JP5186110B2 - 比誘電率の制御方法、誘電体、携帯電話機及び人体ファントムモデル - Google Patents

比誘電率の制御方法、誘電体、携帯電話機及び人体ファントムモデル Download PDF

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Description

本発明は、誘電体の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値を制御する比誘電率の制御方法、誘電体、携帯電話機及び人体ファントムモデルに関し、より詳細には、誘電体の複素比誘電率の実数部と虚数部の値を制御することによって、所望の比誘電率を得ることが可能な比誘電率の制御方法、該方法を利用し、所望の比誘電率を有することが可能な誘電体及びこのような誘電体を利用し、アンテナ放射効率を向上させることが可能な携帯電話機、人体の各部位が有する比誘電率に近い比誘電率を有する人体ファントムモデルを得ることが可能な人体ファントムモデルに関する。
従来より、電磁波による人体への影響を抑え、且つアンテナ放射効率も向上させた携帯電話機の開発が望まれており、本発明者の先の出願に係る特許文献1には、厚みが1mm以下のシート状の誘電体であって、その比誘電率の実数部と虚数部の値の組み合わせが所定領域に属するものを備えた携帯電話機が開示されている。
特開2004−153807号公報
しかしながら、従来の誘電体では、誘電体の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値を制御することは困難であり、特に、セラミックス系の誘電体では、複素比誘電率εの虚数部の値をε”、実数部の値をε’とすると、ε”≒数10が限界であった。
一方、人体が、伝送路を遮蔽した場合や、アンテナが人体近傍に設置された場合の電波伝搬特性を実験的に解明するには、人体の電気特性を模擬したファントムが必要であり、医療分野においては、従来より、電磁波による医療行為が行われている。このような医療行為を行う場合、事前に、電磁波を当てた場合の温度分布を調べたり、治療効果が得られるような電磁波の設定などを決定するために、人の各部位の比誘電率に合わせた素材からなる人体ファントムモデルを用いてシミュレーションすることが行われている。このような人体ファントムモデルの素材として、従来は、液体、セラミックスが使用されていた。しかしながら、液体の場合、水分の蒸発によって組成が変化してしまうため、使用の度に作り変えなければならなかった。一方、セラミックスの場合、重たいのみならず、硬く、可とう性もないため、取り扱い難いという問題があった。そこで、このような問題のなく、また、人体の各部位の比誘電率に合わせた比誘電率が得られるような新しい素材の開発が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、誘電体の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値を制御できる比誘電率の制御方法を提供することを目的とする。また、本発明は、比誘電率と、吸収・反射・透過の理論を達成させるために、上記比誘電率の制御方法を利用し、所望の比誘電率を得ることができる誘電体、特に人の各部位の比誘電率に合わせた比誘電率を有することも可能な誘電体及び所望の比誘電率を得ることが可能な誘電体を電磁波制御体として装着した携帯電話機、所望の比誘電率を得ることが可能な誘電体を素材とした人体ファントムモデルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、高分子基材中にカーボン材料が分散した誘電性素材の場合、カーボン材料の中でも特に球状カーボン(球状グラファイト)、扁平状カーボン(扁平状グラファイト)、アスペクト比が小さいカーボン繊維(グラファイト繊維)、カーボンナノチューブから選ばれるカーボン類と、ストラクチャーの発達した導電性カーボンとを併用すると、それぞれの配合量、配合比を変化させることによって、複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値とを広い領域で制御することが可能となり、所望の比誘電率が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、(1)高分子基材中にカーボン材料を分散させた誘電体の比誘電率を制御する方法であって、上記カーボン材料として、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ及びアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、ASTM D 2414−79に準じて測定したDBP吸油量が100cm /100g以上、700cm /100g以下であり、BET比表面積が30m /g以上、3000m /g以下であるストラクチャーの発達した導電性カーボンとを併用し、上記高分子基材中への上記カーボン類の配合量と上記導電性カーボンの配合量によって上記誘電体の複素比誘電率の実数部の値(ε’)と虚数部の値(ε”)を制御することを特徴とする比誘電率の制御方法を提供する。ここで、上記(1)記載の制御方法が、上記カーボン類と上記導電性カーボンの合計配合量と、上記カーボン類と上記導電性カーボンとの配合比率が変化するように、上記カーボン類の配合量と上記導電性カーボンの配合量の少なくとも一方を変化させることによって、上記誘電体の複素比誘電率の実数部の値(ε’)と虚数部の値(ε”)を制御すると共に、誘電損失(tanδ)=ε”/ε’を制御する制御方法であると、より好適である。また、上記(1)記載の制御方法が、上記カーボン類と上記導電性カーボンとの配合比率が変化するように、上記カーボン類の配合量と上記導電性カーボンの配合量を変化させることによって、上記誘電体の誘電損失(tanδ)=ε”/ε’を変化させて、複素比誘電率の実数部の値(ε’)と虚数部の値(ε”)を制御する制御方法であっても、より好適である。
更に、本発明は、(2)高分子基材中に、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ及びアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、ASTM D 2414−79に準じて測定したDBP吸油量が100cm /100g以上、700cm /100g以下であり、BET比表面積が30m /g以上、3000m /g以下であるストラクチャーの発達した導電性カーボンとを配合してなる誘電体であって、上記(1)記載の比誘電率の制御方法により上記誘電体の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値が制御されたことを特徴とする誘電体を提供する。ここで、上記(2)記載の誘電体が、人体ファントムモデル用素材であると、より好適である。また、本発明は、(3)上記(2)記載の誘電体を装着したことを特徴とする携帯電話機、及び(4)上記(2)記載の誘電体を素材とすることを特徴とする人体ファントムモデルを提供する。
本発明の比誘電率の制御方法によれば、複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値を高いレベルで制御することが可能となる。従って、所望の比誘電率を有する誘電体を得ることが可能となり、例えば人体の各部位に合わせた比誘電率を有する誘電体を製造することも可能なことから、従来のものより軽量化されており、可とう性があって、取り扱い易い人体ファントムモデル用素材を得ることも可能となる。また、このような誘電体を携帯電話機の電磁波制御体として利用することによって、携帯電話機のアンテナ放射効率を向上させることも可能となる。更に、人体の各部位に合わせた比誘電率を有する人体ファントムモデルを得ることが可能となる。
本発明の実施例1〜6及び比較例1〜8の結果を示すグラフである。 本発明の実施例1〜5におけるカーボン材料合計量に対する導電性カーボンの配合比率と誘電損失との関係を示すグラフである。 本発明の実施例1〜3、5、6の結果を示すグラフである。 本発明の実施例7〜10及び比較例11〜15の結果を示すグラフである。 本発明の実施例7〜10におけるカーボン材料合計量に対する導電性カーボンの配合比率と誘電損失との関係を示すグラフである。 本発明の携帯電話機の一構成例を説明する携帯電話機の概略上面図である。
符号の説明
1 携帯電話機
7 誘電体
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の比誘電率の制御方法は、誘電体の高分子基材中に分散させるカーボン材料として、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ又はアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれる1種以上のカーボン類と、ストラクチャーの発達した導電性カーボンとを併用し、これらの高分子基材中への配合量を変化させることによって、換言すれば、これらの配合比率によって、複素被誘電率の実数部の値と虚数部の値を制御するものであり、より具体的には、例えば後述する実施例に示すように、上記カーボン類と導電性カーボンとを併用した誘電体において、これらの配合量を変化させることによって、様々な複素比誘電率の実数部の値(ε’)、虚数部の値(ε”)を有する誘電体が得られ、例えば真球状グラファイト(カーボン類)と導電性カーボンとを併用した誘電体において、図1のグラフに示すように広い範囲の実数部の値(ε’)、虚数部の値(ε”)を有する誘電体を得ることが可能となる。本発明の制御方法は、例えば上記カーボン類と導電性カーボンの合計配合量(上記カーボン材料の合計配合量)と、上記カーボン材料における上記カーボン類と導電性カーボンとの配合比率が変化するように、上記カーボン類の配合量と導電性カーボン類の配合量の少なくとも一方の配合量を変化させることによって、複素被誘電率の実数部の値と虚数部の値を高いレベルで制御することができ、それぞれの値そのもの(ε’、ε”)をそれぞれ制御すると共に、これらの値の比率の指標である誘電損失(tanδ)=ε”/ε’を広い範囲で制御することができる。より具体的には、例えば後述する実施例に示すように、真球状グラファイト(カーボン類)と導電性カーボンとを併用した誘電体において、導電性カーボンの配合量を一定とし、真球状グラファイトの配合量を増加して、カーボン材料の合計配合量とカーボン材料全体又は導電性カーボンに対する真球状グラファイトの配合比率を増加させていくと、得られる誘電体の複素比誘電率の実数部の値(ε’)が優先的に増加していく傾向を示し、誘電損失(tanδ)=ε”/ε’は減少していく傾向を示す。一方、真球状グラファイトの配合量を一定にして、導電性カーボンの配合量を増加して、カーボン材料の合計配合量とカーボン材料全体又は真球状グラファイトに対する導電性カーボンの配合比率を増加させると、得られる誘電体の複素比誘電率の実数部の値(ε’)、虚数部の値(ε”)は、いずれも増加するが、虚数部の値(ε”)の方が優先的に増加する傾向を示し、誘電損失(tanδ)=ε”/ε’も増加する傾向を示す。そして、真球状グラフィイトと導電性カーボンの合計配合量、これらの配合比率が変化するように、これら両方の配合量を変化させることによって、広い範囲の複素被誘電率の実数部の値と虚数部の値、誘電損失を有する誘電体を得ることができる。従って、この制御方法によれば、実数部、虚数部の値そのもの(ε’、ε”)、これらの値の比率の指標である誘電損失を広い範囲で制御することができる。
また、本発明の制御方法によれば、カーボン材料におけるカーボン類と導電性カーボンとの配合比率が変化するように、カーボン類の配合量と導電性カーボンの配合量を変化させることによって、例えば、カーボン類と導電性カーボンとの合計配合量(上記カーボン材料の合計配合量)を変化させなくても、上記誘電体の誘電損失(tanδ)=ε”/ε’を変化させて、複素比誘電率の実数部の値(ε’)と虚数部の値(ε”)を制御することもできる。より具体的には、例えば、後述する実施例に示すように、カーボンナノチューブ(カーボン類)と導電性カーボンとを併用した誘電体において、これらの合計配合量が一定となるように、カーボン類の配合量を減少させ、導電性カーボンの配合量を増加させて、これらの合計配合量に対する導電性カーボンの配合比率を増加させてくと、得られる誘電体の複素比誘電率の実数部の値(ε’)の値はほとんど変化しないが、虚数部の値(ε”)は増加していき、誘電損失(tanδ)=ε”/ε’は増加する。従って、この制御方法によれば、例えば、カーボン類と導電性カーボンとの合計配合量を変化させなくても、誘電損失を変化させることができ、例えば、実数部の値をあまり変化させないで、虚数部の値を変化させることも可能となる。
ここで、本発明の高分子基材としては、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、ゴム等の高分子化合物を主材料とするものを好適に用いることができるが、広い範囲で比誘電率を制御するためには、これらの中でもゴムが好ましく、特にシリコーンゴムであれば、更に好ましい。シリコーンゴムとしては、メチルビニルシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等を使用することができる。なお、シリコーンポリマーは、一般的に、シリカを充填して、市販されており、後述する実施例は、そのような、誰もが入手可能なシリコーンコンパウンドを用いた。
本発明は、誘電性、導電性を付与するカーボン材料として、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ及びアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、ストラクチャーの発達した導電性カーボンとを併用するものである。ここで、球状カーボンとしては、例えば、石炭ピッチ系炭素であるメソフェイズ小球体と呼ばれる炭素を熱処理して得られ、メソカーボンマイクロビーズと称されているような球状グラファイト等を挙げることができる。その他、球状カーボン、球状グラファイト、真球状カーボン、真球状グラファイトなどとして市販されている各種球状カーボンも使用することができる。本発明の場合、導電性カーボンと併用するカーボン類の形状が球状に近くなるほど、混合し易く、高充填することも可能となるということを鑑みれば、導電性カーボンと併用する上記カーボン類の中でも、球状カーボンがより好適であり、球状カーボンの中でも、特に真球状グラファイト、真球状カーボンと称されているものがより好適である。
扁平状カーボンとしては、例えば特許文献2に記載されているような鱗片状グラファイト、薄片状天然黒鉛などが挙げられる。
特開2003−105108号公報
カーボンナノチューブは、グラフェンシート(独立した炭素六角網平面)を丸めた円筒状の構造を有するものであればよく、例えば単層ナノチューブ(SWNT(シングルウォールナノチューブ))であっても多層ナノチューブ(MWNT(マルチウォールナノチューブ))であってもカップ積み上げ型ナノチューブ(cup stack nanotube)であってもよい。繊維状炭素材料である炭素繊維とカーボンナノチューブとでは、カーボンナノチューブが上述したように、グラフェンシートを丸めた円筒状の構造をしており、構造が均一であることから電気抵抗が小さい。そして、理論上、電気抵抗が小さいほど誘電率の虚数部が大きくなることから、繊維状炭素材料としては、中でもカーボンナノチューブを使用すると、複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値の制御がより容易となる。アスペクト比が11以下のカーボンブラックとしてはピッチ系の炭素繊維、PAN系の炭素繊維等が挙げられる。なお、アスペクト比は、3〜11であるとより好適である。アスペクト比が大きすぎると、電気的異方性が生じたり、本発明の目的とする比誘電率の制御できる幅が得られなくなったり、安定した制御ができなくなる。なお、アスペクト比が小さすぎると、実際上、カーボン繊維に分類され難くなる場合がある。
本発明のカーボン材料として、上記カーボン類と併用するストラクチャーが発達した導電性カーボンについて、以下説明する。導電性カーボンは、一般的なカーボン材料よりも低添加量で高分子マトリックス中に導電性を付与できるカーボン材料であり、ストラクチャーや多孔度、一次粒子径などの物理的特性がコントロールされている。例えばストラクチャーの発達度を示す値としてDBP吸油量やBET比表面積があり、これらの値が大きい導電性カーボンを用いると、より少量の添加で導電性を付与でき、例えば、複素比誘電率の実数部の値の上昇を小さく抑えながら、虚数部の値を上昇させることも可能となる。具体的には、本発明の導電性カーボンとしては、DBP吸油量が100cm/100g以上であり、より好ましくは160cm/100g以上、更に好ましくは360cm/100g以上のカーボン材料を使用すると好適である。DBP吸油量が小さすぎると、ストラクチャーが十分に発達していない場合があり、導電性が低く、本発明が目的とする誘電率の制御が困難となる場合がある。DBP吸油量の上限は、高分子材料への分散時にストラクチャーが破壊する可能性を考慮すれば、700cm/100g以下である。なお、DBP吸油量は、ASTM D 2414−79に準じて測定することができる。また、BET比表面積としては、30m/g以上であり、より好ましくは65m/g以上、更に好ましくは800m/g以上のカーボン材料を使用すると好適である。BET比表面積は、上記ストラクチャーと相まって導電性を決定付ける因子であり、BET比表面積が小さすぎると、導電性カーボン粒子単体の導電性が高められず、本発明が目的とする誘電率の制御が困難となる場合がある。比表面積の上限は、表面の安定度を考慮すれば、3000m/g以下である。このような導電性カーボンとして、より具体的には、例えばケッチェンブラック、アセチレンブラックなどとして市販されているものが挙げられる。
高分子基材中にカーボン材料を分散させた誘電体の比誘電率を制御しようとする場合、後述する実施例及び比較例で示すように、例えば球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ又はアスペクト比が小さいカーボン繊維の添加だけでは、その配合量を変化させても、複素比誘電率の実数部、虚数部共にほぼ同じ大きさの値となるように変化してしまう。一方、導電性カーボンの添加だけでは、後述する比較例で示すように、その配合量の増加に従って、複素比誘電率の実数部の値は大きく増加するが、それに比べて虚数部の値の増加は小さくなってしまう。これらの場合に比べて、本発明の制御方法では、高分子基材に、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ又はアスペクト比が小さいカーボン繊維と、導電性カーボンとが混合された系で、例えば導電性カーボンの配合量を増やすと、複素比誘電率の虚数部の値が優先的に増加し、例えば0.9GHzにおける複素比誘電率の虚数部の値ε”が100以上の誘電体を得ることも可能となり、また、高分子基材に、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ又はアスペクト比が小さいカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、導電性カーボンとを、これらの合計配合量、配合比率が種々に変化するように、それぞれの配合量を変化させて、混合、添加することで、これら単独では得られない範囲で複素比誘電率の実数部の値、虚数部の値が調整でき、例えば少なくとも後述する実施例1〜6及び比較例1〜8の結果を示す図1のグラフにおいて菱形印を含むように実線で囲まれた範囲内となるように、複素比誘電率の実数部の値、虚数部の値を制御することが可能となり、更に、0.9GHzにおいて、複素比誘電率の実数部の値(ε’)、虚数部の値(ε”)を、例えばε’=3〜1300の範囲でε”=0.2〜1300の範囲内の任意の値となるように制御して、例えば誘電損失(tanδ)を0.1〜2.5となるように制御することも可能となる。
本発明の制御方法の場合、制御する誘電体の複素比誘電率の実数部の値、虚数部の値、即ち、実数部の値、虚数部の値そのもの(ε’、ε”)、誘電損失(tanδ=ε”/ε’)などが特に制限されるものではないが、例えば、人体ファントムモデルとして使用する誘電体における制御を目的とする場合、0.9GHzにおける複素比誘電率の実数部の値が1〜100位の間で、実数部の値と、虚数部の値をそれぞれ所望の値となるように制御できると好適であり、より好ましくは、例えば0.9GHzにおける実数部の値を1〜100位の間のいずれかの数値で、虚数部の値を0.2〜100位の間の任意の値となるように制御でき、例えば誘電損失(tanδ)=0.1〜1となるように制御すると、より好適である。この場合、具体的には、真球状グラファイトと、導電性カーボン(ケッチェンブラック)とを使用する場合、以下のように例示することができる。
即ち、例えば、真球状グラファイト単体の配合により誘電体の誘電率を制御しようとした場合、高分子化合物(シリコーンゴム)100重量部に対して、真球状グラファイト単体150重量部を配合すると、0.9GHzにおける複素比誘電率が、ε’=38、ε”=27、tanδ=0.7の誘電体が得られる。これに対して、更に、導電性カーボンを1重量部添加した場合、0.9GHzにおける複素比誘電率が、ε’=103、ε”=86、tanδ=0.8の誘電体が得られる。また、高分子化合物(シリコーンゴム)100重量部に対して、真球状グラファイト単体100重量部を配合した場合、0.9GHzにおける複素比誘電率が、ε’=16、ε”=7、tanδ=0.4の誘電体が得られる。これに対して、更に、導電性カーボンを3重量部添加すると、0.9GHzにおける複素比誘電率が、ε’=53、ε”=41、tanδ=0.8の誘電体が得られ、導電性カーボンを4重量部添加すると、0.9GHzにおける複素比誘電率が、ε’=100、ε”=90、tanδ=0.9の誘電体が得られ、骨、皮膚、脳、血管などの誘電率となるように制御することができる。
一方、例えば、携帯電話機用として使用する誘電体における制御を目的とする場合、高誘電率の誘電体が望ましいことを考慮すれば、例えば、0.9GHzにおける複素比誘電率の実数部の値が、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは200以上であることが、好適である。複素比誘電率の実数部の値が大きいほど、誘電体の厚さを薄くすることが可能である。例えば、厚さ1mmの誘電体の場合、本発明の制御方法によって、実数部の値が200以下の時は、tanδは1以下程度となるように制御できると好適である。具体的には、例えば、カーボンナノチューブと導電性カーボンとを併用し、これらの合計配合量及び配合比率によって、上記のような携帯電話機用として好適な誘導体が得られるように、誘電体の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値を制御するのであれば、高分子化合物100重量部に対するカーボンナノチューブと導電性カーボンとの合計配合量は10重量部以上が好適であり、カーボンナノチューブと導電性カーボンとの合計配合量に対するカーボンナノチューブの配合比率は50重量%以下が好適である。また、例えば、真球状グラファイトと導電性カーボンとを併用し、これらの合計配合量と配合比率によって、上記のような携帯電話機用として好適な誘導体が得られるように、上記誘導体の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値を制御するのであれば、高分子化合物100重量部に対する真球状グラファイトと導電性カーボンの合計配合量は、75重量部以上が好適であり、真球状グラファイトと導電性カーボンとの合計配合量に対する導電性カーボンの配合比率は、2重量%以上が好適である。
本発明において、上記高分子基材中の上記カーボン材料の合計配合量は特に制限されるものではなく、所望の誘電率によって適宜選定することができる。低い誘電率(比誘電率=ε)を得たい場合は、カーボン材料は非常に少ない合計配合量になり、高い誘電率にしたい場合は、カーボン材料の合計配合量が多くなる。但し、高分子基材中の高分子化合物の割合が小さすぎると、加工性が損なわれる場合があり、高分子化合物の配合量に対する上記カーボン材料の合計配合量が多すぎると、高誘電率は得られるが、加工性が損なわれる場合があることを考慮すると、上記高分子化合物の割合としては、誘電体全重量に対して好ましくは30重量%以上、より好ましくは30〜97重量%、導電性カーボンの配合量としては、高分子化合物100重量部に対して好ましくは20重量部以下、より好ましくは1〜20重量部、また、誘電体全重量に対しては、好ましくは1〜20重量%とすると、より好適である。球状カーボン、扁平状カーボン及びアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれるカーボン類の配合量としては、高分子化合物100重量部に対して好ましくは300重量部以下、より好ましくは2〜300重量部、また、誘電体全重量に対しては、好ましくは2〜70重量%であると、より好適である。更に、カーボンナノチューブの場合、高分子化合物100重量部に対して好ましくは、10重量部以下、より好ましくは、1〜5重量部、また、誘電体全重量に対しては、好ましくは、1〜5重量%であると、より好適である。
以下、本発明の誘電体について説明する。本発明の誘電体は、高分子基材中に、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ及びアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、ストラクチャーの発達した導電性カーボンとを配合してなる誘電体であり、高分子基材、カーボン類、導電性カーボンについては、上述した通りである。本発明の誘電体には、上記高分子化合物、カーボン類、導電性カーボンの他に、例えば金属(アルミニウム、銀等)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等)などを添加することもできる。これらを添加することによって熱伝導性や難燃性が付与される。また更に、例えば発泡剤を添加しても良い。発泡剤を添加することによって、より軽量な素材を得ることができる。発泡剤としては、例えば炭酸ガスやアンモニアガス等の揮発型発泡剤、アゾジカルボンジアミドやジニトロソペンタメチレンテトラミン等の分解型発泡剤、また、有機バルーン、無機バルーンなどを用いることができるが、素材の均一性や安定度などを考慮すると、膨張済みの有機バルーン、膨張済みの無機バルーンを用いると、より好適である。膨張済みの有機バルーン、無機バルーンを添加する場合、その添加量は、特に制限されるものではなく、例えば目的とする比重によって適宜選定することができるが、加工性や成形物の強度などを考慮すると、高分子化合物100重量部に対して有機バルーンが5重量部以下、好ましくは1〜5重量部となるように添加すると、より好適である。また、無機バルーンの場合は、25重量部以下、好ましくは5〜25重量部となるように添加するとより好適であり、勿論、両者併用も可能である。なお、シリコーンゴムの加硫には、有機過酸化物以外、放射線や、付加反応を利用した加硫方法が適用できるのは言うまでもない。特に付加反応を利用したものは、架橋剤としてハイドロジェンポリシロキサンと、触媒として白金錯体および、反応抑制剤として、メチルビニルシクロテトラシロキサンや、アセチレンアルコール類などを少量添加することによって、良好な成形体ができ、低温でも成形体を得ることが可能になる。また、上述したように、シリコーンポリマーは、一般的に、シリカを充填して市販されており、このようなシリコーンコンパウンドも好適に用いることができる。
本発明の誘電体は、上記高分子基材の原料成分となる上記高分子化合物に、硬化剤とカーボン類と必要に応じてその他成分を添加し、ロールやニーダー等を用いて混合した後に、一般的な高分子材料の成形方法で成形できる。一般的な成形方法としては、プレス成形、射出成形、ブロー成形、トランスファー成形等の型成形、押し出し成形、カレンダー成形等で成形することができ、材料が液状であれば、ポッティング、キャスティング、スクリーン印刷などの方法をとることもできる。
本発明の誘電体は、上述したように、高分子基材中に、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ及びアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、ストラクチャーの発達した導電性カーボンとを配合したものであるので、本発明の制御方法と同様に、複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値を制御することが可能となる。また、本発明の誘電体によれば、0.9GHzにおいて、複素比誘電率の実数部の値(ε’)、虚数部の値(ε”)を、例えばε’=3〜1300の範囲でε”が0.2〜1300の範囲内の任意の値となるように制御された誘電体を得ることが可能となる。特に、本発明の誘電体を人体ファントムモデル用素材として用いる場合、本発明の誘電体は、例えば0.9GHzにおける実数部の値を1〜100位の間のいずれかの数値でそれほど変化させないで、虚数部の値を0.2〜100位の間の任意の値となるように制御し、例えば誘電損失(tanδ)=0.1〜1となるように制御された誘電体を得ることもできるので、実際の人体組織が持つ比誘電率(ε)に近い5〜83(2.1GHzにおいて)の誘電率を有する誘電体を得ることが可能となり、例えば人体頭部等に合わせた誘電率を有する誘電体を得ることも可能となる。
本発明の携帯電話機は、上記誘電体を電磁波制御体として装着したものであり、例えばシート状に成形した上記誘電体を、通常の携帯電話機の場合と同様にして、携帯電話機内部で人体頭部と箱体を介して、アンテナとの間に、配設することによって、電磁波制御体として利用することができる。ここで、本発明の誘電体は、上述したように、高分子基材中に、カーボン材料として、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ又はアスペクト比が小さいカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、導電性カーボンとが配合されたものであり、高分子基材中のカーボン材料の合計配合量を増やすと、複素比誘電率の実数部が増加し、更に、カーボン材料の合計配合量における導電性カーボンの割合を増やすと、複素比誘電率の虚数部の値が優先的に増加し、誘電損失(tanδ=ε”/ε')の大きい素材が得られることから、例えば、高誘電率(好ましくは、0.9GHzにおける複素比誘電率の実数部の値(ε’)が300以上)で、且つ誘電損失(tanδ)が大きい(好ましくは、0.5mmの厚さで、0.9GHzにおいてtanδが1.6以上)誘電体を得ることも可能である。従って、本発明の携帯電話機が、このような誘電体を電磁波制御体として装着したものであれば、電磁波による人体への影響を抑え、且つアンテナ効率にも優れた携帯電話機を得ることが可能となる。
本発明の人体ファントムモデルは、上記誘電体を素材としたものであり、上述したように、人体の複素比誘電率はその部位によって、種々異なるが、本発明の誘電体の場合、複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値が制御された誘電体を得ることが可能であり、例えば、上述したように、0.9GHzにおいて、ε’=3〜1300の範囲でε”が0.2〜1300の範囲内の任意の値を有する誘電体を得ることが可能となり、本発明の誘電体を人体ファントムモデル用素材として用いる場合、例えば人体頭部、人体の脂肪、人体の骨、筋肉、内臓各部位等の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値に合わせた人体ファントムモデルを得ることも可能となる。ここで、本発明の人体ファントムモデルの製造方法は、特に制限されるものではないが、以下の方法により成形すると、成形品における複素比誘電率などの品質などのバラツキが少なくなるので、より好適である。
まず、上記高分子基材の原料成分となる上記高分子化合物に、硬化剤とカーボン材料と必要に応じてその他成分を添加し、ロールやニーダー等を用いて混合した後に、混練後の材料を好ましくは2〜10mmのシート状にシーティングし、シート状材料とする。人体ファントムモデルが、例えば、人体の頭部のファントムモデルの場合、人体頭部の左右半分ずつの形状を金型用金属に掘り込み、下型とし、人体頭部の右半分と左半分の金型を用意する。又は、人体頭部の下半分と上半分の金型を用意してもよい。金型への材料のセッティング方法としては、シート状材料を金型の局面に沿わせて敷き込まれるように、順次積層していき、シート状材料を金型内に重ねて仕込んでいくことによって、金型内に成形材料を充填する仕込み方法によれば、金型内での材料の流れが少なくなり、成形後の製品の特性を均一にすることが容易となるので、より好適である。この左右のプレフォームされた材料を、成形プレス前に、人体頭部の形状となるように合わせて加圧・加熱する。なお、場合によっては、左右、または上下の半分ずつを成形した後に、接着剤によって接着してもよい。また、加工の容易さや、より誘電率のばらつきを抑えるために、人体頭部の右半分と左半分の金型を用いた成形方法に代えて、頭部の輪切り状の成形体を作り、各輪切り状の成形体を接着剤によって接着しながら順次積層したり、人体頭部の形状を輪切り状にした形状を想定した時、各輪切り部が包含されるように各輪切り部の最大径よりも径が大きい金型で例えば円柱状、角柱状の成形体、各輪切り部の対応する部位の径よりも径が大きい金型で例えば円錐台状、角錐台状の成形体などをそれぞれ作り、これらの成形体をそれぞれ人体の各輪切り部の形状となるようにカットして、これらを接着剤によって接着しながら順次積層することによって、人体頭部の形状を模した人体の頭部のファントムモデルを得ることも可能である。その際の接着剤は、例えば、セメダインスーパーX、加熱硬化型シリコーン接着剤(例えば、信越化学株式会社製のKE1831等)などの市販の接着剤を使用してもよく、また、成形する際に使用した素材を溶剤に溶かして、接着剤として使用しても良い。
成形プレスは、減圧装置のついたプレスを使用し、好ましくは−90kPa以下、より好ましくは、−93kPa以下に減圧した後、加熱加圧する方法が好適である。なお、加熱加圧時も、減圧状態にしておく方が、より好適である。そして、成形温度は、段階的に温度を上げていくのが好ましく、例えば、材料を金型に充填する時の温度を室温程度、例えば25℃であれば、好ましくは、70℃〜100℃まで1〜20℃/分で昇温し、加圧は、200トン〜400トンプレスにおいて、50kgf〜100kgf/cmの圧力で、30分〜1時間加圧後、同じ昇温速度で、好ましくは150〜180℃になってから好ましくは1〜5時間、更に加熱、加圧すると、好適である。そして、製品を金型から取り出す時には、加圧した状態のまま冷却し、好ましくは25〜50℃になったら、加圧を止め、金型から製品を取り出して、人体頭部のファントムモデルとする。なお、上記ファントムモデルの成形方法は、一例であり、本発明のファントムモデルの成形方法は、上記方法に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜6]
シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DY32−152U)100重量部に、カーボン類として真球状グラファイト(大阪ガスケミカル社製 MCMB(10−28))と、導電性カーボン(ライオン社製 ケッチェンブラックEC600JD:ASTM D 2414−79に準じて測定したDBP吸収量が495(cm/100g)、BET比表面積が1270(m/g)、以下同様)を下記表1の割合で添加した。架橋剤として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))を1重量部添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(実施例1〜6の誘電体)を得た。これら実施例1〜6の誘電体について、各誘電体の誘電率をベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製 8720ES)と誘電体プローブセット(アジレントテクノロジー社製 85070C)を用いて測定した。900MHzにおける各誘電体の複素比誘電率ε=ε’−jε”の測定結果(実数部の値ε’、虚数部の値ε”)を表1に併記する。また、各誘電体のSAR代替値変化率を上記特許文献1に記載の方法に準じて求めた。このときの寸法は、厚さ0.5mmで40×110(mm)の大きさで測定した。結果を表1に併記する。
Figure 0005186110
表1の結果によれば、高分子化合物100重量部に対するカーボン材料の合計配合量が、150重量部くらいを境に導電性カーボンとカーボン類又はカーボン類同士の間に存在している高分子化合物の接触する面積が変化すると考えられる。通常、電荷の移動は、導電材料の粒子から構成される鎖のようにつながったものに沿って行われ、粒子間には直接電気的な接触があるとされている。電気的な接触の理論においては直接、導電体の粒子同士が接触する場合だけでなく、トンネル効果のおよぶ範囲内の距離をも接触に含まれると考えられている。また別の見解では導電体とバインダーポリマーとの導電機構は粒子間における電子の熱輻射によると主張されているものもある。このようなことから、ポリマーがバインターとして働き、カーボン粒子間がポリマーにより連結されているのが上述した150重量部くらいまでであり、これ以上のカーボンの充填量の場合は、空隙が生じる恐れがあり、そのために虚数部の値が低下すると考えられる。但し、実数部の値は、上昇していくと思われる。実数部の値を上げるには、よりカーボンの充填率を高めることで、虚数部を高めるには、導電パスもしくは、ポリマーやカーボンの間に空隙が生じないようにする必要があるという考えである。大体150重量部以上の配合の場合、空隙ができ易く、tanδ向上に対する導電性カーボンによる寄与率は低くなることがわかる。
[比較例1〜4]
シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DY32−152U)100重量部に、カーボン類として真球状グラファイト(大阪ガスケミカル社製 MCMB(10−28))を下記表2の割合で添加した。架橋剤として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))を1重量部添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(比較例1〜4の誘電体)を得た。これら比較例1〜4の誘電体について、上記実施例と同様にして各誘電体の複素比誘電率の実数部の値、虚数部の値、SAR代替値変化率を求めた。SAR代替値変化率は、厚さ0.5mmで40×110(mm)の大きさで測定した。結果を表2に併記する。
Figure 0005186110
[比較例5〜8]
シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DY32−152U)100重量部に、カーボン類として導電性カーボン(ライオン社製 ケッチェンブラックEC600JD)を下記表3の割合で添加した。架橋剤として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))を1重量部添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(比較例5〜8の誘電体)を得た。これら比較例5〜8の誘電体について、上記実施例と同様にして各誘電体の複素比誘電率の実数部の値、虚数部の値、SAR代替値変化率を求めた。SAR代替値変化率は、厚さ0.5mmで40×110(mm)の大きさで測定した。結果を表3に併記する。
Figure 0005186110
上記実施例1〜6、比較例1〜8の誘電体の複素比誘電率の測定結果を図1のグラフに示す。図1のグラフによれば、真球状カーボンだけでは、丸印を含む点線の範囲、導電性カーボンだけでは、三角印を含む点線の範囲の誘電率しか得られないが、二種類のフィラー(カーボン材料)を組み合わせることによって、菱形印を含む実線で囲まれた格段に広い範囲の誘電率(複素比誘電率の実数部の値、虚数部の値)を持つ誘電体が得られることが認められる。また、上記実施例1〜5の誘電体のカーボン材料全量に対する導電性カーボンの配合比率(重量%)と誘電損失(tanδ)との関係を示すグラフを図2に示す。図2のグラフによれば、カーボン材料全量に対する導電性カーボンの配合比率が増加するに従って誘電損失が大きくなる傾向が認められる。更に、上記実施例1〜3、5、6の誘電体の、(1)シリコーンゴム100重量部に対する真球状グラファイトの配合量(重量部)と誘電損失(tanδ)、(2)シリコーンゴム100重量部に対する真球状グラファイトの配合量(重量部)とカーボン材料全量に対する導電性カーボンの配合比率(重量%)との関係を示すグラフを図3に示す。図3のグラフによれば、シリコーンゴム100重量部に対する真球状グラファイトの配合量が増加するに従って誘電損失が小さくなる傾向が認められる。また、シリコーンゴム100重量部に対する真球状グラファイトの配合量が50〜150重量部では、カーボン材料全量に対する導電性カーボンの配合比率が大きくなるに従って誘電損失が大きくなる傾向が認められ、シリコーンゴム100重量部に対する真球状グラファイトの配合量が150〜200重量部では、導電性カーボンの比率が大きくなっても、それまでの重量部に比し、誘電損失の値が低くなる傾向が認められる。
[比較例9、10]
シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング社製 DY32−152U)100重量部に、カーボン類としてアスペクト比が約50のグラファイト繊維(ドナック社製 SG244)と、導電性カーボン(ライオン社製 ケッチェンブラックEC600JD)を下記表4の割合で添加した。架橋剤として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))を1重量部添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(比較例9、10の誘電体)を得た。これら比較例9、10の誘電体及び上記実施例4の誘導体について、各誘電体の誘電率をベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製 8720ES)と誘電体プローブセット(アジレントテクノロジー社製 85070C)を用いて測定した。測定は一つのサンプルにつき5回行った。900MHzにおける各誘電体の複素比誘電率の測定結果(実数部の値、虚数部の値)及びそのばらつきを表4に併記する。
Figure 0005186110
表4の結果によれば、アスペクト比が約50のグラファイト繊維を用いた場合と比較して、真球状グラファイトを使用すると、測定の試行回によるばらつきも小さく、非常に安定な特性が得られることが認められる。このような特性は、真球状グラファイトが形状異方性がないことによる効果と考えられる。
[実施例7〜10及び比較例11〜15]
シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング(株)製 SH−851−U)100重量部に、カーボンナノチューブ(物産ナノテク研究所社製MWNT)と、導電性カーボン(ライオン社製 ケッチェンブラックEC600JD)を下記表5の割合で添加した。架橋剤として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))1重量部、加工助剤としてアルファフレックス 101(商品名 Alphaflex Industries社製)1重量部を添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(実施例7〜10、比較例11〜15の誘電体)を得た。これらの誘電体について、各誘電体の900MHzにおける誘電率をベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製 8720ES)と誘電体プローブセット(アジレントテクノロジー社製 85070C)を用いて測定した。結果を表5に併記する。
Figure 0005186110
上記誘電体において、(1)シリコーンゴム100重量部に対してカーボンナノチューブとケッチェンブラックの合計配合量が10重量部となるように、カーボンナノチューブとケッチェンブラックとの配合比率を変化させた場合の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値との関係、(2)シリコーンゴム100重量部に対してケッチェンブラックの配合量を5重量部に固定し、カーボンナノチューブの配合量を0重量部、2.5重量部、5重量部と変化させた場合の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値との関係、(3)シリコーンゴム100重量部に対してカーボンナノチューブを0重量部、5重量部、10重量部と変化させて単独配合した場合の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値との関係、(4)シリコーンゴム100重量部に対してケッチェンブラックを0重量部、5重量部、10重量部と変化させて単独配合した場合の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値との関係をそれぞれ示すグラフを図4に示す。なお、図4において、x/yは、カーボンナノチューブ重量/ケッチェンブラック重量の配合比のことである。
表5の結果によれば、カーボン材料の合計配合量が増加すると、実数部、虚数部ともに値が大きくなるが、カーボン材料の合計配合量が同量の場合、カーボンナノチューブとケッチェンブラックとの配合比率の変化によって、実数部の値は、ほとんど変化しないのに対し、虚数部の値は、ケッチェンブラックの配合比率の増加に伴って大きくなることが認められる。ここで、上記実施例7〜10の誘電体において、カーボン材料全量に対するケッチェンブラックの配合比率(重量%)と誘電損失(tanδ)との関係を示すグラフを図5に示す。図5のグラフによれば、カーボン材料全量に対するケッチェンブラックの配合比率が大きくなるに従って、誘電損失が大きくなる傾向が認められる。
[実施例11、12]
次に、導電性カーボンの配合量と誘電損失(tanδ)との関係を確認するために、シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング(株)製 DY32−152U)100重量部に、真球状カーボン(大阪ガスケミカル製 MCMB(10−28))と、導電性カーボン(ライオン社製 ケッチェンブラックEC600JD)を下記表6の割合で添加した。架橋剤として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))1重量部、加工助剤としてアルファフレックス 101(商品名 Alphaflex Industries社製)1重量部を添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(実施例12、13の誘電体)を得た。これら実施例11、12の誘電体について、各誘電体の誘電率をベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製 8720ES)と誘電体プローブセット(アジレントテクノロジー社製 85070C)を用いて測定した。結果を表6に併記する。
Figure 0005186110
[実施例13〜15]
下記表7の配合組成に従って、シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング(株)製 SH−851−U(一般ミラブルシリコーン))又は発泡シリコーン(信越化学工業(株)製 X−30−1777−50U)100重量部に、カーボンナノチューブ(物産ナノテク研究所社製MWNT)と、導電性カーボン(ライオン社製 ケッチェンブラックEC600JD又は電気化学工業株式会社製 デンカブラック(アセチレンブラック):ASTM D 2414−79に準じて測定したDBP吸収量が165(cm/100g)、BET比表面積が65(m/g)、以下同様)を下記表7の割合で添加した。架橋剤として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))、加工助剤としてアルファフレックス 101(商品名 Alphaflex Industries社製)、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製 SH−200)を下記表7の割合で添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(実施例13〜15の誘電体)を得た。これら実施例13〜15の誘電体について、各誘電体の誘電率をベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製 8720ES)と誘電体プローブセット(アジレントテクノロジー社製 85070C)を用いて測定した。結果を表7に併記する。
Figure 0005186110
なお、上記実施例13〜15の誘電体は、人体頭部用ファントムモデルの素材として好適に使用できるものであり、実施例13の誘電体は、2.1GHz用:高誘電損失ファントム用、実施例14の誘電体は、900MHz用:高誘電損失ファントム用、実施例15の誘電体は、900MHz用:一般ファントム用(誘電損失も人体と同等)として、好適に使用することができる。
[実施例16、17]
下記表8の配合組成に従って、シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング(株)製 DY32−152U)100重量部に、真球状グラファイト(大阪ガスケミカル社製、MCMB10−28)、導電性カーボン(ライオン社製 ケッチェンブラックEC600JD)を下記表8の割合で添加した。架橋剤(過酸化物加硫剤)として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))、加工助剤としてアルファフレックス 101(商品名 Alphaflex Industries社製)を下記表8、9の割合で添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(実施例16、17の誘電体)を得た。これら実施例16、17の誘電体について、各誘電体の誘電率をベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製 8720ES)と誘電体プローブセット(アジレントテクノロジー社製 85070C)を用いて測定した。結果を表8に併記する。
Figure 0005186110
なお、上記実施例16、17の誘電体は、人体ファントムモデルの素材として好適に使用できるものであり、上記実施例16の誘電体は、人体の脂肪(比誘電率ε≒9.38)に合わせたものであり、上記実施例17の誘電体は、人体の骨(比誘電率ε≒16)に合わせたものである。
[実施例18]
下記表9の配合組成に従って、シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング(株)製 DY32−152U)100重量部に、鱗片グラファイト(厚さ50μmのポリイミドフィルムを、2600℃で焼成してシート状グラファイトをまず作成し、これを5mm程度にはさみで切断したものを、ジェットミリング法で、平均粒子径20μmの鱗片状グラファイト粉末を使用した。上記特許文献2において使用されたグラファイトと同じである。)、導電性カーボン(ライオン社製 ケッチェンブラックEC600JD)を下記表9の割合で添加した。架橋剤(過酸化物加硫剤)として2,5,ジメチル2,5(t−ブチル)ジヘキサン(東レ・ダウコーニング社製 RC−4(50P))、加工助剤としてアルファフレックス 101(商品名 Alphaflex Industries社製)、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製 SH−200)を下記表9の割合で添加した。混合はオープンロールにて行い、170℃で10分間、200kgf/cmの条件で加熱硬化させて40×40×10(mm)の成形物(実施例18の誘電体)を得た。これら実施例18の誘電体について、各誘電体の誘電率をベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製 8720ES)と誘電体プローブセット(アジレントテクノロジー社製 85070C)を用いて測定した。結果を表9に併記する。
Figure 0005186110
[実施例19]
次に、本発明の携帯電話機の一構成例(実施例19)について、図6を参照して、以下に説明する。図6は、本発明の一構成例の携帯電話機1を開いた状態で示す概略上面図である。携帯電話機1は、回転機構も備えたヒンジ部2によって、折りたたみ可能となっており、通話時には、開いた状態で使用する。図中3は受話口、4はディスプレイ表示部、5はメニュー操作部、6はダイヤル操作部、7は誘電体、8は携帯電話機箱体である。そして、内蔵型アンテナ9が携帯電話機箱体8内に取り付けられており、誘電体7は、内蔵型アンテナ9とほぼ同程度の大きさ(縦、横)を有しており、携帯電話機箱体8内で内蔵型アンテナ9の前面側、即ち、携帯電話機1を使用する時に、誘電体7が人体側となるように設置されている。携帯電話機1の誘電体7として、例えば上記実施例1〜6の誘電体と同様の組成からなる縦5mm、横30mm、厚さ0.5mmの誘電体を内蔵型アンテナ9のディスプレイ表示部側(使用時の人体側)となるように、携帯電話機箱体内に取り付けることによって、SAR値を十分に低減することができ、また、アンテナ放射効率が向上した携帯電話機が得られる。
[実施例20]
次に、本発明の人体ファントムモデルの一構成例(実施例20)について、説明する。上記実施例13の原料成分を、実施例1と同様にして、オープンロールで混練した後、5mmのシート状にシーティングした。人体頭部の右半分と左半分の形状を模した金型を用意し、25℃の温度条件下で、上述したように、シート状材料を金型の内面に沿わせて順次積層していき、金型内に充填した。成形プレス前に、左右半分の両金型を合わせた。成形プレスは、減圧装置のついたプレスを使用し、5torrに減圧した後、加熱加圧した。成形条件は、200トンプレスにおいて200kgf/cmの加圧条件下で、約2℃/分で170℃まで昇温し、170℃になってから、更に5時間加熱、加圧した。その後、加圧した状態のまま冷却し、約50℃になった時点で加圧を止め、金型から製品を取り出して、人体頭部のファントムモデルを得た。この人体頭部のファントムモデルの2.1GHzにおける複素比誘電率は、実数部47、虚数部47、tanδ=1であり、人体頭部と同じ比誘電率、誘電損失を有するものが得られた。
本発明は、通信関係に利用することが可能であり、具体的には例えば携帯電話機の人体への影響を低減したり、アンテナ放射効率を向上させたり、放射パターンを制御するためなどに利用することが可能である。また、電磁調理器からの不要電波の遮蔽、自動車ナビ内部への不要電磁波の遮蔽と外部への不要輻射防止、ITS自動運転用の車間距離レーダーの誤作動防止、PC誤作動防止などのために利用することも可能である。更に、医療用検査機器、例えばペースメーカーの筐体での他の電磁波の遮断などのために利用したり、非接触ICカードの誤動作防止などのために利用することも可能である。また更に、運輸手段(航空、船舶、自動車)の分野においても利用することも可能である。


Claims (7)

  1. 高分子基材中にカーボン材料を分散させた誘電体の比誘電率を制御する方法であって、上記カーボン材料として、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ及びアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、ASTM D 2414−79に準じて測定したDBP吸油量が100cm /100g以上、700cm /100g以下であり、BET比表面積が30m /g以上、3000m /g以下であるストラクチャーの発達した導電性カーボンとを併用し、上記高分子基材中への上記カーボン類の配合量と上記導電性カーボンの配合量によって、上記誘電体の複素比誘電率の実数部の値(ε’)と虚数部の値(ε”)を制御することを特徴とする比誘電率の制御方法。
  2. 上記カーボン類と上記導電性カーボンの合計配合量と、上記カーボン類と上記導電性カーボンとの配合比率が変化するように、上記カーボン類の配合量と上記導電性カーボンの配合量の少なくとも一方を変化させることによって、上記誘電体の複素比誘電率の実数部の値(ε’)と虚数部の値(ε”)を制御すると共に、誘電損失(tanδ)=ε”/ε’を制御する請求項1記載の制御方法。
  3. 上記カーボン類と上記導電性カーボンとの配合比率が変化するように、上記カーボン類の配合量と上記導電性カーボンの配合量を変化させることによって、上記誘電体の誘電損失(tanδ)=ε”/ε’を変化させて、複素比誘電率の実数部の値(ε’)と虚数部の値(ε”)を制御する請求項1記載の制御方法。
  4. 高分子基材中に、球状カーボン、扁平状カーボン、カーボンナノチューブ及びアスペクト比が11以下のカーボン繊維から選ばれるカーボン類と、ASTM D 2414−79に準じて測定したDBP吸油量が100cm /100g以上、700cm /100g以下であり、BET比表面積が30m /g以上、3000m /g以下であるストラクチャーの発達した導電性カーボンとを配合してなる誘電体であって、請求項1、2又は3に記載の比誘電率の制御方法により上記誘電体の複素比誘電率の実数部の値と虚数部の値が制御されたことを特徴とする誘電体。
  5. 上記誘電体が、人体ファントムモデル用素材である請求項4記載の誘電体。
  6. 請求項4記載の誘電体を装着したことを特徴とする携帯電話機。
  7. 請求項4記載の誘電体を素材としたことを特徴とする人体ファントムモデル。
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