JPWO2003000558A1 - 間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器、その製造装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、間仕切板付きプラスチック容器の各室ごとに水分・ガスバリア性を有する容器、該容器の製造装置及び製造方法を提供することである。本発明に係る製造装置(100)は、プラスチック容器(1)の内壁面(3)及び間仕切板壁面(5)にDLC膜を成膜するプラスチック容器製造装置(100)であって、外部電極を兼ねた真空チャンバ(6)と、プラスチック容器(1)内の各部屋(7)に挿入されたアース電位の内部電極(8)と、真空チャンバ(6)に接続された高周波出力供給手段(30)と、プラスチック容器(1)内の各部屋(7)それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段(40)と、を具備することを特徴とする。
Description
技術分野
本発明は、間仕切板を備えたプラスチック容器の内壁面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜をコーティングしたプラスチック容器、その製造装置及びその製造方法に関する。特にDLC膜の製膜はプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)法によって行なうものである。
背景技術
炭酸飲料や高果汁飲料容器等の容器としてガスバリア性等の向上の目的でプラスチック容器の内壁面にDLC膜を製膜するために、プラズマCVD法を用いた製膜装置が、特開平8−53117号公報に開示されている。このDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置は高周波容量結合式放電方式であり、次の特徴を有する。すなわち、容器を収容する空所を有しこの空所が真空室を形成するとともに空所の内壁部が収容される容器の外形とほぼ相似形に形成された中空状の外部電極と、この外部電極の空所内に容器が収容された際にこの容器の口部が当接されるとともに外部電極を絶縁する絶縁部材と、接地され外部電極の空所内に収容された容器の内側に容器の口部から挿入される内部電極と、外部電極の空所内に連通されて空所内の排気を行う排気手段と、外部電極の空所内に収容された容器の内側に原料ガスを供給する供給手段と、真空チャンバに接続された高周波電源と、を備えていることを特徴とする。上記公報では、プラズマ発生エネルギー源として高周波を使用している。高周波は慣用語であるが、一般に100kHz〜1000MHzの電磁波である。上記公報では具体的な周波数の記載はない。なお、一般的に高周波は工業用周波数である13.56MHzが使用される。
上記公報では、チャンバ内を10−2〜10−5torrに真空引きした後、原料ガスを導入して0.5〜0.001torrに調節して、高周波電力を例えば50〜1000W印加して、プラスチック容器内壁面にDLC膜を製膜している。DLC膜の膜厚は0.05〜5μmとなるように形成する。
発明の開示
しかし、上記技術には下記のような問題が解決されずにいる。すなわち上記公報では、容器はボトル形状の容器を対象としており、容器内部が間仕切板で小部屋に仕切られた形状を有する容器の内壁面にDLC膜を製膜したプラスチック容器は未だなかった。
本発明の第1の目的は、間仕切板を備えたプラスチック容器において、内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成し、間仕切板壁面にDLC膜を形成することによって、間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器を提供することである。本発明によれば、この容器を提供することによって外部からの水分、酸素、窒素、炭酸ガス、有機ガス等の侵入を防止することが出来るとともに、充填物に含まれる水分及び気化成分の揮発を防止することが出来る。容器内の各部屋に同一の充填物を入れても良いし、別個の充填物を入れても良い。間仕切板を備えたプラスチック容器の用途としては、弁当箱等の食品容器、飲料用容器をはじめ、インクジェット記録方式記録プリンター用インクカートリッジ、簡易分析セット用容器等を例示出来るが、用途制限されない。間仕切された各部屋同士の水分・ガスバリア性は、DLC膜及び間仕切板に依存する。
なお、本発明における内壁面とは、プラスチック容器の外壁面(底壁含む)に対し表裏関係にある壁面をいい、間仕切板壁面とは、間仕切板により形成した壁面をいう。本発明ではこれらの壁面を区別している。
ここで本発明のDLC膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H)と呼ばれる膜のことであり、硬質炭素膜も含まれる。またDLC膜は、アモルファス状の炭素膜であり、SP3結合及びSP2結合も有する。またケイ素Si元素を含有したDLC膜も含む。
また、本発明における水分・ガスバリア性のDLC膜とは、水蒸気を対象とした水分バリア性及び酸素、二酸化炭素、窒素等を対象としたガスバリア性を有するDLC膜をいう。本発明では、DLC膜と水分・ガスバリア性のDLC膜とを区別している。この水分・ガスバリア性のDLC膜をプラスチック表面に製膜することで、プラスチックの水分・ガスバリア性を向上させることが出来る。本発明ではプラスチック母材とこの母材にDLC膜を製膜したものとを比較して、水分・ガスバリア性を3倍以上に改善することが出来るDLC膜を水分・ガスバリア性のDLC膜と定義している。なお、水分・ガスバリア性はプラスチック母材の厚さに依存する。本発明ではプラスチック母材が300μm以上の厚さを有する場合を対象としている。プラスチック母材が12〜300μmの厚さの場合は、プラスチックフィルムといわれている。特に12〜25μm厚さのフィルムの場合、同等の水分・ガスバリア性のDLC膜を製膜すると10倍以上の水分・ガスバリア性の向上が見込める。
本発明の第2の目的は、前記プラスチック容器において、間仕切板壁面に形成したDLC膜を水分・ガスバリア性のDLC膜とすることで、容器全体のみならず、各部屋ごとの水分・ガスバリア性を有する間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の提供をすることである。各部屋ごとの水分・ガスバリア性を確保することで、特に別個の充填物を入れる場合には有益である。また、同一の充填物を入れる場合であっても、各部屋の充填物を別個に取り出すときは、開封した小部屋の間仕切板からのガスの出入りを防止することが出来るので有益である。
本発明の第3の目的は、DLC膜を製膜した前記プラスチック容器、すなわち間仕切板を備えたプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜する間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置を提供することである。特開平8−53117号公報に開示された技術では、容器内部が間仕切板で小部屋に仕切られた形状を有する容器の内壁面及び間仕切板壁面にDLC膜を製膜しようと試みても、原料吹出し口を具備する内部電極が1本しかないため、プラズマが各部屋内で均一に発生せず、結果として膜分布が不均一となるおそれがあった。本発明者らは、このように容器が間仕切板を備え、容器内に小部屋がある場合について、DLC膜の製膜における特有の問題を解決すべく鋭意研究した結果、内部電極を所定の構造とすることでプラズマが各部屋内で均一の発生し、結果として内壁面或いは間仕切板壁面における膜分布を均一とすることが出来た。なお、この場合、均一とは水分・ガスバリア性の観点からの均一性である。
本発明の第4の目的は、間仕切板を備えたプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、高周波出力とマイクロ波出力を同時に外部電極或いはプラスチック容器内部に供給することにより、第3の目的で述べた製造装置を発展させて、水分・ガスバリア性の観点からより緻密な膜を、より高速で製膜することができる製膜装置を提供することである。
本発明の第5の目的は、間仕切板壁面側に向けた1以上の原料ガスの吹き出し供給口を設けることにより、内壁面よりも間仕切板壁面にDLC膜を厚く製膜することが可能な製造装置を提供することを目的とする。内壁面には、製膜時にプラスチック基材表面に自己バイアス電圧がかかるため、水分・ガスバリア性の観点から緻密なDLC膜が高速で製膜される。しかし間仕切板壁面の表面にはこの自己バイアス電圧がかからないため、前記緻密なDLC膜と比較して水分・ガスバリア性の観点から劣る膜が製膜されやすい。そこで、各壁面で水分・ガスバリアの均一性を確保するために、間仕切板壁面側に向けた1以上の原料ガスの吹き出し供給口を設け、間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くしてこの課題を解決する。
本発明の第6の目的は、プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に挿入された内部電極を、複数の内部電極が所定間隔で配置するようにすることで、原料ガス系プラズマが部屋内で均一に発生させ、結果として水分・ガスバリア性の観点からの膜分布を均一と出来る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置を提供することである。
本発明の第7の目的は、前記製造装置において、さらに複数の内部電極を導電体で連架することにより、原料ガス系プラズマを部屋内でより均一に発生させることを目的とする。
本発明の第8の目的は、前記製造装置において、内部電極を板形状の電極構造に形成することで、原料ガス系プラズマを部屋内でさらに均一に発生させることを目的とする。
本発明の第9の目的は、間仕切板を備えたプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜する間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。
本発明の第10の目的は、上記製造方法とは別の製膜メカニズム、すなわち、高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給することにより、第9の目的で述べた製造方法を発展させて、水分・ガスバリア性の観点からより緻密な膜を、より高速で製膜することができる間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。この製造方法では、被製膜物質であるプラスチック容器に多大な熱的負荷を与えないで、膜の微細クラックの発生を抑止しつつ、緻密なDLC膜を高い製膜速度で均一に容器内壁面に製膜することが出来る。
本発明の第11の目的は、前記の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法において、プラスチック容器の間仕切板壁面にも水分・ガスバリア性を持たせた間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。間仕切板壁面にも水分・ガスバリア性を持たせる有益性については前述した通りである。
本発明の第12の目的は、間仕切板壁面に製膜される膜が水分・ガスバリア性の観点から劣るという不利益を、間仕切板壁面に向けて供給する原料ガス量と内壁面に向けて供給する原料ガス量とを所定の割合とし、差をつけることで、間仕切板壁面に製膜される膜の膜厚を厚くすることで補い、各壁面で水分・ガスバリアの均一性を確保した間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。
上記の各目的を達成させるための解決手段は、次の通りである。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器において、間仕切板を備えたプラスチック容器は、該プラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成し、該間仕切板により形成した間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする。前記間仕切板壁面に形成したDLC膜は、水分・ガスバリア性のDLC膜であることが好ましい。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、
前記プラスチック容器を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバと、
前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に、前記真空チャンバを貫通するように挿入されたアース電位の内部電極と、
前記プラスチック容器内に原料系プラズマを発生させるために前記真空チャンバに接続された高周波出力供給手段と、
前記プラスチック容器内の各部屋それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段と、
を具備することを特徴とする。
また、間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、
前記プラスチック容器を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバと、
前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に、前記真空チャンバを貫通するように挿入されたアース電位の内部電極と、
前記プラスチック容器内にマイクロ波を導入することにより、該プラスチック容器内で原料ガス系プラズマを発生させるマイクロ波供給手段と、
前記プラスチック容器の内壁面に自己バイアス電圧を発生させて、該内壁面又は前記間仕切板壁面に対する前記原料ガス系プラズマのイオン入射エネルギーを制御するために前記真空チャンバに接続された高周波出力供給手段と、
前記プラスチック容器内の各部屋それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段と、
を具備することを特徴とする。
本発明におけるマイクロ波とは、UHF領域(300〜3000MHz)のマイクロ波、例えば2.45GHzのマイクロ波をいう。
また、本発明に係る前記の製造装置において、前記原料ガス供給手段は、前記間仕切板壁面側に向けた1以上の該原料ガスの吹き出し供給口を設けることが好ましい。
さらに、本発明に係る前記の製造装置では、前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に挿入された前記内部電極は、前記原料ガス系プラズマが該部屋内で均一に発生するように、複数の該内部電極が所定間隔で配置することが好ましい。この場合、複数の前記内部電極に導電体を連架することがより好ましい。
また、本発明に係る前記の製造装置では、前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に挿入された前記内部電極は、前記原料ガス系プラズマが該部屋内で均一に発生するように、板形状の電極構造に形成しても良い。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法であって、
外部電極を兼ねた真空チャンバの内壁面と前記プラスチック容器の外壁面とがほぼ接するように該真空チャンバ内に該プラスチック容器を収納し、該真空チャンバに対して絶縁状態且つアース電位の内部電極を、前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された該プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に該プラスチック容器の開口部から挿入した後、
前記プラスチック容器内の前記各部屋に原料ガスを供給し、
前記真空チャンバに高周波出力を供給して前記原料ガス系プラズマを前記各部屋に発生させ、前記プラスチック容器の前記内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成させ、前記間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする。
また、本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法であって、
外部電極を兼ねた真空チャンバの内壁面と前記プラスチック容器の外壁面とがほぼ接するように該真空チャンバ内に該プラスチック容器を収納し、該真空チャンバに対して絶縁状態且つアース電位の内部電極を、前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された該プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に該プラスチック容器の開口部から挿入した後、
前記プラスチック容器内の前記各部屋に原料ガスを供給し、
前記プラスチック容器内にマイクロ波を供給して、前記原料ガス系プラズマを前記各部屋に発生させるとほぼ同時に前記真空チャンバに高周波出力を供給して該プラスチック容器の前記内壁面に自己バイアス電圧を発生させることにより、該内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成させ、前記間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする。
本発明に係る前記の製造方法では、前記間仕切板壁面に形成したDLC膜は水分・ガスバリア性を有することが好ましい。
さらに本発明に係る前記の製造方法では、前記間仕切板壁面に向けて供給する前記原料ガス量は、前記内壁面に向けて供給する前記原料ガス量の2〜10倍、より好ましくは、3〜5倍であることが好ましい。
本発明においてプラスチック容器の内壁面に発生する自己バイアス電圧は、真空チャンバの圧力及び外部電極を兼ねた真空チャンバと内部電極の面積比に依存して正負のいずれも取り得るが、内壁面に負の自己バイアス電圧をかける方が好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態・実施例に限定して解釈されない。
[第1の実施形態;高周波出力及びマイクロ波出力を供給する形態]
−製造装置について−
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置について実施の一形態を図1に基いて説明する。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置100は、間仕切板を備えたプラスチック容器1の外壁面2に対し表裏関係にある内壁面3及び間仕切板4により形成した間仕切板壁面5にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置である。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置100は、プラスチック容器1を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバ6と、内壁面3と間仕切板壁面5により形成されたプラスチック容器1内の各部屋7それぞれの内部に、真空チャンバ6と絶縁状態となるように絶縁体9を介して挿入されたアース電位の内部電極8と、プラスチック容器1内にマイクロ波を導入することにより、プラスチック容器1内で原料ガス系プラズマを発生させるマイクロ波供給手段20と、プラスチック容器1の内壁面3に自己バイアス電圧を発生させて、内壁面3に対する原料ガス系プラズマのイオン入射エネルギーを制御するために真空チャンバ6に接続された高周波出力供給手段30と、プラスチック容器1内の各部屋7それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段40と、を具備することを特徴とする。
プラスチック容器1は、図5に示すような間仕切板4を備えたプラスチック容器の形態を有する。プラスチック容器は、図5に示した形態のみならず他の形態も含み、間仕切板の枚数や間仕切板によって仕切られる部屋の数には制限されない。間仕切板を備えている限り、飲料用ボトル形状のように開口部(口部)が胴部に対して狭くなった形状、桶形状、或いはビーカー形状のように開口部が胴部に対して同じか或いはやや大きい径の形状のいずれも含む。栓、蓋をする容器、シートをシールする容器も含む。
プラスチック容器の材質は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂(ポリエステルのアルコール成分にエチレングリコールの代わりに、シクロヘキサンディメタノールを使用したコポリマーをPETGと呼んでいる、イーストマン製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、が良いが、PET、PETG、PP又はCOCが好ましく、優れた性能を発揮する。本実施例ではPETG、COC、又はPP製の容器を使用する。
真空チャンバ6は外部電極を兼ね、密封性を有する。真空チャンバ6の内壁面が、プラスチック容器1の外壁面に殆ど接するようにプラスチック容器1を収納する。すなわち、プラスチック容器1の外部形状と真空チャンバ6の内部形状は相似形状である。プラスチック容器1の外壁面全体に渡って接していることが好ましいが、外壁面と真空チャンバ6の内壁面が局所的に離れていない限り離隔していても良い。
真空チャンバ6は、外部電極を兼ね、内部電極8と対となって、電極を形成する。また、マイクロ波供給手段20より、真空チャンバ6内にマイクロ波を導入するため、且つマイクロ波導入時にチャンバ内を減圧するために、マイクロ波供給手段20と真空チャンバ6との接続箇所には窓11を設ける。窓11の材質はマイクロ波透過物質(低誘電率の物質)であり、石英ガラスであることが好ましい。図1の窓11は真空チャンバ6の容器底面に対応する箇所に設けているがその位置には限定されない。例えば、プラスチック容器1の開口部に対応する箇所に設けても良い。開口部に対応する箇所に設けた場合には、プラスチック容器1の底部にも自己バイアス電圧をかけることが出来る。なお、真空チャンバ6には、プラスチック容器1を出し入れ可能とする開閉機構(不図示)が備わっている。
内部電極8の構造は、例えば平板形状であり、原料ガスを導入するための供給口12を備える。本実施例の内部電極8は、原料ガス供給手段40の配管を内蔵し、原料供給手段を兼ねる。内部電極8の平板は、部屋7のそれぞれに挿入出来るように、内部電極8の平板の個数と部屋7の個数は同数とする。内部電極8は、真空チャンバ6と絶縁状態となるように絶縁体9を介してプラスチック容器1の各部屋7の各開口部に挿入される。内部電極8は、接地し、アース電位とする。平板形状は、図1或いは図2に示したような、各部屋7の形状に沿った形状とするが、プラスチック容器1の各部屋7内で原料ガス系プラズマが均一に発生する範囲内で、平板の大きさ、位置及び配置を適宜変更することが出来る。
内部電極の構造は、図3に示したように、複数の管状棒体を所定間隔で配置した構造(図3の場合では、各部屋内に3本ずつの管状棒体が挿入されている)としても良い。管とするのは管内に原料ガスを流し、管状棒体の先端の開口部にガス供給口の役割をさせるためである。すなわち、内部電極を原料ガス導入のための配管として兼用するためである。複数の管状棒体を所定間隔で配置した構造とすることで、原料ガス系のプラズマを各部屋内で均一に発生させることが可能となる。管状棒体の各部屋内での本数、その間隔及び配置は、原料ガス系のプラズマが各部屋内で均一に発生させることが出来る範囲内で、適宜変更可能である。
また内部電極の構造は、図4に示したように、内部電極である管状棒体の先端に、導電体50を連架した内部電極構造(図4の場合では、各部屋内に3本ずつの管状棒体が挿入され、それに導電体50を連架している)としても良い。図4の内部電極も原料ガス導入のための配管を兼用している。複数の管状棒体を所定間隔で配置し、且つその先端に導電体50を連架した構造とすることで、原料ガス系のプラズマを各部屋内でより均一に発生させることが可能となる。管状棒体の各部屋内での本数、その間隔及び配置は、原料ガス系のプラズマが各部屋内で均一に発生させることが出来る範囲内で、適宜変更可能であることは、図3の場合と同様である。
さらに、各部屋7の間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くつける場合には、図6に示したように供給口12の他に間仕切板壁面に向かって原料ガスを導入する供給口13を設け、プラスチック容器1の内壁面よりも間仕切板壁面に原料ガスが多く供給されるように調整する。なお、内壁面側に原料ガス供給口を設けても良い。この場合、間仕切板壁面に向けた供給口の個数が内壁面側に向けた原料ガス供給口の個数よりも多いことが望ましい。各部屋7の間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くつける理由は次の通りである。製膜時に、内壁面部分のプラスチック基材表面に自己バイアス電圧がかかるため、水分・ガスバリア性の観点から緻密なDLC膜が高速で製膜される。しかし間仕切板壁面にはこの自己バイアス電圧がかからないため、前記緻密なDLC膜と比較して水分・ガスバリア性の観点から劣る膜が製膜されやすい。そこで、各壁面で水分・ガスバリアの均一性を確保するために、間仕切板壁面側に向けた1以上の原料ガスの吹き出し供給口を設け、間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くして水分・ガスバリア性を確保する。
絶縁体9は、内部電極8と真空チャンバ6とを絶縁するためのものである。この機能を果たす限り、形状及び材質はいずれでも良い。例として、アルミナの焼結平板を例示する。
マイクロ波供給手段20は、プラスチック容器1内にマイクロ波を導入することにより、プラスチック容器1内に原料ガス系プラズマを発生させるものである。図1に示したように、マイクロ波供給手段20は、マイクロ波(例えば、2.45GHz)を発生させるマイクロ波発生ユニット21、アイソレータ22、インピーダンス整合器23及びモード変換器24から構成される。マイクロ波発生ユニット21、アイソレータ22及びインピーダンス整合器23のそれぞれは、マイクロ波を通過させる導波管25を介してつながっている。マイクロ波供給手段20の構成は、図1に示したものに限定されず、マイクロ波をプラスチック容器1内に効率良く導入することが出来れば、いかなる構成を取っても良い。
高周波出力供給手段30は、図1に示す如く、高周波電源31及びインピーダンス整合器32とから構成される。高周波電源(RF電源、13.56MHz)12は同軸ケーブルを介してインピーダンス整合器32に接続され、さらに真空チャンバ6に接続される。なお、高周波電源12の出力端子のアース側は接地されている。真空チャンバ6への高周波の供給により、真空チャンバ表面に位置するプラスチック容器内壁面に自己バイアス電圧が発生する。
原料ガス供給手段40は、プラスチック容器1の内部に原料ガスを導入するためのものである。原料ガス供給源41の出力側に真空バルブ42の一方側が接続され、真空バルブ42の他方側に原料ガス流量調整のための流量計(マスフローコントローラー)43が接続され、流量計43の他方側に真空バルブ44の一方側が接続され、真空バルブ44の他方側に内部電極8が接続されている。内部電極は、管状であり、その先端に原料ガス供給口12が設けてあり、原料ガス供給口12から原料ガスが吹き出す。所望の流量で原料ガスをプラスチック容器1内に供給することが出来れば、原料ガス供給手段40は上述の構成以外とすることも出来る。なお、原料ガス供給口13からも原料ガスを吹き出させても良い。
原料ガスとしては、常温で気体又は液体の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類などが使用される。特に炭素数が6以上のベンゼン,トルエン,o−キシレン,m−キシレン,p−キシレン,シクロヘキサン等が望ましい。食品等の容器に使用する場合には、衛生上の観点から脂肪族炭化水素類、特にエチレン、プロピレン又はブチレン等のエチレン系炭化水素、又は、アセチレン、アリレン又は1−ブチン等のアセチレン系炭化水素が好ましい。これらの原料は、単独で用いても良いが、2種以上の混合ガスとして使用するようにしても良い。さらにこれらのガスをアルゴンやヘリウムの様な希ガスで希釈して用いる様にしても良い。
また、ケイ素含有DLC膜を製膜する場合には、Si含有炭化水素系ガスを使用する。
真空チャンバ6内の空間は配管45の一方側に接続されており、配管45の他方側は真空バルブ46を介して真空ポンプ47に接続されている。この真空ポンプ47は排気側に接続されている。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置100は、真空チャンバ6全体をシールドボックス48で覆う。高周波が外部に漏洩することを防止するためである。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本実施形態ではプラスチック容器一個用装置にしたがって説明したが、これらのユニットを複数設けることで複数のプラスチック容器を同時にコーティングすることが出来る製膜装置とすることも出来る。
本実施の形態では、内壁面及び間仕切板壁面に薄膜を製膜する容器として弁当箱等の食品容器、飲料用容器をはじめ、インクジェット記録方式記録プリンター用インクカートリッジ、簡易分析セット用容器等を例示出来るが、用途制限されない。
本実施の形態では、CVD製膜装置で製膜する薄膜としてDLC膜又はSi含有DLC膜を挙げているが、容器内に他の薄膜を製膜する際に上記製膜装置を用いることも可能である。
本発明者らは、第1の実施形態において、高周波容量結合式放電方式とマイクロ波放電方式を効果的に組み合わせて、各方法の製膜メカニズムとは異なる、高品質膜を生産性良く製膜する製膜メカニズムを発見し、本発明を完成させた。
一般に高周波容量結合式放電方式ではプラズマ密度が〜109cm−3とプラズマ密度を上げることが出来ず、プラズマ密度の制御とイオンエネルギーの制御を独立にすることも出来ない。プラズマ密度を上げるために高周波を高出力にするとイオン衝突が多発し、エッチング効果も大きくなる。したがって高周波容量結合式放電方式では製膜速度を速くすることが出来ない。このため短時間に大量の容器にDLC膜コーティングを行なう場合には、生産効率を別手段で上げる必要がある。また、自己バイアス電圧が容器内壁面に発生し、プラズマ化した原料がプラスチック容器壁面に引き寄せられ、イオン衝撃が生ずる。比較的緻密なDLC膜が得られる反面、イオンエネルギーの制御が適切に出来ないためイオン衝撃が大きく、プラスチックが昇温して熱膨張差による内部応力が発生して微細クラックが生じ得る。この微細クラックは、水分・ガスバリア性の低下、プラスチック容器の洗浄による膜剥離の発生の原因となる。
一方マイクロ波放電方式では、プラズマ密度が1011〜1012cm−3と高密度と出来るため、高濃度のイオン化された原料をプラスチック表面に供給することが出来るため、製膜速度を速くすることが出来る。しかし、容器内壁面には自己バイアス電圧が発生しないため、イオン化した原料がプラスチック表面に引き寄せられることもなく、イオン衝撃も生じないため、緻密なDLC膜が得られにくい。したがって、高周波容量結合式放電方式で製膜したDLC膜よりも水分・ガスバリア性が低いと考えられる。また、同等の水分・ガスバリア性を確保するためには、膜厚を大きくする必要がある。
本発明者らが発明した製膜メカニズムとは、すなわち、マイクロ波で発生させたプラズマによって生ずるイオンを高周波に起因する自己バイアスによってプラスチック容器の外壁面或いは内壁面に強制的に引付けてDLC膜を製膜するメカニズムである。この製膜法により、所望の壁面に均一にDLC膜を製膜することが可能なこと、被製膜物質であるプラスチック容器に多大な熱的負荷を与えず、膜の微細クラックの発生を抑止すること、及び緻密なDLC膜を高い製膜速度で製膜することが出来る。
本発明でいう緻密なDLC膜とは、密度が大きいという観点ではなく、酸素、水素、二酸化炭素、窒素、又は有機分子等の気体分子の膜中への溶解度係数と気体分子の拡散係数の積が小さいDLC膜を意味する。
また、本発明でいう水分・ガスバリア性とは、上記の気体分子の膜中への溶解度係数と気体分子の拡散係数の積(緻密性)、膜の微細クラック量及び膜厚によって決まる性質をいう。水分・ガスバリア性の観点から、理想的なDLC膜とは、緻密であること、膜のクラック量が少ないこと及び膜厚が所定厚さ範囲内にあることを満たすものである。緻密で且つ膜のクラック量が少ないと、必要な膜厚を小さくすることが出来る。なお、一般的に膜厚が小さ過ぎるとプラスチック表面をすべて被覆することが出来ず、膜厚が大き過ぎると膜の内部応力が大きくなり、しかもプラスチックの柔軟性に追随出来なくなるからである。本発明では、DLC膜の膜厚は、30〜5000Å、好ましくは、200〜3000Åである。
なお、前述した製造装置において、高周波出力供給手段は自己バイアスを生じさせるだけでなくプラズマも発生させ得るが、高周波出力供給手段のプラズマ発生は、あくまでもプラズマ発生手段であるマイクロ波出力供給手段の補助手段に過ぎない。製造方法においても、高周波出力供給によるのプラズマ発生は補助的なものである。また、プラスチック容器の内壁面或いは外壁面がプラズマから離れることなく、プラズマ発生空間に接するようにした方が好ましい。
−製造方法について−
次に、図1に示すDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置100を用いて間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法について説明する。
まず、真空バルブ(不図示)を開いて真空チャンバ6内を大気開放する。これにより空気が入り、真空チャンバ6内が大気圧にされる。次に、真空チャンバ6の開閉機構(不図示)により、真空チャンバを開き、プラスチック容器1をその底部が石英窓11と接する方向に真空チャンバ内に収容して、設置する。このとき、真空チャンバ6の内壁面とプラスチック容器1の外壁面がほぼ接した状態となる。次に真空チャンバ6の開閉機構(不図示)により、真空チャンバを閉じて密閉する。内部電極8の各平板は、プラスチック容器1の開口部を通して各部屋7内に挿入された状態となる。
この後、真空バルブ(不図示)を閉じた後、真空バルブ46を開き、真空ポンプ47によって排気する。これにより、プラスチック容器1内が配管45を通して排気され、プラスチック容器1内が減圧となる。このときのプラスチック容器1内の圧力は5×10−3〜5×10−2Torrである。
次に真空バルブ42を開き、原料ガス供給源41において炭化水素ガスを発生させ、この炭化水素ガスを配管内に導入し、流量計43によって流量制御された炭化水素ガスが真空バルブ44を経て、内部電極の供給口12からプラスチック容器1の中へ吹き出す。これにより、炭化水素ガスがプラスチック容器1内に導入される。
このとき、各部屋8の間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くつける場合には、供給口12の他に供給口13から間仕切板壁面に向かって原料ガスを供給して、プラスチック容器1の内壁面よりも間仕切板壁面に原料ガスが多く供給されるように調整する。内壁面の供給口と間仕切板壁面の供給口の原料ガス系統を別個にして、原料ガス供給量を別々に調整しても良い。間仕切板壁面に向けて供給する原料ガス量は、内壁面に向けて供給する前記原料ガス量の2〜10倍であり、好ましくは3〜5倍である。
そして、プラスチック容器1内は、制御されたガス流量と排気能力のバランスによって、DLC製膜に適した圧力(例えば0.05〜0.50Torr)に保たれる。
この後、プラスチック容器1内にマイクロ波供給手段20によって、マイクロ波(例えば、例えば、2.45GHz)50〜1000Wを供給する。このマイクロ波出力値は例示であり、真空チャンバや容器の大きさ等によって調整する。チャンバ内に効率良く出力が供給されるようにインピーダンスが調整される。マイクロ波の供給によりプラスチック容器1内、すなわち、各部屋7内に原料ガス系のプラズマが発生する。プラズマの密度は、1011〜1012cm−3とすることが出来る。
前記マイクロ波を供給すると同時或いは殆ど同時に、真空チャンバ6にマッチングユニット32を介して高周波電源31から高周波出力(例えば13.56MHz)10〜1000Wを供給する。このときマッチングユニット32は、内部電極8と真空チャンバ6のインピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって合わせている。真空チャンバ6への高周波の供給により、プラスチック容器内壁面に自己バイアス電圧が発生する。マイクロ波によって各部屋7内に発生した原料ガス系プラズマのうち、プラスに帯電したイオンが真空チャンバ6側すなわち、プラスチック容器の内壁面側に引き付けられる。これにより、プラスに帯電したイオンがプラスチック容器1の内壁面に衝突し、DLC膜が製膜される。また、間仕切板壁面には自己バイアス電圧がかからないが、同様にDLC膜が製膜される。間仕切板壁面には多くの原料ガスが供給されているため、DLC膜の膜厚は、内壁面に製膜したDLC膜と比較して大きくなる。このときの製膜時間は数秒程度と短いものとなる。
プラスチック容器1の内壁面には、水分・ガスバリア性を有する緻密なDLC膜が高速で製膜される。一方、間仕切板壁面には、内壁面に製膜したDLC膜ほど緻密ではないDLC膜が製膜される。内壁面に製膜したDLC膜は水分・ガスバリア性を有し、一方、間仕切板壁面に製膜したDLC膜は、膜厚を慎重に調整することで水分・ガスバリア性を有する。
なお、上記の高周波出力値は例示であり、真空チャンバや容器の大きさ等によって調整するが、特に自己バイアスを調整する目的で調整する。この調整は、容器に応じた、所望の緻密性のDLC膜となるようにするためである。
マイクロ波の供給量と高周波出力はそれぞれ独立に制御する。本製造方法における製膜メカニズムは、マイクロ波で発生させたプラズマによって生ずるイオンを高周波出力に起因する自己バイアスによってプラスチック容器の内壁面に強制的に引付けてDLC膜を製膜するメカニズムであり、高周波容量結合式放電方式或いはマイクロ波放電方式の単独方式とは異なるものである。また、本発明で得られたDLC膜は水分・ガスバリア性の観点から上記単独方式よりも高品質膜であり、しかも生産性良く製膜することができる。
次に、高周波電源31からの高周波出力を停止し、同時にマイクロ波発生ユニット21からのマイクロ波出力も停止する。真空バルブ42,44を閉じて原料ガスの供給を停止する。この後、真空バルブ46を開き、プラスチック容器1に残存する炭化水素ガスを真空ポンプ47によって排気する。その後、真空バルブ46を閉じ、真空ポンプ47を停止する。次のプラスチック容器を製膜する場合には、真空ポンプ47は停止させずに運転状態とする。このときの真空チャンバ6内の圧力は5×10−3〜5×10−2Torrである。
この後、真空バルブ(不図示)を開いて真空チャンバ6内を大気開放し、前述した製膜方法を繰り返すことにより、次のプラスチック容器の内壁面にDLC膜が製膜される。
[第2の実施形態;高周波出力を供給する形態]
−製造装置について−
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置について実施の一形態を図7に基いて説明する。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置200は、プラズマ発生手段として真空チャンバに高周波出力のみを供給するタイプの装置である。本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置100において、マイクロ波供給手段を作動させない場合には、製造装置200と同等の機能となる。
内部電極を平板形状としたことは第1の実施形態と同様である。しかし、プラズマ発生手段としてマイクロ波出力を供給せず、高周波出力を供給することでプラズマを発生させることで相違する。また、第2の実施形態では、高周波出力はバイアス電圧を発生させるものの、独立に制御することは出来ない点でも相違する。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置200は、プラスチック容器51を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバ56と、内壁面53と間仕切板壁面55により形成されたプラスチック容器51内の各部屋57それぞれの内部に、真空チャンバ56と絶縁状態となるように絶縁体59を介して挿入されたアース電位の内部電極58と、真空チャンバ56に接続された、原料ガス系プラズマを発生させるための高周波出力供給手段80と、プラスチック容器51内の各部屋57それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段90と、を具備することを特徴とする。
プラスチック容器、絶縁体、原料ガス供給手段、原料ガスの種類、外部電極内空間の排気系の構成及びシールドボックスは、第1実施形態と同様である。
真空チャンバ56には、マイクロ波導入のための窓61を設ける必要はない。
内部電極58は、第1の実施形態で示した図1及び図2〜図4の電極構造と同様のものを使用することが出来る。なお、各部屋58の間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を大きくする場合には、図6に示した供給口13と同様の構造にしても良い。
高周波出力供給手段80は、第1の実施形態で示したものと同様であるが、原料ガス系プラズマを発生させるためのエネルギーを供給すること及び外部電極表面に位置するPETボトル内壁面と内部電極の間に発生するプラズマによってPETボトル内壁面に自己バイアス電圧を発生させることが可能であるが、自己バイアスの程度を任意に制御することは出来ない。
−製造方法について−
第1の実施形態と同様であるが、原料系プラズマ発生時の操作は異なる。すなわち、マイクロ波は供給せずに、真空チャンバ56に高周波出力(例えば13.56MHz)のみを10〜1000W供給する。このとき、プラスチック容器51の各部屋57内に原料ガス系プラズマが発生する。また、真空チャンバ56への高周波の供給により、プラスチック容器内壁面に自己バイアス電圧が発生する。発生した原料ガス系プラズマのうち、プラスに帯電したイオンが真空チャンバ56側、すなわちプラスチック容器の内壁面側に引き付けられる。これにより、プラスに帯電したイオンがプラスチック容器51の内壁面に衝突し、DLC膜が製膜される。このときの製膜時間は数秒程度と短いものとなる。第1の実施形態と異なり、プラズマ発生密度と、イオン入射エネルギーを付与するバイアス電圧を独立に制御することは出来ない。しかし、第2の実施形態で示したプラズマ発生であっても水分・ガスバリア性を有する間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提案することが出来る。
[実施例]
第1の実施形態で示した製造装置及び製造法により間仕切板付きプラスチック容器に水分・ガスバリア性を付与する場合の実施例を下記に示す。
(実施例1)
第1の実施形態で説明した図1及び図2の製造装置を用いて、間仕切板付きプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にDLC膜を製膜して評価を行った。
プラスチック容器は、間仕切板を備えている容器(図5、間仕切板2枚、容量2000ml、10cm×20cm×10cmH、樹脂厚み2mm、内壁面面積800cm2、間仕切板壁面片面の面積100cm2)を使用した。容器材質は、PETGとした。原料ガスはアセチレンを用いた。真空チャンバ内の製膜圧力は0.10Torr、原料ガス流量は1200sccm、製膜時間は2秒、高周波出力は500W、マイクロ波出力は500Wとした。原料ガス供給口の位置、向き及び数を調整して、原料ガス供給量をプラスチック容器の内壁面側1に対して間仕切板壁面側5の割合になるように調整した。
表1にプラズマCVDの条件を示した。なお、間仕切板壁面には両面ともDLC膜が製膜されていた。
(実施例2〜10)
実施例1とは一部の条件を変えて、間仕切板付きプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にDLC膜を製膜し、それぞれ実施例2〜実施例10とした。それぞれの実施例の製膜条件は、表1に記載した条件とした。
なお、実施例4は、第2の実施形態に対応するマイクロ波を導入しない実施例である。また、実施例6は、プラズマを発生させる際に高周波出力が主、マイクロ波出力が副となる例であって、高周波容量結合式放電方式のプラズマ密度が小さいという欠点を補うため、マイクロ波を補助的に導入してプラズマ密度を上げる条件である。
(比較例1)
DLC膜を製膜しない場合を比較例1とした。容器はPETG製とした。
(比較例2)
DLC膜を製膜しない場合を比較例2とした。容器はPP製とした。
(比較例3)
DLC膜を製膜しない場合を比較例2とした。容器はCOC製とした。
(比較例4)
実施例1について、製膜時間を0.5秒とした以外は同様とし、比較例4とした。
【表1】
実施例1〜10及び比較例1〜4の容器について、次の評価を行なった。
(1)DLC膜の分布
Tenchol社alpha−step500の触針式段差計でDLC膜の厚みを測定した。容器内壁面のうちの側面、容器内壁面のうちの底面、間仕切板壁面、それぞれの膜厚を各3点測定し、平均値を求め、各面における膜厚とした。
(2)容器の変形の有無、
目視により容器の変形があったものを×、無かった場合を○とした。
(3)製膜速度
(1)で求めた容器内壁面のうち、側面での膜厚を製膜時間で除して、製膜速度を算出した。なお、他の面での膜厚も同様に算出することが可能である。
(4)酸素透過度
Modern Control社製Oxtranにて22℃×60%RHの条件にて測定した。容器全体として内外における酸素透過度(内壁面を透過する酸素)を求めた。
(5)水分透過度
容器全体として内外における水分透過度(内壁面を透過する水分)を求めた。容器の水分透過度としては、容器各部屋に塩化カルシウムを入れ、ステンレス板で蓋を密封し、40℃×90%RHの条件下においた。時間経過するにつれ、塩化カルシウムが吸湿し重量が変化する。その変化量を測定することににより水分透過度を評価した。また、各部屋間の水分透過性の指標として、間仕切板を切出して、間仕切板の水分透過度を求めた。これは、Modern Control社製Oxtranにて40℃×90%RHの条件にて測定した。
評価結果を表2に示す。
【表2】
実施例1〜3では、高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給し、且つ、原料ガス供給量供給比(内壁面側/間仕切板壁面側)を調整することにより、酸素透過性及び水分透過性が共に低い間仕切板を備えたプラスチック容器を提供することが出来た。比較例1と比較すると実施例1では、容器全体としての酸素透過性は10.1倍、水分透過性は4.7倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は5.7倍改良されたことがわかる。実施例2では、容器全体としての酸素透過性は13.7倍、水分透過性は5.1倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は5.1倍改良されたことがわかる。実施例3では、容器全体としての酸素透過性は9.4倍、水分透過性は5.1倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は3.9倍改良されたことがわかる。高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給する効果により、製膜速度も比較的速かった。なお、マイクロ波導入効果と高周波導入効果の双方があるので、緻密な膜が得られやすく、クラックも少ない。ただし、実施例1〜3は高周波出力が多く、エッチング効果が現れてくるため、例えば、実施例5と比較して実施例1は、製膜速度がやや遅い。
実施例9では、比較例1と比較すると間仕切板の水分透過性が3.2倍改良であり、実施例1〜3と比較して劣っていた。しかし、容器全体としての酸素透過性は12.6倍、水分透過性は、5.4倍改良されたことがわかる。
実施例4では、高周波出力のみを供給し、且つ、原料ガス供給量供給比(内壁面側/間仕切板壁面側)を調整することにより、酸素透過性及び水分透過性が共に低い間仕切板を備えたプラスチック容器を提供することが出来た。比較例1と比較すると実施例4では、容器全体としての酸素透過性は7.2倍、水分透過性は4.5倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は3.4倍改良されたことがわかる。ただし、実施例1〜3と比較して、製膜速度が遅い。
実施例5〜6では、高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給するに際して、出力量を調整したものである。マイクロ波出力をメインとしてプラズマ密度の高密度化を重視した場合(実施例5)、マイクロ波によるプラズマ発生効果を抑えて、高周波出力をメインとして自己バイアス効果を強くした場合(実施例6)の両方の場合において、酸素透過性及び水分透過性が共に低い間仕切板を備えたプラスチック容器を提供することが出来た。高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給する効果により、製膜速度も比較的速かった。実施例5では、高密度のプラズマをエッチング効果が然程現れない自己バイアス電圧にて原料イオンを引き付けてDLC膜を製膜したため、高速製膜された。DLC膜は緻密な膜であり、且つクラックも少ない。実施例6では実施例5ほどではないが、緻密性が高く、微細クラック量も少ない。
比較例1と比較すると実施例5では、容器全体としての酸素透過性は9.4倍、水分透過性は6.3倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は6.4倍改良されたことがわかる。同様に比較例1と比較すると実施例6では、容器全体としての酸素透過性は7.9倍、水分透過性は4.2倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は4.3倍改良されたことがわかる。
実施例7は容器の材質をPPに変更したものであるが、その影響は特に受けず、実施例1と同様である。比較例2と比較すると実施例7では、容器全体としての酸素透過性は3.7倍、水分透過性は3.7倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は3.8倍改良されたことがわかる。
実施例8は容器の材質をCOCに変更したものであるが、その影響は特に受けず、実施例1と同様である。比較例3と比較すると実施例8では、容器全体としての酸素透過性は9.0倍、水分透過性は4.2倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は5.0倍改良されたことがわかる。
実施例10では、原料ガス供給量供給比(内壁面側/間仕切板壁面側)が小さく、間仕切板に製膜したDLC膜の膜厚がやや大きかった。逆に内壁面に製膜したDLC膜の膜厚がやや薄くなったものの、容器全体としては水分・ガスバリア性を有していた。比較例1と比較すると実施例10では、容器全体としての酸素透過性は9.4倍、水分透過性は5.8倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は3.0倍改良されたことがわかる。
比較例4は、製膜時間が短いので膜厚が小さい。比較例1と比較すると、容器全体としての酸素透過性は4.7倍とガスバリア性を有するものの、容器全体としての水分透過性は1.8倍改良され、各部屋ごとの水分透過性は1.6倍改良されているものの、本発明における3倍以上の改良という指標を満たしていない。
以上のことから、本実施例では高周波容量結合式放電方式とマイクロ波放電方式を効果的に組み合わせて各方法の製膜メカニズムとは異なる、高品質膜を生産性良く製膜することが出来た。これにより、間仕切板を備えたプラスチック容器にDLC膜を製膜して、水分・ガスバリア性を付与することが出来た。
また、高周波容量結合式放電方式の単独方式によっても、間仕切板を備えたプラスチック容器にDLC膜を製膜して、水分・ガスバリア性を付与することが出来た。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の一形態を示す概念図である。
図2は、図1のA−A’線における断面図を模式的に表した図であって、内部電極が平板形状のものを示す図である。
図3は、図1のA−A’線における断面図を模式的に表した図であって、第2形態の製造装置として内部電極を管状棒体とした場合を示す図である。
図4は、図1のA−A’線における断面図を模式的に表した図であって、第3形態の製造装置として導電体を内部電極である管状棒体の先端に連架した場合を示す図である。
図5は、本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の形態を示す図である。
図6は、本発明に係る本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置における内部電極の一形態を示す図であり、間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くつけるために設けた原料ガス供給口を有する内部電極構造を示す図である。(a)は、内壁面側、(b)は間仕切板壁面側の内部電極構造を示している。
図7は、本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の一形態で、プラズマ発生手段として真空チャンバに高周波出力のみを供給した場合を示す概念図である。
図中の符号の説明は次の通りである。1,51プラスチック容器、2,52容器外壁面、3,53容器内壁面、4,54間仕切板、5,55間仕切板壁面、6,56外部電極を兼ねた真空チャンバ、7,57容器内の部屋、8,58内部電極、9,59絶縁体、11窓(石英窓)、12,13原料供給口、20マイクロ波供給手段、21マイクロ波発生ユニット、22アイソレータ、23,32,82インピーダンス整合器(マッチングユニット)、24モード変換器、25導波管、30,80高周波出力供給手段、31,81高周波電源、40,90原料ガス供給手段、41,91原料ガス供給源、42,44,46,92,94,96真空バルブ、43,93マスフローコントローラー、45,95配管、47,97真空ポンプ、48,98シールドボックス、50導電体、100,200DLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置、である。
本発明は、間仕切板を備えたプラスチック容器の内壁面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜をコーティングしたプラスチック容器、その製造装置及びその製造方法に関する。特にDLC膜の製膜はプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)法によって行なうものである。
背景技術
炭酸飲料や高果汁飲料容器等の容器としてガスバリア性等の向上の目的でプラスチック容器の内壁面にDLC膜を製膜するために、プラズマCVD法を用いた製膜装置が、特開平8−53117号公報に開示されている。このDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置は高周波容量結合式放電方式であり、次の特徴を有する。すなわち、容器を収容する空所を有しこの空所が真空室を形成するとともに空所の内壁部が収容される容器の外形とほぼ相似形に形成された中空状の外部電極と、この外部電極の空所内に容器が収容された際にこの容器の口部が当接されるとともに外部電極を絶縁する絶縁部材と、接地され外部電極の空所内に収容された容器の内側に容器の口部から挿入される内部電極と、外部電極の空所内に連通されて空所内の排気を行う排気手段と、外部電極の空所内に収容された容器の内側に原料ガスを供給する供給手段と、真空チャンバに接続された高周波電源と、を備えていることを特徴とする。上記公報では、プラズマ発生エネルギー源として高周波を使用している。高周波は慣用語であるが、一般に100kHz〜1000MHzの電磁波である。上記公報では具体的な周波数の記載はない。なお、一般的に高周波は工業用周波数である13.56MHzが使用される。
上記公報では、チャンバ内を10−2〜10−5torrに真空引きした後、原料ガスを導入して0.5〜0.001torrに調節して、高周波電力を例えば50〜1000W印加して、プラスチック容器内壁面にDLC膜を製膜している。DLC膜の膜厚は0.05〜5μmとなるように形成する。
発明の開示
しかし、上記技術には下記のような問題が解決されずにいる。すなわち上記公報では、容器はボトル形状の容器を対象としており、容器内部が間仕切板で小部屋に仕切られた形状を有する容器の内壁面にDLC膜を製膜したプラスチック容器は未だなかった。
本発明の第1の目的は、間仕切板を備えたプラスチック容器において、内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成し、間仕切板壁面にDLC膜を形成することによって、間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器を提供することである。本発明によれば、この容器を提供することによって外部からの水分、酸素、窒素、炭酸ガス、有機ガス等の侵入を防止することが出来るとともに、充填物に含まれる水分及び気化成分の揮発を防止することが出来る。容器内の各部屋に同一の充填物を入れても良いし、別個の充填物を入れても良い。間仕切板を備えたプラスチック容器の用途としては、弁当箱等の食品容器、飲料用容器をはじめ、インクジェット記録方式記録プリンター用インクカートリッジ、簡易分析セット用容器等を例示出来るが、用途制限されない。間仕切された各部屋同士の水分・ガスバリア性は、DLC膜及び間仕切板に依存する。
なお、本発明における内壁面とは、プラスチック容器の外壁面(底壁含む)に対し表裏関係にある壁面をいい、間仕切板壁面とは、間仕切板により形成した壁面をいう。本発明ではこれらの壁面を区別している。
ここで本発明のDLC膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H)と呼ばれる膜のことであり、硬質炭素膜も含まれる。またDLC膜は、アモルファス状の炭素膜であり、SP3結合及びSP2結合も有する。またケイ素Si元素を含有したDLC膜も含む。
また、本発明における水分・ガスバリア性のDLC膜とは、水蒸気を対象とした水分バリア性及び酸素、二酸化炭素、窒素等を対象としたガスバリア性を有するDLC膜をいう。本発明では、DLC膜と水分・ガスバリア性のDLC膜とを区別している。この水分・ガスバリア性のDLC膜をプラスチック表面に製膜することで、プラスチックの水分・ガスバリア性を向上させることが出来る。本発明ではプラスチック母材とこの母材にDLC膜を製膜したものとを比較して、水分・ガスバリア性を3倍以上に改善することが出来るDLC膜を水分・ガスバリア性のDLC膜と定義している。なお、水分・ガスバリア性はプラスチック母材の厚さに依存する。本発明ではプラスチック母材が300μm以上の厚さを有する場合を対象としている。プラスチック母材が12〜300μmの厚さの場合は、プラスチックフィルムといわれている。特に12〜25μm厚さのフィルムの場合、同等の水分・ガスバリア性のDLC膜を製膜すると10倍以上の水分・ガスバリア性の向上が見込める。
本発明の第2の目的は、前記プラスチック容器において、間仕切板壁面に形成したDLC膜を水分・ガスバリア性のDLC膜とすることで、容器全体のみならず、各部屋ごとの水分・ガスバリア性を有する間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の提供をすることである。各部屋ごとの水分・ガスバリア性を確保することで、特に別個の充填物を入れる場合には有益である。また、同一の充填物を入れる場合であっても、各部屋の充填物を別個に取り出すときは、開封した小部屋の間仕切板からのガスの出入りを防止することが出来るので有益である。
本発明の第3の目的は、DLC膜を製膜した前記プラスチック容器、すなわち間仕切板を備えたプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜する間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置を提供することである。特開平8−53117号公報に開示された技術では、容器内部が間仕切板で小部屋に仕切られた形状を有する容器の内壁面及び間仕切板壁面にDLC膜を製膜しようと試みても、原料吹出し口を具備する内部電極が1本しかないため、プラズマが各部屋内で均一に発生せず、結果として膜分布が不均一となるおそれがあった。本発明者らは、このように容器が間仕切板を備え、容器内に小部屋がある場合について、DLC膜の製膜における特有の問題を解決すべく鋭意研究した結果、内部電極を所定の構造とすることでプラズマが各部屋内で均一の発生し、結果として内壁面或いは間仕切板壁面における膜分布を均一とすることが出来た。なお、この場合、均一とは水分・ガスバリア性の観点からの均一性である。
本発明の第4の目的は、間仕切板を備えたプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、高周波出力とマイクロ波出力を同時に外部電極或いはプラスチック容器内部に供給することにより、第3の目的で述べた製造装置を発展させて、水分・ガスバリア性の観点からより緻密な膜を、より高速で製膜することができる製膜装置を提供することである。
本発明の第5の目的は、間仕切板壁面側に向けた1以上の原料ガスの吹き出し供給口を設けることにより、内壁面よりも間仕切板壁面にDLC膜を厚く製膜することが可能な製造装置を提供することを目的とする。内壁面には、製膜時にプラスチック基材表面に自己バイアス電圧がかかるため、水分・ガスバリア性の観点から緻密なDLC膜が高速で製膜される。しかし間仕切板壁面の表面にはこの自己バイアス電圧がかからないため、前記緻密なDLC膜と比較して水分・ガスバリア性の観点から劣る膜が製膜されやすい。そこで、各壁面で水分・ガスバリアの均一性を確保するために、間仕切板壁面側に向けた1以上の原料ガスの吹き出し供給口を設け、間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くしてこの課題を解決する。
本発明の第6の目的は、プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に挿入された内部電極を、複数の内部電極が所定間隔で配置するようにすることで、原料ガス系プラズマが部屋内で均一に発生させ、結果として水分・ガスバリア性の観点からの膜分布を均一と出来る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置を提供することである。
本発明の第7の目的は、前記製造装置において、さらに複数の内部電極を導電体で連架することにより、原料ガス系プラズマを部屋内でより均一に発生させることを目的とする。
本発明の第8の目的は、前記製造装置において、内部電極を板形状の電極構造に形成することで、原料ガス系プラズマを部屋内でさらに均一に発生させることを目的とする。
本発明の第9の目的は、間仕切板を備えたプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜する間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。
本発明の第10の目的は、上記製造方法とは別の製膜メカニズム、すなわち、高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給することにより、第9の目的で述べた製造方法を発展させて、水分・ガスバリア性の観点からより緻密な膜を、より高速で製膜することができる間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。この製造方法では、被製膜物質であるプラスチック容器に多大な熱的負荷を与えないで、膜の微細クラックの発生を抑止しつつ、緻密なDLC膜を高い製膜速度で均一に容器内壁面に製膜することが出来る。
本発明の第11の目的は、前記の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法において、プラスチック容器の間仕切板壁面にも水分・ガスバリア性を持たせた間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。間仕切板壁面にも水分・ガスバリア性を持たせる有益性については前述した通りである。
本発明の第12の目的は、間仕切板壁面に製膜される膜が水分・ガスバリア性の観点から劣るという不利益を、間仕切板壁面に向けて供給する原料ガス量と内壁面に向けて供給する原料ガス量とを所定の割合とし、差をつけることで、間仕切板壁面に製膜される膜の膜厚を厚くすることで補い、各壁面で水分・ガスバリアの均一性を確保した間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。
上記の各目的を達成させるための解決手段は、次の通りである。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器において、間仕切板を備えたプラスチック容器は、該プラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成し、該間仕切板により形成した間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする。前記間仕切板壁面に形成したDLC膜は、水分・ガスバリア性のDLC膜であることが好ましい。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、
前記プラスチック容器を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバと、
前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に、前記真空チャンバを貫通するように挿入されたアース電位の内部電極と、
前記プラスチック容器内に原料系プラズマを発生させるために前記真空チャンバに接続された高周波出力供給手段と、
前記プラスチック容器内の各部屋それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段と、
を具備することを特徴とする。
また、間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、
前記プラスチック容器を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバと、
前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に、前記真空チャンバを貫通するように挿入されたアース電位の内部電極と、
前記プラスチック容器内にマイクロ波を導入することにより、該プラスチック容器内で原料ガス系プラズマを発生させるマイクロ波供給手段と、
前記プラスチック容器の内壁面に自己バイアス電圧を発生させて、該内壁面又は前記間仕切板壁面に対する前記原料ガス系プラズマのイオン入射エネルギーを制御するために前記真空チャンバに接続された高周波出力供給手段と、
前記プラスチック容器内の各部屋それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段と、
を具備することを特徴とする。
本発明におけるマイクロ波とは、UHF領域(300〜3000MHz)のマイクロ波、例えば2.45GHzのマイクロ波をいう。
また、本発明に係る前記の製造装置において、前記原料ガス供給手段は、前記間仕切板壁面側に向けた1以上の該原料ガスの吹き出し供給口を設けることが好ましい。
さらに、本発明に係る前記の製造装置では、前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に挿入された前記内部電極は、前記原料ガス系プラズマが該部屋内で均一に発生するように、複数の該内部電極が所定間隔で配置することが好ましい。この場合、複数の前記内部電極に導電体を連架することがより好ましい。
また、本発明に係る前記の製造装置では、前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に挿入された前記内部電極は、前記原料ガス系プラズマが該部屋内で均一に発生するように、板形状の電極構造に形成しても良い。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法であって、
外部電極を兼ねた真空チャンバの内壁面と前記プラスチック容器の外壁面とがほぼ接するように該真空チャンバ内に該プラスチック容器を収納し、該真空チャンバに対して絶縁状態且つアース電位の内部電極を、前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された該プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に該プラスチック容器の開口部から挿入した後、
前記プラスチック容器内の前記各部屋に原料ガスを供給し、
前記真空チャンバに高周波出力を供給して前記原料ガス系プラズマを前記各部屋に発生させ、前記プラスチック容器の前記内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成させ、前記間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする。
また、本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法であって、
外部電極を兼ねた真空チャンバの内壁面と前記プラスチック容器の外壁面とがほぼ接するように該真空チャンバ内に該プラスチック容器を収納し、該真空チャンバに対して絶縁状態且つアース電位の内部電極を、前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された該プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に該プラスチック容器の開口部から挿入した後、
前記プラスチック容器内の前記各部屋に原料ガスを供給し、
前記プラスチック容器内にマイクロ波を供給して、前記原料ガス系プラズマを前記各部屋に発生させるとほぼ同時に前記真空チャンバに高周波出力を供給して該プラスチック容器の前記内壁面に自己バイアス電圧を発生させることにより、該内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成させ、前記間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする。
本発明に係る前記の製造方法では、前記間仕切板壁面に形成したDLC膜は水分・ガスバリア性を有することが好ましい。
さらに本発明に係る前記の製造方法では、前記間仕切板壁面に向けて供給する前記原料ガス量は、前記内壁面に向けて供給する前記原料ガス量の2〜10倍、より好ましくは、3〜5倍であることが好ましい。
本発明においてプラスチック容器の内壁面に発生する自己バイアス電圧は、真空チャンバの圧力及び外部電極を兼ねた真空チャンバと内部電極の面積比に依存して正負のいずれも取り得るが、内壁面に負の自己バイアス電圧をかける方が好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態・実施例に限定して解釈されない。
[第1の実施形態;高周波出力及びマイクロ波出力を供給する形態]
−製造装置について−
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置について実施の一形態を図1に基いて説明する。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置100は、間仕切板を備えたプラスチック容器1の外壁面2に対し表裏関係にある内壁面3及び間仕切板4により形成した間仕切板壁面5にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置である。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置100は、プラスチック容器1を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバ6と、内壁面3と間仕切板壁面5により形成されたプラスチック容器1内の各部屋7それぞれの内部に、真空チャンバ6と絶縁状態となるように絶縁体9を介して挿入されたアース電位の内部電極8と、プラスチック容器1内にマイクロ波を導入することにより、プラスチック容器1内で原料ガス系プラズマを発生させるマイクロ波供給手段20と、プラスチック容器1の内壁面3に自己バイアス電圧を発生させて、内壁面3に対する原料ガス系プラズマのイオン入射エネルギーを制御するために真空チャンバ6に接続された高周波出力供給手段30と、プラスチック容器1内の各部屋7それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段40と、を具備することを特徴とする。
プラスチック容器1は、図5に示すような間仕切板4を備えたプラスチック容器の形態を有する。プラスチック容器は、図5に示した形態のみならず他の形態も含み、間仕切板の枚数や間仕切板によって仕切られる部屋の数には制限されない。間仕切板を備えている限り、飲料用ボトル形状のように開口部(口部)が胴部に対して狭くなった形状、桶形状、或いはビーカー形状のように開口部が胴部に対して同じか或いはやや大きい径の形状のいずれも含む。栓、蓋をする容器、シートをシールする容器も含む。
プラスチック容器の材質は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂(ポリエステルのアルコール成分にエチレングリコールの代わりに、シクロヘキサンディメタノールを使用したコポリマーをPETGと呼んでいる、イーストマン製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、が良いが、PET、PETG、PP又はCOCが好ましく、優れた性能を発揮する。本実施例ではPETG、COC、又はPP製の容器を使用する。
真空チャンバ6は外部電極を兼ね、密封性を有する。真空チャンバ6の内壁面が、プラスチック容器1の外壁面に殆ど接するようにプラスチック容器1を収納する。すなわち、プラスチック容器1の外部形状と真空チャンバ6の内部形状は相似形状である。プラスチック容器1の外壁面全体に渡って接していることが好ましいが、外壁面と真空チャンバ6の内壁面が局所的に離れていない限り離隔していても良い。
真空チャンバ6は、外部電極を兼ね、内部電極8と対となって、電極を形成する。また、マイクロ波供給手段20より、真空チャンバ6内にマイクロ波を導入するため、且つマイクロ波導入時にチャンバ内を減圧するために、マイクロ波供給手段20と真空チャンバ6との接続箇所には窓11を設ける。窓11の材質はマイクロ波透過物質(低誘電率の物質)であり、石英ガラスであることが好ましい。図1の窓11は真空チャンバ6の容器底面に対応する箇所に設けているがその位置には限定されない。例えば、プラスチック容器1の開口部に対応する箇所に設けても良い。開口部に対応する箇所に設けた場合には、プラスチック容器1の底部にも自己バイアス電圧をかけることが出来る。なお、真空チャンバ6には、プラスチック容器1を出し入れ可能とする開閉機構(不図示)が備わっている。
内部電極8の構造は、例えば平板形状であり、原料ガスを導入するための供給口12を備える。本実施例の内部電極8は、原料ガス供給手段40の配管を内蔵し、原料供給手段を兼ねる。内部電極8の平板は、部屋7のそれぞれに挿入出来るように、内部電極8の平板の個数と部屋7の個数は同数とする。内部電極8は、真空チャンバ6と絶縁状態となるように絶縁体9を介してプラスチック容器1の各部屋7の各開口部に挿入される。内部電極8は、接地し、アース電位とする。平板形状は、図1或いは図2に示したような、各部屋7の形状に沿った形状とするが、プラスチック容器1の各部屋7内で原料ガス系プラズマが均一に発生する範囲内で、平板の大きさ、位置及び配置を適宜変更することが出来る。
内部電極の構造は、図3に示したように、複数の管状棒体を所定間隔で配置した構造(図3の場合では、各部屋内に3本ずつの管状棒体が挿入されている)としても良い。管とするのは管内に原料ガスを流し、管状棒体の先端の開口部にガス供給口の役割をさせるためである。すなわち、内部電極を原料ガス導入のための配管として兼用するためである。複数の管状棒体を所定間隔で配置した構造とすることで、原料ガス系のプラズマを各部屋内で均一に発生させることが可能となる。管状棒体の各部屋内での本数、その間隔及び配置は、原料ガス系のプラズマが各部屋内で均一に発生させることが出来る範囲内で、適宜変更可能である。
また内部電極の構造は、図4に示したように、内部電極である管状棒体の先端に、導電体50を連架した内部電極構造(図4の場合では、各部屋内に3本ずつの管状棒体が挿入され、それに導電体50を連架している)としても良い。図4の内部電極も原料ガス導入のための配管を兼用している。複数の管状棒体を所定間隔で配置し、且つその先端に導電体50を連架した構造とすることで、原料ガス系のプラズマを各部屋内でより均一に発生させることが可能となる。管状棒体の各部屋内での本数、その間隔及び配置は、原料ガス系のプラズマが各部屋内で均一に発生させることが出来る範囲内で、適宜変更可能であることは、図3の場合と同様である。
さらに、各部屋7の間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くつける場合には、図6に示したように供給口12の他に間仕切板壁面に向かって原料ガスを導入する供給口13を設け、プラスチック容器1の内壁面よりも間仕切板壁面に原料ガスが多く供給されるように調整する。なお、内壁面側に原料ガス供給口を設けても良い。この場合、間仕切板壁面に向けた供給口の個数が内壁面側に向けた原料ガス供給口の個数よりも多いことが望ましい。各部屋7の間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くつける理由は次の通りである。製膜時に、内壁面部分のプラスチック基材表面に自己バイアス電圧がかかるため、水分・ガスバリア性の観点から緻密なDLC膜が高速で製膜される。しかし間仕切板壁面にはこの自己バイアス電圧がかからないため、前記緻密なDLC膜と比較して水分・ガスバリア性の観点から劣る膜が製膜されやすい。そこで、各壁面で水分・ガスバリアの均一性を確保するために、間仕切板壁面側に向けた1以上の原料ガスの吹き出し供給口を設け、間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くして水分・ガスバリア性を確保する。
絶縁体9は、内部電極8と真空チャンバ6とを絶縁するためのものである。この機能を果たす限り、形状及び材質はいずれでも良い。例として、アルミナの焼結平板を例示する。
マイクロ波供給手段20は、プラスチック容器1内にマイクロ波を導入することにより、プラスチック容器1内に原料ガス系プラズマを発生させるものである。図1に示したように、マイクロ波供給手段20は、マイクロ波(例えば、2.45GHz)を発生させるマイクロ波発生ユニット21、アイソレータ22、インピーダンス整合器23及びモード変換器24から構成される。マイクロ波発生ユニット21、アイソレータ22及びインピーダンス整合器23のそれぞれは、マイクロ波を通過させる導波管25を介してつながっている。マイクロ波供給手段20の構成は、図1に示したものに限定されず、マイクロ波をプラスチック容器1内に効率良く導入することが出来れば、いかなる構成を取っても良い。
高周波出力供給手段30は、図1に示す如く、高周波電源31及びインピーダンス整合器32とから構成される。高周波電源(RF電源、13.56MHz)12は同軸ケーブルを介してインピーダンス整合器32に接続され、さらに真空チャンバ6に接続される。なお、高周波電源12の出力端子のアース側は接地されている。真空チャンバ6への高周波の供給により、真空チャンバ表面に位置するプラスチック容器内壁面に自己バイアス電圧が発生する。
原料ガス供給手段40は、プラスチック容器1の内部に原料ガスを導入するためのものである。原料ガス供給源41の出力側に真空バルブ42の一方側が接続され、真空バルブ42の他方側に原料ガス流量調整のための流量計(マスフローコントローラー)43が接続され、流量計43の他方側に真空バルブ44の一方側が接続され、真空バルブ44の他方側に内部電極8が接続されている。内部電極は、管状であり、その先端に原料ガス供給口12が設けてあり、原料ガス供給口12から原料ガスが吹き出す。所望の流量で原料ガスをプラスチック容器1内に供給することが出来れば、原料ガス供給手段40は上述の構成以外とすることも出来る。なお、原料ガス供給口13からも原料ガスを吹き出させても良い。
原料ガスとしては、常温で気体又は液体の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類などが使用される。特に炭素数が6以上のベンゼン,トルエン,o−キシレン,m−キシレン,p−キシレン,シクロヘキサン等が望ましい。食品等の容器に使用する場合には、衛生上の観点から脂肪族炭化水素類、特にエチレン、プロピレン又はブチレン等のエチレン系炭化水素、又は、アセチレン、アリレン又は1−ブチン等のアセチレン系炭化水素が好ましい。これらの原料は、単独で用いても良いが、2種以上の混合ガスとして使用するようにしても良い。さらにこれらのガスをアルゴンやヘリウムの様な希ガスで希釈して用いる様にしても良い。
また、ケイ素含有DLC膜を製膜する場合には、Si含有炭化水素系ガスを使用する。
真空チャンバ6内の空間は配管45の一方側に接続されており、配管45の他方側は真空バルブ46を介して真空ポンプ47に接続されている。この真空ポンプ47は排気側に接続されている。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置100は、真空チャンバ6全体をシールドボックス48で覆う。高周波が外部に漏洩することを防止するためである。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本実施形態ではプラスチック容器一個用装置にしたがって説明したが、これらのユニットを複数設けることで複数のプラスチック容器を同時にコーティングすることが出来る製膜装置とすることも出来る。
本実施の形態では、内壁面及び間仕切板壁面に薄膜を製膜する容器として弁当箱等の食品容器、飲料用容器をはじめ、インクジェット記録方式記録プリンター用インクカートリッジ、簡易分析セット用容器等を例示出来るが、用途制限されない。
本実施の形態では、CVD製膜装置で製膜する薄膜としてDLC膜又はSi含有DLC膜を挙げているが、容器内に他の薄膜を製膜する際に上記製膜装置を用いることも可能である。
本発明者らは、第1の実施形態において、高周波容量結合式放電方式とマイクロ波放電方式を効果的に組み合わせて、各方法の製膜メカニズムとは異なる、高品質膜を生産性良く製膜する製膜メカニズムを発見し、本発明を完成させた。
一般に高周波容量結合式放電方式ではプラズマ密度が〜109cm−3とプラズマ密度を上げることが出来ず、プラズマ密度の制御とイオンエネルギーの制御を独立にすることも出来ない。プラズマ密度を上げるために高周波を高出力にするとイオン衝突が多発し、エッチング効果も大きくなる。したがって高周波容量結合式放電方式では製膜速度を速くすることが出来ない。このため短時間に大量の容器にDLC膜コーティングを行なう場合には、生産効率を別手段で上げる必要がある。また、自己バイアス電圧が容器内壁面に発生し、プラズマ化した原料がプラスチック容器壁面に引き寄せられ、イオン衝撃が生ずる。比較的緻密なDLC膜が得られる反面、イオンエネルギーの制御が適切に出来ないためイオン衝撃が大きく、プラスチックが昇温して熱膨張差による内部応力が発生して微細クラックが生じ得る。この微細クラックは、水分・ガスバリア性の低下、プラスチック容器の洗浄による膜剥離の発生の原因となる。
一方マイクロ波放電方式では、プラズマ密度が1011〜1012cm−3と高密度と出来るため、高濃度のイオン化された原料をプラスチック表面に供給することが出来るため、製膜速度を速くすることが出来る。しかし、容器内壁面には自己バイアス電圧が発生しないため、イオン化した原料がプラスチック表面に引き寄せられることもなく、イオン衝撃も生じないため、緻密なDLC膜が得られにくい。したがって、高周波容量結合式放電方式で製膜したDLC膜よりも水分・ガスバリア性が低いと考えられる。また、同等の水分・ガスバリア性を確保するためには、膜厚を大きくする必要がある。
本発明者らが発明した製膜メカニズムとは、すなわち、マイクロ波で発生させたプラズマによって生ずるイオンを高周波に起因する自己バイアスによってプラスチック容器の外壁面或いは内壁面に強制的に引付けてDLC膜を製膜するメカニズムである。この製膜法により、所望の壁面に均一にDLC膜を製膜することが可能なこと、被製膜物質であるプラスチック容器に多大な熱的負荷を与えず、膜の微細クラックの発生を抑止すること、及び緻密なDLC膜を高い製膜速度で製膜することが出来る。
本発明でいう緻密なDLC膜とは、密度が大きいという観点ではなく、酸素、水素、二酸化炭素、窒素、又は有機分子等の気体分子の膜中への溶解度係数と気体分子の拡散係数の積が小さいDLC膜を意味する。
また、本発明でいう水分・ガスバリア性とは、上記の気体分子の膜中への溶解度係数と気体分子の拡散係数の積(緻密性)、膜の微細クラック量及び膜厚によって決まる性質をいう。水分・ガスバリア性の観点から、理想的なDLC膜とは、緻密であること、膜のクラック量が少ないこと及び膜厚が所定厚さ範囲内にあることを満たすものである。緻密で且つ膜のクラック量が少ないと、必要な膜厚を小さくすることが出来る。なお、一般的に膜厚が小さ過ぎるとプラスチック表面をすべて被覆することが出来ず、膜厚が大き過ぎると膜の内部応力が大きくなり、しかもプラスチックの柔軟性に追随出来なくなるからである。本発明では、DLC膜の膜厚は、30〜5000Å、好ましくは、200〜3000Åである。
なお、前述した製造装置において、高周波出力供給手段は自己バイアスを生じさせるだけでなくプラズマも発生させ得るが、高周波出力供給手段のプラズマ発生は、あくまでもプラズマ発生手段であるマイクロ波出力供給手段の補助手段に過ぎない。製造方法においても、高周波出力供給によるのプラズマ発生は補助的なものである。また、プラスチック容器の内壁面或いは外壁面がプラズマから離れることなく、プラズマ発生空間に接するようにした方が好ましい。
−製造方法について−
次に、図1に示すDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置100を用いて間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法について説明する。
まず、真空バルブ(不図示)を開いて真空チャンバ6内を大気開放する。これにより空気が入り、真空チャンバ6内が大気圧にされる。次に、真空チャンバ6の開閉機構(不図示)により、真空チャンバを開き、プラスチック容器1をその底部が石英窓11と接する方向に真空チャンバ内に収容して、設置する。このとき、真空チャンバ6の内壁面とプラスチック容器1の外壁面がほぼ接した状態となる。次に真空チャンバ6の開閉機構(不図示)により、真空チャンバを閉じて密閉する。内部電極8の各平板は、プラスチック容器1の開口部を通して各部屋7内に挿入された状態となる。
この後、真空バルブ(不図示)を閉じた後、真空バルブ46を開き、真空ポンプ47によって排気する。これにより、プラスチック容器1内が配管45を通して排気され、プラスチック容器1内が減圧となる。このときのプラスチック容器1内の圧力は5×10−3〜5×10−2Torrである。
次に真空バルブ42を開き、原料ガス供給源41において炭化水素ガスを発生させ、この炭化水素ガスを配管内に導入し、流量計43によって流量制御された炭化水素ガスが真空バルブ44を経て、内部電極の供給口12からプラスチック容器1の中へ吹き出す。これにより、炭化水素ガスがプラスチック容器1内に導入される。
このとき、各部屋8の間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くつける場合には、供給口12の他に供給口13から間仕切板壁面に向かって原料ガスを供給して、プラスチック容器1の内壁面よりも間仕切板壁面に原料ガスが多く供給されるように調整する。内壁面の供給口と間仕切板壁面の供給口の原料ガス系統を別個にして、原料ガス供給量を別々に調整しても良い。間仕切板壁面に向けて供給する原料ガス量は、内壁面に向けて供給する前記原料ガス量の2〜10倍であり、好ましくは3〜5倍である。
そして、プラスチック容器1内は、制御されたガス流量と排気能力のバランスによって、DLC製膜に適した圧力(例えば0.05〜0.50Torr)に保たれる。
この後、プラスチック容器1内にマイクロ波供給手段20によって、マイクロ波(例えば、例えば、2.45GHz)50〜1000Wを供給する。このマイクロ波出力値は例示であり、真空チャンバや容器の大きさ等によって調整する。チャンバ内に効率良く出力が供給されるようにインピーダンスが調整される。マイクロ波の供給によりプラスチック容器1内、すなわち、各部屋7内に原料ガス系のプラズマが発生する。プラズマの密度は、1011〜1012cm−3とすることが出来る。
前記マイクロ波を供給すると同時或いは殆ど同時に、真空チャンバ6にマッチングユニット32を介して高周波電源31から高周波出力(例えば13.56MHz)10〜1000Wを供給する。このときマッチングユニット32は、内部電極8と真空チャンバ6のインピーダンスに、インダクタンスL、キャパシタンスCによって合わせている。真空チャンバ6への高周波の供給により、プラスチック容器内壁面に自己バイアス電圧が発生する。マイクロ波によって各部屋7内に発生した原料ガス系プラズマのうち、プラスに帯電したイオンが真空チャンバ6側すなわち、プラスチック容器の内壁面側に引き付けられる。これにより、プラスに帯電したイオンがプラスチック容器1の内壁面に衝突し、DLC膜が製膜される。また、間仕切板壁面には自己バイアス電圧がかからないが、同様にDLC膜が製膜される。間仕切板壁面には多くの原料ガスが供給されているため、DLC膜の膜厚は、内壁面に製膜したDLC膜と比較して大きくなる。このときの製膜時間は数秒程度と短いものとなる。
プラスチック容器1の内壁面には、水分・ガスバリア性を有する緻密なDLC膜が高速で製膜される。一方、間仕切板壁面には、内壁面に製膜したDLC膜ほど緻密ではないDLC膜が製膜される。内壁面に製膜したDLC膜は水分・ガスバリア性を有し、一方、間仕切板壁面に製膜したDLC膜は、膜厚を慎重に調整することで水分・ガスバリア性を有する。
なお、上記の高周波出力値は例示であり、真空チャンバや容器の大きさ等によって調整するが、特に自己バイアスを調整する目的で調整する。この調整は、容器に応じた、所望の緻密性のDLC膜となるようにするためである。
マイクロ波の供給量と高周波出力はそれぞれ独立に制御する。本製造方法における製膜メカニズムは、マイクロ波で発生させたプラズマによって生ずるイオンを高周波出力に起因する自己バイアスによってプラスチック容器の内壁面に強制的に引付けてDLC膜を製膜するメカニズムであり、高周波容量結合式放電方式或いはマイクロ波放電方式の単独方式とは異なるものである。また、本発明で得られたDLC膜は水分・ガスバリア性の観点から上記単独方式よりも高品質膜であり、しかも生産性良く製膜することができる。
次に、高周波電源31からの高周波出力を停止し、同時にマイクロ波発生ユニット21からのマイクロ波出力も停止する。真空バルブ42,44を閉じて原料ガスの供給を停止する。この後、真空バルブ46を開き、プラスチック容器1に残存する炭化水素ガスを真空ポンプ47によって排気する。その後、真空バルブ46を閉じ、真空ポンプ47を停止する。次のプラスチック容器を製膜する場合には、真空ポンプ47は停止させずに運転状態とする。このときの真空チャンバ6内の圧力は5×10−3〜5×10−2Torrである。
この後、真空バルブ(不図示)を開いて真空チャンバ6内を大気開放し、前述した製膜方法を繰り返すことにより、次のプラスチック容器の内壁面にDLC膜が製膜される。
[第2の実施形態;高周波出力を供給する形態]
−製造装置について−
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置について実施の一形態を図7に基いて説明する。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置200は、プラズマ発生手段として真空チャンバに高周波出力のみを供給するタイプの装置である。本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置100において、マイクロ波供給手段を作動させない場合には、製造装置200と同等の機能となる。
内部電極を平板形状としたことは第1の実施形態と同様である。しかし、プラズマ発生手段としてマイクロ波出力を供給せず、高周波出力を供給することでプラズマを発生させることで相違する。また、第2の実施形態では、高周波出力はバイアス電圧を発生させるものの、独立に制御することは出来ない点でも相違する。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置200は、プラスチック容器51を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバ56と、内壁面53と間仕切板壁面55により形成されたプラスチック容器51内の各部屋57それぞれの内部に、真空チャンバ56と絶縁状態となるように絶縁体59を介して挿入されたアース電位の内部電極58と、真空チャンバ56に接続された、原料ガス系プラズマを発生させるための高周波出力供給手段80と、プラスチック容器51内の各部屋57それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段90と、を具備することを特徴とする。
プラスチック容器、絶縁体、原料ガス供給手段、原料ガスの種類、外部電極内空間の排気系の構成及びシールドボックスは、第1実施形態と同様である。
真空チャンバ56には、マイクロ波導入のための窓61を設ける必要はない。
内部電極58は、第1の実施形態で示した図1及び図2〜図4の電極構造と同様のものを使用することが出来る。なお、各部屋58の間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を大きくする場合には、図6に示した供給口13と同様の構造にしても良い。
高周波出力供給手段80は、第1の実施形態で示したものと同様であるが、原料ガス系プラズマを発生させるためのエネルギーを供給すること及び外部電極表面に位置するPETボトル内壁面と内部電極の間に発生するプラズマによってPETボトル内壁面に自己バイアス電圧を発生させることが可能であるが、自己バイアスの程度を任意に制御することは出来ない。
−製造方法について−
第1の実施形態と同様であるが、原料系プラズマ発生時の操作は異なる。すなわち、マイクロ波は供給せずに、真空チャンバ56に高周波出力(例えば13.56MHz)のみを10〜1000W供給する。このとき、プラスチック容器51の各部屋57内に原料ガス系プラズマが発生する。また、真空チャンバ56への高周波の供給により、プラスチック容器内壁面に自己バイアス電圧が発生する。発生した原料ガス系プラズマのうち、プラスに帯電したイオンが真空チャンバ56側、すなわちプラスチック容器の内壁面側に引き付けられる。これにより、プラスに帯電したイオンがプラスチック容器51の内壁面に衝突し、DLC膜が製膜される。このときの製膜時間は数秒程度と短いものとなる。第1の実施形態と異なり、プラズマ発生密度と、イオン入射エネルギーを付与するバイアス電圧を独立に制御することは出来ない。しかし、第2の実施形態で示したプラズマ発生であっても水分・ガスバリア性を有する間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提案することが出来る。
[実施例]
第1の実施形態で示した製造装置及び製造法により間仕切板付きプラスチック容器に水分・ガスバリア性を付与する場合の実施例を下記に示す。
(実施例1)
第1の実施形態で説明した図1及び図2の製造装置を用いて、間仕切板付きプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にDLC膜を製膜して評価を行った。
プラスチック容器は、間仕切板を備えている容器(図5、間仕切板2枚、容量2000ml、10cm×20cm×10cmH、樹脂厚み2mm、内壁面面積800cm2、間仕切板壁面片面の面積100cm2)を使用した。容器材質は、PETGとした。原料ガスはアセチレンを用いた。真空チャンバ内の製膜圧力は0.10Torr、原料ガス流量は1200sccm、製膜時間は2秒、高周波出力は500W、マイクロ波出力は500Wとした。原料ガス供給口の位置、向き及び数を調整して、原料ガス供給量をプラスチック容器の内壁面側1に対して間仕切板壁面側5の割合になるように調整した。
表1にプラズマCVDの条件を示した。なお、間仕切板壁面には両面ともDLC膜が製膜されていた。
(実施例2〜10)
実施例1とは一部の条件を変えて、間仕切板付きプラスチック容器の内壁面及び間仕切板壁面にDLC膜を製膜し、それぞれ実施例2〜実施例10とした。それぞれの実施例の製膜条件は、表1に記載した条件とした。
なお、実施例4は、第2の実施形態に対応するマイクロ波を導入しない実施例である。また、実施例6は、プラズマを発生させる際に高周波出力が主、マイクロ波出力が副となる例であって、高周波容量結合式放電方式のプラズマ密度が小さいという欠点を補うため、マイクロ波を補助的に導入してプラズマ密度を上げる条件である。
(比較例1)
DLC膜を製膜しない場合を比較例1とした。容器はPETG製とした。
(比較例2)
DLC膜を製膜しない場合を比較例2とした。容器はPP製とした。
(比較例3)
DLC膜を製膜しない場合を比較例2とした。容器はCOC製とした。
(比較例4)
実施例1について、製膜時間を0.5秒とした以外は同様とし、比較例4とした。
【表1】
実施例1〜10及び比較例1〜4の容器について、次の評価を行なった。
(1)DLC膜の分布
Tenchol社alpha−step500の触針式段差計でDLC膜の厚みを測定した。容器内壁面のうちの側面、容器内壁面のうちの底面、間仕切板壁面、それぞれの膜厚を各3点測定し、平均値を求め、各面における膜厚とした。
(2)容器の変形の有無、
目視により容器の変形があったものを×、無かった場合を○とした。
(3)製膜速度
(1)で求めた容器内壁面のうち、側面での膜厚を製膜時間で除して、製膜速度を算出した。なお、他の面での膜厚も同様に算出することが可能である。
(4)酸素透過度
Modern Control社製Oxtranにて22℃×60%RHの条件にて測定した。容器全体として内外における酸素透過度(内壁面を透過する酸素)を求めた。
(5)水分透過度
容器全体として内外における水分透過度(内壁面を透過する水分)を求めた。容器の水分透過度としては、容器各部屋に塩化カルシウムを入れ、ステンレス板で蓋を密封し、40℃×90%RHの条件下においた。時間経過するにつれ、塩化カルシウムが吸湿し重量が変化する。その変化量を測定することににより水分透過度を評価した。また、各部屋間の水分透過性の指標として、間仕切板を切出して、間仕切板の水分透過度を求めた。これは、Modern Control社製Oxtranにて40℃×90%RHの条件にて測定した。
評価結果を表2に示す。
【表2】
実施例1〜3では、高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給し、且つ、原料ガス供給量供給比(内壁面側/間仕切板壁面側)を調整することにより、酸素透過性及び水分透過性が共に低い間仕切板を備えたプラスチック容器を提供することが出来た。比較例1と比較すると実施例1では、容器全体としての酸素透過性は10.1倍、水分透過性は4.7倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は5.7倍改良されたことがわかる。実施例2では、容器全体としての酸素透過性は13.7倍、水分透過性は5.1倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は5.1倍改良されたことがわかる。実施例3では、容器全体としての酸素透過性は9.4倍、水分透過性は5.1倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は3.9倍改良されたことがわかる。高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給する効果により、製膜速度も比較的速かった。なお、マイクロ波導入効果と高周波導入効果の双方があるので、緻密な膜が得られやすく、クラックも少ない。ただし、実施例1〜3は高周波出力が多く、エッチング効果が現れてくるため、例えば、実施例5と比較して実施例1は、製膜速度がやや遅い。
実施例9では、比較例1と比較すると間仕切板の水分透過性が3.2倍改良であり、実施例1〜3と比較して劣っていた。しかし、容器全体としての酸素透過性は12.6倍、水分透過性は、5.4倍改良されたことがわかる。
実施例4では、高周波出力のみを供給し、且つ、原料ガス供給量供給比(内壁面側/間仕切板壁面側)を調整することにより、酸素透過性及び水分透過性が共に低い間仕切板を備えたプラスチック容器を提供することが出来た。比較例1と比較すると実施例4では、容器全体としての酸素透過性は7.2倍、水分透過性は4.5倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は3.4倍改良されたことがわかる。ただし、実施例1〜3と比較して、製膜速度が遅い。
実施例5〜6では、高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給するに際して、出力量を調整したものである。マイクロ波出力をメインとしてプラズマ密度の高密度化を重視した場合(実施例5)、マイクロ波によるプラズマ発生効果を抑えて、高周波出力をメインとして自己バイアス効果を強くした場合(実施例6)の両方の場合において、酸素透過性及び水分透過性が共に低い間仕切板を備えたプラスチック容器を提供することが出来た。高周波出力とマイクロ波出力を同時に供給する効果により、製膜速度も比較的速かった。実施例5では、高密度のプラズマをエッチング効果が然程現れない自己バイアス電圧にて原料イオンを引き付けてDLC膜を製膜したため、高速製膜された。DLC膜は緻密な膜であり、且つクラックも少ない。実施例6では実施例5ほどではないが、緻密性が高く、微細クラック量も少ない。
比較例1と比較すると実施例5では、容器全体としての酸素透過性は9.4倍、水分透過性は6.3倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は6.4倍改良されたことがわかる。同様に比較例1と比較すると実施例6では、容器全体としての酸素透過性は7.9倍、水分透過性は4.2倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は4.3倍改良されたことがわかる。
実施例7は容器の材質をPPに変更したものであるが、その影響は特に受けず、実施例1と同様である。比較例2と比較すると実施例7では、容器全体としての酸素透過性は3.7倍、水分透過性は3.7倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は3.8倍改良されたことがわかる。
実施例8は容器の材質をCOCに変更したものであるが、その影響は特に受けず、実施例1と同様である。比較例3と比較すると実施例8では、容器全体としての酸素透過性は9.0倍、水分透過性は4.2倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は5.0倍改良されたことがわかる。
実施例10では、原料ガス供給量供給比(内壁面側/間仕切板壁面側)が小さく、間仕切板に製膜したDLC膜の膜厚がやや大きかった。逆に内壁面に製膜したDLC膜の膜厚がやや薄くなったものの、容器全体としては水分・ガスバリア性を有していた。比較例1と比較すると実施例10では、容器全体としての酸素透過性は9.4倍、水分透過性は5.8倍改良されたことがわかる。また、各部屋ごとの水分透過性は3.0倍改良されたことがわかる。
比較例4は、製膜時間が短いので膜厚が小さい。比較例1と比較すると、容器全体としての酸素透過性は4.7倍とガスバリア性を有するものの、容器全体としての水分透過性は1.8倍改良され、各部屋ごとの水分透過性は1.6倍改良されているものの、本発明における3倍以上の改良という指標を満たしていない。
以上のことから、本実施例では高周波容量結合式放電方式とマイクロ波放電方式を効果的に組み合わせて各方法の製膜メカニズムとは異なる、高品質膜を生産性良く製膜することが出来た。これにより、間仕切板を備えたプラスチック容器にDLC膜を製膜して、水分・ガスバリア性を付与することが出来た。
また、高周波容量結合式放電方式の単独方式によっても、間仕切板を備えたプラスチック容器にDLC膜を製膜して、水分・ガスバリア性を付与することが出来た。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の一形態を示す概念図である。
図2は、図1のA−A’線における断面図を模式的に表した図であって、内部電極が平板形状のものを示す図である。
図3は、図1のA−A’線における断面図を模式的に表した図であって、第2形態の製造装置として内部電極を管状棒体とした場合を示す図である。
図4は、図1のA−A’線における断面図を模式的に表した図であって、第3形態の製造装置として導電体を内部電極である管状棒体の先端に連架した場合を示す図である。
図5は、本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の形態を示す図である。
図6は、本発明に係る本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置における内部電極の一形態を示す図であり、間仕切板壁面に製膜するDLC膜の膜厚を厚くつけるために設けた原料ガス供給口を有する内部電極構造を示す図である。(a)は、内壁面側、(b)は間仕切板壁面側の内部電極構造を示している。
図7は、本発明に係るDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の一形態で、プラズマ発生手段として真空チャンバに高周波出力のみを供給した場合を示す概念図である。
図中の符号の説明は次の通りである。1,51プラスチック容器、2,52容器外壁面、3,53容器内壁面、4,54間仕切板、5,55間仕切板壁面、6,56外部電極を兼ねた真空チャンバ、7,57容器内の部屋、8,58内部電極、9,59絶縁体、11窓(石英窓)、12,13原料供給口、20マイクロ波供給手段、21マイクロ波発生ユニット、22アイソレータ、23,32,82インピーダンス整合器(マッチングユニット)、24モード変換器、25導波管、30,80高周波出力供給手段、31,81高周波電源、40,90原料ガス供給手段、41,91原料ガス供給源、42,44,46,92,94,96真空バルブ、43,93マスフローコントローラー、45,95配管、47,97真空ポンプ、48,98シールドボックス、50導電体、100,200DLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置、である。
【0006】
本発明の第11の目的は、前記の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法において、プラスチック容器の間仕切板壁面にも水分・ガスバリア性を持たせた間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。間仕切板壁面にも水分・ガスバリア性を持たせる有益性については前述した通りである。
本発明の第12の目的は、間仕切板壁面に製膜される膜が水分・ガスバリア性の観点から劣るという不利益を、間仕切板壁面に向けて供給する原料ガス量と内壁面に向けて供給する原料ガス量とを所定の割合とし、差をつけることで、間仕切板壁面に製膜される膜の膜厚を厚くすることで補い、各壁面で水分・ガスバリアの均一性を確保した間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。
上記の各目的を達成させるための解決手段は、次の通りである。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成し、且つ前記間仕切板により形成した間仕切板壁面にDLC膜を形成した容器であって、前記間仕切板壁面に形成したDLC膜は、前記内壁面に形成した水分・ガスバリア性のDLC膜よりも膜厚を大きくして、水分・ガスバリア性のDLC膜としたことを特徴とする。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、
前記プラスチック容器を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバと、
前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された前記プラスチッ
本発明の第11の目的は、前記の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法において、プラスチック容器の間仕切板壁面にも水分・ガスバリア性を持たせた間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。間仕切板壁面にも水分・ガスバリア性を持たせる有益性については前述した通りである。
本発明の第12の目的は、間仕切板壁面に製膜される膜が水分・ガスバリア性の観点から劣るという不利益を、間仕切板壁面に向けて供給する原料ガス量と内壁面に向けて供給する原料ガス量とを所定の割合とし、差をつけることで、間仕切板壁面に製膜される膜の膜厚を厚くすることで補い、各壁面で水分・ガスバリアの均一性を確保した間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法を提供することである。
上記の各目的を達成させるための解決手段は、次の通りである。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成し、且つ前記間仕切板により形成した間仕切板壁面にDLC膜を形成した容器であって、前記間仕切板壁面に形成したDLC膜は、前記内壁面に形成した水分・ガスバリア性のDLC膜よりも膜厚を大きくして、水分・ガスバリア性のDLC膜としたことを特徴とする。
本発明に係る間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置は、間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、
前記プラスチック容器を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバと、
前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された前記プラスチッ
Claims (12)
- 間仕切板を備えたプラスチック容器は、該プラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面に水分・ガスバリア性のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を形成し、該間仕切板により形成した間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器。
- 前記間仕切板壁面に形成したDLC膜は、水分・ガスバリア性のDLC膜であることを特徴とする請求項1記載の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器。
- 間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD(化学気相成長)法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、
前記プラスチック容器を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバと、
前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に、前記真空チャンバを貫通するように挿入されたアース電位の内部電極と、
前記プラスチック容器内に原料系プラズマを発生させるために前記真空チャンバに接続された高周波出力供給手段と、
前記プラスチック容器内の各部屋それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段と、
を具備することを特徴とする間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置。 - 間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置であって、
前記プラスチック容器を囲繞する、外部電極を兼ねた真空チャンバと、
前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に、前記真空チャンバを貫通するように挿入されたアース電位の内部電極と、
前記プラスチック容器内にマイクロ波を導入することにより、該プラスチック容器内で原料ガス系プラズマを発生させるマイクロ波供給手段と、
前記プラスチック容器の内壁面に自己バイアス電圧を発生させて、該内壁面又は前記間仕切板壁面に対する前記原料ガス系プラズマのイオン入射エネルギーを制御するために前記真空チャンバに接続された高周波出力供給手段と、
前記プラスチック容器内の各部屋それぞれに原料ガスを導入する原料ガス供給手段と、
を具備することを特徴とする間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置。 - 前記原料ガス供給手段は、前記間仕切板壁面側に向けた1以上の該原料ガスの吹き出し供給口を設けたことを特徴とする請求項3又は4記載の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置。
- 前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に挿入された前記内部電極は、前記原料ガス系プラズマが該部屋内で均一に発生するように、複数の該内部電極が所定間隔で配置したことを特徴とする請求項3、4又は5記載の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置。
- 請求項6記載の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置において、複数の前記内部電極に導電体を連架したことを特徴とする間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置。
- 前記プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に挿入された前記内部電極は、前記原料ガス系プラズマが該部屋内で均一に発生するように、板形状の電極構造に形成したことを特徴とする請求項3、4又は5記載の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造装置。
- 間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法であって、
外部電極を兼ねた真空チャンバの内壁面と前記プラスチック容器の外壁面とがほぼ接するように該真空チャンバ内に該プラスチック容器を収納し、該真空チャンバに対して絶縁状態且つアース電位の内部電極を、前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された該プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に該プラスチック容器の開口部から挿入した後、
前記プラスチック容器内の前記各部屋に原料ガスを供給し、
前記真空チャンバに高周波出力を供給して前記原料ガス系プラズマを前記各部屋に発生させ、前記プラスチック容器の前記内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成させ、前記間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法。 - 間仕切板を備えたプラスチック容器の外壁面に対し表裏関係にある内壁面及び該間仕切板により形成した間仕切板壁面にプラズマCVD法によりDLC膜を製膜するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造方法であって、
外部電極を兼ねた真空チャンバの内壁面と前記プラスチック容器の外壁面とがほぼ接するように該真空チャンバ内に該プラスチック容器を収納し、該真空チャンバに対して絶縁状態且つアース電位の内部電極を、前記内壁面と前記間仕切板壁面により形成された該プラスチック容器内の各部屋それぞれの内部に該プラスチック容器の開口部から挿入した後、
前記プラスチック容器内の前記各部屋に原料ガスを供給し、
前記プラスチック容器内にマイクロ波を供給して、前記原料ガス系プラズマを前記各部屋に発生させるとほぼ同時に前記真空チャンバに高周波出力を供給して該プラスチック容器の前記内壁面に自己バイアス電圧を発生させることにより、該内壁面に水分・ガスバリア性のDLC膜を形成させ、前記間仕切板壁面にDLC膜を形成したことを特徴とする間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法。 - 請求項9又は10記載の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法において、前記間仕切板壁面に形成したDLC膜は水分・ガスバリア性を有することを特徴とする間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法。
- 前記間仕切板壁面に向けて供給する前記原料ガス量は、前記内壁面に向けて供給する前記原料ガス量の2〜10倍であることを特徴とする請求項9、10又は11記載の間仕切板付き水分・ガスバリア性プラスチック容器の製造方法。
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