JP2015105397A - 皮膜形成方法、皮膜形成装置、および皮膜 - Google Patents

皮膜形成方法、皮膜形成装置、および皮膜 Download PDF

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一樹 滝澤
Kazuki Takizawa
一樹 滝澤
康之 辻
Yasuyuki Tsuji
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Abstract

【課題】キャビテーションエロージョンを抑制しうる皮膜を簡便に製造する。
【解決手段】皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成し、前記原料の一部をイオンにして前記処理対象部材の表面に膜を形成し、さらに、前記処理対象部材にパルス電圧を印加して前記イオンの一部を前記膜に注入させることを1つのサイクルとして前記サイクルを繰り返し行う方法であり、前記サイクルを複数回繰り返して、前記処理対象部材の表面に第1の層を形成する第1のステップと、前記第1のステップの後、さらに、前記サイクルを複数回繰り返して前記第1の層の上に第2の層を形成する第2のステップと、を備え、前記第1のステップで行われる前記サイクルでは、前記プラズマが生成してから、前記第2のステップで行われる前記サイクルにおいて前記パルス電圧を印加するタイミングよりも遅いタイミングで前記パルス電圧の印加を行う。
【選択図】図5

Description

本発明は、プラズマを用いて処理対象部材に皮膜を形成する皮膜形成方法、皮膜形成装置、およびプラズマを用いて処理対象部材に形成された皮膜に関する。
船舶のプロペラの近傍では、水中の圧力の低い部分が気化して気泡(キャビテーション気泡)が発生し、短時間で消滅するキャビテーションと呼ばれる現象が発生する。キャビテーションが起きると、キャビテーション気泡が消滅するときに発生する衝撃波によって、プロペラの羽根の表面に凹みによる損傷、いわゆるエロージョンが発生して、羽根の表面が振動し、プロペラの性能が低下することがある。
キャビテーションエロージョンを抑制するために、従来、基材の表面に、振動に追従しうる軟らかい層、および、当該軟らかい層の上に、硬質な層を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。軟らかい層および硬質な層は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる。
特開2007−211309号公報
特許文献1に記載の製造方法では、例えば、基材表面に、スパッタリングによりクロム皮膜(密着膜)を形成し、当該クロム皮膜の上に、物理気相成長法(PVD)によって柱状構造を有する第1のDLC皮膜(軟らかい層)を形成し、さらに、第1のDLC皮膜の上に、プラズマ化学気相成長法(PCVD)によって粒状構造を有する第2のDLC皮膜を形成することで皮膜を製造する。しかし、この製造方法は、皮膜を構成する上記した各層を異なるプロセスで形成するものであるため、複雑で、コストがかかる。
本発明は、キャビテーションエロージョンを抑制しうる皮膜を簡便に製造するための皮膜形成方法、皮膜形成装置、および皮膜を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
前記皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成し、前記原料の一部をイオンにして前記処理対象部材の表面に膜を形成し、さらに、前記処理対象部材にパルス電圧を印加して前記イオンの一部を前記膜に注入させることを1つのサイクルとして前記サイクルを繰り返し行い、
前記サイクルを複数回繰り返して、前記処理対象部材の表面に第1の層を形成する第1のステップと、
前記第1のステップの後、さらに、前記サイクルを複数回繰り返して前記第1の層の上に第2の層を形成する第2のステップと、を備え、
前記第1のステップで行われる前記サイクルでは、前記プラズマが生成してから、前記第2のステップで行われる前記サイクルにおいて前記パルス電圧を印加するタイミングよりも遅いタイミングで前記パルス電圧の印加を行うことを特徴とする。
前記方法において、前記プラズマが生成してから前記パルス電圧を印加するタイミングを、前記サイクルを繰り返すごとに連続的又は段階的に早くすることが好ましい。
前記方法において、前記第2のステップで行われる前記サイクルでは、前記第1のステップで行われる前記サイクルで用いられる前記原料より多い量の原料、または、前記第1のステップで行われる前記サイクルで用いられる前記原料よりも前記皮膜の成分を多く含む他の種類の原料、を用いて前記プラズマを生成してもよい。
本発明の他の一態様は、プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
前記皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成し、前記原料の一部をイオンにして前記処理対象部材の表面に膜を形成し、さらに、前記処理対象部材にパルス電圧を印加して前記イオンの一部を前記膜に注入させることを1つのサイクルとして前記サイクルを繰り返し行い、
前記サイクルを複数回繰り返して、前記処理対象部材の表面に第1の層を形成する第1のステップと、
前記第1のステップの後、さらに、前記サイクルを複数回繰り返して前記第1の層の上に第2の層を形成する第3のステップと、を備え、
前記第3のステップで行われる前記サイクルでは、前記第1のステップで行われる前記サイクルで用いられる前記原料より多い量の原料、または、前記第1のステップで行われる前記サイクルで用いられる前記原料よりも前記皮膜の成分を多く含む他の種類の原料、を用いて前記プラズマを生成することを特徴とする。
前記方法は、前記第1のステップの前に、前記サイクルを複数回繰り返して、前記処理対象部材の表面を改質する第4のステップを備え、
前記第4のステップで行われる前記サイクルでは、前記第1のステップで行われる前記サイクルにおいて印加される前記パルス電圧よりも電圧値の大きいパルス電圧を前記処理対象部材に印加することが好ましい。
前記方法では、前記第2のステップでは、前記第1の層より厚い前記第2の層を形成することが好ましい。
本発明の他の一態様は、プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成装置であって、
処理空間内で、前記皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成するプラズマ生成部と、
前記プラズマの生成後、前記処理空間内に配置された前記処理対象部材にパルス電圧を印加するパルス電圧供給部と、
前記プラズマ生成部および前記パルス電圧供給部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記プラズマ生成部を制御して前記プラズマを生成させてから前記パルス電圧供給部を制御して前記パルス電圧を印加するタイミングを、前記皮膜の膜特性に応じて変更することを特徴とする。
また、本発明の他の一態様は、プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成装置であって、
処理空間内で、前記皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成するプラズマ生成部と、
前記プラズマの生成後、前記処理空間内に配置された前記処理対象部材にパルス電圧を印加するパルス電圧供給部と、
前記プラズマ生成部および前記パルス電圧供給部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記プラズマ生成部を制御して前記原料の量または種類を、前記皮膜の膜特性に応じて変更することを特徴とする。
本発明の一態様は、処理対象部材に形成された皮膜であって、
前記皮膜の主成分である第1の成分と、前記皮膜の膜特性を調整する第2の成分とを含む第1の層と、
前記第1の層の上に形成され、前記第1の成分および前記第2の成分を含み、前記第2の成分の含有率が前記第1の層よりも低い第2の層と、を備えることを特徴とする。
上述の皮膜形成方法及び皮膜形成装置によれば、キャビテーションエロージョンを抑制しうる皮膜を簡便に製造できる。また、上述の皮膜によれば、キャビテーションエロージョンを抑制できる。
本実施形態の皮膜形成装置の概略の装置構成を説明する図である。 本実施形態の皮膜の層構造を概念的に示す図である。 本実施形態の皮膜における水素含有量と膜密度との関係を示す図である。 (a)は、本実施形態の皮膜を示す顕微鏡写真であり、(b)は、従来の皮膜を示す顕微鏡写真である。 (a)は、図1に示す皮膜形成装置のレーザ光の照射のタイミングを示し、(b)は、プラズマ生成素子に給電する電力のタイミングを示し、(c)は、第1のステップにおける処理対象部材に印加するパルス電圧のタイミングを示し、(d)は、第2のステップまたは第3のステップにおける処理対象部材に印加するパルス電圧のタイミングを示す、タイミングチャートである。 本実施形態の皮膜形成方法における放電後のパルス電圧印加までの時間と水素含有量との関係を示す図である。
以下、本発明の皮膜形成装置、皮膜形成方法、および皮膜について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である皮膜形成装置10の概略の装置構成を説明する図である。
(皮膜形成装置)
図1に示す皮膜形成装置10は、プラズマを用いて処理対象部材11の表面に皮膜を形成する装置である。
皮膜形成装置10は、プラズマを生成して原料(例えば、水素を含有する原料ガス、および、後述する原料ターゲット材から放出された炭素の粒子)をイオン化し、処理対象部材11に対しCVD法による成膜を行うとともに、処理対象部材11にパルス電圧を印加してイオン注入を行って表面改質を行うことで、皮膜を形成する装置である。成膜は、皮膜の膜特性(例えば硬さ(膜密度))に応じて、皮膜の成分(例えば水素)の含有率が異なるよう2種類の層(後述する軟質層、硬質層)を形成することで行う。具体的には、プラズマが生成してから(放電開始後)のパルス電圧を印加するタイミング、または、上記原料ガスの量、種類、または、パルス電圧の電圧値(バイアス電圧)を切り替えることで、皮膜の成分の含有率を異ならせる。
また、皮膜形成装置10は、さらに、成膜を行う前に、高エネルギーでのイオン注入を行って、処理対象部材11のより深い部分にイオンを注入することで、処理対象部材11の表面改質(後述する傾斜層の形成)を行う装置である。
皮膜形成装置10は、処理容器12と、電極板(プラズマ生成素子)14と、高周波電源16と、マッチングボックス18と、パルス電圧供給部20と、制御部22と、レーザ光源部24と、原料ターゲット材26と、ガス供給装置28と、排気装置30と、を主に有する。なお、処理容器12、電極板14、高周波電源16、マッチングボックス18、レーザ光源部24、原料ターゲット材26、ガス供給装置26により、プラズマ生成部が構成される。
処理容器12は、アルミニウム等の材質で形成され、処理空間を内部に作る。処理容器12には、プラズマの生成用ガス及び皮膜形成用の原料ガスを導入する導入管32が設けられ、さらに、排気管34が設けられている。導入管32は、ガス供給装置28と接続され、排気管34は排気装置30と接続されている。処理容器12は、処理容器12が囲む処理空間を1×10−2Pa以下の減圧状態に維持できるように構成されている。処理空間には、処理対象部材11が配置されている。なお、処理対象部材11には、3次元形状のものを用いてもよく、板状のものを用いてもよい。
電極板14は、処理容器12の天井の壁面上に設けられている。電極板14は、マッチングボックス18を介して高周波電源16と接続されている。高周波電源16は、電源本体部の他に図示されないスイッチング素子を有し、スイッチング素子のオン、オフの制御により高周波の電力の供給のオン、オフが制御される。高周波電源16は、例えば1〜100MHzの範囲の高周波(例えば13.56MHz)を出力する。電極板14に電力が給電されると、電極板14の主表面に沿って電流が流れ、この電流により処理空間内に高周波の磁場が形成され、この磁場によってプラズマが形成される。
電極板14の周囲には、処理容器12の隔壁と絶縁するための絶縁部材36が設けられている。一方、電極板14の処理空間に面する側には、誘電体38が設けられ電極板14の処理空間に面する面を覆っている。誘電体38には、例えば石英板が用いられる。誘電体38を設けるのは、生成するプラズマによる電極板14の腐食を防ぎ、かつ効率よくプラズマへエネルギーを供給するためである。
なお、本実施形態では、プラズマ生成素子として電極板を用いるが、プラズマの生成については、公知の一対の平行平板電極間に高周波の電圧を印加して平行平板電極間にプラズマを生成させる方式やモノポールアンテナにて高周波電力を共振させ電磁波を生成させることによりプラズマを生成させる方式であってもよい。プラズマ生成素子として電極板を用いることは、供給する電力が同じである場合に、発生するプラズマ中の電子密度が他の方式に比べて高く、3次元形状を有する処理対象部材に皮膜を形成する上で有効である点で、好ましい。
パルス電圧供給部20は、パルス電圧を出力する。パルス電圧供給部20は、図示されないDC電源と図示されないスイッチ素子を有する。スイッチ素子は、制御部22の指示に従ってDC電源からの電圧のオン、オフを制御することにより、処理対象部材11へのパルス電圧の印加を制御する。パルス電圧は、例えば、成膜を行うとき、すなわち軟質層および硬質層を形成するときは±0.5〜4kVであり、処理対象部材11の表面改質を行うとき、すなわち傾斜層を形成するときは−4〜−20kVである。処理対象部材11は、処理容器12内に設けられた基台の支持部材40で支持されて、処理空間内に配置されている。処理対象部材11は、パルス電圧供給部20と接続されている。したがって、制御部22の指示に従ってパルス電圧供給部20がパルス電圧を出力したとき、処理対象部材11は、パルス電圧を印加される。これにより、処理対象部材11へのイオン注入が開始される。なお、本明細書において、膜に注入というとき、注入されるイオンが、膜内に入り込むことに加え、膜を貫通するように下層側まで入り込むことも含まれる。
レーザ光源部24は、図示されないレーザ光源本体と図示されない光源制御部とを有する。レーザ光源部24から出射したレーザ光は、処理容器12に設けられた石英板からなる窓12aを介して処理空間内に入射する。レーザ光源部24が出射するレーザ光のエネルギーは例えば0.1〜1Jである。出射時間は、例えば0.1p秒〜1μ秒である。レーザ光として、XeCl,KrF,ArF,F2等のエキシマレーザ、COレーザやYAGレーザさらにはフェムト秒レーザ、半導体レーザ等を用いることができ、レーザ光の種類には特に制限されない。このようなレーザ光は、処理容器12内の処理空間に設けられた原料ターゲット材26に照射される。この照射により、原料ターゲット材26の一部は粒子として処理容器内に放出される。
原料ターゲット材26は、処理容器12内に設けられた固体材料であり、処理対象部材11に形成する皮膜の一成分である炭素を含む材料からなる。原料ターゲット材26は、レーザ光の照射を受けることにより処理空間に炭素の粒子を放出する。皮膜としてダイヤモンドライクカーボンの皮膜を形成する場合、原料ターゲット材26には、グラファイト(黒鉛)の板材が用いられる。また、皮膜として窒化チタンの皮膜を形成する場合、原料ターゲット材26としてチタンの板材が用いられる。
処理容器12に設けられる導入管32は、ガス供給装置28と接続されている。ガス供給装置28は、複数の種類のガスを供給する。複数の種類のガスは、例えば、電極板14を用いて処理空間でプラズマが容易に生成されるように供給されるアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスと、皮膜の一成分である水素を含有する原料ガスを含む。原料ガスは、アセチレン(C22)ガス、メタン(CH4)ガス、あるいは水素(H2)ガスを含む。また、皮膜として窒化チタンの皮膜を形成する場合、窒素(N2)ガス、あるいはアンモニアガスを含む。ガス供給装置28は、所定の供給量で原料ガスの供給を行う。なお、原料ガスの供給量や、供給される原料ガスの種類は、後述するサイクルの間で異なってよく、ガス供給装置28は、原料ガスの流量の変更、あるいは、供給される原料ガスの種類が切り替わるよう図示されないガス供給源側の弁の切り替えを制御する。
制御部22は、上記プラズマ生成部を構成するレーザ光源部24、ガス供給装置28、および、パルス電圧供給部20に接続されており、これらの各部24,28,20の動作を制御する。制御部22は、これらの各部24、28,20の動作を制御することで、不活性ガスおよび原料ガスを処理空間内に供給し、原料ターゲット材26にレーザ光を照射させるとともに、電極板14に電力を供給して放電を起こしてプラズマを生成させ、成膜を行うとともに、処理対象部材11にパルス電圧を印加してイオン注入を行うことを1つのサイクルとして、このサイクルを繰り返し行うことで皮膜を形成する。サイクルを繰り返す回数は、軟質層、硬質層、傾斜層のそれぞれを形成するために少なくとも1回あればよく、特に制限されない。
上記サイクルには、後述する皮膜の軟質層を形成するためのサイクルと、皮膜の硬質層を形成するための第2のサイクルまたは第3のサイクルとが含まれ、制御部22は、これらのサイクルをそれぞれ繰り返し行う。第1のサイクルと第2のサイクルとでは、具体的に、原料ターゲット材26へのレーザ光の照射のタイミング、電極板14に供給する電力の供給のタイミングは等しく、処理対象部材11に印加するパルス電圧の印加のタイミングが異なっている。これらのタイミングについては後述する。
なお、第1のサイクルと第3のサイクルとでは、上記したレーザ光の照射のタイミング、電力供給のタイミング、およびパルス電圧印加のタイミングは等しい。第1のサイクルと第3のサイクルとでは、原料ガスの供給量または供給される原料の種類が異なっている。
制御部22は、パルス電圧を印加するタイミング、および、原料ガスの供給量、種類を、皮膜の膜特性に応じて変更する。膜特性は、例えば、硬さ(膜密度)であり、第1の層と第2の層の硬さの相違に応じて、制御部22は上記変更を行う。
(皮膜)
次に、本実施形態の皮膜について説明する。ここでは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の皮膜を例に説明する。
図2に、本実施形態の皮膜100の層構造を概念的に示す。皮膜100は、本実施形態の皮膜形成装置または皮膜形成方法を用いてプラズマイオン注入成膜法により製造できる。
皮膜100は、処理対象部材11の表面に形成される軟質層(第1の層)102と、軟質層102の上に形成される硬質層(第2の層)104と、を備える。処理対象部材11は、特に限定されないが、例えば船舶のプロペラ等、キャビテーションエロージョンが発生しやすいものを好適に用いることができる。
軟質層102および硬質層104は、いずれもDLCからなり、炭素および水素を含有している。軟質層102および硬質層104はいずれも、1つのサイクルを行うことで形成される薄い膜が厚み方向に複数積層されることで構成されている。軟質層102は、1つのサイクルで形成される膜あたりの水素含有量(以降、単に水素含有量ともいう)が硬質層104よりも高い、すなわち水素含有率が高い。軟質層102、硬質層104の水素含有量は、特に制限されないが、それぞれ、例えば25%以上、15%以下である。水素含有量は、グロー放電発光分析法(GDS)によって測定できる。
軟質層102の水素含有率が硬質層104よりも高いことで、硬質層104は、軟質層102よりも膜密度が高く、硬い層となっている。これは、水素含有量と膜密度との間に、図3に示されるような相関関係があることに基づいている。図3に示されるように、水素含有量が高くなるほど、膜密度が低くなることは、本発明者の研究により見出されている。なお、膜密度が低いほど、皮膜100の主成分である炭素の含有量が少ないため、膜硬度は低くなる。膜密度は、エッチングレートの大きさによって判断できる。なお、図3において、膜密度および水素含有量は、任意単位で示す。
なお、図2には、皮膜100の層構造が概念的に示されているが、軟質層102および硬質層104の間に、図示されるように明確な境界がなくてもよく、例えば、処理対象部材11側の面から皮膜100の表面にかけて、連続的に水素含有量が少なくなることによって軟質層102および硬質層104の境界が明確でなくなるよう、皮膜100は形成されてもよい。軟質層102と硬質層104の境界が明確でない場合は、例えば、水素含有量が所定量より多い側を軟質層102、所定量以上である側を硬質層104とする。
軟質層102および硬質層104は、プラズマイオン注入成膜法を用いて形成されることで、圧縮応力が緩和され、より膜厚が大きく、配向性のない膜構造を備えることができる。このため、皮膜100に亀裂が入った場合に、亀裂が進展することが抑制され、皮膜100の寿命が向上する。また、皮膜100の処理対象部材11側には、膜密度が低く、比較的軟らかい軟質層102が位置していることで、処理対象部材11の変形に対して追従しやすい。
硬質層104は、軟質層102よりも厚みが大きいことが好ましい。硬質層104の厚みが大きいことで、皮膜100の耐久性が向上する。軟質層102および硬質層104の厚みは、皮膜100の用途等に応じて適宜定められ、例えば、船舶のプロペラに用いられる場合は、軟質層102は、0.1〜0.5μmであり、硬質層104は、1〜10μmである。
皮膜100が形成される処理対象部材11の表面は、改質され、傾斜層106が形成されていることが好ましい。なお、図2において、傾斜層106は、斜線を引いた領域で示す。傾斜層106は、本実施形態の皮膜形成装置または皮膜形成方法を用いてプラズマイオン注入成膜法により形成される。傾斜層106は、厚さ方向に炭素及び水素の組成が変化しており、処理対象部材11の奥側(皮膜100から離れる側)から表面にかけて炭素及び水素の含有量が多くなっている。また、傾斜層106は、軟質層102および硬質層104の形成に伴ってイオン注入が行われることによって、最表面での炭素および水素の組成が、軟質層102の処理対象部材11側の部分での組成とほぼ等しくなっている。これにより、処理対象部材11と皮膜100の密着性が増し、皮膜100は剥がれにくくなっている。なお、傾斜層106と処理対象部材11の他の部分との間に明確な境界はないが、処理対象部材11において上記した炭素および水素の組成が傾斜する部分を傾斜層106という。
本実施形態の皮膜100は、プラズマイオン注入成膜法で製造されることで配向性を持たないことから、キャビテーション気泡による衝撃波によって亀裂が入った場合でも、亀裂の進展が抑制される。また、処理対象部材11側に、比較的軟らかい軟質層102が形成されていることで、処理対象部材11の変形に対して優れた追従性を示す。さらに、処理対象部材11の、皮膜100側の部分に傾斜層106が形成されることで、皮膜100の処理対象部材11に対する密着性が向上している。
ここで、図4(a)および図4(b)に、ロックウェル試験機を用いて下記皮膜の破壊試験を行ったときの当該皮膜の表面状態を示す。図4(a)は本実施形態の軟質層102に用いられる軟質皮膜の顕微鏡写真であり、図4(b)は硬質層104に用いられる硬質皮膜の顕微鏡写真である。当該破壊試験では、円錐形状の圧子を用いて、各皮膜とその下層側のステンレス基材(下地基材)に押し込んで変形させる。
図4(b)に示す硬質皮膜は、圧子の押し込みに対して、圧子が接触した部分との境界で割れており、下地基材の屈曲(変形)に追従できていないことがわかる。一方、図4(a)に示す軟質皮膜は,下地基材の屈曲(変形)にほとんど剥がれることなく追従しており、追従性の良好な膜であることが確認できる。
(皮膜形成方法)
本実施形態の皮膜形成方法は、プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する方法である。ここでは、上述した皮膜形成装置10を用いて皮膜形成方法を行う場合について説明する。
本実施形態の皮膜形成方法は、皮膜の軟質層を形成するためのステップ(第1のステップ)と、皮膜の硬質層を形成するためのステップ(第2のステップまたは第3のステップ)と、を備える。
第1のステップでは第1のサイクルを繰り返し行なって、軟質層を形成し、第2または第3のステップではそれぞれ、第2または第3のサイクルを繰り返し行って、硬質層を形成する。第1のサイクル、第2または第3のサイクルを行う回数は、形成される軟質層、硬質層の厚みに応じて定められる。特に制限されないが、例えば、第1のサイクルは10〜10回行われ、第2または第3のサイクルは10〜10回行われる。
第1のサイクルでは、上記した電極板14に高周波電力が供給されることで処理空間内で放電が起きた後の、処理対象部材にパルス電圧が印加されるタイミングが、第2のサイクルにおけるタイミングよりも遅い。両者のタイミングの差を、レーザ光照射のタイミングの説明と併せて、図5を用いて説明する。図5(a)は、図1に示す皮膜形成装置10におけるレーザ光の照射のタイミングを示し、図5(b)は、電極板14に給電する電力のタイミングを示し、図5(c)は、第1のサイクルにおいて処理対象部材にパルス電圧を印加するタイミングを示し、図5(d)は、第2のサイクルにおいて処理対象部材にパルス電圧を印加するタイミングを示す。
まず、処理空間内にアルゴンガス等の不活性ガスと原料ガスを供給し、圧力0.1〜10Paにする。この状態で、図5(a)に示すように、原料ターゲット材26にレーザ光を照射する。レーザ光の照射期間は、例えば0.005〜0.02μ秒である。レーザ光の強度は、例えば0.1〜1Jである。レーザ光の照射により、原料ターゲット材26の表面から原料ターゲット材26の一部が炭素粒子となって処理空間へ飛び出し、レーザ光の光線近傍に浮遊する。
レーザ光の照射後に、図5(b)に示すように、電極板14に高周波電力を、例えば10〜1000μ秒供給する。高周波の周波数は例えば13.56MHzである。なお、高周波電力の電極板14への供給の開始は、レーザ光の照射の終了前に行ってもよいし、終了後に行ってもよい。レーザ光の照射後において、少なくとも処理空間内にプラズマ生成用ガス及び原料ガスが導入管32から導入されて、処理空間内に一定の圧力雰囲気を形成する。
電極板14への高周波電力の供給により処理空間内で放電が起き、処理空間にはプラズマ生成用ガスがあるので、電極板14の形成する磁場により、プラズマ生成用ガスを用いたプラズマが生成される。そして、このプラズマのイオンによって、処理空間に導入管32から導入された原料ガスの一部がイオン化し、さらに原料ターゲット材26から飛び出した炭素粒子の一部がイオン化する。
電極板14への高周波電力の供給後(放電後)に、第1のサイクルでは図5(c)に示すように、第2のサイクルでは図5(d)に示すように、処理対象部材11にパルス電圧を印加する。これにより、処理対象部材11に、原料ターゲット材26から処理空間内に浮遊する上述のイオンが引き寄せられて処理対象部材11の表面からイオンが注入され処理対象部材11の表面が改質されるとともに、上述のイオンが処理対象部材11の表面に堆積して皮膜が形成される。なお、本明細書において、単に放電後という場合は、放電開始時点、すなわちプラズマ生成時点を指す。
第1のサイクルでは、図5(c)に示されるように、放電が起きた時点から時間t1が経過した時点でパルス電圧の印加が行われるのに対し、第2のサイクルでは、図5(d)に示されるように、放電が起きた時点から、時間t1よりも短い時間t2が経過した時点でパルス電圧の印加が行われる。このように放電からのパルス電圧の印加のタイミングが異なることで、第1のサイクルによって形成される膜と第2のサイクルによって形成される膜との間で水素含有量の相違が生じる。放電後パルス電圧印加までの時間と水素含有量との間には相関関係があり、図6に示されるように、放電後パルス電圧印加までの時間が長くなるほど、水素含有量が多くなることは、本発明者の研究により見出されている。なお、図6では、便宜的に放電終了後からパルス電圧印加までの時間を示すが、放電開始時点からパルス電圧印加までの時間は、上記の放電終了後からパルス電圧印加までの時間に、電極板14に高周波電力が供給される時間(図5(b)に示すパルス幅に相当する時間)を足した時間として理解できる。また、水素含有量は任意単位で示す。水素含有量はGDSを用いて測定される。このような相関関係から、第1のサイクルを繰り返し行うことで形成される軟質層102が、第2のサイクルを繰り返し行うことで形成される硬質層104よりも水素含有量が高くなり、上記説明した図3に示されるように、膜密度が小さく、軟らかくなることが分かる。
なお、図5に示される時間t1、t2は、t1>t2となり、かつ、次の放電が起きるまでにパルス電圧の印加を終了するよう適宜設定される。例えば、時間t1は、放電終了後にパルス電圧が印加されるよう設定され、時間t2は、放電発生後、当該放電が終了するまでにパルス電圧が印加されるよう設定される。時間t1,t2の長さは、特に制限されないが、例えば、t1=10〜500μsであり、t2=5〜500μsである。
時間t1、t2は、第1のサイクル、第2のサイクルが繰り返される間、各サイクルの間で、同じ長さに設定されてもよく、異なるよう設定されてもよい。時間t1,t2が異なるよう設定される場合は、例えば、最初に行われる第1のサイクルから最後に行われる第2のサイクルにかけて、徐々に短くなるよう設定される。これによって、皮膜の処理対象部材11側の面から皮膜の表面にかけて、膜密度が徐々に高く、硬くなった膜構造が得られる。
第1のサイクルおよび第2のサイクルを繰り返し行うとき、パルス電圧の電圧値を変更してもよい。同じ原料ガスを処理空間内に導入しても、処理対象部材に印加するパルス電圧の電圧レベルの大小により、形成される皮膜の成分が異なる。電圧レベルが大きい場合、処理対象部材の表面からイオンが注入される量が増えるので、処理対象部材の表面が改質され易くなるとともに、上述のイオンが処理対象部材の表面に堆積し易くなる。したがって、処理対象部材に形成される皮膜が馴染むように、皮膜の処理対象部材では比較的柔らかく、皮膜の最表層で硬くなるようにするためには、処理対象部材に印加するパルス電圧の電圧値をサイクルが増えるに従って大きくすることが好ましい。
以上説明した第1のサイクルおよび第2のサイクルでは、時間t1,t2の長さが違う点を除いて、同じ動作を行う。第1のサイクルと第2のサイクルでは、パルス電圧の電圧値が等しいことが好ましい。これにより、軟質層102および硬質層104を連続的に形成し、皮膜100形成のためのプロセスが簡単になる。
本実施形態の皮膜形成方法において、第1のステップを行う前に、傾斜層を処理対象部材の表面に形成するために、第4のサイクルを繰り返し行うステップを行ってもよい。第4のサイクルは、第1ないし第3のサイクルで印加されるパルス電圧よりも電圧値の大きいパルス電圧を処理対象部材11に印加する点で、第1ないし第3のサイクルと異なっており、第1ないし第3のサイクルを行う場合と比べ高エネルギーでのイオン注入が行われる。第3のサイクルにおけるパルス電圧は、特に制限されないが、例えば、第1ないし第3のサイクルにおけるパルス電圧の電圧値が0.5〜4kVである場合に、10〜20kVである。なお、第4のサイクルで行われる他の手順、条件等は、処理空間内に供給される原料ガスの供給量や種類を含め、第1ないし第3のサイクルと同様である。
第4のサイクルが繰り返される間、パルス電圧の電圧値は、各サイクルの間で、等しくてもよく、異なっていてもよい。異なる場合は、最初のサイクルから最後のサイクルにかけて徐々に電圧値が小さくなることが好ましい。
また、第4のサイクルが繰り返される間、供給される原料ガスの供給量や種類は、各サイクルの間で、最初のサイクルから最後のサイクルにかけて一定であってもよく、徐々に、供給量が多くなるよう調整され、または、水素含有量の多い種類の原料ガスが用いられてもよい。これにより、形成される傾斜層において、処理対象部材11の奥側から表面にかけて、水素含有量が大きくなり、軟質層の処理対象部材側の部分の水素含有量との差を少なくすることができる。この点で、最後の第4のサイクルと、最初の第1のサイクルとで、原料ガスの供給量または原料ガスの種類は等しいことが好ましい。
本実施形態の方法において、処理容器12には、少なくともプラズマを生成するとき、皮膜を形成する成分を含むガス(原料ガス)が供給される。このとき、第1および第2のサイクルを繰り返し行うとき、各サイクルの間で、原料ガスの供給量を変更してもよい。例えば、サイクルの繰り返し回数が増えるにつれて、原料ガスの供給量を徐々に少なくすることによっても、皮膜の処理対象部材側の面から皮膜の表面にかけて水素含有量が徐々に変化した傾斜材料を作ることができる。例えば、処理対象部材11の表面に近いほど水素含有量を高めて、処理対象部材11の表面に近い層を比較的柔らかい層とし、皮膜の最表層に近づくほど水素含有量を小さくして、最表層を極めて硬い層とすることでも、処理対象部材11の変形に追従することのできる皮膜を形成することができる。
また、第1ないし第3のサイクルを繰り返し行うとき、各サイクルの間で、原料ガスの種類を変更することも好ましい。例えば、最初のサイクルでは水素ガスを、その後のサイクルではメタンガスを、さらに後のサイクルではアセチレンガスを処理空間に供給することも好ましい。メタンガスにおけるカーボンに対する水素の成分の比は、アセチレンガスにおけるカーボンに対する水素の成分の比よりも高いので、皮膜における水素の成分の濃度を最表層に進むにしたがって徐々に低くするとき、サイクル数が増えるにつれて水素ガス、メタンガス及びアセチレンガスの順番で変更することが好ましい。水素ガスからメタンガス、あるいはメタンガスからアセチレンガスに原料ガスを変更するとき、水素ガスとメタンガスの混合ガス、メタンガスとアセチレンガスの混合ガスを用いることも好ましい。この場合、混合ガスにおけるガスの混合比率を、サイクル数が増えるにつれて変更することも好ましい。この場合においても、サイクルの回数が増えるにつれて、水素ガスとメタンガスの混合ガスにおけるメタンガスの混合比率を増やすことが好ましく、メタンガスとアセチレンガスの混合ガスにおけるアセチレンガスの混合比率を増やすことが好ましい。
以上まとめると、本実施形態では、プラズマイオン注入成膜法を用いた単一のプロセスによって軟質層102及び硬質層104を連続的に形成でき、簡便に皮膜の形成を行える。また、軟質層102と硬質層104は、放電後のパルス電圧印加のタイミングまたは原料ガスの供給量を変えることで、水素含有量を異ならせることができ、硬質でかつ処理対象部材の変形に追従しうる皮膜を得ることができる。
このとき、パルス電圧印加のタイミングを、第1のサイクル及び第2のサイクルを繰り返すごとに、連続的にまたは段階的に早くすることで、皮膜100の処理対象部材11側の面から皮膜100の表面にかけて徐々に水素含有量を少なくでき、層間剥離を抑制できる。
また、軟質層102を形成する前に、第1のサイクルよりも高い電圧値のパルス電圧を印加して、処理対象部材11の表面の改質を行うことで、処理対象部材11と皮膜100との密着性を高めることができる。
さらに、軟質層102より厚みの大きい硬質層104を形成することで、亀裂の進展をより確実に抑えられる皮膜100を得ることができる。
以上、本発明の皮膜形成装置、皮膜形成方法、および皮膜について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 皮膜形成装置
11 処理対象部材
12 処理容器
12a 窓
14 プラズマ生成素子(電極板)
16 高周波電源
18 マッチングボックス
20 パルス電圧供給部
22 制御部
24 レーザ光源部
26 原料ターゲット材
28 ガス供給装置
30 排気装置
32 導入管
34 排気管
36 絶縁部材
38 誘電体

Claims (9)

  1. プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
    前記皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成し、前記原料の一部をイオンにして前記処理対象部材の表面に膜を形成し、さらに、前記処理対象部材にパルス電圧を印加して前記イオンの一部を前記膜に注入させることを1つのサイクルとして前記サイクルを繰り返し行い、
    前記サイクルを複数回繰り返して、前記処理対象部材の表面に第1の層を形成する第1のステップと、
    前記第1のステップの後、さらに、前記サイクルを複数回繰り返して前記第1の層の上に第2の層を形成する第2のステップと、を備え、
    前記第1のステップで行われる前記サイクルでは、前記プラズマが生成してから、前記第2のステップで行われる前記サイクルにおいて前記パルス電圧を印加するタイミングよりも遅いタイミングで前記パルス電圧の印加を行うことを特徴とする皮膜形成方法。
  2. 前記プラズマが生成してから前記パルス電圧を印加するタイミングを、前記サイクルを繰り返すごとに連続的又は段階的に早くする、請求項1に記載の皮膜形成方法。
  3. 前記第2のステップで行われる前記サイクルでは、前記第1のステップで行われる前記サイクルで用いられる前記原料より多い量の原料、または、前記第1のステップで行われる前記サイクルで用いられる前記原料よりも前記皮膜の成分を多く含む他の種類の原料、を用いて前記プラズマを生成する、請求項1又は2に記載の皮膜形成方法。
  4. プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成方法であって、
    前記皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成し、前記原料の一部をイオンにして前記処理対象部材の表面に膜を形成し、さらに、前記処理対象部材にパルス電圧を印加して前記イオンの一部を前記膜に注入させることを1つのサイクルとして前記サイクルを繰り返し行い、
    前記サイクルを複数回繰り返して、前記処理対象部材の表面に第1の層を形成する第1のステップと、
    前記第1のステップの後、さらに、前記サイクルを複数回繰り返して前記第1の層の上に第2の層を形成する第3のステップと、を備え、
    前記第3のステップで行われる前記サイクルでは、前記第1のステップで行われる前記サイクルで用いられる前記原料より多い量の原料、または、前記第1のステップで行われる前記サイクルで用いられる前記原料よりも前記皮膜の成分を多く含む他の種類の原料、を用いて前記プラズマを生成することを特徴とする皮膜形成方法。
  5. さらに、前記第1のステップの前に、前記サイクルを複数回繰り返して、前記処理対象部材の表面を改質する第4のステップを備え、
    前記第4のステップで行われる前記サイクルでは、前記第1のステップで行われる前記サイクルにおいて印加される前記パルス電圧よりも電圧値の大きいパルス電圧を前記処理対象部材に印加する、請求項1から4のいずれかに記載の皮膜形成方法。
  6. 前記第2のステップでは、前記第1の層より厚い前記第2の層を形成する、請求項1から5のいずれかに記載の皮膜形成方法。
  7. プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成装置であって、
    処理空間内で、前記皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成するプラズマ生成部と、
    前記プラズマの生成後、前記処理空間内に配置された前記処理対象部材にパルス電圧を印加するパルス電圧供給部と、
    前記プラズマ生成部および前記パルス電圧供給部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記プラズマ生成部を制御して前記プラズマを生成させてから前記パルス電圧供給部を制御して前記パルス電圧を印加するタイミングを、前記皮膜の膜特性に応じて変更することを特徴とする皮膜形成装置。
  8. プラズマを用いて処理対象部材の表面に皮膜を形成する皮膜形成装置であって、
    処理空間内で、前記皮膜の成分を含む原料を用いて放電によりプラズマを生成するプラズマ生成部と、
    前記プラズマの生成後、前記処理空間内に配置された前記処理対象部材にパルス電圧を印加するパルス電圧供給部と、
    前記プラズマ生成部および前記パルス電圧供給部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記プラズマ生成部を制御して前記原料の量または種類を、前記皮膜の膜特性に応じて変更することを特徴とする皮膜形成装置。
  9. 処理対象部材に形成された皮膜であって、
    前記皮膜の主成分である第1の成分と、前記皮膜の膜特性を調整する第2の成分とを含む第1の層と、
    前記第1の層の上に形成され、前記第1の成分および前記第2の成分を含み、前記第2の成分の含有率が前記第1の層よりも低い第2の層と、を備えることを特徴とする皮膜。
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