JP2004168359A - Dlc膜コーティングプラスチック容器の製造方法 - Google Patents

Dlc膜コーティングプラスチック容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明はホット充填を行ってもガスバリア性が劣化しない2層構造のDLC膜をコーティングしたプラスチック容器を簡易に且つ短時間に製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る製造方法は、プラスチック容器内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら容器内部に原料ガスをガス流量制御手段にて一定流量供給開始し、容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して原料ガスをプラズマ化させて容器内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、原料ガスをプラズマ化させたままの状態で設定成膜圧力を保持しながら第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、ビール、発泡酒等の発酵型炭酸飲料又は果汁飲料等に代表される飲料を充填するためのガスバリア性プラスチック容器及びその製造法に関する。特にガスバリア性は、プラスチック容器の内表面にコーティングしたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜により実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲料用容器は、飲料の種類に応じてその充填及び殺菌方法が大きく異なる。例えば、炭酸飲料は、炭酸ガスを逃がさないように低温で充填され、容器毎の殺菌は行われない。また果実飲料、お茶、コーヒー、スープ等はホット充填、すなわち85〜90℃で充填される。このうち、お茶、コーヒー、スープは60℃程度に加温されて販売される場合も多い。
【0003】
プラスチック容器、特にPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)ボトルは、清涼飲料、炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、高果汁飲料、お茶、コーヒー等の飲料容器として実用化されていることは周知のとおりであり、上記の何れかの充填方法により中身が充填されている。
【0004】
ところでPETボトルは、中身の酸化のし易さから全ての飲料に対して充分な酸素ガスバリア性を持ち合わせているとはいえない。そこでDLC膜をプラスチック容器の内面にコーティングして特に炭酸飲料や高果汁飲料容器としてガスバリア性を付与し、香気成分の収着を防止すべく、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)法を用いた蒸着装置とDLC膜コーティングプラスチック容器が開示されている(例えば特許文献1、2を参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−53117号公報
【特許文献2】
特開平8−53116号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ホット充填ではプラスチック容器がPETボトルであれば、樹脂のガラス転移点よりも高温にて中身が充填される。PETボトルはブロー成形により成形されるが、PETのガラス転移点(63〜78℃)よりも高温にさらされると若干収縮する。
【0007】
特許文献1、2に開示されたDLC膜コーティングプラスチック容器において、DLC膜とプラスチックの弾性係数及び熱膨張係数は当然異なり、さらにガラス転移点以上のPETボトルで生ずる収縮はDLC膜では生じない。
【0008】
本発明者らが容器への充填を検討した際に、上記充填方法のうち、特にプラスチック容器に対してDLC膜の伸縮追随性が要求されるホット充填のケース(加熱によりプラスチックが収縮してしまう充填法)について、DLC膜にマイクロクラックが生ずることがわかった。
【0009】
そこで、本発明者らは上記ケースを含むあらゆる充填方法を行っても、DLC膜のマイクロクラックを発生させず、併せてプラスチック容器にガスバリア性を付与できるかを鋭意検討した結果、DLC膜を水素原子高含有組成の第1層とその上に形成した第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とから構成することで、第1層にプラスチックの収縮に追随し得る機能を持たせ且つ第2層にガスバリア性の機能を持たせ、さらに第1層を第2層に対して傾斜組成とすることで第1層と第2層との境界における応力集中、マイクロクラックを防止したDLC膜コーティングプラスチック容器が上記のいずれの充填方法、特にホット充填に対応可能なプラスチック容器となることを見出した。すなわち、この容器において水素原子高含有組成の第1層は、プラスチック素材との密着性が高く、また比較的柔軟でプラスチックの収縮に追随し、第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層は、比較的硬質で13nm以上の膜厚があればガスバリア性を発揮する。第1層は第2層に対して傾斜組成とするとマイクロクラックも生じない。
【0010】
一方、本技術を市場ニーズに合致した実用的なものとするためには、ブロー成形機などのプラスチック容器製造ライン等の他装置と同オーダーの量産速度(数百本/分程度)を低コストで信頼性高く実現する必要がある。このためには1本の総プロセス時間を数秒以内に抑える必要があり、前記第1層の成膜時間は1秒〜数秒程度以下、出来るだけ短くする必要がある。
【0011】
そこで本発明の目的は、特にホット充填に対応可能な上記2層構造のDLC膜をコーティングしたプラスチック容器を簡易でできるだけ短時間に製造する方法を提供することである。すなわち、実際の成膜圧力の高低によって膜中の水素原子含有率が制御でき、成膜圧力が高ければDLC膜は水素原子高含有組成となり、成膜圧力が低ければDLC膜は水素原子低含有組成となる。また、設定到達圧力下でプラスチック容器の内部に原料ガスを供給開始する際、バリア膜の膜質を良くするためのガス置換促進のために初期の原料ガス流量を意図的に多くすることを行なうが、この初期ガスの供給により容器の内圧が高くなり、そして排気と原料ガス供給量のバランスにより設定成膜圧力まで再度減圧されるという容器内圧プロファイルが生じる。これらを利用して、成膜圧力が高いときに第1層を形成して設定成膜圧力となったところで、第2層を引き続き形成することで、2層構造のDLC膜コーティングプラスチック容器を容易に製造する方法を提供することを目的とする。すなわち、「ガス置換」と「傾斜膜成膜」の両方を同時に行なうことにより、ガス置換にかかる時間に傾斜膜の成膜も並行して行ない、時間短縮することができる。このガス置換は流量調節器と原料供給バルブの配置関係と動作の工夫により、たとえば1秒以下のきわめて短時間に行なうことができる。このとき、容器内圧プロファイルのうち、内圧が上昇中のタイミング、内圧が最も高いところでのタイミング又は内圧が再度減圧するタイミングがあるため、この3つのタイミングを利用した2層構造のDLC膜コーティングプラスチック容器を短時間に容易に低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
【0012】
さらに本発明の目的は、少なくとも原料ガス発生源、ガス流量制御手段、供給オン−オフを可能とする原料供給バルブの順に配列したガス系統により原料ガスの供給を行ない、原料ガスの供給開始時の初期ガスの供給とともに上昇させるプラスチック容器の内圧の上昇量を、ガス流量制御手段から原料供給バルブ間に滞留する原料ガス量又はガス流量制御手段の背圧の少なくともいずれか一方によって制御することで、前記容器内圧プロファイルを最適なものとし、不純物の混入が少ないDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法を提供することである。
【0013】
さらに本発明の目的は、原料ガス置換を充分に行ない、原料置換後、供給する原料ガスを初期は多めに供給しその後供給量を減らすように供給する原料ガス量を制御して所望の容器内圧プロファイルを実現することで、前記容器内圧プロファイルを最適なものとし、不純物の混入がほとんどなく再現性に優れたDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法を提供することである。
【0014】
プラズマエネルギー源としては高周波出力又はマイクロ波出力を挙げることができるが、本発明の目的はプラズマエネルギーとして高周波を選択し、容器壁面に自己バイアス電圧を生じさせることで、ガスバリア性を有する緻密なDLC膜を形成することを目的とする。
【0015】
なおガスバリア性の機能とは未コーティング容器と比較して概ね5倍以上のガスバリア性の確保を目指すこととする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段は次のとおりである。すなわち、本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法は、プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら前記プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスをガス流量制御手段にて一定流量供給開始し、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることが好ましい。
【0018】
また本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間でほぼ最高内圧となったときに一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることが好ましい。
【0019】
また本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることが好ましい。
【0020】
さらに本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記原料ガスの前記プラスチック容器の内部までの供給は、原料ガス発生源から発生させた前記原料ガスをガス流量制御手段により流量制御し、さらに前記ガス流量制御手段により流量制御された原料ガスを原料供給バルブで供給オン−オフを可能としたガス系統により行ない、且つ前記ガス流量制御手段から前記原料供給バルブ間に滞留する原料ガス量又は前記ガス流量制御手段の背圧の少なくともいずれか一方によって供給開始初期の原料ガス流入量を調節して、前記原料ガスの供給開始とともに上昇させる前記プラスチック容器の内圧の上昇量を制御することが好ましい。
【0021】
ここで本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、プラスチック容器の内圧の前記上昇量の制御は、前記原料ガスの供給開始による上昇量をもって行ない、排気量の調節を用いないことが好ましい。
【0022】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法は、プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら前記プラスチック容器の内部に所定流量の炭素源ガスを含む原料ガスを供給して前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させるとともに前記プラスチック容器の内部をガス置換するガス置換工程、前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも少量のガス流量に設定した後、排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とする。
【0023】
また本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法は、プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、前記プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスを設定成膜圧力で一定流量流している状態に安定化させて前記プラスチック容器の内部を前記原料ガスでガス置換するガス置換工程、前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも多量のガス流量に設定して前記プラスチック容器の内圧を前記設定成膜圧力よりも上昇させて所定時間経過後に前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量に再度設定して内圧上昇を停止させてさらに前記設定成膜圧力まで再び減圧させ、且つ前記内圧上昇が停止したときに一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させ、水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とする。
【0024】
さらに本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法では、前記プラスチック容器の内部に口部から内部電極を挿入し、前記プラスチック容器の外側に外部電極を配置した後、前記外部電極に高周波電力を供給して前記原料ガスをプラズマ化することが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態及び実施例を挙げて詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。
【0026】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造する方法を説明するに際して、この製造方法を使用することが可能な製造装置の一態様について先ずに説明する。本発明の製造方法は原料ガスをプラズマ化させるプラズマCVD法を用いるため、そのエネルギー源として高周波又はマイクロ波を用いることができる。
【0027】
高周波プラズマCVD法による装置の一形態を図1に示し、それに基づいて説明する。高周波プラズマCVD成膜装置100は、外部電極3と、内部電極9と、原料ガス供給手段26と、マッチングユニット10と、高周波電源11とを具備する。
【0028】
外部電極3は、導電性の蓋部5及び絶縁部材4とともにチャンバー6を構成する。蓋部5の下には絶縁部材4が配置されており、この絶縁部材4の下には外部電極3が配置されている。この外部電極3は、上部外部電極2と下部外部電極1からなり、上部外部電極2の下部に下部外部電極1の上部がOリング8を介して着脱自在に取りつけられるよう構成されている。また、外部電極3は絶縁部材4によって蓋部5と絶縁されている。
【0029】
CVD成膜装置100はプラスチック容器1本用成膜装置について説明しているが、複数のプラスチック容器の内面に同時にDLC膜を成膜する場合についてもチャンバー6及び内部電極9等を並列に配置することで適用することができる。
【0030】
なお、本実施形態では外部電極3を下部外部電極1と上部外部電極2の2つに分割しているが、DLC膜の膜厚等の均一化を図るため、外部電極を例えば底部電極、胴部電極及び肩部電極のように3つ、あるいはそれ以上に分割し、各電極は例えばOリング等を挟んでシール性を確保しつつ、フッ化樹脂シートやポリイミドフィルムで電気的に絶縁しても良い。
【0031】
外部電極3の内部には空間が形成されており、この空間はコーティング対象のプラスチック容器、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器であるPETボトル7を収容するためのものである。外部電極3内の空間は、そこに収容されるPETボトル7の外形よりも僅かに大きくなるように形成されている。絶縁部材4及び蓋部5には、外部電極内の空間につながる開口部が設けられている。また、蓋部5の内部には空間が設けられており、この空間は上記開口部を介して外部電極3内の空間につながっている。外部電極3内の空間は、上部外部電極2と下部外部電極1の間に配置されたOリング8によって外部から密閉されている。
【0032】
インピーダンス整合器(マッチングユニット)10は、下部外部電極1に接続されている。さらに、マッチングユニット10は同軸ケーブルを介して高周波電源( RF電源)11に接続されている。
【0033】
高周波電源は、プラスチック容器内で原料ガスをプラズマ化するためのエネルギーである高周波を発生させるものである。高周波電源の周波数は、100kHz〜1000MHzであるが、例えば、工業用周波数である13.56MHzのものを使用する。
【0034】
内部電極9は、外部電極3内に配置され、かつPETボトル7の内部に配置される。すなわち、蓋部5の上部から蓋部5内の空間、蓋部5と絶縁部材4の開口部を通して、外部電極3内の空間に内部電極9が差し込まれている。一方、内部電極9の先端9aは外部電極3内の空間であって外部電極3内に収容されたPETボトル7の内部に配置される。内部電極9は、その内部が中空からなる管形状を有している。内部電極9の先端にはガス吹き出し口9aが設けられている。なお、内部電極9は蓋部5を介してグランドに接地されている。
【0035】
原料ガス供給手段26は、PETボトル7の内部に原料ガス発生源25から供給される原料ガスを導入する。すなわち、内部電極9の基端には、配管20の一方側が接続されており、この配管20の他方側は原料供給バルブ21に接続され、原料供給バルブ21の他方側には配管22の一方側が接続され、配管22の他方側にはマスフローコントローラー23の一方側が接続されている。マスフローコントローラー23の他方側は配管24を介して原料ガス発生源25に接続されている。原料ガス発生源25は原料ガスを発生させるものである。
【0036】
原料ガスを構成する炭素源ガスとしては、常温で気体又は液体の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類などが使用される。例えば(1)メタン系として、メタンCH、エタンC、プロパンC、ブタンC10、(2)エチレン系としてエチレンC、プロピレンC、ブチレンC(3つの異性体)、(3)アセチレン系としてアセチレンC、メチルアセチレンC、エチルアセチレン(C)、(4)その他としてノルマルヘキサンC14、シクロヘキサンC12、(5)芳香族としてベンゼンC、トルエンCCH、キシレンC(CHが例示できる。特に炭素数が6以上のベンゼン,トルエン,o−キシレン,m−キシレン,p−キシレン,シクロヘキサン等が望ましい。ただし食品等の容器に使用する場合には、衛生上の観点から脂肪族炭化水素類、特にメタン系炭化水素、エチレン系炭化水素、アセチレン系炭化水素が好ましい。これらの炭素源ガスは、原料ガスとして単独で用いても良いが、2種以上の混合ガスとして使用するようにしても良い。さらにこれらのガスをアルゴンやヘリウムの様な希ガスで希釈して用いる様にしても良い。また、ケイ素含有DLC膜を成膜する場合には、Si含有炭化水素系ガスを使用する。
【0037】
本発明でいうDLC膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H) と呼ばれる膜のことであり、硬質炭素膜、ポリマーライクカーボンも含む水素含有率が0〜67%の炭素膜をいう。またDLC膜はアモルファス状の炭素膜であり、SP結合も有する。このDLC膜を成膜する原料ガスとしては炭化水素系ガス、例えばアセチレンガスを用い、Si含有DLC膜を成膜する原料ガスとしてはSi含有炭化水素系ガスを用いる。このようなDLC膜をプラスチック容器の内表面に形成することにより、炭酸飲料や発泡飲料等の容器としてワンウェイ若しくはリターナブルに使用可能な容器を得る。
【0038】
蓋部5内の空間は真空計13が設置された配管12の一方側に接続されており、配管12の他方側は真空バルブ14の一方側が接続され、真空バルブ14の他方側には配管15の一方側が接続され、配管15の他方側には真空ポンプ16に接続されている。この真空ポンプ16はダクト排気17に接続されている。
【0039】
本発明のプラスチック容器を成形する際に使用する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂(ポリエステルのアルコール成分にエチレングリコールの代わりに、シクロヘキサンディメタノールを使用したコポリマーをPETGと呼んでいる、イーストマン製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。
【0040】
次に、図1に示す高周波プラズマCVD成膜装置100を用いて容器の内部にDLC膜を成膜する方法について説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
(PETボトルの設置)
まず、真空バルブ(不図示)を開いてチャンバー6内を大気開放する。これにより、空気が蓋部5内の空間、外部電極3内の空間に入り、チャンバー6内が大気圧にされる。次に、外部電極3の下部外部電極1を上部外部電極2から取り外し、上部外部電極2の下側から上部外部電極2内の空間にPETボトル7を差込み、設置する。この際、内部電極9はPETボトル7内に挿入された状態になる。次に、下部外部電極1を上部外部電極2の下部に装着し、外部電極3はOリング8によって密閉される。
【0042】
(真空排気工程)
この後、真空バルブ(不図示)を閉じた後、真空バルブ14を開き、真空ポンプ16を作動させる。これにより、PETボトル7内を含むチャンバー6内が配管12を通して排気され、チャンバー6内が真空となる。このときのチャンバー6内の真空圧力は10 〜10 Torr(1.33〜13.3Pa)であり、この真空圧力を設定到達圧力とする。この段階まで原料供給バルブ21は閉としている。
【0043】
(第1層成膜工程)
次に排気を継続しながら原料供給バルブ21を開き、原料ガス発生源25において原料ガス、例えばアセチレンを発生させ、この原料ガスを配管20内に導入する。マスフローコントローラー23によって流量制御された原料ガスを配管20及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。原料ガス供給量は例えば50sccmとする。これにより原料ガスがPETボトル7内に導入される。このとき、原料ガスの供給開始とともに、PETボトル7の内圧を設定成膜圧力、例えば0.05〜0.5Torr(6.65〜66.5Pa)以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる。この圧力上昇はガス制御手段23と原料供給バルブ13間に滞留する原料ガスがガス供給開始初期に流入することにより生ずる。この間は凡そ0.1〜0.3秒である。そして設定成膜圧力以上に上昇させさらに設定成膜圧力まで再び減圧する間のいずれかのときに、外部電極3にマッチングユニット10を介して高周波電源(RF電源)11からRF出力(例えば13.56MHz)を供給する。高周波の供給電力を例えば300〜500Wの一定出力とする。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火させる。このとき、マッチングユニット10は、外部電極と内部電極間の放電インピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって第2層成膜時にもっとも反射電力が少なくなるように合わせている。これによって、PETボトル7内で原料ガス系プラズマが発生するが、初期の放電インピーダンスは、第2層成膜時のそれと大きく異なるため、不整合が生じて反射電力が多くなり、プラズマへの有効入力電力は小さくなる。その後インピーダンスが第2層成膜時に近づくため反射電力が減り、有効入力電力は次第に出力値に近づいていく。前記の圧力が上昇し減圧することによる効果と、この有効入力電力が小電力から大きくなる効果により、PETボトル7プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成の第1層としてのDLC膜が成膜される。このときの成膜時間は0.1〜1秒程度、長くても数秒程度と短いものとなる。第1層の膜厚は例えば2〜6nmとする。この第1層はホット充填の際の容器収縮に対するDLC膜の追随性を持たせ、密着性を向上させるため、水素原子高含有組成とする。これは、圧力が高いことと、電力が小さいため、膜に入射するイオンのエネルギーが低いことを利用している。
【0044】
第1層成膜工程において、高周波出力の開始のタイミングは大きく分類して3種類ある。先ず第1のタイミングとして、PETボトル7の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させる間に高周波出力の開始を行なう方法である。内圧が上昇し次に再び設定成膜圧力まで戻る間に、第1層の水素原子含有率は次のように変わる。すなわち、プラスチック表面を起点として膜の厚さ方向に向かうにつれて、水素原子低含有組成、水素原子高含有組成、水素原子低含有組成と変化する。第1層には水素原子低含有組成が含まれるが第2層と比較すると相対的に水素原子高含有組成であり、第1層は柔軟な膜で且つ組成も傾斜組成となっているためプラスチック容器との密着性に優れる。また、第2層の水素原子低含有組成部分がガスバリア性を発揮することに加えて、第1層の水素原子低含有組成部分も少なからずガスバリア性を発揮するため、3つのタイミングのうち第1層の成膜時間が最も長く、膜厚が厚くなる本方法はガスバリア性が最も高い。
【0045】
第2のタイミングとして、PETボトル7の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる間でほぼ最高内圧となったときに高周波出力の開始を行なう方法である。この方法では第1層の水素原子含有率は次のように変わる。すなわち、プラスチック表面を起点として膜の厚さ方向に向かうにつれて、水素原子高含有組成、水素原子低含有組成と変化する。第2層の組成まで考慮しても、DLC膜全体でプラスチック表面を起点として膜の厚さ方向に向かうにつれて、なめらかに水素原子高含有組成、水素原子低含有組成と変化する。このため、第1層は第1のタイミングの場合と比較して基板直上に水素原子低含有組成がないことからさらに柔軟な膜で且つ組成も傾斜組成となっているため3つのタイミングの方法のうちプラスチック容器との密着性に最も優れる。
【0046】
第3のタイミングとして、PETボトル7の内圧を排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる間に高周波出力の開始を行なう方法である。この方法では第1層の水素原子含有率は次のように変わる。すなわち、プラスチック表面を起点として膜の厚さ方向に向かうにつれて、水素原子高含有組成、水素原子低含有組成と変化する。組成の変化の様子は第2のタイミングの場合と類似するが、第2のタイミングの場合と比較してプラスチック容器の内表面直上の水素原子含有率がわずかに低い。第2のタイミングに次いで密着性が良好である。放電時間を短縮できるという特徴をもつ。
【0047】
原料ガスのPETボトル7の内部までの供給は、原料ガス発生源25から発生させた原料ガスをマスフローコントローラー23(ガス流量制御手段)により流量制御し、さらにマスフローコントローラー23により流量制御された原料ガスを原料供給バルブ21で供給オン−オフを可能としたガス系統により行ない、マスフローコントローラー23から原料供給バルブ21間に滞留する原料ガス量又はマスフローコントローラー23の背圧の少なくともいずれか一方によって供給開始初期の原料ガス流入量、すなわち供給開始とともに上昇させるPETボトル7の内圧の上昇量を制御することが好ましい。例えば、マスフローコントローラー23から原料供給バルブ21間の配管の長さを大きく採るか或いはこれらの間に例えば0.5〜200cc容量の原料ガスの保管空間を設けることで、PETボトル7の内圧の上昇量を大きくすることができる。PETボトル7の内圧の上昇量を大きくすると水素原子含有率がより高くなり、ガスバリア性の機能は乏しいがより柔軟性がある第1層を形成することができる。一方、マスフローコントローラー23から原料供給バルブ21間の配管の長さを短くし、原料ガスの保管空間を設けなければ、PETボトル7の内圧の上昇量を小さくすることができる。PETボトル7の内圧の上昇量を小さくすると水素原子含有率が低くなり(ただし、第2層の水素原子含有率よりは高い)、ガスバリア性の機能が多少あり柔軟性がやや乏しい第1層を形成することができる。またマスフローコントローラー23の背圧を高く設定すると上昇量を大きくでき、低く設定すると上昇量を小さく制御できる。初期流入ガスの制御は、たとえば以下のように行なう。マスフローコントローラー23と原料供給バルブ21の間の配管22に、成膜前のアイドリング時間にあらかじめマスフローコントローラー23を通して一定量の原料ガスを供給する設定としておくことにより、配管22内の圧力をマスフローコントローラー23の背圧と同じ圧力になるようにガスを滞留させておく。同じ圧力になると、マスフローコントローラー23はいかなる供給量に設定してあってもそれ以上ガスを流すことはできなくなり、配管22内が安定に保たれた状態になる。この状態で、いったんマスフローコントローラー23に強制バルブ閉の信号を送り、マスフローコントローラー23内の可変流量バルブ(図示せず)を全閉の状態にする。次に排気を継続しながら原料供給バルブ21を開き、同時にマスフローコントローラー23の強制バルブ閉の信号を解除し、流量を成膜設定流量とする制御を開始する。このようにすると、まず配管22に滞留したガスが配管20を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。これが、初期にPETボトル7内に流入するガスである。そして引き続き徐々にマスフローコントローラー23の流量が増加し、高速応答のマスフローコントローラーであれば、1秒以内、たとえば0.2秒程度で設定成膜流量に制御される。
【0048】
なお、原料ガス供給の初期には、第2層バリヤ膜の膜質を良くするために必要なガス置換促進を行なうことが好ましいため、意図的に供給開始初期の原料ガス流入量を多くすることが好ましい。ちなみにガス置換が必要なガスは大気(酸素と窒素)とPETボトル7内面に吸着している水分である。
【0049】
本実施例では真空ポンプ16は一定排気速度で運転しており、真空バルブ14の開度も原料ガスを供給している間変化させないので、排気速度は一定である。一方、ガス置換促進のための供給開始初期の原料ガス流入量を第2層の設定成膜流量より多く設定することにより、PETボトル7の内圧は、設定成膜圧力、たとえば0.05〜0.5Torr(6.65〜66.5Pa)以上に上昇させ、たとえば0.2〜1.0Torr(26.6〜133Pa)程度とし、置換終了後、排気の継続とマスフローコントローラー23で制御された設定成膜流量、たとえば50sccmとが均衡する事により第2層の設定成膜圧力まで再び減圧し安定化させることができる。この動作はマスフローコントローラー23と原料ガス供給バルブ21を用いた簡単な構成で、その配置と運転条件を制御することにより非常に短い時間に行なうことができ、たとえば凡そ0.1〜0.5秒である。すなわちプラスチック容器の内圧の上昇量の制御は、原料ガスの供給開始による上昇量をもって行ない、排気量の調節を用いないことが好ましい。もし同様の圧力上昇動作を真空ポンプ16の排気速度の変更、あるいは真空バルブ14の開度調整で行なうとすると、どちらも高価な装置で難しい高速制御が必要で量産装置への応用には非常に不都合となる。このガス置換のための原料ガス供給時に、同時に、密着性の向上のための第1層の成膜を行なうことにより、第1層の成膜にかかる余分な時間を減らすことができる。もちろん、第1層の成膜に、たとえばガス置換のために必要なガス圧の変化よりも大きな圧力や長い時間が必要な場合には、それに合わせた初期ガス供給量を流せばよく、ガス置換の条件にとらわれる必要はない。
【0050】
(第2層成膜工程)
原料ガスをプラズマ化させたままの状態で設定成膜圧力を保持しながら第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する。第1層は成膜圧力の変化に応じて傾斜組成になっており、第1層成膜工程の終了時の成膜圧力と第2層成膜工程の開始時の成膜圧力は同一であるため、第1層と第2層との境界において組成、膜応力の相違は生じない。第2層の膜厚は応力を考慮して13〜200nmとすることができるが、ガスバリア性と密着性を考慮すると13〜38nmの厚さとすることが特に好ましい。13nm未満の厚さではガスバリア性が充分に上がらず、38nmを超える厚さでは膜の内部応力によりマイクロクラックが生ずる可能性がある。
【0051】
DLC膜の膜厚は例えば0.003〜0.2μmとなるように形成しても良いが、ガスバリア性、生産性、膜中の残留応力、密着性の観点から15〜40nmとすることが好ましい。
【0052】
(成膜終了)
次に、高周波電源11からのRF出力を停止し、原料供給バルブ21を閉じて原料ガスの供給を停止する。この後、PETボトル7内の原料ガスを真空ポンプ16によって排気する。その後、真空バルブ14を閉じ、真空ポンプ16を停止する。このときのチャンバー6内の圧力は10 〜10 Torr(1.33〜13.3Pa)である。この後、真空バルブ(不図示)を開いてチャンバー6内を大気開放し、前述した成膜方法を繰り返すことにより、次のPETボトル内に第1層と第2層からなるDLC膜が成膜される。
【0053】
(第2の実施形態)
PETボトルの設置、真空排気工程及び第2層成膜工程は第1の実施形態と同一である。
【0054】
(ガス置換工程)
次に排気を継続しながら原料供給バルブ21を開き、原料ガス発生源25において原料ガス、例えばアセチレンを発生させ、この原料ガスを配管20内に導入する。マスフローコントローラー23によって流量制御された原料ガスを配管20及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。原料ガス供給量は例えば100sccmとする。これにより原料ガスがPETボトル7内に導入される。そしてPETボトル7内は、所定時間、例えば0.1〜1秒間、原料ガスの供給と残存ガスの排気が同時に行なわれ、原料ガスによりPETボトル7内を充満するように置換される。ガス置換は膜中の不純物を除くために行う。原料ガスの供給によりPETボトル7の内圧は設定成膜圧力、例えば0.05〜0.5Torr(6.65〜66.5Pa)以上に上昇させる。
【0055】
(第1層成膜工程)
ガス置換を行った後、早期に設定成膜圧力に戻すためにガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも少量のガス流量、例えば50sccmとした後、排気の継続に伴い設定成膜圧力まで再び減圧させる間に、外部電極3にマッチングユニット10を介して高周波電源(RF電源)11からRF出力(例えば13.56MHz)を供給する。高周波の供給電力を例えば300〜500Wの一定出力とする。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火させる。このとき、マッチングユニット10は、外部電極と内部電極間の放電インピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって第2層成膜時にもっとも反射電力が少なくなるように合わせている。これによって、PETボトル7内で原料ガス系プラズマが発生し、PETボトル7プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する。このときの成膜時間は0.1〜1秒程度、長くても数秒程度と短いものとなる。第1層の膜厚は例えば2〜6nmとする。この第1層はホット充填の際の容器収縮に対するDLC膜の追随性を持たせ、密着性を向上させるため、水素原子高含有組成とする。第2の実施の形態においては、原料ガスのガス流量を制御することにより意図的に設定成膜圧力よりも高い圧力とし且つガス置換を充分に行なうことで膜中の不純物を少なくすることができる。
【0056】
(第3の実施形態)
PETボトルの設置、真空排気工程及び第2層成膜工程は第1の実施形態と同一である。
【0057】
(ガス置換工程)
排気を継続しながら原料供給バルブ21を開き、原料ガス発生源25において原料ガス、例えばアセチレンを発生させ、この原料ガスを配管20内に導入する。マスフローコントローラー23によって流量制御された原料ガスを配管20及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出し口9aから吹き出す。原料ガス供給量は例えば50sccmとする。これにより原料ガスがPETボトル7内に導入される。そしてPETボトル7内は、所定時間、例えば0.1〜1秒間、原料ガスの供給と残存ガスの排気が同時に行なわれ、原料ガスによりPETボトル7内を充満するように置換される。置換すると同時に容器内をDLC膜の設定成膜圧力、例えば0.05〜0.5Torr(6.65〜66.5Pa)程度に調整する。すなわち、プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスを設定成膜圧力下で一定流量、例えば50sccmを流している状態に安定化させてプラスチック容器の内部を原料ガスでガス置換するガス置換工程が行なわれる。ここでガス置換は膜中の不純物を除くために行う。
【0058】
(第1層成膜工程)
強制的に容器の内圧を圧力上昇させるためにガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも多量のガス流量、例えば100sccmに設定してPETボトル7の内圧を設定成膜圧力よりも上昇させる。さらに所定時間、例えば0.1〜1秒経過後に、設定成膜圧力に戻すためにガス置換工程における原料ガスのガス流量に再度に設定する。これによりプラスチック容器の内圧の上昇が止まり、設定成膜圧力まで再び減圧することとなる。そして、プラスチック容器の内圧の上昇が止まり、最高内圧となったところで、外部電極3にマッチングユニット10を介して高周波電源(RF電源)11からRF出力(例えば13.56MHz)を供給する。高周波の供給電力を例えば300〜500Wの一定出力とする。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火させる。このとき、マッチングユニット10は、外部電極と内部電極間の放電インピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって第2層成膜時にもっとも反射電力が少なくなるように合わせている。これによって、PETボトル7内で原料ガス系プラズマが発生し、PETボトル7プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜が第1層として形成される。このときの成膜時間は0.1〜1秒程度、長くても数秒程度と短いものとなる。第1層の膜厚は例えば2〜6nmとする。この第1層はホット充填の際の容器収縮に対するDLC膜の追随性を持たせ、密着性を向上させるため、水素原子高含有組成とする。実施の形態3については、ガス置換工程を経た後、原料ガスのガス流量を制御することにより再現性が極めて高く、且つガス置換を充分に行なうことで膜中の不純物をほとんどなくすことができる。
【0059】
本発明において、プラズマ放電中の圧力は0.05〜0.50Torr(6.65〜66.5Pa)にすることが好ましい。0.05Torr未満の場合は、放電しにくく、0.60Torrを超えると内部電極の管内で放電が生じてプラズマ放電が不安定となるからである。第1層成膜工程における最大圧力(圧力上昇のトップ圧力)は設定成膜圧力以上1.0 Torr(133Pa)以下にすることが好ましい。1.0 Torr以下とするのはその後に設定成膜圧力に戻す時間が必要以上にかかるからである。第1層成膜中の圧力は第2層成膜圧力よりも高く且つ0.5Torr(66.5Pa)以下とすることが好ましい。第1層成膜工程においてバルブ開後設定成膜圧力以上に内圧を上昇させるときに、放電インピーダンスが第2層成膜時(インピーダンスマッチングは第2層成膜時の放電インピーダンスに対して整合を取っている)と異なるため、反射電力が大きくなり、したがって有効にプラズマに入射する電力が小さくなる。このため膜に入射するイオンエネルギーが低くなり、水素含有量が多く、密着性が高く、柔軟な膜が形成されるためである。プラズマ着火時スイッチオンの圧力は0.2〜0.5 Torr(26.6〜66.5Pa)が好ましい。同様に放電安定領域圧力内で第1層の水素原子含有率を高くして柔軟な膜質とするためである。第2層成膜中の圧力(設定成膜圧力)は0.05〜0.2 Torr(6.65〜26.6Pa)とすることが好ましい。第1層よりも水素原子含有率を少なくして硬質膜を形成してガスバリア性を付与するためである。本発明はホット充填時のボトル収縮に耐え得る追随性及びガスバリア性を有するDLC膜を成膜するために、最適な容器内圧プロファイルとその圧力範囲を見出したものである。したがって、成膜初期に高内圧で成膜し、その後低内圧で成膜するという内圧の圧力差を設けるという制御では、本発明が求めるDLC膜のボトル収縮追随性とガスバリア性を得るためには不充分である。
【0060】
第1、第2、第3の実施の形態において、排気量は一定として容器の内圧をマスフローコントローラーの背圧若しくはマスフローコントローラーと原料供給バルブとの間の配管22の容積若しくは供給する原料ガス流量で所望の容器内圧プロファイルを得るものである。したがって排気量の制御を行なわないため、装置が簡素で且つ内圧の応答性が良い。
【0061】
第1、第2、第3の実施の形態において、本発明では原料ガスをプラズマ化させる手段として高周波電源のみならず、マイクロ波電源を用いても良い。マイクロ波として例えば、2.45GHzを供給する。マイクロ波をプラズマエネルギー供給源とするため、容器内部にマイクロ波を供給すること及び内部電極は不要となること等の用いる装置上の違いはあるが、製法としては高周波電源を用いる場合と共通である。
【0062】
さらに容器外壁近傍に磁石を設置して磁場型プラズマCVD法によりDLC膜を成膜しても良い。
【0063】
また実施形態では、内部に薄膜を成膜する容器として飲料用のPETボトルを用いているが、他の用途に使用される容器を用いることも可能である。
【0064】
本発明では、要求される装置の能力により成膜チャンバー数、高周波電源数等構成部品数を適宜変更しても良い。
【0065】
次に第1層と第2層とから構成されるDLC膜コーティングプラスチック容器について説明する。本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、プラスチック容器の内表面にDLC膜をコーティングしたものである。ここで、DLC膜は、内表面上に形成した水素原子高含有組成の第1層と第1層上に形成した第1層よりも相対的に水素原子低含有組成の第2層とからなる。第2層は少なくとも13nm以上の膜厚とすることが好ましい。DLCの水素原子含有率は、理論的に0〜67原子%をとり得る。67原子%のときはエチレンポリマーに近い。
【0066】
本発明者らの経験によれば水素原子含有率が小さいDLC膜は硬く、内部応力が大きく、ガスバリア性も高い。一方、水素原子含有率が大きいとDLC膜は相対的に柔軟になり、内部応力が小さく、ガスバリア性は低い。本発明において第1層を水素原子高含有組成としたのは柔軟で膜内の内部応力を小さくすることでプラスチックの収縮に追随することを可能として膜の密着性を高める為である。ここで、水素原子高含有組成とは67水素原子%に近いという意味ではなく、第2層の水素原子含有率との比較で相対的に高いということを意味する。一方、第2層の水素原子低含有組成の意味するところは同様に第1層の水素原子含有率との比較で相対的に低いことを意味するが、第2層を水素原子低含有組成とするのはガスバリア性を確保する為であり、第2層の水素原子含有率を42原子%以上48原子%以下とすることが好ましい。したがって第2層の膜厚は前述したとおり、ガスバリア性の確保の観点から13〜38nmとすることが特に好ましい。また第1層の膜厚は密着性と成膜時間短縮の観点から2〜6nmとすることが好ましい。ここでの密着性とは充填後の加熱によるプラスチックの収縮に対してのDLC膜の密着性をいう。
【0067】
第2層に接する第1層の部分を傾斜組成とするのは、第1層と第2層との間の特性の違いを緩和させる為である。本発明では成膜圧力を制御することにより容易に傾斜組成とすることが出来る。
【0068】
中身の充填方法によらず使用できる容器を製造する観点から、第1層と第2層との関係により性質が異なるDLC膜を次のようにとらえて、このDLC膜を成膜するための成膜圧力条件を適宜調整する。すなわち、DLC膜コーティングプラスチック容器を90℃熱水下で10分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下におく。このとき、プラスチックはガラス転移点を超えて加温される為、1〜2%の収縮が発生する。このように加熱によるプラスチックの収縮条件下におかれたDLC膜を条件1のJISK5400の碁盤目テープ法によって剥離が生じないように第1層と第2層との関係を決めることである。このとき特にホット充填向け容器として好ましい。条件1として、切り傷の隙間は1mm、ます目の数は100とする。
【0069】
またDLC膜を次のようにとらえても良い。すなわち、同様の加熱によるプラスチックの収縮条件下におかれたDLC膜を条件2の加重式引掻き法において垂直加重が1.8mN以上の密着強度を有するように第1層と第2層との関係を決めることである。このときも特にホット充填向け容器として好ましい。条件2として、試験機は株式会社島津製作所製島津走査型スクラッチテスタSST−101、引掻き針はダイヤモンドで曲率半径15μm、負荷速度は1μm/s、振幅10μm、送り速度は2μm/s、垂直加重は膜が剥れ始めたときの引掻針にかかる加重とする。容器内側胴部に形成したDLC膜を測定する。
【0070】
本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器は、ホット充填向け容器とする場合には特に第1層の水素原子含有率は50原子%以上60水素原子%以下、第2層の水素原子含有率は42原子%以上48原子%以下、好ましくは42原子%上46原子%以下とすることが好ましい。第1層の水素原子含有率を50原子%以上60水素原子%以下とするのは、プラスチックの収縮により膜に内部応力がかかるため、第1層の形成時には膜中に内部応力を極力残留させない方が良いこと及び膜の柔軟性を与えた方がプラスチックの収縮に追随できるからである。
【0071】
【実施例】
プラスチック容器はPETボトルとした。PETボトルの高さは207mm、肉厚0.3mm、容器容量は500ml、内表面積は400cmとした。加熱処理を行なう場合のボトル形状は図2(a)の容器(耐熱丸型)を用いた。なお、加熱処理を行なう場合において、図2(b)の容器(耐熱角型)のPETボトルも使用することができる。図2(a)の容器(耐熱丸型)及び図2(b)の容器(耐熱角型)のPETボトルは、減圧吸収面或いはパネルを有する。炭酸用容器は炭酸ガスの内圧があるので、円筒円錐形の形状をしているが、耐熱容器はその胴部に一部凹凸部がある。80〜95℃程度の温度で処理された内容物をその温度を保有した状態で容器内に充填、密封して商品として出荷される場合、内容物が常温まで冷却されると容器内が減圧され容器自体の形状変化が避けられない。この凹凸部を有する胴部等の壁面を減圧吸収面或いはパネルという。図2(a)(b)の各容器の特性を表1にまとめた。
【表1】
Figure 2004168359
【0072】
(実施例1)
図1に示す高周波を外部電極に印加する高周波プラズマCVD法でDLC膜を成膜する。原料ガスとして高純度アセチレンを用いる。チャンバーとプラスチック容器の残存空気ガスを排気してプラスチック容器内の真空圧力を0.05Torr(6.65Pa)まで減圧した後、排気を継続しながら原料供給バルブ21を開いてプラスチック容器7内へ原料ガスを導入する。原料ガス流量は50sccmと一定とした。このとき、マスフローコントローラー23の背圧と配管22に滞留する原料ガス量に応じて決定される初期原料ガス流入量によって、プラスチック容器の内圧が一時的に設定成膜圧力0.10Torr(13.3Pa)よりも高くなり、最高0.4Torr(53.2Pa)程度まで上昇する。このときのプラスチック容器の容器内圧プロファイルを図3に示した。図3のプロファイルは前述した第1の実施形態の成膜方法に対応するものである。そして、図3の▲1▼に対応するタイミング、すなわち第1層成膜工程における第1のタイミングで高周波電力(13.56MHz)を500W供給し、プラズマCVDにより第1層の成膜を行った。圧力の変化に応じて第1層は傾斜組成の膜が形成される。第1層の成膜時間は0.3秒程度であり、設定成膜厚力0.10Torr(13.3Pa)到達後、そのまま第2層の成膜を行った。第2層の成膜時間は2.0秒程度とした。以上の成膜条件を表2に示した。第1層の厚みは4nm、第2層の厚みは20nmであり、これも合わせて表2に整理した。なお、第2層の成膜速度は凡そ10nm/秒であり、以下に示す実施例及び比較例では第2層の成膜時間を代えることで第2層の厚みを制御した。
【0073】
【表2】
Figure 2004168359
【0074】
(実施例2)
原料ガス流量を50sccmの一定から100sccmの一定に変更した以外は実施例1と同様に成膜を行ない、これを実施例2とした。容器内圧プロファイルは図4に示すものである。成膜条件と膜厚を表2に整理した。
【0075】
(実施例3)
高周波の印加のタイミングを図3の▲2▼とした以外は実施例1と同様に成膜を行ない、これを実施例3とした。前述の第1の実施形態の第1層成膜工程の第2のタイミングに相当する。成膜条件と膜厚を表2に整理した。
【0076】
(実施例4)
第2層成膜工程における高周波印加時間を実施例3(約1.3秒)よりも長くした(約2.0秒)以外は実施例3と同様に成膜を行ない、これを実施例4とした。成膜条件と膜厚を表2に整理した。
【0077】
(実施例5)
配管22の内部空間の体積を大きくして原料ガスの滞留体積を大きくした以外は実施例3と同様に成膜を行ない、これを実施例5とした。容器内圧プロファイルは図5に示す通りとなる。成膜条件と膜厚を表2に整理した。なお、配管22の内部空間の体積を大きくする代わりにマスフローコントローラーの背圧を高くすることでも同様の容器内圧プロファイルを得ることができる。
【0078】
(実施例6)
高周波の印加のタイミングを図3の▲3▼とした以外は実施例1と同様に成膜を行ない、これを実施例6とした。前述の第1の実施形態の第1層成膜工程の第2のタイミングに相当する。成膜条件と膜厚を表2に整理した。
【0079】
(実施例7)
図1に示す高周波を外部電極に印加する高周波プラズマCVD法でDLC膜を成膜する。原料ガスとして高純度アセチレンを用いる。チャンバーとプラスチック容器の残存空気ガスを排気してプラスチック容器内の真空圧力を0.05Torr(6.65Pa)まで減圧した後、排気を継続しながら原料供給バルブ21を開いてプラスチック容器7内へ原料ガスを導入する。原料ガス流量は100sccmとした。このときプラスチック容器の内圧が一時的に設定成膜圧力0.10Torr(13.3Pa)よりも高くなり、最高0.5Torr(66.5Pa)程度まで上昇する。このとき容器内部は原料ガスで充分置換される。その後原料ガス流量を50sccmに設定することで、容器の内圧を設定成膜圧力0.10Torr(13.3Pa)にする。このときのプラスチック容器の容器内圧プロファイルを図6に示した。図6のプロファイルは前述した第2の実施形態の成膜方法に対応するものである。そして、図6の▲3▼に対応するタイミングで高周波電力(13.56MHz)を500W供給し、プラズマCVDにより第1層の成膜を行った。圧力の変化に応じて第1層は傾斜組成の膜が形成される。第1層の成膜時間は0.3秒程度であり、設定成膜厚力到達後、そのまま第2層の成膜を行った。第2層の成膜時間は3.8秒程度とした。以上の成膜条件を表2に示した。第1層の厚みは3nm、第2層の厚みは38nmであり、これも合わせて表2に整理した。
【0080】
(実施例8)
実施例7における原料ガス流量100sccmを200sccmとしたこと以外は実施例7と同様に成膜を行ない、これを実施例8とした。すなわち、容器内圧を設定成膜圧力にする際の原料ガス流量50sccmは実施例7と同じである。また実施例8の容器内圧プロファイルは図7に示した。図7のプロファイルは前述した第2の実施形態の成膜方法に対応するものである。そして、図7の▲3▼に対応するタイミングで高周波電力(13.56MHz)を供給する。
【0081】
(実施例9)
図1に示す高周波を外部電極に印加する高周波プラズマCVD法でDLC膜を成膜する。原料ガスとして高純度アセチレンを用いる。チャンバーとプラスチック容器の残存空気ガスを排気してプラスチック容器内の真空圧力を0.05Torr(6.65Pa)まで減圧した後、排気を継続しながら原料供給バルブ21を開いてプラスチック容器7内へ原料ガスを導入する。原料ガス流量は50sccmとした。このとき、マスフローコントローラー23の背圧と配管22に滞留する原料ガス量に応じて決定される初期原料ガス流入量によって、プラスチック容器の内圧が一時的に設定成膜圧力0.10Torr(13.3Pa)よりも高くなり、最高0.4Torr(53.2Pa)程度まで上昇する。そして排気の継続により設定成膜圧力とする。この段階でプラスチック容器内はほぼ完全に原料ガスで置換される。その後原料ガスを75sccmに増やして一時的に設定成膜圧力よりも内圧を高くし、最高0.4Torr(53.2Pa)程度まで上昇させる。このときのプラスチック容器の容器内圧プロファイルを図8に示した。図8のプロファイルは前述した第3の実施形態の成膜方法に対応するものである。そして、図8の▲5▼に対応するタイミングで高周波電力(13.56MHz)を500W供給し、プラズマCVDにより第1層の成膜を行った。圧力の変化に応じて第1層は傾斜組成の膜が形成される。第1層の成膜時間は0.3秒程度であり、設定成膜厚力0.10Torr(13.3Pa)到達後、そのまま第2層の成膜を行った。第2層の成膜時間は1.3秒程度とした。以上の成膜条件を表2に示した。第1層の厚みは2nm、第2層の厚みは13nmであり、これも合わせて表2に整理した。
【0082】
(比較例1)
実施例1において高周波の印加タイミングを図3の0に対応するタイミングとした以外は実施例1と同様とし、これを比較例1とした。成膜条件、膜厚を表2に同様に示した。
【0083】
(比較例2)
実施例1において高周波の印加タイミングを図3の▲4▼に対応するタイミングとした以外は実施例1と同様とし、これを比較例2とした。成膜条件、膜厚を表2に同様に示した。
【0084】
(比較例3)
実施例8において高周波の印加タイミングを図7の▲2▼に対応するタイミングとした以外は実施例8と同様とし、これを比較例3とした。成膜条件、膜厚を表2に同様に示した。
【0085】
実施例1〜9及び比較例1〜3について、水素含量の測定を行った。PETボトル内面にSi基板を貼り付け、同一条件同一方法によりDLC膜をSi基板に200nm成膜した。RBS法(ラザフォード後方散乱分析法)−HFS法(水素前方散乱法)によるDLC膜の水素組成調査を行った。測定装置は、日新ハイボルテージ(株)製の後方散乱測定装置AN−2500を使用した。結果を表3に示した。
【0086】
実施例1〜9及び比較例1〜3について、ホット充填を考慮して、DLC膜を成膜後ホット充填時の容器の収縮を再現する加熱処理を行った。各実施例、各比較例のDLC膜コーティングプラスチック容器を90℃熱水下で10分間静置させ、さらに水で急冷し、乾燥後25℃の空気雰囲気下におく。加熱処理前後の酸素透過度、加熱処理後の付着強度を測定した。
【0087】
酸素透過度は、MOCON社製Oxtran2/20で測定した。23℃で外側湿度RH60%、内側湿度RH90%で行った。酸素透過度を表3に示した。
【0088】
加熱処理後の付着強度は、前記条件1による碁盤目テープ法、前記条件2による加重式引掻き法で測定した。碁盤目テープ法は切り傷によって100分割し、テープにより剥れなかった個数の割合として評価した。結果を表3に示した。
【0089】
ホット充填向け容器として、加熱処理後においても充分な密着強度を有し且つガスバリア性容器として十分なバリア性を有する場合を総合評価○とし、密着強度、ガスバリア性のいずれか若しくは両方が不充分である場合には総合評価×として表3に示した。
【0090】
【表3】
Figure 2004168359
【0091】
実施例1〜9では、DLC膜を水素原子含有率の異なる第1層と第2層とで構成したので加熱条件下にさらされた後でも密着性に優れ且つ第2層を主体とした容器のガスバリア性の確保ができていた。また、第1層を第2層につながるように傾斜組成としたので、応力集中等によるマイクロクラックの発生は生じなかった。
【0092】
それに対して比較例1では設定到達圧力に達した後直ぐに原料供給と放電を開始することから第1層の品質が容器ごとに不安定であった。比較例2では水素原子低含有組成のDLC膜のみの単一組成構造としたため硬質膜となり、加熱によるプラスチックの収縮条件下で充分な密着性を確保できなかった。比較例3では容器の内圧が0.8Torr(106Pa)と高いために内部電極の管内で放電が生じてしまい、容器内部でのプラズマが不安定で強度も弱く、膜厚が薄くなり酸素バリア性が充分でなかった。
【0093】
【発明の効果】
容器内表面に形成するDLC膜を水素原子高含有組成の第1層とその上に形成した第1層よりも相対的に水素原子低含有組成で少なくとも13nm以上の膜厚の第2層とから構成し、且つ第1層を第2層に対して傾斜組成とすることで、ホット充填を含むあらゆる充填方法に対応する容器が得られることを見出したことに伴い、本発明によりこの容器を複雑な装置を用いずに簡単な原料ガス制御により製造する方法を提供することができた。すなわち本発明にかかる製造方法により、第1層はプラスチック素材との密着性が高く、またプラスチックの収縮に追随し得る機能を有し且つ第2層は比較的硬質でガスバリア性の機能を有するものである。さらに第1層を第2層に対して容易に傾斜組成とすることができるので、第1層と第2層との境界における応力集中、マイクロクラックを防止することができる。
【0094】
特に本発明によれば、ブロー成形機などのプラスチック容器製造ライン等の他装置と同オーダーの量産速度(数百本/分程度)を低コストで信頼性高く実現することができる。
【0095】
また本発明は、容器の最適容器内圧プロファイルをいくつか提案するものであり、第1層の傾斜組成も複数形態提供することが可能であり、用途に応じて適宜選択することができる。いずれの製造方法も圧力制御に複雑な装置機構は必要とせず、排気量の制御も不要である。
【0096】
本発明において例えば第1の実施形態のように「ガス置換」と「傾斜膜成膜」の両方を同時に行なう場合には、ガス置換にかかる時間に傾斜膜の成膜も並行して行ない、時間短縮することができる。このガス置換は流量調節器と原料供給バルブの配置関係と動作の工夫により、たとえば1秒以下のきわめて短時間に行なうことができる。
【0097】
さらに本発明において例えば第2、第3の実施形態のように「ガス置換」と「傾斜膜成膜」の両方を分けてガス置換を完全に行なう場合には、DLC膜内に不純物の混入が少なく、再現性に優れるDLC膜コーティングプラスチック容器を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波プラズマCVD法によるDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の概略図を示すものである。
【図2】本発明の実施例で使用するボトル形状の概略図であり、(a)は耐熱丸型、(b)は耐熱角型を示す。
【図3】第1の実施形態に対応する容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図4】図3と比較して原料ガス流量を多くしたときの容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図5】図3と比較して供給開始初期の原料ガス流入量を多くしたときの容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図6】第2の実施形態に対応する容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図7】図6と比較して原料ガス流量を多くしたときの容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【図8】第3の実施形態に対応する容器の容器内圧プロファイルの一形態を示す図である。
【符号の説明】
100,高周波プラズマCVD成膜装置
1,下部外部電極
2,上部外部電極
3,外部電極
4,絶縁部材
5,蓋部
6,チャンバー
7,PETボトル
8,Oリング
9,内部電極
9a,ガス吹きだし口
10,マッチングユニット
11,高周波電源
13,真空計
14,真空バルブ
16,真空ポンプ
17,ダクト排気
12,15,20,22,24,配管
21,原料供給バルブ
23,マスフローコントローラー
25,原料ガス発生源
26,原料ガス供給手段

Claims (9)

  1. プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら前記プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスをガス流量制御手段にて一定流量供給開始し、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  2. 前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることを特徴とする請求項1記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  3. 前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させてさらに排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間でほぼ最高内圧となったときに一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることを特徴とする請求項1記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  4. 前記第1層成膜工程において、前記プラスチック容器の内圧を排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記原料ガスのプラズマ化を開始させることを特徴とする請求項1記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  5. 前記原料ガスの前記プラスチック容器の内部までの供給は、原料ガス発生源から発生させた前記原料ガスをガス流量制御手段により流量制御し、さらに前記ガス流量制御手段により流量制御された原料ガスを原料供給バルブで供給オン−オフを可能としたガス系統により行ない、且つ前記ガス流量制御手段から前記原料供給バルブ間に滞留する原料ガス量又は前記ガス流量制御手段の背圧の少なくともいずれか一方によって供給開始初期の原料ガス流入量を調節して、前記原料ガスの供給開始とともに上昇させる前記プラスチック容器の内圧の上昇量を制御することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  6. プラスチック容器の内圧の前記上昇量の制御は、前記原料ガスの供給開始による上昇量をもって行ない、排気量の調節を用いないことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  7. プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、排気を継続しながら前記プラスチック容器の内部に所定流量の炭素源ガスを含む原料ガスを供給して前記プラスチック容器の内圧を設定成膜圧力以上に上昇させるとともに前記プラスチック容器の内部をガス置換するガス置換工程、前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも少量のガス流量に設定した後、排気の継続に伴い前記設定成膜圧力まで再び減圧させる間に一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させて前記プラスチック容器の内表面に水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  8. プラスチック容器の内部を設定到達圧力まで排気する真空排気工程、前記プラスチック容器の内部に炭素源ガスを含む原料ガスを設定成膜圧力で一定流量流している状態に安定化させて前記プラスチック容器の内部を前記原料ガスでガス置換するガス置換工程、前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量よりも多量のガス流量に設定して前記プラスチック容器の内圧を前記設定成膜圧力よりも上昇させて所定時間経過後に前記ガス置換工程における原料ガスのガス流量に再度設定して内圧上昇を停止させてさらに前記設定成膜圧力まで再び減圧させ、且つ前記内圧上昇が停止したときに一定出力のプラズマ発生用エネルギーを供給して前記プラスチック容器の内部の前記原料ガスをプラズマ化させ、水素原子高含有で傾斜組成のDLC膜を第1層として形成する第1層成膜工程、前記原料ガスをプラズマ化させたままの状態で前記設定成膜圧力を保持しながら前記第1層上に水素原子低含有で一定組成のDLC膜を第2層として形成する第2層成膜工程、とを有することを特徴とするDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
  9. 前記プラスチック容器の内部に口部から内部電極を挿入し、前記プラスチック容器の外側に外部電極を配置した後、前記外部電極に高周波電力を供給して前記原料ガスをプラズマ化することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法。
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