JP3746762B2 - プラスチック容器内面への炭素膜形成装置および内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法 - Google Patents

プラスチック容器内面への炭素膜形成装置および内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック容器内面への炭素膜形成装置および内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック容器、例えばペットボトルは、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止するためにその内面にDLC(Diamond Like Carbon)のような炭素膜をコーティングすることが試みられている。
【0003】
このようなプラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする方法としては、特開平8−53116号公報および特許第2788412号公報(特開平8−53117号公報)に高周波プラズマを用いる方法が開示されている。特開平9−272567号公報には、その応用的な方法として高周波プラズマを用いて炭素膜をフィルムにコーティングする方法が開示されている。特許第3072269(特開平10−226884号公報)には、特殊形状容器に対応する炭素膜のコーティング方法が、特許第3115252(特開平10−258825号公報)などには量産化技術として複数個の容器に同時にコーティングする方法が開示されている。また、プラスチック容器に炭素膜をコーティングする技術が開示された文献として、「K.Takemoto, et al, Proceedings of ADC/FCT '99,p285」、「E.Shimamura et al, 10th years IAPRI World Conference 1997,p251 」がある。
【0004】
高周波プラズマCVDを用いたプラスチック容器への炭素膜コーティングする基本的な発明である前記特許第2788412号(特開平8−53116号)について、図6を参照して説明する。図6はこの公報に記載されている高周波プラズマCVDを用いたプラスチック容器への炭素膜コーティング装置の断面図である。
【0005】
外部電極101は、架台102上に例えばポリテトラフルオロエチレン製のシール板103を介して設置されている。この外部電極101は、収納されるプラスチック容器、例えばボトルBの外形にほぼ沿った形の内形状を有する。この外部電極101は、口金部分もボトルキャップ用のネジ形状に沿った内形状が好ましい。前記外部電極101は、筒状の本体101aとこの本体101aの上端に取り付けられるキャップ部101bとから構成され、真空容器を兼ねている。ガス排気管104は、前記架台102およびシール板103を通して前記外部電極101下部に連通されている。
【0006】
内部電極105は、前記外部電極101内に収納されたボトルB内に挿入されている。この内部電極105は、中空構造を有し、表面には複数のガス吹き出し孔106が穿設されている。CVD用媒質ガスを供給するためのガス供給管107は、前記架台102およびシール板103を貫通して前記内部電極105の下端に連通されている。CVD用媒質ガスは、前記供給管107を通して前記内部電極105内に供給され、前記ガス吹き出し孔106からボトルB内に供給される。
【0007】
RF入力端子108は、前記架台102およびシール板103を通して前記外部電極101下部に接続されている。このRF入力端子108は、前記架台102に対して電気的に絶縁されている。また、前記RF入力端子108の下端は、整合器109を通して高周波電源110に接続されている。前記外部電極101は、高周波電源110からプラズマ生成用の高周波電力が前記整合器109およびRF入力端子108を通して印加される。
【0008】
このような構成の装置を用いてペットボトル内面に炭素膜をコーティングする方法について説明する。
【0009】
まず、外部電極101の本体101a内にペットボトルBを挿入し、前記本体101aにキャップ101bを取り付けることにより前記ボトルBを前記外部電極101内に気密に収納する。外部電極101内のガスをガス排気管104を通して排気する。この時、前記シール板103の開口部を通して前記外部電極101に収納したボトルB内外の空間のガスが排気される。規定の真空度(代表値:10-2〜10-5Torr)に到達した後、媒質ガスをガス供給管107を通して内部電極105に例えば10〜50mL/minの流量で供給し、さらに内部電極105のガス吹き出し孔106を通してボトルB内に吹き出す。なお、この媒質ガスとしては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類が用いられる。前記ボトルB内の圧力は、ガス供給量と排気量のバランスによって例えば2×10-1〜1×10-2Torrに設定する。その後、高周波電源110から50〜1000Wの高周波電力を整合器109およびRF入力端子108を通して外部電極101に印加する。
【0010】
このような高周波電力の外部電極101への印加によって、前記外部電極101と内部電極105の間にプラズマが生成される。この時、ペットボトルBは外部電極101の内にほぼ隙間無く収納されているため、プラズマはペットボトルB内に発生する。前記媒質ガスは、前記プラズマによって解離、又は更にイオン化して、炭素膜を形成するための製膜種が生成され、この製膜種が前記ボトルB内面に堆積し、炭素膜を形成する。炭素膜を所定の膜厚まで形成した後、高周波電力の印加を停止し、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気、窒素、希ガス、又は空気等を外部電極101内に供給し、この空間内を大気圧に戻す。この後、前記ボトルBを外部電極101から取り外す。なお、この方法において炭素膜を厚さ30nm成膜するには2〜3秒間要する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許第2788412号の発明はボトルB内のガスの排気においてシール板103の開口部を通して外部電極101に収納したボトルBの内外の空間のガスを排気する際、ボトルBが変形し、結果的に他のボトルB内面に均一厚さの炭素膜のコーティングが困難になる問題があった。
【0012】
本発明は、プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする際、前記容器の変形を防止することが可能なプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、均一な膜厚を有する炭素膜が内面にコーティングされたプラスチック容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする際、前記容器の変形を防止することが可能で、かつ高速度のコーティングが可能なプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明は、均一な膜厚を有する炭素膜が内面に高速度でコーティングされたプラスチック容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置および内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法は、次のような構成を有することを特徴うとするものである。
【0017】
1)被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器の外周を取り囲む大きさを有する外部電極と、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続されると共に、媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔が穿設された内部電極と、
前記外部電極の内面に一端が前記外部電極の前記排気管側の端面に開口され、他端が挿入されるプラスチック容器の口部の鍔位置より下側の前記外部電極内面部分に開口されるように穿設された排気溝と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記外部電極に接続された高周波電源と、
を具備したことを特徴とするプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
【0018】
2)前記1)の炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
(b)ガス吹き出し孔が穿設された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管から前記プラスチック容器の内部に挿入する工程と、
(c)前記容器内のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気すると共に、前記容器外面と前記外部電極との間のガスをこの外部電極内面に穿設された排気溝から前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極のガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、前記プラスチック容器内に位置する内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする工程と
を含むことを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法。
【0019】
3)被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔が穿設された内部電極と、
前記外部電極の内面に一端が前記外部電極の前記排気管側の端面に開口され、他端が挿入されるプラスチック容器の口部の鍔位置より下側の前記外部電極内面部分に開口されるように穿設された排気溝と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記ガス供給管に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記ガス供給管に接続された高高周波電源と、
前記外部電極に接続されたバイアス用電源と、
を具備したことを特徴とするプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
【0020】
4)前記3)の炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
(b)ガス吹き出し孔が穿設された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管から前記プラスチック容器の内部に挿入する工程と、
(c)前記容器内のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気すると共に、前記容器外面と前記外部電極との間のガスをこの外部電極内面に穿設された排気孔または排気溝から前記排気管を通して排気した後、前記ガス供給管手段から媒質ガスを前記内部電極に供給し、この内部電極のガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)バイアス用電源から高周波電力を前記外部電極に印加すると共に、高高周波電源から高高周波電力を前記内部電極に供給し、前記プラスチック容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする工程と
を含むことを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法。
【0021】
5) 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
被処理物であるプラスチック容器が挿入された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極の間に介在された誘電体材料からなるスペーサと、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続されると共に、媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔が穿設された内部電極と、
前記スペーサの内面に一端が前記スペーサの前記排気管側の端面に開口され、その他端が挿入されるプラスチック容器の口部の鍔位置より下側の前記スペーサ内面部分に開口されるように穿設された排気溝と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記外部電極に接続された高周波電源と、
を具備したことを特徴とするプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
【0022】
6)前記5)の炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内および誘電体材料からなるスペーサ内に少なくともその容器の口部および肩部の外周が前記スペーサ内に囲まれ、これ以外の前記容器部分の外周が前記外部電極内に囲まれるように挿入する工程と、
(b)ガス吹き出し孔が穿設された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管から前記プラスチック容器の内部に挿入する工程と、
(c)前記容器内のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気すると共に、前記容器外面と前記外部電極および前記スペーサとの間のガスをこのスペーサ内面に穿設された排気溝から前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極のガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、前記プラスチック容器内に位置する内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする工程と
を含むことを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法。
【0023】
7)被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
被処理物であるプラスチック容器が挿入された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極の間に介在される誘電体材料からなるスペーサと、
前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管と、
前記スペーサの内面に一端が前記スペーサの前記排気管側の端面に開口され、その他端が挿入されるプラスチック容器の口部の鍔位置より下側の前記スペーサ内面部分に開口されるように穿設された排気溝と、
前記排気管側から前記外部電極内の前記プラスチック容器内に挿入された給電端子を兼ねるガス供給管と、
前記外部電極内の前記プラスチック容器内に挿入された前記ガス供給管の先端に連結され、媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔が穿設された内部電極と、
少なくとも前記外部電極に挿入されたプラスチック容器内および前記容器の口部近傍の前記排気管内に位置する前記ガス供給管部分の外周に配置され、接地されたアースシールド管と、
前記排気管に取り付けられた排気手段と、
前記ガス供給管に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
前記ガス供給管に接続された高高周波電源と、
前記外部電極に接続されたバイアス用電源と、
を具備したことを特徴とするプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
【0024】
8)前記7)の炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
(a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内および誘電体材料からなるスペーサ内に少なくともその容器の口部および肩部の外周が前記スペーサ内に囲まれ、これ以外の前記容器部分の外周が前記外部電極内に囲まれるように挿入する工程と、
(b)接地されたアースシールドを外周に配置したガス供給管先端に連結され、ガス吹き出し孔が穿設された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管から前記プラスチック容器の内部に挿入する工程と、
(c)前記容器内のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気すると共に、前記容器外面と前記外部電極および前記スペーサとの間のガスをこのスペーサ内面に穿設された排気溝から前記排気管を通して排気した後、前記ガス供給管手段から媒質ガスを前記内部電極に供給し、この内部電極のガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
(d)バイアス用電源から高周波電力を前記外部電極に印加すると共に、高高周波電源から高高周波電力を前記ガス供給管を通して前記内部電極に供給し、前記プラスチック容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする工程と
を含むことを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図、図2は図1の外部電極を示す斜視図である。
【0027】
上下端にフランジ1a,1bを有する円筒状支持部材2は、円環状基台3上に載置されている。筒状の金属製の外部電極本体4は、前記支持部材2内に配置されている。円板状をなす金属製の外部電極底部材5は、前記外部電極4の底部に着脱可能に取り付けられている。前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5により炭素被膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bを設置可能な大きさの空間をもつ有底円筒状の外部電極6が構成されている。円板状絶縁体7は、前記基台3と前記外部電極底部材5の間に配置されている。
【0028】
なお、前記外部電極底部材5、前記円板状絶縁体7および前記基台3は図示しないプッシャーにより前記外部電極本体4に対して一体的に上下動し、前記外部電極本体4の底部を開閉する。
【0029】
環状絶縁部材8は、前記外部電極6上面にその環状絶縁部材8上面が前記筒状支持部材2の上部フランジ1aと面一になるように載置されている。上下にフランジ9a,9bを有するガス排気管10は、前記支持部材2の上部フランジ1aおよび前記環状絶縁部材8の上面に載置されている。この排気管10は、接地されている。図示しないねじを前記排気管10の下部フランジ9bから前記支持部材2の上部フランジ1aに螺着することにより前記ガス排気管10が前記支持部材2に固定されている。また、図示しないねじを前記排気管10の下部フランジ9bから前記環状絶縁部8を貫通して外部電極6の本体4に螺着することにより前記排気管10が前記環状絶縁部材8および前記外部電極6に固定されると共に、前記環状絶縁部材8が前記外部電極6に対しても固定される。なお、前記排気管10と前記環状絶縁部材8および前記外部電極6との固定は、前記排気管10と前記外部電極6とがねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管11は、前記ガス排気管10の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。蓋体12は、前記排気管10の上部フランジ9aに取り付けられている。
【0030】
複数、例えば4つの排気孔13は、図1および図2に示すように前記外部電極6の本体4の前記排気管10側の端面からその外部電極6における本体4の前記プラスチック容器が挿入される内面に亘って穿設されている。特に、4つの排気孔13は、図1および図2に示すようにその一端(上端)が前記外部電極6の本体4の前記排気管10側の端面に開口し、その他端(下端)が挿入されるペットボトルBの口部の鍔位置Pより下側の前記外部電極6内面部分(例えばペットボトルBの肩位置に対応する部分)に開口されることが好ましい。これら排気孔13は、それらの断面積が小さいと、外部電極6とペットボトルBとの間のガスの円滑な排気が阻害され、一方それらの断面積を大きくするとそれらの排気孔13内でプラズマが生成され易くなる。このため、前記各排気孔13の断面積は次式の関係を満たすことが好ましい。
【0031】
(Sp/Vp)≦(Se/Vg
ここで、Spはペットボトルの口部断面積、Vpはペットボトルの容積、Seは排気孔の断面積、Vgは外部電極とペットボトルの隙間の容積である。
【0032】
例えば周波数13.56MHzの高周波電力を出力する高周波電源14は、ケーブル15および給電端子16を通して前記外部電極6の本体4に接続されている。整合器17は、前記高周波電源14と前記給電端子16の間の前記ケーブル15に介装されている。
【0033】
ガス供給管18は、前記蓋体12を貫通し、ガス排気管10を通して前記外部電極6の本体4内におけるペットボトルBの口部に対応する個所に挿入されている。略円柱状をなす内部電極19は、前記外部電極6に挿入されたペットボトルB内にこのペットボトルBの長手方向のほぼ全長に渡って配置され、その上端が前記ガス供給管18の下端に着脱自在に取り付けられている。前記内部電極19は、中心軸にガス流路20がくり抜かれていると共に、底部に媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔21を穿設したキャップ22が着脱自在に取り付けられている。
【0034】
なお、ガス吹き出し孔は前記内部電極19の下部側壁に前記ガス流路20と連通するように開口してもよい。この場合、ガス吹き出し孔は前記内部電極19の底部から前記ペットボトルB内に挿入された長さの25%までの範囲内の側面領域に開口することが好ましい。
【0035】
前記内部電極19の径は、ボトルBの口金径以下とし、長さはペットボトルBの長手方向のほぼ全長にわたって挿入可能な長さとする。長さの目安としては、ペットボトルBの全長に対する割合が{1−D/(2L)}程度となるようにする。ここでDはペットボトルの内径、Lはペットボトルの全長を表し、L>(D/2)である。
【0036】
前記内部電極19は、例えばタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。また、内部電極19表面が平滑であると、その内部電極19の表面に堆積する炭素膜を剥離し易くなる虞がある。このため、内部電極19の表面を予めサンドブラスト処理し、表面粗さを大きくして表面に堆積する炭素膜を剥離し難くすることが好ましい。
【0037】
次に、図1に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0038】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3を取り外して外部電極本体4の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体4の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体4の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3をこの順序で取り付けることによって、図1に示すようにペットボトルBが前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5殻なる外部電極6の内部空間に収納される。このとき、前記ペットボトルBは排気管10にその口部を通して連通される。
【0039】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管20および排気管19を通して前記排気管19および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。このとき、複数、例えば4つの排気孔13は、図1および図2に示すように前記外部電極6の本体4の前記排気管10側の端面からその外部電極6における本体4の前記ペットボトルBが挿入される内面に亘ってその本体4の中心に対して等角度(90°)で穿設されているため、前記ペットボトルB内のガスのみならず、前記ペットボトルB外面と前記外部電極6との間に滞留するガスをも前記複数の排気孔13を通して排気される。その結果、前記ペットボトルBの内外の圧力が均衡されて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形を防ぐことができる。
【0040】
特に、4つの排気孔13を図1および図2に示すようにその一端(上端)が前記外部電極6の本体4の前記排気管10側の端面に開口し、その他端(下端)が挿入されるペットボトルBの口部の鍔位置Pより下側の前記外部電極6内面部分(例えばペットボトルBの肩位置に対応する部分)に開口し、かつ前記各排気孔13の断面積を前記(Sp/Vp)≦(Se/Vg)の関係を満たすように設定することによって、前記ペットボトルB外面と前記外部電極6との間に滞留するガスをも前記複数の排気孔13を通して効果的に排気でき、前記ペットボトルBの内外の圧力を均衡させて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形をより確実に防ぐことができるとともに、排気孔13内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。
【0041】
次いで、媒質ガスをガス供給管18を通して内部電極19のガス流路20に供給し、この内部電極19の底部に取り付けたキャップ22のガス吹き出し孔21からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0042】
次いで、高周波電源14から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル15、整合器17および給電端子16を通して前記外部電極6の本体4に供給する。このとき、前記内部電極19の周囲にプラズマが生成される。このようなプラズマの生成によって、媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記外部電極6内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜がコーティングされる。
【0043】
前記炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源14からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管18を通して内部電極19のガス流路20およびキャップ22のガス吹き出し孔21を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0044】
前記媒質ガスとしては炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール等の含酸素炭化水素類;メチルアミン、エチルアミン、アニリン等の含窒素炭化水素類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。
【0045】
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。
【0046】
以上、第1実施形態によればペットボトルB内外のガスを排気管10を通して排気する際、前記ペットボトルB内のガスのみならず、前記ペットボトルB外面と前記外部電極6との間に滞留するガスをも図1および図2に示す前記外部電極6に穿設した複数の排気孔13を通して排気することによって、前記ペットボトルBの内外の圧力が均衡されて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形を防ぐことができる。その結果、この後の媒質のペットボトルBへの供給、プラズマの生成によって、前記ペットボトルB内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを量産的に製造することができる。
【0047】
なお、前記第1実施形態では外部電極の本体に4つの排気孔を穿設したが、1つまたは4つ以外の複数の排気孔を穿設することを許容する。ただし、排気孔は複数とし、かつ外部電極の中心に対して等角度で穿設することが好ましい。
【0048】
前記第1実施形態では外部電極の本体に排気孔を穿設したが、排気溝を設けてもよい。具体的には、図3および図4に示すように複数、例えば4つの排気溝23を外部電極6の本体4の排気管10側の端面からその外部電極6における本体4のペットボトルBが挿入される内面に沿ってその本体4の中心に対して等角度(90°)で穿設する。特に、これらの4つの排気溝23は、図3および図4に示すようにその一端(上端)が前記外部電極6の本体4の前記排気管10側の端面に開口し、その他端(下端)が挿入されるペットボトルBの口部の鍔位置Pより下側の前記外部電極6内面部分(例えばペットボトルBの肩位置に対応する部分)に延出されることが好ましい。このような形態の排気溝23を外部電極6に穿設することによって、ペットボトルBの変形をより効果的に防止することができる。これら排気溝23は、それらの断面積が小さいと、外部電極6とペットボトルBとの間のガスを排気溝23を通して円滑に排気することが阻害され、一方それらの断面積を大きくするとそれらの排気溝23内でプラズマが生成され易くなる。このため、前記各排気溝23の断面積は次式の関係を満たすことが好ましい。
【0049】
(Sp/Vp)≦(St/Vg
ここで、Spはペットボトルの口部断面積、Vpはペットボトルの容積、Stは排気溝の断面積、Vgは外部電極とペットボトルの隙間の容積である。
【0050】
(第2実施形態)
図5は、この第2実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。なお、図5において前述した第1実施形態で参照した図1と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0051】
この炭素膜形成装置は、バイアス用電源24がケーブル25および給電端子26を通して外部電極6の外部電極本体4に接続されている。整合器27は、前記バイアス用電源24と前記給電端子26の間の前記ケーブル25に介装されている。
【0052】
中心部に絶縁リング27を有し、接地された蓋体12は、ガス排気管10の上部フランジ9aに気密固定されている。筐体28は、前記蓋体12上に取り付けられている。
【0053】
ガス供給管18は、高高周波電力の端子を兼ね、前記筐体28内から前記蓋体12の絶縁リング27を貫通し、前記ガス排気管10を通して前記外部電極6の本体4内に挿入されている。このガス供給管18の上端は、外部から前記筐体28を貫通して挿入されたガス導入管29の下端に絶縁継手30を介して連結されている。
【0054】
フランジ管31およびこのフランジ管31下端に連結されたアースシールド管32は、前記ガス排気管10および前記外部電極6の本体4内におけるペットボトルBの口部に対応する個所内に位置する前記ガス供給管18部分を覆うように配置されている。なお、前記アースシールド管32は前記ペットボトルBの口部に対応する個所内およびこの個所近傍の前記ガス排気管10内に位置されている。前記フランジ管31の上端は、前記蓋体12の裏面に連結されている。つまり、前記アースシールド管32は前記フランジ管31を通して接地された前記蓋体12に接続されている。
【0055】
高高周波電源33は、ケーブル34および給電端子35を通して高高周波電力の端子を兼ねる前記ガス供給管18の側面に接続されている。整合器26は、前記高高周波電源33と前記給電端子35の間の前記ケーブル34に介装されている。
【0056】
次に、図5に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0057】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3を取り外して外部電極本体4の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体4の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体4の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3をこの順序で取り付けることによって、図5に示すようにペットボトルBを前記外部電極本体4および前記外部電極底部材5殻なる外部電極6の内部空間に収納収納する。このとき、前記ペットボトルBは排気管10にその口部を通して連通される。
【0058】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管11および排気管10を通して前記排気管19および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。このとき、複数、例えば4つの排気孔13は、図1および図2に示すように前記外部電極6の本体4の前記排気管10側の端面からその外部電極6における本体4の前記プラスチック容器が挿入される内面に亘ってその本体4の中心に対して等角度(90°)で穿設されているため、前記ペットボトルB内のガスのみならず、前記ペットボトルB外面と前記外部電極6との間に滞留するガスをも前記複数の排気孔13を通して排気される。その結果、前記ペットボトルBの内外の圧力が均衡されて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形を防ぐことができる。
【0059】
特に、4つの排気孔13を図5に示すようにその一端(上端)が前記外部電極6の本体4の前記排気管10側の端面に開口し、その他端(下端)が挿入されるペットボトルBの口部の鍔位置Pより下側の前記外部電極6内面部分(例えばペットボトルBの肩位置に対応する部分)に開口し、かつ前記各排気孔13の断面積を前記(Sp/Vp)≦(Se/Vg)の関係を満たすように設定することによって、前記ペットボトルB外面と前記外部電極6における本体4との間に滞留するガスをも前記複数の排気孔13を通して効果的に排気でき、前記ペットボトルBの内外の圧力を均衡させて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形をより確実に防ぐことができるとともに、排気孔13内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。
【0060】
次いで、媒質ガスをガス導入管29およびガス供給管18を通して内部電極19のガス流路20に供給し、この内部電極19の底部に取り付けたキャップ22のガス吹き出し孔21からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0061】
次いで、バイアス用電源24からバイアス電力をケーブル25、整合器27および給電端子26を通して前記外部電極6に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源33から高高周波電力をケーブル34、整合器36および給電端子35を通してガス供給管18に供給し、このガス供給管18を通して内部電極19に高高周波電力を供給する。このとき、前記内部電極42の周囲にプラズマが生成される。また、前記外部電極6の情報に位置する排気管10は接地されているため、この排気管10を基準電位として前記外部電極6からバイアス電圧を内部電極19に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
【0062】
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極19への印加による前記外部電極6へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極6内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0063】
前記炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源24および高高周波電源33からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス導入管29からガス供給管18を通して内部電極19のガス流路20およびキャップ22のガス吹き出し孔21を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0064】
前記媒質ガスとしては第1実施形態で述べたのと同様なものを用いることができる。
【0065】
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0066】
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0067】
以上、第2実施形態によればペットボトルB内外のガスを排気管10を通して排気する際、前記ペットボトルB内のガスのみならず、前記ペットボトルB外面と前記外部電極6との間に滞留するガスをも図5に示す前記外部電極6に穿設した複数の排気孔13を通して排気することによって、前記ペットボトルBの内外の圧力が均衡されて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形を防ぐことができる。その結果、この後の媒質のペットボトルBへの供給、プラズマの生成とにおいて、前記ペットボトルB内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
【0068】
また、プラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極19への印加による前記外部電極6へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極6内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0069】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
【0070】
また、高高周波電力が印加されるガス供給管18と接地された排気管10との間、つまり排気管10内でも同様に不要なプラズマを生成し、炭素膜のコーティング効率が低下する。このようなことから、アースシールド管32を前記ガス供給管18外周にペットボトルBの口部近傍のガス排気管10内に位置するように配置し、このアースシールド管32をこれを支持するフランジ管31を通して接地することによって、前記アースシールド管32内を貫通するガス供給管18に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管10内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高め、炭素膜のコーティング速度を向上できる。
【0071】
なお、前記第2実施形態では外部電極の本体に4つの排気孔を穿設したが、1つまたは4つ以外の複数の排気孔を穿設することを許容する。ただし、排気孔は複数とし、かつ外部電極の中心に対して等角度で穿設することが好ましい。
【0072】
前記第2実施形態では外部電極の本体に排気孔を穿設したが、前述した図3、図4に示す排気溝を設けてもよい。
【0073】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。
【0074】
上下端にフランジ41a,41bを有する円筒状支持部材42は、円環状基台43上に載置されている。筒状の金属製の外部電極本体44は、前記支持部材42内に配置されている。円板状をなす金属製の外部電極底部材45は、前記外部電極44の底部に着脱可能に取り付けられている。前記外部電極本体44および前記外部電極底部材45により炭素被膜を形成するプラスチック容器(例えばペットボトル)Bを設置可能な大きさの空間をもつ有底円筒状の外部電極46が構成されている。なお、前記基台43と前記外部電極底部材45の間には円板状絶縁体47が配置されている。
【0075】
なお、前記外部電極底部材45、前記円板状絶縁体47および前記基台43は図示しないプッシャーにより前記外部電極本体4に対して一体的に上下動し、前記外部電極本体4の底部を開閉する。
【0076】
内部に挿入されるペットボトルBの口部および肩部に対応する円柱および円錐台を組み合わせた形状をなす空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49は、前記外部電極46における前記本体44の上部に挿入されている。このスペーサ49は、この上に載置される後述する環状絶縁部材から螺着されたねじ(図示せず)により固定されている。このように円柱状スペーサ49を前記外部電極46における前記本体44の上部に挿入固定することにより、前記外部電極本体44の底部側からペットボトルBを挿入すると、そのペットボトルBの口部および肩部が前記スペーサ49の空洞部48内に、これ以外のペットボトルB部分が前記外部電極46内に収納される。
【0077】
前記スペーサ49を構成する誘電体材料としては、例えばプラスチックまたはセラミックを挙げることができる。プラスチックとしては、種々のものを用いることができるが、特に高周波損失が低く、耐熱性の優れたポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂が好ましい。セラミックとしては、高周波損失が低いアルミナ、ステアタイトまたは機械加工性が高いマコールが好ましい。
【0078】
環状絶縁部材50は、前記外部電極46上面にその環状絶縁部材50上面が前記筒状支持部材42の上部フランジ41aと面一になるように載置されている。上下にフランジ51a,51bを有するガス排気管52は、前記支持部材42の上部フランジ41aおよび前記環状絶縁部材50の上面に載置されている。この排気管52は、接地されている。図示しないねじを前記排気管52の下部フランジ51bから前記支持部材42の上部フランジ41aに螺着することにより前記ガス排気管52が前記支持部材42に固定されている。また、図示しないねじを前記排気管52の下部フランジ51bから前記環状絶縁部50を貫通して外部電極46の本体44に螺着することにより前記排気管52が前記環状絶縁部材50および前記外部電極46に固定されると共に、前記環状絶縁部材50が前記外部電極46に対しても固定される。なお、前記排気管52と前記環状絶縁部材50および前記外部電極46との固定は、前記排気管52と前記外部電極46とがねじにより電気的に導通しない取り付け構造になっている。分岐ガス排気管53は、前記ガス排気管52の側壁に連結され、その他端に図示しない真空ポンプのような排気設備が取り付けられている。蓋体54は、前記排気管52の上部フランジ51aに取り付けられている。
【0079】
複数、例えば4つの排気孔55は、図6に示すように前記スペーサ49の前記排気管52側の端面からそのスペーサ49における前記ペットボトルBが挿入される内面に亘って穿設されている。特に、これら排気孔55は図6に示すようにその一端(上端)が前記スペーサ49の前記排気管52側の端面に開口し、その他端(下端)が挿入されるペットボトルBの口部の鍔位置Pより下側の前記スペーサ49内面部分(例えばペットボトルBの肩位置に対応する部分)に開口されることが好ましい。これら排気孔55は、それらの断面積が小さいと、外部電極6とペットボトルBとの間のガスを排気孔55を通して円滑に排気することが阻害され、一方それらの断面積を大きくするとそれらの排気孔55内でプラズマが生成され易くなる。このため、前記各排気孔55の断面積は次式の関係を満たすことが好ましい。
【0080】
(Sp/Vp)≦(Se/VG
ここで、Spはペットボトルの口部断面積、Vpはペットボトルの容積、Seは排気孔の断面積、VGは外部電極およびスペーサとペットボトルとの隙間の容積である。
【0081】
例えば周波数13.56MHzの高周波電力を出力する高周波電源56は、ケーブル57および給電端子58を通して前記外部電極46の本体44に接続されている。整合器59は、前記高周波電源56と前記給電端子58の間の前記ケーブル57に介装されている。
【0082】
ガス供給管60は、前記蓋体54を貫通し、ガス排気管52を通して前記外部電極46の本体44内におけるペットボトルBの口部に対応する個所に挿入されている。略円柱状をなす内部電極61は、前記外部電極46に挿入されたペットボトルB内にこのペットボトルBの長手方向のほぼ全長に渡って配置され、その上端が前記ガス供給管60の下端に着脱自在に取り付けられている。前記内部電極61は、中心軸にガス流路62がくり抜かれていると共に、底部に媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔63を穿設したキャップ64が着脱自在に取り付けられている。
【0083】
なお、ガス吹き出し孔は前記内部電極61の下部側壁に前記ガス流路62と連通するように開口してもよい。この場合、ガス吹き出し孔は前記内部電極61の底部から前記ペットボトルB内に挿入された長さの25%までの範囲内の側面領域に開口することが好ましい。
【0084】
前記内部電極61の径は、ボトルBの口金径以下とし、長さはペットボトルBの長手方向のほぼ全長にわたって挿入可能な長さとする。長さの目安としては、ペットボトルBの全長に対する割合が{1−D/(2L)}程度となるようにする。ここでDはペットボトルの内径、Lはペットボトルの全長を表し、L>(D/2)である。
【0085】
前記内部電極61は、例えばタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料により作られるが、アルミニウムで作ってもよい。また、内部電極19表面が平滑であると、その内部電極61の表面に堆積する炭素膜を剥離し易くなる虞がある。このため、内部電極61の表面を予めサンドブラスト処理し、表面粗さを大きくして表面に堆積する炭素膜を剥離し難くすることが好ましい。
【0086】
次に、図6に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0087】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43を取り外して外部電極本体44の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体44の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体44の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3をこの順序で取り付けることによって、図6に示すようにペットボトルBの口部から肩部が誘電体材料からなる円柱状スペーサ49の空洞部48内に、前記ボトルBの肩部から底部側が前記外部電極46内に収納される。このとき、前記ペットボトルBは排気管52にその口部を通して連通される。
【0088】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管53および排気管52を通して前記排気管52内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。このとき、複数、例えば4つの排気孔55は、図6に示すように前記スペーサ49の前記排気管52側の端面からそのスペーサ49における前記ペットボトルBが挿入される内面に亘ってその本体44の中心に対して等角度(90°)で穿設されているため、前記ペットボトルB内のガスのみならず、前記ペットボトルB外面と前記スペーサ49および前記外部電極46との間に滞留するガスをも前記複数の排気孔55を通して排気される。その結果、前記ペットボトルBの内外の圧力が均衡されて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形を防ぐことができる。
【0089】
特に、4つの排気孔55を図6に示すようにその一端(上端)が前記スペーサ49の前記排気管52側の端面に開口し、その他端(下端)が挿入されるペットボトルBの口部の鍔位置Pより下側の前記スペーサ49内面部分(例えばペットボトルBの肩位置に対応する部分)に開口し、かつ前記各排気孔55の断面積を前記(Sp/Vp)≦(Se/VG)の関係を満たすように設定することによって、前記ペットボトルB外面と前記外部電極46との間に滞留するガスをも前記複数の排気孔55を通して効果的に排気でき、前記ペットボトルBの内外の圧力を均衡させて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形をより確実に防ぐことができるとともに、排気孔55内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。
【0090】
次いで、媒質ガスをガス供給管60を通して内部電極61のガス流路62に供給し、この内部電極61の底部に取り付けたキャップ64のガス吹き出し孔63からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0091】
次いで、高周波電源56から例えば周波数13.56MHzの高周波電力をケーブル57、整合器59および給電端子58を通して前記外部電極46の本体44に供給する。このとき、前記内部電極61の周囲にプラズマが生成される。このようなプラズマの生成によって、媒質ガスが前記プラズマで解離されて前記外部電極46およびスペーサ49内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜がコーティングされる。
【0092】
前記炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記高周波電源56からの高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス供給管60を通して内部電極61のガス流路62およびキャップ64のガス吹き出し孔63を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0093】
前記媒質ガスとしては、第1実施形態と同様なものを用いることができる。
【0094】
前記高周波電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。
【0095】
以上、第3実施形態によればペットボトルB内外のガスを排気管52を通して排気する際、前記ペットボトルB内のガスのみならず、前記ペットボトルB外面と前記外部電極46およびスペーサ49との間に滞留するガスをも図6に示す前記スペーサ49に穿設した複数の排気孔55を通して排気することによって、前記ペットボトルBの内外の圧力が均衡されて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形を防ぐことができる。その結果、この後の媒質のペットボトルBへの供給、プラズマの生成によって、前記ペットボトルB内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
【0096】
また、空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部に挿入、固定することによって、前記プラズマの生成において前記ペットボトルBの肩部から底部側の内面のみならず、前記誘電体材料からなるスペーサ49と対向するペットボトルBの口部から肩部の内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
【0097】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルを量産的に製造することができる。
【0098】
また、ペットボトルBの口部および肩部周囲を覆う部材の形状は複雑であるが、これら部材に対応するスペーサ49を例えば射出成形が可能なプラスチックのような誘電体材料により形成することによって、従来のようにこれら部材を含む全てを外部電極で構成する場合に比べて簡単に製造することができる。さらに、従来のようにこれら部材を含む全てを金属のような導電材料により外部電極で構成する場合に比べて装置全体を軽量化することができる。
【0099】
さらに、スペーサ49をプラスチックまたは軟質のセラミックのような誘電体材料により形成することによって、ペットボトルBの複雑な口部および肩部が接触した時にその箇所に傷が発生するのを防止することができる。
【0100】
なお、前記第3実施形態ではスペーサに4つの排気孔を穿設したが、1つまたは4つ以外の複数の排気孔を穿設することを許容する。ただし、排気孔は複数とし、かつスペーサの中心に対して等角度で穿設することが好ましい。
【0101】
前記第3実施形態ではスペーサに排気孔を穿設したが、排気溝を設けてもよい。具体的には、図7に示すように複数、例えば4つの排気溝65をスペーサ49の排気管52側の端面からそのスペーサ49のペットボトルBが挿入される内面に沿ってそのスペーサ49の中心に対して等角度(90°)で穿設する。特に、これら排気孔65は図7に示すようにその一端(上端)が前記スペーサ49の前記排気管52側の端面に開口し、その他端(下端)が挿入されるペットボトルBの口部の鍔位置Pより下側の前記スペーサ49内面部分(例えばペットボトルBの肩位置に対応する部分)に延出されることが好ましい。このような形態の排気溝55をスペーサ49に穿設することによって、ペットボトルBの変形をより効果的に防止することができる。これら排気溝65は、それらの断面積が小さいと、外部電極46およびスペーサ49とペットボトルBとの間のガスを排気溝65を通して円滑に排気することが阻害され、一方それらの断面積を大きくするとそれらの排気溝65内でプラズマが生成され易くなる。このため、前記各排気溝65の断面積は次式の関係を満たすことが好ましい。
【0102】
(Sp/Vp)≦(St/VG
ここで、Spはペットボトルの口部断面積、Vpはペットボトルの容積、Stは排気溝の断面積、VGは外部電極およびスペーサとペットボトルとの隙間の容積である。
【0103】
前記第3実施形態では空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部にペットボトルBの口部から肩部に対応するように挿入、固定したが、ペットボトルBの肩部からさらに底部に亘って誘電体材料からなる薄膜を延出するようにしてもよい。
【0104】
(第4実施形態)
図8は、この第4実施形態に係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す断面図である。なお、図8において前述した第3実施形態で参照した図6と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0105】
この炭素膜形成装置は、バイアス用電源66がケーブル67および給電端子68を通して外部電極46の外部電極本体44に接続されている。整合器69は、前記バイアス用電源66と前記給電端子68の間の前記ケーブル67に介装されている。
【0106】
中心部に絶縁リング70を有し、接地された蓋体54は、ガス排気管52の上部フランジ51aに気密固定されている。筐体71は、前記蓋体54上に取り付けられている。
【0107】
ガス供給管60は、高高周波電力の端子を兼ね、前記筐体71内から前記蓋体54の絶縁リング70を貫通し、前記ガス排気管52を通して前記外部電極46内のスペーサ49内に挿入されている。このガス供給管60の上端は、外部から前記筐体71を貫通して挿入されたガス導入管72の下端に絶縁継手73を介して連結されている。
【0108】
フランジ管74およびこのフランジ管74下端に連結されたアースシールド管75は、前記ガス排気管52および前記スペーサ49内に位置する前記ガス供給管60部分を覆うように配置されている。なお、前記アースシールド管75は前記スペーサ49内およびこのスペーサ49近傍の前記ガス排気管52内に位置されている。前記フランジ管74の上端は、前記蓋体54の裏面に連結されている。つまり、前記アースシールド管75は前記フランジ管74を通して接地された前記蓋体54に接続されている。
【0109】
高高周波電源76は、ケーブル77および給電端子78を通して高高周波電力の端子を兼ねる前記ガス供給管60の側面に接続されている。整合器79は、前記高高周波電源76と前記給電端子78の間の前記ケーブル77に介装されている。
【0110】
次に、図8に示す炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0111】
図示しないプッシャーにより外部電極底部材45、円板状絶縁体47および基台43を取り外して外部電極本体44の底部を開放する。つづいて、プラスチック容器、例えばペットボトルBを開放した外部電極本体44の底部側からそのボトルBの口部側から挿入した後、図示しないプッシャーにより外部電極本体44の底部側に外部電極底部材5、円板状絶縁体7および基台3をこの順序で取り付けることによって、図6に示すようにペットボトルBの口部から肩部が誘電体材料からなる円柱状スペーサ49の空洞部48内に、前記ボトルBの肩部から底部側が前記外部電極46内に収納される。このとき、前記ペットボトルBは排気管52にその口部を通して連通される。
【0112】
次いで、図示しない排気手段により分岐排気管53および排気管52を通して前記排気管52内および前記ペットボトルB内外のガスを排気する。このとき、複数、例えば4つの排気孔55は、図6に示すように前記スペーサ49の前記排気管10側の端面からそのスペーサ49における前記ペットボトルBが挿入される内面に亘ってその本体44の中心に対して等角度(90°)で穿設されているため、前記ペットボトルB内のガスのみならず、前記ペットボトルB外面と前記スペーサ49および前記外部電極46との間に滞留するガスをも前記複数の排気孔55を通して排気される。その結果、前記ペットボトルBの内外の圧力が均衡されて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形を防ぐことができる。
【0113】
特に、4つの排気孔55を図8に示すようにその一端(上端)が前記スペーサ49の前記排気管52側の端面に開口し、その他端(下端)が挿入されるペットボトルBの口部の鍔位置Pより下側の前記スペーサ49内面部分(例えばペットボトルBの肩位置に対応する部分)に開口し、かつ前記各排気孔55の断面積を前記(Sp/Vp)≦(Se/VG)の関係を満たすように設定することによって、前記ペットボトルB外面と前記外部電極46との間に滞留するガスをも前記複数の排気孔55を通して効果的に排気でき、前記ペットボトルBの内外の圧力を均衡させて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形をより確実に防ぐことができるとともに、排気孔55内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。
【0114】
次いで、媒質ガスをガス導入管72およびガス供給管60を通して内部電極61のガス流路62に供給し、この内部電極61の底部に取り付けたキャップ64のガス吹き出し孔63からペットボトルB内に吹き出させる。この媒質ガスは、さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つづいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、前記ペットボトルB内を所定のガス圧力に設定する。
【0115】
次いで、バイアス用電源66からバイアス電力をケーブル67、整合器69および給電端子68を通して前記外部電極46に供給する。その後、またはそれと同時に、高高周波電源76から高高周波電力をケーブル77、整合器79および給電端子78を通してガス供給管60に供給し、このガス供給管60を通して内部電極61に高高周波電力を供給する。このとき、前記内部電極61の周囲にプラズマが生成される。また、アースシールド管75は前記スペーサ49内およびこのスペーサ49近傍の前記ガス排気管52内に位置するように前記ガス供給管60外周に配置されていると共にフランジ管74を通して接地されているため、このアースシールド管75を基準電位として前記外部電極46からバイアス電圧を内部電極61に向けて、つまり生成されたプラズマに向けて印加することができる。
【0116】
その結果、a)高高周波電力を用いると、特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電力を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、ペットボトルB内面へ入射するイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することでペットボトルB内面に入射するイオンフラックスを制御できる。このようなプラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極61への印加による前記外部電極46へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極46内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0117】
前記炭素膜の厚さが所定の膜厚に達した後、前記バイアス用電源66および高高周波電源76からのバイアス電力、高高周波電力の供給を停止し、媒質ガスの供給の停止、残留ガスの排気を行い、ガスの排気を停止した後、窒素、希ガス、又は空気等を前記ガス導入管72からガス供給管60を通して内部電極61のガス流路62およびキャップ64のガス吹き出し孔63を通してペットボトルB内に供給し、このペットボトルB内外を大気圧に戻し、内面炭素膜被覆ペットボトルを取り出す。その後、前述した順序に従ってペットボトルBを交換し、次のペットボトルのコーティング作業へ移る。
【0118】
前記媒質ガスとしては第1実施形態で述べたのと同様なものを用いることができる。
【0119】
前記高高周波電力は、一般的に30〜300MHzと定義されているが、これに限るものではない。また、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0120】
前記バイアス電力は、一般的に13.56MHz、100〜1000Wのものが用いられるが、これに限るものではない。また、このバイアス電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でもよい。
【0121】
以上、第4実施形態によればペットボトルB内外のガスを排気管52を通して排気する際、前記ペットボトルB内のガスのみならず、前記ペットボトルB外面と前記外部電極46およびスペーサ49との間に滞留するガスをも図8に示す前記スペーサ49に穿設した複数の排気孔55を通して排気することによって、前記ペットボトルBの内外の圧力が均衡されて、ペットボトルBのその内外の圧力差に起因する変形を防ぐことができる。その結果、この後の媒質のペットボトルBへの供給、プラズマの生成によって、前記ペットボトルB内面に均一な厚さの炭素膜をコーティングすることができる。
【0122】
また、プラズマの生成およびバイアス電圧の内部電極61への印加による前記外部電極56へのプラズマの引き込みによって、媒質ガスを前記プラズマで解離させた時に得られる製膜種をバイアス電力が印加された前記外部電極46内のペットボトルB内面に均一厚さで均質な炭素膜を高速度でコーティングすることができる。
【0123】
したがって、外部からの酸素の透過、内部(例えば炭酸飲料水)からの二酸化炭素の透過を防止したバリア性の優れた内面炭素膜被覆ペットボトルをより量産的に製造することができる。
【0124】
また、高高周波電力が印加されるガス供給管60と接地された排気管52との間、つまり排気管52内でも同様に不要なプラズマを生成し、炭素膜のコーティング効率が低下する。このようなことから、アースシールド管75を前記ガス供給管60外周にペットボトルBの口部近傍のガス排気管52内に位置するように配置し、このアースシールド管75をこれを支持するフランジ管74を通して接地することによって、前記アースシールド管75内を貫通するガス供給管60に高高周波電力が供給されても、媒質ガスの排気経路である前記排気管52内で不要なプラズマが生成されるのを防止できる。その結果、不要なプラズマ生成に伴う高高周波電力の消費を防ぐことができるため、前記ペットボトルB内での正規のプラズマ生成効率を高め、炭素膜のコーティング速度を向上できる。
【0125】
なお、前記第4実施形態では外部電極の本体に4つの排気孔を穿設したが、1つまたは4つ以外の複数の排気孔を穿設することを許容する。ただし、排気孔は複数とし、かつ外部電極の中心に対して等角度で穿設することが好ましい。
【0126】
前記第4実施形態では外部電極の本体に排気孔を穿設したが、前述した図7に示す排気溝を設けてもよい。
【0127】
前記第4実施形態では、空洞部48を有する誘電体材料からなる円柱状スペーサ49を外部電極46の上部にペットボトルBの口部から肩部に対応するように挿入、固定したが、ペットボトルBの肩部からさらに底部に亘って誘電体材料からなる薄膜を延出するようにしてもよい。
【0128】
前記第4実施形態では、アースシールド管75はその下端を図8に示すようにペットボトルBの口部付近に位置させる形状に限定されず、例えばアースシールド管下端をペットボトルBの胴部中央付近まで位置させ、内部電極の長さを実効的に短くしてもよい。
【0129】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする際、前記容器の変形を防止することができ、均一な膜厚を有する炭素膜をプラスチック容器内面全体にコーティングすることが可能なプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を提供することができる。
【0130】
また、本発明によれば均一な膜厚を有する炭素膜が内面にコーティングされ、酸素および二酸化炭素に対するバリア性が優れたプラスチック容器を製造し得る方法を提供することができる。
【0131】
さらに、本発明によればプラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする際、前記容器の変形を防止することができ、均一な膜厚を有する炭素膜をプラスチック容器内面全体にコーティングすることが可能で、かつ高速度のコーティングが可能なプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を提供することができる。
【0132】
さらに、本発明によれば均一な膜厚を有する炭素膜が内面に高速度でコーティングされ、酸素および二酸化炭素に対するバリア性が優れたプラスチック容器を量産的に製造し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図2】 図1の外部電極を示す斜視図。
【図3】 本発明の第1実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置の変形例を示す断面図。
【図4】 図3の外部電極を示す斜視図。
【図5】 本発明の第2実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図6】 本発明の第3実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図7】 本発明の第3実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置の変形例を示す断面図。
【図8】 本発明の第4実施形態に係るプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【図9】 従来のプラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を示す断面図。
【符号の説明】
2、42…支持部材、4、44…外部電極本体、5、45…外部電極底部材、6、46…外部電極、10、52…排気管、13、55…排気孔、14、56…高周波電源、18、60…ガス供給管、19、61…内部電極、21、63…ガス吹き出し孔、23,65…排気溝、B…ペットボトル、24,66…バイアス用電源、31、75…アースシールド管、33、76…高高周波電源、49…円柱状スペーサ。

Claims (8)

  1. 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器の外周を取り囲む大きさを有する外部電極と、
    前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管と、
    前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続されると共に、媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔が穿設された内部電極と、
    前記外部電極の内面に一端が前記外部電極の前記排気管側の端面に開口され、他端が挿入されるプラスチック容器の口部の鍔位置より下側の前記外部電極内面部分に開口されるように穿設された排気溝と、
    前記排気管に取り付けられた排気手段と、
    前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
    前記外部電極に接続された高周波電源と、
    を具備したことを特徴とするプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
  2. 請求項1記載の炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
    (a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
    (b)ガス吹き出し孔が穿設された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管から前記プラスチック容器の内部に挿入する工程と、
    (c)前記容器内のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気すると共に、前記容器外面と前記外部電極との間のガスをこの外部電極内面に穿設された排気溝から前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極のガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
    (d)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、前記プラスチック容器内に位置する内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする工程と
    を含むことを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法。
  3. 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
    前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管と、
    前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔が穿設された内部電極と、
    前記外部電極の内面に一端が前記外部電極の前記排気管側の端面に開口され、他端が挿入されるプラスチック容器の口部の鍔位置より下側の前記外部電極内面部分に開口されるように穿設された排気溝と、
    前記排気管に取り付けられた排気手段と、
    前記ガス供給管に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
    前記ガス供給管に接続された高高周波電源と、
    前記外部電極に接続されたバイアス用電源と、
    を具備したことを特徴とするプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
  4. 請求項3記載の炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
    (a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内に挿入する工程と、
    (b)ガス吹き出し孔が穿設された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管から前記プラスチック容器の内部に挿入する工程と、
    (c)前記容器内のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気すると共に、前記容器外面と前記外部電極との間のガスをこの外部電極内面に穿設された排気溝から前記排気管を通して排気した後、前記ガス供給管手段から媒質ガスを前記内部電極に供給し、この内部電極のガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
    (d)バイアス用電源から高周波電力を前記外部電極に印加すると共に、高高周波電源から高高周波電力を前記内部電極に供給し、前記プラスチック容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする工程と
    を含むことを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法。
  5. 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
    被処理物であるプラスチック容器が挿入された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極の間に介在された誘電体材料からなるスペーサと、
    前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管と、
    前記外部電極内の前記プラスチック容器内に前記排気管側から挿入され、接地側に接続されると共に、媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔が穿設された内部電極と、
    前記スペーサの内面に一端が前記スペーサの前記排気管側の端面に開口され、その他端が挿入されるプラスチック容器の口部の鍔位置より下側の前記スペーサ内面部分に開口されるように穿設された排気溝と、
    記排気管に取り付けられた排気手段と、
    前記内部電極に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
    前記外部電極に接続された高周波電源と、
    を具備したことを特徴とするプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
  6. 請求項5記載の炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
    (a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内および誘電体材料からなるスペーサ内に少なくともその容器の口部および肩部の外周が前記スペーサ内に囲まれ、これ以外の前記容器部分の外周が前記外部電極内に囲まれるように挿入する工程と、
    (b)ガス吹き出し孔が穿設された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管から前記プラスチック容器の内部に挿入する工程と、
    (c)前記容器内のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気すると共に、前記容器外面と前記外部電極および前記スペーサとの間のガスをこのスペーサ内面に穿設された排気溝から前記排気管を通して排気した後、前記内部電極に媒質ガスをガス供給手段により供給し、この内部電極のガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
    (d)高周波電源から高周波電力を前記外部電極に供給し、前記プラスチック容器内に位置する内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする工程と
    を含むことを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法。
  7. 被処理物であるプラスチック容器が挿入された時にその容器を取り囲む大きさを有する外部電極と、
    被処理物であるプラスチック容器が挿入された時に少なくともその容器の口部および肩部と前記外部電極の間に介在される誘電体材料からなるスペーサと、
    前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管と、
    前記スペーサの内面に一端が前記スペーサの前記排気管側の端面に開口され、その他端が挿入されるプラスチック容器の口部の鍔位置より下側の前記スペーサ内面部分に開口されるように穿設された排気溝と、
    前記排気管側から前記外部電極内の前記プラスチック容器内に挿入された給電端子を兼ねるガス供給管と、
    前記外部電極内の前記プラスチック容器内に挿入された前記ガス供給管の先端に連結され、媒質ガスを吹き出すためのガス吹き出し孔が穿設された内部電極と、
    少なくとも前記外部電極に挿入されたプラスチック容器内および前記容器の口部近傍の前記排気管内に位置する前記ガス供給管部分の外周に配置され、接地されたアースシールド管と、
    前記排気管に取り付けられた排気手段と、
    前記ガス供給管に媒質ガスを供給するためのガス供給手段と、
    前記ガス供給管に接続された高高周波電源と、
    前記外部電極に接続されたバイアス用電源と、
    を具備したことを特徴とするプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
  8. 請求項7記載の炭素膜形成装置を用いて内面炭素膜被覆プラスチック容器を製造するにあたり、
    (a)被処理物であるプラスチック容器を、外部電極内および誘電体材料からなるスペーサ内に少なくともその容器の口部および肩部の外周が前記スペーサ内に囲まれ、これ以外の前記容器部分の外周が前記外部電極内に囲まれるように挿入する工程と、
    (b)接地されたアースシールドを外周に配置したガス供給管先端に連結され、ガス吹き出し孔が穿設された内部電極を、前記容器の口部が位置する側の前記外部電極の端面に絶縁部材を介して取り付けられた前記口部の径より大きな径を有する排気管から前記プラスチック容器の内部に挿入する工程と、
    (c)前記容器内のガスを排気管手段により前記排気管を通して排気すると共に、前記容器外面と前記外部電極および前記スペーサとの間のガスをこのスペーサ内面に穿設された排気溝から前記排気管を通して排気した後、前記ガス供給管手段から媒質ガスを前記内部電極に供給し、この内部電極のガス吹き出し孔から前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチック容器内を含む排気管内を所定のガス圧力に設定する工程と、
    (d)バイアス用電源から高周波電力を前記外部電極に印加すると共に、高高周波電源から高高周波電力を前記ガス供給管を通して前記内部電極に供給し、前記プラスチック容器内にプラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを解離させて前記プラスチック容器内面に炭素膜をコーティングする工程と
    を含むことを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法。
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