JP2006008254A5 - 導電性部材 - Google Patents

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内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法、プラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置および導電性部材
本発明は、内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法に用いられるプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置および導電性部材に関する。
プラスチック容器、例えばペットボトルは、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止するためにその内面にDLC(Diamond Like Carbon)のような炭素膜をコーティングすることが試みられている。
プラスチック容器、例えばペットボトルは、外部からの酸素の透過および容器自身に含まれる酸素やアセトアルデヒドなどの内部への浸み出し、また内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過、水の蒸発、フレーバーのボトルへの吸着などを防止し、かつ太陽光のボトル内部への入射による内容物の劣化などを防止するために、その内面にDLC(Diamond Like Carbon)やa−C(amorphous Carbon)のような炭素膜やSiOx膜などの気体や光などの透過などを防止する特性を持った各種の機能バリヤ膜をコーティングすることが試みられている。
このようなペットボトルなどのプラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする方法としては、特許文献1、特許文献2および特許文献3などに開示されている。また、非特許文献1および非特許文献2などにまとめて報告されている。
前記特許文献3および特許文献4には高周波プラズマを用いる方法が開示されている。特許文献5には、その応用的な方法として高周波プラズマを用いて炭素膜をフィルムにコーティングする方法が開示されている。特許文献6には、特殊形状容器に対応する炭素膜のコーティング方法が、特許文献7には量産化技術として複数個の容器に同時にコーティングする方法が開示されている。また、非特許文献3にはプラスチック容器に炭素膜をコーティングする技術が開示されている。
さらに、原料ガスを変えれば、SiOxなどの他の機能膜も、高周波プラズマ形成が可能である。
前記特許文献1に基づいて高周波プラズマCVDを用いたプラスチック容器への炭素機能バリヤ膜をコーティングする方法を以下に説明する。
図8は特許文献1に記載されている高周波プラズマCVDを用いたプラスチック容器内面への炭素膜コーティング装置の断面図である。
図8において、101は外部電極天蓋部、102は外部電極、103は絶縁板、104はプラスチック容器、105は内部電極、106はガス供給口、107はプラスチック内部空間、108はプラスチック容器104と電極(プラスチック外筒)の隙間、109は容器104の口部、110は原料ガス供給管、111は排気口、112はマッチングボックス、113は高周波電源、114は冷却水、115はプラスチック製の外筒である。この例では、アース電極は前記容器104の内部に挿入された内部電極105となっている。さらに、前記外部電極102は成膜チャンバを兼ねている。前記外部電極102の内側には、プラスチック製の外筒115が設置され、この外筒115とプラスチック容器104の間に隙間がないようにしており、プラスチック容器104の内部以外に大きな空間が存在しない構造になっている。
図8の構成の装置を用いてペットボトルのようなプラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする方法について説明する。
まず、外部電極102の内側に設置されたプラスチック製の外筒115の内部にペットボトルのようなプラスチック容器104を挿入する。外部電極105内のガスをガス排気口111を通して排気する。この時、前記外筒115に収納したプラスチック容器104内外の空間のガスが排気される。規定の真空度(代表値:10-2〜10-5Torr)に到達した後、媒質ガスを原料ガス供給管110を通して内部電極105に例えば10〜50mL/minの流量で供給し、さらに内部電極105のガス供給口106を通してプラスチック容器104内に吹き出す。この媒質ガスとしては、例えばアセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類が用いられる。また、炭素膜の代わりにたとえばSiOxの機能膜を成膜する場合には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)やテトラエトキシシラン(TEOS)と酸素ガスを混合して用いるなど、媒質ガスを変えることにより各種のバリヤ膜のコーティングが可能である。
前記プラスチック容器104内の圧力は、ガス供給量と排気量のバランスによって例えば2×10-1〜1×10-2Torrに設定する。その後、高周波電源113から50〜1000Wの高周波電力を整合器112を通して外部電極102に印加する。
このような高周波電力の外部電極102への印加によって、前記外部電極102と内部電極105の間にプラズマが生成される。この時、プラスチック容器104は外部電極102の内側に設置されたプラスチック製の外筒115にほぼ隙間なく収納されているため、プラズマはプラスチック容器104内に発生する。前記媒質ガスは、前記プラズマによって解離、又は更にイオン化して、炭素膜を形成するための製膜種が生成され、この製膜種が前記プラスチック容器104内面に堆積し、炭素膜を形成する。炭素膜を所定の膜厚まで形成した後、高周波電力の印加を停止し、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気、窒素、希ガス、又は空気等を外部電極102内に供給し、この空間内を大気圧に戻す。この後、前記プラスチック容器104を外部電極102から取り外す。なお、この方法において炭素膜を厚さ30nm成膜するには2〜3秒間要する。
特開平2−70059号 特開2000−230064号 特開平8−53116号公報 特開平8−53117号公報 特開平9−272567号公報 特開平10−226884号公報 特開平10−258825号公報 宮崎俊三、「PETボトルのプラズマコーティング技術」、成型加工、」Vol.14、No.3、p.153、2002 白倉昌、「PETボトルへのDLCコーティング」、表面技術、Vol.52、No.12、p.853、2001 K.Takemoto, et al, Proceedings of ADC/FCT '99,p285」、「E.Shimamuraet al, 10th years IAPRI World Conference 1997,p251
しかしながら、前述した特許文献1の発明は従来の方法は以下のような問題点があった。
すなわち、プラスチック容器104内へのプラズマの生成は外部電極102に高周波電力を供給し、前記プラスチック容器104内に挿入した内部電極105を接地することによりなされ、内部電極105は常にプラズマに曝される。このため、媒質ガスをプラズマ中で解離してプラスチック容器104内面にバリヤ膜をコーティングする間、内部電極105表面にもバリヤ膜がコーティングされる(付着する)。このような内部電極105表面へのバリヤ膜のコーティング(付着)は、次の点で不都合である。
a)内部電極105のガス供給口106が詰まって媒質ガスを安定して吹き出すことが困難になる。
b)内部電極105の表面についたバリヤ膜は絶縁膜であるので、膜が多量に付着すると、内部電極105と外部電極102との間(プラスチック容器104内)での放電状態が変化し、プラズマ生成が不安定となったり、プラズマが点灯しなかったりして、コーティングになされなくなることがある。
前記a),b)は、プラスチック容器104内面にコーティングされるバリヤ膜の膜厚の不均一化を招くばかりか、膜質劣化の原因になるとともに、量産時に膜のついていない不良品を多量に生じさせる原因になる。
c)炭素膜が付着された内部電極105は、外径が細いため電界が集中し、プラズマ中の気相反応が過度に進むと、飲料に混入する可能性のある粉状物質となってプラスチック容器104内面に付着する。
d)内部電極105に堆積した炭素膜が剥離し、プラスチック容器104内に残留し、飲料内に異物として混入する。
このような問題点を回避するために前記内部電極表面を頻繁にクリーニングする必要があり、メンテナンス作業が煩雑になるばかりか、炭素バリヤ膜コーティングプラスチック容器の生産性が低下する。
また、プラスチック容器内に内部電極を設けた炭素膜コーティング装置において、プラスチック容器を成膜チャンバ内に出し入れする際に、プラスチック容器の口部に内部電極を挿入する動作において、内部電極がプラスチック容器の口部にあたらないように、プラスチック容器を出し入れする際に機械的精度および内部電極位置の機械的精度が必要となり、装置が複雑になる。
e)さらに、プラスチック容器内に内部電極を設けた炭素膜コーティング装置において、内部電極とプラスチック容器または外部電極の軸がずれていると、特にプラスチック容器の内径が細い口部で内部電極とプラスチック容器口部の間に不均一な電界が生じ、したがって、不均一な放電が生じ、結果として周方向に不均一な膜分布となってしまう問題があった。
また、このような問題は、炭素膜以外のSiOxなどの機能膜でも同じである。
本発明は、膜質が良好で、均一な膜厚を有するバリヤ膜が内面にコーティングされたプラスチック容器の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、プラスチック容器内面に膜質が良好で、さらに均一厚さのバリヤ膜をコーティングすることが可能で、メンテナンスを軽減し、装置の機械的な必要精度が低くて済むことが可能なプラスチック容器の内面へのバリヤ膜形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、膜質が良好で、均一な膜厚を有するバリヤ膜が内面にコーティングされたプラスチック容器の製造方法に用いられる導電性部材を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされ、下記の(1)から(7)の手段を提供するものであり、以下、特許請求の範囲に記載の順に説明する。
(1)その第1の手段として、内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、(b)前記プラスチック容器内のガスを接地された排気管を通して排気手段により排気した後、ガス供給手段により原料ガスを前記プラスチック容器内に供給する工程と、(c)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、高周波電界を前記排気管内に設けた導電性部材より容器側空間に閉じ込めてその空間内にプラズマの生成を規制し、このプラズマにより前記原料ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを有することを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法を提供する。
(2)第2の手段としては、被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む外部電極と、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられ、接地された排気管と、前記外部電極内に挿入されたプラスチック容器内のガスを前記排気管を通して排気するための排気手段と、前記外部電極内に挿入されたプラスチック容器に原料ガスを供給するためのガス供給手段と、前記外部電極に接続される高周波電源とを具備し、ガス流通穴を有する導電性部材が、前記排気管内にこの排気管内面に接触して設けられることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を提供する。
(3)また、第3の手段として、第2の手段のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置において、前記導電性部材は、ハニカム形状を有することを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を提供する。
(4)第4の手段として、第の手段のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置において、前記ハニカム形状の導電性部材は、ガス流通穴が1〜7mmの寸法を有することを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を提供する。
(5)第5の手段として、第の手段のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置において、前記ハニカム形状の導電性部材は、開口率が95%以上であることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を提供する。
(6)第6の手段として、第の手段のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置において、前記導電性部材は、メッシュまたは金網であることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を提供する。
(7)第7の手段として、第2,3または6のいずれかの手段のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置において、前記導電性部材は、ステンレスまたはアルミニウムであることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を提供する。
(8)第8の手段として、第2,3または6のいずれかの手段のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置において、前記導電性部材は、表面が絶縁物で被覆されていることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を提供する。
(9)第9の手段として、内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、(b)前記プラスチック容器内のガスを接地された排気管を通して排気手段により排気した後、ガス供給手段により原料ガスを前記プラスチック容器内に供給する工程と、(c)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、高周波電界を前記排気管内に設けた導電性部材より容器側空間に閉じ込めてその空間内にプラズマの生成を規制し、このプラズマにより前記原料ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程とを有する内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法を行なうために用いる前記導電性部材であって、ガス流通穴を有し、前記排気管内に同排気管内面に接触して設けられるものであることを特徴とする導電性部材を提供する。
本発明によれば膜質が良好で、均一な膜厚を有するバリヤ膜が内面にコーティングされ、酸素や二酸化炭素などに対するバリヤ性が優れたプラスチック容器を製造し得る方法を提供することができる。
また、本発明によれば、プラスチック容器内面に膜質が良好で、さらに均一厚さのバリヤ膜をコーティングすることが可能で、メンテナンスを軽減し、安定な運転を行うことが可能なプラスチック容器の内面へのバリヤ膜形成装置を提供することができる。
発明の導電性部材を用いた内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法によれば膜質が良好で、均一な膜厚を有するバリヤ膜が内面にコーティングされ、酸素や二酸化炭素などに対するバリヤ性が優れたプラスチック容器を製造し得る。
また、本発明の導電性部材を用いたプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置によれば、プラスチック容器内面に膜質が良好で、さらに均一厚さのバリヤ膜をコーティングすることが可能で、メンテナンスを軽減し、安定な運転を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施形態と、本発明に係り本発明者が検討した検討例を図面を参照して詳細に説明する。
(第1検討例)
図1は、本発明に係り本発明者が検討した第1検討例のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図である。
上下端にフランジ1a,1bを有する円筒状支持部材2は、円環状基台3上に載置されている。金属製の外部電極本体4は、前記支持部材2内に配置されている。円板状をなす金属製の外部電極底部材5は、前記外部電極4の底部に着脱可能に取り付けられている。前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5により炭素被膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bを設置可能な大きさの空間をもつ有底円筒状の外部電極6が構成されている。外部電極本体4の上部内側とペットボトルBの口から肩にかけての部分の空間は絶縁材料からなる円柱状スペーサ7が設置されている。円板状絶縁体8は、前記基台3と前記外部電極底部材5の間に配置されている。
なお、前記外部電極底部材5、前記円板状絶縁体8および前記基台3は図示しないプッシャーにより前記外部電極本体4に対して一体的に上下動し、前記外部電極本体4の底部を開閉する。
環状絶縁部材9は、前記外部電極6上面にその環状絶縁部材9上面が前記筒状支持部材2の上部フランジ1aと面一になるように載置されている。上下にフランジ10a,10bを有するガス排気管11は、前記支持部材2の上部フランジ1aおよび前記環状絶縁部9の上面に載置されている。この排気管11は、接地されている。図示しないねじを前記排気管11の下部フランジ10bから前記支持部材2の上部フランジ1aに螺着することにより前記ガス排気管11が前記支持部材2に固定されている。また、図示しないねじを前記排気管11の下部フランジ10bから前記環状絶縁部9を貫通して外部電極6の本体4に螺着することにより前記外部電極6の本体4は前記排気管11に前記環状絶縁部材9を介して吊下される。なお、前記排気管11と前記環状絶縁部材9および前記外部電極6との固定は、前記排気管11と前記外部電極6とがねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管12は、前記ガス排気管11の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。蓋体13は、前記排気管11の上部フランジ10aに取り付けられている。
例えば周波数13.56MHzの高周波電力を出力する高周波電源14は、ケーブル15および給電端子16を通して前記外部電極6の本体4に接続されている。整合器17は、前記高周波電源14と前記給電端子16の間の前記ケーブル15に介装されている。
ガス供給管18は、前記蓋体13を貫通し、前記外部電極6内に挿入されるペットボトルBの口部近傍のガス排気管11に挿入されている。ガス供給管18は長さと材質を変更できるようにアタッチメント式になっており、コーティング条件によって使い分けるようにしてある。なお、前記ガス供給管18をペットボトルBの口部から底部付近まで挿入する場合には、破線で示すようにペットボトルB内に位置するガス供給管部分19は絶縁体とした。
前記円柱状スペーサ7は、例えば内部にペットボトルの口部が挿入される空洞部を有する。前記スペーサ7を構成する絶縁材料としては、例えばプラスチックまたはセラミックを挙げることができる。プラスチックとしては、種々のものを用いることができるが、特に高周波損失が低く、耐熱性の優れたポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂が好ましい。セラミックとしては、高周波損失が低いアルミナ、ステアタイトまたは機械加工性が高いマコールが好ましい。
次に、図1に示すバリヤ膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
図示しないプッシャーにより外部電極底部材5、円板状絶縁体8および基台3を取り外して外部電極本体4の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体4の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体4の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体8および基台3をこの順序で取り付けることによって、図1に示すようにペットボトルBを前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5からなる外部電極6、円柱状スペーサ7の内部空間に収納する。このとき、前記ペットボトルBは排気管11にその口部を通して連通される。
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管12および排気管12を通して前記排気管12および前記ペットボトルB内部のガスを排気する。このとき同時にペットボトルBと外部電極6の間の隙間に存在するガスも排気される。つづいて、原料ガス、例えば媒質ガスをガス供給管18を通してペットボトルBの口部からその内部に供給する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
次いで、高周波電源14から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル15、整合器17および給電端子16を通して前記外部電極6の本体4に供給する。このとき、前記外部電極6と接地された排気管11との間で放電がなされて前記外部電極6に挿入された前記ペットボトルB内にプラズマが生成される。内部に金属製の電極が存在しないため、前記外部電極6と前記排気管11との間で放電が生じる。このようなプラズマの生成によって、媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記ペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜がコーティングされる。
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源14からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管18を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
前記媒質ガスとしては、炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール等の含酸素炭化水素類;メチルアミン、エチルアミン、アニリン等の含窒素炭化水素類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。
前記高周波電力の周波数は、一般的に13.56MHzが用いられるが、たとえば100kHzから400MHzの範囲で同様の処理が期待できる。一般に、周波数が低いほどバイアス電圧が高くなる効果によりバリヤ性の高い良質な膜ができるが、成膜速度は遅い。一方、周波数が高いほどプラズマ密度が高くなる効果により成膜速度は速くなるが、膜質は低下する。両者のトレードオフにより最適周波数が決まる。電力は、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよく、高周波と同様に機能するパルス幅100ns以下の負のDCパルスの印加でも良い。
以上、第1検討例によれば外部電極6と接地された排気管11との間で放電を行って、前記外部電極6に挿入された前記ペットボトルB内にプラズマを生成することによって、原料ガスを供給するためのガス供給管18の先端(下端)を例えば前記外部電極6内に挿入されるペットボトルBの口部近傍のガス排気管11に位置させることができる。このため、ペットボトルB内に従来のように内部電極が存在しない状態で前述したプラズマの生成、原料ガス(例えば媒質ガス)の解離を行うことができるため、安定したプラズマの生成を図ることができる。その結果、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜をペットボトルB内面にコーティングすることができる。また、ペットボトルB内に存在する内部電極をクリーニングするための煩雑なメンテナンス操作を解消することができる。その上、内部電極に炭素膜がコーティングされるのを回避できるため、ペットボトルB内面への炭素膜のコーティング速度を向上できる。
ガス供給管18の先端は、媒質ガスの性状、流入量、ペットボトルB内の圧力によってその先端をペットボトルBの口部上端に止めても均一なコーティングができる場合もあるし、ペットボトルBの口部から底部まで挿入しないと不均一になってしまう場合もある。例えば、ペットボトルBの圧力が200mTorr〜1Torrの場合には底部付近までガス供給管18の先端を挿入しないと上部が厚いコーティングになってしまう。一方、200mTorr以下または1Torr以上の場合にはガス供給管18の先端をペットボトル口部付近に設置することで均一なコーティングが得られた。前記ガス供給管18をペットボトルBの口部から底部まで挿入する場合には、そのガス供給管部分19は絶縁体とすることにより電気的な影響をなくし、膜の付着を回避できるとともに、膜が堆積しても電気的インピーダンス不整合で生じる放電の不安定性が回避できる。
本第1検討例では、内部電極がない代わりに排気管が接地電極の役割を持つが、実験の結果排気管の汚れによる放電の不安定性は生じ難いことがわかった。すなわち、内部電極がある従来の場合、数十回のコーティングで放電の不安定性が生じたが、本第1検討例では千回以上コーティングを行っても放電の不安定性が生じなかった。これは、内部電極は直径が細いため電界が集中し、膜の付着の影響が出やすいことと、排気管は放電の下流にあるため原料ガスが使われた残りの水素を主とするガスが流れるため、成膜速度が遅いため排気管への成膜速度が低いためと考えられる。
また、機械強度などの関係で前記ガス供給管18を絶縁体とすることができず金属製とした場合で、かつガス圧などの条件の関係からペットボトルBの内部にまで原料ガスを供給しないと良質なコーティングができない場合がある。この形態においても、前記ガス供給管18の先端の挿入深さがペットボトルBの口部からペットボトル全高の1/4のまでであれば、放電は主に外部電極6と排気管11との間の放電が主であり、プラズマはペットボトルB内部から排気管にかけて広く生じ、かつ前記ガス供給管18にバリヤ膜がついて汚れても、それが原因で放電が不安定になったり、放電が生じなかったりすることがないことがわかった。
また、前記長さのガス供給管であれば、ペットボトル挿入時のハンドリングを複雑化するほどの問題はない。金属製のガス供給管がペットボトルの全高の1/4以上の深さまで挿入されると、放電が不安定になったり、放電が生じなくなくなったりすることが起こる。
したがって、前記第1検討例によれば外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素バリヤ膜被覆ペットボトルを量産的に製造することができる。
(実施形態)
図2は、本発明の一実施形態に係るプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図である。
上下端にフランジ21a,21bを有する円筒状支持部材22は、円環状基台23上に載置されている。炭素膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bが収納される収納部材24は、前記円筒状支持部材22および前記円環状基台23内に配置されている。
前記収納部材24は、前記ペットボトルBが挿入された時にその外周を取り囲む上部が内側に膨出した筒状体25と、この筒状体25の底部に配置される導電材料からなる円板状底板26とから構成されている。前記筒状体25は、その高さ方向に3分割された第1環状電極(環状上部電極)27、環状絶縁体28および第2環状電極(環状下部電極)29とを有する。前記第1環状電極27内側に位置するペットボトルB上部と前記筒状体25の上部内側の膨出した部分には、絶縁材料からなる円柱状スペーサ30が配置されているとともに、接着剤を介して互いに固定されている。環状上部電極27の下端部には金属製の突起部31が前記環状絶縁体28の内側とペットボトルB外周との間に薄く伸びている。図示しない絶縁材料からなる外装筒体は、前記筒状体25の外周に配置され、前記各分割部材からなる前記筒状体25の位置ずれを防いでいる。前記環状上部電極27は、接地されている。円板状絶縁体32は、前記基台23と前記円板状底板26の間に配置されている。
前記環状上部電極27および環状下部電極29は、例えばステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料や、電気伝導性が良好で、軽いアルミニウムなどで作ってもよい。円柱状スペーサ30、円板状絶縁体32を構成する絶縁材料は、強度が高く高周波損失が少なく耐圧が高く耐熱性の高いものが好ましく、たとえばテフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂やアルミナなどのセラミックスなどが良いが、コストなどの点からこれに限るものではない。
なお、前記基台23、円板状絶縁体32および前記円板状底板26は図示しないプッシャーにより前記筒状体25に対して一体的に上下動し、前記筒状体25の環状下部電極29の底部を開閉する。
環状導電部材33は、前記筒状体25上面にその環状導電部材33上面が前記筒状支持部材22の上部フランジ21aと面一になるように載置されている。
上下にフランジ34a,34bを有するガス排気管35は、前記支持部材22の上部フランジ21aおよび前記環状導電部材33の上面に載置されている。この排気管35は、接地されている。図示しないねじを前記排気管35の下部フランジ34bから前記支持部材22の上部フランジ21aに螺着することにより前記ガス排気管35が前記支持部材22に固定されている。また、図示しないねじを前記ガス排気管35の下部フランジ34bから前記環状導電部材33を貫通して前記筒状体25を構成する環状上部電極27と図示しない外装筒体とに螺着することにより前記筒状体25および外装筒体が前記環状導電部材33および前記ガス排気管35に吊下される。なお、前記筒状体25の環状上部電極27を前記環状導電部材33および前記ガス排気管35に吊下するにあたって、前記環状上部電極27と前記ガス排気管35とはねじにより電気的に完全に導通する取り付け構造になっており、環状上部電極27は完全に接地されている。一方、高周波印加電極である環状下部電極29は、上下方向に厚さが厚く、高周波的に高いインピーダンスを持つ環状絶縁体28により、接地されている環状上部電極27から高周波的に絶縁されている。
分岐ガス排気管36は、前記ガス排気管35の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。接地された蓋体37は、前記ガス排気管35の上部フランジ34aに気密固定されている。さらに、導電性ハニカム部材38は円柱状スペーサ30とペットボトルBの上端部の上に排気管35と接触して接地するように固定されている。
高周波電源39は、ケーブル40および給電端子(図示せず)を通して前記筒状体25を構成する環状下部電極29に接続されている。整合器41は、前記ケーブル40に介装されている。
ガス供給管42は、前記蓋体37を貫通し、前記収納部材24内に収納されるペットボトルBの口部近傍の前記ガス排気管35に挿入され、さらに前記導電性ハニカム部材38を貫通している。このガス供給管42は、長さと材質を変更できるようにアタッチメント式になっており、コーティング条件によって使い分けられる。前記ガス供給管42をペットボトルBの口部からその底部付近まで挿入する場合には、破線で示すようにペットボトルB内に位置するガス供給管部分43を絶縁体とした。
次に、図2に示すバリヤ膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
図示しないプッシャーにより前記基台23、円板状絶縁体32および円板状底板26を取り外して筒状体25の環状下部電極29底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBをその口部側から開放した下部電極29の底部に挿入した後、図示しないプッシャーにより筒状体25の底部側に前記円板状底板26、円板状絶縁体32および基台23をこの順序で取り付けることによって、図2に示すようにペットボトルBが前記筒状体25、円柱状スペーサ30および前記円板状底板26内に収納される。
次いで、図示しない排気設備により分岐排気管36およびガス排気管35を通して前記ガス排気管35内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、原料ガス、例えば媒質ガスをガス供給管42を通してペットボトルBの口部からその内部に供給する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
次いで、高周波電源39から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル40、整合器41および給電端子(図示せず)を通して前記筒状体25の環状下部電極29に供給する。このとき、前記環状下部電極29と環状絶縁体28を挟んで接地された環状上部電極27との間のペットボトルB内にペットボトルBの基材を介して放電が生じる。このようなプラズマの生成によって、前記媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記収納部材24に収納されたペットボトルB内面に炭素膜がコーティングされる。
円柱状スペーサ30は、ペットボトルBの口部および肩部の電界を調整するために設置する。ペットボトルBの内面の膜厚を薄くしたい場合は、円柱状スペーサ30の径方向の厚みを厚く、逆に膜厚を厚くしたい場合は厚みを薄く、または円柱状スペーサ30自体を省略することで均一化あるいは見栄えをよくするために口部の厚みを薄くすることができる。もちろん、円柱状スペーサ30がなくても均一性が得られる場合には、円柱状スペーサ30は設置する必要はない。
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源39からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管42を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
前記媒質ガスとしては、第1検討例で説明したのと同様なものを用いることができる。
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、第1検討例でも記した通りこれに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよく、高周波と同様に機能するパルス幅100ns以下の負のDCパルスを用いてもよい。
以上、本実施形態によれば収納部材24の筒状体25を構成する環状の上下電極27、29間で放電を行って、前記収納部材24に収納された前記ペットボトルB内にプラズマを生成することによって、媒質ガスを供給するためのガス供給管42の先端(下端)を例えば前記収納部材24に収納されるペットボトルBの口部近傍のガス排気管35に位置させることができる。その結果、ペットボトルB内に従来のように不要な部材(内部電極)が存在しない状態で前述したプラズマ生成、媒質ガスの解離を行うことができるため、媒質ガスの安定した供給、安定したプラズマの生成を図ることができ、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜をペットボトルB内面にコーティングすることができる。また、ペットボトルB内に存在する不要な部材をクリーニングするための煩雑なメンテナンス操作を解消することができる。その上、内部電極に炭素膜がコーティングされるのを回避できるため、ペットボトルB内面への炭素膜のコーティング速度を向上できる。
さらに、前述した第1検討例では排気管をアース電極としたため、排気管内にもプラズマが生じる。このため、入力した電力が排気管内の不要なプラズマの生成にも使用されるため効率が低下する。また、排気管内面に炭素膜がコーティングされるため、この部分のメンテナンス(清掃)が必要になる。本実施形態では、プラズマの発生はペットボトルB内に限定されるため、このような問題を回避できる。
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリヤ性の優れた炭素膜などのバリヤ膜を被覆したペットボトルを効率的かつ量産的に製造することができる。
また、接地された導電性ハニカム部材(本発明の「導電性部材」)38は前記環状下部電極29から印加される高周波電界をペットボトルBの内部に閉じ込めることにより、放電がガス排気管35内に広がらない効果を確実にする。この効果により放電は、前記環状下部電極29と環状絶縁体28を挟んで接地された環状上部電極27との間のみで生じる。例えば、前記環状下部電極29から印加される高周波電力が200W程度の低出力の場合には本導電性ハニカム部材38がなくても放電はペットボトルB内に限って生じる。このため、必ずしも導電性ハニカム部材38を設けなくてもよい。ただし、電力が大きくなると前記導電性ハニカム部材38を設けることが好ましい。導電性ハニカム部材38は、高周波電界を十分遮断できるように例えば開口径が1mm〜7mm程度のハニカム状であり、ペットボトルBからの排気抵抗が十分小さいよう開口率95%以上の形状にすることが好ましい。材質はステンレス、アルミニウムなど導電性である必要があり、プラズマに曝されることから耐熱性のものが好ましい。なお、ハニカムの代わりに、メッシュや金網でも代用することができる。また、表面が絶縁物で被覆されていてもよい。これは、膜が導電性ハニカム部材38に付着したときに起きる電気的な変化を小さくする効果と、炭素膜をクリーニングし易くする効果が期待できる。
放電を対称放電とし、両電極の内側のペットボトル内面に生じるバイアス電圧を略等しくし、両電極内面で同等のコーティング品質とコーティング速度が得られるように、前記環状下部電極29と環状上部電極27(円柱状スペーサ30を含む)のペットボトルBに接する内側の表面積は略等しくすることが好ましい。さらに、表面積の比率を微調すれば、さらに高い均一性が得られる。
環状絶縁体28は前記環状下部電極29と接地された環状上部電極27の間に設置されており、もし容量的に結合すると電力のロスが発生するなどの問題が生じる虞があるので、高周波インピーダンスが十分大きくなるようにボトルの高さ方向に十分厚いことが好ましい。ただし、環状絶縁体28が厚いと、ペットボトルBの環状絶縁体28の内側に接する部分で金属電極が接していない部分が広くなる。その部分は、バイアス電圧が発生せず、成膜イオン種の流入量およびイオンエネルギーが低いため成膜速度が上がらず、膜質も悪くなりバリヤ性の低下を招くので、その金属電極が接していない部分は狭い方が好ましい。
このようなことから前記環状下部電極29または環状上部電極27のいずれか少なくとも一方を環状絶縁体28の内側のペットボトルB外周との間に金属製突起部31のように薄く伸ばすことが好ましい。例えば、3mm以下、1mm以上であれば全体のバリヤ性からみて影響を無視できるので好ましい。勿論、互いに接触しないようにする必要がある。この突起部31は、薄いので容量結合は殆んどなく、高周波インピーダンスは上記のように大きいままに維持することができる。一方、前記突起部31に接するペットボトルBの内面にはバイアス電圧を発生させることができ、この部分に接するペットボトルBの内面に良質の膜を高速でコーティングすることができる。
なお、本実施形態において各環状の電極に対する高周波電源および接地の接続を逆、つまり高周波電源を筒状体の環状上部電極に接続し、筒状体の環状下部電極を接地してもよい。
また、収納部材24の筒状体25を構成する環状の上下電極27、29は各種のサイズが可能で、図2に示す形状に限定されない。例えば、上部電極27はその上端がペットボトルBの上端と面一にする場合を示したが、環状導電部材33の代わりに環状絶縁部材を配置し、その厚さを厚くし、上部電極27の上端をペットボトルBにおける口部下のネックリング部の高さまで下げれば、ペットボトルBの口部へのコーティングを防ぐことができる。その結果、ペットボトルBの口部へのコーティングに伴う見栄えが悪さ、(コーティングの色は茶褐色である)、ペットボトルの商品的価値を回避できる。
(第2検討例)
本発明に係り本発明者が検討した第2検討例は、構成は前述した実施形態の図2とほぼ同じであるが、導電性ハニカム部材を設置しないことと、排気系を構成する部材、すなわち蓋体と前記ガス排気管の材質を絶縁材料としている点が前記実施形態と異なっている。
第2検討例では、前記実施形態で導電性ハニカム部材38によって放電をペットボトルB内に閉じ込めていたのに対し、排気部を絶縁物とすることによって実質的に高周波電界が排気管35側に広がらないようにし、排気管での放電を抑制することを特徴とする。前記実施形態では導電性ハニカム部材38に若干の膜がコーティングされるため、あまり厚くつくとガスの流出が妨げられるのでときおりクリーニングする必要があるが、第2検討例ではその部材がないのでこの必要がなくなる。
なお、前記蓋体37と前記ガス排気管35の材質は、全体が絶縁体であることが好ましいが、内面が絶縁体であれば外部は金属でもよい。この際、内面の絶縁物は5mm以上好ましくは10mm以上の十分な厚みを持ち、高周波に対するインピーダンスが、接地電極として機能すべき環状上部電極27内側のペットボトルBのインピーダンスと比較して十分大きく、好ましくは10倍程度以上であることが好ましい。
(第3検討例)
図3は、本発明に係り本発明者が検討した第3検討例のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図である。なお、図3において前述した実施形態で参照した図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
このバリヤ膜形成装置は、バイアス用電源44がケーブル45および給電端子46を通して収納部材24の筒状体25を構成する環状上部電極27に接続されている。整合器47は、前記バイアス用電源44と前記給電端子46の間の前記ケーブル45に介装されている。なお、ガス排気管35は接地されている。
高高周波電源48は、ケーブル49および給電端子(図示せず)を通して前記筒状体25を構成する環状下部電極29に接続されている。整合器50は、前記ケーブル49に介装されている。
次に、図3に示すバリヤ膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
図示しないプッシャーにより前記基台23、円板状絶縁体32および円板状底板26を取り外して筒状体25の環状下部電極29底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBをその口部側から開放した下部電極29の底部に挿入した後、図示しないプッシャーにより筒状体25の底部側に前記円板状底板26、円板状絶縁体32および基台23をこの順序で取り付けることによって、図3に示すようにペットボトルBが前記筒状体25、円柱状スペーサ30および前記円板状底板26内に収納される。
次いで、図示しない排気設備により分岐排気管36およびガス排気管35を通して前記ガス排気管35内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、原料ガス、例えば媒質ガスをガス供給管42を通してペットボトルBの口部からその内部に供給する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
次いで、バイアス用電源44からバイアス電力をケーブル45、整合器47および給電端子46を通して前記筒状体25の環状上部電極27に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源48から高高周波電力をケーブル49、整合器50および給電端子(図示せず)を通して前記筒状体25の環状下部電極29に供給する。このとき、前記環状下部電極29とこの環状下部電極29に対して環状絶縁体28を挟んで配置された環状上部電極27との間にプラズマが生成される。また、前記環状上部電極27の上方に位置する排気管35は接地されているため、この排気管35を基準電位として前記上部電極27からバイアス電圧を前記環状下部電極29に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の環状上部電極27への印加による前記環状上部電極27へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種を前記収納部材24内のペットボトルB内面に効率よく入射させることができる。
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源44および高高周波電源48からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等をガス供給管42からペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
前記媒質ガスとしては、第1検討例で述べたのと同様なものを用いることができる。
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
以上、第3検討例によれば収納部材24の筒状体25を構成する環状の上下電極27、29間で放電を行って、前記収納部材24に収納された前記ペットボトルB内にプラズマを生成することによって、媒質ガスを供給するためのガス供給管39の先端(下端)を例えば前記収納部材24に収納されるペットボトルBの口部近傍のガス排気管35に位置させることができる。その結果、ペットボトルB内に従来のように内部電極が存在しない状態で前述したプラズマ生成、媒質ガスの解離を行うことができるため、安定したプラズマの生成を図ることができ、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜をペットボトルB内面にコーティングすることができる。また、ペットボトルB内に存在する内部電極をクリーニングするための煩雑なメンテナンス操作を解消することができる。その上、内部電極に炭素膜がコーティングされるのを回避できるため、ペットボトルB内面への炭素膜のコーティング速度を向上できる。
また、環状の上下電極27、29間にプラズマを生成するとともに、環状上部電極27から環状下部電極29に向けてバイアス電圧を印加することによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をペットボトルB内面に効率よく入射させることができるため、ペットボトルB内面均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリヤ性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
なお、前記第3検討例において各環状の電極に対するバイアス用電源および高高周波電源の接続を逆、つまりバイアス用電源を筒状体の環状下部電極、高高周波電源を筒状体の環状上部電極に接続してもよい。
(第4検討例)
図4は、本発明に係り本発明者が検討した第4検討例のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図、図5は図4の筒状体を示す斜視図である。
上下端にフランジ51a,51bを有する円筒状支持部材52は、円環状基台53上に載置されている。バリヤ膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bが収納される収納部材54は、前記円筒状支持部材52および前記円環状基台53内に配置されている。
前記収納部材54は、前記ペットボトルBが挿入された時にその外周を取り囲む上部が内側に膨出した筒状体55と、この筒状体55の底部に配置される絶縁材料からなる円板状底板56とから構成されている。前記筒状体55は、図5に示すように円周方向に第1電極片571および第2電極片572がそれらの間に絶縁片58を挟んで配列するように軸方向に例えば24分割されている。ペットボトルB上部と前記筒状体55の上部内側の膨出した部分には、絶縁材料からなる円柱状スペーサ59が配置されている。図示しない絶縁材料からなる外装筒体は、前記筒状体55の外周に配置され、前記各分割片からなる前記筒状体55の位置ずれを防いでいる。円板状絶縁体60は、前記基台53と前記円板状底板56の間に配置されている。
前記第1、第2の電極片571、572は、例えばステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。
なお、前記基台53、円板状絶縁体60および前記円板状底板56は図示しないプッシャーにより前記筒状体55に対して一体的に上下動し、前記筒状体55の底部を開閉する。
環状絶縁部材61は、前記筒状体55上面にその環状絶縁部材61上面が前記筒状支持部材52の上部フランジ51aと面一になるように載置されている。
上下にフランジ62a,62bを有するガス排気管63は、前記支持部材52の上部フランジ51aおよび前記環状絶縁部材61の上面に載置されている。この排気管63は、接地されている。図示しないねじを前記排気管63の下部フランジ62bから前記支持部材52の上部フランジ51aに螺着することにより前記ガス排気管63が前記支持部材52に固定されている。また、図示しないねじを前記ガス排気管63の下部フランジ62bから前記環状絶縁部61を貫通して前記筒状体55を構成する各第1電極片571、各第2電極片572および各絶縁片58と図示しない外装筒体とに螺着することにより前記筒状体55および外装筒体が前記環状絶縁部材61および前記ガス排気管63に吊下される。なお、前記筒状体55を前記環状絶縁部材61および前記ガス排気管63に吊下するにあたって、前記筒状体55を構成する各第1電極片571、各第2電極片572と前記ガス排気管63とねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管64は、前記ガス排気管63の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。接地された蓋体65は、前記ガス排気管63の上部フランジ62aに気密固定されている。
高周波電源66は、図4および図5に示すようにケーブル67および給電端子68を通して前記筒状体55を構成する各第1電極片571に接続されている。整合器69は、前記高周波電源66と前記給電端子68の間の前記ケーブル67に介装されている。前記筒状体55を構成する前記各第2電極片572は接地されている。
ガス供給管70は、前記蓋体65を貫通し、前記収納部材54内に収納されるペットボトルBの口部近傍の前記ガス排気管63に挿入されている。
次に、図4に示すバリヤ膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
図示しないプッシャーにより前記基台53、円板状絶縁体60および前記円板状底板56を取り外して筒状体55の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBをその口部側から開放した筒状体55の底部に挿入した後、図示しないプッシャーにより筒状体55の底部側に前記円板状底板56、円板状絶縁体59および基台53をこの順序で取り付けることによって、図4に示すようにペットボトルBは前記筒状体55、前記円柱状スペーサ59および前記円板状底板56内に収納される。
次いで、図示しない排気設備により分岐排気管64およびガス排気管63を通して前記ガス排気管63内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、原料ガス、例えば媒質ガスをガス供給管70を通してペットボトルBの口部からその内部に供給する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
次いで、高周波電源66から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル67、整合器69および給電端子68を通して前記筒状体55の各第1電極片571に供給する。このとき、前記各第1電極片571はそれぞれ接地された各第2電極片572に絶縁片58を挟んで配列されているため、これら第1電極片571と第2電極片572との間にプラズマが生成される。すなわち、前記ペットボトルB内の高さ方向および周方向の全体に均一なプラズマが生成される。このようなプラズマの生成によって、前記媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記収納部材54に収納されたペットボトルB内面に炭素膜がコーティングされる。ペットボトルBの口部および肩部に設置された円柱状スペーサ58は前述した実施形態および第1〜第3検討例と同様にペットボトルBの口部および肩部の電界を調整する機能を持つ。
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源66からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管70を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
前記媒質ガスとしては、第1検討例で述べたのと同様なものを用いることができる。
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
以上、第4検討例によれば収納部材54の筒状体55を構成する第1電極片571と第2電極片572との間で放電を行って、前記収納部材54に収納された前記ペットボトルB内にプラズマを生成することによって、媒質ガスを供給するためのガス供給管70の先端(下端)を例えば前記収納部材54に収納されるペットボトルBの口部近傍のガス排気管63に位置させることができる。その結果、ペットボトルB内に従来のように内部電極が存在しない状態で前述したプラズマ生成、媒質ガスの解離を行うことができるため、安定したプラズマの生成を図ることができ、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜をペットボトルB内面にコーティングすることができる。また、ペットボトルB内に存在する内部電極をクリーニングするための煩雑なメンテナンス操作を解消することができる。その上、内部電極に炭素膜がコーティングされるのを回避できるため、ペットボトルB内面への炭素膜のコーティング速度を向上できる。
また、筒状体55を図5に示すように円周方向に第1電極片571および第2電極片572がそれらの間に絶縁片58を挟んで配列するように周方向に例えば24分割し、接地された各第2電極片572と絶縁片58を挟んで配列され各第1電極片571に高周波電源66から高周波電力をそれぞれ供給することによって、これら第1電極片571と第2電極片572との間にプラズマを生成することができる、つまり前記筒状体55内に収納されたペットボトルB内の高さ方向および周方向の全体に均一なプラズマを生成できるため、ペットボトルBの内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを量産的に製造することができる。
(第5検討例)
図6は、本発明に係り本発明者が検討した第5検討例に係るプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図、図7は図6の筒状体を示す斜視図である。なお、図6において前述した第4検討例で参照した図4と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
このバリヤ膜形成装置は、バイアス用電源71が図6および図7に示すようにケーブル72および給電端子73を通して前記筒状体55を構成する各第1電極片571に接続されている。整合器74は、前記バイアス用電源71と前記給電端子73の間の前記ケーブル72に介装されている。なお、ガス排気管63は接地されている。
高高周波電源75は、図7に示すようにケーブル76および給電端子(図示せず)を通して前記筒状体55を構成する各第2電極片572に接続されている。整合器77は、前記ケーブル76に介装されている。
次に、図6に示すバリヤ膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
図示しないプッシャーにより前記基台53、円板状絶縁体60および前記円板状底板56を取り外して筒状体55の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBをその口部側から開放した筒状体55の底部に挿入した後、図示しないプッシャーにより筒状体55の底部側に前記円板状底板56、円板状絶縁体60および基台53をこの順序で取り付けることによって、図6に示すようにペットボトルBは前記筒状体55、円柱状スペーサ59および前記円板状底板56内に収納される。
次いで、図示しない排気設備により分岐排気管64およびガス排気管63を通して前記ガス排気管63内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。つづいて、原料ガス、例えば媒質ガスをガス供給管70を通してペットボトルBの口部からその内部に供給する。この後、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
次いで、バイアス用電源71からバイアス電力をケーブル72、整合器74および給電端子73を通して前記筒状体55の第1電極片571に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源75から高高周波電力をケーブル76、整合器77および給電端子(図示せず)を通して前記筒状体55の第2電極片572に供給する。このとき、前記各第1電極片571とこれら第1電極片571に対して絶縁片58を挟んで配置された前記各第2電極片572との間にプラズマが生成される。また、前記筒状体55の上方に位置する排気管63は接地されているため、この排気管63を基準電位として前記各第1電極片571からバイアス電圧を前記各第2電極片572に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。ペットボトルBの口部および肩部に設置された円柱状スペーサ59は前記実施形態および第1〜第4検討例と同様にペットボトルBの口部および肩部の電界を調整する機能を持つ。
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の前記各第1電極片571への印加による前記各第1電極片571へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種を前記収納部材54内のペットボトルB内面に効率よく入射させることができる。
炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源71および高高周波電源75からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等をガス供給管70からペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
前記媒質ガスとしては、第1検討例で述べたのと同様なものを用いることができる。
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
以上、第5検討例によれば収納部材54の筒状体55を構成する第1電極片571と第2電極片572との間で放電を行って、前記収納部材54に収納された前記ペットボトルB内にプラズマを生成することによって、媒質ガスを供給するためのガス供給管70の先端(下端)を例えば前記収納部材54に収納されるペットボトルBの口部近傍のガス排気管63に位置させることができる。その結果、ペットボトルB内に従来のように内部電極が存在しない状態で前述したプラズマ生成、媒質ガスの解離を行うことができるため、安定したプラズマの生成を図ることができ、膜質が良好で、均一な膜厚を有する炭素膜をペットボトルB内面にコーティングすることができる。また、ペットボトルB内に存在する内部電極をクリーニングするための煩雑なメンテナンス操作を解消することができる。その上、内部電極に炭素膜がコーティングされるのを回避できるため、ペットボトルB内面への炭素膜のコーティング速度を向上できる。
また、筒状体55を図7に示すように円周方向に第1電極片571および第2電極片572がそれらの間に絶縁片58を挟んで配列するように周方向に例えば24分割し、絶縁片58を挟んで配列された各第1電極片571および各第2電極片572にそれぞれバイアス電力、高高周波電力を供給することによって、これら第1電極片571と第2電極片572との間にプラズマを生成することができる、つまり前記筒状体55内に収納されたペットボトルB内の高さ方向および周方向の全体に均一なプラズマを生成できるため、ペットボトルBの内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
さらに、前記各第1電極片571および前記各第2電極片572の間にプラズマを生成するとともに、前記各第1電極片571から前記各第2電極片572に向けてバイアス電圧を印加することによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をペットボトルB内面に効率よく入射させることができるため、ペットボトルB内面均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリヤ性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを量産的に製造することができる。
なお、前記実施形態および第1〜第5検討例では炭素膜のコーティングを例として述べたが、炭素膜以外のSiOxなど他のバリヤ膜でも同様の動作でコーティングすることができる。例えば、SiOxの場合には原料ガスをヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)やテトラエトキシシラン(TEOS)などの有機系Si化合物と酸素ガスを混合して用いるなどで可能である。
また、前記実施形態および第1〜第5検討例において、処理されるペットボトルBの断面形状は円形のものを対象として説明したが、円形に限らず、四角形、六角形など種々の形状に同様に適用できることを確認した。また、プラスチック容器の材質としてPETを例としたが、他のプラスチックでも同様に実施が可能である。
前記実施形態および第1〜第5検討例における記述中、環状とは円形だけを意味するものではなく、内側に空洞部を持つ任意形状を意味する。たとえば、環状電極は空洞の形状が四角でも六角形でもボトルの外周を囲む形なら良い。たとえば対象ボトルの断面形状が四角であれば、空洞の形状が四角形である方が均一な電界を得られ、均一な膜がコーティングできるので好ましい。
また、前記第3〜第5検討例において、ガス供給管の先端(下端)をペットボトルの口部近傍のガス排気管内に位置させたが、ガス供給管の先端(下端)をペットボトルBの口部から底部付近まで挿入してもよい。この場合には、ペットボトルB内に位置するガス供給管部分を絶縁体とすることが好ましい。
本発明に係り本発明者が検討した第1検討例のプラスチック容器の内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図。 本発明の一実施形態に係るプラスチック容器の内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図。 本発明に係り本発明者が検討した第3検討例のプラスチック容器の内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図。 本発明に係り本発明者が検討した第4検討例のプラスチック容器の内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図。 図4の筒状体を示す斜視図。 本発明に係り本発明者が検討した第5検討例のプラスチック容器の内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図。 図6の筒状体を示す斜視図。 従来のプラスチック容器の内面へのバリヤ膜形成装置を示す断面図。
符号の説明
2、22、52…支持部材、4…外部電極本体、5…外部電極底部材、6…外部電極、7,30,59…円柱状スペーサ、11、35、63…排気管、14、39、66…高周波電源、18、42、70…ガス供給管、24、54…収納部材、25、55…筒状体、27…第1環状電極(環状上部電極)、28…環状絶縁体、29…第2環状電極(環状下部電極)、38…導電性ハニカム部材、44,71…バイアス用電源、48、75…高高周波電源、571…第1電極片、572…第2電極片、58…絶縁片、B…ペットボトル。

Claims (9)

  1. 内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
    (a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
    (b)前記プラスチック容器内のガスを接地された排気管を通して排気手段により排気した後、ガス供給手段により原料ガスを前記プラスチック容器内に供給する工程と、
    (c)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、高周波電界を前記排気管内に設けた導電性部材より容器側空間に閉じ込めてその空間内にプラズマの生成を規制し、このプラズマにより前記原料ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程と
    を有することを特徴とする内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法。
  2. 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む外部電極と、
    前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられ、接地された排気管と、
    前記外部電極内に挿入されたプラスチック容器内のガスを前記排気管を通して排気するための排気手段と、
    前記外部電極内に挿入されたプラスチック容器に原料ガスを供給するためのガス供給手段と、
    前記外部電極に接続される高周波電源と
    を具備し、
    ガス流通穴を有する導電性部材が、前記排気管内にこの排気管内面に接触して設けられることを特徴とするプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置
  3. 前記導電性部材は、ハニカム形状を有することを特徴とする請求項2記載のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置。
  4. 前記ハニカム形状の導電性部材は、ガス流通穴が1〜7mmの寸法を有することを特徴とする請求項3記載のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置
  5. 前記ハニカム形状の導電性部材は、開口率が95%以上であることを特徴とする請求項3記載のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置
  6. 前記導電性部材は、メッシュまたは金網であることを特徴とする請求項2記載のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置
  7. 前記導電性部材は、ステンレスまたはアルミニウムであることを特徴とする請求項2,3または6いずれか記載のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置
  8. 前記導電性部材は、表面が絶縁物で被覆されていることを特徴とする請求項2,3または6いずれか記載のプラスチック容器内面へのバリヤ膜形成装置
  9. 内面バリヤ膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
    (a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
    (b)前記プラスチック容器内のガスを接地された排気管を通して排気手段により排気した後、ガス供給手段により原料ガスを前記プラスチック容器内に供給する工程と、
    (c)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、高周波電界を前記排気管内に設けた導電性部材より容器側空間に閉じ込めてその空間内にプラズマの生成を規制し、このプラズマにより前記原料ガスを解離させて前記プラスチック容器内面にバリヤ膜をコーティングする工程と
    を有する内面バリヤ膜被覆プラスチック容器の製造方法を行なうために用いる前記導電性部材であって、
    ガス流通穴を有し、前記排気管内に同排気管内面に接触して設けられるものであることを特徴とする導電性部材。
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