JP3746725B2 - 被覆容器の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は被覆容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック容器、例えばペットボトルは、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止するためにその内面にDLC(Diamond Like Carbon)のような炭素膜をコーティングすることが試みられている。
【0003】
このようなプラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする方法としては、特許文献1(特開平8−53116号公報)および特許文献2(特許第2788412号公報(特開平8−53117号公報))に高周波プラズマを用いる方法が開示されている。特許文献3(特開平9−272567号公報)には、その応用的な方法として高周波プラズマを用いて炭素膜をフィルムにコーティングする方法が開示されている。特許文献4(特許第3072269号公報(特開平10−226884号公報))には、特殊形状容器に対応する炭素膜のコーティング方法が、特許文献5(特許第3115252号公報(特開平10−258825号公報))などには量産化技術として複数個の容器に同時にコーティングする方法が開示されている。また、プラスチック容器に炭素膜をコーティングする技術が開示された文献として、非特許文献1(「K.Takemoto, et al, Proceedings of ADC/FCT '99,p285」、「E.Shimamura et al, 10th years IAPRI World Conference 1997,p251 」)がある。
【0004】
高周波プラズマCVDを用いたプラスチック容器への炭素膜コーティングする基本的な発明である前記特許文献2(特許第2788412号(特開平8−53116号))について、図12を参照して説明する。図12はこの公報に記載されている高周波プラズマCVDを用いたプラスチック容器への炭素膜コーティング装置の断面図である。
【0005】
外部電極201は、架台202上に例えばポリテトラフルオロエチレン製のシール板203を介して設置されている。この外部電極201は、収納されるプラスチック容器、例えばボトルBの外形にほぼ沿った形の内形状を有する。この外部電極201は、口金部分もボトルキャップ用のネジ形状に沿った内形状が好ましい。前記外部電極201は、筒状の本体201aとこの本体201aの上端に取り付けられるキャップ部201bとから構成され、真空容器を兼ねている。ガス排気管204は、前記架台202およびシール板203を通して前記外部電極201下部に連通されている。
【0006】
内部電極205は、前記外部電極201内に収納されたボトルB内に挿入されている。この内部電極205は、中空構造を有し、表面には複数のガス吹き出し孔206が穿設されている。CVD用媒質ガスを供給するためのガス供給管207は、前記架台202およびシール板203を貫通して前記内部電極205の下端に連通されている。CVD用媒質ガスは、前記供給管207を通して前記内部電極205内に供給され、前記ガス吹き出し孔206からボトルB内に供給される。
【0007】
RF入力端子208は、前記架台202およびシール板203を通して前記外部電極201下部に接続されている。このRF入力端子208は、前記架台202に対して電気的に絶縁されている。また、前記RF入力端子208の下端は、整合器209を通して高周波電源210に接続されている。前記外部電極201は、高周波電源210からプラズマ生成用の高周波電力が前記整合器209およびRF入力端子208を通して印加される。
【0008】
このような構成の装置を用いてペットボトル内面に炭素膜をコーティングする方法について説明する。
【0009】
まず、外部電極201の本体201a内にペットボトルBを挿入し、前記本体201aにキャップ201bを取り付けることにより前記ボトルBを前記外部電極201内に気密に収納する。外部電極201内のガスをガス排気管204を通して排気する。この時、前記シール板203の開口部を通して前記外部電極201に収納したボトルB内外の空間のガスが排気される。規定の真空度(代表値:10-2〜10-5Torr)に到達した後、媒質ガスをガス供給管207を通して内部電極205に例えば10〜50mL/minの流量で供給し、さらに内部電極205のガス吹き出し孔206を通してボトルB内に吹き出す。なお、この媒質ガスとしては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類が用いられる。前記ボトルB内の圧力は、ガス供給量と排気量のバランスによって例えば2×10-1〜1×10-2Torrに設定する。その後、高周波電源210から50〜1000Wの高周波電力を整合器209およびRF入力端子208を通して外部電極101に印加する。
【0010】
このような高周波電力の外部電極201への印加によって、前記外部電極201と内部電極205の間にプラズマが生成される。この時、ペットボトルBは外部電極201の内にほぼ隙間無く収納されているため、プラズマはペットボトルB内に発生する。前記媒質ガスは、前記プラズマによって解離、又は更にイオン化して、炭素膜を形成するための製膜種が生成され、この製膜種が前記ボトルB内面に堆積し、炭素膜を形成する。炭素膜を所定の膜厚まで形成した後、高周波電力の印加を停止し、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気、窒素、希ガス、又は空気等を外部電極201内に供給し、この空間内を大気圧に戻す。この後、前記ボトルBを外部電極201から取り外す。なお、この方法において炭素膜を厚さ30nm成膜するには2〜3秒間要する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した特許第2788412号公報の発明は以下のような問題点がある。
【0012】
媒質ガスは、内部電極205の軸方向に沿って開口されている複数のガス吹出し孔206からプラスチック容器(例えばボトルB)内に供給され、プラスチック容器の口部から排気される。このため、プラスチック容器内のガス流路は内部電極と外部電極に挟まれた空間であり、プラスチック容器の口部に近い空間はコンダクタンスが大きくなりガス吹出し孔からのガス流れは促進されるが、口部から遠い容器底部付近のガス吹出し孔からのガス流れは滞る。その結果、容器底部付近の媒質ガスはその容器の口部付近のガスに比べてより長い時間プラズマに曝されるため、気相反応によって結合する分子が大きくなり過ぎて粉状になる可能性がある。
【0013】
また、ガス吹き出し口のガス流量、圧力、電界分布などの条件によっては、当該ガス吹き出し口内部およびその近傍に局所的に集中した放電が生じることがあり、この放電集中により粉の発生、膜厚の不均一化、高周波電力のロス、電極の温度上昇などの問題が生じる。特に、粉状物質は、容器表面へ薄膜としてコーティングされずに、その上に堆積する異物となる。このような異物の発生は、次の点で不都合である。
【0014】
a).粉状物質が多数堆積してもそれらの間には隙間があるため、炭素膜を用いたときのようなガスバリアの効果は生じない。
【0015】
b).飲料に混入する可能性のある粉状物質が容器内に残留する。
【0016】
c).発生した粉が排気手段に流入し、排気手段の故障の原因となる。
【0017】
本発明は、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜が内面にコーティングされた被覆容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
本発明は、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜が内面に高速度でコーティングされた被覆容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る被覆容器の製造方法は、次のような構成を有することを特徴とするものである。
【0020】
1) 容器内面にバリア性の優れた膜を形成する被覆容器の製造方法であって、
(a)基台を備えた支持部材内に配置され、外部電極本体と外部電極底部材とからなり、容器が挿入される有底筒状の外部電極の底部を開放する際に、支持部材を残して、プッシャーにより電極底部材、絶縁体および基台を取り外して外部電極本体の底部を開放する工程と、
(b)容器を外部電極内に挿入する工程と、
(c)前記プッシャーにより、支持部材内の外部電極に対して、外部電極底部材、絶縁体および基台をこの順序で取り付けることにより前記容器を外部電極の内部空間に収納する工程と、
(d)前記容器内外のガスを排気手段により排気する工程と、
(e)前記容器内に媒質ガスを供給する工程と、
(f)高周波電源から高周波電力を供給し、前記容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記容器内面にバリア膜をコーティングする工程と、
(g)高周波電力、媒質ガス、ガスの排気を停止した後、前記容器内外を大気圧に戻す工程と、
(h)前記容器を取り出す工程と、を含むと共に、
前記(a)工程が、外部電極底部材、絶縁材料および基台を前記プッシャーにより一体的に上下動するものであり、且つ
前記(e)工程が、媒質ガスをガス供給管を通して内部電極のガス流路に供給し、この内部電極の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管から容器内に吹き出させることによって、
前記(f)工程において、ガス吹き出し管の内部、または近傍にプラズマが局所的に集中することを防ぎ、且つ前記容器内に均一にプラズマを生成させる
ことを特徴とする被覆容器の製造方法。
【0021】
2)前記1)の被覆容器の製造方法において、さらに、前記(e)工程が、一つのガス吹出し管から容器底部から口部に向かうガスの流れを強制的に生じせしめるように原料ガスを吹き出すことを特徴とする被覆容器の製造方法。
【0022】
3)前記1)又は2)の被覆容器の製造方法において、さらに、前記(e)工程が、内径1mmのガス吹出し管から原料ガスを吹き出すことを特徴とする被覆容器の製造方法。
【0023】
4)前記1)乃至3)のいずれか一つの被覆容器の製造方法において、(i)さらに、前記(a)〜(h)の順序に従って次の容器のコーティング作業に移ることを特徴とする被覆容器の製造方法。
【0024】
5)前記1)乃至4)のいずれか一つの被覆容器の製造方法において、前記バリア性の優れた膜は炭素膜であることを特徴とする被覆容器の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図、図2は図1の内部電極を示す拡大断面図である。
上下端にフランジ1a,1bを有する円筒状支持部材2は、円環状基台3上に載置されている。筒状の金属製の外部電極本体4は、前記支持部材2内に配置されている。円板状をなす金属製の外部電極底部材5は、前記外部電極4の底部に着脱可能に取り付けられている。前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5により炭素被膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bを設置可能な大きさの空間をもつ有底円筒状の外部電極6が構成されている。円板状絶縁体7は、前記基台3と前記外部電極底部材5の間に配置されている。
【0027】
なお、前記外部電極底部材5、前記円板状絶縁体7および前記基台3は図示しないプッシャーにより前記外部電極本体4に対して一体的に上下動し、前記外部電極本体4の底部を開閉する。
【0028】
環状絶縁部材8は、前記外部電極6上面にその環状絶縁部材8上面が前記筒状支持部材2の上部フランジ1aと面一になるように載置されている。上下にフランジ9a,9bを有するガス排気管10は、前記支持部材2の上部フランジ1aおよび前記環状絶縁部材8の上面に載置されている。この排気管10は、接地されている。図示しないねじを前記排気管10の下部フランジ9bから前記支持部材2の上部フランジ1aに螺着することにより前記ガス排気管10が前記支持部材2に固定されている。また、図示しないねじを前記排気管10の下部フランジ9bから前記環状絶縁部8を貫通して外部電極6の本体4に螺着することにより前記排気管10が前記環状絶縁部材8および前記外部電極6に固定されると共に、前記環状絶縁部材8が前記外部電極6に対しても固定される。なお、前記排気管10と前記環状絶縁部材8および前記外部電極6との固定は、前記排気管10と前記外部電極6とがねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管11は、前記ガス排気管10の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。蓋体12は、前記排気管10の上部フランジ9aに取り付けられている。
【0029】
例えば周波数13.56MHzの高周波電力を出力する高周波電源13は、ケーブル14および給電端子15を通して前記外部電極6の本体4に接続されている。整合器16は、前記高周波電源13と前記給電端子15の間の前記ケーブル15に介装されている。
【0030】
ガス供給管17は、前記蓋体12を貫通し、ガス排気管10を通して前記外部電極6の本体4内におけるペットボトルBの口部に対応する個所に挿入されている。略円柱状をなす金属製の内部電極18は、前記外部電極6に挿入されたペットボトルB内の底部付近に配置され、その上端が前記ガス供給管18の下端に着脱自在に取り付けられている。前記内部電極18は、図1および図2に示すように中心軸にガス流路19がくり抜かれていると共に、底部に媒質ガスを吹き出すための絶縁材料からなるガス吹き出し部である例えばプラスチック、セラミックのような絶縁材料からなるガス吹き出し管20が挿着されている。
【0031】
前記内部電極18の径は、ボトルBの口金径以下とする。
【0032】
前記内部電極18は、例えばタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。また、内部電極18表面が平滑であると、その内部電極18の表面に堆積する炭素膜を剥離し易くなる虞がある。このため、内部電極18の表面を予めサンドブラスト処理し、表面粗さを大きくして表面に堆積する炭素膜を剥離し難くすることが好ましい。但し、前記の表面を平滑にする方法も、非常に平滑にすることによって堆積する炭素膜を剥離させやすく、内部電極に残らないようにすれば、内部電極クリーニングが不要になるという利点も生まれる。
【0033】
次に、図1に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0034】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3を取り外して外部電極本体4の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体4の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体4の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3をこの順序で取り付けることによって、図1に示すようにペットボトルBを前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5からなる外部電極6の内部空間に収納する。このとき、前記ペットボトルBは排気管10にその口部を通して連通される。
【0035】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管20および排気管19を通して前記排気管19および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス供給管17を通して内部電極18のガス流路19に供給し、この内部電極18の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管20からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0036】
次いで、高周波電源13から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル14、整合器16および給電端子15を通して前記外部電極6の本体4に供給する。このとき、前記内部電極18の周囲にプラズマが生成される。このようなプラズマの生成によって、媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記外部電極6内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜がコーティングされる。
【0037】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源13からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管17を通して内部電極18のガス流路19およびガス吹き出し管20を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0038】
前記媒質ガスとしては炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール等の含酸素炭化水素類;メチルアミン、エチルアミン、アニリン等の含窒素炭化水素類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。また、プラズマの安定化、プラズマ特性の適正化のためにAr,He等の希ガス等を媒質ガスに混合する場合もある。
【0039】
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0040】
以上、第1実施形態によれば媒質ガスを内部電極18の底部からペットボトルB内に供給することによって、前記ペットボトルB底部から口部に向かうガスの流れを強制的に生じせしめることができる。このため、ペットボトルB内にガスの滞留部分が作られるのを防止できる。その結果、ペットボトルB内面にコンタミの混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0041】
また、媒質ガスを内部電極18の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管20から吹き出すことによって、ガス吹き出し孔の内部、または近傍にプラズマが局所的に集中するのを防ぐことができる。
【0042】
すなわち、内部電極底部にガス吹き出し部を設けることは、前述した効果を発揮できるものの、反面、媒質ガスの供給量やペットボトルB内の圧力等のプラズマ生成条件によっては金属製の内部電極底部にガス吹き出し部としてガス吹き出し孔を直接開口すると、ガス吹き出し孔内部または近傍でプラズマが局所的に生成される虞がある。このようにプラズマが内部電極底部のガス吹き出し孔近傍で局所的に生成されると、その個所でのプラズマ密度が高くなるため、粉が多量に発生し、ペットボトルB内面にコンタミ(粉)が混入したり、膜厚が不均一になったりする。
【0043】
このようなことから、図2に示すように内部電極18の底部に絶縁材料からなるガス吹き出し管20を挿着し、このガス吹き出し管20から媒質ガスを吹き出すことによって、ガス吹き出し管20近傍での局所的なプラズマの集中を防止してペットボトルB内で生成されるプラズマの密度を均一にできる。その結果、ペットボトルB内面に粉の混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0044】
したがって、前記第1実施形態によれば外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを製造することができる。
【0045】
(実施例1)
内部電極18として、図1および図2に示す外径16mm、長さ70mmのステンレス片封じチューブの底部にポリテトラフルオロエチレンからなる内径1mmのガス吹き出し管20を挿着した構造のものを用いた。
【0046】
この内部電極18を図1に示す外部電極6内に収納されたペットボトルBに挿入し、媒質としてC22ガス、ガス流量を20sccm,ペットボトルBおよび排気管10内でのガス圧力を0.1Torr、高周波電源から供給する高周波を13.56MHzの条件の下で前記ペットボトルB内面に炭素膜をコーティングした。
【0047】
(比較例1)
内部電極として、外径16mm、長さ70mmのステンレス片封じチューブの底部に1個の孔径1mmのガス吹き出し孔を穿設した構造のものを用いた以外、実施例1と同様な方法によりペットボトルB内面に炭素膜をコーティングした。
【0048】
その結果、実施例1ではペットボトルB内面に炭素膜をコーティングできた。
これに対し、比較例1ではペットボトルBの底部内面に黒い粉の膜が形成されるとともに、多量の粉が発生した。この黒い粉の膜の形成は、ガス吹き出し孔内部および近傍に局所的に密度の高いプラズマが生成されたことに起因すると考えられる。
【0049】
なお、前記第1実施形態では絶縁材料からなるガス吹き出し部を図2に示す絶縁材料からなるガス吹き出し管20により構成したが、これに限らず、例えば図3に示すように絶縁材料からなるガス吹き出し部をガス吹き出し孔21が中心軸方向に開口された例えばプラスチック、セラミックのような絶縁材料からなるキャップ22から構成し、このキャップ22を中心軸にガス流路19がくり抜かれ内部電極18の底部に前記ガス流路19と連通するように取り付けてもよい。このような図3に示す構成において、前記キャップ22の側壁にガス吹き出し孔を開口してもよい。
【0050】
(第2実施形態)
図4は、この第2実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。なお、図4において前述した第1実施形態で参照した図1と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0051】
この炭素膜形成装置は、バイアス用電源23がケーブル24および給電端子25を通して外部電極6の外部電極本体4に接続されている。整合器26は、前記バイアス用電源23と前記給電端子25の間の前記ケーブル24に介装されている。
【0052】
中心部に絶縁リング26を有し、接地された蓋体12は、ガス排気管10の上部フランジ9aに気密固定されている。筐体27は、前記蓋体12上に取り付けられている。
【0053】
下端に内部電極18を着脱自在に取り付けたガス供給管17は、高高周波電力の端子を兼ね、前記筐体27内から前記蓋体12の絶縁リング26を貫通し、前記ガス排気管10を通して前記外部電極6の本体4内(挿入されるべきペットボトルBの中央部に対応する個所内)に挿入されている。このガス供給管17の上端は、外部から前記筐体27を貫通して挿入されたガス導入管28の下端に絶縁継手29を介して連結されている。なを、内部電極18は図4および図5に示すように中心軸にガス流路19がくり抜かれていると共に、底部に媒質ガスを吹き出すための絶縁材料からなるガス吹き出し部である例えばプラスチック、セラミックのような絶縁材料からなるガス吹き出し管20が挿着されている。
【0054】
フランジ管30およびこのフランジ管30下端に連結されたアースシールド管31は、前記ガス排気管10および前記外部電極6の本体4内におけるペットボトルBの中央部に対応する個所内に位置する前記ガス供給管17部分を覆うように配置されている。なお、前記アースシールド管31は前記ペットボトルBの口部近傍の前記ガス排気管10からペットボトルBの中央部に対応する個所に亘って位置されている。前記フランジ管30の上端は、前記蓋体12の裏面に連結されている。つまり、前記アースシールド管31は前記フランジ管30を通して接地された前記蓋体12に接続されている。
【0055】
高高周波電源32は、ケーブル33および給電端子34を通して高高周波電力の端子を兼ねる前記ガス供給管17の側面に接続されている。整合器35は、前記高高周波電源32と前記給電端子34の間の前記ケーブル33に介装されている。
【0056】
次に、図4に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0057】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3を取り外して外部電極本体4の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体4の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体4の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3をこの順序で取り付けることによって、図5に示すようにペットボトルBを前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5からなる外部電極6の内部空間に収納する。このとき、前記ペットボトルBは排気管10にその口部を通して連通される。
【0058】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管11および排気管10を通して前記排気管10および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス導入管28およびガス供給管17を通して内部電極18のガス流路19に供給し、この内部電極18の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管20からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0059】
次いで、バイアス用電源23からバイアス電力をケーブル24、整合器26および給電端子25を通して前記外部電極6に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源32から高高周波電力をケーブル33、整合器35および給電端子34を通してガス供給管17に供給し、このガス供給管17を通して内部電極18に高高周波電力を供給する。このとき、前記内部電極18の周囲にプラズマが生成される。また、前記外部電極6の上方に位置する排気管10は接地されているため、この排気管10を基準電位として前記外部電極6からバイアス電圧を内部電極18に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
【0060】
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極18への印加による前記外部電極6へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極6内のペットボトルB内面に均一厚さで均質かつ高品質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0061】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源23および高高周波電源32からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス導入管28からガス供給管17を通して内部電極18のガス流路19およびガス吹き出し管20を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0062】
前記媒質ガスとしては、第1実施形態で述べたのと同様なものを用いることができる。
【0063】
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0064】
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0065】
以上、第2実施形態によれば媒質ガスを内部電極18の底部からからペットボトルB内に供給することによって、前記ペットボトルB底部から口部に向かうガスの流れを強制的に生じせしめることができる。このため、ペットボトルB内にガスの滞留部分が作られるのを防止できる。その結果、ペットボトルB内面にコンタミの混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0066】
また、媒質ガスを内部電極18の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管20から吹き出すことによって、前述した第1実施形態と同様にガス吹き出し管20近傍での放電の集中を防止してペットボトルB内で生成されるプラズマの密度を均一にできる。その結果、ペットボトルB内面に粉の混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0067】
さらに、プラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極18への印加による前記外部電極6へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極6内のペットボトルB内面に均一厚さで均質かつ高品質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0068】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
【0069】
また、高高周波電力が印加されるガス供給管17と接地された排気管10との間(つまり排気管10内)でも同様に不要なプラズマを生成し、炭素膜のコーティング効率が低下する。このようなことから、アースシールド管31を前記ガス供給管17外周にペットボトルBの口部近傍のガス排気管10内に位置するように配置し、このアースシールド管31をこれを支持するフランジ管30を通して接地することによって、前記アースシールド管31内を貫通するガス供給管17に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管10内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高め、炭素膜のコーティング速度を向上できる。
【0070】
(実施例2)
内部電極18として、図1および図2に示す外径16mm、長さ70mmのステンレス片封じチューブの底部にポリテトラフルオロエチレンからなる内径1mmのガス吹き出し管20を挿着した構造のものを用いた。
【0071】
この内部電極18を図4に示す外部電極6内に収納されたペットボトルBに挿入し、媒質としてC22ガス、ガス流量を20sccm,ペットボトルBおよび排気管10内でのガス圧力を0.1Torr、高高周波電源から供給する高高周波を100MHz、バイアス用電源からのバイアス高周波を13MHzの条件の下で前記ペットボトルB内面に炭素膜をコーティングした。
【0072】
(比較例2)
内部電極として、外径16mm、長さ70mmのステンレス片封じチューブの底部に1個の孔径1mmのガス吹き出し孔を穿設した構造のものを用いた以外、実施例2と同様な方法によりペットボトルB内面に炭素膜をコーティングした。
【0073】
その結果、実施例2ではペットボトルB内面に炭素膜を高速度でコーティングできた。これに対し、比較例2ではペットボトルBの底部内面に黒い粉の膜が形成された。この黒い粉の膜の形成は、ガス吹き出し孔近傍での放電の集中により局所的に密度の高いプラズマが生成されたことに起因すると考えられる。
【0074】
なお、前記第2実施形態では絶縁材料からなるガス吹き出し部を図5に示す絶縁材料からなるガス吹き出し管20により構成したが、これに限らず、例えば図6に示すように絶縁材料からなるガス吹き出し部をガス吹き出し孔21が中心軸方向に開口された例えばプラスチック、セラミックのような絶縁材料からなるキャップ22から構成し、このキャップ22を中心軸にガス流路19がくり抜かれ内部電極18の底部に前記ガス流路19と連通するように取り付けてもよい。このような図6に示す構成において、前記キャップ22の側壁にガス吹き出し孔を開口してもよい。
【0075】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。
【0076】
上下端にフランジ41a,41bを有する円筒状支持部材42は、円環状基台43上に載置されている。筒状の金属製の外部電極本体44は、前記支持部材42内に配置されている。円板状をなす金属製の外部電極底部材45は、前記外部電極44の底部に着脱可能に取り付けられている。前記外部電極本体44および前記外部電極底部材45により炭素被膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bを設置可能な大きさの空間をもつ有底円筒状の外部電極46が構成されている。なお、前記基台43と前記外部電極底部材45の間には円板状絶縁体47が配置されている。
【0077】
なお、前記外部電極底部材45、前記円板状絶縁体47および前記基台43は図示しないプッシャーにより前記外部電極本体4に対して一体的に上下動し、前記外部電極本体4の底部を開閉する。
【0078】
内部に挿入されるペットボトルBの口部および肩部に対応する円柱および円錐台を組み合わせた形状をなす空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49は、前記外部電極46における前記本体44の上部に挿入されている。このスペーサ49は、この上に載置される後述する環状絶縁部材から螺着されたねじ(図示せず)により固定されている。このように円柱状スペーサ49を前記外部電極46における前記本体44の上部に挿入固定することにより、前記外部電極本体44の底部側からペットボトルBを挿入すると、そのペットボトルBの口部および肩部が前記スペーサ49の空洞部48内に、これ以外のペットボトルB部分が前記外部電極46内に収納される。
【0079】
前記スペーサ49を構成する誘電体材料としては、例えばプラスチックまたはセラミックを挙げることができる。プラスチックとしては、種々のものを用いることができるが、特に高周波損失が低く、耐熱性の優れたポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂が好ましい。セラミックとしては、高周波損失が低いアルミナ、ステアタイトまたは機械加工性が高いマコールが好ましい。
【0080】
環状絶縁部材50は、前記外部電極46上面にその環状絶縁部材50上面が前記筒状支持部材42の上部フランジ41aと面一になるように載置されている。
上下にフランジ51a,51bを有するガス排気管52は、前記支持部材42の上部フランジ41aおよび前記環状絶縁部材50の上面に載置されている。この排気管52は、接地されている。図示しないねじを前記排気管52の下部フランジ51bから前記支持部材42の上部フランジ41aに螺着することにより前記ガス排気管52が前記支持部材42に固定されている。また、図示しないねじを前記排気管52の下部フランジ51bから前記環状絶縁部50を貫通して外部電極46の本体44に螺着することにより前記排気管52が前記環状絶縁部材50および前記外部電極46に固定されると共に、前記環状絶縁部材50が前記外部電極46に対しても固定される。なお、前記排気管52と前記環状絶縁部材50および前記外部電極46との固定は、前記排気管52と前記外部電極46とがねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管53は、前記ガス排気管52の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。蓋体54は、前記排気管52の上部フランジ51aに取り付けられている。
【0081】
例えば周波数13.56MHzの高周波電力を出力する高周波電源55は、ケーブル56および給電端子57を通して前記外部電極46の本体44に接続されている。整合器58は、前記高周波電源55と前記給電端子57の間の前記ケーブル56に介装されている。
【0082】
ガス供給管59は、前記蓋体54を貫通し、ガス排気管52を通して前記外部電極46の本体44内におけるペットボトルBの口部に対応する個所に挿入されている。略円柱状をなす金属製の内部電極60は、前記外部電極46に挿入されたペットボトルB内の底部付近に配置され、その上端が前記ガス供給管59の下端に着脱自在に取り付けられている。前記内部電極60は、中心軸にガス流路61がくり抜かれていると共に、底部に媒質ガスを吹き出すための絶縁材料からなるガス吹き出し部である例えばプラスチック、セラミックのような絶縁材料からなるガス吹き出し管62が挿着されている。
【0083】
前記内部電極60の径は、ボトルBの口金径以下とする。
【0084】
前記内部電極60は、例えばタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。また、内部電極60表面が平滑であると、その内部電極60の表面に堆積する炭素膜を剥離し易くなる虞がある。このため、内部電極60の表面を予めサンドブラスト処理し、表面粗さを大きくして表面に堆積する炭素膜を剥離し難くすることが好ましい。
【0085】
次に、図7に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0086】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43を取り外して外部電極本体44の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体44の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体44の底部側に外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43をこの順序で取り付けることによって、図7に示すようにペットボトルBの口部から肩部が誘電体材料からなる円柱状スペーサ49の空洞部48内に、前記ボトルBの肩部から底部側が前記外部電極46内に収納される。このとき、前記ペットボトルBは排気管52にその口部を通して連通される。
【0087】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管53および排気管52を通して前記排気管52内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス供給管59を通して内部電極60のガス流路61に供給し、この内部電極60の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管62からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0088】
次いで、高周波電源55から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル56、整合器58および給電端子57を通して前記外部電極46の本体44に供給する。このとき、前記内部電極60の周囲にプラズマが生成される。このようなプラズマの生成によって、媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記外部電極46およびスペーサ49内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜がコーティングされる。
【0089】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源55からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管59を通して内部電極60のガス流路61およびガス吹き出し管62を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0090】
前記媒質ガスとしては、第1実施形態と同様なものを用いることができる。
【0091】
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。
【0092】
以上、第3実施形態によれば媒質ガスを内部電極60の底部からからペットボトルB内に供給することによって、前記ペットボトルB底部から口部に向かうガスの流れを強制的に生じせしめることができる。このため、ペットボトルB内にガスの滞留部分が作られるのを防止できる。その結果、ペットボトルB内面にコンタミの混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0093】
また、媒質ガスを内部電極60の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管62から吹き出すことによって、前述した第1実施形態と同様にガス吹き出し管62近傍での放電の集中を防止してペットボトルB内で生成されるプラズマの密度を均一にできる。その結果、ペットボトルB内面に粉の混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0094】
さらに、空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部に挿入、固定することによって、前記プラズマの生成において前記ペットボトルBの肩部から底部側の内面のみならず、前記誘電体材料からなるスペーサ49と対向するペットボトルBの口部から肩部の内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
【0095】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを量産的に製造することができる。
【0096】
また、ペットボトルBの口部および肩部周囲を覆う部材の形状は複雑であるが、これら部材に対応するスペーサ49を例えば射出成形が可能なプラスチックのような誘電体材料により形成することによって、従来のようにこれら部材を含む全てを外部電極で構成する場合に比べて簡単に製造することができる。さらに、従来のようにこれら部材を含む全てを金属のような導電材料により外部電極で構成する場合に比べて装置全体を軽量化することができる。
【0097】
さらに、スペーサ49をプラスチックまたは軟質のセラミックのような誘電体材料により形成することによって、ペットボトルBの複雑な口部および肩部が接触した時にその箇所に傷が発生するのを防止することができる。
【0098】
なお、前記第3実施形態では絶縁材料からなるガス吹き出し部を図7に示す絶縁材料からなるガス吹き出し管62により構成したが、これに限らず、例えば前述した図3、図6と同様な構造、つまり絶縁材料からなるガス吹き出し部をガス吹き出し孔が中心軸方向に開口された例えばプラスチック、セラミックのような絶縁材料からなるキャップから構成し、このキャップを中心軸にガス流路がくり抜かれ内部電極の底部に前記ガス流路と連通するように取り付けてもよい。このような構成において、前記キャップの側壁にガス吹き出し孔を開口してもよい。
【00990】
前記第3実施形態では空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部にペットボトルBの口部から肩部に対応するように挿入、固定したが、ペットボトルBの肩部からさらに底部に亘って誘電体材料からなる薄膜を延出するようにしてもよい。
【0099】
(第4実施形態)
図8は、この第4実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。なお、図8において前述した第3実施形態で参照した図7と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0100】
この炭素膜形成装置は、バイアス用電源63がケーブル64および給電端子65を通して外部電極46の外部電極本体44に接続されている。整合器66は、前記バイアス用電源63と前記給電端子65の間の前記ケーブル64に介装されている。
【0101】
中心部に絶縁リング67を有し、接地された蓋体54は、ガス排気管52の上部フランジ51aに気密固定されている。筐体68は、前記蓋体54上に取り付けられている。
【0102】
ガス供給管59は、高高周波電力の端子を兼ね、前記筐体68内から前記蓋体54の絶縁リング67を貫通し、前記ガス排気管52を通して前記外部電極46内のスペーサ49内に挿入されている。このガス供給管59の上端は、外部から前記筐体68を貫通して挿入されたガス導入管69の下端に絶縁継手70を介して連結されている。
【0103】
フランジ管71およびこのフランジ管71下端に連結されたアースシールド管72は、前記ガス排気管52および前記スペーサ49内に位置する前記ガス供給管59部分を覆うように配置されている。なお、前記アースシールド管72は前記スペーサ49内およびこのスペーサ49近傍の前記ガス排気管52内に位置されている。前記フランジ管71の上端は、前記蓋体54の裏面に連結されている。つまり、前記アースシールド管72は前記フランジ管71を通して接地された前記蓋体54に接続されている。
【0104】
高高周波電源73は、ケーブル74および給電端子75を通して高高周波電力の端子を兼ねる前記ガス供給管59の側面に接続されている。整合器76は、前記高高周波電源73と前記給電端子75の間の前記ケーブル74に介装されている。
【0105】
次に、図8に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0106】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43を取り外して外部電極本体44の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体44の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体44の底部側に外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43をこの順序で取り付けることによって、図8に示すようにペットボトルBの口部から肩部が誘電体材料からなる円柱状スペーサ49の空洞部48内に、前記ボトルBの肩部から底部側が前記外部電極46内に収納される。このとき、前記ペットボトルBは排気管52にその口部を通して連通される。
【0107】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管53および排気管52を通して前記排気管52内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス導入管69およびガス供給管59を通して内部電極61のガス流路62に供給し、この内部電極61の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管62からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0108】
次いで、バイアス用電源63からバイアス電力をケーブル64、整合器66および給電端子65を通して前記外部電極46に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源73から高高周波電力をケーブル74、整合器76および給電端子75を通してガス供給管59に供給し、このガス供給管59を通して内部電極60に高高周波電力を供給する。このとき、前記内部電極60の周囲にプラズマが生成される。また、アースシールド管72は前記スペーサ49内およびこのスペーサ49近傍の前記ガス排気管52内に位置するように前記ガス供給管59外周に配置されていると共にフランジ管71を通して接地されているため、このアースシールド管72を基準電位として前記外部電極46からバイアス電圧を内部電極60に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
【0109】
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極60への印加による前記外部電極46へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極46内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0110】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源63および高高周波電源73からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス導入管69からガス供給管59を通して内部電極60のガス流路61およびガス吹き出し管62を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0111】
前記媒質ガスとしては第1実施形態で述べたのと同様なものを用いることができる。
【0112】
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0113】
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0114】
以上、第4実施形態によれば媒質ガスを内部電極60の底部からからペットボトルB内に供給することによって、前記ペットボトルB底部から口部に向かうガスの流れを強制的に生じせしめることができる。このため、ペットボトルB内にガスの滞留部分が作られるのを防止できる。その結果、ペットボトルB内面にコンタミの混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0115】
また、媒質ガスを内部電極60の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管62から吹き出すことによって、前述した第1実施形態と同様にガス吹き出し管62近傍での放電の集中を防止してペットボトルB内で生成されるプラズマの密度を均一にできる。その結果、ペットボトルB内面に粉の混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0116】
さらに、プラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極60への印加による前記外部電極46へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極46内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0117】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
【0118】
また、高高周波電力が印加されるガス供給管59と接地された排気管52との間(つまり排気管52内)でも同様に不要なプラズマを生成し、炭素膜のコーティング効率が低下する。このようなことから、アースシールド管72を前記ガス供給管59外周にペットボトルBの口部近傍のガス排気管52内に位置するように配置し、このアースシールド管72をこれを支持するフランジ管71を通して接地することによって、前記アースシールド管72内を貫通するガス供給管59に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管52内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高め、炭素膜のコーティング速度を向上できる。
【0119】
さらに、ペットボトルBの口部および肩部周囲を覆う部材の形状は複雑であるが、これら部材に対応するスペーサ49を例えば射出成形が可能なプラスチックのような誘電体材料により形成することによって、従来のようにこれら部材を含む全てを外部電極で構成する場合に比べて簡単に製造することができる。しかも、従来のようにこれら部材を含む全てを金属のような導電材料により外部電極で構成する場合に比べて装置全体を軽量化することができる。その上、スペーサ49をプラスチックまたは軟質のセラミックのような誘電体材料により形成することによって、ペットボトルBの複雑な口部および肩部が接触した時にその箇所に傷が発生するのを防止することができる。
【0120】
なお、前記第4実施形態では絶縁材料からなるガス吹き出し部を図8に示す絶縁材料からなるガス吹き出し管62により構成したが、これに限らず、例えば前述した図3、図6と同様な構造、つまり絶縁材料からなるガス吹き出し部をガス吹き出し孔が中心軸方向に開口された例えばプラスチック、セラミックのような絶縁材料からなるキャップから構成し、このキャップを中心軸にガス流路がくり抜かれ内部電極の底部に前記ガス流路と連通するように取り付けてもよい。このような構成において、前記キャップの側壁にガス吹き出し孔を開口してもよい。
【0121】
前記第4実施形態では、空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部にペットボトルBの口部から肩部に対応するように挿入、固定したが、ペットボトルBの肩部からさらに底部に亘って誘電体材料からなる薄膜を延出するようにしてもよい。
【0122】
(第5実施形態)
図9は、第5実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図、図10は図9の内部電極付近を示す拡大断面図である。
【0123】
上下端にフランジ81a,81bを有する円筒状支持部材82は、円環状基台83上に載置されている。筒状の金属製の外部電極本体84は、前記支持部材82内に配置されている。円板状をなす金属製の外部電極底部材85は、前記外部電極84の底部に着脱可能に取り付けられている。前記外部電極本体84および前記外部電極底部材85により炭素被膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bを設置可能な大きさの空間をもつ有底円筒状の外部電極86が構成されている。円板状絶縁体87は、前記基台83と前記外部電極底部材85の間に配置されている。
【0124】
なお、前記外部電極底部材85、前記円板状絶縁体87および前記基台83は図示しないプッシャーにより前記外部電極本体84に対して一体的に上下動し、前記外部電極本体84の底部を開閉する。
【0125】
環状絶縁部材88は、前記外部電極86上面にその環状絶縁部材88上面が前記筒状支持部材82の上部フランジ81aと面一になるように載置されている。
上下にフランジ89a,89bを有するガス排気管90は、前記支持部材82の上部フランジ81aおよび前記環状絶縁部材88の上面に載置されている。この排気管90は、接地されている。図示しないねじを前記排気管90の下部フランジ89bから前記支持部材82の上部フランジ81aに螺着することにより前記ガス排気管90が前記支持部材82に固定されている。また、図示しないねじを前記排気管90の下部フランジ89bから前記環状絶縁部88を貫通して外部電極86の本体84に螺着することにより前記排気管90が前記環状絶縁部材88および前記外部電極86に固定されると共に、前記環状絶縁部材88が前記外部電極86に対しても固定される。なお、前記排気管90と前記環状絶縁部材88および前記外部電極86との固定は、前記排気管90と前記外部電極86とがねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管91は、前記ガス排気管90の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。
【0126】
バイアス用電源92は、ケーブル93および給電端子94を通して外部電極86の外部電極本体84に接続されている。整合器95は、前記バイアス用電源92と前記給電端子94の間の前記ケーブル93に介装されている。
【0127】
中心部に絶縁リング96を有し、接地された蓋体97は、前記ガス排気管90の上部フランジ89aに気密固定されている。筐体98は、前記蓋体97上に取り付けられている。
【0128】
媒質ガスを導入するためのガス導入管99は、外部から前記筐体98内に挿入されている。ガス供給管100は、高高周波電力の端子を兼ね、前記筐体98内から前記蓋体97の絶縁リング96を貫通し、前記ガス排気管90を通して前記外部電極86の本体84内(挿入されるべきペットボトルBの中央部に対応する個所内)に挿入されている。このガス供給管100の上端は、前記ガス導入管99の下端に絶縁継手101を介して連結されている。
【0129】
略円柱状をなす金属製の内部電極102は、前記外部電極86に挿入されたペットボトルB内の底部付近に配置され、その上端が前記ガス供給管100の下端に着脱自在に取り付けられている。前記内部電極102は、中心軸にガス流路103がくり抜かれていると共に、底部に媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔104を穿設したキャップ105が着脱自在に取り付けられている。
【0130】
前記内部電極102の径は、ボトルBの口金径以下とする。
【0131】
前記内部電極102は、例えばタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。また、内部電極102表面が平滑であると、その内部電極102の表面に堆積する炭素膜を剥離し易くなる虞がある。このため、内部電極102の表面を予めサンドブラスト処理し、表面粗さを大きくして表面に堆積する炭素膜を剥離し難くすることが好ましい。
【0132】
フランジ管106およびこのフランジ管106下端に連結されたアースシールド管107は、前記ガス排気管90および前記外部電極86の本体84内におけるペットボトルBの中央部に対応する個所内に位置する前記ガス供給管100部分を覆うように配置されている。
【0133】
前記アースシールド管107の下端は、図9および図10に示すように前記内部電極102の上端から所望のギャップgをあけて配置されている。このギャップgの長さは、20〜30mmにすることが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンのようなプラスチックから作られた絶縁チューブ108は、前記内部電極102とアースシールド管107の下端とが離間した領域(ギャップgの領域)に位置する前記ガス供給管100を含む全体に被覆されている。
【0134】
前記フランジ管106の上端は、前記蓋体97の裏面に連結されている。つまり、前記アースシールド管107は前記フランジ管106を通して接地された前記蓋体97に接続されている。
【0135】
高高周波電源109は、ケーブル110および給電端子111を通して高高周波電力の端子を兼ねる前記ガス供給管100の側面に接続されている。整合器112は、前記高高周波電源109と前記給電端子111の間の前記ケーブル110に介装されている。
【0136】
次に、図9に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0137】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材85、円板状絶縁体87および基台83を取り外して外部電極本体84の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体84の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体84の底部側に外部電極底部材85、円板状絶縁体87および基台83をこの順序で取り付けることによって、図9に示すようにペットボトルBを前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5からなる外部電極86の内部空間に収納する。このとき、前記ペットボトルBは排気管90にその口部を通して連通される。
【0138】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管91および排気管90を通して前記排気管90および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス導入管99およびガス供給管100を通して内部電極102のガス流路103に供給し、この内部電極102の底部に取り付けたキャップ105のガス吹き出し孔104からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0139】
次いで、バイアス用電源92からバイアス電力をケーブル93、整合器95および給電端子94を通して前記外部電極86に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源109から高高周波電力をケーブル110、整合器112および給電端子111を通してガス供給管100に供給し、このガス供給管100を通して内部電極102に高高周波電力を供給する。このとき、前記内部電極102の周囲にプラズマが生成される。また、前記外部電極86の上方に位置する排気管90は接地されているため、この排気管90を基準電位として前記外部電極86からバイアス電圧を内部電極102に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
【0140】
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極102への印加による前記外部電極86へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極86内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0141】
ただし、前記高高周波電源109から高高周波電力をガス供給管100に供給すると、接地された排気管90との間(つまり排気管90内)でも同様に不要なプラズマを生成し、炭素膜のコーティング効率が低下する。この対策として、アースシールド管107を前記ガス供給管100外周に配置し、このアースシールド管107をこれを支持するフランジ管106を通して接地することによって、前記アースシールド管107内を貫通する前記ガス供給管100に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管90内で不要なプラズマの生成が防止される。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高められる。
【0142】
前記アースシールド管107を前記ガス供給管100外周に配置することにより、不要なプラズマ生成を防止できるものの、他方、アースシールド管107下端と高高周波電力が供給される内部電極102上端との間で放電が生じてその個所でのプラズマ密度が高くなるため、ペットボトルB内面にコンタミ(粉)が混入したり、膜厚が不均一になったりする。この対策として、前記アースシールド管107の下端を図9および図10に示すように前記内部電極102の上端から所望のギャップgをあけて配置し、絶縁チューブ108を少なくとも前記内部電極102とアースシールド管107の下端とが離間した領域(ギャップgの領域)に位置する前記ガス供給管100部分に被覆することによって、前記個所での放電を防止してペットボトルB内で生成されるプラズマの密度が均一化される。
【0143】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源92および高高周波電源109からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス導入管99からガス供給管100を通して内部電極102のガス流路103およびガス吹き出し孔104を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0144】
前記媒質ガスとしては炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール等の含酸素炭化水素類;メチルアミン、エチルアミン、アニリン等の含窒素炭化水素類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。
【0145】
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0146】
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0147】
以上、第5実施形態によればプラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極102への印加による前記外部電極86へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極86内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0148】
また、アースシールド管107をガス供給管100外周に配置し、このアースシールド管107をこれを支持するフランジ管106を通して接地することによって、前記アースシールド管107内を貫通するガス供給管100に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管90内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高め、炭素膜のコーティング速度を向上できる。
【0149】
さらに、前記アースシールド管107の下端を前記内部電極102の上端から所望のギャップgをあけて配置し、絶縁チューブ108を少なくとも前記内部電極102とアースシールド管107の下端とが離間した領域(ギャップgの領域)に位置する前記ガス供給管100部分に被覆することによって、アースシールド管107下端と高高周波電力が供給される内部電極102上端との間で放電が生じるのを防止できるため、ペットボトルB内に均一な密度のプラズマの生成できその内面に粉の混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0150】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
【0151】
(第6実施形態)
図11は、この第6実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。なお、図11において前述した第5実施形態で参照した図9と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0152】
この炭素膜形成装置は、ペットボトルBの収納構造がそのペットボトルBの口部および肩部を覆う空洞部113を有するスペーサ114と、これ以外のペットボトルB部分覆う外部電極本体115および外部電極底部材116からなる外部電極117とから構成されている。
【0153】
次に、図11に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0154】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材85、円板状絶縁体87および基台83を取り外して外部電極本体84の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体84の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体84の底部側に外部電極底部材85、円板状絶縁体87および基台83をこの順序で取り付けることによって、図11に示すようにペットボトルBの口部から肩部が誘電体材料からなる円柱状スペーサ114の空洞部113内に、前記ボトルBの肩部から底部側が前記外部電極117内に収納される。このとき、前記ペットボトルBは排気管90にその口部を通して連通される。
【0155】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管91および排気管90を通して前記排気管90および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、媒質ガスをガス導入管99およびガス供給管100を通して内部電極102のガス流路103に供給し、この内部電極102の底部に取り付けたキャップ105のガス吹き出し孔104からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0156】
次いで、バイアス用電源92からバイアス電力をケーブル93、整合器95および給電端子94を通して前記外部電極86に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源109から高高周波電力をケーブル110、整合器112および給電端子111を通してガス供給管100に供給し、このガス供給管100を通して内部電極102に高高周波電力を供給する。このとき、前記内部電極102の周囲にプラズマが生成される。また、アースシールド管107は前記スペーサ114内およびこのスペーサ114近傍の前記ガス排気管90内に位置するように前記ガス供給管100外周に配置されていると共にフランジ管106を通して接地されているため、このアースシールド管107を基準電位として前記外部電極86からバイアス電圧を内部電極102に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
【0157】
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極102への印加による前記外部電極86へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極86内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0158】
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源92および高高周波電源109からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス導入管99からガス供給管100を通して内部電極102のガス流路103およびガス吹き出し孔104を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0159】
前記媒質ガスとしては、第5実施形態で述べたのと同様なものを用いることができる。
【0160】
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0161】
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0162】
以上、第6実施形態によればプラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極102への印加による前記外部電極86へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極86内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0163】
また、アースシールド管107をガス供給管100外周に配置し、このアースシールド管107をこれを支持するフランジ管106を通して接地することによって、前記第5実施形態で詳述したように前記アースシールド管107内を貫通するガス供給管100に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管90内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高め、炭素膜のコーティング速度を向上できる。
【0164】
さらに、前記アースシールド管107の下端を前記内部電極102の上端から所望のギャップgをあけて配置し、絶縁チューブ108を少なくとも前記内部電極102とアースシールド管107の下端とが離間した領域(ギャップgの領域)に位置する前記ガス供給管100部分に被覆することによって、前記第5実施形態で詳述したようにアースシールド管107下端と高高周波電力が供給される内部電極102上端との間で放電が生じるのを防止できるため、ペットボトルB内に均一な密度のプラズマの生成できその内面に粉の混入が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜を被覆することができる。
【0165】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
【0166】
また、ペットボトルBの口部および肩部周囲を覆う部材の形状は複雑であるが、これら部材に対応するスペーサ114を例えば射出成形が可能なプラスチックのような誘電体材料により形成することによって、従来のようにこれら部材を含む全てを外部電極で構成する場合に比べて簡単に製造することができる。しかも、従来のようにこれら部材を含む全てを金属のような導電材料により外部電極で構成する場合に比べて装置全体を軽量化することができる。その上、スペーサ114をプラスチックまたは軟質のセラミックのような誘電体材料により形成することによって、ペットボトルBの複雑な口部および肩部が接触した時にその箇所に傷が発生するのを防止することができる。
【0167】
なお、前記第6実施形態では空洞部113を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ114を外部電極86の上部にペットボトルBの口部から肩部に対応するように挿入、固定したが、ペットボトルBの肩部からさらに底部に亘って誘電体材料からなる薄膜を延出するようにしてもよい。
【0168】
【発明の効果】
本発明によれば、本発明によれば膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜が内面にコーティングされ、酸素および二酸化炭素に対するバリア性が優れた容器を製造し得る方法を提供することができる。
【0169】
また、本発明によれば膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜が内面に高速度でコーティングされ、酸素および二酸化炭素に対するバリア性が優れた容器を量産的に製造し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図2】 図1の内部電極を示す拡大断面図。
【図3】 本発明の第1実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置に組込まれる内部電極の変形例を示す断面図。
【図4】 本発明の第2実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図5】 図4の内部電極を示す拡大断面図。
【図6】 本発明の第2実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置に組込まれる内部電極の変形例を示す断面図。
【図7】 本発明の第3実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図8】 本発明の第4実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図9】 本発明の第5実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図10】 図9の内部電極付近を示す拡大断面図。
【図11】 本発明の第6実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図12】 従来のプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【符号の説明】
2、42、82 支持部材、
4、44、84、115 外部電極本体、
5、45、85,116 外部電極底部材、
6、46、86,117 外部電極、
10、52、90 排気管、
13、55 高周波電源、
17、59、100 ガス供給管、
18、60,102 内部電極、
20、62 ガス吹き出し管、
21 ガス吹き出し孔、
22 絶縁材料からなるキャップ、
23,63,92 バイアス用電源、
31,72、107 アースシールド管、
32、73,109 高高周波電源、
49、114 円柱状スペーサ、
108 絶縁チューブ、
B ペットボトル

Claims (5)

  1. 容器内面にバリア性の優れた膜を形成する被覆容器の製造方法であって、
    (a)基台を備えた支持部材内に配置され、外部電極本体と外部電極底部材とからなり、容器が挿入される有底筒状の外部電極の底部を開放する際に、支持部材を残して、プッシャーにより電極底部材、絶縁体および基台を取り外して外部電極本体の底部を開放する工程と、
    (b)容器を外部電極内に挿入する工程と、
    (c)前記プッシャーにより、支持部材内の外部電極に対して、外部電極底部材、絶縁体および基台をこの順序で取り付けることにより前記容器を外部電極の内部空間に収納する工程と、
    (d)前記容器内外のガスを排気手段により排気する工程と、
    (e)前記容器内に媒質ガスを供給する工程と、
    (f)高周波電源から高周波電力を供給し、前記容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記容器内面にバリア膜をコーティングする工程と、
    (g)高周波電力、媒質ガス、ガスの排気を停止した後、前記容器内外を大気圧に戻す工程と、
    (h)前記容器を取り出す工程と、を含むと共に、
    前記(a)工程が、外部電極底部材、絶縁材料および基台を前記プッシャーにより一体的に上下動するものであり、且つ
    前記(e)工程が、媒質ガスをガス供給管を通して内部電極のガス流路に供給し、この内部電極の底部に挿着した絶縁材料からなるガス吹き出し管から容器内に吹き出させることによって、
    前記(f)工程において、ガス吹き出し管の内部、または近傍にプラズマが局所的に集中することを防ぎ、且つ前記容器内に均一にプラズマを生成させる
    ことを特徴とする被覆容器の製造方法。
  2. 請求項1において、
    さらに、前記(e)工程が、一つのガス吹出し管から容器底部から口部に向かうガスの流れを強制的に生じせしめるように原料ガスを吹き出すことを特徴とする被覆容器の製造方法。
  3. 請求項1又は2において、
    さらに、前記(e)工程が、内径1mmのガス吹出し管から原料ガスを吹き出すことを特徴とする被覆容器の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
    (i)さらに、前記(a)〜(h)の順序に従って次の容器のコーティング作業に移ることを特徴とする被覆容器の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
    前記バリア性の優れた膜は炭素膜であることを特徴とする被覆容器の製造方法。
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