JP2003247070A - プラスチック容器内面への炭素膜形成装置および内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法 - Google Patents

プラスチック容器内面への炭素膜形成装置および内面炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法

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JP2003247070A
JP2003247070A JP2002048212A JP2002048212A JP2003247070A JP 2003247070 A JP2003247070 A JP 2003247070A JP 2002048212 A JP2002048212 A JP 2002048212A JP 2002048212 A JP2002048212 A JP 2002048212A JP 2003247070 A JP2003247070 A JP 2003247070A
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internal electrode
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carbon film
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Takao Abe
阿部  隆夫
Hideo Yamakoshi
英男 山越
Mitsuo Kato
光雄 加藤
Yuji Asahara
裕司 浅原
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素膜のコーティング速度向上と膜質向上を
両立させ、膜厚の均一化を図ることが可能なプラスチッ
ク容器の内面への炭素膜形成装置を提供する。 【解決手段】 プラスチック容器が挿入された時にその
外周を取り囲む大きさを有する有底円筒状外部電極と、
この有底円筒状外部電極内のプラスチック容器内にその
長手のほぼ全長にわたって挿入される棒状内部電極と、
有底円筒状外部電極を収納し、ガス排気手段を有する真
空容器と、棒状内部電極に電力供給部と整合器を介して
接続される高高周波電源と、前記有底円筒状外部電極に
バイアス用整合器を介して接続されるバイアス用電源と
を具備し、前記棒状内部電極は有底筒状でガス供給手段
から供給された媒質ガスの導入流路を兼ねた構造を有
し、かつその底部もしくは底部から前記プラスチック容
器内に挿入された長さの25%までの範囲内の側面領域
またはその両方に前記媒質ガスを吹き出すための貫通孔
が穿設されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック容器
内面への炭素膜形成装置および内面炭素膜被覆プラスチ
ック容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック容器に炭素膜をコーティン
グする方法としては、特開平8−53116号公報およ
び特許第2788412号公報(特開平8−53117
号公報)に高周波プラズマを用いる方法が開示されてい
る。特許第3176558号公報(特開平9−2725
67号公報)には、その応用的な方法として高周波プラ
ズマを用いて炭素膜をフィルムにコーティングする方法
が開示されている。特許第3072269(特開平10
−226884号公報)には、特殊形状容器に対応する
炭素膜のコーティング方法が、特許第3115252
(特開平10−258825号公報)などには量産化技
術として複数個の容器に同時にコーティングする方法が
開示されている。また、プラスチック容器に炭素膜をコ
ーティングする技術が開示された文献として、「K.Take
moto, et al, Proceedings of ADC/FCT '99,p285」、
「E.Shimamura et al, 10th years IAPRI World Confe
rence 1997,p251 」がある。
【0003】高周波プラズマCVDを用いたプラスチッ
ク容器への炭素膜コーティングする基本的な発明である
前記特許第2788412号公報(特開平8−5311
7号公報)について、図7を参照して説明する。図7は
この公報に記載されている高周波プラズマCVDを用い
たプラスチック容器への炭素膜コーティング装置の断面
図である。
【0004】外部電極101は、架台102上に例えば
ポリテトラフルオロエチレン製のシール板103を介し
て設置されている。この外部電極101は、収納される
プラスチック容器、例えばボトルBの外形にほぼ沿った
形の内形状を有する。この外部電極101は、口金部分
もボトルキャップ用のネジ形状に沿った内形状が好まし
い。前記外部電極101は、筒状の本体101aとこの
本体101aの上端に取り付けられるキャップ部101
bとから構成され、真空容器を兼ねている。ガス排気管
104は、前記架台102およびシール板103を通し
て前記外部電極101下部に連通されている。
【0005】内部電極105は、前記外部電極101内
に収納されたボトルB内に挿入されている。この内部電
極105は、中空構造を有し、表面には複数のガス吹き
出し孔106が穿設されている。CVD用媒質ガスを供
給するためのガス供給管107は、前記架台102およ
びシール板103を貫通して前記内部電極105の下端
に連通されている。CVD用媒質ガスは、前記供給管1
07を通して前記内部電極105内に供給され、前記ガ
ス吹き出し孔106からボトルB内に供給される。
【0006】RF入力端子108は、前記架台102お
よびシール板103を通して前記外部電極101下部に
接続されている。このRF入力端子108は、前記架台
102に対して電気的に絶縁されている。また、前記R
F入力端子108の下端は、整合器109を通して高周
波電源110に接続されている。前記外部電極101
は、高周波電源110からプラズマ生成用の高周波電力
が前記整合器109およびRF入力端子108を通して
印加される。
【0007】このような構成の装置を用いてボトルへ炭
素膜をコーティングする方法について説明する。
【0008】まず、外部電極101の本体101a内に
ボトルBを挿入し、前記本体101aにキャップ101
bを取り付けることにより前記ボトルBを前記外部電極
101内に気密に収納する。外部電極101内のガスを
ガス排気管104を通して排気する。この時、前記外部
電極101に収納したボトルB内外の空間のガスが排気
される。規定の真空度(代表値:10-2〜10-5Tor
r)に到達した後、媒質ガスをガス供給管107を通し
て内部電極105に例えば10〜50ミリリットル/m
inの流量で供給し、さらに内部電極105のガス吹き
出し孔106を通してボトルB内に吹き出す。なお、こ
の媒質ガスとしては、例えばベンゼン、トルエン、キシ
レン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、芳香族炭
化水素類、含酸素炭化水素類、含窒素炭化水素類が用い
られる。前記ボトルB内の圧力は、ガス供給量と排気量
のバランスによって例えば2×10-1〜1×10-2To
rrに設定する。その後、高周波電源110から50〜
1000Wの高周波電力を整合器109およびRF入力
端子108を通して外部電極101に印加する。
【0009】このような高周波電力の外部電極101へ
の印加によって、前記外部電極101と内部電極105
の間にプラズマが生成される。この時、ボトルBは外部
電極101の内にほぼ隙間無く収納されているため、プ
ラズマはボトルB内に発生する。前記媒質ガスは、前記
プラズマによって解離、又は更にイオン化して、炭素膜
を形成するための製膜種が生成され、この製膜種が前記
ボトルB内面に堆積し、炭素膜を形成する。炭素膜を所
定の膜厚まで形成した後、高周波電力の印加を停止し、
媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気、窒素、希ガス、
又は空気等を外部電極101内に供給し、この空間内を
大気圧に戻す。この後、前記ボトルBを外部電極101
から取り外す。なお、この方法において炭素膜を厚さ3
0nm成膜するには2〜3秒間要する。
【0010】このような高周波プラズマを用いるコーテ
ィング方法については以下のような問題点がある。
【0011】(1)媒質ガスは、内部電極105の軸方
向に沿って開口されている複数のガス吹出し孔106か
らプラスチック容器(例えばボトルB)内に供給され、
プラスチック容器の口部から排気される。このため、プ
ラスチック容器内のガス流路は内部電極と外部電極に挟
まれた空間であり、プラスチック容器の口部に近い空間
はコンダクタンスが大きくなりガス吹出し孔からのガス
流れは促進されるが、口部から遠い容器底部付近のガス
吹出し孔からのガス流れは滞る。その結果、容器底部付
近の媒質ガスはその容器の口部付近のガスに比べてより
長い時間プラズマに曝されるため、気相反応によって結
合する分子が大きくなり過ぎて粉状になる可能性があ
る。粉状物質は、容器表面へ薄膜としてコーティングさ
れずに、その上に堆積する異物となる。このような異物
の発生は、次の点で不都合である。
【0012】a).粉状物質が多数堆積してもそれらの
間には隙間があるため、炭素膜を用いたときのようなガ
スバリアの効果は生じない。
【0013】b).飲料に混入する可能性のある物質が
容器内に残留する。
【0014】(2)外部電極に生じる自己バイアス値の
制御の点で以下の不具合がある。
【0015】a).自己バイアス値は、外部電極に印加
する高周波電力値に依存する。コーティング速度と膜質
に最適な高周波電力値が一致するとは限らないため、ど
ちらかの性能が犠牲になる。
【0016】b).自己バイアス値は、外部電極、内部
電極、或いはその双方の形状に依存して変化する。膜質
に最適な自己バイアス値と内外電極形状に依存する自己
バイアス値が一致するとは限らないため、どちらかを優
先させる必要が生じる。膜質を優先すれば電極形状が制
約され、均一コーティングに影響が出る可能性がある。
電極形状を優先すれば、目的のガスバリア性を発現する
膜質を有する炭素膜の形成が困難になる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素膜のコ
ーティング速度向上と膜質向上を両立させ、さらに膜厚
の均一化を図ることが可能な高周波プラズマを利用した
プラスチック容器の内面への炭素膜形成装置を提供する
ことを目的とする。
【0018】本発明は、良好な膜質で、かつ均一な膜厚
を有する炭素膜が内面に被覆されたプラスチック容器の
製造方法を提供することを目的とする。
【0019】本発明は、良好な膜質で、かつ均一な膜厚
を有し、さらに緻密で硬質の炭素膜が内面に被覆された
プラスチック容器の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明に係るプラスチッ
ク容器内面への炭素膜形成装置は、被処理物であるプラ
スチック容器が挿入された時にその外周を取り囲む大き
さを有する有底円筒状外部電極と、前記有底円筒状外部
電極内の前記プラスチック容器内にその長手のほぼ全長
にわたって挿入される棒状内部電極と、前記有底円筒状
外部電極を収納する真空容器と、前記真空容器内を排気
するガス排気手段と、前記棒状内部電極に電力供給部と
整合器を介して接続され、その棒状内部電極に高高周波
電力を印加する高高周波電源と、前記円筒状外部電極に
バイアス用整合器を介して接続され、その円筒状外部電
極にバイアスを印加するバイアス用電源と、を具備し、
前記棒状内部電極は、有底筒状でガス供給手段から供給
された媒質ガスの導入流路を兼ねた構造を有し、かつそ
の底部もしくは底部から前記プラスチック容器内に挿入
された長さの25%までの範囲内の側面領域またはその
両方に前記媒質ガスを吹き出すための貫通孔が穿設され
ていることを特徴とするものである。
【0021】本発明に係るプラスチック容器内面への炭
素膜形成装置において、前記棒状内部電極内の中空部分
は電気的絶縁物が設けられていることが好ましい。
【0022】本発明に係るプラスチック容器内面への炭
素膜形成装置において、前記棒状内部電極は前記貫通孔
が1または2つ以上の複数穿設されていることが好まし
い。
【0023】本発明に係るプラスチック容器内面への炭
素膜形成装置において、前記電力供給部は周囲にアース
シールドが配置されていることを許容する。
【0024】本発明に係る内面炭素膜被覆プラスチック
容器の製造方法は、(a)被処理物であるプラスチック
容器を有底円筒状外部電極内にその容器の外周が囲まれ
るように挿入する工程と、(b)有底筒状の棒状内部電
極を前記プラスチック容器の内部にその容器の長手のほ
ぼ全長に亘って挿入する工程と、(c)前記有底円筒状
外部電極をガス排気手段を有する真空容器内に収納する
工程と、(d)前記真空容器内のガスを前記ガス排気手
段を用いて排気すると共に、前記棒状内部電極に媒質ガ
スをガス供給手段により供給し、この棒状内部電極から
前記プラスチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プ
ラスチック容器内を含む前記真空容器内を所定のガス圧
力に設定する工程と、(e)バイアス用電源からバイア
ス用整合器を介して前記有底円筒状外部電極にバイアス
電圧を印加すると共に、高高周波電源から整合器を介し
て前記棒状内部電極に高高周波電力を印加し、その棒状
内部電極の周囲にプラズマを生成させ、このプラズマに
より前記媒質ガスを解離させる工程とを含む内面炭素膜
被覆プラスチック容器の製造にあたり、前記媒質ガスを
前記棒状内部電極の底部もしくは底部から前記プラスチ
ック容器内に挿入された長さの25%までの範囲内の側
面領域またはその両方に穿設した貫通孔を通して前記プ
ラスチック容器内に供給し、前記プラスチック容器の口
部と棒状内部電極の隙間を通じて排気し、この流通過程
で前記プラズマにより前記媒質ガスを解離させることを
特徴とするものである。
【0025】本発明に係る内面炭素膜被覆プラスチック
容器の製造方法において、前記バイアス用電源からバイ
アス用整合器を介して前記有底円筒状外部電極にバイア
ス電圧を印加する際、バイアス周波数をプラズマ角周波
数以下にすることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して詳
細に説明する。
【0027】(第1実施形態)図1は、第1実施形態に
係るプラスチック容器内面への炭素膜形成装置を示す概
略断面図、図2の(A)はこの装置に組み込まれる棒状
内部電極を示す正面図、同図(B)は同図(A)のB−
B線に沿う断面図、同図(C)は同図(A)のC矢視図
である。
【0028】図1に示すバイアス印加用の有底円筒状外
部電極1は、炭素被膜を形成するプラスチック容器(例
えばペットボトル)Bの外径より大きい内径を有し、か
つその内側にペットボトルBを設置可能な大きさの空間
を有する。
【0029】有底筒状構造をもつ棒状内部電極2は、前
記ペットボトルB内部にこのペットボトルBの長手方向
のほぼ全長に渡って挿入可能な大きさを有する。この棒
状内部電極2は、前記ペットボトルB内に媒質ガスを吹
き出すための導入流路を兼ね、図示しないガス供給手段
と連通されている。前記棒状内部電極2は、例えば図2
の(A)〜(C)に示すように一端が開放された有底円
筒体であり、底部に例えば1mmの径を持つ1個の孔3
が穿設され、かつこの底部から前記ペットボトルB内に
挿入された長さの25%までの範囲内の側面領域(例え
ば底部から前記ペットボトルB内に挿入された長さの5
%に亘る側面領域)に同じ径を持つ8個の孔3が穿設さ
れている。孔の径、数はこれに限るものではない。前記
棒状内部電極2において、その底部から前記プラスチッ
ク容器内に挿入された長さの25%を超える側面領域に
孔を穿設すると、前記プラスチック容器内面に均一な厚
さの炭素膜を被覆することが困難になる。
【0030】前記棒状内部電極2の径は、ボトル口金径
以下とし、長さはペットボトルBの長手方向のほぼ全長
にわたって挿入可能な長さとする。長さの目安として
は、ペットボトルBの全長に対する割合が{1−D/
(2L)}程度となるようにする。ここでDはペットボ
トルの内径、Lはペットボトルの全長を表し、L>(D
/2)である。
【0031】前記棒状内部電極2は、例えばタングステ
ンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料によ
り作られるが、アルミニウムで作ってもよい。
【0032】前記有底円筒状外部電極1は、ガス供給手
段およびガス排気手段を備えた真空容器(いずれも図示
せず)に収納されている。この真空容器の形状は任意で
ある。個々のプラスチック容器毎に真空容器を構成して
もよいし、複数のプラスチック容器を内包できるもので
もよい。また、前記円筒状外部電極1をそのまま真空容
器とすることもできる。
【0033】高高周波電源4は、前記棒状内部電極2に
整合器5および電力供給部6を介して接続されている。
バイアス用電源7は、前記有底円筒状外部電極1にバイ
アス用整合器8を介して接続されている。このバイアス
用電源7は、直流電源、又は交流電源、又はそれらの組
合せでもよい。
【0034】次に、図1および図2の装置を用いて内面
炭素膜被覆プラスチック容器の製造方法を説明する。
【0035】図1のようにペットボトルBを組み込んだ
装置を構成した後、この装置を図示しない真空容器内に
収納し、図示しない排気手段により前記真空容器内のガ
スを排気し、さらに媒質ガスを図示しないガス供給手段
により図2に示す棒状内部電極2の一端に供給する。前
記媒質は、その棒状内部電極2内を通り、底部およびそ
の底部から前記ペットボトルB内に挿入された長さの2
5%までの範囲内の側面領域に穿設されたガス吹出し孔
3から矢印に示すようにペットボトルB内に放出され、
さらにペットボトルBの口部に向かって流れていく。つ
づいて、ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、所
定のガス圧力に設定する。
【0036】次いで、バイアス用電源7からバイアス電
圧をバイアス用整合器8を介して有底円筒状外部電極1
に印加する。その後、またはそれと同時に、高高周波電
源4から高高周波電力を前記棒状内部電極2に整合器5
および電力供給部6を介して印加する。このとき、図1
に示すように棒状内部電極2の周囲にプラズマ9が生成
され、かつ生成されたプラズマ9はバイアス電圧が印加
された前記有底円筒状外部電極1側、つまりその内部に
収納されたペットボトルB側に引き込まれる。このプラ
ズマ9によって媒質ガスが解離し、生成した製膜種がバ
イアス電圧が印加された前記有底円筒状外部電極1内の
ペットボトルB内面に堆積、コーティング膜(炭素膜)
が形成されることにより内面炭素膜被覆ペットボトルを
製造する。所定の膜厚が形成された後、各電力印加の停
止、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気を行い、窒
素、希ガス、又は空気等を供給し、この空間内を大気圧
に戻す。その後、ペットボトルを交換し、次のペットボ
トルのコーティング作業へ移る。
【0037】前記媒質ガスとしては炭化水素を基本と
し、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、
ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチ
レン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、
インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化
水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパ
ラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシク
ロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール
等の含酸素炭化水素類;メチルアミン、エチルアミン、
アニリン等の含窒素炭化水素類などが使用でき、その他
一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。
【0038】前記高高周波は、一般的に30〜300M
Hzと定義されているが、これに限るものではない。ま
た、これら電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)
でもよい。
【0039】以上、第1実施形態によれば高高周波電源
4から高高周波電力を棒状内部電極2に印加し、その内
部電極2周囲にプラズマを生成し、このプラズマを有底
円筒状外部電極1にバイアス用電源7から印加されたバ
イアス電圧によってプラスチック容器(例えばペットボ
トル)へ引込むことができる。その結果、a)高高周波
電力を用いると特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比
べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻
度が上がり製膜種密度を高くできる、b)バイアス電位
を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるの
で、プラスチック容器(例えばペットボトル)へ入射す
るイオンエネルギーを調整できる、c)イオン密度は電
子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用する
ことでプラスチック容器(例えばペットボトル)に入射
するイオンフラックスを制御できる、ことにある。した
がって、プラスチック容器内面への炭素膜のコーティン
グ速度向上、コーティング速度の制御および炭素膜質の
制御を達成することができる。
【0040】また、媒質ガスを棒状内部電極の底部もし
くは底部から前記プラスチック容器内に挿入された長さ
の25%までの範囲内の側面領域またはその両方に穿設
した貫通孔を通してプラスチック容器(例えばペットボ
トル)内に供給することによって、前記容器底部から口
部に向かうガスの流れを強制的に生じせしめることがで
きる。このため、プラスチック容器内にガスの滞留部分
が作られるのを防止できる。その結果、コンタミの混入
が少ない膜質が良好で、かつ均一な膜厚を有する炭素膜
が内面に被覆されたプラスチック容器の製造することが
できる。
【0041】(実施例1)棒状内部電極として、図2に
示す外径1/2インチ、長さ200mmのステンレス片
封じチューブの底部に1個の孔径1mmのガス吹き出し
孔を穿設し、かつこの底部からプラスチック容器内に挿
入された長さの5%に亘る側面領域に8個の同孔径のガ
ス吹き出し孔を同一円周に位置するようにそれぞれ穿設
した構造のものを用いた。
【0042】この棒状内部電極を図1に示す有底円筒状
外部電極内に収納されたペットボトルに挿入し、この外
部電極を真空容器内に設置し、媒質としてC22ガス、
ガス流量を20sccm,その真空容器内でのガス圧力
を0.1Torr、高高周波電源から供給する高高周波
を100MHz、バイアス用電源からのバイアス高周波
を13MHzの条件の下で前記ペットボトル内面に炭素
膜をコーティングした。
【0043】(比較例1)棒状内部電極として、図3に
示すように外径1/2インチ、長さ200mmのステン
レス片封じチューブの底部に1個の孔径1mmのガス吹
き出し孔を穿設し、かつこの底部からプラスチック容器
内に挿入された長さの35%に亘る側面領域に32個の
同孔径のガス吹き出し孔を同一円周に8個並ぶように合
計4段穿設した構造のものを用いた以外、実施例1と同
様な方法によりペットボトル内面に炭素膜をコーティン
グした。
【0044】実施例1および比較例1でのコーティング
速度、炭素膜の厚さ均一性および炭素膜中への粉混入の
有無を調べた。その結果を下記表1に示す。
【0045】なお、コーティング速度はコーティングさ
れていないペットボトルを参照サンプルとして、コーテ
ィングされたサンプルの光透過率の干渉スペクトルのピ
ーク(山)波長とバレー(谷)波長から膜厚を算出し
た。コーティング膜の屈折率は2とした。算出した膜厚
をコーティング時間で除して速度を求めた。測定装置は
日立製自記分光光度計を用いた。
【0046】
【表1】
【0047】前記表1から明らかなように実施例1のよ
うに底部に1個の孔径1mmのガス吹き出し孔を穿設
し、かつこの底部からプラスチック容器内に挿入された
長さの5%に亘る側面領域に8個の同孔径のガス吹き出
し孔を同一円周に位置するようにそれぞれ穿設した構造
の棒状内部電極を用い、媒質ガスをこの棒状内部電極の
各ガス吹き出し孔からペットボトル内に供給することに
よって、比較例1に比べてコーティング速度を向上し、
かつ膜厚均一性も大幅に改善されることがわかる。
【0048】(第2実施形態)図4の(A)は、棒状内
部電極を示す正面図、同図(B)は、同図(A)のB-
B線に沿う断面図、同図(C)は同図(A)のC矢視図
である。
【0049】この棒状内部電極2は、内部に電気的絶縁
体(例えば外径4mm、内径3mmの4本のセラミック
スチューブ)10を設置した構造を有する。この電気的
絶縁体10の構造は、媒質ガスの流れを妨げないもので
あればこれに限るものではない。
【0050】このような第2実施形態によれば、前述し
た第1実施形態で説明したように棒状内部電極2周囲に
プラズマを生成する際、棒状内部電極2の空間を電気的
絶縁体10で物理的に塞ぐことによって、棒状内部電極
2の内部でのプラズマ生成を防止することができる。
【0051】すなわち、棒状内部電極2内にプラズマが
生成されると、本来、棒状内部電極周囲で生成すべきプ
ラズマの生成効率が落ちる、不要な箇所にコーティング
されて装置としての機能が低下する、等の不具合があ
る。
【0052】このようなことから、電気的絶縁体10を
棒状内部電極2内に媒質ガスの流路を確保しながら設置
することによって、棒状内部電極2内空間を物理的に塞
ぎ、プラズマが生成する空間を排除できるため、プラズ
マの生成効率の向上、不要な箇所へのコーティングの防
止を図ることができる。
【0053】(第3実施形態)図5は、棒状内部電極に
接続される電力供給部を示す概略図である。
【0054】棒状内部電極2に接続される電力供給部6
は、チューブ構造で、内部を媒質ガスが流れる。この電
力供給部6は、絶縁管11を介してガス供給管12に接
続する。この絶縁管11は、前記ガス供給管12と電力
供給部6との電気的絶縁を取るものである。高高周波電
源4は、前記電力供給部6に整合器5を介して接続され
ている。アースシールド13は、前記電力供給部6の周
囲に配置されている。このアースシールド13はチュー
ブ状で、導体であり、接地され、かつその内径が前記電
力供給部6の外径より若干大きい寸法を有する。ただ
し、外径寸法は規定されない。
【0055】前述した構造の電力供給部6において、媒
質ガスの流れはガス供給管12から絶縁管11を介して
棒状内部電極2の一端へ入り、棒状内部電極2内を通
り、ガス吹出し孔3からペットボトル(図示せず)内に
放出され、図示しない真空容器のガス排気口に向かって
流れる。
【0056】このような図5に示す電力供給部6の作用
を説明する。
【0057】アースシールド13の原理は、電力供給部
6と接地部の間隔をプラズマシース厚よりも極端に狭く
し、その空間にプラズマが生成できないようにするもの
である。プラズマは、電極とプラズマの間にシースが存
在することによって維持される。シース厚さは、一般的
にプラズマのデバイ長の数倍から10倍と言われてい
る。デバイ長は下記数1に示す式(1)で表される。
【0058】
【数1】
【0059】従って、予想されるプラズマの電子温度、
電子密度からデバイ長を求め、その10倍の値をシース
長とし、アースシールド13と電力供給部6の間隔をそ
れ以下(例えば1mm[直径分で2mm])とした。こ
のデバイ長に関しては、「プラズマ基礎工学」、堤井信
力著、内田老鶴圃に詳述されている。
【0060】なお、アースシールド13を配置していな
い場合は、電力供給部6に電力が印加されれば真空容器
(接地)との間に電界が立ち、その時の条件(電力、ガ
ス圧力、供給部と真空容器間距離等)によってはプラズ
マが生成される可能性がある。アースシールドの機能は
電力供給部6の周囲に不要なプラズマが生成しないよう
にするためのものである。不要なプラズマが生成する
と、本来棒状内部電極周囲で生成すべきプラズマの生成
効率が落ちる、不要な箇所にコーティングされコーティ
ング装置としての機能が低下する、等の不具合がある。
【0061】以上、第3実施形態によれば図5に示すよ
うに電力供給部2の周囲にアースシールド13を配置す
ることによって、その周囲にプラズマが生成されない条
件を確立することができる。
【0062】また、棒状内部電極2はガス供給と電力印
加の機能を兼ねているので、ガス供給管12を絶縁管1
1を介して電力供給部6に接続することによって、この
機能を分離することができる。
【0063】(第4実施形態)図6は、第4実施形態の
プラスチック容器内面への炭素膜形成装置の有底円筒状
外部電極に接続されるバイアス用整合器の回路構成を示
す図である。
【0064】バイアス用整合器8は、例えば20nFの
コンデンサCからなり、一端が0.5MHzの高周波電
力を供給するバイアス用電源7、他端が有底円筒状外部
電極1に接続されている。
【0065】下記数2に示す式(2)で表されるプラズ
マ角周波数(ωpe)は、「プラズマ基礎工学」、堤井信
力著、内田老鶴圃に詳述されているように電磁波の遮蔽
条件を与える。プラズマ角周波数より高い周波数の電磁
波は、そのプラズマ中を伝播できるが、低い周波数は遮
断されるか反射される。
【0066】
【数2】
【0067】前述した棒状内部電極2によって生成する
プラズマの電子密度を109cm-3と想定し、プラズマ
角周波数を前記式(2)式から求めると283MHzに
なる。第2実施形態ではバイアス用電源7のバイアス周
波数を一般的な周波数である13.56MHzよりも充
分に低い0.5MHz(このバイアス周波数に整合する
ために整合器8を例えば20nFのコンデンサCで構
成)とし、前記プラズマ角周波数(ωpe)よりも充分低
く設定することによって、前述した図1に示す棒状内部
電極2周囲に生成したプラズマ9中のイオンがバイアス
の交番電界に追従して運動でき、イオンが有底円筒状外
部電極1に収納したプラスチック容器(例えばペットボ
トル)B内面(コーティング膜面)へ入射することを促
進することができる。なお、13.56MHzのバイア
ス周波数をバイアス用電源から供給する場合、その整合
器は前記バイアス用電源と外部電極との間に直列に介装
された第1コンデンサC1およびリアクタンスLと、前
記第1コンデンサC1の前記電源7との接続側で分岐さ
れ、接地された配線に設けられた第2コンデンサC2
から構成される。
【0068】(実施例2)棒状内部電極として、図2に
示す外径1/2インチ、長さ200mmのステンレス片
封じチューブの底部に1個の孔径1mmのガス吹き出し
孔を穿設し、かつの底部からプラスチック容器内に挿入
された長さの5%に亘る側面領域に8個の同孔径のガス
吹き出し孔を同一円周に位置するようにそれぞれ穿設し
た構造のものを用いた。
【0069】この棒状内部電極を図1に示す有底円筒状
外部電極内に収納されたペットボトルに挿入し、この外
部電極を真空容器内に設置し、バイアス用電源からのバ
イアス高周波を0.5MHzにした以外、実施例1と同
様な条件の下で前記ペットボトル内面に炭素膜をコーテ
ィングした。
【0070】実施例2および前述した比較例1(バイア
ス用電源からのバイアス高周波を13MHz)の条件で
の外部電極へのバイアス電圧およびラマンスペクトル
(D/G)を調べた。
【0071】なお、バイアス電圧およびラマンスペクト
ル(D/G)比は次のような方法により測定した。
【0072】(1)バイアス電圧 バイアス用電源に接続されるバイアス用整合器8の出力
部分に高電圧プローブを設置し、このプローブでピック
アップした電力波形をオシロスコープで観察した。その
波形の時間平均値をバイアス電圧とした。
【0073】なお、高電圧プローブはソニーテクトロニ
クス製6015Aを用いた。
【0074】(2)ラマンスペクトル(D/G)比 ペットボトル内面に形成した炭素膜の構造を日本分光製
レーザラマン分光装置(励起波長532nm)を用いた
レーザラマン分光によって推定した。この炭素膜膜は1
350cm-1付近(Disordered成分)と1550cm-1
付近(Graphite成分)にピークを持つスペクトル形状が得
られた。
【0075】前記スペクトル形状を2つのガウス分布で
フィッティングし、それぞれの分布の面積を算出、その
比を求めD/G比とした。なお、このD/G比の値が高
いと膜構造中にグラフィトドメインが成長していること
が知られている。つまり、ガス分子より大きい格子定数
を有するグラファイト構造が成長しているため、ガスバ
リア性が低下する。ガスバリアに必要な膜構造は、ガス
分子を物理的に透過させない緻密な膜であるので、D/
G比の値が低い硬い膜の方が有利である。このようなラ
マンスペクトルから見た膜質の評価方法は、例えば、
「ダイヤモンド状炭素膜のラマンスペクトル」、吉川正
信著、NEW DIAMOND、Vol.4、No.2、p16、または
「ラマン分光法によるダイヤモンド薄膜の評価」、吉川
正信著、表面技術、Vol.42、No.12(1991),
p35に詳述されている。また、DLC(Diamond like
carbon)膜特性の評価については例えば「ダイヤモン
ドをよく知るために(副題)DLCのキャタライゼーシ
ョン」、山本和弘著NEW DIAMOND、Vol.16, No. 2, p 38
に詳述されている。
【0076】その結果、比較例1のようにバイアス用電
源からのバイアス周波数を13MHzに設定した場合、
時間平均のバイアス電圧が0Vであるのに対し、実施例
2のようにバイアス用電源からのバイアス周波数を0.
5MHzに低く設定した場合、−50Vのバイアス電圧
を外部電極に印加できた。このため、比較例1ではラマ
ンスペクトルD/G比が1.22であるのに対し、実施
例2では同ラマンスペクトルD/G比が0.98と低減
されて硬い緻密な炭素膜を形成することができた。
【0077】(実施例3)この実施例3では、前述した
図1、図2、図4および図5の構成を有する炭素膜形成
装置を用いた。すなわち、炭素膜形成装置の基本構成は
図1、棒状内部電極構成は図2および図4、棒状内部電
極への電力供給部は図5に示す通りである。
【0078】棒状内部電極として、外径16mm、長さ
163mmのステンレス片封じチューブの底部に1個の
孔径1mmのガス吹き出し孔を穿設した構造のものを用
いた。
【0079】この棒状内部電極を図1に示す有底円筒状
外部電極内に収納されたペットボトルに挿入し、この外
部電極自体を真空容器とし、媒質としてC22ガス、ガ
ス流量を30sccmおよび200sccm,その真空
容器内でのガス圧力を100mTorrおよび1000
mTorr、高高周波電源から100MHz、300W
および500Wの高高周波を供給すると共に、バイアス
用電源からのバイアス高周波を3MHzの条件の下で前
記ペットボトル内面に炭素膜をコーティングした。この
コーティング条件を以下に纏めて示す。また、各コーテ
ィング条件の下でのコーティング速度を下記表2に示
す。
【0080】<コーティング条件> ・C22 :100%、 ・棒状内部電極の孔配置 :底部1個、 ・プラズマ生成 :100MHz、 ・バイアス :3MHz、300Vp-p。
【0081】
【表2】
【0082】前記表2から明らかなように、高高周波電
力の増加とガス圧力の増加とによって、コーティング速
度を向上させることができることがわかる。
【0083】(実施例4)この実施例4では、前述した
図1、図2、図4および図5の構成を有する炭素膜形成
装置を用いた。すなわち、炭素膜形成装置の基本構成は
実施例3、棒状内部電極構成は実施例3および図4、棒
状内部電極への電力供給部は図5に示す通りである。
【0084】ガス圧力を高くすることが有効であること
は実施例3で述べたので、ここではバイアス電圧
(Vb)を高くすることの効果を確認した。
【0085】棒状内部電極として、外径16mm、長さ
163mmのステンレス片封じチューブの底部に1個の
孔径1mmのガス吹き出し孔を穿設した構造のものを用
いた。
【0086】この棒状内部電極を図1に示す有底円筒状
外部電極内に収納されたペットボトルに挿入し、この外
部電極自体を真空容器内とし、媒質としてC22ガス、
ガス流量を20から150sccm,その真空容器内で
のガス圧力を100mTorrから1000mTor
r、高高周波電源から100MHz、200Wおよび5
00Wの高高周波を供給すると共に、バイアス用電源か
らのバイアス高周波を13MHzの条件の下で前記ペッ
トボトル内面に炭素膜をコーティングした。このコーテ
ィング条件を以下に纏めて示す。
【0087】<コーティング条件> ・C22 :100%、 ・棒状内部電極の孔配置 :底部1個、 ・プラズマ生成 :100MHz、 ・バイアス :13MHz。
【0088】このようなコーティングによる結果を下記
表3に示す。表3には、ガス圧力に加えてバイアス電圧
の効果を評価するために、それら(ガス圧力とバイアス
電圧)の積とコーティング速度の関係、およびその時の
ラマン分光スペクトルD/G比を示す。
【0089】
【表3】
【0090】前記表3から同じ100MHz電力におい
て、ガス圧力に加えてバイアス電圧を増加することによ
っても、コーティング速度を向上できることがわかる。
【0091】また、ラマン分光スペクトルD/G比を指
標とする膜質評価の考え方は、実施例2において述べた
通りである。本実施例4において、コーティング速度が
向上しても、その値が1前後を維持しているため、膜質
を劣化させずにコーティング速度を向上させることがで
きた。
【0092】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、本
発明は、炭素膜のコーティング速度向上と膜質向上を両
立させ、さらに膜厚の均一化を図ることが可能な高周波
プラズマを利用したプラスチック容器の内面への炭素膜
形成装置を提供することができる。
【0093】また、本発明によれば良好な膜質で、かつ
均一な膜厚を有する炭素膜が内面に被覆されたプラスチ
ック容器の製造方法を提供することができる。
【0094】さらに、本発明によれば良好な膜質で、か
つ均一な膜厚を有し、さらに緻密で硬質の炭素膜が内面
に被覆されたプラスチック容器の製造方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプラスチック容器
の内面への炭素膜形成装置を示す概略斜視図。
【図2】図1の炭素膜形成装置に組み込まれるの棒状内
部電極を示す図。
【図3】比較例1に用いられる棒状内部電極を示す図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る棒状電極を示す
図。
【図5】本発明の第3実施形態に係る棒状内部電極に接
続される電力供給部を示す概略図。
【図6】本発明の第3実施形態に係るバイアス用電源に
接続される整合器を示す回路図。
【図7】従来のプラスチック容器の内面への炭素膜形成
装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…有底円筒状外部電極、 2…棒状内部電極、 3…ガス吹き出し孔、 4…高高周波電源、 5,8…整合器、 6…電力供給部、 7…バイアス用電源、 9…プラズマ、 10…電気的絶縁体、 13…アースシールド。
フロントページの続き (72)発明者 加藤 光雄 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内 (72)発明者 浅原 裕司 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 3E033 AA01 BA18 BA30 BB08 DB01 DD02 EA10 4K030 AA09 BA27 CA07 CA15 FA03 JA18 KA15 KA17 KA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理物であるプラスチック容器が挿入
    された時にその外周を取り囲む大きさを有する有底円筒
    状外部電極と、 前記有底円筒状外部電極内の前記プラスチック容器内に
    その長手のほぼ全長にわたって挿入される棒状内部電極
    と、 前記有底円筒状外部電極を収納する真空容器と、 前記真空容器内を排気するガス排気手段と、 前記棒状内部電極に電力供給部と整合器を介して接続さ
    れ、その棒状内部電極に高高周波電力を印加する高高周
    波電源と、 前記円筒状外部電極にバイアス用整合器を介して接続さ
    れ、その円筒状外部電極にバイアスを印加するバイアス
    用電源と、を具備し、 前記棒状内部電極は、有底筒状でガス供給手段から供給
    された媒質ガスの導入流路を兼ねた構造を有し、かつそ
    の底部もしくは底部から前記プラスチック容器内に挿入
    された長さの25%までの範囲内の側面領域またはその
    両方に前記媒質ガスを吹き出すための貫通孔が穿設され
    ていることを特徴とするプラスチック容器内面への炭素
    膜形成装置。
  2. 【請求項2】 前記棒状内部電極内の中空部分は、電気
    的絶縁物が設けられていることを特徴とする請求項1記
    載のプラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
  3. 【請求項3】 前記棒状内部電極は、前記貫通孔が1ま
    たは2つ以上の複数穿設されていることを特徴とする請
    求項1または2記載のプラスチック容器内面への炭素膜
    形成装置。
  4. 【請求項4】 前記電力供給部は、周囲にアースシール
    ドが配置されていることを特徴とする請求項1記載のプ
    ラスチック容器内面への炭素膜形成装置。
  5. 【請求項5】 (a)被処理物であるプラスチック容器
    を有底円筒状外部電極内にその容器の外周が囲まれるよ
    うに挿入する工程と、 (b)有底筒状の棒状内部電極を前記プラスチック容器
    の内部にその容器の長手のほぼ全長に亘って挿入する工
    程と、 (c)前記有底円筒状外部電極をガス排気手段を有する
    真空容器内に収納する工程と、 (d)前記真空容器内のガスを前記ガス排気手段を用い
    て排気すると共に、前記棒状内部電極に媒質ガスをガス
    供給手段により供給し、この棒状内部電極から前記プラ
    スチック容器内に媒質ガスを吹き出して前記プラスチッ
    ク容器内を含む前記真空容器内を所定のガス圧力に設定
    する工程と、 (e)バイアス用電源からバイアス用整合器を介して前
    記有底円筒状外部電極にバイアス電圧を印加すると共
    に、高高周波電源から整合器を介して前記棒状内部電極
    に高高周波電力を印加し、その棒状内部電極の周囲にプ
    ラズマを生成させ、このプラズマにより前記媒質ガスを
    解離させる工程とを含む内面炭素膜被覆プラスチック容
    器の製造にあたり、 前記媒質ガスを棒状内部電極の底部もしくは底部から前
    記プラスチック容器内に挿入された長さの25%までの
    範囲内の側面領域またはその両方に穿設した貫通孔を通
    して前記プラスチック容器内に供給し、前記プラスチッ
    ク容器の口部と棒状内部電極の隙間を通じて排気し、こ
    の流通過程で前記プラズマにより前記媒質ガスを解離さ
    せることを特徴とする内面炭素膜被覆プラスチック容器
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記バイアス用電源からバイアス用整合
    器を介して前記有底円筒状外部電極にバイアス電圧を印
    加する際、バイアス周波数をプラズマ角周波数以下にす
    ることを特徴とする請求項5記載の内面炭素膜被覆プラ
    スチック容器の製造方法。
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