JP4031654B2 - Cvd成膜装置及びcvd成膜装置用内部電極の清掃方法 - Google Patents

Cvd成膜装置及びcvd成膜装置用内部電極の清掃方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)法により、プラスチック容器の内表面にCVD膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜をコーティングするためのCVD成膜装置、特に内部電極の清掃機構を有するCVD成膜装置に関し、さらにCVD成膜装置用内部電極の清掃方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスバリア性等の向上の目的でプラスチック容器の内表面にDLC膜を蒸着するために、CVD法、特にプラズマCVD法を用いた蒸着装置が、例えば特開平8−53117号公報に開示されている。また、特開平10‐258825号公報には、DLC膜コーティングプラスチック容器の量産用製造装置及びその製造方法が開示されている。さらに、特開平10‐226884号公報には、外面から外方に突出する突出物を有する容器に、まだらなくDLC膜をコーティングすることができるDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置及びその製造方法が開示されている。
【0003】
特開平8−53117号公報では、DLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の内部電極は導電材料で形成され、原料ガス導入のための配管を兼ねている。この内部電極は原料ガス供給口を末端に有するパイプ形状を採る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平8−53117号公報の製造装置をはじめ、従来の製造装置では、プラスチック容器の内表面にDLC膜を成膜すると、その製造装置を構成する部材の一つである内部電極の外表面(パイプ外壁面)及び内表面(パイプ内壁面)に炭素を主成分とする膜状の電極汚れ(以下、「電極汚れ」という。)が付着してしまう。このため、プラスチック容器、例えばPETボトル(ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器)の内表面にDLC膜の成膜を次々と繰り返してDLC膜コーティングボトルを製造していくと、電極汚れの膜厚が徐々に厚くなる。そしてその膜厚がある厚さ(例えば5μm程度の厚さ)になると内部電極から剥がれ落ちてしまう。この剥がれ落ちた電極汚れはペットボトル内部に落ち、その結果、ペットボトル内部に落ちた電極汚れによってそのペットボトルの中に成膜されない部分が生じ、ガスバリア性を低下させ、不良品となってしまう。
【0005】
一方、電極汚れがペットボトル内部に剥がれ落ちることを防止するには次の方法が考えられる。つまり、電極汚れが剥がれ落ちる前に製造装置を分解して内部電極を取り外し、電極汚れが付着している内部電極の外表面及び内表面を作業者がヤスリで削る等して掃除する方法である。このように内部電極の外表面及び内表面を掃除すれば、ペットボトル内部に電極汚れが剥がれ落ちることを防止することができるはずである。
【0006】
このような方法を用いれば、ペットボトル内部に電極汚れが剥がれ落ちることは防止できる。しかし、電極汚れは、おおよそコーティング200〜400回行なう毎に除去しなければDLC膜コーティングプラスチック容器の品質が低下する為、頻繁に内部電極を分解して清掃しなければならない。するとDLC膜成膜装置の稼働率は著しく低下してしまう。
【0007】
また、内部電極に電極汚れが付着すると、プラズマ放電の不安定及び放電停止を招く。
【0008】
本発明の課題は、電極汚れを除去する為のDLC膜成膜装置の分解・点検の間隔を延ばして、DLC膜コーティングプラスチック容器の製造稼動効率を低下させないことにある。
【0009】
上記課題を達成する為に、本発明は、内部電極と電極汚れとの強固な付着を防止して、電極汚れを短時間にしかも容易に除去することができる内部電極清掃機構を備えたCVD成膜装置を提供することである。
【0010】
また本発明は、成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体を一回転させる間に製造サイクルを行なう量産機であるロータリー型プラズマCVD成膜装置においても、同様に内部電極と電極汚れとの強固な固着を防止して、電極汚れを短時間にしかも容易に除去して、分解・点検の間隔を延ばし、製造稼動効率を向上させることを目的とする。
【0011】
本発明は、内部電極に使用する基体素材として表面を研磨したSUS304とし、またその表面処理である硬質金合金メッキの材質を99.7Au-0.3Co、99.8Au-0.2Ni等の酸性硬質金メッキと限定することで、電極汚れと内部電極表面との反応を起こさせず、電極汚れをさらに容易に払拭除去可能とすることを目的とする。
【0012】
本発明では、布若しくはブラシを付設したクランパーと、布若しくはブラシで内部電極の側面を挟むクランパー作動手段と、布若しくはブラシと内部電極の側面との接触面を内部電極の軸方向に沿って摺動させる払拭機構とを備える汚れ除去手段を設けることで、成膜チャンバーの構成を複雑化することなく電極汚れを効率よく除去する清掃機構の一形態を提案することを目的とする。
【0013】
本発明では、回転支持体の回転に伴って移動する内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の内部電極の外表面を同時に布ベルトにて払拭する払拭機構を備える汚れ除去手段を設けることで、ロータリー型CVD成膜装置の回転支持体の動きを効果的に取り入れた清掃機構の一形態を提案することを目的とする。
【0014】
本発明では、回転支持体の回転に伴って移動する内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の内部電極の外表面を同時に静止した布ベルトで挟み、内部電極の移動によって外表面を払拭する払拭機構を備える汚れ除去手段を設けることで、ロータリー型CVD成膜装置の回転支持体の動きを効果的に取り入れた清掃機構の別形態を提案することを目的とする。
【0015】
本発明では、クランパーに付設した布又は布ベルトをロール状の巻取り布で供給することで、布若しくは布ベルトが電極汚れの付着により汚れ払拭能力が低下した場合でも装置を運転させたまま、電極汚れの付着のない未使用部分を露出させ、汚れ払拭能力を高く維持させることを目的とする。
【0016】
本発明では、剥落した電極汚れを除去する吸引除去機構を備える汚れ除去手段を設けることで、装置内部及びその周辺への電極汚れの飛散を防止することを目的とし、未コーティング容器内への電極汚れの混入を防いでコーティング不良の発生を防止することを目的とする。
【0017】
本発明では、内部電極の内口径を1.5mm以下とすることで、内部電極の管内部でのプラズマ発生を抑制して、内部電極の内表面、すなわち管内部での電極汚れの発生を防止することを目的とする。
【0018】
本発明では、特にDLC膜成膜装置において電極汚れを防止することを目的とする。この場合、電極汚れは炭化水素系化合物である。
【0019】
本発明は、CVD成膜装置の稼動時において、内部電極の電極汚れを除去する最適のタイミング及びその除去方法を提案し、CVD成膜装置の生産稼働率を低下させずに連続運転を可能とするCVD成膜装置用内部電極の清掃方法を提供することを目的とする。
【0020】
本発明の清掃方法は、ロータリー型CVD成膜装置の稼動時において、内部電極の電極汚れを除去する最適のタイミング及びその除去方法を提案し、同様に生産稼働率を低下させずに連続運転を可能とすることを目的とする。
【0021】
本発明の清掃方法は、通常のCVD成膜装置或いはロータリー型CVD成膜装置にかかわらず、成膜チャンバーから内部電極を抜出する動作を行ない、この動作を利用して電極汚れを払拭する汚れ除去工程を提案することを目的とする。
【0022】
本発明の清掃方法では、ロータリー型CVD成膜装置において、内部電極が回転支持体の回転に伴って移動する動作に着目して、ここの動作を利用した電極汚れを払拭する汚れ除去工程を二形態、すなわち布ベルトを積極的に動かすことを払拭動作とする形態と布ベルトを静止させて内部電極を回転支持体の回転に伴って移動させることを払拭動作とする形態の二形態を提案することを目的とする。さらに、複数の内部電極の外表面を同時に除去して、清掃効率を高めることを目的とする。
【0023】
本発明の清掃方法では、クランパーに付設した布又は布ベルトをロール状の巻取り布で供給することで、布若しくは布ベルトが電極汚れの付着により汚れ払拭能力が低下した場合でも装置を運転させたまま、電極汚れの付着のない未使用部分を露出させ、汚れ払拭能力を高く維持することを可能とすることを目的とする。
【0024】
本発明の清掃方法では、汚れ除去工程において、剥落した電極汚れを吸引除去する吸引除去工程を同時に行なう一形態を提案し、装置内部及びその周辺への電極汚れの飛散を防止することを目的とし、未コーティング容器内への電極汚れの混入を防いでコーティング不良の発生を防止することを目的とする。
【0025】
本発明の清掃方法では、汚れ除去工程において剥落した電極汚れを積極的にコーティング済み容器内に落として収容し、容器取出工程終了後、電極汚れを洗浄除去する別形態を提案し、装置内部及びその周辺への電極汚れの飛散を防止することを目的とし、未コーティング容器内への電極汚れの混入を防いでコーティング不良の発生を防止することを目的とする。
【0026】
本発明の清掃方法では、前述の全清掃方法において、金属汚れが固着しにくい内部電極を限定することで、汚れ除去工程において払拭動作を滑らかに進めることを目的とする。金属汚れを固着させないため、払拭動作を行なう汚れ除去工程において相乗効果が期待できる。
【0027】
本発明は、DLC膜をプラスチック容器の内表面に成膜する場合において最適な清掃方法を提案することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明のCVD成膜装置は、プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される接地した内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内の挿入時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体と、各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、前記外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段とを備え、前記回転支持体を一回転させる間に、前記プラスチック容器の容器装着手段、該プラスチック容器内を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整手段、該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜手段、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整手段並びに容器取出手段の各手段を順次作動させるロータリー型プラズマCVD成膜装置であって、該ロータリー型プラズマCVD成膜装置は、前記成膜後ガス調整手段作動後から前記容器装着手段作動前の状態にある内部電極の外表面を機械的に払拭する汚れ除去手段を備え、且つ前記内部電極は導電性管状基体で形成したことを特徴とする。言い換えれば、本発明のCVD成膜装置は、プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される接地した内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内の挿入時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体と、各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、前記外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段とを備えたロータリー型プラズマCVD成膜装置であって、該ロータリー型プラズマCVD成膜装置は、前記内部電極の外表面を機械的に払拭する汚れ除去手段を備え、且つ前記内部電極は導電性管状基体で形成したことを特徴とする。ここで前記導電性管状基体は、硬質金合金メッキが施されていることが好ましい。
【0031】
さらに本発明のCVD成膜装置では、前記汚れ除去手段は、布若しくはブラシを付設したクランパーと、該布若しくは該ブラシで前記内部電極の側面を挟むクランパー作動手段と、該布若しくは該ブラシと該内部電極の側面との接触面を該内部電極の軸方向に沿って摺動させる払拭機構とを備えることが好ましい。
【0032】
本発明のCVD成膜装置では、前記汚れ除去手段は、前記回転支持体の回転に伴って移動する前記内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の該内部電極の外表面を同時に布ベルトにて払拭する払拭機構を備えることが好ましい。
【0033】
また本発明のCVD成膜装置では、前記汚れ除去手段は、前記回転支持体の回転に伴って移動する前記内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の該内部電極の外表面を同時に静止した布ベルトで挟み、該内部電極の移動によって該外表面を払拭する払拭機構を備えることが好ましい。
【0034】
本発明のCVD成膜装置では、クランパーに付設した前記布又は前記布ベルトは、ロール状の巻取り布であることが好ましい。
【0035】
本発明のCVD成膜装置では、前記汚れ除去手段にて剥落した電極汚れを除去する吸引除去機構を備えることが好ましい。
【0037】
さらに本発明のCVD成膜装置では、前記CVD膜はDLC膜であることが好ましい。
【0038】
本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法は、プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される接地した内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内の挿入時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバーに前記プラスチック容器を装着する容器装着工程、該プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整工程、前記外部電極に高周波出力を供給して前記プラスチック容器内で前記原料ガスをプラズマ化させて、該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜工程、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整工程並びに前記コーティング済み容器を取り出す容器取出工程とを有するCVD膜コーティングプラスチック容器の製造サイクルを所定回数繰り返した後、
前記成膜後ガス調整工程後から前記容器装着工程前の状態にある内部電極の外表面に付着した電極汚れを、布により払拭するか、或いはブラシによりブラッシングして除去する汚れ除去工程を行なうことを特徴とする。
【0039】
また本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法では、前記成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体が一回転する間に、該成膜チャンバーにて前記製造サイクルを一回行なうように該製造サイクルを所定回数行なった後、前記成膜後ガス調整工程後から前記容器装着工程前の状態にある内部電極に対して前記汚れ除去工程を行なうことが好ましい。
【0040】
さらに本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法は、前記汚れ除去工程は、前記成膜チャンバーから前記内部電極を抜出する開始時に、布若しくはブラシで該内部電極の側面を挟み、該布若しくは該ブラシと該内部電極との接触部を該内部電極の抜出に伴って該内部電極の軸方向に摺動させて、該内部電極の外表面に付着した電極汚れを除去する工程であることが好ましい。
【0041】
また本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法では、前記汚れ除去工程は、前記成膜チャンバーから前記内部電極を抜出した後に、前記回転支持体の回転に伴って移動する前記内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の該内部電極の外表面を同時に布ベルトにて払拭する工程であることが好ましい。
【0042】
さらに本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法では、前記汚れ除去工程は、前記成膜チャンバーから前記内部電極を抜出した後に、前記回転支持体の回転に伴って移動する前記内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の該内部電極の外表面を同時に静止した布ベルトで挟み、前記回転支持体の回転に伴う該内部電極の移動によって該外表面を払拭する工程であることが好ましい。
【0043】
また本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法では、クランパーに付設した前記布又は前記布ベルトは、ロール状の布で供給し、該ロール状の布は、払拭に伴う電極汚れの付着に応じて順次巻き送って、未使用部分を露出させることが好ましい。
【0044】
さらに本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法では、前記汚れ除去工程において、剥落した電極汚れを吸引除去する吸引除去工程を同時に行なうことが好ましい。
【0045】
さらに本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法では、前記成膜後ガス調整工程終了後から前記容器取出工程開始までの間に前記汚れ除去工程を行ない、剥落した電極汚れを積極的に前記コーティング済み容器内に落として収容し、その後、該コーティング済み容器内に収容した前記電極汚れを洗浄除去することが好ましい。
【0046】
本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法では、硬質金合金メッキを施した導電性管状基体で形成した内部電極を使用することが好ましい。
【0047】
また本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法では、原料ガスとして炭化水素系ガス若しくはSi含有炭化水素系ガスを使用し、前記CVD膜としてDLC膜を成膜することが好ましい。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を複数挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されない。また、各図面において部材が共通する場合には、同一の符号を附した。以下本発明の実施形態を図1〜17に基づいて説明する。
【0049】
[バッチ方式型CVD成膜装置]
図1は、本発明に係るCVD成膜装置の基本構成の関係を示した概念図である。本発明に係るCVD成膜装置は、成膜チャンバーと、成膜チャンバーに装着する各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、成膜チャンバーの外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段と、硬質金合金メッキを施した導電性管状基体で形成した内部電極の外表面を機械的に払拭する汚れ除去手段とを備えたプラズマCVD成膜装置であり、外部電極に高周波を供給してプラスチック容器内で原料ガスをプラズマ化させて、プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜する装置である。このCVD成膜装置は、1個の成膜チャンバー或いは複数の成膜チャンバーを据付したものであり、例えば全ての成膜チャンバーにて同時に製膜を行なうバッチ方式型CVD成膜装置である。
【0050】
図2は、図1のうち一の成膜チャンバーに着目して、その構成を示した概念図である。図2に示すように成膜チャンバー6は、プラスチック容器7を収納する外部電極3とプラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される接地した内部電極9並びに蓋5とから構成され、密封可能な真空室を形成する。
【0051】
蓋5は、導電部材4b及び絶縁部材4aとから構成し、内部電極9がプラスチック容器7内に挿入時に内部電極9と外部電極3とを絶縁状態とする。
【0052】
導電部材4bの下に絶縁部材4aが配置されて蓋5を形成し、外部電極3は、絶縁部材4aの下に配置されている。この外部電極3は、上部外部電極2と下部外部電極1からなり、上部外部電極2の下部に下部外部電極1の上部がOリング8を介して着脱自在に取り付けられるよう構成されている。上部外部電極2と下部外部電極1を脱着することでプラスチック容器7を装着することができる。また、外部電極3は絶縁部材4aによって蓋5と絶縁されている。
【0053】
なお、本実施形態では外部電極3を下部外部電極1と上部外部電極2の2つに分割しているが、CVD膜の膜厚等の均一化を図るため、外部電極を例えば底部電極、胴部電極及び肩部電極のように3つ、あるいはそれ以上に分割し、各電極は例えばOリング等を挟んでシール性を確保しつつ、テフロンシートやポリイミドフィルム或いはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)フィルムで電気的に絶縁しても良い。
【0054】
外部電極3の内部には空間が形成されており、この空間はコーティング対象のプラスチック容器、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器であるPETボトル7を収容するための収納空間である。外部電極3内の収納空間は、そこに収容されるPETボトル7を収納できるように形成される。ここで、PETボトルの外形よりも僅かに大きくなるように形成されることが好ましい。すなわち、容器の収納空間の内壁面はプラスチック容器の外側近傍を囲む形状とすることが好ましい。ただし、プラスチック容器の内表面にバイアス電圧がかかる場合には、外部電極の収納空間の内壁面をプラスチック容器の外側近傍を囲む形状とする必要はない。蓋5には、外部電極3内の収納空間につながる開口部が設けられている。また、蓋5の内部には空間が設けられており、この空間は上記開口部を介して外部電極3内の収納空間につながっている。外部電極3内の収納空間は、上部外部電極2と下部外部電極1の間に配置されたOリング8によって外部から密閉されている。
【0055】
内部電極9は、外部電極3内に配置され、且つプラスチック容器7の内部に配置される。すなわち、導電部材4bの上部から導電部材4b内の空間、導電部材4bと絶縁部材4aの開口部を通して、外部電極3内の空間に内部電極9が差し込まれている。内部電極9の基端は導電部材4bの上部に配置される。一方、内部電極9の先端は、外部電極3内の空間であって外部電極3内に収容されたPETボトル7の内部に配置される。内部電極9は、その内部が中空からなる管形状を有している。内部電極9の先端にはガス吹き出しロ49が設けられている。さらに内部電極は接地される。
【0056】
内部電極9は、硬質金合金メッキを施した導電性管状基体で形成する。このとき導電性管状基体は、表面を研磨したSUS304で形成することが好ましい。SUS304とするのは、耐食性及び高強度の理由による。研磨は機械加工による研磨とし、バフ#600の鏡面に仕上ることが好ましい。
【0057】
硬質金合金メッキとするのは、電極汚れとの反応を抑えるためである。メッキ厚みは2〜10μmとすることが好ましく、さらに硬質金合金メッキ種類は99.7Au-0.3Co、99.8Au-0.2Ni等の酸性硬質金メッキであることが好ましい。純金メッキは耐食性が最良であるが、耐摩耗性、硬さなどの機械的強度が弱い。酸性硬質金メッキ(99.7Au-0.3Co、99.8Au-0.2Ni)は、耐食性、耐摩耗性、硬さなどの機械的強度も改良されているため内部電極のメッキ材としてはよい。その他の金合金(25Ag、20Cu)の硬さは酸性硬質金メッキより硬いが、耐摩耗性及び耐食性で劣る。金メッキ方法はSUS304の機械加工による研磨(バフ#600の鏡面に仕上げ)したものに、ニッケルの無電解メッキをしてその上に金メッキを行なう方法とする。
【0058】
内部電極9の内口径は、内部電極の管内部でのプラズマ発生を防止するため1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下とすることが好ましい。内口径を1.5mm以下とすることにより、内部電極の管内部における電極汚れの発生を抑制できる。また、内部電極の肉厚は、機械的強度確保のため1mm以上とすることが好ましい。
【0059】
内部電極を上述のように形成することで、電極汚れの固着を防止し、プラズマ放電を安定化させることができる。
【0060】
本発明において外部電極は、図3に示すように、1本1本独立した容器収納孔を複数有する複数一体型外部電極にしても良い。複数一体型外部電極とは、複数のプラスチック容器を並列かつそれぞれ独立に収納した状態で収容可能な収納空間を有する一柱体からなる柱状外部電極であり、各収納空間の中心軸は、柱状外部電極の軸心と平行で、且つ柱状外部電極の同一断面同一円周上に位置し、収納空間同士を均等間隔に配置するものである。図3では、一の外部電極3に4つの独立した容器収納孔を設けた場合を示している。一の外部電極3に対して容器収納孔それぞれに内部電極9a〜9dが設けてある。図4に複数一体型外部電極の場合におけるCVD成膜装置の模式図を示した。基本構造は、図2に示した場合と同様であるが、複数一体型外部電極としたため、複数の内部電極はそれぞれ接地して、且つ原料ガスも各容器に供給可能な配管となっている。図3に示すように外部電極3の内部には空間が4つ形成されて複数一体型の構造を採っているが、この空間はコーティング対象のプラスチック容器である、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂で成形されたペットボトル(PETボトル)7a〜7dを4本収容するためのものである。外部電極3内の収納空間の形状は、図2の場合と同様である。図4のB-B’横断面図である図5に示すように、外部電極の中心χ1から半径aの円周S上にペットボトル7a〜7dの収納空間の中心である7ax〜7dx(それぞれ×で示した点)が、均等間隔で配置されるように収納空間を配置する。高周波出力は高周波出力供給ロッド30に導入する。ここで7ax〜7dxを均等間隔で配置する。図3(a)に示した複数一体型外部電極は、円柱状の柱状外部電極であるが、角柱あるいは各容器収納空間を近似的に均一な肉厚で囲む形状が複合して形成した一柱体からなる柱状構造でも良い。外部電極3の容器下部外部電極1は、図3に示す外部電極3の容器下部外部電極1の底面と中心軸Xとの交点χ2を高周波出力供給点としている。高周波出力供給ロッド30には導電ケーブルや導電性金属棒が用いられる。また高周波出力供給ロッド接続コンタクト32は、容器の出し入れ時に容器下部外部電極と容器上部外部電極とを組み立る場合に導通接点の役目を果たすものである。なお、高周波出力供給点χ2を容器下部外部電極に設けているが、容器下部外部電極1であって各プラスチック容器の底面付近の4箇所に分配して接続点を設けるか、あるいは外部電極の内部であって中心軸X上で接続等することも可能である。いずれにしても接続点の変更は、各プラスチック容器内で均等なプラズマを発生させることが可能な範囲内で適宜可能である。なお、本実施形態では、1個の外部電極の内部に4本のプラスチック容器を収納する場合を説明したが、4本以外であっても複数本のプラスチック容器を収納することが可能な外部電極を用いる形態を取ることもできる。外部電極として複数一体型外部電極とすることで、装置小型化、高周波電源の使用個数の低減を図ることができるばかりではなく、汚れ除去手段の小型化が可能となる。すなわち、通常の外部電極と比較して内部電極同士の間隔を狭くすることができるため、同じ大きさの汚れ除去手段でも同時に多くの内部電極の電極汚れを除去できる。
【0061】
本発明に係る容器とは、蓋若しくは栓若しくはシールして使用する容器、またはそれらを使用せず開口状態で使用する容器を含む。開口部の大きさは内容物に応じて決める。プラスチック容器は、剛性を適度に有する所定の肉厚を有するプラスチック容器と剛性を有さないシート材により形成されたプラスチック容器を含む。本発明に係るプラスチック容器の充填物は、炭酸飲料若しくは果汁飲料若しくは清涼飲料等の飲料、並びに医薬品、農薬品、又は吸湿を嫌う乾燥食品等を挙げることができる。
【0062】
本発明のプラスチック容器を成形する際に使用する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンテレフタレート系コポリエステル樹脂(ポリエステルのアルコール成分にエチレングリコールの代わりに、シクロヘキサンディメタノールを使用したコポリマーをPETGと呼んでいる、イーストマン製)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、を例示することができる。この中で、PETが特に好ましい。
【0063】
図2において、原料ガス導入手段41は、プラスチック容器7の内部に原料ガス発生源20から供給される原料ガスを導入する。すなわち、内部電極9の基端には、配管11の一方側が接続されており、この配管11の他方側は真空バルブ16を介してマスフローコントローラー19の一方側に接続されている。マスフローコントローラー19の他方側は配管を介して原料ガス発生源20に接続されている。この原料ガス発生源20はアセチレンなどの炭化水素ガス等を発生させるものである。
【0064】
図1に示すように原料ガス導入手段は、各成膜チャンバーに原料ガスを供給する。成膜チャンバーごとに原料ガス供給手段を設置しても良いが、一の原料ガス発生源によって、全ての成膜チャンバーに原料ガスを導入しても良い。この場合、原料ガス発生源とマスフローコントローラーとの間に、成膜チャンバーの数に応じた分岐配管を設ける。ここで、マスフローコントローラーは成膜チャンバーの数と同数設置する。いずれにしても、各成膜チャンバーに所定量の原料ガスを供給することができればよい。
【0065】
原料ガスとしては、例えば、DLC膜を成膜する場合、常温で気体又は液体の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類などが使用される。特に炭素数が6以上のベンゼン,トルエン,o-キシレン,m-キシレン,p-キシレン,シクロヘキサン等が望ましい。食品等の容器に使用する場合には、衛生上の観点から脂肪族炭化水素類、特にエチレン、プロピレン又はブチレン等のエチレン系炭化水素、又は、アセチレン、アリレン又は1―ブチン等のアセチレン系炭化水素が好ましい。これらの原料は、単独で用いても良いが、2種以上の混合ガスとして使用するようにしても良い。さらにこれらのガスをアルゴンやヘリウムの様な希ガスで希釈して用いる様にしても良い。また、ケイ素含有DLC膜を成膜する場合には、Si含有炭化水素系ガスを使用する。
【0066】
本発明でいうDLC膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a−C:H) と呼ばれる膜のことであり、硬質炭素膜も含まれる。またDLC膜はアモルファス状の炭素膜であり、SP結合も有する。このDLC膜を成膜する原料ガスとしては炭化水素系ガス、例えばアセチレンガスを用い、Si含有DLC膜を成膜する原料ガスとしてはSi含有炭化水素系ガスを用いる。このようなDLC膜をプラスチック容器の内表面に形成することにより、炭酸飲料や発泡飲料等の容器としてワンウェイ、リターナブルに使用可能な容器を得る。
【0067】
導電部材4b内の空間は配管13の一方側に接続されており、配管13の他方側は真空バルブ18を介して真空ポンプ21に接続されている。この真空ポンプ21は排気ダクト29に接続されている。複数の成膜チャンバーがあるため、一つの真空ポンプに排気系統を集約して排気を行なっても良く、或いは複数の真空ポンプで分担して排気を行なっても良い。
【0068】
図6に示すように、高周波供給手段は、外部電極ごとに具設した固定整合器(図中は、先端M.Bと表記する)と、1以上の高周波電源と、高周波電源ごとに具設した自動整合器と、固定整合器まで自動整合器から受けた高周波を均等に供給する高周波分配手段とを備える。
【0069】
固定整合器は、外部電極それぞれに具設され、同軸ケーブルによって供給される高周波と外部電極内で生成するプラズマとのインピーダンス整合を行なう。固定整合器を外部電極は、例えば数Ωの銅板配線によって接続する。
【0070】
高周波電源は、プラスチック容器内で原料ガスをプラズマ化するためのエネルギーである高周波を発生させるものである。マッチングを素早く行ない、プラズマ着火に要する時間を短縮させるために、トランジスタ型高周波電源であり、且つ周波数可動式か或いは電子式でマッチングを行なう高周波電源であることが好ましい。高周波電源の周波数は、100kHz〜1000MHzであるが、例えば、工業用周波数である13.56MHzのものを使用する。
【0071】
自動整合器から固定整合器に至るまでの配線は、同軸ケーブルで接続する。同軸ケーブルは例えば特性インピーダンス50Ωのものとする。ここで自動整合器は、同軸ケーブル上でのインピーダンス変動を調整するものである。
【0072】
高周波分配手段は、一の高周波電源から供給される高周波を複数の外部電極に分配するためのものであり、例えば、図7に示した分配回路とする。コイルと抵抗とコンデンサにより構成するパラレル型回路或いはカスケード型回路が例示できる。
【0073】
図1の汚れ除去手段は内部電極の外表面を機械的に払拭する手段であり、図8に汚れ除去手段の第1実施形態を図示する。汚れ除去手段は、布若しくはブラシ64を付設したクランパー61と、布若しくはブラシ64で内部電極9の側面を挟むクランパー作動手段63と、布若しくはブラシ64と内部電極9の側面との接触面を内部電極9の軸方向に沿って摺動させる払拭機構60とを備える。
【0074】
クランパー61の当接部62に付設する布としては、帯電防止糸で超極微細繊維を使用しているポリエステル繊維等を織った拭き取りクロス、ネル布、タオル地が例示できる。また、有機高分子素材をスポンジ形状としたものでも良い。
【0075】
クランパー61の当接部62に付設したブラシとしては、馬毛ブラシ、豚毛ブラシ、ナイロンブラシ、ウレタン系ブラシが例示できる。
【0076】
クランパーに付設した布64は、ロール状の巻取り布66であることが好ましい。例えば、図9に図示したように巻取り機67を設置して、ロール状の巻取り布66を装着する。図9(a)のようにロール状の巻取り布66を1組のクランパー61で使用しても良いし、図9(b)のように複数のクランパーで使用しても良い。
【0077】
クランパー作動手段63は、クランパー61を保持し、内部電極9をクランパー61で挟む装置であり、油圧式、エア圧式により作動させる。
【0078】
払拭機構60は、布若しくはブラシ64と内部電極9の側面との接触面を内部電極9の軸方向に沿って摺動させる装置であり、例えば図8に図示したように内部電極を釣支し、且つ成膜チャンバーから抜出させる装置である。油圧式、エア圧式により作動させる。
【0079】
CVD成膜装置は、図8に示したように、汚れ除去手段にて剥落した電極汚れを除去する吸引除去機構65を備えることが好ましい。吸引除去機構65は、開放状態にある下部外部電極1と上部外部電極2との間に配置可能に設置し、上部外部電極2の下方より吸引して、電極汚れを除去する。なお、成膜チャンバーを複数設置する場合には、上部外部電極2の下方よりまとめて吸引して、電極汚れを除去しても良い。
【0080】
[ロータリー型CVD成膜装置]
ロータリー型とは、回転支持体が一周する間に成膜チャンバーが一製造サイクルを行なうCVD成膜装置をロータリー型と分類し、上記バッチ方式型と区別する。本発明のCVD成膜装置は、図10に基本構成を示したようにロータリー型の形態も有する。本発明では、回転支持体を一定速度で回転させることが好ましい。
【0081】
以下、ロータリー型CVD成膜装置について説明する。本発明に係るロータリー型CVD成膜装置は、回転支持体を1回転させる間に、プラスチック容器の容器装着手段、プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整手段、プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜手段、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整手段並びに容器取出手段の各手段を順次作動させる成膜装置であり、硬質金合金メッキを施した導電性管状基体で形成した内部電極を配置する成膜チャンバーと、成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体と、各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段と、前記成膜後ガス調整手段作動後から前記容器装着手段作動前の状態にある内部電極の外表面を機械的に払拭する汚れ除去手段を備える。
【0082】
バッチ方式型CVD成膜装置とロータリー型CVD成膜装置とでは、図2に示した成膜チャンバー6の基本構成、内部電極の素材、プラスチック容器7、原料ガス導入手段41について同様であるので、異なる点について下記の通り説明する。
【0083】
プラスチック容器の容器装着手段は、成膜チャンバー内の容器収納孔に容器を装着させるための手段であり、例えば、具体的には容器を収納するために上部外部電極2と下部外部電極1とを開口させる手段である。図10のように未コーティングプラスチック容器は、例えばコンベアから容器を別個に取り出して成膜チャンバー内の容器収納孔に投入する容器装着ハンドリング装置(未図示)によって供給する。
【0084】
成膜前ガス調整手段は、プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する手段であり、原料ガス導入手段と真空ポンプの排気とを協同させるものである。
【0085】
CVD成膜手段は、プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜する手段であり、成膜チャンバーにおいて高周波供給手段と原料ガス導入手段と排気手段とを協同させるものである。ここで、排気手段とは、真空バルブ18、真空ポンプ21及び排気ダクト29とから構成する。
【0086】
成膜後ガス調整手段は、成膜チャンバー及びプラスチック容器内の残存した原料ガスを除去し、さらに成膜後にプラスチック容器内を大気圧開放させる手段であり、排気手段と大気開放弁17とを協同させるものである。
【0087】
容器取出手段は、成膜チャンバー内の容器収納孔から容器を取出させるための手段であり、例えば容器を取出するために上部外部電極2と下部外部電極1とを開口させる手段である。図10のようにコーティング済み容器は、例えば成膜チャンバー内の容器収納孔から容器を取出する容器取出ハンドリング装置(未図示)によってコンベアに載せられ、搬出される。
【0088】
図11に示すように、高周波供給手段は、外部電極ごとに具設した固定整合器(先端M.B)と、1以上の高周波電源と、高周波電源ごとに具設された自動整合器(自動マッチングボックス)と、CVD成膜手段を作動させる成膜チャンバーに対して固定整合器を介して自動整合器から受けた高周波を均等に供給する高周波分配手段(分配器)と、高周波電源のうち、CVD成膜手段の作動開始時及び作動終了時の状態にある外部電極に対して高周波の供給を担当する高周波電源の出力制御を行なうための高周波電源出力制御手段とを備える。
【0089】
固定整合器、高周波電源及び自動整合器は、バッチ方式型CVD成膜装置の場合と同様である。
【0090】
高周波電源出力制御手段は、高周波電源のうち、CVD成膜手段の作動開始時及び作動終了時の状態にある外部電極に対して、コールドスイッチングを実現させるための制御手段である。高周波を外部電極に供給開始する際に、高周波電源の出力を一旦オフとする信号を発信し、切換器の切換作業終了後に高周波電源の出力をオンとする信号を発信するものである。なお、CVD成膜手段の作動開始時及び作動終了時は、例えば、回転支持体の回転角度の検出と連動して検知させる。
【0091】
高周波分配手段は、一の高周波電源から供給される高周波を複数の外部電極に分配するためのものである。バッチ方式型CVD成膜装置の場合とは異なり、ロータリー型に対応して回転支持体の回転角度に合わせて一部の成膜チャンバーにのみにスムースに高周波を供給するため、図7に示した分配回路と切換スイッチ(リレー)とを組み合わせて構成する。例えば、図12又は図13で示した高周波分配手段の形態が例示できる。
【0092】
ロータリー型CVD成膜装置を示す図10では、容器取出手段作動後から容器装着手段作動前の状態の内部電極を清掃する装置を示したが、成膜後ガス調整手段作動後から容器取出手段作動前の状態にある内部電極について清掃をする装置としても良い。この場合、容器内部に電極汚れを積極的に収容することができる装置となる。
【0093】
図10の汚れ除去手段は、内部電極の外表面を機械的に払拭する手段であり、ロータリー型CVD成膜装置では、数種の実施形態があるため、下記に実施形態に分けて説明する。
【0094】
[第1実施形態]
図14に第1実施形態を示す。汚れ除去手段68は、容器取出手段作動後から容器装着手段作動前の状態にある内部電極、例えば図14では3個の成膜チャンバーa、b、cに対応する内部電極9の外表面を機械的に払拭する汚れ除去手段である。
【0095】
汚れ除去手段68は、バッチ方式型CVD成膜装置の汚れ除去手段の第1実施形態と同じ構成を採る。すなわち本実施形態の汚れ除去手段68は、布若しくはブラシ64を付設したクランパー61と、布若しくはブラシ64で内部電極9の側面を挟むクランパー作動手段63と、布若しくはブラシ64と内部電極9の側面との接触面を内部電極9の軸方向に沿って摺動させる払拭機構60とを備える。
【0096】
布若しくはブラシ64、クランパー作動手段63、払拭機構60及び吸引除去機構65は、バッチ方式型CVD成膜装置の汚れ除去手段の第1実施形態で説明した通りである。図9に示したロール状の巻取り布66も使用できる。
【0097】
[第2実施形態]
図15に第2実施形態を示す。汚れ除去手段72は、容器取出手段作動後から容器装着手段作動前の状態にある内部電極9、例えば図15では3個の成膜チャンバーa、b、cに対応する内部電極の外表面を機械的に払拭する汚れ除去手段である。
【0098】
汚れ除去手段は、回転支持体の回転に伴って移動する内部電極9が形成する軌道面71の両側面から、複数の内部電極9の外表面を同時に布ベルト70にて払拭する払拭機構72を備える。
【0099】
回転支持体の回転に伴って移動する内部電極9が形成する軌道面71は、回転支持体の中心を中心として内部電極9が移動する際に形成する円筒の側面である。
【0100】
布ベルト70は、内部電極の長さに相当する幅の布であり、素材として帯電防止糸で超極微細繊維を使用しているポリエステル繊維等を織った拭き取りクロス、ネル布、タオル地が例示できる。
【0101】
払拭機構72は、布ベルト70をコンベアのようにループ形状にして、布ベルトをループ式に動かすものである。したがって、ループ式に動かすための動力手段(不図示)が必要である。また、払拭機構72は、図16に図示するように布ベルト70をロール状の巻取り布66で供給しても良い。この場合払拭機構72は、布ベルトの巻取り装置であり、軌道面71を挟むようにロール状の巻取り布66を一方へ巻き取ることが可能となる。
【0102】
本実施形態においても、図15に示したように、剥落した電極汚れを除去する吸引除去機構65を設置することが好ましい。
【0103】
[第3実施形態]
図17で示すように汚れ除去手段は、回転支持体の回転に伴って移動する内部電極9が形成する軌道面71の両側面から、複数の内部電極9の外表面を同時に静止した布ベルト70で挟み、内部電極9の移動によって外表面を払拭する払拭機構72を備える。第2実施形態と同様の構成(図15)を採る。第2実施形態と異なる点は布ベルト70を静止させるため、払拭機構72として布ベルト70をループ状に動かす動力手段が不要となることである。
【0104】
したがって、軌道面71、布ベルト70、布ベルトの素材の選択並びに布ベルトとしてロール状の巻取り布66の採用については、第2実施形態と同様である。
【0105】
図14、図15又は図17では、成膜チャンバーa、b、cに対応する内部電極を清掃する汚れ除去手段を図示したが、装置の規模により容器取出手段作動後から前記容器装着手段作動前の状態にある内部電極の本数を適宜変えることができるため、その本数に応じて汚れ除去手段の規模を調整することができる。
【0106】
次に、本発明のCVD成膜装置を用いて容器の内部にDLC膜を成膜する方法について説明する。まず、バッチ方式型及びロータリー型において共通である製造サイクルについて説明しながら、DLC膜を成膜する方法を述べる。
【0107】
まず、図2を用いて、成膜チャンバー内にプラスチック容器を装着する容器装着工程について説明する。成膜チャンバー内は、真空バルブ17を開いて大気開放されており、外部電極3の下部外部電極1が上部外部電極2から取り外された状態となっている。コンベア(不図示)から供給された未コーティングのPETボトル(図1の未成膜容器)を容器装着ハンドリング装置(不図示)によって抜き出し、図2に示すように、上部外部電極2の下側から上部外部電極2内の空間にPETボトル7を差し込み、設置する。この際、内部電極9はPETボトル7内に挿入された状態になる。次に、下部外部電極1を上部外部電極2の下部に装着し、外部電極3はOリング8によって密閉される。
【0108】
次に、プラスチック容器7の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整工程について説明する。図2に示すように、真空バルブ17を閉じた後、真空バルブ18を開き、真空ポンプ21を作動させる。これにより、PETボトル7内を含む成膜チャンバー6内が配管13を通して排気され、成膜チャンバー6内が真空となる。このときの成膜チャンバー6内の圧力は2.6〜66Pa(2×10-2〜5×10-1Torr)である。
【0109】
次に、真空バルブ16を開き、原料ガス発生源20において炭化水素ガスを発生させ、この炭化水素ガスを配管22内に導入し、マスフローコントローラー19によって流量制御された炭化水素ガスを配管11及びアース電位の内部電極9を通してガス吹き出しロ49から吹き出す。これにより、炭化水素ガスがPETボトル7内に導入される。そして、成膜チャンバー6内とPETボトル7内は、制御されたガス流量と排気能力のバランスによって、DLC成膜に適した圧力(例えば6.6〜665Pa程度(0.05〜5.0Torr程度)に保たれ、安定化させる。
【0110】
次に外部電極3に高周波出力を供給してプラスチック容器7内で原料ガスをプラズマ化させてプラスチック容器7の内表面にDLC膜を成膜するCVD成膜工程について説明する。CVD成膜工程に入った成膜チャンバー6は、高周波供給手段によりRF出力(例えば13.56MHz)が供給される。これにより、外部電極3と内部電極9間にプラズマを着火する。このとき、自動整合器14は、出力供給している電極全体からの反射波が最小になるように、インダクタンスL、キャパシタンスCによってインピーダンスを合わせている。固定整合器は、同軸ケーブルのインピーダンスをプラズマのインピーダンスに変換している。これによって、PETボトル7内に炭化水素系プラズマが発生し、DLC膜がPETボトル7の内表面に成膜される。このときの成膜時間は数秒程度と短いものとなる。次に、高周波供給手段からのRF出力を停止し、プラズマを消滅させてDLC膜の成膜を終了させる。ほぼ同時に真空バルブ16を閉じて原料ガスの供給を停止する。
【0111】
次に、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整工程について説明する。成膜チャンバー6内及びPETボトル7内に残存した炭化水素ガスを除くために、真空バルブ18を開き、成膜チャンバー6内及びPETボトル7内の炭化水素ガスを真空ポンプ21によって排気する。その後、真空バルブ18を閉じ、排気を終了させる。このときの成膜チャンバー6内の圧力は6.6〜665Pa(0.05〜5.0Torr)である。この後、真空バルブ17を開く。これにより、空気が蓋5内の空間、外部電極3内の空間に入り、成膜チャンバー6内が大気開放される。
【0112】
次にコーティング済み容器を取り出す容器取出工程について説明する。外部電極3の下部外部電極1が上部外部電極2から取り外された状態とする。上部外部電極2内の空間に収納されているPETボトル7を上部外部電極2の下側から容器取出ハンドリング装置(不図示)によって取り出す。次にコーティング済み容器(図1の成膜済み容器)をコンベア(不図示)へ載せて搬出する。
【0113】
回転支持体に複数配置された成膜チャンバーが、回転支持体の回転角度に応じて順次、循環して製造サイクルを行なうことにより、DLC膜コーティングPETボトルが量産される。
【0114】
CVD成膜工程を経ることにより、内部電極の表面に炭化水素系の電極汚れが付着して、付着量が多くなると放電の安定性に影響を及ぼすこととなる。したがって、製造サイクルを一回、或いは複数回行なうごとに、内部電極に付着した電極汚れを清掃する必要が生ずる。
【0115】
次に、内部電極の清掃方法について説明する。
[バッチ方式型CVD成膜装置]
図1のCVD成膜装置の成膜チャンバーは、容器取出工程終了時には、図8(a)に示すように内部電極が成膜チャンバー内に挿入された状態となっている。このとき、クランパー61は内部電極9とは離れた状態にある。次にクランパー作動手段63を作動させて図8(b)に示すようにクランパー61で側面二方向から内部電極9を挟む。このとき、クランパーに付設された布64が内部電極9と接触している。次に図8(c)に示すように払拭機構60を作動させ、内部電極9を成膜チャンバーから抜出させる。このとき、布64と内部電極9との接触部を内部電極9の抜出に伴って摺動させる。このとき、外部電極の外表面は、布64によって機械的に払拭され、付着した電極汚れが除去される。次に図8(d)に示すようにクランパー作動手段63を解除させて、クランパー61を内部電極9から離す。さらに、図8(e)(f)に示すように払拭機構60を解除させて、内部電極9を成膜チャンバーに挿入する。
【0116】
図9に示すようにクランパーに付設した布62をロール状の布として、図8(e)(f)に状態にあるクランパーについて、払拭に伴う電極汚れの付着に応じてロール状の布を巻き送って、未使用部分を露出させる工程を追加しても良い。
【0117】
布の代わりにブラシを用いても良い。
【0118】
さらに、クランパーが図8(a)〜(f)の状態にあるときに、剥落した電極汚れを吸引除去手段65により除去することが好ましい。この場合、上部外部電極2の下方より吸引することが好ましい。
【0119】
また、成膜後ガス調整工程終了後から容器取出工程開始までの間に、剥落した電極汚れを積極的にコーティング済み容器内に落として収容し、その後、コーティング済み容器内に収容した電極汚れを洗浄除去しても良い。すなわち、成膜後ガス調整工程終了後、図8(a)に示すように内部電極が成膜チャンバー内に挿入された状態とする。このとき、クランパー61は内部電極9とは離れた状態にある。次にクランパー作動手段63を作動させて図8(b)に示すようにクランパー61で側面二方向から内部電極9を挟む。このとき、クランパーに付設された布64が内部電極9と接触している。次に図8(c)に示すように払拭機構60を作動させ、内部電極9を成膜チャンバーから抜出させる。このとき、布64と内部電極9との接触部を内部電極9の抜出に伴って摺動させる。このとき、外部電極の外表面は、布64によって機械的に払拭され、付着した電極汚れがコーティング済み容器内に収納される。次に図8(d)に示すようにクランパー作動手段63を解除させて、クランパー61を内部電極9から離す。さらに、図8(e)(f)に示すように払拭機構60を解除させて、内部電極9を成膜チャンバーに挿入する。次に容器取出工程に入り、コーティング済み容器を搬出する。搬出後、コーティング済み容器内を洗浄して、電極汚れを除去する。
【0120】
[ロータリー型CVD成膜装置]
図10のロータリー型CVD成膜装置について、容器取出工程終了時から容器装着工程前にある成膜チャンバー、すなわち図14又は図15の容器取出ハンドリング装置により容器を取り出した状態にある成膜チャンバーa、b、cについて、汚れ除去工程が行なわれる。
【0121】
[第1実施形態]
図14に示すようにロータリー型CVD成膜装置における内部電極の清掃方法は、図8(a)〜(f)を参照しながらバッチ方式型CVD成膜装置で説明したクランパーを用いる清掃方法と同じ方法である。この場合、複数の内部電極を同時に清掃することが好ましい。
【0122】
[第2実施形態]
図10のCVD成膜装置の成膜チャンバーは、容器取出工程終了時には、図15(x)に示すように内部電極が成膜チャンバー内に挿入された状態となっている。直ちに図15(y)(z)に示すように内部電極の挿脱手段73を作動させて内部電極9を成膜チャンバーから抜出させる。次に図15(a)〜(c)に示すように、回転支持体の回転に伴って移動する内部電極9が形成する軌道面71の両側面から、複数の内部電極9の外表面を同時に布ベルト70にて払拭する。このとき布ベルト70は、図15の矢印の向きにループ状に回転運動をしている。布ベルト70による払拭を終了した内部電極は、図15(d)〜(f)に示すように内部電極の挿脱手段73を作動させて、内部電極9を成膜チャンバー内に挿入する。
【0123】
[第3実施形態]
図10のCVD成膜装置の成膜チャンバーは、容器取出工程終了時には、図17(x)に示すように内部電極が成膜チャンバー内に挿入された状態となっている。直ちに図17(y)(z)に示すように内部電極の挿脱手段73を作動させて内部電極9を成膜チャンバーから抜出させる。次に図17(a)〜(c)に示すように、回転支持体の回転に伴って移動する内部電極9が形成する軌道面71の両側面から、複数の内部電極9の外表面を同時に布ベルト70にて挟み、回転支持体の回転に伴う内部電極9の移動によって外表面を払拭する。このとき布ベルト70は、静止している。布ベルト70との接触を終了した内部電極9は同時に払拭を終了し、図17(d)〜(f)に示すように内部電極の挿脱手段73が作動して、内部電極9を成膜チャンバー内に挿入する。
【0124】
第2実施形態及び第3実施形態において、クランパーに付設した布ベルト70を図16に示したようにロール状の布として、図15(a)〜(c)に状態にある内部電極9について、払拭に伴う電極汚れの付着に応じてロール状の布を巻き送って、未使用部分を露出させる工程を追加しても良い。これにより、常に未使用部分が露出するので払拭能力を高く維持できる。
【0125】
第2実施形態及び第3実施形態において、汚れ除去工程を行なっている際に、剥落した電極汚れを吸引除去手段65により除去することが好ましい。この場合、上部外部電極2の下方より吸引することが好ましい。これにより、成膜チャンバーをはじめとする装置周辺及び容器内部への電極汚れの飛散を防止できる。
【0126】
バッチ方式型CVD装置の場合と同様に、ロータリー型CVD成膜装置においても、クランパーを用いる場合には、成膜後ガス調整工程終了後から容器取出工程開始までの間に、剥落した電極汚れを積極的にコーティング済み容器内に落として収容し、その後、コーティング済み容器内に収容した電極汚れを洗浄除去しても良い。
【0127】
本実施の形態では、内部に薄膜を成膜する容器として飲料用のPETボトルを用いているが、他の用途に使用される容器を用いることも可能である。
【0128】
また、本実施の形態では、CVD成膜装置で成膜する薄膜としてDLC膜又はSi含有DLC膜を挙げているが、容器内に他の薄膜を成膜する際に上記成膜装置を用いることも可能である。
【0129】
DLC膜の膜厚は0.003〜5μmとなるように形成する。
【0130】
【実施例】
内部電極の材質の選定について実施例を示す。
(1)成膜条件
アセチレンガス流量を30SCCM、高周波出力1300Wを4本のチャンバーに同時に供給した。放電時間は3秒とした。また、PETボトルの内長さは150mm、容器容量は500ml、内表面積は400cm2とした。
(2)内部電極
内部電極の寸法は、外径6mm、内口径4mm、全長330mmとした。
(3)成膜を100回繰り返し、内部電極の外表面に電極汚れを付着させた。なお、外部電極は、200〜400回(30〜60分間)の放電で汚れて放電不能となる。
【0131】
拭き取り後の内部電極の外観評価として、目視観察を行なった。また、拭き取り後の電極汚れの付着の有無について目視で評価し、電極汚れが完全に或いはほとんど取れた場合を○、電極汚れがやや残った場合を△、電極汚れが落ちにくかった場合を×とした。さらに、拭き取りによるメッキの傷の有無を目視観察し、メッキの機械的強度を評価した。傷がほとんどない場合を○、傷がやや目立った場合を△とした。
【0132】
(実施例1)内部電極として、99.7Au-0.3Co合金メッキパイプ(母材:SUS304バフ研磨#600)を使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0133】
(実施例2)内部電極として、99.8Au-0.2Ni合金メッキパイプ(母材:SUS304バフ研磨#600)を使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0134】
(実施例3)内部電極として、99.7Au-0.3Co合金メッキパイプ(母材:SUS304バフ研磨#600)を使用し、ナイロンブラシにより拭き取った。
【0135】
(実施例4)内部電極として、99.7Au-0.3Co合金メッキパイプ(母材:SUS304)を使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0136】
(比較例1)内部電極として、亜鉛(母材は鉄)を使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0137】
(比較例2)内部電極として、錫メッキ(母材は鉄)を使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0138】
(比較例3)内部電極として、SUS304パイプを使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0139】
(比較例4)内部電極として、真鍮パイプを使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0140】
(比較例5)内部電極として、ニッケルパイプを使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0141】
(比較例6)内部電極として、純金メッキ(下地SUS304バフ研磨#600)を使用し、タオル地の布により拭き取った。
【0142】
(比較例7)内部電極として、99.7Au-0.3Co合金メッキパイプ(母材:SUS304)を使用し、ドライアイスの微粒子によりブラストを行なった。粒子の大きさ30〜50μmのドライアイスを圧縮空気(3kg/cm2)と共に、500mm離れた距離から内部電極パイプに吹付けからブラストした。
【0143】
結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004031654
【0144】
実施例1、2、3及び4において電極汚れはささくれ状の外観であり、手で叩くとパラパラと自然剥離した。このとき電極汚れは固着しておらず布で拭くことにより容易に取れた。しかし比較例7を参照するとわかるように、ドライアイスのブラストでは、メッキ材として99.7Au-0.3Co合金メッキを使用しても電極汚れは充分に落ちなかった。したがって、布もしくはブラシによる払拭が有効であることがわかった。
【0145】
比較例6の純金メッキは、電極汚れを落としやすかったが、金メッキ自体の機械的強度が不足し、機械的磨耗によるメッキの傷つき及びメッキ剥がれの心配がある。
【0146】
比較例1〜5により、金合金以外のメッキは内部電極の素材として不適切であることがわかった。
【0147】
以上の結果から、内部電極のメッキ材は金合金とし、布若しくはブラシによる払拭の組み合わせで電極汚れを除去することが効果的であることがわかった。
【0148】
なお、メッキ材として白金については、プラズマ雰囲気中で、触媒として作用する可能性があり、芳香族炭化水素不純物が生成混入することにより、メッキ材料の選択肢として除外した。また、銀、銅については、原料ガスであるアセチレンと作用して爆発性の化合物であるアセチライドを生成するので、メッキ材料の選択肢から除外した。
【0149】
内部電極の内口径について実施例を示す。
(1)成膜条件
前記と同様とした。
(2)内部電極
内部電極の寸法は、外径6mm、全長330mmとし、実施例5において内口径1.0mm、実施例6において内口径1.5mmとした。なお、内部電極は外表面内表面ともに、99.7Au-0.3Co合金メッキを施した。母材は、SUS304バフ研磨#600とした。
(3)成膜を100回繰り返し、内部電極の外表面に電極汚れを付着させた。
【0150】
外部電極の管内表面における電極汚れの付着の目視観察を行なった。実施例6は、実施例1と比較して管内表面における電極汚れの付着が少なく、実施例5に至っては管内表面における電極汚れの付着がほとんどなかった。内部電極の内口径を1.5mm以下とすることで管内部におけるプラズマの発生が抑制されたためと推測できる。
【0151】
【発明の効果】
本発明のCVD成膜装置では、内部電極の電極汚れを除去して電極汚れの堆積に伴うプラズマ放電の不安定或いは放電停止を防止し、電極汚れを除去する為のCVD膜成膜装置の分解・点検の間隔を延ばして、製造稼動効率を高く維持することができる。このとき、内部電極と電極汚れとの強固な付着を防止して、電極汚れを短時間にしかも容易に除去することができる。
【0152】
また本発明は、量産機であるロータリー型プラズマCVD成膜装置においても、同様に内部電極と電極汚れとの強固な固着を防止して、電極汚れを短時間にしかも容易に除去して、分解・点検の間隔を延ばし、製造稼動効率を向上させることができる。
【0153】
本発明では、内部電極の母材及びメッキを選定することにより電極汚れと内部電極表面との反応を起こさせず、電極汚れをさらに容易に払拭除去できる。
【0154】
本発明では、布若しくはブラシを付設したクランパーと、布若しくはブラシで内部電極の側面を挟むクランパー作動手段と、布若しくはブラシと内部電極の側面との接触面を内部電極の軸方向に沿って摺動させる払拭機構とを備える汚れ除去手段を設けて、成膜チャンバーの構成を複雑化することなく、装置の一連の動きの中で電極汚れを効率よく除去することができる。
【0155】
本発明では、回転支持体の回転に伴って移動する内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の内部電極の外表面を同時に布ベルトにて払拭する払拭機構を備える汚れ除去手段を設けることで、ロータリー型CVD成膜装置の回転支持体の動きを取り入れて、効率的な払拭動作を装置の中に盛り込むことができた。
【0156】
本発明では、回転支持体の回転に伴って移動する内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の内部電極の外表面を同時に静止した布ベルトで挟み、内部電極の移動によって外表面を払拭する払拭機構を設けて、前記同様に回転支持体の動きを取り入れた効率的な払拭動作を装置の中に盛り込むことができた。
【0157】
本発明では、クランパーに付設した布又は布ベルトをロール状の巻取り布で供給することで、布若しくは布ベルトが電極汚れの付着により汚れ払拭能力が低下した場合でも装置を運転させたまま、電極汚れの付着のない未使用部分を露出させ、汚れ払拭能力を高く維持させることができる。
【0158】
本発明では、剥落した電極汚れを除去する吸引除去機構を備える汚れ除去手段を設けることで、装置内部及びその周辺への電極汚れの飛散を防止するとともに、未コーティング容器内への電極汚れの混入を防いでコーティング不良の発生を防止することができる。
【0159】
本発明では、内部電極の内口径を1.5mm以下とすることで、内部電極の管内部でのプラズマ発生を抑制して、内部電極の内表面、すなわち管内部での電極汚れの発生を防止することができる。
【0160】
本発明では、特にDLC膜成膜装置において電極汚れを防止することができる。
【0161】
本発明のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法により、バッチ方式型、ロータリー型の装置の形式を問わず、CVD成膜装置の稼動時において、内部電極の電極汚れを除去する最適のタイミング及びその除去方法を提案し、CVD成膜装置の生産稼働率を低下させずに連続運転ができる。
【0162】
本発明の清掃方法により、特にロータリー型CVD成膜装置の稼動時において、内部電極の電極汚れを除去する最適のタイミング及びその除去方法を提案し、同様に生産稼働率を低下させずに連続運転ができる。
【0163】
本発明の清掃方法は、バッチ方式型、ロータリー型の装置の形式を問わず、成膜チャンバーから内部電極を抜出する動作を利用して簡便な汚れ除去工程を提案することができた。
【0164】
本発明の清掃方法では、ロータリー型CVD成膜装置において、布ベルトを積極的に動かすことを払拭動作とする形態、並びに布ベルトを静止させて内部電極を回転支持体の回転に伴って移動させることを払拭動作とする形態の二形態を具体的に提案することができた。さらに、複数の内部電極の外表面を同時に除去して、清掃効率を高めることができた。
【0165】
本発明の清掃方法では、クランパーに付設した布又は布ベルトをロール状の巻取り布で供給することで、布若しくは布ベルトが電極汚れの付着により汚れ払拭能力が低下した場合でも装置を運転させたまま、電極汚れの付着のない未使用部分を露出させ、払拭能力を維持することができる。
【0166】
本発明の清掃方法では、汚れ除去工程において、剥落した電極汚れを吸引除去する吸引除去工程を同時に行なう一形態を提案し、装置内部及びその周辺への電極汚れの飛散を防止するとともに、未コーティング容器内への電極汚れの混入を防いでコーティング不良の発生を防止することができる。
【0167】
本発明の清掃方法では、汚れ除去工程において剥落した電極汚れを積極的にコーティング済み容器内に落として収容し、容器取出工程終了後、電極汚れを洗浄除去する別形態を提案し、装置内部及びその周辺への電極汚れの飛散を防止するとともに、未コーティング容器内への電極汚れの混入を防いでコーティング不良の発生を防止することができる。なお、この場合、クランパー型の清掃機構を採用することができ、CVD装置に設置する汚れ除去手段は小型のものとなる。
【0168】
本発明の清掃方法では、前述の全清掃方法において内部電極を限定することで、汚れ除去のための払拭動作のみで、ほぼ完全に電極汚れを除去することができた。このとき、払拭手段は、ブラスト手段と比較して汚れ除去効率が高く、内部電極のメッキ材料の限定との間で相乗効果があった。
【0169】
本発明は、DLC膜をプラスチック容器の内表面に成膜する場合において最適な清掃方法を提案した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバッチ方式型CVD成膜装置の一形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係るCVD成膜装置の基本構成の一形態を示す模式図である。
【図3】本発明において4本のPETボトルを同時にDLC膜コーティング可能な複数一体型外部電極の一形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る複数のプラスチック容器を同時にコーティング可能な一柱体からなる複数一体型外部電極を有するDLC膜コーティングプラスチック容器の製造装置の構成を示す模式図である。
【図5】複数一体型外部電極のB-B’横断面図である。
【図6】本発明に係るバッチ方式型CVD成膜装置において高周波供給手段の基本構成の一形態を示す概念図である。
【図7】分配回路の回路構成を示す概念図であり、(a)はパラレル型、(b)はカスケード型である。
【図8】本発明に係るバッチ方式型のCVD成膜装置における汚れ除去手段の第1実施形態を示す模式図であり、(a)〜(f)は装置の動きの流れを示す。
【図9】クランパーに付設する布として、ロール状の巻取り布とした場合の汚れ除去手段を示す模式図である。
【図10】本発明に係るロータリー型量産用CVD成膜装置の一形態を示す模式図である。
【図11】本発明に係るロータリー型CVD成膜装置の高周波供給手段の基本構成を示す概念図である。
【図12】本発明に係るロータリー型CVD成膜装置において高周波供給手段の基本構成の一形態を示す概念図である。
【図13】本発明に係るロータリー型CVD成膜装置において高周波供給手段の基本構成の別形態を示す概念図である。
【図14】本発明に係るロータリー型CVD成膜装置において、汚れ除去手段としてクランパーを用いた場合の一形態を示す模式図であり、成膜チャンバーにおける汚れ除去動作を示す図の上段は平面図、下段は正面図を示す。
【図15】本発明に係るロータリー型CVD成膜装置において、払拭機構として布ベルトを用い、布ベルトをループ状に回転させた場合の一形態を示す模式図であり、(x)〜(f)は装置の動きの流れを示す。
【図16】布ベルトをロール状の巻取り布で供給する場合の払拭機構の一形態を示す模式図である。
【図17】本発明に係るロータリー型CVD成膜装置において、払拭機構として布ベルトを用い、布ベルトを静止させた場合の一形態を示す模式図であり、(x)〜(f)は装置の動きの流れを示す。
【符号の説明】
1,下部外部電極
2,上部外部電極
3,外部電極
4a,絶縁部材
4b,導電部材
5,蓋
6,成膜チャンバー、
7,7a,7b,7c,7d,PETボトル
8,Oリング
9,9a,9b,9c,9d,内部電極
10,11,22,配管
14,自動整合器
15,高周波電源(RF電源)
16,17,18,真空バルブ
19,マスフローコントローラー
20,原料ガス発生源
21,真空ポンプ、
27,リークガス(空気)供給源
28,真空計
29,排気ダクト
30,高周波出力供給ロット
32,高周波出力供給ロット接続コンタクト
41,原料ガス導入手段
49,49a,49b,ガス吹き出し口
χ1,複数一体型外部電極の中心
χ2,χ3,χ4,高周波出力供給点
X,複数一体型外部電極中心軸
7ax,7bx,7cx,7dx,ペットボトル
7a〜7d,ペットボトルの収納空間の中心点
60,払拭機構
61,クランパー
62,当接部
63,クランパー作動手段
64,布若しくはブラシ
65,吸引除去機構
66,巻取り布
67,巻取り機
70,布ベルト
71,軌道面
72,払拭機構
73,挿脱手段

Claims (18)

  1. プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される接地した内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内の挿入時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体と、各プラスチック容器の内部にプラズマ化させる原料ガスを導入する原料ガス導入手段と、前記外部電極ごとに高周波を供給する高周波供給手段とを備え、前記回転支持体を一回転させる間に、前記プラスチック容器の容器装着手段、該プラスチック容器内を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整手段、該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜手段、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整手段並びに容器取出手段の各手段を順次作動させるロータリー型プラズマCVD成膜装置であって、
    該ロータリー型プラズマCVD成膜装置は、前記成膜後ガス調整手段作動後から前記容器装着手段作動前の状態にある内部電極の外表面を機械的に払拭する汚れ除去手段を備え、且つ前記内部電極は導電性管状基体で形成したことを特徴とするCVD成膜装置。
  2. 前記導電性管状基体は、硬質金合金メッキが施されていることを特徴とする請求項1記載のCVD成膜装置。
  3. 前記汚れ除去手段は、布若しくはブラシを付設したクランパーと、該布若しくは該ブラシで前記内部電極の側面を挟むクランパー作動手段と、該布若しくは該ブラシと該内部電極の側面との接触面を該内部電極の軸方向に沿って摺動させる払拭機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のCVD成膜装置。
  4. 前記汚れ除去手段は、前記回転支持体の回転に伴って移動する前記内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の該内部電極の外表面を同時に布ベルトにて払拭する払拭機構を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のCVD成膜装置。
  5. 前記汚れ除去手段は、前記回転支持体の回転に伴って移動する前記内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の該内部電極の外表面を同時に静止した布ベルトで挟み、該内部電極の移動によって該外表面を払拭する払拭機構を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のCVD成膜装置。
  6. クランパーに付設した前記布又は前記布ベルトは、ロール状の巻取り布であることを特徴とする請求項3、4又は5の何れか一項記載のCVD成膜装置。
  7. 前記汚れ除去手段にて剥落した電極汚れを除去する吸引除去機構を備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6の何れか一項記載のCVD成膜装置。
  8. 前記CVD膜はDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7の何れか一項記載のCVD成膜装置。
  9. プラスチック容器を収納する外部電極と該プラスチック容器の内部に挿脱可能に配置される接地した内部電極並びに該内部電極が該プラスチック容器内の挿入時に内部電極と外部電極とが絶縁状態となる蓋とからなる密封可能な成膜チャンバーに前記プラスチック容器を装着する容器装着工程、該プラスチック容器の内部を原料ガスに置換するとともに所定の成膜圧力に調整する成膜前ガス調整工程、前記外部電極に高周波出力を供給して前記プラスチック容器内で前記原料ガスをプラズマ化させて、該プラスチック容器の内表面にCVD膜を成膜するCVD成膜工程、コーティング済み容器の内部圧力を大気圧に戻す成膜後ガス調整工程並びに前記コーティング済み容器を取り出す容器取出工程とを有するCVD膜コーティングプラスチック容器の製造サイクルを所定回数繰り返した後、
    前記成膜後ガス調整工程後から前記容器装着工程前の状態にある内部電極の外表面に付着した電極汚れを、布により払拭するか、或いはブラシによりブラッシングして除去する汚れ除去工程を行なうことを特徴とするCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  10. 前記成膜チャンバーをサークル状に複数配設した回転支持体が一回転する間に、該成膜チャンバーにて前記製造サイクルを一回行なうように該製造サイクルを所定回数行なった後、前記成膜後ガス調整工程後から前記容器装着工程前の状態にある内部電極に対して前記汚れ除去工程を行なうことを特徴とする請求項9記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  11. 前記汚れ除去工程は、前記成膜チャンバーから前記内部電極を抜出する開始時に、布若しくはブラシで該内部電極の側面を挟み、該布若しくは該ブラシと該内部電極との接触部を該内部電極の抜出に伴って該内部電極の軸方向に摺動させて、該内部電極の外表面に付着した電極汚れを除去する工程であることを特徴とする請求項9又は10記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  12. 前記汚れ除去工程は、前記成膜チャンバーから前記内部電極を抜出した後に、前記回転支持体の回転に伴って移動する前記内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の該内部電極の外表面を同時に布ベルトにて払拭する工程であることを特徴とする請求項10記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  13. 前記汚れ除去工程は、前記成膜チャンバーから前記内部電極を抜出した後に、前記回転支持体の回転に伴って移動する前記内部電極が形成する軌道面の両側面から、複数の該内部電極の外表面を同時に静止した布ベルトで挟み、前記回転支持体の回転に伴う該内部電極の移動によって該外表面を払拭する工程であることを特徴とする請求項10記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  14. クランパーに付設した前記布又は前記布ベルトは、ロール状の布で供給し、該ロール状の布は、払拭に伴う電極汚れの付着に応じて順次巻き送って、未使用部分を露出させることを特徴とする請求項9、10、11、12又は13の何れか一項記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  15. 前記汚れ除去工程において、剥落した電極汚れを吸引除去する吸引除去工程を同時に行なうことを特徴とする請求項9、10、11、12、13又は14の何れか一項記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  16. 前記成膜後ガス調整工程終了後から前記容器取出工程開始までの間に前記汚れ除去工程を行ない、剥落した電極汚れを積極的に前記コーティング済み容器内に落として収容し、その後、該コーティング済み容器内に収容した前記電極汚れを洗浄除去することを特徴とする請求項9、10、11、14又は15の何れか一項記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  17. 硬質金合金メッキを施した導電性管状基体で形成した内部電極を使用することを特徴とする請求項9、10、11、12、13、14、15又は16の何れか一項記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
  18. 原料ガスとして炭化水素系ガス若しくはSi含有炭化水素系ガスを使用し、前記CVD膜としてDLC膜を成膜することを特徴とする請求項9、10、11、12、13、14、15、16又は17の何れか一項記載のCVD成膜装置用内部電極の清掃方法。
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