記改質層103を形成することにより、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101の表面に、例えば水酸基(OH-)、イミノ基(NH-)のような酸素、窒素の何れか一方又は両方からなる官能基を増やすことができる。
これにより、前記改質層103に存在する窒素又は酸素がアンカー効果を奏し強い密着部となるため、前記成膜工程で前記改質層103の上に媒体ガス成分が成膜されて形成される前記バリア膜102の密着性を向上させることができる。その結果、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101のガスバリア性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100では、例えばコーヒー飲料等に用いるPP製プラスチック容器ではガスバリア性が4倍以上であることが必要であるため、バリア膜被覆基材100のガスバリア性は、後述する実施例に示すように好適には4倍以上であることが好ましい。
また、本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100では、前記改質層103に含まれる窒素濃度が、好適には4〜9%であることが好ましい。更に好ましくは5〜7%であることが好ましい。これは、後述する実施例に示すようにバリア膜被覆基材100のガスバリア性を4倍以上とするために改質工程において改質放電時間内に前記改質層103に含まれる窒素濃度であるからである。
また、本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100では、前記改質層103に含まれる酸素濃度が、好適には2〜15%であることが好ましい。更に好ましくは12.0〜14.0%であることが好ましい。これは、後述する実施例に示すようにバリア膜被覆基材100のガスバリア性を4倍以上とするために改質工程S101において改質放電時間内に前記改質層103に含まれる酸素濃度であるからである。
また、本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100では、改質工程において改質放電時間内に形成される前記改質層103の膜厚として、好適には1〜30nmであることが好ましい。これは、バリア膜被覆基材100のガスバリア性を4倍以上とするために改質工程S101において改質放電時間内に形成される前記改質層103の膜厚であるからである。
また、このようなバリア膜被覆基材100を製造する方法としては、改質工程、成膜工程においては、例えば基材面積数百cm2の場合、成膜圧力が0.1〜5Torr、RF出力が200〜2000Wの高周波プラズマ発生条件により高周波プラズマを発生させ、媒体ガスにより基材の表面にアモルファスカーボン膜を成膜する。
このように、本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100によれば、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101に大気(または空気、または乾燥空気)を媒質としたプラズマを照射し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101表面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層103を形成する改質工程と、前記改質層103の上にバリア膜102を成膜する成膜工程とからなるバリア膜の成膜方法を用いてバリア膜被覆基材を製造することにより、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101表面に官能基が増え、前記改質層103と前記バリア膜102との二層構造とすることができる。この結果、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101に簡単により高いガスバリア性・密着性を持たせた前記バリア膜102を生成することができる。
また、本実施の形態に係るバリア膜被覆基材100では、前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101としてポリプロピレン(PP)製の基材を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)等の反応性の官能基を持たない炭化水素系の樹脂基材を用いるようにしてもよい。
反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂であるポリプロピレン(PP)ポリエチレン(PE)ポリスチレン(PS)は代表的な汎用高分子材料で、一般に、張強さ、引裂強さ、衝撃強さなど機械的性質や、防水・防湿性、耐薬品性に優れているほか、非常に軽い、透明性、通気性やヒートシール性(加熱密封)がある、毒性がまったく無い、などの特性を持つ。
また、前記ポリプロピレン(PP)製のものとしては、食品包装用フィルム、ゴミ袋、スーパーの袋、各種容器のフタ、各種瓶・容器、コンテナ、灯油缶、牛乳・ジュースなどのポリエチレン加工紙、各種ラミネートフィルム、電線被覆などがある。
また、前記ポリエチレン(PE)製のものとしては、医療用用具、パン・生菓子などの包装フィルム、各種包装用フィルム、ラミネートフィルム、不織布、食料品・冷凍食品などのトレー、食品用カップ(プリン、飲料)などがある。
また、前記ポリスチレン(PS)製のものとしては、日用家庭用品(雑貨)、文具、玩具などがある。
また、前記基材の加工品としては、各種容器を挙げることができる。
前記容器としては、例えばガソリンタンク等の燃料を充填する容器等を挙げることができる。また、それ以外の容器としては、例えば医薬品用プラスチック容器、食品用プラスチック容器を挙げることができる。また、容器以外には、フィルム、シート等に対するガスバリア膜として有効である。
また、有機トランジスタ等の有機電子デバイスにおいて、機能材料を水分や酸素等から保護する必要性の高い保護膜として用いるようにしてもよい。
また、前記樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルムフィルム等の公知の材料を例示することができる。
また、本発明で前記反応性の官能基を持たない炭化水素製基材101表面を改質した前記改質層103の表面に成膜する炭素を成分の一つとして含むバリア膜としては、具体的にはアモルファスカーボン膜である。これは、ダイヤモンド成分(炭素原子の結合がSP3結合)とグラファイト成分(炭素原子の結合がSP2結合)、ポリマー成分(炭素原子の結合がSP1結合)のうち少なくとも一つを含むアモルファス状の構造を有する炭素膜のことである。前記アモルファスカーボン膜は、それぞれの炭素原子の結合成分の濃度率の変化により硬度が変化し、硬質の炭素膜及び軟質の炭素膜を含むものをいう。また、水素が含まれる水素化アモルファスカーボンも含まれる。さらに、前記硬質の炭素膜には、SP3結合を主体にしたアモルファスなDLC(Diamond Like Carbon)膜も含まれる。
また、前記媒体ガスとしては炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類; エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類; アセチレン等のアルキン類; ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類; シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類; シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。これにより、容器中の例えば酸素、水蒸気、ガソリン等の透過を防止するためのアモルファスカーボン膜をコーティングすることができる。また、アモルファスカーボン膜が傾斜機能を有する膜であってもよい。
次に、内面にバリア膜を被覆したPP製プラスチック容器の製造方法について図2〜図4を用いて説明する。
図2は、PP製プラスチック容器内面にバリア膜を被覆するためのバリア膜形成装置の構成を示す概略図である。
図2に示すように、バリア膜形成装置10は、カップ状に開口した口部11を有する被処理物である例えばPP製プラスチック容器12の内面に放電プラズマにより成膜を施すバリア膜形成装置であって、前記PP製プラスチック容器12の外周を取り囲む大きさを有する外部上部電極13−1及び外部下部電極13−2からなる外部電極13と、口部11が位置する側の前記外部電極13の端面に絶縁部材26を介して取り付けられた排気通路14と、前記外部電極13内の前記PP製プラスチック容器12内に前記排気通路14側から前記PP製プラスチック容器12の長手方向のほぼ全長に亙って挿入され、接地側に接続されると共に、媒体ガス19を吹き出すためのガス吹出し孔20が穿設された前記内部電極17と、前記排気通路14に取り付けられた図示しない排気装置と、前記内部電極17に媒体ガス19を供給するための図示しないガス供給装置と、前記外部電極13に接続された整合器36と高周波電源18とを具備してなるものである。
ここで、前記外部電極13は、円筒状のアースシールド上部22−1とアースシールド下部22−2とからなるアースシールド22内に設けられている。また、円板状の絶縁板24は、前記外部下部電極13−2の底部側に配置されている。また、前記外部電極13の分割部と前記外部電極13には分割部に導電コネクタ41及び真空シール(Oリング)42が介装されている。そして、前記PP製プラスチック容器12を前記外部電極13内に収納するには、分割部を一体的に上下動させている。
前記高周波電源18から高周波電力をケーブル34、整合器36および給電端子35を通して前記外部電極13に供給する。このとき、前記外部電極13と前記内部電極17との間に放電プラズマが生成される。この放電プラズマによって前記媒体ガス19が解離し、又は更にイオン化して、炭素膜を形成するための成膜種が生成され、この成膜種が前記PP製プラスチック容器12の内面に堆積し、バリア膜が形成される。そして、バリア膜を所定の膜厚まで形成した後、高周波電力の印加を停止し、前記媒体ガス供給を停止し、残留する媒体ガス19を排気し、前記排気通路14内及び前記PP製プラスチック容器12内の空間内を大気圧に戻すようにしている。
よって、バリア膜形成装置10を用いれば、前記PP製プラスチック容器12の内面に図1に示すような前記改質層103を形成し、その上に前記バリア膜102を成膜することができる。
本実施の形態に係るバリア膜被覆基材により図2に示すバリア膜形成装置10を用いて前記バリア膜を成膜した前記PP製プラスチック容器を製造する工程を示すフローチャートを図3及び図4に示す。
[第一のプロセス]
図3は、第一のプロセスを示すフローチャートである。
ここで、本第一のプロセスは、
(a)前記外部電極13を装置本体から離し、被処理物である前記PP製プラスチック容器12を前記外部電極13内に挿入する容器装填工程(S101)と、
(b)前記容器装填工程(S101)において前記PP製プラスチック容器12を装填後、前記外部電極13を上昇させ、前記PP製プラスチック容器12の前記口部11が位置する側の前記外部電極13の端面に前記絶縁部材14を介して取り付けられた前記排気通路14から前記内部電極17を前記PP製プラスチック容器12の内部に挿入し、前記外部電極13を閉じる外部電極閉鎖工程(S102)と、
(c)前記外部電極閉鎖工程(S102)において前記外部電極13を閉じた後、前記PP製プラスチック容器12内外のガスを図示しない排気装置により前記排気通路14を通して排気し、真空排気を行ない、前記PP製プラスチック容器12内を含む前記排気通路14内を所定のガス圧力に設定する真空排気工程(S103)と、
(d)前記真空排気工程(S103)において前記外部電極13内が所定圧力に到達した後、前記ガス供給手段から大気(または空気、または乾燥空気)ガスを供給し、前記PP製プラスチック容器12内に前記大気ガスを導入する改質ガス導入工程(S104)と、
(e)前記改質ガス導入工程(S104)において前記大気ガスを導入後、電界付与手段により高周波電力を前記外部電極13に印加して、前記外部電極13と接地電極との間に位置する前記PP製プラスチック容器12内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記大気ガスを解離し、前記PP製プラスチック容器12内面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する前記改質層103を形成する改質工程(S105)と、
(f)前記改質工程(S105)において前記PP製プラスチック容器12の内面に前記改質層103を形成した後、前記ガス供給手段からバリア膜生成用の前記媒体ガス19を供給し、前記ガス吹出し孔20からバリア膜生成用の前記媒体ガス19を前記PP製プラスチック容器12内に吹き出し、前記媒体ガス1を前記PP製プラスチック容器12内に導入する媒体ガス導入工程(S106)と、
(g)前記媒体ガス導入工程(S106)において前記媒体ガス19を導入後、電界付与手段により高周波電力を前記外部電極13に印加して、前記装置内に電界を付与し、前記外部電極13と接地電極の間に電界を付与し、それらの間に位置する前記PP製プラスチック容器12内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒体ガス19を解離し、前記PP製プラスチック容器12内面に、前記バリア膜を成膜する成膜開始工程(S107)と、
(h)前記成膜開始工程(S107)において前記PP製プラスチック容器12の内面に前記バリア膜を成膜した後、高周波電力を停止すると共に、前記媒体ガス19の供給を停止し、前記バリア膜の成膜を終了する成膜停止工程(S108)と、
(i)前記成膜停止工程(S108)において成膜を終了した後、大気中の空気を前記排気通路14内に供給し、大気開放する大気開放工程(S109)と、
(j)前記大気開放工程(S109)において前記PP製プラスチック容器12、前記排気通路14内の圧力を低下した後、前記外部電極13を開く外部電極開放工程(S110)と、
(k)外部電極開放工程(S110)において前記外部電極13を開放し、前記PP製プラスチック容器12を前記外部電極13内から取り出す容器取り出し工程(S111)と、
の工程からなる。
本第一のプロセスによれば、前記PP製プラスチック容器12内に前記大気ガスを導入し、前記PP製プラスチック容器12の内面に前記改質層103を形成した後、前記媒体ガス19を導入し、前記PP製プラスチック容器12内面に、前記バリア膜102を成膜することで、大気開放することなく前記媒体ガス19を成膜ガスに置換し、改質処理と成膜とを連続して行なうことができる。その結果、前記PP製プラスチック容器12の内面への前記バリア膜102の成膜工程を短縮することができる。
次に、他のプロセスについて図4を用いて説明する。
[第二のプロセス]
図4は、第二のプロセスを示すフローチャートである。
尚、図4は、図3に示す第一のプロセスの変形例であるが、図4に示す第二のプロセスの内容は、図3に示す第一のプロセスの内容と同様であるので、同一工程についての説明は省略する。
図4に示すように、本第二のプロセスは、前記外部電極13内に前記PP製プラスチック容器12を挿入する容器装填工程(S201)と、前記外部電極13を閉じる外部電極閉鎖工程(S202)と、前記PP製プラスチック容器12内外の真空排気を行ない、前記PP製プラスチック容器12内を所定のガス圧力に設定する第一の真空排気工程(S203)と、前記外部電極13内を所定のガス圧力に設定すると共に、前記PP製プラスチック容器12内に大気(または空気、または乾燥空気)ガスを導入する改質ガス導入工程(S204)と、前記PP製プラスチック容器12内面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層103を形成する改質工程(S205)と、前記PP製プラスチック容器12の内面に前記改質層103を形成した後、前記排気通路14内に空気を供給し、大気開放する第一の大気開放工程(S206)と、再度前記PP製プラスチック容器12内外の真空排気を行ない、前記PP製プラスチック容器12内を所定のガス圧力に設定する第二の真空排気工程(S207)と、前記外部電極13内を所定のガス圧力に設定すると共に、バリア膜生成用の媒体ガス19を前記PP製プラスチック容器12内に導入する媒体ガス19導入工程(S208)と、前記PP製プラスチック容器12内面に、前記バリア膜を成膜する成膜開始工程(S209)と、前記媒体ガス19の供給を停止し、前記バリア膜の成膜を終了する成膜停止工程(S210)と、前記排気通路14内に空気を供給し大気開放する第二の大気開放工程(S211)と、前記外部電極13を開く外部電極開放工程(S212)と、前記外部電極13内から前記PP製プラスチック容器12を取り出す容器取り出し工程(S213)との工程からなる。
本第二のプロセスでは、図4に示すような第一のプロセスの前記改質工程(S105)と前記媒体ガス導入工程(S106)との間に前記第一の大気開放工程(S206)と前記第二の真空排気工程(S207)を設け、前記改質層103を形成した後、前記大気ガスを前記PP製プラスチック容器12内から完全に抜いてから前記媒体ガス19を前記PP製プラスチック容器12内に導入するようにしている。
よって、本第二のプロセスのように、前記PP製プラスチック容器12内に前記大気ガスを導入し、前記PP製プラスチック容器12の内面に図1に示すような前記改質層103を形成した後、大気開放し、前記媒体ガス19を導入して前記PP製プラスチック容器12内面に図1に示すような前記バリア膜102を成膜することができる。その結果、前記PP製プラスチック容器12内には前記媒体ガス19のみが存在する状態で前記PP製プラスチック容器12の内面に図1に示すような前記バリア膜102を成膜することができる。
また、本実施の形態では、改質ガスとして、大気(または空気、または乾燥空気)ガスを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含む改質ガスを用いるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、減圧下において放電プラズマによりバリア膜102を成膜しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、大気圧下で放電プラズマによりバリア膜102を成膜するようにしてもよい。
次に、本発明のバリア膜形成装置を回転式のバリア膜形成装置に適用した一例について説明する。
図5はロータリー装置200Aの回転盤(図示せず)上にチャンバが30個設けられている模式図である。
なお、チャンバ内の数字は30台のチャンバの連続番号である。
図5に示すように、ロータリー装置200Aは、30個のチャンバを回転基台に所定間隔を持って円環状に配置されてなると共に、回転基台が一回りする間に、容器の供給を行なう容器の供給工程と、前記容器内の真空排気を行なう真空排気工程と、前記容器内面の改質処理を行う改質工程と、前記容器内面に成膜を行う成膜工程及び成膜後の容器の排出を行なう容器の排出工程を完了してなるものである。
即ち、ロータリー装置200Aは、例えば30個のチャンバを回転基台に所定間隔を持って円環状に配置されてなると共に、PP製プラスチック容器を前記回転基台に供給する容器供給部201と、供給された前記PP製プラスチック容器を前記複数のチャンバに装填すると共に、成膜されたPP製プラスチック容器を排出するチャンバ開閉部202と、前記PP製プラスチック容器内を真空排気する真空排気部203と、前記PP製プラスチック容器内面を改質処理する改質部204と、改質処理されたPP製プラスチック容器内面を成膜する成膜部205と、成膜されたPP製プラスチック容器を前記回転基台から排出する容器排出部206とからなるものである。
このようなロータリー装置200Aにおいて、前記容器供給部201で前記PP製プラスチック容器が供給され、前記チャンバ開閉部202において、開放されたチャンバ内に前記PP製プラスチック容器が挿入され、前記真空排気部203において、チャンバ内を真空とし、前記改質部204において、前記PP製プラスチック容器内面を改質処理するようにしている。そして、前記成膜部205において、放電し、成膜するようにしている。この際、図5に示すように、例えばNo21のチャンバが前記改質部204内に入った際に、高周波電源をONにして高周波電力を供給して放電させ改質するようにし、No15のチャンバが前記成膜部205内に入った際に、成膜を開始するようにしている。
そして、No7のチャンバが、前記成膜部205の領域の最後に到達した際に、高周波電源をOFFにして高周波電力の供給を停止している。
この結果、回転基台に配置された複数のチャンバが一回りする間に、前記PP製プラスチック容器12内面に図1に示すような前記改質層103を形成し、前記バリア膜102を成膜することができる。
なお、本実施の形態では、チャンバを30台としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、30台以下、又は30台以上としてもよい。必要に応じて適宜変化させるようにすればよい。
図6は、ロータリー装置の他の構成を示す模式図である。
図6に示すように、ロータリー装置200B、200Cは、図5に示したロータリー装置200Aの前記改質部204及び前記成膜部205のいずれか一方のみを前記回転基台で行なうようにしたものであり、前期回転基台で前記PP製プラスチック容器内面へ改質処理して図1に示すような前記改質層103を形成し、改質処理後のPP製プラスチック容器を排出してストックしておき、その後、前記回転基台に再度改質処理後のPP製プラスチック容器を供給して改質処理後のPP製プラスチック容器内面に図1に示すような前記バリア膜102の成膜を行なうようにしてなるものである。
即ち、図6中左側に示すロータリー装置200Bは、例えば30個のチャンバを回転基台に所定間隔を持って円環状に配置されてなると共に、前記PP製プラスチック容器を前記回転基台に供給する容器供給部201と、供給された前記PP製プラスチック容器を前記複数のチャンバに装填すると共に、改質処理されたPP製プラスチック容器を排出するチャンバ開閉部202と、前記PP製プラスチック容器内を真空排気する真空排気部203と、前記PP製プラスチック容器内面を改質処理する改質部204と、改質処理されたPP製プラスチック容器を前記回転基台から排出する容器排出部206と、排出されたPP製プラスチック容器を貯蔵するストック部210とからなるものである。
また、図6中右側に示すロータリー装置200Cは、前記ストック部210で貯蔵された前記改質処理されたPP製プラスチック容器を前記回転基台に供給する容器供給部201と、供給された前記改質処理されたPP製プラスチック容器を前記複数のチャンバに装填すると共に、成膜されたPP製プラスチック容器を排出するチャンバ開閉部202と、前記改質処理されたPP製プラスチック容器内を真空排気する真空排気部203と、前記改質処理されたPP製プラスチック容器の内面を成膜する成膜部205と、成膜されたPP製プラスチック容器を前記回転基台から排出する容器排出部206とからなるものである。
前記ロータリー装置200Bでは、前記改質部204において例えば30個のチャンバ内の前記PP製プラスチック容器の内面に図1に示すような改質層103を形成し、前記ストック部210でストックしておく。その後、前記ロータリー装置200Cで前記ストック部210でストックした複数の前記改質処理されたPP製プラスチック容器を前記容器供給部201を介して再度チャンバ内に設置し、前記成膜部205において改質処理されたPP製プラスチック容器の内面に図1に示すような前記バリア膜102を成膜するようにしている。
これにより、一度に複数の前記PP製プラスチック容器内面に図1に示すような前記改質層103を形成し、前記改質層103を形成した複数の前記PP製プラスチック容器内面にまとめて前記バリア膜102を成膜することができる。
以下、本発明の効果を示す実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
図4に示す第二のプロセスに従って前記大気ガスによる改質放電時間を変化させた各々の官能基を持たないオレフィン製基材にバリア膜を成膜した場合のガスバリア性を評価した。
本実施例では、官能基を持たないオレフィン製基材としてPP製基材を用い、バリア膜としてアモルファスカーボン膜を成膜した。
また、成膜条件は固定とし、媒体ガスとしてアセチレン50sccmを導入し、周波数13.56MHz、RFパワー500Wを各々印加し、成膜圧力を0.10Torrとして前記PP製基材にアモルファスカーボン膜を成膜した。放電時間は2秒とした。
また、前記大気ガスによる改質放電時間を変化させた後、アモルファスカーボン膜を成膜した各PP製基材の改質放電時間とガスバリア性の変化について検討した試験結果について図7〜図12を用いて説明する。
図7は、改質放電時間とガスバリア性との関係を示す図である。
図7に示すように、改質放電時間が例えば3.0秒付近で前記PP製基材のガスバリア性(BIF)が4倍以上となり、改質放電時間が例えば7.5秒付近までは、前記PP製基材のガスバリア性(BIF)が上昇したことが確認された。また、改質放電時間が例えば10秒付近で前記PP製基材のガスバリア性(BIF)は、改質放電時間が例えば7.5秒程度の時の前記PP製基材のガスバリア性(BIF)とほぼ同様の値であった。また、改質放電時間が例えば9秒付近で前記PP製基材のガスバリア性(BIF)が最も高く8倍程度になったことが確認された。また、改質放電時間が例えば15秒付近までは、前記PP製基材のガスバリア性(BIF)が4倍以上であったことが確認された。
また、改質放電時間が例えば20秒、30秒では、前記PP製基材のガスバリア性(BIF)が4倍以下であったことが確認された。
よって、前記PP製基材を用いてガスバリア性(BIF)を4倍以上とするためには、大気ガスによる改質放電時間は3.0〜15.0秒の範囲内で行なうのが好ましいと考えられる。
図8は、改質前と改質後の基材表面の窒素(N2)濃度とガスバリア性との関係を示す図である。また、図9は、改質前と改質後の基材表面の酸素(O2)濃度とガスバリア性との関係を示す図である。
図8及び図9に示すように、改質前は改質層103のガスバリア性は1倍であったが、改質放電時間が1秒のときにガスバリア性が4倍程度であり、改質放電時間が10秒まではガスバリア性が高くなったことが確認された。また、改質放電時間が20秒のときにはガスバリア性が低下したことが確認された。
また、図8に示すように、改質前は改質層103にはN濃度が0%であったが、改質することにより、改質放電時間が1秒の時には前記PP製基材にはN濃度が例えば6%程度であり、改質放電時間が3秒の時には前記PP製基材にはN濃度が例えば5%程度であり、改質放電時間が10秒の時には前記PP製基材にはN濃度が例えば6.5%程度であり、改質放電時間が20秒の時には前記PP製基材にはN濃度が例えば7%程度であったことが確認された。
よって、改質放電時間が1秒〜20秒までは、改質層である前記PP製基材表面にはN濃度が例えば5〜7%程度であり、改質放電時間が10秒の時に前記PP製基材のN濃度は最も高いことが確認された。
従って、前記PP製基材を用いてガスバリア性(BIF)を4倍以上とするためには、改質放電時間は1〜20秒の範囲内で行なうのが好ましく、このときの前記PP製基材表面のN濃度は約5〜7%程度であると考えられる。
また、図9に示すように、改質前は改質層103にはO濃度が1%程度であったが、改質することにより、改質放電時間が1秒の時には前記PP製基材にはO濃度が例えば12%程度であり、改質放電時間が3秒の時には前記PP製基材にはO濃度が例えば12.5%程度であり、改質放電時間が10秒の時には前記PP製基材にはN濃度が例えば14%程度であり、改質放電時間が20秒の時には前記PP製基材にはN濃度が例えば13%程度であったことが確認された。
よって、改質放電時間が1秒から20秒までは、改質層である前記PP製基材表面にはO濃度が例えば12.0〜14.0%程度であり、改質放電時間が10秒の時に前記PP製基材のO濃度は最も高いことが確認された。
従って、前記PP製基材を用いてガスバリア性(BIF)を4倍以上とするためには、改質放電時間は1〜20秒の範囲内で行なうのが好ましく、このときの前記PP製基材表面のO濃度は約12.0〜14.0%程度であると考えられる。
また、図10〜図12は、異なる改質放電時間におけるPP製基材の走査型電子顕微鏡(SEM)による図である。図10は、改質前の改質放電時間0秒のPP製基材表面の走査型電子顕微鏡(SEM)の図である。図11は、10秒改質した後のPP製基材表面の走査型電子顕微鏡(SEM)の図である。図12は、30秒改質した後のPP製基材表面の走査型電子顕微鏡(SEM)の図である。
図10、図11に示すように、改質放電時間が例えば0、10秒では、前記PP製基材表面はプラズマで劣化しておらず、平滑状態であったことが確認された。
一方、図12に示すように、改質放電時間が例えば30秒では、前記PP製基材表面がプラズマで劣化しているのが確認された。
よって、改質放電時間を例えば30秒のように長くすると、前記PP製基材表面がプラズマで劣化してしまうため、ガスバリア性が低下すると考えられる。
また、図4に示す第二のプロセスに従って前記大気ガスに代えて窒素ガス(N2)又は酸素ガス(O2)を用いて、改質放電時間を変化させた各PP製基材にアモルファスカーボン膜を成膜した場合のガスバリア性を評価した。
前記窒素ガス(N2)による改質放電時間を変化させた後、アモルファスカーボン膜を成膜した各PP製基材の改質放電時間とガスバリア性の変化について検討した試験結果について図13を用いて説明する。
図13は、改質放電時間とガスバリア性との関係を示す図である。
図13に示すように、窒素ガス(N2)を用いた改質放電時間が例えば0.3秒ではガスバリア性(BIF)が約2.8倍程度であったが、改質放電時間が例えば1秒で既にガスバリア性(BIF)が4倍程度であったことが確認された。
また、大気ガスを用いて改質層を形成した場合と同様、約20秒までは改質層を形成するガスバリア性(BIF)が4倍以上であったことが確認された。
よって、基材表面に改質層を施す場合には、前記PP製基材表面の元素組成に、成膜容器内に残留していた容器内のガスの成分が加わり、例えば、容器内を窒素で置換する場合には、容器内が窒素ガス雰囲気となり、該窒素が改質層を形成すると考えられる。
また、前記酸素ガス(O2)による改質放電時間を変化させた後、アモルファスカーボン膜を成膜した各基板の改質放電時間とガスバリア性の変化について検討した試験結果について図14を用いて説明する。
図14は、改質放電時間とガスバリア性との関係を示す図である。
図14に示すように、酸素ガス(O2)による改質放電時間が例えば0.3秒では改質層を形成するガスバリア性(BIF)が約2倍程度であったが、改質放電時間が例えば1秒ではすでに改質層を形成するガスバリア性(BIF)が4倍程度であったことが確認された。
また、大気ガスを用いて改質層を形成した場合と同様の挙動を示したが、改質放電時間が例えば20秒では改質層を形成するガスバリア性(BIF)が3.0程度であったことが確認された。
よって、基材表面に改質層を施す場合には、前記PP製基材表面の元素組成に、容器内に残留していたガスの成分が加わるため、例えば、容器内を酸素で置換する場合には、容器内が酸素ガス雰囲気となり、該酸素が改質層を形成すると考えられる。
また、図4に示す第二のプロセスに従ってPE製ガソリンタンクの内面に改質層を形成した後、炭素膜を成膜したポリエチレン(PE)製ガソリンタンクのガスバリア性について評価した。
前記大気ガスに異なる改質放電時間で改質層を形成させた後、炭素膜を成膜した各基板の改質放電時間とガスバリア性の変化について検討した試験結果について図15を用いて説明する。
図15は、改質放電時間とガソリン透過量との関係を示す図である。
図15に示すように、改質放電時間を0秒とし、改質層を設けない場合には、20日後のガソリン透過量が約10g程度であったことは確認された。
また、改質放電時間を例えば10秒程度として改質層を設けた時の20日後のガソリン透過量が、約2g程度であったことは確認された。また、改質放電時間が長くなるに従って、20日後のガソリン透過量が増加していく傾向あったことが確認された。大気ガスを用いての改質放電時間が10〜30秒の範囲までは、改質層を設けた時のPE製ガソリンタンクの20日後のガソリン透過量が約4g以下であったことが確認された。
よって、PE製ガソリンタンクの内面に予め改質層を形成した後、アモルファスカーボン膜を成膜することによりPE製ガソリンタンクのガスバリア性が増加し、ガソリンの減量を抑えられると考えられる。
このように、本実施の形態に係るバリア膜被覆基材によれば、前記官能基を持たないオレフィン製基材に大気プラズマを照射し、前記官能基を持たないオレフィン製基材表面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、前記改質層の上にバリア膜を成膜する成膜工程とからなるバリア膜の成膜方法を用いてバリア膜被覆基材を製造することにより、前記官能基を持たないオレフィン製基材表面に官能基が増え、前記改質層と前記バリア膜との二層構造とすることができるため、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)製等の基材にもより簡単に高いガスバリア性・密着性を得ることができる。
以上のように、本発明に係るバリア膜被覆基材及びバリア膜の成膜方法は、ポリプロピレン(PP)などの官能基を持たないオレフィン類製容器に内面にバリア膜が簡単に形成されるため、ガスバリア性・密着性の良好な容器の製造に用いて適している。
本発明による実施の形態に係るバリア膜被覆基材のバリア膜作成工程を示す概念図である。 PP製プラスチック容器内面にバリア膜を被覆するためのバリア膜形成装置の構成を示す概略図である。 第一のプロセスを示すフローチャートである。 第二のプロセスを示すフローチャートである。 ロータリー装置の回転盤(図示せず)上にチャンバが複数設けられている模式図である。 ロータリー装置の他の構成を示す模式図である。 改質放電時間とガスバリア性との関係を示す図である。 改質前と改質後の基材表面の窒素(N2)濃度とガスバリア性との関係を示す図である。 改質前と改質後の基材表面の酸素(O2)濃度とガスバリア性との関係を示す図である。 改質前の基材表面の電子顕微鏡による基材表面の図である。 10秒改質した後の基材表面の電子顕微鏡による基材表面の図である。 30秒改質した後の基材表面の電子顕微鏡による基材表面の図である。 改質放電時間とガスバリア性との関係を示す図である。 改質放電時間とガスバリア性との関係を示す図である。 改質放電時間とガソリン透過量との関係を示す図である。 従来技術に係るアモルファスカーボン膜被覆基材の構成図である。
符号の説明
10 バリア膜形成装置
11 口部
12 PP製プラスチック容器
13 外部電極
13−1 外部上部電極
13−2 外部下部電極
14 排気通路
16 ガス通路
17 内部電極
18 高周波電源
19 媒体ガス
20 ガス吹出し孔
22 アースシールド
22−1 アースシールド上部
22−2 アースシールド下部
24 絶縁板
26 絶縁部材
34 ケーブル
35 給電端子
36 整合器
41 導電コネクタ
42 Oリング
100 バリア膜被覆基材
101 反応性の官能基を持たない炭化水素製基材
102 バリア膜
103 改質層
200A、200B、200C ロータリー装置
201 容器供給部
202 チャンバ開閉部
203 真空排気部
204 改質部
205 成膜部
206 容器排出部
210 ストック部

Claims (20)

  1. 反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材の表面に、放電プラズマによりバリア膜を成膜してなるバリア膜被覆基材であって、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含むガスを媒質としたプラズマを照射し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、前記改質層の上にバリア膜を成膜する成膜工程とから、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材と前記バリア膜との間に前記改質層を形成してなり、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に反応性の官能基を増加させ、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材と前記バリア膜との密着性を向上し、ガスバリア性を向上させてなることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  2. 請求項1において、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)の何れか一つであることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  3. 請求項1又は2において、
    前記改質層に含まれる窒素濃度が、4〜9%であることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  4. 請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
    前記改質層に含まれる酸素濃度が、2〜15%であることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  5. 請求項1乃至4の何れか一つにおいて、
    前記ガスバリア性が、4倍以上であることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  6. 請求項1乃至5の何れか一つにおいて、
    前記改質層の膜厚が、1〜30nmであることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  7. 請求項1乃至6の何れか一つにおいて、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材が、フィルム、シート、又は容器の何れか一つであることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  8. 請求項1乃至7の何れか一つにおいて、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に生成されるバリア膜が、炭素を成分として含有するアモルファスカーボン膜であることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  9. 請求項1乃至8の何れか一つにおいて、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に生成されるバリア膜が、シリカを成分として含有するシリカ膜であることを特徴とするバリア膜被覆基材。
  10. 反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材の表面に放電プラズマによりバリア膜を成膜してなるバリア膜の成膜方法であって、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含むガスを媒質としたプラズマを照射し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、前記改質層の上にバリア膜を成膜する成膜工程とから、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材と前記バリア膜との間に前記改質層を形成してなり、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に反応性の官能基を増加させ、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材と前記バリア膜との密着性が向上し、ガスバリア性を向上させてなることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
  11. 請求項10において、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材が、フィルム、シート、又は容器の何れか一つであることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
  12. 放電プラズマを発生させ、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の表面にバリア膜を形成するバリア膜被覆容器を製造するにあたり、
    (a)チャンバを開放し、該チャンバ内に設けられた外部電極内に被処理物である前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器を装填した後、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気通路からガス吹出し部を前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の内部に挿入し、前記チャンバを閉じる容器装填工程と、
    (b)前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内外のガスを排気手段により前記排気通路を通して排気し、真空排気を行ない、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内を含む排気通路内及び前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内を所定のガス圧力に設定する真空排気工程と、
    (c)前記外部電極内の真空排気を行なっている状態において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含む改質ガスを導入する改質ガス導入工程と、
    (d)前記改質ガスを導入後、電界付与手段により前記外部電極と接地電極との間に電界を付与し、それらの間に位置する前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記改質ガスを解離し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、
    (e)前記改質層の形成後、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内にバリア膜生成用の媒体ガスを前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内に導入する媒体ガス導入工程と、
    (f)前記媒体ガスを導入後、電界付与手段により前記装置内に電界を付与し、プラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒体ガスを解離し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内面に、前記バリア膜を成膜する成膜開始工程と、
    (g)前記バリア膜の成膜後、高周波電力を停止すると共に、前記媒体ガスの供給を停止し、前記バリア膜の成膜を終了する成膜停止工程と、
    (h)成膜を終了し、前記媒体ガスの導入停止後、大気中の空気を前記排気通路内に供給し、大気開放する大気開放工程と、
    を含むことを特徴とするバリア膜を成膜してなるバリア膜の成膜方法。
  13. 放電プラズマを発生させ、反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器表面にバリア膜を形成するバリア膜被覆容器を製造するにあたり、
    (a)チャンバを開放し、該チャンバ内に設けられた外部電極内に被処理物である前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器を装填した後、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた排気通路からガス吹出し部を前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器の内部に挿入し、前記チャンバを閉じる容器装填工程と、
    (b)前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内外のガスを排気手段により前記排気通路を通して排気し、真空排気を行ない、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内を含む排気通路内及び前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内を所定のガス圧力に設定する真空排気工程と、
    (c)前記装置内の真空排気を行なっている状態において、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内に酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含む改質ガスを導入する改質ガス導入工程と、
    (d)前記改質ガスを導入後、電界付与手段により前記外部電極と接地電極との間に電界を付与し、それらの間に位置する前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記改質ガスを解離し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内面に、酸素、窒素のいずれか一方又は両方を含有する改質層を形成する改質工程と、
    (e)前記改質層の形成を終了し、前記媒体ガスの導入停止後、大気中の空気を前記排気通路内に供給し、大気開放する第一の大気開放工程と、
    (f)前記改質層の形成後、前記装置内にバリア膜生成用の媒体ガスを前記装置内に導入する媒体ガス導入工程と、
    (g)前記媒体ガスを導入後、電界付与手段により前記装置内に電界を付与し、プラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒体ガスを解離し、前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる容器内面に、前記バリア膜を成膜する成膜開始工程と、
    (h)前記バリア膜の成膜後、高周波電力を停止すると共に、前記媒体ガスの供給を停止し、前記バリア膜の成膜を終了する成膜停止工程と、
    (i)成膜を終了し、前記媒体ガスの導入停止後、大気中の空気を前記排気通路内に供給し、大気開放する第二の大気開放工程と、
    を含むことを特徴とするバリア膜を成膜してなるバリア膜の成膜方法。
  14. 請求項10乃至13の何れか一つにおいて、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)の何れか一つであることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
  15. 請求項10乃至14の何れか一つにおいて、
    前記改質層に含まれる窒素濃度が、4〜9%であることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
  16. 請求項10乃至15の何れか一つにおいて、
    前記改質層に含まれる酸素濃度が、2〜15%であることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
  17. 請求項10乃至16の何れか一つにおいて、
    前記ガスバリア性が、4倍以上であることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
  18. 請求項10乃至17の何れか一つにおいて、
    前記改質層の膜厚が、1〜30nmであることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
  19. 請求項10乃至18の何れか一つにおいて、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に生成されるバリア膜が、炭素を成分として含有するアモルファスカーボン膜であることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
  20. 請求項10乃至19の何れか一つにおいて、
    前記反応性の官能基を持たない炭化水素系樹脂からなる基材表面に生成されるバリア膜が、シリカを成分として含有するシリカ膜であることを特徴とするバリア膜の成膜方法。
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