JP3697250B2 - プラズマ処理装置及び炭素被覆形成プラスチック容器の製造方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及び炭素被覆形成プラスチック容器の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック容器の内面に炭素被覆を形成させるためのプラズマ処理装置及びプラズマを利用したプロセスによる炭素被覆形成プラスチック容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境負荷低減を背景に飲料用容器の減量化・リサイクル化が促進されている。現在、実用化されている軽量の飲料用容器としてはペットボトル(PET:ポリエチレンテレフタレート)を主体とするプラスチックボトル、スチール缶、アルミ缶、紙パックが主なものであるが、その中でもペットボトルが一番のシェアを占めている。
【0003】
これらの容器はそれぞれ表1に示すような特長を有しているが、環境負荷軽減の社会的要請からは、軽量リターナブルな飲料用容器として、ペットボトルを代表とするプラスチック容器が今後ますます必要とされていくと思われる。
【0004】
【表1】
Figure 0003697250
【0005】
各種の飲料用容器の中でビール容器は未だ重いガラス瓶が主流である。その理由は、ガラスが炭酸ガス(二酸化炭素)と酸素を透過させず、ビール自体の劣化を防止できる安価な材料だからである。ビールから炭酸ガスが抜けると、いわゆる気が抜けたビールとなり、また、ビールに酸素が触れると酸化され味が落ちるという問題があるため、ビール用容器に関しては、炭酸ガス・酸素を透過させない特性を持つガラス瓶に代わる容器は金属缶しかない状況である。しかし、前記の表1のような各容器の特性もあり、ペットボトルをビール用容器としても使用できれば、環境負荷軽減の社会的貢献が大きい、製造者としては容器輸送費が軽減でき、軽量で持運びが容易なので消費者がビールを飲む機会が増え、消費量が増える、のような効果が期待できる。
【0006】
一方、炭酸ガス・酸素のガスバリヤ材料として10年程前から炭素膜が着目されるようになり、ペットボトルと炭素膜を組合せた飲料用容器の開発が5年程前から始められた。これらは、高周波プラズマ、マイクロ波プラズマを利用したCVD法によって炭素膜をペットボトルにコーティングしている。
【0007】
しかし、ガスバリヤを目的とした以外にも基材に炭素膜をコーティングした例は従来から多数知られており、例えば耐薬品性や強度の向上を目的として容器内面にプラズマを用いてダイヤモンド/ダイヤモンド状炭素の膜を形成する方法(特開平2−70059号公報)、基材の表面をイオンビーム蒸着、プラズマCVDなどによりダイヤモンド/ダイヤモンド状炭素の膜で被覆した真空用材料(特開平2−138469号公報)、光学用品などに使用されるプラスチック基板上にポリイミドの中間層を介してダイヤモンド状カーボン膜を形成する方法(特開平4−304373号公報)、機械部品などのプラスチック物品表面に窒素を含有したダイヤモンド状炭素膜を有するプラスチック物品(特開平3−130363号公報)、曲面に対応した形状の電極を使用してプラズマにより均一な硬質炭素質膜を形成した湾曲板(特開平1−100277号公報)、内面にダイヤモンド組成物からなるコーティングを施したプラスチック採血管(特開平6−165772号公報)などが開示されている。
【0008】
上記のとおり、炭素膜をコーティングした容器自体は公知であるが、ペットボトルなどの飲料用容器を対象とした炭素膜をコーティングする方法、及び装置に関する確立した技術はほとんど知られていないのが現状である。その理由は以下のようなものと考えられる。
(1)飲料用容器は通常、3次元の曲面で構成されており、この面へ均一にコーティングすることが難しい。
(2)ペット(PET)材は炭酸ガスを吸収し、酸素ガスを透過するので、コーティングはボトル内面にする必要がある。ボトルの口金開口径は胴部内径より狭いので、コーティングしづらい。
(3)既存の容器製造工程へこのコーティング工程が加わる、又は割込むことになると、初期投資、改造費用、装置設置面積、装置上の取合い、運用コスト等を十分考慮する必要がある。
(4)従って、新たな工程追加によって容器製造のスループット(処理速度)が低下し、コスト上昇に繋がらないようなアイディアが必要となる。
【0009】
ここまで、容器の代表例としてペットボトルを主体に述べてきたが、コーティング対象は飲料用容器として用いられるものであればこれに限らないので、以降はコーティング対象とする飲料用容器の総称としてプラスチック容器と記載する。
【0010】
以下にプラスチック容器に対する炭素膜コーティング方法として提案されている従来法について示す。例えば、高周波プラズマを用いる方法に関して、基本的なコーティング方式が、特開平8−53116号公報および特許第2788412号公報(特開平8−53117号公報)に開示されており、応用的な方法としてフィルムにコーティングする方法(特開平9−272567号公報)、特殊形状容器に対応する方法(特開平10−226884号公報)、量産化技術として複数個の容器に同時にコーティングする方法(特開平10−258825号公報)などがある。また、参考文献として、「K.Takemoto, et al, Proceedings of ADC/FCT '99,p285」、「E.Shimamura et al, 10th years IAPRI World Conference 1997,p251 」がある。
【0011】
これらの中から、主に特許第2788412号公報(特開平8−53116号公報)の記載に基づき、図11を用いてその動作を説明する。図11はこの公報に記載れている高周波プラズマCVDを用いたプラスチック容器への炭素膜コーティング装置の断面図である。
【0012】
図11においてプラスチック容器101は、ボトルの外形にほぼ沿った形の内形状をもつ外部電極103の中に設置される。口金部分もボトルキャップ用のネジ形状に沿った内形状が好ましい。この外部電極103は、真空境界をも兼ねている。ボトル内には内部電極102が挿入される。この内部電極102は中空構造で、表面には複数の孔が開いており、CVD用媒質ガスの供給口105から供給されるガスがプラスチック容器101内に供給できるようになっている。外部電極103は電気的絶縁体であるテフロン104を介してガス排気口106に設置されている。また、外部電極103にはRF入力端子107が付いており、ここからプラズマ生成用の高周波電力が印加される。RF入力端子107はテフロン104とガス排気口106とは電気的に絶縁されている。
【0013】
このような構成の装置を用いてボトルへ炭素膜をコーティングする方法について説明する。まず、ガス排気口106から外部電極103内のガスを排気する。この時、プラスチック容器101の内外の空間のガスが排気される。規定の真空度(代表値:10-2〜10-5 Torr )に到達した後、ガス供給口105から内部電極102を通じて媒質ガス(代表例ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等 脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、含炭化水素類、含窒素炭化水素類)が供給される(代表値:10〜50ミリリットル/min)。ガス供給量と排気量のバランスによってプラスチック容器内の圧力(代表値:2×10-1〜1×10-2 Torr )を設定する。その後、RF入力端子107に高周波電源1から整合器2を介して、外部電極103に高周波電力(代表値:50〜1000W)が印加される。
【0014】
それによって、外部電極103と内部電極102の間にプラズマが生成される。この時、プラスチック容器101は外部電極103の内にほぼ隙間無くはまっているので、プラズマはプラスチック容器101の内に発生する。このプラズマによって媒質ガスが解離、又は更にイオン化し、炭素膜を形成する製膜種が生成され、この製膜種がプラスチック容器101内面に堆積し、炭素膜を形成する。所定の膜厚まで形成されたら高周波電力の印加を停止し、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気、窒素、希ガス、又は空気等を外部電極103内に供給し、この空間内を大気圧に戻す。そして、プラスチック容器101を外部電極103から取り外す。この方法により、炭素膜厚300Åを2〜3秒でコーティングしている。
【0015】
また、マイクロ波プラズマを用いる方法に関しては、WO 99/49991 と「ASIA Pacific Food Industry,Aug.1999,p68 」に記載されている。ここでは、W0 99/49991 に基づき、図12を用いてその動作を説明する。図12はこの公報に記載されているマイクロ波プラズマCVDを用いたプラスチック容器101への炭素膜コーティング装置の断面図である。
【0016】
図12においてマイクロ波空胴共振器201に導波管208を介して、3スタブチューナー212、マイクロ波発振器224が接続されている。これと反対側には導波管208を介してプランジャー210が接続されている。空胴共振器201の中には、誘電体管203が同心状に設置され、これは真空境界も兼ねている。空胴共振器201の上部にはプラスチック容器を挿入する開口部が、下部にはガス排気口225が設けられている。プラスチック容器101は誘電体管203の内部に、空胴共振器201の端板204にぶら下がる形で上部から挿入される。端板204には、ガス供給口207、誘電体管203と連結して真空境界の一部を構成する部材、及び空胴共振器201と接触して空洞共振器201の一部を構成する部材が付設されている。
【0017】
このような構成の装置を用いてボトルへ炭素膜をコーティングする方法について説明する。プラスチック容器101をぶら下げた端板204が空胴共振器201に設置される。ガス排気口から大気が排気され、その後ガス供給口207からコーティングに必要な媒質ガスが供給される。ガス供給量とガス排気量のバランスを取り所定のガス圧力(代表値:30Torr)に誘電体管203内の空間を保つ。その後、マイクロ波発振器224からマイクロ波を出力させる。3スタブチューナー212によってマイクロ波電力の入反射整合を取り、プランジャー210によって空胴共振器201内に所定の電界強度分布を形成する。空胴共振器の中心軸上で最も電界強度が強くなるようにプランジャー210の挿入深さを調整することによって、プラスチック容器101内でプラズマが生成し、媒質ガスが解離、製膜種が生成し、これがプラスチック容器101の内面に堆積して炭素膜がコーティングされる。所定の膜厚まで形成されたらマイクロ波電力の印加を停止し、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気、窒素、希ガス、又は空気等を誘電体管203内に供給し、この空間内を大気圧に戻す。そして、プラスチック容器101を空胴共振器201から取り外す。
【0018】
上記のような高周波プラズマを用いるコーティング方法については以下のような不具合点がある。
(1)外部電極の内形状がプラスチック容器外形状に則していないと均一コーティングが難しい。
(2)内部電極もある程度プラスチック容器内形状に則していないと均一コーティングが難しい。しかし、内部電極の径はボトル口金の径に制約されるので、様々な形状のボトルに対応し難い。そのため、多様なボトル形状や、ボトル表面の模様に対応した内・外電極が必要になる。
(3)内部電極から媒質ガスを供給するが、その周辺にもプラズマは生成されるので、ガス供給孔にもコーティングされ、経時的に孔が塞がる可能性がある。
【0019】
(4)真空境界を兼ねる外部電極に高周波電圧を印加するので、これに対する電気的絶縁対策が必要になる。
(5)プラズマ生成に真空条件を必要としているので、コーティング作業毎に、ボトルの真空排気、ガス充填工程が必要となり、プラスチック容器製造工程全体のスループットを低下させる。
(6)高周波プラズマ生成用の一般的な周波数13.56MHzで生成するプラズマの電子密度は比較的低いため、媒質ガスを解離する数が少なくなるためコーティング速度が遅い、高品質コーティングに必要な製膜種の数密度も少なくなり、高品質コーティングが容易でない、などの不具合がある。
また、マイクロ波プラズマを用いる場合にも次のような不具合点がある。
【0020】
(7)プラスチック容器毎に、マイクロ波発振器、導波管、空胴共振器、整合器、プランジャーが必要であり、装置構成が大きくなるので、比較的広い設置スペースが必要となる。
(8)空胴共振器内のマイクロ波電界強度分布の調整を、コーティング条件(プラスチック容器形状、ガス条件等)が変わる毎に個々の共振器について実施する必要があり、運用上手間が掛かる。
(9)マイクロ波プラズマのプラズマ電子密度は高周波プラズマよりも比較的高い、という利点があるので、媒質ガスを解離する数が多くなり高速コーティングには有利である。しかし、電子温度も数倍高い特性を持つため、媒質ガスの分子構造を必要以上に分解してしまい、製膜に必要とされる製膜種の数密度を減らしてしまう。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来技術の実状に鑑み、装置の簡略化、操作方法の簡略化、作業時間の短縮、より均一な炭素被膜の形成などが可能な、マイクロ波プラズマを利用してプラスチック容器の内面に炭素被膜を形成するプラズマ処理装置、及び内面に炭素被膜を形成したプラスチック容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決する手段として次の(1)〜(4)の構成を含むものである。
(1)炭素被膜を形成するプラスチック容器の外形とほぼ相似形でその内側に前記プラスチック容器を設置可能な大きさの外部コイル状電極と、該外部コイル状電極内に前記プラスチック容器を設置した際に該容器の口金部に相当する位置に開口し容器内に媒質ガスを供給する媒質ガス供給口と、ガス供給手段とガス排気手段を備えた前記外部コイル状電極を収納する真空容器と、前記外部コイル状電極に接続した整合器及び高周波電源とを構成要素として含むことを特徴とするプラズマ処理装置。
(2)炭素被膜を形成するプラスチック容器の外形とほぼ相似形でその内側に前記プラスチック容器を設置可能な大きさの外部コイル状電極と、前記プラスチック容器の表面に設置される誘電体充填部と、前記外部コイル状電極内に前記プラスチック容器を設置した際に該容器の口金部相当する位置に開口し容器内に媒質ガスを供給する媒質ガス供給口と、ガス供給手段とガス排気手段を備えた前記外部コイル状電極を収納する真空容器と、前記外部コイル状電極に接続した整合器及び高周波電源とを構成要素として含むことを特徴とするプラズマ処理装置。
【0023】
(3)炭素被膜を形成するプラスチック容器を、該容器の外形とほぼ相似形の外部コイル状電極内に設置し、前記外部コイル状電極をガス供給手段とガス排気手段を備えた真空容器内に収納し、前記外部コイル状電極に整合器及び高周波電源を接続し、前記真空容器内を排気した後、前記プラスチック容器の口金部に開口する媒質ガス供給口から前記プラスチック容器の内側に媒質ガスを供給してプラスチック容器内部のガス圧力が外部よりも高くなるように所定のガス圧力に設定し、前記高周波電源から整合器を介して、前記外部コイル状電極に高周波電力を印加して前記プラスチック容器の内側にプラズマを生成させ、このプラズマにより媒質ガスを解離させて生成した製膜種をプラスチック容器内面に堆積させて炭素被膜を形成することを特徴とする炭素被膜形成プラスチック容器の製造方法。(4)炭素被膜を形成するプラスチック容器の表面に誘電体充填部を形成し、該誘電体充填部を形成したプラスチック容器を該プラスチック容器の外形とほぼ相似形の外部コイル状電極内に設置し、前記外部コイル状電極をガス供給手段とガス排気手段を備えた真空容器内に収納し、前記外部コイル状電極に整合器及び高周波電源を接続し、前記真空容器内を排気した後、前記プラスチック容器の口金部に開口する媒質ガス供給口から前記プラスチック容器の内側に媒質ガスを供給してプラスチック容器内部のガス圧力が外部よりも高くなるように所定のガス圧力に設定し、前記高周波電源から整合器を介して、前記外部コイル状電極に高周波電力を印加して前記プラスチック容器の内側にプラズマを生成させ、このプラズマにより媒質ガスを解離させて生成した製膜種をプラスチック容器内面に堆積させて炭素被膜を形成することを特徴とする炭素被膜形成プラスチック容器の製造方法。
【0024】
ここで、高高周波(VHF)とは数十MHzから数百MHzに至るまでの周波数帯の高周波のことをいう。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の種々の好ましい実施形態について説明する。なお、以下の例においてはプラスチック容器の代表例であるペットボトルに炭素被膜を形成する場合を例にとって説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。図1の装置は、炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の外径より大きい内径を有しその内側にペットボトル5を設置可能な大きさの円筒状電極6と、前記ペットボトル5の内部に該ペットボトル5の長手方向のほぼ全長に渡って挿入可能な大きさの棒状電極3と、ガス供給手段(図示せず)とガス排気手段(図示せず)を備えた円筒状電極6を収納する真空容器(図示せず)と、棒状電極3が高圧側、円筒状電極6が接地側となるように棒状電極3と円筒状電極6に接続した整合器2及び高周波電源1とを備えている。
【0027】
真空容器の形状は任意である。個々のプラスチック容器毎に真空容器を構成してもよいし、複数のプラスチック容器を内包できるものでも構わない。また、円筒状電極6をそのまま真空境界とすることもできる。
【0028】
棒状電極3の径は、ボトル口金径以下とし、長さはペットボトル5の長手方向のほぼ全長にわたって挿入可能な長さとする。長さの目安としては、ペットボトル5の全長に対する割合が{1−D/(2L)}程度となるようにする。ここでDはペットボトル内径、Lはペットボトル全長を表し、L>(D/2)である。
【0029】
また、棒状電極3にはタングステンやステンレス鋼のような耐熱性を有する金属材料を用いる。なお、以下の実施形態においても電極として好ましい材質は同じである。
【0030】
図1の装置を用いて炭素被膜形成プラスチック容器を製造する場合の操作方法は次のとおりである。
図1のように装置を構成した後、真空容器内を排気し、媒質ガスを供給する。ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、所定のガス圧力に設定する。高周波電源1から整合器2を介して、棒状電極3に高周波電力を印加する。それによって、棒状電極3の周囲にプラズマ4が生成する。このプラズマ4によって媒質ガスが解離し、生成した製膜種がボトル内面に堆積、コーティング膜が形成される。所定の膜厚が形成された後、高周波電力印加の停止、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気を行い、窒素、希ガス、又は空気等を供給し、この空間内を大気圧に戻す。その後、ボトルを交換し、次のボトルのコーティング作業へ移る。
【0031】
本実施形態における放電方式は、棒状電極3と円筒状電極6との間に誘電体であるプラスチック材のペットボトル5を挟んだ形の容量結合式となる。
【0032】
高周波の周波数は1〜数十MHzであり、典型的には工業用途として認められている13.56MHz、27.12MHz、40.68MHzのものが適用できるが、これに限るものではない。例えば、適切な条件の下では高高周波又はVHFと呼ばれている周波数帯(数十〜数百MHz)も有効である。また、高周波電力の印加は連続的でも間欠的(パルス的)でも構わない。
【0033】
媒質ガスとしては炭化水素を基本とし、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ブタジエン等のアルケン類;アセチレン等のアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタリン、フェナントレン等の芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン類;シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン類;メチルアルコール、エチルアルコール等の含酸素炭化水素類;メチルアミン、エチルアミン、アニリン等の含窒素炭化水素類などが使用でき、その他一酸化炭素、二酸化炭素なども使用できる。なお、使用できる媒質ガスは、以下の実施形態においても同じである。
【0034】
プラズマ処理時のガス圧力は0.1333〜133.3Pa程度とする。本実施形態は、ガス圧力を比較的低圧として運転することによってその効果を発揮する。製膜に必要なものはプラズマ自体ではなく、膜を構成する製膜種である。製膜種はプラズマ近傍に生成されるが、低圧にすることによりその粒子は直ちにボトル内に拡散し、速やかにボトル内表面に到達する。従って、従来例に見られるように、ボトル形状に沿った電極を作り、ボトル内表面近傍でプラズマを生成(圧力が高い場合には製膜種が他の粒子と衝突する回数が多くなり、拡散運動の方向が頻繁に変化し、ボトル内表面へ到達し難くなるため、製膜種の生成位置をボトル内表面に近付け、かつ等距離とする必要がある)させなくても、ボトル中心軸上にプラズマを生成させることでボトル内曲面に沿った均一・均質コーティングが可能である。
【0035】
本実施形態が図11に示した従来例と異なる点は、電圧を印加する電極がボトルの内側にある点、ボトルの外部に設置する電極形状を円筒状とし、ボトル外形状に厳密に沿わせていない点、ガス供給口を個々のボトル毎に設けていない点などである。
【0036】
図1の実施形態では、高圧側の電極をボトルの内側に設置し、ガス圧力を低くして運転することにより、外部電極の形状をボトルの形状に合わせることなく、ボトル内曲面への均一かつ均質な炭素被膜の形成を可能とした。
【0037】
プラズマ生成にVHFを使用する場合には、VHFプラズマの電子密度は13MHzから40MHzの高周波プラズマの密度よりも高いので、VHFプラズマを利用することによって、コーティング速度を更に高くすることが可能である。
【0038】
また、VHFプラズマの生成は、13MHzから40MHzの高周波プラズマよりも比較的高いガス圧力でも容易なことから、VHFプラズマを利用することによって、前記の製膜種の数密度を高くでき、コーティング速度を更に高くすることが可能である。
【0039】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。図2の装置は、炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の内部に該ペットボトル5の長手方向のほぼ全長にわたって挿入可能な大きさの内部コイル状電極7と、ガス供給手段(図示せず)とガス排気手段(図示せず)を備えた前記ペットボトル5を収納する真空容器(図示せず)と、前記内部コイル状電極7に接続した整合器(図示せず)及び高周波電源(図示せず)とを備えている。
【0040】
真空容器の形状は任意である。個々のプラスチック容器毎に真空容器を構成してもよいし、複数のプラスチック容器を内包できるものでも構わない。
【0041】
内部コイル状電極7のコイル径は、ボトル口金径以下とし、コイル太さ及びコイルピッチは任意に設定すればよい。また、長さはペットボトル5の長手方向のほぼ全長にわたって挿入可能な長さとする。内部コイル状電極7の長さの目安、及び材質については前記図1の装置の場合と同様である。コイルをチューブ状とし、チューブ内部にコイル冷却用の冷媒、例えば水を流すようにしてもよい。また、コイルピッチ間又はコイルと他箇所との電気的絶縁破壊を防止するために、コイル表面に絶縁用の誘電体を巻き付けたり、被せたりしてもよい。
【0042】
図2の装置を用いて炭素被膜形成プラスチック容器を製造する場合の操作方法は次のとおりである。
ペットボトル5内にボトルの長手方向のほぼ全長にわたる長さの内部コイル状電極7を挿入する。次いで、このペットボトル5をガス供給手段とガス排気手段を備えた真空容器内に設置し、内部コイル状電極7に整合器及び高周波電源を接続する。このように装置を構成した後、真空容器内を排気し、媒質ガスを供給する。ガス供給量とガス排気量のバランスをとり、所定のガス圧力に設定する。
【0043】
高周波電源から整合器を介して、内部コイル状電極7に高周波電力を印加する。それによって、内部コイル状電極7の周囲にプラズマ4が生成する。このプラズマ4によって媒質ガスが解離し、生成した製膜種がボトル内面に堆積、コーティング膜が形成される。所定の膜厚が形成された後、高周波電力印加の停止、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気を行い、窒素、希ガス、又は空気等を供給し、この空間内を大気圧に戻す。その後、ボトルを交換し、次のボトルのコーティング作業へ移る。
【0044】
本実施形態の放電方式は、コイル状電極による誘導結合式となる。また、媒質ガスの種類及び高周波の周波数については、図1の態様において説明したとおりである。
【0045】
プラズマ処理時のガス圧力は0.1333〜133.3Pa程度とする。この実施態様は、ガス圧力を比較的低圧として運転することによってその効果を発揮する点は図1の実施形態の場合と同じである。
【0046】
本実施形態が図11に示した従来例と異なる点は、電圧を印加する電極がボトルの内側のみに設けられている点、ガス供給口を個々のボトル毎に設けていない点などである。
【0047】
本実施形態ではコイル状電極をボトルの内側に設置し、ガス圧力を低くして運転することにより、従来例に見られるように、ボトル形状に沿った外部電極を作り、ボトル内表面近傍でプラズマ生成しなくても、ボトル中心軸上にプラズマ生成することで内面に均一かつ均質な炭素被膜の形成を可能としている。
【0048】
本実施形態は外部電極が不要なので、従来例はもちろん、図1の装置に比較しても装置が簡素化されている点が特徴である。
【0049】
なお、VHFプラズマを利用する場合の効果は、図1の装置と同様である。
【0050】
(第3の実施形態)
図3は本発明の第3の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。図3の装置は、炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の外形とほぼ相似形でその内側にペットボトル5を設置可能な大きさの外部コイル状電極8と、外部コイル状電極8内にペットボトル5を設置した際にペットボトル5の口金部に相当する位置に開口し各ペットボトル5内に個別に媒質ガスを供給する媒質ガス供給口30と、真空容器に取付けられ各媒質ガス供給口30へガスを供給するガス供給手段(図示せず)とガス排気手段(図示せず)を備えた外部コイル状電極8を収納する真空容器(図示せず)と、外部コイル状電極8に接続した整合器(図示せず)及び高周波電源(図示せず)とを備えている。
【0051】
真空容器の形状は任意である。個々のプラスチック容器毎に真空容器を構成してもよいし、複数のプラスチック容器を内包できるものでも構わない。
【0052】
外部コイル状電極8のコイル径は、ほぼボトル外径に沿ったものとするが、ボトルの損傷防止のため、コイルがボトルに接触しないように巻くようにする。ボトルの損傷原因は、コイル状電極に印加される電圧によって、電極とボトル間で電気的絶縁破壊が生じる可能性があるためである。その他のコイル性状は図2の装置の場合と同様である。
【0053】
媒質ガス供給口30の径は、ボトル内部へ供給したガスが媒質ガス供給口30とボトル口金の隙間を通って排気される時のコンダクタンスを悪くするように(ボトル内部から排出されるガスの流出抵抗が大きくなるように)、ボトル口金径より若干小さくする。
【0054】
図3の装置を用いて炭素被膜形成プラスチック容器を製造する場合の操作方法は次のとおりである。
炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の周囲にほぼその全長にわたってコイル状電極を巻くことによって、ペットボトル5をその外形とほぼ相似形の外部コイル状電極8内に設置し、外部コイル状電極8をガス供給手段(図示せず)とガス排気手段(図示せず)を備えた真空容器(図示せず)内に収納し、外部コイル状電極8に整合器(図示せず)及び高周波電源(図示せず)を接続する。
【0055】
このように装置を構成した後、真空容器内を排気し、ペットボトル5の口金部に開口する媒質ガス供給口30からペットボトル5の内側に媒質ガスを供給し、媒質ガス供給口30とボトル口金の間の隙間から排気する(図の媒質ガス排気方向32の方向へ排気)ようにしてペットボトル5内部のガス圧力が外部よりも高くなるように所定のガス圧力に設定する。
【0056】
高周波電源から整合器を介して、外部コイル状電極8に高周波電力を印加する。それによってペットボトル5の内側にプラズマ4が生成する。このプラズマ4によって媒質ガスが解離し、生成した製膜種がボトル内面に堆積、コーティング膜が形成される。所定の膜厚が形成された後、高周波電力印加の停止、媒質ガス供給の停止、残留ガスの排気を行い、窒素、希ガス、又は空気等を供給し、この空間内を大気圧に戻す。その後、ボトルを交換し、次のボトルのコーティング作業へ移る。
【0057】
本実施形態における放電方式は、コイル状電極による誘導結合式となる。また、媒質ガスの種類及び高周波の周波数については、図1の実施形態において説明したとおりである。
【0058】
プラズマ処理時のガス圧力はボトルの外側で0.1333〜133.3Pa程度とし、ボトルの内側ではこれより若干高くなるようにする。この実施態様は、ガス圧力を比較的低圧として運転することによってその効果を発揮する点は図1の態様の場合と同じである。
【0059】
本実施形態が図11に示した従来例と異なる点は、電圧を印加する電極がボトルの外側のみに設けられ、ボトル内部に電極がない点である。
【0060】
本実施形態ではボトル内部のガス圧力を外部よりも高く設定する。そして、ボトル外部に設置したボトル外形とほぼ相似形で、コイル径もボトルの外径に近い外部コイル状電極8に高周波電圧を印加することによってボトル内部にプラズマ4を生成させる。この方法は、ボトル内外にガス圧力差を付けることによって、放電のし易さを変えたことに基づく。これはパッシェンの法則と呼ばれる原理(例えば、「林著、プラズマ工学、朝倉書店」を参照)を利用したものである。これによると、あるガスにおける放電開始電圧は、ガス圧力と電界印加距離の積に対して極小値を持つ。
【0061】
本実施形態では、ボトル内部のガス圧力を外側より高く設定し、内側のガス圧力に対して放電開始電圧がより低くなるようにすることによって、言い換えると前記の極小値に近い条件にすることによって、更に、外側のガス圧力に対して放電開始電圧がより高くなるようにすることによって、言い換えると前記の極小値から離れた条件にすることによって、電極がボトル外部にだけ設置されていてもボトル内部でプラズマを生成させることができ、ボトル内面に均一かつ均質な炭素被膜の形成を可能としている。
【0062】
本実施形態によれば、内部電極が不要になるので、従来例はもちろん、図1の装置に比較しても装置が簡素化されている点が特徴である。なお、VHFプラズマを利用する場合の効果は、図1の装置と同様である。
【0063】
次に、本実施態様を模擬した条件にてPETシートに炭素被膜形成した結果について説明する。本実施形態が図3の実施形態と異なる点や追加点は次の(1)〜(3)である。
(1)ペットボトル5の代わりに円筒状PETシートを用いた。
(2)真空境界として、円筒状PETシートと外部コイル状電極8との間にガラス管を設けた。
(3)コイル状電極8の一端に整合器2を介して高周波電源1を接続し、他端は電気的に接地した。
【0064】
装置条件は下記である。
ガラス管:内径50mm
コイル状電極:1/4インチ径銅チューブ、10ターン
PETシート:高さ200mm、厚さ0.5mm
コーティング条件は下記である。
媒質ガス:C2H2媒質
ガス圧力:13.3Pa
媒質ガス流量:20sccm
高周波周波数:13.56MHz
高周波電力:50W
上記条件でコーティングを実施したところ次の結果を得た。
コーティング速度:12.3nm/秒
炭素膜質:DLC
図14は横軸にラマンシフト(cm-1)をとり、縦軸に相対強度をとって、本実施形態の方法により製膜した薄膜をラマン分光分析法で調べた結果を示す特性線図である。図中の特性線Aは膜質評価の指標となるラマンスペクトル(ベースライン未除去)を示すものである。図から明らかなように、1500cm-1近傍にピークを持ち、短波数側に肩を持つDLCの典型的なラマンスペクトルが現われることが判明した。
【0065】
上記実施形態によれば、10nm/秒以上の高速度でDLC薄膜をPET上にコーティングできることが確認された。なお、本実施例における装置条件及びコーティング条件は上記のみに限定されない。
【0066】
(第4の実施形態)
図4は本発明の第4の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。図4の装置は、図3の構成に加えて外部コイル状電極8とペットボトル5との間に誘電体を充填した誘電体充填部9を設けたものである。外部コイル状電極8のコイル径は、ほぼボトル外径に沿ったものとするが、間に設けられる誘電体の損傷防止のため、コイルが誘電体に接触しないように巻くようにする。その他の構成は図3の装置と同様であり、説明を省略する。誘電体充填部9はペットボトル5の材質と近似の誘電率を有する誘電体をペットボトル5の周囲に充填するものであり、ペットボトル5の外表面の凹凸を埋める形とする。外表面の凹凸の存在は、その部分のペットボトル5の肉厚が異なり、外部コイル状電極8から肉厚方向に見た誘電体の条件を不均一とする。従って、プラズマ生成にとっての負荷条件が不均一となり、均一コーティングが難しくなるので、誘電体を充填して凹凸の影響を抑制することによって、より均一な炭素被膜の形成が可能となる。
【0067】
充填する誘電体の比誘電率は炭素被膜を形成するプラスチックス容器の比誘電率と近似したものとするのが好ましい。ペットボトルの場合で3〜3.3程度である。また、凹凸部に誘電体を充填するので気相、液相が望ましい。しかし、ペットボトル5の外形状に沿った内形状を有する固相の誘電体(例えば、炭素被膜を形成するプラスチック容器と同質のプラスチック)でも十分効果がある。このような誘電体の種類は、例えばプラスチック容器の材料自身である樹脂一般である。誘電体充填部の形成方法としては、ボトル形状に対応した形状の誘電体材料で形成された型を作り、それへボトルを装着する、ボトルと相似形で若干大きい容器にボトルを装着し、容器とボトルの隙間に誘電体を充填する、などの方法が好適である。また、図4に示す誘電体充填部9の外形状はペットボトル5と相似形であるが、これに限るものではない。さらに、誘電体充填部9は分割されているものを組合せてもよい。
【0068】
ペットボトル5の軸方向に従って充填する誘電体の誘電率を変えてもよい。例えば、外部コイル状電極8から見た負荷条件を軸方向において見掛け上同じにするために、上半分と下半分で異なるペットボトル5の径に対応して誘電率を変える方法などが考えられる。
【0069】
図4の装置を用いて炭素被膜形成プラスチック容器を製造する場合の操作方法は、ペットボトル5の周囲に誘電体を充填した誘電体充填部9を設ける外は図3の装置の場合と同様である。誘電体充填部9の形成は、例えばペットボトル5を誘電体充填部9の形状の容器内に設置し、液相の誘電体を容器とペットボトル5の間に充填する方法などによって行えばよい。その後、外部コイル状電極8を誘電体充填部9の外側に、媒質ガス供給口30をペットボトル5の口金部に取付ける。
【0070】
本実施形態の放電方式は、コイル状電極による誘導結合式となる。また、媒質ガス及び高周波の周波数については図1の実施形態において説明したとおりである。
【0071】
プラズマ処理時のガス圧力は、図3の装置の場合と同じくボトルの外側で0.1333〜133.3Pa程度とし、ボトルの内側ではこれより若干高くなるようにする。本実施形態は、ガス圧力を比較的低圧として運転することによってその効果を発揮する点は図1の実施形態の場合と同じである。
【0072】
本実施形態が図11に示した従来例と異なる点は、電圧を印加する電極がボトルの外側のみに設けられ、ボトル内部に電極がない点、及びペットボトル5の外部に外部コイル状電極8以外に誘電体充填部9を設けた点である。
【0073】
図4の実施形態では、図3の実施形態における効果に加えて、外部コイル状電極8から見た誘電体の厚さを見掛け上均一にすることが可能なので、ペットボトル5の表面に凹凸がある場合でもプラズマ負荷条件を均一にでき、ボトル内面に均一かつ均質な炭素被膜を形成できる効果がある。
【0074】
(第5の実施形態)
図5及び図6は本発明の第5の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。本実施形態の装置は、炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の内部にペットボトル5の口金部から底面の中心部近傍まで、ほぼボトル内壁面に沿った形で挿入可能な形状、大きさの屈曲式棒状電極29と、ガス供給手段(図示せず)とガス排気手段(図示せず)を備えた前記ペットボトル5を収納するガス置換容器(図示せず)と、屈曲式棒状電極29が高圧側、ガス置換容器が接地側となるように屈曲式棒状電極29とガス置換容器に接続した整合器(図示せず)及び高周波電源(図示せず)とを備えており、かつ屈曲式棒状電極29とペットボトル5とが該ペットボトル5の中心軸を回転軸として相対的に回転可能に構成されている。なお、ここでは接地側配線をガス置換容器に接続することとしたがこれに限定されるものではなく、プラズマ処理装置の任意の接地されている箇所、例えば装置の骨組み(架台)等としてもよい。
【0075】
ガス置換容器の形状は任意である。個々のプラスチックス容器毎にガス置換容器を構成してもよいし、複数のプラスチックス容器を内包できるものでもよい。
【0076】
屈曲式棒状電極29は1ケ所以上の屈曲部10を有しており、ペットボトル5内に挿入した際に、ペットボトル5の内側形状に近い形に屈曲させることができ、先端部はボトル底面に沿って中心部近傍に到達するように設置する。なお、図5に示す装置では屈曲部10の数を3ヶ所としたが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、屈曲式棒状電極29はペットボトル5内面に可能な限り沿った形状に設定するほうが好ましいので、ペットボトル5の内形状に対応して4ケ所以上の屈曲部10を設けてもよい。屈曲式棒状電極(高圧側)29の径はボトル口金径以下とするが、例えば直径1mm程度と細くし、そこに電界集中し易いようにして、プラズマ生成を容易にすることが有効と考えられる。
【0077】
図5及び図6の装置には屈曲式棒状電極29が図中の矢印11のように軸中心方向で回転する機構、ペットボトル5が図中の矢印12のように軸中心方向で回転する機構、又はこれらの両方の機構(電極とボトルがそれぞれ図中の矢印13と12のように回転する)が設けられており、前記屈曲式棒状電極29とペットボトル5とが該ペットボトル5の中心軸を回転軸として相対的に回転可能に構成されている。
【0078】
プラズマ点火のきっかけとして、ペットボトル5を間に挟んでピン形の接地電極(不図示)を屈曲式棒状電極(高圧側)29の近傍に設置して、その間で放電開始させることを利用したり、ペットボトル5を間に挟んで屈曲式棒状電極(高圧側)29の近傍にテスラコイルを設置し、屈曲式棒状電極29の近傍に発生する電界とテスラコイル近傍に発生する磁場の相互作用によって、局所的にプラズマ点火しやすくするのも効果的である。
【0079】
図5及び図6の装置を用いて炭素被膜形成プラスチック容器を製造する場合の操作方法は次のとおりである。
炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の内部に該プラスチック容器の口金部から底面の中心部近傍まで、ほぼボトル内壁面に沿った形で屈曲式棒状電極29を挿入し、ペットボトル5をガス供給手段(図示せず)とガス排気手段(図示せず)を備えたガス置換容器(図示せず)内に収納し、前記屈曲式棒状電極29と前記ガス置換容器に屈曲式棒状電極が高圧側、ガス置換容器が接地側となるように整合器(図示せず)及び高周波電源(図示せず)を接続する。
【0080】
このように構成した後、ガス置換容器内の大気をパージする。この方法は真空装置にて大気を排気してもよいし、大量の窒素ガス等をブローして大気を押し出してもよい。その後、媒質ガスを供給し、大気圧に維持する。そして、屈曲式棒状電極(高圧側)29とペットボトル5を相対的に回転させながら高周波電源から整合器を介して屈曲式棒状電極(高圧側)29に高周波電力を印加し、この電極周囲にプラズマ4を生成させる。このプラズマ4によって媒質ガスが解離し、生成した製膜種がボトル内面に堆積、コーティング膜が形成される。所定の膜厚が形成された後、高周波電力印加の停止、媒質ガス供給の停止、残留ガスのパージ、窒素、希ガス、又は空気等の供給後、容器を開放してボトルを交換し、次のコーティング作業へ移る。
【0081】
(第5の実施形態:応用例1)
図7は本発明の第5実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。本実施形態の装置は、上記第5の実施形態の装置(図5)の第1の応用例にあたり、図5の実施形態において屈曲式棒状電極(高圧側)29を複数設ける態様である。ここでは3本の屈曲式棒状電極を一つにまとめた形の開閉式棒状電極15を使用する。この開閉式棒状電極15は、ペットボトル5内部に挿入する時には屈曲部10を伸ばして直線状にしておき、挿入後、広げることによってペットボトル5の内側形状に近い形として使用する。この場合もペットボトル5や開閉式棒状電極15を回転させて使用するが、屈曲式棒状電極の数が多い場合には回転させなくてもよい。
【0082】
(第5の実施形態:応用例2)
図8は本発明の第5の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。本実施形態の装置は、上記第5の実施形態(図5)の第2の応用例にあたり、図5の実施形態において屈曲式棒状電極(高圧側)29の代わりにワンターン状電極16を設ける態様である。ここでは、図のような径がペットボトル5の口金口径以下のワンターン状電極16を挿入し、その周辺にプラズマ4を生成させる。この時、ペットボトル5内面全体にコーティングするため、ワンターン状電極16又はペットボトル5、あるいはこれらの両方を移動方向17又は18の方向に移動、すなわち、中心軸方向(上下方向)に相対移動させる。
【0083】
上記応用例1及び2(図7、図8)ともに、その他の部分についての操作方法は上記第5の実施形態(図5)において説明したとおりである。
【0084】
上記第5の実施形態(図5、図7、図8)における放電方式は、棒状電極によるコロナ放電となる。この時、屈曲式棒状電極(高圧側)29又はワンターン状電極16に対する接地電極はペットボトル5の外側に設置するガス雰囲気を置換する容器となる。また、媒質ガス及び高周波の周波数については図1の態様において説明したとおりである。
【0085】
(第5の実施形態:応用例3)
図9は本発明の第5の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。本実施形態の装置は、上記第5の実施形態(図5)の第3の応用例にあたり、ペットボトルの外側に該ペットボトルの外形とほぼ相似形の外部電極を設置し、ペットボトルと外部電極との間に誘電体を充填する誘電体充填部を形成した。この場合は、外部電極が接地側電極となる。
【0086】
本実施形態では図7の装置に外部電極(ボトル相似形電極20)及び誘電体充填部9を付加したものである。すなわち、ペットボトル5をボトル相似形電極(接地側)20の中に設置し、その隙間にペットボトル5の材質と同等の誘電率を有する誘電体を充填する。そして、開閉式棒状電極15とボトル相似形電極(接地側)20間で、大気圧の容量結合プラズマ(図のプラズマ4)を生成させるものである。誘電体を充填する狙いは前記第4の実施態様の場合と同じで、ペットボトル5の外表面の凹凸を埋め、開閉式棒状電極15から見た誘電体の厚さを見掛け上均一にすることを目的とするものである。
【0087】
本応用例3においても、高周波電源の接続方法以外の部分についての操作方法は上記応用例1と同様である。
【0088】
上記第5の実施形態(図5、図7、図8、図9)が図11の従来例と異なる点は、大気圧条件での運転が可能で真空排気装置が不要であり、また、図9の場合を除いて外部電極が不要な点である。
【0089】
また、上記第5の実施形態では、プラズマ発生電極をボトル内表面近くに設置し、さらにボトルと電極を相対移動させることによって大気圧条件下での均一な製膜を可能としており、真空排気設備設置及び運転にかかる費用を低減できる、真空排気にかかる時間が不要なのでボトル製造のスループットが向上する、という利点がある。
【0090】
(第6の実施形態)
図6は本発明に係るプラズマ処理装置の第6の実施態様を示す概略断面説明図である。図6の装置は、炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の内部にペットボトル5の口金部から底面の中心部近傍まで、ほぼボトル内壁面に沿った形で挿入可能な形状、大きさの高圧側の屈曲式棒状電極29と接地側の屈曲式棒状電極14とを組み合わせた一対の屈曲式棒状電極と、ガス供給手段(図示せず)とガス排気手段(図示せず)を備えたペットボトル5を収納するガス置換容器(図示せず)と、前記一対の屈曲式棒状電極の一方が高圧側、他方が接地側となるように屈曲式棒状電極に接続した整合器2及び高周波電源1とを備え、かつ前記一対の屈曲式棒状電極とペットボトル5とがペットボトル5の中心軸を回転軸として相対的に回転可能に構成されている。
【0091】
この装置は、ペットボトル5内に屈曲部10を有する屈曲式棒状電極(高圧側)29と、同様の屈曲式棒状電極(接地側)14を組合せて挿入し、ガス圧力を大気圧とした状態でプラズマ4を生成させ、ボトル内面にコーティングする方法である。但し、両電極の長さ方向にわたってそれらの間隔は均等に保つことを原則とする。ガス置換容器の形状は任意である。個々のプラスチックス容器毎にガス置換容器を構成してもよいし、複数のプラスチックス容器を内包できるものでもよい。図6では、屈曲部10の数をそれぞれの屈曲式棒状電極に3ヶ所ずつとしたが、これに限るものではなく、屈曲式棒状電極29、14はペットボトル5内面になるべく沿った形に設定する方が好ましいので、ペットボトル5の内形状に対応して4ケ所以上の屈曲部10を設けてもよい。組み合わせた屈曲式棒状電極の間隔はボトル口金径以下とし各電極の径は前記第5の実施態様に示したように、例えば直径1mm程度と細くし、間隔も1mm程度と狭くした方がプラズマ生成を容易にするのに有効である。
【0092】
図6の装置を用いて炭素被膜形成プラスチック容器を製造する場合の操作方法は次のとおりである。炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の内部に該プラスチック容器の口金部から底面の中心部近傍まで、ほぼボトル内壁面に沿った形で屈曲式棒状電極(高圧側)29と屈曲式棒状電極(接地側)14を組み合わせた一対又は複数対の屈曲式棒状電極を挿入し、ペットボトル5をガス供給手段(図示せず)とガス排気手段(図示せず)を備えたガス置換容器(図示せず)内に収納し、屈曲式棒状電極(高圧側)29と屈曲式棒状電極(接地側)14に整合器2及び高周波電源1を接続する。このように構成した後は、上記第5の実施形態と同様に操作する。本実施形態の場合は、高周波電源1から整合器2を介して、屈曲式棒状電極(高圧側)29に高周波電力を印加すると、この電極と屈曲式棒状電極(接地側)14との間にプラズマ4が生成する。その後の操作方法は第5の実施形態の場合と同様である。
【0093】
本実施形態における放電方式は、棒状電極によるコロナ放電となる。また、媒質ガス及び高周波の周波数については図1の態様において説明したとおりである。
【0094】
本実施形態(図6)が図11に示した従来例と異なる点は、大気圧条件での運転が可能で真空排気装置が不要であり、また、外部電極が不要な点である。
【0095】
本実施形態では、真空排気設備設置及び運転にかかる費用を低減できる、真空排気にかかる時間が不要なのでボトル製造のスループットが向上する、という利点がある。
【0096】
(第7の実施形態)
図10は本発明の第7の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。この実施態様は、ヘリコン波プラズマを利用した方法である。このプラズマ生成法は、R.W.Boswell によって初めて示され(Phys.Lett.vol.33A, No.7(1970)457)、プラズマ生成法としては公知のものである。
【0097】
図10の装置は、炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5の外径より大きい内径を有しその内側にペットボトル5を収納可能な大きさを有する円筒状真空容器であって、ガス供給手段である媒質ガス導入口34とガス排気手段である真空排気口35を備え、一方の側面に一端が閉止され(希釈ガス導入口33が設けられている)、他端が真空容器内と連通した空間部を有する誘電体管であるガラス管23を、該ガラス管23の中心軸が真空容器の中心軸と一致するように設けた非磁性体の円筒状真空容器26と、誘電体管に巻かれたアンテナ22と、円筒状真空容器26の周囲に真空容器26の中心軸方向に移動可能に設置された磁場コイル24及び25と、アンテナ22に接続した整合器2及び高周波電源1とを備えている。
【0098】
真空容器26はステンレスなどの非磁性体、誘電体管は石英ガラスなどの誘電体で構成されていることが必要である。真空容器26の周囲には磁場コイル24、25が配置されている。通常、磁場コイル24、25を形成する導体は銅製チューブ状で、中に冷媒、例えば冷却水を流してコイルの加熱を防ぐようになっている。磁場コイル24、25には各々直流電源(図示せず)が接続されており、磁場コイルに電力を供給する。
【0099】
各々のガス導入口33、34及び真空排気口35の位置は図10の位置に限るものではない。ガス導入口の数も2ヶ所に限るものではない。また、希釈ガス導入口33の位置も任意であり、真空容器26に設置してもよく、媒質ガスと混合して導入してもよい。ガラス管23の径、それに伴なうアンテナ22の径も任意である。アンテナ巻数も2ターンに限らない。アンテナ22をチューブ状とし、アンテナ過熱防止のために中に冷却水を流してもよい。磁場コイル24、25には軸方向(図中の符号27、28の方向)に移動する機構が設けられている。従って、磁場コイル24、25の位置も軸方向に任意に設定可能である。磁場コイル24、25の代わりに永久磁石を配置してもよい。
【0100】
図10の装置を用いて炭素被膜形成プラスチック容器を製造する場合の操作方法は次のとおりである。炭素被膜を形成するプラスチック容器であるペットボトル5を、ペットボトル5の外径より大きい内径を有しその内側にペットボトル5を収納可能な大きさを有する円筒状真空容器であって、ガス供給手段である媒質ガス導入口34とガス排気手段である真空排気口35とを備え、一方の側面に一端が閉止されるとともに希釈ガス導入口33が設けられ、他端が真空容器内と連通した空間部を有する誘電体管であるガラス管23を、該ガラス管23の中心軸が真空容器の中心軸と一致するように設けられた非磁性体の円筒状真空容器26内に、ペットボトル5の開口端がガラス管23側に位置し、かつペットボトル5の中心軸がガラス管23及び真空容器26の中心軸と一致するように収納する。
【0101】
次に、真空容器26内を排気した後、希釈ガス及び媒質ガスを供給して、ガス排気量とのバランスをとり、真空容器26内を所定のガス圧力に設定する。次いで、真空容器26の周囲に設置した磁場コイル24及び25に電流を通して所定の磁場配位を設定した後、ガラス管23に巻かれたアンテナ22に整合器2を介して高周波電源1から高周波電力を印加してペットボトル5の内部にプラズマ4を生成させ、このプラズマ4により媒質ガスを解離させて生成した製膜種をペットボトル5内面に堆積させて炭素被膜を形成する。以後の操作は上記第1の実施形態などと同様である。
【0102】
磁場配位の設定は磁場コイルへの電流の流し方によって制御し、その方法としては、各磁場コイル24、25に同じ方向に電流を流し、発生する磁力線が真空容器26の中心軸と平行となるようにする(均一磁場)、磁場コイル24だけに電流を流し、磁力線が真空容器26の中心軸からラッパ状(朝顔状)に広がるようにする(拡散磁場)、各磁場コイル24、25に反対方向に電流を流し、それぞれの磁場コイルからラッパ状に広がった磁力線が、2個の磁場コイルの間で向き合った形となるようにする(カスプ磁場)などの方法があり、これらを例えばボトル形状に対応させるなどの条件によって使い分ければよい。また、各磁場配位の磁力線の形は、各磁場コイルへ流す電流値を増減させることによっても調整することができる。
【0103】
本実施形態における放電方式は、波動励起式を利用したものである。また、媒質ガスの種類及び高周波の周波数については、図1の態様において説明したとおりである。プラズマ処理時のガス圧力は0.1333〜13.33Pa程度とする。
【0104】
本実施形態(図10)が図11に示した従来例と異なる点は、ペットボトル5の内外に電極が不要な点である。
【0105】
本実施形態では、ペットボトル5の内外に電極を設置しなくてもボトル内部にプラズマ4を生成でき、ボトル内面に炭素被膜を形成することができる。また、ヘリコン波プラズマは前述の容量結合プラズマや誘導結合プラズマに比べて高い電子密度を有するので、媒質ガスを解離する量をより多くできる。従って、コーティング速度を向上できるという特徴がある。さらに、ヘリコン波プラズマは前述の容量結合プラズマや誘導結合プラズマに比べて低いガス圧力においても高い電子密度を有するので、上記第1の実施形態(図1)と同様の効果があり、容器の近傍に電極を設置することなく、高速度のコーティングが可能である。
【0106】
(第8の実施形態)
図13は本発明の第8の実施形態に係るプラズマ処理装置を示す概略断面説明図である。本実施形態は上記第1の実施形態(図1)を発展させた方法にあたり、第1の実施形態との差異点は、棒状電極3に整合器52を介して高高周波電源51を接続したことと、円筒状電極6を接地せず、これを円筒状電極(バイアス印加用)55としてバイアス用整合器54を介してバイアス用電源53に接続したことの2点である。但し、棒状電極3に接続するのは高周波電源1と整合器2の組合せでも構わない。更に、バイアス用電源53は直流電源、又は交流電源、又はそれらの組合せで構わない。
【0107】
図13の装置を用いて炭素被膜形成プラスチック容器を製造する場合の操作方法について、図1の実施例と異なる点は、高高周波電源から高高周波電力を、バイアス用電源からバイアス用電力を各電極に同時に印加することだけである。その他の操作方法は図1の場合と同様である。この実施態様は、高高周波電力を棒状電極3に印加することによって生成したプラズマを、円筒状電極(バイアス印加用)55に印加するバイアス電圧によってペットボトルへ引込むことによって、次の3つの作用を生じせしめる。
【0108】
第一に、高高周波電力を用いると特に低ガス圧力条件にて高周波電力に比べて高い電子密度が得られるため、媒質ガスとの衝突頻度が上がり製膜種密度を高くできること。
【0109】
第二に、バイアス電位を調整するとプラズマ電位との電位差を可変にできるので、基板(ペットボトル)へ入射するイオンエネルギーを調整できること。
【0110】
第三に、イオン密度は電子密度に比例するので、前記の電位差の調整と併用することで基板に入射するイオンフラックスを制御できることにある。
【0111】
その効果は次の3つである。
(1)コーティング速度向上
(2)炭素膜質の制御
(3)コーティング速度の制御
次に、本実施態様を模擬した装置にてPETシートに炭素被膜形成した結果について以下の順序で述べる。
(条件1)
バイアスを印加した場合としない場合を比較してバイアスの効果を確認。(平板PETシートへのコーティング結果)
実験に供した装置として、バイアス印加しない場合を図16に、印加する場合を図17に示す。これらは円形の平行平板型の電極構造であり、一般的に容量結合型のプラズマ生成方法と言われているものである。図16では、平行平板電極(高圧側)60に整合器52を介して高高周波電源51を接続し、もう一方の平行平板電極(接地側)61は接地した。PETシート59は平行平板電極(高圧側)60に設置した。これらの電極はガス供給排気装置を備えた真空容器内に設置した(不図示)。運転方法は以下のようである。真空容器内を所定のガス条件で設定後、平行平板電極(高圧側)60に高高周波電力を印加し、電極間でプラズマ生成させ、PETシート59にコーティングを試みた。
【0112】
装置条件は下記である。
平行平板電極サイズ:φ100mm
平行平板電極の間隔:25mm
PETシート:コーティング厚さ0.5mm
コーティング条件は下記である。
媒質ガス:C22
媒質ガス圧力:13.3Pa
媒質ガス流量:20sccm
高高周波周波数:100MHz
高高周波数電力:65W
上記の条件にてコーティングを実施し、以下の結果を得た。
コーティング速度:2.8nm/秒
炭素膜質:ポリマー状(水素含有率が非常に高い)
次にバイアスを印加した場合に、図16と異なる点は、一方の電極を平行平板電極(バイアス印加側)62として、整合器2を介して高周波電源1を接続したことと、この電極にPETシート59を設置したことである。運転方法で異なる点は、バイアス用電力と高高周波電力を同時に印加したことである。
【0113】
装置条件は下記である。
平行平板電極サイズ:φ100mm
平行平板電極の間隔:25mm
PETシート:コーティング厚さ0.5mm
コーティング条件は下記である。
媒質ガス:C22
媒質ガス圧力:13.3Pa
媒質ガス流量:20sccm
高高周波周波数:100MHz
高高周波数電力:55W
バイアス用電源周波数:13MHz
バイアス用電源電力:70W
上記の条件にてコーティングを実施し、以下の結果を得た。
コーティング速度:1.9nm/秒
炭素膜質:DLC
図18は横軸にラマンシフト(cm-1)をとり、縦軸に相対強度をとって、本実施形態の方法により製膜した薄膜をラマン分光分析法で調べた結果を示す特性線図である。図中の特性線Cはバイアス印加有りの膜質評価の指標となるラマンスペクトル(ベースライン未除去)を示し、特性線Dはバイアス印加無しの膜質評価の指標となるラマンスペクトル(ベースライン未除去)を示すものである。図から明らかなように、バイアス印加が無い場合、長波数側で強度が右上がりに高くなるパターンを示しており、水素含有量の多いポリマー状炭素とわかる。バイアス印加がある場合、1500cm-1近傍にピークを持ち、その短波数側に肩を持つパターンを示していることから典型的なDLCにあたるものであることがわかる。
【0114】
(条件2)
ボトル形状を模擬した円筒状PETシートへのコーティング結果
図13と異なる点はペットボトル5の代わりに円筒状PETシートを用いたことである。
【0115】
装置条件は下記である。
棒状電極:φ15mm×長さ200mm
円筒状電極(バイアス印加用):φ68mm弱×高さ200mm
PETシート:高さ200mm×厚さ0.5mm
コーティング条件は下記である。
媒質ガス:C22
媒質ガス圧力:13.3Pa
媒質ガス流量:20sccm
高高周波周波数:100MHz
高高周波数電力:50W
バイアス用電源周波数:13.56MHz
バイアス用電源電力:20W
円筒状電極バイアス電圧:−50V
上記の条件でコーティングを実施し、以下の結果を得た。
コーティング速度:5.8nm/秒
炭素膜質:DLC
図15は横軸にラマンシフト(cm-1)をとり、縦軸に相対強度をとって、本実施形態の方法により製膜した薄膜をラマン分光分析法で調べた結果を示す特性線図である。図中の特性線Bは膜質評価の指標となるラマンスペクトル(ベースライン未除去)を示すものである。図から明らかなように、1500cm-1近傍にピークを持ち、短波数側に肩を持つDLCの典型的なラマンスペクトルが現われることが判明した。
【0116】
上記の(条件1)バイアスを印加した場合としない場合を比較してバイアスの効果を確認(平板PETシートへのコーティング結果)した結果、および(条件2)ボトル形状を模擬した円筒状PETシートへのコーティング結果を表2にまとめて示す。
【0117】
【表2】
Figure 0003697250
【0118】
バイアス印加が無い場合、バイアス印加がある場合以上のコーティング速度が得られたが、膜質がガス透過度低減のためには不適であり、高速コーティングの意味が無い。しかし、バイアスを印加することで所定レベル以上のコーティング速度を維持しながら膜質を向上させることができ、更に、ボトル形状を模擬した円筒状PETシート基板ではコーティング速度も向上したことから、本実施例の有効性が認められた。
【0119】
なお、本実施例における装置条件及びコーティング条件は前記に限るものではなく、製膜種を生成するためのプラズマ生成以外に基板にバイアスを印加する装置及び方法を具備すれば、その他に限定される要件はない。ラマンスペクトルから見た膜質の評価方法は、例えば、「ダイヤモンド状炭素膜のラマンスペクトル」、吉川正信著、NEW DIAMOND、Vol.4、No.2、p16、又は「ラマン分光法によるダイヤモンド薄膜の評価」、吉川正信著、表面技術、Vol.42、No.12(1991)p35に詳しい。
【0120】
以上、炭素被膜を形成するプラスチック容器がペットボトルである場合を主体に説明したが、本発明はポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンコポリマ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アイオノマ樹脂、ポリスルホン樹脂、4フッ化エチレン樹脂などの容器に適用が可能である。
【0121】
【発明の効果】
本発明は次のような効果を奏するものであって、実用上の価値が大きいものである。
(1)炭素被膜を形成するプラスチック容器の内側、外側、又は両方の電極を不要とした態様では、装置の簡略化、操作方法の簡略化の効果がある。
(2)真空排気装置を必要としない態様では、装置の簡略化、操作方法の簡略化、作業時間の短縮などの効果がある。
(3)いずれの態様においても均一な炭素被膜の形成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ処理装置の第1の実施態様を示す概略ブロック断面図。
【図2】本発明に係るプラズマ処理装置の第2の実施態様を示す概略ブロック断面図。
【図3】本発明に係るプラズマ処理装置の第3の実施態様を示す概略ブロック断面図。
【図4】本発明に係るプラズマ処理装置の第4の実施態様を示す概略ブロック断面図。
【図5】本発明に係るプラズマ処理装置の第5の実施態様を示す概略ブロック断面図。
【図6】本発明に係るプラズマ処理装置の第6の実施態様を示す概略ブロック断面図。
【図7】図5の装置の第1の応用例を示す概略ブロック断面図。
【図8】図5の装置の第2の応用例を示す概略ブロック断面図。
【図9】図5の装置の第3の応用例を示す概略ブロック断面図。
【図10】本発明に係るプラズマ処理装置の第7の実施態様を示す概略ブロック断面図。
【図11】従来技術の1例である特開平8−53116号公報記載の高周波プラズマCVDを用いたプラスチック容器への炭素膜コーティング装置を示す概略断面図。
【図12】従来技術の1例であるWO 99/49991 記載のマイクロ波プラズマCVDを用いたプラスチック容器への炭素膜コーティング装置を示す概略断面図。
【図13】本発明に係るプラズマ処理装置の第8の実施態様を示す概略ブロック断面図。
【図14】本発明に係るプラズマ処理装置の第3の実施態様を模擬したコーティング装置によって得られた炭素膜のラマン分光スペクトル線図。
【図15】本発明に係るプラズマ処理装置の第8の実施態様を模擬したコーティング装置によって得られた炭素膜のラマン分光スペクトル線図。
【図16】本発明に係るプラズマ処理装置の第8の実施態様を模擬したコーティング装置2を示す概略ブロック断面図。
【図17】本発明に係るプラズマ処理装置の第8の実施態様を模擬したコーティング装置3を示す概略ブロック断面図。
【図18】本発明に係るプラズマ処理装置の第8の実施態様を模擬したコーティング装置2、3によって得られた炭素膜のラマン分光スペクトル線図。
【符号の説明】
1…高周波電源、
2…整合器、
3…棒状電極(高圧側)、
4…プラズマ、
5…ペットボトル、
6…円筒状電極(接地側)、
7…内部コイル状電極、
8…外部コイル状電極、
9…誘電体充填部、
10…屈曲部、
11,13…屈曲式棒状電極の回転方向、
12…ペットボトルの回転方向、
14…屈曲式棒状電極(接地側)、
15…開閉式棒状電極、
16…ワンターン状電極、
17…ワンターン状電極の移動方向、
18…ペットボトルの移動方向、
20…ボトル相似形電極(接地側)、
22…アンテナ、
23…ガラス管、
24,25…磁場コイル、
26…真空容器、
27,28…磁場コイルの移動方向、
33…希釈ガス導入口、
34…媒質ガス導入口、
35…真空排気口、
51…高高周波電源、
52…整合器、
53…バイアス用電源、
54…バイアス用整合器、
55…円筒状電極(バイアス印加用)、
59…PETシート、
60…平行平板電極(高圧側)、
61…平行平板電極(接地側)、
62…高高周波電源。

Claims (4)

  1. 炭素被膜を形成するプラスチック容器の外形とほぼ相似形でその内側に前記プラスチック容器を設置可能な大きさの外部コイル状電極と、該外部コイル状電極内に前記プラスチック容器を設置した際に該容器の口金部に相当する位置に開口し容器内に媒質ガスを供給する媒質ガス供給口と、ガス供給手段とガス排気手段を備えた前記外部コイル状電極を収納する真空容器と、前記外部コイル状電極に接続した整合器及び高周波電源とを構成要素として含むことを特徴とするプラスチック容器の内面に炭素被膜を形成するプラズマ処理装置。
  2. 炭素被膜を形成するプラスチック容器の外形とほぼ相似形でその内側に前記プラスチック容器を設置可能な大きさの外部コイル状電極と、前記プラスチック容器の表面に設置される誘電体充填部と、前記外部コイル状電極内に前記プラスチック容器を設置した際に該容器の口金部相当する位置に開口し容器内に媒質ガスを供給する媒質ガス供給口と、ガス供給手段とガス排気手段を備えた前記外部コイル状電極を収納する真空容器と、前記外部コイル状電極に接続した整合器及び高周波電源とを構成要素として含むことを特徴とするプラスチック容器の内面に炭素被膜を形成するプラズマ処理装置。
  3. 炭素被膜を形成するプラスチック容器を、該容器の外形とほぼ相似形の外部コイル状電極内に設置し、前記外部コイル状電極をガス供給手段とガス排気手段を備えた真空容器内に収納し、前記外部コイル状電極に整合器及び高周波電源を接続し、前記真空容器内を排気した後、前記プラスチック容器の口金部に開口する媒質ガス供給口から前記プラスチック容器の内側に媒質ガスを供給してプラスチック容器内部のガス圧力が外部よりも高くなるように所定のガス圧力に設定し、前記高周波電源から整合器を介して、前記外部コイル状電極に高周波電力を印加して前記プラスチック容器の内側にプラズマを生成させ、このプラズマにより媒質ガスを解離させて生成した製膜種をプラスチック容器内面に堆積させて炭素被膜を形成することを特徴とする炭素被膜形成プラスチック容器の製造方法。
  4. 炭素被膜を形成するプラスチック容器の表面に誘電体充填部を形成し、該誘電体充填部を形成したプラスチック容器を該プラスチック容器の外形とほぼ相似形の外部コイル状電極内に設置し、前記外部コイル状電極をガス供給手段とガス排気手段を備えた真空容器内に収納し、前記外部コイル状電極に整合器及び高周波電源を接続し、前記真空容器内を排気した後、前記プラスチック容器の口金部に開口する媒質ガス供給口から前記プラスチック容器の内側に媒質ガスを供給してプラスチック容器内部のガス圧力が外部よりも高くなるように所定のガス圧力に設定し、前記高周波電源から整合器を介して、前記外部コイル状電極に高周波電力を印加して前記プラスチック容器の内側にプラズマを生成させ、このプラズマにより媒質ガスを解離させて生成した製膜種をプラスチック容器内面に堆積させて炭素被膜を形成することを特徴とする炭素被膜形成プラスチック容器の製造方法。
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