JP3465507B2 - 構造体充填用発泡性ゴム組成物 - Google Patents

構造体充填用発泡性ゴム組成物

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JP3465507B2
JP3465507B2 JP32851096A JP32851096A JP3465507B2 JP 3465507 B2 JP3465507 B2 JP 3465507B2 JP 32851096 A JP32851096 A JP 32851096A JP 32851096 A JP32851096 A JP 32851096A JP 3465507 B2 JP3465507 B2 JP 3465507B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、構造体充填用発泡性ゴム組成物
に係り、特に低コストで、貯蔵安定性に優れた構造体充
填用発泡性ゴム組成物の改良に関するものである。
【0002】
【背景技術】一般に、自動車のフロントピラーやセンタ
ーピラー等の筒状の骨格部材(構造体)の内部には、空
洞があり、その空洞内を風が通過することによって、風
切り音が発生したり、又はそのような空洞部分を伝っ
て、エンジンの振動音が車内に伝達されたりして、車内
騒音の原因となっていた。そこで、この車内騒音の原因
となる、前記骨格部材等の構造体の空隙部分には、従来
から、発泡体を充填したりすること等により、風の通過
や振動音の伝達を抑制し、以って遮音性の向上を図る等
の対策が講じられている。
【0003】そして、そのような空隙に発泡体を充填す
る方法としては、空隙の形状に応じて形成された発泡体
を、作業穴から空隙部に挿入する方法、或いは加熱によ
り発泡して体積が膨張する発泡性組成物を、スポットシ
ール材としてシート状に加工して、空隙内に配置せし
め、電着塗装の焼付炉における加熱操作や乾燥操作等に
て発泡させて、空隙部を充填する方法等の様々な手法が
採用されている。
【0004】しかしながら、発泡体を空隙部に挿入する
方法は、作業穴から挿入しているために、充填性にバラ
ツキが生じ、隅々まで空隙部の形状に沿って完全に充填
することは困難であり、しかも、その作業穴が鋼板の打
ち抜きエッジとなっているために、作業者が手を傷つけ
る危険性も内在するものであった。
【0005】また、近年では、従来の車内騒音を改善す
るだけではなく、構造体の強度を向上せしめる目的で、
構造体に対する発泡体の充填が行なわれるようになって
来ている。そして、そのような構造体充填用の発泡性組
成物には、高い剛性を得るために、エポキシ樹脂からな
る発泡性組成物が用いられている。しかしながら、一般
に、エポキシ樹脂は、架橋剤を含めてコストが高いもの
であり、また、そのようなエポキシ樹脂からなる発泡性
組成物の成形シートは、エポキシ樹脂に硬化剤を添加し
た後の状態、所謂Bステージの状態で形成されていると
ころから、加熱されなくても、40℃程度の温度条件下
で、雰囲気中の水蒸気によって、反応がどんどん進むこ
ととなり、自然に(自動的に)硬化するために、貯蔵安
定性に欠けるという問題を有していた。それ故に、その
ようなエポキシ樹脂からなる発泡性組成物は、冷暗所に
おいて、シリカゲルを入れて密閉された袋の中に納めた
上で、充分に注意して保存されなければならず、その取
扱いが非常に面倒なものであった。
【0006】このため、本願出願人は、先に、特願平8
−17738号において、低コストであり、しかも貯蔵
安定性において優れている構造体充填用発泡性ゴム組成
物を明らかにした。即ち、それは、構造体内の所定の空
隙に配置せしめられ、加熱されることにより発泡して、
該構造体内の空隙を充填する発泡性ゴム組成物であっ
て、ジエン系ゴムの100重量部に対して、10〜50
重量部の硫黄及び5〜40重量部の発泡剤を配合してな
るものであり、または、1〜30重量部の硫黄、5〜1
00重量部の剛性付与剤及び5〜40重量部の発泡剤を
配合してなるものである。
【0007】このように、先に提案の発泡性ゴム組成物
にあっては、主成分としてジエン系ゴムを用い、それに
対して、所定割合の硫黄、若しくは所定割合の硫黄及び
剛性付与剤を、得られる発泡体の剛性を高める目的で、
配合せしめていることを大きな特徴とするものであっ
て、そこでは、主成分としてジエン系ゴムからなるゴム
材料を採用しているところから、架橋剤として硫黄が用
いられるのであるが、そのようなゴム材料や硫黄は、安
価なものであるために、得られる構造体充填用発泡性ゴ
ム組成物を安価なものとすることが出来、また、そこで
用いられるゴム材料は、架橋剤である硫黄を配合せしめ
た状態で保存しても、加熱されないと、自然に硬化する
ことがなく、優れた貯蔵安定性を有するところから、従
来のエポキシ樹脂を用いた発泡組成物の場合のように、
非常に面倒な保存方法を採用する必要もない特徴を有し
ている。
【0008】しかも、そのような発泡性ゴム組成物を加
熱、発泡せしめて得られるゴム発泡体は、ゴムの性質を
引き継いで有するところから、かかるゴムに由来する弾
性によって、優れた靱性を有することとなり、従来の発
泡体より、より大きな衝撃エネルギーの吸収特性を有す
ることとなる。
【0009】しかしながら、このような優れた特徴を有
する構造体充填用発泡性ゴム組成物について、本発明者
が更なる検討を進めたところ、かかる発泡性ゴム組成物
に配合せしめられる発泡剤に起因した問題が新たに惹起
されることが、明らかとなったのである。
【0010】すなわち、そこでは、ジエン系ゴムに対し
て、所定割合の硫黄、若しくは所定割合の硫黄及び剛性
付与剤が配合されると共に、発泡性と為すために、所定
割合の発泡剤が更に配合せしめられることとなるのであ
るが、そのような発泡剤としては、一般に、ジアゾアミ
ノ誘導体やアゾジカルボン酸誘導体等の有機系の発泡剤
や、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素アンモニウム等の無
機系の発泡剤が用いられることとなる。而して、例え
ば、有機系発泡剤を用いた発泡性ゴム組成物にあって
は、有機系発泡剤自体が一定の温度下において一挙に分
解することとなるところから、その加硫、発泡時におい
て生じるガス圧が高く、またガス量も多いために、そし
て構造体内での加硫、発泡操作にてゴムの温度分布の不
均一が惹起され易く、特に200℃以上の加硫雰囲気温
度下においては、ゴムの加硫速度とのバランスが崩れる
ために、得られるゴム発泡体における割れや構造体にお
ける膨れ、反り等の発生が著しく増大するという問題を
内在しているのである。このように、有機系発泡剤は、
所定の温度と時間に到達すると、急激に分解を開始する
ものであるところから、加硫温度に幅(バラツキ)のあ
る骨格充填用高剛性ゴム組成物における発泡剤として
は、不向きであると考えられるのである。
【0011】また、無機系発泡剤を用いた場合にあって
は、生じるガス圧が低く、また発泡もゆっくりであると
いう利点を有するものの、発生したガスが発泡体より逃
散してしまうという問題があることは、有機系発泡剤の
場合と同様であり、そのために、発泡倍率の計算が出来
ないという問題を内在し、それによって、構造体に膨張
変形を来さないように、且つ構造体内の空隙を充分に埋
めるように、発泡せしめる操作が困難であるという問題
を内在している。
【0012】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景として為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、得られるゴム発泡体における割れや構造体にお
ける膨れ、反り等の問題を惹起することのない、安定し
た発泡を行ない得る、発泡倍率の予測が容易な構造体充
填用発泡性ゴム組成物を提供することにある。
【0013】
【解決手段】そして、本発明は、そのような課題を解決
すべく、構造体内の所定の空隙に配置せしめられ、加熱
されることにより発泡して、該構造体内の空隙を充填す
る発泡性ゴム組成物であって、ジエン系ゴムの100重
量部に対して、10〜50重量部の硫黄が配合され、更
に発泡剤として膨張型のマイクロカプセル型発泡剤が用
いられて、その2〜30重量部が配合されてなることを
特徴とする構造体充填用発泡性ゴム組成物を、その要旨
とするものである。
【0014】また、本発明は、構造体内の所定の空隙に
配置せしめられ、加熱されることにより発泡して、該構
造体内の空隙を充填する発泡性ゴム組成物であって、ジ
エン系ゴムの100重量部に対して、1〜40重量部の
硫黄及び5〜100重量部の剛性付与剤が配合され、更
に発泡剤として膨張型のマイクロカプセル型発泡剤が用
いられて、その2〜30重量部が配合されてなることを
特徴とする構造体充填用発泡性ゴム組成物をも、その要
旨とするものである。
【0015】このように、本発明に従う構造体充填用発
泡性ゴム組成物は、主成分としてのジエン系ゴムに対し
て、所定割合の硫黄、若しくは所定割合の硫黄及び剛性
付与剤を、得られる発泡体の剛性を高める目的で配合し
ていると共に、更に発泡性を付与すべく、発泡剤とし
て、マイクロカプセル型発泡剤の所定量を配合せしめて
いることを、大きな特徴とするものであり、特に、その
ようなマイクロカプセル型発泡剤は、ゆっくり発泡(膨
張)して、ガス圧が低く、一定の大きさの発泡部(気
泡)を独立して形成せしめるものであるところから、ゴ
ムの加硫速度とのバランスを取り易く、従って得られる
ゴム発泡体における割れや構造体における膨れ、反り等
の問題の発生を、良好に阻止せしめ得るのであり、ま
た、マイクロカプセル型発泡剤は、その膨張にて、所定
大きさの気泡を与えるバルーンとなり、発泡剤自体は破
裂することがなく、ゴム発泡体を形成するものであると
ころから、ガスが逃散するようなことがなく、そのため
に、発泡倍率の予測が極めて容易となるのであり、以て
構造体内の空隙への発泡充填操作が有利に行なわれ得る
という特徴を発揮することとなる。
【0016】なお、このような本発明に従う構造体充填
用発泡性ゴム組成物を構成するマイクロカプセル型発泡
剤は、有利には、揮発性の液体を熱可塑性壁材にて被包
してなるマイクロカプセルであって、これによって、ゴ
ムの加硫時の加熱操作にて、マイクロカプセル内の揮発
性液体を漸次気化せしめると共に、熱可塑性壁材を可塑
化して、その膨張を行なわしめることにより、所定大き
さの気泡として、独立して、ゴム内に存在せしめ得るの
である。
【0017】
【発明の実施の形態】ところで、かくの如き本発明に従
う構造体充填用発泡性ゴム組成物において、ゴム成分と
して使用されるジエン系ゴムには、天然ゴム(NR)、
ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム
(SBR)等の、公知のジエン系ゴムの何れもが採用可
能であり、また、それらのブレンド体であっても、何等
差し支えない。
【0018】また、硫黄は、それが有する架橋作用によ
り、発泡性ゴム組成物を加熱、発泡せしめて得られる発
泡体の剛性を高めるために添加されるものであり、その
使用量は、剛性付与剤が配合せしめられない場合には、
硫黄による架橋のみで、剛性を高めなければならないた
めに、より多くの量において配合せしめられる必要があ
るのであり、一方、剛性付与剤が配合せしめられる場合
には、硫黄による架橋のみで剛性を高める必要がないと
ころから、少量の配合でも充分となる。
【0019】従って、剛性付与剤が配合せしめられない
場合には、硫黄は、ジエン系ゴムの100重量部に対し
て、10〜50重量部の割合で配合せしめられる必要が
あるのである。けだし、かかる配合割合が10重量部よ
り少ないと、得られる発泡体の架橋密度が不充分となる
ために、剛性が低くなり過ぎるからであり、また、かか
る配合割合が50重量部よりも多い場合には、得られる
発泡体の架橋密度が大きくなり過ぎるために、ゴム組成
物の発泡が不充分となるからである。
【0020】一方、剛性付与剤が配合せしめられる場合
には、硫黄は、ジエン系ゴムの100重量部に対して、
1〜40重量部の配合割合とされるのである。この場合
において、硫黄の配合割合が1重量部より少なくなる
と、得られる発泡体の剛性が不充分となるのであり、ま
たかかる割合より多いときには、得られる発泡体の剛性
が高くなり過ぎて、発泡体が脆くなる等の問題を惹起す
る。
【0021】また、前記の剛性付与剤は、発泡性ゴム組
成物を加熱、発泡せしめて得られる発泡体に剛性を付与
する目的で添加されるものであって、この剛性付与剤の
添加により、硫黄の含有量を低減することが出来る。そ
して、そのような剛性付与剤の具体例としては、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂
等の熱硬化性樹脂及びその変性体等を挙げることが出来
る。そして、そのような剛性付与剤の配合割合は、ジエ
ン系ゴムの100重量部に対して、5〜100重量部と
なるようにされる。けだし、かかる配合割合が5重量部
よりも少ない場合には、剛性付与剤の作用が充分に発揮
され得ないからであり、またかかる配合割合が100重
量部よりも多い場合には、得られる発泡体の剛性が高く
なり過ぎて、好ましくないからである。なお、かかる剛
性付与剤の作用をより一層高めるために、熱硬化性樹
脂、例えばフェノール樹脂に対しては、ヘキサミン等の
硬化剤を、樹脂の理論等モル量の20〜200%程度の
割合において、添加してもよく、それによって、更に有
利に剛性を高めることが出来る。
【0022】そして、かかる硫黄、又は硫黄及び剛性付
与剤と共に、ジエン系ゴムに配合されて、ゴム組成物を
発泡性と為す発泡剤は、ゴム組成物が加熱されたとき
に、膨張して、所定大きさのバルーン体として、ゴム中
に存在することによって、目的とする発泡構造を実現す
る膨張型のマイクロカプセル型発泡剤であり、また、そ
のようなマイクロカプセル型発泡剤は、有機系発泡剤の
如く、所定の温度で急激に分解、発泡するものではな
く、ある程度の広い温度範囲において、漸次膨張して、
所定大きさのバルーンとなって、発泡形態を呈し、カプ
セル自体が破壊されるものではないところから、得られ
るゴム発泡体は、独立気泡の発泡構造となるものであ
る。従って、そのような機能を有するマイクロカプセル
型発泡剤の何れもが、本発明においては用いられ得るこ
ととなるが、一般に、イソペンタンの如き低沸点の有機
溶媒等の揮発性の液体を、アクリル系樹脂、EVA樹
脂、アクリロニトリル系樹脂等の熱可塑性壁材にて被包
してなるマイクロカプセル(マイクロスフェア)が、有
利に用いられることとなる。そして、そのようなマイク
ロカプセル型発泡剤は、既に市販されており、例えば、
日本フェライト株式会社を通じて販売されているエクス
パンセル(EXPANCEL)なる名称の商品群が、本
発明においては、有利に用いられることとなる。
【0023】また、かかるマイクロカプセル型発泡剤
は、前記したジエン系ゴムの加硫に際して、一般的に採
用される加硫条件(160〜200℃×20分)下にお
いて、安定的に発泡(膨張)するために、その膨張温度
の中心が140〜180℃の間にあることが望ましく、
更には、そのような膨張(発泡)によって、マイクロカ
プセル型発泡剤は、10〜30μm程度の平均粒径のも
の(発泡前)から、30μmを越え、50〜120μm
程度の平均粒径のもの(発泡後)となるのである。そし
て、このマイクロカプセル型発泡剤は、ジエン系ゴムの
100重量部に対して、2〜30重量部、好ましくは4
〜20重量部の配合割合において添加せしめられること
となる。けだし、かかる配合割合が2重量部より少ない
場合には、発泡倍率が低く、充分な発泡作用が発揮され
得ないからであり、また30重量部より多い場合には、
発泡効率が悪く、発泡後の物性も得難いからである。
【0024】なお、本発明に従う構造体充填用発泡性ゴ
ム組成物には、前記した如き必須成分たるジエン系ゴ
ム、硫黄(+剛性付与剤)、及びマイクロカプセル型発
泡剤の他にも、従来から知られている各種配合剤、例え
ば加硫促進剤、加硫助剤、加工助剤、充填剤等が、必要
に応じて添加され、それらの何れのものも、本発明の目
的を阻害することのない量的範囲において、従来と同様
に配合され得るものである。例えば、加硫助剤として
は、酸化亜鉛等の金属酸化物が用いられ、一般にジエン
系ゴムの100重量部に対して3〜15重量部程度の割
合で配合せしめられる。また、加工助剤として、ステア
リン酸等の脂肪酸が、ジエン系ゴムの100重量部に対
して、0.5〜5重量部程度の割合で用いられる。更
に、軟化剤としては、液状ゴム、パラフィン系、ナフテ
ン系、アロマ系のプロセスオイルやエステル系可塑剤が
あり、ジエン系ゴムの100重量部に対して0〜100
重量部程度の割合で用いられ、更にまた、充填剤として
は、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、タル
ク等が、ジエン系ゴムの100重量部に対して0〜15
0重量部程度の割合において用いられるのである。
【0025】そして、本発明に従う構造体充填用発泡性
ゴム組成物は、従来と同様な混合手法に従って、ジエン
系ゴム材料に対して、所定量の硫黄若しくは硫黄及び剛
性付与剤、並びにマイクロカプセル型発泡剤を配合し、
更に上記の如き各種配合剤を配合せしめることにより、
調製されることとなる。
【0026】また、このようにして調製された構造体充
填用発泡性ゴム組成物を用い、それを加熱して、発泡、
硬化させることにより、目的とする構造体の充填に有効
な高剛性のゴム発泡体となるものであるが、そのような
発泡体にあっては、その圧縮剛性が25cm2 当たり
0.5kN/mm以上で、且つエネルギー吸収量が25
cm2 当たり100kN・mm以上の物性を備えたもの
となる。なお、そのような物性を与える発泡体を得るに
は、一般に、160〜210℃の温度条件下に、15〜
30分程度加熱せしめる発泡、硬化操作が採用されるこ
ととなる。
【0027】なお、ここで言うところの圧縮剛性とは、
1辺が5cmの立方体に形成された発泡体試験片の一対
の面を圧縮する際に、圧縮方向に20mm/分で圧縮さ
れるように、圧縮荷重:Pを掛け、その際の変位量:S
と前記圧縮荷重:Pとの関係を求め、初期の荷重微変化
量(ΔP)を初期の変位微変化量(ΔS)で除して求め
た値を意味しており、それを、試験片25cm2 当たり
の値で表したものである。また、吸収エネルギー量と
は、前記の発泡体試験片に対して、前記の如き圧縮を行
なった際に、圧縮開始から、試験片の圧縮変位が30m
mになるまでに、試験片に吸収されたエネルギー量を意
味しており、それを、試験片25cm2 当たりの値で表
している。具体的には、前記変位量:Sと圧縮荷重:P
の関係を示すグラフにおいて、圧縮剛性は、変位量:S
と圧縮荷重:Pとの関係曲線の初期の立ち上がりの傾き
(ΔP/ΔS)であり、また吸収エネルギー量は、圧縮
荷重:Pと変位量:Sとの関係曲線と、x軸(0〜30
mm)との間で囲まれた面積である。
【0028】ところで、本発明に従う構造体充填用発泡
性ゴム組成物から得られる高剛性のゴム発泡体は、大き
な圧縮剛性を有するものであり、またエネルギー吸収量
も大きなものであるところから、衝撃に対して強く、押
し潰され難いものであり、従って、それが自動車の骨格
等の構造体に適用された場合には、自動車の衝突等によ
る衝撃を有利に吸収することとなり、搭乗者の安全性が
効果的に高められ得るのである。
【0029】なお、かかる本発明に従う構造体充填用発
泡性ゴム組成物を用いて、それを実際に自動車の構造体
に適用する場合には、先ず、発泡性ゴム組成物をシート
状に加工して、それを構造体の内部空隙に位置固定的に
配置した後、溶接、脱脂・洗浄、電着等の通常の自動車
製造の工程を経てから、乾燥や塗装焼付け等の工程にお
いて、加熱処理することにより、そのようなシート状の
発泡性ゴム組成物を発泡、硬化せしめて、構造体内の空
隙を、生じた高剛性のゴム発泡体にて充填せしめること
によって、目的とする発泡体充填構造体と為すことが出
来るのであり、このような工程の採用によって、何等特
別な加熱工程を設ける必要もない等の特徴が発揮され得
るのである。
【0030】また、本発明に従う構造体充填用発泡性ゴ
ム組成物の加熱による発泡、硬化操作においては、マイ
クロカプセル型発泡剤の膨張による大径化に基づいて生
じたバルーンの存在にて、発泡構造と為されるものであ
り、従来の有機系発泡剤や無機系発泡剤の如く、生じた
ガスが外部に逃散することがないところから、発泡倍率
の予測が極めて容易となるのであり、また急激な発泡も
するものではないところから、生じるゴム発泡体に割れ
が生じたり、構造体に膨れや反り等の変形を惹起せしめ
たりするようなこともないのである。
【0031】加えて、かかる高剛性のゴム発泡体は、マ
イクロカプセル型発泡剤の膨張したバルーンにて、発泡
構造が構成され、独立気泡型となっているところから、
耐水性に優れ、その気孔内に水を吸収するものではない
ところから、そのようなゴム発泡体を充填してなる構造
体の耐発錆性も、効果的に向上せしめ得ることとなった
のである。
【0032】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に明らかにする
ために、本発明の代表的な実施例を示すこととするが、
本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制
約をも受けるものでないことは、言うまでもないところ
である。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更
には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱し
ない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【0033】先ず、下記表1に示される如き組成を有す
る各種の構造体充填用発泡性ゴム組成物を調製した。な
お、この表1における加硫促進剤としては、チアゾール
系加硫促進剤及びチウラム系加硫促進剤を併用し、また
フェノール硬化剤としては、ヘキサミンを用い、更に有
機発泡剤として、アゾジカルボンアミド系発泡剤を用
い、そして発泡助剤としては、尿素系発泡助剤を用い
た。また、マイクロカプセル型発泡剤A、B、Cとして
は、それぞれ、日本フェライト株式会社より販売されて
いる、イソペンタンをアクリロニトリル系樹脂の殻にて
包み込んだ、エクスパンセル053DU−80(膨張温
度:開始90〜95℃、中心140〜150℃)、エク
スパンセル091DU−80(膨張温度:開始118〜
126℃、中心171〜181℃)、及びエクスパンセ
ル054WU(膨張温度:開始125〜135℃、中心
140〜150℃)を用いた。
【0034】
【表1】
【0035】次いで、上記で得られた各種の発泡性ゴム
組成物を用い、50mm×50mm×28mmt の形状
の初期未加硫ゴム成形体を形成した後、50mm×50
mm断面の角形中空パイプの中に収容、配置し、160
℃×20分、180℃×20分、又は200℃×20分
の発泡条件下において加熱、発泡せしめて、それぞれに
対応するゴム発泡体を得た。また、この得られた発泡体
を50mm×50mm×50mmt に切断して、これを
圧縮ブロックとして用い、それぞれ、圧縮剛性及びエネ
ルギー吸収量を測定して、その結果を、発泡体の外観評
価結果と共に、下記表2に示した。
【0036】
【表2】 *1 単位 g/cm3 *2 単位 kN/mm *3 単位 kN・mm
【0037】かかる表2に示される結果から明らかなよ
うに、本発明に従う発泡性ゴム組成物から得られたゴム
発泡体は、充分な圧縮剛性及びエネルギー吸収量を有す
ると共に、発泡温度が変化しても、その外観は良好であ
って、割れ等の問題の発生は、何等認められないのに対
して、比較例1の有機系発泡剤を用いた場合にあって
は、発泡温度が高くなるにつれて、割れ等の問題の発生
が認められ、有機系発泡剤の発泡とゴムの加硫速度との
バランスが崩れていることが明らかとなった。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う構造体充填用発泡性ゴム組成物は、そのコストの
低減を有利に図り得ると共に、優れた貯蔵安定性を発揮
するものであることに加えて、マイクロカプセル型発泡
剤の使用にて、発泡倍率の予測が容易となり、得られる
ゴム発泡体に割れを惹起したり、ゴムの発泡圧にて構造
体に膨れや反り等の変形が惹起される等の問題の発生
も、効果的に回避され得ることとなったのである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/162 B60R 13/08 C08K 3/06 C08K 7/22 C08L 21/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造体内の所定の空隙に配置せしめら
    れ、加熱されることにより発泡して、該構造体内の空隙
    を充填する発泡性ゴム組成物であって、ジエン系ゴムの
    100重量部に対して、10〜50重量部の硫黄が配合
    され、更に発泡剤として膨張型のマイクロカプセル型発
    泡剤が用いられて、その2〜30重量部が配合されてな
    ることを特徴とする構造体充填用発泡性ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 構造体内の所定の空隙に配置せしめら
    れ、加熱されることにより発泡して、該構造体内の空隙
    を充填する発泡性ゴム組成物であって、ジエン系ゴムの
    100重量部に対して、1〜40重量部の硫黄及び5〜
    100重量部の剛性付与剤が配合され、更に発泡剤とし
    て膨張型のマイクロカプセル型発泡剤が用いられて、そ
    の2〜30重量部が配合されてなることを特徴とする構
    造体充填用発泡性ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 前記マイクロカプセル型発泡剤が、揮発
    性の液体を熱可塑性壁材にて被包してなるマイクロカプ
    セルである請求項1又は請求項2記載の構造体充填用発
    泡性ゴム組成物。
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