JP5785650B2 - 容器の内壁処理方法及び容器の内壁処理装置 - Google Patents

容器の内壁処理方法及び容器の内壁処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、試験管等の容器の内壁処理方法及び内壁処理装置に関する。
一般に寒天培地とは、寒天を用いた培地を意味する。特に、寒天を約1.5%の濃度で加えて固化させた固形培地を意味する場合が多く、微生物や細胞を培養するために用いられる。用いる容器や、固化させた後の形状によって、平板培地、斜面培地、半斜面培地、高層培地に分類される。以下に、これらの培地について説明する。
(1)平面培地
シャーレを用いて作った固形培地で、微生物の分離や培養に最も広く用いられる培地の一つである。
(2)斜面培地
図11(a)に示したように試験管70内に斜面を作るように培地60を固めた固形培地で、表面積が広く、また外部からの雑菌の混入を減らしやすいという特徴から、好気性の微生物を純粋培養し、保存するときに用いられる。
(3)半斜面培地
図11(b)に示したように試験管70に入れた培地60の上部の約三分の一から四分の一が斜面になった固形培地である。使用頻度は低いが、TSI寒天培地など鑑別培養のための培地の一部が、半斜面培地として用いられる。
(4)高層培地
図11(c)に示したように試験管70を直立させた状態で培地60を固めた半流動培地又は固形培地である。半流動高層培地は、好気性から嫌気性まで、幅広い微生物の純粋培養と保存に繁用される他、病院で患者から得られた検査材料を直接、穿刺して輸送や培養を行うことがある。また鑑別培養に用いる場合、高層の上面部分と底部の酸素濃度の違いを利用して、その微生物の酸素要求性を検討したり、運動性のある微生物が半流動培地中を泳いで広がることを利用して、微生物の運動性を検討するために用いられる。固形高層培地としては鑑別培養に用いられるものに一部見られるが、その例は少ない。
なお、斜面培地、半斜面培地及び高層培地では、通常ガラス製の試験管70が用いられるが、割れやすく樹脂等と比較して重いという課題があった。そこで、近年ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、アクリル等の材料で作製された試験管を培地用の試験管として使用したいという要望が強くなりつつある。
しかし、上記したポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル等の材料で作製された試験管は、ガラス製の試験管と比較して親水性が劣るという課題があった。即ち、寒天が加えられた水溶液を上記の樹脂製試験管に入れて傾けたとしても、十分に斜面を形成することができず、斜面培地や半斜面培地を形成することができないという問題があった。
また、例えば特許文献1には、従来のプラズマ反応装置を必要とせず、特殊な大気圧プラズマ表面処理方法を用いることにより、水や溶媒を全く使用せず、ゴミの混入の恐れもなく常温常圧下で短時間に、表面処理を連続的にかつ簡便に行うことが可能な容器内面のプラズマ処理方法が開示されている。
特開平05−269370号公報
しかし、上記特許文献1の容器内面のプラズマ処理方法では、樹脂製の容器内面の親水性すなわち濡れ性は改善されるものの、容器内に例えばアルゴン、ヘリウム、ケトン等の気体組成物を導入した後、大気圧下でグロー放電を行わなければならなかった。すなわち、大気以外の気体組成物が必要であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、試験管等の容器内に大気とは別の気体組成物の導入を必要としない、低い大気圧下での容器の内壁処理方法及び内壁処理装置を提供することを目的とする。
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の容器の内壁処理方法は、
容器の内壁表面を処理する方法であって、
前記容器の内部を挟んで対向する前記容器の一端と他端を、それぞれ陰極と陽極に接続する工程と、
前記容器内の大気の圧力を所定圧まで減圧する工程と、
前記陰極と前記陽極との間に、所定電圧のパルス電圧を所定時間印加する工程とを含むことを特徴とする。
〔発明2〕 さらに、発明2の容器の内壁処理方法は、発明1の容器の内壁処理方法において、
前記容器の材質が、ポリスチレン、ポリプロピレン又はアクリルであることを特徴とする。
〔発明3〕 さらに、発明3の容器の内壁処理方法は、発明1及び2のいずれか1の容器の内壁処理方法において、
前記容器の処理の程度を、処理された前記容器に所定量の試験水を注入した後、該容器を水平状態にした際の前記試験水の伸びによって評価することを特徴とする。
〔発明4〕 さらに、発明4の容器の内壁処理方法は、発明3の容器の内壁処理方法において、
前記試験水の伸びを、前記容器内の大気圧力、前記パルス電圧、前記電圧の印加時間によって制御することを特徴とする。
〔発明5〕 さらに、発明5の容器の内壁処理方法は、発明1乃至4のいずれか1の容器の内壁処理方法において、
前記容器が、樹脂製、金属製又はガラス製の試験管、ピペット又はシャーレであることを特徴とする。
〔発明6〕 さらに、発明6の容器の内壁処理方法は、発明1乃至5のいずれか1の容器の内壁処理方法において、
前記容器内の大気の圧力を所定圧まで減圧するとともに前記容器内にArガスを導入することを特徴とする。
〔発明7〕 一方、上記目的を達成するために、発明7の容器の内壁処理装置は、
複数の容器の内壁表面を処理する装置であって、
前記複数の容器の先端部が接触押圧される下部電極シートと、
前記下部電極シートの上に設置される前記複数の容器を保持するための保持手段と、
前記複数の容器の開口端部が接触押圧される上部電極シートと、
前記下部電極シート、前記保持手段、及び前記上部電極シートを収納する収納容器と、
前記容器内の大気の圧力を減圧する減圧手段と、
前記下部電極シートと前記上部電極シートとの間に、所定電圧を所定時間印加する電圧印加手段とを備えることを特徴とする。
〔発明8〕 さらに、発明8の容器の内壁処理装置は、発明7の容器の内壁処理装置において、
前記容器が、樹脂製、金属製又はガラス製の試験管、ピペット又はシャーレであることを特徴とする。
以上説明したように、発明1の容器の内壁処理方法、又は発明7の容器の内壁処理装置によれば、容器の内壁表面について親水性を改善することができるとともに滅菌効果を得ることができる。
さらに、発明6の容器の内壁処理方法によれば、容器内に大気とは別の気体組成物を導入しない場合よりも短い処理時間で滅菌効果を得ることができる。
実施例1の低大気圧プラズマ発生装置の構成を示す図である。 実施例1のプラズマ点灯試験の結果を示す表である。 実施例1の設定圧力を変化させた場合の親水性試験の結果を示すグラフである。 実施例1の設定圧力を変化させた場合の親水性試験の結果を示す図である。 実施例1の設定電圧を変化させた場合の親水性試験の結果を示すグラフである。 実施例1の印加時間を変化させた場合の親水性試験の結果を示すグラフである。 実施例2の低大気プラズマ発生装置の構成を示す図である。 実施例2の樹脂製シャーレ52の内壁表面を改質する構成を示す図である。 実施例3の目視観察の結果を示す表である。 実施例3の定量測定の結果を示すグラフである。 従来の種々の培地を説明するための図である。
本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ以下に説明する。
本実施例は、樹脂製容器の一種である樹脂製試験管10の内壁を1気圧より低い圧力の大気のプラズマ(以下、「低大気圧プラズマ」という)によって改質し、内壁表面の親水性を改善することを要旨とする。樹脂製試験管10の内壁の親水性が改善されることにより、樹脂製試験管10であっても、斜面培地・半斜面培地を容易に形成することができる。
以下では、種々の条件下で樹脂製試験管10内に低大気圧プラズマを発生させるが、その基本的な装置の構成を図1に示す。まず、樹脂製試験管10底面の先端側を陽極部11に接触させ、開口部側を陰極部12に接触させる。陽極部11と陰極部12との間には、数k〜数十kvの直流パルス電圧を電源14によって印加する。直流パルス電圧の周波数は、本実施例の場合10kHzとする。また、陰極部12が設けられた樹脂製試験管10の開口部には排気管13が接続されている。この排気管13を介して、樹脂製試験管10内部の大気が吸引されて樹脂製試験管10内部の圧力が低下する。なお、排気管13は真空計にも接続されており、樹脂製試験管10内部の圧力を検出できるように構成されている。以下に、設定条件を種々変化させた場合のプラズマ点灯試験及び親水性試験について述べる。
[プラズマ点灯試験]
まず、設定電圧の印加時間を5秒に固定して、種々の設定電圧及び設定圧力のもとで樹脂製試験管10内にプラズマが発生するか否かを確認するプラズマ点灯試験を実施した。
試験結果を図2に示す。図2において、「○」はプラズマが発生したことを示し、「×」はプラズマが発生しなかったことを示す。図2から、設定電圧が2kVでは大気の圧力が7Pa〜2.7kPaの範囲で全くプラズマが発生しなかった。また、設定電圧が13kV以上では7Pa〜2.7kPaの範囲ですべてプラズマが発生した。そして、設定電圧が6kVでは800Paでは点灯(プラズマ発生)し、1.5kPaでは点灯しなかった。更に、設定電圧が10kVでは1.5kPaでは点灯し、2.0kPaでは点灯しなかった。
設定電圧はできる限り低いほうが有利である。例えば、設定電圧が10kVの場合、大気の圧力は2.0kPaまで減圧する必要がある。1標準大気圧は、101.325kPaであるため、かなり低圧にする必要がある。言い方を変えれば、設定電圧が10kVであれば、1気圧ではプラズマが発生しない。本発明の要旨は、他のガスを入れずに樹脂製試験管10内を減圧して所定の電圧を印加するだけでプラズマを発生させ、樹脂製試験管10内の内壁を改質することである。従って、プラズマが発生する圧力と設定電圧のデータを事前に得ておくことが重要である。
[設定圧力毎の親水性試験]
本親水性試験では、設定電圧を10kV、印加時間を5秒間として、樹脂製試験管10内の大気の圧力を種々変化させて親水性を測定した。親水性は、電圧の印加が終了した試験管にメチレンブルーが添加されたチェック液を2ml入れた後、水平に樹脂製試験管10を倒して数回静かに回転させて、チェック液の伸びた長さで評価した。
試験条件として、低大気圧プラズマ処理をしない(以下、「未処理」という)樹脂製試験管10、設定圧力が5Pa〜1000Paの8本の樹脂製試験管10について親水試験を実施した。図3に試験結果のグラフを、図4に試験結果の図を示す。図4(a)は未処理の試験管のチェック液20の伸びが38mmであること、図4(b)は5Paの低大気圧の樹脂製試験管10のチェック液の伸びが36mmであること、図4(c)は200Paの低大気圧の樹脂製試験管10のチェック液20の伸びが87mmであること、図4(d)は1000Pa(1kPa)の低大気圧の樹脂製試験管10のチェック液20の伸びが58mmであることを示している。チェック液20の伸びは、200Pa近辺までは増加傾向にあり(図3)、その後樹脂製試験管10内の設定圧力を増すと逆にチェック液20の伸びは小さくなることが分かった。
[設定電圧毎の親水性試験]
本親水性試験では、樹脂製試験管10内の設定圧力を20Paで一定とし、印加時間も5秒間で一定とした。そして、印加電圧を6kV〜22kVまで変動させて親水性を測定した。親水性の測定は上記した測定と同様の方法であり、測定結果を図5に示す。
測定結果から、親水性は設定電圧が増加するのに比例して、略直線的に比例していることが分かる。具体的には、設定電圧6kVでチェック液20の距離は38mmであったものが、22kVでチェック液20の距離は96mmとなり大きく伸びることがわかった。
[印加時間毎の親水性試験]
本親水性試験では、樹脂製試験管10内の設定圧力を20Paで一定とし、印加電圧も10kVで一定とした。そして、印加時間を10秒〜120秒まで変動させて親水性を測定した。親水性の測定は、上記した測定と同様の方法であり、測定結果を図6に示す。
測定結果から、親水性は印加時間が増加すると増加傾向にはあるものの、大きく増加することはなかった。印加時間5秒で検査液の距離は39mmであり、印加時間が120秒で検査液の距離は48mmであった。印加時間が増加してもチェック液の伸びはさほど増加しないことが分かる。
以上の試験結果より、樹脂製容器の一種である樹脂製試験管10の内壁は、内部の大気圧を充分に下げた状態で低大気圧プラズマを発生させることにより、親水性が大幅に改善され、この樹脂製試験管10により斜面培地、半斜面培地を容易に形成することができることを確認することができた。なお、上記内壁が改質された樹脂製試験管10では、改質されない樹脂製試験管10と比較して、樹脂製試験管10の内壁が滅菌されていることも確認することができた。
本実施例によれば、樹脂製試験管10等の樹脂製容器内に大気とは別の気体組成物の導入を必要としない、低い大気圧下で樹脂製容器の内壁表面の親水性を改善することができる。
本実施例は、一度に複数の樹脂製試験管10の内壁を低大気圧プラズマによって改質し、内壁表面の親水性を改善するための装置に関するものである。
上記装置は図7(a)に示したように、下容器32と上蓋31によって構成されている収納容器30を有している。この収納容器30の内部に複数の樹脂製試験管10を入れて、排気により樹脂製試験管10の内部を減圧した後にプラズマ放電を行い、複数の樹脂製試験管10の内壁の改質を同時に行う。従って、収納容器30の内部を従来のように減圧する必要は全くなく、装置としては極めて簡単な構造である。
収納容器30の底部には板状の下部電極42とその上に下部吸着マット43が設置されており、その上に樹脂製試験管10が複数設置される。樹脂製試験管10の先端は下部吸着マット43に接触するように設置される。一方、上蓋31の下部には上部吸着マット41が設置され、その上部に上部電極40が設置されている。上部吸着マット41と上部電極40には、樹脂製試験管10に対応する位置に貫通孔34がそれぞれ形成されている(図7(c))。また、上蓋31には排気管33が接続されており、上蓋31を下降させて下容器32と密着させた後、樹脂製試験管10の内部の空気を排気管33を通して排気する。この場合、収納容器30の内部を排気する必要はない。
樹脂製試験管10の内部が所定の圧力になった後、下部電極42と上部電極40との間に所定の電圧を印加して樹脂製試験管10内に低大気圧プラズマを発生させる。低大気圧プラズマPが発生している状態を、模式的に図7(b)に示す。低大気圧プラズマPは、すべての樹脂製試験管10で同時に発生することになる。低大気圧プラズマPを所定時間発生させた後、上蓋31を上昇させ内部の樹脂製試験管10を取り出して作業は終了する。
なお、樹脂製容器として樹脂製試験管10のみではなく、図7(d)に示したように、例えば、複数の樹脂製ピペット50を同様に処理して、樹脂製ピペット50の内壁の親水性を向上させることができた。
また、樹脂製試験管10及び樹脂製ピペット50のみではなく、図8に示すように、例えば、複数の樹脂製シャーレ52を同様に処理して、樹脂製シャーレ52の内壁の親水性を向上させることができた。ただし、樹脂製シャーレ52の場合、上部の貫通孔34からのみ排気して樹脂製シャーレ52内を減圧すると、樹脂製シャーレ52の底面が大気圧により破損又は変形してしまうことがある。そこで、下部吸着マット43及び下部電極42において貫通孔34に対向する位置に貫通孔34を形成し、下部の貫通孔34からも同時に排気して減圧する。これにより、樹脂製シャーレ52の底面が破損又は変形することを防止することができる。
本実施例によれば、樹脂製試験管10等の樹脂製容器内に大気とは別の気体組成物の導入を必要としない、低い大気圧下で樹脂製容器の内壁表面の親水性を改善することができる。
本実施例は、樹脂製試験管10の内壁を低大気圧プラズマによって処理し、内壁表面を滅菌することを要旨とする。
試験は、(1)菌付試験管の作製、(2)低大気圧プラズマ処理、(3)培地の投入、(4−1)目視観察、(4−2)定量測定をその順序で行う。
[(1)菌付試験管の作製]
樹脂製試験管10の内壁表面に黄色ブドウ球菌を付着させ、黄色ブドウ球菌付きの樹脂製試験管10を作製する。1試験条件につき5本の樹脂製試験管10を作製する。
[(2)低大気圧プラズマ処理]
試験条件1は、設定圧力を400〜600Pa、設定電圧を80Vとし、処理時間を5分、10分、15分又は20分の範囲で変化させる。また、樹脂製試験管10内に大気とは別の気体組成物を導入しない真空引きのみを行った場合(以下単に「真空引きのみ」という。)と、樹脂製試験管10内を減圧するとともに樹脂製試験管10内にArガスを導入した場合(以下単に「Arガス導入」という。)についてそれぞれ試験条件を設定する。そして、実施例1と同様の低大気圧プラズマ処理方法により、試験条件1で樹脂製試験管10の内壁表面を処理する。
試験条件2は、設定圧力を400〜600Pa、設定電圧を100Vとし、処理時間を5分、10分、15分又は20分の範囲で変化させる。また、真空引きのみの場合と、Arガス導入の場合についてそれぞれ試験条件を設定する。そして、実施例1と同様の低大気圧プラズマ処理方法により、試験条件2で樹脂製試験管10の内壁表面を処理する。
[(3)培地の投入]
低大気圧プラズマ処理された樹脂製試験管10内に普通ブイヨン培地を投入する。
[(4−1)目視観察]
培地を投入してから24時間経過後に黄色ブドウ球菌が存在しているか目視で確認する。黄色ブドウ球菌が存在していない樹脂製試験管10は、培地が透明のままとなるが、黄色ブドウ球菌が存在する樹脂製試験管10は、培地が白濁化する。したがって、樹脂製試験管10を目視で観察し、培地が透明の場合は、黄色ブドウ球菌が存在しない(滅菌OK)と判断し、培地が白濁の場合は、黄色ブドウ球菌が存在する(滅菌NG)と判断する。
試験条件ごとに、培地が投入された5本の樹脂製試験管10のうち2本について目視観察を行った。目視観察の結果は、図9に示すように、試験条件1の真空引きの場合、処理時間が短い順に、滅菌OKの件数が「0」「0」「0」「1」となり、滅菌NGの件数が「2」「2」「2」「1」となった。また、試験条件1のArガス導入の場合、処理時間が短い順に、滅菌OKの件数が「0」「0」「1」「2」となり、滅菌NGの件数が「2」「2」「1」「0」となった。これらの結果を対比すると、真空引きの場合は、処理時間が20分程度で滅菌効果が現れるが、Arガス導入の場合は、真空引きの場合よりも短い15分程度で滅菌効果が現れることが分かる。
また、試験条件2の真空引きの場合、処理時間が短い順に、滅菌OKの件数が「1」「0」「2」「2」となり、滅菌NGの件数が「1」「2」「0」「0」となった。また、試験条件2のArガス導入の場合、処理時間が短い順に、滅菌OKの件数が「1」「2」「2」「2」となり、滅菌NGの件数が「1」「0」「0」「0」となった。これらの結果を対比すると、真空引きの場合は、処理時間が15分程度で滅菌効果が現れるが、Arガス導入の場合は、真空引きの場合よりも短い10分程度で滅菌効果が現れることが分かる。また、設定電圧が80Vよりも100Vの方が、滅菌効果が現れる処理時間が短いことも分かる。
[(4−2)定量測定]
試験条件ごとに、培地が投入された5本の樹脂製試験管10のうち3本について定量測定を行った。定量測定は、インダイレクト法により行った。インダイレクト法とは、電気伝導度の増減から菌量の増減を測定する方法であって、生物の代謝に伴い発生する二酸化炭素と、測定に使用する水酸化ナトリウム(0.01mol/L)との反応による電気伝導度変化の度合いから、菌量を判断する方法である。
定量測定の結果は、図10に示すように、インダイレクト法で24時間の測定から得られたデータで、相対的な菌量の減少を数値化したものである。同一の試験条件で試験を3回実施し、そこから得られた平均値をグラフにプロットしている。なお、図10では、得られた測定値の範囲を縦線で示している。また、図10(a)(b)は、試験条件2について得られた結果である。
菌数が10-6個/ml以下である場合に滅菌OKと評価することができる。真空引きの場合とArガス導入の場合を対比すると、真空引きの場合は、処理時間が15分程度で滅菌効果が現れるが、Arガス導入の場合は、真空引きの場合よりも短い10分程度で滅菌効果が現れることが分かる。この結果は、目視観察の結果と一致する。また、全体として、Arガスを導入することにより短い処理時間で菌数が減っていることが確認された。
本実施例によれば、樹脂製試験管10等の樹脂製容器の内壁表面を滅菌することができる。また、Arガス導入の場合は、真空引きの場合よりも短い処理時間で滅菌効果を得ることができる。
〔変形例〕
なお、上記実施例1〜3においては、樹脂製の試験管10、ピペット50又はシャーレ52の内壁を処理したが、これに限らず、金属製、ガラス製その他の材質の容器の内壁を同様に処理することにより、親水性の改善及び滅菌効果を得ることができる。
また、上記実施例3及びその変形例においては、実施例1と同様の内壁改質方法により樹脂製試験管10の内壁表面を処理したが、これに限らず、実施例2と同様の内壁改質装置により樹脂製試験管10の内壁表面を処理することもできる。
また、上記実施例1、3及びその変形例においては、樹脂製容器10の先端を陽極12に、樹脂製容器10の開口端を陰極11にそれぞれ接続したが、これに限らず、極性を逆にしてもよい。また、電極の接続箇所は、樹脂製容器10の先端と開口端に限らず、樹脂製容器10の内部を挟んで対向した位置であれば、樹脂製容器10の一端と他端を、それぞれに陰極11と陽極12に接続すればよい。上記実施例2及びその変形例についても同様である。
また、上記実施例1、2においては、真空引きの場合のみを説明したが、これに限らず、実施例3と同様に減圧時にArガスを導入してもよい。
10 樹脂製試験管
11 陽極部
12 陰極部
13 排気管
14 電源
20 チェック液
30 収納容器
31 上蓋
32 下容器
33 排気管
34 貫通孔
40 上部電極
41 上部吸着マット
42 下部電極
43 下部吸着マット
50 樹脂製ピペット
60 培地
70 試験管
P 低大気圧プラズマ

Claims (3)

  1. 容器の内壁表面を処理する装置であって、
    前記容器の開口部とは反対側の端部が接触押圧される第1電極シートと、
    前記容器の開口部と対向する位置に排気孔が形成され、前記容器の開口部を塞ぐように前記容器の開口部が接触押圧される第2電極シートと、
    前記排気孔を通じて排気することにより前記容器内の大気の圧力を減圧する減圧手段と、
    前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に、所定電圧を所定時間印加する電圧印加手段とを備えることを特徴とする容器の内壁処理装置。
  2. 複数の容器の内壁表面を処理する装置であって、
    前記複数の容器について当該容器の開口部とは反対側の端部がそれぞれ接触押圧される第1電極シートと、
    前記複数の容器について、当該容器の開口部と対向する位置に排気孔がそれぞれ形成され、当該容器の開口部を塞ぐように当該容器の開口部がそれぞれ接触押圧される第2電極シートと、
    前記排気孔を通じて排気することにより前記容器内の大気の圧力を減圧する減圧手段と、
    前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に、所定電圧を所定時間印加する電圧印加手段とを備えることを特徴とする容器の内壁処理装置。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項において、
    前記容器が、樹脂製、金属製又はガラス製の試験管、ピペット又はシャーレであることを特徴とする容器の内壁処理装置。
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