JP2004002567A - 電磁波シールド発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性および加工性に優れ、しかも高い電磁波シールド性を有する電磁波シールド発泡体を提供することである。
【解決手段】導電性充填材としてカーボンブラックおよび黒鉛をゴム材料や熱可塑性エラストマー材料に配合し、発泡剤にて発泡させた電磁波シールド発泡体である。発泡剤としては化学発泡剤もしくは物理発泡剤またはマイクロバルーン発泡剤が使用される。前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が150〜1000m2/g、DBP吸油量が120〜400ml/100gであるのがよく、前記黒鉛は平均粒子径15μm以上、見掛け密度0.6g/cm3以下であるのがよい。
【選択図】 なし
【解決手段】導電性充填材としてカーボンブラックおよび黒鉛をゴム材料や熱可塑性エラストマー材料に配合し、発泡剤にて発泡させた電磁波シールド発泡体である。発泡剤としては化学発泡剤もしくは物理発泡剤またはマイクロバルーン発泡剤が使用される。前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が150〜1000m2/g、DBP吸油量が120〜400ml/100gであるのがよく、前記黒鉛は平均粒子径15μm以上、見掛け密度0.6g/cm3以下であるのがよい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を遮断するための電磁波シールド発泡体に関する。
【従来の技術】
【0002】
電磁波から電子機器等をシールド(遮蔽)するために、電磁波シールド材で電子機器等を被覆することが行われている。電磁波シールド材が有する電磁波シールド性能に関しては、周波数範囲30MHz〜1000MHzにおける電磁波シールドの性能レベルとして、0〜10dBでは電磁波シールド性能がほとんどなく、10〜30dBで電磁波シールドといえる対応が可能となり、30〜60dBで中位の障害への対応が可能であるとされ、60〜90dBでほとんどの障害に対応が可能であり、90dB以上で最も優れた電磁波シールドを有すると分類されている。このことにより電磁波シールド材として用いられるためには、20dB以上、できれば30dB以上のシールド性を有する必要があるといえる。
【0003】
電磁波ノイズ対策部品として、電磁波シールドガスケットがある。この電磁波シールドガスケットは、パッキン状及び押出成型によるもの等多くの種類があるが、その中で電波暗室の扉部分等にクッション性を有する電磁波シールド材として発泡体が用いられる。その性能として、電磁波シールド特性と柔軟性が求められる。
【0004】
電磁波シールド性能を向上させるためには、電磁波シールド材に導電性に優れた材料を使用するのがよく、このため導電性に優れた金属が電磁波シールド材として従来から広く使用されている。しかし、金属は重く、かつ加工性、量産性に難点があった。
【0005】
一方、プラスチック材料やゴム材料に金属紛やカーボン系充填剤を配合して、導電性を付与した電磁波シールド材が開発されている。しかし、この電磁波シールド材は、金属紛やカーボン系充填剤を多量に配合されているために、硬度が非常に高く、柔軟性および加工性に乏しいという問題がある。
【0006】
一般に、プラスチックやゴムに柔軟性を付与するためには、これらに発泡剤を添加して発泡させることが行われているが、金属紛やカーボン系充填剤を多量に配合した場合には発泡が困難であり、また硬度が非常に高くなって柔軟性に富んだ発泡体を得ることはできない。一方、発泡倍率が高い、若しくは連泡構造が多くなると、シールド性能が低下するという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、特開2001−94287では、導電性基材の表面に導電性発泡層を設けた電磁波シールドガスケットが開示されている。しかし、この電磁波シールドガスケットは、導電性基材と導電性発泡層との複合材料であることから、製造工程が増える、製造コストが高くなるなどの問題があるほか、発泡時の寸法変化を考慮すると発泡層の一体加硫成形は困難である。また、導電性発泡体単独で、柔軟性と高いシールド性とを併せ持つものは得られていないのが実情であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性および加工性に優れ、しかも高い電磁波シールド性を有する電磁波シールド発泡体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、黒鉛とカーボンブラックとを組み合わせた特定の導電性充填剤をゴム材料や熱可塑性エラストマー材料に配合し、これを発泡させる場合には、高い電磁波シールド性を有する柔軟な電磁波シールド発泡体が低コストで得られるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の電磁波シールド発泡体は、以下の構成からなる。
(1)導電性充填材としてカーボンブラックおよび黒鉛を含有し、発泡剤にて発泡されていることを特徴とする電磁波シールド発泡体。
(2)前記発泡剤が化学発泡剤もしくは物理発泡剤、またはマイクロバルーン発泡剤である(1)記載の電磁波シールド発泡体。
(3)前記発泡剤が化学発泡剤もしくは物理発泡剤である場合において、基材100重量部に対して、導電性充填材90〜145重量部(ただし、基材100重量部に対してカーボンブラック20〜55重量部、黒鉛40〜140重量部とする。)および化学発泡剤もしくは物理発泡剤1〜15重量部を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させて得られる(1)記載の電磁波シールド発泡体。
(4)前記発泡剤がマイクロバルーン発泡剤である場合において、基材100重量部に対して、前記導電性充填材90〜180重量部(ただし、基材100重量部に対してカーボンブラック20〜55重量部、黒鉛40〜140重量部とする。)およびマイクロバルーン発泡剤1〜10重量部を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させて得られる(1)記載の電磁波シールド発泡体。
(5)前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が150〜1000m2/g、DBP吸油量が120〜400ml/100gである(1)〜(4)のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
(6)前記黒鉛は、平均粒子径15μm以上、見掛け密度0.6g/cm3以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
(7)導電性充填材としてカーボンブラックおよび黒鉛を含有したゴムまたは熱可塑性エラストマーの発泡体からなる(1)〜(6)のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁波シールド発泡体は、素材材料にカーボンブラックおよび黒鉛を添加し、発泡剤にて発泡させたものである。素材材料としては、例えばゴム、熱可塑性エラストマー、各種プラスチックなどの高分子材料が挙げられる。前記ゴムとしては、例えば天然ゴムのほか、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレンープロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、シリコンゴム、EVA、ハイパロンなどの合成ゴム単独、もしくはこれらのゴムを各種変性処理にて改質したものが挙げられる。また、これらのゴムは単独で使用するほか、複数をブレンドして用いることができる。ゴムには、加硫剤のほか、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤などの従来からゴムの配合剤として使用されていたものを適宜配合することができる。
【0012】
熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0013】
さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、ポリスルホン、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0014】
前記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが挙げられ、特に窒素吸着比表面積(ASTM D3037‐93)が150〜1000m2/g、DBP吸油量(ASTM D2414‐96)が120〜400ml/100gであるカーボンブラック、例えばライオン・アクゾー社製のケッチェンブラックなどを使用するのが好ましい。
【0015】
前記黒鉛としては、人造黒鉛;鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛などが挙げられる。本発明においては、特に平均粒子径が15μm以上、好ましくは20μm以上である黒鉛が使用される。この場合、平均粒子径の増加に伴って電磁波シールド効果も増大する傾向にあるので、黒鉛の平均粒子径の上限は特に限定されるものではない。これに対して、平均粒子径が15μm未満の場合は、高い電磁波シールド性を得ることができない。
【0016】
前記黒鉛は見掛け密度が0.6g/cm3以下であるのが好ましい。黒鉛の見掛け密度が0.6g/cm3を超える場合は、電磁波シールド性が低下するおそれがある。黒鉛の見掛け密度の下限は、特に限定されるものではない。なお、黒鉛の見掛け密度はJIS M8511に記載の方法にて測定したものである。
また、黒鉛は結晶化度の高いものを使用するのが高い電磁波シールド性を得るうえで好ましい。黒鉛の純度を表す固定炭素分は特に限定されるものではないが、固定炭素分97%以上であるのが好ましい。
【0017】
本発明においては、導電性充填剤としてカーボンブラックと黒鉛とを併用することが必要であって、いずれか一方のみでは高い電磁波シールド性能は得られず、発泡するとシールド性はさらに低下する。
【0018】
本発明における発泡剤としては、通常の化学発泡剤、物理発泡剤がいずれも使用可能である。化学発泡剤には熱分解型および反応型の有機系発泡剤ならびに無機系発泡剤が包含される。
前記熱分解型の有機系発泡剤としては、例えば各種のアゾ化合物(アゾジカルボンアミドなど)、ニトロソ化合物(N,N‘−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど)、ヒドラジン誘導体(4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)など)、セミカルバジド化合物(ヒドラゾジカルボンアミドなど)、アジド化合物、テトラゾール化合物などが挙げられ、反応型の有機系発泡剤としては、例えばイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0019】
熱分解型の無機系発泡剤としては、例えば重炭酸塩・炭酸塩(炭酸水素ナトリウムなど)、亜硝酸塩・水素化物などが挙げられ、反応型の無機系発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウムと酸との組み合わせ、過酸化水素とイースト菌との組み合わせ、亜鉛粉末と酸との組み合わせなどが挙げられる。
【0020】
物理発泡剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロメタンなどの塩化炭素水素類、フロンなどのフッ化塩化炭化水素類などの有機系物理発泡剤;空気、炭酸ガス、窒素ガスなどの無機系物理発泡剤などが挙げられる。
【0021】
発泡剤が化学発泡剤もしくは物理発泡剤である場合において、基材100重量部に対する導電性充填材の配合量は90〜145重量部、好ましくは95〜130重量部であるのがよい。導電性充填材の配合量が上記範囲を下回る場合はもとより、上記範囲を超えると、発泡した際に電磁波シールド性能が低下し、さらに加工性も低下するおそれがある。導電性充填材のうち、カーボンブラックは、基材100重量部に対して20〜55重量部、好ましくは25〜45重量部であるのがよい。また、黒鉛は、基材100重量部に対して40〜140重量部、好ましくは50〜80重量部であるのがよい。
【0022】
また、基材100重量部に対する前記化学発泡剤もしくは物理発泡剤の配合量は、使用する発泡剤の種類によって異なるが、通常1〜15重量部、好ましくは1〜10重量部であるのがよい。発泡剤の配合量がこの範囲を下回る場合には柔軟性および加工性が低下するおそれがあり、逆に上記範囲を超える場合には電磁波シールド性能が低下するおそれがある。この場合、発泡体を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させる場合の発泡倍率は限定されるものではないが、1.1〜3倍がよく、1.4〜3倍がより好ましい。
【0023】
また、他の発泡剤として、マイクロバルーン発泡剤を使用することができる。マイクロバルーン発泡剤とは、熱可塑性または熱硬化性樹脂で作られたポリマー殻の内部に、固体、液体または気体からなる加熱膨張性物質を封入したものである。このマイクロバルーン発泡剤は加熱によって体積が40倍以上も膨張し、独立気泡形式の発泡体が得られる。
【0024】
従って、マイクロバルーン発泡剤は、通常の発泡剤に比べて、発泡倍率がかなり大きくなるという特性を有する。通常の発泡剤とマイクロバルーン発泡剤とを比較すると、マイクロバルーン発泡剤を使用した場合には、通常の発泡剤よりも高い発泡倍率で、通常の発泡剤を使用した場合とほぼ同等のシールド性を得ることができる。このため、製造コストの低減および発泡体の軽量化が可能となる。マイクロバルーン発泡剤を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させる場合の発泡倍率は1.5〜8倍がよく、2〜6倍がより好ましい。
【0025】
発泡剤としてマイクロバルーン発泡剤を使用する場合、基材100重量部に対して、前記導電性充填材は90〜180重量部、好ましくは95〜170重量部がよい。その際、基材100重量部に対してカーボンブラックは20〜55重量部、好ましくは25〜45重量部がよく、黒鉛は40〜140重量部、好ましくは50〜120重量部とするのがよい。また、マイクロバルーン発泡剤は基材100重量部に対して1〜15重量部を、好ましくは1〜10重量部がよい。
【0026】
本発明においては、導電性充填剤として、上記カーボンブラックおよび黒鉛に加えて、導電性繊維を使用してもよく、これにより電磁波シールド性をより向上させることができる。このような導電性繊維としては、例えばカーボン繊維、黒鉛繊維、金属繊維(例えばステンレス鋼繊維、アルミニウム繊維、ニッケル繊維、銅繊維)などが挙げられる。導電性繊維は平均繊維長が10μm〜10mm程度であるのがよい。また、導電性繊維は、材料素材100重量部に対して0〜20重量部の割合で含有される。
【0027】
材料素材としてゴムを用いた場合、本発明の電磁波シールド発泡体は、原料ゴムにカーボンブラック、黒鉛および発泡剤を含む各種配合剤を加え、混練した後、シートなどに成形し、所定形状に加硫・発泡を行って製造される。加硫・発泡温度は特に限定されるものではないが、通常120〜170℃であるのがよい。
【0028】
また、熱可塑性エラストマーやプラスチックの場合、本発明の電磁波シールド発泡体は、原料となる熱可塑性エラストマーやプラスチック材料にカーボンブラック、黒鉛および発泡剤を含む各種配合剤を加え、射出成形、押出成形などの任意な成形手段にて所定形状に発泡成形して製造される。また、型内で加熱発泡させてもよい。発泡時の加熱温度は特に限定されるものではないが、通常120〜170℃であるのがよい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の電磁波シールド発泡体を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
カーボンブラック、黒鉛および有機発泡剤を含む各配合成分を表1に示す割合でクロロプレンゴムに混合し混練した後、厚さ3mmにシーティングし、ついでプレスにて150℃で20分間加硫・発泡を行って試料No.1a〜13aを得た。
表1において、使用した配合成分のうち商品名で表したものの詳細は以下の通りである。表1に示す配合量は重量部で表した。
(1)ネオプレンGW:デュポンダウエラストマー社製のクロロプレンゴム
(2)ノクラックMB:大内新興化学社製の老化防止剤
(3)ケッチェンブラックEC:ライオン・アクゾー社製のカーボンブラック(窒素吸着比表面積800m2/g、DBP吸油量365ml/100g)
(4)黒鉛CB100:日本黒鉛工業(株)製の黒鉛(平均粒径80μm、見掛け密度0.36g/cm3)
(5)NCL22:谷口石油社製の可塑剤
(6)ノクセラーTMU:大内新興化学社製の加硫助剤
(7)ネオセルボンN#1000S:永和化成社製の熱分解型発泡剤[4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)]
【表1】
得られた各試料について、KEC法に規定される電界シールド効果評価装置を使用して、周波数1GHzでの電磁波シールド性を評価した。その結果を表2に示す。表2に示す電磁波シールド効果は、試料に対する入射電磁波と透過電磁波の強さの比を受信電力の比(減衰量:単位dB)で表したものである。また、表2には各試料の発泡倍率も併せて示す。発泡倍率は式:発泡倍率=(コンパウンド比重/発泡体比重)×100から求めた。柔軟性(硬度)に関しては、高分子計器社製のデュアロメーター(タイプA)で測定を行った。
【表2】
表2に示されるように、カーボンブラックおよび黒鉛のいずれかを欠くときも高い電磁波シールド効果は得られない(試料No.1a〜4a)のに対して、これらを含有した発泡体は発泡倍率が高くても充分に高い電磁波シールド効果が得られていることがわかる。また、化学発泡剤を用いた場合、非発泡体(試料No.7a、10a、13a)では硬度が高いのに対して、本発明の電磁波シールド発泡体は比較的硬度が低く、柔軟性に富んでいることが分かる。
【0031】
実施例2
カーボンブラック、黒鉛およびマイクロバルーン発泡剤を含む各配合成分を表3に示す割合でクロロプレンゴムに混合し混練した後、厚さ3mmにシーティングし、ついでプレスにて150℃で20分間加硫・発泡を行って試料No.1b〜12bを得た。
【表3】
ここでいうマイクロバルーン発泡剤とは、熱可塑性樹脂のポリマー殻を有する「エクスパンセル009DU−80」(AKZONOBEL社製の熱可塑性発泡マイクロスフェア、平均粒径:20〜24μm)である。得られた各試料の発泡体について、実施例1と同様にして発泡率および電磁波シールド性を調べた。その結果を表4に示す。
【表4】
表3に示されるように、カーボンブラックおよび黒鉛のいずれかを欠くときも高い電磁波シールド効果は得られない(試料No.1b〜4b)のに対して、これらを含有した発泡体は発泡倍率が高くても充分に高い電磁波シールド効果が得られていることがわかる。また、有機発泡剤とマイクロバルーン発泡剤とでは、同じ配合量であっても、後者のほうが高い発泡倍率が得られ、かつ電磁波シールド効果もほぼ同程度であることがわかる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド発泡体は、カーボンブラックおよび黒鉛を含有しているので、高い電磁波シールド性を有し、しかも発泡体であるから柔軟性および加工性にも優れ、かつ非発泡体に比べて低コストで製造できるという効果がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を遮断するための電磁波シールド発泡体に関する。
【従来の技術】
【0002】
電磁波から電子機器等をシールド(遮蔽)するために、電磁波シールド材で電子機器等を被覆することが行われている。電磁波シールド材が有する電磁波シールド性能に関しては、周波数範囲30MHz〜1000MHzにおける電磁波シールドの性能レベルとして、0〜10dBでは電磁波シールド性能がほとんどなく、10〜30dBで電磁波シールドといえる対応が可能となり、30〜60dBで中位の障害への対応が可能であるとされ、60〜90dBでほとんどの障害に対応が可能であり、90dB以上で最も優れた電磁波シールドを有すると分類されている。このことにより電磁波シールド材として用いられるためには、20dB以上、できれば30dB以上のシールド性を有する必要があるといえる。
【0003】
電磁波ノイズ対策部品として、電磁波シールドガスケットがある。この電磁波シールドガスケットは、パッキン状及び押出成型によるもの等多くの種類があるが、その中で電波暗室の扉部分等にクッション性を有する電磁波シールド材として発泡体が用いられる。その性能として、電磁波シールド特性と柔軟性が求められる。
【0004】
電磁波シールド性能を向上させるためには、電磁波シールド材に導電性に優れた材料を使用するのがよく、このため導電性に優れた金属が電磁波シールド材として従来から広く使用されている。しかし、金属は重く、かつ加工性、量産性に難点があった。
【0005】
一方、プラスチック材料やゴム材料に金属紛やカーボン系充填剤を配合して、導電性を付与した電磁波シールド材が開発されている。しかし、この電磁波シールド材は、金属紛やカーボン系充填剤を多量に配合されているために、硬度が非常に高く、柔軟性および加工性に乏しいという問題がある。
【0006】
一般に、プラスチックやゴムに柔軟性を付与するためには、これらに発泡剤を添加して発泡させることが行われているが、金属紛やカーボン系充填剤を多量に配合した場合には発泡が困難であり、また硬度が非常に高くなって柔軟性に富んだ発泡体を得ることはできない。一方、発泡倍率が高い、若しくは連泡構造が多くなると、シールド性能が低下するという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、特開2001−94287では、導電性基材の表面に導電性発泡層を設けた電磁波シールドガスケットが開示されている。しかし、この電磁波シールドガスケットは、導電性基材と導電性発泡層との複合材料であることから、製造工程が増える、製造コストが高くなるなどの問題があるほか、発泡時の寸法変化を考慮すると発泡層の一体加硫成形は困難である。また、導電性発泡体単独で、柔軟性と高いシールド性とを併せ持つものは得られていないのが実情であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、柔軟性および加工性に優れ、しかも高い電磁波シールド性を有する電磁波シールド発泡体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、黒鉛とカーボンブラックとを組み合わせた特定の導電性充填剤をゴム材料や熱可塑性エラストマー材料に配合し、これを発泡させる場合には、高い電磁波シールド性を有する柔軟な電磁波シールド発泡体が低コストで得られるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の電磁波シールド発泡体は、以下の構成からなる。
(1)導電性充填材としてカーボンブラックおよび黒鉛を含有し、発泡剤にて発泡されていることを特徴とする電磁波シールド発泡体。
(2)前記発泡剤が化学発泡剤もしくは物理発泡剤、またはマイクロバルーン発泡剤である(1)記載の電磁波シールド発泡体。
(3)前記発泡剤が化学発泡剤もしくは物理発泡剤である場合において、基材100重量部に対して、導電性充填材90〜145重量部(ただし、基材100重量部に対してカーボンブラック20〜55重量部、黒鉛40〜140重量部とする。)および化学発泡剤もしくは物理発泡剤1〜15重量部を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させて得られる(1)記載の電磁波シールド発泡体。
(4)前記発泡剤がマイクロバルーン発泡剤である場合において、基材100重量部に対して、前記導電性充填材90〜180重量部(ただし、基材100重量部に対してカーボンブラック20〜55重量部、黒鉛40〜140重量部とする。)およびマイクロバルーン発泡剤1〜10重量部を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させて得られる(1)記載の電磁波シールド発泡体。
(5)前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が150〜1000m2/g、DBP吸油量が120〜400ml/100gである(1)〜(4)のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
(6)前記黒鉛は、平均粒子径15μm以上、見掛け密度0.6g/cm3以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
(7)導電性充填材としてカーボンブラックおよび黒鉛を含有したゴムまたは熱可塑性エラストマーの発泡体からなる(1)〜(6)のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁波シールド発泡体は、素材材料にカーボンブラックおよび黒鉛を添加し、発泡剤にて発泡させたものである。素材材料としては、例えばゴム、熱可塑性エラストマー、各種プラスチックなどの高分子材料が挙げられる。前記ゴムとしては、例えば天然ゴムのほか、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレンープロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、シリコンゴム、EVA、ハイパロンなどの合成ゴム単独、もしくはこれらのゴムを各種変性処理にて改質したものが挙げられる。また、これらのゴムは単独で使用するほか、複数をブレンドして用いることができる。ゴムには、加硫剤のほか、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤などの従来からゴムの配合剤として使用されていたものを適宜配合することができる。
【0012】
熱可塑性エラストマーとしては、例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0013】
さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、ポリスルホン、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0014】
前記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが挙げられ、特に窒素吸着比表面積(ASTM D3037‐93)が150〜1000m2/g、DBP吸油量(ASTM D2414‐96)が120〜400ml/100gであるカーボンブラック、例えばライオン・アクゾー社製のケッチェンブラックなどを使用するのが好ましい。
【0015】
前記黒鉛としては、人造黒鉛;鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛などが挙げられる。本発明においては、特に平均粒子径が15μm以上、好ましくは20μm以上である黒鉛が使用される。この場合、平均粒子径の増加に伴って電磁波シールド効果も増大する傾向にあるので、黒鉛の平均粒子径の上限は特に限定されるものではない。これに対して、平均粒子径が15μm未満の場合は、高い電磁波シールド性を得ることができない。
【0016】
前記黒鉛は見掛け密度が0.6g/cm3以下であるのが好ましい。黒鉛の見掛け密度が0.6g/cm3を超える場合は、電磁波シールド性が低下するおそれがある。黒鉛の見掛け密度の下限は、特に限定されるものではない。なお、黒鉛の見掛け密度はJIS M8511に記載の方法にて測定したものである。
また、黒鉛は結晶化度の高いものを使用するのが高い電磁波シールド性を得るうえで好ましい。黒鉛の純度を表す固定炭素分は特に限定されるものではないが、固定炭素分97%以上であるのが好ましい。
【0017】
本発明においては、導電性充填剤としてカーボンブラックと黒鉛とを併用することが必要であって、いずれか一方のみでは高い電磁波シールド性能は得られず、発泡するとシールド性はさらに低下する。
【0018】
本発明における発泡剤としては、通常の化学発泡剤、物理発泡剤がいずれも使用可能である。化学発泡剤には熱分解型および反応型の有機系発泡剤ならびに無機系発泡剤が包含される。
前記熱分解型の有機系発泡剤としては、例えば各種のアゾ化合物(アゾジカルボンアミドなど)、ニトロソ化合物(N,N‘−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど)、ヒドラジン誘導体(4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)など)、セミカルバジド化合物(ヒドラゾジカルボンアミドなど)、アジド化合物、テトラゾール化合物などが挙げられ、反応型の有機系発泡剤としては、例えばイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0019】
熱分解型の無機系発泡剤としては、例えば重炭酸塩・炭酸塩(炭酸水素ナトリウムなど)、亜硝酸塩・水素化物などが挙げられ、反応型の無機系発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウムと酸との組み合わせ、過酸化水素とイースト菌との組み合わせ、亜鉛粉末と酸との組み合わせなどが挙げられる。
【0020】
物理発泡剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロメタンなどの塩化炭素水素類、フロンなどのフッ化塩化炭化水素類などの有機系物理発泡剤;空気、炭酸ガス、窒素ガスなどの無機系物理発泡剤などが挙げられる。
【0021】
発泡剤が化学発泡剤もしくは物理発泡剤である場合において、基材100重量部に対する導電性充填材の配合量は90〜145重量部、好ましくは95〜130重量部であるのがよい。導電性充填材の配合量が上記範囲を下回る場合はもとより、上記範囲を超えると、発泡した際に電磁波シールド性能が低下し、さらに加工性も低下するおそれがある。導電性充填材のうち、カーボンブラックは、基材100重量部に対して20〜55重量部、好ましくは25〜45重量部であるのがよい。また、黒鉛は、基材100重量部に対して40〜140重量部、好ましくは50〜80重量部であるのがよい。
【0022】
また、基材100重量部に対する前記化学発泡剤もしくは物理発泡剤の配合量は、使用する発泡剤の種類によって異なるが、通常1〜15重量部、好ましくは1〜10重量部であるのがよい。発泡剤の配合量がこの範囲を下回る場合には柔軟性および加工性が低下するおそれがあり、逆に上記範囲を超える場合には電磁波シールド性能が低下するおそれがある。この場合、発泡体を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させる場合の発泡倍率は限定されるものではないが、1.1〜3倍がよく、1.4〜3倍がより好ましい。
【0023】
また、他の発泡剤として、マイクロバルーン発泡剤を使用することができる。マイクロバルーン発泡剤とは、熱可塑性または熱硬化性樹脂で作られたポリマー殻の内部に、固体、液体または気体からなる加熱膨張性物質を封入したものである。このマイクロバルーン発泡剤は加熱によって体積が40倍以上も膨張し、独立気泡形式の発泡体が得られる。
【0024】
従って、マイクロバルーン発泡剤は、通常の発泡剤に比べて、発泡倍率がかなり大きくなるという特性を有する。通常の発泡剤とマイクロバルーン発泡剤とを比較すると、マイクロバルーン発泡剤を使用した場合には、通常の発泡剤よりも高い発泡倍率で、通常の発泡剤を使用した場合とほぼ同等のシールド性を得ることができる。このため、製造コストの低減および発泡体の軽量化が可能となる。マイクロバルーン発泡剤を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させる場合の発泡倍率は1.5〜8倍がよく、2〜6倍がより好ましい。
【0025】
発泡剤としてマイクロバルーン発泡剤を使用する場合、基材100重量部に対して、前記導電性充填材は90〜180重量部、好ましくは95〜170重量部がよい。その際、基材100重量部に対してカーボンブラックは20〜55重量部、好ましくは25〜45重量部がよく、黒鉛は40〜140重量部、好ましくは50〜120重量部とするのがよい。また、マイクロバルーン発泡剤は基材100重量部に対して1〜15重量部を、好ましくは1〜10重量部がよい。
【0026】
本発明においては、導電性充填剤として、上記カーボンブラックおよび黒鉛に加えて、導電性繊維を使用してもよく、これにより電磁波シールド性をより向上させることができる。このような導電性繊維としては、例えばカーボン繊維、黒鉛繊維、金属繊維(例えばステンレス鋼繊維、アルミニウム繊維、ニッケル繊維、銅繊維)などが挙げられる。導電性繊維は平均繊維長が10μm〜10mm程度であるのがよい。また、導電性繊維は、材料素材100重量部に対して0〜20重量部の割合で含有される。
【0027】
材料素材としてゴムを用いた場合、本発明の電磁波シールド発泡体は、原料ゴムにカーボンブラック、黒鉛および発泡剤を含む各種配合剤を加え、混練した後、シートなどに成形し、所定形状に加硫・発泡を行って製造される。加硫・発泡温度は特に限定されるものではないが、通常120〜170℃であるのがよい。
【0028】
また、熱可塑性エラストマーやプラスチックの場合、本発明の電磁波シールド発泡体は、原料となる熱可塑性エラストマーやプラスチック材料にカーボンブラック、黒鉛および発泡剤を含む各種配合剤を加え、射出成形、押出成形などの任意な成形手段にて所定形状に発泡成形して製造される。また、型内で加熱発泡させてもよい。発泡時の加熱温度は特に限定されるものではないが、通常120〜170℃であるのがよい。
【0029】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の電磁波シールド発泡体を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】
実施例1
カーボンブラック、黒鉛および有機発泡剤を含む各配合成分を表1に示す割合でクロロプレンゴムに混合し混練した後、厚さ3mmにシーティングし、ついでプレスにて150℃で20分間加硫・発泡を行って試料No.1a〜13aを得た。
表1において、使用した配合成分のうち商品名で表したものの詳細は以下の通りである。表1に示す配合量は重量部で表した。
(1)ネオプレンGW:デュポンダウエラストマー社製のクロロプレンゴム
(2)ノクラックMB:大内新興化学社製の老化防止剤
(3)ケッチェンブラックEC:ライオン・アクゾー社製のカーボンブラック(窒素吸着比表面積800m2/g、DBP吸油量365ml/100g)
(4)黒鉛CB100:日本黒鉛工業(株)製の黒鉛(平均粒径80μm、見掛け密度0.36g/cm3)
(5)NCL22:谷口石油社製の可塑剤
(6)ノクセラーTMU:大内新興化学社製の加硫助剤
(7)ネオセルボンN#1000S:永和化成社製の熱分解型発泡剤[4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)]
【表1】
得られた各試料について、KEC法に規定される電界シールド効果評価装置を使用して、周波数1GHzでの電磁波シールド性を評価した。その結果を表2に示す。表2に示す電磁波シールド効果は、試料に対する入射電磁波と透過電磁波の強さの比を受信電力の比(減衰量:単位dB)で表したものである。また、表2には各試料の発泡倍率も併せて示す。発泡倍率は式:発泡倍率=(コンパウンド比重/発泡体比重)×100から求めた。柔軟性(硬度)に関しては、高分子計器社製のデュアロメーター(タイプA)で測定を行った。
【表2】
表2に示されるように、カーボンブラックおよび黒鉛のいずれかを欠くときも高い電磁波シールド効果は得られない(試料No.1a〜4a)のに対して、これらを含有した発泡体は発泡倍率が高くても充分に高い電磁波シールド効果が得られていることがわかる。また、化学発泡剤を用いた場合、非発泡体(試料No.7a、10a、13a)では硬度が高いのに対して、本発明の電磁波シールド発泡体は比較的硬度が低く、柔軟性に富んでいることが分かる。
【0031】
実施例2
カーボンブラック、黒鉛およびマイクロバルーン発泡剤を含む各配合成分を表3に示す割合でクロロプレンゴムに混合し混練した後、厚さ3mmにシーティングし、ついでプレスにて150℃で20分間加硫・発泡を行って試料No.1b〜12bを得た。
【表3】
ここでいうマイクロバルーン発泡剤とは、熱可塑性樹脂のポリマー殻を有する「エクスパンセル009DU−80」(AKZONOBEL社製の熱可塑性発泡マイクロスフェア、平均粒径:20〜24μm)である。得られた各試料の発泡体について、実施例1と同様にして発泡率および電磁波シールド性を調べた。その結果を表4に示す。
【表4】
表3に示されるように、カーボンブラックおよび黒鉛のいずれかを欠くときも高い電磁波シールド効果は得られない(試料No.1b〜4b)のに対して、これらを含有した発泡体は発泡倍率が高くても充分に高い電磁波シールド効果が得られていることがわかる。また、有機発泡剤とマイクロバルーン発泡剤とでは、同じ配合量であっても、後者のほうが高い発泡倍率が得られ、かつ電磁波シールド効果もほぼ同程度であることがわかる。
【0032】
【発明の効果】
本発明の電磁波シールド発泡体は、カーボンブラックおよび黒鉛を含有しているので、高い電磁波シールド性を有し、しかも発泡体であるから柔軟性および加工性にも優れ、かつ非発泡体に比べて低コストで製造できるという効果がある。
Claims (7)
- 導電性充填材としてカーボンブラックおよび黒鉛を含有し、発泡剤にて発泡されていることを特徴とする電磁波シールド発泡体。
- 前記発泡剤が化学発泡剤もしくは物理発泡剤、またはマイクロバルーン発泡剤である請求項1記載の電磁波シールド発泡体。
- 前記発泡剤が化学発泡剤もしくは物理発泡剤である場合において、基材100重量部に対して、導電性充填材90〜145重量部(ただし、基材100重量部に対してカーボンブラック20〜55重量部、黒鉛40〜140重量部とする。)および化学発泡剤もしくは物理発泡剤1〜15重量部を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させて得られる請求項1記載の電磁波シールド発泡体。
- 前記発泡剤がマイクロバルーン発泡剤である場合において、基材100重量部に対して、前記導電性充填材90〜180重量部(ただし、基材100重量部に対してカーボンブラック20〜55重量部、黒鉛40〜140重量部とする。)およびマイクロバルーン発泡剤1〜10重量部を含有した発泡性電磁波シールド組成物を発泡させて得られる請求項1記載の電磁波シールド発泡体。
- 前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が150〜1000m2/g、DBP吸油量が120〜400ml/100gである請求項1〜4のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
- 前記黒鉛は、平均粒子径15μm以上、見掛け密度0.6g/cm3以下である請求項1〜5のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
- 導電性充填材としてカーボンブラックおよび黒鉛を含有したゴムまたは熱可塑性エラストマーの発泡体からなる請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波シールド発泡体。
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2002
- 2002-05-31 JP JP2002160606A patent/JP2004002567A/ja active Pending
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